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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】報知装置
(51)【国際特許分類】
   B61D 37/00 20060101AFI20240416BHJP
   B61K 13/04 20060101ALI20240416BHJP
   B60N 5/00 20060101ALN20240416BHJP
【FI】
B61D37/00 G
B61D37/00 Z
B61K13/04
B60N5/00
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020078717
(22)【出願日】2020-04-27
(65)【公開番号】P2021172258
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2023-04-05
(73)【特許権者】
【識別番号】390010054
【氏名又は名称】コイト電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104237
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 秀昭
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 和弥
(72)【発明者】
【氏名】宮原 宏和
(72)【発明者】
【氏名】松木 隆典
【審査官】山本 賢明
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-116735(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第101312000(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第110091784(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第105498105(CN,A)
【文献】特開2008-262478(JP,A)
【文献】国際公開第2005/086108(WO,A1)
【文献】特開2007-182168(JP,A)
【文献】特開2004-240926(JP,A)
【文献】特開2019-94019(JP,A)
【文献】特開2011-31799(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0260744(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61D 37/00
B61K 13/04
G08B 21/24
A61F 9/08
B60N 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗り物内でドアの開閉を乗客に報知するための報知装置において、
乗客がつかまる部位を、ドアの開閉を知らせる所定のタイミングで振動させる振動発生手段と、該振動発生手段による振動発生を制御する制御手段と、を備え、
前記振動発生手段は、乗客がつかまる手すりの途中に組み込まれ、内部に振動モータが設けられ、
前記制御手段は、乗り物の現在位置から駅に対する接近ないし離れる時点を検知して前記振動モータを起動ないし停止させることを特徴とする報知装置。
【請求項2】
乗客が前記手すりのつかまる部位により身体を支えた姿勢で視認可能な範囲に、ドアの開閉を知らせる所定のタイミングで発光ないし表示を行う視覚報知手段を備えたことを特徴とする請求項に記載の報知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗り物内でドアの開閉を乗客に報知するための報知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に鉄道車両の客室内では、ドア(扉)の周囲に乗客がつかまる手すりが設けられている。この手すりは、ドア付近に立っている乗客が身体を支えるために使用していた。かかる乗客が、例えばスマートフォン等を弄っている場合、ドアが開くことに気づかず、ドアの戸袋にカバン等が巻き込まれたり、ドアに挟まれたり、モノを落とすようなことが多々あった。これらの事態は列車の遅延の原因となることがあり、解決策が望まれていた。
【0003】
ドア付近の乗客にドアが開くことを知らしめる方策としては、通常の車内アナウンスだけでは足りないため、例えば手すりに光源を組み込んだ従来技術(特許文献1,2等)を利用することが考えられる。すなわち、ドア付近にある手すりを発光させれば、ドアの開閉時に乗客に対して視覚的に注意を促すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-149389号公報
【文献】特開平7-173915号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述した手すりに光源を組み込んだ従来技術の利用だけでは、そもそもスマートフォン等の操作に集中している乗客が、周囲を視線を巡らすことは考え難い。よって、発光により視覚に訴える方策だけでは、ドアの開閉時に乗客へ注意を促す方策としては不十分であることが予想される。
【0006】
本発明は、以上のような従来の技術の有する問題点に着目してなされたものであり、乗り物内でドアの開閉を乗客に容易に知らしめることが可能となり、確実に乗客に注意を喚起することができる報知装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した目的を達成するため、本発明の一態様は、
乗り物内でドアの開閉を乗客に報知するための報知装置において、
乗客がつかまる部位を、ドアの開閉を知らせる所定のタイミングで振動させる振動発生手段を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る報知装置によれば、乗り物内でドアの開閉を乗客に容易に知らしめることが可能となり、確実に乗客に注意を喚起することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態に係る報知装置の振動発生手段を示す斜視図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る報知装置の振動発生手段の開いた状態を示す平面図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る報知装置の制御系の機能ブロック図である。
図4】本発明の第1実施形態に係る報知装置の振動発生手段を鉄道車両の客室内における手すり等に配置した状態を概略的に示す模式図である。
図5】本発明の第2実施形態に係る報知装置の振動発生手段を示す斜視図である。
図6】本発明の第2実施形態に係る報知装置の振動発生手段を示す縦断面図である。
図7】本発明の第3実施形態に係る報知装置の振動発生手段を示す(a)平面図、(b)組み込み状態を示す縦断面図、(c)縦断面図である。
図8図7(c)のA-A線断面図である。
図9図7(c)のB-B線断面図である。
図10】本発明の第4実施形態に係る報知装置の振動発生手段を示す斜視図である。
図11】本発明の第5実施形態に係る報知装置の振動発生手段の開いた状態を示す斜視図である。
図12】本発明の変形例1に係る報知装置の振動発生手段を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面に基づき、本発明を代表する各種実施形態を説明する。
[第1実施形態]
図1図4は、本発明の第1実施形態を示している。
本実施形態に係る報知装置10は、乗り物内でドアの開閉を乗客に報知するための装置である。ここで乗り物とは、例えば軌道上を走行する鉄道車両やモノレールのほか、バス等の様々な車両等が該当するが、以下、鉄道車両に報知装置10を適用する場合を例に説明する。
【0011】
<鉄道車両の概要>
図4に示すように、鉄道車両の客室1内におけるドア2の両側には、乗客がつかまるための手すり3が主として垂直に設けられている。また、壁際に配置された腰掛4の両側にも、手すり5が主として垂直に設けられている。また、天井部には進行方向と平行かつ水平に延びるバー6が架設され、バー6には複数のつり皮7が設けられている。手すり3,5とバー6は、例えば金属製のパイプ状の部材からなり、内部が空洞となっている。
【0012】
手すり3,5やつり皮7が、本発明における「乗客がつかまる部位」の一例に相当する。以下、乗客がつかまる部位として、手すり3を代表して説明する。なお、図4では図示省略したが、鉄道車両の進行方向の両側で対向するドア2間の中央付近には、手すり3,5と同様に乗客がつかまるつかみ棒(スタンションポール)を設置しても良い。つかみ棒も、「乗客がつかまる部位」の一例に相当する。
【0013】
<報知装置10について>
<<振動発生手段11>>
図1に示すように、報知装置10は、ドア2の開閉を知らせる所定のタイミングで手すり3を振動させる振動発生手段11を備えている。本実施形態に係る振動発生手段11は、手すり3の外周に外付け可能なユニットとして構成されている。すなわち、振動発生手段11は、手すり3の途中に周回させた状態で取り付けるケーシング12と、該ケーシング12内部に配設された振動モータ20とからなる。
【0014】
ケーシング12は、一対のクランパ12a,12bに2分割されており、各クランパ12a,12bを合わせた内周は、手すり3の外周にほぼ合致するように設定されている。各クランパ12a,12bの基端同士は、ヒンジ15を介して回動可能に連結されている。各クランパ12a,12bの先端側には、互いに固定可能な例えばスナップインする汎用の留め具14a,14bが設けられている。なお、留め具14a,14bは、一度固定したら乗客が容易には外せない構造にすると良い。
【0015】
各クランパ12a,12bは、例えば樹脂材の成形品であり、一方のクランパ12bの内側に振動モータ20が埋め込まれている。ここで振動モータ20は、例えば偏心体の回転により振動を発生するタイプのものであり、その構成は一般的であるので詳細な説明は省略する。振動発生手段11は、振動モータ20が引き起こす振動がケーシング12を介して手すり3に伝達され、手すり3を振動させることができるように構成されている。なお、各クランパ12a,12bは、他に例えば金属材により内部が空洞となるように構成しても良い。
【0016】
このような振動発生手段11は、図4に示すように、ドア2の両側の手すり3のほか、腰掛4の両側の手すり5や、つり皮7を設けるバー6にも設けられている。また、図示省略したつかみ棒(スタンションポール)のほか、各手すり3,5やバー6自体だけでなく、これらを壁等の据付箇所に支持するブラケット等に設けても良い。なお、振動モータ20から延びる電線21(図2参照)は、手すり3等の内部を通るように配線され、次述する制御手段30に接続される。
【0017】
<<制御手段30>>
図3に示すように、報知装置10は、各振動発生手段11による振動発生を制御する制御手段30を備えている。制御手段30は、各種制御の中枢的機能を果たすCPU(Central Processing Unit)、CPUの実行するプログラムや各種の固定的データを記憶するROM(Read Only Memory)、プログラムを実行する上で一時的に必要になるデータを記憶するためのRAM(Random Access Memory)等から構成されたマイクロコンピュータ(マイコン)からなる。
【0018】
制御手段30は、報知装置10の振動発生手段11だけでなく、鉄道車両に搭載された各種機器の動作を統括的に制御するものである。図3に示すように、制御手段30には、振動発生手段11における振動モータ20が信号を送受可能に接続されている。また、制御手段30には、例えばドア2の開閉装置31や速度発電機等も信号を送受可能に接続されている。さらに、制御手段30は、列車の運行を集中的に管理する外部の運行管理システム32とも信号を送受可能に接続されている。
【0019】
制御手段30は、振動モータ20の駆動に関しては、次のような制御を実行するようにプログラムされている。すなわち、制御手段30は、外部の運行管理システム32から随時出力される列車運行情報に基づき、例えば次駅に入線して停車する列車の到着時間や、遅延の有無等を判断可能である。制御手段30は、この列車運行情報に基づき、列車が到着してドアが開く前の所定のタイミング(例えば10秒前)で振動モータ20を起動させたり、列車の発車前にドアが閉じたタイミングで振動モータ20を停止させる制御が可能である。
【0020】
また、前記運行管理システム32は、管理する列車の現在位置の認識機能を備えており、かかる機能により駅に対する列車の接近を検知した時点で、振動モータ20を起動させたり、駅から列車が離れた時点で振動モータ20を停止させても良い。つまり、列車の現在位置からドアが開閉するタイミングを計ることができる。もちろん、一般的なGPS機能を利用して、駅に対する列車の接近を検知するようにしても良い。
【0021】
さらに、制御手段30は、ドア2の開閉装置31から出力されるドア2の開閉信号に基づき、例えばドア2の開く信号を受信した時点で、振動モータ20を起動させ、ドア2が閉じた信号を受信した時点で、振動モータ20を停止させるように制御しても良い。このように振動モータ20をON・OFFする具体的なタイミング、すなわちドア2の開閉を知らせる「所定のタイミング」は、適宜定め得る設計事項である。
【0022】
<報知装置10の作用>
次に、第1実施形態に係る報知装置10の作用について説明する。
図4に示すように、鉄道車両の客室1内において、ドア2横の手すり3や腰掛4横の手すり5、それにつり皮7を設けたバー6に、それぞれ報知装置10の振動発生手段11を取り付ける。振動発生手段11は、手すり3等に外付け可能なものであり、これらの車内設備を特に改造することなく、容易に取り付けることができる。
【0023】
すなわち、手すり3等における取付箇所の外周に、ケーシング12の各クランパ12a,12bを周回させた状態で留め具14a,14bによって固定する。このように振動発生手段11の取付作業が容易なだけでなく、振動発生手段11自体の構成も簡易であるため、コストを低減することができる。なお、振動発生手段11は、一度取り付けたら乗客が容易には外せない構造とするが、特別な工具等を用いて壊さないように着脱自在に構成しても良い。
【0024】
振動発生手段11の具体的な取付箇所の配置や数は、任意に定め得るが、例えば乗客が直接つかむ手すり3、4の場合、乗客の邪魔にならない位置に1ないし数個程度でたりる。一方、つり皮7のバー6のように乗客が直接つかむ部位でなく、間接的につり皮7を振動させる場合、例えば所定間隔おきに多数設けると良い。なお、振動発生手段11をつり皮7自体に設けることも考えられる。また、報知装置10の制御手段30は、鉄道車両に予め搭載されているものを利用すれば足りる。
【0025】
<<報知装置10の動作>>
振動発生手段11が施工された鉄道車両の客室1内において、ドア2の開閉を知らせる所定のタイミングで振動発生手段11は振動する。かかる振動発生手段11の振動は、制御手段30によって制御される。すなわち、制御手段30は、外部の運行管理システム32からの情報やドア2の開閉装置31からの信号等に基づき、列車が到着してドアが開く前の所定のタイミング(例えば10秒前)で振動モータ20を起動させ、列車の発車前にドアが閉じたタイミングで振動モータ20を停止させる。
【0026】
振動発生手段11の作動時に、振動モータ20が引き起こす振動は、ケーシング12を介して手すり3等に直接伝達されて、手すり3等を振動させることができる。これにより、乗客にドア2の開閉についての注意を喚起することができる。従って、乗客がドア2横の手すり3等につかまって携帯端末等を弄っていたとしても、手すり3の振動により確実に気づくことになり、例えばドア2の戸袋にカバン等を巻き込まれる事態を未然に防ぐことができる。
【0027】
[第2実施形態]
図5および図6は、本発明の第2実施形態を示している。
本実施形態に係る報知装置10Aは、振動発生手段11Aの構成が前述の第1実施形態とは異なり、手すり3の外周に外付けするものではなく、手すり3の途中に組み込むように構成されている。
【0028】
振動発生手段11Aは、手すり3の途中に組み込むケーシング15を備えている。ケーシング15は、円柱形の樹脂材の成形品であり、その外周は手すり3の外径と同一寸法であるが、上端と下端だけ小径となる段部15a,15bが設けられている。ここで段部15a,15bは、手すり3の内径と同一寸法であり、それぞれ手すり3途中の分断箇所の上下に嵌め込むように固定される。
【0029】
ケーシング15の内部には、図示省略したが振動モータ20が設けられている。かかる振動モータ20は、前述した制御手段30によって動作が制御される。すなわち、報知装置10Aにおいても、ドア2の開閉を知らせる所定のタイミングで振動する。なお、前述の第1実施形態に係る報知装置10と重複した構成ないし作用の説明は省略する。
【0030】
[第3実施形態]
図7から図9は、本発明の第3実施形態を示している。
本実施形態に係る報知装置10Bも、前述の第2実施形態と同様に、振動発生手段11Bを手すり3の途中に組み込むように構成されているが、ケーシング16の構成が若干異なっている。すなわち、振動発生手段11Bのケーシング16は、円筒形の樹脂材の成形品であり、その外周および内周は手すり3と同一寸法である。
【0031】
本実施形態では、ケーシング16の上下端が合致する手すり3途中の分断箇所の上下に、ケーシング16の上下端がちょうど嵌る小径の段部3a,3bが加工されている。また、ケーシング16の内周壁の一端には、振動モータ20を埋め込む取付部16aが一体成形されている。なお、取付部16aは、ケーシング16の成形時の型抜きに際してアンダーカットとならない形状に設計すると良い。
【0032】
このように、振動発生手段11Bを手すり3の途中に組み込むような場合、様々なバリエーションの構成が考えられる。本報知装置10Bにおいても、ドア2の開閉を知らせる所定のタイミングで振動する。なお、前述の第1実施形態に係る報知装置10と重複した構成ないし作用の説明は省略する。
【0033】
[第4実施形態]
図10は、本発明の第4実施形態を示している。
本実施形態に係る報知装置10Cは、前述の第1実施形態と同様に、振動発生手段11Cを手すり3の外周に外付けするように構成されているが、ケーシング17の構成が異なっている。すなわち、振動発生手段11Cのケーシング17は、可撓性のある帯状の樹脂材から形成されており、その一部に振動モータ20が埋め込まれている。
【0034】
本実施形態では、帯状のケーシング17を手すり3の途中に巻き付けた状態で、例えば接着剤によってケーシング17の両端同士が固定される。なお、ケーシング17を巻き付ける箇所の手すり3には、振動モータ20の電線21を手すり3の内部に案内する小孔が穿設されている。かかる手すり3の小孔については、前述の第1実施形態でも同様である。
【0035】
このような報知装置10Cにおいても、ドア2の開閉を知らせる所定のタイミングで、制御手段30により振動モータ20が起動して振動を発生させる。なお、前述の第1実施形態に係る報知装置10と重複した構成ないし作用の説明は省略する。
【0036】
[第5実施形態]
図11は、本発明の第5実施形態を示している。
本実施形態に係る報知装置10Dは、前述の第4実施形態と同様に、振動発生手段11Dを手すり3の外周に外付けするように構成されているが、ケーシング18の取り付け方法が異なっている。
【0037】
すなわち、本実施形態でも、振動発生手段11Dのケーシング18は、可撓性のある帯状の樹脂材から形成されたものであるが、手すり3の途中に巻き付けた状態で、上部と下部が一対の結束バンド19によって両端同士が固定される。結束バンド19は、汎用のものを適宜用いれば良い。
【0038】
このように、帯状の振動発生手段11Dを手すり3の外付けする場合、様々なバリエーションの構成が考えられる。本報知装置10Dにおいても、ドア2の開閉を知らせる所定のタイミングで振動する。なお、前述の第1実施形態に係る報知装置10と重複した構成ないし作用の説明は省略する。
【0039】
[変形例1について]
図12は、本実施形態の変形例1を示している。
本変形例1では、手すり3の内部に、振動モータ20を直接取り付けて構成している。この場合、振動モータ20だけで、振動発生手段を構成することになる。
本変形例1では、振動モータ20を手すり3の内部に設けたが、他に例えば、振動モータ20自体を手すり3の外側に設けるようにしても良い。
【0040】
[変形例2について]
また、別の変形例2として、前記振動発生手段11による振動に加えて、発光によりドア2の開閉を乗客に知らせるように構成しても良い。この場合の報知装置10は、光を照射する発光手段を備えることになる。発光手段としては、例えば任意の発光色で発光するLED40(図3参照)等を用いれば容易に構成することができる。
【0041】
発光手段であるLED40等は、例えばケーシング12に設けることができる。ここでケーシング12が手すり3の内部に配される場合、LED40の周囲の手すり3の外壁に透光用のスリットや小孔を穿設したり、あるいは外壁の一部を透光性材質(例えば透明樹脂等)より形成すると良い。また、ケーシング12が手すり3の外周に配される場合、発光手段はそのままケーシング12の外側の一部に設ければ良い。
【0042】
また、発光手段をケーシング12とは別に、手すり3自体に別途設けるように構成しても良い。何れにせよ発光手段は、その光が手すり3につかまる乗客に視認可能な範囲に配置する。さらに、単に光を照射するだけの発光手段に限らず、例えば有機EL等を利用して各種情報を視認可能に表示する表示手段として構成しても良い。すなわち、ドア2の開閉を知らせる所定のタイミングで発光ないし表示を行う視覚報知手段40(図3参照)として括ることができる。なお、視覚報知手段40を制御させるタイミングは、振動発生手段11と同期させたり、若干ズラしても良く、要はドア2の開閉を報知できれば足りる。
【0043】
<本発明の構成および作用効果>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した各種実施形態および変形例に限定されるものではない。前述した各種実施形態および変形例から導かれる本発明について、以下に説明する。
【0044】
[1]先ず、本発明は、
乗り物内でドア2の開閉を乗客に報知するための報知装置10において、
乗客がつかまる部位3,5,7を、ドア2の開閉を知らせる所定のタイミングで振動させる振動発生手段11を備えたことを特徴とする。
【0045】
本報知装置10によれば、鉄道車両等の乗り物内で、ドア2付近の手すり3等につかまり身体を支えている乗客に対して、ドア2の開閉を事前に容易に知らしめることが可能となり、確実に乗客に注意を喚起することができる。特に、視覚ないし聴覚の弱者に対しても、ドア2の開閉についての注意を喚起することができる。
【0046】
[2]また、本発明では、
前記振動発生手段11は、ドア2の周囲に配された手すり3,5に設けられたことを特徴とする。
これにより、特にドア2付近に配された手すり3,5につかまる乗客や、手すり3,5にもたれ掛っている乗客が、振動に気が付いてドア2の開閉に事前に対応することが可能となり、例えばドア2の戸袋にカバン等を巻き込まれる事態を未然に防ぐことができる。
【0047】
[3]また、本発明では、
前記振動発生手段11は、乗り物内に配されたつり革7ないしつり革7を吊り下げる部位6に設けられたことを特徴とする。
これにより、ドア2付近に限らず、客室内でつり革7につかまって立っている乗客に対しても、ドア2の開閉についての注意を喚起することができる。
【0048】
[4]また、本発明では、
前記振動発生手段11は、乗客がつかまる部位3,5,7に外付けされる振動モータ20を含むことを特徴とする。
これにより、手すり3等の車内設備を特に改造することなく、容易に取り付けることができ、後からの施工に伴うコストを大幅に抑えることが可能となる。なお、「外付け」には、後から外付けする場合のほか、予め外付けする場合も含まれる。
【0049】
[5]また、本発明では、
前記振動発生手段11は、乗客がつかまる部位3,5,7に内蔵された振動モータ20を含むことを特徴とする。
これにより、振動発生手段11が手すり3等の表面上で凹凸をなすことはなく、乗客に対して何らの障害物となる虞はない。なお、「内蔵」には、予め内蔵する場合のほか、後から内蔵する場合も含まれる。
【0050】
[6]さらに、本発明では、
乗客が前記つかまる部位3,5,7により身体を支えた姿勢で視認可能な範囲に、ドア2の開閉を知らせる所定のタイミングで発光ないし表示を行う視覚報知手段を備えたことを特徴とする。
これにより、振動発生手段11による振動だけではなく、視覚報知手段による視覚的な報知も相俟って、よりいっそう確実に乗客に対してドア2の開閉の注意を喚起することができる。
【0051】
以上、本発明の実施形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は前述した実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。例えば報知装置10を鉄道車両の客室内に設置する例を説明したが、モノレールやバス等の他の車両の客室内に適用しても良い。
【0052】
また、ケーシング12や振動モータ20等の具体的な形状は図示したものに限定されることはない。さらに、振動モータ20の作動に関しては、単に起動と停止だけでなく、例えば様々な頻度で振動を発生させて、異なるリズムの振動パターンを適宜選択できるように構成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、鉄道車両に限られることなく、様々な乗り物において、ドアの開閉を乗客に報知するための報知装置として広く適用することができる。
【符号の説明】
【0054】
1…客室
2…ドア
3…手すり
4…腰掛
5…手すり
6…バー
10…報知装置
11…振動発生手段
12…ケーシング
12a,12b…クランパ
14a,14b…留め具
30…制御手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12