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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 21/06 20060101AFI20240416BHJP
   F25D 11/02 20060101ALI20240416BHJP
   F25D 17/08 20060101ALI20240416BHJP
   F25D 21/08 20060101ALI20240416BHJP
   F25D 25/00 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
F25D21/06 J
F25D11/02 F
F25D11/02 K
F25D17/08 306
F25D21/06 K
F25D21/08 A
F25D25/00 E
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020085839
(22)【出願日】2020-05-15
(65)【公開番号】P2021179293
(43)【公開日】2021-11-18
【審査請求日】2023-02-01
(73)【特許権者】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡留 慎一郎
(72)【発明者】
【氏名】河井 良二
(72)【発明者】
【氏名】額賀 晴樹
(72)【発明者】
【氏名】小沼 智史
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 拳司
(72)【発明者】
【氏名】安藤 弘晃
(72)【発明者】
【氏名】山▲埼▼ 貴史
(72)【発明者】
【氏名】岩渕 真也
【審査官】笹木 俊男
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-034207(JP,A)
【文献】特開2011-058689(JP,A)
【文献】特開2018-071874(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 11/00 ~ 16/00
F25D 17/04 ~ 17/08
F25D 21/00 ~ 21/02
F25D 21/06 ~ 21/12
F25D 23/00
F25D 27/00 ~ 31/00
F25B 47/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機、放熱部、冷媒制御手段、第一減圧部、第一蒸発器の順に冷媒が流れる第一冷媒流路と、
前記圧縮機、前記放熱部、前記冷媒制御手段、第二減圧部、第二蒸発器の順に冷媒が流れる第二冷媒流路と、
前記第一蒸発器により冷却された空気を送風する第一ファンと、
前記第一ファンにより空気が送風される複数の第一蒸発器冷却室と、
前記第二蒸発器により冷却された空気を送風する第二ファンと、
前記第二ファンにより空気が送風される1つ以上の第二蒸発器冷却室と、
を備え、
前記複数の第一蒸発器冷却室は、冷凍温度帯に設定された冷凍貯蔵室と、冷蔵温度帯に設定された冷蔵貯蔵室をそれぞれ1つ以上備え、前記第一ファンからすべての前記冷凍貯蔵室への送風を抑制しながら、前記第一ファンを駆動させて前記冷蔵貯蔵室に送風しつつ、前記第二冷媒流路に冷媒を流しながら前記第二ファンを駆動させて前記第二蒸発器冷却室を冷却する運転を実行する制御部を備えたことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項2】
請求項1に記載の冷蔵庫において、
前記第一蒸発器を加熱して霜を融解させる除霜ヒータを備え、
前記制御部は、前記第一ファンからすべての前記冷凍貯蔵室への送風を抑制しながら、前記除霜ヒータに通電しつつ前記第一ファンを駆動させて前記冷蔵貯蔵室に送風することを特徴とする冷蔵庫。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の冷蔵庫において、
前記冷凍貯蔵室および前記冷蔵貯蔵室のうち、1つ以上が冷凍温度帯と冷蔵温度帯を切替可能な切替室であることを特徴とする冷蔵庫。
【請求項4】
請求項3に記載の冷蔵庫において、
前記切替室内に食品を収納する切替室容器を備え、
前記第一ファンから送風される空気を前記切替室容器に向けて送風することを特徴とする冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、オフサイクル運転(第一の運転)を行うことで、例えば「霜や霜が解けた融解水のために、熱負荷が大きくなり、空気を多く含む多孔質状の霜から空気部分が少ない氷に近い霜になるために冷却器の伝熱性能が良い状態での運転になる」といった効果が得られることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-38716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の冷蔵庫では、オフサイクル運転を行うためには圧縮機を停止する必要があった。圧縮機を停止する時間を確保するためには、圧縮機運転中の冷却量を高める必要がある。冷却量を高めるためには、圧縮機の回転速度を上げることが有効であるが、これにより冷却中の冷媒の蒸発温度が下がる。蒸発温度が下がると、一般的に冷却効率(消費電力量に対する冷却量)が低下することから省エネルギー性能の低下を招く。
【0005】
本発明は、前記した従来の課題を解決するものであり、圧縮機を駆動させながらオフサイクル運転を行い、冷却効率をさらに高めた冷蔵庫を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の冷蔵庫は、圧縮機、放熱部、冷媒制御手段、第一減圧部、第一蒸発器の順に冷媒が流れる第一冷媒流路と、前記圧縮機、前記放熱部、前記冷媒制御手段、第二減圧部、第二蒸発器の順に冷媒が流れる第二冷媒流路と、前記第一蒸発器により冷却された空気を送風する第一ファンと、前記第一ファンにより空気が送風される複数の第一蒸発器冷却室と、前記第二蒸発器により冷却された空気を送風する第二ファンと、前記第二ファンにより空気が送風される1つ以上の第二蒸発器冷却室と、を備え、前記複数の第一蒸発器冷却室は、冷凍温度帯に設定された冷凍貯蔵室と、冷蔵温度帯に設定された冷蔵貯蔵室をそれぞれ1つ以上備え、前記第一ファンからすべての前記冷凍貯蔵室への送風を抑制しながら、前記第一ファンを駆動させて前記冷蔵貯蔵室に送風しつつ、前記第二冷媒流路に冷媒を流しながら前記第二ファンを駆動させて前記第二蒸発器冷却室を冷却する運転を実行する制御部を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、圧縮機を駆動させながらオフサイクル運転を行い、冷却効率をさらに高めた冷蔵庫を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係る冷蔵庫を示す正面図である。
図2図1のII-II線断面図である。
図3】第1実施形態に係る冷蔵庫の風路構成を示す概略図である。
図4】第1実施形態に係る冷蔵庫の冷凍サイクルを示す構成図である。
図5A】第1実施形態に係る冷蔵庫の冷却運転制御を示すフローチャートである。
図5B】第1実施形態に係る冷蔵庫の野菜室冷却制御を示すフローチャートである。
図5C】第1実施形態に係る冷蔵庫のRオフサイクル運転制御を示すフローチャートである。
図6】第1実施形態に係る冷蔵庫の冷却運転制御を示すタイムチャートである。
図7A】第1実施形態に係る冷蔵庫のF除霜運転制御を示すフローチャートである。
図7B】第1実施形態に係る冷蔵庫のR除霜運転制御を示すフローチャートである。
図8】第1実施形態に係る冷蔵庫の除霜運転制御を示すタイムチャートである。
図9】第2実施形態に係る冷蔵庫における断面図である。
図10】第2実施形態に係る冷蔵庫の風路構成を示す正面図である。
図11】第2実施形態に係る冷蔵庫における庫内背面図である。
図12】第2実施形態に係る冷蔵庫の風路構成を示す概略図である。
図13】第2実施形態に係る各種部材の動作条件の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態(本実施形態)を説明する。ただし、本実施形態は、以下の内容に何ら制限されず、本発明の要旨を損なわない範囲内で任意に変更して実施可能である。
【0010】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る冷蔵庫を示す正面図である。なお、以下の説明では、6ドアの冷蔵庫1を例に挙げて説明するが、6ドアに限定されるものではない。
図1に示すように、冷蔵庫1の断熱箱体10は、上方から冷蔵室2、左右に併設された製氷室3と上段冷凍室4、下段冷凍室5、野菜室6の順番で貯蔵室を有している。なお、製氷室3と上段冷凍室4と下段冷凍室5とを合わせて冷凍室7と呼ぶ。冷蔵庫1はそれぞれの貯蔵室の開口を開閉するドアを備えている。これらのドアは、冷蔵室2の開口を開閉する、左右に分割された回転式の冷蔵室ドア2a、2bと、製氷室3、上段冷凍室4、下段冷凍室5、野菜室6の開口をそれぞれ開閉する引き出し式の製氷室ドア3a、上段冷凍室ドア4a、下段冷凍室ドア5a、野菜室ドア6aである。
【0011】
冷蔵室ドア2aには代表的な庫内の設定や状態を示す操作部19が設けられている。冷蔵室ドア2a、2bを冷蔵庫1に固定するために、ドアヒンジ(図示せず)が冷蔵室2上部および下部に設けられている。
【0012】
冷蔵室2は、庫内を冷蔵温度帯(0℃以上)の例えば平均的に4℃程度にした冷蔵貯蔵室である。冷凍室7は、庫内を冷凍温度帯(0℃未満)の例えば平均的に-18℃程度にした冷凍貯蔵室である。野菜室6は、庫内を冷蔵温度帯の例えば平均的に6℃程度の冷蔵貯蔵室で、後述する間接的な冷却により、食品の乾燥を抑えた冷蔵貯蔵室である。
【0013】
図2は、図1のII-II線断面図である。
図2に示すように、冷蔵庫1は、外箱10a(鋼板製)と内箱10b(合成樹脂製)との間に発泡断熱材(例えば発泡ウレタン)を充填して形成される断熱箱体10により、庫外と庫内は隔てられて構成されている。断熱箱体10には、発泡断熱材に加えて、発泡断熱材よりも熱伝導率の低い真空断熱材25を外箱10aと内箱10bとの間に実装することで、食品収納容積を低下させることなく断熱性能を高めている。ここで、真空断熱材は、グラスウールやウレタン等の芯材を、外包材で包んで構成される。外包材はガスバリア性を確保するために金属層(例えばアルミニウム)を含む。また、比較的大きな冷凍貯蔵室である下段冷凍室5の下段冷凍室ドア5aにも真空断熱材25が設けられている。
【0014】
冷蔵室2と、製氷室3および上段冷凍室4とは断熱仕切壁28によって隔てられている。また、下段冷凍室5と野菜室6とは断熱仕切壁29によって隔てられている。また、製氷室3、上段冷凍室4、および下段冷凍室5の各貯蔵室の前面側には、ドア3a、4a、5aの隙間から冷凍室7内の空気が庫外へ漏れないよう、また庫外の空気が各貯蔵室に侵入しないよう、断熱仕切壁30が設けられている。また、冷凍室7および野菜室6には、それぞれドア3a、4a、5a、6aと一体に引き出される製氷室容器(図示せず)、上段冷凍室容器4b、下段冷凍室容器5b、野菜室容器6bが設けられている。
【0015】
冷蔵庫1は、冷凍室7と野菜室6とを冷却する冷凍貯蔵室対応蒸発器である第一蒸発器14aを備えている。この第一蒸発器14aは、冷凍室7の略背部に備えた冷凍用蒸発器室である第一蒸発器室8a内に設けられている。冷凍室7と第一蒸発器室8aは、冷凍室7側の壁面を構成する仕切り部材20aと、第一蒸発器室8a側を構成する仕切り部材20bによって仕切られている。仕切り部材20aは、例えば樹脂部材の一種であるポリプロピレン製で、厚さが1.5mmである。仕切り部材20b(発泡断熱材)は、例えば発泡成形したポリスチレンフォーム(発泡スチロール)製である。また、仕切り部材20bの厚さは、発泡時の成形性や冷蔵庫組込時の組立性、耐衝撃性、また冷凍室7の温度変動抑制を考慮して10mmとしている。
【0016】
図3は、第1実施形態に係る冷蔵庫の風路構成を示す概略図である。
図3に示すように、冷凍室7を冷却する際は、冷凍室ダンパ101を開け、冷凍用ファンである第一ファン9aを駆動させる。第一蒸発器14aで低温になった第一蒸発器室8aの空気が、第一蒸発器14aの上方に設けた第一ファン9aにより、冷凍室ダンパ101、冷凍室風路12、冷凍室吐出口12aを介して冷凍室7に送風され、冷凍室7内を冷却する。冷凍室7に送風された空気は、冷凍室戻り口12bから第一蒸発器室8aに戻り、再び第一蒸発器14aにより冷却される。
【0017】
野菜室6を冷却する際は、野菜室ダンパ102を開けて第一ファン9aを駆動させる。第一蒸発器14aで低温になった第一蒸発器室8aの空気が、第一ファン9aにより野菜室ダンパ102を介して野菜室6に送風され、野菜室6内を冷却する。野菜室6が低温の場合は、野菜室ダンパ102を閉じることで野菜室6の冷却を抑える。なお、野菜室6に送風された空気は、断熱仕切壁29(図2参照)の下部に設けた野菜室側の冷気戻り部18から第一蒸発器室8aの下部に戻る。
【0018】
第一蒸発器室8aの下部には、第一蒸発器14aを加熱する除霜ヒータ21(図2参照)が設けられている。この除霜ヒータ21は、例えば50W~200Wの電気ヒータであり、本実施形態では150Wのラジアントヒータとしている。第一蒸発器14aの除霜時に発生した除霜水(融解水)は、第一蒸発器室8aの下部に設けた第一蒸発器用トイ23a(図2参照)に落下し、第一蒸発器用排水口22a(図2参照)、第一蒸発器用排水管27a(図2参照)を介して圧縮機24(図2参照)の上部に設けた蒸発皿32(図2参照)に排出される。
【0019】
冷蔵貯蔵室用蒸発器である第二蒸発器14bは、冷蔵室2の略背部に備えた冷蔵用蒸発器室である第二蒸発器室8b内に設けられている。第二蒸発器14bと熱交換して低温になった空気は、第二蒸発器14bの上方に設けた冷蔵用ファンである第二ファン9bにより、冷蔵室風路11、冷蔵室吐出口11aを介して冷蔵室2に送風され、冷蔵室2内を冷却する。冷蔵室2に送風された空気は、冷蔵室戻り口15から第二蒸発器室8bに戻り、再び第二蒸発器14bにより冷却される。
【0020】
第二蒸発器14bは、冷蔵室2の空気を循環させて、冷蔵室2の熱で除霜するオフサイクル除霜により除霜を行う。この第二蒸発器14bの除霜時に発生した除霜水は、第二蒸発器室8bの下部に設けた第二蒸発器用トイ23b(図2参照)に落下し、第二蒸発器用排水口(図示なし)、第二蒸発器用排水管(図示なし)を介して機械室39(図2参照)に設けた蒸発皿32(図2参照)に排出される。
【0021】
冷蔵室2、冷凍室7、野菜室6の庫内背面側には、それぞれ冷蔵室温度センサ41、冷凍室温度センサ42、野菜室温度センサ43を設けられている。第一蒸発器14aの上部には、第一蒸発器温度センサ40aが設けられている。第二蒸発器14bの上部には、第二蒸発器温度センサ40bが設けられている。これらの温度センサ41,42,43,40a,40bにより、冷蔵室2、冷凍室7、野菜室6、第二蒸発器14b、および第一蒸発器14aの温度を検知している。また、冷蔵庫1の天井部のドアヒンジカバー16の内部には、外気(庫外空気)の温度を検知する外気温度センサ37と湿度を検知する外気湿度センサ38が設けられている。その他のセンサとして、ドア2a、2b、3a、4a、5a、6aの開閉状態をそれぞれ検知するドアセンサ(図示せず)等も設けられている。
【0022】
冷蔵庫1の上部には、制御装置の一部であるCPU、ROMやRAM等のメモリ、インターフェース回路等を搭載した制御基板(制御装置、制御部)31(図2参照)が配置されている。制御基板31は、外気温度センサ37、外気湿度センサ38、冷蔵室温度センサ41、冷凍室温度センサ42、野菜室温度センサ43、第一蒸発器温度センサ40a、第二蒸発器温度センサ40b等と電気配線(図示せず)で接続されている。
【0023】
また、制御基板31では、各センサの出力値や操作部18の設定、ROMに予め記録されたプログラム等に基づいて、後述する圧縮機24、第一ファン9a、第二ファン9b、冷凍室ダンパ101、野菜室ダンパ102(図3参照)の制御を行っている。
【0024】
加えて、本実施形態の冷蔵庫1には、外部機器と接続できる通信基板(図示なし)が設けられている。この通信基板が設けられることで、冷蔵庫1の情報をスマートフォン等のモバイルデバイスやパーソナルコンピュータ等に提供することや、これらの操作により操作部26(図2参照)と同様にモード等の設定変更も行うことができるようにしている。
【0025】
図4は、第1実施形態に係る冷蔵庫の冷凍サイクルを示す構成図である。
図4に示すように、冷蔵庫1は、圧縮機24、冷媒の放熱を行う放熱手段である庫外放熱器50aと壁面放熱配管50b、仕切り壁28、29、30(図2参照)の前面部への結露を抑制する結露防止配管50c、冷媒を減圧させる減圧手段である冷凍用キャピラリチューブ53aと冷蔵用キャピラリチューブ53b、冷媒と庫内の空気を熱交換させて、庫内の熱を吸熱する第一蒸発器14aと第二蒸発器14bを備える。
【0026】
また、冷蔵庫1は、圧縮機24、庫外放熱器50a、壁面放熱配管50b、結露防止配管50c、冷凍用キャピラリチューブ53a、第一蒸発器14aの順に冷媒が流れる第一冷媒流路R1を備える。また、冷蔵庫1は、圧縮機24、庫外放熱器50a、壁面放熱配管50b、結露防止配管50c、冷蔵用キャピラリチューブ53b、第二蒸発器14bの順に冷媒が流れる第二冷媒流路R2を備える。
【0027】
また、冷蔵庫1は、冷凍サイクル中の水分を除去するドライヤ51、液冷媒が圧縮機24に流入するのを防止する気液分離器54a、54b、冷媒流路を制御する三方弁52、逆止弁56、冷媒流を接続する冷媒合流部55を備えている。これらを冷媒配管により接続することで冷凍サイクルを構成している。
【0028】
なお、冷蔵庫1は、可燃性冷媒のイソブタン80gを冷媒として用いている。また、圧縮機24は、インバータを備えて回転速度を変えることができる。三方弁52は、2つの流出口52a、52bを備え、流出口52b側に冷媒を流す冷蔵運転と、流出口52a側に冷媒を流す冷凍運転を備え、これらを切換えることができる部材である。また、三方弁52は、流出口52bと流出口52aの何れも冷媒が流れないようにする全閉のモード、また何れも冷媒が流れるようにする全開のモードも備え、これらのモードにも切換え可能である。
【0029】
また、冷蔵庫1の冷媒は以下のように流れる。すなわち、圧縮機24から吐出した冷媒は、庫外放熱器50a、壁面放熱配管50b、結露防止配管50c、ドライヤ51の順に流れ、三方弁52に至る。三方弁52の流出口52aは、冷媒配管を介して冷凍用キャピラリチューブ53aと接続されている。三方弁52の流出口52bは、冷媒配管を介して冷蔵用キャピラリチューブ53bと接続されている。
【0030】
三方弁52を流出口52a側に冷媒が流れるようにした場合、流出口52aから流出した冷媒は、冷凍用キャピラリチューブ53a、第一蒸発器14a、気液分離器54a、逆止弁56、冷媒合流部55の順に流れた後、圧縮機24に戻る。逆止弁56は気液分離器54aから冷媒合流部55側には冷媒が流れ、冷媒合流部55から気液分離器54b側へは流れないように配設されている。冷凍用キャピラリチューブ53aで低圧低温になった冷媒が第一蒸発器14aを流れることで第一蒸発器14aが低温となり、第一蒸発器室8a(図2参照)の空気を冷却することができる。この空気を冷凍室7および野菜室6に送風することで、冷凍室7および野菜室6を冷却する。
【0031】
三方弁52を流出口52b側に冷媒が流れるようにした場合、流出口52bから流出した冷媒は、冷蔵用キャピラリチューブ53b、第二蒸発器14b、気液分離器54b、冷媒合流部55の順に流れた後、圧縮機24に戻る。冷蔵用キャピラリチューブ53bで低圧低温になった冷媒が第二蒸発器14bを流れることで第二蒸発器14bが低温となり、第二蒸発器室8b(図2参照)の空気を冷却することができる。この空気を冷蔵室2に送風することで、冷蔵室2を冷却する。
【0032】
図5A図5Cは、第1実施形態に係る冷蔵庫の冷却運転制御を示すフローチャートである。
図5Aに示すように、制御装置(制御基板31)は、ステップS1において、冷凍運転が終了した場合には、第一ファン9aをOFF(停止)し、冷凍室ダンパ101を閉じる。
【0033】
そして、ステップS3~ステップS5に示す冷蔵運転実施条件の処理に進む。すなわち、ステップS3において、制御装置は、Rオフサイクル運転が終了したか否かを判定する。Rオフサイクル運転(図5C参照)の詳細は後記する。制御装置は、Rオフサイクル運転(冷蔵オフサイクル運転)が終了したと判定した場合には(S3、Yes)、ステップS4に進み、Rオフサイクル運転が終了していないと判定した場合には(S3、No)、ステップS8に進む。
【0034】
ステップS4において、制御装置は、R除霜運転(冷蔵室除霜運転)が終了したか否かを判定する。R除霜運転(図7B参照)の詳細は後記する。制御装置は、R除霜運転が終了したと判定した場合には(S4、Yes)、ステップS5に進み、R除霜運転が終了していないと判定した場合には(S4、No)、ステップS8に進む。
【0035】
ステップS5において、制御装置は、冷蔵室温度Tが冷蔵運転を開始する温度TR_start以上であるか否かを判定する。なお、冷蔵室温度Tは、冷蔵室温度センサ41によって検出される温度が用いられる。また、冷蔵室温度TR_startは、適宜設定され、例えば、6℃以上に設定される。制御装置は、冷蔵室温度Tが温度TR_start以上であると判定した場合には(S5、Yes)、ステップS6に進み、冷蔵室温度Tが温度TR_start以上でないと判定した場合には(S5、No)、ステップS8に進む。
【0036】
ステップS6において、制御装置は、冷蔵運転を開始する。すなわち、制御装置は、三方弁52を流出口52b側にし、かつ、圧縮機24をONし、かつ、第二ファン9bをONし、タイマtをリセットする。
【0037】
ステップS7において、制御装置は、冷蔵運転を終了するか否かを判定する。なお、冷蔵運転の終了判定は、例えば、冷蔵室温度Tが冷蔵運転停止温度TROFF以下まで低下したかどうかによって判定する。制御装置は、冷蔵運転を終了しない場合には(S7、No)、ステップS7の処理を繰り返し、冷蔵運転を終了する場合には(S7、Yes)、ステップS8に進む。
【0038】
ステップS8において、制御装置は、冷凍運転実施条件を満たすか否かを判定する。冷凍運転実施条件とは、例えば、冷凍室温度Tが冷凍運転停止温度TFOFF以下まで低下することである。制御装置は、冷凍運転実施条件を満たす場合には(S8、Yes)、ステップS9に進み、冷凍運転実施条件を満たさない場合には(S8、No)、ステップS17に進む。
【0039】
ステップS9において、制御装置は、冷凍プレ運転を実施する。すなわち、制御装置は、三方弁52を流出口52a側にし、かつ、圧縮機24をON(H:高速)にし、かつ、タイマtをリセットする。
【0040】
ステップS10において、制御装置は、タイマtが第1所定時間以上経過したか否かを判定する。なお、第1所定時間は、事前の試験によって決定され、例えば2分(min)に設定される。制御装置は、タイマtが第1所定時間以上であると判定した場合(S10、Yes)、ステップS11に進み、タイマtが第1所定時間以上ではないと判定した場合には(S10、No)、ステップS10の処理を繰り返す。
【0041】
ステップS11において、制御装置は、冷凍運転を実施する。すなわち、制御装置は、第一ファン9aをONにし、かつ、冷凍室ダンパ101を開く。
【0042】
ステップS12において、制御装置は、野菜室6が冷却中であるか否かを判定する。なお、野菜室6が冷却中であるか否かは、例えば、野菜室ダンパ102が開いているか否かによって判定する。制御装置は、野菜室6が冷却中であると判定した場合には(S12、Yes)、ステップS14に進み、野菜室6が冷却中ではないと判定した場合には(S12、No)、ステップS13に進む。
【0043】
ステップS13において、制御装置は、圧縮機24をON(H→M:高速から中速)にする。
【0044】
ステップS14において、制御装置は、冷凍運転終了条件を満たすか否かを判定する。なお、冷凍運転終了条件は、冷凍室温度センサ41によって検知される冷凍室温度Tが所定温度TFoffまで低下したか否かによって判定する。制御装置は、冷凍運転終了条件を満たす場合には(S14、Yes)、ステップS15に進み、冷凍運転終了条件を満たさない場合には(S14、No)、ステップS12に戻る。
【0045】
ステップS15において、制御装置は、冷媒回収運転を実施する。すなわち、制御装置は、三方弁52を全閉にし、かつ、圧縮機24をONにし、かつ、タイマtFをリセットする。
【0046】
ステップS16において、制御装置は、タイマtFが第2所定時間以上経過したか否かを判定する。なお、第2所定時間は、事前の試験によって決定され、例えば2分(min)に設定される。制御装置は、タイマtFが第2所定時間経過したと判定した場合には(S16、Yes)、ステップS1に戻り、第2所定時間以上経過していないと判定した場合には(S16、No)、ステップS16の処理を繰り返す。
【0047】
冷凍運転実施条件を満たさない場合には(S8、No)、ステップS17において、制御装置は、三方弁52を全閉にし、かつ、圧縮機24をOFF(停止)し、ステップS2に戻る。なお、圧縮機24がOFFの場合には、ステップS2から冷蔵運転実施条件(S3~S5)の処理に進む。
【0048】
また、ステップS1からステップS3~S5に進む処理と並行して、図5Bに示す野菜室冷却制御(Fオフサイクル運転を含む)を実施する。
【0049】
図5Bに示すように、ステップS101において、制御装置は、タイマtをリセットする。
【0050】
ステップS102において、制御装置は、タイマ開始から第3所定時間(t)が経過したか否かを判定する。なお、第3所定時間は、事前の試験によって決定され、例えば10分(min)に設定される。制御装置は、第3所定時間が経過したと判定した場合には(S102、Yes)、ステップS103に進み、第3所定時間が経過していないと判定した場合には(S102、No)、ステップS102の処理を繰り返す。
【0051】
ステップS103において、制御装置は、第一ファン9aをONにし、かつ、野菜室ダンパ102を開く。
【0052】
ステップS104において、制御装置は、野菜室温度センサ43によって検知される野菜室温度Tが所定温度TVoff以下であるか否かを判定する。制御装置は、野菜室温度Tが所定温度TVoff以下であると判定した場合には(S104、Yes)、ステップS105に進み、所定温度TVoff以下でないと判定した場合には(S104、No)、ステップS104の処理を繰り返す。
【0053】
ステップS105において、制御装置は、冷凍運転中であるか否かを判定する。なお、冷凍運転中であるかは、第一ファン9aがONし、かつ、冷凍室ダンパ101が開いているかによって判定される。制御装置は、冷凍運転中であると判定した場合には(S105、Yes)、ステップS106に進み、冷凍運転中ではないと判定した場合には(S105、No)、ステップS107に進む。
【0054】
ステップS106において、制御装置は、野菜室ダンパ102を閉じて、処理を終了する。
【0055】
ステップS107において、制御装置は、野菜室ダンパ102を閉じるとともに、第一ファン9aをオフにして、処理を終了する。
【0056】
一方、ステップS7において、冷蔵運転終了と判定した場合には(S7、Yes)、ステップS8に並行して、図5Cに示すRオフサイクル運転(S201~S203)を実施する。
【0057】
図5Cに示すように、ステップS201において、制御装置は、第二ファン9bをONにする。
【0058】
ステップS202において、制御装置は、第二蒸発器14b(冷蔵室側蒸発器)の第二蒸発器温度TDRが所定温度TDRoff以上であるか否かを判定する。なお、第二蒸発器温度TDRは、第二蒸発器温度センサ40bによって検知される。また、所定温度TDRoffは、第二蒸発器14bを停止させる第二蒸発器停止条件である。制御装置は、第二蒸発器温度TDRが所定温度TDRoff以上であると判定した場合には(S202、Yes)、ステップS203に進み、第二蒸発器温度TDRが所定温度TDRoff以上でないと判定した場合には(S202、No)、ステップS202の処理を繰り返す。
【0059】
ステップS203において、制御装置は、第二ファン9bをOFFにして、処理を終了する。
【0060】
図6は、第1実施形態に係る冷蔵庫の冷却運転制御を示すタイムチャートである。なお、図6において、野菜室6の温度T、冷蔵室2の温度T、冷凍室7の温度Tを実線で示している。また、図6において、第二蒸発器14bの温度TDR、第一蒸発器14aの温度TDFを破線で示している。
【0061】
図6に示すように、時刻tは、冷蔵室2を冷却する冷蔵運転を開始した時刻である。また、本実施形態では、時刻tにおいて、冷凍運転(F運転)が終了(ステップS1)し、冷蔵運転実施判定を行い(ステップS3~S5)、ステップS6に示す冷蔵運転(R運転)を開始する。R運転では、三方弁52を全閉から流出口52b側にし、圧縮機24の駆動(中速M→低速L)を継続して、第二ファン9bを運転する(OFF→ON)。これにより、第二蒸発器14bに冷媒が流れ、第二蒸発器14bが低温になる。また、第二蒸発器14bを通過して低温になった空気が冷蔵室2に送風されることで冷蔵室2が冷却される。ここで、冷蔵運転中の第二蒸発器14bの温度TDRは、後述する冷凍運転中の第一蒸発器14aよりも高くしている。一般的に蒸発器の温度が高い方が、COP(圧縮機24の入力に対する冷却する熱量の割合)が高く、省エネルギー性能が高い。冷凍室7を冷却する場合は蒸発器の温度を低温にする必要があるが、第二蒸発器14bでは高い蒸発器の温度でも冷却できる冷蔵温度帯の貯蔵室のみを冷却することから、冷蔵室2を冷却する際は、蒸発器の温度を高めて省エネルギー性能を高めている。なお、本実施形態の冷蔵庫1では、冷蔵運転中の第二蒸発器14bの温度TDRが高くなるよう、冷蔵運転中の圧縮機24の回転速度を冷凍運転中よりも低速(L)にしている。
【0062】
ここで、本実施形態の冷蔵庫1では、この冷蔵運転中の時刻t~tにおいて、冷凍室ダンパ101を閉(継続)、野菜室ダンパ102を閉から開とし、第一ファン9aを駆動(OFF→ON)させ、野菜室6を冷却するFオフサイクル運転を行う。このFオフサイクル運転では、後述の冷凍運転により低温になっている第一蒸発器14aを用いて、野菜室6を冷却する。具体的には冷凍運転が終了して、10分経過した時刻t1になると(ステップS101,S102)、第一ファン9aをONし、かつ、野菜室ダンパ102を開にする(ステップS103)。この間、野菜室6の空気と熱交換するため、第一蒸発器14aに熱が移動し、第一蒸発器14aの温度TDFは上昇する。この運転は、冷凍プレ運転開始(時刻t2)、または野菜室温度センサ43により検出する野菜室温度TがTVoffに到達するまで(時刻t)実施される(ステップS104)。野菜室温度TがTVoffに到達すると(ステップS104がYes)、野菜室ダンパ102を閉じ、冷凍運転中でなければ第一ファン9aも停止する(ステップS105~S107)。
【0063】
冷蔵運転により冷蔵室2が冷却され、冷蔵室温度センサ42により検知される冷蔵室温度TがTRoffまで低下し(ステップS7;時刻t2)、冷凍運転実施条件を満足すると(ステップS8がYes)、冷蔵運転から冷凍プレ運転(ステップS9)に切り替えられる。なお、圧縮機24の停止中(ステップS2)においても冷凍運転実施条件を満足すると(ステップS8がYes)、冷凍プレ運転を開始する。また、冷凍運転実施条件を満足しない場合(ステップS8がNo)、圧縮機24は停止する(ステップS17)。
【0064】
冷凍プレ運転では、圧縮機24が駆動(低速→高速)している状態で三方弁52を流出口52a側にし、第一蒸発器14aに冷媒を流す。冷蔵運転や、圧縮機24の停止(ステップS2)、およびFオフサイクル運転によって温度上昇した第一蒸発器14aを冷却する。この間、冷凍室ダンパ101を閉にして冷凍室7への送風を抑制する。なお、冷凍室ダンパ101の状態によらず、第一ファン9aを停止しておくことで冷凍室7への送風を抑制してもよい。このように、冷凍室7よりも高温の空気が冷凍室7に送風されることを抑制しながら第一蒸発器14aに冷媒を流すことで、Fオフサイクル運転(t~t)によって第一蒸発器14aに蓄熱された熱を吸熱する。なお、第一ファン9aおよび野菜室ダンパ102は、前の状態を継続し、Fオフサイクル運転中に冷凍プレ運転が開始されると第一ファン9aを駆動(継続)、野菜室ダンパ102を開(維持)として、野菜室6の冷却を継続する。
【0065】
この冷凍プレ運転を2分行い(ステップS10;時刻t~t)、第一蒸発器14aを低温にした後、冷凍運転(ステップS11)を開始する。冷凍運転(ステップS11)では、冷凍プレ運転の状態から冷凍室ダンパ101を開け、第一ファン9aを駆動(継続)する。また、圧縮機24の回転速度を冷蔵運転時よりも高速(L→H)にする。これにより、第一蒸発器14aを通過して低温になった空気が冷凍室7に送風され、冷凍室7が冷却される。野菜室6の冷却は、冷凍プレ運転時の状態を継続し、野菜室ダンパ102が開で冷却している場合は、冷凍運転後も野菜室ダンパ102を開とし、冷凍室7とともに冷却し、野菜室温度センサ43によって検出される野菜室温度TがTVoffに到達すると、野菜室ダンパ102を閉じる(ステップS106;時刻t)。なお、冷凍室7と野菜室6を同時に冷却する区間は、野菜室6からの空気の熱で第一蒸発器14aの温度が過度に上がって冷凍室7が冷却できなくならないよう、圧縮機24の回転速度を高速(H)にして第一蒸発器14aの温度を下げる。また、野菜室6の冷却を終了すると、圧縮機24の回転速度を冷蔵運転よりも高く、かつ、冷却効率を高めるため野菜室6の冷却中よりも低速な中速(M)にする(ステップS12,S13)。
【0066】
冷凍運転により冷凍室7が冷却され、冷凍室温度センサ41により検知される冷凍室温度TがTFoffまで低下して冷凍運転終了条件を満足すると(ステップS14がYes;時刻t)、冷凍運転から冷媒回収運転(ステップS15)に切換える。冷媒回収運転(時刻t~t)では、三方弁52を全閉状態で圧縮機24を駆動(継続)させ、第一蒸発器14a内の冷媒を回収する。これにより、第一蒸発器14aの冷媒は、圧縮機24の下流側と三方弁52の上流側との間(冷蔵運転と冷凍運転の共通の冷媒流路)に集まる。すなわち、冷蔵運転で使用される冷媒流路中に冷媒を移し、次の冷蔵運転(時刻t~)での冷媒不足を抑制する。なお、冷蔵運転前の冷媒回収中(時刻t~t)は、冷凍室ダンパ101を開けた状態で第一ファン9aを駆動させる。第一蒸発器14a内の残留冷媒を冷凍室7の冷却に活用し、また、第一蒸発器14a内の冷媒が蒸発して圧縮機24へ到達しやすくなり、比較的短い時間で多くの冷媒を回収できるようにしている。この冷媒回収運転を、例えば2分行う(ステップS16;時刻t~t)と冷凍運転を終了する(ステップS1)。その後は、前述の時刻tと同様、冷蔵運転実施判定(ステップS3~S5)と野菜室冷却(ステップS100~S107)に戻る。
【0067】
ここで、本実施形態の冷蔵庫1では、冷蔵運転終了後、第二ファン9bを駆動させ(ステップS201)、冷蔵室2の冷却と第二蒸発器14bの除霜を兼ねるRオフサイクル運転を行う。Rオフサイクル運転は、第二蒸発器14bに冷媒を流さない運転(冷凍運転や圧縮機24の停止、冷媒回収)中に第二ファン9bを駆動させ、冷蔵室2と第二蒸発器14bとの間で空気を循環させることで、冷蔵室2を冷却しつつ、冷蔵温度(0℃超)の冷蔵室2からの空気で第二蒸発器14bに付着した霜を解かす運転である。この運転は、第二蒸発器温度センサ40bによって検知される第二蒸発器温度TDRがTDRoff以上になる(ステップS202;時刻t)と、冷蔵室2の冷却が行えず、また第二蒸発器14bの除霜も完了したと判断して、第二ファン9bを停止し、Rオフサイクル運転を終了する(ステップS203)。
【0068】
次に、本実施形態の冷蔵庫1により実現しているRオフサイクル運転と、Fオフサイクル運転が奏する効果について以下で説明する。
まず、Fオフサイクル運転について説明する。第一蒸発器14aに冷媒を流していない状態で野菜室6を冷却するFオフサイクル運転に対し、冷凍運転中に行う野菜室6の冷却を冷媒循環冷却(t~t)として説明する。Fオフサイクル運転は、第一蒸発器14aに冷媒が流れていない冷蔵運転または圧縮機24の停止中に、冷凍室ダンパ101を閉、野菜室ダンパ102を開として、第一ファン9aを駆動させる運転である(ステップS1およびS103)。第一蒸発器14aに冷媒が流れていない状態であるが、図6の時刻t~tに示すように、その前の冷凍運転中に第一蒸発器14aは低温になっているため、第一ファン9aを駆動させ、野菜室ダンパ102を開け、野菜室6と第一蒸発器14aとの間で空気を循環させると、野菜室6と第一蒸発器14aとの間で熱交換が行われ、野菜室6は冷却される。第一蒸発器14aは、野菜室6との熱交換により温度上昇(蓄熱)するが、その後の冷凍プレ運転において第一蒸発器14aに冷媒が流れ、この際に第一蒸発器14aに蓄えられた熱は回収される。このFオフサイクル運転中、冷凍室7に空気を循環させると、野菜室6の熱が冷凍室7にも流れてしまい、冷凍室7内の食品の温度上昇や冷凍室7の霜付き(第二切替室6Aの水分によって)を起こしてしまうため、本実施形態では、冷凍室ダンパ101を設け、冷凍室ダンパ101を閉塞することで実現している。
【0069】
一方、冷媒循環冷却は、第一蒸発器14aに冷媒を流して低温にしている冷凍運転中に野菜室ダンパ102を開けて行われる(時刻t~t)もので、第一ファン9aによって第一蒸発器14a周囲の低温空気を冷凍室7と野菜室6に送風して野菜室6を冷却する。野菜室6を冷媒循環冷却のみで冷却する場合と、冷凍室ダンパ101を設けて実現したFオフサイクル運転を併用する場合とを比較すると、第一蒸発器14aを介して冷媒が吸熱する熱量は変わらないが、Fオフサイクル運転を併用する本制御により冷却効率を高めることができ、省エネルギー性能を向上させることができる。この理由を以下で説明する。
【0070】
冷凍サイクルでは、基本的に冷媒の蒸発温度が高いほど冷却効率が高く、また同じ圧縮機24の回転速度でも冷却量が多くなる。第一蒸発器14aに冷媒を流している冷媒循環冷却において冷凍室7と同時に冷却する場合、野菜室6とともに冷凍室7を冷却するために、冷凍室7よりも第一蒸発器14aを低温にする必要があり、冷媒を比較的低温な状態で野菜室6を冷却することになる。一方、本実施形態のようにFオフサイクル運転で野菜室6の熱を第一蒸発器14aに移動してから冷凍運転(冷凍プレ運転含む)を行うと、この熱を吸熱する冷凍運転開始直後は第一蒸発器14aの温度が高く、第一蒸発器14a内の冷媒の蒸発温度も高い。すなわち、Fオフサイクル運転中に吸熱した野菜室6の熱は、冷却効率が高い状態で冷媒に吸熱することができる。また、前述のように野菜室6を冷却している際にも冷凍室7よりも第一蒸発器14aを低温にするために圧縮機24の回転速度を上げることも考えられるが、冷蔵運転中に予め野菜室6を冷却しておくことで、この圧縮機24の回転速度の高い時間も抑えられる。よって、冷蔵運転中(または圧縮機24の停止中)の冷凍室ダンパ101を閉じた状態で、第一ファン9aを駆動させ、野菜室ダンパ102を開けて行うFオフサイクル運転を実施することで、省エネルギー性能を高めることができる。
【0071】
加えて、Fオフサイクル運転を行うことで、野菜室6の保鮮性能も高められる。基本的に第一蒸発器14aが低温であるほど、循環空気は第一蒸発器14aに着霜しやすく、除湿されやすい。Fオフサイクル運転を行うことで第一蒸発器14aの温度が上昇することから、野菜室6の冷却中(Fオフサイクル運転、冷凍プレ運転、冷凍運転何れも含む)における第一蒸発器14aの第一蒸発器温度TDFが比較的高くなり、野菜室6の冷却中の第一蒸発器14aでの除湿が抑えられる。したがって、野菜室6を比較的高湿に保つことができ、野菜室6に貯蔵した野菜等の食品の保鮮性能を高める効果も得られる。
【0072】
なお、第一蒸発器14aの霜が多いほど、このFオフサイクル運転の効果は大きくなってくる。Fオフサイクル運転による冷却効率向上効果は第一蒸発器14aへの蓄熱を利用したものであるため、第一蒸発器14aに着霜が生じると、第一蒸発器14aに付着した霜の熱容量も前述の蓄熱に用いることができるため、前述のFオフサイクル運転の効果をさらに高めることができる。
【0073】
また、着霜による第一蒸発器14aの熱交換性能低下の影響も抑制できる。Fオフサイクル運転を行うと、野菜室6の0℃超の空気が第一蒸発器14aに流れ、第一蒸発器14aに付着した霜の一部が溶解し、霜内部(空気層)にこの解けた水が浸透する(水が隙間を満たしていく)。次の冷凍運転でこの水は氷るが、霜が氷に近い状態になっていくことで、第一蒸発器14aの熱交換性能が向上する。基本的に霜は空気層があるために熱抵抗となりやすく、すなわち霜によって第一蒸発器14aと周囲空気との熱交換性能が低下するが、内部の空気の少ない氷にすることで、霜の状態よりも熱抵抗が抑えられ、第一蒸発器14aの熱交換性能が向上する。加えて、霜よりも氷の方が密度が高い(体積が小さい)ことから、同じ質量(水分量)で考えると、第一蒸発器14aのフィン間の風路が閉塞され難くなり、霜によって生じる第一蒸発器14aの通風抵抗増加による風量低下を抑制することができる。
【0074】
以上のように、霜が付着することでFオフサイクル運転による冷却効率向上効果が高められ、さらに霜により生じる第一蒸発器14aの熱交換性能低下の影響も抑制できる。これにより、Fオフサイクル運転を行わない場合よりも霜による冷却効率低下が抑えられ、第一蒸発器14aの除霜回数を低減でき、すなわち除霜によって生じる省エネルギー性能低下も抑制することができる。
【0075】
ここで、本実施形態の冷蔵庫1は、2つの蒸発器(第二蒸発器14bと第一蒸発器14a)を設け、冷媒を流す蒸発器を切り替えて冷却する(冷蔵運転と冷凍運転を行う)冷蔵庫である。このため、従来の1つの蒸発器で全ての貯蔵室を冷却しつつ、蒸発器に冷媒を流さない状態で冷却するオフサイクル運転を行っていたことで生じる課題も抑制する。
【0076】
ところで、1つの蒸発器で冷蔵室2、冷凍室7、野菜室6を冷却する冷蔵庫において、蒸発器に冷媒を流さないオフサイクル運転を行うためには、圧縮機24を停止する時間を設ける必要がある。この間は冷媒で吸熱が行えないため、短い圧縮機24の駆動時間で冷蔵室2、冷凍室7、野菜室6の熱を吸熱する必要がある。よって、圧縮機24の駆動時間を長くしている場合(圧縮機24が駆動している時間の割合を多くしている場合)に比べ、短い時間で吸熱するため、圧縮機24の回転速度を高めて蒸発温度を低下させる必要があり、この蒸発温度低下による冷却効率低下が生じる。この冷却効率低下によって、前述のオフサイクル運転の冷却効率向上効果が低減し、十分に冷却効率向上の効果を得ることができなかった。
【0077】
一方、本実施形態の冷蔵庫1では、Fオフサイクル運転によって野菜室6を冷却しても、冷蔵運転として第二蒸発器14bに冷媒を流し、冷蔵室2の冷却に用いることができ、冷凍サイクルにより吸熱する時間として活用することができる。すなわち、Fオフサイクル運転も冷媒による冷蔵庫1内の吸熱が行われるため、圧縮機24を停止させるための圧縮機24の高速化が必要なくなり、Fオフサイクル運転による冷却効率向上効果を十分に得ることができる。加えて、冷蔵運転では、第二蒸発器14bによって冷蔵温度帯の貯蔵室のみを冷却する運転であるため、冷凍室7よりも高い蒸発温度で冷却できる。このため、冷蔵室2の冷却効率も、1つの蒸発器で冷蔵室2、冷凍室7、野菜室6を冷却する冷蔵庫に比べて高くできる。
【0078】
以上のように、本実施形態の冷蔵庫1は、交互に冷媒を流すことができる2つの蒸発器(第二蒸発器14bと第一蒸発器14a)を設け、一方の蒸発器(第一蒸発器14a)が冷凍温度帯(冷凍室7)と冷蔵温度帯(野菜室6)の貯蔵室を冷却し、この蒸発器で冷却する全ての貯蔵室(冷凍室7および野菜室6)に送風制御手段(冷凍室ダンパ101、野菜室ダンパ102)を設ける。これにより、圧縮機24を止めることなくオフサイクル運転(Fオフサイクル運転)を行うことができ、オフサイクル運転による冷却効率向上効果が十分に得られ、すなわち省エネルギー性能の高い冷蔵庫1を得ることができる。
【0079】
加えて、他方の蒸発器(第二蒸発器14b)が冷蔵温度帯の貯蔵室(冷蔵室2)のみを冷却するように構成することで、冷媒を流している場合も、冷凍温度帯の貯蔵室(冷凍室7)よりも高い蒸発温度でこの冷蔵温度帯の貯蔵室(冷蔵室2)を冷却することができ、さらに冷却効率を高めることができる(時刻t~tの第二蒸発器温度TDRと、時刻t~tの第一蒸発器温度TDF参照)。
【0080】
さらに、本実施形態の冷蔵庫1では、Rオフサイクル運転も行い、冷蔵室2に対してもオフサイクル運転による省エネルギー性能向上効果も得ている。冷媒回収運転および冷凍運転中は、第二蒸発器14bに冷媒を流せないが、第二蒸発器14b自体および第二蒸発器14bに付着した霜により冷却することで、冷蔵室2を冷却することができる。特に第二蒸発器14bに付着した霜が0℃以下の場合、霜の融解熱を利用して冷蔵室2を冷却することができ、冷蔵室2を低温に維持する(温度上昇を抑制する)ことができる。冷蔵室2の温度上昇が抑制されることで冷凍運転を比較的長時間かけて実施することができるので、冷凍運転中の圧縮機24の回転速度を比較的低速にでき、省エネルギー性能を向上させることができる。
【0081】
加えて、Rオフサイクル運転を行うことで、第二蒸発器14bおよびその周辺の加熱を行うことができ、以下の効果も得られる。すなわち、冷凍プレ運転、冷凍運転中および冷媒回収運転中は、第二蒸発器14bに冷媒が流れないようにしているため、冷蔵室2の空気が第二蒸発器14bを通過すると、第二蒸発器14bよりも温度の高い冷蔵室2との熱交換により第二蒸発器14bおよび第二蒸発器14bに付着した霜は加熱される。これにより、ヒータを用いることなく第二蒸発器14bに付着した霜を融解することができ、霜を排出し、または霜を一度融解し氷にして密度と熱伝導率を上げ、霜による第二蒸発器14bの通風抵抗増加および伝熱効率低下を抑制することができる。すなわち、冷却効率を上げ、省エネルギー性能を高めることができる。また、冷却運転中に霜の一部または全部を排出しておくことで、後述するR除霜(図7B参照)の時間を短縮する効果も得られる。
【0082】
以上のように、本実施形態の冷蔵庫1は、交互に冷媒を流すことができる第一蒸発器14aと第二蒸発器14bの2つの蒸発器が設けられている。これにより、冷凍温度帯の貯蔵室(冷凍室7)と冷蔵温度帯の貯蔵室(野菜室6)を冷却する第一蒸発器14aでは、Fオフサイクル運転により冷蔵温度帯の貯蔵室(野菜室6)を効率よく冷却している。また、冷蔵温度帯の貯蔵室(冷蔵室2)のみを冷却する第二蒸発器14bでは、Rオフサイクル運転により冷蔵温度帯の貯蔵室(冷蔵室2)を効率よく冷却している。すなわち、いずれの蒸発器で冷却する冷蔵温度帯の貯蔵室も、オフサイクル運転を利用した効率のよい冷却を行うことができる。加えて、冷蔵温度帯の貯蔵室(冷蔵室2)のみを冷却する第二蒸発器14bは、Rオフサイクル運転により第二蒸発器14bの除霜も行うことができ、除霜運転による消費電力量についても低減でき、省エネルギー性能の高い冷蔵庫を得ることができる。
【0083】
また、本実施形態の冷蔵庫1は、上記の効果を、確実に得るため、またさらに高めるため、以下のような構成、制御も行っている。
本実施形態の冷蔵庫1では、冷凍室7と第一蒸発器室8aとを仕切る部材(背面仕切部材)として、冷凍室7側の壁面を構成する仕切り部材20aにはポリプロピレン(樹脂部材)を用い、第一蒸発器室8a側を構成する仕切り部材20bには仕切り部材20aよりも単位体積当たりの熱容量が小さいポリスチレンフォーム(発泡部材)を用いている。ポリプロピレンは、密度が約910kg/m、比熱が約1.7kJ/(kg・K)で、単位体積当たりの熱容量(比熱と密度の積)は約1500kJ/(m・K)である。ポリスチレンフォームは、密度が約40kg/m、比熱が約1.8kJ/(kg・K)で、単位体積当たりの熱容量は約70kJ/(m・K)である。このように、発泡成形したポリスチレンフォーム(仕切り部材20b)は、ポリプロピレン(仕切り部材20a)に比べて密度が低く、単位体積当たりの熱容量が小さい。単位体積当たりの熱容量が小さいと、少ない熱量で温度が変化することから、周囲の温度への追従性が高い。
【0084】
ここで、Fオフサイクル運転中は、第一蒸発器室8aは野菜室6からの戻り空気が流れるので温度が高くなり、冷凍運転中は、第一蒸発器14aによって第一蒸発器室8aの温度は低くなる。すなわち、Fオフサイクル運転を行うことで第一蒸発器室8aの温度変動が大きくなる。この温度変動により、第一蒸発器室8aと仕切り部材20bの第一蒸発器室8a側の壁面とで温度差が生じ、第一蒸発器室8aと仕切り部材20b間で熱交換が生じる。具体的には、Fオフサイクル運転中は、第一蒸発器室8aの温度が高くなるが、仕切り部材20bはその前の冷凍運転において低温になっているため、第一蒸発器室8aから仕切り部材20bに熱が移動し、冷凍運転中は第一蒸発器14aによって第一蒸発器室8aが低温になり、それによって仕切り部材20bも吸熱されていく。Fオフサイクル運転中に仕切り部材20bに熱が移動すると、その分、第一蒸発器14aの温度が上がりにくくなるので、前述のFオフサイクル運転中の第一蒸発器14aの温度上昇による効果が減少する。
【0085】
これに対して、仕切り部材20bを低熱容量の部材を用いることで、第一蒸発器室8aの温度への追従性を上げることができる。これにより、Fオフサイクル運転中の第一蒸発器室8aと仕切り部材20bの第一蒸発器室8a側の壁面の温度差が小さくなり、温度差に起因する第一蒸発器室8aと仕切り部材20b間の熱交換を抑えることができる。すなわち、前述のFオフサイクル運転中の第一蒸発器14aの温度上昇による効果をより高めることができる。
【0086】
また、本実施形態の冷蔵庫1では、Fオフサイクル運転は冷凍運転終了後、所定時間経過してから実施するようにしている(ステップS101,S102)。前述の通り、第一蒸発器14aが低温であるほど、第一蒸発器14aで除湿されやすいことから、第一蒸発器14aが最も低温な状態の冷凍運転終了直後を避けることで、第一蒸発器14aでの除湿をより抑えて保鮮性能を高めている。なお、第一蒸発器14aが低温の状態での野菜室6への送風を抑えることが目的であることから、冷凍運転終了後からの経過時間でなく、第一蒸発器温度センサ40aによって第一蒸発器14aの温度TDFが所定温度以上になったことを検知してからFオフサイクル運転を開始するようにしてもよい。
【0087】
また本実施形態の冷蔵庫1の構成は、除霜時の消費電力量低減にも有効である。なお、F除霜運転(F第一除霜、F第二除霜)とは、冷凍温度の貯蔵室も冷却する、第一蒸発器14aの除霜を行う運転である。また、本実施形態では、このF除霜運転中に、第二蒸発器14bの除霜運転であるR除霜運転も行う。
【0088】
図7Aおよび図7Bは、第1実施形態に係る冷蔵庫の除霜運転制御を示すフローチャートである。
図7Aに示すように、本実施形態の冷蔵庫1は、図5A~5Cおよび図6で説明した冷却運転(ステップS21)中に、制御装置(制御基板31)によって除霜運転開始条件を満たすか否かが判定される(ステップS22)。なお、除霜運転開始条件とは、例えば、ドア2a、2b、3a、4a、5a、6aの開閉回数、および圧縮機24の合計駆動時間等から判断する。制御装置は、除霜運転開始条件を満たしていないと判定した場合には(S22、No)、ステップS21の処理に戻り、除霜運転開始条件を満たしているとは判定した場合には(S22、Yes)、ステップS23に進む。
【0089】
ステップS23において、制御装置は、プリクール運転を開始する。プリクール運転では、冷凍運転およびRオフサイクル運転を実施する。冷凍運転およびRオフサイクル運転は、図5および図6において説明した運転と同様である。
【0090】
ステップS24において、制御装置は、プリクール運転が終了したか否かを判定する。プリクール運転の終了判定は、例えば、所定時間が経過することによって行うことができる。制御装置は、プリクール運転が終了していないと判定した場合には(S24、No)、ステップS24の処理を繰り返し、プリクール運転が終了したと判定した場合には(S24、Yes)、ステップS25に進む。
【0091】
ステップS25において、制御装置は、三方弁52を全閉にし、かつ、圧縮機24をOFF(停止)し、かつ、除霜ヒータ21をONにして、F第一除霜に移行する。
【0092】
ステップS26において、制御装置は、冷凍室ダンパ101を閉じ、かつ、野菜室ダンパ102を開き、かつ、第一ファン9aをONにする。
【0093】
ステップS27において、制御装置は、野菜室温度センサ43によって検知される野菜室6の温度Tが所定温度TVHoff以下であるか否か、または第一蒸発器温度センサ40aによって検知される第一蒸発器14aの温度TDFが所定温度TDFoff2以上であるか否かを判定する。なお、所定温度TVHoffは、事前の試験によって決定され、例えば6℃に設定される。制御装置は、温度Tが所定温度TVHoff以下ではないと判定した場合(S27、No)、または温度TDFが所定温度TDFoff2以上ではないと判定した場合(S27、No)、ステップS27の処理を繰り返す。また、制御装置は、温度Tが所定温度TVHoff以下であると判定した場合(S27、Yes)、または温度TDFが所定温度TDFoff2以上であると判定した場合(S27、Yes)、ステップS28のF第二除霜に移行する。
【0094】
ステップS28において、制御装置は、冷凍室ダンパ101を開き、かつ、野菜室ダンパ102を閉じ、かつ、第一ファン9aをOFF(停止)する。
【0095】
ステップS29において、制御装置は、第一蒸発器14aの温度TDFが所定温度TDFoff以上であるか否かを判定する。なお、所定温度TDFoffは、事前の試験によって決定され、例えば10℃に設定される。制御装置は、温度TDFが所定温度TDFoff以上でないと判定した場合には(S29、No)、ステップS29の処理を繰り返し、温度TDFが所定温度TDFoff以上であると判定した場合には(S29、Yes)、ステップS30に進む。
【0096】
ステップS30において、制御装置は、除霜ヒータ21をOFF(停止)する。
【0097】
ステップS31において、制御装置は、除霜によって融解した水を排水する。
【0098】
また、F第一除霜に並行して、図7Bに示すR除霜を実施する。すなわち、図7Bに示すように、ステップS211において、制御装置は、第二ファン9bをON(通電)する。
【0099】
ステップS212において、制御装置は、第二蒸発器温度センサ40bによって検知される第二蒸発器14bの温度TDRが、所定温度TDRoff以上であるか否かを判定する。なお、所定温度TDRoffは、事前の試験によって決定され、例えば3℃に設定される。制御装置は、温度TDRが所定温度TDRoff以上でないと判定した場合には(S212、No)、ステップS212の処理を繰り返し、温度TDRが所定温度TDRoff以上であると判定した場合には(S212、Yes)、ステップS213に進む。
【0100】
ステップS213において、制御装置は、タイマ(Δtda)をスタートする。
【0101】
ステップS214において、制御装置は、経過時間Δtdaが第4所定時間以上であるか否かを判定する。なお、第4所定時間(Δtda1)は、事前の試験によって決定され、例えば30分に設定される。制御装置は、経過時間Δtdaが第4所定時間以上であると判定した場合には(S214、Yes)、ステップS215に進み、経過時間Δtdaが第4所定時間以上ではない場合には(S214、No)、ステップS214の処理を繰り返す。
【0102】
ステップS215において、制御装置は、第二ファン9bをOFF(停止)して、処理を終了する。
【0103】
図8は、第1実施形態に係る冷蔵庫の除霜運転制御を示すタイムチャートである。
図8に示すように、除霜運転開始条件を満足する(時刻td0)と、本実施形態の冷蔵庫1では、冷凍運転およびRオフサイクル運転を行うプリクール運転に移行する(ステップS23)。除霜運転開始前に冷凍運転(F運転)を行うことで、F除霜運転中の冷凍室7の温度上昇による冷凍食品や氷等の融解を抑制することができる。また、除霜運転開始前にRオフサイクル運転(第二ファン9bをON)を行うことで、第二蒸発器14bおよび第二蒸発器14bに付着した霜を加熱し、後述するR除霜運転が短時間で終わるようにしている。
【0104】
なお、このときの冷凍運転中は、野菜室ダンパ102を閉じておくとよい。これにより、野菜室6の温度が比較的高い状態で後述のF除霜を開始でき、野菜室6の熱を用いた第一蒸発器14aの加熱を促進することができる。
【0105】
このプリクール運転を所定時間、例えば30分間行うなど(時刻td0~td1)によって、プリクール運転終了条件を満たすと(ステップS24)、三方弁52を全閉、圧縮機24をOFF、除霜ヒータ21をONにして、F第一除霜運転を開始する(ステップS25)。加えて、本実施形態の冷蔵庫1では、冷凍室ダンパ101を閉にして冷凍室7の温度上昇を抑えながら、野菜室ダンパ102を開、第一ファン9aをON(継続)にして(ステップS26)、野菜室6と第一蒸発器室8a間で空気を循環させ、野菜室6と第一蒸発器14aとで熱交換を行う。このような除霜をF第一除霜と呼ぶ。このF第一除霜では、除霜ヒータ21の熱とともに、第一蒸発器14aよりも高温の野菜室6からの空気により第一蒸発器14aを加熱し、第一蒸発器14aの除霜を行う。
【0106】
その後、野菜室6の温度TがTVHoff以下になる(ステップS27がYes;時刻td2)と、野菜室6の冷え過ぎを抑制するため、野菜室ダンパ102を閉、第一ファン9aをOFF、冷凍室ダンパ101を開とし、除霜ヒータ21のみで第一蒸発器14aを加熱するF第二除霜に移行する(ステップS28)。F第二除霜では、第一ファン9aをOFFにするが、時刻td2以降も除霜ヒータ21の周囲の高温空気が第一蒸発器14aへと上昇気流で流れていくよう、冷凍室ダンパ101を開にすることで、冷凍室7を介して第一蒸発器室8aの空気が循環できるようにしている。なお、第一蒸発器室8aからの空気が野菜室6を加熱しないよう、第一蒸発器14aの温度TDFが所定温度よりも高くなった場合にも、F第二除霜に移行する(ステップS27参照)。
【0107】
そして、第一蒸発器温度センサ40aによって検知される第一蒸発器14aの温度TDFが氷の融解温度(約0℃)よりも十分に高いTDFoff(例えば10℃)になると、第一蒸発器14aの霜は融けたとし、F除霜運転(F第二除霜運転)を終了する(ステップS29,S30;時刻td3)。F除霜運転終了後は、排水時間として例えば3分停止(ステップS31;時刻td4)した後、冷凍運転(ステップS32)を開始する。
【0108】
電気ヒータである除霜ヒータ21による加熱は、その熱量分、ヒータに通電し電力を消費する(例えば約150W)ため、一般的に消費電力量が多くなる。一方、野菜室6の空気との熱交換による加熱は、第一ファン9aの駆動力のみ(約3W)で加熱することができ、加えてこの野菜室6の空気との熱交換により野菜室6は冷却されるため、野菜室6と第一蒸発器室8a間で空気を循環させる本方法を組み合わせることで、電気ヒータのみで行う場合に比べて、除霜運転の消費電力量を低減でき、すなわち省エネルギー性能を高めることができる。
【0109】
なお、図7および図8の説明では、野菜室6の温度を検知してF第一除霜からF第二除霜に移行しているが、例えば外気が低く、予め野菜室6の温度が低温になりやすい外気温度センサ37から検知する外気低温時には、予めF第一除霜を省略、或いは短時間にしてF第二除霜を開始するようにしてもよい。これにより、野菜室6の食品温度が低温になることをより防ぎやすくなる。
【0110】
次に、R除霜運転について説明する。R除霜運転では、電気ヒータは用いず、第二ファン9bを駆動させ、冷蔵室2と第二蒸発器室8bの間で空気を循環させることで、冷蔵室2と第二蒸発器14bとの間で熱交換し、冷蔵室2の空気の熱により第二蒸発器14bの霜を融かす。これにより、第二ファン9bに与える少ない消費電力で第二蒸発器14bの除霜を行うことができ、加えて冷蔵室2を冷却することができ、省エネルギー性能の高い除霜方式となる。
【0111】
R除霜を開始する場合には、まず第二ファン9bを駆動させる(ステップS211;時刻td1)。第二蒸発器温度センサ40bで検知する第二蒸発器14bの温度TDRが0℃以上(例えば3℃)のTDRoff以上になる(ステップS212でYes;時刻td5)と、タイマΔtdaをスタートする(ステップS213)。そして、所定時間Δtda1(例えば20分)が経過する(ステップS214でYes)と第二ファン9bを停止して、R除霜を終了する(ステップS215;時刻td6)。
【0112】
このR除霜運転では、第二蒸発器14bの温度TDRが0℃以上の状態で、さらに第4所定時間Δtda1動かすことで、確実に第二蒸発器14bの霜の融解・排出が行えるようにしている。もし、着霜部をバイパスした空気により、まだ霜が残っている状況で第二蒸発器温度センサ40bが温度上昇してしまっても、0℃以上の空気が、少なくともΔtda1以上、第二蒸発器14bおよびその周囲を流れるため、残霜が抑えられ、確実に第二蒸発器14bの除霜を行うことができる。
【0113】
加えて、第二蒸発器14bよりも下流側にある第二ファン9bや冷蔵室ダクト11等にも0℃以上の空気を少なくともΔtda1以上送風できるため、これらの箇所に着霜が生じていた場合にもその霜を融解することができる。特に、第二ファン9bに霜成長が生じると第二ファン9bが運転できず冷却制御に大きな影響を及ぼすため、第二蒸発器14bよりも下流側に第二ファン9bを設けている本構成では、第二蒸発器14bの温度が0℃以上のTDRoff以上になった後も所定時間駆動させ、第二ファン9bの霜成長を抑制することが有効である。
【0114】
これらの構成、制御により本実施形態の冷蔵庫1は、除霜運転の省エネルギー性能も高い冷蔵庫となっている。本実施形態の構成は、2つの蒸発器を備えているため、第一蒸発器14aに加え、第二蒸発器14bの除霜運転も必要となるが、前述のように第二蒸発器14bの除霜運転(R除霜)は省エネルギー性能が高く、消費電力量への影響は小さい。一方、1つの蒸発器で全ての貯蔵室を冷却する冷蔵庫に比べて、冷蔵室2からの着霜がなくなることで第一蒸発器14aの着霜が抑えられ、第一蒸発器14aの除霜運転の頻度を減らすことや、第一蒸発器14aの除霜運転の時間を短くすることができる。また、前述したように第一蒸発器14aの除霜には野菜室6の空気の熱も利用して省エネルギー性能を向上させている。加えて、F第一除霜により野菜室6を冷却し、R除霜により冷蔵室2を冷却しているため、除霜運転終了後は冷凍室7の冷却に集中することができ、除霜運転終了後の圧縮機24の回転速度も比較的低速にでき、省エネルギー性能を高めることができる。したがって、本実施形態のように構成することで、1つの蒸発器で冷蔵室2、冷凍室7、野菜室6を冷却する冷蔵庫に比べ、除霜運転の省エネルギー性能も高くしている。
【0115】
また、F第一除霜を行うことで、第一蒸発器14a以外の除霜効率も向上させることができる。例えば、第一ファン9aは、第一蒸発器14a等に比べて除霜ヒータ21からの距離が長く、自然対流では十分に除霜ヒータ21の熱が到達し難いが、強制対流となるF第一除霜を行うことで第一ファン9a周辺にも熱が到達しやすくなる。すなわち、除霜ヒータ21から比較的離れている第一ファン9a等に霜が付着した場合にも、それらの霜を効率的に融解させることができる。
【0116】
以上説明したように、第1実施形態の冷蔵庫1は、圧縮機24、庫外放熱器50a、壁面放熱配管50b、結露防止配管50c、三方弁52、冷凍用キャピラリチューブ53a、第一蒸発器14aの順に冷媒が流れる第一冷媒流路R1を備える。また、冷蔵庫1は、圧縮機24、庫外放熱器50a、壁面放熱配管50b、結露防止配管50c、三方弁52、冷蔵用キャピラリチューブ53b、第二蒸発器14bの順に冷媒が流れる第二冷媒流路R2を備える。また、冷蔵庫1は、第一蒸発器14aにより冷却された空気を送風する第一ファン9aと、第一ファン9aにより空気が送風される冷凍室7および野菜室6と、を備える。また、冷蔵庫1は、第二蒸発器14bにより冷却された空気を送風する第二ファン9bと、第二ファン9bにより空気が送風される冷蔵室2と、を備える。また、冷蔵庫1は、第一ファン9aから冷凍室7への送風を抑制する(遮断する)冷凍室ダンパ101を備える。これによれば、圧縮機24を駆動させながらオフサイクル運転(Fオフサイクル運転)を行うことができ、冷却効率をさらに高めた冷蔵庫を実現できる。
【0117】
また、第1実施形態は、第一ファン9aから冷凍室7への送風を抑制しながら、第一ファン9aを駆動させて野菜室6に送風しつつ、第二冷媒流路R2に冷媒を流しながら第二ファン9bを駆動させて冷蔵室2を冷却する運転を実行する制御装置(制御基板31)を備える。これによれば、これまでは圧縮機を止めないとオフサイクル運転ができなかったが、圧縮機24を止めることなく、オフサイクル運転(Fオフサイクル運転)を行うことが可能になる。また、従来のように、圧縮機を止めるために早期に冷却する必要があったが、そのような制御が不要になる。
【0118】
また、第1実施形態は、第一蒸発器14aを加熱して霜を融解させる除霜ヒータ21を備える。制御装置は、第一ファン9aから冷凍室7への送風を抑制しながら、除霜ヒータ21に通電しつつ第一ファン9aを駆動させて野菜室6に送風する(図8のtd1~td2)。これによれば、除霜運転終了後の圧縮機24の回転速度を比較的低速にできるため、省エネルギ性能を高めることができる。また、一つの蒸発器で冷蔵室2、冷凍室7、野菜室6を冷却する冷蔵庫に比べて、除霜運転の省エネルギ性能を高くできる。
【0119】
また、第1実施形態は、野菜室6は、第一蒸発器14aの略前方に設けられ、野菜室6と第一蒸発器14aとの仕切る仕切り部材20bを設けた。仕切り部材20bは、発泡成形したポリスチレンフォーム(発泡スチロール)製である。これによれば、Fオフサイクル運転中の第一蒸発器室8aと仕切り部材20bの第一蒸発器室8a側の壁面の温度差が小さくなり、温度差に起因する第一蒸発器室8aと仕切り部材20b間の熱交換を抑えることができる。すなわち、Fオフサイクル運転中の第一蒸発器14aの温度上昇による効果をより高めることができる。
【0120】
(第2実施形態)
以下、第2実施形態の冷蔵庫について説明する。図9は、第2実施形態に係る冷蔵庫における断面図である。図10は、第2実施形態に係る冷蔵庫の風路構成を示す正面図である。図11は、第2実施形態に係る冷蔵庫における庫内背面図である。図12は、第2実施形態に係る冷蔵庫の風路構成を示す概略図である。第2実施形態の冷蔵庫1Aは、第1実施形態の下段冷凍室5と野菜室6に代えて、冷蔵温度帯と冷凍温度帯とに切り替えられる切替貯蔵室を備えている。なお、以下の説明において、第1実施形態と同様の構成については省略する。
【0121】
図9に示すように、冷蔵庫1Aの断熱箱体10は、上方から冷蔵室2、左右に併設された製氷室3と上段冷凍室4、第一切替室5A、第二切替室6Aの順番で貯蔵室を有している。製氷室3および上段冷凍室4と、第一切替室5Aとは、断熱仕切壁30aによって隔てられている。第一切替室5Aと第二切替室6Aとは、断熱仕切壁29aによって隔てられている。断熱仕切壁29a、30aの内部には、真空断熱材25が内挿され、比較的薄い断熱壁で高い断熱性能を確保している。
【0122】
また、設定によって第一切替室5Aと第二切替室6Aは比較的大きな冷凍貯蔵室になることから、第一切替室5Aのドア5aと第二切替室6Aのドア6a、及び断熱箱体10の下部にも断熱性能を高めるため真空断熱材25を内挿している。
【0123】
第一切替室5Aおよび第二切替室6Aは、庫内を冷凍温度帯もしくは冷蔵温度帯に設定可能な切替貯蔵室で、例えば、平均的に4℃程度にする冷蔵モードと、平均的に-20℃程度にする冷凍モードとに切り替えられる。第一切替室5Aおよび第二切替室6Aの温度を適正な範囲に制御するため、それぞれの貯蔵室内に第一切替室温度センサ44、第二切替室温度センサ45を備えている。本実施形態の冷蔵庫1Aでは、さらに冷蔵モードと冷凍モードの間の温度となる強冷蔵モードや弱冷凍モード、冷凍モードよりも低温にする強冷凍モード、また冷蔵温度帯で野菜を貯蔵するのに適した野菜モードといった、複数の運転モードを設けており、これらの運転モードは、操作部26によってユーザーが選択できる。なお、冷蔵庫1Aが無線通信回線によりスマートフォン等と接続される場合には、スマートフォン等を介してユーザーが切替貯蔵室の温度帯を設定できるようにしてもよい。
【0124】
第一蒸発器14aおよび第一蒸発器室8aは、第一切替室5A、第二切替室6Aの背部に備えている。第一蒸発器室8aと、第一切替室5Aおよび第二切替室6Aとの間は、仕切り部材20aと仕切り部材20bによって隔てられている。第一切替室5A側および第二切替室6A側の仕切り部材20aは、樹脂部材で構成されている。第一蒸発器室8a側の仕切り部材20bは、発泡断熱材である発泡ポリスチレンで構成されている。
【0125】
図10ないし図12に示すように、第2実施形態の冷蔵庫1Aでは、製氷室3、冷凍室4、第一切替室5A、第二切替室6Aが第一蒸発器14aで低温にした空気(冷気)によって冷却される。第一切替室5Aおよび第二切替室6Aへの冷気の送風は、送風制御部である冷凍室ダンパ200、第一切替室ダンパ201、第二切替室ダンパ202により制御する。なお、第2実施形態では、第一ファン9aの前方が、冷蔵温度帯にもなる貯蔵室のため、第一蒸発器室8a等との断熱が必要であり、風路が複雑になっていることから、静圧に強い遠心型ファンであるターボファンを用いている。また、第一切替室5Aおよび第二切替室6Aは低温の冷凍室としての使用も想定しているため、第一切替室5Aおよび第二切替室6Aへの冷気の送風を制御する第一切替室ダンパ201、第二切替室ダンパ202は、風量を比較的大きくする必要がある。このため、冷蔵温度帯の貯蔵室のみへの送風を想定しているダンパ(例えば第1実施形態の野菜室ダンパ102)よりも開口を大きくしている。
【0126】
製氷室3および上段冷凍室4を冷却する際は、冷凍室ダンパ200を開けた状態で、第一ファン9aを駆動させる。第一蒸発器14aにより低温になった第一蒸発器室8aの空気は、第一ファン9aにより昇圧され、冷凍室ダンパ200、冷凍室風路12、冷凍室吐出口12aを介して、製氷室3および上段冷凍室4に流れる。製氷室3および冷凍室4を冷却した空気は、冷凍室戻り口12bより冷凍室戻り風路12cを介して、第一蒸発器室8aに戻り、再び第一蒸発器14aにより冷却される。
【0127】
第一切替室5Aを冷却する際は、第一切替室ダンパ201を開ける。第一蒸発器14aで冷却された第一蒸発器室8aの空気は、第一ファン9a、第一切替室ダンパ201、風路111、そして第一切替室5Aの吐出口である第一切替室吐出口111a(図11参照)を介して、第一切替室5Aに送風される。第一切替室5Aに送風された冷気は、低温の冷凍室としての使用を考え、第一切替室容器5c(図9参照)内の食品を短時間で冷却できるよう、第一切替室容器5c内に向けて送風される。第一切替室5Aを冷却した空気は、第一切替室戻り口111b(図10図11参照)より冷凍室戻り風路12cを介して、第一蒸発器室8aに戻り、再び第一蒸発器14aにより冷却される。
【0128】
第二切替室6Aを冷却する際は、第二切替室ダンパ202を開ける。第一蒸発器14aで冷却された第一蒸発器室8aの空気は、第一ファン9a、第二切替室ダンパ202、風路112、そして第二切替室5Aの吐出口である第二切替室吐出口112a(図11参照)を介して、第二切替室6Aに送風される。第二切替室6Aに送風された冷気は、冷凍室としての使用を考え、第二切替室容器6c内の食品を短時間で冷却できるよう、第二切替室容器6c内に向けて送風される。第二切替室6Aを冷却した空気は、第二切替室戻り口112bより第一蒸発器室8aに戻り、再び第一蒸発器14aにより冷却される。
【0129】
次に、第2実施形態における制御について、第1実施形態と比較しながら説明する。
図13に示す表は、第1実施形態および第2実施形態の各モードにおける制御をまとめたものである。各運転は第1実施形態において図5から図8を用いて示したものと同様である。
【0130】
第1実施形態に対して第2実施形態は、冷蔵運転(R運転)、冷凍運転(F運転)、Fオフサイクル運転等の各運転の実施条件、方法は基本的に同様である。一方、第一切替室5A、第二切替室6Aのモード設定によって、ダンパの開閉条件が異なり、製氷室3、上段冷凍室4、および冷凍モードに設定した切替室への送風を制御するダンパは、第1実施形態の冷凍室ダンパ101と同様の開閉制御を行い、冷蔵モードに設定した切替室への送風を制御するダンパは、第1実施形態の野菜室ダンパ102と同様の開閉制御を行う。
【0131】
ここでは、第一切替室5Aを冷蔵モード、第二切替室6Aを冷凍モードにした場合を例に説明する。冷蔵室2の冷却は、第1実施形態と同様である。冷凍温度帯の製氷室3、上段冷凍室4および第二切替室6Aは、圧縮機24をON、三方弁52を52a側(図4参照)、第一ファン9aをONにし、冷凍室ダンパ200と第二切替室ダンパ202を開けて冷凍運転で冷却する。冷蔵温度帯の第一切替室5Aは、第1実施形態の野菜室6と同様、冷蔵運転の間、第一ファン9aをONにして第一切替室ダンパ201を開けたFオフサイクル運転で冷却する。その間に第一切替室5Aの温度を検知する第一蒸発器温度センサ40aが所定温度まで到達しない場合は冷凍運転でも継続して第一切替室ダンパ201を開けて冷却する。また、除霜運転中、第一ファン9aをON、第一切替室ダンパ201を開として、冷蔵温度帯の第一切替室5Aの冷却と、第一切替室5Aの空気の熱による第一蒸発器14aの加熱促進のため、第1実施形態と同様のF第一除霜運転を行う。なお、Fオフサイクル運転中およびF第一除霜運転中は、冷凍温度帯の製氷室3、上段冷凍室4、第二切替室6Aの温度上昇を抑制するため、冷凍室ダンパ200と第二切替室ダンパ202を閉にする。
【0132】
また、第一切替室5Aを冷凍モード、第二切替室6Aを冷蔵モードにした場合は、第一切替室ダンパ201と第二切替室ダンパ202の制御が、前述の第一切替室5Aを冷蔵モード、第二切替室6Aを冷凍モードにした場合と逆になる。
【0133】
また、第一切替室5Aと第二切替室6Aを冷蔵モードにした場合は、第二切替室ダンパ202も、前述の第一切替室5Aを冷蔵モード、第二切替室6Aを冷凍モードにした場合の第一切替室ダンパ201の開閉制御と同様の制御を行う。
【0134】
なお、第一切替室5Aと第二切替室6Aの両方が冷凍モードの場合は、第一蒸発器14aにより冷却する全ての貯蔵室(製氷室3、上段冷凍室4、第一切替室5A、第二切替室6A)が冷凍温度帯となることから、冷蔵温度帯の貯蔵室の冷却、および冷蔵温度帯の貯蔵室の熱を利用して第一蒸発器14aの除霜を行う、Fオフサイクル運転とF第一除霜運転は実施しないようにしている。
【0135】
また、F第二除霜運転中は、モードによらず第一切替室ダンパ201を開にする。これは、自然対流での空気流れの促進のため、最短経路で除霜ヒータ21から第一蒸発器14aへと空気が循環(除霜ヒータ21、第一蒸発器14a、第一ファン9a、第一切替室ダンパ201、第一切替室吐出口111a、第一切替室5A、第一切替室戻り口111b、除霜ヒータ21の順に循環)できるようにするためである。
【0136】
以上のように、切替室(第一切替室5Aおよび第二切替室6A)を備えた第2実施形態においても、第一切替室5Aと第二切替室6Aの両方が冷凍モードの場合を除いて、Fオフサイクル運転およびF第一除霜を実施することができ、すなわち第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0137】
ここで、第一切替室5Aおよび第二切替室6Aは、低温の冷凍室としての使用も想定しているため、直接低温冷気で食品を冷却するよう、各貯蔵室の容器(第一切替室容器5c、第二切替室容器6c)内に向けて吐出するよう第一切替室吐出口111a(図11参照)、第二切替室吐出口112a(図11参照)を構成している。一方、第一切替室5Aおよび第二切替室6Aが冷蔵モードの場合を考えると、第一切替室5Aおよび第二切替室6Aを冷却するために第一切替室ダンパ201および第二切替室ダンパ202を開けた際、第一切替室吐出口111a、第二切替室吐出口112aから第一蒸発器14aからの低温で低湿な空気が直接食品に到達しやすく、第一切替室吐出口111a、第二切替室吐出口112a近傍の食品は乾燥しやすい。特に、第一切替室5Aおよび第二切替室6Aに野菜の貯蔵を許容している場合は、この影響が大きい。これに対し、第2実施形態の冷蔵庫1Aは、Fオフサイクル運転を用いて冷蔵モードに設定した第一切替室5Aおよび第二切替室6Aを冷却することで、この影響を抑えている。第1実施形態で述べたように、冷凍運転で冷却する場合に比べ、Fオフサイクル運転によって冷却する方が第一蒸発器14aの温度が高く、第一蒸発器14aでの除湿が抑えられるため、第一蒸発器14aから貯蔵室に送風される空気が比較的高湿になる。すなわち、Fオフサイクル運転で冷蔵モードの第一切替室5Aおよび第二切替室6Aを冷却することで、吐出空気が直接食品に到達しても、食品の乾燥を比較的抑えることができる。
【0138】
以上のように、冷蔵温度帯に設定可能な貯蔵室において、吐出空気が直接食品容器内に送風される貯蔵室がある冷蔵庫では、特にこのFオフサイクルによる除湿抑制効果が鮮度性能向上に有効となる。
【0139】
また、第2実施形態のように切替室(第一切替室5A、第二切替室6A)を備えた冷蔵庫1Aでは、F第一除霜による除霜時の省エネルギー性能向上効果もより高くなる。切替室を備えた冷蔵庫1Aでは、冷蔵モードと冷凍モードの両方に対応するために風路が複雑になりやすく、自然対流のみでは、除霜ヒータ21の周囲の熱が第一蒸発器14aへと流れる対流が弱くなり、すなわち第一蒸発器14aの加熱が弱くなり、除霜時間が長くなりやすい。
【0140】
また、切替室(第一切替室5A、第二切替室6A)のモードによって、庫内の温度条件も大きく変わるため、自然対流の流れ方も変化する。これに対し、第一ファン9aをONにするF第一除霜を行うことで、常に除霜ヒータ21から第一蒸発器14aへ向かう安定した対流を生成することができる。したがって、F第一除霜を行うことで、第1実施形態と同様、冷蔵温度の空気の熱を利用して第一蒸発器14aを加熱できるとともに、第2実施形態では除霜ヒータ21から第一蒸発器14aへ向かう対流の安定化の効果も得られ、除霜時の省エネルギー性能向上により有効となっている。
【0141】
さらに、第2実施形態のような冷蔵庫1Aでは、第1実施形態において説明したF第一除霜による第一蒸発器14a以外の除霜の効率向上がより有効となる。また、第2実施形態の冷蔵庫1Aでは、第一ファン9aの略前面に第一切替室5Aを備え、第一ファン9aから第一切替室5Aへの送風を制御する第一切替室ダンパ201が比較的近く、第一切替室ダンパ201を閉じていても、第二切替室6Aを冷却する場合には第一切替室ダンパ201の周囲に第一蒸発器14aからの低温空気が流れる。ここで、第一切替室5Aが冷蔵モードの場合を考えると、第一蒸発器室8a側は低温のため第一切替室ダンパ201は低温になりやすく、第一切替室ダンパ201の貯蔵室側は冷蔵設定の比較的高温で高湿な空気が流れているため、第一切替室ダンパ201に着霜が生じやすい。一方、第一切替室ダンパ201は第一蒸発器14a等に比べて除霜ヒータ21からの距離が長く、自然対流では十分に除霜ヒータ21の熱が到達し難い。そのため、第一切替室ダンパ201には専用のヒータを用いることが一般的であるが、本実施形態のように、第一切替室ダンパ201を開けて第一ファン9aをONにするF第一除霜を行うことで第一切替室ダンパ201周辺に除霜ヒータ21の熱を到達させやすくなる。したがって、除霜ヒータ21の熱で第一切替室ダンパ201に付いた霜を効率的に融解させることができ、第一切替室ダンパ201専用のヒータを無くす、またはヒータの容量を落とすことができ、省エネルギー性能向上や低コスト化に有効となる。
【0142】
また、第2実施形態のように、第一蒸発器14aによって冷却する全ての貯蔵室(製氷室3、上段冷凍室4、第一切替室5A、第二切替室6A)に対し、第一蒸発器14aからの送風を抑制可能なダンパを備えることで、冷蔵モードに設定した切替室への冷気侵入による冷え過ぎの抑制にも有効である。ここで、第一切替室5Aが冷蔵モードで、冷凍温度帯の貯蔵室である製氷室3、上段冷凍室4への送風を制御する冷凍室ダンパ200を設けていない場合の冷蔵運転および圧縮機24の停止中について考える。第一蒸発器14aに冷媒を流していない状態で第一ファン9aを駆動させると、第一切替室ダンパ201を開けている場合、第一切替室5Aの空気が製氷室3、上段冷凍室4を循環して製氷室3、上段冷凍室4の温度が上昇する。また、第一切替室ダンパ201を閉じて冷凍温度帯の貯蔵室のみに空気が流れるようにしても、第一蒸発器14aに冷媒を流していないことからそれらの貯蔵室を有効に冷却できず第一ファン9aの消費電力量がロスとなるため、一般的に冷凍室ダンパ200を設けていない場合は第一ファン9aを駆動させない。逆に、第一ファン9aを停止させると、比較的低温な第一蒸発器14a周辺の空気が自然対流で下降し、冷凍室戻り風路12c(図10参照)、上段冷凍室4、製氷室3、第一ファン9aを介して第一蒸発器14aに戻るという対流が発生する。このとき、冷凍室戻り風路12cは、第一切替室戻り口111b(図11参照)を介して第一切替室5Aと接続されていることから、冷凍室戻り風路12cを流れる比較的低温な空気が第一切替室5Aに流入出し、冷蔵モードの第一切替室5Aを冷却する。これにより、例えば冷蔵庫1Aの周囲が低温の場合は、第一切替室5Aを過度に冷却してしまい、温度維持のためにヒータを用いて加熱し、消費電力量を増加させてしまうことが考えられる。一方、第2実施形態のように、第一蒸発器14aで冷却するすべての貯蔵室に対し、第一蒸発器14aからの送風を抑制可能なダンパを備え、これらのダンパ(冷凍室ダンパ200、第一切替室ダンパ201、第二切替室ダンパ202)をすべて閉じることで、貯蔵室を介した第一蒸発器14aの空気の循環流路がなくなる。よって、第一蒸発器14aから冷蔵温度帯の第一切替室5Aへの自然対流による冷気の流入出が抑制され、低温化にともなうヒータの通電を抑制することができ、省エネルギー性能を向上させることができる。
【0143】
また、第2実施形態の冷蔵庫1Aは、第一蒸発器14aおよび第一蒸発器室8aと、第一切替室5A、第二切替室6Aとの仕切り部材のうち、第一蒸発器室8a側の仕切り部材20b(図9参照)に熱容量が低く、かつ比較的断熱性能の高い発泡ポリスチレンを用いている。この仕切り部材20bは、第1実施形態と同様、低熱容量であることからFオフサイクル運転時の第一蒸発器14aおよび第一蒸発器室8aからの熱移動を抑えられる。加えて、第一蒸発器14aおよび第一蒸発器室8aの略前方に冷蔵温度帯に設定可能な貯蔵室(第一切替室5A、第二切替室6A)を備えている第2実施形態において、仕切り部材20bは、低温な第一蒸発器14aおよび第一蒸発器室8aから冷蔵温度帯の第一切替室5Aおよび第二切替室6A間の断熱部材としての役割を果たすことができ、冷蔵温度帯に設定した際の第一切替室5A、第二切替室6Aの過度な冷却の抑制や、第一切替室5A、第二切替室6A内の結露抑制にも有効である。
【0144】
なお、本発明は前記した第1実施形態および第2実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、前記した実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。例えば、複数の第一蒸発器冷却室として、冷凍室7と野菜室6を備えたものを例に挙げて説明したが、複数の野菜室を備えた構成であってもよい。また、一つ以上の第二蒸発器冷却室として、冷蔵室2を備えたものを例に挙げて説明したが、複数の冷蔵室を備えた構成であってもよい。また、第2実施形態では、第一切替室5Aと第二切替室6Aの複数の切替室を備えた場合を例に挙げて説明したが、一つの切替室を備えたものであってもよい。
【符号の説明】
【0145】
1,1A 冷蔵庫
2 冷蔵室(第二蒸発器冷却室)
3 製氷室(第一蒸発器冷却室)
4 上段冷凍室(第一蒸発器冷却室)
5 下段冷凍室(第一蒸発器冷却室、冷凍貯蔵室)
5A 第一切替室(切替室)
5c 第一切替室容器(切替室容器)
6 野菜室(第一蒸発器冷却室、冷蔵貯蔵室)
6A 第二切替室(切替室)
6c 第二切替室容器(切替室容器)
7 冷凍室(第一蒸発器冷却室)
8a 第一蒸発器室
8b 第二蒸発器室
9a 第一ファン
9b 第二ファン
14a 第一蒸発器
14b 第二蒸発器
20b 仕切り部材(発泡断熱材)
21 除霜ヒータ
24 圧縮機
31 制御基板(制御部)
40a 第一蒸発器温度センサ
40b 第二蒸発器温度センサ
41 冷蔵室温度センサ
42 冷凍室温度センサ
43 野菜室温度センサ
50a 庫外放熱器(放熱部)
50b 壁面放熱配管(放熱部)
50c 結露防止配管(放熱部)
52 三方弁(冷媒制御手段)
53a 冷凍用キャピラリチューブ(第一減圧部)
53b 冷蔵用キャピラリチューブ(第二減圧部)
101 冷凍室ダンパ
102 野菜室ダンパ
200 冷凍室ダンパ
201 第一切替室ダンパ
202 第二切替室ダンパ
R1 第一冷媒流路
R2 第二冷媒流路
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12
図13