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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】放電回路
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/00 20060101AFI20240416BHJP
【FI】
H02M3/00 C
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020160975
(22)【出願日】2020-09-25
(65)【公開番号】P2022054020
(43)【公開日】2022-04-06
【審査請求日】2023-08-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浅見 和博
(72)【発明者】
【氏名】若林 浩二
【審査官】安池 一貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-147672(JP,A)
【文献】特開2012-231556(JP,A)
【文献】特開昭62-260564(JP,A)
【文献】特開2006-115594(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0035819(US,A1)
【文献】特開2010-148234(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/00
H02M 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端が、コンデンサの高電位側の端子に電気的に接続された、第1抵抗と、
第1端子が、前記第1抵抗の他端に電気的に接続され、第2端子に、前記コンデンサの電荷の放電を行う場合に第1レベルとなり、前記コンデンサの電荷の放電を行わない場合に第2レベルとなる制御信号が入力され、第3端子が、基準電位に電気的に接続された、第1スイッチング素子と、
第1入力端子に、前記コンデンサの電圧に応じた電圧が入力され、第2入力端子に、閾値電圧が入力され、前記コンデンサの電圧に応じた電圧と前記閾値電圧との比較に基づく信号を出力する、コンパレータと、
前記第1スイッチング素子の前記第1端子の電圧に基づいて、前記コンパレータの前記第1入力端子又は前記第2入力端子の電圧を所定電圧に設定する、電圧設定回路と、
を備える、
ことを特徴とする、放電回路。
【請求項2】
前記電圧設定回路は、
前記第1スイッチング素子の前記第1端子の電圧がローレベルである場合に、前記コンパレータの前記第2入力端子の電圧を、前記第1入力端子の電圧よりも高い前記所定電圧に設定する、
ことを特徴とする、請求項1に記載の放電回路。
【請求項3】
前記電圧設定回路は、
一端が、電源電位に電気的に接続された、第2抵抗と、
一端が、前記第2抵抗の他端に電気的に接続された、第3抵抗と、
アノードが、前記第3抵抗の他端に電気的に接続され、カソードが、前記第1スイッチング素子の前記第1端子に電気的に接続された、第1ダイオードと、
第1端子が、前記電源電位に電気的に接続され、第2端子が、前記第1抵抗の他端及び前記第2抵抗の一端に電気的に接続された、第2スイッチング素子と、
一端が、前記第2スイッチング素子の第3端子に電気的に接続され、他端が、前記コンパレータの前記第2端子に電気的に接続された、第4抵抗と、
を備える、
ことを特徴とする、請求項2に記載の放電回路。
【請求項4】
前記電圧設定回路は、
前記第1スイッチング素子の前記第1端子の電圧がローレベルである場合に、前記コンパレータの前記第1入力端子の電圧を、前記閾値電圧よりも低い前記所定電圧に設定する、
ことを特徴とする、請求項1に記載の放電回路。
【請求項5】
前記電圧設定回路は、
アノードが、前記コンパレータの前記第1端子に電気的に接続され、カソードが、前記第1スイッチング素子の前記第1端子に電気的に接続された、第2ダイオード
を備える、
ことを特徴とする、請求項4に記載の放電回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放電回路に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、残留電荷を放電する放電回路が記載されている。特許文献1記載の放電回路は、抵抗とMOSトランジスタとが直列回路を構成し、この直列回路が電源回路の出力端子とグランドとの間に接続されている。この放電回路では、MOSトランジスタがオンになると、残留電荷が抵抗及びMOSトランジスタを経由してグランドに放電される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-148234号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
MOSトランジスタは、短絡故障する場合がある。特許文献1記載の放電回路では、MOSトランジスタが短絡故障した場合に、電源回路が電力を出力していると、電流が電源回路から抵抗及びMOSトランジスタを経由してグランドに常時流れるので、無駄な損失電力が常時発生することになる。従って、MOSトランジスタの短絡故障を検出できることが望まれる。
【0005】
本発明は、短絡故障を検出することができる放電回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の放電回路は、
一端が、コンデンサの高電位側の端子に電気的に接続された、第1抵抗と、
第1端子が、前記第1抵抗の他端に電気的に接続され、第2端子に、前記コンデンサの電荷の放電を行う場合に第1レベルとなり、前記コンデンサの電荷の放電を行わない場合に第2レベルとなる制御信号が入力され、第3端子が、基準電位に電気的に接続された、第1スイッチング素子と、
第1入力端子に、前記コンデンサの電圧に応じた電圧が入力され、第2入力端子に、閾値電圧が入力され、前記コンデンサの電圧に応じた電圧と前記閾値電圧との比較に基づく信号を出力する、コンパレータと、
前記第1スイッチング素子の前記第1端子の電圧に基づいて、前記コンパレータの前記第1入力端子又は前記第2入力端子の電圧を所定電圧に設定する、電圧設定回路と、
を備える、
ことを特徴とする。
【0007】
前記放電回路において、
前記電圧設定回路は、
前記第1スイッチング素子の前記第1端子の電圧がローレベルである場合に、前記コンパレータの前記第2入力端子の電圧を、前記第1入力端子の電圧よりも高い前記所定電圧に設定する、
ことを特徴とする。
【0008】
前記放電回路において、
前記電圧設定回路は、
一端が、電源電位に電気的に接続された、第2抵抗と、
一端が、前記第2抵抗の他端に電気的に接続された、第3抵抗と、
アノードが、前記第3抵抗の他端に電気的に接続され、カソードが、前記第1スイッチング素子の前記第1端子に電気的に接続された、第1ダイオードと、
第1端子が、前記電源電位に電気的に接続され、第2端子が、前記第1抵抗の他端及び前記第2抵抗の一端に電気的に接続された、第2スイッチング素子と、
一端が、前記第2スイッチング素子の第3端子に電気的に接続され、他端が、前記コンパレータの前記第2端子に電気的に接続された、第4抵抗と、
を備える、
ことを特徴とする。
【0009】
前記放電回路において、
前記電圧設定回路は、
前記第1スイッチング素子の前記第1端子の電圧がローレベルである場合に、前記コンパレータの前記第1入力端子の電圧を、前記閾値電圧よりも低い前記所定電圧に設定する、
ことを特徴とする。
【0010】
前記放電回路において、
前記電圧設定回路は、
アノードが、前記コンパレータの前記第1端子に電気的に接続され、カソードが、前記第1スイッチング素子の前記第1端子に電気的に接続された、第2ダイオード
を備える、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様の放電回路は、短絡故障を検出することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、第1の実施の形態を利用した回路の全体構成を示す図である。
図2図2は、比較例の放電回路の回路構成を示す図である。
図3図3は、第1の実施の形態の放電回路の回路構成を示す図である。
図4図4は、第2の実施の形態の放電回路の回路構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の放電回路の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。
【0014】
<全体構成>
図1は、第1の実施の形態を利用した回路の全体構成を示す図である。回路100は、車両に搭載されることが例示されるが、本開示はこれに限定されない。回路100は、高圧バッテリ101と、DCDCコンバータ102と、回路103と、を含む。
【0015】
高圧バッテリ101は、高電位側の出力端子101aから高電位側の電位Vi+を出力し、低電位側の出力端子101bから低電位側の電位Vi-を出力する。電位Vi-は、基準電位(例えば、接地電位)であっても良い。
【0016】
DCDCコンバータ102の高電位側の入力端子102aは、スイッチSW1を介して、高圧バッテリ101の出力端子101aに電気的に接続されている。DCDCコンバータ102の低電位側の入力端子102bは、スイッチSW2を介して、高圧バッテリ101の出力端子101bに電気的に接続されている。
【0017】
DCDCコンバータ102は、コンデンサC1と、電力変換回路110と、放電回路1と、を含む。
【0018】
コンデンサC1は、入力端子102a及び入力端子102bに入力される電圧Viを安定化させる。電力変換回路110は、電圧Viを異なる直流電圧に変換して、高電位側の出力端子102c及び低電位側の出力端子102dから出力する。
【0019】
回路103の高電位側の入力端子103aは、スイッチSW1を介して、高圧バッテリ101の出力端子101aに電気的に接続されている。回路103の低電位側の入力端子103bは、スイッチSW2を介して、高圧バッテリ101の出力端子101bに電気的に接続されている。回路103は、コンデンサC2を含む。コンデンサC2は、入力端子103a及び入力端子103bに入力される電圧Viを安定化させる。回路103は、インバータが例示されるが、本開示はこれに限定されない。
【0020】
DCDCコンバータ102と回路103とは、並列接続されている。従って、コンデンサC1とコンデンサC2とは、並列接続されている。
【0021】
放電回路1は、外部の制御回路から入力される制御信号に基づいて、コンデンサC1及びC2に蓄電された電荷を放電する。外部の制御回路は、DSP(Digital Signal Processor)、CPU(Central Processing Unit)が例示されるが、本開示はこれに限定されない。
【0022】
<第1の実施の形態及び比較例>
以下、第1の実施の形態について説明するが、第1の実施の形態の理解を容易にするため、先に比較例について説明する。
【0023】
(比較例)
図2は、比較例の放電回路の回路構成を示す図である。図2では、並列接続されたコンデンサC1とコンデンサC2とを、1個のコンデンサとして示している。
【0024】
放電回路120は、電圧Viが予め定められた電圧以上の場合には、フォトカプラを構成する発光ダイオードPCaを発光させない。放電回路120は、電圧Viが予め定められた電圧より低い場合には、発光ダイオードPCaを発光させる。つまり、放電回路120は、低電圧検出機能を有しており、発光ダイオードPCaの光は、低電圧検出信号の役割を有している。
【0025】
放電回路120は、外部の制御回路から入力される制御信号Sがローレベルの場合には、コンデンサC1及びC2に蓄電された電荷を放電しない。放電回路120は、制御信号Sがハイレベルの場合には、コンデンサC1及びC2に蓄電された電荷を放電する。
【0026】
制御信号Sは、フォトカプラを介して放電回路120に入力されても良い。
【0027】
放電回路120は、抵抗R1からR7までと、コンパレータCMPと、トランジスタQ1と、を含む。
【0028】
抵抗R1及びR2は、電位Vi+と電位Vi-との間に直列に接続されている。抵抗R1と抵抗R2との接続点は、コンパレータCMPの非反転入力端子に電気的に接続されている。つまり、コンパレータCMPの非反転入力端子には、電圧Viを抵抗R1及びR2で抵抗分圧した電圧が入力される。
【0029】
抵抗R3及びR4は、電源電位Vccと電位Vi-との間に直列に接続されている。抵抗R3と抵抗R4との接続点は、コンパレータCMPの反転入力端子に電気的に接続されている。つまり、コンパレータCMPの反転入力端子には、電源電位Vccと電位Vi-との間の電圧を抵抗R3及びR4で抵抗分圧した電圧が入力される。
【0030】
コンパレータCMPの反転入力端子に入力される電圧は、電源電位Vccが一定であるので、一定である。一方、コンパレータCMPの非反転入力端子に入力される電圧は、電圧Viが変動するので、変動する。
【0031】
抵抗R1からR4までの抵抗値は、電圧Viが予め定められた電圧以上の場合に、コンパレータCMPの非反転入力端子に入力される電圧が反転入力端子に入力される電圧よりも高くなり、電圧Viが予め定められた電圧より低い場合に、非反転入力端子に入力される電圧が反転入力端子に入力される電圧よりも低くなるように、設定される。
【0032】
コンパレータCMPの反転入力端子に入力される一定の電圧が、本開示の「閾値電圧」の一例に相当する。コンパレータCMPの非反転入力端子が、本開示の「第1端子」の一例に相当する。コンパレータCMPの反転入力端子が、本開示の「第2端子」の一例に相当する。
【0033】
コンパレータCMPは、非反転入力端子に入力される電圧が反転入力端子に入力される閾値電圧以上の場合には、ハイレベルの電圧を出力する。コンパレータCMPは、非反転入力端子に入力される電圧が反転入力端子に入力される閾値電圧より低い場合には、ローレベルの電圧を出力する。
【0034】
抵抗R5の一端は、電源電位Vccに電気的に接続されている。抵抗R6の一端は、抵抗R5の他端に電気的に接続されている。抵抗R6の他端は、コンパレータCMPの出力端子に電気的に接続されている。発光ダイオードPCaのアノードは、抵抗R6の一端に電気的に接続されている。発光ダイオードPCaのカソードは、抵抗R6の他端に電気的に接続されている。つまり、発光ダイオードPCaには、電源電位VccとコンパレータCMPの出力電位との間の電圧を抵抗R5及びR6で抵抗分圧した電圧が入力される。
【0035】
コンパレータCMPの出力電位がハイレベルの場合(電圧Viが予め定められた電圧以上の場合)には、発光ダイオードPCaには電圧が掛からず、発光ダイオードPCaは発光しない。一方、コンパレータCMPの出力電位がローレベルの場合(電圧Viが予め定められた電圧より低い場合)には、発光ダイオードPCaに電圧が掛かり、発光ダイオードPCaは発光する。
【0036】
放電抵抗である抵抗R7の一端は、コンデンサC1及びC2の高電位側の端子に電気的に接続されている。トランジスタQ1のドレインは、抵抗R7の他端に電気的に接続されている。トランジスタQ1のソースは、電位Vi-に電気的に接続されている。
【0037】
本開示では、トランジスタQ1は、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)としたが、本開示はこれに限定されない。トランジスタQ1は、バイポーラトランジスタであっても良い。
【0038】
抵抗R7が、本開示の「第1抵抗」の一例に相当する。トランジスタQ1が、本開示の「第1スイッチング素子」の一例に相当する。トランジスタQ1のドレイン又はコレクタが、本開示の「第1端子」の一例に相当する。トランジスタQ1のゲート又はベースが、本開示の「第2端子」の一例に相当する。トランジスタQ1のソース又はエミッタが、本開示の「第3端子」の一例に相当する。
【0039】
制御信号Sがローレベルの場合には、トランジスタQ1はオフ状態になるので、コンデンサC1及びC2に蓄電された電荷は放電されない。制御信号Sがハイレベルの場合には、トランジスタQ1はオン状態になるので、コンデンサC1及びC2に蓄電された電荷が抵抗R7及びトランジスタQ1を経由して放電される。なお、コンデンサC1及びC2に蓄電された電荷が放電される場合には、スイッチSW1及びSW2がオフに制御される。
【0040】
放電回路120では、トランジスタQ1が短絡故障した場合に、高圧バッテリ101が電圧Viを出力していると、電流が高圧バッテリ101から抵抗R7及びトランジスタQ1を経由して常時流れるので、無駄な損失電力が常時発生することになる。従って、トランジスタQ1の短絡故障を検出できることが望まれる。
【0041】
(第1の実施の形態)
図3は、第1の実施の形態の放電回路の回路構成を示す図である。
【0042】
第1の実施の形態の放電回路1の構成要素のうち、比較例の放電回路120と同一の構成要素については、同一の参照符号を付して、説明を省略する。
【0043】
放電回路1は、比較例の放電回路120と比較して、電圧設定回路2を更に含む点で異なる。
【0044】
電圧設定回路2は、抵抗R11からR13までと、ダイオードD1と、トランジスタQ2と、を含む。
【0045】
抵抗R11の一端は、電源電位Vccに電気的に接続されている。抵抗R12の一端は、抵抗R11の他端に電気的に接続されている。ダイオードD1のアノードは、抵抗R12の他端に電気的に接続されている。ダイオードD1のカソードは、トランジスタQ1のドレインに電気的に接続されている。トランジスタQ2のエミッタは、電源電位Vccに電気的に接続されている。トランジスタQ2のベースは、抵抗R11と抵抗R12との接続点に電気的に接続されている。抵抗R13の一端は、トランジスタQ2のコレクタに電気的に接続されている。抵抗R13の他端は、コンパレータCMPの反転入力端子に電気的に接続されている。
【0046】
抵抗R11が、本開示の「第2抵抗」の一例に相当する。抵抗R12が、本開示の「第3抵抗」の一例に相当する。抵抗R13が、本開示の「第4抵抗」の一例に相当する。ダイオードD1が、本開示の「第1ダイオード」の一例に相当する。トランジスタQ2が、本開示の「第2スイッチング素子」の一例に相当する。
【0047】
第1の実施の形態では、トランジスタQ2は、バイポーラトランジスタとしたが、本開示はこれに限定されない。トランジスタQ2は、MOSFETであっても良い。トランジスタQ2のエミッタ又はソースが、本開示の「第1端子」の一例に相当する。トランジスタQ2のベース又はゲートが、本開示の「第2端子」の一例に相当する。トランジスタQ2のコレクタ又はドレインが、本開示の「第3端子」の一例に相当する。
【0048】
制御信号Sがローレベルの場合(コンデンサC1及びC2に蓄電された電荷を放電しない場合)、且つ、トランジスタQ1が短絡故障していない場合、トランジスタQ1のドレインの電位は電位Vi+になるので、ダイオードD1は非導通状態になる。これにより、トランジスタQ2のベースの電位は電源電位Vccになるので、トランジスタQ2はオフ状態になる。従って、コンパレータCMPの反転入力端子の電圧は、閾値電圧のまま維持される。
【0049】
制御信号Sがローレベルの場合(コンデンサC1及びC2に蓄電された電荷を放電しない場合)、且つ、トランジスタQ1が短絡故障している場合、トランジスタQ1のドレインの電位は電位Vi-になるので、ダイオードD1は導通状態になる。これにより、トランジスタQ2のベースの電位は、電源電位Vccと電位Vi-との間の電圧を抵抗R11及び抵抗R12で抵抗分圧した電位になるので、トランジスタQ2はオン状態になる。これにより、コンパレータCMPの反転入力端子の電圧は、抵抗R13を介して、電源電位Vccにプルアップされる。従って、コンパレータCMPは、非反転入力端子に入力される電圧にかかわらず、ローレベルの電圧を出力する。これにより、発光ダイオードPCaは、発光する。
【0050】
つまり、電圧設定回路2は、トランジスタQ1のドレインの電位がローレベルである場合に、コンパレータCMPの反転入力端子の電圧を、非反転入力端子の電圧よりも高い電圧に設定する。
【0051】
外部の制御回路は、電圧Viが供給されているにもかかわらず、発光ダイオードPCaが発光(低電圧検出)するので、トランジスタQ1が短絡故障していると判定することができる。例えば、外部の制御回路は、トランジスタQ1が短絡故障していることを車両に通知することができる。
【0052】
以上説明したように、放電回路1は、トランジスタQ1が短絡故障した場合に、発光ダイオードPCaを発光させることができる。これにより、放電回路1は、トランジスタQ1の短絡故障を検出することができる。
【0053】
また、放電回路1は、コンパレータCMPを、低電圧検出と短絡故障検出とで共用できるので、回路素子を抑制できるとともに、配線数を抑制できる。
【0054】
<第2の実施の形態>
図4は、第2の実施の形態の放電回路の回路構成を示す図である。
【0055】
第2の実施の形態の放電回路1Aの構成要素のうち、比較例の放電回路120又は第1の実施の形態の放電回路1と同一の構成要素については、同一の参照符号を付して、説明を省略する。
【0056】
放電回路1Aは、比較例の放電回路120と比較して、電圧設定回路3を更に含む点で異なる。
【0057】
電圧設定回路3は、ダイオードD2を含む。
【0058】
ダイオードD2のアノードは、コンパレータCMPの非反転入力端子に電気的に接続されている。ダイオードD2のカソードは、トランジスタQ1のドレインに電気的に接続されている。
【0059】
ダイオードD2が、本開示の「第2ダイオード」の一例に相当する。
【0060】
制御信号Sがローレベルの場合(コンデンサC1及びC2に蓄電された電荷を放電しない場合)、且つ、トランジスタQ1が短絡故障していない場合、トランジスタQ1のドレインの電位は電位Vi+になるので、ダイオードD2は非導通状態になる。従って、コンパレータCMPの非反転入力端子の電圧は、電圧Viを抵抗R1及びR2で抵抗分圧した電圧のまま維持される。
【0061】
制御信号Sがローレベルの場合(コンデンサC1及びC2に蓄電された電荷を放電しない場合)、且つ、トランジスタQ1が短絡故障している場合、トランジスタQ1のドレインの電位は電位Vi-になるので、ダイオードD2は導通状態になる。これにより、コンパレータCMPの非反転入力端子の電圧は、基準電位にプルダウンされる。従って、コンパレータCMPは、非反転入力端子に入力される閾値電圧にかかわらず、ローレベルの電圧を出力する。これにより、発光ダイオードPCaは、発光する。
【0062】
つまり、電圧設定回路3は、トランジスタQ1のドレインの電位がローレベルである場合に、コンパレータCMPの非反転入力端子の電圧を、反転入力端子の電圧よりも低い電圧に設定する。
【0063】
外部の制御回路は、電圧Viが供給されているにもかかわらず、発光ダイオードPCaが発光(低電圧検出)するので、トランジスタQ1が短絡故障していると判定することができる。例えば、外部の制御回路は、トランジスタQ1が短絡故障していることを車両に通知することができる。
【0064】
以上説明したように、放電回路1Aは、トランジスタQ1が短絡故障した場合に、発光ダイオードPCaを発光させることができる。これにより、放電回路1Aは、トランジスタQ1の短絡故障を検出することができる。
【0065】
また、放電回路1Aは、コンパレータCMPを、低電圧検出と短絡故障検出とで共用できるので、回路素子を抑制できるとともに、配線数を抑制できる。
【0066】
本発明のいくつかの実施の形態を説明したが、これらの実施の形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施の形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0067】
1、1A、120 放電回路
2、3 電圧設定回路
101 高圧バッテリ
102 DCDCコンバータ
SW1、SW2 スイッチ
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R11、R12、R13 抵抗
D1、D2 ダイオード
CMP コンパレータ
C1、C2 コンデンサ
PCa 発光ダイオード
Q1、Q2 トランジスタ
図1
図2
図3
図4