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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/71 20110101AFI20240416BHJP
   H01R 12/91 20110101ALI20240416BHJP
   H01R 13/46 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
H01R12/71
H01R12/91
H01R13/46 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020189280
(22)【出願日】2020-11-13
(65)【公開番号】P2022078540
(43)【公開日】2022-05-25
【審査請求日】2023-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000194918
【氏名又は名称】ホシデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087653
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 正二
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 大輔
【審査官】山下 寿信
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-083756(JP,A)
【文献】特開2015-179568(JP,A)
【文献】特開2018-026650(JP,A)
【文献】特開2017-162667(JP,A)
【文献】特開2013-210480(JP,A)
【文献】特開2011-046331(JP,A)
【文献】特開2005-347243(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0268716(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/71
H01R 12/91
H01R 13/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のケースに収容される基板に取り付けられるレセプタクルと、ケーブルの一端に取り付けられ、かつ前記第1のケースに組み付けられる第2のケースと一体化され、前記第1のケースに前記第2のケースを組み付けるときに、前記レセプタクルに嵌合するプラグと、を備えたコネクタであって、前記第2のケースには、前記プラグと共に前記第2のケースに一体化された前記ケーブルとは異なる他のケーブルであって、前記プラグが一端に取り付けられない他のケーブルが一体化されていることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記プラグは、前記第2のケースの中心から偏心した位置に一体化されていることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記第2のケースには、前記第1のケースに対して前記第2のケースをねじ止めするための複数のねじを挿通させる複数のねじ挿通孔が設けられ、前記ねじ挿通孔の径は、前記ねじの頭部の径よりも小さく、かつ前記第1のケースに設けられ、前記ねじが前記ねじ挿通孔を挿通した状態で螺合される複数のねじ孔の径よりも大きいことを特徴とする請求項1又は2に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタに関し、特に車載カメラに好適なコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
車両等の移動体においては、運転支援や安全性確保、さらには運転状況の記録などのために撮像装置が多用されている。このような車載カメラとして、一端にレンズ用窓を有し、他端に開口部を有する第1のケースと、撮像素子と電気的に接続されたレセプタクルが取り付けられ、第1のケース内に収容される基板と、同軸ケーブルの一端に取り付けられたプラグと一体化され、レセプタクルにプラグを嵌合したとき、開口部を閉止する第2のケースとを有し、レセプタクルとプラグとでコネクタが構成されており、第1のケースと第2のケースとを超音波接合や接着剤により固定することにより、同軸ケーブルと基板とをコネクタを介して電気的に接続した状態で組み立てられ、1本の同軸ケーブルで、映像信号、電源、同期制御信号を伝送する電源重畳方式の車載カメラが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
従来のコネクタは、第1のケースに収容される基板に取り付けられるレセプタクルと、ケーブルの一端に取り付けられ、かつ第1のケースに組み付けられる第2のケースと一体化され、レセプタクルに嵌合するプラグと、を備えた構造を有し、車載カメラにおける電気接続の構造や作業の簡素化と共に安定化を図るものであった。しかしながら、ケーブルが1本のみのため、製品のバリエーションや複合的な使用を可能にするといった市場要求に応えにくいという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5994814号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、製品のバリエーションや複合的な使用を可能にするといった市場要求に応えやすいコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るコネクタは、第1のケースに収容される基板に取り付けられるレセプタクルと、ケーブルの一端に取り付けられ、かつ前記第1のケースに組み付けられる第2のケースと一体化され、前記第1のケースに前記第2のケースを組み付けるときに、前記レセプタクルに嵌合するプラグと、を備えたコネクタであって、前記第2のケースには、前記プラグと共に前記第2のケースに一体化された前記ケーブルとは異なる他のケーブルであって、前記プラグが一端に取り付けられない他のケーブルが一体化されていることを特徴とする。
【0007】
本発明に係るコネクタでは、第2のケースには、プラグと共に第2のケースに一体化されたケーブルとは異なる他のケーブルが一体化されているという構成により、既存構造を有効に利用してコストを抑えつつ、製品のバリエーションや複合的な使用が可能となり、汎用性を高めることができる。
【0008】
また、本発明に係るコネクタでは、前記プラグは、前記第2のケースの中心から偏心した位置に一体化されているという構成を付加することが好ましい。この付加構成によると、レセプタクルを基板の端部付近に取り付け、基板設計の自由度を高めることができると共に、そのことが基板の小型化、ひいては第1ケース及び第2ケースの小型化、そして車載カメラ(機器)の小型化に寄与できる。また、第2のケースの中心からプラグ偏心方向とは反対方向には大きなスペースが設けられ、第2のケースの大型化を抑えつつ他のケーブルを一体化することができ、そのことが第1ケース及び第2ケースの大型化、そして車載カメラ(機器)の大型化の抑制に寄与できる。
【0009】
また、本発明に係るコネクタでは、前記第2のケースには、前記第1のケースに対して前記第2のケースをねじ止めするための複数のねじを挿通させる複数のねじ挿通孔が設けられ、前記ねじ挿通孔の径は、前記ねじの頭部の径よりも小さく、前記第1のケースに設けられ、前記ねじが前記ねじ挿通孔を挿通した状態で螺合される複数のねじ孔の径よりも大きいという構成を付加することが好ましい。この付加構成によると、レセプタクルとプラグとの嵌合によって第1のケースと第2のケースとの間に多少の位置ずれが生じても、その位置ずれを許容して第1のケースに対して第2のケースを組み付けることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、製品のバリエーションや複合的な使用を可能にするといった市場要求に応えやすいコネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施の形態に係るコネクタを適用した車載カメラの図2に示すA-A線での断面図である。
図2】本発明の実施の形態に係るコネクタを適用した車載カメラの背面(後面)図である。
図3】本発明の実施の形態に係るコネクタを適用した車載カメラを斜め後方から見た斜視図である。
図4】本発明の実施の形態に係るコネクタを適用した車載カメラを第1のケース側の構造と第の2のケース側の構造とに分解した状態で斜め後方から見た斜視図である。
図5】本発明の実施の形態に係るコネクタを適用した車載カメラを第1のケース側の構造と第2のケース側の構造とに分解した状態で斜め前方から見た斜視図である。
図6図4に示す第1のケース側の構造を分解した状態で示す斜視図である。
図7図4に示す第2のケース側の構造を分解した状態で示す斜視図である。
図8】本発明の実施の形態に係るコネクタの変形例を示す斜視図である。
図9】本発明の実施の形態に係るコネクタの他の変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態に係るコネクタについて、図面を参照して説明する。
【0013】
図1に示すように、本実施の形態に係るコネクタは、図1図7に示すように、車載カメラ1に適用されており、先ず、車載カメラ1は、フロントケース2、リアケース3、フロント基板4、リア基板5、リアシールドケース6、レセプタクル7、プラグ8、同軸ケーブル9、他のケーブル10を具備して構成されている。ここで、フロントケース2は、本発明に係るコネクタにおける第1のケース(少なくとも1枚の基板が収容される)に相当し、同様にリアケース3は本発明に係るコネクタにおける第2のケース、リア基板5は本発明に係るコネクタにおける基板、レセプタクル7は本発明に係るコネクタにおけるレセプタクル、プラグ8は本発明に係るコネクタにおけるプラグ、同軸ケーブル9は本発明に係るコネクタにおけるケーブル、他のケーブル10は本発明に係るコネクタにおける他のケーブルに、それぞれ、相当する。
【0014】
フロントケース2とリアケース3は、直方体状のカメラケースを構成するもので、フロントケース2は、カメラケースの後壁を除く部分を構成するもので、前壁に図示しないレンズ用窓部を有し、後端に開口部2aを有している。リアケース3は、カメラケースの後壁を構成するもので、矩形板状に形成され、レセプタクル7にプラグ8を嵌合したとき、フロントケース2の後端の開口部2aを閉止するように、フロントケース2の後端に組み付けられる。フロントケース2とリアケース3は、それぞれ、樹脂製である。
【0015】
フロント基板4とリア基板5は、それぞれ、プリント回路基板(PCB)であって、フロントケース2内に前壁と平行状態で収容配置され、かつ図示しないフレキシブルプリント配線板(FPC)を介して電気的に接続され、カメラモジュールを構成するもので、フロント基板4には、図示しないCCD又はCMOSなどの撮像素子が実装されると共に、図示しないレンズ部材が取り付けられ、さらには撮像素子を駆動制御すると共に、撮像素子から出力された映像信号を処理する電子回路が形成されている。リア基板5には、レセプタクル7が実装されている。
【0016】
リアシールドケース6は、レセプタクル7にプラグ8を嵌合したとき、図示しないフロントシールドケースとで、カメラケース内においてカメラモジュールを取り囲む直方体状のシールドケースを構成するもので、フロントシールドケースは、金属板製で有天矩形筒状に形成され、フロントケース2内に固定され、フロントケース2の前壁に対向する天板部にレンズ用窓部に対向してレンズ露出用開口部を有している。リアシールドケース6は、金属板製で、フロントシールドケースより低背な有底矩形筒状に形成され、リアケース3の前面に底板部を接合した状態で固定され、底板部には、プラグ8の導電性シェル8bの先端部(前端部)を挿通させるプラグ挿通孔6aと、プラグ挿通孔6aの周縁から前方に立ち上げられ、プラグ8の導電性シェル8bの先端部を取り囲んだ状態でプラグ8の導電性シェル8bの先端部に弾性接触する複数の接触片6bと、他のケーブル10を挿通させるケーブル挿通孔6cと、を有している。リアシールドケース6は、レセプタクル7にプラグ8を嵌合したとき、フロントシールドケースと電気的に接続され、シールドケース、プラグ8の導電性シェル8b、そして同軸ケーブル9の外部導体9cがシールドとして一体化し、高いシールド性を発揮させる。
【0017】
レセプタクル7は、金属板製で筒状の内側コンタクト7aと、金属板製で、内側コンタクト7aを同軸に取り囲む筒状の外側コンタクト7bと、樹脂製で、内側コンタクト7aと外側コンタクト7bとを電気的に絶縁する絶縁体7cと、を有して構成されており、リア基板5に実装されることにより、内側コンタクト7aが信号パターンに電気的に接続され、外側コンタクト7bが基板7のグランドパターンに電気的に接続される。
【0018】
プラグ8は、金属板製で、レセプタクル7に嵌合したとき、内側コンタクト7aの内側に挿入されて内側コンタクト7aに接触して内側コンタクト7aに導通接続されるピン状の中心導体8aと、金属製で、中心導体8aを同軸に取り囲み、レセプタクル7に嵌合したとき、外側コンタクト7bの外側に嵌合されて外側コンタクト7bに接触して外側コンタクト7bに導通接続される筒状の導電性シェル8bと、樹脂製で、中心導体8aと導電性シェル8bとを電気的に絶縁する絶縁体8cと、金属製のカシメリング8dと、を有して構成されており、同軸ケーブル9の一端にカシメ固定されている。
【0019】
同軸ケーブル9は、金属芯線で、プラグ8に取り付けたとき、中心導体8aに電気的に接続される内部導体9aと、内部導体9aの外周を覆う樹脂製の絶縁体である内皮9bと、内皮9bの外周を覆う金属編組製で、プラグ8に取り付けたとき、導電性シェル8bに電気的に接続される外部導体9cと、外部導体9cの外周を覆う樹脂製の絶縁体である外皮9dと、を有して構成されている。
【0020】
他のケーブル10は、例えば電源供給用のケーブルである。
【0021】
同軸ケーブル9の一端に取り付けられたプラグ8(プラグ8付きケーブル9)と他のケーブル10は、インサート成形によってリアケース3と一体化されている。この際、プラグ8は、導電性シェル8bの先端部がリアケース3の前面に突出されており、リアケース3の後面に突出する導電性シェル8bと同軸ケーブル9の外皮9dの一端とを一体的に覆う直円筒状の第1モールド部3aがリアケース3の後面に突出形成され、他のケーブル10は、他のケーブル10の一端部がリアケース3の前面に突出されており、リアケース3の後面に突出する他のケーブル10の突出端部を一体的に覆う直円筒状の第2モールド部3bがリアケース3の後面に突出形成され、同軸ケーブル9と他のケーブル10とが、それぞれ、リアケース3の後面から後方へ向けて真っすぐに引き出されている。
【0022】
リアシールドケース6は、インサート成形後のリアケース3の前面に突出するプラグ8の導電性シェル8bの先端部と他のケーブル10の一端部のうち、プラグ8の導電性シェル8bの先端部をプラグ挿通孔6aに挿通させ、かつ他のケーブル10の一端部をケーブル挿通孔6cに挿通させた状態で、リアケース3の前面に底板部を接合した状態で固定され、プラグ8、同軸ケーブル9、他のケーブル10と同様にリアケース3に一体化されている。この際、プラグ8の導電性シェル8bの先端部と他のケーブル10の一端部とは、それぞれ、リアシールドケース6の内側に突出され、プラグ8の導電性シェル8bは、複数の接触片6bを介してリアシールドケース6に電気的に接続されている。
【0023】
同軸ケーブル9の一端に取り付けられたプラグ8(プラグ8付きケーブル9)と他のケーブル10は、インサート成形によってリアケース3と一体化されている。この際、プラグ8は、リアケース3の中心から偏心した位置に一体化されている。他のケーブル10は、リアケース3の中心からプラグ偏心方向とは反対方向に偏心した位置に一体化されている。図例では、プラグ8は、図2においてリアケース3の中心から左斜め上方の角部に向かって偏心した位置に一体化され、他のケーブル10は、図2においてリアケース3の中心から右斜め下方の角部に向かって偏心した位置に一体化されている。すなわち、プラグ8と他のケーブル10とは、リアケース3の一方の対角方向に離間した2位置に一体化されている。
【0024】
レセプタクル7は、リアケース3がフロントケース2の後端の開口部を閉止するようにフロントケース2の後端に組み付けられたとき、プラグ8と同軸上に位置するように、リア基板5の端部付近に実装されている。図例では、レセプタクル7は、図4においてリア基板5の中心から左斜め上方の角部に向かって偏心した位置に実装されている。
【0025】
リアケース3は、図示しない2本のねじ(ビスなどの頭部付きおねじ)を用いてフロントケース2に固定するもので、フロントケース2には、2本のねじが螺合される2つのねじ孔2bが設けられ、リアケース3には、2本のねじを挿通した状態でねじ孔2bに螺合する2つのねじ挿通孔3cが設けられており、レセプタクル7とプラグ8との嵌合によってフロントケース2とリアケース3との間に多少の位置ずれが生じても、その位置ずれを許容してフロントケース2に対してリアケース3を組み付けることができるように、ねじ挿通孔3cの径は、ねじの頭部の径よりも小さく、かつねじ孔2bの径よりも大きくしてある。
【0026】
ねじ挿通孔3cは、図2においてリアケース3の中心から右斜め上方の角部と左斜め下方の角部の2位置に設けられ、ねじ孔2bは、ねじ挿通孔3cに対応して図4においてフロントケース2の中心から右斜め上方の角部と左斜め下方の角部の2位置に設けられている。
【0027】
本実施の形態に係るコネクタは、フロントケース2に収容されるリア基板5に取り付けられるレセプタクル7と、同軸ケーブル9の一端に取り付けられ、かつフロントケース2に組み付けられるリアケース3と一体化され、レセプタクル7に嵌合するプラグ8と、を備え、リアケース3には、プラグ8と共にリアケース3に一体化された同軸ケーブル9とは異なる他のケーブル10が一体化されている。これにより、本実施の形態に係るコネクタは、既存構造を有効に利用してコストを抑えつつ、製品のバリエーションや複合的な使用が可能となり、汎用性を高めることができる。例えば、1本の同軸ケーブル9だけで、映像信号、電源、同期制御信号を伝送するカメラモジュールの他、電源は別配線(他のケーブル10)で伝送するカメラモジュールにも対応できる。また、赤外線カメラモジュールを使用する際、LED用の電源を他のケーブル10で供給することができる。
【0028】
本実施の形態に係るコネクタは、プラグ8は、リアケース3の中心から偏心した位置に一体化されている。これにより、レセプタクル7をリア基板5の端部付近に取り付け、基板設計の自由度を高めることができると共に、そのことがリア基板5の小型化、ひいてはフロントケース2及びリアケース3の小型化、そして車載カメラ(機器)1の小型化に寄与できる。また、リアケース3の中心からプラグ偏心方向とは反対方向には大きなスペースが設けられ、リアケース3の大型化を抑えつつ他のケーブル10を一体化することができ、そのことがフロントケース2及びリアケース3の大型化、そして車載カメラ(機器)1の大型化の抑制に寄与できる。
【0029】
本実施の形態に係るコネクタは、リアケース3には、フロントケース2に対してリアケース3をねじ止めするための2本のねじを挿通させる2つのねじ挿通孔3cが設けられ、ねじ挿通孔3cの径は、ねじの頭部の径よりも小さく、フロントケース2に設けられ、ねじがねじ挿通孔3cを挿通した状態で螺合される2つのねじ孔2bの径よりも大きい。これにより、レセプタクル7とプラグ8との嵌合によってフロントケース2とリアケース3との間に多少の位置ずれが生じても、その位置ずれを許容してフロントケース2に対してリアケース3を組み付けることができる。
【0030】
以上のように、本実施の形態に係るコネクタによれば、製品のバリエーションや複合的な使用を可能にするといった市場要求に応えやすいコネクタを提供することができる。
【0031】
[変形例]
本実施の形態に係るコネクタでは、同軸ケーブル9をリアケース3の後面から後方へ向けて真っすぐに引き出す直円筒状の第1モールド部3aをリアケース3に一体に形成したが、この直円筒状の第1モールド部3aに代えて、図8に示すように、L字状に屈曲したL型の第1モールド部30aを一体に形成し、同軸ケーブル9をリアケース3の後面からリア基板5と直交する方向(コネクタ嵌合方向と直交する方向)に引き出すように構成してもよい。図例では、L型の第1モールド部30aは、同軸ケーブル9を上方に向けて引き出すように、先端部を上方に向けて屈曲開口しているが、その他、同軸ケーブル9を下方、左側方、右側方に引き出すように、先端部を下方、左側方、右側方に向けて屈曲開口したものでもよい。
【0032】
本実施の形態に係るコネクタでは、同軸ケーブル9の一端に取り付けられたプラグ8(プラグ8付きケーブル9)と他のケーブル10は、インサート成形によってリアケース3と一体化されているが、同軸ケーブル9の一端に取り付けられたプラグ8(プラグ8付きケーブル9)のみをインサート成形によってリアケース3と一体化し、他のケーブル10は、図9に示すように、インサート成形時にリアケース3に形成した開口部30bに後工程で接着剤、溶接、ポッティングなどで挿入固定することによって一体化してもよく、同軸ケーブル9をリアケース3の後面からリア基板5と直交する方向に引き出す場合に有効である。また、他のケーブル10は、開口部30bに別部品を用いて挿入固定して一体化してもよい。例えば他のケーブル10に予めパッキンを挿入しておき、開口部30bに他のケーブル10をパッキンごと圧入させる固定方法を採用しもよい。
【0033】
本実施の形態に係るコネクタでは、リアケース3に一体化する他のケーブル10は1本であるが、複数本でもよい。他のケーブル10はプラグ付きの場合、同軸ケーブル9(プラグ8付)と同様に、プラグと共に一体化してもよい。
【0034】
本実施の形態に係るコネクタでは、リアケース3は、矩形板状としたが、その周縁からフロントケース2に向かって延びる側壁が設けられてもよい。
【0035】
本実施の形態に係るコネクタでは、フロント基板4とリア基板5は、FPCの他、基板対基板用コネクタ(BtoBコネクタ)を介して電気的に接続されてもよい。
【0036】
本実施の形態に係るコネクタでは、基板はフロント基板4とリア基板5の2枚構成としているが、1枚構成としてもよい。例えば1枚の基板に、撮像素子が実装され、レンズ部材が取り付けられ、電子回路が形成され、さらにはレセプタクル7が実装されていてもよい。
【0037】
本実施の形態に係るコネクタでは、リアシールドケース6は、レセプタクル7にプラグ8を嵌合したとき、図示しないフロントシールドケースとで、カメラケース内においてカメラモジュールを取り囲む直方体状のシールドケースを構成するものとしたが、樹脂製のフロントケース2を金属製のものに置き換えることによって、フロントケース2にシールド性を持たせ、レセプタクル7にプラグ8を嵌合したとき、フロントケース2とリアシールドケース6とを電気的に接続して基板グランドに接続するようにしてもよい。また、リアケース3に接合したシールド部材(例えばリアシールドケース6)のみを有し、レセプタクル7にプラグ8を嵌合したとき、シールド部材を基板グランドに接続するようにしてもよい。
【0038】
本実施の形態に係るコネクタでは、リアケース3が組み付けられるフロントケース2は、一体物で構成されているが、複数のケース部品を組み合わせて構成するものでもよい。
【0039】
以上説明したように、本発明は、製品のバリエーションや複合的な使用を可能にするといった市場要求に応えやすいコネクタを提供することができるものであり、コネクタ、特に車載カメラに好適なコネクタに有用である。
【符号の説明】
【0040】
1 車載カメラ(機器)
2 フロントケース(第1のケース)
3 リアケース(第2のケース)
5 リア基板(基板)
7 レセプタクル
8 プラグ
9 同軸ケーブル(ケーブル)
10 他のケーブル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9