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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】荷受台昇降装置におけるストッパ装置
(51)【国際特許分類】
   B60P 1/44 20060101AFI20240416BHJP
【FI】
B60P1/44 C
B60P1/44 D
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020201177
(22)【出願日】2020-12-03
(65)【公開番号】P2022088998
(43)【公開日】2022-06-15
【審査請求日】2023-10-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000163095
【氏名又は名称】極東開発工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110002192
【氏名又は名称】弁理士法人落合特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清藤 英樹
(72)【発明者】
【氏名】水谷 文昭
【審査官】三宅 龍平
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-007974(JP,A)
【文献】特開平09-323580(JP,A)
【文献】特開2006-117034(JP,A)
【文献】実開昭59-162337(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2013/0136567(US,A1)
【文献】中国実用新案第204712940(CN,U)
【文献】独国実用新案第202011050631(DE,U1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60P 1/00 ー 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷台(3)に荷受台(8)を設け、該荷受台(8)は、水平状態で荷台(3)と地上間で昇降作動されて、荷受台(8)上の積荷を荷台(3)と荷受台(8)間で積み降ろし可能である荷受台昇降装置において、
前記荷受台(8)は、該荷受台(8)の上面より突出する突出位置と該荷受台(8)の内部に格納される格納位置とに姿勢変更可能なカートストッパ(15)と、前記荷受台(8)に前記カートストッパ(15)を前記突出位置と前記格納位置との間で回動軸(18)回りに回動し得るように連結するヒンジ連結部(H)と、前記カートストッパ(15)及び前記荷受台(8)にそれぞれ係合して該カートストッパ(15)を前記突出位置に付勢するハンガスプリング(28)とを備え、
前記ヒンジ連結部(H)は、前記カートストッパ(15)に基部(20b)が固定される第1ヒンジ部材(20)と、前記荷受台(8)に基部(21b)が固定される第2ヒンジ部材(21)とを有すると共に、それら第1,第2ヒンジ部材(20,21)の先部(20a,21a)相互が左右方向に並列し且つ前記回動軸(18)を介して枢支連結されており、
前記ハンガスプリング(28)は、間隔をおいて並ぶ一対の側片部(28a,28b)と、その両側片部(28a,28b)間を接続する中間曲がり部(28c)とを有してU字状に形成され、
一方の前記側片部(28a)の先端部(28ae)は、前記第1,第2ヒンジ部材(20,21)のうちの何れか一方のヒンジ部材(20)の、左右方向一方側の側面(20s)に係合可能に対向し、
他方の前記側片部(28b)は、前記何れか他方のヒンジ部材(21)の裏側を通って該他方のヒンジ部材(21)の、左右方向他方側の側面(21s)より外方に張出し、且つその張出端部が該他方側の側面(21s)と係合可能な規制部(28bs)を有することを特徴とする、荷受台昇降装置におけるストッパ装置。
【請求項2】
荷台(3)に荷受台(8)を設け、該荷受台(8)は、水平状態で荷台(3)と地上間で昇降作動されて、荷受台(8)上の積荷を荷台(3)と荷受台(8)間で積み降ろし可能である荷受台昇降装置において、
前記荷受台(8)は、該荷受台(8)の上面より突出する突出位置と該荷受台(8)の内部に格納される格納位置とに姿勢変更可能なカートストッパ(15)と、前記荷受台(8)に前記カートストッパ(15)を前記突出位置と前記格納位置との間で回動軸(18)回りに回動し得るように連結するヒンジ連結部(H)と、前記カートストッパ(15)及び前記荷受台(8)間に介在して該カートストッパ(15)を前記突出位置に付勢するハンガスプリング(28)とを備え、
前記ヒンジ連結部(H)は、前記カートストッパ(15)に基部(20b)が固定される第1ヒンジ部材(20)と、前記荷受台(8)に基部(21b)が固定される第2ヒンジ部材(21)とを有すると共に、それら第1,第2ヒンジ部材(20,21)の先部(20a,21a)相互が左右方向に並列し且つ前記回動軸(18)を介して枢支連結されており、
前記ハンガスプリング(28)は、間隔をおいて並ぶ一対の側片部(28a,28b)と、その両側片部(28a,28b)間を接続する中間曲がり部(28c)とを有してU字状に形成され、
前記一対の側片部(28a,28b)のうち前記カートストッパ(15)寄りの前記側片部(28a)の先端部(28ae)は、前記第1ヒンジ部材(20)に隣接し、
少なくとも一方の前記側片部(28b)は、該一方の側片部(28b)と対応する前記ヒンジ部材(21)に対し左右何れの方向にも移動規制されるように係合していることを特徴とする、荷受台昇降装置におけるストッパ装置。
【請求項3】
前記規制部(28bs)は、前記他方の側片部(28b)の前記張出端部を折り曲げて形成される折曲部で構成されることを特徴とする、請求項1に記載の荷受台昇降装置におけるストッパ装置。
【請求項4】
前記カートストッパ(15)の左右方向中央より両端側に偏らせて配置した前記ハンガスプリング(28)が、これの前記中間曲がり部(28c)を該カートストッパ(15)の左右方向中央側に向けて配置されることを特徴とする、請求項1~3の何れか1項に記載の荷受台昇降装置におけるストッパ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貨物自動車などの車両の車体に設けられて、車体上と地上間で荷物の積み降ろしを行なう荷受台の昇降装置において、荷受台上に載置されるカートの車輪などをその荷受台上に受け止めて、その落下を防止するようにしたストッパ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、貨物自動車に設けた荷受台昇降装置において、荷受台に設けたストッパ収容凹部16内に、カートストッパ15を起立位置に付勢するハンガスプリング21を設け、上方向と下方向とに開いて付勢力を発揮するハンガスプリング21がカートストッパ15を起立位置に付勢、保持することで、荷受台8の荷物を受け止めるようにしたものは公知である(後記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-199416号公報
【文献】特願2019-107521号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで特許文献1のものでは、カートストッパの、ハンガスプリングと対応する部位に、積荷であるカートの車輪が当たると、カートストッパは、ハンガスプリングの大きな付勢力に加えてカートからの力を受けることで、部分的に撓んで変形し易くなる。そこで、カートストッパのハンガスプリング対応部位にヒンジ連結部を配設することで、当該部位をヒンジ連結部で補強してカートストッパを変形しにくくする技術を本出願人は提案している(特許文献2を参照)。
【0005】
ところが特許文献2のハンガスプリングは、ヒンジ連結部から左・右に各々少なからず張出す構造であるため、ヒンジ連結部周辺の他の部品等に干渉し易くなり、それだけヒンジ連結部の配置に制約が増えて設計自由度が狭まるといった別の課題がある。
【0006】
本発明はかかる実情に鑑みてなされたもので、従来装置の上記課題を一挙に解決可能とした、新規な荷受台昇降装置におけるストッパ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、荷台に荷受台を設け、該荷受台は、水平状態で荷台と地上間で昇降作動されて、荷受台上の積荷を荷台と荷受台間で積み降ろし可能である荷受台昇降装置において、前記荷受台は、該荷受台の上面より突出する突出位置と該荷受台の内部に格納される格納位置とに姿勢変更可能なカートストッパと、前記荷受台に前記カートストッパを前記突出位置と前記格納位置との間で回動軸回りに回動し得るように連結するヒンジ連結部と、前記カートストッパ及び前記荷受台にそれぞれ係合して該カートストッパを前記突出位置に付勢するハンガスプリングとを備え、前記ヒンジ連結部は、前記カートストッパに基部が固定される第1ヒンジ部材と、前記荷受台に基部が固定される第2ヒンジ部材とを有すると共に、それら第1,第2ヒンジ部材の先部相互が左右方向に並列し且つ前記回動軸を介して枢支連結されており、前記ハンガスプリングは、間隔をおいて並ぶ一対の側片部と、その両側片部間を接続する中間曲がり部とを有してU字状に形成され、一方の前記側片部の先端部は、前記第1,第2ヒンジ部材のうちの何れか一方のヒンジ部材の、左右方向一方側の側面に係合可能に対向し、他方の前記側片部は、前記何れか他方のヒンジ部材の裏側を通って該他方のヒンジ部材の、左右方向他方側の側面より外方に張出し、且つその張出端部に該他方側の側面と係合可能な規制部を有することを第1の特徴とする。
【0008】
また本発明は、荷台に荷受台を設け、該荷受台は、水平状態で荷台と地上間で昇降作動されて、荷受台上の積荷を荷台と荷受台間で積み降ろし可能である荷受台昇降装置において、前記荷受台は、該荷受台の上面より突出する突出位置と該荷受台の内部に格納される格納位置とに姿勢変更可能なカートストッパと、前記荷受台に前記カートストッパを前記突出位置と前記格納位置との間で回動軸回りに回動し得るように連結するヒンジ連結部と、前記カートストッパ及び前記荷受台間に介在して該カートストッパを前記突出位置に付勢するハンガスプリングとを備え、前記ヒンジ連結部は、前記カートストッパに基部が固定される第1ヒンジ部材と、前記荷受台に基部が固定される第2ヒンジ部材とを有すると共に、それら第1,第2ヒンジ部材の先部相互が左右方向に並列し且つ前記回動軸を介して枢支連結されており、前記ハンガスプリングは、間隔をおいて並ぶ一対の側片部と、その両側片部間を接続する中間曲がり部とを有してU字状に形成され、前記一対の側片部のうち前記カートストッパ寄りの前記側片部の先端部は、前記第1ヒンジ部材に隣接し、少なくとも一方の前記側片部は、該一方の側片部と対応する前記ヒンジ部材に対し左右何れの方向にも移動規制されるように係合していることを第2の特徴とする。
【0009】
また本発明は、第1の特徴に加えて、前記規制部は、前記他方の側片部の前記張出端部を折り曲げて形成される折曲部で構成されることを第3の特徴とする。
【0010】
また本発明は、第1~第3の何れかの特徴に加えて、前記カートストッパの左右方向中央より両端側に偏らせて配置した前記ハンガスプリングが、これの前記中間曲がり部を該カートストッパの左右方向中央側に向けて配置されることを第4の特徴とする。
【0011】
本発明および本明細書において、「左右方向」とは、荷受台(従ってカートストッパ)の左右方向をいう。
【0012】
また本発明において、「側片部の先端部は、第1ヒンジ部材に隣接し」とは、側片部の先端部が第1ヒンジ部材の側面に当接し又は小間隙を挟んで対向するものが含まれることは元より、第1ヒンジ部材の下面に当接するもの、或いは第1ヒンジ部材の裏側を通って第1ヒンジ部材の裏面に当接し又は小間隙を挟んで対向するものも含まれる。
【0013】
また本発明において、「左右何れの方向にも移動規制されるように係合し」とは、側片部とヒンジ部材との間の係合部に遊び(ガタ)の無い係合が含まれることは元より、同係合部に多少の遊び(ガタ)の有る係合も含まれる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の第1・第2の各特徴によれば、ハンガスプリングの位置にヒンジ連結部が配置されるため、カートストッパの、ハンガスプリングと対応する部分に、積荷であるカートの車輪の力が加わってもヒンジ連結部でカートストッパを効果的に補強できて、カートストッパの変形を抑制可能である。
【0015】
また特に第1の特徴によれば、U字状のハンガスプリングは、これの一方の側片部の先端部が、何れか一方のヒンジ部材の、左右方向一方側の側面に係合可能に対向し、また他方の側片部が、何れか他方のヒンジ部材の裏側を通って他方のヒンジ部材の、左右方向他方側の側面より外方に張出し、且つその張出端部に該他方側の側面と係合可能な規制部を有する。これにより、ハンガスプリングは、一方の側片部(先端部)と他方の側片部(張出端部の規制部)との間でヒンジ連結部を左右方向に挟む支持形態となり、従って、ヒンジ連結部にハンガスプリングを、左右方向の位置ずれを抑えつつ的確に保持可能となる。しかもハンガスプリングは、これが配置されるヒンジ連結部の左右一方側にのみ長く張出し、左右他方側への張出しを最小限に抑えることができるため、ハンガスプリングがヒンジ連結部周辺の他の部品等と干渉しにくくなり、それだけヒンジ連結部の配置に制約が少なくなって、設計自由度を高めることができる。
【0016】
また特に第2の特徴によれば、U字状のハンガスプリングは、カートストッパ寄りの側片部の先端部が、カートストッパに基部が固定される第1ヒンジ部材に隣接し、少なくとも一方の側片部が、これと対応するヒンジ部材に対し左右何れの方向にも移動規制されるように係合するので、ハンガスプリングの一対の側片部でヒンジ連結部を左右から挟む支持形態をとらずとも、ハンガスプリングは、左右に位置ずれすることなく定位置に的確に保持可能となる。
【0017】
また第3の特徴によれば、上記規制部は、ハンガスプリングの他方の側片部の張出端部を折り曲げて形成される折曲部で構成されるので、ハンガスプリングの一部(折曲部)がハンガスプリングの左右の位置ずれを規制する規制部に兼用でき、これにより、部品点数に削減、延いてはコスト節減に寄与することができる。
【0018】
また第4の特徴によれば、カートストッパの左右方向中央より両端側に偏らせて配置したハンガスプリングが、これの中間曲がり部をカートストッパの左右方向中央側に向けて配置されるので、荷受台の左右両端付近に他の部品(例えば荷受台の側壁部や、カートストッパの格納位置保持用のロック装置等)が配備されても、ハンガスプリングの中間曲がり部を左右方向内向きとしたことで、その部品とハンガスプリングとの相互干渉を容易に回避可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明荷受台昇降装置におけるストッパ装置の第1実施形態を装備した貨物自動車の後部側面図
図2図1の2矢視拡大平面図
図3】カートストッパ及びその周辺部の斜視図
図4図3の仮想線囲い部分の拡大斜視図
図5図4と同じ側から見たヒンジ連結部の分解斜視図
図6図2の6矢視部の一部破断拡大図
図7図2の7矢視部の一部破断拡大図
図8図6の8-8線に沿うカートストッパ格納時断面図
図9】カートストッパ起立状態を示す図8対応断面図
図10図8の10-10線に沿う断面図
図11図7の11-11線に沿う断面図
図12図7の12-12線に沿う断面図
図13図12の13-13線に沿う断面図
図14】第2実施形態のストッパ装置の要部を示す図6対応断面図
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施形態を、添付図面を参照して以下に具体的に説明する。
【0021】
この実施形態は、床下格納式の荷受台を備えた荷受台昇降装置に、本発明ストッパ装置を実施した場合である。
【0022】
先ず、図1図13を参照して第1実施形態を説明する。図1において、貨物自動車の車体フレーム1上には、荷台3を有する荷箱2が搭載され、この荷箱2の後面に図示しない後部扉により開閉される出入口4が開口される。車体フレーム1の後部には、荷箱2の床下に格納可能な荷受台昇降装置が、前後方向に移動可能に支持される。車体フレーム1の後部には、支持フレーム5が該車体フレーム1の前後方向に移動可能に支持されている。支持フレーム5には、メインアーム6およびサブアーム7の基部がそれぞれ上下方向に揺動可能に軸支され、これらのアーム6,7の先部に荷受台8の基部フレーム9が連結される。また、前記支持フレーム5とメインアーム6の先部との間には昇降用油圧シリンダ10の両端が連結されている。荷受台8は昇降用油圧シリンダ10の伸縮作動により、図1の実線と鎖線で示すように昇降作動することができ、上昇位置にある荷受台8は、荷箱2の荷台3と略同一面とすることができ、また、鎖線に示すように下降位置にある荷受台8は、荷箱2の床下に格納することができる。
【0023】
荷受台8は、図1,2に示すように、前記基部フレーム9に一体的に設けられる基部側荷受台8Aと、その自由端に、ヒンジ軸11を以て折り畳み可能に連結される先部側荷受台8Bとよりなり、図1鎖線に示すように先部側荷受台8Bは、ヒンジ軸11まわりに基部側荷受台8A上に重なるように反転して折り畳むことができる。
【0024】
なお、荷受台8の昇降装置およびその荷箱2の床下への格納装置は従来公知のものであるので、その詳細な説明を省略する。
【0025】
また、図示しないが、荷受台8は、荷箱2の荷台3上に格納するようにしてもよい。
【0026】
荷受台8は、全体がAl合金の押出成型により構成され、それらの左右両側縁は、縁取部材12により縁取りされている。
【0027】
車両の縦中心線C-Cの左右には、先部側荷受台8Bにストッパ装置STがそれぞれ設けられ、各ストッパ装置STは、荷受台8上に載置された荷物、特にカート(二輪の荷車)の車輪W(図9参照)を的確に受け止めて、これが荷受台8の昇降中に落下するのを未然に防止する。
【0028】
先部側荷受台8Bは、その主体部分をなす平坦部Fと、この平坦部Fの後端(先端)に一体に連続するスロープ部Sとを備えており、前記平坦部Fの上面は平坦面に形成されるのに対し前記スロープ部Sの上面は、その前端から後端に向かって下り勾配の傾斜面に形成され、その上面はフラットに形成されている。
【0029】
図3に示すように、前記荷受台8(先部側荷受台8B)の前後方向の中間部には、その左右方向に帯状のストッパ収容凹部16が形成され、このストッパ収容凹部16には、左右方向に長い帯板状に延びるカートストッパ15が収容される。
【0030】
ストッパ収容凹部16の底部には、後述するヒンジ連結部Hの回動軸としてのヒンジ軸18が、荷受台8の幅方向に沿って延び、カートストッパ15の長手方向に沿って設けられる。カートストッパ15は、ヒンジ軸18まわりに、伏倒位置(格納位置)と、起立位置(作動位置)との間で上下に起伏回動できるようにされる。そして、カートストッパ15が、起立されると、その先端は、荷受台8上のカートの車輪Wなどの荷物を受け止めることができる。カートストッパ15は、積載物からの負荷により変形したり、損傷したりすることがないように充分の強度を保有し、かつ荷受台8上への積載物の積み降ろしに支障がないように形成されている。
【0031】
図4~9に示すように、ストッパ収容凹部16の底部には、上段部16uと、それよりも低い下段部16dが形成され、それらの間に段差部16sが形成されている。
【0032】
図2、3で明らかなように、前記ストッパ収容凹部16内には、カートストッパ15を上下方向に回動可能にヒンジ連結する複数の前記ヒンジ連結部Hが、ストッパ収容凹部16の長手方向(横方向)に間隔をあけて設けられる。図2,3は、荷受台8の左半分(即ち車両の縦中心線C-Cの左側半分)を示しており、荷受台8の左右中央側のヒンジ連結部Hと左端寄りのヒンジ連結部Hとにそれぞれ対応した位置で、ストッパ収容凹部16には、カートストッパ15を起立位置に弾発付勢するハンガスプリング28が収納されている。
【0033】
ハンガスプリング28は、互いに間隔をおいて並び且つ概略ね左右方向に延びる第1,第2側片部28a,28bと、その第1,第2側片部28a,28b間を一体に接続し且つ円弧状に湾曲した中間曲がり部28cとを有して全体としてU字状に形成したスプリング材より構成される。
【0034】
尚、ヒンジ連結部Hおよびハンガスプリング28は、図示しないが、荷受台8の右半分(即ち縦中心線C-Cの右側半分)にも、左側のヒンジ連結部Hおよびハンガスプリング28とは対称的に配備される。
【0035】
各々のハンガスプリング28の第2側片部28bは、ストッパ収容凹部16の底壁に形成したフック状の下部係合凹部24に係合し、また第1側片部28aの先端部28ae(即ち自由端部)は、カートストッパ15の裏面に形成したフック状の上部係合凹部25に係合する。これにより、ハンガスプリング28の弾発力は、カートストッパ15を起立位置に付勢する。
【0036】
そして、ハンガスプリング28は、カートストッパ15の左右中央側の2つのヒンジ連結部Hと、左右両端に近い2つのヒンジ連結部Hにそれぞれ対応した位置に配置されるため、カートストッパ15には、その左右中央部と左右両端寄り部位とに、ハンガスプリング28の弾発付勢力が分散して直接作用する。
【0037】
各々のヒンジ連結部Hは同じ構造であるので、主に、図4~7,10を参照して、その一つについて次に説明する。即ち、ヒンジ連結部Hは、カートストッパ15の内面に基部20bが固定される第1ヒンジ部材としての上部ヒンジ部材20と、ストッパ収容凹部16の底部(下段部16d)に基部21bが固定される第2ヒンジ部材としての下部ヒンジ部材21とを備える。それら上部ヒンジ部材20及び下部ヒンジ部材21の先部20a,21a相互は、左右方向に並列すると共にヒンジ軸18を介して相対回動可能に枢支連結される。
【0038】
而して、ストッパ収容凹部16の上段部16uと、下段部16dとで形成される段差部16sは、ヒンジ連結部Hの下部ヒンジ部材21および上部ヒンジ部材20で形成される隙間にハンガスプリング28を配置できるため、ヒンジ連結部Hやストッパ収容凹部16のいずれかにハンガスプリング配置用の凹みを形成するのに比べて、組立時にハンガスプリング28を配置する隙間の寸法を調整することができる。
【0039】
図5に示すように、上部ヒンジ部材20の前記基部20bは、平板状に形成されてカートストッパ15の背面に沿って重合し且つカートストッパ15に一対のボルト・ナット22、22により固着されており、またその基部20bと一体の先部20aは、ヒンジ軸18を回動可能に嵌合支持する軸受ボス部として機能する。
【0040】
一方、下部ヒンジ部材21は、平板状に形成されてストッパ収容凹部16の底部(下段部16d)に重合し且つボルト23で固定される基部21bと、その基部21bの後端より斜め上方に延出して上部ヒンジ部材20の先部20aを左右方向に挟む(従って先部10aと左右方向に並列する)左右一対の先部21a,21aとを一体に有している。その先部21a,21aは、ヒンジ軸18を回動可能に嵌合支持する軸受ボス部として機能する。
【0041】
下部ヒンジ部材21の基部21b上面には、カートストッパ15と上部ヒンジ部材20の基部20b間を結合するボルト・ナット22を、カートストッパ15の格納時に受容する凹部21bhが設けられる。これにより、下部ヒンジ部材21は、これの基部21bの肉厚減少を極力抑制しながら、固定具22と基部21bとの干渉を回避できる。
【0042】
ところで図2~4で明らかなように、ハンガスプリング28の第1側片部28aは、これの先端部28aeの端面が、上部ヒンジ部材20の、左右方向一方側の側面(より具体的には基部20bの側面)20sに係合可能に対向配置される。その先端部28aeは、図示例では上記側面20sとカートストッパ15裏面の前記上部係合凹部25とに的確に係合し得るように彎曲形成されている。
【0043】
またハンガスプリング28の第2側片部28bは、下部ヒンジ部材21の裏側を通って下部ヒンジ部材21の、左右方向他方側の側面(より具体的には先部21aの側面)21sより外方に張出し、且つその張出端部に該他方側の側面21sと係合可能な規制部28bsを有する。この規制部28bsは、図示例では第2側片部28bの上記張出端部を折り曲げて形成される折曲部で構成される。
【0044】
かくして、ハンガスプリング28は、これの第1側片部28a(先端部28ae)と第2側片部28b(張出端部の規制部28bs)との間でヒンジ連結部Hを左右方向に抱え込むように挟む支持形態となるため、ヒンジ連結部Hにハンガスプリング28を、左右方向の位置ずれを抑えつつ的確に保持可能となる。
【0045】
また複数あるハンガスプリング28のうち、特にカートストッパ15の左右方向中央より両端側に偏らせて配置した左右一対のハンガスプリング28は、図2~4で明らかなように、U字状をなす中間曲がり部分28cをカートストッパ15の左右方向中央側に向けて配置されている。
【0046】
以上により、荷受台8のストッパ収容凹部16内に収容されるカートストッパ15は、複数のヒンジ連結部Hにより、前記ヒンジ軸18回りに伏倒位置(図8)と起立位置(図9)との間を起伏回動可能である。
【0047】
カートストッパ15の先部と、荷受台8のストッパ収容凹部16間には、カートストッパ15が前後方向にずれるのを抑制して、カートストッパ15の変形を抑止するためのストッパ変形抑止構造が設けられる。
【0048】
次に、図8,9を参照して、このストッパ変形抑止構造について説明する。
【0049】
カートストッパ15は、前述のように、荷受台8の幅方向に延びるヒンジ軸18回りに回動して起立位置と格納位置とに姿勢変更可能であり、そのカートストッパ15の先端部には、その背面側に向けて突出する横断面三角状の凸部15aが形成されており、その凸部15aには、車両前後方向の前から後に向かって下り勾配に傾斜する第1傾斜面151 と、車両前後方向の前から後に向かって上り勾配に傾斜する第2傾斜面152 が形成されており、一方、荷受台8のストッパ収容凹部16の先部には、前記カートストッパ15の先端部に対向して、横断面三角状の凹部16aが形成されており、この凹部16aには、前記第1傾斜面151 と、第2傾斜面152 とにそれぞれ対峙し得る第1傾斜受面161 と、第2傾斜受面162 とが形成されている。
【0050】
前述のように、前記垂直部15vは、仮想線Lと直交する方向に延びる。このためカートストッパ15の格納時に、寸法誤差で垂直部15vが荷受台8より上方に突出して、作業者の足などがに垂直部15vに当たつたとしても、その力は回動中心に向き易い。これによりカートストッパ15の起立方向に力が加わって、後述するストッパロック装置LOに余計な負荷がかかることを抑制できる。
【0051】
前記第1傾斜受面161 は、カートストッパ15の格納位置の第1傾斜面151 の下に位置し、前から後に向かって下り勾配に傾斜する面であり、前記第2傾斜受面162 は、カートストッパ15の格納位置の第2傾斜面152 の下に位置し、前から後に向かって上り勾配に傾斜する面である。そして、図8に示すように、第1傾斜面151 と、第1傾斜受面161 とが当接することにより、カートストッパ15が前方にずれることを抑制し、また第2傾斜面152 と第2傾斜受面162 とが当接することにより、カートストッパ15が後方にずれることを抑制することができる。これによりカートストッパ15のヒンジ軸18に前後方向の力が加わって変形してしまうことを抑制することができる。
【0052】
図8に示すように、カートストッパ15には、前から第1傾斜面151 、第2傾斜面152 、第1傾斜面151 の順に傾斜面を設けている。ストッパ収容凹部16は、前から第1傾斜受面161 、第2傾斜受面162 、第1傾斜受面161 の順に設けている。
【0053】
これにより、カートストッパ15は隣り合う第1、第2傾斜面151 ,152 により凸部、第2、第1傾斜面152 ,151 により凹部が形成され、ストッパ収容凹部16には、隣り合う第1、第2傾斜受面161 ,162 により凹部が形成され、また第2、第1傾斜受面162 ,161 により凸部が形成され、カートストッパ15とストッパ収容凹部16それぞれの凹凸部が嵌合するため、カートストッパ15の前後のずれをより確実に抑制することができる。
【0054】
また、図8,9に示すように、カートストッパ15の先端(自由端)には、その上面から垂直に下方に延びる垂直部15vが形成されており、図9に模式図で示すように、この垂直部15vの下端dは、ヒンジ軸18の中心から荷受台8の上面と平行に延ばした仮想線Lよりも上方に位置している。これによりカートストッパ15のヒンジ軸18まわりの格納位置から起立位置への回動時に、前記垂直部15vの下端dは、必ず荷受台8の後方向に移動するため、カートストッパ15を格納するストッパ格納凹部16の前側に、カートストッパ15との干渉を避けるための凹んだスペースを設ける必要がなく、ストッパ収納凹部16の強度アップを図ることができる。カートストッパ15の上面Uには、滑り止め用の凹凸15bが形成される。
【0055】
垂直部15vは、仮想線Lと直交する方向に延びる。このため、ストッパ格納時に、寸法誤差で垂直部が荷受台より上方に突出して、作業者の足などが垂直部に当たったとしても、その力は回動中心に向きやすい。これによりストッパ起立方向に力が加わって、ストッパロック装置に余計な負荷がかかることを抑制する。
【0056】
前記凸部15aに嵌着した断面円形のゴムクッション29は、その凸部15aと荷受台8の凹部16aとの当接時のショックおよび衝撃音を緩和する。また、ストッパ収容凹部16の後端隅部にもゴムクッション27が設けられ、カートストッパ15が起立回動したとき、その基部が、そのゴムクッション27に当接して、その際のショックおよび衝撃音を緩和する。
【0057】
前記ストッパ収容凹部16の左右方向の両側には、前記カートストッパ15を伏倒位置(格納位置)にロックし、あるいはロック解除する、対をなすロック装置LO,LOが設けられる。対をなすロック装置LO,LOは同じ構造であるので、以下に左側のロック装置LOの構造を主に、図7,11~13を参照して説明する。
【0058】
このロック装置LOは、カートストッパ15の裏面に固定される被係合部材30と、この被係合部材30に係脱し得る係合部材31と、この係合部材31を作動する作動機構32とより構成されている。前記被係合部材30は、カートストッパ15の裏面にボルト止めされる支持部材33に一体に垂設されて、U字状に形成される。一方、前記係合部材31は、先端に前記被係合部材30と係脱し得る先部の上面に、前方に向かって下る傾斜案内面31aを有して断面四角な棒状に形成されている。前記作動機構32は、手動により前記係合部材31を、被係合部材30に対して前後にスライド移動させて、そこに係脱できるように構成されている。ストッパ収容凹部16下の底板35にはベース36が固定され、このベース36の、前記被係合部材30寄りの上面には、中空の角筒部材38が固定され、この角筒部材38に前記係合部材31が前記被係合部材30に対して前後にスライド移動できるように嵌挿されている。角筒部材38内には、その後端壁と係合部材31の後端間に第1の付勢手段40、すなわち第1の圧縮コイルばねが縮設されており、この第1の付勢手段40の弾発力は、係合部材31を突出する方向、すなわち被係合部材30と係合する方向に常時付勢している。また、角筒部材38内には、その後端壁に開口した通孔を貫通して、その角筒部材38の中心軸線に沿って案内棒41が挿入され、この案内棒41は、前記圧縮コイルばねよりなる第1の付勢手段40を挿通して係合部材31の中心軸線に沿って穿設した行き止まりの案内孔43内に摺動自在に嵌入されている。また係合部材31の中間部には、その長手方向に沿って長孔44が穿設され、この長孔44に、案内棒41の途中に横向きに固定した係合ピン46が摺動自在に係合されている。したがって、図12,13に示すように、前記係合部材31は、第1の圧縮コイルばね40の弾発力により、係合ピン46が長孔44の後端に係合するまで前方、すなわち被係合部材30に向けて突出するように付勢される。案内棒41の角筒部材38よりも後方に突出する後端には、径大なボス部41aが一体に形成され、このボス部41aの端面が、後述する第2の付勢手段である前記第2の圧縮コイルばね54(第1の圧縮コイルばね40よりもばね力が大きい)の弾発力により角筒部材38の後端面に突き当たることにより、案内棒41の位置が規制される。前記案内棒41後端のボス部41aには、その案内棒41と同一軸線上に、長いボルトよりなる作動棒48の先端部が螺合されて、長さ調節機構49を介して一体に連結される。長さ調節機構49は、ボス部41aに形成した雌ねじ孔49aと、作動棒48の一端部に形成されて雌ねじ孔49aに長さ調節可能に螺合される雄ねじ49bと、その雄ネジ49bに螺合されてボス部41aの外端に衝き当てられるナット49cとより構成されている。
【0059】
作動棒48は、前記カートストッパ15を越えて荷受台8の側縁の操作フレーム13の下まで延長しており、その延長部は、そこに嵌挿されるスリーブ50を介してベース36に固定された軸受51に摺動自在に貫通支持されている。スリーブ50の外端は末広状に拡開されていて長いボルトよりなる作動棒48の外端の頭部に、第2の付勢手段すなわち第2の圧縮コイルばね54の弾発力により係合しており、作動棒48とスリーブ50とは一体的に外方へ移動可能である。作動棒48に嵌挿されて前記ナット49cに着座されるバネ座53と、前記軸受51の端縁間には、前記第1の付勢手段40よりもばね力の大きい第2の付勢手段すなわち第2の圧縮コイルばね54が縮設されており、この第2の圧縮コイルばね54は、作動棒48および案内棒41を介して前記係合部材31を突出する方向に弾発付勢している。
【0060】
前記軸受51と作動棒48の端縁間のスリーブ50の外周には、上方に延びる操作部材としての操作レバー56を固定したレバースリーブ57が一体に設けられており、ベース36の外端部には、前記操作レバー56を取り囲むようにして、門型に形成した操作盤58が固定され、この操作盤58の上面は、先部側荷受台8Bの一側に固定した操作フレーム13の開口を通して外部に露出しており、その上面にガイド溝60が形成され、このガイド溝60に前記操作レバー56が貫通し、この操作レバー56は、操作フレーム13の開口を通って先部側荷受台8B上より操作できるようになっている。
【0061】
ガイド溝60には、操作レバー56を前記第1、第2の圧縮コイルばね40,54の弾発力に抗してロック解除位置(係合部材31の後退位置)に係止するための第1溝部60aと、この第1溝部60aと反対側にあって、前記操作レバー56を前記第1、第2の圧縮コイルばね40,54の弾発力によりロック位置(係合部材31の前進位置)に保持するとともに前記ロック解除位置への移動を許容する軸方向の長さを有する第2溝部60bが形成され、さらに前記第1溝部60aと第2溝部60b間に跨がり、操作レバー56をそれらの溝部60a,60b間に案内する傾斜カム面60cが形成されており、この傾斜カム面60cの一端は、第2溝部60b内に臨んでいる。
【0062】
図11に示すように、操作レバー56は、横方向に長い四角筒体により形成され、その上端に長方形状の第1の操作面56aが、その一側面に第2の操作面56bが形成されている。
【0063】
貨物自動車を停車させ、荷箱2内の荷物を地上に降ろす場合には、荷受台8を図1に実線で示すように、荷箱2の荷台3と同じレベルまで上昇させ、先部側荷受台8Bを手動により張出位置に回動させる。つぎに格納位置にある操作レバー56の第2の操作面56bを足で蹴るなどして外側に移動させると、該操作レバー56は、第1,第2の圧縮コイルばね40,54の弾発力に抗して外側に移動する。これにより作動棒48および案内棒41が第1,第2の圧縮コイルばね40,54の弾発力に抗して後退し、係合部材31が後退作動されて、被係合部材30から外れる。以上のように、カートストッパ15がロック解除位置に保持されると、カートストッパ15は、上方に回動して起立位置に保持される。このとき、操作レバー56は、その第2の操作面56bがガイド溝60の傾斜カム面60cに係合しているため、第1,第2の圧縮コイルばね40,54の付勢力により自動的にロック位置に戻される。
【0064】
つぎに、荷台3上の荷物を図示しないカートに移載して荷受台8上に移動し、荷受台昇降装置の作動により荷受台8を下降させる。このとき、カートの車輪Wは、起立しているカートストッパ15の先端部の下面に当接して、荷受台8の先部からカートが落下するのを防止することができる。荷受台8が地上まで下降したら、突出しているカートストッパ15を足で踏みつけるなどして格納位置に揺動する。このとき、カートストッパ15下の被係合部材30は、ロック位置(突出位置)にある係合部材31の傾斜案内面31aに押し付けられ、この押付力の、係合部材31の軸方向の分力により係合部材31は、第1,第2の圧縮コイルばね40,54の付勢力に抗して後退方向にスライドするため、被係合部材30が係合部材31よりも下方に移動すると、被係合部材30による押付力から解除された係合部材31は、第1,第2の圧縮コイルばね40,54の付勢力により係合方向にスライド前進して、被係合部材30に係合することができる。これにより、カートストッパ15は、先部側荷受台8Bの上面と略同一面になり、荷受台8上のカートを支障なく地上に降ろすことができる。
【0065】
つぎに、地上の荷物を荷箱2の荷台3上に積み込む場合には、操作レバー56の第1の操作面56aを荷受台8の基部側から先部側に向かって足で蹴るなどして、該操作レバー56を起立揺動させる。すると、操作レバー56は、ガイド溝60の傾斜カム面60cに沿って移動し、これにより係合部材31はロック位置からロック解除位置に後退してその位置に保持される。これによりストッパ15は捩りばね23の弾発力によりふたたび起立位置に保持される。
【0066】
地上の荷物をカートに載せて荷受台8上に走行移動させる。このとき、カートの車輪Wが、付勢手段の弾発力に抗してカートストッパ15を乗り越えると、カートストッパ15は、ふたたび付勢手段の弾発力により、起立位置まで上方に回動して、カートを荷受台8上に係止することができる。
【0067】
さらに荷受台8上のカートを荷箱2に向けて押して、その車輪Wがカートストッパ15を踏み越えると、ふたたびカートストッパ15が突出位置に保持される。その後、荷受台昇降装置の作動により荷受台8を荷台3と略面一になるまで上昇させ、カートを荷台3上に走行移動させることができる。このとき、カートの車輪Wは、カートストッパ15の下面先端に当接されているためカートが荷受台8から落下することが防止される。
【0068】
以上のように、カートストッパ15は、操作レバー56の回動およびスライド操作で係合部材31を前進あるいは後退させて、被係合部材30に係脱させ、カートストッパ15を格納位置に伏倒し、あるいは作動位置に起立させることができる。
【0069】
ところで本実施形態では、ハンガスプリング28の位置にヒンジ連結部Hが配置されるため、カートストッパ15の、ハンガスプリング28と対応する部分に、積荷であるカートの車輪の力が加わってもヒンジ連結部Hでカートストッパを効果的に補強でき、カートストッパ15の変形抑制に有効である。
【0070】
またU字状をなすハンガスプリング28は、これの第1側片部28aが上部ヒンジ部材20の、左右方向一方側の側面(より具体的には基部20bの側面)20sに係合可能に対向し、また第2側片部28bが、下部ヒンジ部材21の裏側を通って下部ヒンジ部材21の、左右方向他方側の側面(より具体的には先部21aの側面)21sより外方に張出し、且つその張出端部に該他方側の側面21sと係合可能な規制部28bsを有する。これにより、ハンガスプリング28は、これの第1,第2側片部28a,28bの相互間((より具体的には第1側片部28aの先端部28aeと第2側片部28bの規制部28bsとの間)でヒンジ連結部Hを左右方向に抱え込むように挟む支持形態となるため、ヒンジ連結部Hにハンガスプリング28を、左右方向の位置ずれを抑えつつ的確に保持可能となる。
【0071】
しかもハンガスプリング28は、これが配置されるヒンジ連結部Hの左右一方側にのみ長く張出し、左右他方側への張出しを最小限に止めることができるため、ハンガスプリング28が、ヒンジ連結部H周辺の他の部品との相互干渉しにくくなり、それだけヒンジ連結部Hのレイアウトに制約が少なくなり、荷受台8の設計自由度が高められる。
【0072】
また複数あるハンガスプリング28のうち、特にカートストッパ15の左右方向中央より両端側に偏らせて配置した左右一対のハンガスプリング28は、図2~4で明らかなように、U字状をなす中間曲がり部分28cを左右方向内向き(即ちカートストッパ15の左右方向中央側に向けて)配置されている。これにより、荷受台8の左右両端付近に他の部品(例えば荷受台の側壁部や、カートストッパ15の格納位置保持用のロック装置LO等)が配備されても、ハンガスプリング28の中間曲がり部分28cを左右方向内向きとしたことで、その部品とハンガスプリング28との相互干渉を容易に回避可能となる。
【0073】
また上記規制部28bsは、図示例では第2側片部28bの前記した張出端部を折り曲げて形成される折曲部で構成されるため、ハンガスプリング28の一部(折曲部28bs)が、ハンガスプリング28の左右の位置ずれを規制する規制部に兼用される。これにより、部品点数に削減、延いてはコスト節減に寄与することができる。
【0074】
ところで図14には、第2実施形態が示される。
【0075】
第1実施形態では、ハンガスプリング28が第1側片部28a(先端部28ae)と第2側片部28b(折り曲げ状態の張出端部28bs)との間でヒンジ連結部Hを左右方向に挟む支持形態としたのに対し、第2実施形態では、ハンガスプリング28の荷受台8寄りの第2側片部28bが、これと対応する下部ヒンジ部材21に対し左右何れの方向にも移動規制されるよう係合している。
【0076】
その係合構造をより具体的に説明すると、下部ヒンジ部材21の側面21sにブラケット71が一体的に突設、固定(例えば溶接)され、そのブラケット71の先部に設けた規制孔71hに、下部ヒンジ部材21の裏側を通って側面21sの外側方に張出し且つブラケット71側に折り曲げられる張出端部28bsを挿通、係合させる。
【0077】
またハンガスプリング28のカートストッパ15寄りの第1側片部28aは、これの先部28ae′が、上部ヒンジ部材20の基部20bの下面(より具体的には下面に基部20bを横切るよう凹設した溝20bs)に当接状態で隣接配置される。従って、第1側片部28aの先部28ae′は、下方から見て上部ヒンジ部材20の基部20b(特に上記溝20bs対応部分)に重なり合う配置となり、ハンガスプリング28の上向きの弾発力は、第1側片部28aから上部ヒンジ部材20を介してカートストッパ15に伝達されるので、その弾発力をカートストッパ15に直接作用させる場合よりもカートストッパ15の荷重負担が軽減される。
【0078】
第2実施形態のその他の構成は、第1実施形態と基本的に同じであるので、それ以上の説明は省略する。
【0079】
かくして、第2実施形態の上記構成によっても第1実施形態と同等の効果を達成可能であるが、特に第2実施形態では、第2側片部28bを対応する下部ヒンジ部材21に対し左右何れの方向にも移動規制されるよう係合させるので、第1実施形態のようにハンガスプリング28の第1,第2側片部28a,28bでヒンジ連結部Hを左右から挟む支持形態をとらずとも、ハンガスプリング28は、左右に位置ずれすることことなくヒンジ連結部Hの定位置に的確に保持可能となる。
【0080】
尚、第2実施形態の変形例として、ブラケット71を設けないで、下部ヒンジ部材21そのものに規制孔を設け、この規制孔にハンガスプリング28の張出端部28bsを左右何れの方向にも移動規制されるよう係合させてもよい。
【0081】
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明はその実施例に限定されることなく、本発明の範囲内で種々の実施例が可能である。
【0082】
たとえば、荷受台昇降装置の荷受台8は、実施形態では床下格納式のものについて説明したが、起立格納式、垂直昇降式、その他の昇降型式のものでもよい。
【0083】
また前記実施形態では、荷受台8やカートストッパ15の上面には、滑り止め用の凹凸が形成されるが、その凹凸は無くてもよい。
【0084】
また前記実施形態では、複数のハンガスプリング28の全てを、ヒンジ連結部Hの左右方向一方側にだけ長く張出す構造としたが、一部のハンガスプリング28を別のスプリング構造、例えば、前記特許文献2に示すようにヒンジ連結部Hの左右方向一方側及び他方側に各々長く張出すスプリング構造に置き換えてもよい。
【0085】
また前記実施形態では、カートストッパ15を伏倒位置(格納位置)にロック可能なロック装置LOを、カートストッパ15の左右両端部周辺に配設したものを示したが、ロック装置LOをカートストッパ15の左右中央部に配設してもよい。或いはまた、ロック装置を省略して、外力を受けない場合にはカートストッパ15を常時起立状態(即ち突出位置)に弾発、保持するようにしてもよい。
【0086】
また前記実施形態では、ヒンジ連結部Hの下部ヒンジ部21が、ヒンジ軸18に対する軸受ボス部となる先部21aを一対有して、上部ヒンジ部20(具体的には先部20a)を左右から挟む構造のものを示したが、下部ヒンジ部21において軸受ボス部となる先部21aは1つだけでもよい。即ち、ヒンジ連結部Hは、上部ヒンジ部材20を下部ヒンジ部材21で挟まない構造(例えば特許第6143302号公報参照)でもよい。
【0087】
また第1実施形態では、ハンガスプリング28の第1側片部28aを上部ヒンジ部材20の側面20sに多少のガタ(即ち遊隙)を介して対向配置したものを示したが、当該側面20sに当接状態で(即ちガタなく)対向配置してもよい。またハンガスプリング28の第2側片部28bの規制部となる折曲部28bsを、下部ヒンジ部材21の側面21sにガタなく係合させたものを示したが、その係合部に多少のガタを設けてもよい。
【0088】
また前記実施形態では、U字状をなす中間曲がり部28cがカートストッパ15の左右中央側を向く内向きハンガスプリング28を、カートストッパ15の左右両端側にそれぞれ偏らせて左右一対、配置したものを示したが、その内向きハンガスプリング28を左右何れか一方側にだけ偏らせて配置してもよく、その場合に他方側に配置されるハンガスプリングとして別構造のハンガスプリング(例えば特許文献2に記載のもの)を採用してもよい。
【0089】
また第1実施形態では、ハンガスプリング28の短めの第1側片部28aが上部ヒンジ部材20の、左右方向一方側の側面20sに対向し、また長めの第2側片部28bが、下部ヒンジ部材21の裏側(即ち荷受台8のストッパ収容凹部16との間)を通って下部ヒンジ部材21の、左右方向他方側の側面21sより外方に張出し、且つその張出端部に該他方側の側面21sと係合可能な規制部(折曲部)28bsを有する構造を示した。これに対し、ハンガスプリング28の第1,第2側片部28a,28b相互の長さ関係を長短逆として、短めの第2側片部28bが下部ヒンジ部材21の、左右方向一方側の側面に対向し、また長めの第1側片部28aが、上部ヒンジ部材20の裏側(即ちカートストッパ15との間)を通って上部ヒンジ部材20の、左右方向他方側の側面より外方に張出し、且つその張出端部に該他方側の側面と係合可能な規制部(折曲部)を有する構造の変形例の実施も可能である。
【0090】
また第1実施形態及びその変形例では、一方の側片部28aの先端部28aeを対応するヒンジ部材20の外方側の側面20sに係合可能に対向させるものを示したが、ヒンジ部材20の内方側の側面(例えばヒンジ部材20の凹状部の内側面)に係合可能に対向させるようにしてもよい。また、第1実施形態及びその変形例では、他方の側片部28bの張出端部を折り曲げて形成される折曲部で、ヒンジ部材21の側面21sに係合可能な規制部を構成したものを示したが、一方の側片部28bの張出端部を折り曲げず、これに固着(例えば溶接)したストッパ片で上記規制部を構成してもよい。
【0091】
また第2実施形態では、第2ヒンジ部材21(ブラケット71)に対し第2側片部28b(張出端部28bs)を左右何れの方向にも移動規制されるよう係合させる係合構造を示したが、この係合構造に代えて、又は加えて、第1ヒンジ部材22に対し、これと隣接させた第1側片部28aを左右何れの方向にも移動規制されるよう係合させる係合構造を実施してもよい。この場合は、例えば、第2側片部28bを第2ヒンジ部材21より離間(即ち分離独立)させる変形例、或いは第2側片部28bを第2ヒンジ部材21の裏側に通すだけで前記規制部を省略した変形例も実施可能である。
【0092】
またハンガスプリング28の側片部28a,28bと、これに対応するヒンジ部材20,21との係合態様であるが、前記実施形態及びその変形例とは別の係合態様も実施可能である。例えば、ヒンジ部材20,21の外面に設けた凹部に側片部28a,28bを引っ掛けたり、或いは、ヒンジ部材20,21の外面に突き出すヒンジ部材固定用のボルト又はナットに側片部28a,28bを引っ掛けたりしてもよい。或いはまた、ヒンジ部材20,21に側片部28a,28bを左右方向に位置ずれしない十分な圧接力(摩擦力)で摩擦係合させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0093】
H・・・・・・ヒンジ連結部
8・・・・・・荷受台
15・・・・・カートストッパ
18・・・・・回動軸としてのヒンジ軸
20・・・・・第1ヒンジ部材(何れか一方のヒンジ部材)としての上部ヒンジ部材
21・・・・・第2ヒンジ部材(何れか一方のヒンジ部材)としての下部ヒンジ部材
20a,21a・・先部
20b,21b・・基部
20s,21s・・側面
28・・・・・ハンガスプリング
28a・・・・一方の側片部・カートストッパ寄りの側片部としての第1側片部
28ae・・・先端部
28b・・・・他方の側片部としての第2側片部
28bs・・・規制部としての折曲部
28c・・・・中間曲がり部
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