(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】移動店舗管理装置及び移動店舗管理システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/06 20230101AFI20240416BHJP
G06Q 10/083 20240101ALI20240416BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20240416BHJP
【FI】
G06Q30/06
G06Q10/083
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2020219198
(22)【出願日】2020-12-28
【審査請求日】2023-02-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】神谷 尚保
(72)【発明者】
【氏名】稗圃 泰彦
(72)【発明者】
【氏名】半井 明大
(72)【発明者】
【氏名】小林 亜令
(72)【発明者】
【氏名】川田 亮一
【審査官】久宗 義明
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-061325(JP,A)
【文献】国際公開第2021/084688(WO,A1)
【文献】特開2019-148864(JP,A)
【文献】米国特許第10303171(US,B1)
【文献】特開2018-005650(JP,A)
【文献】特開2017-174145(JP,A)
【文献】特表2010-517875(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
会議室が予約されている予約時間と、前記会議室の位置とを示す予約情報を取得する予約情報取得部と、
自律走行して商品を販売する移動店舗の所在場所から前記予約情報が示す前記会議室の位置までの前記移動店舗が通る移動経路を決定する経路決定部と、
前記予約情報が示す前記予約時間に基づいて、前記移動店舗が前記会議室まで移動する移動タイミングを決定する移動タイミング決定部と、
を備え
、
前記予約情報は、会議に参加する会議参加社員を識別する参加社員識別情報を含み、
前記予約情報取得部は、前記予約情報に含まれる前記参加社員識別情報と、前記会議室が設けられた建物に入った入館者を識別する入館者識別情報とを取得し、
前記経路決定部は、前記入館者識別情報に一致する参加社員識別情報の会議参加社員を、前記会議室から会議に参加する現地参加社員として特定し、特定した前記現地参加社員が参加する会議が行われる前記会議室の位置までの前記移動経路を決定する移動店舗管理装置。
【請求項2】
会議室が予約されている予約時間と、前記会議室の位置とを示す予約情報を取得する予約情報取得部と、
自律走行して商品を販売する移動店舗の所在場所から前記予約情報が示す前記会議室の位置までの前記移動店舗が通る移動経路を決定する経路決定部と、
前記予約情報が示す前記予約時間に基づいて、前記移動店舗が前記会議室まで移動する移動タイミングを決定する移動タイミング決定部と、
会議前に購入された商品と、会議後に購入された商品とを記憶する購入履歴データベースを参照して、会議前に購入される蓋然性が高い商品を会議が開始する前までに選択し、会議後に購入される蓋然性が高い商品を会議が終了する前までに選択する商品選択部と、
を備え、
前記移動タイミング決定部は、
前記会議前に購入される蓋然性が高い商品を搭載した前記移動店舗が、前記予約情報が示す前記予約時間により定まる会議の開始予定時刻になる前に前記会議室まで移動するように前記移動タイミングを決定し、
前記会議後に購入される蓋然性が高い商品を搭載した前記移動店舗が、前記予約情報が示す前記予約時間により定まる会議の終了予定時刻になる前に前記会議室まで移動するように前記移動タイミングを決定する移動店舗管理装置。
【請求項3】
前記移動タイミング決定部は、前記予約情報が示す前記予約時間により定まる会議の開始予定時刻又は終了予定時刻の少なくともいずれか一方になる前に、前記予約情報が示す前記会議室の位置まで前記移動店舗が移動するように前記移動タイミングを決定する、
請求項1
又は2に記載の移動店舗管理装置。
【請求項4】
前記経路決定部は、会議の予定時間と当該会議に前記会議室から参加するか否かを示す参加情報とを含む社員のスケジュールを記憶する社員スケジュールデータベースを参照して、前記予約情報が示す
前記予約時間に重複する時間に会議が予定され、前記参加情報に前記会議室から会議に参加することが示されている社員を、
前記現地参加社員として特定し、特定した前記現地参加社員が参加する会議が行われる前記会議室の位置までの前記移動経路を決定する、
請求項
1に記載の移動店舗管理装置。
【請求項5】
前記移動タイミング決定部は、前記現地参加社員が参加する会議が行われる前記会議室の前記予約時間に基づいて、前記移動店舗が当該会議室の位置まで移動する移動タイミングを決定する、
請求項
1又は4に記載の移動店舗管理装置。
【請求項6】
前記移動店舗に搭載する商品として、社員と、当該社員の属性とを関連付けて記憶する社員属性データベースを参照することにより前記現地参加社員の属性を特定し、特定した前記属性に基づいて前記現地参加社員が購入する蓋然性が高い商品を選択する商品選択部をさらに備え、
前記経路決定部は、前記商品選択部が選択した前記商品を搭載した
前記移動店舗の所在場所から、選択した前記商品を購入する蓋然性が高い前記現地参加社員が参加する会議が行われる前記会議室の位置までの
前記移動経路を決定する、
請求項
1又は4に記載の移動店舗管理装置。
【請求項7】
前記予約情報は、会議に参加する社員の数を示す参加社員数と、前記会議に参加する社員でない人の数を示す来客者数とを含み、
前記商品選択部は、前記予約情報に含まれる前記参加社員数のうちの前
記現地参加社員の数を特定し、特定した前記現地参加社員の数と、前記来客者数とに基づいて現地から前記会議に参加する現地参加者数を特定し、特定した前記現地参加者数が大きいほど、前記移動店舗に搭載する商品の数を増やす、
請求項
6に記載の移動店舗管理装置。
【請求項8】
前記経路決定部が決定した前記移動経路を、前記移動店舗に通知する経路通知部をさらに備える、
請求項1から
7のいずれか一項に記載の移動店舗管理装置。
【請求項9】
前記商品を搭載する商品搭載部と、
前記移動店舗を走行させる走行部と、
前記走行部を制御することにより、前記移動経路に沿って前記移動店舗を走行させる走行制御部と、
をさらに備える、
請求項1から
8のいずれか一項に記載の移動店舗管理装置。
【請求項10】
前記商品搭載部から取り出された商品を特定する購入商品特定部と、
前記購入商品特定部が特定した前記取り出された商品を取り出した購入ユーザを特定する購入ユーザ特定部と、
前記購入商品特定部が特定した前記取り出された商品を示す購入商品情報と、前記購入ユーザ特定部が特定した前記購入ユーザを示す購入ユーザ情報とを関連付けて、前記取り出された商品の決済を行う外部装置に送信する送信制御部と、
をさらに備える、
請求項
9に記載の移動店舗管理装置。
【請求項11】
所定の領域内の通路を自律走行して商品を販売する移動店舗と、前記移動店舗を管理する移動店舗管理装置とを備え、
前記移動店舗管理装置は、
会議室が予約されている予約時間と、前記会議室の位置とを示す予約情報を取得する情報取得部と、
前記移動店舗の所在場所から前記予約情報が示す前記会議室の位置までの前記移動店舗が通る移動経路を決定する経路決定部と、
前記予約情報が示す前記予約時間に基づいて、前記移動店舗が前記会議室まで移動する移動タイミングを決定する移動タイミング決定部と、
前記経路決定部が決定した前記移動経路、及び前記移動タイミング決定部が決定した前記移動タイミングを含む移動情報を前記移動店舗に通知する移動情報通知部と、
を備え、
前記予約情報は、会議に参加する会議参加社員を識別する参加社員識別情報を含み、
前記情報取得部は、前記予約情報に含まれる前記参加社員識別情報と、前記会議室が設けられた建物に入った入館者を識別する入館者識別情報とを取得し、
前記経路決定部は、前記入館者識別情報に一致する参加社員識別情報の会議参加社員を、前記会議室から会議に参加する現地参加社員として特定し、特定した前記現地参加社員が参加する会議が行われる前記会議室の位置までの前記移動経路を決定し、
前記移動店舗は、
前記商品を搭載する商品搭載部と、
前記移動店舗を走行させるための走行部と、
前記移動経路及び前記移動タイミングを含む移動情報を前記移動店舗管理装置から取得する移動情報取得部と、
前記移動タイミングになったら、前記走行部を制御することにより前記移動経路に沿って前記移動店舗を前記会議室まで走行させる走行制御部と、
を有する移動店舗管理システム。
【請求項12】
所定の領域内の通路を自律走行して商品を販売する移動店舗と、前記移動店舗を管理する移動店舗管理装置とを備え、
前記移動店舗管理装置は、
会議室が予約されている予約時間と、前記会議室の位置とを示す予約情報を取得する情報取得部と、
前記移動店舗の所在場所から前記予約情報が示す前記会議室の位置までの前記移動店舗が通る移動経路を決定する経路決定部と、
前記予約情報が示す前記予約時間に基づいて、前記移動店舗が前記会議室まで移動する移動タイミングを決定する移動タイミング決定部と、
前記経路決定部が決定した前記移動経路、及び前記移動タイミング決定部が決定した前記移動タイミングを含む移動情報を前記移動店舗に通知する移動情報通知部と、
会議前に購入された商品と、会議後に購入された商品とを記憶する購入履歴データベースを参照して、会議前に購入される蓋然性が高い商品を会議が開始する前までに選択し、会議後に購入される蓋然性が高い商品を会議が終了する前までに選択する商品選択部と、
を備え、
前記移動タイミング決定部は、
前記会議前に購入される蓋然性が高い商品を搭載した前記移動店舗が、前記予約情報が示す前記予約時間により定まる会議の開始予定時刻になる前に前記会議室まで移動するように前記移動タイミングを決定し、
前記会議後に購入される蓋然性が高い商品を搭載した前記移動店舗が、前記予約情報が示す前記予約時間により定まる会議の終了予定時刻になる前に前記会議室まで移動するように前記移動タイミングを決定し、
前記移動店舗は、
前記商品を搭載する商品搭載部と、
前記移動店舗を走行させるための走行部と、
前記移動経路及び前記移動タイミングを含む移動情報を前記移動店舗管理装置から取得する移動情報取得部と、
前記移動タイミングになったら、前記走行部を制御することにより前記移動経路に沿って前記移動店舗を前記会議室まで走行させる走行制御部と、
を有する移動店舗管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自律走行してユーザに商品を販売する移動店舗を管理する移動店舗管理装置及び移動店舗管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動走行が可能な車両により商品を販売する移動店舗が知られている。特許文献1には、所定の店舗の営業時間終了後に、当該所定の店舗の商品を搭載して移動店舗として運行する車両を、予め設定された販売場所に所定時間駐車させて、商品を販売する情報処理システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術に係る移動店舗で販売される商品を購入したいユーザは、所定の店舗の営業時間が終了してから、移動店舗が販売場所に駐車している間に、販売場所を訪れる必要がある。しかしながら、移動店舗が販売場所に駐車している時間や、駐車している販売場所は、ユーザが商品を購入しやすいタイミングや場所ではないということがあった。例えば、会議への参加者が、会議が始まる前に商品を買いたいと思っても、会議室から離れた販売場所まで商品を買いに行く時間を確保できないという場合があった。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、ユーザが商品を購入しやすいタイミングで、商品を購入しやすい場所に移動店舗を移動させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様においては、会議室が予約されている予約時間と、前記会議室の位置とを示す予約情報を取得する予約情報取得部と、自律走行して商品を販売する移動店舗の所在場所から前記予約情報が示す前記会議室の位置までの前記移動店舗が通る移動経路を決定する経路決定部と、前記予約情報が示す前記予約時間に基づいて、前記移動店舗が前記会議室まで移動する移動タイミングを決定する移動タイミング決定部と、を備える移動店舗管理装置を提供する。
【0007】
例えば、前記移動タイミング決定部は、前記予約情報が示す前記予約時間により定まる会議の開始予定時刻又は終了予定時刻の少なくともいずれか一方になる前に、前記予約情報が示す前記会議室の位置まで前記移動店舗が移動するように前記移動タイミングを決定する。
【0008】
例えば、前記予約情報は、会議に参加する会議参加社員を識別する参加社員識別情報を含み、前記予約情報取得部は、前記予約情報に含まれる前記参加社員識別情報と、前記会議室が設けられた建物に入った入館者を識別する入館者識別情報とを取得し、前記経路決定部は、前記入館者識別情報に一致する参加社員識別情報の会議参加社員を、前記会議室から会議に参加する現地参加社員として特定し、特定した前記現地参加社員が参加する会議が行われる前記会議室の位置までの前記移動経路を決定する。
【0009】
例えば、前記経路決定部は、会議の予定時間と当該会議に前記会議室から参加するか否かを示す参加情報とを含む社員のスケジュールを記憶する社員スケジュールデータベースを参照して、前記予約情報が示す予約時間に重複する時間に会議が予定され、前記参加情報に前記会議室から会議に参加することが示されている社員を、前記会議室から会議に参加する現地参加社員として特定し、特定した前記現地参加社員が参加する会議が行われる前記会議室の位置までの前記移動経路を決定する。
【0010】
例えば、前記移動タイミング決定部は、前記現地参加社員が参加する会議が行われる前記会議室の前記予約時間に基づいて、前記移動店舗が当該会議室の位置まで移動する移動タイミングを決定する。
【0011】
例えば、前記移動店舗管理装置は、前記移動店舗に搭載する商品として、社員と、当該社員の属性とを関連付けて記憶する社員属性データベースを参照することにより前記現地参加社員の属性を特定し、特定した前記属性に基づいて前記現地参加社員が購入する蓋然性が高い商品を選択する商品選択部をさらに備え、前記経路決定部は、前記商品選択部が選択した前記商品を搭載した移動店舗の所在場所から、選択した前記商品を購入する蓋然性が高い前記現地参加社員が参加する会議が行われる前記会議室の位置までの移動経路を決定する。
【0012】
例えば、前記移動店舗管理装置は、会議前に購入された商品と、会議後に購入された商品とを記憶する購入履歴データベースを参照して、会議前に購入される蓋然性が高い商品を会議が開始する前までに選択し、会議後に購入される蓋然性が高い商品を会議が終了する前までに選択する商品選択部をさらに備え、前記移動タイミング決定部は、前記会議前に購入される蓋然性が高い商品を搭載した移動店舗が、予約情報が示す予約時間により定まる会議の開始予定時刻になる前に会議室まで移動するように前記移動タイミングを決定し、前記会議後に購入される蓋然性が高い商品を搭載した移動店舗が、予約情報が示す予約時間により定まる会議の終了予定時刻になる前に会議室まで移動するように前記移動タイミングを決定する。
【0013】
例えば、前記予約情報は、会議に参加する社員の数を示す参加社員数と、前記会議に参加する社員でない人の数を示す来客者数とを含み、前記商品選択部は、前記予約情報に含まれる前記参加社員数のうちの前記会議室から会議に参加する現地参加社員の数を特定し、特定した前記現地参加社員の数と、前記来客者数とに基づいて現地から前記会議に参加する現地参加者数を特定し、特定した前記現地参加者数が大きいほど、前記移動店舗に搭載する商品の数を増やす。
【0014】
例えば、前記移動店舗管理装置は、前記経路決定部が決定した前記移動経路を、前記移動店舗に通知する経路通知部をさらに備える。
【0015】
例えば、前記移動店舗管理装置は、前記商品を搭載する商品搭載部と、前記移動店舗を走行させる走行部と、前記走行部を制御することにより、前記移動経路に沿って前記移動店舗を走行させる走行制御部と、をさらに備える。
【0016】
例えば、前記移動店舗管理装置は、前記商品搭載部から取り出された商品を特定する購入商品特定部と、前記購入商品特定部が特定した前記取り出された商品を取り出した購入ユーザを特定する購入ユーザ特定部と、前記購入商品特定部が特定した前記取り出された商品を示す購入商品情報と、前記購入ユーザ特定部が特定した前記購入ユーザを示す購入ユーザ情報とを関連付けて、前記取り出された商品の決済を行う外部装置に送信する送信制御部と、をさらに備える。
【0017】
本発明の第2の態様においては、所定の領域内の通路を自律走行して商品を販売する移動店舗と、前記移動店舗を管理する移動店舗管理装置とを備え、前記移動店舗管理装置は、会議室が予約されている予約時間と、前記会議室の位置とを示す予約情報を取得する情報取得部と、自律走行して商品を販売する移動店舗の所在場所から前記予約情報が示す前記会議室の位置までの前記移動店舗が通る移動経路を決定する経路決定部と、前記予約情報が示す前記予約時間に基づいて、前記移動店舗が前記会議室まで移動する移動タイミングを決定する移動タイミング決定部と、前記経路決定部が決定した前記移動経路、及び前記移動タイミング決定部が決定した前記移動タイミングを含む移動情報を前記移動店舗に通知する移動情報通知部と、を備え、前記移動店舗は、前記商品を搭載する商品搭載部と、前記移動店舗を走行させるための走行部と、前記移動経路及び前記移動タイミングを含む移動情報を前記移動店舗管理装置から取得する移動情報取得部と、前記移動タイミングになったら、前記走行部を制御することにより前記移動経路に沿って前記移動店舗を前記会議室まで走行させる走行制御部と、を有する移動店舗管理システムを提供する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ユーザが商品を購入しやすいタイミングで、商品を購入しやすい場所に移動店舗を移動させられるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】実施形態に係る移動店舗管理システムの概要を説明するための図である。
【
図3】移動店舗管理装置の構成を模式的に示す図である。
【
図5】移動店舗管理装置が実行する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[実施形態に係る移動店舗管理システムSの概要]
図1は、実施形態に係る移動店舗管理システムSの概要を説明するための図である。移動店舗管理システムSは、所定の領域内の通路を自律走行して商品を販売する移動店舗1と、移動店舗1を管理する移動店舗管理装置2とを備える。所定の領域は例えばオフィスや会議室が設けられた建物である。本実施形態では、一以上の会議室が設けられた建物内で、自律走行ロボットを活用した移動店舗1が商品を販売するユースケースを想定している。
【0021】
移動店舗管理装置2は、移動店舗1の運行管理を行う。移動店舗管理装置2は、例えばクラウド上に存在するサーバである。移動店舗管理装置2は、移動店舗1の所在場所から、使用予約されている会議室の位置までの移動店舗1が通る移動経路を決定する。次に、移動店舗管理装置2は、会議室が予約されている予約時間に基づいて、移動店舗1が移動経路を通って会議室まで移動する移動タイミングを決定する。そして、移動店舗管理装置2は、移動経路と移動タイミングとを移動店舗1に通知する(
図1の(1))。
【0022】
移動店舗1は、移動店舗管理装置2から通知された移動タイミングになったら、移動経路に沿って自律走行して会議室まで移動し、会議室の前で待機する(
図1の(2))。会議を行うために会議室を訪れたユーザUは、会議室で待機する移動店舗1から商品を購入する(
図1の(3))。このように、移動店舗管理システムSは、ユーザが商品を購入しやすいタイミングで、商品を購入しやすい場所に移動店舗1を移動させるので、商品を購入する際のユーザUの負担を軽減できる。
【0023】
[移動店舗1の構成]
図2は、移動店舗1の構成を模式的に示す図である。移動店舗1は、無線通信部10と、位置取得部11と、撮像部12と、収音部13と、商品搭載部14と、走行部15と、記憶部16と、制御部17、出力部18とを備える。
【0024】
無線通信部10は、他の装置と情報の送受信を行うための無線通信モジュールである。無線通信部10は、移動店舗管理装置2との間で無線通信を介して情報の送受信を行う。例えば、無線通信部10は、LTE(Long Term Evolution)や5G(第5世代移動通信システム)等の無線通信方式に対応する基地局を介して、無線通信を行う。また、Wi-Fi(登録商標)等のアンライセンス系の無線通信を行ってもよい。
【0025】
位置取得部11は、移動店舗1の現在位置を取得する。位置取得部11は、GPS(Global Positioning System)で用いられる人工衛星から送信される電波を受信するGPS受信機を含む。位置取得部11は、IMES(Indoor MEssaging System)等の屋内測位技術で取得した絶対位置情報を位置情報としても良い。この場合、GPS受信機は、GPS衛星と同じ電波形式を用いた屋内GPS送信機から、屋内GPS送信機の送信機位置情報を受信する。位置取得部11は、受信した送信機位置情報に基づいて、移動店舗1の現在位置を特定する。位置取得部11は、複数の屋内GPS送信機から受信した複数の送信機位置情報に基づいて、建物内における移動店舗1の現在位置を特定してもよい。位置取得部11は、取得した移動店舗1の現在位置を移動店舗管理装置2に無線通信部10を介して送信する。
【0026】
撮像部12は、移動店舗1に搭載されたカメラである。撮像部12は、移動店舗1の周辺を撮像した撮像画像を生成する。例えば、撮像部12は、移動店舗1の進行方向前方を撮像した撮像画像を生成する。また、撮像部12は、カメラを移動させる移動機構を備えていてもよく、移動機構を制御して、進行方向前方だけでなく、左右や上下を撮像することができる。
【0027】
収音部13は、移動店舗1に搭載されたマイクである。収音部13は、移動店舗1の周囲の音を収音し、収音した音を示す収音情報を生成する。
【0028】
商品搭載部14は、商品を搭載する棚である。なお、商品搭載部14は、棚だけでなく、箱であってもよく、箱の開口部を開閉自在にする扉が設けられてもよい。また、商品搭載部14は、搭載した商品を保温又は保冷するための装置を含んでもよい。なお、商品搭載部14への商品の搭載は、人手で行ってもよく良く、アームロボット等を用いて行ってもよい。
【0029】
走行部15は、移動店舗1を走行させる。例えば、走行部15は、移動店舗1を走行させるためのタイヤ及びモータを含み、後述する動作制御部172の制御に従って移動店舗1を走行させる。
【0030】
出力部18は、各種情報を表示するディスプレイである。また、出力部18は、スピーカーを含んでもよい。出力部18は、後述する出力制御部175の制御により、各種情報を画像として表示したり、音声として出力したりする。
【0031】
記憶部16は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びハードディスク等を含む記憶媒体である。記憶部16は、制御部17が実行するプログラムを記憶する。記憶部16は、移動店舗管理装置2から取得した移動経路を記憶する。
【0032】
制御部17は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサを含む計算リソースである。制御部17は、記憶部16に記憶されたプログラムを実行することにより、経路取得部171、動作制御部172、購入ユーザ特定部173、購入商品特定部174及び出力制御部175としての機能を実現する。
【0033】
経路取得部171は、建物内の通路を通る移動経路を、移動店舗管理装置2から無線通信部10を介して取得する。経路取得部171は、移動店舗管理装置2から取得した移動経路を記憶部16に記憶させる。また、経路取得部171は、移動店舗管理装置2から新たな移動経路を取得する度に、記憶部16に記憶させた移動経路を更新する。
【0034】
動作制御部172は、移動店舗1の動作を制御する。例えば、動作制御部172は、走行部15を制御することにより、移動経路に沿って移動店舗1を走行させる。具体的には、動作制御部172は、移動店舗1に搭載された各種センサが検出した状態データに基づいて移動店舗1を走行させる。状態データは、例えば、バッテリー残量、温度、移動速度である。動作制御部172は、状態データに基づいて、移動店舗1を前進、後退、右左折させたり、停止させたりする。また、動作制御部172は、カメラを移動させる移動機構を制御してカメラの向き変更したり、商品搭載部14の棚の扉を開閉したりする。
【0035】
動作制御部172は、移動店舗1の現在位置及び撮像画像を用いて、周囲の状況に応じて移動店舗1を動作させる。例えば、動作制御部172は、会議室で待機している際に、撮像画像を解析することにより、ユーザUが手を挙げたこと又は移動店舗1に近づいていることを特定した場合、商品搭載部14の扉を開いてユーザUが商品を取り出せるようにする。
【0036】
また、動作制御部172は、収音部13が取得したユーザUの発した声に基づいて移動店舗1の商品搭載部14の扉を開いてもよい。例えば、動作制御部172は、ユーザUの発した声を解析した解析結果に基づいて、ユーザUが商品搭載部14の扉を開く指示又は商品を購入する指示を示す声を発したと判定した場合、商品搭載部14の扉を開いてユーザUが商品搭載部14から商品を取り出せるようにする。
【0037】
購入ユーザ特定部173は、ユーザの個人認証を行い、商品搭載部14から商品を取り出した購入ユーザを特定する。例えば、購入ユーザ特定部173は、撮像画像を解析することにより特定したユーザの顔に基づいて購入ユーザを特定する(顔認証)。具体的には、購入ユーザ特定部173は、ユーザの顔の特徴を示す特徴情報と、当該ユーザを識別するユーザ識別情報とを関連付けた個人情報データベースから、撮像画像から特定したユーザの顔の特徴と一致するユーザ識別情報を特定する。そして、購入ユーザ特定部173は、特定したユーザ識別情報が示すユーザを購入ユーザとして特定する。
【0038】
購入ユーザ特定部173は、他の方法で購入ユーザを特定してもよい。例えば、購入ユーザ特定部173は、移動店舗1に搭載された指紋認証装置から取得した指紋情報に基づいて購入ユーザを特定する(指紋認証)。また、購入ユーザ特定部173は、ユーザが商品を商品搭載部14から取り出す際に取得された撮像画像からユーザの指紋を特定し、特定した指紋に基づいて購入ユーザを特定してもよい。さらに、購入ユーザ特定部173は、複数の方法を組み合わせることにより、購入ユーザを特定する精度を高めることができる。なお、購入ユーザ特定部173は、移動店舗1に搭載されたICカードリーダを用いて、ユーザのICカードからユーザ識別情報を読み取ることによって、購入ユーザを特定してもよい。
【0039】
購入商品特定部174は、商品搭載部14から取り出された商品を特定する。例えば、購入商品特定部174は、撮像画像を解析することにより、商品搭載部14から取り出された商品を特定する。また、購入商品特定部174は、商品に取り付けられたRFIDタグを読み取ることにより、商品搭載部14から取り出された商品を特定してもよい。さらに、購入商品特定部174は、複数の方法を組み合わせることにより、商品搭載部14から取り出された商品を特定する精度を高めることができる。
【0040】
出力制御部175は、購入された商品と、商品を購入した購入ユーザとを関連付けて、商品の決済を行う外部装置に無線通信部10を介して送信する。外部装置は、例えば移動店舗管理装置2である。例えば、出力制御部175は、購入商品特定部174が特定した商品搭載部14から取り出された商品を示す購入商品情報と、購入ユーザ特定部173が特定した購入ユーザを示す購入ユーザ情報とを関連付けて移動店舗管理装置2に送信する。
【0041】
出力制御部175は、移動店舗管理装置2から決済が完了したことを示す情報を取得すると、商品の購入処理が完了したことを示す情報を出力部18に出力させる。例えば、出力制御部175は、特定した購入ユーザを示す情報、特定した商品を示す情報、及び決済が完了したことを示す情報を含む画像を出力部18のディスプレイに表示させる。購入ユーザを示す情報は、購入ユーザを特定できる情報であり、例えば購入ユーザの氏名、又は購入ユーザの社員番号である。商品を示す情報は、例えば商品名、商品の価格、商品の賞味期限又は消費期限などである。なお、出力制御部175は、商品の購入処理が完了したことを示す音声又は効果音を出力部18のスピーカーに出力させてもよい。
【0042】
[移動店舗管理装置2の構成]
図3は、移動店舗管理装置2の構成を模式的に示す図である。移動店舗管理装置2は、通信部21と、記憶部22と、制御部23とを備える。通信部21は、他の装置と情報を送受信するための通信モジュールである。例えば、通信部21は、無線通信を介して移動店舗1と情報の送受信を行う。
【0043】
記憶部22は、ROM、RAM及びハードディスク等を含む記憶媒体である。記憶部22は、制御部23が実行するプログラムを記憶する。また、記憶部22は、各種データベースを記憶する。
【0044】
記憶部22は、個人情報データベースを記憶する。個人情報データベースは、社員を識別する社員識別情報と、当該社員の属性を示す属性情報とを関連付けて記憶する。例えば、属性情報は、移動店舗1の移動対象範囲内で働くと想定される社員の性別、年齢、所属している部署などの情報を含む。また、属性情報は、各社員の飲食物の好みや移動店舗1での購入の意欲の強弱を示す情報を含んでもよい。さらに、属性情報は、各社員に対して情報を通知する通知先を示す情報を含んでもよい。通知先は、例えば、各社員のメールアドレスやSNS(Social Network Service)のアカウント、SMS(Short Message Service)の宛先である。また、属性情報は、各社員の顔の特徴を示す特徴データを含んでもよい。
【0045】
記憶部22は、各社員の購入履歴を示す購入履歴データベースを記憶する。購入履歴データベースは、各社員が購入した商品内容と購入時間と含む。購入履歴データベースは、会議前に購入された商品と、会議後に購入された商品とを示す情報を含む。具体的には、記憶部22は、会議が開始される前に購入された商品と、当該会議が終了した後に購入された商品とを示す情報と、当該会議の予定時間とを関連付けた購入履歴データベースを記憶する。移動店舗管理装置2は、購入履歴データベースに記憶された各社員が購入した商品内容と購入時間とを分析した分析結果に基づいて、移動店舗1に搭載する商品を決定する。
【0046】
記憶部22は、商品情報データベースを記憶する。商品情報データベースは、移動店舗1で販売する各商品の商品情報を含む。商品情報は、例えば、商品名、商品の価格、商品の賞味期限又は消費期限などである。また、商品情報は、商品の外観を示す外観画像を含んでもよい。
【0047】
記憶部22は、社員スケジュールデータベースを記憶する。社員スケジュールデータベースは、参加する会議の予定時間と当該会議に会議室から参加するか否かを示す参加情報とを含む。
【0048】
記憶部22は、建物内に設けられたオフィス、会議室及び通路の位置を示す地図データを記憶する。地図データは、例えば、建物内に設定する経路の分岐点であるノードと、各ノード間をリンクとして規定したリンクデータとして与えられる。リンクデータは、リンク固有のリンクID(識別子)、リンク長、リンクの始点及び終点を示すノードの位置情報、角度(方向)データ、通路幅、通路種別(フローリング等)などを含む。
【0049】
記憶部22は、地図データと、走行品質情報とを関連付けて記憶する。走行品質情報は、例えば段差の有無や、移動店舗1の走行しやすさを含む。記憶部22は、移動店舗1から取得した位置情報と、走行品質情報とを関連付けて記憶してもよい。なお、記憶部22は、移動店舗1が屋外を移動して複数の建物への移動を可能とするために、屋外の地図情報を地図データとして格納してもよい。
【0050】
記憶部22は、会議の予約情報を記憶する会議室予約データベースを記憶する。会議の予約情報は、会議が行われる会議室が予約されている予約時間と、会議が行われる会議室の位置とを含む。会議室の予約時間は、会議が開始される予定の時刻を示す開始予定時刻から、会議が終了する予定の時刻を示す終了予定時刻までの期間を示す。また、会議室の位置は、地図データ上の会議室の位置を示す。また、会議室の位置として、会議室の番号が示されていてもよい。この場合、地図データは、会議室の位置と会議室の番号とを関連付けて記憶する。会議の予約情報は、会議に参加する参加者の情報として、会議に参加する社員を識別する参加社員識別情報と、会議に参加する参加人数とを含む。参加人数は、会議に参加する社員の数である参加社員数と、外部から会議室を訪れる人の数である来客者数とを含む。
【0051】
制御部23は、例えばCPU等のプロセッサを含む計算リソースである。制御部23は、記憶部22に記憶されたプログラムを実行することにより、移動店舗1の運用監視を行う運用監視部としての機能を実現する。
【0052】
運用監視部は、移動店舗1から各種情報を取得する。運用監視部が移動店舗1から取得する情報は、例えば、移動店舗1の現在位置を示す位置情報、無線通信の通信品質を示す通信品質情報、移動店舗1の状態を示す状態情報、移動店舗1が撮像した撮像画像、及び移動店舗1が収音した収音情報である。運用監視部は、取得した各種情報を、移動店舗1を識別する移動店舗識別情報に関連付けて記憶部22に記憶させる。
【0053】
運用監視部は、例えば、1秒間隔で取得した各種情報に基づいて移動店舗1の運用監視を行う。運用監視部は、取得した各種情報に基づいて移動店舗1に障害が発生したか否かを判定する。そして、運用監視部は、移動店舗1に障害が発生した場合、移動店舗1に障害が発生したことを示す警報情報を通知する。警報情報の通知先は、移動店舗管理システムSを監視するシステム監視者が使用する端末である。
【0054】
制御部23は、記憶部22に記憶されたプログラムを実行することにより、予約情報取得部231、経路決定部232、移動タイミング決定部233、経路通知部234及び商品選択部235としての機能を実現する。
【0055】
予約情報取得部231は、会議の予約情報を取得する。例えば、予約情報取得部231は、予約情報に含まれる会議の予約時間及び会議室の位置を取得する。予約情報取得部231は、会議室予約データベースが更新される度に予約情報を取得する。また、予約情報取得部231は、会議室予約データベースに、新たな予約情報が追加されると、追加された予約情報を取得してもよい。
【0056】
予約情報取得部231は、予約情報に含まれる会議に参加する参加者に関する情報を取得してもよい。例えば、予約情報取得部231は、会議に参加する参加者に関する情報として、会議に参加する会議参加社員を識別する参加社員識別情報を取得する。また、予約情報取得部231は、予約情報に参加者の人数が含まれる場合、参加者の人数を取得する。具体的には、予約情報取得部231は、参加者の人数として予約情報に含まれる、会議に参加する社員の数を示す参加社員数と、会議に参加する社員でない人の数を示す来客者数とを取得する。
【0057】
予約情報取得部231は、会議室が設けられた建物に入った入館者を識別する入館者識別情報を取得する。例えば、予約情報取得部231は、ユーザの建物への入退館を管理する入退館管理装置から、建物内に入ったユーザの入館者識別情報を取得する。入退館管理装置は、例えばサーバであり、ユーザの建物への入退館を判定する入退館判定装置と接続されている。入退館判定装置は、例えば、ICカードに記憶された情報を読み取ることにより各ユーザの建物内への入退館を判定する。また、入退館管理装置は、ユーザの顔を撮像するカメラを備えていてもよく、ユーザの顔を識別することにより、ユーザの入退館を判定してもよい。なお、予約情報取得部231は、ユーザが建物から退館した場合、ユーザが建物に入館する場合と同様の方法で、建物から退館したユーザの入館者識別情報を取得できる。
【0058】
経路決定部232は、移動店舗1の所在場所から予約情報が示す会議室の位置までの移動店舗1が通る移動経路を決定する。例えば、経路決定部232は、移動店舗1の現在位置を移動店舗1から通信部21を介して取得し、取得した移動店舗1の現在位置を所在場所とする。経路決定部232は、所在場所を出発地として、会議室の位置を目的地とする移動経路を決定する。目的地とする会議室の位置は、例えば会議室の扉の側であるが、会議室に隣接する通路や、会議室の中であってもよい。
【0059】
経路決定部232は、建物内に設定する経路の分岐点であるノードから、次のノードまでの経路であるリンクのコスト(以下「リンクコスト」という)を順次計算し、所在場所から目的地である会議室の位置までのリンクコストが最小となる移動経路を決定する。経路決定部232における移動経路の探索アルゴリズムは公知の技術を利用できる。例えば、移動経路の探索アルゴリズムは、ダイクストラ法や、A*アルゴリズム、遺伝的アルゴリズム等を適用できる。
【0060】
図4は、移動経路を説明するための図である。
図4は、移動店舗1が商品を販売する建物の一部を模式的に示す図である。
図4の黒丸で示すノードN1及びノードN2は、建物内に設定する経路の分岐点であるノードの位置を示す。また、
図4の白丸で示す出発地Dは、取得した移動店舗1の所在場所である。出発地Dは、例えば移動店舗1に搭載する商品の在庫や移動店舗1の充電設備が設けられた場所である。
図4の白丸で示す目的地Aは、目的地として設定された会議室の位置である。
図4の破線で示すリンクR1からリンクR3は、各ノード間のリンクを示す。
【0061】
経路決定部232は、出発地Dから目的地Aまでの移動経路を決定する。
図4の例では、経路決定部232は、出発地Dから、ノードN1及びノードN2を経由して、目的地Aに向かう移動経路を決定する。具体的には、経路決定部232は、リンクR1、リンクR2、及びリンクR3を通る移動経路を決定する。
【0062】
経路決定部232は、会議に参加する社員のうちの、建物内に設置された会議室から会議に参加する現地参加社員を特定し、特定した現地参加社員が参加する会議が行われる会議室の位置までの移動経路を決定する。例えば、経路決定部232は、会議室が設置された建物に入館した人を特定して、会議室から会議に参加する現地参加社員として特定する。具体的には、経路決定部232は、入館者識別情報に一致する参加社員識別情報の会議参加社員を現地参加社員として特定する。
【0063】
経路決定部232は、社員スケジュールデータベースから現地参加社員を特定してもよい。例えば、経路決定部232は、社員スケジュールデータベースを参照して、予約情報が示す予約時間に重複する時間に会議が予定されている社員を現地参加社員として特定する。例えば、経路決定部232は、会議の予約時間が13時から14時である場合、社員スケジュールに13時から14時まで会議が予定されている社員を会議参加社員として特定する。経路決定部232は、特定した会議参加社員のうちの、社員スケジュールの参加情報に会議室から会議に参加することが示されている会議参加社員を、会議室から会議に参加する現地参加社員として特定する。
【0064】
経路決定部232は、現地参加社員を特定できた場合、移動店舗1の所在場所を出発地として、特定した現地参加社員が参加する会議が行われる会議室の位置を目的地とする移動経路を決定する。なお、経路決定部232は、現地参加社員が特定できない場合、会議室から会議に参加する現地参加社員がいないと判定し、現地参加社員がいない会議室まで移動店舗1が移動する移動経路を決定しない。このようにすることで、経路決定部232は、現地参加社員がおらず、商品を購入するユーザがいない場所に移動店舗1が移動してしまうことを抑制できる。
【0065】
経路決定部232は、移動店舗1の無線通信の通信品質ができるだけ良好な移動経路を設定する。例えば、経路決定部232は、地図データ上の位置と、当該位置における通信品質とを関連付けた品質分布情報を参照することにより、他の経路を通る場合よりも通信品質が高い移動経路を決定する。具体的には、経路決定部232は、品質分布情報を参照して各リンクの通信品質を特定し、無線通信の通信品質が悪いリンクのリンクコストが小さくなるように重み付けを行う。このようにすることで、経路決定部232、無線通信が不安定になることを抑制できる。その結果、移動店舗1の運用監視が行えなくなったり、購入処理ができなくなったりすることを抑制できる。
【0066】
移動タイミング決定部233は、予約情報が示す予約時間に基づいて、移動店舗1が移動経路に沿って会議室まで移動する移動タイミングを決定する。例えば、移動タイミング決定部233は、予約情報が示す予約時間により定まる会議の開始予定時刻になる前に、予約情報が示す会議室の位置まで移動店舗1が移動するように移動タイミングを決定する。具体的には、移動タイミング決定部233は、会議の開始予定時刻の所定時間前から会議室の位置で移動店舗1が待機できるように、移動店舗1の移動開始時刻を決定する。所定時間は、商品の購入に要すると想定される時間に基づいて定められた時間である。
【0067】
より具体的には、移動タイミング決定部233は、開始予定時刻から、移動店舗1が移動経路を通って移動するのにかかる時間と所定時間とを加算した時間前の時刻を移動開始時刻として決定する。一例を挙げると、移動タイミング決定部233は、移動店舗1が移動経路に沿って移動するのに5分かかる場合、会議の開始予定時刻(13時)の所定時間(例えば10分)前から会議室の位置で移動店舗1が待機できるように、移動開始時刻を12時45分と決定する。
【0068】
また、移動タイミング決定部233は、予約情報が示す予約時間により定まる会議の終了予定時刻になる前に、予約情報が示す会議室の位置まで移動店舗が移動するように移動タイミングを決定する。移動タイミング決定部233は、会議の終了予定時刻の所定時間前から会議室の位置で移動店舗1が待機できるように、移動店舗1の移動開始時刻を決定する。
【0069】
移動タイミング決定部233は、現地参加社員が参加する会議が行われる会議室の位置まで移動する移動タイミングを決定する。具体的には、移動タイミング決定部233は、現地参加社員が参加する会議が行われる会議室の予約時間により定まる会議の開始予定時刻又は終了予定時刻の少なくともいずれか一方になる前に、当該会議室の位置まで移動店舗1が移動可能な移動タイミングを決定する。なお、移動タイミング決定部233は、現地参加社員がいないと判定されて移動経路が決定されていない場合、移動タイミングを決定しない。
【0070】
経路通知部234は、経路決定部232が決定した移動経路及び移動タイミング決定部233が決定した移動タイミングを、移動店舗1に通知する。例えば、経路通知部234は、移動タイミング決定部233が決定した移動開始時刻になるまでに、移動経路及び移動タイミングを通知する。具体的には、経路通知部234は、移動経路及び移動開始時刻が決定されたら、移動経路及び移動開始時刻を移動店舗1に通知する。
【0071】
商品選択部235は、移動店舗1に搭載する商品を選択する。例えば、商品選択部235は、現地参加者が購入する蓋然性が高い商品を、移動店舗1に搭載する商品として選択する。具体的には、商品選択部235は、個人情報データベースを参照することにより現地参加社員の属性を特定し、特定した属性に基づいて現地参加社員が購入する蓋然性が高い商品を移動店舗1に搭載する商品として選択する。この場合、経路決定部232は、商品選択部235が選択した商品を搭載した移動店舗1の所在場所から、選択した商品を購入する蓋然性が高い現地参加社員が参加する会議が行われる会議室の位置までの移動経路を決定する。このようにすることで、経路決定部232は、現地参加社員が購入したくなる商品を搭載した移動店舗1を会議室の位置に待機させられるので、移動店舗1に搭載された商品が購入される確率を高められる。
【0072】
商品選択部235は、会議の予定時間に基づいて、会議前後で購入される蓋然性が高い商品を選択する。例えば、商品選択部235は、購入履歴データベースを参照して、会議の予定時間に対応する所定の時間帯に購入時間が含まれる商品を、会議前後で購入される蓋然性が高い商品として選択する。所定の時間帯は、例えば午前中(8時~12時)、午後(12時~15時)、夕方(15時~17時)又は夜(17時~20時)である。商品選択部235は、会議の予定時間の少なくとも一部が重複する時間帯に購入時間が含まれる商品を選択する。例えば、会議の予定時間が13時~14時である場合、商品選択部235は、商品の購入時間が午後(12時~15時)の時間帯に含まれる商品を購入履歴データベースから特定し、特定した商品を会議前後で購入される蓋然性が高い商品として選択する。
【0073】
商品選択部235は、会議の開始前と、終了後とでそれぞれ異なる商品を選択する。例えば、商品選択部235は、購入履歴データベースを参照して、会議前に購入される蓋然性が高い商品を会議が開始する前までに選択する。具体的には、商品選択部235は、会議の開始予定時刻が含まれる時間帯に購入された商品を、会議前に購入される蓋然性が高い商品として選択する。一例を挙げると、商品選択部235は、会議の開始予定時刻が13時である場合、午後(12時~15時)に購入時間が含まれる商品のうちの会議前に購入された商品(例えば缶コーヒー)を、会議前に購入される蓋然性が高い商品として選択する。そして、経路通知部234は、会議前に購入される蓋然性が高いと判定された商品を搭載した移動店舗1が、会議の開始予定時刻になる前に会議室まで移動するように移動タイミングを決定する。このようにすることで、会議が行われる前に商品が購入される確率を高められる。
【0074】
また、商品選択部235は、会議後に購入される蓋然性が高い商品を会議が終了する前までに選択する。具体的には、商品選択部235は、会議の終了予定時刻が含まれる時間帯に購入された商品のうちの会議後に購入された商品を、会議後に購入される蓋然性が高い商品として選択する。一例を挙げると、商品選択部235は、会議の終了予定時刻が17時である場合、夕方(15時~17時)に購入された商品のうちの会議後に購入された商品(例えば軽食に分類されたおにぎりや総菜パン等)を、会議後に購入される蓋然性が高い商品として選択する。そして、経路通知部234は、会議後に購入される蓋然性が高いと判定された商品を搭載した移動店舗1が、会議の終了予定時刻になる前に会議室まで移動するように移動タイミングを決定する。このようにすることで、会議が終わった後に商品が購入される確率を高められる。
【0075】
商品選択部235は、会議に参加する人数である現地参加者数に応じて、移動店舗1に搭載する商品の数を変更してもよい。例えば、商品選択部235は、現地から会議に参加する現地参加者数を特定し、特定した現地参加者数に応じて商品の数を増減する。具体的には、まず、商品選択部235は、予約情報に含まれる参加社員数のうちの会議室から会議に参加する現地参加社員の数を特定する。次に、商品選択部235は、予約情報に含まれる来客者数を特定する。そして、商品選択部235は、現地参加社員の数と、来客者数との和が大きいほど、移動店舗1に搭載する商品の数を増やす。このようにすることで、例えば、多くの人が参加する会議において、商品が売り切れてしまうことを低減できるので、購買機会の損失を抑制できる。
【0076】
[移動店舗管理装置2が実行する処理の流れ]
図5は、移動店舗管理装置2が実行する処理の流れの一例を示すフローチャートである。まず、予約情報取得部231は、会議室予約データベースから、会議の予約情報を取得する(ステップS1)。例えば、予約情報取得部231は、会議室予約データベースに、新たな予約情報が追加されたら、追加された予約情報を取得する。
【0077】
経路決定部232は、移動店舗1の所在場所を取得する(ステップS2)。例えば、経路決定部232は、通信部21を介して、移動店舗1が取得した移動店舗1の現在位置を、移動店舗1の所在場所として取得する。
【0078】
経路決定部232は、移動店舗1の所在場所を取得すると、取得した所在場所から会議室までの移動経路を決定する(ステップS3)。具体的には、経路決定部232は、所在場所を出発地とし、会議室を目的地とする移動経路を決定する。
【0079】
移動タイミング決定部233は、予約情報が示す予約時間に基づいて、経路決定部232が決定した移動経路に沿って移動店舗1が会議室まで移動する移動タイミングを決定する(ステップS4)。例えば、経路決定部232は、会議の開始予定時刻になる前に、会議室の位置まで移動店舗1が移動するように移動開始時刻を決定する。また、経路決定部232は、会議の終了予定時刻になる前に、会議室の位置まで移動店舗1が移動するように移動開始時刻を決定してもよい。
【0080】
経路通知部234は、経路決定部232が決定した移動経路及び移動タイミング決定部233が決定した移動タイミングを、移動店舗1に通知する(ステップS5)。例えば、経路通知部234は、移動経路及び移動タイミングが決定されたら、決定された移動経路及び移動タイミングを移動店舗1に通知する。
【0081】
(変形例1)
移動店舗管理装置2は、複数の移動店舗1を管理してもよい。この場合、移動店舗管理装置2は、複数の移動店舗1の各々の移動経路、及び移動タイミングを決定し、複数の移動店舗1の各々に決定した移動経路及び移動タイミングを通知する。
【0082】
(変形例2)
移動店舗1は、移動店舗管理装置2の機能の一部を備えていてもよく、移動店舗管理装置2の機能を全て備えていてもよい。移動店舗1が移動店舗管理装置2の機能を全て備える場合、移動店舗1は、自身が移動する移動経路や移動タイミングを自ら決定し、建物内を自律走行する。
【0083】
[移動店舗管理システムSの効果]
上記のとおり、移動店舗管理装置2は、移動店舗1の所在場所から、使用予約されている会議室の位置までの移動店舗1が通る移動経路を決定し、会議室が予約されている予約時間に基づいて移動店舗1が会議室まで移動する移動タイミングを決定する。このように移動店舗管理装置2が動作することで、会議が開始される少し前の時間に、移動店舗1が移動経路に沿って自律走行して会議室まで移動できる。その結果、会議を行うために会議室を訪れたユーザUは、会議室で待機する移動店舗1から商品を購入できる。このように、移動店舗管理システムSは、ユーザが商品を購入しやすいタイミングで、商品を購入しやすい場所に移動店舗を移動させるので、商品を購入する際のユーザUの負担を軽減できる。
【0084】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0085】
1 移動店舗
10 無線通信部
11 位置取得部
12 撮像部
13 収音部
14 商品搭載部
15 走行部
16 記憶部
17 制御部
171 経路取得部
172 動作制御部
173 購入ユーザ特定部
174 購入商品特定部
175 出力制御部
18 出力部
2 移動店舗管理装置
21 通信部
22 記憶部
23 制御部
231 予約情報取得部
232 経路決定部
233 移動タイミング決定部
234 経路通知部
235 商品選択部