(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】紡錘体および動原体関連複合体サブユニット3(SKA3)遺伝子の高発現レベルを特徴とする癌を治療する方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/519 20060101AFI20240416BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240416BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
A61K31/519
A61P35/00
A61P43/00 105
(21)【出願番号】P 2020564850
(86)(22)【出願日】2019-05-22
(86)【国際出願番号】 CA2019050699
(87)【国際公開番号】W WO2019222848
(87)【国際公開日】2019-11-28
【審査請求日】2022-05-17
(32)【優先日】2018-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】507148294
【氏名又は名称】ユニバーシティー ヘルス ネットワーク
(74)【代理人】
【識別番号】100095832
【氏名又は名称】細田 芳徳
(72)【発明者】
【氏名】ハイベ-ケインズ,ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】セスコン,デービッド
【審査官】川合 理恵
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-537354(JP,A)
【文献】MASON J. M. et al.,Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.,2017年,vol.114 no.12,pp.3127-3132
【文献】STRATFORD J. K. et al.,PLOS ONE,2017年,12(4),e0174863
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
A61P
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
癌の治療に使用するための医薬組成物であって、治療有効量のTTK阻害剤を含み、該癌は、紡錘体および動原体関連(Spindle and Kinetochore Associated)複合体サブユニット3(SKA3)遺伝子の高発現レベルを特徴とし、SKA3の高発現レベルが、少なくとも25名の患者の無作為集団内の同じ癌型の癌細胞の回収物からのSKA3発現レベルの上位50%以内にある発現レベルを特徴と
し、
該TTK阻害剤は、
【化1】
およびその薬学的に許容され得る塩から選択される、医薬組成物。
【請求項2】
治療前に、癌が、SKA3の高発現レベルを有することが決定された、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項3】
治療前に患者の癌の生体組織検査を実行する工程、および癌が、生検材料から得られた癌細胞からSKA3の高発現レベルを示すかどうかを決定する工程を含む、請求項1または2記載の医薬組成物。
【請求項4】
癌の治療に使用するための医薬組成物であって、治療有効量のTTK阻害剤を含み、該治療は、
(a)癌患者由来の癌細胞を提供する工程;
(b)癌細胞中のSKA3遺伝子発現レベルを決定する工程;および
(c)患者の癌がSKA3の高発現レベルを示す場合に、患者にTTK阻害剤の治療有効量を投与する工程を含み、SKA3の高発現レベルが、少なくとも25名の患者の無作為集団内の同じ癌型の癌細胞の回収物からのSKA3発現レベルの上位50%以内にある発現レベルを特徴と
し、
該TTK阻害剤は、
【化2】
およびその薬学的に許容され得る塩から選択される、医薬組成物。
【請求項5】
該治療が、患者の癌がSKA3の高発現レベルを示さない場合に、TTK阻害剤の投与から患者を排除する工程をさらに含む、請求項4記載の医薬組成物。
【請求項6】
該治療が、患者の癌がSKA3の高発現レベルを示さない場合に、TTK阻害剤以外の抗癌療法で患者を治療する工程をさらに含む、請求項4または5記載の医薬組成物。
【請求項7】
発現値が、少なくとも25名の患者の集団内の同じ癌型由来の癌細胞の回収物からのSKA3発現レベルの上位25%以内にある、請求項1~6いずれか記載の医薬組成物。
【請求項8】
発現値が、少なくとも25名の患者の無作為集団内の同じ癌型由来の癌細胞の回収物からのレベルの上位10%以内にある、請求項1~6いずれか記載の医薬組成物。
【請求項9】
該治療が、患者に、第2の抗癌剤の治療有効量を投与する工程をさらに含む、請求項1~3いずれか記載の医薬組成物。
【請求項10】
癌が、乳癌、前立腺癌、子宮内膜癌、卵巣癌、脳癌、皮膚癌、甲状腺癌、肺癌、中皮腫癌、膀胱癌、結腸直腸癌、肝臓癌、黒色腫、グリア芽腫、白血病およびリンパ腫からなる群より選択される、請求項1~9いずれか記載の医薬組成物。
【請求項11】
癌が乳癌である、請求項1~9いずれか記載の医薬組成物。
【請求項12】
癌がトリプルネガティブ乳癌である、請求項1~9いずれか記載の医薬組成物。
【請求項13】
癌がルミナール(luminal)乳癌である、請求項1~9いずれか記載の医薬組成物。
【請求項14】
癌がHER陽性乳癌である、請求項1~9いずれか記載の医薬組成物。
【請求項15】
癌が、肝細胞癌、卵巣癌、中皮腫または肺癌である、請求項1~9いずれか記載の医薬組成物。
【請求項16】
TTK阻害剤が、以下の構造式:
【化3】
により表される化合物、またはその薬学的に許容され得る塩である、請求項1~15いずれか記載の医薬組成物。
【請求項17】
TTK阻害剤が、以下の構造式:
【化4】
により表される化合物またはその薬学的に許容され得る塩である、請求項1~15いずれか記載の医薬組成物。
【請求項18】
TTK阻害剤が、以下の構造式:
【化5】
により表される化合物またはその薬学的に許容され得る塩である、請求項1~15いずれか記載の医薬組成物。
【請求項19】
TTK阻害剤が、以下の構造式:
【化6】
により表される化合物またはその薬学的に許容され得る塩である、請求項1~15いずれか記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願についての相互参照
本願は、2018年5月23日に出願された米国仮特許出願第62/675,228号の利益を主張する。上記出願の全教示は、参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
モノポーラースピンドル(monopolar spindle)1(MPS1)としても公知であるチロシントレオニンキナーゼ(TTK)は、紡錘体形成チェックポイント(spindle assembly checkpoint)(SAC)の重要な調節因子であり、ゲノム完全性を維持するように機能する。TTKは、大腸菌内で発現された場合にセリン、トレオニンおよびチロシン残基をリン酸化し得る保存された多重特異的キナーゼである(Mills et al., J. Biol. Chem. 1992 22(5): 16000-16006)。TTK mRNAは、ヒトにおいて生理学的に正常な組織の大部分では発現されない(同上)。TTK mRNAは、精巣および胸腺などの急速に増殖するいくつかの組織、ならびにいくつかの腫瘍において発現される。例えば、TTK mRNAは腎細胞癌では発現されなかったが、乳癌試料の50%、精巣腫瘍および卵巣癌試料で発現された。上記参照。TTKは、正常対応物と比較していくつかの癌細胞株および腫瘍中で発現される(同上;WO 02/068444 A1も参照)。TTKは、トリプルネガティブ乳癌(TNBC)などのヒトの癌における有望な治療標的として明らかになっている。いくつかのTTK阻害剤(TTKi)が臨床試験で評価されており、機構媒介性TTKi感受性および抵抗性の理解は、この部類の薬剤の成功裡の開発を活気づけ得た。
【0003】
標的化癌治療薬の開発は、特定の標的化治療に対する患者の応答を予想する可能性を有し、それにより医師が、それぞれの患者に特異的な治療計画を調整することを可能にするバイオマーカーの同定に強い関心を有する。TTK阻害剤を用いた治療に特に適した患者集団が本明細書に開示される。
【発明の概要】
【0004】
発明の概要
より高いレベルのSKA3を発現する癌細胞株はTTK阻害に対してより反応性であるという発見に部分的に基づいて(
図2~4参照)、TTK阻害を用いた治療に反応性である可能性のある患者(すなわちより高レベルのSKA3を発現する患者)を選択し、次いで1つ以上のTTK阻害剤を用いて該患者を治療する方法が本明細書に提供される。したがって、一局面において、本開示は、SKA3の高発現レベルを特徴とする癌を有する患者を治療する方法を提供する。
【0005】
本教示は、SKA3遺伝子の高発現レベルを特徴とする癌を有する患者を治療するための方法を提供し、該方法は、患者にTTK阻害剤の治療有効量を投与する工程を含む。
【0006】
本教示はまた、TTK阻害剤に反応性である可能性のある患者を同定する方法を提供する。該方法は、癌患者由来の試料を提供する工程;該試料中のSKA3遺伝子発現レベルを決定する工程;および患者の癌がSKA3の高発現レベルを示す場合に、該患者にTTK阻害剤の治療有効量を投与する工程を含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図面の簡単な説明
【
図1】
図1は、52の乳癌細胞株のパネルにわたるCFI-402257についての薬物用量-応答曲線上面積(AAC)の分布を図示する。
【
図2】
図2は、遺伝子と薬物感受性(AAC)の間の全ての単変量(univariate)関係の強度(推定値)および有意さ(-log
10(p値))を示すボルケーノプロットである。
【
図3】
図3は、乳癌細胞株の分子サブタイプに関する、SKA3発現と化合物CFI-402257感受性(AACにより測定した場合)との間の関係を図示する。
【
図4】
図4は、メジアン発現より高いSKA3 mRNAを発現する細胞株(SKA3高;青色ボックス)およびメジアン発現以下のSKA3 mRNAを発現する細胞株(SKA3低;赤色ボックス)についての薬物感受性(薬物用量-応答曲線上面積[AAC])の分布を示すボックスプロットである。CI:一致指標(Concordance Index);P値:一致指標の統計的有意さ。これは、メジアン発現より低いまたは高いSKA3を発現する細胞株についての有意に異なる薬物感受性を示す。
【
図5】
図5は、種々のTCGA腫瘍型にわたるおよび乳腫瘍分子サブタイプにわたるSKA3発現レベルの分布および確率密度を示すバイオリンプロットである。500以上の患者を有する腫瘍型のみを含んだ。
【
図6】
図6は、743名の乳癌患者にわたるSKA3発現値(log2(TPM+0.001;TPMはKallistoを使用して推定した)を示すプロットである(BC細胞株のパネルにおいて示されないので、Luminal Aを除く全てのサブタイプ)。発現閾値は、この腫瘍の大セットのメジアン(上位50%)として決定した。黒色の垂直な矢印は、SKA3の高い発現を有する腫瘍の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
発明の詳細な説明
紡錘体および動原体関連(spindle and kinetochore-associated)(SKA)タンパク質複合体は、核包膜の破壊後紡錘体微小管上および動原体に蓄積し、中期に動原体上で最も豊富になるヘテロ三量体複合体(SKA1、SKA2、SKA3)である。インビトロ試験は、Ska1およびおそらくSka3上のドメインが微小管に結合することを示す(Welburn et al., Dev Cell 2009 (16), 374-385;Jeyaprakash et al., Mol Cell 2012 (46), 274-286;Schmidt et al., Dev Cell 2012 (23), 968-980)。紡錘体および動原体関連サブユニット3(SKA3)は、有糸分裂の際に動原体への微小管の結合を調節する、紡錘体および動原体関連タンパク質複合体の構成要素をコードする遺伝子である。コードされるタンパク質は、中心から外れた(outer)動原体に局在し、正常な染色体分離および細胞分裂に必要とされ得る。
【0009】
一局面において、癌は、TTK阻害剤の治療有効量を用いた治療の前に、SKA3の高発現レベルを示すことが決定される。この決定は、患者から癌細胞を得る常套的な診断方法によりなされ得る。これらの方法としては、限定されないが、生体組織検査、血液検査、および組織試料、循環腫瘍細胞または循環核酸などの癌に特徴的な生体分子などの癌細胞の試料を得る他の診断方法が挙げられる。次いで、癌細胞中のSKA3の発現レベルが決定される。癌がSKA3の高発現レベルを示すかどうかの決定は、当該技術分野で公知の方法により、例えば、RNA配列決定(RNA-Seq)、マイクロアレイ、定量的PCRもしくはNanoStringTM遺伝子発現パネルにより単離された癌細胞中のSKA3発現レベル、または免疫組織化学、フローサイトメトリー、免疫細胞化学もしくはウエスタンブロットによりSKA3タンパク質を決定することによる。例えば下記のRT-qPCR分析参照。一態様において、本明細書に開示される方法はさらに、治療の前に患者の癌の生体組織検査を行う工程および生検材料から単離された癌細胞から、癌(癌細胞)がSKA3の高発現レベルを示すかどうかを決定する工程を含む。
【0010】
別の局面において、本発明は、癌患者由来の癌細胞を提供する工程;癌細胞中のSKA3の発現レベルを決定する工程(
図4~5参照);および患者の癌(癌細胞)がSKA3の高発現レベルを示す場合に、患者にTTK阻害剤の治療有効量を投与する工程を含む、癌を有する患者を治療する方法である。一態様において、該方法はさらに、患者の癌(癌細胞)がSKA3の高発現レベルを示さない場合に、患者を、TTK阻害剤の投与から除外する工程を含む。本発明で使用される癌細胞は、限定されないが、組織、血液(血液画分を含む)、リンパ液、痰、便、尿、気管支洗浄または他の体液の試料である試料から得られ得る。
【0011】
別の局面において、TTK阻害剤を用いた治療に応答する可能性のある患者を選択する方法が本明細書に提供され、該方法は、患者の癌のSKA3の発現レベルを決定する工程を含み、ここで該患者は、癌によるSKA3の発現レベルが高い場合に、治療に応答する可能性がある。
【0012】
別の局面において、癌のSKA3の発現レベルを決定する工程および癌によるSKA3の発現レベルが高い場合にTTK阻害剤の治療有効量を投与する工程、および患者の癌がSKA3の高発現レベルを示さない場合にTTK阻害剤以外の抗癌療法により患者を治療する工程を含む、癌を有する患者を治療する方法が本明細書に提供される。
【0013】
一局面において、SKA3の高発現レベルは、患者の無作為集団中の同じ癌型由来の癌細胞のSKA3発現レベルの上位50%以内にある発現レベルにより特徴付けられる。SKA3発現レベルは、例えば強く標準化されたSKA3(-1および+1についてそれぞれ分位点2.5%および97.5%設定)についてのRT-PCR測定]由来の標準化された読出し数およびTPM(百万当たりの転写産物)または標準化されたサイクル閾値(Ct)レベルなどのRNA配列決定由来の発現レベルなどのSKA3発現レベルを決定するために適切な方法から得られ得る。
【0014】
本明細書で使用する場合、「高発現」は、発現レベルの上位5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、45%または50%以内にある発現レベルを意味する。「上位50%」は、例えば同じ癌を有する被験体、例えば少なくとも25名の被験体、少なくとも50名の被験体、少なくとも100名の被験体、少なくとも500名の被験体、少なくとも1000名の被験体などの無作為集団の癌細胞から(例えば組織試料から)SKA3の発現レベルを回収し、次いで新規の被験体の発現レベルが上位50%百分位数以内にあるかどうかを評価することにより得られ得る。発現レベルは、例えば材料および方法のセクション中の実施例1に記載されるように決定され得るSKA3のレベルであり得る。
【0015】
代替的に「高発現」は、所定の参照レベルを超える患者由来の癌におけるSKA3のレベル、即ち該参照レベルと比較して、本明細書に記載される方法により決定された、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、100%、150%、200%、250%またはそれ以上をいう。
【0016】
「参照レベル」は、癌を有さない健常な個体の集団から得られた癌と同じ細胞型の細胞中で決定された平均SKA3発現レベルをいう。代替的な局面において、参照レベルは、患者から得られた癌と同じ細胞型の非癌性細胞中で決定され得る。
【0017】
一局面において、参照レベルは、強く標準化されたSKA3(-1および+1についてそれぞれ分位点2.5%および97.5%設定)について、[SKA3発現レベル、例えばRT-PCR測定由来の標準化された読出し数およびTPM(百万当たりの転写産物)または標準化されたサイクル閾値(Ct)レベルなどのRNA配列決定由来の発現レベルなどを決定するために適した方法から得られ得る]平均標準化SKA3発現を決定することにより得られ得る。
【0018】
一局面において、TTK阻害剤以外の抗癌療法としては、限定されないが、手術、放射線療法、免疫療法、内分泌療法、遺伝子療法およびTTK阻害剤以外の抗癌剤の投与が挙げられる。別の局面において、TTK阻害剤以外の抗癌療法としては、限定されないが、手術、放射線療法、免疫療法、内分泌療法、遺伝子療法および後成的療法、例えばTTK阻害剤以外の薬剤の投与が挙げられる。
【0019】
免疫療法(生物学的応答改変療法、生物療法(biologic therapy)、生体療法、免疫療法(immune therapy)または生物学的療法(biological therapy)とも称される)は、疾患と戦うために免疫系の一部を使用する治療である。免疫療法は、癌細胞を認識するまたは癌細胞に対する応答を高める免疫系を補助し得る。免疫療法は、能動および受動免疫療法を含む。能動免疫療法は身体自身の免疫系を刺激し、受動免疫療法は一般的に、体外で作製される免疫系構成要素を使用する。能動免疫療法の例としては、限定されないが、ワクチン、例えば癌ワクチン、腫瘍細胞ワクチン(自家または同種異系)、樹状細胞ワクチン、抗原ワクチン、抗イディオタイプワクチン、DNAワクチン、ウイルスワクチン、またはインターロイキン-2(IL-2)もしくはリンホカイン活性化キラー(LAK)細胞治療を用いた腫瘍浸潤リンパ球(TIL)ワクチンが挙げられる。また、免疫チェックポイント阻害剤といわれる免疫療法薬は、患者自身の免疫系細胞を腫瘍細胞を攻撃することから自由にするように設計される。例としては、進行性古典的ホジキンリンパ腫の治療のために承認されたPD-1抗原を認識するモノクローナル抗体である薬物ニボルマブ(Opdivo)およびペンブロリズマブ(Keytruda);膀胱癌治療のために承認されたタンパク質プログラム細胞死-リガンド1(PD-L1)に対する十分に(fully)ヒト化されたモノクローナル抗体であるアテゾリズマブ(Tecentriq);ならびにCTLA-4タンパク質を標的化することにより免疫系を活性化するモノクローナル抗体であるイピリムマブ(Yervoy)が挙げられる。
【0020】
受動免疫療法の例としては、限定されないが、モノクローナル抗体および毒素を含む標的化治療が挙げられる。モノクローナル抗体としては、ネイキッド抗体およびコンジュゲートモノクローナル抗体(タグ付加、標識または負荷抗体とも称される)が挙げられる。ネイキッドモノクローナル抗体は結合した薬物または放射性材料を有さないが、コンジュゲートモノクローナル抗体は、例えば化学療法薬(化学標識)、放射性粒子(放射性標識)または毒素(免疫毒素)に連結される。これらのネイキッドモノクローナル抗体薬の例としては、限定されないが、例えばB細胞非ホジキンリンパ腫を治療するために使用されるCD20抗原に対する抗体であるリツキシマブ(Rituxan);例えば進行性乳癌を治療するために使用されるHER2タンパク質に対する抗体であるトラスツズマブ(Herceptin);例えばB細胞慢性リンパ性白血病(B-CLL)を治療するために使用されるCD52抗原に対する抗体であるアレムツズマブ(Campath);例えば進行性の結腸直腸癌および頭頸部癌を治療するために、例えばイリノテカンと組み合わせて使用されるEGFRタンパク質に対する抗体であるセツキシマブ(Erbitux);ならびにVEGFタンパク質に対して働き、例えば転移性結腸直腸癌を治療するために例えば化学療法と組み合わせて使用される抗脈管形成治療であるベバシズマブ(Avastin)が挙げられる。コンジュゲートモノクローナル抗体の例としては、限定されないが、癌性Bリンパ球に放射能を直接送達し、例えばB細胞非ホジキンリンパ腫を治療するために使用されるCD20抗原に対するモノクローナル抗体である放射性標識抗体イブリツモマブ チウキセタン(Zevalin);例えば特定の型の非ホジキンリンパ腫を治療するために使用されるCD20抗原を認識する別のモノクローナル抗体である放射性標識抗体トシツモマブ(Bexxar);および細胞傷害性剤カリケアミシンに連結され、例えば急性骨髄性白血病(AML)を治療するために使用されるCD33に対するモノクローナル抗体である免疫毒素ゲムツズマブオゾガマイシン(Mylotarg)が挙げられる。BL22は、例えば毛様細胞白血病を治療するためのコンジュゲートモノクローナル抗体、例えば白血病、リンパ腫および脳腫瘍を治療するための免疫毒素、ならびに放射性標識抗体である。
【0021】
遺伝子療法を含む受動免疫療法のさらなる例は、標的化して患者自身の癌と戦う能力を高めるように患者自身のT細胞を遺伝子的に改変することを含むCAR(キメラ抗原受容体)T細胞療法を含む。FDAに承認されたCAR-T療法としては、CD19抗原を標的化し、びまん性大B細胞リンパ腫の治療のために承認されるアキシカブタゲンシロロイセル(axicabtagene ciloleucel)(Yescarta);および再発/難治性B細胞前駆体急性リンパ芽球性白血病の治療のために使用されるチサゲンレクロイセル(tisagenlecleucel)(Kymriah)が挙げられる。
【0022】
一局面において、本教示において使用され得る免疫療法としてはアジュバント免疫療法が挙げられる。例としては、サイトカイン、例えば顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、マクロファージ炎症性タンパク質(MIP)-1-α、インターロイキン(IL-1、IL-2、IL-4、IL-6、IL-7、IL-12、IL-15、IL-18、IL-21およびIL-27を含む)、腫瘍壊死因子(TNF-αを含む)、およびインターフェロン(IFN-α、IFN-βおよびIFN-γを含む);ならびに例えばインターロイキン、例えばIL-2と他のサイトカイン、例えばIFN-αの組合せなどのそれらの組合せが挙げられる。
【0023】
内分泌療法は、ホルモンを添加、遮断または除去する治療である。例えば、エストロゲンの産生または活性を遮断し得る化学療法剤は、乳癌を治療するために使用されている。また、免疫系のホルモン性刺激は、特定の癌、例えば腎細胞癌および黒色腫を治療するために使用されている。一態様において、内分泌療法は、天然のホルモン、合成ホルモンまたは身体の天然のホルモンの産生もしくは活性を遮断もしくは増加し得る他の合成分子の投与を含む。別の態様において、内分泌療法は、特定のホルモンを産生する腺の除去を含む。
【0024】
遺伝子療法は、癌などの疾患を治療するための被験体の細胞および生物学的組織への遺伝子の挿入である。例示的な遺伝子療法としては、限定されないが、CAR-T細胞療法と称される患者由来の免疫T細胞の遺伝子的改変を含む生殖細胞系遺伝子療法および体細胞遺伝子療法が挙げられる。
【0025】
一局面において、TTK阻害剤以外の癌療法は、他の抗癌剤である。「抗癌剤」は、癌を有する被験体に有効量で投与した場合に、以下:増殖の停止、癌の範囲の低減(例えば腫瘍のサイズの低減)、癌の成長速度の阻害および臨床的症状もしくは癌に関連する指標(例えば組織または血清構成要素)の改善もしくは向上、または被験体の寿命の増加の1つ以上を、部分的または実質的に達成し得る化合物である。
【0026】
本明細書に記載される方法における使用に適した抗癌剤としては、癌の治療のために承認されている抗癌剤が挙げられる。一局面において、抗癌剤としては、限定されないが、標的化抗体、免疫チェックポイント阻害剤、脈管形成阻害剤、後成的薬剤、アルキル化剤、代謝拮抗物質、ビンカアルカロイド、タキサン、ポドフィロトキシン、トポイソメラーゼ阻害剤、ホルモン性抗腫瘍剤および他の抗腫瘍剤が挙げられる。
【0027】
本教示の方法に有用なアルキル化剤の例としては、限定されないが、ナイトロジェンマスタード(例えばメクロレタミン(mechloroethamine)、シクロホスファミド、クロラムブシル、メルファラン等)、エチレンイミンおよびメチルメラミン(例えばヘキサメチルメラミン(hexamethlymelamine)、チオテパ)、スルホン酸アルキル(alkyl sulfonate)(例えばブスルファン)、ニトロソウレア(例えばカルムスチン、ロムスチン(lomusitne)、セムスチン、ストレプトゾシン等)またはトリアゼン(ダカルバジン(decarbazine)等)が挙げられる。本教示の方法に有用な代謝拮抗物質の例としては、限定されないが、葉酸アナログ(例えばメトトレキサート)またはピリミジンアナログ(例えばフルオロウラシル、フロクソウリジン、シタラビン)、プリンアナログ(例えばメルカプトプリン、チオグアニン、ペントスタチン(pentostatin))が挙げられる。植物アルカロイドおよびテルペノイドまたはそれらの誘導体の例としては、限定されないが、ビンカアルカロイド(例えばビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビン、ビンデシン)、ポドフィロトキシン、およびタキサン(例えばパクリタキセル、ドセタキセル)が挙げられる。トポイソメラーゼ阻害剤の例としては、限定されないが、イリノテカン、トポテカン、アムサクリン、エトポシド、リン酸エトポシドおよびテニポシドが挙げられる。抗腫瘍剤の例としては、限定されないが、アクチノマイシン、アントラサイクリン(例えばドキソルビシン、ダウノルビシン、バルルビシン、イダルビシン、エピルビシン)、ブレオマイシン、プリカマイシンおよびマイトマイシンが挙げられる。
【0028】
一局面において、本教示において使用され得る抗癌剤としては、アドリアマイシン、ダクチノマイシン、ブレオマイシン、ビンブラスチン、シスプラチン、アシビシン(acivicin);アクラルビシン;塩酸アコダゾール;アクロニン(acronine);アドゼレシン(adozelesin);アルデスロイキン(aldesleukin);アルトレタミン;アンボマイシン(ambomycin);酢酸アメタントロン(ametantrone);アミノグルテチミド(aminoglutethimide);アムサクリン(amsacrine);アナストロゾール(anastrozole);アントラマイシン(anthramycin);アスパラギナーゼ;アスペルリン(asperlin);アザシチジン;アゼテパ(azetepa);アゾトマイシン(azotomycin);バチマスタット(batimastat);ベンゾデパ(benzodepa);ビカルタミド;塩酸ビサントレン(bisantrene);ジメシル酸ビスナフィド(bisnafide dimesylate);ビゼレシン(bizelesin);硫酸ブレオマイシン;ブレキナルナトリウム(brequinar sodium);ブロピリミン(bropirimine);ブスルファン;カクチノマイシン(cactinomycin);カルステロン;カラセミド(caracemide);カルベチマー(carbetimer);カルボプラチン;カルムスチン;塩酸カルビシン(carubicin hydrochloride);カルゼレシン(carzelesin);セデフィンゴール(cedefingol);クロラムブシル;シロレマイシン(cirolemycin);クラドリビン(cladribine);メシル酸クリスナトール(crisnatol);シクロホスファミド;シタラビン;ダカルバジン;塩酸ダウノルビシン;デシタビン(decitabine);デキソルマプラチン(dexormaplatin);デザグアニン(dezaguanine);メシル酸デザグアニン;ジアジクオン(diaziquone);ドキソルビシン;塩酸ドキソルビシン;ドロロキシフェン(droloxifene);クエン酸ドロロキシフェン;プロピオン酸ドロモスタノロン(dromostanolone propionate);デュアゾマイシン(duazomycin);エダトレキサート(edatrexate);塩酸エフロルニチン(eflornithine);エルサミトルシン(elsamitrucin);エンロプラチン(enloplatin);エンプロマート(enpromate);エピプロピジン(epipropidine);塩酸エピルビシン;エルブロゾール(erbulozole);塩酸エソルビシン(esorubicin hydrochloride);エストラムスチン(estramustine);リン酸エストラムスチンナトリウム;エタニダゾール(etanidazole);エトポシド;リン酸エトポシド;エトプリン(etoprine);塩酸ファドロゾール(fadrozole);ファザラビン(fazarabine);フェンレチニド(fenretinide);フロクスウリジン;リン酸フルダラビン;フルオロウラシル;フルロシタビン(flurocitabine);ホスキドン(fosquidone);フォストリエシンナトリウム(fostriecin sodium);ゲムシタビン;塩酸ゲムシタビン;ヒドロキシウレア;塩酸イダルビシン;イホスファミド;イルモホシン(ilmofosine);インターロイキンII(例えば組換えインターロイキンIIまたはrIL2)、インターフェロンα-2a;インターフェロンα-2b;インターフェロンα-n1;インターフェロンα-n3;インターフェロンβ-Ia;インターフェロンγ-Ib;イプロプラチン(iproplatin);塩酸イリノテカン;酢酸ランレオチド(lanreotide acetate);レトロゾール(letrozole);酢酸ロイプロリド(leuprolide acetate);塩酸リアロゾール(liarozole hydrochloride);ロメトレキソールナトリウム(lometrexol sodium);ロムスチン;塩酸ロソキサントロン(losoxantrone hydrochloride);マソプロコール(masoprocol);メイタンシン(maytansine);塩酸メクロレタミン;酢酸メゲストロール;酢酸メレンゲストロル(melengestrol acetate);メルファラン(melphalan);メノガリル(menogaril);メルカプトプリン;メトトレキサート;ナトリウムメトトレキサート;メトプリン(metoprine);メツレデパ(meturedepa);ミチンドミド(mitindomide);ミトカルシン(mitocarcin);ミトクロミン(mitocromin);ミトギリン(mitogillin);ミトマルシン(mitomalcin);マイトマイシン;ミトスペル(mitosper);ミトタン(mitotane);塩酸ミトキサントロン;ミコフェノール酸;ノコダゾール(nocodazole);ノガラマイシン(nogalamycin);オルマプラチン(ormaplatin);オキシスラン(oxisuran);ペグアスパラガーゼ(pegaspargase);ペリオマイシン(peliomycin);ペンタムスチン(pentamustine);硫酸ペプロマイシン(peplomycin sulfate);ペルホスファミド(perfosfamide);ピポブロマン(pipobroman);ピポスルファン(piposulfan);塩酸ピロキサントロン(piroxantrone hydrochloride);プリカマイシン;プロメスタン(plomestane);ポルフィマーナトリウム(porfimer sodium);ポルフィロマイシン(porfiromycin);プレドニムスチン(prednimustine);塩酸プロカルバジン(procarbazine hydrochloride);ピューロマイシン;塩酸ピューロマイシン;ピラゾフリン(pyrazofurin);リボプリン(riboprine);ログレチミド(rogletimide);サフィンゴール(safingol);塩酸サフィンゴール;セムスチン;シムトラゼン(simtrazene);スパルフォセートナトリウム(sparfosate sodium);スパルソマイシン(sparsomycin);塩酸スピロゲルマニウム(spirogermanium hydrochloride);スピロムスチン(spiromustine);スピロプラチン(spiroplatin);ストレプトニグリン(streptonigrin);ストレプトゾシン;スロフェヌル(sulofenur);タリソマイシン(talisomycin);テコガランナトリウム(tecogalan sodium);テガフール(tegafur);塩酸テロキサントロン(teloxantrone hydrochloride);テモポルフィン(temoporfin);テニポシド;テロキシロン(teroxirone);テストラクトン(testolactone);チアミプリン(thiamiprine);チオグアニン;チオテパ(thiotepa);チアゾフリン(tiazofurin);チラパザミン(tirapazamine);クエン酸トレミフェン(toremifene);酢酸トレストロン(trestolone);リン酸トリシリビン(triciribine);トリメトレキサート(trimetrexate);グルクロン酸トリメトレキサート;トリプトレリン(triptorelin);塩酸ツブロゾール(tubulozole hydrochloride);ウラシルマスタード;ウレデパ(uredepa);バプレオチド(vapreotide);ベルテポルフィン(verteporfin);硫酸ビンブラスチン;硫酸ビンクリスチン;ビンデシン;硫酸ビンデシン;硫酸ビネピジン(vinepidine sulfate);硫酸ビングリシナート(vinglycinate sulfate);硫酸ビンロイロシン(vinleurosine sulfate);酒石酸ビノレルビン;硫酸ビンロシジン(vinrosidine sulfate);硫酸ビンゾリジン(vinzolidine sulfate);ボロゾール(vorozole);ゼニプラチン(zeniplatin);ジノスタチン(zinostatin);塩酸ゾルビシン(zorubicin hydrochloride)が挙げられる。
【0029】
本教示において使用され得る他の抗癌剤/薬物としては、限定されないが、20-エピ-1,25ジヒドロキシビタミンD3;5-エチニルウラシル;アビラテロン(abiraterone);アクラルビシン;アシルフルベン(acylfulvene);アデシペノール(adecypenol);アドゼレシン(adozelesin);アルデスロイキン(aldesleukin);ALL-TKアンタゴニスト;アルトレタミン;アンバムスチン(ambamustine);アミドックス(amidox);アミフォスチン(amifostine);アミノレブリン酸;アムルビシン(amrubicin);アムサクリン(amsacrine);アナグレリド(anagrelide);アナストロゾール(anastrozole);アンドログラホリド(andrographolide);血管形成阻害剤;アンタゴニストD;アンタゴニストG;アンタレリクス(antarelix);抗背側化形態形成タンパク質(anti-dorsalizing morphogenetic protein)-1;抗アンドロゲン;抗エストロゲン;抗ネオプラストン;アンチセンスオリゴヌクレオチド;アフィジコリングリシネート(aphidicolin glycinate);アポトーシス遺伝子調節因子;アポトーシス調節因子;アプリン酸;アラ-CDP-DL-PTBA;アルギニンデアミナーゼ;アスラクリン(asulacrine);アタメスタン(atamestane);アトリムスチン(atrimustine);アキシナスタチン(axinastatin)1;アキシナスタチン2;アキシナスタチン3;アザセトロン(azasetron);アザトキシン(azatoxin);アザチロシン(azatyrosine);バッカチン(baccatin)III誘導体;バラノール(balanol);バチマスタット(batimastat);BCR/ABLアンタゴニスト;ベンゾクロリン;ベンゾイルスタウロスポリン;βラクタム誘導体;βアレチン(beta-alethine);ベタクラマイシン(betaclamycin)B;ベツリン酸;bFGF阻害薬;ビカルタミド;ビサントレン(bisantrene);ビスアジリジニルスペルミン(bisaziridinylspermine);ビスナフィド(bisnafide);ビストラテン(bistratene)A;ビゼレシン(bizelesin);ブレフラート(breflate);ブロピリミン(bropirimine);ブドチタン(budotitane);ブチオニンスルホキシイミン(buthionine sulfoximine);カルシポトリオール(calcipotriol);カルホスチンC;カンプトテシン誘導体;カナリア痘(canarypox)IL-2;カペシタビン(capecitabine);カルボキサミド-アミノ-トリアゾール;カルボキシアミドトリアゾール;CaRest M3;CARN 700;軟骨由来阻害剤;カルゼレシン(carzelesin);カゼインキナーゼ阻害薬(ICOS);カスタノスペルミン(castanospermine);セクロピン(cecropin)B;セトロレリクス(cetrorelix);クロルン(chlorlns);クロロキノキサリンスルホンアミド;シカプロスト(cicaprost);cisポルフィリン;クラドリビン(cladribine);クロミフェン(clomifene)アナログ;クロトリマゾール(clotrimazole);コリスマイシン(collismycin)A;コリスマイシンB;コンブレタスタチン(combretastatin)A4;コンブレタスタチンアナログ;コナゲニン(conagenin);クランベシジン(crambescidin)816;クリスナトール(crisnatol);クリプトフィシン(cryptophycin)8;クリプトフィシンA誘導体;キュラシン(curacin)A;シクロペンタアントラキノン(cyclopentanthraquinone);シクロプラタム(cycloplatam);シペマイシン(cypemycin);シタラビンオクホスファート(cytarabine ocfosfate);細胞溶解因子;サイトスタチン(cytostatin);ダクリキシマブ(dacliximab);デシタビン(decitabine);デヒドロジデムニン(dehydrodidemnin)B;デスロレリン(deslorelin);デキサメタゾン;デキシホスファミド(dexifosfamide);デクスラゾキサン(dexrazoxane);デクスベラパミル(dexverapamil);ジアジクオン(diaziquone);ジデムニン(didemnin)B;ジドクス(didox);ジエチルノルスペルミン(diethylnorspermine);ジヒドロ-5-アザシチジン;9-ジオキサマイシン(dioxamycin);ジフェニルスピロムスチン(diphenyl spiromustine);ドコサノール(docosanol);ドラセトロン(dolasetron);ドキシフルリジン(doxifluridine);ドロロキシフェン(droloxifene);ドロナビノール(dronabinol);デュオカルマイシン(duocarmycin)SA;エブセレン(ebselen);エコムスチン(ecomustine);エデルホシン(edelfosine);エドレコロマブ(edrecolomab);エフロルニチン(eflornithine);エレメン(elemene);エミテフール(emitefur);エピルビシン;エプリステリド(epristeride);エストラムスチン(estramustine)アナログ;エストロゲンアゴニスト;エストロゲンアンタゴニスト;エタニダゾール(etanidazole);リン酸エトポシド;エキセメスタン(exemestane);ファドロゾール(fadrozole);ファザラビン(fazarabine);フェンレチニド(fenretinide);フィルグラスチム(filgrastim);フィナステリド(finasteride);フラボピリドール(flavopiridol);フレゼラスチン(flezelastine);フルアステロン(fluasterone);フルダラビン;塩酸フルオロダウノルニシン(fluorodaunorunicin);ホルフェニメクス(forfenimex);ホルメスタン(formestane);ホストリエシン(fostriecin);ホテムスチン(fotemustine);ガドリニウムテキサフィリン (gadolinium texaphyrin);硝酸ガリウム;ガロシタビン(galocitabine);ガニレリクス(ganirelix);ゼラチナーゼ阻害剤;ゲムシタビン;グルタチオン阻害剤;ヘプスルファム(hepsulfam);ヘレグリン(heregulin);ヘキサメチレンビスアセトアミド;ハイペリシン(hypericin);イバンドロン酸;イダルビシン;イドキシフェン(idoxifene);イドラマントン(idramantone);イルモホシン(ilmofosine);イロマスタット(ilomastat);イミダゾアクリドン;イミキモド(imiquimod);免疫刺激ペプチド;インスリン様成長因子-1受容体阻害剤;インターフェロンアゴニスト;インターフェロン;インターロイキン;イオベングアン(iobenguane);ヨードドキソルビシン(iododoxorubicin);イポメアノール(ipomeanol),4-;イロプラクト(iroplact);イルソグラジン(irsogladine);イソベンガゾール(isobengazole);イソホモハリコンドリン(isohomohalicondrin)B;イタセトロン(itasetron);ジャスプラキノリド(jasplakinolide);カハラリド(kahalalide)F;ラメラリン-Nトリアセテート(lamellarin-N triacetate);ランレオチド(lanreotide);レイナマイシン(leinamycin);レノグラスチム(lenograstim);硫酸レンチナン(lentinan sulfate);レプトルスタチン(leptolstatin);レトロゾール(letrozole);白血病阻害因子;白血球αインターフェロン;ロイプロリド+エストロゲン+プロゲステロン;リュープロレリン(leuprorelin);レバミゾール(levamisole);リアロゾール(liarozole);線状ポリアミンアナログ;親油性ジサッカライドペプチド;親油性白金化合物;リソクリナミド(lissoclinamide)7;ロバプラチン(lobaplatin);ロンブリシン(lombricine);ロメトレキソール(lometrexol);ロニダミン(lonidamine);ロソキサントロン(losoxantrone);ロバスタチン(lovastatin);ロキソリビン(loxoribine);ルルトテカン(lurtotecan);ルテチウムテキサフィリン (lutetium texaphyrin);リソフィリン(lysofylline);マイタンシン(maitansine);マンノスタチン(mannostatin)A;マリマスタット(marimastat);マソプロコール(masoprocol);マスピン(maspin);マトリリシン(matrilysin)阻害剤;マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤;メノガリル(menogaril);メルバロン(merbarone);メテレリン(meterelin);メチオニナーゼ;メトクロプラミド(metoclopramide);MIF阻害剤;ミフェプリストン(mifepristone);ミルテホシン(miltefosine);ミリモスチム(mirimostim);ミスマッチ二本鎖RNA;ミトグアゾン(mitoguazone);ミトラクトール(mitolactol);マイトマイシンアナログ;ミトナフィド(mitonafide);マイトトキシン線維芽細胞成長因子-サポリン(saporin);ミトキサントロン;モファロテン(mofarotene);モルグラモスチム(molgramostim);モノクローナル抗体、ヒト絨毛性ゴナドトロピン;モノホスホリルリピドA+ミオバクテリウム(myobacterium)細胞壁sk;モピダモール(mopidamol);多剤耐性遺伝子阻害剤;多発性腫瘍抑制因子1系の治療;マスタード抗癌剤;ミカペルオキシド(mycaperoxide)B;ミコバクテリア細胞壁抽出物;ミリアポロン(myriaporone);N-アセチルジナリン(acetyldinaline);N-置換ベンズアミド;ナファレリン(nafarelin);ナグレスチップ(nagrestip);ナロキソン(naloxone)+ペンタゾシン(pentazocine);ナパビン(napavin);ナフテルピン(naphterpin);ナルトグラスチム(nartograstim);ネダプラチン(nedaplatin);ネモルビシン(nemorubicin);ネリドロン酸;中性エンドペプチダーゼ;ニルタミド(nilutamide);ニサマイシン(nisamycin);一酸化窒素調節因子;ニトロキシド酸化防止剤;ニトルリン(nitrullyn);06-ベンジルグアニン;オクトレオチド(octreotide);オキセノン(okicenone);オリゴヌクレオチド;オナプリストン(onapristone);オンダンセトロン(ondansetron);オンダンセトロン(ondansetron);オラシン(oracin);経口サイトカイン誘導因子;オルマプラチン(ormaplatin);オサテロン(osaterone);オキサリプラチン(oxaliplatin);オキサウノマイシン(oxaunomycin);パラウアミン(palauamine);パルミトイルリゾキシン(palmitoylrhizoxin);パミドロン酸;パナキシトリオール(panaxytriol);パノミフェン(panomifene);パラバクチン(parabactin);パゼリプチン(pazelliptine);ぺグアスパルガーゼ;ペルデシン(peldesine);ペントサンポリ硫酸ナトリウム;ペントスタチン;ペントロゾール(pentrozole);パーフルブロン(perflubron);ペルホスファミド;ペリリルアルコール(perillyl alcohol);フェナジノマイシン(phenazinomycin);酢酸フェニル;ホスファターゼ阻害剤;ピシバニール(picibanil);塩酸ピロカルピン(pilocarpine hydrochloride);ピラルビシン(pirarubicin);ピリトレキシム(piritrexim);プラセチン(placetin)A;プラセチンB;プラスミノーゲン活性化因子阻害剤;白金複合体;白金化合物;白金-トリアミン複合体;ポルフィマーナトリウム(porfimer sodium);ポルフィロマイシン(porfiromycin);プレドニゾン;プロピルビス-アクリドン;プロスタグランジンJ2;プロテアソーム阻害剤;プロテインA系免疫調節因子;プロテインキナーゼC阻害剤;プロテインキナーゼC阻害剤;プロテインチロシンホスファターゼ阻害剤;プリンヌクレオシドホスホリラーゼ阻害剤;プルプリン(purpurin);ピラゾロアクリジン;ピリドキシル化ヘモグロビンポリオキシエチレンコンジュゲート;rafアンタゴニスト;ラルチトレキセド(raltitrexed);ラモセトロン(ramosetron);rasファルネシルプロテイントランスフェラーゼ阻害剤;ras阻害剤;ras-GAP阻害剤;脱メチル化レテリプチン(retelliptine demethylated);レニウムRe186エチドロネート;リゾキシン(rhizoxin);リボザイム;RIIレチンアミド(retinamide);ログレチミド(rogletimide);ロヒツキン(rohitukine);ロムルチド(romurtide);ロキニメクス(roquinimex);ルビギノン(rubiginone)B1;ルボキシル(ruboxyl);サフィンゴール(safingol);サイントピン(saintopin);SarCNU;サルコフィトール(sarcophytol)A;サルグラモスチム(sargramostim);Sdi 1模倣体;セムスチン;セネセンス由来(senescence derived)阻害剤1;センスオリゴヌクレオチド;シグナル伝達阻害剤;シグナル伝達調節剤;単鎖抗原結合タンパク質;シゾフィラン(sizofiran);ソブゾキサン(sobuzoxane);ボロカプテートナトリウム(sodium borocaptate);フェニル酢酸ナトリウム;ソルベロール(solverol);ソマトメジン(somatomedin)結合性タンパク質;ソネルミン(sonermin);スパルフォシン酸(sparfosic acid);スピカマイシンD;スピロムスチン(spiromustine);スプレノペンチン(splenopentin);スポンギスタチン(spongistatin)1;スクアラミン;幹細胞阻害剤;幹細胞分裂阻害剤;スチピアミド(stipiamide);ストロメリシン(stromelysin)阻害剤;スルフィノシン(sulfinosine);高作用性血管作用性腸内ペプチドアンタゴニスト(superactive vasoactive intestinal peptide antagonist);スラジスタ(suradista);スラミン(suramin);スワインソニン(swainsonine);合成グリコサミノグリカン;タリムスチン(tallimustine);タモキシフェンメチオジド(tamoxifen methiodide);タウロムスチン(tauromustine);タザロ
テン(tazarotene);テコガランナトリウム(tecogalan sodium);テガフール(tegafur);テルラピリリウム(tellurapyrylium);テロメラーゼ阻害剤;テモポルフィン(temoporfin);テモゾロミド(temozolomide);テニポシド;テトラクロロデカオキシド;テトラゾミン(tetrazomine);タリブラスチン(thaliblastine);チオコラリン(thiocoraline);トロンボポエチン;トロンボポエチン模倣体;チマルファシン(thymalfasin);チモポエチン(thymopoietin)受容体アゴニスト;チモトリナン(thymotrinan);甲状腺刺激ホルモン;エチルエチオプルプリンスズ(tin ethyl etiopurpurin);チラパザミン(tirapazamine);チタノセンビクロリド(titanocene bichloride);トプセンチン(topsentin);トレミフェン(toremifene);全能性幹細胞因子;翻訳阻害剤;トレチノイン(tretinoin);トリアセチルウリジン;トリシリビン(triciribine);トリメトレキサート;トリプトレリン(triptorelin);トロピセトロン(tropisetron);ツロステリド(turosteride);チロシンキナーゼ阻害剤;チルホスチン;UBC阻害剤;ウベニメクス(ubenimex);尿生殖洞由来成長阻害因子;ウロキナーゼ受容体アンタゴニスト;バプレオチド(vapreotide);バリオリン(variolin)B;ベラレソール(velaresol);ベラミン(veramine);ベルジン;ベルテポルフィン(verteporfin);ビノレルビン;ビンキサルチン(vinxaltine);ビタキシン(vitaxin);ボロゾール(vorozole);ザノテロン(zanoterone);ゼニプラチン(zeniplatin);ジラスコルブ(zilascorb);およびジノスタチンスチマラマー(zinostatin stimalamer)が挙げられる。
【0030】
一局面において、癌療法は、白血病を治療するために適切な抗癌剤である。例示的な治療としては、限定されないが、Abitrexate(登録商標)(メトトレキサート)、Arranon(登録商標)(ネララビン)、アスパラギナーゼエルウィニアクリサンチミー(Asparaginase Erwinia chrysanthemi)、ブリナツモマブ、Blincyto(登録商標)(ブリナツモマブ)、Cerubidine(登録商標)(塩酸ダウノルビシン)、Clafen(登録商標)(シクロホスファミド)、Clofarabine (登録商標)、Clofarex(登録商標)(クロファラビン)、Clolar(登録商標)(クロファラビン)、シクロホスファミド、シタラビン、Cytosar-U(登録商標)(シタラビン)、Cytoxan(登録商標)(シクロホスファミド)、ダサチニブ、塩酸ダウノルビシン、塩酸ドキソルビシン、Erwinaze(登録商標)(アスパラギナーゼエルウィニアクリサンチミー)、Folex(登録商標)(メトトレキサート)、Folex PFS(登録商標)(メトトレキサート)、Gleevec(登録商標)(メシル酸イマチニブ)、Iclusig(登録商標)(塩酸ポナチニブ)、メシル酸イマチニブ、Marqibo(登録商標)(硫酸ビンクリスチンリポソーム)、メルカプトプリン、メトトレキサート、Methotrexate LPF(登録商標)(メトトレキサート(Methorexate))、Mexate(登録商標)(メトトレキサート)、Mexate-AQ(登録商標)(メトトレキサート)、ネララビン、Neosar(登録商標)(シクロホスファミド)、Oncaspar(登録商標)(ペグアスパラガーゼ)、ペグアスパラガーゼ、塩酸ポナチニブ、プレドニゾン、Purinethol(登録商標)(メルカプトプリン)、Purixan(登録商標)(メルカプトプリン)、Rubidomycin(登録商標)(塩酸ダウノルビシン)、Spryce(登録商標)l (ダサチニブ)、Tarabine PFS(登録商標)(シタラビン)、Vincasar PFS(登録商標)(硫酸ビンクリスチン)、硫酸ビンクリスチン、硫酸ビンクリスチンリポソーム、ハイパーCVAD、三酸化砒素、イダマイシン(塩酸イダルビシン)、塩酸イダルビシン、塩酸ミトキサントロン、Tabloid (チオグアニン)、チオグアニン、Trisenox(登録商標)(三酸化砒素)、アレムツズマブ、Ambochlorin(登録商標)(クロラムブシル)、Arzerra(登録商標)(オファツムマブ)、塩酸ベンダムスチン、Campath(登録商標)(アレムツズマブ)、クロラムブシル、Fludara(登録商標)(リン酸フルダラビン)、リン酸フルダラビン、Gazyva(登録商標)(オビヌツズマブ)、イブルチニブ、イデラリシブ、Imbruvica(登録商標)(イブルチニブ)、Leukeran(登録商標)(クロラムブシル)、Linfolizin(登録商標)(クロラムブシル)、塩酸メクロレタミン、Mustargen(登録商標)(塩酸メクロレタミン)、オビヌツズマブ、オファツムマブ、Rituxan(登録商標)(リツキシマブ)、リツキシマブ、Treanda(登録商標)(塩酸ベンダムスチン)、Venclexta(登録商標)(ベネトクラクス)、ベネトクラクス、Zydelig(登録商標)(イデラリシブ)、クロラムブシル-プレドニゾン、CVP、Bosulif(ボスチニブ)、ボスチニブ、ブスルファン、Busulfex(ブスルファン)、Hydrea(登録商標)(ヒドロキシウレア)、ヒドロキシウレア、塩酸メクロレタミン、Myleran(登録商標)(ブスルファン)、Neosar(シクロホスファミド)、ニロチニブ、オマセタキシンメプスクシナート(Omacetaxine Mepesuccinate)、Synribo(登録商標)(オマセタキシンメプスクシナート)およびTasigna(登録商標)(ニロチニブ)が挙げられる。
【0031】
本明細書に記載されるTTKまたはMPS1阻害剤としては、例えばチロシントレオニンキナーゼまたはモノポーラースピンドル1活性を阻害し得る小分子が挙げられる。阻害は、インビトロ、インビボまたはそれらの組合せから測定され得る。一局面において、本明細書に記載される方法におけるTTKまたはMPS1阻害剤としては、限定されないが、WO2014075168、WO2015070349、WO2013053051、WO2014056083、WO 2009024824、WO 2013087579、WO 2014198647、WO 2014195408、WO 2014009219、WO 2014131739、WO 2016034507、WO 2009156315、WO 2010007756、Hewitt et al. J Cell Biol (2010) 190: 25-34、Wengner et al. Mol Cancer Ther (2016) 15: 583-592、Tardif et al. Mol Cancer Ther (2011) 10: 2267-2275、Jemaa et al. Cell Death Differ (2013) 20: 1532-1545、Kwiatkowski et al. Nat Chem Biol (2010) 6: 359-368、Tannous et al. J Natl Cancer Inst (2013) 105: 1322-1331、Colombo et al. Cancer Res (2010) 70: 10255-10264、Maia et al. Ann Oncol (2015) 26: 2180-2192、Santaguida et al. J Cell Biol (2010) 190: 73-87およびSchmidt et al. EMBO Rep (2005) 6: 866-872に記載されるものが挙げられる。
【0032】
一局面において、本明細書に記載される方法におけるTTK/MPS1阻害剤は、
【化1】
;またはその薬学的に許容され得る塩である。
【0033】
一局面において、本明細書に記載される方法におけるTTK/MPS1阻害剤は、
【化2-1】
【化2-2】
【化2-3】
S81694/NMS-P153;BOS172722;NTRC 0060-0;NTRC 1501-0;またはそれらの薬学的に許容され得る塩からなる群より選択される。
【0034】
本明細書に記載されるTTK/MPS1阻害剤におけるシクロブチルまたはシクロヘキシルについての立体化学が構造のみで示される場合、構造は、シクロブチルまたはシクロヘキシル中のいずれかのキラル中心での絶対立体化学ではなく、他のキラル中心での立体化学に対するシクロブチル/シクロヘキシル中のキラル中心の1つでの相対的な立体化学を示すことを意図する。例えば、シクロブチルについての立体化学がトランスにあるものとして構造のみで示される場合、シクロブチルについて示されるトランス立体配置に関する化合物の立体化学純度は、少なくとも85重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、少なくとも97重量%、少なくとも98重量%または少なくとも99重量%であり、すなわちシクロブチルでトランス立体化学を有する組成物中のTTK/MPS1阻害剤の重量パーセントは、少なくとも85重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、少なくとも97重量%、少なくとも98重量%または少なくとも99重量%である。例えば、式:
【化3】
により表されるTTK/MPS1阻害剤は、組成物中のTTK/MPS1阻害剤の少なくとも85重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、少なくとも97重量%、少なくとも98重量%もしくは少なくとも99重量%が、シクロブチルについて示されるトランス立体配置を有するか;組成物中のTTK/MPS1阻害剤の少なくとも少なくとも85重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、少なくとも97重量%、少なくとも98重量%もしくは少なくとも99重量%が:
【化4】
として他のトランス立体配置を含むか;または組成物中の化合物の少なくとも85重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、少なくとも97重量%、少なくとも98重量%もしくは少なくとも99重量%が2つのトランス立体配置の混合物であることを意味する。
【0035】
本明細書に記載される方法のTTK/MPS1阻害剤におけるキラル中心の絶対立体化学が構造的にかつ「R」または「S」の指示(designation)で示される場合、該表示は、少なくとも85重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、少なくとも97重量%、少なくとも98重量%または少なくとも99重量%、すなわち組成物中の表されるTTK/MPS1阻害剤の示される立体異性体の重量パーセントの立体化学純度での示される立体異性体を意味することが理解される。例えば、式:
【化5】
により表されるTTK/MPS1阻害剤は、組成物中のTTK/MPS1阻害剤の少なくとも85重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、少なくとも97重量%、少なくとも98重量%または少なくとも99重量%が示される立体異性体のものを含むことを意味する。構造および「R」または「S」の指示により示されている構造が単一のエナンチオマーである場合、エナンチオマー純度は、少なくとも95% (例えば少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%または少なくとも99.9%)である。
【0036】
化合物が、キラル中心での立体化学を示すことなく構造的に示される場合、該構造は、キラル中心でのいずれかの立体配置または代替的にキラル中心立体異性体で立体配置の任意の混合物を含むことが理解される。
【0037】
本明細書で使用する場合、用語「被験体」および「患者」は、交換可能に使用され得、治療の必要がある哺乳動物、例えばコンパニオン動物(例えばイヌ、ネコ等)、農場動物(例えばウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ヤギ等)および実験動物(例えばラット、マウス、モルモット等)を意味する。典型的に、被験体は、治療を必要とするヒトである。
【0038】
本明細書で使用する場合、用語「治療(treatment)」、「治療する(treat)」および「治療すること(treating)」は、本明細書に記載されるように、癌、またはその1つ以上の症状の進行を逆転、緩和または阻害することをいう。癌の例示的な型としては、例えば心臓:肉腫(血管肉腫、線維肉腫、横紋筋肉腫、脂肪肉腫)、粘液腫、横紋筋腫、線維腫、脂肪腫および奇形腫;肺:肺癌(扁平上皮細胞、未分化の小細胞、未分化の大細胞、腺癌)、肺胞(細気管支)癌、気管支腺腫、肉腫、リンパ腫、軟骨腫様過誤腫、中皮腫;胃腸;食道(扁平上皮癌、腺癌、平滑筋肉腫、リンパ腫)、胃(癌、リンパ腫、平滑筋肉腫)、膵臓(管状腺癌(ductal adenocarcinoma)、インスリノーマ、グルカゴノーマ、ガストリノーマ、類癌腫、神経内分泌腫瘍、ビポーマ)、小腸(腺癌、リンパ腫、類癌腫、カポジ肉腫、平滑筋腫、血管腫、脂肪腫、神経線維腫、線維腫)、大腸(腺癌、管状腺腫、絨毛腺腫、過誤腫、平滑筋腫);尿生殖器管:腎臓(腺癌、ウィルムス腫瘍(腎芽細胞腫)、リンパ腫、白血病)、膀胱および尿道(扁平上皮癌、移行上皮癌、腺癌)、前立腺(腺癌、肉腫、小細胞神経内分泌癌および類癌腫)、精巣(セミノーマ、奇形腫、胎生期癌、奇形癌、絨毛癌、肉腫、腸細胞癌、線維腫、線維腺腫、類腺腫瘍、脂肪腫);肝臓:肝癌(肝細胞癌)、胆管癌、胚芽腫、血管肉腫、肝細胞腺腫、血管腫;骨:骨原性肉腫(骨肉腫)、線維肉腫、悪性線維性組織球腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性リンパ腫(細網肉腫)、多発性骨髄腫、悪性巨細胞腫脊索腫、骨軟骨腫(osteochronfroma)(骨軟骨外骨症)、良性軟骨腫、軟骨芽細胞腫、軟骨粘液線維腫、類骨骨腫および巨細胞腫;神経系:頭蓋(骨腫、血管腫、肉芽腫、黄色腫、変形性骨炎)、髄膜(髄膜腫、髄膜肉腫、神経膠腫症)、脳(星状細胞腫、髄芽腫、神経膠腫、上衣腫、胚細胞腫(松果体腫(pinealoma))、多形グリア芽腫、希突起膠腫、神経鞘腫、網膜芽腫、びまん性橋膠腫(diffuse intrinsic pontine glioma)(DIPG)、先天的腫瘍)、脊髄神経線維腫、髄膜腫、神経膠腫、肉腫);婦人科学:子宮(子宮内膜癌)、頸(頸部癌、前腫瘍子宮頸部形成異常)、卵巣(卵巣癌(漿液性嚢胞腺癌、粘液性嚢胞腺癌、未分類の癌)、ファローピウス管(癌腫)、顆粒膜-包膜細胞腫(granulosa-thecal cell tumor)、セルトリ-ライディッヒ細胞腫、未分化胚細胞腫、悪性奇形腫)、外陰(扁平上皮癌、上皮内癌、腺癌、線維肉腫、黒色腫)、膣(明細胞癌、扁平上皮癌、ブドウ状肉腫(胎児性横紋筋肉腫));血液学:骨髄性白血病(急性および慢性)、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ性白血病、骨髄増殖性疾患(原発性骨髄線維症、真性赤血球増加、本態性血小板血症(essential thrombocythemia))、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫(悪性リンパ腫);皮膚:悪性黒色腫、基底細胞癌、扁平上皮癌、カポジ肉腫、異型性母斑(moles dysplastic nevi)、メルケル細胞癌、脂肪腫、血管腫、皮膚線維腫、ケロイド、乾癬;および副腎:神経芽腫が挙げられる。
【0039】
一局面において、SKA3の高発現を特徴とする癌は、乳癌、前立腺癌、子宮内膜癌、卵巣癌、脳癌、皮膚癌、甲状腺癌、肺癌、中皮腫癌、膀胱癌、結腸直腸癌、肝臓癌、黒色腫、グリア芽腫、白血病およびリンパ腫からなる群より選択される。一態様において、癌は乳癌である。一態様において、癌はトリプルネガティブ乳癌である。別の態様において、癌はルミナール(luminal)乳癌である。別の態様において、癌はHER陽性乳癌である。別の態様において、癌は肝細胞癌、卵巣癌、中皮腫または肺癌である。
【0040】
別の局面において、SKA3の高発現を特徴とする癌は、血管肉腫、線維肉腫、横紋筋肉腫、脂肪肉腫、粘液腫、横紋筋腫、線維腫、脂肪腫、奇形腫、扁平上皮癌、未分化の小細胞癌、未分化の大細胞癌、腺癌、肺胞癌、気管支腺腫、肉腫、リンパ腫、軟骨腫様過誤腫、中皮腫、平滑筋肉腫、癌腫、管状腺癌、インスリノーマ、グルカゴノーマ、ガストリノーマ、類癌腫、ビポーマ、類癌腫、カポジ肉腫、平滑筋腫、メルケル細胞癌、血管腫、脂肪腫、神経線維腫、線維腫、管状腺腫、絨毛腺腫、過誤腫、ウィルムス腫瘍、移行上皮癌、セミノーマ、奇形腫、胎生期癌、奇形癌、絨毛癌、小腸細胞癌、線維腫、線維腺腫、類腺腫瘍、脂肪腫、肝細胞癌、胆管癌、胚芽腫、血管肉腫、肝細胞腺腫、血管腫、骨原性肉腫、線維肉腫、悪性線維性組織球腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、細網肉腫、多発性骨髄腫、悪性巨細胞腫脊索腫、骨軟骨腫、良性軟骨腫、軟骨芽細胞腫、軟骨粘液線維腫、類骨骨腫、巨細胞腫、骨腫、血管腫、肉芽腫、黄色腫、変形性骨炎、髄膜腫、髄膜肉腫、神経膠腫症、星状細胞腫、髄芽腫、神経膠腫、上衣腫、胚細胞腫、多形グリア芽腫、希突起膠腫、神経鞘腫、網膜芽腫、先天性腫瘍、脊髄神経線維腫、髄膜腫、子宮内膜癌、頸部癌、前腫瘍子宮頸部形成異常、卵巣癌、顆粒膜-包膜細胞腫、セルトリ-ライディッヒ細胞腫、上皮内癌、明細胞癌、扁平上皮癌、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ性白血病、骨髄増殖性疾患、骨髄異形成症候群、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫(悪性リンパ腫)および神経芽腫から選択される。
【0041】
用語「薬学的に許容され得る担体、アジュバントまたはビヒクル」は、それと共に製剤化され、ヒトの使用に安全でもある化合物の薬理学的活性に有害な影響を与えない無毒性の担体、アジュバントまたはビヒクルをいう。本開示の組成物中で使用され得る薬学的に許容され得る担体、アジュバントまたはビヒクルとしては、限定されないが、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、レシチン、血清蛋白質、例えばヒト血清アルブミン、緩衝剤物質、例えばリン酸塩、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩または電解質、例えば硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロース系物質(例えば微結晶セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ラクトース一水和物、ラウリル硫酸ナトリウムおよびクロスカルメロースナトリウム)、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン-ポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリエチレングリコールおよび羊毛脂が挙げられる。
【0042】
本明細書における組成物および投与方法は、経口的、非経口的、吸入スプレーによる、局所的、直腸的、鼻腔的、頬内的、膣内的または埋め込みレザバーを介するものであり得る。用語「非経口」は、本明細書で使用する場合、皮下、静脈内、筋内、関節内、滑膜内、胸骨内、鞘内、肝臓内、病変内および頭蓋内の注射または注入技術を含む。
【0043】
任意の特定の患者についての特定の用量および治療計画は、使用される特定の化合物の活性、年齢、体重、一般的な健康状態、性別、食事、投与時間、排出速度、薬物組合せ、および治療する医師の判断および治療されている特定の疾患の重症度などの種々の要因に依存することも理解されるべきである。組成物中の本明細書に記載されるTTK阻害剤の量も、組成物中の特定の化合物に依存する。
【0044】
本願を通じて引用される全ての参照文献(参照論文、発行された特許、公開された特許出願およびともに係属中の特許出願など)の内容は、参照によりそれらの全体において明示的に本明細書に援用される。そうではないと定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術的および科学的な用語は、当業者に一般的に知られる意味と一致する。
【実施例】
【0045】
実施例
実施例1
以前に記載された乳癌細胞株パネル(Marcotte et al., Cell, 164(1-2), 2016 293-309)を、インビトロ薬物感受性プロファイリングのために集めて、利用可能な遺伝子発現データと対比した。RNA-seq読出しを、Kallistoパイプライン(Bray et al., Nature Biotechnology, 2016 34(5), 525-527)を使用してEnsembl Genome Reference Consortium release GRCh38と整列した。発現値は、log
2(TPM+0.001)としてコンピュータ計算し、ここでTPMは、配列長さおよび配列決定深さ(depth)を調節する、百万のマッピングされた読出し単位当たりの転写産物の数を表す。SKA3発現の状態(高 対 低発現)は、乳癌TCGAコホートなどの参照集団から決定し得た(
図6参照)。
【0046】
乳癌細胞株の化合物CFI-402257(TTK阻害剤、以下の構造参照)に対する応答は、スルホローダミンB(SRB)アッセイを使用して評価した。以前に記載されたように化合物を合成した(Liu et al., ACS Medicinal Chemistry Letters, 2016 7(7), 671-675参照)。
【化6】
【0047】
細胞を96ウェルプレートに播種して、連続薬物希釈物で処理した。処理の5日後、細胞を固定して、SRBで染色し、可溶化して分光光度計で吸光度を定量した。全ての薬物応答アッセイについて、細胞生存能力は、DMSO処理条件に対する薬物中の成育の割合として報告される。PharmacoGxパイプラインを使用して、薬物用量-応答曲線上面積(AAC)などの、各細胞株についての薬物応答測定基準を作成し、ここでより高いAAC値は、より高い薬物感受性を表す(Smirnov et al., Bioinformatics, 2016 32(8), 1244-1246)。
【0048】
乳癌細胞株パネルにわたり、化合物CFI-402257に対する示差的な(differential)インビトロ感受性を観察した(
図1)。
【0049】
実施例2
より高いレベルのSKA3を発現する細胞株はTTK阻害に対して感受性である
薬物感受性に強く関連する遺伝子発現を同定するために、線形回帰モデルに基づいて、機械学習法を開発した。該モデルは、分子的特徴と薬物応答の間の直線性の関係性を仮定する。この仮定の違反は偏った予測を生じ得るが、線形モデルはデータにおける変動またはノイズに対して強く、薬理ゲノミクスなどの高次元の情況において線形モデルが過剰に適合する傾向をより低くする。そのため、それぞれの分子的特徴と所定の薬物に対する応答の間の関係は、細胞株にわたる遺伝子発現を、癌細胞株の起源の組織について調整された予測変数として、および所定の薬物に対するそれらの感受性値を従属変数として使用して線形モデルを適合することにより評価される。所定の薬物に対するそれぞれの遺伝子の関係を評価するために、それぞれのデータセットについて、以下のように2つの線形モデルを構築した。
【数1】
式中、Tは、サイズN×1のベクトルとして起源の組織を表し;Nは、細胞株の数であり;Yは目的の薬物により処理された細胞株の薬物感受性値(AAC)を含むサイズN×1の薬物感受性ベクトルを示し;X
Gは、全ての細胞株にわたる遺伝子Gの発現についてのlog
2標準化TPM値のサイズN×1のベクトルを表す。それぞれの関係の効果サイズ(effect size)はβ
Gにより定量され、これは、組織型について調整された薬物応答と目的の分子特徴の間の関係の強度を示す。線形モデルから標準化された係数を推定するために、変数YおよびX
Gを調整する(scaled)(標準偏差=1であり、平均=0である)。本発明者らが以前にインビトロにおける薬物感受性が組織特異的であることを示したので(Yao et al., 2017)、ヌル(null)モデル(式(1))は、薬物応答と組織供給源の間の関係を推定する。式(2)のモデルは、薬物感受性と遺伝子レベルの発現の間の関係の強度および有意さを推定する。
【0050】
薬物感受性の単変量予測要素を同定するために、AAC、薬物応答の確固とした基準および遺伝子発現の間の結合を実行した。この分析により、薬物感受性と任意の他の単一遺伝子の間の関係を実質的に超える、遺伝子SKA3との強く、高度に統計的に有意な関係が同定された(
図2)。化合物CFI-402257に対する感受性と乳癌の認識された分子的サブタイプにおける薬物感受性の間の関係を評価するために、SKA3発現と(AACにより測定されるような)CFI-402257感受性の間の相関を評価した。全ての乳癌細胞株にわたる、細胞株回収物中に示される分子サブタイプ内の強い、統計的に有意な相関を同定した(
図3)。
【0051】
一旦、連続SKA3発現とCFI-402257に対する感受性(AAC)の間の線形の関係性が確立されると、本発明者らは、全ての試験された乳癌細胞株にわたるメジアンSKA3発現に基づいて、細胞株のSKA3低/高への単純な二元分類の予測を推定した(
図4参照)。本発明者らは、一致指標(無作為分類子(classifier)についてCI=0.5であり、CI=1は完全な分類を示す)を使用してかかる二元分類の予測[REF: Newson R: Confidence intervals for rank statistics: Somers' D and extensions. Stata Journal 6:309-334; 2006]、およびNoether式を使用してコンピュータにより計算したその有意さ(P値)[PMID: 22344892]を推定した。SKA3二元分類は、0.81のCI(P値=1.5E-9)を生じ、これは、SKA3二元発現は、CFI-402257に対する応答の強いバイオマーカーであることを示す。
【0052】
実施例3
SKA3発現は異なる癌細胞株で変化する
臨床的な癌におけるSKA3バイオマーカーの分布を特徴づけるために、The Cancer Genome AtlasデータセットからのSKA3遺伝子発現を
図5においてプロットした。注意すべきことに、500以上の患者を有する腫瘍型のみが含まれた。
図5は、乳癌および他の腫瘍型における遺伝子発現の有意な変動性を示す。患者の乳房腫瘍におけるSKA3発現のかかる変動性は、高いまたは低い腫瘍SKA3発現を有する個体が同定され得、化合物CFI-402257または他のTTK阻害剤に対して示差的な感受性を示すことを示唆する。
【0053】
これらのデータは、SKA3発現レベルは、「高い」SKA3発現体であると特徴付けられ得る別のサブ集団と共に、観察された値が広範囲であるためにTTK阻害剤を用いた治療のための癌患者のサブ集団を選択するための基準として使用され得ることを示唆する。
【0054】
本発明者らは、本発明のいくつかの態様を記載したが、本発明者らの基本的な実施例は、本発明の化合物および方法を使用する他の態様を提供するために変更され得ることが明らかである。そのため、本発明の範囲は、例示により示されている特定の態様ではなく、添付の特許請求の範囲により規定されることが理解される。
本発明の態様として以下のものが挙げられる。
項1
癌を有する患者を治療する方法であって、該癌は、紡錘体および動原体関連(Spindle and Kinetochore Associated)複合体サブユニット3(SKA3)遺伝子の高発現レベルを特徴とし、該方法は、患者に、TTK阻害剤の治療有効量を投与する工程を含む、方法。
項2
治療前に、癌が、SKA3の高発現レベルを有することが決定された、項1記載の方法。
項3
治療前に患者の癌の生体組織検査を実行する工程、および癌が、生検材料から得られた癌細胞からSKA3の高発現レベルを示すかどうかを決定する工程を含む、項1または2記載の方法。
項4
(a)癌患者由来の癌細胞を提供する工程;
(b)癌細胞中のSKA3遺伝子発現レベルを決定する工程;および
(c)患者の癌がSKA3の高発現レベルを示す場合に、患者にTTK阻害剤の治療有効量を投与する工程を含む、癌を有する患者を治療する方法。
項5
患者の癌がSKA3の高発現レベルを示さない場合に、TTK阻害剤の投与から患者を排除する工程をさらに含む、項4記載の方法。
項6
患者の癌がSKA3の高発現レベルを示さない場合に、TTK阻害剤以外の抗癌療法で患者を治療する工程をさらに含む、項4または5記載の方法。
項7
SKA3の高発現レベルが、患者の無作為集団内の同じ癌型の癌細胞の回収物からのSKA3発現レベルの上位50%以内にある発現レベルを特徴とする、項1~6いずれか記載の方法。
項8
発現値が、患者の集団内の同じ癌型由来の癌細胞の回収物からのSKA3発現レベルの上位25%以内にある、項7記載の方法。
項9
発現値が、患者の無作為集団内の同じ癌型由来の癌細胞の回収物からのレベルの上位10%以内にある、項7記載の方法。
項10
患者に、第2の抗癌剤の治療有効量を投与する工程をさらに含む、項1~3いずれか記載の方法。
項11
癌が、乳癌、前立腺癌、子宮内膜癌、卵巣癌、脳癌、皮膚癌、甲状腺癌、肺癌、中皮腫癌、膀胱癌、結腸直腸癌、肝臓癌、黒色腫、グリア芽腫、白血病およびリンパ腫からなる群より選択される、項1~10いずれか記載の方法。
項12
癌が乳癌である、項1~10いずれか記載の方法。
項13
癌がトリプルネガティブ乳癌である、項1~10いずれか記載の方法。
項14
癌がルミナール(luminal)乳癌である、項1~10いずれか記載の方法。
項15
癌がHER陽性乳癌である、項1~10いずれか記載の方法。
項16
癌が、肝細胞癌、卵巣癌、中皮腫または肺癌である、項1~10いずれか記載の方法。
項17
TTK阻害剤が、以下の構造式:
【化A-1】
により表される化合物、またはその薬学的に許容され得る塩である、項1~16いずれか記載の方法。
項18
TTK阻害剤が、以下の構造式:
【化A-2】
により表される化合物またはその薬学的に許容され得る塩である、項1~16いずれか記載の方法。
項19
TTK阻害剤が、以下の構造式:
【化A-3】
により表される化合物またはその薬学的に許容され得る塩である、項1~16いずれか記載の方法。
項20
TTK阻害剤が、以下の構造式:
【化A-4】
により表される化合物またはその薬学的に許容され得る塩である、項1~16いずれか記載の方法。
項21
TTK阻害剤が、
【化A-5-1】
【化A-5-2】
【化A-5-3】
S81694/NMS-P153;BOS172722;NTRC 0060-0;NTRC 1501-0;およびそれらの薬学的に許容され得る塩からなる群より選択される、項1~16いずれか記載の方法。