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  • 特許-輝度が向上した蛍光緑色トナー 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】輝度が向上した蛍光緑色トナー
(51)【国際特許分類】
   G03G 9/08 20060101AFI20240416BHJP
   G03G 9/087 20060101ALI20240416BHJP
   G03G 9/09 20060101ALI20240416BHJP
   G03G 9/093 20060101ALI20240416BHJP
   G03G 9/097 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
G03G9/08 391
G03G9/08 381
G03G9/087 331
G03G9/09
G03G9/093
G03G9/097 365
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021027934
(22)【出願日】2021-02-24
(65)【公開番号】P2021149095
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2024-02-22
(31)【優先権主張番号】16/822,531
(32)【優先日】2020-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】ル・チュンリアン
(72)【発明者】
【氏名】ユ・チ
(72)【発明者】
【氏名】ピーター・ヴィ.・グエン
(72)【発明者】
【氏名】エリウド・ロブルスフロアズ
(72)【発明者】
【氏名】チーミン・チェン
【審査官】高草木 綾音
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-18196(JP,A)
【文献】特開昭59-197046(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0145236(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 9/00-9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛍光緑色トナーであって、
樹脂、蛍光増白剤、及び前記蛍光増白剤の蛍光放出スペクトルと重なる吸収スペクトルを有する黄色蛍光剤を含む、蛍光剤が組み込まれた樹脂粒子と、
シアン着色剤、前記樹脂及び青色染料を含む青色染料が組み込まれた樹脂粒子、又はそれらの両方と、を含み、
前記蛍光緑色トナーが、100:1~0.2:1の範囲の、前記シアン着色剤、及び存在する場合、前記青色染料に対する前記黄色蛍光剤の重量比を有し、
前記蛍光緑色トナーが、UV光による照明下でフェルスター共鳴エネルギー移動(FRET)を呈する、蛍光緑色トナー。
【請求項2】
前記蛍光緑色トナーがコアシェル粒子の形態であり、各コアが、前記蛍光剤が組み込まれた樹脂粒子、前記シアン着色剤、前記青色染料が組み込まれた樹脂粒子、又はそれらの両方と、結晶性ポリエステル樹脂と、任意選択的にワックスと、前記コアの上のシェルと、をむ、請求項1に記載の蛍光緑色トナー。
【請求項3】
前記シアン着色剤を含む、請求項1に記載の蛍光緑色トナー。
【請求項4】
前記重量比が10:1~1:1である、請求項1に記載の蛍光緑色トナー。
【請求項5】
前記蛍光増白剤の前記蛍光放出スペクトル及び前記黄色蛍光剤の前記吸収スペクトルが、30%~100%の重なり度を有する、請求項1に記載の蛍光緑色トナー。
【請求項6】
前記蛍光増白剤が蛍光増白剤184である、請求項1に記載の蛍光緑色トナー。
【請求項7】
前記黄色蛍光剤が、ソルベントイエロー160:1、ソルベントイエロー98、ソルベントイエロー43、ベーシックイエロー40、及びこれらの組み合わせから選択される、請求項1に記載の蛍光緑色トナー。
【請求項8】
前記シアン着色剤を含み、前記シアン着色剤がピグメントブルー15:3である、請求項1に記載の蛍光緑色トナー。
【請求項9】
前記樹脂が、2種類の異なる樹脂の組み合わせであり、前記2種類の異なる樹脂が異なる化学組成物を有する、請求項1に記載の蛍光緑色トナー。
【請求項10】
前記2種類の異なる樹脂が、前記蛍光剤が組み込まれた樹脂粒子中に、2:3~3:2の重量比で存在する、請求項9に記載の蛍光緑色トナー。
【請求項11】
前記2種類の異なる樹脂が、2つの非晶質ポリエステル樹脂である、請求項10に記載の蛍光緑色トナー。
【請求項12】
前記2つの非晶質ポリエステル樹脂が、ポリ(プロポキシル化ビスフェノール-co-テレフタレート(terephthlate)-フマレート-ドデセニルスクシネート)及びポリ(プロポキシル化-エトキシル化ビスフェノール-co-テレフタレート-ドデセニルスクシネート-トリメリト酸無水物)である、請求項11に記載の蛍光緑色トナー。
【請求項13】
前記蛍光増白剤及び前記黄色蛍光剤の総量が、蛍光緑色トナーの重量の0.5重量%~5重量%の範囲であり、前記蛍光増白剤と前記黄色蛍光剤との重量比が1:10~1:0.5の範囲である、請求項1に記載の蛍光緑色トナー。
【請求項14】
前記結晶性ポリエステル樹脂が、次式のものであり、
【化1】
式I
式中、a及びbの各々が1~12の範囲であり、pが10~100の範囲である、請求項2に記載の蛍光緑色トナー。
【請求項15】
前記結晶性ポリエステル樹脂が、ポリ(1,6-ヘキシレン-1,12-ドデカノエート)である、請求項14に記載の蛍光緑色トナー。
【請求項16】
前記蛍光増白剤が蛍光増白剤184であり、前記黄色蛍光剤が、ソルベントイエロー160:1、ソルベントイエロー98、又はこれらの組み合わせであり、ピグメントブルー15:3として前記シアン着色剤を含む、請求項1に記載の蛍光緑色トナー。
【請求項17】
前記蛍光緑色トナーがコアシェル粒子の形態であり、各コアが、前記蛍光剤が組み込まれた樹脂粒子、前記シアン着色剤と、結晶性ポリエステル樹脂と、任意選択的にワックスと、前記コアの上のシェルと、をむ、請求項16に記載の蛍光緑色トナー。
【請求項18】
前記樹脂が、ポリ(プロポキシル化ビスフェノール-co-テレフタレート(terephthlate)-フマレート-ドデセニルスクシネート)とポリ(プロポキシル化-エトキシル化ビスフェノール-co-テレフタレート-ドデセニルスクシネート-トリメリト酸無水物)との組み合わせであり、前記結晶性ポリエステル樹脂が、ポリ(1,6-ヘキシレン-1,12-ドデカノエート)である、請求項17に記載の蛍光緑色トナー。
【請求項19】
蛍光緑色トナーを作製する方法であって、
蛍光増白剤と、前記蛍光増白剤の蛍光放出スペクトルと重なる吸収スペクトルを有する黄色蛍光剤と、第1の種類の非晶質樹脂と、第2の種類の非晶質樹脂と、を含む、1つ以上の蛍光ラテックスを形成することと、
シアン着色剤と、界面活性剤と、を含むシアン分散液を形成することと、
前記1つ以上の蛍光ラテックスと、前記シアン分散液と、1つ以上のエマルションであって、結晶性樹脂と、前記第1の種類の非晶質樹脂と、前記第2の種類の非晶質樹脂と、任意選択的にワックス分散体と、を含む、1つ以上のエマルションと、を含む混合物を形成することと、
前記混合物を凝集させて、所定のサイズの粒子を形成することと、
前記所定のサイズの前記粒子の上にシェルを形成して、コアシェル粒子を形成することと、
前記コアシェル粒子を合体させて、蛍光緑色トナーを形成することと、を含み、
前記蛍光緑色トナーが、100:1~0.2:1の範囲の前記シアン着色剤に対する前記黄色蛍光剤の重量比を有し、
前記蛍光緑色トナーが、UV光による照明下でFRETを呈する、方法。
【請求項20】
請求項1に記載の蛍光緑色トナーを使用する方法であって、
電子写真式プリンタを使用して前記蛍光緑色トナーを含む画像を形成することと、
前記蛍光緑色トナーを含む前記画像を画像受容媒体に転写することと、
前記蛍光緑色トナーを前記画像受容媒体に定着させることと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
トナーを提供するための従来の電子写真式印刷システムは、シアン、マゼンタ、イエロー、及びブラック(cyan,magenta,yellow,and black、CMYK)トナーステーションを含む4つのステーションからなる。これら及び他の電子写真式印刷システムは、蛍光トナーを含む特殊な色を印刷させることができる。様々な蛍光トナーが開発されてきたが、改善された蛍光トナーが所望されている。
【発明の概要】
【0002】
本開示は、蛍光緑色トナーを提供する。関連する方法もまた提供される。
【0003】
一態様では、蛍光緑色トナーが提供される。実施形態では、蛍光緑色トナーは、樹脂、蛍光増白剤、及び蛍光増白剤の蛍光放出スペクトルと重なる吸収スペクトルを有する黄色蛍光剤を含む蛍光剤が組み込まれた樹脂粒子と、シアン着色剤、樹脂及び青色染料を含む青色染料が組み込まれた樹脂粒子、又はそれらの両方と、を含む。蛍光緑色トナーは、シアン着色剤に対する黄色蛍光剤の重量比を有し、存在する場合、青色染料が100:1~0.2:1の範囲であり、蛍光緑色トナーは、UV光での照明下でフェルスター共鳴エネルギー移動(Forster Resonance Energy Transfer、FRET)を呈する。
【0004】
別の態様では、蛍光緑色トナーの作製方法が提供される。実施形態では、このような方法は、蛍光増白剤と、蛍光増白剤の蛍光放出スペクトルと重なる吸収スペクトルを有する黄色蛍光剤と、第1の種類の非晶質樹脂と、第2の種類の非晶質樹脂と、を含む、1つ以上の蛍光ラテックスを形成することと、シアン着色剤と、界面活性剤と、を含むシアン分散液を形成することと、1つ以上の蛍光ラテックスと、シアン分散液と、1つ以上のエマルションであって、結晶性樹脂と、第1の種類の非晶質樹脂と、第2の種類の非晶質樹脂と、任意選択的にワックス分散体と、を含む、1つ以上のエマルションと、を含む混合物を形成することと、混合物を凝集させて、所定のサイズの粒子を形成することと、所定のサイズの粒子の上にシェルを形成して、コアシェル粒子を形成することと、コアシェル粒子を合体させて、蛍光緑色トナーを形成することと、を含む。蛍光緑色トナーは、100:1~0.2:1の範囲の、シアン着色剤に対する黄色蛍光剤の重量比を有し、蛍光緑色トナーは、UV光での照明下でFRETを呈する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
以下、本開示の例示的な実施形態を、添付の図面を参照して説明する。
【0006】
図1】例示的な実施形態による蛍光緑色トナーの反射スペクトルを示す。トナー質量面積(toner mass area、TMA)は0.5mg/cmであった。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本開示は、蛍光緑色トナー、トナーの製造方法、及びトナーの使用方法を提供する。
【0008】
蛍光緑色トナーは、蛍光剤が組み込まれた樹脂粒子と、シアン着色剤及び/又は青色染料が組み込まれた樹脂粒子と、を含む。蛍光剤が組み込まれた樹脂粒子は、内部に黄色蛍光剤が組み込まれた樹脂粒子である。任意選択的に、しかし好ましくは蛍光増白剤もその中に組み込まれる。黄色蛍光剤及び蛍光増白剤(存在する場合)は、フェルスター共鳴エネルギー移動(FRET)を起こすことができる対を形成するように選択される。したがって、対はFRET対と称されてもよい。蛍光緑色トナー粒子は、蛍光剤が組み込まれた樹脂粒子並びにシアン着色剤及び/又は青色染料が組み込まれた樹脂粒子を含むコアと、コアの上のシェルと、の形態であってもよく、シェルはまた、コア内の樹脂(複数可)と同じであっても同じでなくてもよい1つ以上の樹脂も含む。蛍光剤が組み込まれた樹脂粒子及び青色染料が組み込まれた樹脂粒子の樹脂は、同じであっても異なってもよい。
【0009】
いくつかの蛍光トナーが開発されてきたが、蛍光剤の光学特性に悪影響を及ぼすことなく、着色剤と共にトナーに蛍光剤を組み込むことは特に困難である。例えば、蛍光剤の蛍光は、トナー内で容易にクエンチングされ、トナーがほとんど又は全く蛍光を有さないという結果になる。本開示は、そのようなクエンチングを防止し、(太陽光によって提供され得る)紫外線(ultraviolet、UV)光下で蛍光を放出し、高い明度L値を有する緑色のトナーをもたらす、改善されたトナー調製プロセスの開発に少なくとも部分的に基づく。また、上記FRET対により、蛍光緑色トナーからの全体蛍光放出量が増加し、蛍光緑色トナーの輝度及び色強度が向上する。
【0010】
蛍光剤
【0011】
上記のように、FRET対を形成するように選択された蛍光増白剤及び黄色蛍光剤を含む蛍光緑色トナーが、提供される。蛍光増白剤及び黄色蛍光剤は各々、吸収スペクトル及び放出スペクトルによって特徴付けられる。FRET対を形成するために、蛍光増白剤の放出スペクトルは、黄色蛍光剤の吸収スペクトルと適切に重ならなければならない。蛍光増白剤を励起するために光(例えば、紫外線(UV)光)で照明すると、励起された蛍光増白剤は、非放射エネルギー移動により黄色蛍光剤にエネルギーを伝達して、黄色蛍光剤から蛍光放出を誘導する。UV光は、UV光を含む太陽光によって提供されてもよい。蛍光増白剤の正規化された放出スペクトルと黄色蛍光剤の正規化吸収スペクトルとの間の重なり度は、完全である必要はない。部分的な重なりは、対間のFRETを依然として可能にし得る。それにもかかわらず、重なり度が大きいほど、FRET効率が高くなり、蛍光緑色トナーからの全体蛍光放出量が大きくなる。実施形態では、重なり度は、5%、15%超、20%超、30%超、又は30%~100%の範囲である。
【0012】
実施形態では、蛍光増白剤は、300nm~400nmの範囲にわたる吸収スペクトル、及び380nm~650nmの範囲にわたる放出スペクトルを有する。これには、300nm~380nmの範囲にわたる吸収スペクトルを有する蛍光増白剤が含まれる。これには、400nm~550nmの範囲にわたる放出スペクトルを有する蛍光増白剤が含まれる。蛍光増白剤は、380nm~700nmの範囲の光を吸収しないことも望ましい。「光を含まない(no light)」という語句は、蛍光増白剤が人間の眼に無色であるという条件で、ゼロを包含するが、少量の吸収も包含する。上記のように、黄色蛍光剤は、蛍光増白剤の放出スペクトルと重なる吸収スペクトルを有する。実施形態において、黄色蛍光剤は、370nm~520nmの範囲にわたる吸収スペクトルを有する。
【0013】
FRET効率はまた、ドナー(蛍光増白剤)とアクセプタ(蛍光染料)分子との間の分離距離(d)(効率∝d-6)にも関連する。したがって、本発明の蛍光緑色トナーにおいてFRETを実際に達成するために、蛍光増白剤及び蛍光染料分子は、十分に互いに近接し(すなわち、蛍光クエンチングをもたらすほど高い濃度では存在しない)、樹脂粒子中に均一に分布される。トナーの粒子内の蛍光増白剤と黄色蛍光剤との均質な分布及び封入はまた、蛍光剤がトナー粒子などの他の成分と組み合わされるとき、蛍光クエンチングを防止するのに有用である。封入は、トナーの粒子の表面において、又は表面上に関連成分(例えば、蛍光剤)のいずれも有さないことを指す。以下、蛍光剤の均一な分布を達成し、クエンチングを防止し、FRETを容易にするための封入を達成するトナー調製プロセスについて、より詳細に説明する。蛍光放出及びFRETの確認は、以下に更に記載されるように行うことができる。
【0014】
例示的蛍光増白剤としては、蛍光増白剤184、光学増白剤1(蛍光増白剤393)、光学増白剤2、光学増白剤3、光学増白剤C、光学増白剤OB、光学増白剤R、光学増白剤Hostalux KSN、光学増白剤Hostalux KCB、光学増白剤Telalux KSB、蛍光増白剤127、CBS-127、光学増白剤PF、光学増白剤UVT1、光学増白剤ST、光学増白剤OEF、光学増白剤RT、Tinopal CBS-X、DMS/AMS、CBS-155、378、367、368、185、199、199:1、199:2、光学増白剤ER-IV、光学増白剤ER-V、光学増白剤4BK、光学増白剤ER-I/ER-I L、光学増白剤ER-II/ER-II L、光学増白剤EBF/EBF-L、PF/DT、BA、CXT、R4、MST-L、BAC、SWN/AW-L、WGS、NFW、PC、BBU/BBU-L、VBL/VBL-L。実施形態では、蛍光増白剤は蛍光増白剤184である。異なる種類の蛍光増白剤の組み合わせを使用してもよい。
【0015】
例示的な黄色蛍光剤は、ソルベントイエロー160:1、ソルベントイエロー98、ソルベントイエロー43、ベーシックイエロー40を含む。実施形態では、蛍光染料は、ソルベントイエロー160:1、ソルベントイエロー98、又はこれらの組み合わせである。
【0016】
蛍光緑色トナーが2つ以上のFRET対を含むように、異なる種類の蛍光増白剤及び異なる種類の黄色蛍光剤の組み合わせを使用してもよい。
【0017】
蛍光剤(蛍光増白剤(複数可)及び黄色蛍光剤(複数可))の総量は、蛍光緑色トナー中に、例えば、蛍光緑色トナーの0.1重量%~10重量%の量で存在してもよい。これは、0.1重量%~8重量%、0.2重量%~6重量%、0.5重量%~5重量%、及び1重量%~2重量%の総量を含む。これらの範囲は、蛍光クエンチングも防止しながらFRETを確実にするために適切な濃度を達成するのに有用である。蛍光緑色トナー中の蛍光増白剤及び黄色蛍光剤の相対量は変化してもよい。実施形態では、蛍光増白剤の重量比:黄色蛍光剤は、1:200~1:0.01の範囲、1:50~1:0.05、又は1:10~1:0.5である。
【0018】
シアン着色剤/青色染料
【0019】
本発明のトナーは、シアン着色剤、青色染料、又はそれらの両方のいずれかを含む。シアン着色剤としては、ピグメントブルー15:3、ピグメントブルー15:1、ピグメントブルー15:2、ピグメントブルー15:4、及びピグメントブルー15:6が挙げられる。青色染料としては、ソルベントブルー67、ソルベントブルー104、などが挙げられる。異なる種類のシアン着色剤、青色染料、又はこれらの組み合わせを使用することができる。しかしながら、実施形態では、ピグメントブルー15:3のみが使用される。シアン着色剤は概して、粒子の表面において、又は表面上にシアン着色剤が存在しないように、トナーの粒子内に封入される。封入は、走査及び透過型電子顕微鏡(SEM/TEM)を使用して確認することができる。シアン着色剤は概して、トナーの粒子の樹脂マトリックス全体に均一に分布される。分布はまた、SEM/TEMを使用して確認することができる。青色染料は、蛍光剤に関して上述したように、均質に分布し、封入されてもよい。
【0020】
黄色蛍光剤及びシアン着色剤の相対量は、-50~-90の色チャネルa及び60~100の色チャネルbを達成するように選択される。(色チャネルは、以下に更に記載される。)これは、-60~-80の色チャネルa及び60~80の色チャネルbを含む。これらの相対量は、100:1~0.2:1の範囲の黄色:シアン/ブルーの重量比に対応する。これは、70:1~1:1、50:1~10:1、10:1~1:1、及び5:1~1:1を含む。
【0021】
樹脂
【0022】
本発明のトナーは、様々な樹脂を含んでもよく、これは、上記のシアン着色剤/青色染料及び蛍光剤の両方を含有するポリマーマトリックスを提供する。本発明のトナーは、2つ以上の異なる種類の樹脂を含んでもよい。樹脂は、非晶質樹脂、結晶性樹脂、又は結晶性及び非晶質樹脂の混合物であってもよい。樹脂は、非晶質ポリエステル樹脂、結晶性ポリエステル樹脂、又は結晶性ポリエステル樹脂と非晶質ポリエステル樹脂との混合物を含むポリエステル樹脂であってもよい。
【0023】
結晶性樹脂
【0024】
樹脂は、任意選択的な触媒の存在下でジオールと二酸とを反応させることによって形成される結晶性ポリエステル樹脂であってもよい。結晶性ポリエステルを形成するための好適な有機ジオールとしては、それらの構造異性体を含め、1,2-エタンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、2,2-ジメチルプロパン-1,3-ジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール、これらの組み合わせなどの、約2~約36個の炭素原子を有する脂肪族ジオールが挙げられる。脂肪族ジオールは、例えば、樹脂の約40~約60モルパーセント、樹脂の約42~約55モルパーセント、樹脂の約45~約53モルパーセントの量で選択され得、第2のジオールは、樹脂の約0~約10モルパーセント、又は樹脂の約1~約4モルパーセントの量で選択され得る。
【0025】
結晶性樹脂の調製のために選択されるビニル二酸又はビニルジエステルを含む有機二酸又はジエステルの例としては、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フマル酸、ジメチルフマレート、ジメチルイタコネート、シス-1,4-ジアセトキシ-2-ブテン、ジエチルフマレート、ジエチルマレエート、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン-2,6-ジカルボン酸、ナフタレン-2,7-ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、マロン酸及びメサコン酸、これらのジエステル又は無水物が挙げられる。有機二酸は、例えば、樹脂の約40~約60モルパーセント、樹脂の約42~約52モルパーセント、樹脂の約45~約50モルパーセントの量で選択され得、第2の二酸は、樹脂の約0~約10モルパーセントの量で選択され得る。
【0026】
結晶性(並びに非結晶性)ポリエステルを形成するのに利用され得る重縮合触媒としては、テトラアルキルチタネート、ジブチルスズオキシドなどのジアルキルスズオキシド、ジブチルスズジラウレートなどのテトラアルキルスズ、及びブチルスズオキシド水酸化物などのジアルキルスズオキシド水酸化物、アルミニウムアルコキシド、アルキル亜鉛、ジアルキル亜鉛、酸化亜鉛、酸化第一スズ、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。このような触媒は、例えば、ポリエステル樹脂を生成するために使用される出発二酸又はジエステルに基づいて、約0.01モルパーセント~約5モルパーセントの量で利用されてもよい。
【0027】
結晶性樹脂の例としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリブチレン、ポリイソブチレート、エチレン-プロピレンコポリマー、エチレン-酢酸ビニルコポリマー、ポリプロピレン、これらの混合物などが挙げられる。特定の結晶性樹脂は、ポリ(エチレン-アジペート)、ポリ(プロピレン-アジペート)、ポリ(ブチレン-アジペート)、ポリ(ペンチレン-アジペート)、ポリ(ヘキシレン-アジペート)、ポリ(オクチレン-アジペート)、ポリ(エチレン-サクシネート)、ポリ(プロピレン-サクシネート)、ポリ(ブチレン-サクシネート)、ポリ(ペンチレン-サクシネート)、ポリ(ヘキシレン-サクシネート)、ポリ(オクチレン-サクシネート)、ポリ(エチレン-セバケート)、ポリ(プロピレン-セバケート)、ポリ(ブチレン-セバケート)、ポリ(ペンチレン-セバケート)、ポリ(ヘキシレン-セバケート)、ポリ(オクチレン-セバケート)、ポリ(デシレン-セバケート)、ポリ(デシレン-デカノエート)、ポリ(エチレン-デカノエート)、ポリ(エチレン-ドデカノエート)、ポリ(ノニレン-セバケート)、ポリ(ノニレン-デカノエート)、コポリ(エチレン-フマレート)-コポリ(エチレン-セバケート)、コポリ(エチレン-フマレート)-コポリ(エチレン-デカノエート)、コポリ(エチレン-フマレート)-コポリ(エチレン-ドデカノエート)、コポリ(2,2-ジメチルプロパン-1,3-ジオール-デカノエート)-コポリ(ノニレン-デカノエート)、ポリ(オクチレン-アジペート)などの、ポリエステル系であってもよい。ポリアミドの例としては、ポリ(エチレン-アジパミド)、ポリ(プロピレン-アジパミド)、ポリ(ブチレン-アジパミド)、ポリ(ペンチレン-アジパミド)、ポリ(ヘキシレン-アジパミド)、ポリ(オクチレン-アジパミド)、ポリ(エチレン-スクシンイミド)、ポリ(プロピレン-セバカミド)、及びこれらの混合物が挙げられる。ポリイミドの例としては、ポリ(エチレン-アジピミド)、ポリ(プロピレン-アジピミド)、ポリ(ブチレン-アジピミド)、ポリ(ペンチレン-アジピミド)、ポリ(ヘキシレン-アジピミド)、ポリ(オクチレン-アジピミド)、ポリ(エチレン-スクシンイミド)、ポリ(プロピレン-スクシンイミド)、ポリ(ブチレンス-クシンイミド)、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0028】
実施形態では、結晶性ポリエステル樹脂は、次式(I)のものであり、
【化1】
式中、a及びbの各々は、1~12、2~12、又は4~12の範囲、更に、pは、10~100、20~80、又は30~60の範囲であり得る。実施形態では、結晶性ポリエステル樹脂は、ポリ(1,6-ヘキシレン-1,12-ドデカノエート)であり、ドデカン二酸と1,6-ヘキサンジオールとの反応によって生成され得る。
【0029】
上記のように、開示された結晶性ポリエステル樹脂は、重縮合触媒の存在下で、好適な有機ジオールと好適な有機二酸とを反応させることによる重縮合プロセスによって調製され得る。有機ジオールと有機二酸との化学量論的等モル比を利用し得るが、有機ジオールの沸点が約180℃~約230℃である場合には、約0.2~1モル当量のエチレングリコール又はプロピレングリコールなどの過剰量のジオールを利用し、蒸留によって重縮合プロセス中に除去することができる。利用される触媒の量は様々であってもよく、例えば、結晶性ポリエステル樹脂の約0.01~約1又は約0.1~約0.75モルパーセントなどの量で選択することができる。
【0030】
実施形態では、結晶性樹脂は、例えば、トナーの約1~約85重量%、トナーの約5~約50重量%、又はトナーの約10~約35重量%の量で存在してもよい。
【0031】
結晶性樹脂は、種々の融点を有してもよく、例えば、約30℃~約120℃、約50℃~約90℃、約60℃~約80℃である。結晶性樹脂は、ゲル透過クロマトグラフィ(gel permeation chromatography、GPC)によって測定される場合、例えば、約1,000~約50,000、約2,000~約25,000、又は約5,000~約20,000の数平均分子量(number average molecular weight、M)、及びGPCによって決定される場合、約2,000~約100,000、約3,000~約80,000、又は約10,000~約30,000の重量平均分子量(weight average molecular weight、M)を有し得る。結晶性樹脂の分子量分布(M/M)は、例えば、約2~約6、約3~約5、又は約2~約4であってもよい。
【0032】
非結晶性樹脂
【0033】
樹脂は、任意選択的な触媒の存在下でジオールと二塩基酸とを反応させることによって形成される非結晶性ポリエステル樹脂であってもよい。非晶性ポリエステルの調製のために利用されるビニル二酸又はビニルジエステルを含む二酸又はジエステルの例としては、テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、フマル酸、トリメリト酸、ジメチルフマレート、ジメチルイタコネート、シス、1,4-ジアセトキシ-2-ブテン、ジエチルフマレート、ジエチルマレエート、マレイン酸、コハク酸、イタコン酸、コハク酸、無水コハク酸、ドデシルコハク酸、無水ドデシルコハク酸、グルタル酸、無水グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、ドデカンジ二酸、ジメチルテレフタレート、ジエチルテレフタレート、ジメチルイソフタレート、ジエチルイソフタレート、ジメチルフタレート、無水フタル酸、ジエチルフタレート、ジメチルサクシネート、ジメチルフマレート、ジメチルマレエート、ジメチルグルタレート、ジメチルアジペート、ジメチルドデシルサクシネート、及びこれらの組み合わせなどの、ジカルボン酸又はジエステルが挙げられる。有機二塩基酸又はジエステルは、例えば、樹脂の約40~約60モルパーセント、樹脂の約42~約52モルパーセント、樹脂の約45~約50モルパーセントの量で存在してもよい。
【0034】
非結晶性ポリエステルの生成に利用され得るジオールの例としては、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、2,2-ジメチルプロパンジオール、2,2,3-トリメチルヘキサンジオール、ヘプタンジオール、ドデカンジオール、ビス(ヒドロキシエチル)-ビスフェノールA、ビス(2-ヒドロキシプロピル)-ビスフェノールA、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、キシレンジメタノール、シクロヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ビス(2-ヒドロキシエチル)オキシド、ジプロピレングリコール、ジブチレン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。選択される有機ジオールの量は様々であってもよく、有機ジオールは、例えば、樹脂の約40~約60モルパーセント、樹脂の約42~約55モルパーセント、又は樹脂の約45~約53モルパーセントの量で存在してもよい。
【0035】
好適な非結晶性樹脂の例としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリブチレン、ポリイソブチレート、エチレン-プロピレンコポリマー、エチレン-ビニルアセテートコポリマー、ポリプロピレンなど、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0036】
不飽和非晶性ポリエステル樹脂が樹脂として利用されてもよい。このような樹脂の例としては、米国特許第6,063,827号に開示されるものが挙げられ、その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。例示的な不飽和非晶質ポリエステル樹脂としては、限定するものではないが、ポリ(プロポキシル化ビスフェノールコフマレート)、ポリ(エトキシル化ビスフェノールコフマレート)、ポリ(ブチルオキシル化ビスフェノールコフマレート)、ポリ(コプロポキシル化ビスフェノールコエトキシル化ビスフェノールコフマレート)、ポリ(1,2-プロピレンフマレート)、ポリ(プロポキシル化ビスフェノールコマレエート)、ポリ(エトキシル化ビスフェノールコマレエート)、ポリ(ブチルオキシル化ビスフェノールコマレエート)、ポリ(コプロポキシル化ビスフェノールコエトキシル化ビスフェノールコマレエート)、ポリ(1,2-プロピレンマレエート)、ポリ(プロポキシル化ビスフェノールコイタコネート)、ポリ(エトキシル化ビスフェノールコイタコネート)、ポリ(ブチルオキシル化ビスフェノールコイタコネート)、ポリ(コプロポキシル化ビスフェノールコエトキシル化ビスフェノールコイタコネート)、ポリ(1,2-プロピレンイタコネート)、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0037】
好適なポリエステル樹脂は、ポリ(プロポキシ化ビスフェノールAコフマレート)樹脂などの非晶性ポリエステルであってもよい。そのような樹脂及びそれらの製造のためのプロセスの例としては、米国特許第6,063,827号に開示されるものが挙げられ、その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0038】
好適なポリエステル樹脂としては、非結晶性酸性ポリエステル樹脂が挙げられる。非結晶性酸ポリエステル樹脂は、プロポキシル化ビスフェノールA、エトキシル化ビスフェノールA、テレフタル酸、フマル酸、及びドデセニルコハク酸無水物の任意の組み合わせ、例えばポリ(プロポキシル化ビスフェノール-co-テレフタレート(terephthlate)-フマレート-ドデセニルスクシネート)に基づいてもよい。使用され得る別の非結晶性酸ポリエステル樹脂は、ポリ(プロポキシレート-エトキシル化ビスフェノール-co-テレフタレート-ドデセニルスクシネート-トリメリト酸無水物)である。
【0039】
樹脂として利用され得る直鎖状プロポキシル化ビスフェノールAフマレート樹脂の例は、Resana S/A Industrias Quimicas,Sao Paulo,Brazilから商品名SPAMIIで入手可能である。利用され得る、市販の他のプロポキシル化ビスフェノールAフマレート樹脂としては、Kao Corporation,JapanからのGTUF及びFPESL-2、並びにReichhold,Research Triangle Park,N.C.からのEM181635などが挙げられる。
【0040】
結晶性樹脂又は結晶性樹脂の組み合わせは、例えば、トナーの約5~約95重量%、トナーの約30~約90重量%、又はトナーの約35~約85重量%の量で存在してもよい。
【0041】
非結晶性樹脂又は非結晶性樹脂の組み合わせは、約30℃~約80℃、約35℃~約70℃、又は約40℃~約65℃のガラス転移温度を有し得る。ガラス転移温度は、示差走査熱量測定(differential scanning calorimetry、DFC)を使用して測定され得る。非結晶性樹脂は、GPCによって測定される場合、例えば、約1,000~約50,000、約2,000~約25,000、又は約1,000~約10,000のMを有してもよく、GPCによって決定される場合、例えば、約2,000~約100,000、約5,000~約90,000、約10,000~約90,000、約10,000~約30,000、又は約70,000~約100,000のMを有し得る。
【0042】
1つ、2つ以上の樹脂を本発明のトナー中に使用してもよい。2つ以上の樹脂が使用される場合、樹脂は、例えば、約1%(第1の樹脂)/99%(第2の樹脂)~約99%(第1の樹脂)/1%(第2の樹脂)、約10%(第1の樹脂)/90%(第2の樹脂)~約90%(第1の樹脂)/10%(第2の樹脂)などの任意の好適な比(例えば、重量比)であってもよい。樹脂が非結晶性樹脂と結晶性樹脂との組み合わせを含む場合、樹脂は、例えば、約1%(結晶性樹脂)/99%(非結晶性樹脂)~約99%(結晶性樹脂)/1%(非結晶性樹脂)、又は約10%(結晶性樹脂)/90%(非結晶性樹脂)~約90%(結晶性樹脂)/10%(非結晶性樹脂)の重量比であってもよい。いくつかの実施形態では、樹脂の重量比は、約80%~約60%の非結晶性樹脂及び約20%~約40%の結晶性樹脂である。このような実施形態では、非結晶性樹脂は、非結晶性樹脂、例えば、2つの非結晶性樹脂の組み合わせであってもよい。
【0043】
本発明のトナー中の樹脂(複数可)は、樹脂の末端に存在し得る酸基を有し得る。存在し得る酸基としては、カルボン酸基等が挙げられる。カルボン酸基の数は、樹脂を形成するために利用される材料及び反応条件を調整することによって制御されてもよい。実施形態では、樹脂は、約2mgのKOH/gの樹脂~約200mgのKOH/g、約5mgのKOH/gの樹脂~約50mgのKOH/gの樹脂、又は約5mgのKOH/gの樹脂~約15mgのKOH/gの樹脂の酸価を有するポリエステル樹脂であってもよい。酸含有樹脂は、テトラヒドロフラン溶液中に溶解してもよい。酸価は、指示薬としてフェノールフタレインを含有するKOH/メタノール溶液で滴定することによって検出されてもよい。酸価は、次に、滴定の終点として同定された樹脂上の全ての酸基を中和するのに必要なKOH/メタノールの相当量に基づいて計算されてもよい。
【0044】
ワックス
【0045】
任意選択的に、ワックスは、本発明のトナーに含まれてもよい。1種類のワックス又は2つ以上の異なるワックスの混合物が使用されてもよい。例えば、トナー粒子の形状、トナー粒子表面上のワックスの存在及び量、帯電及び/又は融着特性、光沢、ストリッピング、オフセット特性などの特定のトナー特性を改善するために、単一のワックスを添加してもよい。あるいは、ワックスの組み合わせを添加して、多数の特性をトナー組成物に提供することができる。
【0046】
ワックスが含まれる場合、ワックスは、例えば、トナーの約1重量%~約25重量%、又はトナーの約5重量%~約20重量%の量で存在してもよい。
【0047】
ワックスを使用する場合、ワックスは、乳化凝集トナーに従来使用されている様々なワックスのいずれかを含んでもよい。選択され得るワックスとしては、例えば、約500~約20000、又は約1,000~約10,000の平均分子量を有するワックスが挙げられる。使用され得るワックスとしては、例えば、Allied Chemical and Petrolite Corporationから市販されているような、直鎖状ポリエチレンワックスと分岐状ポリエチレンワックスを含むポリエチレン、直鎖状ポリプロピレンワックスと分岐状ポリプロピレンワックスを含むポリプロピレン、ポリメチレンワックス、ポリエチレン/アミド、ポリエチレンテトラフルオロエチレン、ポリエチレンテトラフルオロエチレン/アミド、及びポリブテンワックスなどのポリオレフィン、例えば、Baker Petroliteから市販されているようなPOLYWAX(商標)ポリエチレンワックス、Michaelman,Inc.及びDaniels Products Companyから入手可能なワックスエマルション、Eastman Chemical Products,Inc.から市販されているEPOLENE N-15(商標)、並びにSanyo Kasei K.K.から入手可能な低重量平均分子量ポリプロピレンのVISCOL 550-P(商標)、カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、ウルシワックス、及びホホバオイルなどの植物系ワックス、蜜蝋などの動物系ワックス、モンタンワックス、オゾケライト、セレジン、パラフィンワックス、粗油の蒸留に由来するワックスなどの微結晶ワックス、シリコーンワックス、メルカプトワックス、ポリエステルワックス、ウレタンワックス、などのミネラル系ワックス及び石油系ワックス、変性ポリオレフィンワックス(カルボン酸末端ポリエチレンワックス又はカルボン酸末端ポリプロピレンワックスなど)、Fischer-Tropschワックス、ステアリルステアレート及びベヘニルベヘネートなどの高級脂肪酸及び高級アルコールから得られるエステルワックス、ステアリン酸ブチル、オレイン酸プロピル、グリセリドモノステアレート、グリセリドジステアレート、及びペンタエリスリトールテトラベヘネートなどの高級脂肪酸及び一価又は多価低級アルコールから得られるエステルワックス、ジエチレングリコールモノステアレート、ジプロピレングリコールジステアレート、ジグリセリルジステアレート、及びトリグリセリルテトラステアレートなどの高級脂肪酸及び多価アルコールマルチマーから得られるエステルワックス、ソルビタンモノステアレートなどのソルビタン高級脂肪酸エステルワックス、並びにコレステリルステアレートなどのコレステロール高級脂肪酸エステルワックスが挙げられる。使用され得る官能化ワックスの例としては、例えば、アミン、アミド、例えば、Micro Powder Inc.から入手可能なAQUA SUPERSLIP 6550(商標)、SUPERSLIP 6530(商標)、フッ素化ワックス、例えば、Micro Powder Inc.から入手可能なPOLYFLUO 190(商標)、POLYFLUO 200(商標)、POLYSILK 19(商標)、POLYSILK14(商標)、脂肪族極性アミド官能化ワックスなどの混合フッ素化アミドワックス、ヒドロキシル化不飽和脂肪酸のエステル、例えば、これもまたMicro Powder Inc.から入手可能なMICROSPERSION 19(商標)、イミド、エステル、第四級アミン、カルボン酸又はアクリルポリマーエマルション、例えば、いずれもSC Johnson waxから入手可能なJONCRYL 74(商標)、89(商標)、130(商標)、537(商標)及び538(商標)、並びにAllied Chemical and Petrolite CorporationとSC Johnson waxから入手可能な塩素化ポリプロピレン及びポリエチレンが挙げられる。前述のワックスの混合物及び組み合わせもまた、実施形態で使用されてもよい。ワックスは、例えば、定着機ロール剥離剤として含まれてもよい。実施形態では、ワックスは、結晶性又は非結晶性であってもよい。
【0048】
トナー調製プロセス
【0049】
本発明の蛍光緑色トナーを形成するために、上述した樹脂のいずれも、例えば、溶媒系転相乳化プロセスを使用することによって、エマルション(複数可)として提供されてもよい。次いで、エマルションは、例えば、エマルション凝集及び合体(emulsion aggregation、EA)プロセスを使用することによって、トナーを形成するために原材料として利用され得る。
【0050】
封入及びシアン着色剤の均質な分布を達成するために、トナー調製プロセスにおいて、シアン着色剤及び界面活性剤を含む別個の分散体が概して使用される。例示的な界面活性剤としては、ジフェニルオキシドジスルホン酸、ラウリル硫酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、アルキルホスフェートのカリウム塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、トリエタノールアミンポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェート、ナフタレン硫酸ナトリウム、及びナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、及びこれらの混合物、などのアニオン表面活性剤、並びに、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ジアルキルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノール、及びこれらの混合物などの、非イオン性界面活性剤が挙げられる。しかしながら、実施形態では、界面活性剤はドデシルベンゼンスルホン酸であり、この界面活性剤は、シアン着色剤の量と比較して、1.5重量%~4重量%の範囲の量で別個の分散液中に存在する。この界面活性剤及びこれらの量は、トナー粒子中のシアン着色剤の封入及び均質な分布を達成するのに有用である。この界面活性剤及びこれらの量を使用してトナー粒子に組み込まれると、シアン着色剤は、「シアン着色剤が組み込まれた樹脂」と呼ぶことができる。上記のように、封止及び均質分布は、SEM/TEMを使用して確認され得る。
【0051】
上記のように、蛍光剤の同様の封入及び均質な分布を達成するために、かつ蛍光クエンチングを防ぎ、FRETを容易にするために、所望の蛍光剤を含む別個のラテックス(蛍光ラテックス)、及び所望の樹脂は概して調製プロセスで使用される。所望の蛍光剤は、蛍光増白剤及び黄色蛍光剤の両方を含んでもよい。所望の樹脂は、2種類以上の樹脂を含んでもよい。FRETを容易にするために、FRET対を同じ蛍光ラテックス中に形成することが望ましい。しかしながら、上述のように、別個の蛍光ラテックスを調製し、使用して、本発明の蛍光緑色トナー、例えば蛍光増白剤を含む蛍光ラテックス、及び黄色蛍光剤を含む別の蛍光ラテックスを形成してもよい。
【0052】
上記のように、各蛍光ラテックスは、単一の種類の樹脂、例えば、単一の種類の非晶質ポリエステル樹脂、又は多種類の樹脂、例えば、2種類の異なる非晶質ポリエステル樹脂を含んでもよい。このような実施形態では、非晶質ポリエステル樹脂のうちの一方は、他方よりも大きいM又はMを有する。2種類の異なる非晶質ポリエステル樹脂を使用する実施形態では、2種類の重量比は2:3~3:2であってもよい。これは、1:1の重量比を含む。あるいは、各々異なる種類の非晶質ポリエステル樹脂を含む、2つの別個の蛍光ラテックスを使用してもよい。しかしながら、共に、蛍光ラテックス(複数可)は、この重量比の範囲内で、2種類の異なる非晶質ポリエステル樹脂を提供する。これらの重量比は、樹脂粒子に組み込まれると、蛍光剤の均一な分布を確実にするために有用である。これはまた、FRETを容易にしながら、蛍光クエンチングを防止する。
【0053】
蛍光剤/樹脂は、上記のプロセス及び蛍光剤量を使用してトナー粒子に組み込まれると、「蛍光剤が組み込まれた樹脂」と呼ぶことができる。
【0054】
青色染料が使用される場合、蛍光ラテックスに関して上述したように、別個のラテックスとしてトナーに組み込むことができる。
【0055】
蛍光剤/着色剤/染料を含まないエマルションを使用して樹脂がトナー粒子に組み込まれる場合、その樹脂は、蛍光剤/着色剤/染料に組み込まれていない樹脂、又は単に「樹脂」と呼ぶことができ、すなわち、「蛍光剤が組み込まれた/着色剤が組み込まれた/染料が組み込まれた(fluorescent agent-incorporated/colorant-incorporated/dye-incorporated)」という語句で修飾されていない樹脂と呼ぶことができる。
【0056】
ワックスが使用される場合、ワックスは、水中のワックスの別個の分散体としてトナーに組み込まれてもよい。
【0057】
実施形態では、本発明の蛍光緑色トナーは、1つ以上のエマルションの混合物を凝集させることであって、エマルションが樹脂と、シアン着色剤又は青色染料又はそれらの両方と、蛍光増白剤と、黄色蛍光剤と、任意選択的にワックスと、を含む、凝集させることと、次いで混合物を凝集させることと、を含むプロセスによるなどして、EAプロセスによって調製される。上述のように、シアン着色剤は概して、別個の分散体として混合物に提供され、青色染料は概して、別個のラテックスとして混合物に提供される。同様に、蛍光増白剤/黄色蛍光剤は概して、上述のような1つ以上の別個の蛍光ラテックスとして混合物に提供される(ただし、好ましくはFRETを確実にするためには1つ)。樹脂を含むエマルションは、1つ以上の樹脂を含んでもよく、又は異なる樹脂を異なるエマルションとして提供してもよい。樹脂を含むエマルション(複数可)は概して、蛍光剤/着色剤/染料を含まず、したがって蛍光剤/着色剤/染料がない。
【0058】
混合物が均質化される場合、均質化は、毎分約600~約6,000回転で混合することによって達成されてもよい。均質化は、例えば、IKA ULTRA TURRAX T50プローブホモジナイザを含む任意の好適な手段によって達成されてもよい。凝集剤は、混合物に添加されてもよい。任意の好適な凝集剤を利用してもよい。好適な凝集剤としては、例えば、二価カチオン又は多価カチオン材料の水溶液が挙げられる。凝集剤は、例えば、ポリ塩化アルミニウム(polyaluminum chloride、PAC)などのポリアルミニウムハライド、又は対応する臭化物、フッ化物、若しくはヨウ化物などの無機カチオン性凝集剤、ポリアルミニウムスルホシリケート(polyaluminum sulfosilicate、PASS)などのポリアルミニウムシリケート、又は塩化アルミニウム、亜硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、亜硝酸カルシウム、オキシ酸カルシウム、硫酸カルシウム、酢酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、酢酸亜鉛、硝酸亜鉛、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、臭化亜鉛、臭化マグネシウム、塩化銅、及び硫酸銅を含む水溶性金属塩、又はこれらの組み合わせであってもよい。凝集剤は、樹脂(複数可)のガラス転移温度(glass-transition temperature、T)未満の温度で混合物に添加されてもよい。凝集剤は、均質化下で混合物に添加されてもよい。
【0059】
凝集剤は、樹脂の総量の約0重量%~約10重量%、樹脂の総量の約0.2重量%~約8重量%、又は樹脂の総量の約0.5重量%~約5重量%の量で混合物に添加されてもよい。
【0060】
混合物の粒子を、所定の所望の粒径が得られるまで凝集してもよい。所定の所望のサイズとは、形成前に決定される際に得られる所望の粒径を指し、粒径は、そのような粒径に達するまで成長プロセス中に監視される。サンプルは、成長プロセス中に採取され、体積平均粒径について、例えば、Coulter Counterで分析されてもよい。したがって、凝集は、高温を維持すること、又は温度を、例えば、実施形態では約30℃~約100℃、実施形態では約30℃~約80℃、又は実施形態では約30℃~約50℃に維持することによって進行し得る。温度は、凝集粒子を提供するために、撹拌しながら、約0.5時間~約6時間、又は実施形態では約1~約5時間の期間保持されてもよい。所定の所望の粒径に達すると、シェルを添加してもよい。シェルの適用前の粒子の体積平均粒径は、例えば、約3μm~約10μm、実施形態では約4μm~約9μm、又は約6μm~約8μmであってもよい。
【0061】
シェル樹脂
【0062】
凝集後であるが合体前に、樹脂コーティングを凝集粒子に適用して、凝集粒子上にシェルを形成してもよい。上述したあらゆる樹脂をシェル中に利用してもよい。実施形態では、1つの非晶性ポリエステル樹脂がシェル中に利用される。実施形態では、2つの非晶性ポリエステル樹脂がシェル中に利用される。実施形態では、結晶性ポリエステル樹脂及び2種類の異なる非晶性ポリエステル樹脂がコア中に利用され、同じ2種類の非晶性ポリエステル樹脂がシェル中に利用される。シェル樹脂は概して、蛍光剤を含まず、したがって蛍光剤がない。
【0063】
シェルは、上述したようにエマルション(複数可)の形態でシェル樹脂を使用することによって、凝集粒子に適用され得る。このようなエマルションは、凝集粒子の上にコーティングを形成するのに十分な条件下で凝集粒子と組み合わされてもよい。例えば、凝集粒子の上のシェルの形成は、約30℃~約80℃、又は約35℃~約70℃の温度まで加熱しながら生じ得る。シェルの形成は、約5分~約10時間、又は約10分~約5時間の期間にわたって行われてもよい。
【0064】
トナー粒子の所望のサイズが達成されると、混合物のpHを、pH制御剤で、例えば、塩基を用いて、約3~約10、又は実施形態では約5~約9の値に調整してもよい。pHの調整は、トナー成長を停止させる凍結に利用されてもよい。トナー成長を停止するために利用される塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、これらの組み合わせなどのアルカリ金属水酸化物などの任意の好適な塩基を挙げることができる。実施形態では、上記の所望の値にpHを調整するのを助けるために、エチレンジアミン四酢酸(ethylene diamine tetraacetic acid、EDTA)などのキレート剤を添加してもよい。他のキレート剤が使用されてもよい。
【0065】
実施形態では、コアシェルトナー粒子のサイズ(合体前)は、約3μm~約10μm、約4μm~約10μm、又は約6μm~約9μmであってもよい。
【0066】
合体
【0067】
所望の粒径への凝集及び任意選択的なシェルの適用に続いて、粒子は次に所望の最終形状に合体されてもよく、その合体は、例えば、約45℃~約150℃、約55℃~約99℃、又は約60℃~約90℃の温度まで混合物を加熱する(この温度は、トナー粒子を形成するために利用される樹脂のガラス転移温度以上であってもよい)。加熱は継続してもよく、又は混合物のpHは、所望の円形度に達するように一定時間にわたって調整(例えば、低減)されてもよい。その時間は、約1時間~約5時間、又は約2時間~約4時間であってもよい。合体中に様々な緩衝剤を使用し得る。合体の総期間は、約1~約9時間、約1~約8時間、又は約1~約5時間としてもよい。撹拌は、合体中において、例えば、約20rpm~約1000rpm、又は約30rpm~約800rpmが利用され得る。
【0068】
凝集及び/又は合体後、混合物を室温まで冷却してもよい。冷却は、所望に応じて急速であっても遅くてもよい。好適な冷却プロセスは、反応器の周囲のジャケットに冷水を導入することを含んでもよい。冷却後、所望のサイズのふるいでトナー粒子をふるい分けし、濾過し、水で洗浄し、次いで乾燥させてもよい。乾燥は、例えば凍結乾燥を含む任意の好適な乾燥プロセスによって達成されてもよい。
【0069】
他の添加剤
【0070】
実施形態では、本発明のトナーはまた、他の任意選択の添加剤を含有し得る。例えば、トナーは、正電荷又は負電荷制御剤を含んでもよい。表面添加剤も使用され得る。表面添加剤の例としては、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化スズ、これらの混合物などの金属酸化物と、AEROSIL(登録商標)、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、及びステアリン酸マグネシウム、これらの混合物などの脂肪酸の金属塩及び金属塩、UNILIN(商標)700などの長鎖アルコール、並びにこれらの混合物が挙げられる。これらの表面添加剤は、トナーの約0.1%重量%~約5重量%、又はトナーの約0.25重量%~約3重量%の量で存在してもよい。
【0071】
トナーの特性
【0072】
蛍光緑色トナーの蛍光及び蛍光緑色トナー中に生じるFRETの存在は、製造業者の指示に従って操作される分光濃度計(Hunter、X-Riteなど)又は蛍光分光計を使用して確認及び定量化することができる。これらのシステムは、明度L、色チャネル、a及びb、並びに蛍光緑色トナーに対する反射率を決定するために使用されてもよい。明度Lに関して、CIELAB色空間(CIE Lとしても知られているか、又は時に「Lab」色空間と略される)は、国際照明委員会(International Commission on Illumination、CIE)によって定義される色空間である。黒色(0)から白色(100)までの明度のL、緑色(-)から赤色(+)までのa、及び青(-)から黄色(+)までのbの3つの値として色を表す。
【0073】
3つのパラメータが測定されるので、空間自体それ自体は、無限に多くの取り得る色を可能にする3次元実数空間である。実際には、その空間は、通常、デジタル表現のための3次元整数空間上にマッピングされ、したがって、L、a、及びb値は、通常、予め定義された範囲で絶対的である。明度値Lは、L=0で最も暗い黒色を表し、L=100で最も明るい白色を表す。色チャネルa及びbは、a=0及びb=0で真のニュートラルグレー値を表す。a軸は、緑色-赤色成分を表し、負方向が緑色であり、正方向が赤色である。b軸は、青色-黄色成分を表し、負方向が青色であり、正方向が黄色である。a軸及びb軸のスケーリング及び限界値は、特定の実装に依存するが、多くの場合、±100又は-128~+127の範囲で実行される(符号付き8ビット整数)。
【0074】
上記のように、本発明の蛍光緑色トナーは、上述の範囲内の色チャネルa及びbによって特徴付けられる。これらはまた、少なくとも75、少なくとも80、少なくとも85、又は少なくとも90の明度Lによって特徴付けられる。更に、蛍光増白剤及び黄色蛍光剤の少なくとも1つのFRET対を有し、FRET(適切な濃度及び均質な分布による)を呈する蛍光緑色トナーは、同じ組成を有するが蛍光増白剤を有さない比較蛍光緑色ラテックスと比較して、著しく高い反射率値を有することを特徴とする。これは、以下の実施例で実証される。
【0075】
現像剤及び担体
【0076】
本発明の蛍光緑色トナーは、現像剤組成物に配合されてもよい。現像剤組成物は、本発明のトナーを、鋼、フェライトなどのコーティングされた担体を含む既知の担体粒子と混合することによって調製することができる。このような担体としては、米国特許第4,937,166号及び同第4,935,326号に開示されているものが挙げられ、これらの各々の開示全体は、参照により本明細書に組み込まれる。トナーは、約1重量%~約15%重量%、約2重量%~約8重量%、又は約4重量%~約6重量%の量で担体内に存在してもよい。担体粒子はまた、ポリメチルメタクリレート(polymethylmethacrylate、PMMA)などのポリマーコーティングを有するコアも含むことができ、その中に導電性カーボンブラックのような導電性成分が分散されている。担体コーティングとしては、メチルシルセスキオキサンなどのシリコーン樹脂、ポリフッ化ビニリデンなどのフルオロポリマー、ポリフッ化ビニリデン及びアクリルなどの摩擦電気系列表(triboelectric series)で近接していない樹脂の混合物、アクリルなどの熱硬化性樹脂、これらの組み合わせ、及びその他の既知成分が挙げられる。
【0077】
適用
【0078】
本発明の蛍光緑色トナーは、様々な電子写真式プロセスで、様々な電子写真式プリンタと共に使用し得る。電子写真式イメージングプロセスには、例えば、帯電構成要素、イメージング構成要素、光伝導性構成要素、現像構成要素、転写構成要素、及び定着構成要素を含む電子写真式プリンタで画像を調製することが含まれる。実施形態では、現像構成要素は、担体を本明細書に記載のいずれかのトナーと混合することによって調製される現像剤を含んでもよい。電子写真式プリンタは、高速プリンタ、白黒高速プリンタ、カラープリンタなどを含んでもよい。画像がトナー/現像剤で形成されると、画像はその後、紙などの画像受容媒体に転写され得る。定着機ロール部材は、熱及び圧力を使用することによって、トナーを画像受容媒体に定着させるために使用され得る。
【実施例
【0079】
以下の実施例は、本開示の実施形態を説明するために提出される。これらの実施例は例示的なものにすぎず、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。また、別途記載のない限り、割合及び百分率は重量による。本明細書全体を通して使用されるとき、「室温」は、20℃~25℃の温度を指す。
【0080】
蛍光ラテックスを以下のように調製した。120gの第1の種類の非晶質ポリエステル樹脂、80gの第2の種類の非晶質ポリエステル樹脂、蛍光増白剤及び黄色蛍光剤の混合物を、アセトン、酢酸エチル及びアンモニア水溶液の(145/48/40g)の比率の混合物に、40℃で2 L反応器内で溶解させた。各混合物に追加の塩基溶液を添加して、ポリエステル樹脂を完全に中和した。約1時間後、均質化を完了した後、脱イオン水を各混合物に添加した。このプロセス中に、有機溶媒を除去し、所望の水の量を維持するために(所望の固形分%を達成するために)水を添加した。最後に、得られたエマルションを25μmのふるいを通して濾過した。エマルションは、50~500nmの粒径、及び約35%の固形分含有量を有した。蛍光ラテックスの総重量と比較して約2重量%~約7重量%の蛍光剤含有量を有する蛍光ラテックスを調製した。約2重量%の界面活性剤(Calfax)を添加して、蛍光ラテックスを安定化させた。
【0081】
比較蛍光ラテックスを上記のように形成したが、蛍光増白剤を使用せずに形成した。
【0082】
脱イオン水、15重量%のピグメントブルー15:3、及び界面活性剤(PB15:3重量と比較して2重量%のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩)を含むシアン分散液を調製した。シアン分散液は、50~500nmの粒径、及び約17%の固形分含有量を有した。
【0083】
蛍光緑色トナーを形成するために、混合物は、以下のように、蛍光ラテックスと、シアン分散液と、結晶性ポリエステルを含む、第1のエマルションと、第1の種類の非晶質ポリエステル樹脂を含む第2のエマルションと、第2の種類の非晶質ポリエステル樹脂を含む第3のエマルションと、を組み合わせることによって形成された。表1に示すように、蛍光ラテックス及びシアン分散液の様々な相対量を使用した。各混合物を均質化しながら、硫酸アルミニウム(Aluminum sulfate,ALS)溶液をゆっくり添加した。各高粘度混合物を2L反応器に移し、温度を約40~48℃に上昇させることによって凝集を開始させた。粒径(D50v)が約7.5μmに達したとき、2つの非晶質ポリエステル樹脂を含有するエマルションを混合物に添加して、粒子の上にシェルを形成し、粒子を成長させた。キレート剤及び塩基を添加することによって粒子を凍結させた。反応器の温度を、合体のために約84℃まで上昇させた。粒子が所望の円形度に達したときに加熱を停止した。粒子スラリーをクエンチングし、粒子分散液を回収し、次いで一晩撹拌した。次いで、粒子をふるいにかけ、洗浄し、乾燥させた。
【0084】
カラー分析及び反射スペクトルは、Gretag X-rite type instrumentを使用して紙に印刷され、製造業者の指示に従って操作された蛍光緑色トナーについて行われた。色分析の結果を表1に示し、図1は反射スペクトルを示す。表1は、サンプルの各々が、緑色の色空間内に収まるa、b値を有することを示す。図1は、トナーからの緑色蛍光の放出を確認する。蛍光増白剤(サンプル1~4)を含む蛍光緑色トナーは、蛍光増白剤を含まない対応する比較蛍光緑色トナー(それぞれサンプル5~8)と比較して、ピーク反射率(すなわち、ピークにおける反射率の値)を有意に増加させたことも示す。ピーク反射率の増加は、蛍光増白剤と黄色蛍光剤との間に生じるFRETによるものと考えられる。結果は、サンプル1~4が輝度の向上した蛍光緑色トナーを提供することを示す。
【0085】
【表1】
【0086】
上記で開示されたものの変形例、並びに他の特徴及び機能、又はこれらの代替物が、
他の異なるシステム又は用途に組み合わされ得ることが理解されるであろう。様々な現在
予期されない、又は先行例のない代替物、修正、変形、又は改善が、当業者によって後に
行われてもよく、これらはまた、以下の特許請求の範囲によって包含されることが意図さ
れる。
本発明のまた別の態様は、以下の通りであってもよい。
〔1〕蛍光緑色トナーであって、
樹脂、蛍光増白剤、及び前記蛍光増白剤の蛍光放出スペクトルと重なる吸収スペクトルを有する黄色蛍光剤を含む、蛍光剤が組み込まれた樹脂粒子と、
シアン着色剤、前記樹脂及び青色染料を含む青色染料が組み込まれた樹脂粒子、又はそれらの両方と、を含み、
前記蛍光緑色トナーが、前記シアン着色剤に対する前記黄色蛍光剤の重量比を有し、存在する場合、前記青色染料が100:1~0.2:1の範囲であり、
前記蛍光緑色トナーが、UV光による照明下でフェルスター共鳴エネルギー移動(FRET)を呈する、蛍光緑色トナー。
〔2〕前記蛍光剤が組み込まれた樹脂粒子を含むコアと、前記シアン着色剤、前記青色染料が組み込まれた樹脂粒子、又はそれらの両方と、結晶性ポリエステル樹脂と、任意選択的にワックスと、前記コアの上のシェルと、を更に含む、前記〔1〕に記載の蛍光緑色トナー。
〔3〕前記シアン着色剤を含む、前記〔1〕に記載の蛍光緑色トナー。
〔4〕前記重量比が10:1~1:1である、前記〔1〕に記載の蛍光緑色トナー。
〔5〕前記蛍光増白剤の前記蛍光放出スペクトル及び前記黄色蛍光剤の前記吸収スペクトルが、30%~100%の重なり度を有する、前記〔1〕に記載の蛍光緑色トナー。
〔6〕前記蛍光増白剤が蛍光増白剤184である、前記〔1〕に記載の蛍光緑色トナー。
〔7〕前記黄色蛍光剤が、ソルベントイエロー160:1、ソルベントイエロー98、ソルベントイエロー43、ベーシックイエロー40、及びこれらの組み合わせから選択される、前記〔1〕に記載の蛍光緑色トナー。
〔8〕前記シアン着色剤を含み、前記シアン着色剤がピグメントブルー15:3である、前記〔1〕に記載の蛍光緑色トナー。
〔9〕前記樹脂が、2種類の異なる樹脂の組み合わせである、前記〔1〕に記載の蛍光緑色トナー。
〔10〕前記2種類の異なる樹脂が、前記蛍光剤が組み込まれた樹脂粒子中に、2:3~3:2の重量比で存在する、前記〔9〕に記載の蛍光緑色トナー。
〔11〕前記2種類の異なる樹脂が、2つの非晶質ポリエステル樹脂である、前記〔10〕に記載の蛍光緑色トナー。
〔12〕前記2つの非晶質ポリエステル樹脂が、ポリ(プロポキシル化ビスフェノール-co-テレフタレート(terephthlate)-フマレート-ドデセニルスクシネート)及びポリ(プロポキシル化-エトキシル化ビスフェノール-co-テレフタレート-ドデセニルスクシネート-トリメリト酸無水物)である、前記〔11〕に記載の蛍光緑色トナー。
〔13〕前記蛍光増白剤及び前記黄色蛍光剤の総量が、蛍光緑色ラテックスの重量の0.5重量%~5重量%の範囲であり、前記蛍光増白剤と前記黄色蛍光剤との重量比が1:10~1:0.5の範囲である、前記〔1〕に記載の蛍光緑色トナー。
〔14〕前記結晶性ポリエステル樹脂が、次式のものであり、
【化2】
式I
式中、a及びbの各々が1~12の範囲であり、pが10~100の範囲である、前記〔2〕に記載の蛍光緑色トナー。
〔15〕前記結晶性ポリエステル樹脂が、ポリ(1,6-ヘキシレン-1,12-ドデカノエート)である、前記〔14〕に記載の蛍光緑色トナー。
〔16〕前記蛍光増白剤が蛍光増白剤184であり、前記黄色蛍光剤が、ソルベントイエロー160:1、ソルベントイエロー98、又はこれらの組み合わせであり、ピグメントブルー15:3として前記シアン着色剤を含む、前記〔1〕に記載の蛍光緑色トナー。
〔17〕前記蛍光剤が組み込まれた樹脂粒子を含むコアと、前記シアン着色剤と、結晶性ポリエステル樹脂と、任意選択的にワックスと、前記コアの上のシェルと、を更に含む、前記〔16〕に記載の蛍光緑色トナー。
〔18〕前記樹脂が、ポリ(プロポキシル化ビスフェノール-co-テレフタレート(terephthlate)-フマレート-ドデセニルスクシネート)とポリ(プロポキシル化-エトキシル化ビスフェノール-co-テレフタレート-ドデセニルスクシネート-トリメリト酸無水物)との組み合わせであり、前記結晶性ポリエステル手綱が、ポリ(1,6-ヘキシレン-1,12-ドデカノエート)である、前記〔17〕に記載の蛍光緑色トナー。
〔19〕蛍光緑色トナーを作製する方法であって、
蛍光増白剤と、前記蛍光増白剤の蛍光放出スペクトルと重なる吸収スペクトルを有する黄色蛍光剤と、第1の種類の非晶質樹脂と、第2の種類の非晶質樹脂と、を含む、1つ以上の蛍光ラテックスを形成することと、
シアン着色剤と、界面活性剤と、を含むシアン分散液を形成することと、
前記1つ以上の蛍光ラテックスと、前記シアン分散液と、1つ以上のエマルションであって、結晶性樹脂と、前記第1の種類の非晶質樹脂と、前記第2の種類の非晶質樹脂と、任意選択的にワックス分散体と、を含む、1つ以上のエマルションと、を含む混合物を形成することと、
前記混合物を凝集させて、所定のサイズの粒子を形成することと、
前記所定のサイズの前記粒子の上にシェルを形成して、コアシェル粒子を形成することと、
前記コアシェル粒子を合体させて、蛍光緑色トナーを形成することと、を含み、
前記蛍光緑色トナーが、100:1~0.2:1の範囲の前記シアン着色剤に対する前記黄色蛍光剤の重量比を有し、
前記蛍光緑色トナーが、UV光による照明下でFRETを呈する、方法。
〔20〕前記〔1〕に記載の蛍光緑色トナーを使用する方法であって、
電子写真式プリンタを使用して前記蛍光緑色トナーを含む画像を形成することと、
前記蛍光緑色トナーを含む前記画像を画像受容媒体に転写することと、
前記蛍光緑色トナーを前記画像受容媒体に定着させることと、を含む、方法。
図1