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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】通信装置、基地局、及び通信方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 24/00 20090101AFI20240416BHJP
   H04W 72/0457 20230101ALI20240416BHJP
   H04W 72/232 20230101ALI20240416BHJP
   H04W 72/231 20230101ALI20240416BHJP
【FI】
H04W24/00
H04W72/0457
H04W72/232
H04W72/231
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021060034
(22)【出願日】2021-03-31
(65)【公開番号】P2022156379
(43)【公開日】2022-10-14
【審査請求日】2023-10-16
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003247
【氏名又は名称】弁理士法人小澤知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 秀明
【審査官】桑原 聡一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/092944(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24-7/26
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下り帯域幅部分用の個別パラメータを示す情報と、同期信号及び物理ブロードキャストチャネルブロック(SSB)の絶対無線周波数チャネル番号を示す情報と共に、前記下り帯域幅部分の周波数ドメインにおける位置及び帯域幅を示す情報を、無線リソース制御(RRC)メッセージを用いて基地局(200)から受信する受信機と、
前記SSBの前記絶対無線周波数チャネル番号を示す情報により周波数が示された前記SSBに基づく測定を行う制御部(120)と、を備える
通信装置(100)。
【請求項2】
前記制御部は、前記下り帯域幅部分がアクティブ下り帯域幅部分としてアクティブにされた場合において、前記SSBに基づく前記測定を行う
請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記SSBの前記絶対無線周波数チャネル番号を示す情報は、前記周波数ドメインにおける位置及び帯域幅を示す情報に基づいて設定される前記下り帯域幅部分の帯域幅内で前記SSBが送信されるように、前記SSBの周波数を示す
請求項1又は2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記受信機は、前記下り帯域幅部分のサブキャリア間隔を示す情報を、前記RRCメッセージを用いて前記基地局から受信する
請求項1又は2に記載の通信装置。
【請求項5】
前記通信装置は、Reduced Capability(RedCap)ユーザ装置である
請求項1又は2に記載の通信装置。
【請求項6】
下り帯域幅部分用の個別パラメータを示す情報と、同期信号及び物理ブロードキャストチャネルブロック(SSB)の絶対無線周波数チャネル番号を示す情報と共に、前記下り帯域幅部分の周波数ドメインにおける位置及び帯域幅を示す情報を、無線リソース制御(RRC)メッセージを用いて通信装置(100)に送信する送信機と、
前記SSBの前記絶対無線周波数チャネル番号を示す情報により周波数が示された前記SSBに基づく測定を行う前記通信装置を制御する制御部(220)と、を備える
基地局(200)。
【請求項7】
前記制御部は、前記下り帯域幅部分がアクティブ下り帯域幅部分としてアクティブにされた場合において、前記SSBに基づく前記測定を制御する
請求項6に記載の基地局。
【請求項8】
前記SSBの前記絶対無線周波数チャネル番号を示す情報は、前記周波数ドメインにおける位置及び帯域幅を示す情報に基づいて設定された前記下り帯域幅部分の帯域幅内で前記SSBが送信されるように、前記SSBの周波数を示す
請求項6又は7に記載の基地局。
【請求項9】
前記送信機は、前記下り帯域幅部分のサブキャリア間隔を示す情報を、前記RRCメッセージを用いて前記通信装置へ送信する
請求項6又は7に記載の基地局。
【請求項10】
前記送信機は、前記個別パラメータを示す情報と、前記SSBの前記絶対無線周波数チャネル番号を示す情報と、前記周波数ドメインにおける位置及び帯域幅を示す情報とを、前記RRCメッセージを用いてReduced Capability(RedCap)ユーザ装置である前記通信装置へ送信する
請求項6又は7に記載の基地局。
【請求項11】
通信装置(100)で実行される通信方法であって、
下り帯域幅部分用の個別パラメータを示す情報と、同期信号及び物理ブロードキャストチャネルブロック(SSB)の絶対無線周波数チャネル番号を示す情報と共に、前記下り帯域幅部分の周波数ドメインにおける位置及び帯域幅を示す情報を、無線リソース制御(RRC)メッセージを用いて基地局(200)から受信するステップと、
前記SSBの前記絶対無線周波数チャネル番号の情報により周波数が示された前記SSBに基づく測定を行うステップと、を備える
通信方法。
【請求項12】
前記測定を行うステップでは、前記下り帯域幅部分がアクティブ下り帯域幅部分としてアクティブにされた場合において、前記SSBに基づく前記測定を行う
請求項11に記載の通信方法。
【請求項13】
前記SSBの前記絶対無線周波数チャネル番号を示す情報は、前記周波数ドメインにおける位置及び帯域幅を示す情報に基づいて設定された前記下り帯域幅部分の帯域幅内で前記SSBが送信されるように、前記SSBの周波数を示す
請求項11又は12に記載の通信方法。
【請求項14】
前記受信するステップでは、前記下り帯域幅部分のサブキャリア間隔を示す情報を、前記RRCメッセージを用いて前記基地局から受信する
請求項11又は12に記載の通信方法。
【請求項15】
前記通信装置は、Reduced Capability(RedCap)ユーザ装置である
請求項11又は12に記載の通信方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信システムで用いるユーザ装置及び通信制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
第5世代(5G)の移動通信システム(5Gシステム)では、セルの全帯域幅の一部分である帯域幅部分(以下、BWP)を用いたユーザ装置と基地局との通信が規定されている。ユーザ装置は、基地局との通信に用いるBWP(以下、アクティブBWP)を用いて通信を行う。ユーザ装置には、下り通信用のBWP(以下、下りBWP)及び上り通信用のBWP(以下、上りBWP)のそれぞれで複数のBWPが設定可能である。ユーザ装置は、複数のBWPが設定されている場合、アクティブBWPを切り替えて使用する。
【0003】
基地局は、ユーザ装置が無線品質の測定に用いる同期信号及び物理ブロードキャストチャネルブロック(以下、SSB)を送信する。ユーザ装置は、基地局から受信するSSBに基づいて測定を行い、測定結果を基地局との通信制御に用いる。
【0004】
近年、移動通信システムの標準化プロジェクトである3GPPにおいて、通信能力が限定されたユーザ装置(いわゆる、Reduced capability NR device)を5Gシステムで提供することが検討されている。このようなユーザ装置は、複数の受信機を有していないため、BWPでの通信中は、BWP以外の周波数において送信されるSSBに対する測定を行うことができない。このため、通信能力が限定されたユーザ装置には、SSBが送信されるBWPを設定することが考えられる。しかしながら、SSBが送信されるBWPは限定されているため、このような限定されたアクティブBWPに多数のユーザ装置が集中することによって、トラフィック輻輳が発生し得る。
【0005】
従って、トラフィック輻輳を避けるためには、全帯域幅のうち、SSBが送信されないBWPをユーザ装置に設定できることが望ましい(例えば、非特許文献1参照)。SSBが送信されないBWPが設定されたユーザ装置であっても、ユーザ装置に設定された測定ギャップを用いることにより、アクティブBWP以外の周波数において送信されるSSBを受信して測定を行うことができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【文献】3GPP寄書「R1-2100230」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、測定ギャップを用いてSSBに対する測定を行う場合、ユーザ装置は、測定ギャップの期間中は基地局との通信を中断する必要があるため、基地局との通信のデータレートが低下するという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、SSBが送信されないBWPが設定されても、データレートの低下を抑制できるユーザ装置及び通信制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一態様に係るユーザ装置は、基地局との通信を行う。当該ユーザ装置は、前記基地局のセルの全帯域幅の一部分であるBWPにおいて前記通信を行う通信部と、前記ユーザ装置に設定された1つ又は複数のBWPのうち、前記基地局との通信に用いる1つのBWPであるアクティブBWPにおいて、無線品質の測定に用いられるSSBが前記基地局から送信されている場合、前記アクティブBWPにおいて送信される前記SSBを用いて前記測定を行う制御部と、を備える。前記制御部は、前記アクティブBWPにおいて前記SSBが前記基地局から送信されていない場合、前記測定を省略する。
【0010】
本開示の一態様に係る通信制御方法は、基地局との通信を行うユーザ装置で実行される。当該通信制御方法は、前記基地局のセルの全帯域幅の一部分であるBWPにおいて前記通信を行うステップと、前記ユーザ装置に設定された1つ又は複数のBWPのうち、前記基地局との前記通信に用いる1つのBWPであるアクティブBWPにおいて、無線品質の測定に用いられるSSBが前記基地局から送信されている場合、前記アクティブBWPにおいて送信される前記SSBを用いて前記測定を行うステップと、前記アクティブBWPにおいて前記SSBが前記基地局から送信されていない場合、前記測定を省略するステップと、を有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様によれば、SSBが送信されないBWPが設定されても、データレートの低下を抑制できるユーザ装置及び通信制御方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示の実施形態に係るシステムの概略的な構成の一例を示す説明図である。
図2】本開示の実施形態に係るユーザ装置の概略的な機能構成の例を示すブロック図である。
図3】本開示の実施形態に係る基地局の概略的な機能構成の例を示すブロック図である。
図4】本開示の実施形態の動作例1に係る処理の概略的な流れの例を説明するためのフローチャートである。
図5】本開示の実施形態の動作例2に係る処理の概略的な流れの例を説明するためのフローチャートである。
図6】本開示の実施形態の動作例3に係る処理の概略的な流れの例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付の図面を参照して本開示の実施形態を詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、同様に説明されることが可能な要素については、同一又は類似の符号を付することにより重複説明が省略され得る。
【0014】
(1)システムの構成
(1.1)システム概要
図1を参照して、本開示の実施形態に係るシステム1の構成の例を説明する。システム1は、例えば、移動通信システムの標準化プロジェクトである3GPPの技術仕様(Technical Specification:TS)に準拠した移動通信システムである。以下において、システム1として、3GPP規格の第5世代システム(5th Generation System:5GS)、すなわち、NR(New Radio)に基づく移動通信システムを例に挙げて説明する。なお、システム1は、この例に限定されない。システム1は、LTE(Long Term Evolution)又は3GPP規格の他の世代システム(例えば、第6世代)のいずれかのTSに準拠したシステムであってよい。システム1は、3GPP規格以外の規格のTSに準拠したシステムであってよい。
【0015】
図1に示すように、システム1は、5Gの無線アクセスネットワーク(いわゆる、Next Generation Radio Access Network:NG-RAN)20と、5Gのコアネットワーク(5G Core Network:5GC)30と、ユーザ装置(User Equipment:UE)100と、を含む。
【0016】
NG-RAN20は、無線アクセスネットワークのノードである基地局(Base Station:BS)200を含む。BS200は、BS200のカバレッジエリア内に位置するUE100と通信できる。BS200は、例えば、RANのプロトコルスタックを使用してUE100と通信する。プロトコルスタックは、例えば、RRC(Radio Resource Control)レイヤ、SDAP(Service Data Adaptation Protocol)レイヤ、PDCP(Packet Data Convergence Protocol)レイヤ、RLC(Radio Link Control)レイヤ、MAC(Medium Access Control)レイヤ及び物理(Physical:PHY)レイヤを含む。但し、LTEの場合、SDAPレイヤが存在しなくてよい。
【0017】
BS200は、例えば、UE100へ向けたNRユーザプレーン及び制御プレーンプロトコル終端を提供し、NGインターフェイスを介して5GC30に接続されるgNBである。なお、BS200は、例えばLTEにおいてUE100へ向けたE-UTRAユーザプレーン及び制御プレーンプロトコル終端を提供するeNBであってよい。
【0018】
BS200は、複数のユニットを含んでもよい。複数のユニットは、プロトコルスタックに含まれる上位レイヤ(higher layer)をホストする第1のユニットと、プロトコルスタックに含まれる下位レイヤ(lower layer)をホストする第2のユニットとを含んでよい。上位レイヤは、RRCレイヤ、SDAPレイヤ及びPDCPレイヤを含んでよく、下位レイヤは、RLCレイヤ、MACレイヤ及びPHYレイヤを含んでよい。第1のユニットは、CU(central unit)であってよく、第2のユニットは、DU(Distributed Unit)であってよい。複数のユニットは、PHYレイヤの下位の処理を行う第3のユニットを含んでよい。第2のユニットは、PHYレイヤの上位の処理を行ってよい。第3のユニットは、RU(Radio Unit)であってよい。BS200は、複数のユニットのうちの1つであってよく、複数のユニットのうちの他のユニットと接続されていてよい。また、BS200は、IAB(Integrated Access and Backhaul)ドナー又はIABノードであってよい。
【0019】
5GC30は、コアネットワーク装置300を含む。コアネットワーク装置300は、例えば、AMF(Access and Mobility Management Function)及び/又はUPF(User Plane Function)を含む。AMFは、UE100のモビリティ管理を行う。UPFは、U-plane処理に特化した機能を提供する。AMF及びUPFは、NGインターフェイスを介してBS200と接続される。
【0020】
UE100は、BS200のカバレッジエリア内に位置する場合に、BS200と通信できる。UE100は、上述のプロトコルスタックを使用してBS200と通信できる。
【0021】
UE100は、ユーザにより利用される装置であればよい。UE100は、例えば、スマートフォンなどの携帯電話端末、タブレット端末、ノートPC、通信モジュール、又は通信カードなどの移動可能な無線通信装置である。また、UE100は、車両(例えば、車、電車など)又は車両に設けられる装置であってよい。UE100は、車両以外の輸送機体(例えば、船、飛行機など)又は車両以外の輸送機体に設けられる装置であってよい。また、UE100は、センサ又はセンサに設けられる装置であってよい。なお、UE100は、移動局、移動端末、移動装置、移動ユニット、加入者局、加入者端末、加入者装置、加入者ユニット、ワイヤレス局、ワイヤレス端末、ワイヤレス装置、ワイヤレスユニット、リモート局、リモート端末、リモート装置、又はリモートユニット等の別の名称で呼ばれてもよい。
【0022】
UE100は、通信能力が限定されたユーザ装置(いわゆる、Reduced capability NR device:RedCap UE)であってよい。RedCap UEは、例えば、Rel-15又はRel-16の高性能の高速大容量(enhanced Mobile Broadband:eMBB)及び超高信頼低遅延(Ultra-Reliable and Low Latency Communications:URLLC)を満たすUEと比較して、装置コスト及び複雑さが低減されたUEであってよい。RedCap UEは、LPWA (Low Power Wide Area)規格(例えば、LTE Cat.1/1bis、LTECat.M1(LTE-M)、LTECat.NB1(NB-IoT))で規定されている通信速度以上の通信速度で通信可能であってよい。RedCap UEは、LPWA規格で規定されている帯域幅以上の帯域幅で通信可能であってよい。RedCap UEは、Rel-15又はRel-16のUEと比較して、通信に用いる帯域幅が限定されていてよい。FR1(Frequency Range 1)では、例えば、RedCap UEの最大帯域幅は、20MHzであってよく、所定条件下では40MHzであってよい。FR2(Frequency Range 2)では、例えば、RedCap UEの最大帯域幅は、100MHzであってよい。RedCap UEは、無線信号を受信する受信機(いわゆる、Rx chain)を1つのみ有していてよい。RedCap UEは、例えば、産業用ワイヤレスセンサー、ビデオ監視装置、又はウェアラブル装置であってよい。
【0023】
(1.2)ユーザ装置の構成
図2を参照して、本開示の実施形態に係るUE100の構成の例を説明する。UE100は、通信部110及び制御部120を備える。
【0024】
通信部110は、信号を送受信することによって他の通信装置との通信を行う。通信部110は、例えば、BS200からの無線信号を受信し、BS200への無線信号を送信する。また、通信部110は、例えば、他のUEからの無線信号を受信し、他のUEへの無線信号を送信してよい。
【0025】
通信部110は、無線信号を受信する1つ又は複数の受信機及び無線信号を送信する1つ又は複数の送信機を備えてよい。以下においては、通信部110が受信機を1つのみ備える構成を主として想定する。受信機及び送信機は、アンテナ及びRF回路を備えてよい。アンテナは、信号を電波に変換し、当該電波を空間に放射する。また、アンテナは、空間における電波を受信し、当該電波を信号に変換する。アンテナは、送信アンテナ及び受信アンテナで含んでよい。アンテナは、送受信用のアンテナを含んでよい。アンテナは、複数のアンテナ素子を含んでよい。RF回路は、アンテナを介して送受信される信号のアナログ処理を行う。RF回路は、高周波フィルタ、増幅器、変調器及びローパスフィルタ等を含んでよい。
【0026】
制御部120は、UE100における各種の制御を行う。制御部120は、例えば、通信部110を介したBS200又は他のUE100との通信を制御する。後述のUE100の動作は、制御部120の制御による動作であってよい。
【0027】
制御部120は、プログラムを実行可能な1つ以上のプロセッサ及びプログラムを記憶するメモリを含んでよい。1つ以上のプロセッサは、プログラムを実行して、制御部120の動作を行ってもよい。プログラムは、制御部120の動作をプロセッサに実行させるためのプログラムであってもよい。
【0028】
プロセッサは、アンテナ及びRF回路を介して送受信される信号のデジタル処理を行う。当該デジタル処理は、RANのプロトコルスタックの処理を含む。プロセッサは、単一のプロセッサであってよい。プロセッサは、複数のプロセッサを含んでもよい。当該複数のプロセッサは、デジタル処理を行うベースバンドプロセッサと、他の処理を行う1つ以上のプロセッサとを含んでもよい。メモリは、プロセッサにより実行されるプログラム、当該プログラムに関するパラメータ、及び、当該プログラムに関するデータを記憶する。メモリは、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びフラッシュメモリの少なくとも1つを含んでよい。メモリの全部又は一部は、プロセッサ内に含まれていてよい。
【0029】
なお、以下において、UE100が備える機能部(具体的には、通信部110及び制御部120)の動作を、UE100の動作として説明することがある。
【0030】
(1.3)基地局の構成
図3を参照して、本開示の実施形態に係るBS200の構成の例を説明する。BS200は、通信部210及び制御部220を備える。
【0031】
通信部210は、信号を送受信することによって他の通信装置との通信を行う。通信部210は、無線通信部212とネットワーク通信部214とを含む。
【0032】
無線通信部212は、無線通信装置から信号を送受信する。無線通信部212は、例えば、UE100からの無線信号を受信し、UE100への無線信号を送信する。無線通信部212は、無線信号を受信する1つ又は複数の受信機及び無線信号を送信する1つ又は複数の送信機を備えてよい。受信機及び送信機は、アンテナ及びRF回路を備えてよい。アンテナは、信号を電波に変換し、当該電波を空間に放射する。また、アンテナは、空間における電波を受信し、当該電波を信号に変換する。アンテナは、送信アンテナ及び受信アンテナで含んでよい。アンテナは、送受信用のアンテナを含んでよい。アンテナは、指向性アンテナであってよい。アンテナは、複数のアンテナ素子を含んでよい。RF回路は、アンテナを介して送受信される信号のアナログ処理を行う。RF回路は、高周波フィルタ、増幅器、変調器及びローパスフィルタ等を含んでよい。
【0033】
ネットワーク通信部214は、ネットワークから信号を送受信する。ネットワーク通信部214は、例えば、基地局間インターフェイスであるXnインターフェイスを介して接続された隣接基地局から信号を受信し、隣接基地局へ信号を送信する。また、ネットワーク通信部214は、例えば、NGインターフェイスを介して接続されたコアネットワーク装置300から信号を受信し、コアネットワーク装置300へ信号を送信する。ネットワーク通信部214は、ネットワークインターフェースを備えてよい。ネットワークインターフェースは、例えば、ネットワークアダプタである。
【0034】
制御部220は、BS200における各種の制御を行う。制御部220は、例えば、無線通信部212を介したUE100との通信を制御する。また、制御部220は、例えば、ネットワーク通信部214を介したノード(例えば、コアネットワーク内のネットワークノード、隣接基地局、コアネットワーク装置300)との通信を制御する。後述のBS200の動作は、制御部220の制御による動作であってよい。
【0035】
制御部220は、プログラムを実行可能な1つ以上のプロセッサ及びプログラムを記憶するメモリを含んでよい。1つ以上のプロセッサは、プログラムを実行して、制御部220の動作を行ってもよい。プログラムは、制御部220の動作をプロセッサに実行させるためのプログラムであってもよい。
【0036】
プロセッサは、アンテナ及びRF回路を介して送受信される信号のデジタル処理を行う。当該デジタル処理は、RANのプロトコルスタックの処理を含む。プロセッサは、単一のプロセッサであってよい。プロセッサは、複数のプロセッサを含んでもよい。当該複数のプロセッサは、デジタル処理を行うベースバンドプロセッサと、他の処理を行う1つ以上のプロセッサとを含んでもよい。メモリは、プロセッサにより実行されるプログラム、当該プログラムに関するパラメータ、及び、当該プログラムに関するデータを記憶する。メモリは、ROM、EPROM、EEPROM、RAM及びフラッシュメモリの少なくとも1つを含んでよい。メモリの全部又は一部は、プロセッサ内に含まれていてよい。
【0037】
制御部220の一部又は全部は、仮想化されていてもよい。すなわち、制御部220の一部又は全部は、仮想マシンとして実装されてもよい。この場合に、制御部220の一部又は全部は、プロセッサ及びメモリ等を含む物理マシン(即ち、ハードウェア)及びハイパーバイザ上で仮想マシンとして動作してもよい。
【0038】
なお、以下において、BS200が備える機能部(通信部210及び制御部220)の動作を、BS200の動作として説明することがある。
【0039】
(1.4)BWP(帯域幅部分)
UE100とBS200とは、セルの全帯域幅の一部分であるBWP(帯域幅部分)を用いて通信を行う。具体的には、BS200は、1つ又は複数のBWPをUE100に設定する。BS200は、設定された1つ又は複数のBWPのうち、BS200との通信に用いるBWP(すなわち、アクティブBWP)をUE100へ通知できる。具体的には、BS200は、設定の実行時にアクティブにするBWP、すなわち、BS200との通信で最初に用いるBWPを示す識別子をUE100へ送信できる。また、アクティブBWPからアクティブBWPでないBWP(以下、非アクティブBWP)への切り替え及び非アクティブBWPからアクティブBWPへの切り替え(いわゆる、BWPスイッチング)の制御には、例えば、物理下り制御チャネル(例えば、下りリンクアサインメント、上りリンクアサインメント)、タイマ(すなわち、bwp-InactivityTimer)、RRCシグナリング、又はMACエンティティなどが用いられる。
【0040】
BWPは、初期BWPと個別BWPとを含む。初期BWPは、少なくともUE100の初期アクセスに用いられる。初期BWPは、複数のUE100に共通に用いられる。初期BWPは、下り通信用の初期BWP(以下、初期下りBWP(Initial DL BWP))と上り通信用の初期BWP(以下、初期上りBWP(Initial UL BWP))とを含む。初期下りBWP及び初期上りBWPのそれぞれを示す識別子(すなわち、bwp-id)の値は、0である。
【0041】
UE100は、例えば、2つの方法で、初期BWP(すなわち、初期下りBWP及び初期上りBWP)を決定できる。第1の方法では、UE100は、物理ブロードキャストチャネル(PBCH)内のマスター情報ブロック(MIB)に含まれる情報を用いて設定されるCORESET#0に基づいて、初期BWPを決定する。第2の方法では、UE100は、システム情報ブロック(SIB)に含まれる情報を用いて設定される周波数ドメインにおける位置及び帯域幅に基づいて、初期BWPを決定する。UE100は、例えば、ランダムアクセス手順におけるメッセージ4の受信までは、第1の方法により決定されたBWPを、BS200との通信に適用してよい。UE100は、例えば、メッセージ4(Msg.4)の受信後は、第2の方法により決定されたBWPを、BS200との通信に適用してよい。
【0042】
個別BWPは、UE100に個別に設定される。個別BWPは、下り通信用の個別BWP(以下、個別下りBWP(UE dedicated DL BWP))と上り通信用の個別BWP(以下、個別上りBWP(UE dedicated UL BWP))とを含む。個別下りBWP及び個別上りBWPのそれぞれを示す識別子の値は0以外である。
【0043】
UE100には、例えば、RRCメッセージに含まれる情報(例えば、下りBWP用の情報(すなわち、BWP-Downlink)及び上りBWP用の情報(すなわち、BWP-Uplink))に基づいて、個別BWPが設定される。下りBWP用の情報及び個別上りBWP用の情報のそれぞれに、例えば、周波数ドメインにおける位置及び帯域幅を示す情報(locationAndBadwidth)、サブキャリア間隔を示す情報(subcarrierSpacing)、及び、拡張サイクリックプレフィックスを使用するかを示す情報(cyclicPrefix)の少なくともいずれかの情報が含まれてよい。
【0044】
(1.5)同期信号及び物理ブロードキャストチャネルブロック(SSB)
SSBは、時間ドメインでは、4OFDMシンボルで構成され、周波数ドメインでは、240の連続するサブキャリアで構成される。SSBは、プライマリ同期信号(以下、PSS)及びセカンダリ同期信号(以下、SSS)と、物理ブロードキャストチャネル(PBCH)とで構成される。PSS及びSSSのそれぞれは、1OFDMシンボル及び127サブキャリアを占有する。PBCHは、3つのOFDMシンボル及び240サブキャリアに及んでいる。SSBがマップされるリソースエレメントの位置は、仕様書に規定されている。
【0045】
BS200は、初期BWP(具体的には、初期下りBWP)においてSSBを送信する。BS200は、SSBを周期的に送信できる。UE100は、初期下りBWPにおいてBS200から送信されたSSBを受信(すなわち、検出)し、時間及び/又は周波数の同期を取ることができる。
【0046】
(1.6)測定
UE100は、BS200から受信する無線信号に基づいて測定可能である。UE100は、例えば、SSBに基づいて無線品質(例えば、受信電力(いわゆる、SS reference signal received power:SS-RSRP)、受信品質(いわゆる、SS reference signal received quality:SS-RSRQ)など)の測定を行う。また、UE100は、例えば、チャネル状態情報参照信号(以下、CSI-RS)に基づいて無線品質(例えば、受信電力(いわゆる、CSI reference signal received power:CSI-RSRP)、受信品質(いわゆる、CSI reference signal received quality:CSI-RSRQ)など)の測定を行ってよい。CSI-RSは、UE100に個別に設定されたリソース(以下、CSI-RSリソース)で送信される。CSI-RSリソースは、初期BWP及び個別BWPのいずれにも設定可能である。
【0047】
UE100は、測定結果をBS200との通信制御に用いてよい。また、UE100は、測定結果をBS200へ報告してもよい。UE100は、SSBに基づく測定を行った場合、例えば、SSB毎の測定結果、SSBに基づくセル毎の測定結果、及び/又はSSBインデックスなどを報告してよい。また、UE100は、CSI-RSに基づく測定を行った場合、例えば、CSI-RSリソース毎の測定結果、CSI-RSリソースに基づくセル毎の測定結果、及び/又は、CSI-RSリソース識別子などを報告してよい。UE100は、周期的、又は所定のイベントをトリガとして、測定結果を報告してよい。UE100は、例えば、上りBWPにおいて物理上りリンク共有チャネル(PUSCH)で測定結果を報告してよい。
【0048】
なお、BS200は、セルの周波数範囲に含まれる周波数でのSSBに基づく測定(SSB based intra-frequency measurement)に関して、UE100から測定ギャップの要求情報を受信した場合、要求情報に従って測定ギャップを設定してよい。BS200は、UE100から要求情報を受信していない場合であって、初期BWP以外で、当該UE100に設定した複数のBWPのいずれにも初期BWPに関連付けられたSSBの周波数ドメインリソースが含まれていない場合、当該UE100に対して測定ギャップの設定を常に提供してよい。
【0049】
(2)システムの動作
(2.1)動作例1
図4を参照して、本開示の実施形態に係るUE100及びBS200の動作例1を説明する。UE100は、BS200が管理するサービングセル内に位置し、サービングセルによりBS200との通信を行う。
【0050】
ステップS101において、BS200は、BWPを設定するためのBWP関連情報を送信する。UE100は、BWP関連情報をBS200から受信する。
【0051】
BWP関連情報は、初期BWPを設定するための情報又は個別BWPを設定するための情報を含んでよい。BS200は、MIB及び/又はSIB(例えば、SIB1)を用いて、初期BWPを設定するためのBWP関連情報を送信してよい。BS200は、個別RRCシグナリング(例えば、RRCSetup、RRCResume、RRCReestablishmentなど)を用いて、個別BWPを設定するためのBWP関連情報を送信してよい。
【0052】
BWP関連情報は、例えば、周波数ドメインにおける位置及び帯域幅を示す情報(例えば、locationAndBadwidth)、サブキャリア間隔を示す情報(例えば、subcarrierSpacing)、拡張サイクリックプレフィックスを使用するかを示す情報(例えば、cyclicPrefix)、初期下りBWPにおける通信に共通に適用されるパラメータを示す情報、及び初期上りBWPにおける通信に共通に適用されるパラメータを示す情報の少なくともいずれかを含んでよい。また、BWP関連情報は、個別BWP(すなわち、個別下りBWP及び/又は個別上りBWP)を設定するための情報を含んでよい。個別BWPを設定するための情報は、BWPを識別する情報(例えば、bwp-id)、個別下りBWPにおける通信に共通に適用されるパラメータを示す情報、個別下りBWPにおける通信に個別に適用されるパラメータを示す情報、個別上りBWPにおける通信に共通に適用されるパラメータを示す情報、及び個別上りBWPにおける通信に個別に適用されるパラメータを示す情報の少なくともいずれかを含んでよい。
【0053】
BWP関連情報は、SSBを用いた測定の省略が許容されることを示す情報(以下、省略情報と適宜称する)を含んでよい。BS200は、PDCCH、RRCシグナリング、又はMACメッセージを用いて、省略情報を送信してよい。BS200は、例えば、RRCReconfiguration内のMeasConfigなどで、所定のビットで測定の省略の許容を指示してよい。なお、BS200は、ステップS101とは別のタイミングで、省略情報を送信してよい。UE100は、省略情報に従って測定の省略を行ってよい。なお、UE100は、測定の省略が許容された場合であっても、(必要に応じて)測定を行ってもよい。
【0054】
なお、BS200は、BWP関連情報と共にSSBを測定するための設定情報をUE100へ送信してよいし、BWP関連情報とは別にSSBを測定するための設定情報をUE100へ送信してよい。測定するための設定情報は、測定対象を示す情報として、例えば、SSBが送信されている周波数を示す情報(例えば、絶対無線周波数チャネル番号(ARFCN)など)を含んでよい。
【0055】
なお、BS200は、初期BWP以外でUE100に個別に設定した複数のBWPのいずれにも初期BWPに関連付けられたSSBの周波数ドメインリソースが含まれていない場合、SSBが送信されていないBWPにおける通信をUE100がサポートしているか否かを判定してよい。BS200は、例えば、UE100から受信した能力情報に基づいて、SSBが送信されていないBWPにおける通信をUE100がサポートしているか否かを判定できる。BS200は、例えば、UE100から受信した能力情報が、帯域幅制限を受けないBWP動作のサポートを示す情報(例えば、bwp-WithoutRestriction)を含む場合、SSBが送信されていないBWPにおける通信をUE100がサポートしていると判定してよい。この場合、BS200は、SSBが送信されていないBWPをUE100へ設定してよい。なお、帯域幅制限は、例えば、UE100に個別に設定された下りBWPの帯域幅においてSSBが送信されないことがあることを意味する。
【0056】
BS200は、SSBが送信されていないBWPにおける通信をUE100がサポートしていないと判定した場合、当該UE100に対して測定ギャップの設定を常に提供してよい。一方で、BS200は、SSBが送信されていないBWPにおける通信をUE100がサポートしていると判定した場合、当該UE100に対して測定ギャップの設定を省略してよい。
【0057】
なお、BS200は、UE100に個別に設定した下りBWPが、SSBが送信されない個別下りBWPを含む場合、SSBが送信されない個別下りBWPに含まれるCSI-RSリソースを用いた測定をUE100に設定してよい。BS200は、当該測定の設定情報をBWP関連情報と共にUE100へ送信してよいし、当該測定の設定情報をBWP関連情報とは別にUE100へ送信してよい。
【0058】
ステップS102において、UE100は、BWPでのBS200との通信を行うために、BWP関連情報に基づく設定を適用する。UE100は、BWP関連情報に基づいて、設定された1つ又は複数のBWPのうちアクティブBWPとして使用するBWPを決定できる。
【0059】
ステップS103において、UE100は、アクティブBWP、具体的には、アクティブBWPとして設定された下りBWP(以下、アクティブ下りBWP)でSSBが送信されているかどうかを判定する。すなわち、UE100は、アクティブ下りBWPがサービングセルのSSBを含むか否かを判定する。UE100は、アクティブ下りBWPでSSBが送信されていると判定した場合(YES)、ステップS105の処理を実行する。一方で、UE100は、アクティブ下りBWPでSSBが送信されていないと判定した場合(NO)、ステップS108又はステップS109の処理を実行する。従って、UE100は、アクティブ下りBWPにおいてSSBがBS200から送信されていない場合、ステップS105の測定を省略する。
【0060】
UE100は、例えば、アクティブ下りBWPが初期BWPである場合、アクティブ下りBWPでSSBが送信されていると判定する。また、UE100は、例えば、SSBが送信されている周波数を示す情報に基づいて、SSBが送信される周波数がアクティブ下りBWPに含まれる場合、アクティブ下りBWPでSSBが送信されていると判定してよい。一方で、UE100は、SSBが送信される周波数がアクティブ下りBWPに含まれない場合、アクティブ下りBWPでSSBが送信されていないと判定する。
【0061】
UE100は、例えば、帯域幅制限を受けないBWP動作のサポートする能力を有するRedCap UEである場合、アクティブ下りBWPでSSBが送信されているかどうかを判定してよい。UE100は、帯域幅制限を受けないBWP動作のサポートする能力を有さないRedCap UEである場合、又は、RedCap UE以外のUEである場合、アクティブ下りBWPでSSBが送信されているかどうかを判定せずに、BS200からの測定設定に従ってステップS105の処理を実行してよい。
【0062】
なお、UE100は、BS200から省略情報を受信している場合、省略情報に従って測定の省略を行うか否かを判定してよい。具体的には、UE100は、アクティブ下りBWPでSSBが送信されていないと判定した場合で、かつ省略情報の受信した場合に、測定の省略を行ってよい(すなわち、ステップS108又はステップS109の処理を実行してよい)。UE100は、アクティブ下りBWPでSSBが送信されていないと判定した場合であっても、省略情報を受信していない場合、SSBの測定を省略しなくてよい。UE100は、アクティブ下りBWPでSSBが送信されていない場合には、アクティブ下りBWP以外の周波数においてSSBを用いた測定を行う。UE100は、当該測定を行うための測定設定をBS200に要求してもよい。これより、BS200が、測定を省略するUE100を制御することができる。
【0063】
UE100は、アクティブ下りBWPでSSBが送信されていると判定した場合、すなわち、アクティブ下りBWPがサービングセルのSSBを含む場合、SSBの測定を有効(enable)に設定して、サービングセルの測定を行う。一方で、UE100は、アクティブ下りBWPでSSBが送信されていないと判定した場合、すなわち、アクティブ下りBWPがサービングセルのSSBを含まない場合、SSBの測定を無効(disable)に設定して、測定を省略する。すなわち、UE100は、当該サービングセルの測定を実行しない。また、UE100は、帯域幅制限を受けないBWP動作のサポートする能力を有するRedCap UEである場合であって、アクティブ下りBWPがサービングセルのSSBを含まない場合に、サービングセルの測定を実行しなくてよい。
【0064】
ステップS104において、BS200は、サービングセルにおいてSSBを送信する。具体的には、BS200は、UE100へ設定したアクティブ下りBWPにおいてSSBを送信する。
【0065】
ステップS105において、UE100は、アクティブ下りBWPにおいてSSBを用いて測定を行う。UE100は、例えば、SSBを用いて無線品質の測定を行う。無線品質は、例えば、SSBの受信電力、SSBの受信品質などである。UE100は、アクティブ下りBWPにおける測定結果を記憶する。なお、UE100は、帯域幅制限を受けないBWP動作のサポートする能力を有するRedCap UEでない場合、BS200からの測定設定に従ってサービングセル用の測定を行ってよい。
【0066】
ステップS106において、UE100は、得られた測定結果をBS200へ報告してよい。UE100は、例えば、測定結果の報告が設定されていない場合、BS200への報告を省略してよい。
【0067】
ステップS107において、BS200は、アクティブ下りBWPにおいてCSI-RSをUE100へ個別に送信してよい。
【0068】
ステップS108において、UE100は、CSI-RSリソースがBS200から設定されている場合、CSI-RSの測定を行ってよい。UE100は、例えば、CSI-RSを用いて無線品質の測定を行う。無線品質は、例えば、CSI-RSの受信電力、CSI-RSの受信品質などである。UE100は、アクティブ下りBWPにおける測定結果を記憶する。UE100は、得られた測定結果をBS200へ報告してよい。
【0069】
UE100は、ステップS108の処理を省略してよい。UE100は、例えば、CSI-RSリソースがBS200から設定されていない場合、CSI-RSの測定を省略してよい。
【0070】
ステップS109において、UE100は、アクティブBWPにおいてBS200との通信を行う。UE100は、SSBを用いて測定した場合、測定により得られた測定結果をBS200との通信制御に用いる。また、UE100は、CSI-RSの測定により得られた測定結果をBS200との通信制御に用いてよい。一方で、UE100は、アクティブ下りBWPにおいてSSBがBS200から送信されていない場合、例えば、アクティブ下りBWPにおいて下り通信を行ってよい。
【0071】
以上のように、UE100は、アクティブBWPにおいてSSBがBS200から送信されていない場合、SSBを用いた測定を省略する。具体的には、本開示の実施形態に係るUE100において、通信部110は、BS200のセルの全帯域幅の一部分であるBWPにおいてBS200との通信を行う。制御部120は、ユーザ装置100に設定された1つ又は複数のBWPのうち、BS200との通信に用いる1つのBWPであるアクティブBWPにおいて、無線品質の測定に用いられるSSBがBS200から送信されている場合、アクティブBWPにおいて送信されるSSBを用いて測定を行う。制御部120は、アクティブBWPにおいてSSBがBS200から送信されていない場合、測定を省略する。これにより、UE100がアクティブBWP以外の周波数において送信されるSSBを用いた測定を行うために、BS200は、測定ギャップ、すなわち、UE100とBS200との通信が中断される期間をUE100に設定する必要がない。その結果、UE100とBS200との通信が中断されず、通信のデータレートが低下しない。
【0072】
(2.2)動作例2
図5を参照して、本開示の実施形態に係るUE100及びBS200の動作例2を説明する。上述した内容との相違点を主として説明する。動作例2では、UE100は、SSBの測定を省略できたとしても、UE100がBS200との通信中にアクティブBWP以外の周波数でSSBを用いて測定を行うことができる場合、例えば複数の受信機を有する場合には、SSBの測定を省略せずに、SSBの測定を実行する動作の一例を説明する。
【0073】
ステップS201からS203は、ステップS101からS103に対応する。
【0074】
ステップS204において、UE100は、BS200との通信中にアクティブBWP(具体的には、アクティブ下りBWP)以外の周波数でSSBを用いて測定を行うことができるか否かを判定する。UE100は、BS200との通信中に当該測定を行うことができる場合、ステップS206の処理を実行する。UE100は、BS200との通信中に当該測定を行うことができない場合、ステップS209又はS210の処理を実行する。なお、UE100は、ステップS204をステップS203の前に行ってもよい。この場合、UE100は、BS200との通信中に当該測定を行うことができる場合、ステップS206の処理を実行する。一方で、UE100は、BS200との通信中に当該測定を行うことができない場合、アクティブ下りBWPでSSBが送信されているかどうかを判定する(ステップS103参照)。
【0075】
UE100は、例えば、複数の受信機を有するか否かを判定する。UE100は、複数の受信機を有する場合、ステップS206の処理を実行する。UE100は、複数の受信機を有さない場合、すなわち、単一の受信機を有する場合、ステップS209又はS210の処理を実行する。
【0076】
ステップS206において、UE100は、アクティブ下りBWPにおいてSSBが送信されている場合、ステップS105の処理を実行する。UE100は、アクティブ下りBWPにおいてSSBが送信されていない場合、複数の受信機のうち、少なくとも1つの受信機を用いて、アクティブ下りBWP以外の周波数において送信されるSSBを用いて測定を行う。
【0077】
ステップS205及びS207からS210は、ステップS104からS109に対応する。
【0078】
ステップS210において、UE100は、複数の受信機のうち、アクティブ下りBWP以外の周波数においてSSBの測定に用いる受信機以外の受信機を用いて、アクティブ下りBWPにおいてBS200との通信を実行できる。すなわち、UE100は、BS200との通信を実行しながら、アクティブ下りBWP以外の周波数において送信されるSSBの測定を周期的に実行できる。UE100は、得られた測定結果を用いて、BS200との通信を実行できる。
【0079】
以上のように、UE100(制御部120)は、BS200との通信中にアクティブBWP以外の周波数においてSSBを用いた測定を行うことができる場合には、測定を省略せずに、アクティブBWP以外の周波数において送信されるSSBの測定により得られた測定結果を利用できる。これにより、UE100は、BS200との通信を適切に行うことができる。
【0080】
(2.3)動作例3
図6を参照して、本開示の実施形態に係るUE100及びBS200の動作例の変形例2を説明する。上述した内容との相違点を主として説明する。動作例3では、UE100が、アクティブBWPを切り替えた場合に、過去の測定結果に基づいて通信を制御する動作の一例を説明する。
【0081】
ステップS301及びS302は、ステップS101及びS102に対応する。ステップS302において、UE100は、BWP情報に基づいて、第1BWP及び第2BWPを設定する。第2BWPは、周波数ドメインにおける位置及び帯域幅が第1BWPと異なる。本変形例では、UE100は、第1BWPをアクティブBWPとして設定する。なお、第1BWPにおいてSSBが送信されている。以下において、UE100は、アクティブBWPでSSBが送信されていると判定したとして説明を進める。
【0082】
ステップS303及びS304は、ステップS104及びS105に対応する。
【0083】
ステップS305において、UE100は、測定結果を記憶する。
【0084】
ステップS306において、UE100は、第1BWPにおいてBS200との通信を行う。UE100は、記憶した測定結果に基づいて通信を制御する。UE100は、第1BWPにおけるBS200との通信期間中に、SSBを用いた測定を周期的に行ってよい。UE100は、複数回測定を行った場合、複数の測定結果を記憶してよい。UE100は、測定結果を測定時間の情報と関連付けて記憶してよい。或いは、UE100は、複数回測定を行った場合、記憶する測定結果を最新の測定結果に更新(すなわち、上書き)してよい。
【0085】
ステップS307において、BS200は、アクティブBWPを切り替えるための制御情報をUE100へ送信する。BS200は、例えば、物理下り制御チャネル又はRRCシグナリングを用いて制御情報をUE100へ送信する。制御情報は、例えば、アクティブBWPを指定する情報であってよい。本変形例では、制御情報は、アクティブBWPを第1BWPから第2BWPへ切り替えるための情報である。
【0086】
ステップS308において、UE100は、アクティブBWPを第1BWPから第2BWPへ切り替える。UE100は、BS200からの制御情報の受信に応じて、アクティブBWPを第1BWPから第2BWPへ切り替えてよい。UE100は、例えば、制御情報に従って、設定されている第1BWPをアクティブBWPから非アクティブBWPへ変更し、設定されている第2BWPを非アクティブBWPからアクティブBWPへ変更する。
【0087】
ステップS309からS311は、ステップS103からS105に対応する。
【0088】
なお、ステップS309において、UE100は、例えば、第1BWPが初期BWPでない場合、ステップS310の処理を実行してよい。UE100は、例えば、第1BWPが初期BWPである場合、ステップS313の処理を実行してよい。
【0089】
ステップS312において、UE100は、測定結果を記憶する。UE100は、第1BWPにおける測定結果を記憶したまま、第2BWPにおける測定結果を記憶してよい。或いは、UE100は、第1BWPにおける測定結果を破棄してもよい。UE100は、第2BWPにおける測定結果を最新の測定結果として記憶してよい。すなわち、UE100は、記憶する測定結果を最新の測定結果に更新(すなわち、上書き)してよい。
【0090】
ステップS313において、UE100は、第2BWPにおいてBS200との通信を行う。UE100は、記憶した測定結果に基づいて通信を制御する。
【0091】
UE100(制御部120)は、ステップS311における測定を行った場合、UE100は、第2BWPにおける測定結果に基づいて通信を制御する。一方で、UE100(制御部120)は、ステップS311における測定を省略した場合、UE100は、ステップS305で記憶した測定結果、すなわち、SSBが送信されている第1BWPにおける測定結果に基づいて通信を制御する。UE100は、過去の測定結果を利用することで、BS200との通信を適切に行うことができる。
【0092】
UE100は、第1BWPが初期BWPである場合に、SSBが送信されている第1BWPにおける測定結果に基づいて通信を制御してよい。
【0093】
UE100(制御部120)は、測定を省略する場合、記憶した測定結果のうち最新の測定結果に基づいて、通信を制御してよい。UE100は、例えば、複数の測定結果を記憶している場合、最新の測定結果に基づいて通信を行う。例えば、UE100が静止していることにより、第1BWPの無線の品質が、第2BWPの無線の品質と等しいと考えられる場合、第1BWPの最新の測定結果を第2BWPの無線の品質とみなすこともできる。これにより、UE100に記憶された測定結果のうちで最新の測定結果に基づいて通信を行うため、BS200との通信をさらに適切に行うことができる。なお、UE100は、例えば、UE100が備えるGPS(Global Positioning System)によって取得される位置情報に基づいて、UE100が静止しているか判定してよい。
【0094】
なお、UE100は、複数のBWPが設定されている場合、BWP毎に最新の測定結果を記憶してよい。UE100は、複数の測定結果を記憶している場合、アクティブBWPの周波数に最も近い最新の測定結果に基づいて通信を行ってよい。
【0095】
(その他の実施形態)
上述の各動作例は、別個独立して実施する場合に限らず、各動作例を適宜組み合わせて実施可能である。
【0096】
また、例えば、本明細書に記載されている処理におけるステップは、必ずしもフローチャート又はシーケンス図に記載された順序に沿って時系列に実行されなくてよい。例えば、処理におけるステップは、フローチャート又はシーケンス図として記載した順序と異なる順序で実行されても、並列的に実行されてもよい。また、処理におけるステップの一部が削除されてもよく、さらなるステップが処理に追加されてもよい。
【0097】
例えば、本明細書において説明した装置の1つ以上の構成要素の動作を含む方法が提供されてもよく、上記構成要素の動作をコンピュータに実行させるためのプログラムが提供されてもよい。また、当該プログラムを記録したコンピュータに読み取り可能な非遷移的実体的記録媒体が提供されてもよい。このような方法、プログラム、及びコンピュータに読み取り可能な非遷移的実体的記録媒体(non-transitory tangible computer-readable storage medium)も、本開示に含まれる。また、UE100の少なくとも一部又はBS200の少なくとも一部は、UE100又はBS200が行う各処理を実行する回路が集積化されたチップセット又はSoC(System on Chip)であってよい。
【0098】
本開示において、「送信する(transmit)」は、送信に使用されるプロトコルスタック内の少なくとも1つのレイヤの処理を行うことを意味してもよく、又は、無線又は有線で信号を物理的に送信することを意味してもよい。或いは、「送信する」は、上記少なくとも1つのレイヤの処理を行うことと、無線又は有線で信号を物理的に送信することとの組合せを意味してもよい。同様に、「受信する(receive)」は、受信に使用されるプロトコルスタック内の少なくとも1つのレイヤの処理を行うことを意味してもよく、又は、無線又は有線で信号を物理的に受信することを意味してもよい。或いは、「受信する」は、上記少なくとも1つのレイヤの処理を行うことと、無線又は有線で信号を物理的に受信することとの組合せを意味してもよい。
【0099】
以上では、本開示の実施形態を説明したが、本開示は実施形態に限定されるものではない。実施形態は例示にすぎないということ、及び、本開示のスコープ及び精神から逸脱することなく様々な変形が可能であるということは、当業者に理解されるであろう。
【符号の説明】
【0100】
1 :システム
100 :ユーザ装置(UE)
110 :通信部
120 :制御部
200 :基地局(BS)
210 :通信部
212 :無線通信部
214 :ネットワーク通信部
220 :制御部

図1
図2
図3
図4
図5
図6