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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】透明な近赤外線遮蔽ガラスセラミック
(51)【国際特許分類】
   C03C 3/095 20060101AFI20240416BHJP
   C03C 3/15 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
C03C3/095
C03C3/15
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021096347
(22)【出願日】2021-06-09
(62)【分割の表示】P 2018565799の分割
【原出願日】2017-06-16
(65)【公開番号】P2021138614
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2021-07-06
(31)【優先権主張番号】62/351,616
(32)【優先日】2016-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/352,602
(32)【優先日】2016-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100224775
【弁理士】
【氏名又は名称】南 毅
(72)【発明者】
【氏名】マシュー ジョン デイネカ
(72)【発明者】
【氏名】ジェシー コール
(72)【発明者】
【氏名】マラナゴーダ ディヤマナゴーダ パティル
【審査官】玉井 一輝
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0113936(US,A1)
【文献】特開2010-248011(JP,A)
【文献】特開平05-270859(JP,A)
【文献】特表2019-517987(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C 1/00-14/00
INTERGLAD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラスにおいて、
56モル%から78モル%のSiO
8モル%から27モル%のB
0.5モル%から14モル%のAl
1モル%から10モル%のWO;および
-10モル%≦RO(モル%)-Al(モル%)≦0.1モル%であり、式中、ROは、LiO、NaO、KO、およびCsOの少なくとも1つである、RO、
を含み、
0≦RO(モル%)/WO(モル%)≦4であ
さらに、
(1)0モル%<Na O≦9モル%、
(2)0モル%<K O≦9モル%、
(3)0モル%<Cs O≦10モル%、
(4)0モル%<Rb O≦9モル%、
の少なくとも1つを含む、ガラス。
【請求項2】
1≦(RO(モル%)+Al(モル%))/WO(モル%)≦6である、請求項1記載のガラス。
【請求項3】
0モル%≦NaO+KO+CsO+RbO≦9モル%である、請求項1記載のガラス。
【請求項4】
60モル%≦SiO≦78モル%を含む、請求項1記載のガラス。
【請求項5】
1モル%≦WO≦5モル%を含む、請求項1から4いずれか1項記載のガラス。
【請求項6】
0モル%≦SnO≦0.5を含む、請求項1記載のガラス。
【請求項7】
0モル%≦LiO≦9モル%を含む、請求項1記載のガラス。
【請求項8】
9.8モル%≦B≦11.4モル%を含む、請求項1記載のガラス。
【請求項9】
0モル%≦MgO≦0.5モル%;
0モル%≦P≦2モル%;
0モル%≦ZnO≦1モル%、
の内の少なくとも1つをさらに含む、請求項1記載のガラス。
【請求項10】
ガラスにおいて、
56モル%から78モル%のSiO
8モル%から27モル%のB
0.5モル%から14モル%のAl
1モル%から10モル%のWO;および
-10モル%≦RO(モル%)-Al(モル%)≦0.1モル%であり、式中、ROは、LiO、NaO、KO、およびCsOの少なくとも1つである、RO、
を含み、
前記ガラスがさらにMxWOの結晶を含み、ここでMはH、Li、Na、K、Rb、Cs、Ca、Sr、Ba、Zn、Cu、Ag、Sn、Cd、In、Tl、Pb、Bi、Th、La、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、およびUの少なくとも1つであり、0<x<1である、
ガラス。
【発明の詳細な説明】
【優先権】
【0001】
本出願は、各々の内容が依拠され、ここに全て引用される、2016年6月21日に出願された米国仮特許出願第62/352602号、および2016年6月17日に出願された米国仮特許出願第62/351616号の米国法典第35編第119条の下での優先権の恩恵を主張するものである。
【技術分野】
【0002】
本開示はガラスセラミック材料に関する。より詳しくは、本開示は、光学的に透明なガラスセラミック材料に関する。さらにより詳しくは、本開示は、結晶質タングステンブロンズ相を有する、光学的に透明なガラスセラミック材料に関する。
【背景技術】
【0003】
医療、防衛、航空宇宙、および民生用途のための光学フィルタ、レンズ、並びに板ガラスを含む様々な用途のために、700~2500nmに及ぶ波長を遮断および/または排除するために、近赤外線(NIR)遮蔽ガラスが開発されている。
【0004】
透過する可視光の量を損なわずに、ガラスを通過し得る紫外線および赤外線の量を最小にするために、低放射(Low-E)コーティングが開発されてきた。Low-Eコーティングは、典型的に、スパッタリングされたかまたは熱分解するいずれかのコーティングである。あるいは、Low-Eプラスチック積層板がガラス基板に組み込まれることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
可視スペクトルにおいて高い透明性を有する近赤外線シールドを提供するために、非化学量論的亜酸化タングステンまたはドープされた非化学量論的三酸化タングステン(タングステンブロンズと称される)のナノサイズまたはマイクロ径サイズの粒子を含有する薄膜、コーティング、および複合材料が使用されてきた。しかしながら、タングステンブロンズ膜は、大抵、高価な真空蒸着室を必要とし、制限された機械的堅牢性を有し、酸素、水分、および紫外線の影響を受けやすく、その全てにより、これらの材料のNIR遮蔽性能が低下し、変色させ、可視光範囲における透明性を低下させてしまう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、いくつかの実施の形態において、少なくとも約80質量%のシリカを含有するガラス相と、式MWOを有する結晶質タングステンブロンズ相とを含む光学的に透明なガラスセラミック材料であって、式中、Mは、以下に限られないが、H、Li、Na、K、Rb、Cs、Ca、Sr、Ba、Zn、Cu、Ag、Sn、Cd、In、Tl、Pb、Bi、Th、La、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、およびUの少なくとも1つを含み、0<x<1である、ガラスセラミック材料を提供する。その結晶質タングステンブロンズ相はナノ粒子を含む。そのガラスセラミックは、いくつかの実施の形態において、低い熱膨張係数(CTE)、約360nm未満の波長での紫外線(UV)放射および約700nmから約3000nmに及ぶ波長での近赤外線(NIR)放射の強力な減衰または遮断を有する。Sm、Pr、およびErの内の少なくとも1つを含むアルミノケイ酸塩および亜鉛・ビスマス・ホウ酸塩ガラスも提供される。
【0007】
したがって、本開示の1つの態様は、ケイ酸塩ガラス相と、ナノ粒子を含む、約1モル%から約10モル%の結晶質MWO相を含むガラスセラミックであって、式中、Mは、H、Li、Na、K、Rb、Cs、Ca、Sr、Ba、Zn、Cu、Ag、Sn、Cd、In、Tl、Pb、Bi、Th、La、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、およびUの少なくとも1つであり、0<x<1である、ガラスセラミックを提供することにある。
【0008】
本開示の第2の態様は、ケイ酸塩ガラス相と、ナノ粒子を含む、約1モル%から約10モル%の結晶質MWO相を含むガラスセラミックであって、式中、Mは、少なくとも1種類のアルカリ金属であり、0<x<1である、ガラスセラミックを提供することにある。
【0009】
別の態様において、SiO、Al、並びにSm、Pr、およびErの内の少なくとも1つを含むアルミノケイ酸塩ガラスであって、Sm+Pr+Er≦12モル%である、アルミノケイ酸塩ガラスも提供される。そのアルミノケイ酸塩ガラスは、いくつかの実施の形態において、少なくとも1種類のアルカリ土類酸化物およびBをさらに含む。そのガラスは、いくつかの実施の形態において、約1400nmと約1600nmとの間の波長で約30%未満の透過率を有する。
【0010】
さらに別の態様において、ZnO、Bi、B、並びにSm、Pr、およびErの内の少なくとも1つを含む亜鉛・ビスマス・ホウ酸塩ガラスであって、Sm+Pr+Er≦12モル%である、亜鉛・ビスマス・ホウ酸塩ガラス。いくつかの実施の形態において、そのZn・Bi・ホウ酸塩ガラスは、NaOおよびTeOの少なくとも一方をさらに含む。これらのガラスは、いくつかの実施の形態において、約1400nmと約1600nmとの間の波長で約30%未満の透過率を有する。
【0011】
これらと他の態様、利点、および顕著な特性は、以下の詳細な説明、添付図面、および付随の特許請求の範囲から明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】スプラット急冷、徐冷、および熱処理されたガラスセラミック試料の吸収対波長をプロットしたグラフ
図2】スプラット急冷(A)、徐冷(B)、および熱処理(C)されたガラスセラミック組成物のスペクトルをプロットしたグラフ
図3】ガラスセラミック試料について測定された示差走査熱量測定冷却曲線をプロットしたグラフ
図4】異なるアルカリのタングステンブロンズを含有するガラスセラミックのスペクトルをプロットしたグラフ
図5】スプラット急冷されたガラスセラミックのX線回折プロファイル
図6】熱処理されたガラスセラミックのX線回折プロファイル
図7】ガラスに浸透させてガラスセラミックを形成する方法の流れ図
図8】表Eに列挙されたガラスEの分散曲線をプロットしたグラフ
図9】表Eに列挙されたガラスEに関する透過率をプロットしたグラフ
図10】表Fに列挙されたガラスJ、K、およびLに関する透過率をプロットしたグラフ
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の記載において、図面に示されたいくつかの図に亘り、同様の参照文字は同様のまたは対応する部分を指す。特に明記のない限り、「上部」、「底部」、「外方」、「内方」などの用語は、便宜上の単語であり、制限用語と考えるべきではないことも理解されよう。その上、群が、複数の要素およびその組合せの群の内の少なくとも1つを含むと記載されているときはいつでも、その群は、個別または互いとの組合せのいずれかで、列挙されたそれらの要素のいくつを含む、それから実質的になる、またはそれからなってもよいことが理解されよう。同様に、群が、複数の要素およびその組合せの群の内の少なくとも1つからなると記載されているときはいつでも、その群は、個別または互いとの組合せのいずれかで、列挙されたそれらの要素のいくつからなってもよいことが理解されよう。特に明記のない限り、値の範囲は、列挙された場合、その範囲の上限と下限の両方、並びにそれらの間の任意の範囲を含む。ここに用いられているように、名詞は、特に明記のない限り、「少なくとも1つ」または「1つ以上」の対象を意味する。明細書および図面に開示された様々な特徴は、いずれの組合せと全ての組合せで使用して差し支えないことも理解されよう。
【0014】
ここに用いられているように、「ガラス物品」という用語は、ガラスおよび/またはガラスセラミックから全てがまたは部分的に製造された任意の物体を含むために最も広い意味で使用され、従来のガラスと、ここに記載されたガラスおよびガラスセラミックとの積層体を含む。特に明記のない限り、全ての組成は、モルパーセント(モル%)で表される。熱膨張係数(CTE)は、10-7/℃で表され、特に明記のない限り、約20℃から約300℃の温度範囲に亘り測定された値を表す。
【0015】
ここに用いられているように、「ナノ粒子」という用語は、サイズが約1ナノメートル(nm)と約1,000nmとの間の粒子を称する。ここに用いられているように、「小板」という用語は、平らまたは平面の結晶を称する。ここに用いられているように、「ナノロッド」という用語は、約1,000nmまでの長さおよび少なくとも3、いくつかの実施の形態において、約3から約5の範囲のアスペクト比(長さ/幅)を有する細長い結晶を称する。
【0016】
ここに用いられているように、「透過率」という用語は、吸収、散乱および反射を考慮した、外部透過率を称する。ここに報告された透過率値から、フレネル反射は差し引かれていない。
【0017】
「実質的に」および「約」という用語は、任意の量的比較、値、測定値、または他の表記に起因するであろう不確実さの固有の程度を表すためにここに使用されることがあることに留意のこと。これらの用語は、量的表記が、問題の主題の基本機能に変化を生じずに、述べられた基準から変動するかもしれない程度を表すためにもここに使用されている。それゆえ、「MgOを含まない」ガラスは、MgOがガラスに能動的に加えられていないかまたはバッチ配合されていないが、汚染物質として非常に少量(例えば、400百万量部(ppm)未満、または300ppm未満)で存在し得るガラスである。
【0018】
圧縮応力および層の深さは、当該技術分野で公知の手段を使用して測定される。そのような手段としては、以下に限られないが、折原製作所(日本国、東京都)により製造されているFSM-6000などの市販の計器を使用する表面応力の測定(FSM)が挙げられる。表面応力測定は、ガラスの複屈折に関連する、応力光学係数(SOC)の精密測定に依存する。次に、SOCは、その内容がここに全て引用される、「Standard Test Method for Measurement of Glass Stress-Optical Coefficient」と題する、ASTM基準C770-98(2013)に記載されている、手順Cの修正版(以後、「修正」)にしたがって測定される。手順Cの修正は、5から10mmの厚さおよび12.7mmの直径を有する試験片としてガラスディスクを使用することを含む。このディスクは、等方性かつ均質であり、コア採取穿孔され、両面が、研磨され、平行である。その修正は、ディスクに印加されるべき最大力Fmaxを計算することも含む。その力は、少なくとも20MPaの圧縮応力を生じるのに十分であるべきである。Fmaxは、式:
Fmax=7.854・D・h
を使用して計算され、式中、Fmaxは、ニュートンで表される最大力であり、Dは、ミリメートル(mm)で表されるディスクの直径であり、hは、これもmmで表される光路の厚さである。印加される各々の力について、応力は、式:
σ(MPa)=8F/(π・D・h)
を使用して計算され、式中、Fは、ニュートンで表される力であり、Dは、ミリメートル(mm)で表されるディスクの直径であり、hは、これもミリメートルで表される光路の厚さである。
【0019】
特に明記のない限り、「層の深さ」、「DOL」および「FSM_DOL」という用語は、以下に限られないが、FSM-6000応力計測器などの市販の計器を使用する表面応力測定(FSM)により決定されるような圧縮層の深さを称する。圧縮深さDOCは、ガラス内で応力が事実上ゼロである深さを称し、当該技術分野で公知の屈折近視野(RNF)法および偏光法を使用して得られる応力プロファイルから決定できる。このDOCは、典型的に、一回のイオン交換過程についてFSM計器によって測定されるFSM_DOLよりも小さい。
【0020】
圧縮応力層がガラス内のより深い深さまで延在している強化ガラス物品について、FSM技術は、観察されたDOL値に影響を与えるコントラスト問題を被ることがある。圧縮層のより深い深さでは、TEおよびTMスペクトルの間に不適切なコントラストがあることがあり、それゆえ、TMおよびTE偏波の結合光学モードのスペクトル間の差の計算-およびDOLの正確な決定-がより難しくなる。さらに、FSMソフトウェア解析は、圧縮応力プロファイル(すなわち、ガラス内の深さの関数としての圧縮応力の変動)を決定することができない。その上、FSM技術は、例えば、ナトリウムのリチウムとのイオン交換などの、ガラス中の特定の元素のイオン交換から生じる層の深さを決定することができない。
【0021】
DOLが厚さtのほんのわずかrであり、屈折率プロファイルが、単純な線形切頂プロファイルとまあまあうまく近似される深さ分布を有する場合、FSMにより決定されるようなDOLは、圧縮層の圧縮深さ(DOC)の比較的良好な近似である。DOL≧0.1・tなどのように、DOLが厚さのかなりの割合である場合、ひいては、DOCは、ほとんどの場合、DOLよりも著しく小さい。例えば、線形切頂プロファイルの理想的な場合、関係DOC=DOL・(1-t)が成り立ち、式中、r=DOL/tである。
【0022】
あるいは、圧縮応力、応力プロファイル、および層の深さは、当該技術分野で公知の散乱直線偏光器(SCALP)技術を使用して決定してもよい。SCALP技術により、表面応力および層の深さの非破壊測定が可能になる。
【0023】
概して図面を、特に図1を参照すると、説明は、特定の実施の形態を記載する目的のためであり、本開示または付随の特許請求の範囲をそれに制限する意図はないことが理解されよう。図面は、必ずしも一定の縮尺で描かれておらず、図面の特定の特徴および特定の視野は、明瞭さと簡潔さのために縮尺または図式で誇張されて示されることがある。
【0024】
いくつかの実施の形態において、少なくとも約90質量%のシリカを含有するガラス相および結晶質タングステンブロンズ相を含む、光学的に透明なガラスセラミック材料がここに記載されている。これらのガラスセラミックは、ケイ酸塩ガラス相と、結晶質MWOナノ粒子を含有する、約0.1モル%から約10モル%、または約1モル%から約4モル%、または約0.5モル%から約5モル%の結晶質タングステンブロンズ相とを含む。1つの実施の形態において、結晶質MWOナノ粒子は、残留ガラス相内に被包され、その中に、いくつかの実施の形態において、その全体に亘り、分散されている。別の実施の形態において、その結晶質MWOナノ粒子は、そのガラスセラミックの表面に、またはその近くに配置されている。いくつかの実施の形態において、その結晶質MWOナノ粒子は、小板形状であり、当該技術分野で公知の手段(例えば、SEMおよび/またはTEM顕微鏡法、X線回折法、光散乱法、遠心法など)により決定される、約10nmから1000nm、または約10nmから約5μmに及ぶ平均直径を有する、および/またはMWOナノロッドは、高いアスペクト比および当該技術分野で公知の手段により決定される、10nmから1000nmに及ぶ平均長さ、および当該技術分野で公知の手段により決定される、約2から約75nmに及ぶ平均幅を有する。いくつかの実施の形態において、高い可視透過率並びに強力なUVおよびNIR吸収を示すタングステンブロンズガラスセラミックは、約10nmから約200nmに及ぶ平均長さおよび約2nmから30nmに及ぶ平均幅を有する高アスペクト比(長さ/幅)のMWOロッドを含有する。この結晶質タングステンブロンズ相は、式MWOを有し、式中、Mは、H、Li、Na、K、Rb、Cs、Ca、Sr、Ba、Zn、Cu、Ag、Sn、Cd、In、Tl、Pb、Bi、Th、La、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、およびUの少なくとも1つであり、0<x<1である。これらのガラスセラミックは、低い熱膨張係数(CTE)、約250nm未満の波長での紫外線(UV)放射および約700nmから約2500nmに及ぶ波長での近赤外線(NIR)放射の強力な減衰または遮断を有する。
【0025】
いくつかの実施の形態において、ここに記載されたガラスセラミックは、スペクトルの可視(すなわち、約400nmから約700nmの波長)範囲において光学的に透明である。すなわち、そのガラスセラミックは、約400nmから約700nmの範囲の光の少なくとも1つの50nm幅の波長域に亘り1mmの光路長で約1%超の透過率(ここでは「%/mm」と表される)を有する。いくつかの実施の形態において、そのガラスセラミックは、スペクトルの可視領域の光の少なくとも1つの50nm幅の波長域に亘り、少なくとも約10%/mm超、いくつかの実施の形態において、約30%/mm超、他の実施の形態において、約50%/mm超(例えば、≧75%/mm、≧80%/mm、≧、90%/mm)の透過率を有する。その上、これらのガラスセラミックは、コーティングまたは膜を使用せずに、スペクトルの紫外線(UV)領域(約370nm未満の波長)および近赤外線(NIR)領域(約700nm超から約1700nm)の光を吸収する。そのコーティングまたは膜は、機械的に脆く、紫外線と水分に敏感である。いくつかの実施の形態において、そのガラスセラミックは、約370nm以下の波長を有する(例えば、370nmの波長での)光について、10%/mm未満、またさらには5%/mm未満、他の実施の形態において、2%/mm未満またさらには1%/mm未満の透過率を有する。いくつかの実施の形態において、約370nm以下の波長を有する光について、そのガラスセラミックは、この波長で(例えば、370nmの波長で)、少なくとも90%/mm、他の実施の形態において、少なくとも95%/mm、他の実施の形態において、少なくとも98%/mm、またさらには少なくとも99%/mmの吸収率を有する、または吸収する。いくつかの実施の形態において、そのガラスセラミックは、スペクトルのNIR領域(すなわち、約700nmから約2500nm)の光について、光の少なくとも1つの50nm幅の波長域に亘り10%/mm未満、他の実施の形態において、5%/mm未満の透過率を有する。いくつかの実施の形態において、そのガラスセラミックは、スペクトルのNIR領域(すなわち、約700nmから約2500nm)の光について、光の少なくとも1つの50nm幅の波長域に亘り少なくとも90%/mm、他の実施の形態において、少なくとも95%/mmを吸収する。
【0026】
いくつかの実施の形態において、ここに記載されたガラスセラミックは、その光学的または機械的性質を損なわずに、少なくとも約300℃、またはいくつかの実施の形態において、少なくとも約200℃の温度に耐えることができる。いくつかの実施の形態において、そのガラスセラミックが少なくとも1時間の期間に亘り約200℃から約300℃の範囲の温度で加熱されたときに、そのガラスセラミックの約500nmと約2500nmとの間の透過率は、10%/mm未満しか変化しない。これらのガラスセラミックは、いくつかの実施の形態において、非反応性であり、それ以外には、酸素、水素、および水分を通さない。そのガラスセラミックの不浸透性は、選択された試料(例えば、表1の試料13、14、15、および16)を7日までの期間に亘り312nmおよび365nmの光に暴露することによって実証されてきた。そのような暴露後に、これらの試料の光学的吸収の変化は観察されず、酸素、水分、および/または水素が、MWO結晶相と反応せいず、MWO結晶相を変えなかったことを示す。
【0027】
いくつかの実施の形態において、ここに記載されたガラスセラミックは、約0℃から約300℃に及ぶ温度で約75×10-7/℃の熱膨張係数(CTE)を有する。いくつかの実施の形態において、そのガラスセラミックは、約0℃から約300℃に及ぶ温度で約33.5×10-7/℃から約66.3×10-7/℃の熱膨張係数(CTE)を有する(例えば、表1の試料2、11、12、13、および54)。
【0028】
いくつかの実施の形態において、ここに記載されたガラスセラミックは、色褪せさせることができる-すなわち、結晶質MWOは、短期間に亘りそのガラス/ガラスセラミックをそれぞれの軟化点より高い温度で熱処理することによって、「消す」ことができる。そのような熱処理は、以下に限られないが、抵抗炉、レーザ、マイクロ波など、当該技術分野で公知のエネルギー源を使用して行うことができる。例えば、組成物37(表1)は、その材料を約5分間に亘り約685℃と約740℃の間の温度に保持することによって、色褪せさせることができる。次に、そのMWOブロンズ相は、UVパルス状レーザへの暴露によって、その材料の表面で再形成または再結晶化されることがある;すなわち、そのタングステンブロンズ相は、レーザに暴露された区域において、再形成される。
【0029】
ここに記載されたガラスセラミックは、熱面シールド、医療用メガネ類、光学フィルタなどを含む、建築、自動車、医療、航空宇宙、または他の用途における低放射板ガラスに使用されることがある。いくつかの実施の形態において、そのガラスセラミックは、携帯電話やスマートフォン、ラップトップコンピュータ、タブレットなどの家電製品の一部を形成する。そのような家電製品は、典型的に、前面、背面、および側面を有する筐体を備え、その筐体の少なくとも部分的に内部にある、電気部品を含む。その電気部品は、少なくとも、電源、制御装置、メモリ、およびディスプレイを含む。いくつかの実施の形態において、ここに記載されたガラスセラミックは、以下に限られないが、筐体および/またはディスプレイなどの保護要素の少なくとも一部を構成する。
【0030】
いくつかの実施の形態において、前記ガラス相はホウケイ酸ガラスであり、前記ガラスセラミックは、SiO、Al、B、WO、および少なくとも1種類のアルカリ金属酸化物ROを含み、ここで、ROは、NaO、KO、CsO、および/またはRbOの少なくとも1つであり、前記結晶質タングステンブロンズ相は、MWOを含有する、含む、またはから実質的になるタングステンブロンズ固溶体であり、式中、Mは、NaO、KO、CsO、およびRbOの少なくとも1つである。いくつかの実施の形態において、その結晶質アルカリタングステンブロンズ相は、アルカリタングステンブロンズ固溶体M1M2WOの混合物である結晶質アルカリタングステンブロンズ相であり、式中、M1=Li、Na、K、Cs、RbおよびM2=Li、Na、K、Cs、Rb、ここで、M1≠M2であり、0<(x+y)<1である。
【0031】
いくつかの実施の形態において、前記ガラスセラミックは、約56モル%から約78モル%のSiO(56モル%≦SiO≦78モル%)または約60モル%から約78モル%のSiO(60モル%≦SiO≦78モル%);約8モル%から約27モル%のB(8モル%≦B≦27モル%);約0.5モル%から約14モル%のAl(0.5モル%≦Al≦14モル%);0モル%超から約10モル%の、NaO、KO、CsO、およびRbOの少なくとも1つ(0モル%≦NaO+KO+CsO+RbO≦9モル%);約1モル%から約10モル%のWO(1モル%≦WO≦10モル%)またはいくつかの実施の形態において、約1モル%から約5モル%のWO(1モル%≦WO≦5モル%);および0モル%から約0.5のSnO(0モル%≦SnO≦0.5)を含む。いくつかの実施の形態において、そのガラスセラミックは、0モル%から約9モル%のLiO;いくつかの実施の形態において、0モル%から約9モル%のNaO(0モル%<NaO≦9モル%);いくつかの実施の形態において、0モル%から約9モル%のKO(0モル%<KO≦9モル%)または0モル%から約3モル%のKO(0モル%<KO≦3モル%);いくつかの実施の形態において、0モル%から約10モル%のCsO(0モル%<CsO≦10モル%)または0モル%超から約7モル%のCsO(0モル%<CsO≦7モル%);および/またはいくつかの実施の形態において、0モル%から約9モル%のRbO(0モル%<RbO≦9モル%)を含むことがある。いくつかの実施の形態において、そのガラスセラミックは、約9.8モル%から約11.4モル%のB(9.8モル%≦B≦11.4モル%)を含む。
【0032】
特定の実施の形態において、ここに記載されたガラスセラミックは、約80モル%から約97モル%のSiO(80モル%≦SiO≦97モル%);0モル%から約5モル%のAl(0モル%≦Al≦5モル%);0モル%から約2モル%のRO(0モル%≦RO≦2モル%)、式中、RO=LiO、NaO、KO、および/またはCsO、または0モル%超から約2モル%のCsO(0モル%<CsO≦2モル%)、または0モル%超から約0.5モル%のCsO(0モル%<CsO≦0.5モル%);および約0.2モル%から約2モル%のWO(0.2モル%≦WO≦2モル%)を含む。特別な実施の形態において、そのガラスセラミックは、約87モル%から約93モル%のSiO(87モル%≦SiO≦93モル%);0モル%から約0.5モル%のAl(0モル%≦Al≦0.5モル%);3モル%から約6モル%のB(3モル%≦B≦6モル%);0.75モル%から約1.25モル%のWO(0.75モル%≦WO≦1.25モル%);および0.2モル%から約2モル%のRO、式中、R=Li、Na、K、および/またはCs(0.2モル%≦RO≦2モル%)を含む。
【0033】
いくつかの実施の形態において、前記ガラスセラミックは、約0.5モル%までのMgO(0モル%≦MgO≦0.5モル%);約2モル%までのP(0モル%≦P≦2モル%);約1モル%までのZnO(0モル%≦ZnO≦1モル%)をさらに含むことがある。冷却または熱処理の際のMWOの形成速度は、MgO(例えば、表1の試料55、56、および57)、P(例えば、表1の試料58)、およびZnO(例えば、表1の試料59)の内の少なくとも1つを添加することによって、増加させることができる。
【0034】
可視光範囲で透明であり、UVおよびNIR吸収性であるガラスセラミックの非限定組成物が、表1に列挙されている。UVまたはNIR放射のいずれかを吸収しない組成物が、表2に列挙されている。
【0035】
【表1-1】
【0036】
【表1-2】
【0037】
【表1-3】
【0038】
【表1-4】
【0039】
【表1-5】
【0040】
【表1-6】
【0041】
【表2-1】
【0042】
【表2-2】
【0043】
【表2-3】
【0044】
いくつかの実施の形態において、-10モル%≦RO(モル%)-Al(モル%)≦0.1モル%。組成および熱処理がガラスセラミックの光学的性質にどのように影響を与えるかについて、過アルミナ性溶融物を3つの下位区分に分類することができる。ここに用いられているように、「過アルミナ性溶融物(peraluminous melts)」という用語は、アルミナのモル比または含有量が、ROのものよりも大きい溶融物を称し、式中、ROは、LiO、NaO、KO、およびCsOの少なくとも1つである;すなわち、Al(モル%)>RO(モル%)。第1の下位区分は、過アルミナ性溶融物が、溶融状態から急冷されたときおよび徐冷後に、可視波長範囲およびNIR領域において透明であるものである(例えば、表1における試料12、15~17、20、23、25、33、35~42、44、46、47、および48)。これらの材料は、NIR吸収性ナノ結晶質MWO相を発生させるために、徐冷温度で、またはその温度よりわずかに高いが、軟化点より低い温度でのその後の熱処理を必要とする。熱処理の関数としての光学的性質の変化が図1に示されており、これは、組成物13のスプラット急冷、徐冷、および熱処理された試料に関する吸収対波長のプロットである。ここに用いられているように、「スプラット急冷」という用語は、室温にある鉄板上に少量の溶融ガラスまたはその「塊」を注ぎ、ガラスを急冷し、その塊をガラスの薄い(3~6mm)ディスクに圧迫するように、その塊を鉄製プランジャ(これも室温)で直ちに加圧する工程を称する。組成物/試料13のスプラット急冷された試料(図1のA)および徐冷された試料(B)は、可視またはNIR領域に吸収を示していないのに対し、熱処理された試料(C、D、E)は、熱処理時間の増加により増加する吸収をNIR領域に示し、また600~700nm範囲の波長でのある程度の可視光減衰も示し、青い色合いの材料をもたらす。
【0045】
過アルミナ性溶融物の第2の区分は、急冷された場合でも、可視およびNIR領域において透明なままであるが、徐冷後ではNIR吸収を示す(表1の試料12、14、19、21、22、24、および26~32参照)。過アルミナ性溶融物の先に記載された群と同様に、ガラスセラミック組成物11のスプラット急冷(A)、徐冷(B)、および熱処理(C)された試料のスペクトルを示す、図2に示されるように、スプラット急冷または徐冷されたガラスセラミックのNIR吸収は、さらなる熱処理によって向上させることができる。
【0046】
過アルミナ性溶融物の第3の区分は、急冷の際でさえもNIR吸収を示す(表1の試料1および7参照)。これらの材料のNIR吸収は、徐冷点で、またはそれより高いが軟化点より低い温度でのその後の熱処理によりさらに向上させることができる。
【0047】
ほぼ荷電平衡された溶融物(すなわち、RO(モル%)-Al(モル%)=0±0.25モル%)は、急冷された際に、徐冷後に、可視において透明であり、NIR吸収性であることがある(表1の試料8~11および45参照)、もしくは急冷または徐冷のいずれかの後にNIR吸収性であることがある(表1の試料2~7参照)。先に記載された溶融物に関するように、NIR吸収は、徐冷点でのまたはそれより高いが、軟化点より低い温度でのその後の熱処理によって、さらに高めることができる。
【0048】
2つの過アルミナ性(すなわち、RO(モル%)>Al(モル%))UVおよびNIR吸収性溶融物(表1の試料46および50)は、急冷したときに、可視およびNIRにおいて透明であるが、徐冷後にはNIR吸収性であった。先に記載された溶融物に関するように、NIR吸収は、徐冷点でのまたはそれより高いが、軟化点より低い温度でのその後の熱処理によって、さらに高めることができる。
【0049】
結晶質MWO相は、光学的吸収を決定するが、その形成速度は、熱処理と温度;(RO(モル%)+Al(モル%))/WO(モル%)比;RO(モル%)/WO(モル%)比;Al(モル%)/WO(モル%)比;およびバッチ配合すべきアルカリの選択の少なくとも1つを調節することによっても調整できる。全ての場合において、熱処理時間が長くなると、一層多くの結晶質MWO相が析出し、それにより、NIR吸収のより強力な材料が得られる。しかしながら、熱処理時間が過剰であると、結晶質MWO相が粗雑になることがある。ある場合には、粗雑化に、ボラスタライト(borastalite)またはホウ酸アルミニウムなどの二次または三次結晶相の形成が伴うことがある。これらの二次相の形成により、光の可視波長を散乱させ、それゆえ、かすんだまたは乳白色に見える材料が生じることがある。その上、ほとんどの場合、MWOの形成速度は、熱処理温度が上昇し、ガラスの軟化点に近づくにつれて、上昇する。
【0050】
いくつかの実施の形態において、1≦(RO(モル%)+Al(モル%))/WO(モル%)≦6。比(RO(モル%)+Al(モル%))/WO(モル%)が増加するにつれて、MWOの形成速度は低下する。(RO(モル%)+Al(モル%))/WO(モル%)≧6の場合、NIR吸収性の結晶質MWO相は、溶融物から析出しなくなる。
【0051】
結晶質MWONIR吸収相が析出するそれらのガラスにおいて、比RO(モル%)/WO(モル%)は、0以上かつ4以下であり(0≦RO(モル%)/WO(モル%)≦4)、比Al(モル%)/WO(モル%)は、約0.66から約6の範囲にある(0.66≦Al(モル%)/WO(モル%)≦6)。RO(モル%)/WO(モル%)が4超である(RO(モル%)/WO(モル%)>4)場合、そのガラスは、緻密な非混和性第二相を析出させ、分離して、不均質な溶融物を生じるであろう。Al(モル%)/WO(モル%)比が6を超えると(Al(モル%)/WO(モル%)>6)、そのガラスは、結晶質MWONIR吸収相を析出しなくなる。表1の試料34におけるように、Al(モル%)/WO(モル%)比が6と等しくなると(Al(モル%)/WO(モル%)=6)、NIR吸収性ナノ結晶質MWOブロンズが形成するが、非常にゆっくりとである。RO(モル%)/WO(モル%)比が約0から約3.5の範囲にある(0≦RO/WO≦3.5)(例えば、表1の試料26)ことが好ましい。RO/WOが約1.25から約3.5の範囲にある(1.25≦RO(モル%)/WO(モル%)≦3.5)(例えば、表1の試料53)ことが最も好ましい。何故ならば、この組成範囲内の試料は、UVおよびNIR吸収性MWO結晶相を急激に析出し、強力なNIR吸収と共に、高い可視透明性を示し、色褪せられる(すなわち、MWO結晶相を「なくす」ことができる)からである。比Al(モル%)/WO(モル%)は、特定の実施の形態において、約0.66から約4.5の範囲にあり(0.66≦Al(モル%)/WO(モル%)≦4.5)(例えば、表1の試料40)、最も好ましくは、Al(モル%)/WO(モル%)は、約2から約3の範囲にある(1≦Al(モル%)/WO(モル%)≦3)(例えば、表1の試料61)。この範囲より上では、NIR吸収性ナノ結晶質MWOブロンズがゆっくりと形成する。
【0052】
異なるアルカリ金属酸化物は、結晶質MWO相を異なる速度で析出させる。同じバッチ配合された組成を有するが、異なるアルカリ金属酸化物RO(式中、R=Li、Na、K、またはCs)を有する溶融物について、MWO析出速度は、M(またはR)がCsである場合、最も遅く、M(またはR)がLiである場合、最も速い-すなわち、Cs<K<Na<Li(例えば、表1の試料14、15、16、および13)。結晶質MWO相がガラスセラミック中で形成する温度も、存在するアルカリ金属に応じて、シフトする。図3は、その組成が表1に列挙されている、試料14、15、16、および13について測定した示差走査熱量測定(DSC)冷却曲線を示している。図3および下記の表Aから分かるように、最高温度でセシウム含有溶融物が結晶化し、それに、カリウム含有溶融物、ナトリウム含有溶融物、およびリチウム含有溶融物が続く。
【0053】
【表3】
【0054】
前記ガラスセラミックの可視範囲におけるピークまたは最大透過波長およびNIR吸収限界は、組成、熱処理時間と温度、およびアルカリ金属酸化物の選択によって、調整することができる。異なるアルカリタングステンブロンズを含有し、他の点では同一の組成を有するガラスセラミック(表1の試料14、15、16、および13)のスペクトルが、図4に示されている。カリウムとセシウムの類似物(それぞれ、試料16および13)は、それぞれ、460nmおよび510nmのピーク可視透過率波長を有するナトリウムとリチウムの類似物(それぞれ、試料15および14)よりも短いピーク可視透過率波長(440~450nm)を有する。
【0055】
いくつかの実施の形態において(例えば、表1の試料37、44、46、および50)、ここに記載されたガラスセラミックはホウ素の濃度が低い-すなわち、約9.8モル%から約11.4モル%のB(9.8モル%≦B≦11.4モル%)。これらの試料において、NIR吸収性結晶質MWO相は、表Bに示されるように、狭く低い温度範囲で析出する。これらの組成物は、それぞれの軟化点より高く加熱され、結晶質MWO相を成長させずに、撓む、沈み込む、または成形されることがある。これにより、これらのガラスセラミックの光学的性能を、ガラス物品の最初の形成および/または成形および続いて、NIR吸収性結晶質MWO第二相を析出するように、低温でその材料を熱処理することによって、制御し、微調整することができる。その上、上記組成を有するガラスセラミックにおける結晶質MWO第二相は、短期間に亘りそれぞれの軟化点より高くガラスを加熱することによって、「なくす」(ガラスセラミックを「色褪せさせる」)ことができる。例えば、組成物44は、約5分間に亘り、約685℃と約740℃との間の温度に材料を保持することによって、色褪せさせることができる。
【0056】
【表4】
【0057】
いくつかの実施の形態において、これらのガラスおよびガラスセラミックは、UVレーザでパターン形成することができる。前記MWO相は、例えば、その材料を10ワットの355nmパルス状レーザに暴露することによって、急冷された組成物(例えば、表1の試料14)において析出させることができる。
【0058】
表Cは、表1に列挙された選ばれた試料組成物について測定された、歪み点、徐冷点、軟化点、熱膨張係数(CTE)、密度、屈折率、ポアソン比、剛性率、ヤング率、液相(最大結晶化)温度、および応力光学係数(SOC)を含む物理的性質を列挙している。それに加え、表1に列挙された選ばれた試料について、スプラット急冷および熱処理されたガラスセラミック組成物のX線粉末回析(XRD)プロファイルを得た。図5および6は、それぞれ、両方とも表1の組成14を有する、スプラット急冷された材料および熱処理された材料に得られた代表的なXRDプロファイルである。これらのXRDプロファイルは、急冷されたままの材料(図5)は、非晶質であり、熱処理前に、結晶質MWO相を含まず、熱処理されたガラス材料は、結晶質MWO第二相を含むことを示す。
【0059】
【表5-1】
【0060】
【表5-2】
【0061】
【表5-3】
【0062】
ガラスセラミックがアルミナ(Al)および少なくとも1種類のアルカリ金属を含む実施の形態において、そのガラスセラミックはイオン交換可能であることがある。イオン交換は、ガラスを化学強化するために一般に使用されている。ある特定の例において、そのような陽イオンの供給源(例えば、溶融塩、または「イオン交換」浴)内のアルカリ陽イオンが、ガラス内のより小さいアルカリ陽イオンと交換されて、ガラスの表面(CSが最大である)から、ガラス相内の層の深さ(DOL)または圧縮深さDOCまで延在する、圧縮応力(CS)下にある層を形成する。例えば、その陽イオン源からのカリウムイオンは、しはしば、ガラス相内のナトリウムイオンと交換される。
【0063】
いくつかの実施の形態において、前記ガラスセラミックは、イオン交換されており、少なくとも1つの表面から、そのガラスセラミック内の少なくとも約10μmの深さ(DOCおよび/またはDOLにより示されるような)まで延在する圧縮層を有する。その圧縮層は、その表面で、少なくとも約100MPaであり、約1500MPa未満の圧縮応力CSを有する。
【0064】
非限定例において、組成物51および54をイオン交換した。その試料は、最初に、15時間に亘り550℃で熱処理し、次いで、1℃/分で475℃に冷却し、電力を遮断したときに炉の冷める速度(炉の速度)で室温までさらに冷ませた。次いで、セラミック化した試料を、KNOの溶融浴中において3時間に亘り390℃でイオン交換して、それぞれ、ガラスセラミック組成物51および54について、360MPaと380MPaの表面圧縮応力および31マイクロメートルと34マイクロメートルの層の深さが生じた。
【0065】
1つの実施の形態において、ここに記載されたガラスセラミックを、溶融物急冷過程を使用して製造することができる。適切な比率の成分を、乱流混合またはボールミル粉砕によって、混合し、ブレンドすることができる。次に、バッチ配合した材料を、約1550℃から約1650℃に及ぶ温度で溶融し、約6から約12時間に及ぶ時間に亘りその温度で保持し、その時間の後、注型または成形し、次いで、徐冷することができる。材料の組成に応じて、徐冷点で、またはそれよりわずかに高いが、軟化点より低い温度での追加の熱処理を行って、結晶質MWO第二相を発生させ、UVおよびNIR吸収性を与える。表1の試料12~16、37、46、50~53および61の組成物に、最適なUVおよびNIR吸収性が得られた。例示の組成物について、結晶質MWO第二相を発生させるために使用した熱処理時間と温度範囲が、表Dに列挙されている。
【0066】
【表6】
【0067】
他の実施の形態において、前記ガラスセラミックは、以下に限られないが、Corning Incorporatedにより製造されている高シリカガラスであるVYCOR(登録商標)などの、ナノ多孔質ガラスに浸透させることによって形成される。そのようなナノ多孔質ガラスは、20から30%の気孔率であり、平均細孔径が4.5~16.5nmであり、細孔径分布は狭いことがある(ガラス中の細孔の約96%は、平均直径から+0.6nmである)。平均細孔径は、ガラスを相分離させるのに必要な熱処理スケジュールを調節することにより、またエッチング条件を変更することにより、約16.5nmに増加させることができる。ガラスを浸透させ、ガラスセラミックを形成する方法の流れ図が、図7に示されている。
【0068】
方法100の工程110において、タングステンを含有する第1の溶液、金属陽イオンMを含有する第2の溶液、およびホウ酸を含有する第3の溶液を調製または提供して、これらの成分をナノ多孔質ガラス基体に送達する。1つの実施の形態において、そのタングステン溶液は、脱イオン水中にメタタングステン酸アンモニウム(AMT)を溶かして、所望の濃度のタングステンイオンを生成する。いくつかの実施の形態において、タングステンカルボニル、六塩化タングステンなどの有機前駆体を使用して、ナノ多孔質ガラス基体の細孔中にタングステンを送達してもよい。MWOブロンズ中に金属M陽イオンを提供するために、硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩、塩化物などを含む多数の水性前駆体も使用してよい。
【0069】
1つの非限定例において、セシウム陽イオン濃度がタングステン陽イオン濃度の1/3となるように、0.068MのAMTの第1の水溶液および0.272Mの硝酸セシウムの第2の水溶液を調製または提供する。
【0070】
第3の溶液は過飽和ホウ酸溶液であり、これは、いくつかの実施の形態において、脱イオン水にホウ酸水和物を加え、その混合物を撹拌しながら沸騰するまで加熱することによって、調製することができる。
【0071】
いくつかの実施の形態において(図7に示されていない)、ナノ多孔質ガラスを、ガラスセラミックを形成する前に洗浄してもよい。ガラスの試料(例えば、1mmのシート)を、最初に、周囲空気中において約550℃の温度にゆっくりと加熱して、水分と有機汚染物質を除去し、次いで、使える状態になるまで、約150℃で貯蔵状態にすることができる。
【0072】
そのナノ多孔質ガラスに、最初に、室温(約25℃)で第1のタングステン含有溶液中にガラスを浸漬することによって、タングステン溶液を浸透させる(工程120)。1つの非限定例において、そのナノ多孔質ガラスは、約1時間に亘り第1の溶液中に浸漬される。次に、そのガラス試料を第1の溶液から取り出し、約1分間に亘り脱イオン水中に浸し、約24から約72時間に及ぶ時間に亘り周囲空気中で乾燥させることができる。
【0073】
方法100の次の工程において、浸透させたナノ多孔質ガラス試料を流動酸素中で加熱して、メタタングステン酸アンモニウムを分解させ、WOを形成する(工程130)。このガラスを最初に、約1℃/分の速度で約225℃に加熱し、次いで、約2.5℃/分の速度で約225℃から約450℃に加熱し、その後、450℃で4時間保持し、次いで、毎分約5℃から約7℃の範囲の速度で約450℃から室温に冷却する。工程130は、いくつかの実施の形態において、上記熱処理の前に、約24時間までに亘り、約80℃でガラスを予熱する工程を含むことがある。
【0074】
工程130後、そのガラスを室温(約25℃)で第2の溶液中に浸漬して(工程140)、ガラスにM陽イオン溶液を浸透させる。工程140の前に、いくつかの実施の形態において、浸漬前に、約24時間までに亘り約80℃にガラスを予熱することが行われることがある。1つの非限定例において、そのナノ多孔質ガラスを約1時間に亘り第2の溶液中に浸漬する。次に、そのガラス試料を第2の溶液から取り出し、脱イオン水中に約1分間浸し、約24から約72時間に及ぶ時間に亘り周囲空気中で乾燥させることができる。
【0075】
工程140後、ナノ多孔質ガラス試料を加熱して、結晶質タングステンブロンズMWO相を形成する(工程150)。加熱工程150は、窒素雰囲気内において約1℃/分の速度(昇温速度)で約5℃から約200℃にガラスを最初に加熱し、その後、3%の水素および97%の窒素の雰囲気下において約3℃/分の速度で約200℃から約575℃に加熱し、575℃で1時間保持し、次いで、加熱工程が行われる炉を開放することによつて、そのガラスを約300℃に急激に冷やす。いくつかの実施の形態において、次に、試料を、不特定の時間に亘り周囲空気中に放置する。
【0076】
工程150後、ガラス試料を、過飽和ホウ酸溶液である第3の溶液中に浸漬する(工程160)。この第3の溶液は、工程160中、沸騰した状態に維持し、穏やかに撹拌する。いくつかの実施の形態において、そのガラス試料は、約30分間に亘り沸騰溶液中に浸漬する。その試料は、第3の溶液から取り出した後、いくつかの実施の形態において、脱イオン水で洗浄し、約24時間に亘り周囲空気中に放置する。次に、ガラスを窒素雰囲気下で加熱して、ガラスセラミックを形成し、固結させる(工程170)。そのガラスを、工程170において、最初に、約1℃/分の昇温速度で室温から約225℃に加熱し、その後、約5℃/分の速度で約225℃から約800℃に加熱する。そのガラスを約1時間に亘り800℃に保持し、次に、約10℃/分の速度で約800℃から室温に冷却する。
【0077】
別の態様において、希土類酸化物(REO)がドープされ、スペクトルのNIR領域に高い吸収を有するガラスが提供される。いくつかの実施の形態において、これらのガラスは、IRにおけるガラスの高い屈折率に寄与する。希土類酸化物ドーパントとしては、Sm、Pr、およびErが挙げられ、それは、ガラスの約12モル%までを占める。
【0078】
いくつかの実施の形態において、前記REOドープガラスは、AlとSiO、並びにSm、Pr、およびErの内の少なくとも1つを含むアルミノケイ酸塩ガラスであり、Sm+Pr+Er≦12モル%である。いくつかの実施の形態において、そのガラスは、少なくとも1種類のアルカリ土類酸化物およびBをさらに含む。そのガラスは、いくつかの実施の形態において、約1400nmと約1600nmとの間の波長で約30%未満の透過率を有する。アルミノケイ酸塩ガラスの組成の非限定例が、表Eに列挙されている。これらのガラスに測定された屈折率(RI)も、表Eに列挙されている。アルカリ土類改質剤を含有しない、ガラスA、BおよびCは、1650℃でさえ、注げないほど粘性が強かった。大量の(12モル%超)のアルカリ土類改質剤、並びにBを含有するガラスEおよびFは、1650℃で容易に注ぐことができた。スペクトルの可視およびNIR領域の両方に関するガラスEの分散および透過率パーセントが、それぞれ、図8および9にプロットされている。ガラスEは、赤外線(IR)領域における高い屈折率と、1550nmでの高い吸収の両方を示す。3~5モル%のPrを含有するこれらの組成物のUV-VIS-IRスペクトルが、図10にプロットされており、1550nmでのこれらのガラスの高い吸収を示す。
【0079】
【表7】
【0080】
いくつかの実施の形態において、前記REOドープガラスは、ZnO、Bi、B、並びにSm、Pr、およびErの内の少なくとも1つを含む亜鉛・ビスマス・ホウ酸塩ガラスであり、Sm+Pr+Er≦12モル%である。いくつかの実施の形態において、そのREOドープZn・Bi・ホウ酸塩ガラスは、NaOおよびTeOの少なくとも一方をさらに含む。これらのガラスは、いくつかの実施の形態において、約1400nmと約1600nmとの間の波長で約30%未満の透過率を有する。Zn・Bi・ホウ酸塩ガラスの組成の比限定例が、表Fに列挙されている。これらのガラスに測定された屈折率(RI)も表Fに列挙されている。
【0081】
【表8】
【0082】
典型的な実施の形態を説明目的のために述べてきたが、先の記載は、本開示の範囲または付随の特許請求の範囲に対する限定と考えるべきではない。したがって、付随の特許請求の範囲または本開示の精神および範囲から逸脱せずに、様々な改変、適用、および代替例が、当業者に想起されるであろう。
【0083】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0084】
実施形態1
ガラスセラミックにおいて、
ケイ酸塩ガラス相と、
ナノ粒子を含む、約0.1モル%から約10モル%の結晶質MWO相であって、式中、Mは、H、Li、Na、K、Rb、Cs、Ca、Sr、Ba、Zn、Cu、Ag、Sn、Cd、In、Tl、Pb、Bi、Th、La、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、およびUの少なくとも1つであり、0<x<1である、結晶質MWO相と、
を含むガラスセラミック。
【0085】
実施形態2
前記ガラスセラミックが、約400nmから約700nmの範囲の波長を有する光について、光の少なくとも1つの50nm幅の波長域に亘り少なくとも1%/mmの透過率を有する、実施形態1に記載のガラスセラミック。
【0086】
実施形態3
前記ガラスセラミックが、約370nm以下の波長を有する光について、1%/mm未満の透過率を有する、実施形態1に記載のガラスセラミック。
【0087】
実施形態4
前記ガラスセラミックが、約700nmから約2500nmの範囲の波長を有する光について、光の少なくとも1つの50nm幅の波長域に亘り5%/mm未満の透過率を有する、実施形態1に記載のガラスセラミック。
【0088】
実施形態5
前記ガラスセラミックが約200℃から約300℃の範囲の温度で加熱されたときに、約500nmと約2500nmとの間の該ガラスセラミックの透過率が、10%/mm未満しか変化しない、実施形態4に記載のガラスセラミック。
【0089】
実施形態6
前記ガラスセラミックがイオン交換可能である、実施形態1から5いずれか1つに記載のガラスセラミック。
【0090】
実施形態7
前記ガラスセラミックが、イオン交換可能されており、該ガラスセラミックの表面から該ガラスセラミック内の少なくとも約10μmの深さまで延在する圧縮層を有し、該圧縮層が、前記表面で少なくとも約100MPaかつ約1500MPa未満の圧縮応力を有する、実施形態1から6いずれか1つに記載のガラスセラミック。
【0091】
実施形態8
前記ガラスセラミックが、熱処理によって色褪せることができる、実施形態1から7いずれか1つに記載のガラスセラミック。
【0092】
実施形態9
前記ガラスセラミックが、0℃から約300℃に及ぶ温度で約75×10-7/℃以下の熱膨張係数を有する、実施形態1から8いずれか1つに記載のガラスセラミック。
【0093】
実施形態10
前記ケイ酸塩ガラス相がホウケイ酸ガラス相である、実施形態1から9いずれか1つに記載のガラスセラミック。
【0094】
実施形態11
前記ガラスセラミックが、約0.1モル%から約5モル%の結晶質MWO相を含む、実施形態1から10いずれか1つに記載のガラスセラミック。
【0095】
実施形態12
Mが少なくとも1種類のアルカリ金属である、実施形態1に記載のガラスセラミック。
【0096】
実施形態13
前記ガラスセラミックが、約56モル%から約78モル%のSiO;約8モル%から約27モル%のB;約0.5モル%から約14モル%のAl;0モル%超から約10モル%の、NaO、KO、CsO、およびRbOの少なくとも1つ;約1モル%から約10モル%のWO;および0モル%から約0.5のSnOを含む、実施形態12に記載のガラスセラミック。
【0097】
実施形態14
MがCsであり、前記ガラスセラミックが、0モル%超から約10モル%のCsOを含む、実施形態12に記載のガラスセラミック。
【0098】
実施形態15
-10モル%≦RO(モル%)-Al(モル%)≦0.1モル%であり、式中、ROは、NaO、KO、CsO、およびRbOの少なくとも1つである、実施形態12に記載のガラスセラミック。
【0099】
実施形態16
0<RO(モル%)/WO(モル%)≦2.61であり、式中、ROは、NaO、KO、CsO、およびRbOの少なくとも1つである、実施形態12に記載のガラスセラミック。
【0100】
実施形態17
0.66≦Al(モル%)/WO(モル%)≦6である、実施形態12に記載のガラスセラミック。
【0101】
実施形態18
1≦(RO(モル%)+Al(モル%))/WO(モル%)≦6であり、式中、ROは、NaO、KO、CsO、およびRbOの少なくとも1つである、実施形態12に記載のガラスセラミック。
【0102】
実施形態19
前記ガラスセラミックが、約0.5モル%までのMgO;約2モル%までのP;および約1モル%までのZnOの内の少なくとも1つをさらに含む、実施形態12に記載のガラスセラミック。
【0103】
実施形態20
前記ガラスセラミックが、約80モル%から約97モル%のSiO;0モル%から約5モル%のAl;0モル%超から約2モル%のCsO;および約0.2モル%から約2モル%のWOを含む、実施形態1に記載のガラスセラミック。
【0104】
実施形態21
前記結晶質MWO相が、複数の小板形状MWOナノ粒子および複数のMWOナノロッドの少なくとも一方を含む、実施形態1または20に記載のガラスセラミック。
【0105】
実施形態22
前記複数の小板形状MWOナノ粒子が、約10nmから5μmの範囲の平均直径を有する、実施形態21に記載のガラスセラミック。
【0106】
実施形態23
前記複数のMWOナノロッドが、約10nmから約1000nmの範囲の平均長さ、および約2nmから約75nmの範囲に及ぶ平均幅を有する、実施形態21または22に記載のガラスセラミック。
【0107】
実施形態24
前記複数のMWOナノロッドが、約10nmから約200nmの範囲の平均長さ、および約2nmから約30nmの範囲に及ぶ平均幅を有する、実施形態23に記載のガラスセラミック。
【0108】
実施形態25
前記ガラスセラミックが、熱シールド、光ファイバ、建築構成要素、自動車部品、または電子ディスプレイの筐体の少なくとも一部である、実施形態1から24いずれか1つに記載のガラスセラミック。
【0109】
実施形態26
ガラスセラミックにおいて、
ケイ酸塩ガラス相と、
ナノ粒子を含む、約0.1モル%から約10モル%の結晶質MWO相であって、Mは少なくとも1種類のアルカリ金属であり、0<x<1である、結晶質MWO相と、
を含むガラスセラミック。
【0110】
実施形態27
前記ガラスセラミックが、約0.1モル%から約5モル%の結晶質MWO相を含む、実施形態26に記載のガラスセラミック。
【0111】
実施形態28
前記ケイ酸塩ガラス相がホウケイ酸ガラス相である、実施形態26に記載のガラスセラミック。
【0112】
実施形態29
前記ガラスセラミックが、約56モル%から約78モル%のSiO;約9モル%から約27モル%のB;約0.5モル%から約14モル%のAl;0モル%超から約9モル%の、NaO、KO、CsO、およびRbOの少なくとも1つ;約1モル%から約10モル%のWO;および0モル%から約0.5のSnOを含む、実施形態26に記載のガラスセラミック。
【0113】
実施形態30
MがCsであり、前記ガラスセラミックが、0モル%超から約10モル%のCsOを含む、実施形態26に記載のガラスセラミック。
【0114】
実施形態31
-10モル%≦RO(モル%)-Al(モル%)≦0.1モル%であり、式中、ROは、NaO、KO、CsO、およびRbOの少なくとも1つである、実施形態26に記載のガラスセラミック。
【0115】
実施形態32
0<RO(モル%)/WO(モル%)≦2.61であり、式中、ROは、NaO、KO、CsO、およびRbOの少なくとも1つである、実施形態26に記載のガラスセラミック。
【0116】
実施形態33
0.66≦RO(モル%)/WO(モル%)≦6である、実施形態26に記載のガラスセラミック。
【0117】
実施形態34
前記ガラスセラミックが、約0.5モル%までのMgO;約2モル%までのP;および約1モル%までのZnOの内の少なくとも1つをさらに含む、実施形態26に記載のガラスセラミック。
【0118】
実施形態35
前記ガラスセラミックが、約400nmから約700nmの範囲の波長を有する光について、光の少なくとも1つの50nm幅の波長域に亘り少なくとも1%/mmの透過率を有する、実施形態26に記載のガラスセラミック。
【0119】
実施形態36
前記ガラスセラミックが、約370nm以下の波長を有する光について、1%/mm未満の透過率を有する、実施形態26に記載のガラスセラミック。
【0120】
実施形態37
前記ガラスセラミックが、約700nmから約2500nmの範囲の波長を有する光について、光の少なくとも1つの50nm幅の波長域に亘り5%/mm未満の透過率を有する、実施形態26から36いずれか1つに記載のガラスセラミック。
【0121】
実施形態38
前記ガラスセラミックが約200℃から約300℃の範囲の温度で加熱されたときに、約500nmと約2500nmとの間の該ガラスセラミックの透過率が、10%/mm未満しか変化しない、実施形態37に記載のガラスセラミック。
【0122】
実施形態39
前記ガラスセラミックがイオン交換可能である、実施形態26に記載のガラスセラミック。
【0123】
実施形態40
前記ガラスセラミックが、イオン交換可能されており、該ガラスセラミックの表面から該ガラスセラミック内の少なくとも約10μmの深さまで延在する圧縮層を有し、該圧縮層が、前記表面で少なくとも約100MPaかつ約1500MPa未満の圧縮応力を有する、実施形態39に記載のガラスセラミック。
【0124】
実施形態41
前記ガラスセラミックが、熱処理によって色褪せることができる、実施形態26に記載のガラスセラミック。
【0125】
実施形態42
前記ガラスセラミックが、水分および酸素を通さない、実施形態26に記載のガラスセラミック。
【0126】
実施形態43
MがCsを含み、前記ガラスセラミックが、約80モル%から約97モル%のSiO;0モル%から約5モル%のAl;0モル%超から約2モル%のCsO;および約0.2モル%から約2モル%のWOを含む、実施形態26に記載のガラスセラミック。
【0127】
実施形態44
前記結晶質MWO相が、複数の小板形状MWOナノ粒子および複数のMWOナノロッドの少なくとも一方を含む、実施形態26に記載のガラスセラミック。
【0128】
実施形態45
前記複数の小板形状MWOナノ粒子が、約10nmから5μmの範囲の平均直径を有する、実施形態44に記載のガラスセラミック。
【0129】
実施形態46
前記複数のMWOナノロッドが、約10nmから約1000nmの範囲の平均長さ、および約2nmから約75nmの範囲に及ぶ平均幅を有する、実施形態44に記載のガラスセラミック。
【0130】
実施形態47
前記複数のMWOナノロッドが、約10nmから約200nmの範囲の平均長さ、および約2nmから約30nmの範囲に及ぶ平均幅を有する、実施形態44または46に記載のガラスセラミック。
【0131】
実施形態48
前記ガラスセラミックが、熱シールド、光ファイバ、建築構成要素、自動車部品、または電子ディスプレイの保護要素の少なくとも一部である、実施形態26から47いずれか1つに記載のガラスセラミック。
【0132】
実施形態49
AlとSiO、並びにSm、Pr、およびErの内の少なくとも1つを含むアルミノケイ酸塩ガラスであって、Sm+Pr+Er≦12モル%であるアルミノケイ酸塩ガラス。
【0133】
実施形態50
少なくとも1種類のアルカリ土類酸化物およびBをさらに含む、実施形態49に記載のアルミノケイ酸塩ガラス。
【0134】
実施形態51
前記アルミノケイ酸塩ガラスが、約1400nmと約1600nmとの間の波長で約30%未満の透過率を有する、実施形態49または50に記載のアルミノケイ酸塩ガラス。
【0135】
実施形態52
ZnO、Bi、B、並びにSm、Pr、およびErの内の少なくとも1つを含む亜鉛・ビスマス・ホウ酸塩ガラスであって、Sm+Pr+Er≦12モル%である亜鉛・ビスマス・ホウ酸塩ガラス。
【0136】
実施形態53
NaOおよびTeOの少なくとも一方をさらに含む、実施形態52に記載の亜鉛・ビスマス・ホウ酸塩ガラス。
【0137】
実施形態54
前記亜鉛・ビスマス・ホウ酸塩ガラスが、約1400nmと約1600nmとの間の波長で約30%未満の透過率を有する、実施形態52または53に記載の亜鉛・ビスマス・ホウ酸塩ガラス。
図1
図2
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