(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】腸の健康を促す組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/7048 20060101AFI20240416BHJP
A61P 1/00 20060101ALI20240416BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240416BHJP
A23L 33/105 20160101ALI20240416BHJP
A23L 33/10 20160101ALI20240416BHJP
A61K 31/352 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
A61K31/7048
A61P1/00
A61P43/00 121
A23L33/105
A23L33/10
A61K31/352
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021189726
(22)【出願日】2021-11-22
(62)【分割の表示】P 2019545873の分割
【原出願日】2016-10-27
【審査請求日】2021-12-22
(73)【特許権者】
【識別番号】519159031
【氏名又は名称】エヌエスイー プロダクツ、インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100104411
【氏名又は名称】矢口 太郎
(72)【発明者】
【氏名】マスタラウディス、アンジェラ
(72)【発明者】
【氏名】ウッド、スティーブン エム.
(72)【発明者】
【氏名】へスター、シェリー
【審査官】松浦 安紀子
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-528925(JP,A)
【文献】特表2019-534331(JP,A)
【文献】Toxicology Letters,2016年10月25日,Vol. 264,pp. 51-58
【文献】日本調理科学会誌,2008年,Vol. 41, No. 3,pp. 167-175
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/352
A61P 1/00
A61P 43/00
A23L 33/105
A23L 33/10
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の消化管上皮細胞のTNFα誘導性透過を阻害するための薬物の製造における、
またはそれらの組み合わせから選択される化合物のグリコシド
の使用。
【請求項2】
請求項1記載の使用において、前記上皮細胞のTNFα誘導性透過を阻害することは、腸過透過性を抑制する、使用。
【請求項3】
請求項1記載の使用において、前記上皮細胞のTNFα誘導性透過を阻害することは、腸のdysbiosisを軽減する、使用。
【請求項4】
請求項1記載の使用において、前記上皮細胞のTNFα誘導性透過を阻害することは、便中カルプロテクチン値を低下させる、使用。
【請求項5】
請求項1記載の使用において、前記上皮細胞のTNFα誘導性透過を阻害することは、短鎖脂肪酸値を上昇させる、使用。
【請求項6】
請求項1記載の使用において、前記上皮細胞のTNFα誘導性透過を阻害することは、炎症、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、慢性腸疾患、セリアック病、クローン病、潰瘍性大腸炎、食物不耐症、消化不良、低レベルの慢性的腸炎、胃腸感染、またはそれらの組み合わせから選択される状態を改善する、使用。
【請求項7】
請求項6記載の使用において、前記炎症は
、前記炎症を含む状態のための前記薬物により最大73%軽減する、使用。
【請求項8】
請求項1記載の使用において、前記上皮細胞のTNFα誘導性透過を阻害することは、栄養素の吸収不十分、内毒血症、腸過透過性、またはそれらの組み合わせを改善する、使用。
【請求項9】
請求項1記載の使用において、前記上皮細胞のTNFα誘導性透過を阻害することは、肥満、肥満関連症状、アレルギー、心血管系の状態、I型糖尿病、II型糖尿病、関節リウマチ、インスリン抵抗性、癌、代謝症候群、喘息、神経変性疾患、またはそれらの組み合わせから選択される状態を改善する、使用。
【請求項10】
請求項9記載の使用において、前記心血管系の状態はHbA1c値の低下を有する、使用。
【請求項11】
請求項10記載の使用において、前記HbA1c値の低下が糖尿病前段階の値から正常値までである、使用。
【請求項12】
請求項10記載の使用において、前記心血管系の状態は血漿ゾヌリン値の低下を有する、使用。
【請求項13】
請求項1記載の使用において、前記上皮細胞のTNFα誘導性透過を阻害することは、I型糖尿病またはII型糖尿病を改善する、使用。
【請求項14】
請求項1記載の使用において、前記上皮細胞のTNFα誘導性透過を阻害することは、前記上皮細胞の経上皮電気抵抗を上昇させる、使用。
【請求項15】
請求項1記載の使用において、前記上皮細胞のTNFα誘導性透過を阻害することは、FITCデキストランの傍細胞輸送を亢進させる、使用。
【請求項16】
請求項1記載の使用において、前記上皮細胞のTNFα誘導性透過を阻害することは、シグナル伝達経路のNF-kB、ERK1/2、またはそれらの組み合わせと関連した状態または疾患を改善する、使用。
【請求項17】
請求項1記載の使用において、前記上皮細胞のTNFα誘導性透過を阻害することは、高脂肪で誘導される腸の透過性亢進を軽減する、使用。
【請求項18】
請求項1記載の使用において、前記上皮細胞はCaco-2細胞単層を有する、使用。
【請求項19】
シアニジングリコシドとデルフィニジングリコシドの治療上有効な組み合わせを有する、消化管上皮細胞のTNFα誘導性透過を阻害することにおいて使用するための組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の研究の一部は、米国食品農業研究所(National Institute of Food and Agriculture)が授与する助成金のもと、政府の支援を受けて行われた。政府は本発明に対して一定の権利を有する。
【背景技術】
【0002】
胃腸系は組織、臓器、宿主細胞、および細菌細胞の複雑なネットワークである。加齢、食事、薬物、腸管微生物叢の破壊、および個人の生活様式の条件はこのネットワークに悪影響を及ぼす可能性がある。これらの影響には、腸微生物叢バランスの破壊、胃腸組織の炎症増加、および胃腸系の上皮細胞バリアの崩壊が含まれる可能性がある。これらの影響は、最終的に全身組織に至る可能性がある。腸の健康を促し、回復する製剤と方法は利益を提供する可能性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の特徴および利点は、添付の図と併せて本発明の特徴を説明する、以下の詳細な説明から明らかとなる。前記図は、ただ典型的な実施形態と結果を示しているだけであるため、範囲を制限するものとは考えられないことは理解される。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1】
図1は、ヒトの消化管および関連構造を概略的に示している。
【
図2】
図2は、腸を裏打ちする小腸および上皮細胞層を概略的に示している。
【
図3】
図3は、上皮細胞のタイトジャンクションおよび前記タイトジャンクションバリアが崩壊した場合に全身に及ぶ影響を概略的に示している。
【
図4】
図4は、腸の上皮細胞層、タイトジャンクション、傍細胞経路、および細胞間経路を概略的に示している。
【
図5】
図5は、シアニジンの化学構造を概略的に示している。
【
図6】
図6は、デルフィニジンの化学構造を概略的に示している。
【
図7】
図7は、ペツニジンの化学構造を概略的に示している。
【
図8】
図8は、ペオニジンの化学構造を概略的に示している。
【
図9】
図9は、マルビジンの化学構造を概略的に示している。
【
図10】
図10は、本開示の一実施例に沿った経上皮電気抵抗(TEER)法を概略的に示している。
【
図11】
図11は、本開示の一実施例に沿った様々な抽出物のTEER抵抗を概略的に示している。
【
図12】
図12は、本開示の一実施例に沿った様々な抽出物の傍細胞輸送を概略的に示している。
【
図13】
図13は、本開示の一実施例に沿った様々な抽出物のTEER抵抗を概略的に示している。
【
図14】
図14は、本開示の一実施例に沿った様々な抽出物のPCP FITC-デキストランを概略的に示している。
【
図15】
図15は、本開示の一実施例に沿った様々なシアニジンのTEER抵抗を概略的に示している。
【
図16】
図16は、本開示の一実施例に沿った様々なデルフィニジンのTEER抵抗を概略的に示している。
【
図17】
図17および18は、本開示の一実施例に沿ったエピカテキンのTEER抵抗を概略的に示している。
【
図18】
図17および18は、本開示の一実施例に沿ったエピカテキンのTEER抵抗を概略的に示している。
【
図19】
図19は、本開示の一実施例に沿ったカテキンのTEER抵抗を概略的に示している。
【
図20】
図20は、本開示の一実施例に沿った総カテキンのTEER抵抗を概略的に示している。
【
図21】
図21は、本明細書に提示された一実施例に沿った、異なる食餌を摂取したマウスの平均結腸長を概略的に示している。
【
図22】
図22は、本明細書に提示された一実施例に沿った、異なる食餌を摂取したマウスの平均結腸重量を概略的に示している。
【
図23】
図23は、本明細書に提示された一実施例に沿った、異なる食餌を摂取したマウスの平均結腸重量/長を概略的に示している。
【
図24】
図24は、本明細書に提示された一実施例に沿った、異なる食餌を摂取したマウスの体重増加およびFITCデキストランの透過性を概略的に示している。
【
図25】
図25は、本明細書に提示された一実施例に沿った、異なる食餌を摂取したマウスのFITC-DX傍細胞輸送を概略的に示している。
【
図26】
図26は、本明細書に提示された一実施例に沿った、異なる食餌を摂取したマウスで測定されるエンドトキシン濃度を概略的に示している。
【
図27】
図27は、本明細書に提示された一実施例に沿った、異なる食餌を摂取したマウスで測定されるGTT(AUC)濃度を概略的に示している。
【
図28】
図28は、本明細書に提示された一実施例に沿った、異なる食餌を摂取したマウスで測定されるITT(AUC)濃度を概略的に示している。
【
図29】
図29は、本明細書に提示された一実施例に沿って測定されるエンドトキシンおよびグルコース負荷試験濃度を概略的に示している。
【
図30】
図30は、本明細書に提示された一実施例に沿って測定されるエンドトキシンおよび絶食時インスリン濃度を概略的に示している。
【
図31】
図31は、本明細書に提示された一実施例に沿って測定されるエンドトキシンおよびIL-6試験濃度を概略的に示している。
【
図32】
図32は、本明細書に提示された一実施例に沿って測定されるエンドトキシンおよびIL-1β濃度を概略的に示している。
【
図33】
図33は、本明細書に提示された一実施例に沿って測定されるエンドトキシンおよびIL-1α試験濃度を概略的に示している。
【
図34】
図34は、本明細書に提示された一実施例に沿った、異なる食餌を摂取したマウスで測定されるHOMA-IR濃度を概略的に示している。
【
図35】
図35は、本明細書に提示された一実施例に沿った、異なる食餌を摂取したマウスで測定されるアディポネクチン濃度を概略的に示している。
【
図36】
図36は、本明細書に提示された一実施例に沿った、異なる食餌を摂取したマウスで測定されるレプチン濃度を概略的に示している。
【
図37】
図37および38は、本明細書に提示された一実施例に沿った、異なる食餌を摂取したマウスで測定されるトリグリセリド濃度を概略的に示している。
【
図38】
図37および38は、本明細書に提示された一実施例に沿った、異なる食餌を摂取したマウスで測定されるトリグリセリド濃度を概略的に示している。
【
図39】
図39および40は、本明細書に提示された一実施例に沿った、異なる食餌を摂取したマウスで測定されるコレステロール濃度を概略的に示している。
【
図40】
図39および40は、本明細書に提示された一実施例に沿った、異なる食餌を摂取したマウスで測定されるコレステロール濃度を概略的に示している。
【
図41】
図41は、本明細書に提示された一実施例に沿った、異なる食餌を摂取したマウスで測定される肝トリグリセリド濃度を概略的に示している。
【
図42】
図42は、本明細書に提示された一実施例に沿って安楽死させる前に異なる食餌を与えたマウスから摘出したマウス肝臓を写真により示している。
【
図43】
図43は、本明細書に提示された一実施例に沿った、異なる食餌を摂取したマウスのマウス糞を写真により示している。
【
図44】
図44は、本明細書に提示される組成物を補充後の腸マイクロバイオームの平均フィルミクテス:バクテロイデス比を図示している。
【
図45】
図45は、本明細書に提示される組成物を補充後のカルプロテクチン濃度を図示している。
【
図46】
図46は、本明細書に提示される組成物を補充後のベースラインのBSSスコアおよび便通の変化を図示している。
【
図47】
図47は、本明細書に提示される組成物を補充後の腹部膨満、腹痛、および放屁のベースラインスコアの変化を図示している。
【発明を実施するための形態】
【0005】
発明の実施形態を開示および説明する前に、本明細書に開示される特定の構造、工程、または材料に制限する意図はないが、関連分野の通常の当業者が認識するとおり、その同等物も含むことは理解されるものとする。本明細書で使用される専門用語は特定の実施形態のみを説明するために使用されるもので、制限する意図はないことも理解される。それ以外に指定のない限り、本明細書で使用されるすべての技術的および科学的用語は、本開示が属する分野の当業者の1人に一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書および添付の請求項で使用するとおり、単数形には、内容で明らかにそうでないことを示していない限り、複数の言及も含む。
【0006】
この説明に使用されるとおり、単数系の「a」、「an」、および「the」は、内容が明らかにそうでないことを示していない限り、とりわけ複数の言及への支持を表明する。例えば、「プレバイオティックファイバー」は、1若しくはそれ以上のプレバイオティックファイバーを支持する。
【0007】
本明細書で使用する「約」の用語は、ある程度の逸脱を指す。これは、おおよそ、付近、おおざっぱに、または前後を意味する。「約」の用語が数値域と併せて使用される場合、これは示された数値のわずかに上下となる境界を超えることで、この範囲を修飾する。「約」の用語と併せて使用される数値の本明細書における支持は、「約」が使用されなかったかのように正確な数値にも提供されることは理解される。
【0008】
濃度、量、および他の数値データは、本明細書では範囲の形式で表現または提示されてもよい。そのような範囲形式は単に簡便に、また簡潔にするために使用されるものであるため、範囲の限界値または終点として明記された数値だけでなく、(一部分を含む)各数値および部分的範囲が明記されているものとして、その範囲内に含まれるすべての個々の数値および/または部分的範囲を含むことは理解されるものとする。説明として、「約1~約5g」の数値範囲は、約1g~約5gの明記された値だけでなく、前記示された範囲内の個々の値および部分的範囲を含むものと解釈する必要がある。したがって、実施例のこの数値範囲に含まれるものとして、2、2.6、3、3.8、および4などの個々の数値、および1~3、2~4、および3~5などの部分的範囲、また個別に1、2、3、4、および5がある。
【0009】
本明細書に使用されるとおり、「濃縮物」は、その原料自体よりも少量で活性分画、化合物、または他の構成要素を少なくとも同量含む原料抽出物を指す。一実施例では、「濃縮物」を、濃縮プロセス中にいずれの溶媒の使用も含まない成分に由来する乾燥粉末であってもよい。
【0010】
「より効率的」、「以上」、「改良型」、「強化型」などの比較用語は、比較するものよりもある程度まで良好またはより肯定的な結果を有する製剤またはプロセスで達成される結果、または存在する性質を記述するために使用することができる。場合によっては、先行技術または製剤投与前の性質の状態またはより肯定的な転帰となる方法と比較してもよい。
【0011】
本明細書に用いるとおり、「有する」、「有している」、「含有している」、および「保持している」などは米国特許法で割り当てられた意味を有することができ、「含む」、「含んでいる」などを意味することができ、一般に制約のない用語と解釈される。「~成っている」または「~成る」の用語は制限のある用語であり、かかる用語と同時に具体的に列挙され、米国特許法に従う成分、構造、工程などのみを含む。「基本的に~成っている」または「基本的に~成る」は、米国特許法により一般に帰する意味を有する。特に、そのような用語は一般に制限のある用語であるが、これと関連して使用される項目の基本的および新規の特徴または機能に物質的に影響しない追加項目、材料、成分、工程、または元素を含める場合は除く。例えば、微量元素は組成物中に存在するが、そのような専門用語に続く項目リストで明確に列挙されていない場合でも、前記組成物の性質または特徴は「基本的に~成る」の言語下に存在する場合は許容される。「有している」または「含んでいる」など、記述に制限のない用語で使用する場合、明示的に記載されているおよび逆の場合、「基本的に~成る」の言語および「~成る」の言語に直接的支持を与える必要があることも理解される。
【0012】
「投与単位」の用語は、被験者または患者に投与することができ、治療効果を達成する、またはこれに貢献するために十分な活性薬物の量を提供する組成物の一単位を意味するものと理解される。一部の実施形態では、「投与単位」は単位であり、容易に取り扱いおよび包装でき、前記活性成分をそれ自体または薬学的な固体または液体媒体とその混合物として有する物理的および化学的に安定な単位用量であり続ける。さらに、「投与量」および「用量」はそのような投与単位を指すことができる。代わりに、「投与量」または「用量」は、単一の時点で被験者に投与される、望みの量の活性薬物をまとめて提供する複数の投与単位を含むことができる。複数の用量または投与量は、投与方法を確立するため、スケジュールに沿って利用することができる。
【0013】
活性成分の「有効量」、「治療有効量」、または「治療有効率」の表現は、前記活性薬物が送達される疾患または病態の治療結果において治療結果を達成するため、活性成分の非毒性であるが、十分な量または送達速度を指す。様々な生物学的因子が、物質が意図する作業を実行する能力に影響する可能性があることは理解される。したがって、「有効量」、「治療有効量」、または「治療有効率」は、場合によっては、そのような生物学的因子に依存する。さらに、治療効果の達成は医師または他の有資格医療スタッフが当該分野で既知の評価により測定してもよいが、治療に対する個人の変動および反応は治療効果の達成を主観的判断としてもよいと認識されている。治療有効量または送達率の決定は、薬学および医学分野の当業者に周知である。
【0014】
「抽出物」の用語は、溶媒、例えば、エタノール、水、蒸気、過熱水、メタノール、ヘキサン、クロロホルム液、液体CO2、液体N2、プロパン、超臨界CO2、またはそのいずれかの組み合わせにより調製された物質を指す。本明細書に用いるとおり、抽出物は液体形態の抽出物を指すことができ、または乾燥粉末または他の固体形態など、前記液体形態をさらに処理することで得られた生成物を指すこともできる。抽出物は、これに限定されるものではないが、固体、液体、粒子、細断物、留出物などを含む多くの形態をとることができ、切断、粉砕、微粉砕、煮沸、蒸気処理、浸水、浸漬、注入、ガス注入など、多数の手技またはプロトコールにより行うことができ、水、アルコール、蒸気、または他の有機材料など、適切な試薬を利用してもよい。抽出物は、典型的には特定の純度パーセンテージを有し、比較的高純度である可能性がある。一部の実施形態では、抽出物が、植物の外皮、パルプ、葉、花、果実、穀粒、種子などの原料の特定部分からできた植物抽出物(phytoextract)である可能性があり、または原料全体からできている可能性もある。一部の態様では、抽出物が1若しくはそれ以上の活性分画または活性薬物を含んでもよい。一部の態様では、複数の抽出物が抽出プロセスまたはプロトコールの分画により制御することができ、または抽出プロセスまたはプロトコールの関数とすることができる。
【0015】
本明細書に用いるとおり、「製剤」および「組成物」は同義的に使用され、少なくとも2つの成分の組み合わせを指すことができる。一部の実施形態では、少なくとも1つの成分が実薬であるか、そうでない場合は、被験者に投与したときに生理活性を示す特性を有してもよい。
【0016】
本明細書に含まれるまたは引用される製剤または組成成分は、それ以外に具体的な記載がない限り、wt%と推測される。さらに、比率の形態で提示される成分の量は、wt%(例えば、%w/w)の比率であると推測される。
【0017】
「腸過透過性」の表現は、胃腸系の通常の透過性よりも高い(すなわち、平均的な被験者の透過性よりも高い)ことを指し、場合によっては、胃、小腸、および/または大腸の透過性上昇を指すことができる。
【0018】
本明細書に用いるとおり、「線形抑制効果」または「用量反応」は、用量反応曲線ですべての濃度の抑制材料から得られる分泌または生合成の線形減少を指す。例えば、低濃度で抑制した後、高濃度で分泌の抑制失敗または増加となった場合は、線形抑制効果がないことを表す。
【0019】
「または」の用語は、「および/または」の「包括的」意味で使用され、「どちらか/または」の「排他的」意味ではない。
【0020】
本明細書に使用されるとおり、「薬学的に許容される」は一般的に材料を指し、活性薬物または成分と併せて被験者に投与するために適している。例えば、「薬学的に許容される担体」は、活性薬物と適切に併用することができる物質または材料であり、被験者への投与に適した組成物または製剤を提供することができる。被験者に投与される製剤または組成物で使用される、またはそれを調製するために使用される賦形剤、希釈剤、およびその他の成分は、そのような用語で使用することができる。
【0021】
「予防する」の用語およびその変化形は、特定の望ましくない生理的状態に対する予防を指す。前記予防法は部分的であっても、完全であってもよい。部分的予防法では、生理的状態の発症が遅延してもよい。個々の当業者は、生理的状態の発症遅延が望ましいことを認識しており、これらの状態の発症を遅延させるため、特定の生理的状態のリスクがある被験者に本発明の組成物が投与されることを知るだろう。例えば、当業者は、肥満の被験者で冠動脈疾患のリスクが高くなっていることを認識するだろう。したがって、当業者は肥満者の腸微生物叢を改善するため、本発明の組成物を投与するだろう。
【0022】
本明細書に用いるとおり、「被験者」は投与される個人をさす。一態様では、被験者は哺乳類とすることができる。別の態様では、被験者はヒトとすることができる。別の態様では、前記被験者は家畜または家畜類とすることができる。
【0023】
本明細書に用いるとおり、「実質的」または「実質的に」は、その組成物の材料、効果、または具体的特徴の量を参照して使用される場合、前記材料または前記材料の特徴を提供することが意図された効果を提供するために十分な量を指す。許容できる逸脱の正確な程度は、一部の症例では、具体的な内容による。同様に、「実質的に含まない」などは、組成物の同定された要素または薬物がないことを指す。特に、「実質的に含まない」ものと特定される要素は、前記組成物に完全にない、または前記組成物に測定可能な効果を有さない程度の少量でしか含まれない。
【0024】
本明細書に用いるとおり、「重要ではない」または「臨床的に重要ではない」の用語は、被験者に組成物を投与する効果の程度を指す。例えば、前記結果の程度が前記被験者で臨床的変化を生じない場合、前記結果は臨床的に重要ではない。
【0025】
「治療する」、「治療している」、または「治療」の用語は、本明細書に用いるとおり、また当該分野で十分理解されるとおり、これに限定されるものではないが、治療される被験者における臨床結果を含む、有益または望みの結果を得るためのアプローチを意味する。有益または望みの結果には、これに限定されるものではないが、検出可能であるか否かによらず、病態の1若しくはそれ以上の徴候または症状の軽減または回復、疾患程度の縮小、疾患または病態の状態安定化(すなわち、悪化していない)、疾患進行の遅延または鈍化、前記疾患状態の回復または寛解、疾患再発の減少、および(部分または完全)寛解を含むことができる。「治療する」、「治療している」、および「治療」は、治療を受けていない場合に予想される生存期間と比較し、生存期間が延長したことを意味することもでき、予防的である可能性もある。そのような予防的治療は、疾患または病態の予防または予防法として言及することもできる。前記予防法は部分的であっても、完全であってもよい。部分的予防法では、生理的状態の発症が遅延してもよい。
【0026】
本明細書に用いるとおり、「溶媒」の用語は、植物製剤の抽出固体材料に必要な特徴を有する、ガス状、水性、または有機性の液体を指す。溶媒の例には、これに限定されるものではないが、水、水蒸気、過熱水、メタノール、エタノール、酢酸エチル、ヘキサン、クロロホルム、液体CO2、液体N2、プロパン、またはそのような材料のいずれかの組み合わせを含む。
【0027】
本明細書に用いるとおり、便宜上、共通のリストには複数の品目、構造要素、組成要素、および/または材料が存在してもよい。ただし、これらのリストはリストの各数が別個および独特の数として個別に同定されるものと解釈する必要がある。したがって、そのようなリストの個々の内容は、共通の群の提示に基づき、同じリストの他の内容と事実上同等であると解釈すべきではなく、それと反対を示すこともない。
【0028】
他に記載がない限り、すべての方法またはプロセスの請求で列挙された工程は、いかなる順番で実行されてもよく、前記請求項で提示された順番に限定されない。
【0029】
前記胃腸系は、食物の消化およびエネルギーと栄養素の吸収に関与する、連結した関連構造の管である。前記胃腸系は
図1に示し、口から肛門までのすべての構造から成る。前記胃腸系全体の長さは約9メートルであり、上部消化管と下部消化管に分けることができる。前記下部消化管には小腸と大腸を含む。前記小腸の長さは約20フィート(6.1メートル)であり、絨毛と呼ばれる突起様の指を含む高度に折り畳まれた構造を有する。前記絨毛内には上皮細胞の単層と毛細血管層がある。前記小腸の主な機能は消化産物を吸収することである。栄養素は上皮細胞層を通過し、その下の毛細血管に入る。これらの栄養素は最終的により大きな血管に入り、肝臓に移動して、ここで体内に放出するための処理および制御を受ける。前記大腸の長さは約3フィート(91センチメートル)であり、小腸で消化されなかった固体物質を収集し、水を吸収するために利用される。前記大腸はビタミンを合成する細菌が寄生する。
【0030】
すでに述べたとおり、前記小腸は上皮細胞の単層で構成されるバリアを有する。前記上皮細胞はタイトジャンクションで密閉される。前記タイトジャンクションは、水およびイオンの傍細胞輸送および細胞間経路を制御することで腸の透過性を調節することができる。
図3を参照。栄養素の吸収への関与に加え、この細胞層は粘膜の免疫ホメオスタシス維持、炎症予防にも関与し、慢性炎症を開始することができる有害細菌/細菌毒素および/または他の抗原の侵入を防御する第一線を構成する。この細胞層を通過するすべての細菌、細菌毒素、抗原、水、およびイオンは血流に入り、他の臓器に影響する可能性があり、個体全体に全身作用を有する可能性がある。
図4を参照。激しい運動、高脂肪食、および過剰栄養などの生活様式および食事の要因も腸の透過性に影響する可能性があり、タイトジャンクションおよび血液循環への毒素透過性の上昇に関与している可能性がある。
【0031】
前記タイトジャンクションの崩壊によりタイトジャンクションのバリアが漏れやすくなり、腸の透過性上昇につながる可能性がある。透過性の上昇は、いくつかの炎症の病態生理および肥満関連の病態で重要な因子である可能性がある。低レベルの慢性炎症は腸のバリア透過性上昇に負の影響を及ぼす可能性がある。
【0032】
腫瘍壊死因子α(TNFα)も中枢の基礎メディエーターとなりうる。TNFαはアポトーシスを誘導するが、これらの分布の変化はバリア透過性上昇および特定のタイトジャンクションタンパク質発現を促す能力によって起こる。最終的に、TNFαはタイトジャンクションバリアの機能不全促進にも関与する可能性がある。タイトジャンクション機能の喪失および腸の透過性上昇は、アレルギーの病態(例えば、セリアック病)、炎症性腸疾患(クローン病および潰瘍性大腸炎)、食物不耐症、消化不良、低レベルの慢性腸炎(例えば、肥満およびI型およびII型糖尿病関連の炎症)、インスリン抵抗性、自閉症、多発性硬化症、栄養不良、代謝症候群、癌、喘息、アトピー、および関節リウマチに寄与する可能性がある。
【0033】
個人の胃腸系の健康における別の要因は、腸の微生物叢である。前記微生物叢は、個人の健康および生理機能に影響する、細菌、古細菌、ウイルス、真核生物の複雑なネットワークである。前記胃腸微生物叢は、微生物数がおよそ3.9x1013に達すると推定された。個人の微生物叢の組成は、数、多様性、組織像、および活性が大きく変化する可能性がある。前記腸微生物叢の豊かさおよび多様性は、抗生剤、年齢、食事、民族性、地理的な位置、身体的ストレス、精神的ストレス、および性別の影響を大きく受けることが示された。
【0034】
前記腸微生物叢の変化は、エンドトキシン産生を増加させる可能性がある。有益な細菌が少なく、その多様性が少なく、有益細菌数が多く、その多様性が高い微生物叢は、加齢および/または肥満または高脂肪食などの促進老化と関連した状態で発生する可能性がある。微生物叢の平衡異常により、消化管上皮の炎症が増加、腸細胞壁の整合性が変化する可能性があり、腸透過性が上昇する可能性がある。これらの変化は消化管感染、喘息/アトピー、肥満、代謝症候群、癌、関節リウマチ、クローン病、および潰瘍性大腸炎の発症に貢献する可能性がある。対照的に、バランスの取れた多様な微生物叢は、感染への抵抗性を提供し、健康な加齢を可能とし、腸疾患を予防し、多価フェノールの代謝に貢献し、吸収性生理活性物質を生じる可能性がある。前記腸微生物叢は、代謝、免疫発達、内分泌シグナル伝達、および神経学的シグナル伝達にも関与する可能性がある。
【0035】
フラボノイドは、腸のバリア透過性上昇の予防および改善に重要な役割を果たす可能性がある。前記腸微生物叢は、フラボノイド放出吸収性生理活性物質を代謝することができる。これらの生理活性物質は、栄養バランスを維持および/または回復することができる。したがって、フラボノイドは炎症を抑制し、シグナル伝達カスケードの選択を調節し、細胞の酸化還元状態を制御する能力を有する。しかし、異なる化学的/空間的構造を有する多数の既存のフラボノイド、および前記微生物叢により大腸で生成した複数の代謝物は、クラスとしてのフラボノイドの健康利益および作用機序を単純に一般化できなくする。
【0036】
アントシアニン(AC)は主要フラボノイド亜群の1つであり、多くの果物および野菜(例えば、ベリー類、レッドキャベツ、黒米)に存在し、色を提供する。異なる数種類のACが存在し、ヒドロキシル基の数および置換、結合した糖構造、カルボン酸塩のタイプ、および糖への結合が異なる。異なるクラスのアントシアニンの一部には、シアニジン、デルフィニジン、ペオニジン、ペツニジン、およびマルビジンを含む。
【0037】
最新の根拠は、消化管全長にわたり、親化合物ACが存在することを示している。結腸では、ACが腸の微生物により数種類の代謝物に代謝される可能性がある。そのため、理論的には、小腸、それよりも少ないが大腸は、食事からの大量の親化合物ACに曝露する可能性がある。胃腸系に対して食事のACは利益がある可能性があるが、腸の透過性が上昇した状態での詳細はほとんど分かっていない。ACは直接的および間接的効果により消化管で有益な作用を発揮することができる。間接的効果はACが前記微生物叢を調節する可能性があるという能力に関連し、微生物叢を介したAC代謝に影響する。「より健康な」微生物叢と特定の活性代謝物の形成両方が腸の健康に対するACの間接的効果に介在し、全身作用につながる可能性がある。
【0038】
本発明の特定の実施形態を以下に詳細に参照する。本発明はこれらの特定の実施形態と併せて説明されるが、本発明をそのような特定の実施形態に制限する意図はないことは理解される。これに反して、添付の請求項で定義されるとおり、本発明の精神と範囲内に含まれるため、他の形態、変更形態、および同等の形態も網羅することは意図される。以下の説明では、本発明を十分に理解するため、多数の具体的な詳細が示される。本発明は、これらの具体的詳細の一部またはすべてがなくても実行可能である。他の場合、周知のプロセス操作は、本発明を不必要に分かりにくくしないように、詳細には説明しなかった。
【0039】
本開示は、被験者の腸の健康を改善する組成物および方法に関する。一実施例では、腸の健康を促す組成物が紹介される。前記組成物には、腸過透過性を治療するのに十分な量で、シアニジンおよびデルフィニジン(アントシアニンのクラス)を併用して含むことができる。一実施例では、前記シアニジンおよび前記デルフィニジンは、腸上皮細胞のタイトジャンクションの整合性を維持する量で集合的に存在することができる。別の実施例では、前記シアニジンおよび前記デルフィニジンは、腸上皮細胞のタイトジャンクションの整合性成を回復する量で集合的に存在することができる。
【0040】
シアニジンおよびデルフィニジンは、経上皮電気抵抗(TEER)の単層透過性の喪失、およびFITC-デキストランの傍細胞輸送亢進など、TNFαに対して腸上皮細胞を保護することができる。対照的に、マルビジン、ペオニジン、およびペツニジンは、TNFαが誘導するTEER透過性に対して、腸上皮細胞への保護作用を提供しないと考えられ、FITC-デキストランの傍細胞輸送を亢進しないと考えられる。理論に縛られることはないが、前記シアニジンおよびデルフィニジンの保護効果は、前記シアニジンおよびデルフィニジンのB環にカテコール基があるためと考えられる。本発明者が検討した、B環を組み込まなかったアントシアニンは、これらの保護効果を示さなかった。一実施例では、この活性は選択的とすることができる。別の実施例では、前記保護機能は用量依存的とすることができる。
【0041】
別の実施例では、本開示が、前記被験者の消化管上皮細胞のタイトジャンクションの整合性を最大限とすることを有する、被験者の胃腸の健康と関連した状態または疾患を治療する方法を提供する。別の実施例では、被験者の消化管上皮細胞のタイトジャンクションの整合性を最大限とする方法が提示される。さらに別の実施例では、本開示が腸過透過性を治療する方法を提供する。一部の実施例では、これらの方法が(i)前記胃腸系の健康な微生物叢を維持および/または作成する、(ii)前記胃腸系内の炎症バランスを維持および/または作成する、および/または(iii)腸の細胞バリアの整合性を維持および/または作成することを標的とすることができる。
【0042】
一部の実施形態では、腸の健康を促進する組成物がシアニジン、デルフィニジン、またはそれらの組み合わせを含むことができ、一部の実施形態では、これらの薬物が治療有効量で存在することができる。一実施例では、前記組成物に、腸過透過性を治療するのに十分な量で、シアニジンおよびデルフィニジンを併用して含むことができる。一実施例では、前記シアニジンおよびデルフィニジンは、腸透過性を維持する量で集合的に存在することができる。別の実施例では、前記シアニジンおよび前記デルフィニジンは、腸過透過性を抑制する量で集合的に存在することができる。さらに別の実施例では、前記シアニジンおよびデルフィニジンは、前記微生物叢に影響することができ、抗炎症性を提供することができる。
【0043】
シアニジンおよびデルフィニジンの量は前記組成物で変化する可能性がある。一実施例では、前記シアニジンおよび前記デルフィニジンが個別または集合的に、前記組成物の約5wt%~約50wt%であるか、または前記組成物の活性分画とすることができる。別の実施例では、前記シアニジンおよび前記デルフィニジンが個別または集合的に、前記組成物の約12wt%~約45wt%であるか、または前記組成物の活性分画とすることができる。さらに別の実施例では、前記シアニジンおよびデルフィニジンが個別または集合的に、前記組成物の約12wt%~約25wt%であるか、または前記組成物の活性分画とすることができる。
【0044】
前記シアニジンおよびデルフィニジンは様々な原料に由来することができる。一実施例では、前記シアニジンおよび前記デルフィニジンの少なくとも1つの原料が黒米成分、ブルーベリー成分、クロスグリ成分、クロウベリー成分、ビルベリー成分、ブラックチョークベリー成分、またはそれらの組み合わせに由来することができる。別の実施例では、前記シアニジンおよび前記デルフィニジンの原料が前記黒米成分、前記ブルーベリー成分、および前記クロスグリ成分に由来することができる。さらに別の実施例では、前記シアニジンおよび前記デルフィニジンの原料が前記黒米成分および前記ビルベリー成分に由来することができる。さらなる実施例では、前記シアニジンおよび前記デルフィニジンの原料が前記クロスグリ成分および前記ブルーベリー成分に由来することができる。別の実施例では、前記シアニジンおよびデルフィニジンを人工的に作成または合成することができる(例えば、「合成品」)。
【0045】
一実施例では、前記組成物が黒米成分を含むことができる。前記黒米成分は黒米の穀粒、黒米濃縮物、黒米抽出物、黒米粉末、またはそれらの組み合わせに由来する可能性がある。一実施例では、前記黒米成分を黒米抽出物とすることができる。例えば、米抽出液は、黒米の穀粒を濃縮し、樹脂の吸着(クロマトグラフィーカラム)により濃縮した黒米穀粒を通すことで得られる。一実施例では、前記溶媒は水およびエタノールとすることができる。一実施例では、前記カラムは70wt%エタノールおよび30wt%水溶液で溶出することができる。別の実施例では、前記カラムは75wt%エタノールおよび25wt%水溶液で溶出することができる。前記溶出剤は、乾燥および包装した濃縮抽出液に濃縮することができる。別の実施例では、前記黒米抽出物が黒米穀粒に由来することができる。一実施例では、前記黒米がOryza sativa Lに由来することができる。
【0046】
一実施例では、前記黒米抽出物が、前記組成物の約2.5wt%~約20wt%を構成するか、または前記組成物の活性分画とすることができる。別の実施例では、前記黒米成分が、前記組成物の約10wt%~約15wt%を構成するか、または前記組成物の活性分画とすることができる。さらなる実施例では、前記黒米抽出物が、前記組成物の約2.5wt%~約5wt%を構成するか、または前記組成物の活性分画とすることができる。さらに別の実施例では、前記黒米抽出物が、前記組成物の約2.5wt%~約7.5wt%を構成するか、または前記組成物の活性分画とすることができる。
【0047】
一実施例では、前記黒米成分が標準化されたアントシアニン含有量を有することができる。一実施例では、前記黒米成分が、約10wt%~約30wt%の標準化されたアントシアニン含有量を有することができる。別の実施例では、前記黒米成分が約20wt%の標準化されたアントシアニン含有量を有することができる。さらなる実施例では、前記黒米成分が約25wt%の標準化されたアントシアニン含有量を有することができる。一実施例では、前記標準的なアントシアニン含有量をHPLCにより測定することができる。別の実施例では、前記標準的なアントシアニン含有量をUVにより測定することができる。
【0048】
別の実施例では、前記組成物が前記ブルーベリー成分を含むことができる。前記ブルーベリー成分は、ブルーベリー果実、ブルーベリー抽出物、ブルーベリー濃縮液、ブルーベリージュース、ブルーベリー粉末、またはそれらの組み合わせから成る群から選択される成分を含むことができる。一実施例では、前記ブルーベリー成分がブルーベリー粉末である可能性がある。別の実施例では、前記ブルーベリー成分がブルーベリージュースである可能性がある。さらに別の実施例では、前記ブルーベリー成分がブルーベリージュース由来のブルーベリー粉末である可能性がある。さらなる実施例では、前記ブルーベリー成分がブルーベリー抽出物である可能性がある。例えば、ブルーベリー果実抽出物は、ブルーベリー果実を水で抽出することで得ることができる。前記抽出物をろ過してから、前記ろ液を水で洗い、樹脂吸着により75%エタノールで分析することができる。次に前記抽出物を減圧濃縮し、噴霧乾燥することができる。前記濃縮抽出物を粉砕、篩過し、包装した。一実施例では、前記ブルーベリー成分がボグブルーベリー成分である可能性がある。一実施例では、前記黒米がVaccinium uliginosum Lに由来することができる。
【0049】
一実施例では、前記ブルーベリー成分は、前記組成物の約1wt%~約30wt%を構成するか、または前記組成物の活性分画とすることができる。別の実施例では、前記ブルーベリー成分は、前記組成物の約1wt%~約10wt%を構成するか、または前記組成物の活性分画とすることができる。さらに別の実施例では、前記ブルーベリー成分は、前記組成物の約25wt%~約30wt%を構成するか、または前記組成物の活性分画とすることができる。
【0050】
一実施例では、前記ブルーベリー成分が標準化されたアントシアニン含有量を有することができる。一実施例では、前記ブルーベリー成分が、約0.5wt%~約30wt%の標準化されたアントシアニン含有量を有することができる。別の実施例では、前記ブルーベリー成分が、約0.5wt%~約5wt%の標準化されたアントシアニン含有量を有する。さらに別の実施例では、前記ブルーベリー成分が、約20wt%~約30wt%の標準化されたアントシアニン含有量を有することができる。さらなる実施例では、前記ブルーベリー成分が約25wt%の標準化されたアントシアニン含有量を有することができる。さらに別の実施例では、前記ブルーベリー成分が標準化されたアントシアニンを有することができ、UVで測定すると約17%、HPLCで測定すると約25%である可能性がある。
【0051】
一実施例では、前記組成物が前記クロスグリ成分を含むことができる。一実施例では、前記クロスグリ成分がクロスグリ果実、クロスグリ抽出物、クロスグリ濃縮液、クロスグリジュース、クロスグリ粉末、またはそれらの組み合わせを含むことができる。別の実施例では、前記クロスグリ成分をクロスグリ粉末とすることができる。さらに別の実施例では、前記クロスグリ成分をクロスグリジュースとすることができる。さらなる実施例では、前記クロスグリ成分をクロスグリ抽出物とすることができる。一実施例では、前記クロスグリ抽出物を水、樹脂交換、およびエタノールを用いて抽出することができる。一実施例では、前記クロススグリをエチレンオキシドを含まない製品とすることができる。一実施例では、前記クロスグリ成分をRibes nigrum由来とすることができる。
【0052】
一実施例では、前記クロスグリ成分が、前記組成物の約0.5wt%~約15wt%を構成するか、または活性分画とすることができる。別の実施例では、前記クロスグリ成分が、前記組成物の約1wt%~約5wt%を構成するか、または前記組成物の活性分画とすることができる。さらに別の実施例では、前記クロスグリ成分が、前記組成物の約10wt%~約15wt%を構成するか、または前記組成物の活性分画とすることができる。
【0053】
一実施例では、前記クロスグリ成分が標準化されたアントシアニン含有量を有することができる。一実施例では、前記クロスグリ成分が、約20wt%~約40wt%の標準化されたアントシアニン含有量を有することができる。別の実施例では、前記クロスグリ成分が約30wt%の標準化されたアントシアニン含有量を有することができる。さらなる実施例では、前記クロスグリ成分が、約2.5wt%~約10wt%の標準化されたアントシアニン含有量を有することができる。一実施例では、前記クロスグリ成分が約5wt%の標準化されたアントシアニン含有量を有することができる。
【0054】
一実施例では、前記組成物がクロウベリー成分を含むことができる。一実施例では、前記クロウベリー成分をクロウベリー果実、クロウベリー抽出物、クロウベリー濃縮物、クロウベリージュース、クロウベリー粉末、またはそれらの組み合わせとすることができる。別の実施例では、前記クロウベリー成分をクロウベリー果実とすることができる。さらに別の実施例では、前記クロウベリー成分をクロウベリー抽出物とすることができる。一実施例では、前記クロウベリー抽出物を水およびエタノールを用いて抽出することができる。一実施例では、前記クロウベリー成分をEmpetrum nigrum由来とすることができる。
【0055】
一実施例では、前記クロウベリー成分は、前記組成物の約1wt%~約30wt%を構成するか、または前記組成物の活性分画とすることができる。別の実施例では、前記クロウベリー成分は、前記組成物の約5wt%~約25wt%を構成するか、または前記組成物の活性分画とすることができる。さらなる実施例では、前記クロウベリー成分は、前記組成物の約5wt%~約15wt%を構成するか、または前記組成物の活性分画とすることができる。
【0056】
一実施例では、前記クロウベリー成分が標準化されたアントシアニン含有量を有することができる。一実施例では、前記クロウベリー成分が、約40wt%~約50wt%の標準化されたアントシアニン含有量を有することができる。さらなる実施例では、前記クロウベリー成分が約46.7wt%の標準化されたアントシアニン含有量を有することができる。
【0057】
一実施例では、前記組成物がビルベリー成分を含むことができる。一実施例では、前記ビルベリー成分をビルベリー果実、ビルベリー抽出物、ビルベリー濃縮物、ビルベリージュース、ビルベリー粉末、またはそれらの組み合わせとすることができる。一実施例では、前記ビルベリー成分をビルベリー粉末とすることができる。別の実施例では、前記ビルベリー成分をビルベリー抽出物とすることができる。さらに別の実施例では、前記ビルベリー抽出物を水およびエタノールを用いて抽出することができる。一実施例では、前記エタノールと水が150:1の抽出液比を有することができる。一実施例では、前記ビルベリー成分がVaccinium myrtillusに由来することができる。
【0058】
前記組成物中の前記ビルベリー成分の量は変化する可能性がある。一実施例では、前記ビルベリー成分は、前記組成物の約0.5wt%~約30wt%を構成するか、または前記組成物の活性分画とすることができる。別の実施例では、前記ビルベリー成分は、前記組成物の約2wt%~約20wt%を構成するか、または前記組成物の活性分画とすることができる。さらなる実施例では、前記ビルベリー成分は、前記組成物の約5wt%~約15wt%を構成するか、または前記組成物の活性分画とすることができる。
【0059】
一実施例では、前記ビルベリー成分は標準化されたアントシアニン含有量を有することができる。一実施例では、前記ビルベリー成分が、約1wt%~約40wt%の標準化されたアントシアニン含有量を有することができる。別の実施例では、前記ビルベリー成分が、約5wt%~約25wt%の標準化されたアントシアニン含有量を有することができる。さらに別の実施例では、前記ビルベリー成分が、約20wt%~約40wt%の標準化されたアントシアニン含有量を有することができる。さらなる実施例では、前記ビルベリー成分がHPLCで測定すると約36%、UVで測定すると約25%のアントシアニン含有量を有することができる。
【0060】
一実施例では、前記シアニジンおよび前記デルフィニジンの少なくとも1つの原料が黒米成分、ブルーベリー成分、およびクロスグリ成分に由来することができる。別の実施例では、前記組成物が約1:1:1の比で黒米成分、ブルーベリー成分、およびクロスグリ成分を含むことができる。別の実施例では、前記黒米成分、前記ブルーベリー成分、および前記クロスグリ成分が約1:1.4:4.3の比を有することができる。さらに別の実施例では、前記黒米成分、前記ブルーベリー成分、および前記クロスグリ成分が約1:2:4の比を有することができる。
【0061】
一実施例では、前記組成物がさらにプレバイオティック成分、または混合物を含むことができる。プレバイオティックスは、果物、野菜、および穀物から自然に発生した物質とすることができる。プレバイオティックスは、結腸の少なくとも1種類の細菌の成長または活性を刺激することにより、微生物叢および胃腸系を支持することができる。
【0062】
一実施例では、前記プレバイオティックス、またはプレバイオティック混合物がイヌリン、フルクトオリゴ糖、またはそれらの組み合わせを含むことができる。一実施例では、前記プレバイオティックス、またはプレバイオティック混合物がイヌリンを含むことができる。別の実施例では、前記プレバイオティックス、またはプレバイオティック混合物がフルクトオリゴ糖を含むことができる。さらなる実施例では、前記プレバイオティックス、またはプレバイオティック混合物がイヌリンおよびフルクトオリゴ糖を含むことができる。一部の実施例では、前記プレバイオティックス、またはプレバイオティック混合物が、有益な細菌が利用できる燃料を増加することで、健康な微生物叢を促すことができる。
【0063】
前記組成物の一実施例では、前記プレバイオティックス、またはプレバイオティック混合物がイヌリンを含むことができる。一実施例では、前記イヌリンを粉末とすることができる。一実施例では、前記イヌリンをチコリーイヌリンとすることができる。別の実施例では、前記イヌリンをβ(2-1)結合で結合したフルクトース単位を持つオリゴ糖および多糖類を有するチコリーイヌリンとすることができる。別の実施例では、前記イヌリンの原料がOrafti(登録商標)GR.(Beneo-Orafti、ベルギー)により提供される可能性がある。一部の実施例では、前記イヌリンの原料をバナナ、タマネギ、小麦粉、ニンニク、アスパラガス、小麦、ライ、西洋ニラネギ、チコリー根、甜菜、またはそれらの組み合わせ由来とすることができる。一実施例では、前記イヌリンを原料から熱水で拡散させることにより回収することができる。一部の実施例では、前記イヌリンを酵素処理により加水分解または部分的に加水分解することができる。
【0064】
一実施例では、前記イヌリンが前記組成物中に様々な量で存在することができる。一実施例では、前記イヌリンは、前記組成物の約15wt%~約60wt%を構成するか、または前記組成物の活性分画とすることができる。別の実施例では、前記イヌリンは、前記組成物の約15wt%~約25wt%を構成するか、または前記組成物の活性分画とすることができる。さらに別の実施例では、前記イヌリンは、前記組成物の約40wt%~約60wt%を構成するか、または前記組成物の活性分画とすることができる。
【0065】
一実施例では、前記組成物がフルクトオリゴ糖(FOS)を含むことができる。一実施例では、前記FOSを(重合度(DP)5以下を有する)短鎖FOSとすることができる。フルクトオリゴ糖は、穀物、果実、および野菜を含む様々な原料由来とすることができる。一実施例では、前記短鎖FOSをスクロース由来とすることができる。別の実施例では、前記短鎖FOSをサトウキビ由来とすることができる。別の実施例では、前記短鎖FOSを非GMO原料由来とすることができる。さらに別の実施例では、前記FOSをガラクトオリゴ糖(GOS)とすることができる。
【0066】
一実施例では、前記FOSは前記組成物中に様々な量で存在することができる。一実施例では、前記FOSは、前記組成物の約10wt%~約40wt%を構成するか、または前記組成物の活性分画とすることができる。別の実施例では、前記FOSは、前記組成物の約10wt%~約20wt%を構成するか、または前記組成物の活性分画とすることができる。さらに別の実施例では、前記フルクトオリゴ糖は、前記組成物の約25wt%~約40wt%を構成するか、または前記組成物の活性分画とすることができる。
【0067】
一実施例では、前記組成物がイヌリンおよびフルクトオリゴ糖を含むことができる。一実施例では、存在する場合、前記イヌリンおよびフルクトオリゴ糖を、集合的に前記組成物の約55wt%~約95wt%の範囲、または前記組成物の活性分画とすることができる。別の実施例では、前記イヌリンおよびフルクトオリゴ糖を、集合的に前記組成物の約70wt%~約90wt%、または前記組成物の活性分画とすることができる。
【0068】
上記の成分は様々な方法で組成物に合わせることができる。一部の典型的な組成物を以下の表にまとめる。以下の表では、これらの実施例の一部が二酸化ケイ素などの賦形剤を含むが、それ以外は前記組成物の活性分画のみを表示している。
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【0069】
一部の実施例では、前記組成物がさらに追加賦形剤を含むように製剤化することができる。
【0070】
一実施例では、前記組成物が、さらに、エピカテキン、カテキン、またはそれらの組み合わせを含むことができる。一部の製剤では、エピカテキンおよびカテキンがNADPHオキシダーゼ阻害剤として作用することができる。
【0071】
一実施例では、前記組成物が薬学的に許容される担体を含むことができる。別の実施例では、前記組成物が甘味料、保存料、香味剤、増粘剤、またはそれらの組み合わせを含むことができる。さらに別の実施例では、前記組成物がさらに、コーティング、等張剤、吸収遅延剤、結合剤、接着剤、潤滑剤、崩壊剤、着色料、香味剤、甘味料、吸収剤、界面活性剤、乳化剤、抗酸化剤、ビタミン、ミネラル、タンパク質、脂質、炭水化物、またはそれらの組み合わせを含むことができる。一部の実施例では、前記製剤が特定の化合物を持続的に放出するポリマーを含むことができる。具体的に要求された組成物または製剤を製造するために必要な、ほぼすべての数またはタイプの成分を利用することができる。
【0072】
一実施例では、前記組成物を経口投与製剤の形態とすることができる。一実施例では、前記経口投与形態がカプセル、錠剤、粉末、飲料、シロップ、ガム、ウエハース、菓子、懸濁液、または食品を有する。別の実施例では、前記経口投与形態がカプセル、錠剤、ソフトゲル、トローチ剤、小袋、粉末、飲料、シロップ、懸濁液、または食品を有する。別の実施形では、前記経口投与製剤を食品または飲料に製剤化することができ、例えば、スナックバー、シリアル、飲料、ガム、または他の容易に摂取される形態として提供される。一実施例では、前記経口投与形態を水、牛乳、ジュース、またはソーダなどの液体飲料に組み込むことができる。別の実施例では、前記経口投与形態を栄養飲料に製剤化することができる。前記栄養飲料は予混合製剤とするか、または飲料に加えることができる粉末混合物とすることができる。別の実施例では、前記粉末混合物を顆粒の形態とすることができる。別の実施例では、前記組成物を食品に振りかけることができる粉末とすることができる。
【0073】
一実施例では、前記経口投与形態を、それを必要とする被験者に1日1回投与するようにデザインすることができる。一実施例では、前記経口投与形態を、前記被験者に午前中に投与するようにデザインすることができる。別の実施例では、前記経口投与形態を午後、または夕方投与することができる。さらに別の実施例では、前記投与形態を断続的および一時的に投与するようにデザインすることができる。例えば、前記投与形態は2日間投薬して1日休薬する、3日間投薬して2日休薬する、3日間投薬して4日休薬する、4日間投薬して3日休薬する、5日間投薬して2日休薬する、または6日間投薬して1日休薬し、これらの投与法それぞれは一定期間連続して繰り返すことができる。別の実施例では、前記投与法は毎日投薬と休薬を入れ替えることができる。前記投与期間も変化させることができる。例えば、前記投与形態は2週間、3週間、1ヵ月、6週間、2ヵ月、3ヵ月、4ヵ月、5ヵ月、6ヵ月、1年、1年半、または無期限に投与するようにデザインすることができる。
【0074】
前記経口投与形態には、本明細書で特定された組成物をすべて含むことができる。一実施例では、前記経口投与形態が黒米成分、ブルーベリー成分、クロスグリ成分、クロウベリー成分、ビルベリー成分、ブラックチョークベリー成分、またはそれらの組み合わせから成る群から選択された成分を有する。
【0075】
一実施例では、前記経口投与形態が前記黒米成分を含むことができ、前記黒米成分は前記経口投与形態の約500mg~約800mgの範囲とすることができる。別の実施例では、前記黒米成分が、約15wt%~約30wt%の標準化されたアントシアニン含有量を有することができる。
【0076】
一実施例では、前記経口投与形態がブルーベリー成分を含むことができ、前記ブルーベリー成分は前記経口投与形態の約100mg~約3,000mgの範囲とすることができる。別の実施例では、前記ブルーベリー成分を約50mg~約500mgとすることができる。さらなる実施例では、前記ブルーベリー成分を約2,000mg~約3,000mgの範囲とすることができる。さらに別の実施例では、前記ブルーベリー成分が約0.5wt%~約25wt%の標準化されたアントシアニン含有量を有することができる。
【0077】
一実施例では、前記経口投与形態がクロスグリ成分を含むことができ、前記クロスグリ成分は前記経口投与形態の約200mg~約3,000mgの範囲とすることができる。別の実施例では、前記クロスグリ成分を約50mg~約500mgとすることができる。さらなる実施例では、前記クロスグリ成分を約2,000mg~約3,000mgの範囲とすることができる。さらに別の実施例では、前記クロスグリ成分が約2.5wt%~約30wt%の標準化されたアントシアニン含有量を有することができる。
【0078】
一実施例では、前記経口投与形態がクロウベリー成分を含むことができ、前記クロウベリー成分は前記経口投与形態の約100mg~約1,000mgの範囲とすることができる。一実施例では、前記クロウベリー成分が、約1wt%~約50wt%の標準化されたアントシアニン含有量を有する。別の実施例では、前記クロウベリー成分が、約1wt%~約30wt%の標準化されたアントシアニン含有量を有する。さらに別の実施例では、前記クロウベリー成分が、約40wt%~約50wt%の標準化されたアントシアニン含有量を有する。
【0079】
別の実施例では、前記経口投与形態がビルベリー成分を含むことができ、前記ビルベリー成分は前記経口投与形態の約100mg~約700mgの範囲とすることができる。一実施例では、前記ビルベリー成分が、約30wt%~約40wt%の標準化されたアントシアニン含有量を有することができる。
【0080】
さらなる実施例では、前記経口投与形態が前記ブラックチョークベリー成分を含むことができ、前記ブラックチョークベリー成分は約50mg~約700mgの範囲とすることができる。別の実施例では、前記ブラックチョークベリー成分を約100mg~約600mgの範囲とすることができる。さらに別の実施例では、前記ブラックチョークベリー成分を約200mg~約500mgの範囲とすることができる。一実施例では、前記ブラックチョークベリー成分が約1wt%~約35wt%の標準化されたアントシアニン含有量を有することができる。
【0081】
一実施例では、前記経口投与形態がさらに、前記プレバイオティックス、またはプレバイオティック混合物を含むことができる。前記プレバイオティックス、またはプレバイオティック混合物はイヌリン、フルクトオリゴ糖、またはそれらの組み合わせを含むことができる。一実施例では、前記イヌリンが約1グラム~2グラムの量で前記経口投与形態に存在することができる。別の実施例では、前記イヌリンが前記経口投与形態で約1グラム~約2グラムの繊維を提供することができる。
【0082】
一実施例では、前記経口投与形態がフルクトオリゴ糖(FOS)を含むことができる。一実施例では、前記FOSを前記経口投与形態で約1グラム~約1.5グラムの範囲とすることができる。別の実施例では、前記FOSが前記経口投与形態で約3グラム~約4グラムの範囲とすることができる。
【0083】
前記経口投与形態は様々な量のアントシアニンを提供することができる。一実施例では、前記経口投与形態は集合的に約200mg~約300mgのアントシアニンを提供することができる。別の実施例では、前記経口投与形態は約50mg~約100mgのアントシアニンを提供することができる。一実施例では、前記経口投与形態は約80mgのアントシアニンを提供することができる。別の実施例では、前記経口投与形態は約215 gのアントシアニンを提供することができる。
【0084】
前記経口投与形態は様々な量の繊維も提供することができる。一実施例では、前記経口投与形態は集合的に約1.5グラム~約3グラムの繊維を提供することができる。一実施例では、前記経口形態は約2.6g、2.7g、または2.9gの繊維を提供することができる。
【0085】
本組成物の作成方法も本発明に含まれる。一実施形態では、前記方法が前記成分(原材料か抽出物かによらない)を混合する工程、および前記合わせた成分を前記組成物の望みの形態に加工する工程を含むことができる。一実施例では、前記組成物の望みの形態を錠剤、カプセル、粉末、食品、または飲料とすることができる。当業者には、前記成分を混合するために用いることができる手順が周知である。
【0086】
さらに本明細書では、被験者の腸過透過性を治療する方法が提示される。一実施例では、前記方法が、前記被験者に腸の健康を促す組成物を投与する工程を含むことができる。一実施例では、前記腸の健康を促す組成物を本明細書で説明されるとおりとすることができる。
【0087】
別の実施例では、前記腸の健康を促す組成物を毎日前記被験者に投与することができる。一実施例では、前記投与を午前中に行うことができる。さらに別の実施例では、前記投与は、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも6週間、少なくとも8週間、少なくとも12週間、少なくとも6ヵ月、少なくとも9ヵ月、少なくとも1年、少なくとも2年、これらの間のいずれかの期間、または無期限で毎日など、長期間行うことができる。
【0088】
さらに、被験者の胃腸の健康と関連した状態または疾患を治療する方法が提示される。一実施例では、前記方法が前記被験者の消化管上皮細胞のタイトジャンクションの整合性を最大限とする工程を含むことができる。別の実施例では、前記方法が前記被験者の腸過透過性を抑制する工程を含むことができる。
【0089】
一実施例では、前記方法が前記被験者の胃腸の健康を改善することができる。胃腸の健康の改善は変化する可能性がある。
【0090】
一実施例では、前記改善が、前記方法を実施する前の被験者の腸の習性と比較し、前記被験者の腸の習性が改善することを含むことができる。別の実施例では、前記被験者の腸の習性の改善には、腸の運動中および運動後のいきみ減少を含むことができる。さらに別の実施例では、前記改善が腹部膨満、不快感、放屁、またはそれらの組み合わせの減少である可能性がある。さらなる実施例では、前記改善が前記被験者の腸透過性の減少である可能性がある。さらに別の実施例では、前記改善がリーキーガット症候群の症状/発症の減少である可能性がある。
【0091】
さらなる実施例では、胃腸の健康の改善が腸のディスバイオシスの抑制である可能性がある。一実施例では、前記改善が糞便中カルプロテクチン値の低下により証明することができる。さらに別の実施例では、前記改善が単鎖脂肪酸値の上昇である可能性がある。
【0092】
前記方法の一実施例では、前記状態または疾患が、炎症、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、慢性腸疾患、セリアック病、クローン病、潰瘍性大腸炎、食物不耐症、消化不良、低レベルの慢性的腸炎、胃腸感染、またはそれらの組み合わせを含むことができる。
【0093】
別の実施例では、前記状態または疾患を炎症とすることができ、前記方法を実行する前の被験者の胃腸炎症と比較し、前記被験者の消化管で前記炎症は軽減される可能性がある。別の実施例では、前記軽減は炎症の約50%の軽減である可能性がある。さらに別の実施例では、前記軽減は炎症の約60%の軽減である可能性がある。さらなる実施例では、前記軽減は炎症の約70%の軽減である可能性がある。一実施例では、前記軽減は炎症の最大73%の軽減である可能性がある。さらなる実施例では、3週間の補充で炎症性バイオマーカーが穏やかに減少する可能性がある。
【0094】
さらなる実施例では、前記状態または疾患が栄養素の吸収不十分、内毒血症、腸過透過性、またはそれらの組み合わせを含むことができる。
【0095】
別の実施例では、前記状態または疾患が肥満、肥満関連症状、アレルギー、心血管系の病状、I型糖尿病、II型糖尿病、関節リウマチ、インスリン抵抗性、癌、代謝症候群、喘息、神経変性疾患、またはそれらの組み合わせを含むことができる。
【0096】
一実施例では、前記状態または疾患が心血管系の状態または疾患である可能性がある。一実施例では、前記心血管系の状態または疾患が、心血管系治療薬を服用していない被験者の高密度リポ蛋白コレステロールの増加である可能性がある。別の実施例では、前記心血管系状態または疾患がHbA1c値の低下である可能性がある。さらに別の実施例では、前記HbA1c値の低下が、6~6.4%から6%未満の範囲からのHbA1c値の低下により測定すると、糖尿病前段階の値から正常値までとなる可能性がある。さらなる実施例では、前記HbA1c値の低下が、糖尿病段階の値から糖尿病前段階の値までの可能性がある。これは、6.5%を超える値から6%~6.4%の値までの低下である。
【0097】
さらなる実施例では、前記心血管系状態または疾患が血漿ゾヌリン値の上昇と関連する可能性がある。一実施例では、前記方法を実行することで、前記方法の実行前の血漿ゾヌリン値と比較し、血漿ゾヌリン値が低下する可能性がある。血漿ゾヌリンの上昇は、腸透過性を示している可能性がある。ゾヌリンは、タイトジャンクションを分解し、ラクトースなどのより大きな分子を通過させることで、腸透過性を調節することができる。本明細書の組成物を投与することで、タイトジャンクションの整合性を最大限とし、それにより、腸の内層を通過するゾヌリン量を最小限とすることができる。
【0098】
別の実施例では、前記状態が末梢インスリン抵抗性である可能性があり、前記方法が末梢インスリン抵抗性を抑制することができる。別の実施例では、前記状態または疾患がI型糖尿病またはII型糖尿病である可能性がある。
【0099】
さらに別の実施例では、前記状態または疾患が、一酸化窒素関連疾患、iNOSの発現、COX-2の発現、NADPHオキシダーゼ、またはそれらの組み合わせである可能性がある。一実施例では、前記状態または疾患が、前記タイトジャンクションを通過することができる病原体、抗原、および炎症誘発性因子に起因する可能性がある。
【0100】
一実施例では、前記方法がタイトジャンクションの整合性を最大限とする工程、または腸過透過性を抑制する工程を含むことができる。タイトジャンクションの整合性を最大限とする工程には、前記被験者の消化管をTNFαで誘導される上皮細胞単層の透過性亢進から保護する工程を含むことができる。別の実施例では、前記保護因子の量が、前記被験者の消化管のシアニジンおよびデルフィニジン量に依存した濃度である可能性がある。一実施例では、前記保護因子の量が用量依存的である。
【0101】
さらに別の実施例では、前記方法がさらに、前記上皮細胞の経上皮電気抵抗を上昇させる工程を含むことができる。さらなる実施例では、前記方法がFITCデキストラン傍細胞輸送を増加させる工程を含むことができる。
【0102】
一実施例では、前記状態または疾患が炎症誘発性因子に起因する可能性がある。一実施例では、前記炎症誘発性因子を終末糖化産物とすることができる。別の実施例では、前記炎症誘発性因子をリポ多糖類とすることができる。さらなる実施例では、前記炎症誘発性因子がサイトカインである腫瘍壊死因子α(TNF-α)、IL-6、またはそれらの組み合わせを含むことができる。
【0103】
前記方法の一実施例では、前記状態または疾患が、シグナル伝達経路のNF-kB、ERK1/2、またはそれらの組み合わせと関連した状態または疾患と関連している可能性がある。
【0104】
一実施例では、前記タイトジャンクションの整合性を最大限とする工程が、高脂肪で誘導される腸の透過性亢進を軽減する可能性がある。
【0105】
別の実施例では、前記上皮細胞がCaco-2細胞単層を含むことができる。
【0106】
別の実施例では、前記方法が消化管の腸微生物叢のバランスを最適化する工程を含むことができる。一実施例では、腸微生物叢のバランスを最適化する工程が、前記方法の実施前の消化管における共生細菌値と比較し、前記消化管の共生細菌レベルを上昇させる工程を含むことができる。別の実施例では、前記共生細菌がビフィドバクテリウム属に属する可能性がある。一実施例では、前記共生細菌がバクテロイデス門に属する可能性がある。別の実施例では、前記共生細菌がbacterdies caccae、bacteriodes uniformis、またはそれらの組み合わせである可能性がある。さらに別の実施例では、前記被験者に前記方法を8週間毎日実行した後の前記共生細菌の増加が少なくとも20%となる可能性がある。別の実施例では、前記被験者に前記方法を8週間毎日実行した後の前記共生細菌の増加が約5%である可能性があり、約10%である可能性があり、約15%である可能性があり、または約25%である可能性がある。
【0107】
前記方法の一実施例では、腸微生物叢のバランスを最適化する工程が、前記方法の実行前に腸に存在した細菌の他陽性と比較し、細菌の多様性を増加させる工程を含むことができる。一実施例では、前記細菌の多様性が少なくとも200種を含む可能性がある。別の実施例では、前記方法が、前記方法の実行前に腸に存在した有害な腸細菌のレベルと比較し、有害な腸細菌を減少させる工程を含むことができる。一実施例では、前記有害な腸細菌がフィルミクテス門を含むことができる。一部の研究では、フィルミクテス門が肥満者の腸微生物叢の高い割合を構成していることが分かっている。さらに別の実施例では、前記被験者に前記方法を8週間毎日実行後の前記フィルミクテス門の減少が、フィルミクテス門レベルの15%以上の減少となる可能性がある。さらなる実施例では、前記被験者に前記方法を8週間毎日実行後の前記フィルミクテス門の減少が5%以上の減少、約10%の減少、約12%の減少、約15%の減少、または約20%の減少である可能性がある。
【0108】
一実施例では、前記方法がフィルミクテス:バクテロイデス比を変更することで、前記腸微生物叢を最適化する工程を含むことができる。一実施例では、前記フィルミクテス:バクテロイデス比が前記被験者に前記方法を8週間毎日実行した後約3%減少する可能性がある。前記フィルミクテス:バクテロイデス比が肥満の要因である可能性がある。体格指数が高い人は門のレベルで腸微生物叢に違いを示し、フィルミクテス門濃度が高く、バクテロイデス門濃度は低くなる可能性がある。前記微生物叢の変化はカロリー量と関連していなかったが、体格指数と関連していたことが認められる。したがって、この比を変化させることで、一定期間実行した場合に肥満者の体重を減少させることができる。
【0109】
有害な腸細菌を減少させる方法の別の実施例では、前記有害な腸細菌に放線菌門を含むことができる。一実施例では、前記被験者に前記方法を8週間毎日実行した後の前記放線菌門の減少が少なくとも約5%となる可能性がある。
【0110】
有害な腸細菌を減少させる方法のさらに別の実施例では、前記有害な腸細菌にヘリコバクター・ピロリを含むことができる。ヘリコバクター・ピロリは潰瘍および胸やけと関連している可能性がある。前記方法のさらなる実施例では、前記有害な腸細菌がクロストリジウム属を含むことができる。さらに別の実施例では、前記有害な腸細菌がクラブシエラ属を含むことができる。
【0111】
一実施例では、前記方法がさらに腸微生物叢の共生細菌に燃料源を提供する工程を含むことができる。この工程においては、前記方法が、最終的に全身の健康利益となる共生細菌のより大きな割合を形成することができる。
【0112】
別の実施例では、前記被験者の消化管上皮細胞のタイトジャンクションの整合性を最大限とする方法が提供される。本方法の一実施例では、タイトジャンクションの整合性の改善が、タイトジャンクションの整合性を回復させる工程を含むことができる。本方法の別の実施例では、前記改善がタイトジャンクションの整合性を維持させる工程を含むことができる。さらなる実施例では、本方法が全身の健康利益を提供することができる。これらの健康利益には、セリアック病、IBS、クローン病、潰瘍性大腸炎、食物不耐症、アレルギー、消化不良、軽度の慢性炎症、肥満、I型糖尿病、II型糖尿病、慢性関節リウマチ、インスリン抵抗性、代謝症候群、喘息、アトピー、漏出性の腸バリア、タイトジャンクションバリアの機能不全、血漿グルコース値、血漿遊離脂肪酸値、高密度リポ蛋白値の低下、脂肪肝、腸のフィルミクテス:バクテロイデス値、腹部膨満、腹部ガス、腹痛、腸機能、有益な腸細菌の増殖、単鎖脂肪酸産生、血漿ゾヌリン値、HbA1c値、糖尿病、糖尿病前症、栄養吸収、およびそれらの組み合わせなどの状態または疾患の改善を含むことができる。
【0113】
上述の様々な方法の利益は、被験者に上述の腸の健康を促進する組成物を投与することで達成可能である。一実施例では、前記組成物を長期間毎日投与することができる。別の実施例では、前記組成物は投与法に基づき、断続的および一時的に投与することができる。例えば、前記投与法は2日間投薬後、1日休薬するものとすることができる。別の実施例では、前記投与法は5日間投薬後、2日休薬するものとすることができる。さらに別の実施例では、前記投与法は3日間投薬後、1、2、3、または4日休薬するものとすることができる。さらなる実施例では、前記投与法は4日間投薬後、1、2、3、または4日休薬するものとすることができる。一部の実施例では、前記長期間が変化する可能性がある。一実施例では、前記長期間を約4週間とすることができる。別の実施例では、前記長期間を約6週間、約8週間、約12週間、16週間、20週間、約6ヵ月、約9ヵ月、約1年、または1年以上の期間とすることができる。一部の実施例では、前記方法を一定期間実施する利益が投与期間を長くすることで増す可能性がある。
【0114】
実施形態
本明細書に提示する一実施形態では、腸過透過性を治療するのに十分な量で、シアニジンおよびデルフィニジンを併用して有する、腸の健康を促進する組成物がある。
【0115】
前記組成物の一実施形態では、前記シアニジンおよび前記デルフィニジンは、腸透過性を維持する量で集合的に存在する。
【0116】
前記組成物の一実施形態では、前記シアニジンおよび前記デルフィニジンは、腸過透過性を抑制する量で集合的に存在する。
【0117】
前記組成物の一実施形態では、黒米成分、ブルーベリー成分、クロスグリ成分、クロウベリー成分、ビルベリー成分、ブラックチョークベリー成分、またはそれらの組み合わせに由来する前記シアニジンおよび前記デルフィニジンの少なくとも1つの原料を含むことができる。
【0118】
前記組成物の一実施形態では、前記シアニジンおよび前記デルフィニジンの原料が黒米成分、ブルーベリー成分、およびクロスグリ成分に由来する。
【0119】
前記組成物の一実施形態では、前記組成物が黒米成分を有し、前記黒米成分は黒米の穀粒、黒米濃縮物、黒米抽出物、黒米粉末、またはそれらの組み合わせから成る群から選択される成分に由来する。
【0120】
前記組成物の一実施形態では、前記黒米成分が黒米抽出物である。
【0121】
前記組成物の一実施形態では、前記黒米成分が黒米の穀粒に由来する。
【0122】
前記組成物の一実施形態では、前記黒米成分が、前記組成物の活性分画の約2.5wt%~約20wt%を有する。
【0123】
前記組成物の一実施形態では、前記黒米成分が、前記組成物の活性分画の約10wt%~約15wt%を有する。
【0124】
前記組成物の一実施形態では、前記黒米成分が、前記組成物の活性分画の約2.5wt%~約7.5wt%を有する。
【0125】
前記組成物の一実施形態では、前記黒米成分が、約10wt%~約30wt%の標準化されたアントシアニン含有量を有する。
【0126】
前記組成物の一実施形態では、前記黒米成分が、約20wt%の標準化されたアントシアニン含有量を有する。
【0127】
前記組成物の一実施形態では、前記黒米成分が、約25wt%の標準化されたアントシアニン含有量を有する。
【0128】
前記組成物の一実施形態では、前記黒米成分がOryza sativa Lに由来する。
【0129】
前記組成物の一実施形態では、前記組成物が前記ブルーベリー成分を有し、前記ブルーベリー成分はブルーベリー果実、ブルーベリー抽出物、ブルーベリー濃縮液、ブルーベリージュース、ブルーベリー粉末、またはそれらの組み合わせから成る群から選択される成分を有する。
【0130】
前記組成物の一実施形態では、前記ブルーベリー成分がブルーベリー粉末である。
【0131】
前記組成物の一実施形態では、前記ブルーベリー成分がブルーベリージュースである。
【0132】
前記組成物の一実施形態では、前記ブルーベリー成分が、前記組成物の活性分画の約1wt%~約30wt%を有する。
【0133】
前記組成物の一実施形態では、前記ブルーベリー成分が、前記組成物の活性分画の約1wt%~約10wt%を有する。
【0134】
前記組成物の一実施形態では、前記ブルーベリー成分が、前記組成物の活性分画の約25wt%~約30wt%を有する。
【0135】
前記組成物の一実施形態では、前記ブルーベリー成分が、約0.5wt%~約30wt%の標準化されたアントシアニン含有量を有する。
【0136】
前記組成物の一実施形態では、前記ブルーベリー成分が、約0.5wt%~約5wt%の標準化されたアントシアニン含有量を有する。
【0137】
前記組成物の一実施形態では、前記ブルーベリー成分が、約20wt%~約30wt%の標準化されたアントシアニン含有量を有する。
【0138】
前記組成物の一実施形態では、前記ブルーベリー成分がVaccinium uliginosum Lに由来する。
【0139】
前記組成物の一実施形態では、前記組成物がクロスグリ成分を有し、前記クロスグリ成分はクロスグリ果実、クロスグリ抽出物、クロスグリ濃縮物、クロスグリジュース、クロスグリ粉末、またはそれらの組み合わせから成る群から選択される成分を有する。
【0140】
前記組成物の一実施形態では、前記クロスグリ成分がクロスグリ抽出物である。
【0141】
前記組成物の一実施形態では、前記クロスグリ成分が、前記活性分画の約0.5wt%~約15wt%を有する。
【0142】
前記組成物の一実施形態では、前記クロスグリ成分が、前記活性分画の約1wt%~約5wt%を有する。
【0143】
前記組成物の一実施形態では、前記クロスグリ成分が、約20wt%~約40wt%の標準化されたアントシアニン含有量を有する。
【0144】
前記組成物の一実施形態では、前記クロスグリ成分が、約30wt%の標準化されたアントシアニン含有量を有する。
【0145】
前記組成物の一実施形態では、前記クロスグリ成分がRibes nigrumに由来する。
【0146】
前記組成物の一実施形態では、前記組成物が前記クロウベリー成分を有し、前記クロウベリー成分はクロウベリー果実、クロウベリー抽出物、クロウベリー濃縮液、クロウベリージュース、クロウベリー粉末、またはそれらの組み合わせから成る群から選択される成分を有する。
【0147】
前記組成物の一実施形態では、前記クロウベリー成分がクロウベリー果実である。
【0148】
前記組成物の一実施形態では、前記クロウベリー成分がクロウベリー抽出物である。
【0149】
前記組成物の一実施形態では、前記クロウベリー成分が、前記組成物の活性分画の約1wt%~約30wt%を有する。
【0150】
前記組成物の一実施形態では、前記クロウベリー成分が、前記組成物の約5wt%~約25wt%を有する。
【0151】
前記組成物の一実施形態では、前記クロウベリー成分が、約40wt%~約50wt%の標準的アントシアニン含有量を有する。
【0152】
前記組成物の一実施形態では、前記クロウベリー成分が、約46.7wt%の標準化されたアントシアニン含有量を有する。
【0153】
前記組成物の一実施形態では、前記クロウベリー成分がEmpetrum nigrumに由来する。
【0154】
前記組成物の一実施形態では、前記組成物が前記ビルベリー成分を有し、前記ビルベリー成分はビルベリー果実、ビルベリー抽出物、ビルベリー濃縮液、ビルベリージュース、ビルベリー粉末、またはそれらの組み合わせから成る群から選択される成分を有する。
【0155】
前記組成物の一実施形態では、前記ビルベリー成分がビルベリー抽出物である。
【0156】
前記組成物の一実施形態では、前記ビルベリー成分が、前記組成物の活性分画の約0.5wt%~約30wt%の範囲である。
【0157】
前記組成物の一実施形態では、前記ビルベリー成分が、前記組成物の約2wt%~約20wt%の範囲である。
【0158】
前記組成物の一実施形態では、前記ビルベリー成分が、約1wt%~約30wt%の標準化されたアントシアニン含有量を有する。
【0159】
前記組成物の一実施形態では、前記ビルベリー成分が、約5wt%~約15wt%の標準化されたアントシアニン含有量を有する。
【0160】
前記組成物の一実施形態では、前記ビルベリー成分が、HPLCで測定すると36wt%のアントシアニン、またはUVで測定すると25wt%のアントシアニンを有する。
【0161】
前記組成物の一実施形態では、前記ビルベリー成分がVaccinium myrtillusに由来する。
【0162】
前記組成物の一実施形態では、前記シアニジンおよび前記デルフィニジンの少なくとも1つの原料が黒米成分、ブルーベリー成分、およびクロスグリ成分に由来する。
【0163】
前記組成物の一実施形態では、前記黒米成分、前記ブルーベリー成分、および前記クロスグリ成分が約1:1:1の比を有する。
【0164】
前記組成物の一実施形態では、前記黒米成分、前記ブルーベリー成分、および前記クロスグリ成分が約1:1.4:4.3の比を有する。
【0165】
前記組成物の一実施形態では、前記組成物がさらにプレバイオティック混合物を有する。
【0166】
前記組成物の一実施形態では、前記プレバイオティック混合物がイヌリンを有する。
【0167】
前記組成物の一実施形態では、前記イヌリンがβ(2-1)結合で結合したフルクトース単位を持つオリゴ糖および多糖類を有するチコリーイヌリンである。
【0168】
前記組成物の一実施形態では、前記イヌリンの原料をバナナ、タマネギ、小麦粉、ニンニク、アスパラガス、小麦、ライ、西洋ニラネギ、チコリー根、甜菜、またはそれらの組み合わせ由来である。
【0169】
前記組成物の一実施形態では、前記イヌリンが、前記組成物の約15wt%~約60wt%を有する。
【0170】
前記組成物の一実施形態では、前記イヌリンが、前記組成物の約15wt%~約25wt%を有する。
【0171】
前記組成物の一実施形態では、前記イヌリンが、前記組成物の約40wt%~約60wt%を有する。
【0172】
前記組成物の一実施形態では、前記プレバイオティック混合物がフルクトオリゴ糖を有する。
【0173】
前記組成物の一実施形態では、前記フルクトオリゴ糖が短鎖フルクトオリゴ糖(DP≦5)である。
【0174】
前記組成物の一実施形態では、前記短鎖フルクトオリゴ糖がスクロースに由来する。
【0175】
前記組成物の一実施形態では、前記短鎖フルクトオリゴ糖がサトウキビに由来する。
【0176】
前記組成物の一実施形態では、前記フルクトオリゴ糖が、前記組成物の活性分画の約10wt%~約40wt%を有する。
【0177】
前記組成物の一実施形態では、前記フルクトオリゴ糖が、前記組成物の活性分画の約10wt%~約20wt%を有する。
【0178】
前記組成物の一実施形態では、前記フルクトオリゴ糖が、前記組成物の活性分画の約25wt%~約40wt%を有する。
【0179】
前記組成物の一実施形態では、前記フルクトオリゴ糖がガラクトオリゴ糖を有する。
【0180】
前記組成物の一実施形態では、前記組成物がさらにイヌリンおよびフルクトオリゴ糖のプレバイオティック混合物を有する。
【0181】
前記組成物の一実施形態では、前記イヌリンおよびフルクトオリゴ糖が、集合的に前記組成物の約55wt%~約95wt%を有する。
【0182】
前記組成物の一実施形態では、前記シアニジンおよび前記デルフィニジンの混合原料が、前記組成物の約5wt%~約50wt%を有する。
【0183】
前記組成物の一実施形態では、前記組成物がさらに薬学的に許容可能な担体を有する。
【0184】
前記組成物の一実施形態では、前記組成物がさらに、甘味料、保存料、香味剤、増粘剤、またはそれらの組み合わせを有する。
【0185】
前記組成物の一実施形態では、前記組成物が経口投与形態である。
【0186】
前記組成物の一実施形態では、前記経口投与形態がカプセル、錠剤、粉末、飲料、シロップ、ガム、ウエハース、菓子、懸濁液、または食品を有する。
【0187】
前記組成物の一実施形態では、前記経口投与形態が粉末を有する。
【0188】
前記組成物の一実施形態では、前記経口投与形態が、それを必要とする被験者に1日1回投与するようにデザインされる。
【0189】
前記組成物の一実施形態では、前記経口投与形態が、前記被験者に午前中投与するようにデザインされる。
【0190】
前記組成物の一実施形態では、前記経口投与形態が黒米成分、ブルーベリー成分、クロスグリ成分、クロウベリー成分、ビルベリー成分、ブラックチョークベリー成分、またはそれらの組み合わせから成る群から選択された成分を有する。
【0191】
前記組成物の一実施形態では、前記経口投与形態が黒米成分を有し、前記黒米成分は前記経口投与形態の約500mg~約800mgの範囲である。
【0192】
前記組成物の一実施形態では、前記黒米成分が、約15wt%~約30wt%の標準化されたアントシアニン含有量を有する。
【0193】
前記組成物の一実施形態では、前記経口投与形態がブルーベリー成分を有し、前記ブルーベリー成分は前記経口投与形態の約100mg~約3,000mgを有する。
【0194】
前記組成物の一実施形態では、前記ブルーベリー成分が、約0.5wt%~約25wt%の標準化されたアントシアニン含有量を有する。
【0195】
前記組成物の一実施形態では、前記経口投与形態がクロスグリ成分を有し、前記クロスグリ成分は前記経口投与形態の約200mg~約3,000mgを有する。
【0196】
前記組成物の一実施形態では、前記クロスグリ成分が、約2.5wt%~約30wt%の標準化されたアントシアニン含有量を有する。
【0197】
前記組成物の一実施形態では、前記経口投与形態がクロウベリー成分を有し、前記クロウベリー成分は前記経口投与形態の約100mg~約1,000mgを有する。
【0198】
前記組成物の一実施形態では、前記クロウベリー成分が、約1wt%~約30wt%の標準化されたアントシアニン含有量を有する。
【0199】
前記組成物の一実施形態では、前記経口投与形態がビルベリー成分を有し、前記ビルベリー成分は前記経口投与形態の約100mg~約700mgの範囲である。
【0200】
前記組成物の一実施形態では、前記ビルベリー成分が、約30wt%~約40wt%の標準化されたアントシアニン含有量を有する。
【0201】
前記組成物の一実施形態では、前記経口投与形態がブラックチョークベリー成分を有し、前記ブラックチョークベリー成分は前記経口投与形態の約50mg~約700mgの範囲である。
【0202】
前記組成物の一実施形態では、前記ブラックチョークベリー成分が、約1wt%~約35wt%の標準化されたアントシアニン含有量を有する。
【0203】
前記組成物の一実施形態では、前記経口投与形態がプレバイオティック混合物を有する。
【0204】
前記組成物の一実施形態では、前記プレバイオティック混合物が前記経口投与形態で約1グラム~2グラムを有する。
【0205】
前記組成物の一実施形態では、前記プレバイオティック混合物が前記経口投与形態で約1グラム~約2グラムの繊維を提供する。
【0206】
前記組成物の一実施形態では、前記経口投与形態がさらにフルクトオリゴ糖を有する。
【0207】
前記組成物の一実施形態では、前記フルクトオリゴ糖が、前記経口投与形態の約1グラム~約1.5グラムを有する。
【0208】
前記組成物の一実施形態では、前記フルクトオリゴ糖が前記経口投与形態の約3グラム~約4グラムを有する。
【0209】
前記組成物の一実施形態では、前記経口投与形態が約200mg~約300mgのアントシアニンを有する。
【0210】
また、本明細書の一実施形態では、腸の過透過性を治療する方法が提示される。
【0211】
前記方法の一実施形態では、前記方法が、被験者に腸の健康を促す組成物を投与する工程を含むことができる。
【0212】
本方法の一実施形態では、前記腸の健康を促進する組成物が、腸過透過性を治療するのに十分な量で、シアニジンおよびデルフィニジンを併用して有する。
【0213】
前記方法の一実施形態では、前記腸の健康を促進する組成物がさらにプレバイオティック混合物を有する。
【0214】
前記方法の一実施形態では、前記腸の健康を促進する組成物がさらにフルクトオリゴ糖を有する。
【0215】
本方法の別の実施形態では、前記腸の健康を促進する組成物の投与を毎日行うことができる。
【0216】
本方法の一実施形態では、前記投与を午前中に行うことができる。
【0217】
本方法の一実施形態では、前記投与を少なくとも3週間に行うことができる。
【0218】
本明細書の一実施形態では、被験者の消化管上皮細胞のタイトジャンクションの整合性を最大限とすることを有する、前記被験者の胃腸の健康と関連した状態または疾患を治療する方法が提示される。
【0219】
本方法の一実施形態では、前記被験者の胃腸の健康が、前記方法を実施する前の前記被験者の胃腸系の健康と比較して改善する。
【0220】
前記方法の一実施形態では、前記被験者の改善した腸の健康が、前記方法を実施する前の被験者の腸の習性と比較し、前記被験者の腸の習性を改善する工程を有する。
【0221】
前記方法の一実施形態では、前記被験者の改善した胃腸の健康が、前記方法を実施する前の腹部膨満、不快感、放屁、またはそれらの組み合わせの発生と比較し、腹部膨満、不快感、放屁、またはそれらの組み合わせの発生を軽減する工程を有する。
【0222】
前記方法の一実施形態では、前記被験者の改善した胃腸の健康が、腸の過透過性を軽減する工程を有する。
【0223】
前記方法の一実施形態では、前記被験者の改善した胃腸の健康が、前記方法を実施する前の腸のdysbiosisレベルと比較し、腸のdysbiosisを改善する工程を有する。
【0224】
前記方法の一実施形態では、前記被験者の改善した胃腸の健康が、便中カルプロテクチン値低下を有する。
【0225】
前記方法の一実施形態では、前記被験者の改善した胃腸の健康が、短鎖脂肪酸値の上昇を有する。
【0226】
前記方法の一実施形態では、前記状態または疾患が、炎症、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、慢性腸疾患、セリアック病、クローン病、潰瘍性大腸炎、食物不耐症、消化不良、低レベルの慢性的腸炎、胃腸感染、またはそれらの組み合わせを有する。
【0227】
前記方法の一実施形態では、前記炎症が全体的に軽減する。
【0228】
前記方法の一実施形態では、前記炎症が73%まで軽減する。
【0229】
前記方法の一実施形態では、腸の健康を促進する組成物を3週間補充することで、炎症性バイオマーカーが穏やかに減少する。
【0230】
前記方法の一実施形態では、前記状態または疾患が栄養素の吸収不十分、内毒血症、腸過透過性、またはそれらの組み合わせを有する。
【0231】
前記方法の一実施形態では、前記状態または疾患が肥満、肥満関連症状、アレルギー、心血管系の病状、I型糖尿病、II型糖尿病、関節リウマチ、インスリン抵抗性、癌、代謝症候群、喘息、神経変性疾患、またはそれらの組み合わせを有する。
【0232】
前記方法の一実施形態では、前記状態または疾患が心血管系の状態である。
【0233】
前記方法の一実施形態では、前記心血管系の状態が、心血管系治療薬を服用していない被験者の高密度リポ蛋白コレステロール増加である。
【0234】
前記方法の一実施形態では、前記心血管系の状態がHbA1c値の低下を有する。
【0235】
前記方法の一実施形態では、前記HbA1c値の低下が糖尿病前段階の値から正常値までである。
【0236】
前記方法の一実施形態では、前記心血管系の状態が血漿ゾヌリン値の低下を有する。
【0237】
前記方法の一実施形態では、前記状態が末梢インスリン抵抗性であり、前記方法が末梢インスリン抵抗性を低下させる。
【0238】
前記方法の一実施形態では、状態または疾患はI型糖尿病またはII型糖尿病である。
【0239】
前記方法の一実施形態では、前記状態または疾患が、一酸化窒素関連疾患、iNOSの発現、COX-2の発現、NADPHオキシダーゼ、またはそれらの組み合わせを有する。
【0240】
前記方法の一実施形態では、前記状態または疾患が、前記消化管の上皮細胞のタイトジャンクションを通過する病原体、抗原、および炎症誘発性因子に由来する。
【0241】
前記方法の一実施形態では、タイトジャンクションの整合性を最大限とする工程に、前記被験者の消化管をTNFαで誘導される上皮細胞単層の透過性亢進から保護する工程を有する。
【0242】
前記方法の一実施形態では、前記保護因子の量が、前記被験者の消化管のシアニジンおよびデルフィニジン量に依存した濃度である。
【0243】
前記方法の一実施形態では、前記方法がさらに、前記上皮細胞の経上皮電気抵抗を上昇させる工程を有する。
【0244】
前記方法の一実施形態では、前記方法がさらに、FITCデキストランの傍細胞輸送を亢進する工程を有する。
【0245】
前記方法の一実施形態では、前記状態が炎症誘発性因子に由来し、前記炎症誘発性因子が終末糖化産物を有する。
【0246】
前記方法の一実施形態では、前記状態が炎症誘発性因子に由来し、前記炎症誘発性因子がリポ多糖類を有する。
【0247】
前記方法の一実施形態では、前記状態が炎症誘発性因子に由来し、前記炎症誘発性因子がサイトカインである腫瘍壊死因子α(TNF-α)、IL-6、またはそれらの組み合わせを有する。
【0248】
前記方法の一実施形態では、前記状態または疾患が、シグナル伝達経路のNF-kB、ERK1/2、またはそれらの組み合わせと関連した状態または疾患と関連する。
【0249】
前記方法の一実施形態では、前記タイトジャンクションの整合性を最大限とする工程が、高脂肪で誘導される腸の透過性亢進を軽減する。
【0250】
前記方法の一実施形態では、前記上皮細胞がCaco-2細胞単層を有する。
【0251】
前記方法の一実施形態では、前記方法が消化管の腸微生物叢のバランスを最適化する工程を有する。
【0252】
前記方法の一実施形態では、腸微生物叢のバランスを最適化する工程が、前記方法の実施前の消化管における共生細菌値より高く、前記消化管の共生細菌レベルを上昇させる工程を有する。
【0253】
前記方法の一実施形態では、前記共生細菌がビフィドバクテリウム属に属する。
【0254】
前記方法の一実施形態では、前記共生細菌がバクテロイデス門に属する。
【0255】
前記方法の一実施形態では、前記共生細菌がbacterdies caccae、bacteriodes uniformis、またはそれらの組み合わせを有する。
【0256】
前記方法の一実施形態では、前記被験者に前記方法を8週間毎日実行した後の前記共生細菌の増加が少なくとも20%であった。
【0257】
前記方法の一実施形態では、腸微生物叢のバランスの最適化が、細菌の多様性を増大させる工程を有する。
【0258】
前記方法の一実施形態では、前記細菌の多様性が少なくとも200種を有する。
【0259】
前記方法の一実施形態では、前記方法が、前記方法の実行前の有害な腸細菌のレベルと比較し、有害な腸細菌レベルを低下させる工程を有する。
【0260】
前記方法の一実施形態では、前記有害な腸細菌がフィルミクテス門を有する。
【0261】
前記方法の一実施形態では、前記被験者に前記方法を8週間毎日実行した後の前記フィルミクテス門の減少が15%以上の減少であった。
【0262】
前記方法の一実施形態では、前記フィルミクテス:バクテロイデス比が前記被験者に前記方法を8週間毎日実行した後約3%減少した。
【0263】
前記方法の一実施形態では、前記有害な腸細菌が放線菌門を有する。
【0264】
前記方法の一実施形態では、前記被験者に前記方法を8週間毎日実行後の前記放線菌門の減少が少なくとも5%であった。
【0265】
前記方法の一実施形態では、前記有害な腸細菌がヘリコバクター・ピロリを有する。
【0266】
前記方法の一実施形態では、前記有害な腸細菌がクロストリジウム属を有する。
【0267】
前記方法の一実施形態では、前記有害な腸細菌がクラブシエラ属を有する。
【0268】
前記方法の一実施形態では、前記方法が共生細菌の燃料源を提供する工程を有する。
【実施例1】
【0269】
CACO-2細胞バリア整合性の腫瘍壊死因子αで誘導される喪失に対するアントシアニン(AC)の効果に関する卓上試験
アントシアニン(AC)と、様々なタイプのACを含み、AC含有量の多い抽出物7種類の性能を測定し、Caco-2細胞単層の腫瘍壊死因子α(TNFα)で誘導される透過性亢進を抑制する性能を決定した。前記ACも検討し、ACの化学構造/立体構造の関係を決定し、前記AC含有量の程度を、Caco-2細胞単層のTNFαで誘導される透過性亢進を抑制する前記ACの保護効果の程度に対して決定した。
【0270】
材料
Caco-2細胞はアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(米国マサチューセッツ州Rockville)から入手した。
【0271】
細胞培養培地および試薬はInvitrogen/Life technologies (米国ニューヨーク州Grand Island)のものであった。
【0272】
HBSS 1X(21-022-CV)はCorning(米国バージニア州Manassas)から入手した。
【0273】
ミリセル細胞培養インサート12mmおよび30mm(孔径0.4μmのポリエステル膜)(それぞれPIHP01250およびPIHP03050)はEMD Millipore(米国カリフォルニア州Hayward)から入手した。
【0274】
フルオレセインイソチオシアネート(FITC)-デキストラン(46944-100MG-F)およびヒト腫瘍壊死因子α(TNFα)(T6674-10UG)は、Sigma Chem.Co.(米国ミズーリ―州St. Louis)から入手した。
【0275】
ヒトインターフェロンγ(IFN-γ)(#8901SC)はCell Signaling Technology(米国マサチューセッツ州Danvers)から入手した。
【0276】
純粋なアントシアニン:デルフィニジン3-O-グルコシド(myrtillin)(0938)、シアニジン3-O-グルコシド(kuromanin)塩化物(0915S)、およびマルビジン-3-O-グルコシド(oenin)(0911S)は、Extrasynthese(フランス、Genay Cedex)から入手した。
【0277】
前記アントシアニン含有量の多い粉末抽出物は、Pharmanex Research(Nu Skin Enterprises)より提供を受け、ブラックチョークベリー抽出物粉末(全AC 35%)、黒米抽出物(全AC 20%)、ワイルドブルーベリー抽出物(全AC 5%)、ビルベリー抽出物(全AC 36%)、クロウベリー抽出物粉末(全AC 30%)、ブルーベリー抽出物(全AC 25%)、およびレッドグレープ抽出物(全AC最低10%)を含んでいた。
【0278】
方法
化学構造の解像は、ChemBio3D Ultra 11.0.1(Cambridge Scientific Computing, Inc.)で利用できる所定の方法を利用し、Allingerに従って、分子力学(MM2)により行った。前記アントシアニンの構造は
図5~9に示す。
【0279】
Caco-2細胞は、フェノールレッドを含まない最小必須培地(MEM)で37℃、5%(v/vl)CO2雰囲気下で培養した。前記MEM培地に10%(v/v)ウシ胎仔血清、抗生物質(50μg/mlペニシリン、および50μg/mlストレプトマイシン)、1%非必須アミノ酸(NEAA)、および1%ピルビン酸ナトリウムを添加した。前記細胞をコンフルエントに達してから21日間培養し、腸上皮細胞に分化させた。前記21日間で前記培地は3日ごとに交換した。
【0280】
21日後、前記caco-2をMillicell細胞インサート(30mm、孔径0.4μmのポリエステル膜)で分極単層に分化させ、6ウェルプレートに播種した。頂端チャンバーは1.5mlの培地で構成された。頂端チャンバーに20%(v/v)エタノールに溶解した15μlの1mg/ml抽出物溶液を最初に追加後、細胞を37℃、5%(v/vl) CO2でインキュベートした。
【0281】
検体採取は0時間、1時間、3時間で行った。最初の時点で15μlの培地を頂端チャンバーから取り出し、同量の抽出物を加えた。前記プレートをゆっくり攪拌し、200μlの検体を上部チャンバーから直ちに取り出した。1時間および3時間の時点で頂端および側底チャンバーの検体を採取した。すべての検体を直ちに2.5μLの12M HClで酸性化し、分析まで-80℃の冷凍庫に静置した。
【0282】
前記細胞層と相互作用した後のポリフェノール性代謝物は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)-質量分析(MS)/MSにより各抽出物で同定された。前記液体クロマトグラフィーは、ダイオードアレイ検出器(DAD)と連結したAgilentシリーズ1200装置(Agilent Technologies、米国カリフォルニア州Santa Clara)で行い、波長280nmおよび520nmで前記細胞をモニターした。Phenomenex Kinetex F5ペンタフルオロフェニルHPLCカラム(2.6μM、100×4.6mm)とSecurityGuard(登録商標)カートリッジ(PFP、4.0×2.0mm)を、0.70mLmin-1の流速、37℃の温度で?分離に用いた。7μLの注入でインジェクターの温度は4℃に設定した。1.0%ギ酸(v/v)水溶液(移動相A)および1.0%ギ酸(v/v)アセトニトリル溶液(移動相B)から成るバイナリ勾配を利用した(Fisher Scientific、米国ニュージャージー州Fair Lawn)。勾配は、0分で1% B、7分で7.5% B、14分で7.6% B、17分で10% B、18.5分で12% B、24分で30% B、25分で90% B、26~30分で1% Bとした。質量スペクトルデータは、エレクトロスプレー注入を用いたAgilent 6430三連四重極質量分析計(Agilent Technologies、米国カリフォルニア州Santa Clara)を用い、取得モードとして多重反応モニタリング(MRM)を選択して測定した。光学MS/MS線源パラメーターは、ネブライザ―40psi、キャピラリー電圧+4000V(または-3500V)、ガス温度325℃、流量5L-minに設定した。シースガスは250℃、リース流量は11L-minであった。
【0283】
アントシアニン標準品は、マルビジン-3-O-グルコシド、シアニジン-3-O-グルコシド、シアニジン-3-O-ガラクトシド、デルフィニジン-3-O-グルコシド、ペラルゴニジン-3-O-グルコシド、およびペオニジン-3-O-グルコシドから成った(Extrasynthese、フランスGenay Cedex)。検出されたが標準品がなかったアントシアニンは、マルビジン-3-O-グルコシドと等価として定量した。フェノール酸標準品にはシリンガ酸、バニリン酸、プロトカテク酸、4-ヒドロキシ安息香酸、没食子酸(Sigma-Aldrich、米国ミズーリ州St.Louis)、および3-O-メチル没食子酸(Extrasynthese、フランス、Genay Cedex)を含んでいた。フロログルシノールアルデヒドはSigma-Aldrich(米国ミズーリ州St.Louis)から供給された。
【0284】
経上皮電気抵抗(TEER)を測定するため、細胞をtranswellインサート(12mm、孔径0.4μmのポリエステル膜)で培養して分極単層に分化させ、12ウェルプレートに播種した。最初に上皮細胞単層をインターフェロン-γを用いて24時間インキュベートし、TNF-α受容体をアップレギュレートした。次に、前記上部チャンバーの単層を30分間、アントシアニンを多く含む抽出物(1~10μg/ml)または精製化合物、またはミルチリンクロライド、クロマニンクロライドを用いてプレインキュベートし、0.25、0.5、および1μMの濃度でオエニンクロライドを頂端コンパートメントに加えた。この後、TNFα(5ng/ml)を側底コンパートメントに加え、さらに6時間細胞をインキュベートした。
【0285】
TEER評価を行うため、前記インキュベーション培地を頂端および側底コンパートメントから取り出し、細胞をHBSS 1Xで洗い流し、両コンパートメントに同じ溶液を加え、TEERを測定した。TEERは二重電極ボルトオームメータを含むMillicell-ERS Resistance System(Millipore、米国マサチューセッツ州Bedford)により測定した。
図10を参照。TEERは、
TEER=(Rm-Ri)xA (I)
として計算し、式中、Rm:膜貫通抵抗、Ri:無細胞培地の内因性抵抗、およびA:膜の表面積(cm
2)であった。
【0286】
傍細胞輸送を決定するため、FITC-デキストラン(4kDa)の頂端から側底のクリアランスを測定した。TNFαで6時間インキュベートした後、両コンパートメントの培地を新鮮血清およびフェノールレッドを含まないMEMと入れ替え、次に前記頂端コンパートメントにFITC-デキストランを加えて(最終濃度100μM)、3.5時間インキュベートさせた。この後、前記側底コンパートメントの培地100μlを回収し、HBSS 1X 100μlで希釈した。蛍光は蛍光プレートリーダーにおいて、λexc:485nmおよびλem: 530nmで測定した。データはStatview 5.0(SAS Institute Inc.、米国ノースカロライナ州Cary)を用い、一元配置分散分析(ANOVA)により分析した。Fisherの最小有意差検定を用い、群平均の差を検討した。P値<0.05を統計的に有意であるとみなした。データは平均±SEMとして示す。
【0287】
結果
HPLC-MS/MSで評価した様々な抽出物のAC濃度を表5に示す。
【表5】
様々な抽出物の総AC含有量は、抽出物1種類につき8.5~82μmol/gであった。個々のACにより、前記含有量は、シアニジン、デルフィニジン、ペツニジン、ペオニジン、およびマルビジンのグリコシドそれぞれで、抽出物1種類につき0~30.05、0~37.43、0~9.70、0~3.45、および0~34.56μmol/gであった。
【0288】
検討した抽出物にみられたACの非グリコシル化体(アントシアニジン)の化学構造および立体構造を
図5~9に示す。A環およびC環はすべてのシアニジンが同一であるが、前記C環に対する前記B環の位置はdiedric angle値が、シアニジン、デルフィニジン、ペツニジン、ペオニジン、およびマルビジンそれぞれで39、37、34、39、および43度であることが示された。前記B環の位置は、シアニジンおよびデルフィニジンの有益な性質に関与していてもよい。
図7~9に見ることができるとおり、ペツニジン、ペオニジン、およびマルビジンは前記B環を同じ位置に組み込んでいない。
【0289】
クロウベリー抽出物は総AC含有量が最も高く、82mol/gであり、個々のAC(シアニジン、デルフィニジン、ペツニジン、ペオニジン、およびマルビジングリコシド)の多様性が大きいものの1つであった(これよりも多様性が高いものはビルベリーのACのみ)。したがって、前記クロウベリー抽出物は、ACが多く含まれる抽出物がCaco-2単層のTNFα誘導透過性亢進を予防する濃度依存性の性能を決定するために選択され、TEERおよびFITC-デキストラン傍細胞輸送の測定により評価した。Caco-2単層は低部チャンバー(Caco-2単層の側底側)に5ng/ml TNFαが存在する状態でインキュベートした。これにより、TEERは有意に低下し(28%、p<0.05)、FITC-デキストラン傍細胞輸送は増加した(220%、p<0.05)。これらの所見は、今回の実験条件では、TNFαがCaco-2単層の透過性亢進を増大させたことを示している。クロウベリー抽出物(1~10μg/ml)を上部チャンバー(Caco-2単層の頂端側)に追加することで、前記単層TEERの濃度依存的回復と低部チャンバーへのTNFα誘導性FITC-デキストラン輸送の抑制を引き起こした。
図11~12に見ることができるとおり、抽出物量が増加するとTEER値は上昇し、抽出物量が増加すると傍細胞輸送値も低下した。これは、用量依存的作用を示していた。次に、ACが多く含まれる抽出物すべてについて、TNFα誘導性のCaco-2細胞単層の透過性亢進抑制の相対的能力を決定した。5μg/mlの濃度では、前記抽出物は、TEERおよびFITC-デキストラン傍細胞輸送に対するTNFα誘導性の変化を阻害する示差効果を有した。
図13および14を参照。
【表6】
前記ブラックチョークベリー(1)、黒米の穀粒(2)、およびブルーベリー(6)抽出物はTEERのTNFα誘導性変化の阻害に最も効果的であったが、黒米の穀粒(2)、ビルベリー(4)、およびクロウベリー(5)抽出物はFITC-デキストラン傍細胞輸送に対するTNFα誘導性変化の阻害に最も効果的であった。前記抽出物のTNFα誘導性単層透過性亢進に対する予防効果は濃度依存的であった。
【0290】
前記抽出物に存在するACがCaco-2細胞バリアの整合性に対する前記抽出物の有益な作用に関与しているか否かを評価するため、TEERと全体および個々の抽出物のAC含有量との関係を評価した。TEER値は総AC含有量、または前記抽出物中のペオニジン、マルビジン、およびペツニジングリコシド含有量との間に有意な相関関係はなかったが、TEER値は前記抽出物のシアニジン(r:0.73)およびデルフィニジン(r:0.81)グリコシド含有量と有意に(p<0.03)関連しており(
図15および16参照)、これらの具体的ACの保護効果を示唆していた。
【表7】
【表8】
エピカテキンおよびカテキンは、TNFαで誘導される腸のバリア整合性の消失を予防することが発見された。
図17~20を参照。
【実施例2】
【0291】
毒性試験
毒性試験は、シアニジン、デルフィニジン、およびプレバイオティック混合物を有する組成物をWistarラットに90日間経口投与後の毒性を判定するために行った。本試験では、用量反応関係および無毒性量の測定も評価した。
【0292】
材料-環境
健康なWistarラット(Rattus norvegicus)をランダムに選択し、本試験に入れた。6~8週齢の雌ラット60匹および雄ラット60匹を6群に割り付けた。
【0293】
ラットは1匹ずつ標準サイズ(40.5×24×18.5cm)のポリカーボネートケージで飼育し、滅菌したトウモロコシくずを床敷とした。床敷は毎週、およびラットを清潔で乾燥した状態にしておくために必要なだけ交換した。
【0294】
室温は22±3℃、相対湿度は30~70%で維持した。人工光は12時間点灯、12時間消灯のサイクルとした。動物室では1時間に最低12回換気を行った。
【0295】
ラットにはペレット状の齧歯類用飼料を与え、ろ過水を自由に摂取させた。水はステンレス鋼の給水先管を付けたポリカーボネート製のボトルに入れた。
【0296】
方法
選択したラットを獣医師が検査し、初回投与前に5日間試験条件に順化させた。コンピュータ作成した無作為化表により、試験開始前にラットを6群に割り付けた。ラットの体重のばらつきは最小限であり、平均体重の±20%を超えなかった。
【表9】
経口製剤は毎回投与日に調製した。前記製剤は水溶液に溶解した。高用量はヒト用量と同等であると予想された。
【0297】
前記製剤はブルーベリー抽出物(3.6%)、クロスグリ抽出物(5.2%)、黒米抽出物(15.6%)、チコリーイヌリン(48%)、および短鎖フルクトオリゴ糖(27.6%)から成り、1日1回、毎日同時刻に90日間連続で経口投与した。投与した製剤の量は10ml/kg体重であった。
【0298】
すべてのラットの臨床徴候および症状を毎日観察した。ラットは1匹ずつホームケージで観察し、ケージから取り出し、手に持って観察、ケージ外の広い場所で観察し、感覚反応も観察した。前記ホームケージでは、ラットの姿勢、呼吸数および範囲、間代性不随意運動、緊張性不随意運動、発声、および眼瞼閉鎖状態を観察した。手に持って観察する際は、ラットの眼瞼閉鎖状態、流涙、眼および皮膚検査、立毛、および流涎を観察した。ケージ外の広い場所で観察する際は、ラットの歩行、移動度、覚醒状態、呼吸、間代性運動、緊張性運動、発声、飼育、尿プール、糞塊、常同性、および奇異な行動を観察した。感覚反応の観察では、クリック応答、接触反応、テールピンチ反応、および接近反応を含む、ラットの感覚反応を評価した。
【0299】
ラットは1日目、試験中は週1回、および剖検日に体重を測定した。
【0300】
投与最終週に尿を採取し、物理的パラメーターおよび顕微鏡検査を分析した。尿を採取するため、ケージの底に目盛管を取り付けた代謝ケージでラットを16~18時間飼育した。
【0301】
91日目、血液および化学分析のため採血を行ってから剖検し、採血前の16~18時間は一晩絶食とした。91日目、1~4群の動物をCO2の過量投与により剖検し、身体検査を行った。頭蓋腔、胸腔、および腹腔を開き、肉眼で検査した。臓器は組織と脂肪を落とし、計量した。次に臓器および組織を集め、改変デビッドソン(Davidson)固定液に固定した睾丸を除き、10%緩衝ホルマリンに保存した。105日目、5~4群の動物を剖検し、身体検査を行い、臓器を計量した。
【0302】
結果
試験中、身体所見はほとんど正常であり、および/または全群で一貫しており、毒性はわずかであると判断された。間代性または強直性行動は認められなかった。唯一の奇異な行動は紙を噛む行動であった。紙を噛む行動は、対照群を含むすべての群で毎日観察された。接触反応および接近反応は速かった。テールピンチは尻込みとして観察し、瞳孔反応は正常であった。
【0303】
投与群と対照群の血液および臨床化学検査では、有意な差は示されなかった。尿化学検査では実験群すべてに有意な差は示されず、G1~G4群のラットで同等であった。
【0304】
平均体重は試験群で同等であった。前記平均体重は試験中、徐々に増加した。食餌摂取量に変化は認められなかった。臓器重量の比にわずかな変化が記録されたが、毒物学的に重要ではないと考えられた。組織病理学的損傷は雄雌両方、対照群でランダムに分布した。したがって、前記損傷は事実上ランダムと考えられた。
【0305】
本試験は、前記製剤が本試験で投与された用量のいずれにおいても、物理的、生理的、神経行動学的、生化学的、血液学的、および組織病理学的パラメーターに有意な毒性変化を生じないと結論付けた。投与に伴い、毒物学的に有意と考えられる変化はなかった。
【実施例3】
【0306】
動物試験1
高脂肪食により誘導した肥満のマウスモデルを用い、アントシアニンが豊富な食事が肥満で誘導される腸の炎症、腸バリア透過性の亢進、およびインスリン抵抗性を予防および/または軽減する潜在的性能を検討した。アントシアニン補充が高脂肪食で誘導される(a)腸の炎症、(b)腸透過性、(c)腸微生物叢、および(d)アントシアニン代謝の変化に及ぼす影響を評価した。
【0307】
材料
Jackson laboratoriesから60匹の健康な雄C57BL/6Jマウス(20~23g)を入手し、標準的なステンレス鋼ケージで飼育した(4匹/ケージ)。マウス用のケージと床敷を使用し、強化環境を提供した。マウスは1週間順化してから、投与を開始した。マウスをグループ分けし(10匹/群/時点)、対照食、対照食+アントシアニン、高脂肪食、高脂肪食+2%アントシアニン、高脂肪食+20%アントシアニン、または高脂肪食+40%アントシアニンのいずれか1種類を与えた。これらの食餌の成分を以下に説明する。
【0308】
対照食TD.06416はHarlen Teklad(米国ウィスコンシン州)から入手し、脂肪をカロリーの約10%に調節した。
【0309】
高脂肪食TD.06414はHarlen Teklad(米国ウィスコンシン州)から入手し、60%脂肪食であった。この食餌は時間とともに体重を増加させ、肥満を発症させることが知られている。体重増加と並行して、この食餌は脂質値(トリグリセリド、コレステロール、および脂肪細胞の蓄積)の上昇、血糖値の上昇、インスリン非感受性の発症、および長期間与えた場合は糖尿病を発症させることが知られている。
【0310】
アントシアニン混合物はNu Skin Enterprisesから入手した。前記混合物は黒米抽出物、クロスグリ抽出物、およびブルーベリー抽出物を含んでいた。
【0311】
方法
マウスをステンレス鋼ケージで飼育した。1ケージで4匹のマウスを飼育した。各群のマウスは10匹とした。
【表10】
各マウス群に上記の特別食のうち1種類を与えた。食餌摂取量は毎週モニターした。体重は2週間ごとに測定し、新鮮な食餌を用意した。糞便は0、2、4、6、8、10、および12週目に採取、検査した。尿は4週目および10週目に採取した。強制飼養は8週目および13週目に回収した。採血は10週目および12週~13週目の途中で行った。14週目にマウスを安楽死させた。
【0312】
腸の透過性亢進を測定するため、FITCデキストリンの傍細胞輸送を8週目に強制飼養により行った。
【0313】
遺伝子アレイは前記消化管の様々な部位で行った。
【0314】
タイトジャンクションの整合性は、タイトジャンクションタンパク質の発現および制御メカニズムの評価として測定した。
【0315】
炎症は、腸粘膜のF480+マクロファージ浸潤、血漿のCRP、TNF、MCP-1、および肝/腸粘膜のiNOSを測定することで決定した。
【0316】
さらに、10週目および11週目にITT/GTTsを行い、インスリン感受性、腸の健康、および微生物叢の関連性を判定した。
【0317】
結果
前記食餌療法中、各群のマウスは着実に体重を増加させた。最も体重増加が大きかったのは0~8週目で、最も増加が少なかったのは8~12週目であった。高脂肪食および高脂肪食+2% ACを与えたマウスは、全体的に試験中最も体重を増加させた。
【表11】
脂肪源から60%のカロリーを補充した食餌を与えたマウスは、前記食餌から8~16週以内に肥満、インスリン抵抗性、および腸透過性亢進を発症した。
【0318】
体重が増加したにもかかわらず、高脂肪食を与えたマウスが摂取した食餌量は、対照食を与えたマウスが摂取した食餌量よりも少なかった。各群が摂取した食餌量は試験中、毎週2~5グラムであった。対照食および対照+アントシアニン食を与えた動物は、毎週3 1/4~4 1/2グラムの食餌を摂取することが多かった。高脂肪食および高脂肪+アントシアニン食を与えた動物は、毎週2 1/4~3 1/4グラムの食餌を摂取することが多かった。エネルギー摂取量は各群で同等であった。この試験は食餌と全体重との関連性を強固なものにしたが、前記試験はアントシアニン補充が一般に全体的な体重増加傾向を抑制することを示していた。
【0319】
さらに、前記マウスの結腸全長と体重を測定した。
図21、22、および23。FTC-デキストラン透過性、腸透過性、および内毒素も測定した。それぞれ、
図24、25、および26。高脂肪食を与えたマウスは傍細胞輸送が最高であり、腸透過性が高いことを示していた。高脂肪食では少量のアントシアニン追加でさえも、腸透過性を抑制し、または低レベルに維持した。高脂肪食を与えたマウスは内毒素量も多かった。
【0320】
血液検査の血糖値およびインスリン濃度を
図27および28に示す。
【表12】
高脂肪食および20% ACを有する食事を与えたマウスは、最も高い血糖値およびインスリン値を示した。さらに、内毒素が増加するにつれ、耐糖能および空腹時インスリン値も上昇した。
図29および30。エンドトキシン値はIL-6およびIL-1α値が上昇すると上昇したが、1L-β値はエンドトキシン値との関連性を示す傾向は示さなかった。
図31~33。
【0321】
HOMA-IR(インスリン抵抗性の恒常性モデル評価、これはインスリン感受性のバイオマーカーである)、アディポネクチン、およびレプチン値についても、それぞれ
図34、35、および36に示す。アディポネクチンは抗アテローム生成性、抗炎症性、および抗糖尿病性を有する脂肪細胞由来のサイトカインであり、肥満では減少する。レプチンは別の脂肪細胞由来サイトカインであり、満腹およびエネルギー消費の制御に関与する。レプチン非感受性はインスリン非感受性同様、体重増加および肥満と関連していた。グレリンは食欲を刺激することが知られているホルモンである。
【0322】
さらに、トリグリセリドおよびコレステロール値は血漿、肝臓、および便で測定した。
図37~40を参照。予想どおり、高脂肪食により血漿中トリグリセリドが増加したが、この増加は3種類のAC投与すべてで予防された。
図37。
【0323】
高脂肪食によりこのマウスでは脂肪肝になることが十分確立されているため、肝トリグリセリド値およびコレステロール値も測定した。トリグリセリドは高脂肪食対照群で有意に増加したが、前記40% AC食では肝臓の脂質蓄積が予防され、肝臓のトリグリセリドは対照群、対照+AC群、およびHF+40% AC群で同等であった。
図38。コレステロール値は高脂肪食よりもアントシアニンを含む食餌すべてで低くなった。
図39および40。肝トリグリセリド値も前記高脂肪食よりも前記アントシアニンを含む食餌で低くなった。
図41。各食餌を与えたマウス肝臓およびその便の代表的画像は
図42および43に見ることができる。
【0324】
興味深いことに、便中のトリグリセリド値が最も高かったのは前記高脂肪食+40% AC食を摂取したマウスであり、前記アントシアニンが脂肪吸収を阻害したことを示唆しており、AC混合物が高脂肪食で誘導される肝脂肪変性およびインスリン非感受性を予防したという機序が考えられる。血漿コレステロール値は前記高脂肪食および前記高脂肪食+2%および20% Ac群を摂取したマウスで上昇し、40% AC食のみが血漿コレステロール値を減少させた。これは、アントシアニン含有補充食が血漿中の総コレステロール値を低下させることができることを示している可能性がある。高脂肪食群はすべて便中コレステロール値の上昇を示し、これは食餌にACを追加しても影響を受けないようにみえるパラメーターである。
【実施例4】
【0325】
ヒト試験
この試験は、アントシアニン、イヌリン、およびプレバイオティックファイバーを含む組成物が肥満成人の微生物構成に与える影響を決定するために実施した。
【0326】
材料
以下の表14の組成物1回量は、イヌリン1.9g、フルクトオリゴ糖1.1g、ブルーベリー144mg、クロスグリ抽出物206mg、および黒米抽出物618mgを含んだ。
【表13】
【0327】
方法
試験開始2週間前に初期スクリーニングを実施した。前記初期スクリーニング中、参加候補者は病歴を照査し、すべての併用療法を示し、選択基準および除外基準を特定した。参加候補者の安静時血圧、心拍数、体重、身長、および体格指数も測定した。適宜、妊娠検査を行った。
【0328】
2週間の試験期間終了後、81例の参加者が本試験に登録された。前記参加者は主に女性(73%)かつ白人(93%)であった。受け入れが決まった参加者は20~60歳の男女であった。BMIの範囲は29.9~39.9±1kg/m2(29.2~40.6kg/m2)であった。参加者は試験期間中運動レベルを維持し、プレバイオティックおよびプロバイオティクスおよび/またはポリフェノール補充の利用を中止し、ベースライン評価前の2および試験中、アントシアニンを含む食物(ブルーベリー、ブラックベリー、サクランボ、ブドウ、ブドウジュース、ザクロ、ラズベリー、ハックルベリー、イチゴ、およびワイン)の摂取を中止することに同意した。
【0329】
参加者は、毎朝朝食時に製剤1袋を好きな飲料または食物と混ぜて摂取するように指示された。参加者が摂取を忘れた場合は、思い出した時点で次の摂取をするように指示された。参加者は1日1袋以上摂取することはできなかった。また参加者は、併用療法、有害事象、食事記録、毎日の排便習慣、および毎日の腹部不快感を日誌に記録した。さらに、参加者は腹部膨満および鼓腸に関する質問票に記入し、身体計測を評価した。
【0330】
前記参加者は初回評価時、および試験0日目、29日目、および57日目に研究チームと面会した。0日目および57日目に便検体、尿検体、および血液検体を採取した。
【0331】
便検体は0日目および57日目から48時間以内に採取した。微生物構成およびカルプロテクチンはウィスコンシン大学の研究室が便検体で測定した。微生物構成はイルミナプラットフォームおよびR&D Systems(米国ミネソタ州Minneapolis)で16s rRNAにより測定した。
【0332】
検査パラメーター(CBC、電解質(N、K、Cl、Ca)、HbA1c、クレアチニン、AST、ALT、GGT、およびビリルビン)は初回評価および試験終了時に評価した。
【0333】
尿スクリーニングはKGK Synergizeクリニックで行った。血液パラメーターは標準的方法によりLifeLabsの中央検査室が測定した。
【表14】
【0334】
データ入力および確認はKGK Synergizeの標準業務手順書に従って行った。統計解析は投与量の80%以上を摂取した参加者すべての結果をもとに行った。測定項目の正規性および対数正規性を検討した。非正規の測定項目は適切なノンパラメトリック検定により解析した。数値による有効性および評価項目は、対応のあるスチューデントt検定により有意性を正式に検定した。
【0335】
結果
当初試験に登録された51例中46例の参加者が試験を終了した。4例の参加者が0日目後、29日目に最初の比較測定を行う前に脱落した。1例は29日目~57日目の診察の間に脱落した。
【0336】
微生物多様性
前記組成物を補充した参加者は、フィルミクテス:バクテロイデス比の変化で示されるとおり、その微生物構成に良好な変化が生じた。
図44。前記比は4.98から1.45に低下した(フィルミクテス門は74.9%から59%に低下、バクテロイデス門は13.8%から34.5%に上昇した)。さらに、放線菌門は8.5%から3.4%に低下した。前記補充後、合計8門(細菌6門、古細菌1門、およびその他1門)および40属(放線菌7属、バクテロイデス門8属、ユーリ古細菌1属、フィルミクテス門2属、およびプロテオバクテリア門3属)が変化した。
【表15】
【表16】
【0337】
炎症
試験後、便中カルプロテクチン値が低下し、胃腸炎症が抑制される傾向を示していた。カルプロテクチン値は以下の表にまとめ、
図45に示す。
【表17】
【0338】
用便習慣
ベースラインと比較し、6週目および7週目でブリストル便性状スコアに5%の上昇が認められた。排便回数は試験中変化しなかったが、用便習慣は改善した。
図46。参加者は排便前(33%)および排便中止時(51~54%)のいきみが減少し、不完全な排便が減少したと報告した。
【表18】
【表19】
【0339】
腹部膨満、不快感、および放屁。
参加者の腹部膨満はベースラインと比較し、3週目から8週目に減少した(4週目41%、5週目52%、および8週目50%)。
図47。
【表20】
参加者は腹痛および放屁減少も経験した。放屁の重症度は5週目の22%から8週目の11%に低下した。
図47。
【表21】
【表22】
【0340】
バイタルサイン
参加者には、ベースラインから試験終了までに拡張期血圧の臨床的に重要ではない減少がみられた。
【表23】
【0341】
結論
全体として、本試験は、前記製剤が軽度から中等度の肥満であるが、それ以外はまだ健康な個人の腸微生物叢を改善できることを示した。試験中、参加者には前記フィルミクテス門の有意な減少とバクテロイデス門の割合の有意な増加がみられた。フィルミクテス:バクテロイデス比は補充療法により0日目から57日目まで低下した。前記比は4.98から1.45に変化した。さらに、放線菌レベルが低下した。これら3門は、ベースライン時(97.2%)および補充療法後(96.9%)では、前記細菌構成の約97%を構成する。
【0342】
本試験では参加者18例で30件の有害事象が記録された。報告された30件の事象のうち、11件は可能性が低い、7件は関連性がないと評価された。有害事象の2例は可能性ありと判断され、糞便変色および歯の変色が含まれた。やや可能性がある有害事象10件には、腹部不快感、下痢、糞便変色、排便回数増加、および嘔吐が含まれた。
【0343】
製剤、これらの製剤の製造方法、および前記製剤の使用が報告された。ただし、明らかな性質には、本発明の精神から離れずに様々な変更および修飾を行うことができ、そのような変更および修飾はすべて、添付の請求項で定義される本発明の範囲に入ると考えられることは、当業者に容易に明らかとなる。そのような変更および修飾には、これに限定されるものではないが、前記カプセル、錠剤、粉末、ローション、食品、粉末、またはバー製造プロセス、およびビタミン、香味料、および担体に作用するように添加される初期成分を含む。他のこのような変更および修飾には、上述の好適な実施形態の組み合わせを含むハーブまたは他の植物製剤の使用を含む。本明細書に説明した実施形態の多くの追加変更形態および変形形態は、当業者に明らかなとおり、前記範囲から離れずに行うことができる。本明細書で説明される具体的な実施形態は、例としてのみ提供される。