IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニーの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】低pH布地ケア組成物
(51)【国際特許分類】
   C11D 17/08 20060101AFI20240416BHJP
   C11D 7/26 20060101ALI20240416BHJP
   C11D 7/32 20060101ALI20240416BHJP
   C11D 7/44 20060101ALI20240416BHJP
   D06M 13/00 20060101ALI20240416BHJP
   D06M 13/188 20060101ALI20240416BHJP
   D06M 13/207 20060101ALI20240416BHJP
   C11B 9/00 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
C11D17/08
C11D7/26
C11D7/32
C11D7/44
D06M13/00
D06M13/188
D06M13/207
C11B9/00 Z
【請求項の数】 14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021210144
(22)【出願日】2021-12-24
(62)【分割の表示】P 2019196869の分割
【原出願日】2019-10-30
(65)【公開番号】P2022046637
(43)【公開日】2022-03-23
【審査請求日】2021-12-24
(31)【優先権主張番号】62/756,672
(32)【優先日】2018-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100209495
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 さおり
(72)【発明者】
【氏名】サラ・アン・デラニー
(72)【発明者】
【氏名】ケヴィン・マイケル・チャニー
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ・ジョン・ポーター
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン・ジョゼフ・ロックネイン
【審査官】林 建二
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-509806(JP,A)
【文献】特表2010-519421(JP,A)
【文献】特表2010-515839(JP,A)
【文献】特開2006-299501(JP,A)
【文献】特表2002-533537(JP,A)
【文献】特開平08-337969(JP,A)
【文献】特表2017-530263(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D 1/00-19/00
D06M 13/00-15/715
C11B 1/00-15/00
C11C 1/00-5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体布地ケア組成物であって、
前記液体布地ケア組成物の0.5重量%~10重量%の酢と、
前記液体布地ケア組成物に対して10重量%~30重量%の第2の有機酸であって、クエン酸、乳酸、アジピン酸、アスパラギン酸、カルボキシメチルオキシマロン酸、カルボキシメチルオキシコハク酸、グルタル酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、イミノ二酢酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、オキシ二酢酸、オキシ二コハク酸、コハク酸、スルファミン酸、酒石酸、酒石酸-二コハク酸、酒石酸-一コハク酸、又はこれらの混合物からなる群から選択される、第2の有機酸と、
前記液体布地ケア組成物の0.3重量%~5重量%の芳香物質であって、logPが2.5以下であることを特徴とする、芳香物質と、
前記液体布地ケア組成物の1重量%~20重量%の有機溶媒と、
前記液体布地ケア組成物の少なくとも30重量%の水とを含み、
前記液体布地ケア組成物は、未希釈pHが2~4であることを特徴とし、
前記液体布地ケア組成物は、洗浄性界面活性剤、漂白系及び布地柔軟化物質を実質的に含まない、液体布地ケア組成物。
【請求項2】
前記第2の有機酸が、クエン酸である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物が、ブルックフィールド粘度計及びASTM D 2196-99を用い、60RPM及び22℃における回転粘度測定によって決定される場合、粘度が1~200cpsであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物が実質的に染料を含まない場合、前記組成物は、1センチメートルのキュベットを使用して、410~800ナメートルの波長で、光透過率(T%)が少なくとも60%であることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
水性液体布地処理組成物であって、
有機酸系であって、酢酸及び第2の有機酸を含み、前記酢酸が、前記水性液体布地処理組成物の0.05重量%~2重量%の濃度で存在し、前記第2の有機酸が、前記水性液体布地処理組成物の10重量%~30重量%の濃度で存在し、前記第2の有機酸が、クエン酸、乳酸、アジピン酸、アスパラギン酸、カルボキシメチルオキシマロン酸、カルボキシメチルオキシコハク酸、グルタル酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、イミノ二酢酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、オキシ二酢酸、オキシ二コハク酸、コハク酸、スルファミン酸、酒石酸、酒石酸-二コハク酸、酒石酸-一コハク酸、又はこれらの混合物からなる群から選択される、有機酸系と、
前記水性液体布地処理組成物の0.3重量%~5重量%の芳香物質であって、logPが2.5以下であることを特徴とする、芳香物質と、
前記水性液体布地処理組成物の1重量%~20重量%の有機溶媒とを含み、
前記水性液体布地処理組成物は、未希釈pHが2~4であることを特徴とし、
前記水性液体布地処理組成物は、洗浄性界面活性剤、漂白系及び布地柔軟化物質を実質的に含まない、水性液体布地処理組成物。
【請求項6】
前記第2の有機酸が、クエン酸である、請求項に記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物が、前記酢酸と、前記第2の有機酸とを、1:300~1:1の重量比で含む、請求項又はに記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物が、pH4.0を達成するのに必要な、生成物100gあたりのNaOHのグラム数を表す予備酸性度が少なくとも1であることを特徴とする、請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物が、前記組成物の少なくとも50重量%の水を含む、請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記芳香物質の少なくとも50重量%が、天然由来の芳香物質である、請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記芳香物質が、果実抽出物を含み、前記果実抽出物は、レモン抽出物を含む、請求項10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記芳香物質が、ラベンダー抽出物、ローズマリー抽出物、タイム抽出物、バジル抽出物、及びこれらの混合物からなる群から選択される薬草抽出物を含む、請求項11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
液体布地ケア組成物の製造方法であって、
水性塩基を提供する工程と、
酢と前記水性塩基とを混ぜ合わせる工程と、
芳香物質と前記水性塩基とを混ぜ合わせる工程であって、前記芳香物質は、前記水性塩基に添加されると、logPが2.5以下である工程とを含み、
得られた液体布地ケア組成物は、未希釈pHが2~4であることを特徴とし、
得られた液体布地ケア組成物は、前記液体布地ケア組成物に対して0.5重量%~10重量%の前記酢及び前記液体布地ケア組成物に対して0.3重量%~5重量%の前記芳香物質を含み、
得られた液体布地ケア組成物は、前記液体布地ケア組成物に対して10重量%~30重量%の第2の有機酸を更に含み、前記第2の有機酸は、クエン酸、乳酸、アジピン酸、アスパラギン酸、カルボキシメチルオキシマロン酸、カルボキシメチルオキシコハク酸、グルタル酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、イミノ二酢酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、オキシ二酢酸、オキシ二コハク酸、コハク酸、スルファミン酸、酒石酸、酒石酸-二コハク酸、酒石酸-一コハク酸、又はこれらの混合物からなる群から選択され、
得られた液体布地ケア組成物は、前記液体布地ケア組成物に対して1重量%~20重量%の有機溶媒を更に含み、
得られた液体布地ケア組成物は、洗浄性界面活性剤、漂白系及び布地柔軟化物質を実質的に含まず、前記液体布地ケア組成物が実質的に染料を含まない場合、前記液体布地ケア組成物は、1センチメートルのキュベットを使用して、410~800ナメートルの波長で、光透過率(T%)が少なくとも60%であることを特徴とする、方法。
【請求項14】
前記芳香物質は、前記水性塩基と混ぜ合わされたときに乳化しない、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、酢及び/又は酢酸、芳香物質及び水を含む液体布地ケア組成物に関する。芳香物質は、logPが約2.5未満であることを特徴としていてもよく、組成物は、酸性pHであることを特徴としていてもよい。本開示はまた、このような組成物の製造方法及び使用方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
今日の消費者の多くは、天然起源の成分を含む消費者向け製品を使用することに継続的に関心があり、使用したいと望んでいる。その他の消費者は、「流行の」又は「再流行の」消費者向け製品を好み、これらの製品は、消費者の祖母達が使用していたかもしれない成分、方法又はブランドを使用するが、現代的な手段を取り入れている。
【0003】
酢は、両方の要求に適合し得る成分である。酢は、家の周囲の様々な処理用途に長い間使用されてきた。例えば、酢又はその溶液を使用し、シャワーヘッド又は水栓のスケールを落とし、床又は窓などの硬質表面を洗浄し、更には洗濯プロセスで布地を処理してもよい。
【0004】
しかし、酢は、典型的には、酢酸含有量に起因して、強い臭気を有する場合がある。消費者は、このような臭気を有する製品を好まないだろう。更に、このような製品で処理された表面(例えば、布地)は、消費者を大いにいらだたせる残留する酢の匂いを伴ってしまう場合がある。
【0005】
酢を含む消費者向け製品の消費者による受け入れを改善するために、製造業者は、この臭気を隠すために香料を使用しようと試みる場合がある。特定の芳香剤はまた、ある表面が綺麗であるか、又は別の様式で新鮮であるとの印象を消費者に与えることもできる。しかし、家庭用製品に一般的に使用される多くの芳香物質は、油であるか、又は他の様式で疎水性であり、このことは、このような香料と共に配合された水性製品が物理的に不安定であり得ることを意味している。
【0006】
水性製品への組み込みを改善するために、芳香物質を乳化してもよいが、乳化は更なる課題を引き起こす。例えば、多くの乳化剤(例えば、NEODOL(登録商標)ノニオン性界面活性剤(ex Shell)などの一般的なノニオン性界面活性剤は、合成によって作られ、天然由来の製品を求める消費者にとって望ましいものではない場合がある。乳化した液滴は、製品の更なる構造化を必要とする場合があり、費用が追加される。更に、香料の乳化した液滴によって、消費者に「純粋さ」を暗示する透明製品が望ましいときに、濁っているか、更には不透明な水性製品が得られる場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
酢を含有し、許容可能な安定性及び嗅覚特性を特徴とする消費者向け製品が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、特定の香料と組み合わせた酢酸及び/又は酢の使用を含む、布地ケア組成物及び方法に関する。
【0009】
例えば、本開示は、液体布地ケア組成物であって、布地ケア組成物の約0.1重量%~約20重量%の酢と、布地ケア組成物の約0.1重量%~約20重量%の芳香物質であって、logPが約2.5未満であることを特徴とする、芳香物質と、布地ケア組成物の少なくとも約30重量%の水とを含み、布地ケア組成物は、無希釈pHが1~6であることを特徴とする、水性液体布地ケア組成物に関する。
【0010】
本開示はまた、水性液体布地処理組成物であって、酢酸を含む有機酸系と、芳香物質であって、logPが約2.5以下であることを特徴とする、芳香物質とを含み、布地ケア組成物は、無希釈pHが約1~約6であることを特徴とする、水性液体布地処理組成物に関する。
【0011】
本開示はまた、液体布地ケア組成物の製造方法であって、水(例えば、少なくとも50%の水)を含む水性(液体)塩基を提供する工程と、酢と水性塩基とを混ぜ合わせる工程と、芳香物質と水性塩基とを混ぜ合わせる工程であって、芳香物質は、水性塩基に添加される場合、logPが2.5以下であることを特徴とし、得られた液体布地ケア組成物は、無希釈pHが約1~約6であることを特徴とする、方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示は、酢酸(例えば酢の形態で)と、芳香物質とを含む水性布地処理組成物に関する。酢酸は、酢の形態であってもよい。芳香物質は、多くの他の一般的な芳香物質と比較して、比較的親水性であるように選択される。このような親水性は、以下に更に詳細に記載されるlogP測定によって定量化されてもよい。
【0013】
理論に束縛されるものではないが、本明細書に記載される組成物及び関連する方法におけるこのような親水性芳香物質の選択は、従来の芳香物質と比べて1つ以上の利点を提供することができると考えられる。芳香物質は親水性であるため、典型的には水性組成物に溶解し、相安定性が改善される。それらの相対的な親水性に起因して、水性組成物に添加する前に芳香物質を乳化する必要はなく、加工工程、配合空間、及び/又は追加の材料(例えば、構造化剤及び/又は乳化剤など)を保存することができる。更に、親水性芳香物質は、実質的に透明な製品の製造をより容易に促進する。
【0014】
本開示の組成物及び方法の構成要素は、以下により詳細に記載されている。
【0015】
本明細書で使用される場合、特許請求の範囲で使用されるときの「a」及び「an」という冠詞は、特許請求又は記載されているもののうちの1つ以上を意味すると理解される。本明細書で使用される場合、「含む(include)」、「含む(includes)」、及び「含んでいる(including)」という用語は、非限定的であることを意味する。本開示の組成物は、本開示の構成要素を含み、それらから本質的になり、又はそれらからなることができる。
【0016】
本明細書では、「実質的に含まない(substantially free of)」又は「実質的に含まない(substantially free from)」という用語が使用され得る。これは、指示される材料が最小限の量であり、組成物の一部を形成するように意図的にその組成物に添加されたものでないこと、又は好ましくは、分析的に検出可能な濃度で存在しないことを意味する。それは、指示される材料が意図的に含まれる他の材料のうちの1つの中に不純物としてのみ存在する、組成物を含むことを意味する。指示される材料は、あったとしても、組成物の1重量%未満、又は0.1重量%未満、又は0.01重量%未満、又は更には0重量%の濃度で存在してもよい。
【0017】
本明細書で使用するとき、「布地ケア組成物」という語句は、布地処理用に設計された組成物及び配合物を含む。かかる組成物は、洗濯洗浄組成物及び洗剤、布地柔軟化組成物、布地強化組成物、布地消臭組成物、予洗い用洗剤(laundry prewash)、洗濯前処理剤、洗濯添加剤、スプレー製品、ドライクリーニング剤若しくは組成物、洗濯すすぎ添加剤、洗浄添加剤、すすぎ後布地トリートメント、アイロン助剤、単位用量配合物、遅延送達配合物、多孔性基材若しくは不織布シート上又は中に含有される洗剤、及び本明細書の教示を考慮すると当業者に明白であり得る他の好適な形態を含むが、これらに限定されない。かかる組成物を、洗濯前処理剤、洗濯後処理剤として使用してもよく、あるいは洗濯動作のすすぎ又は洗浄サイクル中に加えてもよい。
【0018】
別途記載のない限り、成分又は組成物の濃度は全て、当該成分又は組成物の活性部分に関するものであり、かかる成分又は組成物の市販の供給源に存在し得る不純物、例えば、残留溶媒又は副生成物は除外される。
【0019】
本明細書における全ての温度は、特に断らない限り、摂氏(℃)を単位とする。特に指示がない限り、本明細書における全ての測定は、20℃及び大気圧下で行う。
【0020】
本開示の全ての実施形態において、全ての比率(%)は、特に記載のない限り、全組成物の重量に対するものである。特に記載のない限り、全ての比は、重量比である。
【0021】
本明細書の全体を通して記載される全ての最大数値限定は、それよりも小さい全ての数値限定を、かかるより小さい数値限定があたかも本明細書に明確に記載されているかのように含むものと理解すべきである。本明細書の全体を通して記載される全ての最小数値限定は、それよりも高い全ての数値限定を、かかるより高い数値限定があたかも本明細書に明確に記載されているかのように包含する。本明細書の全体を通して与えられる全ての数値範囲は、かかるより広い数値範囲内に含まれるより狭い全ての数値範囲を、かかるより狭い数値範囲があたかも全て本明細書に明示的に記載されているかのように含むことになる。
【0022】
布地処理組成物
本開示は、布地処理組成物に関する。以下に更に詳細に記載されるように、組成物は、酢酸を含んでいてもよく、酢酸は、酢の形態であってもよい。酢酸は、有機酸系の一部であってもよい。組成物は、洗浄、柔軟性及び/又は洗いたての効果を標的布地に与え得る。例えば、酢酸及び/又は他の有機酸は、布地(特に、硬水中で洗浄した布地)に堆積し得る鉱物沈着物を除去し、改善された柔軟性をもたらすと考えられる。
【0023】
布地処理組成物は、液体組成物である。液体組成物は、比較的低粘度であってもよく、水と同様の粘度でさえあってもよい。消費者は、純度、天然らしさ及び/又は単純さとの関連により、かかる低粘度組成物を望む場合がある。組成物は、粘度が約1~約200、又は約150、又は約100、又は約75cps、又は約50cps、又は約30cps、又は約20cps、又は約15cps、又は約10cpsであることを特徴としていてもよい。本明細書で使用するとき、粘度は、以下の試験方法の項に提供される方法によって決定される。
【0024】
本開示の布地処理組成物は、酸性組成物である。本開示の布地処理組成物は、pHが7未満、又は約6未満、又は約5未満、又は約4未満、又は約3未満であることを特徴としていてもよい。本開示の布地処理組成物は、pHが、約1又は約1.5又は約2から、約6まで、又は約5まで、又は約4まで、又は約3まで、又は約2.5までであることを特徴としていてもよい。組成物は、pHが約2から約4まで、又は約3までであってもよい。
【0025】
以下に記載の有機酸に加えて、組成物は、緩衝剤及び/又は中和剤、例えば、苛性物質(例えば、NaOH)などの更なるpH調整剤を含んでいてもよい。
【0026】
本開示の組成物は、予備酸性度(Reserve Acidity)測定によって特性決定することができる。理論によって制限されることなく、予備酸性度測定は、組成物の酸性化力、すなわち、純粋又は蒸留水ではなく、水道水で大幅に希釈した状態で加えられるときに、組成物が標的となる酸性洗浄pH又はすすぎpHを与える能力の最良の指標であることがわかっている。予備酸性度は、無希釈製品pH及び、ある態様では、他の緩衝剤と共に、配合される有機酸の濃度によって調整されるだろう。本開示の組成物は、pH4.0に対する予備酸性度が少なくとも約1、又は少なくとも約3、又は少なくとも約5であってもよい。記載される組成物は、pH4.0に対する予備酸性度が約3~約10、又は約4~約7であってもよい。本明細書で使用される場合、「予備酸性度」は、pH4.0を達成するのに必要な、生成物100gあたりのNaOHのグラム数を指す。予備酸性度測定は、本明細書で使用される場合、標準化されたNaOH溶液を用い、pH4.00の終点までの製品の1%蒸留水溶液の(標準温度及び気圧での)滴定に基づく。
【0027】
本開示の布地処理組成物は、実質的に透明であってもよい。このような組成物は、純粋さ及び/又は天然起源(及びその結果、合成成分が含まれていないこと)との印象を消費者に与えてもよい。組成物は、1センチメートルのキュベットを使用して、410~800ナノメートル、又は570~690ナノメートルの波長で、光透過率(%T)が、少なくとも約50%、又は少なくとも約60%、又は少なくとも約70%、又は少なくとも約80%、又は少なくとも約90%、又は少なくとも約95%であることを特徴としていてもよく、組成物は、染料を実質的に含まない。本開示の目的のために、可視光範囲内の一波長が50%よりも高い透過率を有する限り、組成物は、実質的に透明/半透明であるとみなされる。
【0028】
開示される組成物は、22℃で等方性であってもよい。本明細書で使用される場合、「等方性」は、Beckman DU分光光度計を用い、染料が存在しない状態で、標準的な10mm光路長キュベットにより測定すると、波長570nmで50%を超える透過率%Tを有する、透明な混合物を意味する。透過率は、以下の試験方法の項に提供される方法によって決定される。
【0029】
又は、組成物の透明性は、可視光波長(約410~800nm)での0.3未満の吸光度を有するとして測定されてもよく、この値は、上述のキュベット及び波長を用いたときの少なくとも約50%の透過率に相当する。
【0030】
本開示の組成物は、単相中に存在してもよい。組成物は、以下の試験方法の項に提示される安定性方法に従って、安定であってもよい。
【0031】
有機酸
本開示の布地処理組成物は、1つ以上の有機酸を含む。布地処理組成物は、有機酸系を含んでいてもよく、有機酸系は、1つ以上の有機酸を含んでいてもよい。組成物は、少なくとも2つの有機酸を含んでもよい。有機酸系は、少なくとも酢酸と、クエン酸などの第2の有機酸とを含んでいてもよい。本開示の有機酸は、分子量が約80ダルトン未満であってもよい。
【0032】
本開示の布地処理組成物は、組成物の約1重量%~約40重量%の有機酸系を含んでいてもよい。有機酸系は、布地処理組成物の約1重量%から、又は約2重量%から、又は約3重量%から、又は約5重量%から、又は約10重量%から、又は約15重量%から、又は約20重量%から約40重量%まで、又は約35重量%まで、又は約30重量%まで、又は約25重量%まで、又は約20重量%までの濃度で存在していてもよい。
【0033】
本開示の布地処理組成物は、酢酸を含んでいてもよい。酢酸は、布地から特定の残渣を除去するのに役立ち、布地をより綺麗に、及び/又はより軟らかくすると考えられる。酢酸は、組成物の0.05重量%から、又は約0.1重量%から、又は約0.15重量%から、又は約0.2重量%から約5重量%まで、又は約3重量%まで、又は約2重量%まで、又は約1重量%まで、又は約0.5重量%まで、又は約0.3重量%までの濃度で存在していてもよい。
【0034】
酢酸は、酢として提供されてもよい。したがって、本開示の布地処理組成物は、酢を含んでもよい。酢は、組成物の約0.5重量%から、又は約1重量%から、又は約1.5重量%から、又は約2重量%から約20重量%まで、又は約15重量%まで、又は約10重量%まで、又は約5重量%まで、又は約4重量%まで、又は約3重量%までの濃度で存在してもよい。家庭用キッチンでの使用に好適な酢は、典型的には、酢の約4重量%~約5重量%の酢酸を含むが、より濃縮された形態が利用可能であり得る。
【0035】
酢酸の顕著な臭気に起因して、比較的低濃度の酢酸及び/又は酢が望ましい場合があるが、性能効果を与えるためには、ある程度の最小量が依然として望ましい場合がある。ホワイトビネガーは、典型的には、約4重量%~約5重量%の酢酸を含むが、本開示の組成物は、比較的低い濃度で酢酸を含んでもよい。酢酸又は酢の濃度が低い場合、組成物の性能は、クエン酸などの第2の有機酸の添加により改善され得る。
【0036】
本開示の布地処理組成物及び/又は有機酸系は、酢酸/酢に加えて、少なくとも第2の有機酸を含んでいてもよい。適切な第2の有機酸としては、クエン酸、乳酸、アジピン酸、アスパラギン酸、カルボキシメチルオキシマロン酸、カルボキシメチルオキシコハク酸、グルタル酸、ヒドロキシエチルイミノジ酢酸、イミノ二酢酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、オキシ二酢酸、オキシジコハク酸、コハク酸、スルファミン酸、酒石酸、酒石-ジコハク酸、酒石-モノコハク酸、又はこれらの混合物が挙げられるだろう。布地処理組成物はクエン酸を含んでもよい。クエン酸など、使用中にビルダーとしても機能し得る第2の有機酸を選択することが好ましい場合がある。
【0037】
第2の有機酸は、酢酸よりも高い濃度で存在してもよい。第2の有機酸は、布地処理組成物中に、布地処理組成物の約1重量%から、約2重量%から、又は約3重量%から、又は約5重量%から、又は約10重量%から、又は約15重量%から、又は約20重量%から約40重量%まで、又は約35重量%まで、又は約30重量%まで、又は約25重量%まで、又は約20重量%までの濃度で存在してもよい。酢酸と第2の有機酸(例えばクエン酸)は、約1:300から、又は約1:250から、又は約1:225から、又は約1:200から約1:1まで、又は約1:10まで、又は約1:50まで、又は約1:100までの重量比で存在していてもよい。望ましくない臭気を最小限に抑えながら性能を改善するために、酢酸と比較して比較的多くの第2の有機酸を含むことが望ましい場合がある。
【0038】
芳香物質
本開示の布地処理組成物は、芳香物質を含む。芳香物質を添加し、液体製品組成物に、処理液に、及び/又は組成物で処理された布地に、審美的に心地良い香りを与える。本開示の組成物は、組成物の約0.1重量%~約20重量%、又は約0.2重量%~約10重量%、又は約0.3重量%~約5重量%の芳香物質を含んでいてもよい。
【0039】
芳香物質の非限定的な例としては、限定されないが、アルデヒド、ケトン、エステルなどが挙げられる。他の例としては、様々な天然抽出物及び天然エキスが挙げられ、これらは、オレンジ油、レモン油、バラ抽出物、ラベンダー、ムスク、パチョリ、バルサムエキス、ビャクダン油、パイン油、シーダーなどの成分の複雑な混合物を含むことができる。最終香料は、そのような成分の非常に複雑な混合物を含むことができる。
【0040】
本開示の布地処理組成物では、芳香物質が比較的親水性であることが望ましい。親水性芳香物質は、本開示の水性組成物に十分に溶解又は分散する可能性が高く、改良された相安定性及び/又は製品透明性を生じる。
【0041】
ある物質又は物質の組み合わせが親水性(疎水性)である程度は、logP値を使用して記述することができる。LogPは、2つの不混和性の液体相(オクタノールと水)の間の溶質分布の指標であり、一般的に、溶質の疎水性の相対的な指標として使用される。相対的に大きな分配係数Pを有する香料成分ほど、疎水性が高い。相対的に小さな分配係数Pを有する香料成分ほど、親水性が高い。香料成分の分配係数は、通常は高い値を有するので、より簡便には、10を底とする対数logPの形態で与えられる。
【0042】
本開示の1つの芳香物質(複数の芳香物質)は、単一物質であるか、又は物質の組み合わせであるかによらず、logPが約2.5以下、又は約2.2以下、又は約2以下であることを特徴としていてもよい。本明細書で使用される場合、1つの芳香物質又は芳香物質の混合物のlogPは、以下の試験方法の項に提供される方法に従って決定される。その中でより詳細に記載されるように、コンセンサスlogPは、典型的には、利用可能な場合に好ましいが、logPを決定する代替的な方法も提供される。
【0043】
芳香物質が複数の物質を含む場合、個々の物質はそれぞれ、logPによって特徴付けられてもよく、物質の大部分(重量で)が、logPが約2.5以下、又は約2.2以下、又は約2以下であることを特徴としていることが好ましい場合がある。複数の物質の少なくとも約60%、又は少なくとも約70%、又は少なくとも約80%、又は少なくとも約85%、又は少なくとも約90%、又は少なくとも約95%は、logPが約2.5以下、又は約2.2以下、又は約2以下の物質であることを特徴としていてもよい。このような物質の量が多いほど、組成物の相安定性及び/又は透明性が増加すると考えられる。
【0044】
それらの親水性のために、1つの芳香物質(複数の芳香物質)は、塩基性混合以外の更なる処理なしに、本開示の水性組成物に添加されてもよい。芳香物質は、乳化していない芳香物質であってもよい。1つの芳香物質(複数の芳香物質)は、無希釈で、又は水性プレミックスの一部として添加されてもよい。
【0045】
logP値が2.5未満である個々の芳香物質としては、以下の表Aに列挙される非限定的な例が挙げられる。本開示の組成物は、表Aに列挙される1つ以上の芳香物質を含んでいてもよい。表Aに列挙される芳香物質の1つ以上を、更なる芳香物質と組み合わせて使用してもよい。
【0046】
【表1】
【0047】
本開示の芳香物質の少なくとも一部は、天然起源の材料に由来していてもよい。このような物質は、合成によって誘導された、及び/又は地質学的に誘導された(石油系など)物質と比較して、環境影響が更に少なく、及び/又は環境的に更に持続可能であると考えられる。芳香物質の少なくとも約50%、又は少なくとも約60%、又は少なくとも約70%、又は少なくとも約80%、又は少なくとも約90%、又は少なくとも約95%、又は約100%が天然由来の芳香物質であってもよい。
【0048】
好適な天然由来の芳香物質としては、シナモン、アロニア、ヒビスカス、ガーデア、白米、レモンバーム、カモミール、ペパーミント、スペアミント、セージ、ベルガモット、バジル、タイム、オレガノ、アカシア花、ユリ、ヒタミ、ジャスミン、バラ、ラベンダー、キク、ライラック、アプリコット、フリージア、チューリップ、ユーカリ、ローズマリー、マグノリア、アップルミント、ティーツリー、ヒアシンス、サクラ、レモンバーベナ、ツバキ、フェンネル、ピーチフラワー、ブルーベリー、ラズベリー、又はこれらの混合物が挙げられるだろう。
【0049】
芳香物質は、果実抽出物、薬草抽出物、又はこれらの混合物などの植物抽出物を含んでもよい。好適な果実抽出物は、柑橘抽出物、好ましくはレモン抽出物を含んでもよい。好適な薬草抽出物は、ラベンダー抽出物、ローズマリー抽出物、タイム抽出物、バジル抽出物、又はこれらの混合物、好ましくはラベンダー抽出物を含んでいてもよい。
【0050】
特定の抽出物などの天然由来の物質を含む特定の芳香物質は、比較的疎水性であってもよい。例えば、一部は、logPが約2.5を超えていてもよい。そのような物質及び/又はそれらの由来となる親物質は、芳香物質の相対的親水性を増加させる処理工程を経てもよい。例えば、1つの方法によって調製されたレモン抽出物は、異なる方法によって調製された別のレモン抽出物とは異なる/より疎水性であるlogPを有していてもよい。本明細書に記載される芳香物質に関して、芳香物質の少なくとも一部は、溶媒抽出工程で調製されてもよい。得られる物質は、望ましい親水性及び/又はlogP値を有すると考えられるため、水性溶媒を使用して物質を抽出するか、又は別の方法で調製することが特に好ましい場合がある。得られる物質が所望の親水性及び/又はlogP値を有さない場合があると考えられるため、蒸留工程が物質の少なくとも一部を調製するために使用されないことが好ましい場合がある。分離工程を使用して、物質を疎水性/油性部分及び親水性/水系部分に分離する場合、親水性/水系部分を使用してもよい。好適な芳香物質は、Antoniotti,S.、Molecules 2014、19、9203-9214(例えば、https://ww.mDPI.com/1420-3049/19/7/9203/htm)に記載されるものなど、酵素処理工程によって調製されてもよい。
【0051】
本開示の組成物は、典型的には、比較的低いpHを特徴とするため、本開示の芳香物質は、典型的には、特に組成物のpHで酸安定性である。酸安定性は、相分離がなく、変色がなく、及び/又は貯蔵時の酸性pHで、好ましくは約2~約4のpHで沈殿形成がないことによって、定性的に示されてもよい。
【0052】
水及び他の任意の溶媒
布地処理組成物は、典型的には水性組成物である。したがって、布地処理組成物は水を含む。このような水性組成物中の典型的な疎水性芳香物質は、追加の処理(乳化など)、成分、又は他の介入が存在しないと、相が不安定になる場合がある。
【0053】
本開示の布地処理組成物は、布地組成物の約30重量%から、又は約40重量%から、又は約50重量%から約95重量%まで、約90重量%まで、又は約80重量%まで、又は約75重量%まで、又は約70重量%までの水を含んでいてもよい。
【0054】
本開示の布地処理組成物は水性であるが、組成物は、組成物の安定性、成分溶解性、及び/又は組成物の透明性を改善することができる有機溶媒を更に含んでもよい。布地処理組成物は、組成物の約0.1重量%~約30重量%、又は約1重量%~約20重量%の有機溶媒を含んでいてもよい。好適な有機溶媒としては、エタノール、ジエチレングリコール(DEG)、2-メチル-1,3-プロパンジオール(MPD)、モノプロピレングリコール(MPG)、ジプロピレングリコール(DPG)、オリガミン(例えば、ジエチレントリアミン(DETA)、テトラエチレンペンタミン(TEPA))、グリセリン、プロポキシル化グリセリン、エトキシル化グリセリン、エタノール、1,2-プロパンジオール(プロピレングリコールとも呼ばれる)、1,3-プロパンジオール、2,3-ブタンジオール、セルロース系エタノール、再生可能プロピレングリコール、再生可能モノプロピレングリコール、再生可能ジプロピレングリコール、再生可能1,3-プロパンジオール、及びこれらの混合物が挙げられる。有機溶媒のうち1つ以上は、生体由来であってもよく、このことは、これらが天然/持続可能な、地質学的に誘導されたものではない(例えば、非石油系)供給源から誘導されることを意味している。
【0055】
特定の成分を含まない
本開示の布地処理組成物は、限定された数の成分、例えば、10以下、又は9以下、又は8以下、又は7以下、又は6以下、又は5以下の成分を含んでいてもよい。成分の数を制限することにより、原材料の貯蔵コスト及び/又は輸送コストが低下し、及び/又は組成物の製造方法を単純化することができる。消費者はまた、これらの製品が、より単純なものとして、より小さい環境フットプリントを有するものとして、及び/又はより理解しやすい成分リストを提供するものとして知覚され得るため、成分の数を制限した製品を望むだろう。
【0056】
上述のように、本組成物は、比較的透明であってもよい。したがって、本組成物は、組成物の相対的透明性を下げる場合があるカプセル化有益剤、シリコーン液滴、真珠光沢剤、及び/又は乳白剤などの粒子を実質的に含まなくてもよい。本組成物は、染料を実質的に含まなくてもよい。本明細書で使用するとき、用語「染料」は、洗浄組成物の審美性を修正する美的染料、並びに布地に付着し、布地の色合いを変化させることができる染料及び/又は顔料を含む。染料としては、着色剤、顔料、及び色相剤が挙げられる。本組成物は、光学増白剤を実質的に含まなくてもよい。
【0057】
本組成物は、洗浄性界面活性剤、漂白系、及び/又は布地柔軟化物質を実質的に含まなくてもよい。このような物質は、本組成物中の他の成分の審美性、物理的安定性及び/又は化学的安定性に影響を及ぼすことがある。これに加え、又はこれに代えて、特定のこのような物質は、本組成物の低pH環境において、物理的又は化学的に安定でない場合がある。更に、本組成物を使用する消費者は、処理された布地から物質を除去することを望む場合があり、一方、列挙した物質の少なくとも一部は、通常の処理サイクル中に布地上に蓄積し、望ましくない残渣を構築し得る。
【0058】
本組成物は、アニオン性、非イオン性、両性及び/又は双極性界面活性剤を含め、洗浄性界面活性剤を実質的に含まなくてもよい。アニオン性界面活性剤としては、硫酸アルキル又は硫酸アルコキシル化アルキルなどの硫酸化界面活性剤、スルホン化界面活性剤、例えば、(直鎖)アルキルベンゼンスルホネート、及び/又はカルボキシル化界面活性剤が挙げられるだろう。非イオン性界面活性剤としては、アルコキシル化脂肪族アルコール、アルコキシル化アルキルフェノール、及び/又はアルキルポリグルコシドが挙げられるだろう。双極性界面活性剤としては、アミンオキシド及び/又はベタインが挙げられるだろう。
【0059】
本組成物は、漂白系を実質的に含まなくてもよい。漂白系は、過酸化水素及び/又は過酸化物源などの過酸化物漂白剤を含んでもよい。漂白系は、次亜塩素酸塩漂白剤などの次亜ハロゲン酸塩漂白剤、又はそのようなハロゲン化塩の供給源を含んでもよい。漂白系はまた、NOBS又はTAEDなどの漂白活性化剤、又は漂白触媒を含んでもよい。
【0060】
本組成物は、布地柔軟化物質を実質的に含まなくてもよい。このような物質は、布地上に堆積する場合があり、特定の消費者、用途、又は布地にとってあまり好まれない場合がある。これに加えて、又はこれに代えて、このような物質は、本水性組成物と適合性を有するように、乳化又は他の処理が必要な場合がある。布地柔軟化物質は、カチオン性に帯電していてもよく、及び/又は典型的な洗浄条件でカチオン性に帯電させることができる。布地柔軟化物質としては、第四級アンモニウムエステル化合物、シリコーン、非エステル第四級アンモニウム化合物、アミン、脂肪酸エステル、ショ糖エステル、シリコーン、分散性ポリオレフィン、多糖類、脂肪酸、軟化又はコンディショニング油、ポリマーラテックス、又はこれらの組み合わせが挙げられるだろう。本明細書で使用される場合、用語「布地柔軟化物質」は、酢又は酢酸を含め、上の「有機酸」の項に列挙されている材料のうちのいずれかを含むことを意図するものではない。
【0061】
粘度を低く保つために、本開示の組成物は、増粘剤又は構造化剤などの他のレオロジー増強剤を実質的に含まなくてもよい。組成物は、増粘などのレオロジー変性を引き起こし得る、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、及び/又は塩化カルシウムのような無機塩などの塩を実質的に含まなくてもよい。本明細書で使用される場合、このような塩は、本明細書に記載の有機酸の中和生成物を含むことを意図するものではない。
【0062】
本開示は、長々と酢酸及び/又は酢を考察してきたが、酢酸及び/又は酢が存在しない状態であっても、透明性が望ましい場合にはクエン酸を含む処理組成物に同じ原理を適用することができる。クエン酸はまた、「天然」成分であり、関連する消費者の望ましい成分な場合がある。したがって、本開示はまた、有機酸系を含む水性液体布地処理組成物であって、クエン酸を含む有機酸系と、芳香物質であって、logPが約2.5以下であることを特徴とする、芳香物質とを含み、布地ケア組成物は、無希釈pHが約1~約6であることを特徴とする、水性液体布地処理組成物に関する。上述の成分、濃度及び特性は、このような組成物に実質的に適用することができる。
【0063】
包装
本明細書に記載の布地処理組成物は、紙、厚紙、プラスチック材料、及び任意の好適な積層体から構築されるものを含む任意の好適な容器に封入することができる。容器は、再生可能及び/又はリサイクル可能な材料を含有してもよい。
【0064】
布地処理組成物は、透明ボトルなどの透明な容器に入れられてもよい。透明ボトル又は容器は、スペクトルの可視部分(約410~800nm)において、約25%超、又は約30%超、又は約40%超、又は約50%超の透過率を有してもよい。又は、ボトルの吸光度は、約0.6未満として測定されてもよく、又は、約25%超の透過率を有することにより測定されてもよく、透過率%は次の式に等しい:
【0065】
【数1】
【0066】
本開示の目的において、可視光線範囲内のある波長が、約25%を超える透過率を有する限り、これは透明/半透明であるとみなされる。
【0067】
使用してもよい透明ボトル材料としては、限定されないが、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド(PA)及び/又はポリエチレンテレフタレート(PETE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、及びポリスチレン(PS)が挙げられる。リサイクル可能な物質は、環境上の理由から好ましい場合がある。
【0068】
容器又はボトルは、家庭用の液体を貯蔵及び包装するのに好適な任意の形状又はサイズであってよい。例えば、容器は任意のサイズを有してもよいが、通常、容器は、約0.05~約15L、又は約0.1~約5L、又は約0.2~約2.5Lの最大容量を有する。容器は、容易に取り扱うために適したものであってもよい。例えば、容器は、容器を片手で容易に持ち上げたり運搬したりすることができるようなかかる寸法のハンドル又は部品を有してもよい。容器は、液体洗剤組成物を注ぐために好適な手段、及び容器の再閉鎖の手段を有してもよい。注ぐ手段は、任意のサイズ又は形状であってもよい。閉鎖手段は、任意の形態又はサイズ(例えば、容器を閉じるために容器に螺合又はクリックされる)であってもよい。閉鎖手段は、容器から取り外すことができるキャップであってもよい。あるいは、キャップは、容器が開いているか閉じているかを問わず、容器に取り付けられていてもよい。閉鎖手段も、容器に組み込まれていてもよい。
【0069】
製造方法
本開示は更に、本明細書に記載される液体布地処理組成物の製造方法に関する。当該技術分野において既知の任意の好適な工程、例えばバッチ工程、インライン混合、及び/又は循環ループ系工程を使用することができる。
【0070】
液体布地処理組成物の製造方法は、水性塩基組成物を提供する工程と、酢酸及び/又は酢を水性塩基組成物と混ぜ合わせる工程と、芳香物質(乳化していない芳香物質であってもよい)と水性塩基を混ぜ合わせる工程とを含んでいてもよく、得られた液体布地ケア組成物は、未希釈pHが約1~約6であることを特徴とする。
【0071】
水性塩基は、水を含んでいてもよい。水性塩基は、水性塩基の少なくとも50%、又は少なくとも60%、又は少なくとも70%、又は少なくとも75%、又は少なくとも80%、又は少なくとも85%、又は少なくとも90%、又は少なくとも95%の水を含んでいてもよい。
【0072】
芳香物質を以下に更に詳細に記載する。例えば、芳香物質は、logPが2.5以下であることを特徴としていてもよい。芳香物質は、乳化していなくてもよく、このことは、得られる組成物の透明性を改善すると考えられる。
【0073】
この方法は、水性塩基組成物に酢を添加することを含んでいてもよい。芳香物質が水性塩基と混ぜ合わされる前、同時又は後に、酢酸及び/又は酢は、水性塩基と混ぜ合わされてもよい。
【0074】
使用方法
本開示はまた、本明細書に記載の液体布地処理組成物の使用方法に関する。本方法は、布地又は他の表面と、本開示の組成物とを接触させることを含んでもよい。接触工程は、水存在下で行われてもよい。組成物は、水に分散又は溶解して、処理液を形成してもよい。
【0075】
処理液のpHは、布地処理組成物のpHよりも大きい(例えば、7に近い)。処理液は、pHが約2から、又は約3から、又は約4から約7まで、又は約6まで、又は約5までであることを特徴としていてもよい。布地処理組成物の有機酸系は、処理液を所望のpHになるように実質的に緩衝するように選択されてもよい。これに加え、又はこれに代えて、布地処理組成物は、処理液中に所望なpHをもたらすための他の緩衝剤又はpH調整剤を含んでいてもよい。
【0076】
本組成物は、典型的には、溶液(すなわち、処理液)中、約500ppm~約15,000ppmの濃度で使用される。
【0077】
水温は、約5℃~約90℃の範囲であってもよい。処理液と布地との重量比は、約1:1~約30:1であってもよい。
【0078】
この方法は、洗浄槽内などの手動方法であってもよく、自動洗濯機のドラムで行う自動方法であってもよい。機械は、トップローディング機又はフロントローディング機であってもよい。本開示の組成物は、自動洗濯機のドラムに手動で提供されてもよく、又は本開示の組成物は、例えばディスペンサー引き出し部又は他の容器を介して自動的に提供されてもよい。
【0079】
典型的な処理方法、少なくとも1回の洗浄サイクルと、少なくとも1回のその後のすすぎサイクルとを含む。布地は、洗浄サイクル中にアニオン性界面活性剤などの界面活性剤で処理されてもよい。組成物は、ドラムに提供されてもよく、及び/又は布地を、すすぎサイクル中に組成物と接触させてもよい。
【0080】
組み合わせ
本開示の具体的に想到される組み合わせを、ここで以下のアルファベットを付した段落に記載する。これらの組み合わせは、事実上例示的なものであり、限定的であることを意図したものではない。
【0081】
A.液体布地ケア組成物であって、布地ケア組成物の約0.1重量%~約20重量%の酢と、布地ケア組成物の約0.1重量%~約20重量%の芳香物質であって、logPが約2.5未満であることを特徴とする、芳香物質と、布地ケア組成物の少なくとも約30重量%の水とを含み、布地ケア組成物は、無希釈pHが約1~約6であることを特徴とする、液体布地ケア組成物。
【0082】
B.組成物は、約0.1%~約10%、又は約0.5%~約5%、又は約1%~約3%の酢を含む、段落Aに記載の組成物。
【0083】
C.組成物が、クエン酸、乳酸、アジピン酸、アスパラギン酸、カルボキシメチルオキシマロン酸、カルボキシメチルオキシコハク酸、グルタル酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、イミノ二酢酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、オキシ二酢酸、オキシ二コハク酸、コハク酸、スルファミン酸、酒石酸、酒石酸-二コハク酸、酒石酸-一コハク酸、又はこれらの混合物から選択される第2の有機酸、好ましくはクエン酸を更に含む、段落A又はBのいずれかに記載の組成物。
【0084】
D.水性液体布地処理組成物であって、有機酸系であって、酢酸(及び/又はクエン酸)を含む、有機酸系と、芳香物質であって、logPが約2.5以下であることを特徴とする、芳香物質とを含み、布地ケア組成物は、無希釈pHが約1~約6であることを特徴とする、水性液体布地処理組成物。
【0085】
E.酢酸が、組成物の約0.05重量%から、又は約0.1重量%から、又は約0.15重量%から、又は0.2重量%から約5重量%まで、又は約3重量%まで、又は約2重量%まで、又は約1重量%まで、又は約0.5重量%まで、又は約0.3重量%までの濃度で存在する、段落Dに記載の組成物。
【0086】
F.有機酸系が、酢酸、クエン酸、乳酸、アジピン酸、アスパラギン酸、カルボキシメチルオキシマロン酸、カルボキシメチルオキシコハク酸、グルタル酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、イミノ二酢酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、オキシ二酢酸、オキシ二コハク酸、コハク酸、スルファミン酸、酒石酸、酒石酸-二コハク酸、酒石酸-一コハク酸、又はこれらの混合物から選択される第2の有機酸、好ましくはクエン酸及び/又は酢酸を更に含む、段落Eに記載の組成物。
【0087】
G.組成物が、酢酸と、第2の有機酸とを、約1:300から、又は約1:250から、又は約1:225から、又は約1:200から約1:1まで、又は約1:10まで、又は約1:50まで、又は約1:100までの重量比で含み、好ましくは、第2の有機酸がクエン酸である、段落A~Fのいずれかに記載の組成物。
【0088】
H.組成物が、pHが約1.5~約5、好ましくは約2~約4、更により好ましくは約2~約3であることを特徴とする、段落A~Gのいずれかに記載の組成物。
【0089】
I.組成物が、pH4.0に対する予備酸性度が少なくとも約1、又は少なくとも約3、又は少なくとも約5であることを特徴とする、段落A~Hのいずれかに記載の組成物。
【0090】
J.組成物が、少なくとも約50%の水、好ましくは少なくとも約60%の水を含む、段落A~Iのいずれかに記載の組成物。
【0091】
K.芳香物質の少なくとも約50%、又は少なくとも約60%、又は少なくとも約70%、又は少なくとも約80%、又は少なくとも約90%、又は少なくとも約95%、又は約100%が天然由来の芳香物質である、段落A~Jのいずれかに記載の組成物。
【0092】
L.芳香物質が、植物抽出物、好ましくは果実抽出物、薬草抽出物、又はこれらの混合物から選択される植物抽出物を含む、段落A~Kのいずれかに記載の組成物。
【0093】
M.芳香物質が、果実抽出物、好ましくは柑橘抽出物、より好ましくはレモン抽出物を含む、段落A~Lのいずれかに記載の組成物。
【0094】
N.芳香物質が、薬草抽出物、好ましくは、ラベンダー抽出物、ローズマリー抽出物、タイム抽出物、バジル抽出物、又はこれらの混合物、より好ましくは、ラベンダー抽出物を含む、段落A~Mのいずれかに記載の組成物。
【0095】
O.芳香物質が複数の物質を含み、複数の物質の少なくとも60重量%が、logPが2.5以下であることを特徴とする物質である、段落A~Nのいずれかに記載の組成物。
【0096】
P.組成物が、ブルックフィールド粘度計及びASTM D 2196-99を用い、60RPM及び22℃における回転粘度測定によって決定される場合、粘度が約1~約200cpsであることを特徴とする、段落A~Oのいずれかに記載の組成物。
【0097】
Q.組成物が実質的に染料を含まない場合、組成物は、1センチメートルのキュベットを使用して、約410~800ナメートル、好ましくは約570~690ナノメートルの波長で、透過率(%)が光の少なくとも60%、又は少なくとも70%、又は少なくとも80%、又は少なくとも90%、又は少なくとも95%であることを特徴とする、段落A~Pのいずれかに記載の組成物。
【0098】
R.組成物が、洗浄性界面活性剤、漂白系、及び/又は布地柔軟化物質を実質的に含まない、段落A~Qのいずれかに記載の組成物。
【0099】
S.液体布地ケア組成物の製造方法であって、水性塩基を提供する工程と、酢と水性塩基とを混ぜ合わせる工程と、芳香物質と水性塩基とを混ぜ合わせる工程であって、芳香物質は、水性塩基に添加される場合、logPが2.5以下であることを特徴とし、得られた液体布地ケア組成物は、無希釈pHが約1~約6であることを特徴とする、方法。
【0100】
T.芳香物質が、水性塩基と混ぜ合わされたときに乳化していない、段落Sに記載のプロセス。
【0101】
試験方法
別途記載のない限り、以下の試験方法は、以下の決定に使用される。
【0102】
pHの決定
本明細書において別途記載のない限り、組成物のpHは、20±2℃での組成物の未希釈pHと定義されている。pHを±0.01pH単位まで測定することができる任意の計測器が好適である。Orion meters(Thermo Scientific,Clintinpark-Keppekouter,Ninovesteenweg 198,9320 Erembodegem-Aalst,Belgium)又は均等物が、許容可能な計器である。pH計は、カロメル又は銀/塩化銀基準を有する適切なガラス電極を備えていなければならない。例としては、Mettler DB 115が挙げられる。電極は、メーカーが推奨する電解質溶液中で保管する必要がある。pHは、pH計製造業者の標準手順に従い測定される。更に、pHアセンブリを設定して較正するための製造業者の指示に従う必要がある。
【0103】
粘度の決定
組成物の粘度は、ブルックフィールド粘度計及びASTM D 2196-99を用い、60RPM及び22℃における回転粘度測定によって決定される。
【0104】
染み除去
染み除去試験は、ASTM4265-14 Standard Guide for Evaluating Stain Removal Performance in Home Launderingによって提供される指針と一致して、Front Loader HE機で行われる。22の染みを含有する綿CW120の技術的染み見本を購入した。この染み見本を、従来のNorth American洗浄機(Whirlpool(登録商標))で、7グレイン/ガロン硬度を使用し、86Fでの通常のサイクルを選択し、以下の表に列挙するそれぞれの洗剤組成物を用いて洗浄した。画像解析を使用して、それぞれ染みを染みのない布地対照と比較した。変換画像ソフトウェアにより標準測色値を取り込み、それらをそれぞれの染みに測色値(染みレベル)を割り当てるのに通常使用されるMacbeth Colour Rendition Chartに基づいた基準と比較した。それぞれの8つの反復試験片を調製した。次いで、染み除去指数を以下に示す式に従って計算する。
【0105】
見本からの染み除去は次のように測定された。
【0106】
【数2】
ΔEinitial=洗浄前の染みレベル
ΔEwashed=洗浄後の染みレベル
【0107】
安定性方法
サンプルを調製したら、蓋をしたガラス容器中、22℃を含む周囲条件で最低12時間保管する。これにより、香料を製品中に溶解させることができる。12時間後、目視検査を完了する。相分離が目に見える場合、例えば、頂部に油分離が存在する場合、サンプルは安定していないとみなされる。
【0108】
透過率(%)
組成物の相対的透明性/半透明性の測定値として、組成物の透過率(%T)を決定してもよい。
【0109】
透過率を測定する前に、組成物を含む瓶を10秒間激しく振り混ぜる。サンプルを1cmキュベット内にすぐに入れる。サンプルをキュベット内で10秒間激しく振り混ぜる。30秒待ち、透過率を測定する。
【0110】
組成物の透過率は、染料が存在しない状態で、Beckman DU分光計を用い、所望の波長で、標準的な10mm光路長キュベットにより測定する。
【0111】
LogP
物質又は物質の混合物のlogPは、以下の方法に従って、以下の階層に従って決定される。
【0112】
単一物質及び/又は単純な混合物について、
可能な場合には、コンセンサスlogPを使用する(例えば、既知の単純な物質の場合)。
【0113】
コンセンサスlogPが利用できない場合、可能な場合には、クラシックlogPを使用する。
【0114】
クラシックlogPが利用できない場合、可能な場合には、測定されたlogPを使用する。
【0115】
他の混合物(例えば、より複雑な混合物又は精油/抽出物)については、
可能な場合、複合体のコンポジットlogPを使用する。
【0116】
コンセンサスlogPが利用できない場合、以下に記載されるような混合物測定logPを使用する。
【0117】
本明細書で使用される場合、「logP」は、上述の階層及び以下の方法に従うときに与えられる値を指す。
【0118】
香料成分の疎水性の程度は、そのオクタノール/水分配係数Pと相関関係にある場合がある。香料成分のオクタノール/水分配係数は、オクタノール中及び水中のその平衡濃度の間の比である。より大きな分配係数Pを有する香料成分は、より疎水性が高い。逆に、より小さな分配係数Pを有する香料成分は、より親水性が高い。香料成分の分配係数は、通常は高い値を有するので、より簡便には、10を底とする対数logPの形態で与えられる。
【0119】
このモデルは、分子構造に直接基づく一般的な有機分子に対するオクタノール水分配係数(logP又はlogKow)を計算する。LogPは、2つの不混和性の液体相(オクタノールと水)の間の溶質分布の指標であり、一般的に、溶質の疎水性の相対的な指標として使用される。この例では、ACD/Labs LogPモジュールを使用して計算される。この商品は、ACD/Labsモジュールacdlabs.com.のバージョン14.02(Linux(登録商標))に基づく。
【0120】
3つのアルゴリズムが、logPの計算のために使用される。(1)クラシックアルゴリズム、(2)GALASアルゴリズム及び(3)コンセンサスアルゴリズム。クラシック法は、本質的にその名の示すとおり、分子断片に基づくlog P計算の古典的な様式である。これは良好に機能し、広く適用可能である。GALASアルゴリズムは、本質的にクラシック値から始まり、次いで、大きな支持データベース内のその分子又は非常によく似た分子についての実験データに基づいてその値を調整する新たな方法である。したがって、GALAS法は、分子又は非常によく似た分子が基礎データベースにある場合、非常に正確なものとなり得る。コンセンサス法は、クラシック値とGALAS値の重み付けされた組み合わせである。データベースに見られる分子に対するクエリ構造の類似性を反映するGALAS結果の信頼度を考慮する。GALAS法がより信頼性が高い場合、コンセンサス法は、より多くの重み付けを与えることになり、そうではない場合、コンセンサス値はクラシック値に近くなるだろう。クラシックアルゴリズムが良好な値を生成する間、コンセンサス値は、一般的な目的のために使用されることが推奨され、GALASアルゴリズムは、調整を行うために基礎となるモジュールデータベース内に類似の構造の十分な例が存在する場合には、GALASアルゴリズムは、より正確な値を得ることができる。しかしながら、クエリは固有な場合があるため、GALAS値は、正確ではない場合がある。コンセンサス法は、GALAS値に関連する信頼性指数を考慮する適応的な重み付けスキームを使用して、クラシック値とGALAS値を組み合わせる。したがって、コンセンサス法は、logPについて最良の全体的な単一値を提供するはずである。3つの値は全て、ユーザが3つの間の差異を認識し、どの値を使用するかを知らせる選択を作成することができるように、このモデルが与える出力で報告される。以下の表に含まれるACD/lab LogP予測は、コンセンサスアルゴリズムである。このClogP値は、最も信頼性が高く、このような物理化学的特性を評価するために広く使用され、本発明に有効な香料成分を選択する際に、実験に基づくlogPの値の代わりに使用される。
【0121】
測定されたlogP:
試験組成物中のそれぞれの香料原材料(PRM)の属性及び定量は、非極性又はわずかに極性のカラムを用いて実施される、水素炎イオン化検出器を備えるガスクロマトグラフィー質量分析計(GC-MS/FID)の分析クロマトグラフィー技術を用い、香料油そのまま、又は香料油の希釈物の液体分析によって決定される。
【0122】
これらのGC-MS/FID分析を実施するのに好適な機器としては、例えば、以下の装置が挙げられる:Hewlett Packard/Agilent Gas Chromatograph model 7890シリーズGC(Hewlett Packard/Agilent Technologies Inc.(Santa Clara,California,U.S.A.))、Hewlett Packard/Agilent Model 5977N Mass Selective Detector(MSD)透過型四重極質量分析計(Hewlett Packard/Agilent Technologies Inc.(Santa Clara(California,U.S.A.))、多目的オートサンプラーMPS2(GERSTEL Inc.(Linthicum,Maryland,U.S.A)、及び5%フェニル-メチルポリシロキサンカラムJ&W DB-5(長さ30m×内径0.25mm×膜厚0.25μm)(J&W Scientific/Agilent Technologies Inc.(Santa Clara(California,U.S.A.))。
【0123】
当業者は、組成物中のPRMを同定及び定量するために、分析工程が、外部参照標準の使用、エリア応答値の作成、参照データベース及びライブラリから得られる保持時間及び質量スペクトルピークに対して、測定された結果の比較を含んでいてもよいことを理解するだろう。
【0124】
香油コンポジットのlogPは、行われ、同定、相対量の決定及びLogPデータベース予測の多段階工程である。各PRMの重量パーセントは、そのPRMのFIDエリア応答を、全PRMの全FIDエリア応答によって割り算することによって計算される。各個々の物質のlogPは、ACD/log p予測法のコンセンサス値を使用することによって決定される。報告されたコンポジットLogPは、個々のPRM重量分率に、全てのPRMについてそれぞれのlogPを乗じ、次いでその合計を計算することによって計算される。
【0125】
香料技術では、悪臭がないか又は悪臭の少ない幾つかの補助材料が、例えば溶媒、希釈剤、増量剤又は固定剤として使用される。これらの物質の非限定的な例は、エチルアルコール、エタノール、カルビトール、ジプロピレングリコール、フタル酸ジエチル、クエン酸トリエチル、ミリスチン酸イソプロピル及び安息香酸ベンジルである。これらの材料は、例えば何らかの固体又は粘着性の香料成分を可溶化又は希釈して、例えば操作性及び/又は配合性を改善するために使用される。これらの物質は、香料組成物において有用であり、本発明のコンポジットlogPについて、香料組成物の定義/配合の計算に関与する。サンプルの計算結果を以下に与える。
【0126】
【表2】
【0127】
親水性香料が望ましい場合、香料の少なくとも約25重量%、より好ましくは約50重量%、最も好ましくは約75重量%は、logPが約2.5以下の香料成分から構成される。
【実施例
【0128】
下記の例は、事実上例示的なものであり、制限的であることを意図したものではない。
【0129】
実施例1.例示的な組成物
表1は、本開示の組成物を示す。
【0130】
【表3】
【0131】
実施例2.安定性試験(1)-個別の香料物質
表1の実施例1の4種類の組成物サンプルを調製する。各サンプルは、表2に示すように、異なる香料物質を含む。4種類の香料物質はそれぞれ、LogPの異なるACD labsコンセンサスモデル予測を有する。香料は、0.5%と1%の2種類の異なる重量パーセント濃度で試験される。各サンプルの安定性及び%Tは、上述の試験方法に従って評価される。結果は表2に与えられる。実施例2A及び2Bは比較例であり、実施例2C及び2Dは、本開示の実施例である。
【0132】
【表4】
【0133】
実施例3.安定性試験(2)-香料物質の混合物
表1の実施例1の2種類の組成物サンプルを調製する。各サンプルは、表3に示すように、市販の香料物質の異なる混合物を含む。両香料は、レモン、例えばレモン油及び/又はレモン抽出物に由来すると考えられる。香料は、TREATT(BurySt.Edmunds,UK)から得られる。
【0134】
2種類の香料混合物はそれぞれ、コンポジットLogPによって特徴付けられる。香料は、0.5%と1%の2種類の異なる重量パーセント濃度で試験される。各サンプルの安定性及び%Tは、上述の試験方法に従って評価される。結果は表3に与えられる。実施例3Aは、本開示の実施例であり、実施例3Bは、比較例である。
【0135】
【表5】
【0136】
実施例4.染み除去性能
染み除去試験を実行して、すすぎ添加製品の染み除去性能を単独で、かつ洗剤製品と組み合わせて判定する。
【0137】
試験したすすぎ製品は、本開示によれば、1%の香料を含む、上述の表1の実施例1の組成物である。
【0138】
試験した洗剤製品は、表4-1に提示された配合による低pH液体重質洗剤(HDL)製品である。洗剤製品は、pHが約2.5であることを特徴とする。
【0139】
【表6】
【0140】
洗剤製品のみ(実施例4A)、洗剤製品の後、リンス添加製品の計画(4B)、及びすすぎ製品のみ(4C)について、染み除去データが得られる。試験は、上に提供した汚れ除去方法に従って実施される。洗剤製品を約50mLの洗剤引き出し部に添加し、すすぎ組成物を約50mLのすすぎ洗い引き出し部に添加する。様々な汚れ/染みを試験するが、洗剤単独の性能に対する有意性を示すもののみを表4-2に与える。
【0141】
【表7】
=95%信頼区間で有意
【0142】
表4-2に示されるように、本開示の洗剤と、その後のすすぎ組成物との組み合わせは、Grass、リプトン(商標)紅茶及びネスカフェ(商標)コーヒーに対し、95%信頼区間における有意な洗浄改善を提供する。
【0143】
本明細書において開示された寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。代わりに、特に指示がない限り、このような寸法はそれぞれ、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図されている。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【0144】
相互参照されるか又は関連する全ての特許又は特許出願、及び本願が優先権又はその利益を主張する任意の特許出願又は特許を含む、本明細書に引用される全ての文書は、明示的に除外されるか、又は別途制限されない限り、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いかなる文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求される任意の発明に対する先行技術であるとはみなされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献(単数又は複数)と組み合わせたときに、そのような発明全てを教示、示唆又は開示するとはみなされない。更に、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照することによって組み込まれた文書内の同じ用語の意味又は定義と矛盾する場合、本文書におけるその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0145】
本発明の特定の実施形態を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を行うことができる点は当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内に含まれるそのような全ての変更及び修正は、添付の特許請求の範囲において網羅することを意図したものである。