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特許7473528車対Xメッセージのフィルタリング方法、車対X通信装置およびコンピュータ可読記録媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】車対Xメッセージのフィルタリング方法、車対X通信装置およびコンピュータ可読記録媒体
(51)【国際特許分類】
   H04W 28/10 20090101AFI20240416BHJP
   H04W 4/40 20180101ALI20240416BHJP
【FI】
H04W28/10
H04W4/40
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021504240
(86)(22)【出願日】2019-09-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-06
(86)【国際出願番号】 DE2019200108
(87)【国際公開番号】W WO2020064066
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2022-04-01
(31)【優先権主張番号】102018216789.3
(32)【優先日】2018-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102019200732.5
(32)【優先日】2019-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】399023800
【氏名又は名称】コンティネンタル・テーベス・アクチエンゲゼルシヤフト・ウント・コンパニー・オッフェネ・ハンデルスゲゼルシヤフト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100208258
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 友子
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】シュテーリン・ウルリヒ
(72)【発明者】
【氏名】シェルピング・リヒャルト
【審査官】倉本 敦史
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0203711(US,A1)
【文献】国際公開第2009/133740(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車対Xメッセージのフィルタリング方法であって、当該方法は以下のステップ、即ち、-ある数の車対Xメッセージを受信するステップと、
-受信した車対Xメッセージの数から、破棄すべき車対Xメッセージの数により、処理すべき車対Xメッセージの数が残るように、前記受信した車対Xメッセージをフィルタリングするためのフィルタパラメータを調整するステップと、を備える方法において、
フィルタパラメータの調整は、所定期間における処理すべき車対Xメッセージの数と前記所定期間における車対Xメッセージの処理用に設けられる数との補正値に応じて行われ
前記補正値の決定は、受信した車対Xメッセージの上昇または下降レートを用いて行われ、
前記所定期間を満了する前に、処理すべき車対Xメッセージの数が車対Xメッセージの処理用に設けられる数に到達するか、または超過する場合、受信した車対Xメッセージの上昇レートを適用し、
前記所定期間を満了するか、または超過するときに、処理すべき車対Xメッセージの数が車対Xメッセージの処理用に設けられる数に到達しないか、または超過しない場合、受信した車対Xメッセージの下降レートを適用し、
前記補正値は、受信した車対Xメッセージが上昇レートの場合、前記所定期間と、処理すべき車対Xメッセージの数が車対Xメッセージの処理用に設けられる数に到達するか、または超過する時点までの期間との比の値を用いて決定され、
前記補正値は、受信した車対Xメッセージが下降レートの場合、前記所定期間を満了したか、または超過したときの処理すべき車対Xメッセージの数と、車対Xメッセージの処理用に設けられる数との比の値を用いて決定される、ことを特徴とする方法。
【請求項2】
処理すべき車対Xメッセージの数を制御するための制御方法に、前記補正値を適用する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記フィルタパラメータの調整は、前記所定期間の満了時または満了後に行われる、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記フィルタパラメータを調整するために、前記補正値は算術的に前記フィルタパラメータに適用される、請求項1~のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記車対Xメッセージのフィルタリング前に、前記受信した車対Xメッセージのコンテンツに関する分類が行われる、請求項1~のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
請求項1~のいずれか1項に記載の方法を実行するように構成される車対X通信装置(10)。
【請求項7】
プログラムコードを有し、その実行の際には、計算装置または車対X通信装置によって、請求項1~のいずれか1項に記載の方法を実行する、コンピュータ可読記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車対Xメッセージのフィルタリング方法、ならびにそのような方法を実行するための車対X通信装置およびコンピュータ可読記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
Car2X通信、C2X通信またはV2X通信とも称される、車対X通信は、ヨーロッパとアメリカ合衆国において標準化の過程にあり、現在はシリーズ導入の途上にある。
【0003】
基本的に車対X通信においては、受信データのデータ量は、特定の、車両で実施される適用に関連するデータと比べて非常に大きい。多くの場合、実際にアプリケーションに関連するメッセージはごく僅かに過ぎず、すべての他のメッセージは、システム負荷を低減するべく、基本的には前処理により早期に破棄されてよい。
【0004】
車対X通信の有用性と有効性は、可能な限り多くの車両に迅速に導入することに基づいている一方、非常に短い期間内にすべての車両が対応する技術を装備すると想定するのは非現実的である。特に、車対X通信の市場導入開始時は対応する技術を装備する車両はごく僅かに過ぎないことから、受信メッセージの数が僅かであるため前処理は必須ではない。車対X通信の普及が拡大して初めて前処理の実施が必要となり、実際に処理されたメッセージはシステム性能に適合する。したがって、車両のライフサイクルにおいては、十分に計算能力があり前処理なしで処理できる状態から、存在する計算能力を用いてさらにアプリケーションを実行するためには前処理が必要とされる状態へのシフトが行われる。
【0005】
特許文献1は、破棄すべき車対Xメッセージの数を決定する方法であって、車対X通信ユニットの作業サイクルにおいて車対Xメッセージが受信され、作業サイクルにおいて受信した車対Xメッセージの数が決定され、作業サイクルにおいて存在する計算能力が利用可能である、方法を開示している。作業サイクルにおいて存在する計算能力を考慮して、ここで、受信した車対Xメッセージの数に応じて破棄すべき車対Xメッセージの数が決定される。その結果、受信した車対Xメッセージの数の増加に伴い、さらに多くの車対Xメッセージが破棄されるため、つまり、破棄すべき車対Xメッセージの数も同様に上昇するため、存在する計算能力を比較的大きな計算能力の負荷に合わせて構成する必要がないという点で有利である。
【0006】
また、破棄すべき車対Xメッセージの特定の数により、作業サイクルにおいて存在する計算能力を超過することなく使用する処理すべき車対Xメッセージの数が残るように、作業サイクルにおける前処理方法の分類パラメータは調整される。この場合、分類パラメータは閾値を調整することにより調整される。
【0007】
特許文献2は、車対X通信におけるチャネル負荷を決定する方法であって、ある数の車対Xメッセージが受信され、車対Xメッセージに基づいてチャネル負荷パラメータの数が算出され、少なくともチャネル負荷パラメータに基づいてチャネル負荷が決定される、方法を開示している。この方法を用いることで、まず、受信した処理すべき車対Xメッセージの数、さらに必要に応じて、それに必要な計算能力に関する情報を提供する、チャネル負荷パラメータの数を算出することができる。また、メッセージを簡単にカウントすることに依ることができるだけでなく、特に特定のメッセージの処理に関する特定の状態、それに必要なコストおよび必要な計算能力を考慮するチャネル負荷パラメータを用いることもできる。
【0008】
しかし、設定された閾値について超過または未満である場合にのみパラメータの調整は行われるため、例えばチャネル負荷に基づいてパラメータの継続的かつ動的な調整は実現されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】欧州特許第3085123号明細書
【文献】国際公開第2016166230号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明の課題は、車対Xメッセージのフィルタリングをより効率的に実装すること、またはそのようなものとしてより効率的に実装することを可能にする、車対Xメッセージのフィルタリング方法、ならびにそれに対応する車対X通信装置およびコンピュータ可読記録媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このことは、独立請求項に記載の車対Xメッセージのフィルタリング方法および車対X通信装置またはコンピュータ可読記録媒体により達成される。有利な構成は、例えば各従属請求項から見出すことができる。請求項の内容は、特定の参照により本明細書の内容に援用される。
【0012】
本発明は、車対Xメッセージのフィルタリング方法であって、この方法は次のステップ、即ち
-特に、車対X通信装置を用いて、ある数の車対Xメッセージを受信するステップと、
-受信した車対Xメッセージの数から、破棄すべき車対Xメッセージの数により、処理すべき車対Xメッセージの数が残るように、受信した車対Xメッセージをフィルタリングするためのフィルタパラメータを調整するステップと、を備える方法を示し
調整は、所定期間内の処理すべき車対Xメッセージの数と所定期間内の車対Xメッセージの処理用に設けられる数との偏差を用いた補正値に応じて行われる、方法を示す。
【0013】
本発明は、処理すべき車対Xメッセージの数により、可能な限り最適な資源利用が可能になるように、フィルタパラメータを継続的で動的に調整するという思想に基づいている。ここで、フィルタパラメータの調整は、所定期間内の処理すべき車対Xメッセージの数と、所定期間内の車対Xメッセージの処理用に設けられる数との間の偏差に応じて決定される。記載の方法の有利な点は、入力条件が変化する場合、特に受信した車対Xメッセージのレートが変化する場合および/または一方でフィルタパラメータの調整に影響を及ぼすメッセージコンテンツの配信が変化する場合に所定の最適な利用が守られることと、各調整について必要な計算が比較的僅少であることにある。これにより、車対Xメッセージの効率的なフィルタリングと比較的簡単で資源を節約する実装が可能になり、これにより受信した車対Xメッセージを処理するための、より低い計算能力で、したがってコストが低減された電子計算モジュールが可能になる。また、基礎となる通信装置においては存在する計算能力をより良好に利用することができる。好適には、本方法は、受信した車対Xメッセージの処理の範囲に応じて実行されてよい。
【0014】
フィルタパラメータの調整は、実施形態に応じて、少なくとも1つの閾値を用いる調整を介して行われる。
【0015】
有利には、記載の本方法は、対応して構成される車対X通信装置を用いて実行可能である。
【0016】
特に、本方法は、車対Xメッセージの受信装置の車対X通信装置を用いて実行される。この場合、車対Xメッセージの受信装置および/または送信装置は、例えば、車両である。車両は、例えば、原動機付車両、特に乗用車、重量物運搬車両、自動二輪車、電動車両またはハイブリッド車両、船舶または航空機であってよい。
【0017】
1つの実施形態によると、車対Xメッセージのフィルタリング前に、受信した車対Xメッセージのコンテンツに関する分類が行われる。発展形態によると、フィルタリングは対応して分類されたメッセージコンテンツに関する。ここで、好適には、その基礎となる物理的大きさ、例えば位置、速度、受信した車対X信号の受信信号強度(RSSI)および/またはメッセージの送信元である送信者の経路について略連続的な履歴を有するメッセージコンテンツが用いられる。例えば位置についての場合、上記方法、分類およびそれに続くフィルタリングの調整は、関連すると評価されるために交通参加者が位置する必要がある車両周辺半径の調整を実現するのに特に効率的な実装可能性と合致する。
【0018】
1つの実施形態によると、所定期間内の、または所定期間に関して処理すべき車対Xメッセージの数と、所定期間内の、または所定期間に関して車対Xメッセージの処理用に設けられる数との間の偏差が算出されると、フィルタパラメータの調整が行われる。
【0019】
1つの実施形態によると、補正値の決定は、受信した車対Xメッセージについて上昇または下降レートが存在するか否かを考慮して行われる。所定期間を満了するか、または超過する前に、車対Xメッセージの処理用に定められる数が達成されるか、または超過される場合、特に、受信した車対Xメッセージの上昇レートが利用可能である。車対Xメッセージの処理用に定められる数が達成されるか、または超過される前に、所定期間を満了するか、または超過する場合、特に、受信した車対Xメッセージの下降レートが利用可能である。期間および/またはカウントの参照点または始点として、特に、それぞれ、フィルタパラメータの最後の調整の時点が基準および/または初期値となる。これにより、フィルタパラメータの調整は、基礎となるシステム、例えば対応する計算装置の時間的に定められた作業サイクルに依らずに行われる。また、したがって、有利には、比較的単純な実装を、パケット指向の処理に最適化されたパケット指向の機能で実現できる。1つの実施形態によると、フィルタパラメータの調整または補正値の算出は、特に最後の調整以来の所定期間を満了するか、または超過するときに行われる。
【0020】
1つの実施形態によると、補正値を算出するために、フィルタパラメータの直近の調整以来の期間を再現するための時間情報および/またはフィルタパラメータの直近の調整以来の車対Xメッセージの数を再現するための、特に基礎となる車対X通信装置のメッセージカウンタを用いて提供される、カウント情報が用いられる。したがって、有利には、例えばFIFOバッファを用いてメッセージのキャッシュを行う必要がない。これにより、フィルタリングを実現するための負荷となる計算資源を比較的少なくすることができる。
【0021】
1つの実施形態によると、補正値は、受信した車対Xメッセージが上昇レートの場合、所定期間と、処理すべき車対Xメッセージの数が車対Xメッセージの処理用に設けられる数に到達するか、または超過する時点までの期間との比の値を用いて決定される。
【0022】
1つの実施形態によると、補正値は、受信した車対Xメッセージが下降レートの場合、所定期間を満了したか、または超過したときの処理すべき車対Xメッセージの数と、車対Xメッセージの処理用に設けられる数との比の値を用いて決定される。
【0023】
発展形態によると、処理すべき車対Xメッセージの数を制御するための制御方法において、補正値を適用する。それによる有利な点は、制御技術の方法および実装を車対Xメッセージのフィルタリングに応用できることである。
【0024】
発展形態によると、制御方法は所定期間のメッセージレートに関して構成される。しかし、連続するメッセージ間の期間に関して、つまり逆数に関して制御されてもよい。
【0025】
1つの実施形態によると、フィルタパラメータの変更は補正値と線形独立で行われる。これは、制御技術から知られている、比例する伝達特性を有するP要素に対応する。少なくとも1つのさらなる実施形態によると、少なくとも1つのフィルタパラメータの変更は、少なくとも1つの拡張された制御概念、例えばPI制御、PID制御、PD制御、状態制御、カスケード制御などに基づいて構成されてよい。
【0026】
1つの実施形態によると、フィルタパラメータの調整は、所定期間の満了時または満了後に行われる。
【0027】
1つの実施形態によると、フィルタパラメータを調整するために、補正値は算術的にフィルタパラメータに適用される。
スカラー閾値を用いてP制御を実装する1つの実施形態によると、所定期間の満了後か、処理すべき車対Xメッセージの数の到達または超過後それぞれに、実施には2つの掛け算のみが必要となる。
【0028】
好適には、一方では、特に、オーバーフローを避けるべくフィルタリングは十分動的に実行可能であり、つまり、可能な限り短い所定期間に対応するように、他方では、制御の資源コスト可能な限り低く抑え、あるいはシステムの不安定化を避けるべく既定値の連続性が維持されるように、処理すべき車対Xメッセージの数および/または所定期間は構成される。
【0029】
発展形態によると、車対Xメッセージは少なくとも1つの以下の接続方法を用いて送信と受信が可能である:
-無線接続、特にIEEE802.11p、
-移動体通信ネットワークを用い、かつ/または直接接続、例えば3G/4G/5Gもしくは次世代を用いたセルラV2X(C-V2X)
-ISM接続(Industrial, Scientific, Medical band)、
-Bluetooth(登録商標)接続、
-ZigBee接続、
-UWB接続(Ultra Wide Band)、
-WiMax(登録商標)接続(Worldwide Interoperability for Microwave Access)、
-赤外線接続および
-移動体通信接続。
この場合、これらの接続方法は、方式、波長および使用されるデータプロトコルに応じて異なる有利な点を有する。したがって、いくつかの上記接続方法は、例えば比較的高いデータ伝送レートと比較的高速な接続セットアップを可能にし、それ以外の接続方法は、障害を回避した広範囲なデータ伝送に適している。複数のこれらの接続方法を組み合わせ、同時または並行して使用することでさらなる有利な点が得られるのは、このようにして個々の接続方法の不利な点を解消することもできるからである。
【0030】
また、本発明は、本発明に係る方法の少なくとも1つの実施形態を実行するように構成される車対X通信装置に関する。発展形態によると、車対X通信装置は、計算装置、例えばプロセッサ、メモリなどを備え、メモリにはプログラムコードが格納され、その実行の際には、計算装置はそのような方法を実行する。
【0031】
また、本発明は、プログラムコードを有し、その実行の際には、計算装置または車対X通信装置によって、本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態による本発明に係る方法を実行する、コンピュータ可読記録媒体に関する。
【0032】
車対X通信システムとコンピュータ可読記録媒体において、本明細書に記載の実施形態および本発明に係る方法の変形のすべてが参照されてよい。
【0033】
以下、本発明の意味内であるさらなる実施形態について添付の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1図1は、本発明に係る方法の1つの実施形態例のフロー図である。
図2図2は、本発明に係る方法のさらなる実施形態例のフロー図である。
図3図3は、本発明に係る車対X通信装置の1つの例示的な実施形態のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1は、本発明に係る車対Xメッセージのフィルタリング方法の実施形態例を示す。ステップ1.1において、車対X通信装置を用いてある数の車対Xメッセージを受信する。受信した車対Xメッセージに基づいて、ステップ1.2において、所定期間における処理すべき車対Xメッセージの数と所定期間における車対Xメッセージの処理用に設けられる数との偏差を算出する。ステップ1.3において、算出された偏差を用いて補正値を算出する。ステップ1.4において、受信した車対Xメッセージの数から、破棄すべき車対Xメッセージの数により、処理すべき車対Xメッセージの数が残るように、フィルタパラメータを調整する。
【0036】
図2は、本発明に係る車対Xメッセージのフィルタリング方法のさらなる実施形態例を示す。ステップ2.1において、車対X通信装置を用いてある数の車対Xメッセージを受信する。所定期間を満了するか、または超過するとき、ステップ2.2において、受信した車対Xメッセージの上昇または下降レートが存在するか否かが検証され、例えば、所定期間を満了する前に、処理すべき車対Xメッセージの数が車対Xメッセージの処理用に設けられる数に到達するか、または超過する場合、受信した車対Xメッセージの上昇レートを適用し、所定期間を満了するか、または超過するときに、処理すべき車対Xメッセージの数が車対Xメッセージの処理用に設けられる数に到達しないか、または超過しない場合、受信した車対Xメッセージの下降レートを適用する。受信した車対Xメッセージに基づいて、ステップ2.3において、所定期間における処理すべき車対Xメッセージの数と所定期間における車対Xメッセージの処理用に設けられる数との偏差を算出する。ステップ2.4において、受信した車対Xメッセージが上昇レートの場合、所定期間と、処理すべき車対Xメッセージの数が車対Xメッセージの処理用に設けられる数に到達するか、または超過する時点までの期間との比の値を用いて補正値を算出する。受信した車対Xメッセージが下降レートの場合、ステップ2.4において、所定期間を満了したか、または超過したときの処理すべき車対Xメッセージの数と、車対Xメッセージの処理用に設けられる数との比の値を用いて補正値を算出する。ステップ2.5において、受信した車対Xメッセージの数から、破棄すべき車対Xメッセージの数により、処理すべき車対Xメッセージの数が残るように、フィルタパラメータを調整する。
【0037】
図3は、本発明に係る車対X通信装置10の1つの例示的な実施形態のブロック図を示す。通信装置は、例えば、計算装置10-1と、メモリ10-2と、車対X通信用アンテナ10-3とを備える。データ伝送インタフェース10-4を用いて、通信装置は他の電子システム、例えば運転支援システムとオフにされる。ここで、車対X通信装置10は、本発明に係る方法、したがって図1または図2に記載された例示的な方法の少なくとも1つの実施形態を実行するように構成される。
【0038】
車対X通信装置10は、一般に、原動機付車両、例えば自動車、二輪車または重量物運搬車両に設置され、そのような設置のために構成され、それに応じて使用されると理解されるべきである。また、車対X通信装置10は、一般に、他の車両構成要素とのインタフェースと、さらなる機能性を有する。この点については、図示および説明の簡略化のため、本明細書においてはさらには説明されない。
【0039】
一般に、車対X通信とは、特に、車両間および/または車両とインフラ設備との間の直接的な通信と理解されてよいことに注意されたい。したがって、例えば、車車間通信または路車間通信に関してよい。本願における車車間通信に関する限り、この通信は、基本的に例えば、一般に、移動体通信ネットワークまたは同様の外部インフラによる媒体を用いることなく行われるものであり、したがって、例えば移動体通信ネットワークに基づく他の処理とは区別されるものである、車車間通信の範囲内で行われてよい。例えば、車対X通信は、IEEE802.11p規格またはIEEE1609.4規格に準拠して行われてよい。また、車対X通信は、C2X通信と称されてもよい。一部の分野は、C2C(Car-to-Car)またはC2I(Car-to-Infrastructure)と称されてよい。一方、本発明は、媒体を用いた、例えば移動体通信ネットワークを介した車対X通信を明示的に除外するものではない。
【0040】
本発明に係る方法の上記ステップは、記載の順序で実行されてよい。一方、これらのステップは、別の順序で実行されてもよい。本発明に係る実施形態のうちの、例えばステップの特定の組み合わせを備える1つの実施形態においては、さらなるステップが実行されないように、本発明の方法が実行されてよい。一方、原則的に、記載されていないようなさらなるステップが実行されてもよい。
【0041】
本願に属する特許請求の範囲は、さらなる保護を得ることを放棄するものではない。
【0042】
1つの特徴または一群の特徴が、本願の手続き中に必ずしも必要でないことが判明した場合、当該特徴または当該一群の特徴をもはや有さない少なくとも1つの独立請求項の記載が出願人によって遅滞なく求められる。この場合、例えば、本出願日に存在する請求項のサブコンビネーションまたは本出願日に存在する請求項の、さらなる特徴によって限定された、サブコンビネーションであってよい。このような新たに補正すべき請求項または特徴の組み合わせは、本願の開示により同時に公開されていると理解されるべきである。
【0043】
また、様々な形態もしくは実施形態例で記載されており、かつ/または図面に示されている、本発明に係る構成、特徴および変形は、任意に互いに組み合わせ可能であることに注意されたい。個々のまたは複数の特徴は、任意に互いに入れ替え可能である。これらから生じる特徴の組み合わせは、本出願の開示により同時に公開されていると理解されるべきである。
【0044】
従属請求項における引用は、引用される従属請求項に記載の特徴の独立した実体的な保護を得ることを放棄するものではないと理解されるべきである。また、これらの特徴は、任意に他の特徴と組み合わせ可能である。
【0045】
明細書のみに開示される特徴、または他の特徴と関連してのみ明細書もしくは請求項に開示される特徴は、基本的に、本発明にとって本質的な独立した意義がある場合がある。したがって、これらの特徴は、従来技術と区別するため、個別に請求項に含まれてもよい。
なお、本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の観点として以下を含む。
1.
車対Xメッセージのフィルタリング方法であって、当該方法は以下のステップ、即ち、
-ある数の車対Xメッセージを受信するステップと、
-受信した車対Xメッセージの前記数から、破棄すべき車対Xメッセージの数により、処理すべき車対Xメッセージの数が残るように、前記受信した車対Xメッセージをフィルタリングするためのフィルタパラメータを調整するステップと、を備える方法において、
調整は、所定期間における処理すべき車対Xメッセージの前記数と前記所定期間における車対Xメッセージの処理用に設けられる数との偏差を用いた補正値に応じて行われる、ことを特徴とする方法。
2.
前記補正値の決定は、受信した車対Xメッセージの上昇または下降レートを用いて行われる、上記1に記載の方法。
3.
前記所定期間を満了する前に、処理すべき車対Xメッセージの前記数が車対Xメッセージの処理用に設けられる前記数に到達するか、または超過する場合、受信した車対Xメッセージの上昇レートを適用する、上記2に記載の方法。
4.
前記所定期間を満了するか、または超過するときに、処理すべき車対Xメッセージの前記数が車対Xメッセージの処理用に設けられる前記数に到達しないか、または超過しない場合、受信した車対Xメッセージの下降レートを適用する、上記2または3に記載の方法。
5.
前記補正値を算出するために、前記フィルタパラメータの直近の調整以来の期間を再現するための時間情報および/または前記フィルタパラメータの直近の調整以来の車対Xメッセージの数を再現するためのカウント情報が用いられる、上記1~4の少なくとも1つに記載の方法。
6.
前記補正値は、受信した車対Xメッセージが上昇レートの場合、前記所定期間と、処理すべき車対Xメッセージの前記数が車対Xメッセージの処理用に設けられる前記数に到達するか、または超過する時点までの期間との比の値を用いて決定される、上記1~5の少なくとも1つに記載の方法。
7.
前記補正値は、受信した車対Xメッセージが下降レートの場合、前記所定期間を満了したか、または超過したときの処理すべき車対Xメッセージの前記数と、車対Xメッセージの処理用に設けられる前記数との比の値を用いて決定される、上記1~6の少なくとも1つに記載の方法。
8.
処理すべき車対Xメッセージの前記数を制御するための制御方法に、前記補正値を適用する、上記1~7の少なくとも1つに記載の方法。
9.
前記フィルタパラメータの調整は、前記所定期間の満了時または満了後に行われる、上記1~8の少なくとも1つに記載の方法。
10.
前記フィルタパラメータを調整するために、前記補正値は算術的に前記フィルタパラメータに適用される、上記1~9の少なくとも1つに記載の方法。
11.
前記車対Xメッセージのフィルタリング前に、前記受信した車対Xメッセージのコンテンツに関する分類が行われる、上記1~10の少なくとも1つに記載の方法。
12.
上記1~11のいずれか1つに記載の方法を実行するように構成される車対X通信装置(10)、および/または
プログラムコードを有し、その実行の際には、計算装置または車対X通信装置によって、上記1~11のいずれか1つに記載の方法を実行する、コンピュータ可読記録媒体。
図1
図2
図3