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特許7473541ワークピースキャリアデバイス及び塗装装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】ワークピースキャリアデバイス及び塗装装置
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/50 20060101AFI20240416BHJP
   F16H 55/08 20060101ALI20240416BHJP
   F16H 55/06 20060101ALI20240416BHJP
   F16H 1/06 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
C23C14/50 H
F16H55/08 Z
F16H55/06
F16H1/06
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021520111
(86)(22)【出願日】2019-10-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-13
(86)【国際出願番号】 EP2019079376
(87)【国際公開番号】W WO2020084164
(87)【国際公開日】2020-04-30
【審査請求日】2022-10-12
(31)【優先権主張番号】102018126862.9
(32)【優先日】2018-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】517137767
【氏名又は名称】エリコン サーフェイス ソリューションズ アーゲー,プフェフィコーン
【氏名又は名称原語表記】Oerlikon Surface Solutions AG,Pfaffikon
【住所又は居所原語表記】SCHWEIZ Pfaffikon CH-8808 Churerstrasse 120
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】メイラー、 ルドルフ
【審査官】吉森 晃
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-098618(JP,A)
【文献】特開2004-156139(JP,A)
【文献】特開昭51-112263(JP,A)
【文献】特開2018-141522(JP,A)
【文献】特開2009-280881(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/50
F16H 55/08
F16H 55/06
F16H 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークピースキャリアデバイス(1)であって、
ワークピース配列(4)を受ける駆動ギア(3)であって、主軸(2)を中心に回転可能な駆動ギア(3)と、
前記駆動ギア(3)上に配置された複数の駆動体(6)であって、それぞれ回転軸(5)を中心に回転可能であり、各々が駆動ピニオン(8)と、前記駆動ピニオン(8)と噛み合う内歯を備えた固定された駆動リングギア(9)とを有する駆動体(6)と
を含み、
前記回転軸(5)は、前記主軸(2)に平行に延び、前記主軸(2)に対して同心円状に延びる前記駆動ギア(3)の環状領域に配置されているので、前記駆動ギア(3)が前記駆動リングギア(9)に対して回転すると、前記駆動体(6)はそれぞれの回転軸(5)を中心に回転し、
前記駆動リングギア(9)は、前記主軸に垂直に広がる調整面(17)内にスライド可能に配置され、前記駆動体(6)は、それらの駆動ピニオン(8)と共に相互に関連して形成及び配置され、前記駆動リングギア(9)の駆動動作が動作中にすべての駆動ピニオン(8)に均等に伝達されるように、前記駆動リングギア(9)と前記駆動ピニオン(8)との間に作動クリアランス(S)が設けられている、ワークピースキャリアデバイス(1)。
【請求項2】
前記作動クリアランス(S)は、前記駆動ピニオン(8)及び前記駆動リングギア(9)の歯の幾何学的形状を熱切断工程で作ることができるように寸法決めされている、請求項1に記載のワークピースキャリアデバイス(1)。
【請求項3】
前記熱切断工程はレーザ切断工程である、請求項に記載のワークピースキャリアデバイス(1)。
【請求項4】
前記調整面(17)は、前記駆動ギア(3)と前記駆動リングギア(9)との間に配置されたスライドリング(16)によって画定され、前記スライドリングは、前記調整面(17)において前記駆動リングギア(9)とスライド対を形成する、請求項1、2又は3に記載のワークピースキャリアデバイス(1)。
【請求項5】
前記駆動体(6)はスリーブ形状であり、それぞれが前記駆動ギア(3)に固定された軸受ピン(11)に回転可能に取り付けられている、請求項1から4のいずれか一項に記載のワークピースキャリアデバイス(1)。
【請求項6】
軸受球(12)が前記駆動体(6)の内部で前記軸受ピン(11)と前記駆動体(6)との間に配置されている、請求項5に記載のワークピースキャリアデバイス(1)。
【請求項7】
前記駆動ギア(3)は、垂直な駆動軸(24)上に配置されかつキャリアギア(25)に連結され、棒状のワークピースキャリア(23)が、それらの重量荷重が前記キャリアギア(25)を介して加えられ、前記駆動動作が前記駆動体(6)を介して加えられるように、前記キャリアギア(25)と前記駆動ギア(3)との間に連結されている、請求項1から6のいずれか一項に記載のワークピースキャリアデバイス(1)。
【請求項8】
各ワークピースキャリア(23)が、上部サスペンション端に前記キャリアギア(25)に連結される懸架ヘッド(26)を有し、下部駆動端に前記駆動体(6)の駆動端に連動連結されかつ連帯回転のためにそれに連結される連結ヘッド(22)を有する、請求項7に記載のワークピースキャリアデバイス(1)。
【請求項9】
前記懸架ヘッド(26)は、取り外し可能な連結ロッド(27)を介して前記駆動端に連結することができ、前記連結ロッド(27)は、前記ワークピースキャリアに配置されたワークピース(28)を貫通する、請求項8に記載のワークピースキャリアデバイス(1)。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載のワークピースキャリアデバイス(1)を含む塗装装置(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ワークピース配列を受ける駆動ギアであって、主軸を中心に回転可能な駆動ギアと、回転軸を中心にそれぞれ回転可能でありかつ駆動ギア上に配置された複数の駆動体とを含む、ワークピースを移動させるためのワークピースキャリアデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
このタイプのワークピースキャリアデバイスは、特に真空システム内でワークピースを処理するために、そして特に真空システム内でワークピースを塗装するために使用される。ワークピースキャリアデバイスは、複数のワークピースキャリアユニットに取り付けられたワークピースを塗装室内で移動させて、塗装室内でワークピースのすべての露出面の均一な塗装(コーティング)を確実にするために用いられる。このタイプのワークピースキャリアデバイスは、塗装室内で円筒形又はスリーブ形状のワークピースを移動させるのに特に適している。この場合、ワークピースは、主軸の周りにクラウン又はリングの形に配置され、塗装室内で主軸を中心に移動する。すべての表面、特に円筒状の外周面の均一な塗装を達成するために、ワークピースは、駆動体によってそれら自体の軸、すなわち回転軸を中心に回転する回転可能なホルダ内にこのために配置される。塗装中、ワークピースは主軸の周りで及びそれぞれの回転軸の周りで移動するので、すべての表面が塗装室内の塗装材料を通って移動する。
【0003】
ワークピースキャリアデバイス又はワークピースキャリアユニットが偏心ディスクに関連するクランク機構により回転軸回りに回転するワークピースキャリアデバイスがある。しかしながら、このような駆動装置は、比較的重いワークピース配列の場合には問題となるかのうせいがある。場合によってはクランク駆動装置を動作させるために比較的高い作動力が必要とされ、その結果、クランク駆動装置も比較的重く、製造コストがかかるためである。また、アンバランスなどにより、それぞれの回転軸を中心とする均一な回転が得られないため、塗装結果が十分でない場合があるという問題もある。
【0004】
歯車駆動によって駆動されるワークピースキャリア(ユニット)は、歯の幾何学的形状に関して高度の製造努力を必要とし、塗装室内の高温変動(20℃から600℃の間)により、熱によって誘発される幾何学的形状の変化が機能を損なう可能性があるため、問題となる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の目的は、これらの欠点を少なくとも部分的に解消する改良されたワークピースキャリアデバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様によれば、本発明は、ワークピース配列を受ける駆動ギアであって、主軸を中心に回転可能な駆動ギアと、駆動ギア上に配置され、回転軸を中心にそれぞれ回転可能な複数の駆動体であって、駆動ピニオンと、駆動ピニオンと噛み合う内歯を備えた固定された駆動リングギアとをそれぞれ有する複数の駆動体とを含む、ワークピースキャリアデバイスを提供する。この場合、回転軸は主軸に平行であり、主軸に対して同心の駆動ギアの環状領域に配置されているので、駆動ギアが駆動リングギアに対して回転すると、駆動体はそれぞれの回転軸を中心に回転し、駆動リングギアは主軸に対して垂直に広がる調整面内にスライド可能に配置され、駆動体は駆動ピニオンと共に相互に関連して形成及び配置され、動作中に駆動動作がすべての駆動ピニオンに均等に伝達されるように駆動リングギアと駆動ピニオンとの間に作動クリアランスが設けられている。
【0007】
第2の態様によれば、本発明は、このタイプのワークピースキャリアデバイスを備えた塗装装置を提供する。
【0008】
本発明の更なる態様及び特徴は、従属請求項、添付の図面及び後続の好ましい実施形態の説明から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
次に、本発明の実施形態を例として、添付図面を参照して説明する。
図1】本発明によるワークピースキャリアデバイスの例示的な実施形態の斜視図を示す。
図2図1に示すワークピースキャリアデバイスの駆動機構の詳細図を、駆動ピニオンと駆動リングギアとの係合の拡大図と共に示す。
図3】本発明によるワークピースキャリアデバイスの図1の駆動ギアの断面図を示す。
図4】駆動体の拡大断面図を示す。
図5】本発明によるワークピースキャリアデバイスの駆動体を有する駆動ギアの分解図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本発明による実施形態を示す。実施形態に関する一般的な説明が最初に提供され、その後に詳細な説明が続く。
【0011】
本発明の第1の態様によるワークピースキャリアデバイスは、すべての駆動体の均一な駆動を可能にする駆動又は作動クリアランスによって特徴付けられる。この駆動クリアランスは、駆動ピニオンの寸法と、駆動ピニオンが噛み合う駆動ピニオンを囲むリングギアの歯との特定の相互関係によって特徴付けられる。駆動クリアランスは、駆動リングギアと、駆動体が回転する回転軸が配置される環状円との直径比によっても定義される。最後に、作動クリアランスは、内歯とピニオンのギアリングのタイプと幾何学的形状によっても定義される。作動クリアランスは、温度に関連する膨張又は収縮も考慮されて中和されるように選択されるので、特に耐食鋼(例えば、1.4301など)の場合、約600℃の温度範囲内での動作が保証される。
【0012】
この場合インボリュート歯が最も好適であることが証明されている。他の好適な歯も実施することができる。
【0013】
回転軸円(環状円)と駆動リングギアの呼び径(歯底円直径又は歯先円直径)との直径比は、この場合、0.75から0.9の間で選択することができる。ピニオンのそれぞれの呼び径(歯底円直径又は歯先円直径)と駆動リングギアの呼び径との比は0.1から0.3である。
【0014】
この場合、対応するリングギアに3から25個の駆動体を配置することができる。駆動ピニオンと駆動リングギアの内歯との伝達比は、駆動ギアが主軸を中心に360°完全に回転した場合に、各駆動体が3から15回転するように選択される。
【0015】
リングギアの呼び径又は環状円に関連する作動クリアランスは、約200から300mmの直径範囲に対して0.05から0.6mmであり、好ましくは0.1から0.3mmの間、特に0.1mmである。リングギアは、動作中に作用する歯全体のそれぞれの歯底円、歯先円及び/又はピッチ円によって、噛み合う駆動ピニオンに対して半径方向に取り付けられる。
【0016】
作動クリアランスが駆動ピニオン及び駆動リングギアの歯の幾何学的形状を熱切断工程、特にレーザ切断工程で作ることができるように寸法決めされている実施形態がある。これにより、研削又はフライス加工などの複雑な後処理作業なしで、駆動ピニオンと内歯の効果的な幾何学的形状を形成することができるので、レーザビームを用いて切断された駆動ピニオンを、追加の後処理作業なしで同様に製造された駆動リングギアで使用することができる。
【0017】
駆動リングギアが主軸に対して垂直に広がる調整面内でスライド可能であるように配置される実施形態がある。駆動リングギアのこのようなフローティング又はフライングベアリングは、例えば機械フレーム上で、駆動ギアに対して回転が固定された取り付けを可能にすると同時に、動作中に、すなわち駆動ギアが回転するときに生じる調整面内の自動調整作業位置を可能にする。このようにして、滑らかに作動する、低摩耗の駆動を実現することができる。
【0018】
調整面が駆動ギアと駆動リングギアとの間に配置されたスライドリングによって画定され、スライドリングが調整面において駆動リングギアとスライド対を形成する実施形態がある。この配置により、スライド面における駆動リングギアの容易に調整可能な自動調心が保証される。この場合、リングギアは、例えば、好適な鋼材で作ることができ、一方、スライドリングは、(焼結材料)などの好適な滑り軸受材料で作ることができる。
【0019】
スライドリングが駆動ギアと回転するように接続されている一実施形態では、スライドリングは動作中に駆動ギアと共に回転し、その際に駆動リングギアに沿ってスライドするため、スライド動作が調整面でのみ生じることが確実になるので、動作中に作用するのは常に駆動リングギアとスライドリングとの間の低い滑り摩擦であり、リングギアは容易に調整可能である。
【0020】
駆動体がスリーブ形状であり、それぞれが駆動ギアに固定された軸受ピンに回転可能に取り付けられている実施形態がある。これは、駆動体の位置を正確に定めることを確実にする簡単な方法であり、軸受支持体は、スリーブ形状の設計により外部の影響から保護される。
【0021】
軸受球が駆動体の内部で軸受ピンと駆動体との間に配置され、荷重負担能力及び軸受ピン上の駆動体の可動性を向上させる実施形態がある。軸受ピン及び軸受球は、この場合、特に硬質の軸受材料で作ることができ、必要に応じて、摩耗の場合に駆動体とは無関係に交換することができる。
【0022】
駆動ギアが垂直な駆動軸上に配置され、この共通の駆動軸を介してキャリアギアに連結され、棒状のワークピースキャリアが、それらの重量負荷がキャリアギアを介して加えられ、駆動動作(回転軸を中心とした回転)が駆動体を介して加えられるように、キャリアギアと駆動ギアとの間に連結され得る実施形態がある。これにより、軸受支持体は、ワークピースキャリア及びそれに連結されたワークピースの重量から生じる垂直荷重を吸収する必要がないため、駆動体が駆動ギア上のそれらの回転軸を中心に回転する能力が向上する。
【0023】
各ワークピースキャリアが、上部サスペンション端にキャリアギアに連結するための懸架ヘッドを有し、下部駆動端に駆動体の駆動端との連動連結及び回転のための連結のための連結ヘッドを有する実施形態がある。このようにして、垂直保持力は、サスペンション端又はサスペンション端に形成された懸架ヘッドを介して吸収され、垂直方向の重量負荷のない下端に配置された連結ヘッドは、単に駆動体の駆動端を介して回転運動を吸収し、それをワークピースキャリアとその上に配置されたワークピースに伝達するだけであるため、比較的重いワークピースキャリア装置であっても回転及び支持を実現することが比較的容易である。
【0024】
懸架ヘッドが取り外し可能な連結ロッドを介して駆動端で連結ヘッドに連結することができ、連結ロッドがワークピースキャリア上に配置されたワークピースを貫通する実施形態がある。このようにして、複数の中空のワークピース、適用可能な場合には異なる形状のワークピースを、いわば、連結ロッドに螺合することができ、懸架ヘッドと連結ヘッドとの間にそれらが駆動体の回転を同期して行うように固定することができる。連帯回転のためのワークピースの連結は、連結ロッドを介して懸架ヘッドと連結ヘッドとの間にワークピースを固定することによって、相互ロック又は摩擦のいずれかの方法で実現することができる。
【0025】
図面に戻る。
【0026】
図1は、主軸2を中心に回転可能でありかつ(この場合は25個の)ワークピース配列4を受けるために使用される駆動ギア3を含み、各ワークピース配列4は回転軸5を中心に回転可能であるように駆動ギア3上に配置される、本発明によるワークピースキャリアデバイス1の例示的な実施形態を示す。
【0027】
次に、図2から図5を参照して、最初に駆動ギア3の機能及び設計を説明する。駆動ギア3は、リングギア9の内歯と噛み合う連帯回転用の駆動ピニオン8を備えた駆動スリーブ7を含む複数の駆動体6を備えている。
【0028】
図示の実施形態では、25個の駆動体6が駆動ギア3の駆動リング10上に配置されている。各駆動体6は、軸受ピン11が駆動スリーブ7の内部に突出しかつ軸受球12を介してその軸受先端で駆動スリーブ7を支持するように軸受ピン11に取り付けられる。同時に、駆動スリーブ7及び駆動ピニオン8の下端面は、駆動ギア3の表面から離れたままである。このようにして、駆動体6が軸受ピン11上で自由に回転できることが確実になる。すべての駆動体6が、このようにして、回転可能な円の形で駆動ギア3の駆動リング10上に配置される。回転軸5は、この場合、リングギア9に囲まれた環状円14上に配置されるので、リングギアの歯は駆動ピニオン8の外歯と噛み合う。
【0029】
リングギア9の呼び径と環状円14の直径とは、互いに約1.1から1.5の比率である。リングギア9は、スライドリング16によって調整面17にスライド可能に装着され、リンクフォーク18によってメインフレーム(図示せず)に対して回動が固定されて取り付けられる。
【0030】
内輪19が、駆動ピニオン8を内側に向かって遮蔽し、駆動ピニオン8は、それらの上側が、穴のあいたカバーディスク20によって覆われ、カバーディスク20から駆動スリーブ7が突出している。
【0031】
駆動ギア3が主軸2を中心に駆動されると、駆動体6の駆動ピニオン8は、回転に対して固定されたリングギア9上を転動して回転軸5を中心に固定して回転されるので、駆動体6は主軸2の周りを移動し、それによってそれら(自体)の回転軸5を中心に回転する。駆動体6は、駆動スリーブ7の先端にある連結プロファイル21を介して連結ヘッド22と連動して設けられ、連結ヘッドはワークピース配列4の構成要素を形成するワークピースキャリア23の一部である。
【0032】
後者の設計及び機能は、図1を参照して説明される。駆動ギア3は、駆動軸24を介して、ワークピース配列4を受けるキャリアギア25に連結されている。懸架ヘッド26が、この場合、ワークピース配列4の上端に設けられ、連結ロッド27を介して連結ヘッドに接続されている。ワークピース28(この場合は円筒形スリーブ)が、懸架ヘッド26と連結ヘッド22との間の連結ロッド27に螺合され、懸架ヘッドと連結ヘッドとの間に連結ロッドを固定することにより、連帯回転のために互いに連結される。
【0033】
このような方法で形成されたワークピース配列4は、連結ヘッド26を介してキャリアギア25に回転可能に懸架され、連結ヘッド22によって連帯回転のために駆動体6に連結される。駆動ギア3及びキャリアギア25が駆動軸24によって回転されると、図1に1つだけが示されているワークピース配列の各々が回転軸5を中心に固定して回転されかつ主軸2を中心に回転され、そうすることでワークピース配列は破線で示す塗装装置100の塗装室内を移動する。
【0034】
駆動ピニオン8及びリングギア9の歯はレーザ切断工程で形成され、リングギア9と駆動体6及び駆動ピニオン8との間にはそれぞれ作動クリアランスが設けられ、作動クリアランスは、リングギア9が動作中に小さな力でそれ自体を様々な駆動ピニオン8の中心に置き、駆動ピニオン8を均等に駆動するように設計されている。
【0035】
リングギア9の呼び径及び/又は駆動円の直径に基づくと、作動クリアランスはこの場合、約0.15から1%であり、環状円の直径NRが約150mm、リングギアの呼び径NHが約170mmの場合、作動クリアランスは0.05mmから0.6mmである。スライドリング16は、焼結材などのスライド可能な材料で作られ、他の構成要素は、実質的に耐食鋼(例えば、1.4301)で形成される。
【0036】
本発明の更なる実施形態及び変形例は、特許請求の範囲で当業者に明らかになるであろう。
【符号の説明】
【0037】
1 ワークピースキャリアデバイス
2 主軸
3 駆動ギア
4 ワークピース配列
5 回転軸
6 駆動体
7 駆動スリーブ
8 駆動ピニオン
9 リングギア
10 駆動リング
11 軸受ピン
12 軸受球
14 環状円
15 リングギアの歯
16 スライドリング
17 調整面
18 リンクフォーク
19 内輪
20 カバーディスク
21 連結プロファイル
22 連結ヘッド
23 ワークピースキャリア
24 駆動軸
25 キャリアギア
26 懸架ヘッド
27 連結ロッド
100 塗装装置
NR 環状円の直径
NH リングギアの呼び径
図1
図2
図3
図4
図5