(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】静的シールクランプカラーを備えたマシンローラーアセンブリを有する機械システム
(51)【国際特許分類】
B62D 55/15 20060101AFI20240416BHJP
【FI】
B62D55/15
(21)【出願番号】P 2021532441
(86)(22)【出願日】2019-11-20
(86)【国際出願番号】 US2019062314
(87)【国際公開番号】W WO2020123107
(87)【国際公開日】2020-06-18
【審査請求日】2022-11-15
(32)【優先日】2018-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391020193
【氏名又は名称】キャタピラー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CATERPILLAR INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アンバッハ、ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】トローン、マシュー ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】バール、ウィリアム
【審査官】長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第02952495(US,A)
【文献】特開昭54-113130(JP,A)
【文献】実開昭53-138345(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2016/0244111(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0096196(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0332683(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 55/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械システム(20)であって、
ローラーフレーム(22、122)と、
前記ローラーフレーム(22、122)に装着されたローラーアセンブリ(30、130)であって、第1のローラーシャフト端部(36)と第2のローラーシャフト端部(38)との間に延びる長手方向シャフト軸を画定するローラーシャフト(32、132)と、前記ローラーシャフト(32、132)上に回転可能に配置されたローラー本体(40、140)と、を含むローラーアセンブリ(30、130)と、を含み、
前記ローラーアセンブリ(30、130)は、前記第1のローラーシャフト端部(36)及び前記第2のローラーシャフト端部(38)にそれぞれ配置された第1のクランプカラー(48、148)及び第2のクランプカラー(50、150)をさらに含み、かつ、それぞれは下部カラーセクション(52、53、152、153)及び上部カラーセクション(54、55、154、155)を含み、
前記第1のクランプカラー(48、148)は、前記下部及び上部カラーセクション(52、53、152、153;54、55、154、155)を前記第1のローラーシャフト端部(36)にクランプして前記ローラーシャフト(32、132)の周りに円周方向に延びる第1の静的シール(58、158)を形成する第1のファスナー(56、156)をさらに含み、かつ
前記第2のクランプカラー(50、150)は、前記下部及び上部カラーセクション(52、53、152、153;54、55、154、155)を前記第2のローラーシャフト端部(38)にクランプして前記ローラーシャフト(32、132)の周りに円周方向に延びる第2の静的シール(62、160)を形成する第2のファスナー(60)をさらに含
み、
前記ローラー本体(40、140)と前記ローラーシャフト(32、132)との間にキャビティ(46)が形成され、潤滑流体を含み、前記第1及び第2の静的シール(58、62、158、160)それぞれは前記キャビティ(46)からの潤滑流体の漏出を抑制し、
前記第1のファスナー(56、156)は、前記第1のクランプカラー(48、148)を前記ローラーフレーム(22、122)に締結し、前記第2のファスナー(60)は、前記第2のクランプカラー(50、150)を前記ローラーフレーム(22、122)に締結し、
前記第1及び第2のクランプカラー(48、148;50、150)は、前記上部及び下部カラーセクション(54、55、154、155;52、53、152、153)を分割する分割線(72、73、172、173)を含み、
前記機械システム(20)は、前記ローラーアセンブリ(30、130)と接触する複数の互いに連結された軌道リンク(26)を有する軌道チェーン(24)をさらに含む、機械システム(20)。
【請求項2】
前記第1及び第2のクランプカラー(148、150)のそれぞれにおける上部及び下部カラーセクション(154、155;152、153)は、分割線(172、173)によって別個に分割される、請求項
1に記載の機械システム(20)。
【請求項3】
請求項1
または2に記載の機械システム(20)において、
前記ローラーアセンブリ(30、130)は、第1のローラーシャフト端部(36)と前記第1のクランプカラー(48、148)の下部及び上部カラーセクション(52、152;54、154)のそれぞれを通って延びる第1のピンボア(74、174)と、前記第2のローラーシャフト端部(38)と前記第2のクランプカラー(50、150)の下部及び上部カラーセクション(53、153;55、155)のそれぞれを通って延びる第2のピンボア(76)と、をさらに含み、
前記ローラーアセンブリ(30、130)は、前記第1のクランプカラー(48、148)と前記ローラー本体(40、140)との間の軸方向圧縮状態で保持される第1の動的シール(64、164)と、前記第2のクランプカラー(50、150)と前記ローラー本体(40、140)との間の軸方向圧縮で保持される第2の動的シール(66、166)と、をさらに含む、請求項1
または2に記載の機械システム(20)。
【請求項4】
マシンローラーアセンブリ(30、130)であって、
第1のローラーシャフト端部(36)と第2のローラーシャフト端部(38)との間に延びる長手方向シャフト軸を画定するローラーシャフト(32、132)、
前記ローラーシャフト(32、132)に回転可能に配置され、外側トレッド面(42)、及び前記ローラーシャフト(32、132)の周りに円周方向に延びる内面(44)を含むローラー本体(40、140)、
下部カラーセクション(52、53、152、153)及び上部カラーセクション(54、55、154、155)と、前記下部カラーセクション(52、53、152、153)及び前記上部カラーセクション(54、55、154、155)を前記第1のローラーシャフト端部(36)にクランプして前記ローラーシャフト(32、132)の周りに円周方向に延びる第1の静的シール(58、158)を形成する第1のファスナー(56、156)と、を含む第1のクランプカラー(48、148)、及び
下部カラーセクション(52、53、152、153)及び上部カラーセクション(54、55、154、155)と、前記下部カラーセクション(52、53、152、153)及び前記上部カラーセクション(54、55、154、155)を前記第2のローラーシャフト端部(38)にクランプして前記ローラーシャフト(32、132)の周りに円周方向に延びる第2の静的シール(62、160)を形成する第2のファスナー(60)と、を含む第2のクランプカラー(50、150)、を含
み、
前記ローラー本体(40、140)と前記ローラーシャフト(32、132)との間にキャビティ(46)が形成され、潤滑流体を含み、前記第1及び第2の静的シール(58、62、158、160)それぞれは前記キャビティ(46)からの潤滑流体の漏出を抑制し、
前記第1のファスナー(56、156)は、前記第1のクランプカラー(48、148)をローラーフレーム(22、122)に締結し、前記第2のファスナー(60)は、前記第2のクランプカラー(50、150)を前記ローラーフレーム(22、122)に締結し、
前記第1及び第2のクランプカラー(48、148;50、150)は、前記上部及び下部カラーセクション(54、55、154、155;52、53、152、153)を分割する分割線(72、73、172、173)を含み、マシンローラーアセンブリ(30、130)。
【請求項5】
請求項
4に記載のマシンローラーアセンブリ(30、130)において、前記第1のクランプカラー(48、148)と前記ローラー本体(40、140)との間の軸方向圧縮状態で保持される第1の動的シール(64、164)と、前記第2のクランプカラー(50、150)と前記ローラー本体(40、140)との間の軸方向圧縮状態で保持される第2の動的シール(66、166)と、をさらに含み、
前記第1及び第2の動的シール(66、166)それぞれは、前記ローラー本体(40、140)とともに回転するように固定された内側シールリング(68)及びと外側シールリング(69)を有する金属面シールを含み、
前記マシンローラーアセンブリ(30、130)は、前記ローラーシャフト(32、132)に前記第1のクランプカラー(48、148)の軸方向位置を固定する第1のピン(78)と、前記ローラーシャフト(32、132)に前記第2のクランプカラー(50、150)の軸方向位置を固定する第2のピン(80)と、をさらに含み、
前記マシンローラーアセンブリー(30、130)は、前記第1のピン(78)を収容し、前記第1のローラーシャフト端部(36)と前記第1のクランプカラー(48、148)の下部及び上部カラーセクション(52、152;54、154)のそれぞれを通って延びる第1のピンボア(74)と、前記第2のピン(80)を収容し、前記第2のローラーシャフト端部(38)と前記第2のクランプカラー(50、150)の下部及び上部カラーセクション(53、153;55、155)のそれぞれを通って延びる第2のピンボア(76)と、をさらに含む、請求項
4に記載のマシンローラーアセンブリ(30、130)。
【請求項6】
前記第1及び第2のクランプカラー(50、150)のそれぞれは、前記下部及び上部カラーセクション(52、53、152、153;54、55、154、155)を分割する分割線(72、73、172、173)を含む、請求項
4または5に記載のマシンローラーアセンブリ(30、130)。
【請求項7】
請求項
6に記載のマシンローラーアセンブリ(30、130)において、
前記第1のファスナー(56、156)は、対応する上部及び下部カラーセクション(54、55、154、155;52、53、152、153)が前記分割線(72、73、172、173)に沿って一緒に圧搾されるように前記第1のクランプカラー(48、148)を前記ローラーシャフト(32、132)にクランプする第1のセットのファスナーうちのいずれか一つであり、かつ
前記第2のファスナー(60)は、対応する上部及び下部カラーセクション(54、55、154、155;52、53、152、153)が前記分割線(172、173)に沿って一緒に圧搾されるように前記第2のクランプカラー(50、150)を前記ローラーシャフト(32、132)にクランプする第2のセットのファスナーうちのいずれか一つである、請求項
6に記載のマシンローラーアセンブリ(30、130)。
【請求項8】
前記第1及び第2のクランプカラー(148、150)のそれぞれにおける下部及び上部カラーセクション(152、153;154、155)は、前記分割線(172、173)によって別個に分割される、請求項
6または7に記載のマシンローラーアセンブリ(130)。
【請求項9】
前記第1及び第2のクランプカラー(48、50)のそれぞれにおける下部及び上部カラーセクション(52、53;54、55)は、それぞれが前記分割線(72、73)によって部分的に分割される部分である、請求項
6または7に記載のマシンローラーアセンブリ(30)。
【請求項10】
マシンローラーアセンブリ(30、130)用のクランプカラー(48、50、148、150)であって、
上部カラーセクション(54、55、154、155)及び下部カラーセクション(52、53、152、153)と、前記上部カラーセクション(54、55、154、155)及び前記下部カラーセクション(52、53、152、153)を分割する分割線(72、73、172、173)と、を含むカラー本体(91、191)を含み、前記カラー本体(91、191)は、前記上部カラーセクション(54、55、154、155)及び前記下部カラーセクション(52、53、152、153)によって部分的にそれぞれ形成されたクランプ(89、189)とシールキャリア(87、187)とをさらに含み、前記クランプ(89、189)及び前記シールキャリア(87、187)のそれぞれを通って延びるシャフトボア(57、157)が内部に形成されており、
前記カラー本体(91、191)は、前記分割線(72、73、172、173)で前記下部カラーセクション(52、53、152、153)と前記上部カラーセクション(54、55、154、155)とを一緒にクランプするための複数のファスナーボア(75、77、175、177)が内部にさらに形成され、
ローラー本体(40、140)とローラーシャフト(32、132)との間にキャビティ(46)が形成され、潤滑流体を含み、第1及び第2の静的シール(58、62、158、160)それぞれは前記キャビティ(46)からの潤滑流体の漏出を抑制し、
第1のファスナー(56、156)は、第1のクランプカラー(48、148)をローラーフレーム(22、122)に締結し、第2のファスナー(60)は、第2のクランプカラー(50、150)を前記ローラーフレーム(22、122)に締結している、クランプカラー(48、50、148、150)。
【請求項11】
前記カラー本体(91、191)は、前記クランプ(89、189)内に位置しかつ前記下部カラーセクション(52、53、152、153)及び前記上部カラーセクション(54、55、154、155)を通って延び、前記シャフトボア(57、157)と交差するピンボア(74、76、174)が内部にさらに形成されている、請求項
10に記載のクランプカラー(48、50、148、150)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的にマシンローラーアセンブリに関し、より詳しくはローラーシャフトの端部に静的シールを形成するクランプカラーを有するローラーアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
回転可能な要素は、すべての種類の機械システムに使われ、装置の一つの部分または部品が、装置の他の部分または部品に対して回転するか、または機械に対して移動すべき幾つかの物体または材料に対して回転できるようにする。マシンローラーの一般的な用途は、機械軌道の分野から知られている。掘削機、軌道型トラクター、あるいはその他の要素などの軌道型機械において機械軌道は軌道が複数の回転可能な軌道係合要素に対して無限ループで前進することによって軌道上の機械の重量を支持するのに一般に使われる。軌道設計によって、複数のいわゆる軌道ローラーは、軌道ローラーフレームの下方に、あるいはそれ以外の場合は軌道ローラーフレームに装着されて、軌道が一つ以上のアイドラ及び駆動スプロケットを中心に移動することによって軌道リンクまたは軌道シューの内面を横切って回転することができる。
【0003】
軌道型機械は、非常に厳しい条件下でも作動することができる。軌道型機械それ自体が極めて重いことがあり、また、基板は均一ではないだけでなく、かなり堅くて研磨性のある材料を含むことができる。湿潤環境下で作業する掘削機が遭遇するかもしれない柔らかい地盤条件の下においても、切株のような堅くて及び/または突出した物体は、軌道システム構成要素をして相当かつ不均一な繰り返し荷重を受けしめる可能性がある。一般的に、軌道ローラー、スプロケット、アイドラ、及びその他の要素を含む軌道システム及び軌道システム内の回転可能な構成要素はこのような劣悪した環境で使用寿命を延ばすように堅固に設計されている。堅固な設計と使用寿命の延長への要求によってエンジニアは軌道システムなどのマシンローラーシステムにおける負荷を管理し、摩耗構成要素の寿命を延ばし、高度の潤滑戦略を確立するための改善された方法を持続的に模索するようになった。軌道型機械のための一つの知られたローラーアセンブリは、Johanssen氏の米国特許第9,745,005B2号に記載されている。Johanssen氏は、円筒状シャフトを収容するボアを有するローラーシェルを備えたローラーアセンブリを提案している。第1のカラーは、シャフトの第1の端部とローラーシェルとの間に配置されており、シャフトと締り嵌めにより嵌合される。第2のカラーは、シャフトの反対側の端部と締り嵌めにより嵌合される。
【発明の概要】
【0004】
一態様において、機械システムは、ローラーフレームと、ローラーフレームに装着されたローラーアセンブリとを含む。ローラーアセンブリは、第1のローラーシャフト端部と第2のローラーシャフト端部との間に延びる長手方向シャフト軸を画定するローラーシャフトと、前記ローラーシャフト上に回転可能に配置されたローラー本体とを含む。第1のクランプカラー及び第2のクランプカラーは、それぞれ第1のローラーシャフト端部及び第2のローラーシャフト端部上に配置され、それぞれは下部カラーセクションと上部カラーセクションとを含む。第1のクランプカラーは、下部及び上部カラーセクションを第1のローラーシャフト端部にクランプしてローラーシャフトの周りに円周方向に延びる第1の静的シールを形成する第1のファスナーをさらに含み、第2のクランプカラーは、下部及び上部カラーセクションを第2のローラーシャフト端部にクランプしてローラーシャフトの周りに円周方向に延びる第2の静的シールを形成する第2のファスナーを含む。
【0005】
他の態様において、マシンローラーアセンブリは、第1のローラーシャフト端部と第2のローラーシャフト端部との間に延びる長手方向シャフト軸を画定するローラーシャフトと、ローラーシャフト上に回転可能に配置されて外側トレッド面を含むローラー本体と、ローラーシャフトの周りに円周方向に延びる内面と、を含む。マシンローラーアセンブリは、下部カラーセクション及び上部カラーセクションを含む第1のクランプカラーと、下部カラーセクション及び上部カラーセクションを第1のローラーシャフト端部にクランプしてローラーシャフトの周りに円周方向に延びる第1の静的シールを形成する第1のファスナーと、下部カラーセクション及び上部カラーセクションを含む第2のクランプカラーと、下部カラーセクション及び上部カラーセクションを第2のローラーシャフト端部にクランプしてローラーシャフトの周りに円周方向に延びる第2の静的シールを形成する第2のファスナーと、をさらに含む。
【0006】
また他の態様において、マシンローラーアセンブリ用クランプカラーは、上部カラーセクション及び下部カラーセクションを有するカラー本体と、上部カラーセクションと下部カラーセクションとを分割する分割線とを含む。カラー本体は、上部カラーセクション及び下部カラーセクションによって部分的にそれぞれ形成されたクランプ及びシールキャリアをさらに含む。カラー本体は、その内部にクランプとシールキャリアのそれぞれを通って延びるシャフトボア、分割線において下部カラーセクションと上部カラーセクションとを一緒にクランプするための複数のファスナーボアが形成される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】一実施形態による機械システムを含む機械の側面図である。
【
図2】一実施形態によるローラーフレームに装着されたマシンローラーアセンブリの端部図である。
【
図3】
図2と同様に、ローラーフレームに装着されたマシンローラーアセンブリによる切断端面図である。
【
図4】
図2及び
図3に示されたローラーアセンブリ及びローラーフレームの切断側面図である。
【
図5】他の実施形態による、ローラーフレームに装着されたマシンローラーアセンブリによる切断端面図である。
【
図6】
図5のマシンローラーアセンブリの切断側面図である。
【
図7】
図5及び
図6のマシンローラーアセンブリの部分的に分解された部分切断側面図である。
【
図8】一実施形態によるクランプカラーの斜視図である。
【
図9】他の実施形態によるクランプカラーの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1を参照すれば、フレーム12及びフレーム12に装着されたインプルメントシステム16を含む一実施形態による機械10が示されている。機械10は、フレーム12の一側に配置された地面係合軌道システムとして示した機械システム20をさらに含む。例示の実施形態では、実質的に同一の地面係合軌道システムはフレーム12の反対側に装着されているが、
図1には見られない。機械システム20は、ローラーフレーム22、及び駆動スプロケット33、及びアイドラ35の周りに延びる軌道24を含むことができる。軌道24は、図示のように楕円状の軌道であるが、他の実施形態では「高駆動」軌道構成であってもよい。軌道24は、一般的に従来の方式で複数の軌道シュー(tract shoe)28に取り付けられている複数の互いに連結された軌道リンク26を含む。機械システム20は、ローラーフレーム22に装着された複数のマシンローラーアセンブリ30をさらに含む。機械10は、堀削機として示されているが、軌道型トラクターまたは他の軌道型機械など、本開示の文脈上多様な他の機械類型が考慮されていることを理解しなければならない。機械システム20は、代案的に、幾つかの例を挙げると、コンベヤ、工業プロセス機械、または組み立てラインなどの製造システムの部品として構造化されることができる。ローラーアセンブリ30は、軌道リンク26と接触して回転してもよく、多くの実施形態で機械10の重量の少なくとも大部分を支えてもよい。以下の説明からより明らかなように、以下で単数で述べられるローラーアセンブリ30は、その内部に含まれる潤滑流体の堅固な密封のために独特に構造化されることができる。
【0009】
ここで
図2~
図4を参照すれば、ローラーアセンブリ30の特徴がより詳細に現われている。前述の如く、ローラーアセンブリ30はローラーフレーム22に装着されることができる。ローラーアセンブリ30は、長手方向シャフト軸34を画定するローラーシャフト32を含む。長手方向シャフト軸34は、第の1ローラーシャフト端部36と第2のローラーシャフト端部38との間に延びる。またローラーアセンブリ30は、ローラーシャフト32上に回転可能に配置されたローラーシェルまたは本体40を含む。ローラー本体40は、如何なる機械構成要素や物体が要求されても接触するように形状化できる外側トレッド面42を含み、図示の例では円筒状ではなく、二つの平行な軌道チェーンと接触するように構造化されている。ローラー本体40は、ローラーシャフト32の周りに円周方向に延びる内面44をさらに含む。キャビティ46は、ローラー本体40とローラーシャフト32との間に形成されることができ、ローラー本体40とローラーシャフト32との間の接触界面を潤滑させるための潤滑流体を含む。代替の実施形態において、ブッシングまたは軸受は、例えばローラー本体40とローラーシャフト32との間に配置されることができる。前述したように、軌道タイプの機械及び他のタイプの機械は側面荷重、曲げ荷重、ねじり荷重、その他のものを受ける回転可能な構成要素を含むことができる。ローラーアセンブリ30は、使用中にこれらの荷重に応答してキャビティ46から、そしてローラーアセンブリ30の構成要素の間に若しくはそれらの中に、潤滑流体の漏出を抑制または最小化するように構造化されることができる。
【0010】
ローラーアセンブリ30は、第1のローラーシャフト端部36及び第2のローラーシャフト端部38上にそれぞれ配置された第1のクランプカラー48及び第2のクランプカラー50をさらに含む。第1及び第2のクランプカラー48、50のそれぞれは、下部カラーセクション52、53及び上部カラーセクション54、55を含む。第1及び第2のクランプカラー48、50は、少なくとも特定の実施形態で実質的に同一であることができると認識され、したがって第1または第2のクランプカラー48及び50のいずれか一つに対する本説明は、第1または第2のクランプカラー48及び50のもう一つを言及するものと類推して理解することができる。カラーセクション52、53及び54、55に関連して「上部」及び「下部」という用語は、相対的な意味で使われており、これらの用語は観点によって変わるので、任意のカラーセクションがいつも上部位置または下部位置で使うように配置されることを意味するものではない。図示の例では、上部カラーセクション54、55はローラーフレーム22に締結されるが、下部カラーセクション52、53がローラーフレーム22に締結されるか、または下部カラーセクション52、53及び上部カラーセクション54、55の両方とも一つ以上のローラーフレームに取り付けられる実施形態が想定されている。
図2の図示例では、第1のクランプカラー48が上部カラーセクション54上に形成された平面状の上部取付面と、下部カラーセクション52上に形成された下部ボルト締結面49とを含むということが分かる。第1のクランプカラー48は、さらに、ローラーシャフト32を収容し、通常、長手方向シャフト軸34の周りに円周方向に延びるシャフトボア57が内部に形成される。第1のクランプカラー48は、下部及び上部カラーセクション52、54を第1のローラーシャフト端部36にクランプして、ローラーシャフト32の周りに円周方向に延びる第1の静的シール58を形成する第1のファスナー56をさらに含む。図示の例では、第1のクランプカラー48は、シャフトボア57の前後部に、外側に配置された複数のファスナー56を含む。第2のクランプカラー50は、下部及び上部カラーセクション53、55を第2のローラーシャフト端部36にクランプしてローラーシャフト32の周りに円周方向に延びる第2の静的シール62を形成する、第2のファスナー60、図示の例では複数のファスナー60をさらに含む。第1の静的シール58及び第2の静的シール62それぞれはメタル-メタル静的シールを含むことができる。接着剤、例えば商品名Loctite(登録商標)で市販される好適な接着剤は、第1及び第2のクランプカラー48及び50とローラーシャフト32との当接面の間に配置して静的シールを強化することができる。本明細書で追加で説明されているように、ローラーシャフト32はファスナー56、60のクランプ作用によって第1及び第2のクランプカラー48、50に締り嵌めにより嵌合されることができる。
【0011】
図3に示したように、上部カラーセクション54はクランプ面67を含み、下部カラーセクション52はクランプ面65を含む。上部カラーセクション54及び下部カラーセクション52を互いにクランプすることでクランプ面65及び67を互いに密封接触させ、かつシャフトボア57を形成する第1のクランプカラー48の内面をローラーシャフト32と接触させて対応する静的シール58を生成する。第1のファスナー56は、第1のクランプカラー48をローラーフレーム22に締結し、第2のファスナー60は第2のクランプカラー50をローラーフレーム22に締結する。
【0012】
図2~
図4の実施形態において、第1及び第2のクランプカラー48及び50それぞれは、対応する上部及び下部カラーセクション54、55及び52、53を分割する分割線72及び73を含む。分割線72及び73は、第1及び第2のクランプカラー48及び50の軸方向の長さに亘って部分的に延びるスロット83によって形成されてもよく、これによって下部及び上部カラーセクション52、53及び54、55がそれぞれ分割線72及び73によって部分的に分割された一つの部分であってもよい。
【0013】
また、
図3の切断端面図から、シャフトボア57は、上部カラーセクション54内のハーフボア59と、下部カラーセクション52に形成された他のハーフボア61とによって形成されるということが分かる。ハーフボア59及びハーフボア61のそれぞれ、またはハーフボア59及びハーフボア61のいずれか一つは、クランプカラー48がまだファスナー56によってローラーシャフト32の周りにクランプされていない場合、完全な円(full circle)の半分未満に形成される。あるいは、ハーフボア59及びハーフボア61はローラーシャフト32によって形成された円に比べて小さい大きさの完全な円を一緒に形成することができる。これらの構成のいずれでも、本明細書で説明されるように、締り嵌めによる嵌合を可能にすることができる。また
図3から、ファスナー56は第1のファスナーボア75及び第2のファスナーボア77を通って延び、例示の実施形態でローラーフレーム22に螺合されることが分かる。ファスナー56がローラーフレーム22と係合されることによって、上部カラーセクション54及び下部カラーセクション52は一緒に圧搾され、ハーフボア59及びハーフボア61を半円形に変形させるか、またはこれによって形成された完全な円を拡大し、これによってローラーシャフト32がシャフトボア57内に効率よく締り嵌めによって嵌合される。ローラーアセンブリ30は、第1のローラーシャフト端部36及び第1のクランプカラー48の下部及び上部カラーセクション52、54それぞれを通って延びる第1のピンボア74と、第2のローラーシャフト端部38及び第2のクランプカラー50の下部及び上部カラーセクション53、55それぞれを通って延びる第2のピンボア76と、をさらに含む。第1のピン78は、ローラーシャフト32上に第1のクランプカラー48の軸方向位置を固定する。第2のピン80は、ローラーシャフト32上に第2のクランプカラー50の軸方向位置を固定し、第1及び第2のピン78、80は、第1のピンボア74及び第2のピンボア76内に収容される。下部カラーセクション52及び同様に下部カラーセクション53は、ボス63を含み、ここで、ピンボア74を介してピン78がボス63に貫通する。第1及び第2のピン78、80は、ローラーアセンブリ30をローラーフレーム22に締結する前にローラーアセンブリ30に設置されることができる。
【0014】
ローラーアセンブリ30は、第1のクランプカラー48とローラー本体40との間の軸方向圧縮状態で保持される第1の動的シール64と、第2のクランプカラー50とローラー本体40の間の軸方向圧縮状態で保持される第2の動的シール66と、をさらに含む。第1及び第2の動的シール64、66それぞれは、ローラー本体40とともに回転するように固定された環状シールリング68及び68と、外部シールリングをそれぞれ有する金属面シールと、を含むことができる。第1のピン78は、第1のクランプカラー48の軸方向位置を固定して第1の動的シール64の軸方向圧縮状態を設定することができ、反面、第2のピン80は、第2のクランプカラー50の軸方向位置を固定して第2の動的シール66の軸方向圧縮状態を固定することができる。第1の動的シール64は、ゴムOリングなどの第1のシール要素70を含み、第2の動的シール66は、第2のゴムOリングなどの第2のシール要素71を含む。例示の実施形態において、第2のクランプカラー50及び同様に第1のクランプカラー48は、長手方向シャフト軸34の周りに円周方向に延び、ローラーシャフト32によって画定された長手方向シャフト軸34の線分の軸中心点に向けて軸方向内側に突出するシールフランジ79を含む。シール凹部81はシールフランジ79によって形成される。また
図8を参照すると、他のクランプカラー48が示されている。クランプカラー48は、上部及び下部カラーセクション54、52を有するカラー本体91を含む。カラー本体91はまた、クランプ89及びシールキャリア87を含み、それぞれは上部及び下部カラーセクション54、52によって部分的に形成される。シャフトボア57は、クランプ89及びシールキャリア87のそれぞれを通って延びる。また、分割線72がクランプ89を通って部分的に延び、上部及び下部カラーセクション52、54が一つの部分に形成されるということが分かる。
【0015】
また
図5~
図7を参照すれば、他の実施形態による軌道ローラーフレーム122に装着されたローラーアセンブリ130が示されている。ローラーアセンブリ130は、ローラーシャフト132上に回転可能に配置されたローラー本体140を含む。ローラーアセンブリ130は、第1のクランプカラー148及び第2のクランプカラー150をさらに含む。クランプカラー148は、分割線172によって分割された上部カラーセクション154及び下部カラーセクション152を含む。クランプカラー150は、分割線173によって分割される類似するように構造化された上部及び下部カラーセクションを含む。前述の実施形態と対照的に、
図5~
図7の実施形態において分割線172及び173は、対応する下部及び上部カラーセクション152及び154を別個に分割する。分割線72及び73は、各々のクランプカラー構成要素を通って部分的にのみ延びる反面、分割線172及び173は各々のクランプカラー構成要素を通って全体的に延びる。ローラーアセンブリ130は、前述した動的シール64及び66に同一又は同様に構成されることができる第1の動的シール164及び第2の動的シール166をさらに含む。ファスナー156は、上部カラーセクション154及び下部カラーセクション152を一緒に圧搾するために提供され、ローラーフレーム122と螺合されることができる。ピンボア174は下部カラーセクション152、上部カラーセクション154、及びローラーシャフト132を通って延びる。ローラーシャフト132にクランプカラー148をクランプすることで分割線172に沿って上部及び下部カラーセクション154及び152を一緒に圧搾する。クランプカラー150の類似の構成も使われる。一実施形態で六角ボルトを含むことができるピン178は、ピンボア174を通って延びる。クランプカラー148及び同様にクランプカラー150は、別途の上部及び下部カラーセクションに形成されるので、ピン178は動的シールの軸方向圧縮のためにクランプカラー148の軸方向位置を固定することができ、またクランプカラー148がローラーフレーム122に締結されるまで上部及び下部カラーセクション154及び152を一緒に保持することもできる。また
図9を参照すれば、他のクランプカラー148が示されている。下部及び上部カラーセクション152及び154は、分割線172によって完全に分割されるということが分かる。クランプカラー148はまた、シールキャリア187及びクランプ189を有するカラー本体191を含む。ファスナーボア175及び177は、これらの間のピンボア174とともに示されている。各々のファスナーボア175、177及びピンボア174は、クランプ189に形成される。シャフトボア157は、クランプ189及びシールキャリア187を通って延びる。
【産業上の利用可能性】
【0016】
ここで、一般的に図面、特に
図7を参照すれば、マシンローラーアセンブリ130の部分分解図が示されている。ローラー本体140は、ローラーシャフト132上に配置され、クランプカラー148はローラーシャフト132にクランプされる。クランプカラー150は、まだローラーシャフト132にクランプドされておらず、動的シール166が設けられているように示されている。シャフトボア174は、ローラーシャフト132を通って延びるように示されている。第1のボアセクション181は、ローラーシャフト132を通って完全に延びることが分かる。第2のボアセクション183は、カラーセクション153を通って延び、第3のボアセクション185はカラーセクション155を通って延びる。分割線173がクランプカラー150を2つに分割するため、クランプカラー150は2つの部分を含むということを想起するだろう。また、下部カラーセクション153のクランプ面165及び上部カラーセクション155のクランプ面167も示されている。
【0017】
図7に示した模様から、クランプカラー150の構成要素はローラーシャフト132上に嵌合されることができ、クランプカラー150はローラーシャフト132にクランプされる。前述のように、クランプすることで第1及び第2の静的シール158及び160を生成することは、マシンローラーアセンブリ130がローラーフレーム122に締結される時に発生することができる。ピン178はピンボア174を通過し上部カラーセクション155と係合して、マシンローラーアセンブリ130がローラーフレーム122に締結されるまで、動的シール166の軸方向圧縮を設定する固定軸方向位置で上部及び下部カラーセクション153及び155を所定の位置に保持させる。ピン178は上部カラーセクション155のボアセクション185に形成された内部スレッドなどの第2のセットのスレッド182と係合する外部スレッドなどの第1のセットのスレッド184を含むことができる。クランプカラー150をローラーシャフト132にクランプすることで第2の静的シール160を形成することができる。クランプカラー150をローラーシャフト132にクランプすることで上部及び下部カラーセクション155及び153を一緒に圧搾できるということも理解されるだろう。クランプは、シャフトボア157が完全な円形形状を保障するか、または該円形形状を拡大し、クランプ面165及び167が互いに当接するように、それぞれのクランプカラーの材料を変形させることができる。本説明は、マシンローラーアセンブリ30と類似するように適用され、ただしマシンローラーアセンブリ30の場合、別途のカラーセクションを一緒に圧搾する代わりに、クランプカラー48及びクランプカラー50をローラーシャフト32にクランプしてスロット83を閉鎖するということが理解されるだろう。
【0018】
使用中に、ローラー本体40、140は軌道24が回転可能な軌道接触要素の周りに前進するにつれ、ローラーシャフト32、132を中心に回転することができる。したがって、ローラー本体40、140は互いに連結された軌道リンクの並行なチェーンに沿って転がり、それらと接触することが理解できるだろう。代替のマシンローラーの実施形態において、本開示によるローラーアセンブリと異なる物体または構成要素間の接触特性は相異なっていることができる。機械システム20の作動により、ローラーシャフト32がいずれか片方に押圧されたり、曲げられたり、それとも妨害されたりする多様な荷重を経験することと見込まれる。特定の公知のマシンローラーシステムにおいて、OリングはローラーシャフトのOリング溝にはめ込まれてローラーアセンブリ内の潤滑流体のシールが金属-ゴムまたは類似する材料密封によって達成された。時間の経過につれ、非金属材料がシールの問題を起こすことができる負荷、摩耗、または低温などのその他の要因によって、時々潤滑流体がローラーアセンブリの内部からOリング密封などを超えて漏出することができるということが観察された。本開示によれば、クランプカラーはこのような漏出経路の形成に耐えられる堅固なメタル-メタルシールを提供することができる。
【0019】
本説明は、単に例示のためのものであり、いかなる方法でも本開示の幅を狭めるものとして解釈されるべきではない。したがって、当業者は、本開示の完全、かつ公正な範囲および思想から逸脱することなく、現在開示されている実施形態に対して様々な修正が行われ得ることが理解されよう。他の様態、特徴および利点は、添付の図面および特許請求の範囲の検討のときに明らかになるであろう。本願にて使用されるように、冠詞「a」または「an」は、1つ以上のアイテムを含むように意図され、「1つ以上の(one or more)」に互換的に使用することができる。1つの項目のみが意図されている場合、用語「1つ」または類似の言語が使用される。また、本願にて使用されるように、用語「有している(has)」、「有する(have)」、「備える(having)」などは制限のない用語として意図される。さらに、他に明記なき限り、文句「基づいて(based on)」は「少なくとも部分的に基づいている」を意味するように意図される。