(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】側壁メッキ層を有する半導体パッケージ
(51)【国際特許分類】
H01L 23/50 20060101AFI20240416BHJP
【FI】
H01L23/50 D
(21)【出願番号】P 2021551529
(86)(22)【出願日】2019-03-08
(86)【国際出願番号】 US2019021276
(87)【国際公開番号】W WO2020185193
(87)【国際公開日】2020-09-17
【審査請求日】2022-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】520323779
【氏名又は名称】シリコニックス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】SILICONIX INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】2585 Junction Avenue,San Jose,California 95134-1923 USA
(74)【代理人】
【識別番号】100079980
【氏名又は名称】飯田 伸行
(74)【代理人】
【識別番号】100167139
【氏名又は名称】飯田 和彦
(72)【発明者】
【氏名】リン,バリー
【審査官】佐藤 靖史
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2009/125250(WO,A1)
【文献】特開2017-175131(JP,A)
【文献】特開2008-258411(JP,A)
【文献】特開2016-219520(JP,A)
【文献】特開2014-072236(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のリード部を有するリードフレームと複数のダイパドルと前記リードフレームの少なくとも一部を囲む成形封入部とを含むパッケージアセンブリがあって、前記複数のリード部にあるそれぞれのリード部の底面かつ接触面、および前記複数のダイパドルのそれぞれのダイパドルの底面である接触面が露出した状態で、前記パッケージアセンブリから半導体パッケージを製造する方法において、
前記複数のリード部に設けてある露出した前記底面かつ接触面、および前記複数のダイパドルに設けてある露出した前記底面である接触面に電解メッキして、それらの接触面に電解メッキ層を設けて、
前記複数のリード部に第1の一連の側壁を形成するために前記リードフレームを完全に貫通して、前記成形封入部を部分的に貫通する第1の一連の平行カットを行い、露出した側面である前記第1の一連の側壁を形成し、
前記第1の一連の平行カットに対して直交方向にカットされた第2の一連の側壁を前記複数のリード部に形成するために、前記リードフレームを完全に貫通して、前記成形封入部を部分的に貫通する第2の一連の平行カットを行い、露出した側面である前記第2の一連の側壁を形成して、
さらに、前記第1の一連の側壁および前記第2の一連の側壁に無電解メッキ層が形成されるように、前記パッケージアセンブリをメッキ材含有溶液に浸漬して且つ熱を加えて、前記第1および第2の一連の側壁の前記露出した側面に無電解メッキを行ってウェッタブルフランクを形成して、前記第1の一連の側壁および前記第2の一連の側壁の前記露出した側面全体を完全にメッキして、
そして、個別の半導体パッケージを形成するための第3の一連の平行カットおよび第4の一連の平行カットを、これら第3および第4の平行カットの各カット幅が前記第1および第2の一連の平行カットの各カット幅よりも狭く形成し、
そしてさらに、前記第3の一連の平行カットが、前記第1の一連の平行カットに整合かつ前記成形封入部を完全に貫通させてステップカットのウェッタブルフランクを形成しており、
そしてまた、前記第3の一連の平行カットに直交した前記第4の一連の平行カットが、前記第2の一連の平行カットに整合かつ前記成形封入部を完全に貫通させてステップカットのウェッタブルフランクを形成しており、
前記電解メッキ層を成す第1の厚さが前記無電解メッキ層を成す第2の厚さよりも大きいことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記複数のリード部に設けた前記露出した接触面および前記ダイパドルの露出した前記接触面の電解メッキは、前記パッケージアセンブリを溶液中に浸漬して、前記リードフレームおよび前記溶液中のメッキ材と電源とを電気的に結合し、前記電源から前記リードフレームに電流を流す請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の一連の側壁および前記第2の一連の側壁は、前記第3の一連の平行カットおよび前記第4の一連の平行カットによって露出した前記成形封入部の部位まで延在しない請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記複数のリード部に設けた前記露出した面の電解メッキ層および前記複数のダイパドルの露出した前記底面である接触面の電解メッキ層が、前記複数のリード部に設けた前記第1および第2の一連の側壁の無電解メッキ層よりもほぼ3倍厚い請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の一連の側壁および前記第2の一連の側壁は平坦であり、そして段付きでない請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記リードフレームが銅製であり、かつ前記電解メッキ層あるいは無電解メッキ層の少なくともいずれかがスズを有する請求項1に記載の方法。
【請求項7】
一つかそれ以上の集積回路ダイ、複数のリード部およびダイパドルを備えるリードフレーム、
前記複数のリード部に設けた露出した底面かつ接触面、前記ダイパドルの露出した底面である接触面、及び前記複数のリード部に設けた露出した側壁を残した状態で、前記リードフレームの少なくとも一部を取り囲む成形封入部があって、この成形封入部が階段状の側面を有し、この側面はパッケージの幅が広い面に隣接する第1側部および前記パッケージの幅が狭い面に隣接する第2側部を有し、この第2側部が前記複数のリード部の前記露出した側壁を含んでおり、そして、この階段状の側面の構成がステップカットのウェッタブルフランクを形成しており、
前記複数のリード部に設けた前記露出した底面かつ接触面および前記ダイパドルの露出した底面である接触面に設層する第1メッキ層が第1の厚さを有し、前記複数のリード部に設けた前記露出した側壁に設層する第2メッキ層が第2の厚さを有し、そして、この第2メッキ層は前記複数のリード部に設けた前記露出した側壁を十分に覆っており、ここで、前記第1メッキ層は電解メッキ
により構成され、前記第2メッキ層は無電解メッキ
により構成され、
前記電解メッキ
により構成された前記第1メッキ層の厚みが前記無電解メッキ
により構成された前記第2メッキ層よりも厚いことを特徴とするリード端子レス型クワッド・フラットパック(QFN)半導体パッケージ。
【請求項8】
前記複数のリード部の前記側壁が前記成形封入部の前記第1側部まで延びていない請求項7に記載のリード端子レス型クワッド・フラットパック(QFN)半導体パッケージ。
【請求項9】
前記第2メッキ層が加熱処理
済みのメッキ層である請求項7に記載のリード端子レス型クワッド・フラットパック(QFN)半導体パッケージ。
【請求項10】
前記第1メッキ層は前記第2メッキ層の厚さの3倍の厚さが有る請求項7に記載のリード端子レス型クワッド・フラットパック(QFN)半導体パッケージ。
【請求項11】
前記複数のリード部の露出する側壁は、段差がなく平坦である請求項7に記載のリード端子レス型クワッド・フラットパック(QFN)半導体パッケージ。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
平坦な“無リード部”(no-lead or leadless)半導体パッケージは集積回路ダイ(dies or dice)を、平坦なリード部で印刷回路基板(PCB)を介して貫通するホールを使用せずにこのPCBに電気的にかつ物理的に結合するものである。なお、これらパッケージは“無リード部”パッケージと呼ばれているが、本明細書における“リード部”は平坦な無リード部パッケージ上に存在する平坦な接触パッドを指すものとする。これらパッケージはパッケージの外周を超えて延在するリード部がないという意味で“リード部”をもたない。平坦な無リード部パッケージはパッケージの4つの側部すべてにリード部をもつ“QFN(quad flat no-leads)”パッケージとして分類することができ、また2つの対向する側部にリード部を備えた“DFN(dual flat no-leads)パッケージとして分類することができる。これらパッケージ内において、一つかそれ以上の集積回路ダイが非導電性成形材に封入される。一般的に銅などの金属で構成される導電性リードフレームがパッケージの内部構成成分に電気的に結合し、リード部を外部に露出し、これらをPCBに電気的に結合する。平坦な無リード部パッケージに対する改良は不断に行われている。
【0002】
無リード部パッケージは、パッケージの周囲を超えて延在するリード部を備えたパッケージと比較していくつかの長所をもつ。このパッケージは他の形式のパッケージよりも薄型(low-profile)であり、占有面積が小さく、パッケージの周囲を超えて延在するリード部を備えた従来のパッケージよりも印刷回路基板の装着面積(footprint)が小さい。また、このような無リード部パッケージはパッケージの周囲を超えて延在するリード部を備えたパッケージよりも熱的性能がすぐれている。
【0003】
QFNパッケージやDFNパッケージに関する限り、本発明が属する分野における問題は、パッケージのリード部に対するはんだ接続の検査にある。QFNやDFNに対するはんだ接続を適正に行うためには、これら接続を検査する必要がある。これら検査については、例えば、X線によって、あるいは自動光学検査(AOI)によって実施できる。自動光学検査(AOI)は例えば半導体デバイスや印刷回路基板の欠陥を検査するために使用されている。QFNパッケージやDFNパッケージはAOIが可能であり、このAOIは、リード部の側部またはフランク(sides or flanks)が例えばはんだを露出リード部の側部または側壁に毛管作用によって湿潤される(wettable)ようにリード部が配向している場合に、X線検査よりも低コストである。
【0004】
従って、ウェッタブルフランクを実現し、AOIによってはんだ接続が適正であるかどうかを確認できるQFNパッケージを効率よく製造できる方法が依然として求められている。
【発明の概要】
【0005】
本発明の一つの態様は、リードフレーム、このリードフレームに実装した複数の集積回路ダイ、およびこれら複数のリード部の露出した接触面を残した状態で前記リードフレームの少なくとも一部を取り囲む成形封入部を備えたパッケージアセンブリから、ステップカットのウェッタブルフランクを有する半導体パッケージを製造する方法を提供することに関する。この方法では、前記リードフレームを完全に貫通するが、前記成形封入部には少なくとも部分的に貫入する第1の一連の平行カットを形成して、前記複数のリード部の第1の一連の側壁を形成する。また本発明方法では、前記第1の一連の平行カットに垂直な第2の一連の平行カットを形成する。前記リードフレームを完全に貫通するが、前記成形封入部には少なくとも部分的に貫入する第2の一連の平行カットを形成して、前記複数のリード部の第2の一連の側壁を形成する。前記第1の一連の側壁および前記第2の一連の側壁を無電解メッキして、ウェッタブルフランク(wettable flank)を形成する。
【0006】
本発明の第2態様は、QFN(quad flat no-leads)半導体パッケージの提供に関する。このQFNパッケージは成形封入部(mold encapsulation)、この成形封入部内に配設した一つかそれ以上の集積回路ダイ、およびこれら一つかそれ以上の集積回路の電気的に結合したリードフレームを備え、前記成形封入部の底面または接触面を介して複数のリード部を露出させる。前記成形封入部およびリードフレームが4側部にウェッタブルフランクを形成し、これらウェッタブルフランクはメッキ材を無電解メッキしたステップカット側壁(step-cut sidewalls)を備える。
【0007】
本発明の第3態様は、 リードフレーム、このリードフレームに実装した一つかそれ以上の集積回路ダイ、およびこれら前記リードフレームおよび複数の集積回路ダイを取り囲み、かつ複数のリード部を露出した成形封入部を備えたパッケージアセンブリから、ステップカットのウェッタブルフランクを有する半導体パッケージを製造する方法によって製造したQFN半導体パッケージの提供に関する。この半導体パッケージの製造方法では、前記リードフレームを完全に貫通するが、前記成形封入部には部分的に貫入する第1の一連の平行カットを形成して、前記複数のリード部の第1の一連の側壁を形成し、前記第1の一連の平行カットに対して垂直であって、前記リードフレームを完全に貫通するが、前記成形封入部に対しては部分的に貫入する第2の一連の平行カットを形成して、前記リード部の第2の一連の側壁を形成し、前記複数のリード部の前記側壁を無電解メッキして、ウェッタブルフランクを形成し、そして前記成形封入部を完全に貫通する垂直な第3および第4の一連のカットを形成して、離散的な半導体パッケージを分離する。
【0008】
本発明の第4態様は、第1メッキプロセス(電解メッキなど)を使用してリードフレームのリード部およびダイパドル(die paddles)の露出した第1表面(複数の場合もある)メッキし、第2メッキプロセス(無電解メッキなど)を使用してリード部の露出側壁をメッキし、これら2種類のメッキプロセスが異なるプロセスである半導体パッケージの提供に関する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
添付図面を参照して例示のみを目的として以下に記載する詳細な説明から本発明を理解できるはずである。
【0010】
【
図1A】
図1Aは、一実施例に係るパッケージアセンブリの例示的な形成方法を示す流れ図である。
【
図1B】
図1Bは、一実施例に係るQFNパッケージ上にウェッタブルフランク形成する方法を示す流れ図である。
【
図2A】
図2Aは、一実施例に係るパッケージアセンブリに施す電解メッキを示す図である。
【
図2B】
図2Bは、一実施例に従って垂直な一連の平行カットを形成し、ウェッタブルフランクを露出させた後のパッケージアセンブリを示す図である。
【
図2C】
図2Cは、一実施例に従ってウェッタブルフランクの側壁に適用した無電解メッキを示す図である。
【
図2D】
図2Dは、一実施例に従って行った無電解メッキ後のダイを単体化する第3および第4の一連のカットを示す図である。
【
図2E】
図2Eは、一実施例に係るウェッタブルフランクを備えた単体化ダイを示す図である。
【
図3A】
図3Aは、一実施例に係る
図2Bの第1または第2の一連のカットを示す横断面図である。
【
図3B】
図3Bは、一実施例に係る
図2Dの第3または第4の一連のカットを示す横断面図である。
【
図3C】
図3Cは、一実施態様に係るダイパッケージのウェッタブルフランク上の電解メッキ層および無電解メッキ層を示す横断面図である。
【
図4A】
図4Aは、一実施例に係るウェッタブルフランクを備えた単体化ダイを示す上部正射影図である。
【
図4B】
図4Bは、一実施例に係るウェッタブルフランクを備えた単体化ダイを示す透視上部正射影図である。
【
図4C】
図4Cは、一実施例に係るウェッタブルフランクを備えた単体化ダイを示す底部正射影図である。
【
図4D】
図4Dは、一実施例に係るウェッタブルフランクを備えた単体化ダイを示す透明な底部正射影図である。
【
図5A】
図5Aは、一実施例に係る電解メッキ法を示す図である。
【
図5B】
図5Bは、一実施例に係る無電解メッキ法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
便宜上のみを理由にして以下の説明では一定の専門用語を使用するが、これら用語には発明を制限する意図はない。“右”、“左”、“上部”や“底部”は参照する図面内における方向を示す。また、特許請求の範囲および明細書の対応する部分に使用する単数表現(“a”や“one”)は定義上特に断らない限り、一つかそれ以上の参照要素などを含むものとする。専門用語は上記に具体的に示す誘導物、および暗黙に同じ意味をもつ用語を含む。“A、BまたはC”などの2つかそれ以上の要素のリストの前の“少なくとも一つ”はA、BまたはCを個別に意味する場合もあり、これらの任意の組み合わせを意味する場合もある。
【0012】
本明細書の説明によって、当業者ならば、記載した実施態様を構成しかつ利用することができるはずである。各種の一部修正、等価体、変形体、組み合わせ体、代替物などは当業者にとっては説明するまでもない用語である。いずれかの、あるいはすべてのこれらの一部修正、等価体、変形体、組み合わせ体、代替物などは、特許請求の範囲に記載した本発明の精神および範囲内に包摂されるものである。
【0013】
ステップ-カットを行ったウェッタブルフランク(wettable flanks)をQFNパッケージに形成する形成法を説明する。この形成法は、複数の未単体化パッケージ(non-singulated packages)を備えたパッケージアセンブリ(package assembly)をもって開始する。このパッケージアセンブリはダイおよびこれに結合した(ワイヤボンドなどの)他の内部パッケージ構成成分を備えたリードフレームアセンブリを有する。これらダイおよび他の構成成分が未単体化パッケージの異なる領域を形成する。これらダイおよび他の構成成分は非導電性成形封入材(“金型成形”、“成形”、“封入部”、“封入材”とも呼ぶ)に封入する。この成形封入材はパッケージ構成成分の大半を被覆するが、一部の電気的接触パッド(“リード部”と呼ぶこともある)、そして場合によっては熱的接触パッド(“ダイパドル(die paddles)”と呼ぶこともある)を露出したままにしておくこともできる。リードフレームによってパッケージアセンブリの一端と他端との間を、またパッケージの露出リード部とダイパドルとの間を連続的に電気接続する。この電気接続を形成するさいには、ワイヤボンド(wire bonds)やタイバー(tie bars)等の要素が役に立つ。この電気接続を使用して、プロセスの最初のステップである電気メッキ時に電流を流すことができる。
【0014】
電気メッキ工程では、リードフレームを被覆する保護的な導電性メッキ材を成膜し、はんだをリードフレームに接着する。電気メッキ材をパッケージ底部のリードフレームの露出面に成膜する。リードフレームの底部露出面の電気メッキ後、第1および第2の一連の平行なステップカット(step-cuts)を第1方向およびダイパッケージ間の第2方向に入れて、ウェッタブルブルフランク(側部、wettable flanks)を形成することになる側壁を形成する。第1および第2の一連の平行なステップカットは相互に垂直で、ダイ周囲に形成する。これらカットについては、リードフレームを完全に貫通するが、周囲の成形封入部を完全に貫通しない程度の深さに設定し、パッケージが単独のアセンブリとして止まり、以降の工程で扱うことができるようにする。第1および第2の一連の平行なステップカットの後に、電流を印加しない無電解メッキ法を使用して露出側壁のウェッタブルフランクをメッキする。無電解法を使用する理由は、リードフレームを貫通する一連の垂直カットがダイパッケージそれぞれを電気的に分離するからである。
【0015】
無電解メッキ後、第1および第2のカットに整合した第3および第4の一連の平行カットを第1および第2の一連の平行カットの幅より狭い幅に設定する。これらカットは成形封入部材の残りの部分を貫通する。第3および第4の一連のカットがダイを単体化し、これによってウェッタブルフランクを備えた単体化されたQFNパッケージを形成する。
【0016】
図1Aは、本発明の一態様に係るパッケージアセンブリを形成する例示的な方法100を示す流れ図である。方法100は工程102で開始し、一つかそれ以上のダイをリードフレームアセンブリに設ける。このリードフレームアセンブリは単一の部分またはユニットに集積化する複数のパッケージリードフレームを有する。このリードフレームアセンブリはカッティングに整合するマシンによって検出可能な一つかそれ以上の基準マークを備えていればよい。リードフレームアセンブリには任意の金属合金を使用することができる。一般的には、ダイパッケージをダイパッケージのアレイとして形成し、次にこれを個々のダイパッケージに切断(単体化(singulated))する。このアレイを形成するために、単一のリードフレームアセンブリを銅シートなどのリードフレーム材から切断する。リードフレームアセンブリ内に個々のパッケージに対応する複数のリードフレームを集積化する。工程102で、一つかそれ以上の集積回路ダイをリードフレームアセンブリに設ける。工程104で、ワイヤボンド、導電性クリップ(ダイを一つかそれ以上のリード部に結合するパッケージ内の要素)やその他の要素などの他の構成成分を設けてパッケージを形成する。工程106で、成形封入部をパッケージのリードフレームおよび他の構成成分の周囲に設ける。成形封入部がパッケージの構成成分の物理的かつ電気的バリヤになる。方法100の最後で、パッケージ構成成分(例えば、ダイ、リードフレーム、ダイをリードフレームに結合する成分など)を封入した複数の未単体化パッケージダイを有するパッケージアセンブリが得られる。
【0017】
図1Bは、本発明の一態様に係るQFNパッケージを形成する例示的な方法150を示す例示的な流れ図である。
図1Bの方法150については、方法150の進行時のパッケージアセンブリの段階を示す
図2A~
図2Eを参照して説明することにする。この方法150は、一つかそれ以上のダイを設けかつ取り付けたリードフレームアセンブリ205を有するパッケージアセンブリ200をもって開始する。ダイを封入材によって取り囲む。連続的なリードフレームアセンブリ205はパッケージのエッジ上に複数のメッキバー(plating bars)203、ダイパドル(または“パッド”)(die paddles (or “pads”))およびリード部204を備える。
図2Aにおいて、これら各種の構成成分を電気的に結合する。リード部204については、導電性材料から形成し、かつ以下に詳しく記載するように、メッキ対象部であり、はんだ可能な接触部として機能し、パッケージを印刷回路基板に接続する。非導電性の成形封入材202がリードフレームアセンブリ205を取り囲む。
【0018】
パッケージアセンブリ200はカットされていない(“接合”または“未単体化”)パッケージ210のアレイを備える。パッケージは集積回路ダイなどの回路要素、ワイヤボンドなどの導電性要素、および
図2A~
図2Eには示していない他の要素を備える。これらの図はパッケージアセンブリ200の底面を示す図であるからである。図示し、かつ本明細書に記載する具体的なパッケージ構成は例示実施例であり、この構成の細部は本発明を制限するものではない。例えば、図示の各パッケージ210は3つのダイパドル206を備える。即ち、パッケージ210は3つのダイを有する。さらに、具体的なリード204の部数および構成を示すが、本発明の技術は任意構成のリード部204および/またはダイパドル206を備えたパッケージ210に適用可能である。
図2A~
図2Eはパッケージアセンブリ200の底面、即ち接触面を示すもので、これら図面にはダイ、ワイヤボンド等の各種の内部要素については図示していない。
【0019】
メッキバー203は、ダイパッケージ210を単体化した後に個々のダイパッケージ210のリードフレームを最終的に形成しないリードフレームアセンブリ205の部分である。メッキバー203は、電気メッキするダイパッケージ210のリードフレーム全体に構造的一体性および導電性を与えるものである。
【0020】
図1Bを参照して説明すると、工程152で電解メッキ装置がリードフレームアセンブリ205をメッキする。一般的に、リードフレームは銅などの材料で構成する。スズやスズ合金などの金属を銅の表面にメッキによって設層し、酸化を防ぎ、はんだを実施できるウェッタブル表面を形成する。一般的な電解メッキ装置では、リードフレームを浴に浸漬し、電解メッキ装置の陰極にリードフレームを電気的に結合する。同じように浴に浸漬されたメッキ材に陽極を結合する。電流をリードフレームに印加し、メッキ材をリードフレームの表面に設層し、メッキ材をリード部204およびダイパドル206(
図2A)にメッキする。この段階では、リード部204およびダイパドル206の表面のみが露出するため、これら表面のみがメッキされ、この段階では露出していないパッケージ210の側壁は電解メッキを受けない。電解メッキ層については、“第1メッキ層”と考えることができる。この第1メッキ層にはスズ、金、パラジウムや銀などの各種メッキ材のうちの任意のものを使用することができる。
【0021】
工程154で、切断装置が2つの垂直方向において第1深さのステップカットを行い、リード部204の側壁を形成する。切断装置としては、例えば、鋸歯を備えた鋸を使用することができ、あるいはレーザーカッター、プラズマカッターやウォータージェットカッター、あるいは当業者にとって公知なその他の許容できる切断技術を使用することができる。これらカットについては、第1の一連の平行カットおよびこれら第1の一連の平行カットに垂直な第2の一連の平行カットと呼ぶことができる。このカッティングを
図2Bに示す。カットの位置はパッケージ210のリード部204のエッジに隣接する。使用するブレードの幅については、2つの隣接するダイパッケージのリード部204のエッジまで切り込むために十分な幅である必要がある。さらに、カットはリードフレームを完全に貫通するが、対応する成形封入部を完全に貫通するものではなく、従ってパッケージアセンブル200を以降の工程で単一のユニットとして扱うことができる。工程154のカッティングによってリード部204の一部に側壁220が形成する。
【0022】
2つの垂直方向にリードフレーム205を貫通するカッティングを行うと、ダイパッケージ210のそれぞれが電気的に分離する。即ち、工程156で、無電解メッキ装置を使用して、(
図2Cに示す)パッケージ210が既に露出している側壁220に無電解メッキを施す。
図2Cにはごくわずかな側壁220を図示してあるが、留意すべきは、パッケージ210のリード部204それぞれは無電解メッキ技術でメッキした側壁220を備えていることである。
【0023】
無電解メッキ法では、(スズなどの)メッキ材を含有する溶液にパッケージアセンブリ200を浸漬し、加熱を行う。メッキ材は露出している金属表面、即ちリード部204の側壁220に成層を行う。側壁上のこの無電解メッキ層については、“第2メッキ層”とみなすことができ、第1メッキ層とは異なるプロセスで形成することが好ましい。第2メッキ層の材料については、スズ、金、銀やパラジウムなどの任意のメッキ材を使用することができる。
【0024】
工程158で、第3組の平行カットおよびこの第3組の平行カットに垂直な第4組の平行カットのダイを単体化し、個々の半導体パッケージ(
図2Dに示す)を形成する。第3組および第4組のカットを形成するために使用する刃は、
図2Bに示す工程154の第1の2種類のカットを形成するために使用したブレード(刃)よりも幅が狭い。ステップカットのこれら2種類の幅は
図2Dに例えば幅1および幅2で示す。この狭い刃を使用して形成したステップカットのウェッタブルフランクははんだ材との接続がよく、光学的に検査できる。
図2Eにウェッタブルフランクを備えた単体化パッケージ210を示す。
【0025】
図3Aおよび
図3Bにステップ154および158に関する細部を示す。切断装置301が両図に示されている。
図3Aに、ステップ154に記載するように、また
図2Bに示すように、第1ステップカットまたは第2ステップカット(リードフレームを貫通するが、成形物にはごく部分的に貫通する垂直方向ステップカット)の実施例を示す。
図3Aに示すカットについては、パッケージ210のリード部204の側壁220を露出させる第1厚さに設定する。
図3Aに示すカットは厚さを“Z1”で示す鋸歯を使用して形成したものであるが、レーザーカッター、プラズマカッターやウォータージェットカッター、あるいは当業者にとって公知なその他の許容できる切断技術を使用することができる。電解メッキ層310は、図示の通りリードフレーム205上全体に設層する。
【0026】
図3Bに、第3または第4の一連のカットの実施例を示す。これらは工程154および
図2Bの第1および第2のステップカットの後に残る封入成形材を完全に貫通する。これらの完全貫通カットがパッケージ210を単体化する結果、単体化パッケージが
図2Eに示すように得られる。無電解メッキ材312は図示のようにリードフレーム205上全体に設層する。
【0027】
図3Cに、工程156の無電解メッキ後で、ダイ単体化前のメッキリード204に関する細部を示す。工程152により、第1および第2カット(工程154および
図2B)に先立って露出したリードフレーム205の表面308に電解メッキ層310を設層する。ステップ154および156により、側壁220に無電解メッキ層312を設層する。
【0028】
いくつかの実施例では、リードフレーム205の底面に設層した電解メッキ層310は側壁220に設層した無電解メッキ層312より厚い。いくつかの実施例では、電解メッキ層310は無電解メッキ層312よりも例えば3倍ほど厚い。いくつかの実施例では、電解メッキ層310は厚さが無電解メッキ層312より厚いか、あるいはその3倍に等しい。いくつかの実施例では、電解メッキ層310は無電解メッキ層312よりも厚い。これら異なるメッキ層が異なる目的をもつからである。具体的には、電解メッキ層310はダイ210をPCBに実装するための層であり、一方無電解メッキ層312ははんだを介してパッケージ210をPCBに電気的に結合する層である。
【0029】
図4A~
図4Dは、
図1の方法100に従って形成したステップカットを行ったウェッタブルフランクを示す、単体化半導体ダイパッケージ210の異なる図である。
図4Aおよび
図4Bはパッケージ210の上面および側面を正射影図であり、また
図4Cおよび
図4Dはパッケージの底面および側面を示す正射影図である。
図4Aおよび
図4Bの底部に示す半導体パッケージの導電性実装面即ち接触面は配向方向に応じてパッケージの下面即ち底面と考えることができ、印刷回路基板に面して接触するように実装されことになる表面である。
図4Cおよび
図4Dに示す半導体パッケージの配向方向において導電性実装面即ち接触面は上部にある。
【0030】
図4A~
図4Dを参照して総合的に説明すると、図示のパッケージ210は成形封入部202を備え、
図1に示す方法に従って形成した無電解メッキ層を有するステップカットを行ったウェッタブルフランク402を有する。ステップカットを行ったウェッタブルフランク402はステップ154および158で3つのカットを形成したダイパッケージ210の部分を備え、また無電解メッキしたリード部204を有する。成形封入部202の内側にあるリードフレーム205の部分に電気的に結合したタイバー404のエッジも、ステップカットを行ったウェッタブルフランク402内に見える。
図3Cおよび
図3Dは、本明細書の別なところにも記載したように、電解メッキしたリード部204およびダイパドル206の底面を示す。
【0031】
図示のパッケージは内部に3つのダイ406を備える。これらダイはダイパドル206に実装するとともに、熱的に結合するが、これらダイパドルはリードフレーム205の一部である。ワイヤボンドによってダイ406をリードフレーム205のリード部204に結合する。クリップ414が一つかそれ以上のリード部204を一つかそれ以上のダイ406に結合する。
【0032】
図5Aに例示的な電解メッキ法を示す。このメッキ法は、例えば、
図2Aに示す工程152の一部として使用できる。この方法によれば、電気メッキ装置500において、(一部のみを
図5Aに示す)パッケージアセンブリ200は溶液502中に設ける。電源504の陰極をリードフレーム205に電気的に結合し、電源504の陽極をメッキ材506に結合する。電源504によって電流を印加すると、メッキ材508がリードフレーム205の露出面に成層する。
【0033】
図5Bに一実施例に係る無電解メッキ法を示す。このメッキ法は、例えば、方法100の工程156の一部として使用でき、ステップカットを行ったウェッタブルフランクの側壁220に無電解メッキを施す。この方法によれば、無電解メッキ装置530において、(一部のみを
図5Bに示す)パッケージアセンブリ200をメッキ材溶液532内に設け、加熱装置が加熱を行う。熱が存在するため、リードフレーム205の露出面にメッキ材534が成層する。
図5Bにおいて、これら露出面はリード部204の側壁220を有する。
【0034】
なお、以上の記載は例示のみを目的とし、限定を意図するものではない。また、本発明の精神および範囲から逸脱しなくとも前記実施態様に各種の変更および一部修正を加えることができる。以上、本発明を詳細に記載してきたが、前記の本発明の新規性のある考え方および原理を変更しなくとも、本発明の詳細な説明で例示したいくつかの例を始めとする多くの物理的な変更は当業者にとっては明らかなはずである。また、好適な実施態様の一部のみを組み込んだ実施態様も可能であり、これらの部分に関しては本発明の発明性のある考え方および原理を変更するものではない。従って、本実施態様および適宜採用する構成はあらゆる点で例示的および/または説明的なもので、制限を意図するものではなく、本発明の範囲は前記説明ではなく特許請求の範囲に示された範囲であり、この特許請求の範囲と同義の意味および範囲内に含まれる本実施態様に対する別な実施態様および変更は従ってこれに包摂されるものである。
【符号の説明】
【0035】
100 方法
102 工程
104 工程
106 工程
150 方法
152 工程
154 工程
156 工程
158 工程
200 パッケージアセンブリ
202 成形封入材
203 メッキバー
204 リード部
205 リードフレームアセンブリ
206 ダイパドル
210 パッケージ
220 側壁
301 切断装置
308 表面
310 電解メッキ層
312 無電解メッキ材
402 ウェッタブルフランク
404 タイバー
406 ダイ
414 クリップ
500 電気メッキ装置
502 溶液
504 電源
506 メッキ材
508 メッキ材
530 無電解メッキ装置
532 メッキ材溶液
534 メッキ材