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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】2成分溶媒ベースの接着剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C09J 175/06 20060101AFI20240416BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20240416BHJP
   B32B 27/40 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
C09J175/06
B32B27/00 D
B32B27/40
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021552800
(86)(22)【出願日】2020-03-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-27
(86)【国際出願番号】 US2020020878
(87)【国際公開番号】W WO2020180924
(87)【国際公開日】2020-09-10
【審査請求日】2023-02-20
(31)【優先権主張番号】62/813,857
(32)【優先日】2019-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(73)【特許権者】
【識別番号】590002035
【氏名又は名称】ローム アンド ハース カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】リー、ツォーチ
(72)【発明者】
【氏名】ズパンシック、ジョセフ ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ヨンキー、マシュー エム.
(72)【発明者】
【氏名】クラーク、ポール ジー.
(72)【発明者】
【氏名】シュミット、トルステン
(72)【発明者】
【氏名】カワモト、ケン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ウェンウェン
【審査官】澤村 茂実
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-518400(JP,A)
【文献】特表2015-507032(JP,A)
【文献】特開2004-107640(JP,A)
【文献】特開2002-003813(JP,A)
【文献】特開2013-253133(JP,A)
【文献】特開2013-245312(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00-201/10
B32B 27/00- 27/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2成分溶媒ベースの接着剤組成物であって、
(A)イソシアネート成分と、
(B)ポリエステル-アミドポリカーボネートポリオールおよびリン酸末端ポリオールを含むポリオール成分と、
(C)溶媒と
含む、2成分溶媒ベースの接着剤組成物。
【請求項2】
前記リン酸末端ポリオールが、構造(B)
【化1】

を有する少なくとも1つのリン酸基を含有するポリオールである、請求項1に記載の2成分溶媒ベースの接着剤組成物。
【請求項3】
前記ポリエステル-アミドポリカーボネートポリオールが、500g/mol~8,000g/molの数平均分子量(Mn)を有する、請求項1または2に記載の2成分溶媒ベースの接着剤組成物。
【請求項4】
前記ポリエステル-アミドポリカーボネートポリオールが、500g/mol未満の重量平均分子量(Mw)を有する種を55重量%未満含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の2成分溶媒ベースの接着剤組成物。
【請求項5】
前記ポリエステル-アミドポリカーボネートポリオールが、アジピン酸、1,2-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、およびポリ(1,4-ブタンジオール-ポリカーボネート)、およびエチレンジアミンの反応生成物を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の2成分溶媒ベースの接着剤組成物。
【請求項6】
前記リン酸末端ポリオールが、構造(C)を有し、
【化2】

式中、Rがエーテル基および置換エーテル基からなる群から選択される、請求項~5のいずれか一項に記載の2成分溶媒ベースの接着剤組成物。
【請求項7】
前記ポリオール成分が、前記ポリオール成分の総重量に基づいて、0.5重量%~35重量%のリン酸末端ポリオールを含む、請求項~6のいずれか一項に記載の2成分溶媒ベースの接着剤組成物。
【請求項8】
前記イソシアネート成分が、芳香族イソシアネートプレポリマーである、請求項1~7のいずれか一項に記載の2成分溶媒ベースの接着剤組成物。
【請求項9】
ラミネートであって、
第1の基材と、
第2の基材と、
前記第1の基材と前記第2の基材との間の接着剤層であって、請求項1~8のいずれか一項に記載の2成分溶媒ベースの接着剤組成物から形成された接着剤層と、を含むラミネート。
【請求項10】
前記第1の基材が、金属箔フィルムであり、前記第2の基材が、低密度ポリエチレンフィルムであり、前記ラミネートが、8.73N/2.54cm~20.0N/2.54cmのボイルインバッグ試験後の結合強度を有する、請求項9に記載のラミネート。
【請求項11】
前記第1の基材が、ポリエチレンテレフタレートフィルムであり、前記第2の基材が、ポリプロピレンフィルムであり、前記ラミネートが、10.0N/2.54cm~20.0N/2.54cmの1日後の結合強度を有する、請求項9に記載のラミネート。
【請求項12】
2成分溶媒ベースの接着剤組成物を形成する方法であって、
(A)ポリエステル-アミドポリカーボネートポリオールおよびリン酸末端ポリオールを含むポリオール成分を提供すること;
(B)イソシアネート成分を提供することと、
(C)溶媒を提供することと、
(D)前記溶媒の存在下で、前記ポリオール成分と前記イソシアネート成分とを反応させて、前記2成分溶媒ベースの接着剤組成物を形成することと、を含む方法。
【請求項13】
(i)前記ポリエステル-アミドポリカーボネートポリオールと
(ii)リン酸末端ポリオールと、を含むポリオール成分を提供することを含む、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
溶媒ベースの接着剤で形成されたラミネートは、化学的老化後、および/または、ボイルインバッグ試験などの高温試験後に接着性の低下を示すことが多い。これらのラミネートは、熱および/または化学物質への曝露後に一定期間十分な接着性を必要とする食品包装および深絞り加工缶などのラミネート用途には適していない。接着が不十分な場合、ラミネート構造にバブリングや層間剥離などの欠陥が生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
当技術分野は、熱および/または化学物質への曝露後に基材間に十分な接着性を示す溶媒ベースの接着剤の必要性を認識している。当技術分野でさらに認識されているのは、化学的老化、高温、および/またはバッグインボイル試験に曝露されるラミネート構造において接着性を維持する接着剤組成物の必要性である。
【0003】
本開示は、2成分溶媒ベースの接着剤組成物を提供する。2成分溶媒ベースの接着剤組成物は、(A)イソシアネート成分と、(B)ポリエステル-アミドポリカーボネートポリオールを含有するポリオール成分と、(C)溶媒と、の反応生成物を含有する。
【0004】
本開示はまた、2成分溶媒ベースの接着剤組成物を形成する方法を提供する。本方法は、(A)ポリエステル-アミドポリカーボネートポリオールを含有するポリオール成分を提供することと、(B)イソシアネート成分を提供することと、(C)溶媒を提供することと、(D)溶媒の存在下でポリオール成分とイソシアネート成分とを反応させて、2成分溶媒ベースの接着剤組成物を形成することと、を含む。
【0005】
定義
元素周期表へのいかなる参照も、CRC Press,Inc.によって1990~1991に発行されたときのものである。この表の元素の族についての言及は、族に番号を付けるための新たな表記法によるものである。
【0006】
米国特許実務の目的では、任意の参照されている特許、特許出願、または出版物の内容は、特に定義の開示(特に本開示で提供されている任意の定義と矛盾しない範囲で)および当技術分野では一般的な知識に関して、参照によってそれらの全体が組み込まれる(あるいはその同等の米国版がそのように参照によって組み込まれる)。
【0007】
本明細書に開示される数値範囲は、下限値および上限値からのすべての値を含み、また上限値および下限値を含む。明示的な値を含有する範囲(例えば、1、または2、または3~5、または6、または7の範囲)の場合、2つの明示的な値の間の部分範囲が含まれる(例えば、上記の範囲1~7には、部分範囲1~2、2~6、5~7、3~7、5~6等)。
【0008】
別途の記載がない限り、文脈から暗黙的、または当技術分野で慣例でない限り、すべての部およびパーセントは重量に基づき、すべての試験方法は本開示の出願日現在のものである。
【0009】
「アルキル」は、飽和直鎖状、環状、または分岐鎖状の炭化水素基を指す。好適なアルキル基の非限定的な例として、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、t-ブチル、i-ブチル(または2-メチルプロピル)などが挙げられる。一実施形態では、アルキルは、1~20個の炭素原子を有する。
【0010】
「アリール基」は、単一の芳香族環、あるいは一緒に縮合しているか、共有連結しているか、またはメチレンもしくはエチレン部分などの共通基に連結している複数の芳香族環であり得る、芳香族置換基を指す。芳香族環としては、とりわけ、フェニル、ナフチル、アントラセニル、およびビフェニルを挙げることができる。一実施形態では、アリールは、1~200個の炭素原子、または1~50個の炭素原子、もしくは1~20個の炭素原子を有する。
【0011】
「アミド」は、その構造にN-C=O部分を含む化合物である。
【0012】
「組成物」という用語は、組成物を含む材料の混合物、ならびに組成物の材料から形成された反応生成物および分解生成物を指す。
【0013】
「含む(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」という用語、およびそれらの派生語は、任意の追加の成分、ステップ、または手順が、本明細書で具体的に開示されているかに関わらず、それらの存在を除外するよう意図されない。疑義を回避するために、「含む(comprising)」という用語の使用を通じて特許請求されるすべての組成物は、反対の記載がない限り、ポリマーであろうとなかろうと、任意の追加の添加剤、アジュバント、または化合物を含み得る。対照的に、「から本質的になる」という用語は、操作性に必須ではないものを除き、あらゆる続く記述の範囲からあらゆる他の成分、ステップ、または手順を除く。「からなる」という用語は、具体的に描写または列挙されていないあらゆる成分、ステップ、または手順も除く。「または」という用語は、特に明記しない限り、列挙されたメンバーを個別に、ならびに任意の組み合わせで指す。単数形の使用は、複数形の使用を含み、その逆も同じである。
【0014】
「エーテル基」は、2つのアルキル基またはアリール基に結合した酸素原子を含有する部分である。「置換エーテル基」は、アルキルまたはアリールの任意の炭素に結合した1個以上の水素原子が、ホスフェート、ヒドロキシ、およびそれらの組み合わせなどの別の基によって交換されたエーテルを指す。
【0015】
「炭化水素」は、水素および炭素原子のみを含有する化合物である。炭化水素は、(i)分岐鎖状または非分岐鎖状、(ii)飽和または不飽和、(iii)環状または非環状、および(iv)(i)~(iii)の任意の組み合わせであり得る。炭化水素の非限定的な例としては、アルキル、アリール、アルカン、アルケン、およびアルキンが挙げられる。
【0016】
「イソシアネート」は、その構造に少なくとも1つのイソシアネート基を含有する化合物である。イソシアネート基は、式:-N=C=Oで表される。「ポリイソシアネート」(または「多官能性イソシアネート」)は、2つ以上、または少なくとも2つのイソシアネート基を含有するイソシアネートである。2つのイソシアネート基を有するポリイソシアネートは、ジイソシアネートであり、3つのイソシアネート基を有するイソシアネートは、トリイソシアネートである(以下略)。イソシアネートには、芳香族イソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族イソシアネート、および脂肪族ポリイソシアネートが含まれる。
【0017】
「ポリカーボネート」は、同じ原子の直鎖中に2つ以上の炭酸基を含有する化合物である。
【0018】
「ポリエステル」は、同じ原子の直鎖中に2つ以上のエステル結合を含有する化合物である。
【0019】
「ポリエステルポリオール」は、ポリエステルでありかつポリオールである化合物である。好適なポリエステルポリオールの非限定的な例としては、ジオール、ポリオール(例えば、トリオール、テトラオール)、ジカルボン酸、ポリカルボン酸(例えば、トリカルボン酸、テトラカルボン酸)、ヒドロキシカルボン酸、ラクトン、およびそれらの組み合わせの重縮合物が挙げられる。ポリエステルポリオールはまた、遊離ポリカルボン酸の代わりに、対応するポリカルボン酸無水物、または低級アルコールの対応するポリカルボン酸エステルから誘導され得る。
【0020】
「ポリマー」は、同じ種類であるか異なる種類であるかにかかわらず、モノマーを重合することによって調製されるポリマー化合物である。したがって、ポリマーという総称は、「ホモポリマー」(微量の不純物がポリマー構造に組み込まれ得るという理解の下で、1種類のモノマーのみから調製されたポリマーを指すために用いられる)、および「インターポリマー」という用語を包含し、これはコポリマー(2つの異なる種類のモノマーから調製されたポリマーを指すのに用いられる)、ターポリマー(3つの異なる種類のモノマーから調製されるポリマーを指すのに用いられる)、および3つより多くの異なる種類のモノマーから調製されるポリマーを含む。微量の不純物、例えば、触媒残渣が、ポリマー中および/またはポリマー内に組み込まれ得る。それはまた、すべての形態のコポリマー、例えば、ランダム、ブロックなども包含する。ポリマーは多くの場合、1つ以上の特定のモノマー「から作製されて」いること、特定のモノマーまたはモノマーの種類「に基づいて」いること、特定のモノマー含有量「を含有して」いるなどと称されるが、この文脈において、「モノマー」という用語は、非重合種ではなく、特定のモノマーの重合残余物を指していることが理解される。一般に、本明細書におけるポリマーは、対応するモノマーの重合形態である「単位」に基づくものを指す。
【0021】
「ポリオール」は、複数のヒドロキシル(-OH)基を含有する有機化合物である。言い換えれば、ポリオールは、少なくとも2つのヒドロキシル基を含有する。好適なポリオールの非限定的な例には、ジオール(2つのヒドロキシル基を含有する)およびトリオール(3つのヒドロキシル基を含有する)が含まれる。
【0022】
試験方法
酸価(または酸性度指数)は、ASTM D 1386/7に従って測定する。酸価は、成分または組成物中に存在するカルボン酸の量の尺度である。酸価は、物質(例えば、ポリオール)1グラム中に存在する遊離カルボン酸の中和に必要とされる水酸化カリウムのミリグラム数である。酸価の単位は、mg KOH/gである。
【0023】
ガラス転移温度(Tg)は、Bernhard Wunderlich,The Basis of Thermal Analysis,in Thermal Characterization of Polymeric Materials 92,278-279(Edith A.Turi ed.,2d ed.1997)に記載されているように、サンプルの半分が液体熱容量を得た状態の示差走査熱量測定(DSC)の加熱曲線から決定される。ガラス転移領域の下および上からベースラインを引き、Tg領域を介して外挿する。サンプルの熱容量がこれらのベースラインの中間となる温度が、Tgである。ガラス転移温度の単位は、摂氏温度(℃)である。
【0024】
ヒドロキシル価(またはOH価)は、成分または組成物中に存在するヒドロキシル基の数の尺度である。OH価は、1グラムの物質中のヒドロキシル基を中和するために必要な水酸化カリウムのミリグラム数である(mg KOH/g)。OH価は、DIN 53240に従って決定される。
【0025】
粘度は、ASTM D2196に従って25℃および40℃で測定される。粘度は、mPa・sで報告する。
【0026】
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)
重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)システムを使用して測定される。
【0027】
「Z平均分子量」(Mz)は、第3のモーメント平均モル質量である。Mzは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)システムを使用して測定される。
【0028】
Mw、MnおよびMzは、次の数式(1)~(3)に従って算出される。
【数1】
式中、Wfiは、i番目の成分の重量分率であり、Miは、i番目の成分の分子量である。多分散性は、次の数式(4)に従って計算される。
【数2】
【0029】
ポリオールのMwが500g/mol未満、およびMwが1000g/mol未満の種の含有量は、PolymerChar Inc.のソフトウェア「GPC One」を使用して、次の数式(5)を使用して測定される。
【数3】
式中、Wfは、分子量が500g/molまたは1,000g/molをそれぞれ下回るj番目の成分の重量分率である。
【0030】
結合強度(90度T型剥離試験)
結合強度は、90度ハンドアシストT型剥離試験に従って測定される。最初のT型剥離結合強度試験のために、50℃のオーブンで2日間硬化させた後、ラミネートを幅2.54cmのストリップに切断する。50Nのロードセルを備えたThwing Albert(商標)QC-3A剥離試験機を10インチ/分の速度で動作させる。試験中、ストリップの尾部を指で少し引っ張り、尾部が剥離方向に対して90度の向きに維持されていることを確認する。平均結合強度(2.54センチメートルあたりのニュートン(N/2.54cm))は、力対距離のプロファイルから決定される。3つのサンプルを試験し、平均の「結合強度」を報告する。
【0031】
結合強度は、ラミネートの形成から1時間以内(すなわち、初期またはグリーン結合強度)、ラミネートの形成から1日後、およびラミネートの形成から7日後に測定される。また、結合強度は、下記のように、化学的老化およびボイルインバッグ試験後にも測定される。
【0032】
ボイルインバッグおよび化学的老化のためのパウチの調製
23cm×30.5cmのラミネートを折り重ねて、23cm×15.3cmの構造を提供し、この構造は、第1の側面および第2の側面を有する。第1の側面および第2の側面は各々、同じラミネートから形成される。第1の側面の第2の基材(LDPEフィルムまたはキャストポリプロピレンフィルム)は、第2の側面の第2の基材(LDPEフィルムまたはキャストポリプロピレンフィルム)に接触している。上記構造は、1つの折り重なった縁部と3つの開放された縁部を含む4つの縁部を持つ。縁部は、裁紙機で切り取られ、12.7cmx17.8cmの折り重なった構造になる。開いた縁部のうちの2つをヒートシールして、パウチを形成する。ヒートシールは、177℃、1秒間、油圧276kPaで行われる。各例から4~6個のパウチが作られる。
【0033】
各パウチに残りの開いた縁部から100mLのソース(ケチャップ、酢、植物油の1:1:1の重量混合物)を充填する。ヒートシールの破損を防ぐために、ソースがヒートシール領域に飛び散らないようにする。充填後、閉じたパウチ内の空気の閉じ込めを最小限に抑える方法で、開いた縁部をヒートシールする。それぞれの閉じたパウチは、4つの閉じた縁部と、10.2cmx15.2cm(ソースが充填されている)の内部空間を有する。各ヒートシールの完全性を目視で検査して、シールに、試験中にパウチに漏れを生じさせる欠陥がないことを確認する。欠陥が疑われるパウチは廃棄して、交換する。
【0034】
ボイルインバッグ
ポットに2/3の水を入れ、沸騰させる。沸騰しているポットに蓋をして、水および蒸気の損失を最小限にする。試験中、ポットを観察して沸騰を維持するのに十分な水が存在することを確認する。各サンプルの2~3個のパウチを個別に沸騰したお湯に入れ、沸騰したお湯に30分間入れておく。次に、パウチを沸騰したお湯から取り出し、トンネリング、バブリング、ブリスター、層間剥離、および/または漏れがないか目視で検査する。パウチを切り開き、ソースを空にし、石鹸と水ですすぐ。パウチ(ヒートシール領域を除く)から、ラミネートの1つ以上のストリップ(幅2.45cm)を切り取る。ラミネートの結合強度を上記の90度T型剥離試験に従って測定する。ラミネートのヒートシール強度を上記のヒートシール強度試験に従って測定する。結合強度とヒートシール強度は、パウチからスープを空けた後できるだけ早く測定する。パウチの内部を欠陥がないか目視で検査する。
【0035】
化学的老化
各サンプルのソースが充填された2~3個のパウチを、温度60℃の対流式オーブンに100時間入れる。次に、パウチをオーブンから取り出し、室温まで冷却し、トンネリング、バブリング、ブリスター、層間剥離、および/または漏れがないか目視で検査する。パウチを切り開き、ソースを空にし、水ですすぐ。パウチ(ヒートシール領域を除く)から、ラミネートの1つ以上のストリップ(幅2.54cm)を切り取る。ラミネートの結合強度を上記の90度T型剥離試験に従って測定する。ラミネートのヒートシール強度を上記のヒートシール強度試験に従って測定する。結合強度およびヒートシール強度は、パウチからソースを空けた後できるだけ早く測定する。パウチの内部を欠陥がないか目視で検査する。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本開示は、2成分溶媒ベースの接着剤組成物を提供する。2成分溶媒ベースの接着剤組成物は、(A)イソシアネート成分と、(B)ポリエステル-アミドポリカーボネートポリオールを含有するポリオール成分と、(C)溶媒と、の反応生成物を含有する。
【0037】
A.イソシアネート成分
2成分溶媒ベースの接着剤組成物は、(A)イソシアネート成分と、(B)ポリオール成分と、(C)溶媒と、の反応生成物を含有する。
【0038】
好適なイソシアネート成分の非限定的な例としては、芳香族イソシアネート、脂肪族イソシアネート、カルボジイミド修飾イソシアネート、ポリイソシアネート三量体、多官能イソシアネート、イソシアネートプレポリマー、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0039】
「芳香族イソシアネート」(または「芳香族ポリイソシアネート」)は、1つ以上の芳香族環を含有するイソシアネートである。好適な芳香族ポリイソシアネートの非限定的な例としては、4,4’-MDI、2,4’-MDI、および2,2’-MDIなどのメチレンジフェニルジポリイソシアネート(MDI)の異性体、カルボジイミド修飾MDIもしくはアロファネート修飾MDIなどの修飾MDI、2,4-TDIおよび2,6-TDIなどのトルエン-ジポリイソシアネート(TDI)の異性体、1,5-NDIなどのナフタレンジ-ジポリイソシアネート(NDI)の異性体、1,3-PDIおよび1,4-PDIなどのフェニレンジポリイソシアネート(PDI)の異性体、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。
【0040】
「脂肪族イソシアネート」(または「脂肪族ポリイソシアネート」)は、芳香環を欠いているか、または含有しないイソシアネートである。脂肪族イソシアネートには、化学鎖が環構造になっている脂環式イソシアネートが含まれる。一実施形態では、脂肪族イソシアネートは、直鎖状アルキレン基、分岐鎖状アルキレン基、または環状アルキレン基の中に、3個、または4個、または5個、または6~7個、または8、10、12個、または13個、または14個、または15個、または16個の炭素原子を含む。好適な脂肪族イソシアネートの非限定的な例としては、シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、エチルシクロヘキサンジイソシアネート、プロピルシクロヘキサンジイソシアネート、メチルジエチルシクロヘキサンジイソシアネート、プロパンジイソシアネート、ブタンジイソシアネート、ペンタンジイソシアネート、ヘキサンジイソシアネート、ヘプタンジイソシアネート、オクタンジイソシアネート、ノナンジイソシアネート、ノナントリイソシアネート、デカンジおよびトリイソシアネート、ウンデカンジおよびトリイソシアネート、ドデカンジおよびトリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン、2-メチルペンタンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、それらの異性体、二量体、および/または三量体、ならびに、それらの組み合わせが挙げられる。
【0041】
「ポリイソシアネート三量体」は、触媒の存在下でジイソシアネートを三量体化することによって調製される反応生成物である。ポリイソシアネート三量体の非限定的な例は、2,4-TDI三量体である(当該ポリイソシアネート三量体は、CAS26603-40-7で利用可能)。
【0042】
一実施形態では、イソシアネートは、多官能イソシアネートである。別の実施形態では、多官能イソシアネートは、ジイソシアネート、トリイソシアネート、およびそれらの組み合わせから選択される。さらなる一実施形態では、多官能イソシアネートは、ジイソシアネートである。
【0043】
「イソシアネートプレポリマー」は、ポリイソシアネートと少なくとも1つのポリオールとの反応生成物である。ポリイソシアネートは、化学反応でポリオールに結合して、イソシアネートプレポリマーを形成する。好適なポリイソシアネートの非限定的な例には、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、カルボジイミド修飾ポリイソシアネート、およびそれらの組み合わせが含まれる。イソシアネートプレポリマーを形成するために使用される好適なポリオールの非限定的な例としては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、脂肪族ポリオール、およびそれらの組み合わせが挙げられる。一実施形態では、イソシアネートプレポリマーは、ポリイソシアネートと、ポリオールと、任意選択の触媒との反応生成物である。好適な触媒の非限定的な例としては、ジラウリン酸ジブチルスズ、酢酸亜鉛、2,2-ジモルホリノジエチルエーテル、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0044】
一実施形態では、イソシアネートは、芳香族イソシアネートプレポリマーである。好適な芳香族イソシアネートプレポリマーの非限定的な例としては、The Dow Chemical Companyから入手可能なADCOTE(商標)577である。
【0045】
イソシアネート成分は、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含み得る。
【0046】
B.ポリオール成分
2成分溶媒ベースの接着剤組成物は、(A)イソシアネート成分と、(B)ポリオール成分と、(C)溶媒と、の反応生成物を含有する。ポリオール成分は、ポリエステル-アミドポリカーボネートポリオールを含有する。
【0047】
一実施形態では、ポリオール成分は、(i)ポリエステル-アミドポリカーボネートポリオールと、(ii)リン酸末端ポリオールとを含有する。
【0048】
ポリエステル-アミドポリカーボネートポリオール
ポリオール成分は、ポリエステル-アミドポリカーボネートポリオールを含有する。
【0049】
「ポリエステル-アミドポリカーボネートポリオール」(または「PE-A PC」)は、ポリエステル、アミド、ポリカーボネートおよびポリオールである化合物である。PE-A PCは、脂肪族および芳香族二酸モノマー(アジピン酸(AA)およびイソフタル酸など)、脂肪族ジオールモノマーおよびポリエーテルジオールモノマー(エチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール(HDO)、ネオペンチルグリコール(NPG)、および1,2-プロパンジオール(PDO)など)を含むジオールモノマー、カーボネートモノマーまたはポリカーボネート(ポリ(1,4-ブタンジオール-カーボネート)(BDO-PC)など)およびアミドモノマー(エチレンジアミン(EDA)など)を反応させることにより調製できる。
【0050】
一実施形態では、PE-A PCは、AA、PDO、NPG、HDO、BDO-PCおよびEDAの反応生成物である。
【0051】
一実施形態では、PE-A PCは、構造(A)を有する。
【化1】
nは1、または2~5であり、pは1、または2~30であり、mは1、または2~20であり、
は、-(CH-、構造(X)および構造(Y)から選択され、
は、-(CH-および-(CH-から選択され、
は、-(CH-、(CH-、-(CH-、-(CH-O-(CH-、-CH-C(CH)-、
-CH-CH(CH)-CH-、および-CH-C(CH-CH-;から選択され、
は、O、NH、NCH、NCHCHから選択され、
は、O、NH、NCH、NCHCHから選択され、ただし、RおよびRは両方ともOではない。
【0052】
本明細書で使用するとき、構造(X)および構造(Y)は、次の通りである。
【化2】
【0053】
一実施形態では、PE-A PCは、500g/mol、または1000g/mol、または1100g/mol~1700g/mol、または2000g/mol、または3000g/mol、または4000g/mol、または5000g/mol、または6000g/mol、または7000g/mol、または8000g/molまでの数平均分子量Mnを有する。別の実施形態では、PE-A PCは、500g/mol~8000g/mol、または1000g/mol~8000g/mol、または1000g/mol~5000g/mol、または1000g/mol~2000g/molのMnを有する。
【0054】
一実施形態では、PE-A PCは、500g/mol、または1000g/mol、または2000g/mol~3000g/mol、または5000g/molの重量平均分子量(Mw)を有する。別の実施形態では、PE-A PCは、500g/mol~5000g/mol、または2000g/mol~3000g/molのMwを有する。
【0055】
一実施形態では、PE-A PCは、1.5、または1.6~1.9、または2.0未満のMw/Mnを有する。さらなる実施形態では、PE-A PCは、1.5~2.0未満、または1.6~1.9のMw/Mnを有する。いかなる特定の理論にも拘束されることを望まないが、Mw/Mnが2.0未満のPE-A PCと、500g/molを超えるか、または2000g/molを超えるMwとを組み合わせると、硬化ラミネート接着剤中の低分子量種の移動量が最小限に抑えられ、食品包装用途において有利であると考えられる。
【0056】
一実施形態では、PE-A PCは、0.01mg KOH/g~1.0mg KOH/g、または2.0mg KOH/gまでの酸価を有する。別の実施形態では、PE-A PCは、0.01mg KOH/g~2.0mg KOH/g、または0.01mg KOH/g~1.0mg KOH/gの酸価を有する。
【0057】
一実施形態では、PE-A PCは、100mg KOH/g、または120mg KOH/g~150mg KOH/g、または175mg KOH/g、または200mg KOH/gまでのOH価を有する。別の実施形態では、PE-A PCは、100mg KOH/g~200mg KOH/g、または100mg KOH/g~150mg KOH/g、または120mg KOH/g~150mg KOH/gのOH価を有する。
【0058】
一実施形態では、PE-A PCは、-90℃、または-85℃、または-80℃、または-75℃~-65℃、または-60℃、または-55℃、または-50℃までのガラス転移温度(Tg)を有する。別の実施形態では、PE-A PCは、-90℃~-50℃、または-90℃~-60℃、または-75℃~-60℃のTgを有する。
【0059】
一実施形態では、PE-A PCは、25℃で、500mPa・s、1000mPa・s、または1500mPa・s~3000mPa・s、または5000mPa・s、または9000mPa・s、または10000mPa・sまでの粘度を有する。別の実施形態では、PE-A PCは、25℃で500mPa・s~1000mPa・s、または1500mPa・s~9000mPa・sの粘度を有する。
【0060】
一実施形態では、PE-A PCは、40℃で500mPa・s、または700mPa・s~1000mPa・s、または3000mPa・s、または3500mPa・sまでの粘度を有する。別の実施形態では、PE-A PCは、40℃で500mPa・s~3500mPa・s、または700mPa・s~3000mPa・sの粘度を有する。
【0061】
いかなる特定の理論にも拘束されることを望まないが、(i)40℃で3000mPa・s未満の粘度および/または(ii)25℃で10000mPa・s未満の粘度を有するPE-A PCは、2成分溶媒ベースの接着剤組成物が、従来の溶媒ベースの接着剤組成物よりも高い固形分(すなわち、30重量%、または35重量%、または40重量%~45重量%まで)を有することを可能にし、これは、溶媒ベースの接着剤組成物用途に有利であると考えられる。
【0062】
一実施形態では、PE-A PCは、PE-A PCの総重量に基づいて、500g/mol未満のMwを有する種を、55重量%未満、または50重量%未満、または40重量%未満、または30重量%未満、または20重量%未満、または15重量%未満、または10重量%含有する。別の実施形態では、PE-A PCは、PE-A PCの総重量に基づいて、500g/mol未満のMwを有する種を、0重量%、または0.01重量%、または1重量%~15重量%、または20重量%、または30重量%、または40重量%、または50重量%、または55重量%含有する。さらなる一実施形態では、PE-A PCは、PE-A PCの総重量に基づいて、500g/mol未満のMwを有する種を0重量%~10重量%含有する。
【0063】
一実施形態では、PE-A PCは、PE-A PCの総重量に基づいて、1000g/mol未満のMwを有する種を、55重量%未満、または50重量%未満、または40重量%未満、または30重量%未満、または27重量%未満含有する。別の実施形態では、PE-A PCは、PE-A PCの総重量に基づいて、1000g/mol未満のMwを有する種を、0重量%、または0.01重量%、または1重量%~27重量%、または30重量%、または40重量%、または50重量%、または55重量%含有する。さらなる一実施形態では、PE-A PCは、PE-A PCの総重量に基づいて、1000g/mol未満のMwを有する種を0重量%~30重量%含有する。
【0064】
いかなる特定の理論にも拘束されることを望まないが、PE-A PC中に、(i)低濃度(すなわち55重量%未満)の500g/mol未満のMwを有する種、および/または(ii)低濃度(すなわち55重量%未満)の1000g/mol未満のMwを有する種を存在させることにより、硬化ラミネート接着剤中の低分子量種の移動量が最小限に抑えられ、それが食品包装用途に有利に働くと考えられる。
【0065】
一実施形態では、PE-A PCは、(i)500g/mol~8000g/mol、もしくは1000g/mol~2000g/molのMn、および/または(ii)500g/mol~5000g/mol、もしくは2000g/mol~3000g/molのMw、および/または(iii)1.5~2.0未満、もしくは1.6~1.9のMw/Mn、および/または(iv)0.01mg KOH/g~2.0mg KOH/g、もしくは0.01mg KOH/g~1.0mg KOH/gの酸価、および/または(v)100mg KOH/g~200mg KOH/g、もしくは120mg KOH/g~150mg KOH/gのOH価、および/または(vi)-90℃~-50℃、もしくは-75℃~-60℃のTg、および/または(vii)25℃で500mPa・s~10000mPa・s、もしくは1500mPa・s~9000mPa・sの粘度、および/または(viii)40℃で500mPa・s~3500mPa・s、もしくは700mPa・s~3000mPa・sの粘度、および/または(ix)500g/mol未満のMwを有する種が0重量%~10重量%、および/または(x)PE-A PCの総重量に基づいて、1000g/mol未満のMwを有する種が0重量%~30重量%、の特性のうちの1つ、いくつか、またはすべてを有する。一実施形態では、PE-A PCは、特性(i)~(x)の1つ、いくつか、またはすべてを有し、PE-A PCは、構造(A)を有する。さらなる一実施形態では、PE-A PCは、AA、PDO、NPG、HDO、BDO-PCおよびEDAの反応生成物である。
【0066】
PE-A PCは、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含み得る。
【0067】
リン酸末端ポリオール
ポリオール成分は、PE-A PCに加えて、リン酸末端ポリオールを含み得る。
【0068】
「リン酸末端ポリオール」(「PT-PO」)は、構造(B)を有する少なくとも1つのリン酸基を含有するポリオールである。
【化3】
【0069】
PT-POは、ポリエーテルポリオールをリン酸型酸と反応させることによって調製され得る。「リン酸型酸」は、オルトリン酸、水の脱離によるオルトリン酸の縮合によって作製される化合物、またはそれらの組み合わせである。好適なリン酸型酸の非限定的な例としては、ピロリン酸、トリポリリン酸、およびポリリン酸(PPA)が挙げられる。一実施形態では、PT-POは、ポリエーテルポリオールとPPAとの反応生成物である。
【0070】
一実施形態では、PT-POは、構造(C)を有する。
【化4】
は、エーテル基または置換エーテル基である。
【0071】
一実施形態では、Rはポリエーテルである。別の実施形態では、Rは、炭素原子、水素原子、任意選択の酸素原子、および任意選択のリン原子のみを含有する。
【0072】
一実施形態では、Rは、C-C120エーテル基、またはC-C50エーテル基、またはC-C24エーテル基、またはC-Cエーテル基、またはC-Cエーテル基から選択され、これらの各々は、任意選択で、1つ以上のペンダント-OH基、および/または1つ以上のペンダント構造(B)基を含有し得る。
【0073】
一実施形態では、PT-POは、50mg KOH/g、または100mg KOH/g、または110mg KOH/g~115mg KOH/g、または120mg KOH/g、または150mg KOH/gまでのOH価を有する。別の実施形態では、PT-POは、50mg KOH/g~150mg KOH/g、または100mg KOH/g~120mg KOH/gのOH価を有する。
【0074】
一実施形態では、PT-POは、5mg KOH/g、または10mg KOH/g、または15mg KOH/g~19mg KOH/g、または20mg KOH/g、または30mg KOH/g、または50mg KOH/gまでの酸価を有する。別の実施形態では、PT-POは、5mg KOH/g~50mg KOH/g、または10mg KOH/g~20mg KOH/gの酸価を有する。
【0075】
一実施形態では、PT-POは、25℃で、1000mPa・s、または1500mPa・s、または1600mPa・s~1700mPa・s、1800mPa・s、または2000mPa・sまでの粘度を有する。別の実施形態では、PT-POは、25℃で、1000mPa・s~2000mPa・s、または1600mPa・s~1700mPa・sの粘度を有する。
【0076】
一実施形態では、PT-POは、500g/mol、または1000g/mol、または1500g/mol、または1700g/mol、または1800g/mol、または2000g/mol、または3000g/mol、または4000g/mol、または5000g/mol、または6000g/mol、または7000g/mol、または8000g/molのMnを有する。別の実施形態では、PT-POは、500g/mol~8000g/mol、または1000g/mol~5000g/mol、または1500g/mol~2000g/molのMnを有する。
【0077】
一実施形態では、PT-POは、1000g/mol、または2000g/mol、または3000g/mol、または4000g/mol、または4100g/mol、または4200g/mol、または4500g/mol、または5000g/mol、または8000g/mol、または9000g/mol、または10000g/molのMwを有する。別の実施形態では、PT-POは、1000g/mol~10000g/mol、または2000g/mol~8000g/mol、または2000g/mol~5000g/mol、または4000g/mol~4500g/molのMwを有する。
【0078】
一実施形態では、PT-POは、1.5、または2.0、または2.2、または2.4~2.5、または2.6、または2.8、または3.0のMw/Mnを有する。別の実施形態では、PT-POは、1.5~3.0、または2.2~2.8のMw/Mnを有する。
【0079】
一実施形態では、PT-POは、PT-POの総重量に基づいて、500g/mol未満のMwを有する種を、20重量%未満、または15重量%未満、または10重量%未満、または8重量%未満、または5重量%未満で含有する。別の実施形態では、PT-POは、PT-POの総重量に基づいて、500g/mol未満のMwを有する種を、0重量%、または0.01重量%、または1重量%~4.5重量%、または5重量%、または8重量%、または10重量%、または15重量%、または20重量%まで含有する。さらなる一実施形態では、PT-POは、PT-POの総重量に基づいて、500g/mol未満のMwを有する種を0重量%~5重量%で含有する。
【0080】
一実施形態では、PT-POは、PT-POの総重量に基づいて、500g/mol未満のMwを有する種を、40重量%未満、または35重量%未満、または30重量%未満、または25重量%未満、または20重量%未満で含有する。別の実施形態では、PT-POは、PT-POの総重量に基づいて、1000g/mol未満のMwを有する種を、0重量%、または0.01重量%、または1重量%~16重量%、または20重量%、または25重量%、または30重量%、または35重量%、または40重量%まで含有する。さらなる一実施形態では、PT-POは、PT-POの総重量に基づいて、1000g/mol未満のMwを有する種を0重量%~20重量%で含有する。
【0081】
いかなる特定の理論にも拘束されることを望まないが、PT-PO中に(i)500g/mol未満のMwを有する低レベル(すなわち、20重量%未満)の種および/または(ii)1000g/mol未満のMwを有する低レベル(すなわち、40重量%未満)の種により、硬化ラミネート接着剤中の低分子量種の移動量が最小限に抑えられ、これは、食品包装用途に有利であると考えられる。
【0082】
一実施形態では、PT-POは、(i)50mg KOH/g~150mg KOH/g、もしくは100mg KOH/g~120mg KOH/gのOH価、および/または(ii)5mg KOH/g~50mg KOH/g、もしくは15mg KOH/g~20mg KOH/gの酸価、および/または(iii)25℃で、1000mPa・s~2000mPa・s、もしくは1600mPa・s~1700mPa・sの粘度、および/または(iv)500g/mol~8000g/mol、もしくは1600g/mol~1800g/molのMn、および/または(v)1000g/mol~10000g/mol、もしくは4000g/mol~4500g/molのMw、および/または(vi)1.5~3.0、もしくは2.2~2.8のMw/Mn、および/または(vii)500g/mol未満のMwを有する種が0重量%~5重量%、および/または(viii)PT-POの総重量に基づいて、1000g/mol未満のMwを有する種が0重量%~20重量%、の特性のうちの1つ、いくつか、またはすべてを有する。一実施形態では、PT-POは、特性(i)~(viii)の1つ、いくつか、またはすべてを有し、PT-POは、構造(C)を有する。さらなる一実施形態では、PT-POは、ポリエーテルポリオールとPPAとの反応生成物である。
【0083】
好適なPT-POの非限定的な例は、米国特許公開第2017/0226391号に開示されているPT-POであり、その全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0084】
PT-POは、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含み得る。
【0085】
任意選択の添加剤
(i)ポリエステル-アミドポリカーボネートポリオール、および(ii)任意選択のリン酸末端ポリオールに加えて、ポリオール成分は、(iii)任意選択の添加剤を含有し得る。
【0086】
好適な任意選択の添加剤の非限定的な例としては、ポリオール、接着促進剤、鎖延長剤、触媒、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0087】
好適な任意選択の添加剤の非限定的な例は、ポリオールである。ポリオールは、任意選択のポリオールが(i)PE-A PCおよび(ii)PT-POとは異なるという条件で、本明細書に開示される任意のポリオールであり得る。ポリオールは、(i)PE-A PCおよび(ii)PT-POとは、組成的に異なり得、および/または物理的に異なり得る。
【0088】
好適なポリオールの非限定的な例としては、ジオール(2つのヒドロキシル基を含む)、トリオール(3つのヒドロキシル基を含む)およびそれらの組み合わせが挙げられる。好適なジオールの非限定的な例としては、2-メチル-1,3-プロパンジオール(MPG)、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、エチレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール(DEG)、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール(PEG)などのポリアルキレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、およびNPGが挙げられる。好適なトリオールの非限定的な例は、トリメチロールプロパン(TMP)である。
【0089】
一実施形態では、添加剤は、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、またはそれらの組み合わせであるポリオールである。好適なポリエーテルポリオールの非限定的な例としては、ポリプロピレングリコール、PEG、ポリブチレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0090】
好適な接着促進剤の非限定的な例としては、アミノシラン(例えば、(3-アミノプロピル)トリエトキシシランおよび(3-アミノプロピル)トリメトキシシラン)、エポキシシラン(例えば、(3-グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシラン)、リン酸エステル(例えば、ポリプロピレングリコールに基づくリン酸エステル)、エポキシ樹脂(例えば、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテルに基づくエポキシ樹脂)、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0091】
好適な鎖延長剤の非限定的な例としては、グリセリン、トリメチロールプロパン、DEG、プロパンジオール、MPG、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0092】
好適な触媒の非限定的な例としては、テトラ-n-ブチルチタネート、チタンイソプロキシド、硫酸亜鉛、有機スズ触媒(例えば、ジラウリン酸ジブチルスズ)、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0093】
一実施形態では、上記反応混合物は鎖延長剤を除外する。
【0094】
任意選択の添加剤は、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含み得る。
【0095】
一実施形態では、ポリオール成分は、(i)PE-A PC、(ii)任意選択のPT-PO、および(iii)任意選択の添加剤を含有するか、本質的にそれらからなるか、またはそれらからなる。更なる実施形態では、ポリオール成分は、(i)PE-A PC、(ii)PT-PO、および(iii)任意選択の添加剤のブレンドである。
【0096】
一実施形態では、ポリオール成分は、ポリオール成分の総重量に基づいて、65重量%、または70重量%、または75重量%、または79重量%、または80重量%、または85重量%、または90重量%~95重量%、または98重量%、または99重量%、または99.5重量%、または100重量%までのPE-A PCを含有する。
【0097】
一実施形態では、ポリオール成分は、ポリオール成分の総重量に基づいて、65重量%、または70重量%、または75重量%、または79重量%、または80重量%、または85重量%、または90重量%~95重量%、または98重量%、または99重量%、または99.5重量%までのPE-A PCと、互助的な量のPT-PO、または0.5重量%、または1重量%、または2重量%、または5重量%~10重量%、または15重量%、または20重量%、または21重量%、または25重量%、または30重量%、または35重量%までのPT-POと、を含有する。別の実施形態では、ポリオール成分は、ポリオール成分の総重量に基づいて、65重量%~99.5重量%、または70重量%~99重量%、または75重量%~95重量%、または79重量%~95重量%のPE-A PCと、0.5重量%~35重量%、または1重量%~30重量%、または1重量%~25重量%、または5重量%~21重量%のPT-POと、を含有する。
【0098】
一実施形態では、ポリオール成分は、50mg KOH/g、または100mg KOH/g、または120mg KOH/g~150mg KOH/g、または160mg KOH/g、または200mg KOH/gまでのOH価を有する。別の実施形態では、ポリオール成分は、50mg KOH/g~200mg KOH/g、または100mg KOH/g~150mg KOH/g、または120mg KOH/g~150mg KOH/gのOH価を有する。
【0099】
前述のポリオール成分を含む、本明細書に開示される成分、混合物、組成物、および層の各々の成分の合計が、それぞれの成分、混合物、組成物、または層の総重量に基づいて、100重量パーセント(重量%)になることが理解される。
【0100】
ポリオール成分は、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含み得る。
【0101】
C.溶媒
2成分溶媒ベースの接着剤組成物は、(A)イソシアネート成分と、(B)ポリオール成分と、(C)溶媒と、の反応生成物を含有する。
【0102】
「溶媒」は、25℃で液体であり、その中で接着剤組成物中の他の各成分が溶解および/または分散される連続媒体を提供することができる化合物である。好適な溶媒の非限定的な例としては、炭化水素溶媒、極性溶媒、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0103】
「炭化水素溶媒」は、水素および炭素原子のみを含有し、分岐鎖状または非分岐鎖状、飽和または不飽和、環状、多環状、もしくは非環状種、およびそれらの組み合わせを含有する。一実施形態では、炭化水素溶媒は、芳香族炭化水素溶媒、脂肪族炭化水素溶媒、およびそれらの組み合わせから選択される。
【0104】
「芳香族炭化水素」は、1つ以上のベンゼン環を含有する炭化水素である。芳香族炭化水素溶媒の非限定的な例としては、トルエンおよびキシレンが挙げられる。一実施形態では、炭化水素溶媒は、トルエンである芳香族炭化水素溶媒である。
【0105】
「脂肪族炭化水素」は、アルカン、アルケン、アルキン、またはアルカン、アルケンもしくはアルキンの誘導体である炭化水素である。脂肪族炭化水素溶媒の非限定的な例としては、ヘキセン、シクロヘキサンおよびメチルシクロヘキサン(MCH)が挙げられる。
【0106】
「極性溶媒」は、もう一方の物質(溶質)を溶解して、分子レベルまたはイオンレベルで均一に分散した混合物(溶液)を形成することができる物質であり、電荷が一致する非極性分子とは対照的に、正電荷と負電荷が恒久的に分離されている分子で構成される溶媒である。極性溶媒の非限定的な例としては、アルコール、ケトンおよびエステルが挙げられる。一実施形態では、極性溶媒はケトンである。好適なケトンの非限定的な例としては、アセトン、メチルエチルケトンおよびシクロヘキサノンが挙げられる。
【0107】
一実施形態では、極性溶媒はエステルである。好適なエステルの非限定的な例としては、酢酸ブチルおよび酢酸エチルが挙げられる。
【0108】
一実施形態では、溶媒は、酢酸エチル、メチルエチルケトン、およびそれらの組み合わせから選択される。さらなる一実施形態では、溶媒は酢酸エチルである。
【0109】
上記溶媒は、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含み得る。
【0110】
D.2成分溶媒ベースの接着剤組成物
2成分溶媒ベースの接着剤組成物は、(A)イソシアネート成分と、(B)(i)PE-A PCおよび(ii)PT-POを含有するポリオール成分と、(C)任意選択の溶媒と、の反応生成物を含有する。
【0111】
2成分溶媒ベースの接着剤組成物は、(A)イソシアネート成分と、(B)ポリオール成分と、(C)溶媒と、をイソシアネート成分の-NCO基をポリオール成分のヒドロキシル基と反応させるのに好適な条件下で混合することによって形成される。一実施形態では、(A)イソシアネート成分と、(B)ポリオール成分と、(C)溶媒とを組み合わせて、15℃、または20℃~23℃、または25℃、または45℃の温度で10分~30分間混合する。一実施形態では、(A)イソシアネート成分および(B)ポリオール成分は、(C)溶媒に完全に溶解しているか、または実質的に溶解している。
【0112】
(C)溶媒は、(A)イソシアネート成分および/または(B)ポリオール成分と予混合されてもよい。一実施形態では、(C)溶媒は、(B)ポリオール成分と予混合される。言い換えれば、ポリオール成分は、イソシアネート成分と接触する前に溶媒と混合される。一実施形態では、(C)溶媒は(B)ポリオール成分と予混合され、この予混合物は、25重量%、または50重量%、または70重量%、または75重量%~80重量%、または90重量%、または95重量%、または99重量%の固形分を有する。
【0113】
一実施形態では、2成分溶媒ベースの接着剤組成物は、(A)イソシアネート成分と、(B)ポリオール成分とを、乾燥重量に基づいて、イソシアネート:ポリオールの重量比が100:1、または100:12、または100:13~100:17、または100:20まで、で含む。別の実施形態では、2成分溶媒ベースの接着剤組成物は、(A)イソシアネート成分と、(B)ポリオール成分とを、乾燥重量に基づいて、イソシアネート:ポリオールの重量比が100:1~100:20、または100:12~100:17、または100:13~100:17まで、で含む。
【0114】
一実施形態では、2成分溶媒ベースの接着剤組成物は、2成分溶媒ベースの接着剤組成物の総重量に基づいて、55重量%~60重量%、または65重量%、または70重量%の溶媒を含有する。
【0115】
一実施形態では、2成分溶媒ベースの接着剤組成物は、2成分溶媒ベースの接着剤組成物の総重量に基づいて、30重量%、または35重量%、または40重量%~45重量%の固形分を有する。別の実施形態では、2成分溶媒ベースの接着剤組成物は、2成分溶媒ベースの接着剤組成物の総重量に基づいて、30重量%~45重量%、または40重量%~45重量%の固形分を有する。
【0116】
一実施形態では、2成分溶媒ベースの接着剤組成物は、
(A)芳香族イソシアネートプレポリマーを含むイソシアネート成分と、
(B)ポリオール成分であって、
(i)ポリオール成分の総重量に基づいて、65重量%~100重量%、もしくは65重量%~99.5重量%、もしくは70重量%~99重量%、もしくは75重量%~95重量%、もしくは79重量%~95重量%のPE-A PCであって、(a)500g/mol~8000g/mol、もしくは1000g/mol~2000g/molのMn、および/または(b)500g/mol~5000g/mol、もしくは2000g/mol~3000g/molのMw、および/または(c)1.5~2.0未満、もしくは1.6~1.9のMw/Mn、および/または(d)0.01mg KOH/g~2.0mg KOH/g、もしくは0.01mg KOH/g~1.0mg KOH/gの酸価、および/または(e)100mg KOH/g~200mg KOH/g、もしくは120mg KOH/g~150mg KOH/gのOH価、および/または(f)-90℃~-50℃、もしくは-75℃~-60℃のTg、および/または(g)25℃で、500mPa・s~10000mPa・s、もしくは1500mPa・s~9000mPa・sの粘度、および/または(h)40℃で、500mPa・s~3500mPa・s、もしくは700mPa・s~3000mPa・sの粘度、および/または(i)500g/mol未満のMwを有する種が0重量%~10重量%、および/または(j)PE-A PCの総重量に基づいて、1000g/mol未満のMwを有する種が0重量%~30重量%、および/または(k)構造(A)を有し、および/または(l)AA、PDO、NPG、HDO、BDO-PCおよびEDAの反応生成物である、という特性のうちの1つ、いくつか、またはすべてを有するPE-A PCと、
(ii)ポリオール成分の総重量に基づいて、0.5重量%~35重量%、もしくは1重量%~30重量%、もしくは1重量%~25重量%、もしくは5重量%~21重量%のPT-POであって、(a)50mg KOH/g~150mg KOH/g、もしくは100mg KOH/g~120mg KOH/gのOH価、および/または(b)5mg KOH/g~50mg KOH/g、もしくは15mg KOH/g~20mg KOH/gの酸価、および/または(c)25℃で、1000mPa・s~2000mPa・s、もしくは1600mPa・s~1700mPa・sの粘度、および/または(d)500g/mol~8000g/mol、もしくは1600g/mol~1800g/molのMn、および/または(e)1000g/mol~10000g/mol、もしくは4000g/mol~4500g/molのMw、および/または(f)1.5~3.0、もしくは2.2~2.8のMw/Mn、および/または(g)500g/mol未満のMwを有する種が0重量%~5重量%、および/または(h)PT-POの総重量に基づいて、1000g/mol未満のMwを有する種が0重量%~20重量%、かつ/または(i)構造(C)を有し、かつ/または(j)ポリエーテルポリオールとPPAとの反応生成物である、という特性のうちの1つ、いくつか、またはすべてを有するPT-POと、
を含有するか、本質的にそれらからなるか、またはそれらからなり、50mg KOH/g~200mg KOH/g、または100mg KOH/g~150mg KOH/g、または120mg KOH/g~150mg KOH/gのOH価を有する、ポリオール成分と、
(C)2成分溶媒ベースの接着剤組成物の総重量に基づいて、55重量%~70重量%、または55重量%~60重量%の溶媒と、
(D)任意選択の添加剤と、を含み、
本組成物は、(a)2成分溶媒ベースの接着剤組成物の総重量に基づいて、30重量%~45重量%、または40重量%~45重量%の固形分含量、および/または(b)乾燥重量に基づいて、イソシアネート:ポリオールの重量比が100:1~100:20、100:12~100:17または100:13~100:17である、の特性のうちの1つ、いくつか、またはすべてを有する。
【0117】
上記2成分溶媒ベースの接着剤組成物は、本明細書に開示される2つ以上の一実施形態を含み得る。
【0118】
E.ラミネート
本開示は、ラミネートを提供する。ラミネートは、第1の基材および第2の基材を含み、第1の基材と第2の基材との間に接着剤層を含む。接着剤層は、2成分溶媒ベースの接着剤組成物から形成される。
【0119】
2成分溶媒ベースの接着剤組成物は、本明細書に開示される任意の2成分溶媒ベースの接着剤組成物であり得る。
【0120】
ラミネートは、第1の基材および第2の基材を含む。
【0121】
第1の基材および第2の基材は、同じであっても異なっていてもよい。一実施形態では、第1の基材および第2の基材は、同一の組成および同一の構造を有するという点で同じである。
【0122】
実施形態では、第1の基材および第2の基材は、互いに組成的にかつ/または構造的に異なる。
【0123】
「基材」に言及する以下の説明は、個別的にかつ/または集合的に、第1の基材および第2の基材を指すことが理解される。
【0124】
好適な基材の非限定的な例はフィルムである。フィルムは、単層フィルムまたは多層フィルムであってもよい。多層フィルムは、2つの層、または3つ以上の層を含む。例えば、多層フィルムは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、またはそれ以上の層を有し得る。一実施形態では、多層フィルムは、ただ2つの層だけ、またはただ3つの層だけを含む。
【0125】
一実施形態では、フィルムは、ただ1つの層だけを備えた単層フィルムである。
【0126】
一実施形態では、フィルムは、エチレン系ポリマー、プロピレン系ポリマー(PP)、ポリアミド(ナイロンなど)、ポリエステル、エチレンビニルアルコール(EVOH)コポリマー、ポリエチレンテレフタレート(PET)、エチレンビニルアクリレート(EVA)コポリマー、エチレンメチルアクリレートコポリマー、エチレンエチルアクリレートコポリマー、エチレンブチルアクリレートコポリマー、エチレンアクリル酸コポリマー、エチレンメタクリル酸コポリマー、エチレンアクリル酸のイオノマー、メタクリル酸のイオノマー、無水マレイン酸グラフト化エチレン系ポリマー、ポリ乳酸(PLA)、ポリスチレン、金属箔、セルロース、セロファン、不織布、およびそれらの組み合わせから選択された成分を含有する層を含む。好適な金属箔の非限定的な例は、アルミニウム箔である。多層フィルムの各層は、同じ成分から形成することができ、または異なる成分から形成することができる。
【0127】
一実施形態では、フィルムは、金属箔を含む層を含む。
【0128】
一実施形態では、フィルムは、エチレン系ポリマー層である単一の層を有する単層フィルムである。追加的な実施形態では、フィルムは、ポリエチレン層である単一の層を有する単層フィルムである。
【0129】
基材、さらにフィルムは、2つの対向する表面を持つ切れ目のない構造である。
【0130】
一実施形態では、基材は、5μm、またはあ10μm、または15μm、または20μm~25μm、または30μm、または40μm、または50μm、または100μm、または200μm、または300μm、または400μm、または500μmの厚さを有する。
【0131】
一実施形態では、第1の基材は、金属箔層である層を有するフィルムであり、第2の基材は、エチレン系ポリマー層(低密度ポリエチレン(LDPE)など)またはプロピレン系ポリマー層(ポリプロピレンなど)である単一の層を有する単層フィルムである。
【0132】
第1の基材は、本明細書で開示される2つ以上の実施形態を含み得る。
【0133】
第2の基材は、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含み得る。
【0134】
2成分溶媒ベースの接着剤組成物は、Nordmeccanica Labo Combiラミネータなどを用いて、第1の基材と第2の基材との間に塗布される。
【0135】
好適な塗布方法の非限定的な例としては、ブラッシング、注入(pouring)、噴霧、コーティング、圧延、散布、および注入(injecting)が挙げられる。
【0136】
一実施形態では、2成分溶媒ベースの接着剤組成物は、3グラム/平方メートル(g/m)~4g/mのコート重量で第1の基材と第2の基材との間に塗布される。
【0137】
一実施形態では、2成分溶媒ベースの接着剤組成物を第1の基材上に均一に塗布し、溶媒が蒸発して接着剤層を形成し、次いで当該接着剤層を第2の基材に接触させる。「均一な塗布」は、基材の表面全体にわたって連続的(断続的ではない)であって、基材の表面全体にわたって同じまたは実質的に同じ厚さの組成物の層である。言い換えれば、基材に均一に塗布された組成物は、基材表面に直接接触し、当該組成物は、基材表面と同一の外延を有する。
【0138】
2成分溶媒ベースの接着剤組成物および第1の基材は、互いに直接接触している。本明細書で使用される場合、「直接接触している」という用語は、基材が2成分溶媒ベースの接着剤組成物または接着剤層のすぐ近隣に位置し、基材と2成分溶媒ベースの接着剤組成物または接着剤層との間に、介在層または介在構造体がない層構成のことである。2成分溶媒ベースの接着剤組成物は、第1の基材の表面に直接接触する。第1の基材および2成分溶媒ベースの接着剤組成物を含有する構造は、次の構造(D)を有する。
第1の基材/2成分溶媒ベースの接着剤組成物構造(D)
【0139】
一実施形態では、構造(D)を乾燥させて、第1の基材と直接接触する接着剤層を形成する。一実施形態では、構造(D)は、2成分溶媒ベースの接着剤組成物から溶媒のすべてまたは実質的にすべてを蒸発させるのに十分な温度でオーブンに通すことによって乾燥される。次に、接着剤層を第2の基材と接触させてラミネートを形成する。ラミネートは、次の構造(E)を有する。
第1の基材/接着剤層/第2の基材構造(E)。
【0140】
一実施形態では、接着剤層と第2の基材は互いに直接接触する。接着剤層は、第2の基材の表面に直接接触する。
【0141】
構造(E)の接着剤層は、2成分溶媒ベースの接着剤組成物を硬化、または乾燥させて形成される。2成分溶媒ベースの接着剤組成物は、(A)イソシアネート成分と、(B)ポリオール成分を(C)溶媒の存在下で混合、および反応させて形成される。
【0142】
ラミネートは、接着剤層と直接接触している第1の基材と、接着剤層と直接接触している第2の基材とを含む。
【0143】
一実施形態では、第1の基材は、金属箔層である層を有するフィルムであり、第2の基材は、エチレン系ポリマー(LDPEなど)である単一の層を有する単層フィルムであり、ラミネートは、(i)1.5N/2.54cm、もしくは1.7N/2.54cm~4.0N/2.54cm、もしくは5.0N/2.54cmまでの初期結合強度(未熟な結合)、および/または(ii)5.0N/2.54cm~17.0N/2.54cm、もしくは20.0N/2.54cmまでの1日後の結合強度、および/または(iii)7.5N/2.54cm~16.0N/2.54cm、もしくは20.0N/2.54cmまでの7日後の結合強度、および/または(iv)8.73N/2.54cm、もしくは8.75N/2.54cm~15.50N/2.54cm、もしくは16.00N/2.54cm、もしくは20.00N/2.54cmまでの、または8.73N/2.54cm~20.00N/2.54cmのボイルインバッグ試験後の結合強度、および/または(v)0.1N/2.54cm~2.5N/2.54cm、もしくは5.0N/2.54cmまでの、もしくは0.1N/2.54cm~5.0N/2.54cmの化学的老化後の結合強度、の特性のうちの1つ、いくつか、またはすべてを有する。
【0144】
一実施形態では、第1の基材は、金属箔層である層を有するフィルムであり、第2の基材は、プロピレン系ポリマー(ポリプロピレン、またはさらにキャストポリプロピレンなど)である単一の層を有する単層フィルムであり、ラミネートは、(i)1.5N/2.54cm~6.0N/2.54cm、もしくは7.0N/2.54cmまでの初期結合強度(未熟な結合)、および/または(ii)10.0N/2.54cm、もしくは12.0N/2.54cm~16.0N/2.54cm、もしくは20.0N/2.54cmまでの1日後の結合強度、および/または(iii)12.0N/2.54cm~16.0N/2.54cm、もしくは18.0N/2.54cmまでの7日後の結合強度、および/または(iv)7.5N/2.54cm~13.0N/2.54cm、もしくは15.0N/2.54cmまでのボイルインバッグ試験後の結合強度、および/または(v)0.5N/2.54cm、もしくは0.7N/2.54cm~10.0N/2.54cm、もしくは12.0N/2.54cm、もしくは15.0N/2.54cmの化学的老化後の結合強度の特性のうちの1つ、いくつか、またはすべてを有する。
【0145】
一実施形態では、第1の基材は、PETである単一の層を有する単層フィルムであり、第2の基材は、エチレン系ポリマー(LDPEなど)である単一の層を有する単層フィルムであり、ラミネートは、(i)0.5N/2.54cm~4.0N/2.54cm、もしくは50.0N/2.54cmまでの初期結合強度(未熟な結合)、および/または(ii)12.0N/2.54cm~23.0N/2.54cm、もしくは25.0N/2.54cm、もしくは30.0N/2.54cmまでの1日後の結合強度、および/または(iii)14.0N/2.54cm~22.0N/2.54cm、もしくは25.0N/2.54cmまでの7日後の結合強度、および/または(iv)3.0N/2.54cm、もしくは3.5N/2.54cm~6.0N/2.54cm、もしくは8.0 N/2.54 cm、もしくは10.0N/2.54cm、もしくは3.0 N/2.54 cm ~10.0 N/2.54 cmまでのボイルインバッグ試験後の結合強度、および/または(v)3.0N/2.54cm~9.0N/2.54cm、もしくは10.0N/2.54cm、もしくは15.0N/2.54cmまでの化学的老化後の結合強度の特性のうちの1つ、いくつか、またはすべてを有する。
【0146】
一実施形態では、第1の基材は、PETである単一の層を有する単層フィルムであり、第2の基材は、プロピレン系ポリマー(ポリプロピレン、またはさらにキャストポリプロピレンなど)である単一の層を有する単層フィルムであり、ラミネートは、(i)0.2N/2.54cm~4.0N/2.54cm、5.0N/2.54cm、もしくは10.0N/2.54cmまでの初期結合強度、および/または(ii)10.0N/2.54cm、もしくは11.0N/2.54cm~18.0N/2.54cm、もしくは20.0N/2.54cmまでの、もしくは10.0N/2.54cm~20.0N/2.54cm、もしくは11.0N/2.54cm~18.0N/2.54cmの1日後の結合強度、および/または(iii)13.5N/2.54cm~25.0N/2.54cm、もしくは30.0N/2.54cmまでの7日後の結合強度、および/または(iv)8.0N/2.54cm~17.0N/2.54cm、18.0N/2.54cm、もしくは20.0N/2.54cmまでの、もしくは8.0N/2.54cm~20.0N/2.54cmのボイルインバッグ試験後の結合強度、および/または(v)7.0N/2.54cm~15.0N/2.54cm、もしくは20.0N/2.54cmの化学的老化後の結合強度の特性のうちの1つ、いくつか、またはすべてを有する。
【0147】
ラミネートは、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含み得る。
【0148】
F.2成分溶媒ベースの接着剤組成物を形成する方法
本開示はまた、2成分溶媒ベースの接着剤組成物を形成する方法を提供する。
【0149】
一実施形態では、本方法は、(A)ポリエステル-アミドポリカーボネートポリオール(PE-A PC)を含有するポリオール成分を提供することと、(B)イソシアネート成分を提供することと、(C)溶媒を提供することと、(D)溶媒の存在下でポリオール成分とイソシアネート成分とを反応させて、2成分溶媒ベースの接着剤組成物を形成することと、を含む。
【0150】
ポリオール成分、PE-A PC、イソシアネート成分、および2成分溶媒ベースの接着剤組成物はそれぞれ、本明細書に開示されるいずれかのポリオール成分、PE-A PC、イソシアネート成分、および2成分溶媒ベースの接着剤組成物であり得る。
【0151】
一実施形態では、プロセスには、PE-A PCをPT-POと混合することによってポリオール成分を形成することが含まれる。
【0152】
上記方法は、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含み得る。
【0153】
本開示はまた、ラミネートを含む物品を提供する。好適な物品の非限定的な例としては、包装体、バッグ、パウチ、深絞り加工缶、および容器が挙げられる。
【0154】
一実施形態では、ラミネートは食料品と接触する。「食料品」は食用の食品である。
【0155】
ここで、限定ではなく例には、本開示のいくつかの実施形態を、以下の実施例で詳細に説明する。
【実施例
【0156】
実施例で使用される材料を、以下の表1に示す。
【表1】
【0157】
A.ポリエステル-アミドポリカーボネートポリオールの調製
ポリ(1,4-ブタンジオール-カーボネート)(BDO-PC)の調製
20インチの内径を有する30ガロン316Lステンレス鋼容器は、内部バッフル、可変速度12インチタービン羽根車、散布リング、独立したホットアンドコールドループを有する混合DOWTHERM(商標)システムを備えた閉ループシステム、および24インチの充填カラムが装備されている。反応器に、67958.0グラム(g)の1,4-ブタンジオール(BDO)を加え、Nで掃引しながら150℃に加熱して反応器を不活性化し、BDOに存在する水を除去する。TYZOR(商標)TPT触媒(21.6g)を加え、反応器から事前にパージした600.0gのBDOでラインをフラッシュする。流量計および制御バルブを使用して6~8時間かけて秤量ポットからジメチルカーボネート(DMC)(102864.0g)を加え、同時にカラム内の温度を65℃に維持する。DMCの添加完了後、温度を195℃に上げ、反応の進行を、OH価および末端基分析用ためのH-NMRによって追跡する。195℃で8時間後、OH価は、30.7であり、H-NMRによって25%のカーボネート末端基を有することがわかった。温度を150℃に下げ、4.1ポンド(lbs)のBDOを反応に加える。温度を195℃まで上げ、8時間後、OH価は、54mg KOH/gで、1%未満のカーボネート末端基を有することがわかった。OH価が54mg KOH/g、数平均分子量(Mn)が1960g/molのポリ(1,4-ブタンジオール-カーボネート)(BDO-PC)を調製する。
【0158】
ポリエステル-アミドポリカーボネートポリオール(PE-A PC)の調製
ポリエステル-アミドポリカーボネートポリオールを、次の一般的な手順に従って合成する際の、各サンプルの詳細な配合組成を表2に示す。
【0159】
熱電対入口ポートを備えた1000mLの三つ口フラスコを備えたガラス反応器で反応を実施する。反応器の一方のネックには、ストッパーが取り付けられた29/42ネックを備えるガス入口アダプタが装備されている。ガス入口には、調整可能な流量計によって調節された窒素が供給される。反応器の第2のネックには、真空で使用できるように改良されたカスタムメイドの機械式撹拌シャフトアダプタが装備されている。反応器の第3のネックには、蒸留ヘッドにつながる12インチの長さのカラムに装着されたオフセットアダプタと、底部の三つ口底部ドレイン回収フラスコを備えたコンデンサと、が装着されている。回収フラスコには、J-KEM(商標)真空調節器につながる1つのラインと、窒素バブラにつながる別のラインが存在する。オフセットアダプタの12インチのカラムには、5mmのガラスビーズが満たされている。カラム表面温度をモニターする熱電対を備えたバリアックによって制御される加熱テープを用いて、カラムを加熱する。反応器の加熱は、過熱遮断装置を備えるコントロールボックスから供給される加熱マントルによって供給される。機械式撹拌は、カスタムメイドの1/4インチステンレス鋼パドルおよびシャフトを使用して実施する。反応器に、1,6-ヘキサンジオール(HDO)、ネオペンチルグリコール(NPG)、1,2-プロパンジオール(PDO)およびアミンモノマーを充填する。混合物を真空脱気し、窒素で最大3回パージし、その後ゆっくりと100℃未満に加熱する。アジピン酸を加え、混合物をおおよそ1時間撹拌する。次に、温度を150℃に上げ、(Aldrichから供給された)チタンイソプロポキシドを注入する。反応温度は徐々に上昇し、蒸留が減速しつつ、210℃に至る。適度な真空圧をかけて、反応完了まで促進させる。酸価をモニターして、反応のエンドポイントを決定する。酸価が1.0未満のとき、ポリエステル成分が完成したと見なす。次に、上記のように調製されたBDO-PCおよび1,6-ヘキサンジオール(HDO、BDO-PCと等モル)を室温でポリエステル成分に加え、溶液を4時間、210℃に加熱する。
【表2】
【0160】
B.リン酸末端ポリオールの調製
1Lの複数口丸底フラスコをオーブンで乾燥させ、乾燥窒素を30分間フラッシュし、その後150グラムのVORANOL(商標)CP 450(ポリエーテルポリオール)を充満させ、70mL/分のN掃引下に置く。シリンジに4グラムの115%ポリリン酸(PPA)を入れる。強く撹拌しながらVORANOL(商標)CP 450にPPAを滴下する。若干の温度上昇が観察される。反応器の内容物を100℃で1時間加熱した後、45℃に冷却する。40グラムの酢酸エチルを加え、続いて50グラムのISONATE(商標)125M(MDIブレンド)をゆっくり加える。氷浴を用いて著しい発熱を制御し、反応ポットを75℃未満に維持する。黄色から琥珀色への発色が観察される。次に、反応器を65℃で1時間維持し、その時点で内容物を冷却して包装する。調製されたリン酸末端ポリオール(PT-PO)には、過剰な、または遊離のMDIは含有されない。PT-POは、76重量%の固形分、112mg KOH/gのOH価、19.0mg KOH/gの酸価、25℃で1665mPa・sの粘度、1700g/molのMn、4100g/molのMw、および2.4のMw/Mnを有する。PT-POは、Mwが500g/mol未満の種を4.4重量%、およびMwが1000g/mol未満の種を16.0重量%で含有する。
【0161】
C.ポリオール成分の調製
上記のように調製されるPE-A PC1~5、およびポリエステル6を、PT-POと混合し、サンプルポリオール成分を形成する。各サンプルポリオール成分の組成および特性を以下の表3に示す。表3では、「CS」は、比較サンプルを指す。
【表3】
【0162】
D.2成分溶媒ベースの接着剤組成物の調製
(A)ADCOTE(商標)577(芳香族イソシアネートプレポリマー)と、(B)実施例PC1~7、CS PC8~9、ADCOTE(商標)577B(ヒドロキシル末端ポリオール組成物)、ADCOTE(商標)L87-124(ヒドロキシル末端ポリオール組成物)、またはCR86-139(ヒドロキシル末端ポリオール組成物)のうちの1つと、(C)酢酸エチルと、をケトル中、均一な混合物になるまで室温(23℃)で混合することによって2成分溶媒ベースの接着剤組成物を調製し、2成分溶媒ベースの接着剤組成物を形成する。各実施例および比較例の接着剤組成物の成分を表4および5に示す。
【0163】
E.ラミネートの形成
厚さ1.5ミルの単層フィルムであるスリップ剤を含有する低密度ポリエチレン(LDPE)フィルムを準備する(Berry Plastics Corp.から入手可能なGF-19)。
【0164】
厚さ3ミルの単層フィルムであるキャストポリプロピレンフィルムを準備する。
【0165】
厚さ1ミル(24.5μm)の単層フィルムであるポリ(エチレングリコール-テレフタレート)(PET)フィルムを準備する(DuPontから入手可能な92LBT)。
【0166】
金属箔フィルム(アルミ箔)を準備する。金属箔フィルムは、厚さ1.5ミル(38.1μm)の単層フィルムである。3.26g/m(2.00lbs/ream)のコート重量でADCOTE(商標)577:Coreactant F(The Dow Chemical Companyから市販されている溶媒ベースの2成分ポリウレタン接着剤)を使用して、金属箔フィルムをPETフィルム(厚さ12μm、48ゲージ)とプレラミネートして、次の構造(I)を有する金属箔プレラミネート(プレラム)を形成する。
PETフィルム/ADCOTE(商標)577:Coreactant F接着剤層/金属箔フィルム構造(I)
【0167】
実施例および比較例の接着剤組成物を、Nordmeccanica SDC Labo Combiのパイロットラミネータに入れる。ラミネータのニップ温度を60℃に維持し、オーブンの各ゾーンの温度を80℃に設定し、ラミネータを毎分30メートル(m/min)の速度で動作させる。各実施例および比較例の接着剤組成物は、積層中、表4および5の固形分で維持される。
【0168】
接着剤組成物を、金属箔プレラミネート(プレラム)またはPETフィルム(92LBT)のいずれかに塗布し、次の構造(II)および構造(III)を形成する。
プレラム/接着剤組成物構造(II)
PET/接着剤組成物構造(III)
【0169】
構造(II)では、接着剤組成物は、金属箔プレラミネート(構造(I)を有する)の金属箔フィルム層の表面に直接接触する。
【0170】
次に、温度25℃、相対湿度50%に制御された実験室で7~14日間、構造(II)および構造(III)を硬化させ、溶媒のすべて、または実質的にすべてを蒸発させて接着剤層を形成させる。LDPEフィルムまたはキャストポリプロピレンフィルムを接着剤層と接触させて、構造(IV)、構造(V)、構造(VI)、または構造(VII)を有するラミネートを形成する。
プレラム/接着剤組成物/LDPE 構造(IV)
プレラム/接着剤組成物/キャストポリプロピレン 構造(V)
PET/接着剤組成物/LDPE 構造(VI)
PET/接着剤組成物/キャストポリプロピレン 構造(VII)
【0171】
各ラミネート実施例および比較サンプルの特性を、表4および5に提供する。表4および5では、「NM」は、値が測定されなかったことを示し、「FS」は、フィルムストレッチ障害モードを示し、「FT」は、フィルムの破れまたは破損の障害モードを示し、「DL」は、層間剥離障害モードを示し、「AT」は、接着剤が第2のフィルムに転写される接着剤転写障害モードを示し、「AS」は、接着剤が両方のフィルムに見られる、凝集障害または接着剤分割障害モードを示す。
【表4-1】
【表4-2】
【表5-1】
【表5-2】

【0172】
F.結果
表4に示すように、CS8~12は各々、(A)イソシアネート成分(ADCOTE(商標)577)、(B)ポリエステル-アミドポリカーボネートポリオール(PE-A PC)を欠くポリオール成分(ADCOTE(商標)577B、CR86-139、ADCOTE(商標)L87-124、CS PC8およびCS PC9)、および(C)溶媒(酢酸エチル)から形成された接着剤層を含む。構造(IV)を有するCS8~12のラミネート構造(すなわち、プレラム/接着剤組成物/LDPE)は各々、8.73N/2.54cm未満のボイルインバッグ試験後の結合強度を示す。したがって、CS8~12は各々、ボイルインバッグ試験後の不十分な結合強度を示す。
【0173】
表4に示すように、実施例1~7は各々、(A)イソシアネート成分(ADCOTE(商標)577)、(B)PE-A PCを含有するポリオール成分(それぞれPC1~7)、および(C)溶媒(酢酸エチル)から形成された接着剤層を含む。構造(IV)を有する実施例1~7のラミネート構造(すなわち、プレラム/接着剤組成物/LDPE)は各々、8.73N/2.54cmを超えるボイルインバッグ試験後の結合強度を示す。したがって、実施例1~7は各々、ボイルインバッグ試験後の十分な結合強度を示す。
【0174】
表5に示すように、CS8~12は各々、(A)イソシアネート成分(ADCOTE(商標)577)、(B)PE-A PCを欠くポリオール成分(ADCOTE(商標)577B、CR86-139、ADCOTE(商標)L87-124、CS PC8およびCS PC9)、および(C)溶媒(酢酸エチル)から形成された接着剤層を含む。構造(VII)を有するCS8~12のラミネート構造(すなわち、PET/接着剤組成物/キャストポリプロピレン)は、10.0N/2.54cm未満の1日後の結合強度を示す。したがって、CS8~12は各々、1日後の不十分な結合強度を示す。
【0175】
表5に示すように、実施例1~7は各々、(A)イソシアネート成分(ADCOTE(商標)577)、(B)PE-A PCを含有するポリオール成分(それぞれPC1~7)、および(C)溶媒(酢酸エチル)から形成された接着剤層を含む。構造(VII)を有する実施例1~7のラミネート構造(すなわち、PET/接着剤組成物/キャストポリプロピレン)は各々、10.0N/2.54cmを超える1日後の結合強度を示す。したがって、実施例1~7は各々、1日後の十分な結合強度を示す。
【0176】
本開示は、本明細書に含まれる実施形態および例示に限定されず、実施形態の一部分、および異なる実施形態の要素の組み合わせを含むこれらの実施形態の変更された形態を、次の特許請求の範囲内に該当するものとして含むことが、特に意図されている。

上記の開示に基づく発明の例として、以下のものが挙げられる。
[1] 2成分溶媒ベースの接着剤組成物であって、(A)イソシアネート成分と、(B)ポリエステル-アミドポリカーボネートポリオールを含むポリオール成分と、(C)溶媒と、の反応生成物を含む、2成分溶媒ベースの接着剤組成物。
[2] 前記ポリオール成分が、リン酸末端ポリオールをさらに含む、上記[1]に記載の2成分溶媒ベースの接着剤組成物。
[3] 前記ポリエステル-アミドポリカーボネートポリオールが、500g/mol~8,000g/molの数平均分子量(Mn)を有する、上記[1]または[2]に記載の2成分溶媒ベースの接着剤組成物。
[4] 前記ポリエステル-アミドポリカーボネートポリオールが、500g/mol未満の重量平均分子量(Mw)を有する種を55重量%未満含む、上記[1]~[3]のいずれか一項に記載の2成分溶媒ベースの接着剤組成物。
[5] 前記ポリエステル-アミドポリカーボネートポリオールが、アジピン酸、1,2-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、およびポリ(1,4-ブタンジオール-ポリカーボネート)、およびエチレンジアミンの反応生成物を含む、上記[1]~[4]のいずれか一項に記載の2成分溶媒ベースの接着剤組成物。
[6] 前記リン酸末端ポリオールが、段落[0070]に記載の上記構造(C)を有し、式中、R がエーテル基および置換エーテル基からなる群から選択される、上記[2]~[5]のいずれか一項に記載の2成分溶媒ベースの接着剤組成物。
[7] 前記ポリオール成分が、前記ポリオール成分の総重量に基づいて、0.5重量%~35重量%のリン酸末端ポリオールを含む、上記[2]~[6]のいずれか一項に記載の2成分溶媒ベースの接着剤組成物。
[8] 前記イソシアネート成分が、芳香族イソシアネートプレポリマーである、上記[1]~[7]のいずれか一項に記載の2成分溶媒ベースの接着剤組成物。
[9] ラミネートであって、第1の基材と、第2の基材と、前記第1の基材と前記第2の基材との間の接着剤層であって、上記[1]~[8]のいずれか一項に記載の2成分溶媒ベースの接着剤組成物から形成された接着剤層と、を含むラミネート。
[10] 前記第1の基材が、金属箔フィルムであり、前記第2の基材が、低密度ポリエチレンフィルムであり、前記ラミネートが、8.73N/2.54cm~20.0N/2.54cmのボイルインバッグ試験後の結合強度を有する、上記[9]に記載のラミネート。
[11] 前記第1の基材が、ポリエチレンテレフタレートフィルムであり、前記第2の基材が、ポリプロピレンフィルムであり、前記ラミネートが、10.0N/2.54cm~20.0N/2.54cmの1日後の結合強度を有する、上記[9]に記載のラミネート。
[12] 2成分溶媒ベースの接着剤組成物を形成する方法であって、
(A)ポリエステル-アミドポリカーボネートポリオールを含むポリオール成分を提供すること;
(B)イソシアネート成分を提供することと、
(C)溶媒を提供することと、
(D)前記溶媒の存在下で、前記ポリオール成分と前記イソシアネート成分とを反応させて、前記2成分溶媒ベースの接着剤組成物を形成することと、を含む方法。
[13] (i)前記ポリエステル-アミドポリカーボネートポリオールと
(ii)リン酸末端ポリオールと、を含むポリオール成分を提供することを含む、上記[12]に記載の方法。