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  • 特許-層間剥離抵抗性固体電解キャパシタ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】層間剥離抵抗性固体電解キャパシタ
(51)【国際特許分類】
   H01G 9/012 20060101AFI20240416BHJP
   H01G 9/00 20060101ALI20240416BHJP
   H01G 9/028 20060101ALI20240416BHJP
   H01G 9/10 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
H01G9/012 303
H01G9/00 290D
H01G9/028 G
H01G9/10 C
【請求項の数】 26
(21)【出願番号】P 2021567808
(86)(22)【出願日】2020-05-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-13
(86)【国際出願番号】 US2020033086
(87)【国際公開番号】W WO2020236566
(87)【国際公開日】2020-11-26
【審査請求日】2022-11-04
(31)【優先権主張番号】62/849,385
(32)【優先日】2019-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500047848
【氏名又は名称】キョーセラ・エイブイエックス・コンポーネンツ・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100168066
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 雄太
(72)【発明者】
【氏名】手塚 泰行
【審査官】鈴木 駿平
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-227485(JP,A)
【文献】国際公開第2019/010157(WO,A1)
【文献】特開2009-266931(JP,A)
【文献】特開2006-295075(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 9/00-9/18
H01G 9/21-9/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
焼結多孔質陽極体、前記陽極体の上に配されている誘電体、及び前記誘電体の上に配されている固体電解質を含むキャパシタ素子;
前記キャパシタ素子から縦方向に伸長し、前記縦方向に沿って離隔している複数の別個の凹み領域を有する外表面を規定する陽極リードワイヤ;
前記陽極リードワイヤの外表面の少なくとも一部の上に配置されている疎水性被覆;及び
前記陽極リードワイヤと電気的に接続されている陽極終端、及び前記固体電解質と電気的に接続されている陰極終端;
を含む固形電解キャパシタであって、
前記凹み領域が、前記ワイヤの縦方向に対して40°~120°の角度に延在しており、
前記固体電解質が導電性ポリマーを含む、固形電解キャパシタ
【請求項2】
前記リードワイヤがタンタルから形成されている、請求項1記載の固体電解キャパシタ。
【請求項3】
前記リードワイヤが、前記キャパシタ素子の前表面から伸長している、請求項1記載の固体電解キャパシタ。
【請求項4】
前記ワイヤが3~50の凹み領域を含む、請求項1に記載の固体電解キャパシタ。
【請求項5】
前記凹み領域が、前記リードワイヤの周囲の周りに延在して一連のバンドを形成している、請求項1に記載の固体電解キャパシタ。
【請求項6】
前記凹み領域が、前記ワイヤの縦方向に対してほぼ垂直な方向に延在している、請求項1に記載の固体電解キャパシタ。
【請求項7】
前記疎水性被覆がまた、前記陽極終端の少なくとも一部とも接触している、請求項1に記載の固体電解キャパシタ。
【請求項8】
前記被覆が疎水性樹脂材料を含む、請求項1に記載の固体電解キャパシタ。
【請求項9】
前記疎水性樹脂材料がフルオロポリマーを含む、請求項に記載の固体電解キャパシタ。
【請求項10】
前記フルオロポリマーがフルオロアルキル置換エチレン性不飽和モノマーから形成される、請求項に記載の固体電解キャパシタ。
【請求項11】
前記フルオロポリマーがフルオロアルキル(メタ)アクリレートから形成される、請求項10に記載の固体電解キャパシタ。
【請求項12】
前記キャパシタ素子及び陽極リードワイヤを封入するケーシング材料を更に含む、請求項1に記載の固体電解キャパシタ。
【請求項13】
前記陽極体がタンタルを含む、請求項1に記載の固体電解キャパシタ。
【請求項14】
前記導電性ポリマーが、次式:
【化1】
(式中、
は、直鎖状又は分岐のC~C18アルキル基、C~C12シクロアルキル基、C~C14アリール基、C~C18アラルキル基、又はそれらの組み合わせであり;
qは、0~8の整数である)
の繰り返し単位を有する、請求項に記載の固体電解キャパシタ。
【請求項15】
前記導電性ポリマーが、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)又はその誘導体である、請求項14に記載の固体電解キャパシタ。
【請求項16】
前記固体電解質がポリマー対イオンも含む、請求項14に記載の固体電解キャパシタ。
【請求項17】
前記固体電解質の上に配されており、予め重合された導電性ポリマー粒子及び架橋剤を含む外部ポリマー被覆を更に含む、請求項1に記載の固体電解キャパシタ。
【請求項18】
前記凹み領域が0.1~100マイクロメートルの深さを有する、請求項1に記載の固体電解キャパシタ。
【請求項19】
前記凹み領域が0.01~300マイクロメートルの範囲の距離だけ離隔している、請求項1に記載の固体電解キャパシタ。
【請求項20】
前記凹み領域が1~160マイクロメートルの幅を有する、請求項1に記載の固体電解キャパシタ。
【請求項21】
前記キャパシタが、23℃の温度において初期ESR、及び85%の相対湿度及び85℃の温度に1,000時間かけた後に高湿度ESRを示し、前記初期ESRに対する前記高湿度ESRの比は2.0以下である、請求項1に記載の固体電解キャパシタ。
【請求項22】
前記初期ESRに対する前記高湿度ESRの比が1.5以下である、請求項21に記載の固体電解キャパシタ。
【請求項23】
請求項1に記載の固体電解キャパシタの形成方法であって、
前記陽極リードワイヤを粗化して複数の凹み領域を形成すること;
前記陽極リードワイヤ上に被覆配合物を前記凹み領域に接触させて配置すること;
を含む上記方法。
【請求項24】
前記被覆配合物が疎水性樹脂材料及び溶媒を含み、前記溶媒を前記リードワイヤと接触した後に前記被覆配合物から除去して前記疎水性被覆を形成する、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記溶媒がフッ素化炭化水素溶媒を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記粗化が、前記リードワイヤをレーザーと接触させることを含む、請求項23に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年5月17日の出願日を有する米国仮特許出願第62/849,385号(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)の出願の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
電解キャパシタ(例えばタンタルキャパシタ)は、それらの体積効率、信頼性、及びプロセス適合性のために、回路の設計においてますます使用されるようになっている。例えば、開発されたキャパシタの1つのタイプは、タンタル陽極、誘電体層、及び導電性ポリマー固体電解質を含む固体電解キャパシタである。キャパシタを外部環境から保護し、それに良好な機械的安定性を与えることを助けるために、キャパシタ素子はまた、陽極終端(termination)及び陰極終端の一部が表面に実装するために露出した状態で維持されるように、ケーシング材料(例えばエポキシ樹脂)で封入されている。残念なことに、キャパシタの製造(例えばリフロー)中にしばしば使用される高い温度によって残留湿分が水蒸気として気化する可能性があり、それが相当な力でケースから排出され、これによりケーシング材料内に微小クラックが形成される可能性がある。これらの微小クラックは、特にキャパシタが高温に曝露されると、キャパシタ素子からのケーシング材料の層間剥離、及び電気特性の急速な劣化も引き起こす可能性がある。したがって、特に高温においてケーシング材料の層間剥離に対して概して抵抗性である改良された固体電解キャパシタに対する必要性が存在する。
【発明の概要】
【0003】
本発明の一実施形態によれば、焼結多孔質陽極体、陽極体の上に配されている誘電体、及び誘電体の上に配されている固体電解質を含むキャパシタ素子を含む固体電解キャパシタが開示される。陽極リードワイヤはキャパシタ素子から縦方向に伸長し、リードワイヤは縦方向に沿って離隔された複数の別個の凹み領域を有する外表面を画定する。疎水性被覆が、陽極リードワイヤの外表面の少なくとも一部の上に配置される。更に、陽極終端が陽極リードワイヤと電気的に接続され、陰極終端が固体電解質と電気的に接続される。
【0004】
本発明の他の特徴及び実施形態を下記においてより詳細に示す。
当業者に向けられた本発明のベストモードを含む本発明の完全かつ実施可能な開示を、添付の図面を参照する本明細書の残りにおいてより詳しく示す。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】本発明にしたがって形成することができる固体電解キャパシタの一実施形態の概略図である。
図2】本発明の一実施形態において使用することができる陽極リードの平面図の概略図である。
図3図2に示される陽極リードの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本明細書及び図面中における参照記号の繰り返しの使用は、本発明の同じか又は類似する特徴又は構成要素を表すことを意図している。
本議論は代表的な実施形態のみの説明であり、本発明のより広い形態を限定することは意図しておらず、より広い形態は代表的な構成において具現化されることが当業者によって理解される。
【0007】
一般に、本発明は、多孔質陽極体、陽極体の上に配されている誘電体、及び誘電体の上に配されている固体電解質を含むキャパシタ素子を含む固体電解キャパシタに関する。陽極リードワイヤはキャパシタ素子から縦方向に伸長し、疎水性被覆と接触する外表面を画定する。中でも、疎水性被覆は、水蒸気の存在からワイヤを保護するのを助けることができ、また、ワイヤを他の構成要素(例えばケーシング材料)に付着させて層間剥離を抑制するのを助けることができる。
【0008】
例えば図1を参照すると、キャパシタ素子33の1つの特定の実施形態がより詳細に示されている。示されているように、陽極リードワイヤ16は、概してキャパシタ素子33の表面から縦方向(L方向)に伸長する。図1において、例えば、ワイヤ16は、キャパシタ素子33の前面36から伸長する。勿論、ワイヤ16は、キャパシタ素子33の任意の他の表面から、例えば上面37、下面39、後面38、第1の側面35、及び対向する側面(図示せず)から伸長してもよい。ワイヤ16は、円形、正方形、長方形、卵形、三角形等、及び不規則形状のような任意の所望の幾何断面形状を有していてよい。ワイヤ16はまた、通常は、バルブメタル(例えば酸化可能な金属)又はバルブメタルベースの化合物、例えばタンタル、ニオブ、アルミニウム、ハフニウム、チタン、それらの合金、それらの酸化物、それらの窒化物などから形成される。タンタルが特に好適である。ワイヤ16をキャパシタ素子33に取り付けるために種々の技術を使用することができる。例えば、ワイヤ16の一端をバルブメタル粉末内に埋封することができ、その後、ワイヤの周囲で圧縮及び焼結して陽極体を形成する。或いは、ワイヤ16は、溶接、接着剤などの技術を用いて陽極体に単に取り付けることができる。ワイヤ16は、図1に示されるような単一の部材から形成することができ、又は複数の部材によって形成することができることを理解すべきである。単に例として、第1のワイヤ部分を示されるように陽極体内に埋封することができ、第2のワイヤ部分を第1のワイヤ部分にそこから伸長するように取り付けることができる。かかる実施形態においては、第2のワイヤ部分をキャパシタの製造に使用するためのキャリアワイヤとして効果的に作用させることができる。
【0009】
使用する特定の構成にかかわらず、本発明者らは、リードワイヤの特定の性質を選択的に制御することによって、改善された電気特性を有するキャパシタを達成できることを見出した。より特には、リードワイヤの外表面は、リードワイヤの縦方向に沿って離隔されている複数の別個の凹み領域を含むように粗化される。中でも、かかる凹み領域を存在させることによって疎水性被覆への接着の程度を高めることができ、それによって改善された電気的性能(例えば低減された等価直列抵抗)がもたらされる。凹み領域の深さは、使用される領域の数、ワイヤの太さ、及び表面積を増加させたい程度に部分的に依存し得る。しかし、ほとんどの実施形態においては、凹み領域は、0.01~約300マイクロメートル、幾つかの実施形態においては約0.05~約200マイクロメートル、幾つかの実施形態においては約0.1~約100マイクロメートル、幾つかの実施形態においては約0.2~約25マイクロメートル、幾つかの実施形態においては約0.5~約10マイクロメートルの深さを有する。また、領域の数も表面粗さの所望の増加に応じて変化し得る。特定の実施形態においては、凹み領域の数は、2以上、幾つかの実施形態においては3~50、及び幾つかの実施形態においては4~25であってよい。勿論、それぞれの凹み領域の性質(例えば、寸法、形状、深さ、間隔など)は、同じであっても異なっていてもよいことを理解すべきである。
【0010】
例えば図2~3を参照すると、6つの別個の凹み領域21が、リードワイヤ16の外表面23内に形成されている。領域21は、同じであっても異なっていてもよく、リードワイヤ16の任意の部分にまたがっていてもよい。例えば示されている実施形態においては、領域21はリードワイヤ16の周囲(例えば円周)の周りに延在して、その上に一連のバンドを形成する。勿論、他の実施形態においては、凹み領域をワイヤの一部にのみ形成して、その結果、それらが全周囲の周りに延在しないようにしてもよい。例えば、凹み領域はワイヤの上部にのみ形成されてもよい。凹み領域21は、リードワイヤ16の縦方向「L」に沿って概ね離隔している。領域21は、ワイヤ16の全長に沿って、又はその部分に沿って延在してもよい。表面積の増加を最適にするために、凹み領域21は、ワイヤの縦方向「L」に対して、約40°~約120°、幾つかの実施形態においては約60°~約110°、幾つかの実施形態においては約70°~約100°などの角度で形成されていてよい。例えば1つの特定の実施形態においては、領域21はワイヤの縦方向「L」に対して概ね垂直(例えば約90°)である方向「T」に延在していてよい。
【0011】
凹み領域21の相対的な形状、寸法、配向、及び間隔は、キャパシタの所望の特性に応じて変化し得る。例えば、隣り合う凹み領域21は、約0.01~約300マイクロメートル、幾つかの実施形態においては約0.05~約200マイクロメートル、幾つかの実施形態においては約0.1~約180マイクロメートル、幾つかの実施形態においては約0.5~約120マイクロメートルの範囲の間隔(d)で離隔されていてよい。凹み領域21は、外表面23を横切って均一に又は不均一に配置することができる。凹部領域21の幅「d」もまた、約0.01~約300マイクロメートル、幾つかの実施形態においては約0.05~約200マイクロメートル、幾つかの実施形態においては約0.1~約180マイクロメートル、幾つかの実施形態においては約1~約160マイクロメートル、幾つかの実施形態においては約40~約150マイクロメートルのように変化し得る。
【0012】
陽極リードワイヤ上に凹み領域を形成するために、種々の粗化技術を採用することができる。かかる技術の例としては、化学エッチング、機械的エッチング、レーザーエッチングなどを挙げることができる。例えば一実施形態においては、凹み領域を形成することを所望の位置においてワイヤをレーザービームと接触して配置するレーザーワイヤエッチング技術を採用することができる。一実施形態においては、レーザーは、レーザー媒体がネオジム(Nd)でドープされたイットリウムアルミニウムガーネット(YAG)を含み、励起粒子がネオジムイオンNd3+であるものである。かかるレーザーは、通常は赤外スペクトルの約1064ナノメートルの波長の光を放射する。レーザーは、所望の用途に好適な任意の直径を有し得る。幾つかの実施形態においては、収束領域内のレーザービームは、約0.05mm~約0.5mm、幾つかの実施形態においては約0.05mm~約0.3mm、幾つかの実施形態においては約0.1mm~約0.15mmの直径を有する。レーザーはまた、当該技術において周知なように、主にレーザービームを焦点に集光及び収束させる光学ヘッド(例えばレンズ)も含んでいてよい。レーザーはまた、ビームスプリッタも含んでいてよい。採用される技術にかかわらず、ワイヤの粗化は、疎水性被覆をキャパシタ上に堆積させる前のキャパシタの製造中の任意の時点で行うことができる。例えば、ワイヤを、陽極体と接触するように配置する前に粗化することができる。或いは、ワイヤを陽極体に接続させた後に粗化することができる。かかる実施形態においては、ワイヤは、固体電解質(例えば導電性ポリマー)を形成するために使用される任意の導電性材料の全部ではないにしても少なくとも一部を除去する洗浄プロセスを受ける前及び/又は後に粗化することができる。これは露出したワイヤの全長に沿って行うことができ、又はキャパシタ素子の表面に直接近接する部分に沿ってのみ行うことができる。
【0013】
陽極リードワイヤ及び疎水性被覆を選択的に制御することによって、得られるキャパシタは、製造中の層間剥離に対して耐性であることができ、したがって優れた電気特性を示すことができる。例えば、キャパシタは、100kHzの動作周波数及び23℃の温度で測定して、約200ミリオーム、幾つかの実施形態においては約150ミリオーム未満、幾つかの実施形態においては約0.1~約125ミリオーム、幾つかの実施形態においては約1~約100ミリオームのような比較的低い等価直列抵抗(ESR)を示すことができる。キャパシタはまた、120Hzの周波数において23℃の温度で測定して、1平方センチメートルあたり約30ナノファラド(nF/cm)以上、幾つかの実施形態においては約100nF/cm以上、幾つかの実施形態においては約200~約3,000nF/cm、幾つかの実施形態においては約400~約2,000nF/cmの乾燥キャパシタンスも示すことができる。
【0014】
特に、かかる電気的特性(例えば、ESR及び/又はキャパシタンス)は、高い温度においてもなお安定状態に維持することができる。例えば、本キャパシタは、約80℃以上、幾つかの実施形態においては約100℃~約150℃、幾つかの実施形態においては約105℃~約130℃(例えば105℃又は125℃)の温度に約100時間以上、幾つかの実施形態においては約150時間~約3000時間、幾つかの実施形態においては約200時間~約2500時間(例えば240時間)のような相当な時間曝露した後においても、上述の範囲内のESR及び/又はキャパシタンス値を示すことができる。例えば一実施形態においては、(例えば23℃における)キャパシタの初期ESR及び/又はキャパシタンス値に対する、高い温度(例えば125℃)に240時間曝露した後のキャパシタのESR及び/又はキャパシタンス値の比は、約2.0以下、幾つかの実施形態においては約1.5以下、幾つかの実施形態においては1.0~約1.3である。本キャパシタはまた、室温又は高温(例えば85℃又は125℃)のいずれかにおいて高い相対湿度レベルに曝露した後に、上述の範囲内のESR及び/又はキャパシタンス値を示すこともできる。かかる高い相対湿度レベルは、例えば、上述の相当な時間の間、約40%以上、幾つかの実施形態においては約45%以上、幾つかの実施形態においては約50%以上、幾つかの実施形態においては約70%以上(例えば約85%~100%)であってよい。相対湿度は、例えば、ASTM-E337-02,方法A(2007)にしたがって求めることができる。例えば一実施形態においては、キャパシタの初期ESR及び/又はキャパシタンス値に対する、高い湿度(例えば85%)に1,000時間曝露した後のキャパシタのESR及び/又はキャパシタンス値の比は、約2.0以下、幾つかの実施形態においては約1.5以下、幾つかの実施形態においては1.0~約1.3である。
【0015】
更に、本キャパシタはまた、僅か約50マイクロアンペア(μA)以下、幾つかの実施形態においては約40μA以下、幾つかの実施形態においては約20μA以下、幾つかの実施形態においては約0.1~約10μAのDCLを示すこともできる。更に、本キャパシタは、その湿潤キャパシタンスの高いパーセントを示すこともでき、これにより大気湿度の存在下において小さなキャパシタンスの損失及び/又は変動しか有しないことが可能になる。この性能特性は、式:
回復率=(乾燥キャパシタンス/湿潤キャパシタンス)×100
によって求められる「キャパシタンス回復率」によって定量化される。
【0016】
本キャパシタは、約50%以上、幾つかの実施形態においては約60%以上、幾つかの実施形態においては約70%以上、幾つかの実施形態においては約80%~100%のキャパシタンス回復率を示すことができる。
【0017】
ここで、キャパシタの種々の実施形態をより詳細に記載する。
I.キャパシタ素子:
A.陽極体:
キャパシタ素子は、焼結多孔質体上に形成された誘電体を含む陽極を含む。多孔質陽極体は、バルブメタル(すなわち酸化することができる金属)又はバルブメタル系化合物、例えば、タンタル、ニオブ、アルミニウム、ハフニウム、チタン、それらの合金、それらの酸化物、それらの窒化物などを含む粉末から形成することができる。粉末は、通常は、タンタル塩(例えば、フルオロタンタル酸カリウム(KTaF)、フルオロタンタル酸ナトリウム(NaTaF)、五塩化タンタル(TaCl)等)を還元剤と反応させる還元プロセスから形成される。還元剤は、液体、気体(例えば水素)、又は固体、例えば金属(例えばナトリウム)、金属合金、又は金属塩の形態で提供することができる。例えば一実施形態においては、タンタル塩(例えばTaCl)を約900℃~約2,000℃、幾つかの実施形態においては約1,000℃~約1,800℃、幾つかの実施形態においては約1,100℃~約1,600℃の温度で加熱して蒸気を形成することができ、それを気体還元剤(例えば水素)の存在下で還元することができる。かかる還元反応の更なる詳細は、MaeshimaらのWO-2014/199480に記載されている。還元後、生成物を冷却、粉砕、及び洗浄して粉末を形成することができる。
【0018】
粉末の比電荷は、通常は、所望の用途に応じて約2,000~約600,000マイクロファラド・ボルト/グラム(μF・V/g)で変動する。例えば、幾つかの実施形態においては、約100,000~約550,000μF・V/g、幾つかの実施形態においては約120,000~約500,000μF・V/g、幾つかの実施形態においては約150,000~約400,000μF・V/gの比電荷を有する高電荷粉末を使用することができる。他の実施形態においては、約2,000~約100,000μF・V/g、幾つかの実施形態においては約5,000~約80,000μF・V/g、幾つかの実施形態においては約10,000~約70,000μF・V/gの比電荷を有する低電荷粉末を使用することができる。当該技術において公知なように、比電荷は、キャパシタンスに使用した陽極酸化電圧をかけ、次にこの積を陽極酸化電極体の重量で割ることによって求めることができる。
【0019】
粉末は、一次粒子を含む自由流動性の微細粉末であってよい。粉末の一次粒子は、一般的に、場合によっては粒子を70秒間の超音波振動にかけた後に、例えばBECKMAN COULTER Corporation製のレーザー粒径分布分析装置(例えばLS-230)を使用して求めて、約5~約500ナノメートル、幾つかの実施形態においては約10~約400ナノメートル、幾つかの実施形態においては約20~約250ナノメートルのメジアン径(D50)を有する。一次粒子は、通常は三次元の粒子形状(例えば球状又は角状)を有する。かかる粒子は、通常は比較的低い「アスペクト比」、すなわち粒子の平均直径又は幅を平均厚さで割った値(D/T)を有する。例えば、粒子のアスペクト比は、約4以下、幾つかの実施形態においては約3以下、幾つかの実施形態においては約1~約2であってよい。一次粒子に加えて、粉末は、一次粒子の凝集(又は凝塊化)によって形成される二次粒子のような他のタイプの粒子を含んでいてもよい。かかる二次粒子は、約1~約500マイクロメートル、幾つかの実施形態においては約10~約250マイクロメートルのメジアン径(D50)を有していてよい。
【0020】
粒子の凝集は、粒子を加熱することによるか、及び/又はバインダを使用することによって行うことができる。例えば、凝集は、約0℃~約40℃、幾つかの実施形態においては約5℃~約35℃、幾つかの実施形態においては約15℃~約30℃の温度で行うことができる。また好適なバインダとしては、例えば、ポリ(ビニルブチラール);ポリ(酢酸ビニル);ポリ(ビニルアルコール);ポリ(ビニルピロリドン);セルロースポリマー、例えばカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、及びメチルヒドロキシエチルセルロース;アタクチックポリプロピレン、ポリエチレン;ポリエチレングリコール(例えば、Dow Chemical Co.製のCarbowax);ポリスチレン、ポリ(ブタジエン/スチレン);ポリアミド、ポリイミド、及びポリアクリルアミド、高分子量ポリエーテル;エチレンオキシドとプロピレンオキシドのコポリマー;フルオロポリマー、例えばポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオリド、及びフルオロオレフィンコポリマー;アクリルポリマー、例えばナトリウムポリアクリレート、ポリ(低級アルキルアクリレート)、ポリ(低級アルキルメタクリレート)、及び低級アルキルアクリレートとメタクリレートのコポリマー;並びに脂肪酸及びワックス、例えばステアリン酸及び他の石鹸脂肪酸、植物性ワックス、マイクロワックス(精製パラフィン)等を挙げることができる。
【0021】
得られる粉末は、任意の従来の粉末プレス装置を使用して圧縮してペレットを形成することができる。例えば、ダイと1つ又は複数のパンチを含むシングルステーション式圧縮プレス機であるプレス成形機を使用することができる。或いは、ダイと単一の下方パンチのみを使用するアンビルタイプの圧縮プレス成形機を使用することができる。シングルステーション式圧縮プレス成形機は、シングルアクション、ダブルアクション、浮動ダイ、可動式プラテン、対向ラム、スクリュー、インパクト、ホットプレス、圧印加工、又はサイジングのような種々の能力を有するカムプレス、トグル/ナックルプレス、及び偏心/クランクプレスのような幾つかの基本的タイプで入手可能である。粉末は、ワイヤ、シート等の形態であってよい陽極リードの周囲に圧縮することができる。リードは、陽極体から縦方向に伸長させることができ、タンタル、ニオブ、アルミニウム、ハフニウム、チタン等、並びにそれらの導電性酸化物及び/又は窒化物のような任意の導電性材料から形成することができる。リードの接続はまた、他の公知の技術を使用して、例えば、リードを陽極体に溶接するか、或いは形成中(例えば圧縮及び/又は焼結の前)に陽極体内部にそれを埋め込むことによって達成することもできる。
【0022】
バインダは、プレス後にペレットを真空下で一定の温度(例えば約150℃~約500℃)において数分間加熱することによって除去することができる。或いは、バインダは、ペレットを、Bishopらの米国特許6,197,252に記載されているような水溶液と接触させることによって除去することもできる。その後、ペレットを焼結して多孔質の一体部材を形成する。ペレットは、通常は約700℃~約1800℃、幾つかの実施形態においては約800℃~約1700℃、幾つかの実施形態においては約900℃~約1400℃の温度で、約5分~約100分、幾つかの実施形態においては約8分~約15分焼結する。これは1以上の工程で行うことができる。所望の場合には、焼結は、酸素原子の陽極への移動を制限する雰囲気中で行うことができる。例えば、焼結は、真空下、不活性ガス下、水素下などの還元雰囲気中で行うことができる。還元雰囲気は、約10Torr~約2000Torr、幾つかの実施形態においては約100Torr~約1000Torr、幾つかの実施形態においては約100Torr~約930Torrの圧力であってよい。水素と他の気体(例えばアルゴン又は窒素)の混合物を使用することもできる。
【0023】
B.誘電体:
陽極はまた誘電体によって被覆される。誘電体は、焼結した陽極を陽極酸化して、誘電体層が陽極の上及び/又はその中に形成されるようにすることによって形成することができる。例えば、タンタル(Ta)陽極を陽極酸化して五酸化タンタル(Ta)にすることができる。通常は、陽極酸化は、まず、陽極を電解液中に浸漬することなどによって溶液を陽極に施すことによって行われる。水(例えば脱イオン水)のような溶媒が一般的に使用される。イオン伝導度を増大させるために、溶媒中で解離してイオンを形成することができる化合物を使用することができる。かかる化合物の例としては、例えば、電解質に関して下記に記載するような酸が挙げられる。例えば、酸(例えばリン酸)が、陽極酸化溶液の約0.01重量%~約5重量%、幾つかの実施形態においては約0.05重量%~約0.8重量%、幾つかの実施形態においては約0.1重量%~約0.5重量%を構成することができる。所望の場合には、複数の酸のブレンドを使用することもできる。
【0024】
電流を陽極酸化溶液に流して、誘電体層を形成する。化成電圧の値によって誘電体層の厚さが制御される。例えば、電源は、まず、必要な電圧に到達するまで定電流モードに設定することができる。その後、電源を定電位モードに切り替え、所望の誘電体厚さが陽極の表面全体の上に確実に形成されるようにすることができる。勿論、パルス又はステップ定電位法などの他の公知の方法も使用することができる。陽極酸化を行う電圧は、通常は、約4~約250V、幾つかの実施形態においては約5~約200V、幾つかの実施形態においては約10~約150Vの範囲である。酸化中は、陽極酸化溶液は昇温温度、例えば約30℃以上、幾つかの実施形態においては約40℃~約200℃、幾つかの実施形態においては約50℃~約100℃に維持することができる。陽極酸化は周囲温度以下で実施することもできる。得られる誘電体層は陽極の表面上及びその細孔内に形成することができる。
【0025】
必須ではないが、幾つかの実施形態においては、誘電体層は、陽極の外表面上に配される第1の部分と陽極の内表面上に配される第2の部分を有するという点において、陽極全体にわたって区別された厚さを有することができる。かかる実施形態においては、第1の部分は、その厚さが第2の部分の厚さよりも大きくなるように選択的に形成される。しかしながら、誘電体層の厚さは特定の領域内で均一である必要はないことを理解すべきである。外表面に隣接する誘電体層の幾つかの部分は、例えば、実際には内表面における層の幾つかの部分より薄い場合があり、その逆の場合もある。それでもなお、誘電体層は、外表面における層の少なくとも一部が内表面における少なくとも一部よりも大きな厚さを有するように形成することができる。これらの厚さにおける実際の差は特定の用途に応じて変化させることができるが、第2の部分の厚さに対する第1の部分の厚さの比は、通常は約1.2~約40、幾つかの実施形態においては約1.5~約25、幾つかの実施形態においては約2~約20である。
【0026】
区別された厚さを有する誘電体層を形成するためには多段階法が一般的に使用される。このプロセスの各段階において、焼結した陽極を陽極酸化して誘電体層(例えば五酸化タンタル)を形成する。陽極酸化の第1段階中においては、通常は比較的小さい化成電圧、例えば、約1~約90ボルト、幾つかの実施形態においては約2~約50ボルト、幾つかの実施形態においては約5~約20ボルトの範囲の化成電圧を使用して、内部領域に関して所望の誘電体厚さが達成されるのを確実にする。その後、焼結体を次にプロセスの第2段階で陽極酸化して、誘電体の厚さを所望レベルに増加させることができる。これは、一般的には、電解液中において、第1段階中において使用された電圧より高い電圧、例えば約50~約350ボルト、幾つかの実施形態においては約60~約300ボルト、幾つかの実施形態においては約70~約200ボルトの範囲の化成電圧で陽極酸化することにより達成される。第1及び/又は第2段階中においては、電解液は、約15℃~約95℃、幾つかの実施形態においては約20℃~約90℃、幾つかの実施形態においては約25℃~約85℃の範囲内の温度に維持することができる。
【0027】
陽極酸化プロセスの第1及び第2段階中において使用される電解液は同じでも又は異なっていてもよい。しかしながら、通常は、誘電体層の外側部分においてより大きな厚さを得ることをより良好に促進することを助けるために、異なる溶液を使用することが望ましい。例えば、相当量の酸化物皮膜が陽極の内表面上に形成されないようにするためには、第2段階において使用される電解液は、第1段階において使用される電解液よりも低いイオン伝導度を有することが望ましい可能性がある。この点に関し、第1段階中に使用される電解液には、硝酸、硫酸、リン酸、ポリリン酸、ホウ酸、ボロン酸等のような酸性化合物を含ませることができる。かかる電解液は、25℃の温度で求めて、約0.1~約100mS/cm、幾つかの実施形態においては約0.2~約20mS/cm、幾つかの実施形態においては約1~約10mS/cmの導電率を有することができる。第2段階中に使用される電解液は、通常は弱酸の塩を含ませて、ヒドロニウムイオン濃度が、細孔内での電荷通過の結果として細孔内で増大するようにする。イオン輸送又はイオン拡散は、電荷のバランスを取るために必要に応じて、弱酸のアニオンが細孔中に移動するように起こる。その結果、主要導電種(ヒドロニウムイオン)の濃度は、ヒドロニウムイオン、酸アニオン、及び非解離酸の間の平衡が形成される際に減少して、導電不良種が形成される。導電種の濃度の低下は、電解液中での比較的高い電圧降下をもたらし、これにより内部の更なる陽極酸化が妨害され、一方で連続した高導電率の領域における高い化成電圧に対してはより厚い酸化物層が外側に蓄積する。好適な弱酸塩としては、例えば、ホウ酸、ボロン酸、酢酸、シュウ酸、乳酸、アジピン酸などのアンモニウム塩又はアルカリ金属塩(例えばナトリウム、カリウムなど)を挙げることができる。特に好適な塩としては、四ホウ酸ナトリウム及び五ホウ酸アンモニウムが挙げられる。かかる電解液は、通常は、25℃の温度で求めて約0.1~約20mS/cm、幾つかの実施形態においては約0.5~約10mS/cm、幾つかの実施形態においては約1~約5mS/cmの導電率を有する。
【0028】
所望の場合には、所望の誘電体厚さを達成するために、陽極酸化の各段階を1回又は複数回繰り返すことができる。更に、陽極は、第1及び/又は第2段階の後に、電解液を除去するために他の溶媒(例えば水)ですすぐか又は洗浄することもできる。
【0029】
C.固体電解質:
固体電解質は誘電体の上に配され、一般にキャパシタのための陰極として機能する。固体電解質としては、導電性ポリマー(例えば、ポリピロール類、ポリチオフェン類、ポリアニリン類等)、二酸化マンガンなどのような当該技術において公知の材料を挙げることができる。一実施形態においては、例えば、固体電解質は外因性導電性(extrinsically conductive)及び/又は固有導電性(intrinsically conductive)のポリマー粒子を含む1以上の層を含む。かかる粒子を使用する1つの利益は、これらによって、従来のin-situ重合プロセス中に生成する、イオン移動のために高電界下で絶縁破壊を引き起こす可能性があるイオン種(例えばFe2+又はFe3+)の存在を最小にすることができることである。而して、導電性ポリマーをin-situ重合によるのではなく予め重合された(pre-polymerized)粒子として施すことによって、得られるキャパシタは比較的高い「絶縁破壊電圧」を示すことができる。所望の場合には、固体電解質は1以上の層から形成することができる。複数の層を使用する場合には、1以上の層にin-situ重合によって形成された導電性ポリマーを含ませることができる。しかしながら、非常に高い絶縁破壊電圧を達成することが望ましい場合には、固体電解質を主として上記に記載の導電性粒子から形成し、一般にin-situ重合によって形成された導電性ポリマーは含めないようにすることが望ましい可能性がある。使用する層の数に関係なく、得られる固体電解質は、通常は、約1マイクロメートル(μm)~約200μm、幾つかの実施形態においては約2μm~約50μm、幾つかの実施形態においては約5μm~約30μmの全厚さを有する。
【0030】
固体電解質において使用するのにはチオフェンポリマーが特に好適である。例えば、幾つかの実施形態においては、次式(I):
【0031】
【化1】
【0032】
(式中、
は、直鎖状又は分岐の、C~C18アルキル基(例えば、メチル、エチル、n-若しくはイソプロピル、n-、イソ-、sec-、又はtert-ブチル、n-ペンチル、1-メチルブチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、1-エチルプロピル、1,1-ジメチルプロピル、1,2-ジメチルプロピル、2,2-ジメチルプロピル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、2-エチルヘキシル、n-ノニル、n-デシル、n-ウンデシル、n-ドデシル、n-トリデシル、n-テトラデシル、n-ヘキサデシル、n-オクタデシル等);C~C12シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル等);C~C14アリール基(例えば、フェニル、ナフチル等);C~C18アラルキル基(例えば、ベンジル、o-、m-、p-トリル、2,3-、2,4-、2,5-、2,6-、3,4-、3,5-キシリル、メシチル等)であり;
qは、0~8、幾つかの実施形態においては0~2、一実施形態においては0の整数である)
の繰り返し単位を有する「外因性」導電性チオフェンポリマーを、固体電解質において使用することができる。1つの特定の実施形態においては、「q」は0であり、ポリマーはポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)である。かかるポリマーを形成するのに好適なモノマーの1つの商業的に好適な例は、HeraeusからClevios(登録商標)Mの名称で入手できる3,4-エチレンジオキシチオフェンである。
【0033】
式(I)のポリマーは、一般に、ポリマーに共有結合していない別の対イオンの存在を通常は必要とする点で「外因性」導電性であるとみなされる。対イオンは、導電性ポリマーの電荷を中和するモノマー又はポリマーアニオンであってよい。ポリマーアニオンは、例えばポリマーカルボン酸(例えばポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリマレイン酸等);ポリマースルホン酸(例えばポリスチレンスルホン酸(PSS)、ポリビニルスルホン酸等);などのアニオンであってよい。酸はまた、ビニルカルボン酸及びビニルスルホン酸と、アクリル酸エステル及びスチレンのような他の重合性モノマーとのコポリマーのようなコポリマーであってもよい。更に、好適なモノマーアニオンとしては、例えば、C~C20アルカンスルホン酸(例えばドデカンスルホン酸);脂肪族ペルフルオロスルホン酸(例えばトリフルオロメタンスルホン酸、ペルフルオロブタンスルホン酸、又はペルフルオロオクタンスルホン酸);脂肪族C~C20カルボン酸(例えば2-エチルヘキシルカルボン酸);脂肪族ペルフルオロカルボン酸(例えばトリフルオロ酢酸又はペルフルオロオクタン酸);場合によってC~C20アルキル基によって置換されている芳香族スルホン酸(例えばベンゼンスルホン酸、o-トルエンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、又はドデシルベンゼンスルホン酸);シクロアルカンスルホン酸(例えばカンファースルホン酸、又はテトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ペルクロレート、ヘキサフルオロアンチモネート、ヘキサフルオロアルセネート、又はヘキサクロロアンチモネート);などのアニオンが挙げられる。特に好適な対アニオンは、ポリマーカルボン酸又はスルホン酸(例えばポリスチレンスルホン酸(PSS))のようなポリマーアニオンである。かかるポリマーアニオンの分子量は、通常は、約1,000~約2,000,000、幾つかの実施形態においては約2,000~約500,000の範囲である。
【0034】
また、ポリマーに共有結合しているアニオンによって少なくとも部分的に補償(compensate)されている主鎖上に配置されている正電荷を有する固有導電性ポリマーを使用することもできる。例えば、好適な固有導電性チオフェンポリマーの1つの例は、次式(II):
【0035】
【化2】
【0036】
(式中、
Rは(CH-O-(CH-L(式中、Lは結合又はHC([CHH)である)であり;
aは、0~10、幾つかの実施形態においては0~6、幾つかの実施形態においては1~4(例えば1)であり;
bは、1~18、幾つかの実施形態においては1~10、幾つかの実施形態においては2~6(例えば、2、3、4、又は5)であり;
cは、0~10、幾つかの実施形態においては0~6、幾つかの実施形態においては1~4(例えば1)であり;
Zは、SO 、C(O)O、BF 、CFSO 、SbF 、N(SOCF 、C 、ClO 等のようなアニオンであり;
Xは、水素、アルカリ金属(例えば、リチウム、ナトリウム、ルビジウム、セシウム、又はカリウム)、アンモニウム等のようなカチオンである)
の繰り返し単位を有していてよい。
【0037】
1つの特定の実施形態においては、式(II)におけるZはスルホネートイオンであって、固有導電性ポリマーは次式(III):
【0038】
【化3】
【0039】
(式中、R及びXは上記に規定した通りである)
の繰り返し単位を含む。式(II)又は(III)において、aは好ましくは1であり、bは好ましくは3又は4である。更に、Xは好ましくはナトリウム又はカリウムである。
【0040】
所望の場合には、ポリマーは他のタイプの繰り返し単位を含むコポリマーであってよい。かかる実施形態においては、式(II)の繰り返し単位は、通常はコポリマー中の繰り返し単位の全量の約50モル%以上、幾つかの実施形態においては約75モル%~約99モル%、幾つかの実施形態においては約85モル%~約95モル%を構成する。勿論、ポリマーは、100モル%の式(II)の繰り返し単位を含む点でホモポリマーであってもよい。かかるホモポリマーの具体例としては、ポリ(4-(2,3-ジヒドロチエノ-[3,4-b][1,4]ジオキシン-2-イルメトキシ)-1-ブタンスルホン酸,塩)、及びポリ(4-(2,3-ジヒドロチエノ-[3,4-b][1,4]ジオキシン-2-イルメトキシ)-1-プロパンスルホン酸,塩)が挙げられる。
【0041】
ポリマーの特定の性質に関係なく、得られる導電性ポリマー粒子は、通常は、約1~約80ナノメートル、幾つかの実施形態においては約2~約70ナノメートル、幾つかの実施形態においては約3~約60ナノメートルの平均径(例えば直径)を有する。粒子の直径は、超遠心分離、レーザー回折等のような公知の技術を使用して求めることができる。更に、粒子の形状を変化させることができる。例えば1つの特定の実施形態においては、粒子は球状の形状である。しかしながら、プレート、ロッド、ディスク、バー、チューブ、不規則形状等のような他の形状も本発明によって意図されることを理解すべきである。
【0042】
必ずしも必須ではないが、導電性ポリマー粒子は分散液の形態で施すことができる。分散液中の導電性ポリマーの濃度は、分散液の所望の粘度、及び分散液をキャパシタ素子に施す特定の方法に応じて変化させることができる。しかしながら、通常はポリマーは、分散液の約0.1~約10重量%、幾つかの実施形態においては約0.4~5重量%、幾つかの実施形態においては約0.5~約4重量%を構成する。分散液にはまた、得られる固体電解質の全体的な特性を向上させるための1以上の成分を含ませることもできる。例えば、分散液にバインダーを含ませて、ポリマー層の接着性を更に高め、また分散液内における粒子の安定性も増加させることができる。バインダーは、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチレート、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリル酸アミド、ポリメタクリル酸エステル、ポリメタクリル酸アミド、ポリアクリロニトリル、スチレン/アクリル酸エステル、酢酸ビニル/アクリル酸エステル及びエチレン/酢酸ビニルコポリマー、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリスチレン、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリアミド、ポリイミド、ポリスルホン、メラミンホルムアルデヒド樹脂、エポキシド樹脂、シリコーン樹脂又はセルロースのような有機的性質のものであってよい。バインダーの接着能力を増大させるために架橋剤を使用することもできる。かかる架橋剤としては、例えば、メラミン化合物、マスクドイソシアネート又は架橋性ポリマー、例えばポリウレタン、ポリアクリレート、又はポリオレフィンを挙げることができ、その後の架橋を含めることができる。また、層を陽極に施す能力を促進させるために、分散剤を使用することもできる。好適な分散剤としては、脂肪族アルコール(例えば、メタノール、エタノール、i-プロパノール、及びブタノール)、脂肪族ケトン(例えば、アセトン及びメチルエチルケトン)、脂肪族カルボン酸エステル(例えば、酢酸エチル及び酢酸ブチル)、芳香族炭化水素(例えば、トルエン及びキシレン)、脂肪族炭化水素(例えば、ヘキサン、ヘプタン、及びシクロヘキサン)、塩素化炭化水素(例えば、ジクロロメタン及びジクロロエタン)、脂肪族ニトリル(例えばアセトニトリル)、脂肪族スルホキシド及びスルホン(例えば、ジメチルスルホキシド及びスルホラン)、脂肪族カルボン酸アミド(例えば、メチルアセトアミド、ジメチルアセトアミド及びジメチルホルムアミド)、脂肪族及び芳香脂肪族エーテル(例えば、ジエチルエーテル及びアニソール)、水、及び任意の上記の溶媒の混合物のような溶媒が挙げられる。特に好適な分散剤は水である。
【0043】
上述したものに加えて、更に他の成分を分散液中で使用することもできる。例えば、約10ナノメートル~約100マイクロメートル、幾つかの実施形態においては約50ナノメートル~約50マイクロメートル、幾つかの実施形態においては約100ナノメートル~約30マイクロメートルの寸法を有する通常のフィラーを使用することができる。かかるフィラーの例としては、炭酸カルシウム、シリケート、シリカ、硫酸カルシウム又はバリウム、水酸化アルミニウム、ガラス繊維又はガラス球、木粉、セルロース粉末、カーボンブラック、導電性ポリマー等が挙げられる。フィラーは、粉末形態で分散液中に導入することができるが、繊維のような他の形態で存在させることもできる。
【0044】
イオン性又は非イオン性界面活性剤のような表面活性物質を分散液中で使用することもできる。更に、有機官能性シラン又はそれらの加水分解物、例えば、3-グリシドキシプロピルトリアルコキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン又はオクチルトリエトキシシランのような接着剤を使用することができる。分散液にはまた、エーテル基含有化合物(例えばテトラヒドロフラン)、ラクトン基含有化合物(例えば、γ-ブチロラクトン又はγ-バレロラクトン)、アミド又はラクタム基含有化合物(例えば、カプロラクタム、N-メチルカプロラクタム、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N-メチルホルムアミド、N-メチルホルムアニリド、N-メチルピロリドン(NMP)、N-オクチルピロリドン、又はピロリドン)、スルホン及びスルホキシド(例えば、スルホラン(テトラメチレンスルホン)又はジメチルスルホキシド(DMSO))、糖又は糖誘導体(例えば、サッカロース、グルコース、フルクトース、又はラクトース)、糖アルコール(例えば、ソルビトール又はマンニトール)、フラン誘導体(例えば、2-フランカルボン酸又は3-フランカルボン酸)、アルコール(例えば、エチレングリコール、グリセロール、ジ-又はトリエチレングリコール)のような、導電性を増加させる添加剤を含ませることもできる。
【0045】
分散液は、スピン被覆、含浸、流し込み、滴下適用、注入、噴霧、ドクターブレード塗布、ブラシ塗布、印刷(例えば、インクジェット、スクリーン、又はパッド印刷)、又は浸漬などによる種々の公知の技術を使用して施すことができる。分散液の粘度は、通常は、約0.1~約100,000mPas(100s-1の剪断速度で測定)、幾つかの実施形態においては約1~約10,000mPas、幾つかの実施形態においては約10~約1,500mPas、幾つかの実施形態においては約100~約1000mPasである。
【0046】
i.内側層:
固体電解質は、1以上の「内側」導電性ポリマー層から形成することができる。この文脈における「内側」という用語は、誘電体の上に直接か又は他の層(例えばプレコート層)を介して配されている1以上の層を指す。1つ又は複数の内側層を使用することができる。例えば、固体電解質は、通常は2~30、幾つかの実施形態においては4~20、幾つかの実施形態においては約5~15の内側層(例えば10の層)を含む。1つ又は複数の内側層には、例えば、上記に記載したような固有導電性及び/又は外因性導電性のポリマー粒子を含ませることができる。例えば、かかる粒子は、1つ又は複数の内側層の約50重量%以上、幾つかの実施形態においては約70重量%以上、幾つかの実施形態においては約90重量%以上(例えば約100重量%)を構成することができる。別の実施形態においては、1つ又は複数の内側層にin-situ重合された導電性ポリマーを含ませることができる。かかる実施形態においては、in-situ重合されたポリマーは、1つ又は複数の内側層の約50重量%以上、幾つかの実施形態においては約70重量%以上、幾つかの実施形態においては約90重量%以上(例えば約100重量%)を構成することができる。
【0047】
ii.外側層:
固体電解質にはまた、1つ又は複数の内側層の上に配されて、異なる材料から形成される1以上の随意的な「外側」導電性ポリマー層を含ませることもできる。例えば、1つ又は複数の外側層に外因性導電性ポリマー粒子を含ませることができる。1つの特定の実施形態においては、1つ又は複数の外側層は、外因性導電性ポリマー粒子がそれぞれの外側層の約50重量%以上、幾つかの実施形態においては約70重量%以上、幾つかの実施形態においては約90重量%以上(例えば100重量%)を構成するという点で、主としてかかる外因性導電性ポリマー粒子から形成される。1つ又は複数の外側層を使用することができる。例えば、固体電解質には、2~30、幾つかの実施形態においては4~20、幾つかの実施形態においては約5~15の外側層を含ませることができ、これらのそれぞれは、場合によっては外因性導電性ポリマー粒子の分散液から形成することができる。
【0048】
D.外部ポリマー被覆:
また、固体電解質の上に外部ポリマー被覆を配することもできる。外部ポリマー被覆には、上記に記載のような予め重合された導電性ポリマー粒子(例えば、外因性導電性ポリマー粒子の分散液)から形成される1以上の層を含ませることができる。外部被覆は、キャパシタ体のエッジ領域中に更に浸透して、誘電体に対する接着を増加させて、より機械的に堅牢な部品を与えることができ、これにより等価直列抵抗及びリーク電流を減少させることができる。一般に、陽極体の内部に含浸させるのではなく、エッジの被覆度を向上させることを意図しているので、外部被覆において使用される粒子は、通常は固体電解質において使用されるものよりも大きな寸法を有する。例えば、固体電解質の任意の分散液において使用される粒子の平均寸法に対する、外部ポリマー被覆において使用される粒子の平均寸法の比率は、通常は約1.5~約30、幾つかの実施形態においては約2~約20、幾つかの実施形態においては約5~約15である。例えば、外部被覆の分散液中で使用される粒子は、約80~約500ナノメートル、幾つかの実施形態においては約90~約250ナノメートル、幾つかの実施形態においては約100~約200ナノメートルの平均寸法を有していてよい。
【0049】
所望の場合には、外部ポリマー被覆において架橋剤を使用して、固体電解質に対する接着度を増大させることができる。通常は、架橋剤は外部被覆において使用する分散液を施す前に施す。好適な架橋剤は、例えば、Merkerらの米国特許公開2007/0064376に記載されており、例えば、アミン(例えば、ジアミン、トリアミン、オリゴマーアミン、ポリアミン等);多価金属カチオン、例えば、Mg、Al、Ca、Fe、Cr、Mn、Ba、Ti、Co、Ni、Cu、Ru、Ce、又はZnの塩又は化合物、ホスホニウム化合物、スルホニウム化合物等が挙げられる。特に好適な例としては、例えば、1,4-ジアミノシクロヘキサン、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、エチレンジアミン、1,6-ヘキサンジアミン、1,7-ヘプタンジアミン、1,8-オクタンジアミン、1,9-ノナンジアミン、1,10-デカンジアミン、1,12-ドデカンジアミン、N,N-ジメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチル-1,4-ブタンジアミン等、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0050】
架橋剤は、通常は、そのpHが25℃において求めて1~10、幾つかの実施形態においては2~7、幾つかの実施形態においては3~6である溶液又は分散液から施される。酸性化合物を使用して所望のpHレベルの達成を助けることができる。架橋剤のための溶媒又は分散剤の例としては、水、又は有機溶媒、例えばアルコール、ケトン、カルボン酸エステル等が挙げられる。架橋剤は、スピン被覆、含浸、流延、滴下適用、噴霧適用、蒸着、スパッタリング、昇華、ナイフ被覆、塗装又は印刷、例えばインクジェット、スクリーン、又はパッド印刷のような任意の公知のプロセスによってキャパシタ体に施すことができる。施したら、ポリマー分散液を施す前に架橋剤を乾燥することができる。次に、所望の厚さが達成されるまでこのプロセスを繰り返すことができる。例えば、架橋剤及び分散液の層を含む外部ポリマー被覆全体の全厚さは、約1~約50μm、幾つかの実施形態においては約2~約40μm、幾つかの実施形態においては約5~約20μmの範囲であってよい。
【0051】
E.陰極被覆:
所望の場合には、キャパシタ素子はまた、固体電解質及び他の随意的な層(例えば外部ポリマー被覆)の上に配される陰極被覆を使用することもできる。陰極被覆には、ポリマーマトリクス内に分散されている多数の導電性金属粒子を含む金属粒子層を含ませることができる。粒子は、通常は層の約50重量%~約99重量%、幾つかの実施形態においては約60重量%~約98重量%、幾つかの実施形態においては約70重量%~約95重量%を構成し、一方でポリマーマトリクスは、通常は層の約1重量%~約50重量%、幾つかの実施形態においては約2重量%~約40重量%、幾つかの実施形態においては約5重量%~約30重量%を構成する。
【0052】
導電性金属粒子は、銅、ニッケル、銀、ニッケル、亜鉛、スズ、鉛、銅、アルミニウム、モリブデン、チタン、鉄、ジルコニウム、マグネシウム等のような種々の異なる金属、並びにこれらの合金から形成することができる。銀がかかる層において使用するのに特に好適な導電性金属である。金属粒子は、しばしば、約0.01~約50マイクロメートル、幾つかの実施形態においては約0.1~約40マイクロメートル、幾つかの実施形態においては約1~約30マイクロメートルの平均径のような比較的小さい寸法を有する。通常は1つのみの金属粒子層を使用するが、所望の場合には複数の層を使用することができることを理解すべきである。かかる1つ又は複数の層の合計厚さは、約1μm~約500μm、幾つかの実施形態においては約5μm~約200μm、幾つかの実施形態においては約10μm~約100μmの範囲内である。
【0053】
ポリマーマトリクスは、通常は本質的に熱可塑性又は熱硬化性であってよいポリマーを含む。しかしながら、通常は、ポリマーは、銀イオンのエレクトロマイグレーションに対するバリヤとして作用することができ、また陰極被覆における水吸着の程度を最小にするように比較的少量の極性基を含むように選択される。この点に関し、本発明者らは、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール等のようなビニルアセタールポリマーがこの目的のために特に好適であることを見出した。例えば、ポリビニルブチラールは、ポリビニルアルコールをアルデヒド(例えばブチルアルデヒド)と反応させることによって形成することができる。この反応は通常は完全ではないので、ポリビニルブチラールは一般的に残留ヒドロキシル含量を有する。しかしながら、この含量を最小にすることによって、ポリマーはより低い程度の強極性基を有することができる(これを有していないと高い程度の湿分吸着が引き起こされ、且つ銀イオンの移動が引き起こされる)。例えば、ポリビニルアセタール中の残留ヒドロキシル含量は、約35モル%以下、幾つかの実施形態においては約30モル%以下、幾つかの実施形態においては約10モル%~約25モル%にすることができる。かかるポリマーの1つの商業的に入手できる例は、Sekisui Chemical Co., Ltd.から「BH-S」(ポリビニルブチラール)の名称で入手できる。
【0054】
陰極被覆を形成するためには、通常は、導電性ペーストをキャパシタに、固体電解質の上に重ねて施す。一般にペースト中で1種類以上の有機溶媒を使用する。一般に、グリコール(例えば、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリエチレングリコール、エトキシジグリコール、及びジプロピレングリコール);グリコールエーテル(例えば、メチルグリコールエーテル、エチルグリコールエーテル、及びイソプロピルグリコールエーテル);エーテル(例えば、ジエチルエーテル及びテトラヒドロフラン);アルコール(例えば、ベンジルアルコール、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソ-プロパノール、及びブタノール);トリグリセリド;ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、及びメチルイソブチルケトン);エステル(例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジエチレングリコールエーテルアセテート、及びメトキシプロピルアセテート);アミド(例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルカプリル/カプリン脂肪酸アミド及びN-アルキルピロリドン);ニトリル(例えば、アセトニトリル、プロピオンニトリル、ブチロニトリル、及びベンゾニトリル);スルホキシド又はスルホン(例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)及びスルホラン);等、並びにこれらの混合物のような種々の異なる有機溶媒を使用することができる。1種類又は複数の有機溶媒は、通常は、ペーストの約10重量%~約70重量%、幾つかの実施形態においては約20重量%~約65重量%、幾つかの実施形態においては約30重量%~約60重量%を構成する。通常は、金属粒子は、ペーストの約10重量%~約60重量%、幾つかの実施形態においては約20重量%~約45重量%、幾つかの実施形態においては約25重量%~約40重量%を構成し、樹脂状マトリクスは、ペーストの約0.1重量%~約20重量%、幾つかの実施形態においては約0.2重量%~約10重量%、幾つかの実施形態においては約0.5重量%~約8重量%を構成する。
【0055】
ペーストは比較的低い粘度を有していてよく、これによりそれを容易に取り扱ってキャパシタ素子に施すことが可能になる。粘度は、例えば、Brookfield DV-1粘度計(コーンプレート)などを使用して10rpmの速度及び25℃の温度で運転して測定して、約50~約3,000センチポアズ、幾つかの実施形態においては100~約2,000センチポアズ、幾つかの実施形態においては約200~約1,000センチポアズの範囲であってよい。所望の場合には、ペースト中で増粘剤又は他の粘度調整剤を使用して粘度を増加又は減少させることができる。更に、施すペーストの厚さは比較的薄くてもよく、これでもなお所望の特性を達成することができる。例えば、ペーストの厚さは、約0.01~約50マイクロメートル、幾つかの実施形態においては約0.5~約30マイクロメートル、幾つかの実施形態においては約1~約25マイクロメートルであってよい。施したら、金属ペーストを場合によっては乾燥して、有機溶媒のような幾つかの成分を除去することができる。例えば、乾燥は、約20℃~約150℃、幾つかの実施形態においては約50℃~約140℃、幾つかの実施形態においては約80℃~約130℃の温度で行うことができる。
【0056】
F.他の構成要素:
所望の場合には、当該技術において公知の他の層をキャパシタに含ませることもできる。例えば、幾つかの実施形態においては、炭素層(例えばグラファイト)を固体電解質と銀層との間に配置して、これによって銀層と固体電解質との接触を更に制限することを助けることができる。更に、誘電体の上に配され、有機金属化合物(例えば有機シラン化合物)を含むプレコート層を使用することもできる。
【0057】
II.終端:
所望の層が形成されたら、キャパシタに終端を与えることができる。より詳しくは、キャパシタに、それに陽極リードが電気的に接続される陽極終端、及びそれにキャパシタ素子の固体電解質が電気的に接続される陰極終端を含ませることができる。導電性金属(例えば、銅、ニッケル、銀、ニッケル、亜鉛、スズ、パラジウム、鉛、銅、アルミニウム、モリブデン、チタン、鉄、ジルコニウム、マグネシウム、及びこれらの合金)のような任意の導電性材料を使用して終端を形成することができる。特に好適な導電性金属としては、例えば、銅、銅合金(例えば、銅-ジルコニウム、銅-マグネシウム、銅-亜鉛、又は銅-鉄)、ニッケル、及びニッケル合金(例えばニッケル-鉄)が挙げられる。終端の厚さは、一般的にキャパシタの厚さを最小にするように選択される。例えば、終端の厚さは、約0.05~約1ミリメートル、幾つかの実施形態においては約0.05~約0.5ミリメートル、及び約0.07~約0.2ミリメートルの範囲であってよい。一つの代表的な導電性材料は、Wieland(ドイツ)から入手できる銅-鉄合金の金属プレートである。所望の場合には、終端の表面は、当該技術において公知なように、最終部品を回路基板へ実装することができるのを確実にするために、ニッケル、銀、金、スズなどで電気めっきすることができる。一つの特定の実施形態においては、終端の両方の表面をそれぞれニッケル及び銀フラッシュでめっきし、一方で、実装面もスズはんだ層でめっきする。
【0058】
終端は、当該技術において公知の任意の技術を使用してキャパシタ素子に接続することができる。例えば一実施形態においては、陰極終端と陽極終端を画定するリードフレームを与えることができる。キャパシタ素子をリードフレームに取り付けるためには、まず導電性接着剤を陰極終端の表面に施すことができる。導電性接着剤には、例えば、樹脂組成物に含まれる導電性金属粒子を含ませることができる。金属粒子は、銀、銅、金、白金、ニッケル、亜鉛、ビスマスなどであってよい。樹脂組成物には、熱硬化性樹脂(例えばエポキシ樹脂)、硬化剤(例えば酸無水物)、及びカップリング剤(例えばシランカップリング剤)を含ませることができる。好適な導電性接着剤は、Osakoらの米国特許出願公開第2006/0038304号に記載されている。任意の種々の技術を使用して、導電性接着剤を陰極終端に施すことができる。例えば、それらの実用上及びコスト節約上の利益のために印刷技術を使用することができる。陽極リードも、機械的溶接、レーザー溶接、導電性接着剤などのような当該技術において公知の任意の技術を使用して陽極終端に電気的に接続することができる。陽極リードを陽極終端に電気的に接続したら、次に導電性接着剤を硬化させ、電解キャパシタが陰極終端へ適切に接着することを確実にすることができる。
【0059】
例えば再び図1を参照すると、キャパシタ30が、上面37、下面39、前面36、背面38、第1の側面35、及び対向する側面(図示せず)を有するキャパシタ素子33と電気的に接続されている陽極終端62及び陰極終端72を含むように示されている。陰極終端72は、例えば導電性接着剤によってキャパシタ素子33の任意の表面と電気的に接触させて与えることができる。例えば示されている実施形態においては、陰極終端72は、上面37に対して概して平行でそれに隣接している第1の部品73、及び下面39に対して概して平行でそれに隣接している第2の部品75を含む。また、第1の部品73が上面37と電気的に接触している。陰極終端72にはまた、概して第1の部品73及び第2の部品75に対して垂直の方向に延在する第3の部品を含ませることもできる。所望の場合には、第3の部品は、キャパシタ素子33の背面38と電気的に接触させて与えることもできる。また、陽極終端62は、キャパシタ素子33の下面39に対して概して平行である第1の部品63、及び陽極リードワイヤ16に対して概して平行である第2の部品67を含む。更に、陽極終端62には、第1の部品63に対して概して垂直である第3の部品64、及び第2の部品67に対して概して垂直で、陽極リード16に隣接して配置されている第4の部品69を含ませることができる。示されている実施形態においては、第2の部品67及び第4の部品69が、陽極リードワイヤ16と接続するための領域を確定する。図1には示されていないが、領域51は、リードワイヤ16の表面接触及び機械的安定性を更に増大させるために「U字形」を有していてよい。
【0060】
終端は、当該技術において公知の任意の技術を使用してキャパシタ素子に接続することができる。例えば一実施形態においては、陰極終端72と陽極終端62を画定するリードフレームを与えることができる。キャパシタ素子33をリードフレームに取り付けるためには、まず導電性接着剤49を陰極終端72の表面に施すことができる。一実施形態においては、陽極終端62及び陰極終端72を、図1に示す位置に折り曲げる。その後、キャパシタ素子33を、その下面39が接着剤49と接触し、陽極リード16が領域51と接触するように陰極終端72上に配置する。次に、機械的溶接、レーザー溶接、導電性接着剤などのような当該技術において公知の任意の技術を用いて、陽極リードワイヤ16を領域51に電気的に接続する。例えば、陽極リード16は、レーザを使用して陽極終端62に溶接することができる。陽極リードワイヤ16を陽極終端62に電気的に接続したら、次に導電性接着剤を硬化させることができる。例えば、ヒートプレスを使用して熱及び圧力を加えて、電解キャパシタ素子33が接着剤49によって陰極終端72に適切に接着されることを確実にすることができる。
【0061】
III.疎水性被覆
上記に示すように、疎水性被覆は、陽極リードワイヤ及び場合によりキャパシタの他の構成要素(例えば陽極終端)と接触して配置される。1つ又は複数の被覆を使用することができる。例えば一実施形態においては、陽極リードワイヤに接触し、また陽極終端の少なくとも一部も覆う疎水性被覆を使用することができる。かかる実施形態においては、被覆はまた、キャパシタ素子の前面、底面、及び/又は上面のようなキャパシタ素子の表面の少なくとも一部に接触させることもできる。例えば再び図1を参照すると、陽極終端62と接触している疎水性被覆90を有するキャパシタ30が示されている。より特には、示されている実施形態においては、被覆90は、領域51が概して覆われるように、陽極終端62の第2の構成要素67及び第4の構成要素69と接触している。被覆90はまた、特にリードワイヤ16が陽極終端62に接続される領域51を取り囲む位置において、陽極リードワイヤ16の少なくとも一部と接触している。勿論、被覆は、他の構成で与えることもでき、所望の任意の表面上に配置することができることを理解すべきである。
【0062】
特に、疎水性被覆は、陽極リードワイヤ及び場合によりケーシング材料に対して高度の接着強度を示すことができ、これにより、キャパシタの製造(例えばリフロー)中にしばしば経験される高温に曝されたときに、キャパシタ素子から剥離する可能性が低くなる。例えば、被覆の結果として、ケーシング材料の接着強度は、下記の試験にしたがって約25℃の温度及び約30%の相対湿度で測定して、約5N/mm以上、幾つかの実施形態においては約5.5N/mm以上、幾つかの実施形態においては約6~約12N/mmであってよい。
【0063】
疎水性被覆は、通常は水素原子の一部又は全部がフルオロアルキル基(例えば、トリフルオロメチル、トリフルオロエチルなど)のようなフッ素基で置換されている炭化水素骨格ポリマー(例えばポリオレフィン)を含むフルオロポリマーのような低表面エネルギーポリマーを含む樹脂材料である。また、骨格ポリマーは、エチレン性不飽和モノマー(例えば、オレフィン、オレフィン性アクリレート、オレフィン性メタクリレートなど)から形成することができる。好適なモノマーは、例えば、長さが3~20原子、幾つかの実施形態においては6~12炭素原子、幾つかの実施形態においては長さが8~10炭素原子の炭素鎖を有し得る。本発明において使用するのに特に好適なフルオロアルキル置換モノマーは、ペルフルオロヘキシル(メタ)アクリレート、ペルフルオロヘプチル(メタ)アクリレート、ペルフルオロオクチル(メタ)アクリレート、ペルフルオロノニルペルフルオロデシル(メタ)アクリレート、ペルフルオロウンデシル(メタ)アクリレート、又はペルフルオロドデシル(メタ)アクリレートなどのようなフルオロアルキル(メタ)アクリレート、並びにそれらの混合物である。本明細書中で使用される「(メタ)アクリル」という用語は、アクリレートモノマー及びメタクリレートモノマーの両方を包含する。その適用を補助するのを助けるために、疎水性被覆は、まず、疎水性樹脂状材料(例えばフルオロポリマー)を通常は室温において液体である有機溶媒と組み合わせて含む被覆配合物の形態で用意することができる。使用する場合、かかる溶媒は、通常は配合物の約90重量%~約99.9重量%、幾つかの実施形態においては約92重量%~約99.8重量%、幾つかの実施形態においては約95重量%~約99.5重量%を構成し、一方で疎水性樹脂状材料は、溶液の約0.1重量%~約10重量%、幾つかの実施形態においては約0.2重量%~約8重量%、幾つかの実施形態においては約0.5重量%~約5重量%を構成し得る。使用する1種類又は複数の溶媒は、部分的に樹脂状材料の性質によって定まるが、一般に、有機アルコール、炭化水素溶媒、フッ素化炭化水素溶媒などが挙げられる。例えば、フルオロポリマーと共に使用するのに特に好適な溶媒としては、フッ素化炭化水素溶媒、例えばヒドロフルオロエーテル、フッ素化ケトン、フッ素化オレフィンなどが挙げられる。例えば1つの特定の実施形態においては、被覆配合物には、次の一般式:
(R-O)-R
(式中、
xは1又は2であり;
及びRの1つは、ペルフルオロ脂肪族又はペルフルオロ環式基であり、他方は脂肪族又は環式炭化水素基である)
を有するヒドロフルオロエーテルを含ませることができる。例えば、R及び/又はRとしては、置換及び非置換アルキル、アリール、及びアルキルアリール基、並びにそれらの誘導体を挙げることができる。好適なヒドロフルオロエーテルの代表例としては、次の化合物:C11OC、COCH、COCH、COC、COCF(CF)CFOCH、COCOCOC、CO(CFOCH、CCF(OC)CF(CF、CCF(OCH)CF(CF、COCOCなどが挙げられる。エチルノナフルオロイソブチルエーテル及びエチルノナフルオロブチルエーテル(これらは両方とも構造:COCによって表される)が特に好適である。施したら、被覆を乾燥し、加熱し、及び/又は硬化させて1種類又は複数の残留溶媒を除去して、樹脂状材料の被覆を所望の位置に残留させることができる。
【0064】
IV.ケーシング材料:
示されるように、キャパシタ素子及び陽極リードワイヤも、一般に、陽極終端及び陰極終端の少なくとも一部が回路基板上へ実装するために露出されるようにケーシング材料で封入することができる。例えば再び図1を参照すると、キャパシタ素子33及び陽極リードワイヤ16を、陽極終端62の一部及び陰極終端72の一部が露出した状態に保持されるようにケーシング材料28内に封入することができる。更に、上述したように、ケーシング材料28の少なくとも一部も、疎水性被覆90と接触している。
【0065】
ケーシング材料は、広範囲の材料から形成することができる。例えば一実施形態においては、ケーシング材料は、疎水性であり得、また比較的低い熱膨張係数を有し得る硬化性樹脂マトリクスから形成することができる。例えば、樹脂マトリクスは、通常は樹脂マトリクスのガラス転移温度より低い温度において約14ppm/℃以下、幾つかの実施形態においては約12ppm/℃以下、幾つかの実施形態においては約1~約10ppm/℃の熱膨張係数を有する。更に、樹脂マトリクスはまた、通常は、樹脂マトリクスのガラス転移温度より高い温度において約42ppm/℃以下、幾つかの実施形態においては約40ppm/℃以下、幾つかの実施形態においては約20℃~約38ppm/℃の熱膨張係数を有する。樹脂マトリクスのガラス転移温度は、例えば、約50℃~約180℃、幾つかの実施形態においては約60℃~約160℃、幾つかの実施形態においては約80℃~約150℃の範囲であり得る。熱膨張係数及びガラス転移温度は、ISO-11359-2:1999による熱機械分析(TMA)などによる当該技術において公知の技術を使用して求めることができる。
【0066】
例えば幾つかの実施形態においては、樹脂状マトリクスは少なくとも2つのシアネートエステル基を含むポリシアネートを含み得る。例えば、硬化させると、ポリシアネートはトリアジン環を有するポリシアヌレートを形成することができる。炭素-窒素及び炭素-酸素結合に関係する双極子が釣り合っているトリアジン環における高度の対称性のために、得られるポリシアヌレートは比較的高い耐湿性を示すことができる。好適なポリシアネートとしては、例えば、ビスフェノールAジシアネート;4,4’-ジヒドロキシジフェニル、4,4’-ジヒドロキシジフェニルオキシド、レゾルシニル、ヒドロキノン、4,4’-チオジフェノール、4,4’-スルホニルジフェニル、3,3’,5,5’-テトラブロモビスフェノールA、2,2’,6,6’-テトラブロモビスフェノールA、2,2’-ジヒドロキシジフェニル、3,3’-ジヒドロキシビスフェノールA、4,4’-ジヒドロキシジフェニルカーボネート、ジシクロペンタジエンジフェノール、4,4’-ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4’-ジヒドロキシジフェニルメタン、トリシクロペンタジエンジフェノールなどのジシアネート;トリス(ヒドロキシフェニル)メタンのトリシアネート、2,2’,4’,4’-テトラヒドロキシジフェニルメタンのテトラシアネート、フェノールホルムアルデヒド縮合生成物(ノボラック)のポリシアネート;ジシクロペンタジエンとフェノールの縮合生成物のポリシアネート;などを挙げることができる。所望であれば、ポリシアネートはまた、シクロペンタジエン、ノルボルナン、ボルナン、ノルボルナジエン、テトラヒドロインデン、メチルテトラヒドロインデン、ジシクロペンタジエン、ビシクロ-(2,1)-ヘプタ-2,5-ジエン、5-メチレン-2-ノルボルネン、5-エチリデン-2-ノルボルネン、5-プロペニル-2ノルボルネン、5-(4-シクロペンテニル)-2-ノルボルネン、5-シクロヘキシリデン-2-ノルボルネン、5-ビニル-2-ノルボルネンなどをはじめとするC~C20多環式脂肪族基のような2以上の環式環を含む1種類以上の多環式脂肪族基を含んでいてもよい。例えば1つの特定の実施形態においては、ポリシアネートはジシクロペンタジエンビスフェノールシアネートエステルであってよい。理論によって限定されることは意図しないが、かかる多環式基はポリシアネートのための非極性橋架基として作用させることができ、これは耐湿性を向上させるのを助けると考えられる。
【0067】
樹脂状マトリクスにはまた、エポキシ樹脂を、単独か、又はポリシアネートと組み合わせて含ませることができる。組み合わせて使用する場合には、エポキシ樹脂は、硬化させた際にポリシアネートと反応してポリシアネート樹脂とコポリマー及び/又は架橋を形成することができる。好適なエポキシ樹脂の例としては、例えば、ビスフェノールAタイプのエポキシ樹脂、ビスフェノールFタイプのエポキシ樹脂、フェノールノボラックタイプのエポキシ樹脂、オルトクレゾールノボラックタイプのエポキシ樹脂、臭素化エポキシ樹脂及びビフェニルタイプのエポキシ樹脂、環状脂肪族エポキシ樹脂、グリシジルエステルタイプのエポキシ樹脂、グリシジルアミンタイプのエポキシ樹脂、クレゾールノボラックタイプのエポキシ樹脂、ナフタレンタイプのエポキシ樹脂、フェノールアラルキルタイプのエポキシ樹脂、シクロペンタジエンタイプのエポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂などが挙げられる。しかしながら、所望の程度の耐湿性を与えることを助けるためには、フェノールノボラック樹脂のグリシジルエーテルであるエポキシフェノールノボラック(EPN)樹脂を使用することが特に望ましい。これらの樹脂は、例えばフェノール類を酸性触媒の存在下で過剰のホルムアルデヒドと反応させてフェノールノボラック樹脂を生成させることによって製造することができる。次に、フェノールノボラック樹脂を水酸化ナトリウムの存在下でエピクロロヒドリンと反応させることによって、ノボラックエポキシ樹脂を製造する。ノボラックタイプのエポキシ樹脂の具体例としては、フェノール-ノボラックエポキシ樹脂、クレゾール-ノボラックエポキシ樹脂、ナフトール-ノボラックエポキシ樹脂、ナフトール-フェノール共縮合ノボラックエポキシ樹脂、ナフトール-クレゾール共縮合ノボラックエポキシ樹脂、臭素化フェノール-ノボラックエポキシ樹脂などが挙げられる。選択される樹脂のタイプにかかわらず、得られるフェノールノボラックエポキシ樹脂は、通常は2より多いオキシラン基を有し、これを用いて高い架橋密度を有する硬化被覆組成物を製造することができ、これは耐湿性を増大させるために特に好適であり得る。1つのかかるフェノールノボラックエポキシ樹脂は、ポリ[(フェニルグリシジルエーテル)-co-ホルムアルデヒド]である。他の好適な樹脂は、HuntsmanからARALDITEの商品名(例えば、GY289、EPN1183、EP1179、EPN1139、及びEPN1138)で商業的に入手できる。
【0068】
ポリシアネート及び/又はエポキシ樹脂を共反応物質(硬化剤)と架橋させて、組成物の機械的特性を更に向上させ、また上述したようにその全体的な耐湿性も増大させることができる。かかる共反応物質の例としては、例えば、ポリアミド、アミドアミン(例えば、アミノベンズアミド、アミノベンズアニリド、及びアミノベンゼンスルホンアミドのような芳香族アミドアミン)、芳香族ジアミン(例えば、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホンなど)、アミノベンゾエート(例えば、トリメチレングリコールジ-p-アミノベンゾエート、及びネオペンチルグリコールジ-p-アミノベンゾエート)、脂肪族アミン(例えば、トリエチレンテトラミン、イソホロンジアミン)、脂環式アミン(例えばイソホロンジアミン)、イミダゾール誘導体、グアニジン類(例えばテトラメチルグアニジン)、カルボン酸無水物(例えばメチルヘキサヒドロフタル酸無水物)、カルボン酸ヒドラジド(例えばアジピン酸ヒドラジド)、フェノール-ノボラック樹脂(例えば、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど)、カルボン酸アミドなど、並びにこれらの組合せを挙げることができる。フェノール-ノボラック樹脂が本発明において使用するのに特に好適であり得る。
【0069】
また、ケーシング材料に無機酸化物フィラーを含ませることもできる。かかるフィラーは、通常は、ケーシング材料の約75重量%~約99.5重量%、幾つかの実施形態においては約76重量%~約99重量%、幾つかの実施形態においては約77重量%~約90重量%のようなケーシング材料の高いレベルに維持され、一方で樹脂状マトリクスは、通常はケーシング材料の約0.5重量%~約25重量%、幾つかの実施形態においては約1重量%~約24重量%、幾つかの実施形態においては約10重量%~約23重量%を構成する。無機酸化物フィラーの性質は、シリカ、アルミナ、ジルコニア、酸化マグネシウム、鉄酸化物(例えば、黄色オキシ水酸化鉄(iron hydroxide oxide yellow))、チタン酸化物(例えば二酸化チタン)、亜鉛酸化物(例えば、オキシ水酸化ホウ素亜鉛(boron zinc hydroxide oxide))、銅酸化物、ゼオライト、シリケート、クレイ(例えばスメクタイトクレイ)など、及び複合体(例えばアルミナ被覆シリカ粒子)、並びにこれらの混合物のように変化してよい。しかしながら、使用する特定のフィラーにかかわらず、無機酸化物フィラーの全部ではないにしても相当部分は通常はシリカガラスの形態であり、これによって、その高い純度及び比較的単純な化学形態のためにケーシング材料の熱膨張に対する抵抗性が更に向上すると考えられる。シリカガラスは、例えば、組成物中で使用するフィラーの総重量の約30重量%以上、幾つかの実施形態においては約35重量%~約90重量%、幾つかの実施形態においては約40重量%~約80重量%、並びに全組成物の約20重量%~約70重量%、幾つかの実施形態においては約25重量%~約65重量%、幾つかの実施形態においては約30重量%~約60重量%を構成していてよい。勿論、石英、ヒュームドシリカ、クリストバライトなどのような他の形態のシリカを、シリカガラスと組み合わせて使用することもできる。
【0070】
上記した成分とは別に、光開始剤、粘度調整剤、懸濁助剤、顔料、応力低減剤、カップリング剤(例えばシランカップリング剤)、安定剤などのような更に他の添加剤を、ケーシング材料中で使用することもできることを理解すべきである。使用する場合には、かかる添加剤は通常は全組成物の約0.1~約20重量%を構成する。
【0071】
ケーシング材料をキャパシタ素子に施す特定の方法は、所望に応じて変化させることができる。1つの特定の態様においては、キャパシタ素子を金型内に配置し、ケーシング材料をキャパシタ素子に施して、それが金型によって画定される空間を占めて、陽極終端及び陰極終端の少なくとも一部が露出されるようにする。ケーシング材料は、最初は単一又は複数の組成物の形態で用意することができる。例えば、第1の組成物に樹脂状マトリクス及びフィラーを含ませることができ、第2の組成物に共反応物質を含ませることができる。これにかかわらず、それを施したらケーシング材料を加熱するか又は周囲温度において放置して、樹脂状マトリクスが共反応物質と架橋するようにして、それによってケーシング材料を硬化させてケースの所望の形状に固化させることができる。例えば、ケーシング材料を、約15℃~約150℃、幾つかの実施形態においては約20℃~約120℃、幾つかの実施形態においては約25℃~約100℃の温度に加熱することができる。
【0072】
決して必須ではないが、ケーシング材料の全部又は一部を被覆する湿分バリヤ層を使用することもできる。湿分バリヤ層は、一般に上記記載のような疎水性材料、例えばシリコーン、フルオロポリマー、有機金属化合物などから形成される。
【実施例
【0073】
本発明は、以下の実施例を参照することによって、より良好に理解することができる。
試験手順:
キャパシタンス:
キャパシタンスは、Kelvinリードを備えたKeithley 3330精密LCZメーターを用い、2.2ボルトのDCバイアス及び0.5ボルトのピーク・ピーク正弦波信号を用いて測定することができる。動作周波数は120Hzであってよく、温度は23℃±2℃であってよい。幾つかの場合においては、「湿潤対乾燥(wet-to-dry)」キャパシタンスを求めることができる。「乾燥キャパシタンス」は、固体電解質、グラファイト、及び銀層を施す前の部品のキャパシタンスを指し、一方で「湿潤キャパシタンス」は、誘電体形成後の部品のキャパシタンスを指し、14%硝酸中において、1mFのタンタル陰極を参照とし、10ボルトのDCバイアス及び0.5ボルトのピーク・ピーク正弦波信号を用いて、30秒の電解液浸漬後に測定される。
【0074】
等価直列抵抗(ESR):
等価直列抵抗は、Kelvinリードを備えたAgilient 4284A LCR計を用い、1.5ボルトのDCバイアス及び0.5ボルトのピーク・ピーク正弦波信号を用いて測定することができる。動作周波数は100kHzであってよく、温度は23℃±2℃であってよい。
【0075】
損失係数:
損失係数は、Kelvinリードを備えたKeithley 3330精密LCZメーターを用い、2.2ボルトのDCバイアス及び0.5ボルトのピーク・ピーク正弦波信号を用いて測定することができる。動作周波数は120kHzであってよく、温度は23℃±2℃であってよい。
【0076】
漏れ電流:
漏れ電流は、漏れ試験メーターを用い、23℃±2℃の温度及び定格電圧において、最小で60秒後に測定することができる。
【0077】
負荷湿度試験:
湿度試験は、標準規格:IEC-68-2-67:1995(85℃/相対湿度85%)に基づく。24の試験部品を、湿度試験条件の回復から2~24時間後に、23℃±2℃の温度で、0、120、500、及び1,000時間において印加定格電圧で試験することができる。
【0078】
接着強度:
リードフレームのケーシング材料への接着強度は、Prominent Promi 3000計を使用して、陰極側の終端部分で測定することができる。温度は23℃±5℃であってよく、相対湿度は30%±10%であってよい。
【0079】
リフローはんだ付けプロファイル:
リフローはんだ付けプロファイルは、一般にJ-STD-020規格にしたがう。より詳細には、260℃の最大ピーク温度及び10秒の最大時間で、3回のリフローサイクルを使用することができる。部品は、150℃±15℃の温度に60~120秒間予熱することができる。230℃以上の最大時間も40秒である。
【0080】
実施例1
150,000μFV/gのタンタル粉末を用いて陽極試料を形成した。それぞれの陽極試料にタンタルワイヤを埋封し、1275℃で焼結し、プレスして6.00g/cmの密度にした。得られたペレットは1.6×1.0×1.4mmの寸法を有していた。ペレットを、85℃の温度において7.3mS/cmの導電率を有する水/硝酸電解液中で18ボルトに陽極酸化して、誘電体層を形成した。ペレットを、80℃の温度において3.3mS/cmの導電率を有する水/ホウ酸アンモニウム中で5秒間、再び60ボルトに陽極酸化して、外側の上に堆積しているより厚い酸化物層を形成した。
【0081】
次に、陽極を、50%の固形分含量を有する鉄(III)トルエンスルホネート(Clevios(登録商標)C、Heraeus)及び3,4-エチレンジオキシチオフェン(Clevios(登録商標)M、Heraeus)の予め混合した水-エタノール溶液中に浸漬することによって、導電性ポリマー被覆を形成した。重合の60分後、誘電体の表面上にポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)の薄層が形成された。陽極を、p-トルエンスルホン酸の水溶液中、及び次にブタノール中で洗浄して反応副生成物を除去した。このプロセスを4回繰り返した。その後、部品を、55%の固形分含量を有する鉄(III)トルエンスルホネート(Clevios(登録商標)C、Heraeus)のブタノール溶液中、及び次に3,4-エチレンジオキシチオフェン(Clevios(登録商標)M、Heraeus)中に浸漬した後に重合した。部品を、p-トルエンスルホン酸の水溶液で20分、及び次にブタノール中で洗浄して、反応副生成物を除去した。このプロセスを2回繰り返した。次に、部品をグラファイト分散液中に浸漬し、乾燥させた。部品を銀分散液中に浸漬し、乾燥させた。次に、ワイヤの縦方向に移動させている最大幅0.3mmのレーザービームによって、リードワイヤを清浄化した。清浄化したら、リードワイヤを、フルオロポリマー疎水性材料(3M(登録商標)Novec(登録商標)2708電子グレード被覆、3M)で被覆した。このようにして、100μF/6.3Vキャパシタの複数の部品(500)を作製し、標準シリカ樹脂中に封入した。
【0082】
実施例2
異なるパターンを使用してレーザービームによってリードワイヤを清浄化及び粗化した他は実施例1において記載した方法でキャパシタを形成した。ビームは、表1に記載されたパラメータを有する平行なワイヤを作製するように収束させた。このようにして、100μF/6.3Vキャパシタの複数の部品(500)を作製し、標準シリカ樹脂中に封入した。
【0083】
【表1】
【0084】
それぞれの実施例からの試料ユニットを負荷湿度試験にかけた。負荷湿度試験におけるESRの結果を下表2に示す。
【0085】
【表2】
【0086】
本発明のこれら及び他の修正及び変更は、当業者によって、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく実施することができる。更に、種々の態様の複数の形態は、全体的又は部分的の両方で交換することができることを理解すべきである。更に、当業者であれば、上記の記載はほんの一例にすぎず、添付の特許請求の範囲において更に記載される発明を限定することは意図しないことを認識するであろう。
本発明は以下の実施態様を含む。
[1]焼結多孔質陽極体、前記陽極体の上に配されている誘電体、及び前記誘電体の上に配されている固体電解質を含むキャパシタ素子;
前記キャパシタ素子から縦方向に伸長し、前記縦方向に沿って離隔している複数の別個の凹み領域を有する外表面を規定する陽極リードワイヤ;
前記陽極リードワイヤの外表面の少なくとも一部の上に配置されている疎水性被覆;及び
前記陽極リードワイヤと電気的に接続されている陽極終端、及び前記固体電解質と電気的に接続されている陰極終端;
を含む固形電解キャパシタ。
[2]前記リードワイヤがタンタルから形成されている、[1]記載の固体電解キャパシタ。
[3]前記リードワイヤが、前記キャパシタ素子の前表面から伸長している、[1]記載の固体電解キャパシタ。
[4]前記ワイヤが3~50の凹み領域を含む、[1]に記載の固体電解キャパシタ。
[5]前記凹み領域が、前記リードワイヤの周囲の周りに延在して一連のバンドを形成している、[1]に記載の固体電解キャパシタ。
[6]前記凹み領域が、前記ワイヤの縦方向に対して約40°~約120°の角度で形成されている、[1]に記載の固体電解キャパシタ。
[7]前記凹み領域が、前記ワイヤの縦方向に対してほぼ垂直な方向に延在している、[1]に記載の固体電解キャパシタ。
[8]前記疎水性被覆がまた、前記陽極終端の少なくとも一部とも接触している、[1]に記載の固体電解キャパシタ。
[9]前記被覆が疎水性樹脂材料を含む、[1]に記載の固体電解キャパシタ。
[10]前記疎水性樹脂材料がフルオロポリマーを含む、[9]に記載の固体電解キャパシタ。
[11]前記フルオロポリマーがフルオロアルキル置換エチレン性不飽和モノマーから形成される、[10]に記載の固体電解キャパシタ。
[12]前記フルオロポリマーがフルオロアルキル(メタ)アクリレートから形成される、[11]に記載の固体電解キャパシタ。
[13]前記キャパシタ素子及び陽極リードワイヤを封入するケーシング材料を更に含む、[1]に記載の固体電解キャパシタ。
[14]前記陽極体がタンタルを含む、[1]に記載の固体電解キャパシタ。
[15]前記固体電解質が導電性ポリマーを含む、[1]に記載の固体電解キャパシタ。
[16]前記導電性ポリマーが、次式:
【化4】
(式中、
は、直鎖状又は分岐のC ~C 18 アルキル基、C ~C 12 シクロアルキル基、C ~C 14 アリール基、C ~C 18 アラルキル基、又はそれらの組み合わせであり;
qは、0~8の整数である)
の繰り返し単位を有する、[15]に記載の固体電解キャパシタ。
[17]前記導電性ポリマーが、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)又はその誘導体である、[16]に記載の固体電解キャパシタ。
[18]前記固体電解質がポリマー対イオンも含む、[16]に記載の固体電解キャパシタ。
[19]前記固体電解質の上に配されており、予め重合された導電性ポリマー粒子及び架橋剤を含む外部ポリマー被覆を更に含む、[1]に記載の固体電解キャパシタ。
[20]前記凹み領域が約0.1~約100マイクロメートルの深さを有する、[1]に記載の固体電解キャパシタ。
[21]前記凹み領域が0.01~約300マイクロメートルの範囲の距離だけ離隔している、[1]に記載の固体電解キャパシタ。
[22]前記凹み領域が約1~約160マイクロメートルの幅を有する、[1]に記載の固体電解キャパシタ。
[23]前記キャパシタが、約23℃の温度において初期ESR、及び約85%の相対湿度及び約85℃の温度に1,000時間かけた後に高湿度ESRを示し、前記初期ESRに対する前記高湿度ESRの比は約2.0以下である、[1]に記載の固体電解キャパシタ。
[24]前記初期ESRに対する前記高湿度ESRの比が約1.5以下である、[1]に記載の固体電解キャパシタ。
[25][1]に記載の固体電解キャパシタの形成方法であって、
前記陽極リードワイヤを粗化して複数の凹み領域を形成すること;
前記陽極リードワイヤ上に被覆配合物を前記凹み領域に接触させて配置すること;
を含む上記方法。
[26]前記被覆配合物が疎水性樹脂材料及び溶媒を含み、前記溶媒を前記リードワイヤと接触した後に前記被覆配合物から除去して前記疎水性被覆を形成する、[25]に記載の方法。
[27]前記溶媒がフッ素化炭化水素溶媒を含む、[26]に記載の方法。
[28]前記粗化が、前記リードワイヤをレーザーと接触させることを含む、[25]に記載の方法。
図1
図2
図3