(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】表示基板及び表示装置
(51)【国際特許分類】
G09F 9/30 20060101AFI20240416BHJP
G09G 3/3233 20160101ALI20240416BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20240416BHJP
H10K 59/10 20230101ALI20240416BHJP
【FI】
G09F9/30 338
G09F9/30 365
G09G3/3233
G09G3/20 611H
G09G3/20 621M
G09G3/20 680G
H10K59/10
(21)【出願番号】P 2021571721
(86)(22)【出願日】2019-12-13
(86)【国際出願番号】 CN2019125243
(87)【国際公開番号】W WO2021114251
(87)【国際公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-12-07
(73)【特許権者】
【識別番号】510280589
【氏名又は名称】京東方科技集團股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BOE TECHNOLOGY GROUP CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.10 Jiuxianqiao Rd.,Chaoyang District,Beijing 100015,CHINA
(73)【特許権者】
【識別番号】519385216
【氏名又は名称】北京京▲東▼方技▲術▼▲開▼▲発▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BEIJING BOE TECHNOLOGY DEVELOPMENT CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Room 407,Building 1,No.9 Dize Road,BDA,Beijing,100176,CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】▲許▼ 晨
(72)【発明者】
【氏名】▲ハオ▼ 学光
(72)【発明者】
【氏名】▲喬▼ 勇
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼ 新▲銀▼
【審査官】石本 努
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0173057(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0151126(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0131369(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0048569(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0061908(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0024314(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F9/30-9/46
G09G3/00-3/08
3/12-3/16
3/19-3/26
3/30-3/34
3/38
H05B33/00-33/28
44/00
45/60
H10K50/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースと、前記ベース上に設けられた表示機能層と、を含む表示基板であって、
前記表示機能層は、互いに交差する第1方向及び第2方向に配列された複数の画素駆動回路と、前記第2方向に延びる複数本の電源線と、前記第2方向に延びる複数本の補償検出線と、前記第1方向に延びる複数本のゲート線と、前記第2方向に延びる複数本のデータ線と、前記第1方向に延びる複数本の補償走査線と、を含み、
前記電源線と前記補償検出線は交互に間隔をおいて設けられており、任意の隣接する1本の前記電源線と1本の前記補償検出線との間には前記第2方向に延びる2列の画素駆動回路が設けられており、
前記複数の画素駆動回路のうちのいずれかの画素駆動回路において、当該画素駆動回路の電源入力端は、当該画素駆動回路に最も近い1本の前記電源線と電気的に接続されており、当該画素駆動回路の補償検出信号端は、当該画素駆動回路に最も近い1本の前記補償検出線と電気的に接続されており、
任意の隣接する2本の前記補償検出線は、前記第1方向に延びる第2の導電ブリッジ線を介して電気的に接続されている、
表示基板。
【請求項2】
隣接する1本の前記電源線と1本の前記補償検出線との間に位置する2列の前記画素駆動回路において、
前記電源線に近い列の前記画素駆動回路のうちのいずれかの前記画素駆動回路において、当該画素駆動回路の電源入力端は、当該画素駆動回路に最も近い1本の前記電源線に直接接続されており、当該画素駆動回路の補償検出信号端は、補償検出ブリッジ線を介して当該画素駆動回路に最も近い1本の前記補償検出線に接続されており、
前記補償検出線に近い列の前記画素駆動回路のうちのいずれかの前記画素駆動回路において、当該画素駆動回路の電源入力端は、電源ブリッジ線を介して当該画素駆動回路に最も近い1本の前記電源線に接続されており、当該画素駆動回路の補償検出信号端は、当該画素駆動回路に最も近い1本の前記補償検出線に直接接続されている
請求項1に記載の表示基板。
【請求項3】
隣接する1本の前記電源線と1本の前記補償検出線との間に位置する2列の前記画素駆動回路に対して、当該2列の前記画素駆動回路の間には2本の前記データ線が設けられており、
当該2列の前記画素駆動回路のうちのいずれかの前記画素駆動回路において、当該画素駆動回路のデータ信号入力端は、当該画素駆動回路に最も近い1本の前記データ線に接続されている
請求項2に記載の表示基板。
【請求項4】
前記ベースと前記表示機能層との間に位置し、前記電源ブリッジ線、前記補償検出ブリッジ線と同じ層に設けられた遮光パターンをさらに含み、
前記電源ブリッジ線は、対応する前記電源線及び対応する前記電源入力端にビアを介して接続されており、
前記補償検出ブリッジ線は、対応する補償検出線及び対応する補償検出信号端にビアを介して接続されている
請求項2に記載の表示基板。
【請求項5】
任意の隣接する2本の前記電源線は、前記第1方向に延びる第1の導電ブリッジ線を介して電気的に接続されている
請求項1に記載の表示基板。
【請求項6】
複数の発光素子をさらに含み、
前記発光素子は、前記画素駆動回路と一対一で接続されており、前記ベースから離れる方向に順次に積層された第1の電極、発光層、第2の電極を含み、
前記第1の導電ブリッジ線は、前記第1の電極と同じ層に設けられている
請求項5に記載の表示基板。
【請求項7】
複数の発光素子をさらに含み、
前記発光素子は、前記画素駆動回路と一対一で接続されており、前記ベースから離れる方向に順次に積層された第1の電極、発光層、第2の電極を含み、
前記第2の導電ブリッジ線は、前記第1の電極と同じ層に設けられている
請求項1に記載の表示基板。
【請求項8】
前記電源線の少なくとも一部の端部は、同一の電源バス線に接続されている
請求項1に記載の表示基板。
【請求項9】
前記電源バス線は、前記ゲート線と同じ層に設けられている
請求項8に記載の表示基板。
【請求項10】
前記画素駆動回路は、駆動トランジスタと、スイッチングトランジスタと、検出トランジスタと、蓄積容量とを含み、前記スイッチングトランジスタのゲートは、対応するゲート線に接続され、前記スイッチングトランジスタの第1の極は、対応するデータ信号入力端に接続され、前記スイッチングトランジスタの第2の極は、前記駆動トランジスタのゲートと前記蓄積容量の第1の極とに接続され、前記駆動トランジスタの第1の極は、対応する電源入力端に接続され、前記駆動トランジスタの第2の極は、前記蓄積容量の第2の極と前記検出トランジスタの第1の極とに接続され、前記検出トランジスタのゲートは、対応する補償走査線に接続され、前記検出トランジスタの第2の極は、対応する補償検出信号端に接続されている
請求項
1に記載の表示基板。
【請求項11】
前記駆動トランジスタ、前記スイッチングトランジスタ、前記検出トランジスタはいずれもトップゲート型のトランジスタであり、
前記蓄積容量の第1の極は、前記駆動トランジスタ、前記スイッチングトランジスタ、前記検出トランジスタの活性層と同じ層に設けられており、
前記蓄積容量の第2の極は、遮光パターンである第1部分と、前記駆動トランジスタの第1の極と同じ層に設けられ、前記駆動トランジスタの第2の極と電気的に接続された第2部分とを含み、前記第1部分は前記第2部分と電気的に接続されている
請求項10に記載の表示基板。
【請求項12】
複数の発光素子をさらに含み、
前記発光素子は、前記画素駆動回路と一対一で接続されており、前記ベースから離れる方向に順次に積層された第1の電極、発光層、第2の電極を含み、
前記蓄積容量の第2の極は、前記発光素子の第1の電極と同じ層に設けられ、前記第1部分と電気的に接続された第3部分をさらに含む
請求項11に記載の表示基板。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1項に記載の表示基板を含む、表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示技術の分野に属し、より具体的には表示基板及び表示装置を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
有機発光ダイオード(OLED)表示技術は次第に成熟していく。有機発光ダイオード表示装置の解像度をさらに高める必要があり、その結果、表示基板内の配線の微細化が進む一方で、電源線の線幅を無限に短くすることはできず、有機発光ダイオード表示装置の高解像度化の妨げとなっている。
【発明の概要】
【0003】
本開示は表示基板及び表示装置を提供する。
【0004】
第一態様においては、ベースと、前記ベース上に設けられた表示機能層と、を含む表示基板であって、前記表示機能層は、互いに交差する第1方向及び第2方向に配列された複数の画素駆動回路と、前記第2方向に延びる複数本の電源線と、前記第2方向に延びる複数本の補償検出線と、前記第1方向に延びる複数本のゲート線と、前記第2方向に延びる複数本のデータ線と、前記第1方向に延びる複数本の補償走査線と、を含み、前記電源線と前記補償検出線は交互に間隔をおいて設けられており、任意の隣接する1本の前記電源線と1本の前記補償検出線との間には前記第2方向に延びる2列の画素駆動回路が設けられており、前記複数の画素駆動回路のうちのいずれかの画素駆動回路において、当該画素駆動回路の電源入力端は、当該画素駆動回路に最も近い1本の前記電源線と電気的に接続されており、当該画素駆動回路の補償検出信号端は、当該画素駆動回路に最も近い1本の前記補償検出線と電気的に接続されている表示基板を提供する。
【0005】
一部の実施例において、隣接する1本の前記電源線と1本の前記補償検出線との間に位置する2列の前記画素駆動回路において、前記電源線に近い列の前記画素駆動回路のうちのいずれかの前記画素駆動回路において、当該画素駆動回路の電源入力端は、当該画素駆動回路に最も近い1本の前記電源線に直接接続されており、当該画素駆動回路の補償検出信号端は、補償検出ブリッジ線を介して当該画素駆動回路に最も近い1本の前記補償検出線に接続されており、前記補償検出線に近い列の前記画素駆動回路のうちのいずれかの前記画素駆動回路において、当該画素駆動回路の電源入力端は、電源ブリッジ線を介して当該画素駆動回路に最も近い1本の前記電源線に接続されており、当該画素駆動回路の補償検出信号端は、当該画素駆動回路に最も近い1本の前記補償検出線に直接接続されている。
【0006】
一部の実施例において、隣接する1本の前記電源線と1本の前記補償検出線との間に位置する2列の前記画素駆動回路に対して、当該2列の前記画素駆動回路の間には2本の前記データ線が設けられており、当該2列の前記画素駆動回路のうちのいずれかの前記画素駆動回路において、当該画素駆動回路のデータ信号入力端は、当該画素駆動回路に最も近い1本の前記データ線に接続されている。
【0007】
一部の実施例において、前記表示基板は、前記ベースと前記表示機能層との間に位置し、前記電源ブリッジ線、前記補償検出ブリッジ線と同じ層に設けられた遮光パターンをさらに含み、前記電源ブリッジ線は、対応する前記電源線及び対応する前記電源入力端にビアを介して接続されており、前記補償検出ブリッジ線は、対応する補償検出線及び対応する補償検出信号端にビアを介して接続されている。
【0008】
一部の実施例において、任意の隣接する2本の前記電源線は、前記第1方向に延びる第1の導電ブリッジ線を介して電気的に接続されている。
【0009】
一部の実施例において、前記表示基板は、複数の発光素子をさらに含み、前記発光素子は、前記画素駆動回路と一対一で接続されており、前記ベースから離れる方向に順次に積層された第1の電極、発光層、第2の電極を含み、前記第1の導電ブリッジ線は、前記第1の電極と同じ層に設けられている。
【0010】
一部の実施例において、任意の隣接する2本の前記補償検出線は、前記第1方向に延びる第2の導電ブリッジ線を介して電気的に接続されている。
【0011】
一部の実施例において、前記表示基板は、複数の発光素子をさらに含み、前記発光素子は、前記画素駆動回路と一対一で接続されており、前記ベースから離れる方向に順次に積層された第1の電極、発光層、第2の電極を含み、前記第2の導電ブリッジ線は、前記第1の電極と同じ層に設けられている。
【0012】
一部の実施例において、前記電源線の少なくとも一部の端部は、同一の電源バス線に接続されている。
【0013】
一部の実施例において、前記電源バス線は、前記ゲート線と同じ層に設けられている。
【0014】
一部の実施例において、前記画素駆動回路は、駆動トランジスタと、スイッチングトランジスタと、検出トランジスタと、蓄積容量とを含み、前記スイッチングトランジスタのゲートは、対応するゲート線に接続され、前記スイッチングトランジスタの第1の極は、対応するデータ信号入力端に接続され、前記スイッチングトランジスタの第2の極は、前記駆動トランジスタのゲートと前記蓄積容量の第1の極とに接続され、前記駆動トランジスタの第1の極は、対応する電源入力端に接続され、前記駆動トランジスタの第2の極は、前記蓄積容量の第2の極と前記検出トランジスタの第1の極とに接続され、前記検出トランジスタのゲートは、対応する補償走査線に接続され、前記検出トランジスタの第2の極は、対応する補償検出信号端に接続されている。
【0015】
一部の実施例において、前記駆動トランジスタ、前記スイッチングトランジスタ、前記検出トランジスタはいずれもトップゲート型のトランジスタであり、前記蓄積容量の第1の極は、前記駆動トランジスタ、前記スイッチングトランジスタ、前記検出トランジスタの活性層と同じ層に設けられており、前記蓄積容量の第2の極は、前記遮光パターンである第1部分と、前記駆動トランジスタの第1の極と同じ層に設けられ、前記駆動トランジスタの第1の極と電気的に接続された第2部分とを含み、前記第1部分は前記第2部分と電気的に接続されている。
【0016】
一部の実施例において、前記表示基板は、複数の発光素子をさらに含み、前記発光素子は、前記画素駆動回路と一対一で接続されており、前記ベースから離れる方向に順次に積層された第1の電極、発光層、第2の電極を含み、前記蓄積容量の第2の極は、前記発光素子の第1の電極と同じ層に設けられ、前記第1部分と電気的に接続された第3部分をさらに含む。
【0017】
第二態様においては、本開示の第一態様における表示基板を含む表示装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本開示の実施例による表示基板における画素駆動回路の回路図である。
【
図2】
図2は、本開示の一部の実施例による表示基板の版図である。
【
図3】
図3は、本開示の他の一部の実施例による表示基板の版図である。
【
図4】
図4は、本開示の他の一部の実施例による表示基板の版図である。
【
図5】
図5は、本開示の他の一部の実施例による表示基板の版図である。
【
図6】
図6は、本開示の一部の実施例による画素駆動回路の版図である。
【
図7】
図7は、
図6に示すレイアウトにおけるAA線に沿った断面図である。
【符号の説明】
【0019】
100:ベース
DR1:第1方向
DR2:第2方向
1:画素駆動回路
VDD:電源線
Sense:補償検出線
Vdata:データ線
GL:ゲート線
P1:電源入力端
P2:補償検出信号端
P3:データ信号入力端
T1:駆動トランジスタ
T2:スイッチングトランジスタ
T3:検出トランジスタ
C1:蓄積容量
C2:発光素子の等価容量
D1:発光素子
BR1:電源ブリッジ線
BR2:補償検出ブリッジ線
BR3:第1の導電ブリッジ線
BR4:第2の導電ブリッジ線
VDDBUS:電源バス線
V1:第1ビア
V2:第2ビア
V3:第3ビア
V4:第4ビア
V5:第5ビア
V6:第6ビア
V7:第7ビア
V8:第8ビア
V9:第9ビア
V10:第10ビア
T1g:駆動トランジスタのゲート
Cb1:蓄積容量の第1の極の第1部分
Cb2:蓄積容量の第1の極の第2部分
Ca:蓄積容量の第2の極
T2g:スイッチングトランジスタのゲート
T2a:スイッチングトランジスタのゲート絶縁層
T2b:スイッチングトランジスタの活性層
【発明を実施するための形態】
【0020】
当業者が本開示の技術案をよりよく理解できるように、以下では図面及び具体的な実施形態を組み合わせて本開示についてさらに詳細に説明する。
【0021】
本開示において、2つの構造が「同じ層に設けられている」とは、両者が同一の材料層から形成されていることから、それらが積層関係において同じ層にあることをいい、ベースからの距離が等しいことを意味するものでも、ベースとの間の他の層構造と全く同一であることを意味するものでもない。
【0022】
本開示において、「パターニングプロセス」とは、特定のパターンを有する構造を形成するステップであり、例えば、フォトリソグラフィプロセスが挙げられる。フォトリソグラフィプロセスは、材料層の形成、フォトレジストの塗布、露光、現像、エッチング、フォトレジストの剥離などのステップのうちの1つ以上のステップを含む。当然ながら、パターニングプロセスは、インプリンティングプロセス、インクジェット印刷プロセスなどの他のプロセスであってもよい。
【0023】
図1~7を参照すると、本開示の実施例では、ベース100と、ベース100上に設けられた表示機能層と、を含む表示基板であって、表示機能層は、互いに交差する第1方向DR1及び第2方向DR2に配列された複数の画素駆動回路1と、第2方向DR2に延びる複数本の電源線VDDと、第2方向DR2に延びる複数本の補償検出線Senseと、第1方向DR1に延びる複数本のゲート線GLと、第2方向DR2に延びる複数本のデータ線Vdataと、第1方向DR1に延びる複数本の補償走査線(図示せず)と、を含み、電源線VDDと補償検出線Senseは交互に間隔をおいて設けられており、任意の隣接する1本の電源線VDDと1本の補償検出線Senseとの間には第2方向DR2に延びる2列の画素駆動回路1が設けられており、複数の画素駆動回路1のうちのいずれかの画素駆動回路1において、当該画素駆動回路1の電源入力端P1は、当該画素駆動回路1に最も近い1本の電源線VDDと電気的に接続されており、当該画素駆動回路1の補償検出信号端P2は、当該画素駆動回路1に最も近い1本の補償検出線Senseと電気的に接続されている、表示基板を提供する。
【0024】
当該表示基板は、具体的には、例えば、有機発光ダイオード表示基板であってもよいし、量子ドット発光ダイオード表示基板であってもよい。
【0025】
図1を参照すると、一部の実施例において、画素駆動回路1は、駆動トランジスタT1、スイッチングトランジスタT2、検出トランジスタT3及び蓄積容量C1を含み、スイッチングトランジスタT2のゲートは対応するゲート線GLに接続され、スイッチングトランジスタT2の第1の極は対応するデータ信号入力端P3に接続され、スイッチングトランジスタT2の第2の極は駆動トランジスタT1のゲート及び蓄積容量C1の第1の極に接続され、駆動トランジスタT1の第1の極は対応する電源入力端P1に接続され、駆動トランジスタT1の第2の極は蓄積容量C1の第2の極及び検出トランジスタT3の第1の極に接続され、検出トランジスタT3のゲートは対応する補償走査線に接続され、検出トランジスタT3の第2の極は対応する補償検出信号端P2に接続される。
【0026】
図1を参照すると、発光素子D1は、例えば有機発光ダイオード又は量子ドット発光ダイオードであり、その等価容量は、容量C2と表記される。
【0027】
他の一部の実施例において、画素駆動回路1は、より多くのトランジスタをさらに含んでもよい。例えば、発光素子D1が点灯するか否かを制御するために、電源入力端P1と駆動トランジスタT1の第1の極との間には発光制御トランジスタ(図示せず)が直列に接続されている。
【0028】
第1方向DR1は例えば行方向であり、第2方向DR2は例えば列方向である。以下ではいずれもこれを例に説明する。
【0029】
例えば、各ゲート線GLは、1行の画素駆動回路1におけるスイッチングトランジスタT2のゲートとそれぞれ電気的に接続され、各データ線Vdataは、1列の画素駆動回路1におけるスイッチングトランジスタT2の第1の極とそれぞれ電気的に接続され、ゲート線GLに有効電圧が印加されると、当該行の画素駆動回路1におけるスイッチングトランジスタT2がオンになり、各データ線Vdataは、当該行の画素回路における対応する駆動トランジスタT1のゲートにデータ電圧を書き込み、蓄積容量C1の第1の極に記憶する。
【0030】
例えば、各補償走査線は、1行の画素駆動回路1における検出トランジスタT3のゲートとそれぞれ電気的に接続され、各補償検出線Senseは、1列の画素駆動回路1における補償検出信号端P2とそれぞれ電気的に接続され、補償走査線に有効電圧が印加されると、当該行の画素駆動回路1における補償検出トランジスタT3がオンになり、各補償検出線Senseは、蓄積容量C1の第2の極の電圧を読み取るか又は蓄積容量C1の第2の極の電圧を補償することができる。
【0031】
図1を参照すると、蓄積容量C1の第2の極の電圧は、即ち発光ダイオードのアノード電圧である。
【0032】
図2を参照すると、本開示の実施例では、列方向に延びる1本の電源線VDDと、1列の画素駆動回路1と、2列のデータ線Vdataと、1列の画素駆動回路1と、1列の補償検出線Senseと、1列の画素駆動回路1と、2列のデータ線Vdataと、1列の画素駆動回路1とが行方向に順次に設けられており、これを周期として繰り返して設けられている。
【0033】
1本の電源線VDDは、当該電源線VDDに近い4列の画素駆動回路1に給電するものであり、「1対4」とも呼ばれる。
【0034】
1本の補償検出線Senseは、当該補償検出線Senseに近い4列の画素駆動回路1と電気的に接続され、行方向に隣接する4つの画素駆動回路1を同一タイミングで検出するか、又は行方向に隣接する4つの画素駆動回路1を同一タイミングで補償する。
【0035】
補償検出線Senseが画素駆動回路1をどのように検出するか又は補償するかは、従来技術によって設定され得る。
【0036】
1本のデータ線Vdataは、当該データ線Vdataに最も近い1列の画素駆動回路1にデータ電圧信号を供給する。
【0037】
電源線VDDの行方向の両側にはデータ線Vdataや補償検出線Senseが設けられていないため、それに対応して電源線VDDは、「1対4」の場合でも電圧降下を受け入れることができるように、太く設定できる。
【0038】
補償検出線Senseの行方向の両側にはデータ線Vdataや電源線VDDが設けられていないため、補償検出線Sense自体の等価抵抗に対する要求が高くないということを加えれば、さらに補償検出線Senseが4列の画素駆動回路1と電気的に接続され、補償検出線Senseの数は少なくなる。
【0039】
以上の2つの要因により、電源線VDDと補償検出線Senseの占める面積が減少し、表示解像度の向上に有利である。
【0040】
一部の実施例において、
図2を参照すると、隣接する1本の電源線VDDと1本の補償検出線Senseとの間に位置する2列の画素駆動回路1において、電源線VDDに近い列の画素駆動回路1のうちのいずれかの画素駆動回路1において、当該画素駆動回路1の電源入力端P1は、当該画素駆動回路1に最も近い1本の電源線VDDに直接接続されており、当該画素駆動回路1の補償検出信号端P2は、補償検出ブリッジ線BR2を介して当該画素駆動回路1に最も近い1本の補償検出線Senseに接続されており、補償検出線Senseに近い列の画素駆動回路1のうちのいずれかの画素駆動回路1において、当該画素駆動回路1の電源入力端P1は、電源ブリッジ線BR1を介して当該画素駆動回路1に最も近い1本の電源線VDDに接続されており、当該画素駆動回路1の補償検出信号端P2は、当該画素駆動回路1に最も近い1本の補償検出線Senseに直接接続されている。
【0041】
換言すると、電源線VDDは、当該電源線VDDに最も近い画素駆動回路1の電源入力端P1に直接接続され、次に近い画素駆動回路1とは電源ブリッジ線BR1を介して電気的に接続されており、補償検出線Senseは、当該補償検出線Senseに最も近い画素駆動回路1の補償検出信号端P2に直接接続され、次に近い画素駆動回路1とは補償検出ブリッジ線BR2を介して電気的に接続されている。
【0042】
もちろん、補償検出ブリッジ線BR2と補償検出線Senseは異なる層構造に属し、電源ブリッジ線BR1と電源線VDDは異なる層構造に属する。
【0043】
一部の実施例において、
図2を参照すると、隣接する1本の電源線VDDと1本の補償検出線Senseとの間に位置する2列の画素駆動回路1に対して、当該2列の画素駆動回路1の間には2本のデータ線Vdataが設けられており、当該2列の画素駆動回路1のうちのいずれかの画素駆動回路1において、当該画素駆動回路1のデータ信号入力端P3は、当該画素駆動回路1に最も近い1本のデータ線Vdataに接続されている。
【0044】
即ち、2本ずつのデータ線Vdataは2列ずつの画素駆動回路1の間に設けられることにより、行方向におけるデータ線Vdataの占有寸法をさらに小さくすることができる。
【0045】
もちろん、他の一部の実施例において、データ線Vdataは、行方向に1列の画素駆動回路1、1本のデータ線Vdataを周期として配置されてもよい。
【0046】
一部の実施例において、
図6と
図7を参照すると、表示基板における各画素は、ベース100と表示機能層との間に位置し、電源ブリッジ線BR1、補償検出ブリッジ線BR2と同じ層に設けられた遮光パターンCb1をさらに含み、電源ブリッジ線BR1は、対応する電源線VDD及び対応する電源入力端P1にビアを介して接続されており、補償検出ブリッジ線BR2は、対応する補償検出線Sense及び対応する補償検出信号端P2にビアを介して接続されている。
【0047】
遮光パターンは、ベース100側からの光を遮蔽するためのものであり、遮光パターン上の各トランジスタの活性層に光が照射されて特性が劣化することを防止するためのものである。
【0048】
このように、遮光パターン、電源ブリッジ線BR1、補償検出ブリッジ線BR2を同一のパターニングプロセスで形成することができ、当該表示基板の作製に必要なマスク版の数が増えることはない。
【0049】
一部の実施例において、任意の隣接する2本の電源線VDDは、第1方向DR1に延びる第1の導電ブリッジ線BR3を介して電気的に接続されている。
【0050】
これにより、電源線VDDの等価抵抗を下げることができる。
【0051】
第1の導電ブリッジ線BR3は独立した1層構造であってもよいし、表示基板における他の構造と同じ層に設けられていてもよい。
【0052】
一部の実施例において、表示基板は複数の発光素子D1をさらに含み、発光素子D1は、画素駆動回路1と一対一で接続されており、ベース100から離れる方向に順次に積層された第1の電極、発光層、第2の電極を含み、第1の導電ブリッジ線BR3は、第1の電極と同じ層に設けられている。
【0053】
発光層は、例えば有機発光層又は量子ドット発光層である。発光層と第1の電極及び第2の電極には、さらに正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層などが設けられてもよく、本開示はこれについて特に限定しない。
【0054】
これにより、第1の電極を形成するパターニングプロセスにおいて、第1の導電ブリッジ線BR3を同時に形成することができ、マスク版の数を減らすことができる。
【0055】
一部の実施例において、
図4を参照すると、任意の隣接する2本の補償検出線Senseは、第1方向DR1に延びる第2の導電ブリッジ線BR4を介して電気的に接続されている。
【0056】
これにより、補償検出線Senseの等価抵抗を下げることができる。
【0057】
第2の導電ブリッジ線BR4は独立した1層構造であってもよいし、表示基板における他の構造と同じ層に設けられていてもよい。
【0058】
一部の実施例において、表示基板は複数の発光素子D1をさらに含み、発光素子D1は、画素駆動回路1と一対一で接続されており、ベース100から離れる方向に順次に積層された第1の電極、発光層、第2の電極を含み、第2の導電ブリッジ線BR4は、第1の電極と同じ層に設けられている。
【0059】
これにより、第1の電極を形成するパターニングプロセスにおいて、第2の導電ブリッジ線BR4を同時に形成することができ、マスク版の数を減らすことができる。
【0060】
一部の実施例において、
図5を参照すると、電源線VDDの少なくとも一部の端部は、VDD線の抵抗を全体的に低減するために、複数本のVDD線の横方向の電気的接続を可能にする同一の電源バス線VDDBUSに接続されている。
【0061】
本発明の表示基板には1つ又は複数の電源バス線VDDBUSが設けられ、当該表示基板を駆動する駆動チップがこれらの電源バス線VDDBUSに可能な限り同一の電源電圧を供給する。
【0062】
このようにすると、電源線VDDの電圧の均一性を高めることができる。
【0063】
一部の実施例において、電源バス線VDDBUSはゲート線GLと同じ層に設けられる。
【0064】
即ち、ゲート線GLを形成するパターニングプロセスにおいて、電源バス線VDDBUSを同一材料層で同時に形成することにより、マスク版の数を増加させない。
【0065】
一部の実施例において、
図6と
図7を参照すると、駆動トランジスタT1、スイッチングトランジスタT2、検出トランジスタT3はいずれもトップゲート型のトランジスタであり、蓄積容量C1の第1の極Caは、駆動トランジスタT1、スイッチングトランジスタT2、検出トランジスタT3の活性層と同じ層に設けられており、蓄積容量C1の第2の極は、遮光パターンである第1部分Cb1と、駆動トランジスタT1の第1の極と同じ層に設けられ、駆動トランジスタT1の第1の極と電気的に接続された第2部分Cb2とを含み、第1部分と第2部分は、同一の電位を有するように電気的に接続されている。
【0066】
トップゲート型のトランジスタは即ち、ベース100から離れる方向に、活性層、ゲート絶縁層、ゲートの順に積層されたものである。
【0067】
図7を参照すると、スイッチングトランジスタT2のゲートT2gは、ゲート絶縁層T2aよりもベース100から遠く離れている。
【0068】
蓄積容量C1は、ベース100から離れる方向に、第1部分Cb1、第1の極Ca、第2部分Cb2の順で構成される。
【0069】
蓄積容量C1において、第2の極の第1部分Cb1と第1の極Caとの間には第1の等価容量が形成され、第2の極の第2部分Cb2と第1の極Caとの間には第2の等価容量が形成され、蓄積容量C1の容量値は第1の等価容量と第2の等価容量との和であるため、蓄積容量C1の容量値を大きくすることができ、各発光素子D1の発光輝度の安定性を高めることに有利である。
【0070】
詳細な接続関係は以下の通りである。スイッチングトランジスタT2の第1の極は第1ビアV1を介して対応するデータ線Vdataに電気的に接続され、スイッチングトランジスタT2の第2の極は第2ビアV2及び第3ビアV3を介して対応する駆動トランジスタT1のゲートT1gに電気的に接続されるとともに、第4ビアV4を介して対応する蓄積容量C1の第1の極Caに電気的に接続され、駆動トランジスタT1(
図6ではそのゲートT1gが表記されている)の一方の極は第5ビアV5を介して対応する電源線VDDに電気的に接続され、駆動トランジスタT1の他方の極は第6ビアV6を介して対応する蓄積容量C1の第2の極の第2部分Cb2に電気的に接続され、蓄積容量C1の第2の極の第1部分Cb1と第2部分Cb2は第7ビアV7を介して電気的に接続され、検出トランジスタT3の一方極は第8ビアV8及び第9ビアV9を介して対応する補償検出線Senseに電気的に接続され、検出トランジスタT3の他方の極は第10ビアV10を介して対応する蓄積容量C1の第2の極の第2部分Cb2に電気的に接続されている。
【0071】
一部の実施例において、表示基板は複数の発光素子D1をさらに含み、発光素子D1は、画素駆動回路1と一対一で接続されており、ベース100から離れる方向に順次に積層された第1の電極、発光層、第2の電極(いずれも図示せず)を含み、蓄積容量C1の第2の極は、発光素子D1の第1の電極と同じ層に設けられ、第1部分と電気的に接続された第3部分をさらに含む。
【0072】
発光素子D1の第1の電極は第2部分Cb2よりもベースから遠く離れている。
【0073】
さらに、蓄積容量C1の第2の極の第3部分とその第1の極Caとの間に第3の等価容量を形成することも可能であり、第3の等価容量は、前記第1の等価容量及び第2の等価容量と並列関係にあり、蓄積容量C1の等価容量値をさらに高めることができる。
【0074】
一部の実施例において、ベース100は、例えば、ガラスベース、石英ベース、サファイアベースなどの絶縁体ベースであり、また、例えば、シリコンベース、ゲルマニウムベース、炭化シリコンベース、リン化インジウムベースなどの半導体ベースであってもよい。もちろん、ベース100は、可撓性材料又は伸縮性材料、例えばポリエステル、ポリアミド、ポリイミドなどで形成されていてもよい。
【0075】
一部の実施例において、各トランジスタの活性層、例えばスイッチングトランジスタT2の活性層T2bの材料は、金属酸化物、シリコン(歪みシリコンを含む)、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウム、炭化シリコン、ガリウムヒ素、アルミニウムガリウムヒ素、インジウムリン、窒化ガリウム、又は有機半導体などであってよい。
【0076】
本実施例において、金属酸化物としては、インジウムとスズとを含む酸化物、タングステンとインジウムとを含む酸化物、タングステンとインジウムと亜鉛とを含む酸化物、チタンとインジウムとを含む酸化物、チタンとインジウムとスズとを含む酸化物、インジウムと亜鉛とを含む酸化物、シリコンとインジウムとスズとを含む酸化物、インジウムとガリウムと亜鉛とを含む酸化物などを用いることができる。
【0077】
金属酸化物は、インジウムInを含む酸化物半導体であってもよく、キャリア移動度(電子移動度)を向上させることができる。また、酸化物半導体は、元素Mを含むことが好ましい。元素Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウム又はスズなどであることが好ましい。元素Mとして用いることのできる他の元素としては、ホウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステンなどがある。なお、元素Mとして、上記の元素を複数組み合わせることも可能である。元素Mは、例えば、酸素との結合エネルギーが高い元素である。元素Mは、インジウムよりも酸素との結合エネルギーが高い元素である。又は、元素Mは、例えば、酸化物半導体のエネルギーギャップを広げる機能を有する元素である。また、金属酸化物は亜鉛Znを含むことが好ましく、酸化物半導体が亜鉛を含むと結晶化しやすい。実際に実施する場合、酸化物半導体は、インジウムを含む酸化物半導体に限定されず、亜鉛スズ酸化物やガリウムスズ酸化物など、インジウムを含まず、亜鉛、ガリウム又はスズを含む酸化物半導体などであってもよい。
【0078】
金属酸化物がIn-M-Zn酸化物の場合、InとMの和を100 atomic%としたとき、Inが50 atomic%未満、Mが50 atomic%以上であることが好ましい。金属酸化物は、エネルギーギャップの大きいものを用い、例えば、2.5 eV以上4.2 eV以下であり、好ましくは2.8 eV以上3.8 eV以下であり、より好ましくは3 eV以上3.5 eV以下である。好ましくは、金属酸化物は、インジウムIn、M、及び亜鉛Znを含む酸化物であり、Mは、アルミニウムAl、ガリウムGa、又はスズSnである。
【0079】
本実施例において、画素駆動回路内の3つのトランジスタの活性層の組成を同じ又はほぼ同じにすることができ、製造コストを低減することができる。本実施例はこれに限定されず、当該3つのトランジスタの活性層の組成が互いに異なっていてもよい。当該3つのトランジスタの活性層はいずれもInの原子百分率がMの原子百分率よりも大きい領域を有する場合、スイッチングトランジスタ及び駆動トランジスタの電界効果移動度を向上させることができる。具体的には、スイッチングトランジスタ及び駆動トランジスタの電界効果移動度の一方又は両方が10 cm2/Vsを超えてもよく、30 cm2/Vsを超えることが好ましい。例えば、上記電界効果移動度の高いトランジスタを、表示装置のゲート信号を生成するゲートドライバに用いると、当該表示装置の狭額縁化が可能となる。上記電界効果移動度の高いトランジスタを、表示装置が備える信号線からの信号を供給するソースドライバに用いると、表示装置に接続される配線の数を減らすことができる。上記電界効果移動度の高いトランジスタを、表示装置が備える画素回路のトランジスタに用いると、表示装置の表示品質を向上させることができる。
【0080】
さらに、本実施例の金属酸化物は、単層であってもよいし、2層以上であってもよい。金属酸化物が2層である場合、第1の酸化物層と第2の酸化物層とが積層された構造を有する。第2の酸化物層は、第1の酸化物層よりも導電性が低く、第1の酸化物層よりもバンドギャップが大きい。第1の酸化物層は、電子が移動するメインチャネル層であってよいため、各トランジスタのゲートに近づけて設けられ得る。金属酸化物が単層の場合、酸化インジウムガリウム亜鉛IGZO材料を用いることが好ましい。
【0081】
本実施例において、金属酸化物の一部がトランジスタの活性層として機能し、他の一部が蓄積容量の一方の極として機能するため、導体化処理を行う際に、一方で、異なるサブ画素のチャネル方向及び形状の区別を実現し、異なるアスペクト比設計に対応することができ、例えば、スイッチングトランジスタの活性層及び駆動トランジスタの活性層の幅を設計することによって、スイッチングトランジスタのチャネル幅のアスペクト比を駆動トランジスタのチャネル幅のアスペクト比よりも小さくすることができる。他方では、金属酸化物は、異なる電気特性の要求に対応するために、1つのサブ画素内の異なる領域において異なる成分含有量を有することができる。
【0082】
上述した導体化処理とは、各トランジスタのゲートのパターンを形成した後、これらのゲートをマスクとしてプラズマ処理を行い、対応する領域の金属酸化物を導体化層に処理するものである。金属酸化物は、各トランジスタのゲートと重なる領域を含み、トランジスタのチャネル領域としての第1領域と、第1領域に隣接する領域、即ち、各トランジスタのゲートに隣接するがこれらのゲートに覆われていない領域であって、トランジスタのソースドレイン領域としての第2領域と、蓄積容量のプレート領域を含む第3領域との3つの領域に分けることができる。本実施例において、3つの領域における酸化インジウムガリウム亜鉛IGZOの成分は異なっている。本実施例において、前記第1領域の酸素含有量は30~50 atomaic%の範囲内にあり、前記第2領域の酸素含有量は50~60 atomaic%の範囲内にあり、前記第3領域の酸素含有量は60~70 atomaic%の範囲内にある。好ましくは、第1領域におけるIGZOの酸素含有量は第2領域におけるIGZOの酸素含有量よりも小さく、第2領域におけるIGZOの酸素含有量は第3領域におけるIGZOの酸素含有量よりも小さい。第1領域におけるIGZOの亜鉛含有量は第2領域におけるIGZOの亜鉛含有量よりも大きく、第2領域におけるIGZOの亜鉛含有量は第3領域におけるIGZOの亜鉛含有量よりも大きく、さらに、前記第1領域における酸素元素と亜鉛元素の原子比O/Znは第2領域におけるO/Znよりも小さく、前記第2領域におけるO/Znは第3領域におけるO/Znよりも小さい。また、第1領域における酸化物は主に半導体の特性であり、本発明者は、In元素の含有量を増加させることにより、キャリア濃度を著しく増加させることができるということを見出し、第1領域におけるキャリア濃度を増加させてトランジスタの駆動能力を高めるために、第1領域におけるIn原子含有量は第2領域におけるIn原子含有量よりも大きく、さらに、第2領域におけるIn原子含有量は第3領域におけるIn原子含有量よりも大きい。
【0083】
下記表は、3つの領域における酸化インジウムガリウム亜鉛IGZOの成分の例を示しており、Weight%は酸化物中の元素の割合を示し、Atomic%は酸化物中の当該元素の原子パーセンテージを示している。
【0084】
【0085】
ここで、第1領域は3つのトランジスタのうち少なくとも1つのトランジスタのチャネル領域であり、第2領域は3つのトランジスタのうち少なくとも1つのトランジスタのソースドレイン領域であり、第3領域は蓄積容量のプレート領域である。上記表に示すように、IGZOには酸素O、亜鉛Zn、ガリウムGa、インジウムInなどの元素が含まれており、第1領域はゲート電極の遮蔽によりプラズマ処理されておらず、各元素O:Zn:Ga:Inの重量相対含有量は11.82:25.68:28.38:34.12、原子相対含有量は40.24:21.40:22.18:16.18であった。第3領域は遮蔽されておらずプラズマ処理が行われたため、各元素O:Zn:Ga:Inの重量相対含有量は23.35:18.72:25.66:32.24、原子相対含有量は60.94:11.95:15.37:11.72であった。プラズマ処理を行うことにより、第3領域におけるIGZO中の酸素の重量及び原子含有量は大きく増加し、亜鉛Znの重量及び原子含有量は減少し、IGZOの導電性が向上する。第2領域はゲート電極により遮蔽されていないが、ゲート電極に隣接する領域であるため、ゲート電極の影響を受けて第2領域におけるIGZO中の酸素の重量及び原子含有量は第3領域よりも低く、亜鉛Znの重量及び原子含有量は第3領域よりも高いため、第2領域におけるIGZOの導電性は第3領域におけるIGZOの導電性よりも低い。
【0086】
第3領域における金属酸化物層は蓄積容量の第1の極として機能するため、良好な導電特性、即ちより優れた導体化が要求される。ゲート電極をマスクとして用いてプラズマ処理を行う場合、理論上はゲート電極から遠い領域ほどその導体化の度合いが良好であり、導電特性に優れる。よって、本実施例において、第3領域における金属酸化物層(キャパシタプレートCa)と駆動トランジスタゲート電極T1gとの間の最小距離はL1よりも大きく、キャパシタプレートCaとスイッチングトランジスタゲート電極T2gとの間の最小距離はL2よりも大きく、キャパシタプレートCaと検出トランジスタゲート電極T3gとの間の最小距離はL3よりも大きいというように設けられ、L1は駆動トランジスタゲート電極T1gの幅であり、L2はスイッチングトランジスタゲート電極T2gの幅であり、L3は検出トランジスタゲート電極T3gの幅である。よって、第3領域における金属酸化物層のプラズマ処理は、駆動トランジスタゲート電極T1g、スイッチングトランジスタゲート電極T2g、検出トランジスタゲート電極T3gの影響を受けない。なお、上記距離は基板に垂直な方向での両者の距離であり、また、変形例として、高解像度バックプレート設計の必要から、上記第3領域における金属酸化物層(Ca)と駆動トランジスタゲート電極T1gとの間の最小距離はL1より大きく、キャパシタプレートCaとスイッチングトランジスタゲート電極T2gとの間の最小距離はL2より大きく、キャパシタプレートCaと検出トランジスタゲート電極T3gとの間の最小距離はL3より大きく、この3つの設計は、これらのうち2つの場合又は1つの場合を満たすことができる。また、キャパシタプレートCaと第1の電極及び第2の電極との重なりパターンが上記関係を満たすことをより優先的に考慮して設計することができる。L1は駆動トランジスタゲート電極T1gの幅であり、L2はスイッチングトランジスタゲート電極T2gの幅であり、L3は検出トランジスタゲート電極T3gの幅である。よって、第3領域における金属酸化物層のプラズマ処理は、駆動トランジスタゲート電極T1g、スイッチングトランジスタゲート電極T2g及び検出トランジスタゲート電極T3gから受ける影響が少なく、第3領域における金属酸化物層の導体化の度合いを最大限に高めることができる。
【0087】
一部の実施例において、各トランジスタのゲート絶縁層などの絶縁構造、例えば、スイッチングトランジスタT2のゲート絶縁層T2aの材料は、シリコン酸化物SiOx、シリコン窒化物SiNx、シリコン酸化窒化物SiONなどを用いてもよく、酸化アルミニウムAlOx、酸化ハフニウムHfOx、酸化タンタルTaOx、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ガリウム、酸化マグネシウム、酸化ランタン、酸化セリウム、酸化ネオジムなどを用いてもよい。ここで、第1の絶縁層の厚さは3000~5000オングストロームであり、ゲート絶縁層の厚さは1000~2000オングストロームであり、第2の絶縁層の厚さは4500~7000オングストロームである。
【0088】
一部の実施例において、電源線VDD、補償検出線Sense、データ線Vdata、ゲート線GL、電源ブリッジ線BR1、補償検出ブリッジ線BR2などの配線の材料は、合金又は化合物を使用することができ、アルミニウムを含む導体、銅及びチタンを含む導体、銅及びマンガンを含む導体、インジウム、スズ及び酸素を含む導体、チタン及び窒素を含む導体などを使用することもできる。これらの配線の材料としては、例えば、クロムCr、金Au、亜鉛Zn、銀Ag、銅Cu、アルミニウムAl、モリブデンMo、タンタルTa、チタンTi、タングステンW、マンガンMn、ニッケルNi、鉄Fe、コバルトCoなど、又はこれらの金属元素を成分として含む合金、又はこれらの金属元素の組み合わせを含む合金など、例えば、アルミニウムネオジム合金AlNd、モリブデンニオブ合金MoNbなどであり、Mo/Cu/Moなどの多層金属であってもよい。好ましくは、Cu-X合金膜(Xは、Mn、Ni、Cr、Fe、Co、Mo、Ta、又はTi)を用いる。Cu-X合金膜を用いることで、ウェットエッチング工程により薄膜を加工できるため、製造コストを低減できる。さらに好ましくは、Cu-Mn合金膜を用いる。ここで、第1の金属層の厚さは800~1200オングストロームであり、ゲート金属層の厚さは3000~5000オングストロームであり、第2の金属層の厚さは3000~9000オングストロームである。
【0089】
本開示の実施例は、上述した表示基板を含む表示装置をさらに提供する。
【0090】
当該表示装置は、具体的には、例えば、有機発光ダイオード表示パネル、量子ドット発光ダイオード表示パネル、携帯電話、コンピュータなどの任意の表示機能を有する製品又は部品である。
【0091】
有機発光ダイオード表示パネルにおける有機発光ダイオードは、アノード電極、正孔輸送層、有機発光層、電子輸送層及びカソード電極を含んでもよい。
【0092】
量子ドット発光ダイオード表示パネルにおける量子ドット発光ダイオードは、アノード電極、量子ドット発光層、カソード電極を含んでもよい。
【0093】
以上の実施形態は、本開示の原理を説明するために用いた例示的な実施形態にすぎず、本開示はこれらに限定されないと理解されたい。当業者にとって、本開示の精神と実質的な状況を逸脱しない範囲で種々の変形と改良が可能であり、それらの変形と改良も本開示の請求範囲と見なされる。