(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】グロメット
(51)【国際特許分類】
H02G 3/22 20060101AFI20240416BHJP
H01B 17/58 20060101ALI20240416BHJP
F16L 5/00 20060101ALI20240416BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
H02G3/22
H01B17/58 C
F16L5/00 J
B60R16/02 622
(21)【出願番号】P 2022062326
(22)【出願日】2022-04-04
【審査請求日】2023-08-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】花島 学
【審査官】北嶋 賢二
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-166449(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/22
H01B 17/58
F16L 5/00
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤハーネスが挿通される小径筒部と、
前記小径筒部の先端に形成されて前記ワイヤハーネスをパネルの内側へ引き出すハーネス引出口と前記パネルに形成された取付孔に嵌め込まれる環状の取付凹部とを有する大径筒部と、
前記大径筒部のハーネス引出
口がある下側の周縁の中央に内側の下方へ垂直に突出するように形成され、前記ワイヤハーネスの配索経路を左右両側のいずれか一方の側に振り分けて規制するハーネス規制部と、
を備
え、
前記ハーネス規制部は、厚肉の矩形板状に形成され、先端部にテープ位置決めリブを有した固定片を兼ねており、
前記左右両側のいずれか一方の側に振り分けられた前記ワイヤハーネスは、前記固定片を兼ねた前記ハーネス規制部に粘着テープのテープ巻きによって固定される
グロメット。
【請求項2】
前記パネルはドアパネルであり、
前記ドアパネルの内側への前記ワイヤハーネスの配索経路を前記ハーネス規制部で左右方向に振り分けて規制する、請求項1に記載のグロメット。
【請求項3】
前記ドアパネルが運転席側のサイドドア用の場合、前記ハーネス規制部により前記大径筒部から前記小径筒部に向かって見たとき
に左側に前記ワイヤハーネスを振り分けて配索する、請求項2に記載のグロメット。
【請求項4】
前記ドアパネルが助手席側のサイドドア用の場合、前記ハーネス規制部により前記大径筒部から前記小径筒部に向かって見たとき
に右側に前記ワイヤハーネスを振り分けて配索する、請求項2に記載のグロメット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のドアに取り付けられるグロメットに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の車体とドアとの間には、車両の各所に設けられた複数の電気部品に電力を供給したり、複数の電気部品の電気信号を伝達するためのワイヤハーネスが配索されている。そして、ドアのパネルには、ワイヤハーネスを挿通させたグロメットが装着されてワイヤハーネスを保護している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来のグロメットでは、グロメットからドア内へ引き出されたワイヤハーネスが周辺部品に干渉しないように別部品でワイヤハーネスの配索経路を規制しているため、その分、部品点数及び取付工数が増えてコスト高であった。
【0005】
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして本発明の目的は、部品点数及び取付工数を削減することができ、1部品でワイヤハーネスの配索経路を簡単かつ低コストで規制することができるグロメットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様に係るグロメットは、ワイヤハーネスが挿通される小径筒部と、前記小径筒部の先端に形成されて前記ワイヤハーネスをパネルの内側へ引き出すハーネス引出口と前記パネルに形成された取付孔に嵌め込まれる環状の取付凹部とを有する大径筒部と、前記大径筒部のハーネス引出口の周縁から外側へ突出するように形成され、前記ワイヤハーネスの配索経路を左右両側のいずれか一方の側に振り分けて規制するハーネス規制部と、を備えるものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、部品点数及び取付工数を削減することができ、1部品でワイヤハーネスの配索経路を簡単かつ低コストで規制することができるグロメットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係るグロメットをドアパネルに取り付けた状態の一例を示す側面図である。
【
図2A】運転席側のサイドドアのドアパネルに装着されたグロメットをドア内から見た斜視図である。
【
図2B】助手席側のサイドドアのドアパネルに装着されたグロメットをドア内から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて本発明の実施形態に係るについて詳細に説明する。
【0010】
図1は本発明の実施形態に係るグロメットをドアパネルに取り付けた状態の一例を示す斜視図である。
図2Aは運転席側のサイドドアのドアパネルに装着されたグロメットをドア内から見た斜視図である。
図2Bは助手席側のサイドドアのドアパネルに装着されたグロメットをドア内から見た斜視図である。
【0011】
図1に示すように、グロメット10は、複数本の電線Hを束ねた電線束からなるワイヤハーネスW/Hに装着されるものであり、ゴムまたはエラストマー等の弾性材料によって一体成形されている。
【0012】
そして、グロメット10は、ドアパネル(パネル)Pに装着される大径筒部11と、ワイヤハーネスW/Hが挿通される蛇腹形状の小径筒部15と、を備えている。この大径筒部11は、一対の長辺側壁11aと一対の短辺側壁11bを有した正面視で長円形状の筒からなり、その外周の中央には、ドアパネルPに形成された取付孔Hに嵌め込まれる環状の取付凹部12を有する。また、大径筒部11の下側の短辺側壁11b寄りの位置には、ワイヤハーネスW/HをドアパネルPの内側へ引き出すハーネス引出口13が偏心して開口されている。このハーネス引出口13の後端部に小径筒部15の先端15aが一体に形成されている。
【0013】
また、大径筒部11のハーネス引出口13がある下側の短辺側壁(周縁)11bの中央には、ワイヤハーネスW/Hの配索経路Kを左右両側のいずれか一方の側に振り分けて規制するハーネス規制部14が内側の下方へ垂直に突出するように一体形成されている。このハーネス規制部14は、厚肉の矩形板状に形成され、先端部にテープ位置決めリブ14aを有した固定片を兼ねており、ドアパネルPのドア内に配索されたワイヤハーネスW/Hの配索経路Kを左右方向に振り分けて規制するものである。左右両側のいずれか一方の側に振り分けられたワイヤハーネスW/Hは、固定片を兼ねたハーネス規制部14に粘着テープTのテープ巻きによって固定されるようになっている。
【0014】
図1、
図2A、
図2Bに示すように、ハーネス規制部14は、グロメット10がゴムまたはエラストマー等の弾性材料の柔らかいもので形成されているため、ワイヤハーネスW/Hの剛性に負けない形状・太さに設定されている。また、ハーネス規制部14は、ハーネス引出口13の真下の下側の短辺側壁11bの中央に突設されている。この中央の突設により、1部品のグロメット10で、
図2Aに示すドアパネルPが運転席側のサイドドアRSD用の場合と、
図2Bに示すドアパネルPが助手席側のサイドドアLSD用の場合の両方に使用することができるようなっている。つまり、グロメット10は、運転席側のサイドドアRSD用と助手席側のサイドドアLSD用に共通化されている。
【0015】
以上実施形態のグロメット10によれば、
図2Aに示すように、ドアパネルPが運転席
側のサイドドアRSD用の場合、ハーネス規制部14により大径筒部11から小径筒部1
5に向かって見たとき
に左側にワイヤハーネスW/Hが振り分けられて配索される。この
右側に振り分けられたワイヤハーネスW/Hは、固定片を兼ねたハーネス規制部14に粘
着テープTのテープ巻きによって固定される。
【0016】
また、
図2Bに示すように、ドアパネルPが助手席側のサイドドアLSD用の場合、ハ
ーネス規制部14により大径筒部11から小径筒部15に向かって見たとき
に右側にワイ
ヤハーネスW/Hが振り分けられて配索される。この左側に振り分けられたワイヤハーネ
スW/Hは、固定片を兼ねたハーネス規制部14に粘着テープTのテープ巻きによって固
定される。
【0017】
このように、グロメット10自体にワイヤハーネスW/Hの配索経路Kを左右のいずれかに振り分けて規制するハーネス規制部14を設けたことで、ドア内にワイヤハーネスW/Hを配索する場合に、部品点数及び取付工数を削減することができる。すなわち、1部品のグロメット10でワイヤハーネスW/Hの配索経路Kを簡単かつ低コストで規制することができる。このワイヤハーネスW/Hの配索経路Kを規制できることにより、例えば、ドア内に配設されたドアリインホースメント(Door Reinforcement)等の干渉物となる周辺部品を避けてワイヤハーネスW/Hを簡単かつ確実に配索することができる。
【0018】
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【0019】
すなわち、前記実施形態によれば、ハーネス規制部を厚肉の矩形板状に形成したが、ハーネス規制部を大径の円柱形状に形成しても良い。また、ハーネス規制部を大径筒部の短辺側壁に一体突出形成したが、グロメットインナを設けてそこに一体でハーネス規制部を設けても良い。
【符号の説明】
【0020】
10 グロメット
11 大径筒部
11b 短辺側壁(周縁)
12 環状の取付凹部
13 ハーネス引出口
14 ハーネス規制部
14a テープ位置決めリブ
15 小径筒部
15a 先端
W/H ワイヤハーネス
P ドアパネル(パネル)
K 配索経路
RSD 運転席側のサイドドア
LSD 助手席側のサイドドア
T 粘着テープ