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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】風向風速測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01P 13/00 20060101AFI20240416BHJP
【FI】
G01P13/00 E
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022105720
(22)【出願日】2022-06-30
(65)【公開番号】P2024005516
(43)【公開日】2024-01-17
【審査請求日】2023-01-25
(73)【特許権者】
【識別番号】391016358
【氏名又は名称】東芝情報システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100074147
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 崇
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】太田 和男
【審査官】榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第03/067265(WO,A1)
【文献】特開平6-148218(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01P 13/00 - 13/04
G01P 5/00 - 5/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元空間の1点を中心として設けられ、前記中心を含む水平面より上方または下方の天空面の任意の位置へ向いた状態で、前記中心において任意の方向に可動に設置された可動部と、
前記可動部と対向する前記天空面側に配置され、前記天空面を区分して各区分を識別する区分識別情報が記載された構成を有する固定部と、
前記可動部に取り付けられ、受けた風に応じて前記可動部を動かす風受部と、
前記風受部により前記可動部が動かされたときに前記固定部から前記区分識別情報を取得してこの区分識別情報を風向情報と風速情報に変換する風向風速変換部と
具備し、
前記可動部は、前記固定部に記載された前記区分識別情報を撮像し、この区分識別情報の画像を取得するカメラを有することを特徴とする風向風速測定装置。
【請求項2】
前記風向風速変換部は、前記カメラにより得られた区分識別情報の画像に対し文字認識を行う文字認識部を有することを特徴とする請求項1に記載の風向風速測定装置。
【請求項3】
前記区分識別情報は、数字であることを特徴とする請求項1に記載の風向風速測定装置。
【請求項4】
前記区分識別情報のそれぞれに風向情報と風速情報が対応付けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の風向風速測定装置。
【請求項5】
前記風向風速変換部は、数字に対し、風向と風速に対し、一定の規則で数字を割り当てた情報を有し、この情報を用いて風向情報と風速情報を得ることを特徴とする請求項3に記載の風向風速測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、風向風速測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、風向風速測定装置としては、所謂飛行機型の装置が知られている。この飛行機型の風向風速測定装置は、プロペラにより風速を計測し、飛行機の尾翼により風向を計測するもので、計測が2系統となっている。また、風向風速測定装置としては、超音波やレーザー式による測定装置も知られている。しかしながら、これらの装置は複数のセンサを組み合わせて利用する構成を備えるものである。
【0003】
特許文献1には、簡易な装置構成により風向風速を精度よく測定する測定方法及び装置が示されている。この装置は、台板に一端が固定して取り付けられ、上記台板に垂直方向に延びる棒状材を備え、この棒状材の自由端を撮像する位置にカメラを配設している。そして、上記棒状材の曲げ変形による中立位置からの自由端の変位を上記カメラCでの撮像により得られた画像の解析により求め、これから風向、風速を求めるものである。
【0004】
上記装置において、棒状材は1本の円柱状のものとし、先端に軸対称回転体形状の付加部材を取り付けてもよい。そして、薄板状の棒状材を水平台板上の2方向に沿って配置する形態としてもよく、また、直方体形状の台部の各直交する3つの面にそれぞれ棒状材を配置し3次元方向の風向風速を求めることができる。
【0005】
特許文献2には、風の垂直成分と水平成分の双方を測定でき、また、応答性、視認性に優れる風向計が示されている。この風向計は、円板状の基台と、該基台の中央から鉛直に立設された支柱と、該支柱の上端に連結された所定の長さの糸と、該糸の端部に連結された中空体を備える。上記中空体は、膜体と、この膜体の内部に充填された気体とから構成されている。また、中空体は細長状に形成され、風に追従して移動し易いように、上記中空体の長手方向の端部に糸が連結されている。
【0006】
上記において気体としては、空気よりも比重が小さいヘリウム等が用いられ、この気体による浮力と、糸と膜体の重量とがほぼ等しいように設定されている。気体を膜体に充填した後、糸と膜体の重量とほぼ等しい浮力が生じるように、膜体に粘着テープ等の重りが取着される。
【0007】
上記特許文献1の装置では、台板に取り付けられた棒の先端に球のようなものを取り付けた状態のものをカメラで撮影し、球が動いた方向と動いた距離によって風向風速を測定するものであるが、先端の球を画像解析で判別して位置を算出する必要がある。
【0008】
また、特許文献2の発明は、鉛直に立設された支柱の上端に連結された糸の端部に気体が内部に充填された膜体からなる細長状の中空体が連結されて構成された風向計であり、これは風に追随する中空体の移動により風向を判別するものであるが、視認による風向確認であり正確な方向を把握することは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2016-133433号公報
【文献】特開平10-48237号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上記の如き従来の風向風速測定装置が有する問題点に鑑みなされたもので、その目的は、風向風速を一つの手段によって取得可能な風向風速測定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の実施形態に係る風向風速測定装置は、三次元空間の1点を中心として設けられ、前記中心を含む水平面より上方または下方の天空面の任意の位置へ向いた状態で、前記中心において任意の方向に可動に設置された可動部と、前記可動部と対向する前記天空側に配置され、測定時に前記可動部が向いている前記天空面における位置の位置情報を取得するための固定部と、前記可動部に取り付けられ、受けた風に応じて前記可動部を動かす風受部と、前記風受部により前記可動部が動かされたときに前記可動部または前記固定部から前記位置情報を取得してこの位置情報を風向情報と風速情報に変換する風向風速変換部とを具備することを特徴とする。
【0012】
本発明の実施形態に係る風向風速測定装置では、前記固定部は、前記天空面を区分して各区分を識別する区分識別情報が記載された構成を有し前記可動部は、前記固定部に記載された前記区分識別情報を撮像し、この区分識別情報の画像を取得するカメラを有することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明における風向風速測定装置に係る第1の実施形態の正面図。
図2図1の要部正面図。
図3】本発明における風向風速測定装置に係る第1の実施形態についての第1の変形例の正面図。
図4】本発明における風向風速測定装置に係る第1の実施形態についての第2の変形例の正面図。
図5】本発明における風向風速測定装置に係る第1の実施形態についての要部の第1例の正面図。
図6】本発明における風向風速測定装置に係る第1の実施形態についての要部の第2例の正面図。
図6A】本発明における風向風速測定装置に係る第1の実施形態についての要部の第3例の正面図。
図7】本発明における風向風速測定装置に係る第1の実施形態についての要部である測定装置の構成図。
図8】本発明における風向風速測定装置に係る実施形態についての要部である光電変換部の概略構成図。
図9図8の要部の拡大図。
図10図9の要部の拡大図。
図11】本発明における風向風速測定装置に係る実施形態についての要部である変換テーブルの構成図。
図12】本発明における風向風速測定装置に係る第1の実施形態の動作を示すフローチャート。
図13】本発明における風向風速測定装置に係る第2の実施形態の要部正面図。
図14】本発明における風向風速測定装置に係る第2の実施形態に用いられるイメージセンサの受光面と風向風速を求めるための座標値との関係を示す平面図。
図15】本発明における風向風速測定装置に係る第2の実施形態の動作を示すフローチャート。
図16】本発明における風向風速測定装置に係る第3の実施形態の要部正面図。
図17】本発明における風向風速測定装置に係る第3の実施形態についての要部である区分識別情報記載面の構成図。
図18図17の要部拡大図。
図19図18の要部拡大図。
図20】本発明における風向風速測定装置に係る第3の実施形態についての文字認識処理の動作を示す図。
図21】本発明における風向風速測定装置に係る第2の実施形態についての要部である測定装置の構成図。
図22】本発明における風向風速測定装置に係る第3の実施形態の動作を示すフローチャート。
図23】本発明における風向風速測定装置に係る第4の実施形態についての要部である測定装置の構成図。
図24】本発明における風向風速測定装置に係る第4の実施形態についての要部である光電変換部の概略構成図。
図25】本発明における風向風速測定装置に係る第4の実施形態についての要部である変換テーブルの構成図。
図26】本発明における風向風速測定装置に係る第4の実施形態の動作を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下添付図面を参照して、本発明に係る風向風速測定装置の実施形態を説明する。各図において同一の構成要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。図1に本発明における風向風速測定装置に係る第1の実施形態の正面図を示し、図2にその要部正面図を示す。この風向風速測定装置は、球殻体100に、その構成の殆どを備えている。球殻体100は、樹脂や金属などによって構成される。球殻体100は透明や半透明などであっても良く、ガラスであっても良い。これは、検出波長が可視光域の場合、光の強さが外乱光よりも強力な場合である。また、検出波長が非可視光(紫外線、赤外線)であれば可視光で透明でも、その波長域では不透明なものがある。すなわち、光の波長を変えることで実施可能となる。更に、ここでは、球殻体100を用いたが、球に限らず、あらゆる形状の筐体を採用することができる。
【0016】
三次元空間の球殻体100の中心部分には、可動部110が設けられている。即ち、球殻体100の中心を通る平面には、支持板120が固定的に設けられている。支持板120は、円盤状であっても、また、両端が球殻に当接して固定される円弧の縁を有する板状のものであっても良い。支持板120の中央には、可動部110を任意の方向に可動(ここでは、回転可能)に保持するベアリング状の軸受部130が設けられている。即ち、可動部110中心部は円筒状であり、可動部110の先端110Aは、球殻体100に設けられた支持板120を含む円形水平面より上方または下方の天空球殻面の任意の位置と対向するように回転可能に設置されている。図1図2に示した実施形態では、可動部110における上方側の先端110Aは、球殻体100に設けられた支持板120を含む円形水平面より上方の天空球殻面の任意の位置と対向するように回転可能に設置されている。これに対し、図3図4に示す実施形態では、可動部110における下方側の先端110Aが、球殻体100に設けられた支持板120を含む円形水平面より下方の天空球殻面の任意の位置と対向するように回転可能に設置されている。
【0017】
可動部110には、受けた風に応じて上記可動部110を回転させる風受部160が取り付けられている。風受部160は、短冊状の紙や布などによって構成することができる。より詳細には、可動部110の後端部110Bには、例えばリング111が取り付けられており、このリング111には紐や細棒により構成される連結部112が取り付けられ、連結部112のリング111側とは逆の端部には、上記風受部160が取り付けられている。図3の例では、風受部160は、ゴム製などの球状のバルーンによって構成することが示されている。
【0018】
球殻体100において、球殻体100に設けられた支持板120を含む円形水平面より下方の天空球殻面側の球殻の一部が切欠されており、この切欠された部分には円形の開口部170が形成されている。連結部112と風受部160とは、開口部170を介して球殻体100の外側に存在している。上記可動部110は、開口部170を介して球殻体100の内側に存在している。
【0019】
以上の構成によって、図1に示すように、風による気流が風受部160に当り、風受部160がD方向へ移動すると、これに応じて連結部112の下部が移動する。連結部112は、可動部110を軸受部130の中心を回転中心として回転させる。風受部160がD方向へ移動すると、可動部110の先端部110Aが上記回転中心を中心として回転し、移動方向はD方向とは逆方向となる。
【0020】
上記可動部110と対向する上記天空球殻面側には固定部150が配置されている。図2において、可動部110が円筒形や棒状であるとして、風を受けて可動部110が移動し、先端部110Aから天空球殻面へ向かって延びる直線が固定部150とぶつかる点を点Eとする。風がないときの上記中心線が先端部110Aから天空球殻面へ向かって延びる直線が固定部150とぶつかる点を点Sとする。可動部110の先端部110Aが移動する向きと可動部110の後端部110Bが移動する向きとは、逆であり、点Sと点Eを結ぶ図示しない線分SEの方向が風の方向であり、線分SEの長さが風速に対応する。本実施形態の風向風速測定装置では、上記点Eの位置情報を上記可動部110または上記固定部150から取得する。本実施形態においては、固定部150は、球殻体100における上記可動部110が対向している位置情報を取得するか与えるかするものである。
【0021】
固定部150は、図5に示すように、メッシュ状に複数の光電変換素子51が並べられて配列された光電変換部50により構成されている。この光電変換部50の表面は、図5では平面に構成されているが、図6に示すように光電変換部50の表面は、曲面または段差面で構成されていても良く、図6Aに示すように、半球面に構成されていても良い。上記可動部110の先端部110Aは、図5図6図6Aに示すように、上記光電変換部50へ向けて光を射出する光射出部31となっている。光射出部31は、例えば円筒状の本体内にLEDなどの光源とバッテリなどの駆動源を含むもので、光射出部31から射出された光は光電変換部50の1つの光電変換素子51の面に集光する光束となるように構成されている。集光のため、光射出部31の本体内にレンズなどの光学機構を備えていても良い。
【0022】
支持板120には、風向風速変換部210などの測定装置200が備えられている。測定装置200の風向風速変換部210は、上記風受部160により上記可動部110が回転されたときに上記可動部110または上記固定部150から上記位置情報を取得してこの位置情報を風向情報と風速情報に変換するものである。本実施形態では、上記固定部150から上記位置情報を取得する。
【0023】
図7には、風向風速変換部210を含む測定装置200の構成例が示されている。即ち、測定装置200は、CPU10を中心とするコンピュータの構成を有する。CPU10
には、CPU10が用いるプログラム等が記憶される主メモリ11が接続されている。また、CPU10には、バス12を介して入力ポート13と出力ポート14、更に、外部記憶インタフェース15が接続されている。
【0024】
入力ポート13には、光電変換部50が接続されている。これにより、CPU10は、上述の位置情報を取り込むことができる。出力ポート14には、無線通信部16が接続されている。CPU10は、上記位置情報を変換して得た風向情報と風速情報を出力ポート14から無線通信部16を介して送信することができる。
【0025】
本実施形態に係る風向風速測定装置には、無線通信部21を備えた、LEDやLCDによる表示装置20が設けられている。この表示装置20は、無線通信部16から送られてくる風向情報と風速情報を自らの無線通信部21において受信し、表示情報へ変換して風向と風速を表示する。
【0026】
上記外部記憶インタフェース15には、外部記憶装置17が接続されている。外部記憶装置17には、CPU10が位置情報を風向情報と風速情報に変換するための変換テーブルが記憶されている。この変換テーブルの構成の前提である光電変換部50と風向風速の関係を説明する。
【0027】
図8に示すように、風向は、円を中心Oから22.5度毎の線により区分し、右回りで、「北」、「北北東」、「北東」、「東北東」、「東」、「東南東」、「南東」、「南南東」、「南」、「南南西」、「南西」、「西南西」、「西」、「西北西」、「北西」、「北北西」の風向情報が割り当てられている。この図8の円形の部分が光電変換部50となっており、メッシュ状に複数の光電変換素子51が並べられて配列された構成されている。光電変換部50は固定部150の全部または一部である。光電変換部50について、例えば、「北」を中心とした22.5度の扇型の領域を示すと、図9のようである。光電変換部50について、例えば、「北」を中心とした22.5度の扇型の領域を半径方向に5分割(5区分)して、最も中心から遠い円弧の部分を風速50mとし、4/5の半径の位置を風速40m、3/5の半径の位置を風速30m、2/5の半径の位置を風速20m、1/5の半径の位置を風速10m、扇型の中心を風速0mとする。各10mの区間を10分割(10区分)して、風速を1mづつ増加した位置とする。図10に、図9に示した領域中の、風向が「北」であって風速30mから風速40mの領域を示す。この領域には、複数の光電変換素子51がメッシュ状に並べられて存在している。図8に示した円形の光電変換部50の全ての部分が、図10に示した領域と同じ構成を有している。ここでは、半径方向の1m毎に1個の光電変換素子51が含まれ、円周方向に複数の光電変換素子51が並ぶ構成となっているが、半径方向の1m毎に1個の光電変換素子51が含まれていればよい。
なお、本実施形態では風向は16等分し、風速も所定間隔で区分することにより、近似的に風向風速を固定部150に割り当てるのではなく、既知の必要なすべての値を持つ風向風速の風を風受部160に当てて試験を行い、得られた風向風速の変異に対応させて固定部150に割り当て、対応する風向情報と風速情報を引き出す変換テーブルを得て、外部記憶装置17に記憶して、これを用いて風向情報と風速情報を得るようにしても良い。この場合に、試験に用いる風の風向を360度の角度表記やラジアン表記によるものとし、変換テーブルに角度表記やラジアン表記を用いて、測定結果を角度表記やラジアン表記で表示するようにしても良い。
【0028】
上記複数の光電変換素子51のそれぞれには、位置情報に対応して異なるアドレスAAAA~ZZZZが与えられており、22.5度の扇型により特定される風向の領域に属する光電変換素子51に同じ風向情報01、02、・・・、16が与えられ、上記扇型の半径方向に1m幅で属する光電変換素子51に同じ風速情報00、01、02、・・・、5
0が与えられている。外部記憶装置17の変換テーブルは、図11に示されるように、上記光電変換素子51の位置情報に対応するアドレスに対し、風向情報01、02、・・・、16と風速情報00、01、02、・・・、50を連続させた4桁の数字が記憶されている。例えば、4桁の数字は、風向情報と風速情報を連続させたもので、風向が北で風速が31mであれば「0131」となり、風向が西北西で風速が4mであれば「1404」となる。従って、位置情報であるアドレスから風向情報と風速情報を取り出すことができる。
【0029】
風向風速の測定処理はCPU10が図12のフローチャートの手順で行う。光電変換部50の出力を得て、最高出力の光電変換素子を見つける(S11)。この最高出力の光電変換素子が、いずれの風向風速の領域かを外部記憶装置17の変換テーブルを用いて求める(S12)。このとき、2つ以上の領域に属する光電変換素子が最高出力であるとき(同時に異なる風向風速となる光電変換素子の出力が得られた場合)には、検出結果をキャンセルする。このようにして風向風速情報を求めた測定時間が所定時間(例えば、5分)となると(S13)、平均を求めて風向風速とし、出力ポート14から出力する(S14)。これにより表示装置20には、風向風速が表示される。上記では、所定時間の経過を待って平均した風向風速を表示したが、特に角度表記やラジアン表記を用いる場合には、測定して得られた風向風速をリアルタイムでそのまま表示するようにしても良い。
【0030】
図13に、第2の実施形態の風向風速測定装置の構成を示す。固定部150Bは、イメージセンサ50Bであり、センサ面が例えば図14に示すように、xy座標に対応しており、光射出部31から射出された光はイメージセンサ50Bの受光面の実質的に一点Pに集光するように構成されている。
【0031】
この第2の実施形態においては、測定装置200は第1の実施形態の構成と同じく図7に示す通りである。無風の場合に、光射出部31から射出された光がイメージセンサ50Bの受光面の集光する点の座標値(この実施形態では、図14に示されるように重心(128,128))が外部記憶装置17に記憶されているものとする。CPU10は、測定時にイメージセンサ50Bから取り込まれた信号に基づく集光点の座標値を得て、この座標値標と上記重心の座標値との相対関係により角度を得て、この角度を風向情報とする。風向情報は、例えば、360度のいずれの方向であるかを数値と「度」によって示しても良いし、ラジアンによる表現を行っても良い。また、本実施形態では、既知の必要なすべての値を持つ風向風速の風を風受部160に当てて試験を行い、得られた座標値と上記重心の座標値間の距離を求め、この距離を試験に用いた既知の風速と対応付けて変換テーブルとして、外部記憶装置17に記憶しておく。
【0032】
この第2の実施形態における風向風速の検出処理は図15のフローチャートの手順で行う。CPU10は、イメージセンサ50Bにより得られる信号に基づく集光点の座標値と受光面の重心の座標値とに基づく角度から風向情報を得る(S41)と共に、集光点の座標値と受光面の重心の座標値とによる距離から変換テーブルを用いて風速情報を取得する(S42)。次に、所定時間分のデータが得られたかを求め(S43)、NOとなると、このステップS41とステップS42においてデータを蓄積する。ステップS43においてYESとなると、平均を求めて風向風速とし、出力する(S44)。これにより表示装置20には、風向風速が表示される。上記では、所定時間の経過を待って平均した風向風速を表示したが、特に角度表記やラジアン表記を用いる場合には、測定して得られた風向風速をリアルタイムでそのまま表示するようにしても良い。
【0033】
なお、上記第2の実施形態では、風向情報を角度により表したが、既知の必要なすべての値を持つ風向風速の風を風受部160に当てて試験を行って風速情報を得ても良い。この場合、風向を上述の通り例えば16方位により表したものとする。上記試験において得
られた座標値と上記重心の座標値との相対関係により角度を得て、この角度と試験に用いた既知の風向と対応付けて変換テーブルとして、外部記憶装置17に記憶しておき、この変換テーブルを用いて風向を16方位により表すようにしても良い。
【0034】
次に、第3の実施形態の風向風速測定装置を説明する。本実施形態は、風受部160に風が当たって可動部110Xが移動したとき、可動部110Xを構成するカメラが映し出した画像である文字を認識して風向風速を得るものである。従って、可動部110Xを構成するカメラが向いた先の固定部150Aには、そのときの風向風速を表す画像が的確に記載されている必要がある。例えば、既知の必要なすべての値を持つ風向風速の風を風受部160に当てて試験を行い、このときカメラが映し出した固定部150Aの位置に、試験に用いている風の風向風速情報を記載する。この作業を必要な風向風速を持つ風の全てを用いて行っておく。図16を用いて、第3の実施形態の風向風速測定装置の構成を示す。固定部150Aは、上記天空球殻面を、測定する風向の数に応じて扇型に区分して1つの扇型を風速に応じて半径方向を複数に区分し、各区分を識別する区分識別情報が記載され、この区分識別情報を位置情報として上記可動部110Xへ与える構成を有している。
【0035】
固定部150Aは、上記天空球殻面を区分して各区分を識別する区分識別情報が記載された構成を有する。図17に示す円形の部分が区分識別情報記載面500となっており、区分識別情報記載面500は固定部150Aの全部または一部である。本実施形態においても、風向は、円を中心Oから22.5度毎の線により区分し、右回りで「北」、「北北東」、「北東」、「東北東」、「東」、「東南東」、「南東」、「南南東」、「南」、「南南西」、「南西」、「西南西」、「西」、「西北西」、「北西」、「北北西」の風向情報が割り当てられている。例えば、「北」を中心とした22.5度の扇型の領域を示すと、図18のようである。区分識別情報記載面500について、例えば、「北」を中心とした22.5度の扇型の領域を半径方向に5分割(5区分)して、最も中心から遠い円弧の部分を風速50mとし、4/5の半径の位置を風速40m、3/5の半径の位置を風速30m、2/5の半径の位置を風速20m、1/5の半径の位置を風速10m、扇型の中心を風速0mとする。図17に示した領域中の、風向が「北」であって風速30mから風速40mの領域を図18に示す。この領域には、1つの区分識別情報の記載領域がメッシュ状に並べられて存在している。図17に示した円形の全ての部分が、図18に示した領域と同じ構成を有している。
なお、本実施形態では、上記のように16方位による風速の表現を用いたが、これに限定されない。例えば、360度のいずれの方向であるかを数値と「度」によって示しても良いし、ラジアンによる表現を行っても良い。
【0036】
図19に、風向が「北」であって風速30mから風速39mの区分識別情報の記載領域55を示す。この区分識別情報の記載領域55には、風向風速に応じて区分識別情報として文字(数字)が記載されている。区分識別情報として文字(数字)は、1文字または複数文字で1セットとなっており、いずれの記載領域55においても、文字の大きさは同じで、従って1セット分の文字の領域の大きさもおなじとなっている。22.5度の扇型により特定される風向の領域に同じ風向情報01、02、・・・、16の内の1つが区分識別情報の一部として与えられ、上記扇型の半径方向に1m幅の領域に同じ風速情報00、01、02、・・・、50が区分識別情報の一部として与えられている。従って、1つの区分識別情報は、風向情報と風速情報をセットとしたもので、風向が北で風速が31mであれば「01-31」となり、風向が西北西で風速が4mであれば「14-04」となる。
【0037】
図16に示すように、第3の実施形態の風向風速測定装置の可動部110Xには、風向を示す区分識別情報を読み取るためのカメラ60が備えられている。カメラ60は、例えば円筒状の本体内にイメージセンサなどの撮像素子と画像読出しのための機構を含むもので、図20に示すように、カメラ60の撮像範囲Yは、数セット分の文字の領域であり、カメラ60は数セット分の文字のエリアを撮像可能なようにレンズなどの光学機構を備えていても良い。ここで、数セットとは、少なくとも2セットとし、1撮像範囲Yのいくつかのセットの文字を接合して1セット分の文字を得られるようにする。本実施形態では風向風速変換部210が後述する文字認識部90を有し、文字認識部90は文字認識機能として、例えば、図20(a)のように1撮像範囲Yにおいて1セットの文字が分割されている場合には、図20(b)のような1セットの文字を作成して、文字認識結果「01-33」を得る機能を有する。
【0038】
この第3の実施形態においては、測定装置200Aは第1の実施形態の構成に加えて、図21に示すように、バス12に処理部インタフェース18が接続されており、処理部インタフェース18には、文字認識部90が接続されている。文字認識部90は、画像認識により文字認識を行うコンピュータ部である。文字認識部90は、カメラ60により得られた画像の文字認識を行い、結果をCPU10へ送る。この場合、文字認識部90は、図20において説明したように1セットの文字を作り出す処理を含んで文字認識を行う。CPU10は、文字認識結果を受け取り、文字を風向風速に変換する。
【0039】
第3の実施形態における風向風速の検出処理は図22のフローチャートの手順で行う。カメラ60により得られる画像の文字認識により区分識別情報を取得する(S21)。このステップS21においては、カメラ60の撮像範囲が隣接の2以上の領域となるなどして、1セット分の文字認識ができなければ、結果をキャンセルする。次に文字認識結果の区分識別情報に基づき風向風速情報を求める(S22)。
【0040】
具体的には、区分識別情報である文字を例えば風向と風速で一定の規則で成り立たせておくことができる。即ち、「北」を「01」、「北北東」を「02」、「北東」を「03」、「東北東」を「04」、「東」を「05」、「東南東」を「06」、「南東」を「07」、「南南東」を「08」、「南」を「09」、「南南西」を「10」、「南西」を「11」、「西南西」を「12」、「西」を「13」、「西北西」を「14」、「北西」を「15」、「北北西」を「16」に置き換える。また、風速を0から50の値とする。
【0041】
以上の規則により、「北の風」で風速が「15m/」であれば「01-15」となり、「南南西の風」で風速が「3m/」であれば「10-03」となる。このようにして風向風速情報を求めた時間が所定時間(例えば、5分)となると(S23)、平均を求めて風向風速とし、出力する(S24)。これにより表示装置20には、風向風速が表示される。上記では、所定時間の経過を待って平均した風向風速を表示したが、特に角度表記やラジアン表記を用いる場合には、測定して得られた風向風速をリアルタイムでそのまま表示するようにしても良い。
【0042】
次に第4の実施形態を説明する。本実施形態における風向風速測定装置に係る第4の実施形態についての要部である測定装置の構成図は、基本的に第1の実施形態と同じであり、図7に示すようであるが、固定部150として光電変換部50Aを備えている。
【0043】
光電変換部50Aは、光射出部31から射出される光を受けて、図23に示すように「北」、「北北東」、「北東」、「東北東」、「東」、「東南東」、「南東」、「南南東」、「南」、「南南西」、「南西」、「西南西」、「西」、「西北西」、「北西」、「北北西」の風向情報と風速情報を取得することができる。風速情報を取得するために、光電変換部50Aは、例えば正方形の領域に4個の同じ光電変換素子52A、52B、52C、52Dを、図23のように並べた構成を採用することができる。光電変換素子52A、52B、52C、52Dは、光射出部31から射出される光R(図24)を受けて、受けた光の量に比例する電流を発生する。
【0044】
位置情報を取得する構成を図24に示す。光電変換素子52A、52Dの出力を減算器61に入力し、光電変換素子52B、52Cの出力を減算器62に入力し、減算器61の出力と減算器62の出力を減算器63及び加算器64に入力する。減算器63の出力が図24のX方向の位置情報を表し、加算器64の出力が図24のY方向の位置情報を表す。
【0045】
即ち、光電変換素子52A、52B、52C、52Dの出力を、それぞれ、A、B、C、Dとすると、減算器61の出力は(A-D)となり、減算器62の出力は(B-C)となる。減算器63は、(A-D)-(B-C)を計算し(A+C)-(B+D)というX方向の変異に対応する信号を出力する。加算器64は、(A-D)+(B-C)を計算し(A+B)-(C+D)というY方向の変異に対応する信号を出力とする。CPU10は、入力ポート13を介してX方向及びY方向の変異に対応する信号を位置情報として取り込み、風向風速測定の処理に用いる。
【0046】
本実施形態では、既知の必要なすべての値を持つ風向風速の風を風受部160に当てて試験を行い、得られたXY方向の変異に対応する信号をXY位置情報とし、対応する風向情報と風速情報を引き出す図25に示すような変換テーブルを得て、外部記憶装置17に記憶しておく。上記では、風向情報を16方位により示し、上記XY位置情報を16方位のいずれかに割り当てるようにしているが、図23に示した光電変換部50Aの中心からX軸の正方向を0度の線分とし、図23に示した光電変換部50Aの中心と得られる光Rの中心に該当するXY位置情報の点とを結ぶ線分が成す角度をそのまま風向として用いても良い。また、角度をラジアンで表したものを風向として用いても良い。
【0047】
本実施形態において、風向風速の測定処理はCPU10が図26のフローチャートの手順で行う。光電変換部50Aの出力に基づく位置情報入力ポートから取り込み、位置情報を得る(S31)。この位置情報が、いずれの風向風速に対応しているのかを外部記憶装置17の変換テーブルを用いて求める(S32)。このようにして風向風速情報を求めた測定時間が所定時間(例えば、5分)となると(S33)、平均を求めて風向風速とし、出力ポート14から出力する(S34)。これにより表示装置20には、風向風速が表示される。上記では、所定時間の経過を待って平均した風向風速を表示したが、特に角度表記やラジアン表記を用いる場合には、測定して得られた風向風速をリアルタイムでそのまま表示するようにしても良い。
【符号の説明】
【0048】
10 CPU 11 主メモリ
12 バス 13 入力ポート
14 出力ポート 15 外部記憶インタフェース
16 無線通信部 17 外部記憶装置
18 処理部インタフェース 20 表示装置
21 無線通信部 31 光射出部
50、50A 光電変換部 51 光電変換素子
55 記載領域 60 カメラ
90 文字認識部 100 球殻体
110 可動部 110A 先端部
110B 後端部 110X 可動部
111 リング 112 連結部
120 支持板 130 軸受部
150 固定部 150A 固定部
160 風受部 170 開口部
200 測定装置 200A 測定装置
210 風向風速変換部 500 区分識別情報記載面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図6A
図7
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図10
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