(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】ロック関節連結継手を備えた外科用ステープラ
(51)【国際特許分類】
A61B 17/29 20060101AFI20240416BHJP
A61B 17/072 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
A61B17/29
A61B17/072
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022160871
(22)【出願日】2022-10-05
(62)【分割の表示】P 2021065175の分割
【原出願日】2016-08-08
【審査請求日】2022-11-01
(32)【優先日】2015-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503000978
【氏名又は名称】アプライド メディカル リソーシーズ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】デッカー スティーヴン イー
(72)【発明者】
【氏名】パテル アタル シー
(72)【発明者】
【氏名】ネルソン エリック
【審査官】菊地 康彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-213903(JP,A)
【文献】特開2008-093430(JP,A)
【文献】特表2015-519971(JP,A)
【文献】特開2009-045437(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/29
A61B 17/072
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用器械であって、
近位端部および遠位端部を備えるとともに前記近位端部と前記遠位端部との間に長手方向軸線を定める細長いシャフトと、
前記細長いシャフトの前記遠位端部のところに位置決めされたジョー組立体と、
前記細長いシャフトを前記ジョー組立体に結合する関節連結継手であって、前記関節連結継手は、前記ジョー組立体が前記細長いシャフトに対して回動可能なラッチ外し形態および前記ジョー組立体が前記細長いシャフトに対して回動的に固定されたラッチ留め形態を有する、前記関節連結継手と、
近位端部および遠位端部を有する細長い部材を含むラッチ部材であって、前記ラッチ部材は
、近位側位置と、
前記近位側位置よりも遠位側にある遠位側位置との間で、前記細長いシャフトの前記長手方向軸線に対して、前記細長いシャフト内で長手方向に摺動可能であり、
前記関節連結継手は、前記ラッチ部材が前記近位側位置にあるとき前記ラッチ留め形態にあり、前記関節連結継手は、前記ラッチ部材が前記遠位側位置にあるとき前記ラッチ外し形態にあり、前記細長い部材の前記遠位端部は、前記近位側位置および前記遠位側位置の各々で前記関節連結継手内に位置決めされている、前記ラッチ部材と、を有する、外科用器械。
【請求項2】
前記関節連結継手は、前記ラッチ留め形態に付勢されている、請求項1記載の外科用器械。
【請求項3】
前記関節連結継手は、前記関節連結継手のピボット軸線を定める中央ピボットおよび複数のラッチ凹部を備えた支持部材を含む、請求項1記載の外科用器械。
【請求項4】
前記ラッチ部材が前記近位側位置にある状態で、前記ラッチ部材は前記複数のラッチ凹部のうちの1つに係合する、請求項3記載の外科用器械。
【請求項5】
前記支持部材は、近位端部および遠位端部を有し、前記複数のラッチ凹部は、前記近位端部に隣接して位置決めされ、前記ラッチ部材は、前記近位側位置と前記遠位側位置との両方の位置において前記支持部材の前記近位端部を横切って延びる、請求項3記載の外科用器械。
【請求項6】
前記複数のラッチ凹部は各々、前記複数のラッチ凹部の遠位端部のところに位置する開口端および前記複数のラッチ凹部の近位端部のところに位置する閉鎖端を有し、前記ラッチ部材は、前記関節連結継手が前記ラッチ留め形態にある状態で前記ラッチ凹部のうちの1つの前記開口端に係合する、請求項3記載の外科用器械。
【請求項7】
前記複数のラッチ凹部は、各ラッチ凹部が前記関節連結継手の対応のラッチ留め位置を定めるよう前記中央ピボットの近位側に配置されている、請求項3記載の外科用器械。
【請求項8】
前記ラッチ部材は、前記細長い部材の前記遠位端部のところに位置するラッチ留め歯を有し、前記ラッチ留め歯は、前記複数のラッチ凹部のうちの1つに係合するよう形作られている、請求項3記載の外科用器械。
【請求項9】
前記細長い部材は、前記関節連結継手を前記ラッチ留め形態に付勢するよう近位側に付勢されている、請求項2記載の外科用器械。
【請求項10】
前記細長いシャフトは、前記細長い部材を近位側に付勢するばねを含む、請求項9記載の外科用器械。
【請求項11】
外科用器械であって、
長手方向軸線に沿って近位端部から遠位端部まで延びる細長いシャフトと、
前記細長いシャフトの前記遠位端部のところに位置決めされたジョー組立体と、
前記細長いシャフトを前記ジョー組立体に結合する関節連結継手であって、前記関節連結継手は、前記ジョー組立体が前記細長いシャフトに対して回動可能なラッチ外し形態および前記ジョー組立体が前記細長いシャフトに対して回動的に固定されたラッチ留め形態を有し、前記関節連結継手は、複数のラッチ凹部を有し、前記複数のラッチ凹部は各々、開口端と、該開口端の近位側の閉鎖端とを有する、前記関節連結継手と、
近位端部および遠位端部を有するラッチ部材であって、前記ラッチ部材は、前記ラッチ部材の前記遠位端部が前記関節連結継手の前記ラッチ留め形態に対応した前記ラッチ凹部のうちの1つと係合状態にある前記ラッチ凹部のうちの1つの前記開口端と前記閉鎖端との間に位置決めされた近位側位置と、前記ラッチ部材の前記遠位端部が前記ラッチ凹部のうちの1つの前記開口端の遠位側に位置決めされ前記関節連結継手の前記ラッチ外し形態に対応した前記複数のラッチ凹部との係合状態から解除された遠位側位置と、の間で摺動可能である、前記ラッチ部材と、を有する外科用器械。
【請求項12】
前記ラッチ部材は、前記近位側位置に付勢されている、請求項11記載の外科用器械。
【請求項13】
前記ラッチ部材の前記近位端部は、前記細長いシャフトの前記近位端部のところに位置決めされている、請求項11記載の外科用器械。
【請求項14】
前記ラッチ部材の前記近位端部は、当接面を有する、請求項13記載の外科用器械。
【請求項15】
前記細長いシャフトの前記近位端部に取り外し可能に結合可能なハンドル組立体を更に有し、前記ハンドル組立体は、前記ハンドル組立体が前記細長いシャフトに結合されると、前記ラッチ部材の前記当接面と接触状態に位置決め可能なラッチ解除機構体を含む、請求項14記載の外科用器械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、一般に、外科用閉塞器具、特に外科用ステープラに関する。
【0002】
〔関連出願の説明〕
本願は、2015年8月6日に出願された米国特許仮出願第62/201,995号(発明の名称:SURGICAL STAPLER HAVING LOCKING ARTICULATION JOINT)の権益主張出願である。この関連出願を参照により引用し、その記載内容全体を本明細書の一部とする。
【背景技術】
【0003】
外科用ステープラは、組織同士を近づけまたはクランプしてクランプされた組織を互いにステープル留めするために用いられる。腹腔鏡下外科用ステープラは、細長いシャフトの遠位端部のところに配置されたステープラジョー組立体を有する場合がある。ステープラジョー組立体は、トロカールカニューレまたは他の外科用アクセスポートを通って手術部位まで導入可能である。ステープラジョー組立体を細長いシャフトに対して関節連結して手術部位への接近性を高めることが望ましい場合がある。腹腔鏡下外科用ステープラは、ユーザがステープラの近位端部のところに設けられた制御部からステープラの遠位端部のところに位置するジョー組立体の関節連結位置を制御することができるようにする種々の機械的および電気機械的関節連結システムを有している。しかしながら、これら機構体は、望ましくないことには、ステープラのハンドル組立体およびジョー組立体の複雑さを増す場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これら複雑な機構体により、外科用ステープラは、製造上の負担が増すとともに器具の故障の潜在的な源およびユーザにとっての混乱を招く場合がある。かくして、複雑な機構体を用いないでクランプされた組織を確実にステープル留めすることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ある特定の実施形態では、外科用ステープラが記載される。外科用ステープラは、細長いシャフトと、ジョー組立体と、関節連結継手と、ハンドル組立体とを有する。細長いシャフトは、近位端部および遠位端部を備えるとともに近位端部と遠位端部との間に長手方向軸線を定める。ジョー組立体は、細長いシャフトの遠位端部のところに位置決めされている。ジョー組立体は、第1のジョーと、第2のジョーとを含む。ジョー組立体は、ジョー軸線を定める細長い形態を有する。関節連結継手は、細長いシャフトをジョー組立体に結合している。関節連結継手は、ジョー組立体が外力をジョー組立体に加えたときに細長いシャフトに対して回動可能なラッチ外し形態およびジョー組立体が細長いシャフトに対して回動的に固定されたラッチ留め形態を有する。ハンドル組立体は、細長いシャフトの近位端部のところに位置決めされている。ハンドル組立体は、関節連結ラッチレバーを含む。関節連結ラッチレバーは、関節連結継手がラッチ留め形態にある近位側のラッチ留め位置と関節連結継手がラッチ外し形態にある遠位側のラッチ外し位置との間で動くことができる。
【0006】
ある特定の実施形態では、外科用ステープラが記載される。外科用ステープラは、細長いシャフトと、ジョー組立体と、関節連結継手と、ハンドル組立体とを有する。細長いシャフトは、近位端部および遠位端部を備えるとともに近位端部と遠位端部との間に長手方向軸線を定める。ジョー組立体は、細長いシャフトの遠位端部のところに位置決めされている。ジョー組立体は、第1のジョーと、第2のジョーとを含む。ジョー組立体は、ジョー軸線を定める細長い形態を有する。関節連結継手は、細長いシャフトをジョー組立体に結合している。関節連結継手は、ジョー組立体が外力をジョー組立体に加えたときに細長いシャフトに対して回動可能なラッチ外し形態およびジョー組立体が細長いシャフトに対して回動的に固定されたラッチ留め形態を有する。関節連結継手は、ピボットピンと、整列ばねとを有する。ピボットピンは、ジョー組立体を細長いシャフトに回動的に結合している。ピボットピンは、楔形輪郭を有する。整列ばねは、ピボットピンの楔型輪郭をまたいでいる。整列ばねは、ジョー軸線を付勢してこのジョー軸線を長手方向軸線に整列させる。ハンドル組立体は、細長いシャフトの近位端部のところに位置決めされている。
【0007】
ある特定の実施形態では、外科用ステープラが記載される。外科用ステープラは、細長いシャフトと、ジョー組立体と、関節連結継手とを有する。細長いシャフトは、長手方向軸線に沿って近位端部から遠位端部まで延びている。ジョー組立体は、細長いシャフトの遠位端部のところに位置決めされている。ジョー組立体は、第1のジョーと、第2のジョーとを含む。ジョー組立体は、ジョー軸線を定める細長い形態を有する。関節連結継手は、細長いシャフトをジョー組立体に結合している。関節連結継手は、ジョー組立体が外力をジョー組立体に加えたときに細長いシャフトに対して回動可能なラッチ外し形態およびジョー組立体が細長いシャフトに対して回動的に固定されたラッチ留め形態を有する。関節連結継手は、支持部材と、ピボット部材と、ラッチ部材とを有する。支持部材は、中央ピボット孔と、複数のラッチ凹部とを有する。ピボット部材は、中央ピボット孔のところで支持部材に回動可能に結合されている。ラッチ部材は、関節連結継手のラッチ留め形態に対応したラッチ凹部のうちの1つと係合状態にある近位側位置と、関節連結継手のラッチ外し形態に対応した複数のラッチ凹部との係合状態から解除された遠位側位置との間で摺動可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】ジョーが開き形態にある状態の外科用ステープル留め器具の実施形態の斜視図である。
【
図2】外科用ステープラ用の関節連結継手の実施形態の斜視図である。
【
図3】関節継手内のラッチ機構体を示すために支持部材およびピボット部材が部分的に透明なものとして示された
図2の関節連結継手の斜視図である。
【
図4】ジョー組立体が整列した向きにある状態の
図2の関節連結継手の切除図である。
【
図5】ジョー組立体が関節連結された向きにある状態の
図2の関節連結継手の切除図である。
【
図6】関節連結継手内の機構体を示すために下側ハウジングが部分的に透明なものとして示された
図2の関節連結継手の下面の斜視図である。
【
図7】
図2の関節連結継手の支持部材の斜視図である。
【
図8】外科用ステープラの細長いシャフトとハンドル組立体との間の連結部の部分切除図である。
【
図9】ハンドル組立体内の機構体を示すためにハンドルハウジングが透明なものとして示された
図7のハンドル組立体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1を参照すると、外科用ステープル留め器具の実施形態が示されている。外科用ステープラ10の図示の実施形態は、細長いシャフト20、ジョー組立体30、およびハンドル(取っ手)組立体40を有する。
図1は、ジョー組立体30が開き形態にある状態で外科用ステープラ10を示している。
【0010】
引き続き
図1を参照すると、外科用ステープラ10の図示の実施形態は、腹腔鏡下外科的手技に用いられるよう寸法決めされるとともに形作られるのが良い。例えば、細長いシャフト20およびジョー組立体30は、アクセスポートまたはトロカールカニューレを通って術野中に導入されるよう寸法決めされるとともに形作られるのが良い。幾つかの実施形態では、細長いシャフト20およびジョー組立体30は、比較的小さな作業チャネル直径、例えば8mm未満の直径を有するトロカールカニューレ中に挿入されるよう寸法決めされるとともに形作られるのが良い。他の実施形態では、細長いシャフト20およびジョー組立体30は、大きな作業チャネル直径、例えば10mm、11mm、12mm、または15mmの直径を有するトロカールカニューレ中に挿入されるよう寸法決めされるとともに形作られるのが良い。他の実施形態では、本明細書において説明する外科用ステープラのある特定の観点を開放外科的処置に用いられる外科用ステープル留め器具に組み込んでも良いことが想定される。
【0011】
引き続き
図1を参照すると、図示のように、細長いシャフト20は、全体として管状の部材から成る。細長いシャフト20は、近位端部22から遠位端部24まで延びている。細長いシャフト20は、近位端部22と遠位端部24との間に延びる外科用ステープラ10の長手方向中心軸線Lを定めている。
【0012】
引き続き
図1を参照すると、図示の実施形態では、ジョー組立体30は、細長いシャフト20の遠位端部24のところで細長いシャフト20に結合されている。関節連結継手26がジョー組立体30を細長いシャフト20に接合するのが良い。ジョー組立体30は、第1のジョー32および第1のジョー32に回動的に結合された第2のジョー34を含む。図示の実施形態では、第1のジョー32は、細長いシャフト20の遠位端部24のところで関節連結継手26に固定されており、整列した向きでは、第1のジョー組立体は、長手方向中心軸線Lに沿って遠位側に延びている。ジョー組立体は、関節連結継手26に結合された近位端部からジョー軸線に沿って遠位端部まで延びている。関節連結継手26により、ジョー組立体30をジョー軸線が長手方向中心軸線と整列した配向状態(
図1)に位置決めすることができまたはジョー組立体30をジョー軸線が初期形態では長手方向中心軸線に対して横向きである複数の関節連結位置のうちの1つの関節連結位置に選択的に位置決めすることができ、第1のジョー32は、この中に配置され、例えば再装填組立体またはカートリッジ内に配置された複数のステープル36を有する。
【0013】
引き続き
図1を参照すると、図示の実施形態では、ジョー組立体30を細長いシャフト内で長手方向に摺動可能である作動部材またはビームによって開き形態(
図1)から閉じ形態に、そしてステープル留め形態に作動させることができる。初期の位置では、ビームは、細長いシャフト20の遠位端部24のところに位置決めされるのが良い。ビームが初期位置にある状態で、第2のジョー34を回動させて第1のジョー32から遠ざけ、ジョー組立体30が開き形態になるようにする。作動ビームは、長手方向軸線Lに沿う遠位側への作動部材またはビームの並進時に第2のジョー34に係合する。作動ビームを初期位置から遠位側に第1の距離並進させることにより、ジョー組立体を開き形態から閉じ形態に作動させることができる。ジョー組立体30が閉じ形態にある状態で、作動ビームを近位側に第1の距離戻してジョー組立体30を開き形態に戻すことができる。作動ビームの遠位端部は、ステープルを第1のジョー32から配備するよう構成されたステープルスライダを前進させることができ、その結果、作動ビームを第1の距離を超えて遠位側に更に並進させると、複数個のステープル36が第1のジョー32から配備されるようになる。
【0014】
引き続き
図1を参照すると、図示の実施形態では、ハンドル組立体は、細長いシャフト20の近位端部22のところで細長いシャフト20に結合されている。図示のように、ハンドル組立体40は、静止ハンドル42および静止ハンドル42に回動可能に結合された可動ハンドル44またはトリガを構成するハウジングを備えた拳銃握り形態を有してしている。他の実施形態では、本明細書において説明する観点を含む外科用ステープラ器具が他の形態、例えばはさみグリップ形態またはインライン形態を備えたハンドル組立体を有しても良いことが想定される。ハンドル組立体40は、作動ビームを静止ハンドル42またはトリガの運動に応動して動かす機械式または電気機械式作動組立体を含むのが良い。
【0015】
幾つかの実施形態では、外科用ステープラ10は、使い捨てカートリッジ内に配置された複数個のステープル36を有するのが良く、他方、ハンドル組立体40は、多数のステープルカートリッジとともに再使用されるよう構成されている。図示の実施形態では、細長いシャフト20およびジョー組立体30は、ハンドル組立体40に取り外し可能に連結可能である使い捨てカートリッジを構成する。したがって、図示の実施形態では、ハンドル組立体40は、その遠位端部のところにカップラ46を含む。カップラ46は、外科用ステープラ10の細長いシャフト20に係合するようになっている。カップラ46は、ハンドル組立体40または細長いシャフト20に取り外し可能に結合可能な外側コネクタおよびハンドル組立体40の可動シャフトを細長いシャフト20の作動部材に取り外し可能に結合することができる内側コネクタを有する差込み形連結具であるのが良い。したがって、外科用ステープラ10は、ハンドル組立体40を外科的処置中、多数の使い捨てカートリッジとともに再使用することができるよう構成されているのが良い。他の実施形態では、ハンドル組立体および細長いシャフトのある部分が再使用可能であるのが良く、ジョー組立体内の細長いシャフトの残部が使い捨てカートリッジを構成することが想定される。ある特定の他の実施形態では、ハンドル組立体および細長いシャフトは、再使用可能であるのが良く、他方、ジョー組立体は、使い捨てカートリッジを構成する。さらに別の実施形態では、複数個のステープルを収容するジョーインサートが使い捨てカートリッジを構成するのが良く、他方、外科用ステープラの残部は、再使用可能である。
【0016】
図2および
図3を参照すると、関節連結継手26の斜視図が示されている。関節連結継手は、ピボット部材120に回動的に結合された支持部材110を有するのが良い。関節連結継手は、関節連結継手26を選択的にラッチ留めしたりラッチ外ししたりするためのラッチ部材130を更に有するのが良い。支持部材110は、ジョー組立体30の近位端部に結合されるのが良く、ピボット部材120は、細長いシャフト(関節連結継手の可視化を高めるよう図示されていない)の遠位端部に結合されるのが良い。図示の実施形態では、支持部材110は、以下に更に説明するようにリベット留めまたはピン留め式連結部115のところでジョー組立体に結合されている。幾つかの実施形態では、ピボット部材120は、細長いシャフトの遠位端部中に滑り込ませることができる結合スリーブ122の部分を有するのが良い。
【0017】
図3を参照すると、関節連結継手26は、この関節継手内の関節継手ラッチ留め機構体の可視化を促進するよう支持部材110およびピボット部材120が透明なものとして示された状態で図示されている。支持部材は、ピボット114を有するのが良い。図示の実施形態では、支持部材のピボットには孔が形成され、この孔内において、ピボット部材120から半径方向内方に延びるピン状突出部124がピボット114のところでの支持部材110およびピボット部材120の相対的回動運動を可能にするよう位置決めされている。他の実施形態では、支持部材にはピン状突出部が形成されるのが良く、ピボット部材は、この突出部を受け入れるピボット孔を有するのが良い。さらに別の実施形態では、支持部材およびピボット部材は各々、別個のピンまたはリベットによって互いに回動的に結合されたピボット孔を有するのが良い。
【0018】
引き続き
図3を参照すると、支持部材110は、その近位端部のところにラッチ112を更に有する。ラッチ部材130は、ラッチ112に選択的に係合して関節連結継手26をラッチ留め形態に回動的に固定するよう支持部材110の近位端部を越えて遠位側に延びるのが良い。ラッチ部材130は、ステープラの細長いシャフトを貫通して近位端部から遠位端部まで長手方向に延びている。ラッチ部材130は、細長いシャフト20を貫通して延びる細長いストリップ134を有するのが良い。ラッチ部材130は、ラッチ部材130の遠位端部から延びる突出部またはラッチ留め歯132を更に有する。
【0019】
ラッチ部材130は、遠位側位置と近位側位置との間で細長いシャフトの長手方向中心軸線に対して長手方向に摺動可能である。ラッチ部材130が遠位側位置まで遠位側に長手方向に摺動された状態で、ラッチ留め歯132は、関節連結継手26がラッチ外し形態にあるようにラッチ112の遠位側に位置決めされるのが良い。ラッチ外し形態では、ジョー組立体をジョー組立体30に加えられた外力に応答してピボット114回りに細長いシャフトに対して回動させることができる。外力を例えば手術部位の表面によってまたは別の外科用器械、例えば外科用アクセスポートまたは腹腔鏡的ツールとの相互作用によって加えることができる。ラッチ部材130が近位側位置にある状態で、ラッチ留め歯132は、ジョー組立体を細長いシャフトに対して回動的に固定するよう支持部材130のラッチ112に係合する。ラッチ部材は、望ましくは、近位側位置に付勢されるのが良く、その結果、関節連結継手は、ラッチ留め形態に付勢される。例えば、幾つかの実施形態では、細長いシャフト内に位置決めされた付勢部材またはばねが細長いストリップ134に係合してラッチ部材130を近位側位置に付勢することができる。
【0020】
図4および
図5を参照すると、関節連結継手のラッチ機構体は、整列位置(
図4)および関節連結位置(
図5)で示されている。図示の実施形態では、ラッチ112は、支持部材110の近位端部のところに複数のラッチ凹部118を有し、これらラッチ凹部は、ピボット114の近位側に全体として弧状または弓形のアレイをなして配列されている。ラッチ凹部118は各々、その遠位端部のところに開口端を有する。関節連結継手がラッチ外し形態にある状態で、ジョー組立体およびこれに結合された支持部材110を細長いシャフトおよびピボット部材120に対してピボット114回りに回動させると、複数のラッチ凹部118のうちの1つがラッチ部材の歯132と整列して関節連結継手の対応のラッチ位置を定める。図示の実施形態では、ラッチ112は、5つのラッチ凹部118を有し、その結果、関節連結継手は、整列位置とジョー軸線が長手方向中心軸線に対して横向きである4つの関節連結位置との間で回動可能である。他の実施形態では、ラッチ112は、6つ以上または4つ以下のラッチ凹部を有してこれに対応した数のラッチ位置を定めることができる。ラッチ凹部118の各々は、ラッチ凹部118とラッチ部材130との僅かな位置合わせ不良状態が生じた場合であってもラッチ部材130の歯132と複数のラッチ凹部118のうちの1つの係合を容易にするようアール付きまたはテーパ付きの「リードイン(lead in )」を有するのが良い。
【0021】
引き続き
図4および
図5を参照すると、関節連結継手は、関節連結継手が関節連結位置にあるとき、可撓性のステープル作動または駆動部材が関節連結継手を通過して可撓性作動部材の腰折れまたは座屈を最小限に抑えることができるよう構成されているのが良い。例えば、支持部材は、ピボット114から側方にオフセットした1対の支持リンクピボット116および支持リンクピボット116に結合された対応の1対の支持リンク140を有するのが良い。支持リンク140の対に属する各支持リンクは、支持リンクピボットの各々に対応して回動的に結合されて全体として細長いシャフトに向かってピボット部材120中に近位側に延びるのが良い。支持リンク140相互間にはチャネルが構成され、可撓性作動部材は、このチャネル内を延びるのが良い。関節連結継手26が関節連結位置(
図5)に位置決めされているとき、支持リンク140は、可撓性作動部材のためのチャネルを維持するよう支持部材110に対して回動する。かくして、支持リンク140は、作動部材が関節連結継手を通過しているときに可撓性作動部材が関節連結継手のところで腰折れしまたは弓反りになるのを阻止するための実質的に連続したチャネル壁を提供することができる。
【0022】
支持リンク140の各々は、関節連結継手の全関節運動範囲にわたって支持部材110とピボット部材との間に延びるよう寸法決めされているのが良い。図示の実施形態では、支持リンク140の各々は、支持リンクピボット116のうちの1つに回動可能に結合されている湾曲した第1の端部、第1の端部と反対側の湾曲した第2の端部、および第1の端部と第2の端部との間に延びる中央スパンを有する。湾曲した第2の端部は、ピボット部材120と摺動接触関係をなすよう延びて支持リンクの中央スパン相互間のチャネル内に位置決めされた可撓性作動部材を更に支持するのが良い。
【0023】
図7を参照すると、支持部材110の斜視図が示されている。ラッチ112は、その近位端部のところにラッチ凹部118を有する状態で示されている。ピボット114は、支持部材の中央位置のところにピボット孔を有する状態で示されている。1対の支持リンクピボット116は、ピボット114から側方にオフセットした状態で位置決めされている。図示の実施形態では、支持リンクピボットは各々、関節連結継手が関節連結位置にあるとき、支持リンクを貫通して延びる可撓性作動部材のためのアール付きの曲がりを容易にするアール付き側壁面106上に設けられている。
【0024】
図6を参照すると、関節連結部との底面図が示されている。ピボット部材120は、透明なものとして示されており、それにより、関節連結機構体の整列機構体の一実施形態の可視化を容易にするよう切除図を提供している。整列機構体は、ジョー軸線を付勢して細長いシャフトの長手方向中心軸線に整列させるよう構成されているのが良い。図示の実施形態では、関節連結機構体は、支持部材110およびジョー組立体に結合できる下側支持部材150を含む。下側支持部材150は、ピボット部材120に回動的に結合されている。図示の実施形態では、ピボット部材120は、楔形輪郭を備えた、突出しているピボットピン126を有する。楔形輪郭は、その側方縁部に設けられた第1の実質的に平坦なフェース128および第1の実質的に平坦なフェースと反対側の第2の実質的に平坦なフェース129を備えたピボットピン126の一部分によって定められている。図示の実施形態では、第1および第2の実質的に平坦なフェース128,129は、互いに対して横向きである。ばね156は、ピボットピン126をまたぐのが良い。ばね156は、第1の実質的に平坦な表面128と係合可能な第1の脚部またはレッグ152および第2の実質的に平坦な表面129と係合可能な第2の脚部またはレッグ154を有するのが良い。ジョー組立体が細長いシャフトと位置合わせ不良である場合、ばねの一方の脚部は、ジョー組立体を整列配向状態に向かって付勢するようピボットピン126の対応の表面に係合する。
【0025】
したがって、ジョー組立体を関節運動させるため、ユーザは、最初に、ラッチ機構体を解除して関節連結機構体をラッチ外し形態に構成する。次に、ユーザは、力を所望の関節運動方向においてジョー組立体に加える。加えられる力を発生させるには、ジョー組立体を手術野中の解剖学的特徴部にまたは別の外科用器械に当接させるのが良い。ジョー組立体を関節運動させるためには、加えられる力は、整列機構体のばね156により及ぼされる付勢力よりも大きい。ステープラが所望の関節連結位置にある状態で、ユーザは、ラッチ機構体に係合して関節連結継手をラッチ留め形態に構成するのが良い。ジョー組立体を整列形態に戻し、例えば、ステープラを手術ポートから取り出すことが望ましい場合、ユーザは、ラッチ機構体を解除するのが良く、そして整列機構体の付勢作用がジョー組立体を整列配向状態に戻すことができるようにするのが良い。
【0026】
図8~
図10を参照すると、ハンドル組立体40内のラッチ解除機構体の実施形態が示されている。ラッチ解除機構体は、ハンドル組立体40内に設けられていて関節連結継手を選択的に制御する関節連結ラッチレバー162を含む。
図9は、関節連結継手の片手による作動を可能にするようハンドル組立体40の側部上に位置決めされた親指制御関節連結ラッチレバー162を示している。ハンドル組立体40は、細長いシャフト20に取り外し可能に結合されている。
図8は、細長いシャフト20へのハンドル組立体40の連結部の詳細切除図である。図示のように、ラッチ部材130の細長いストリップ134は、細長いシャフト20を貫通して細長いシャフト20の近位端部まで延びている。有利には、ラッチ部材130が近位側に付勢されるとともに「プッシュ‐トゥ‐リリース(push-to-release)」動作を行うので、細長いストリップ134の近位端部136は、長手方向に前進可能な解除部材に当接する必要があるに過ぎず、それによりハンドル組立体に設けられたレバー機構体への関節連結継手の連結が単純化される。変形例として、「プル‐トゥ‐リリース(pull-to-release)」動作を行うラッチ部材がハンドル組立体に設けられたレバー機構体との嵌合係合、例えば差し込み型連結を必要としても良い。
【0027】
図8および
図10を参照すると、ラッチ部材130を押すための関節連結ラッチレバーの動作状態が示されている。
図10に示されているように、関節連結ラッチレバー162は、アクスル164の一端から延びており、その結果、ラッチレバー162の運動によりアクスルがその回転軸線回りに回転するようになっている。リンクがアクスルを関節連結スリーブ160に設けられた溝に結合している。図示の実施形態では、関節連結スリーブ160は、ハンドル40の遠位端部まで遠位側に延びる全体として管状の部材である(
図8)。細長いシャフト20がハンドルに結合されると、関節連結継手のラッチ部材130は、関節連結スリーブ160に当接する。作用を説明すると、ユーザが関節連結ラッチレバー162の一端を遠位側に前進させると、関節連結スリーブ160は、これに対応して遠位側に送り進められ、そして当接状態のラッチ部材130が遠位側に押される。かくしてラッチ部材130の遠位端部は、関節連結継手のラッチ凹部から離脱し、それによりジョー組立体をジョー組立体の外部の力に応動して回動させることができる。
【0028】
有利には、関節連結スリーブ160とラッチ部材130の「プッシュ‐トゥ‐リリース」相互作用を行う図示の実施形態では、ラッチ部材130の近位端部と関節連結スリーブ160の遠位端部を、細長いシャフトがハンドル組立体に結合されると、互いに接触または当接係合関係をなすよう位置決めすることができる。ラッチ部材130の近位端部は、全体として平坦な当接面を有するのが良く、この全体として平坦な当接面は、関節連結スリーブ160の対応した全体として平坦な解除面とインターフェースする。図示のように、関節連結スリーブは、ラッチ部材130の当接面と関節連結スリーブの解除面との連続接触関係をなした状態で細長いシャフトを長手方向軸線回りに回転させることができるよう環状部材を有する。かくして、細長いシャフトは、ラッチ解除機構体の当接連結関係を維持しながら手術部位のところでのジョー組立体の所望の位置決めを容易にするようハンドル組立体に対して長手方向軸線回りに回転可能であるのが良い。したがって、かかる構成は、関節連結機構体のための比較的複雑な結合、インターフェース取り、またはインターロック幾何学的形状を必要としないで、ハンドル組立体および取り外し可能な細長いシャフトのための信頼性のあるラッチ解除機能を提供することができる。
【0029】
本願は、ある特定の好ましい実施形態および実施例を開示しているが、当業者によれば理解されるように、本発明は、具体的に開示した実施形態を越えて他の変形実施形態および/または本発明の使用並びにその自明な改造例および均等例に及ぶ。さらに、本発明の種々の特徴を単独でまたは上記において明示的に説明した本発明の特徴以外の本発明の他の特徴と組み合わせて利用できる。例えば、関節運動ラッチ機構体および解除機構体のある特定の観点を手動または電動ステープル配備手段を含むステープル留めシステム中に組み込むことができるということが想定される。さらに、関節運動ラッチ機構体および解除機構体のある特定の観点を手動で選択可能な関節連結機構体を含むステープル留めシステム中に組み込むことができるということが想定される。かくして、本明細書に開示した本発明の範囲は、上述の特定の開示した実施形態によって制限されることはなく、以下の特許請求の範囲の記載の公正な読みによってのみ定められるべきである。