(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】除菌組成物
(51)【国際特許分類】
C11D 1/62 20060101AFI20240416BHJP
C11D 3/37 20060101ALI20240416BHJP
C11D 1/68 20060101ALI20240416BHJP
C11D 1/72 20060101ALI20240416BHJP
C11D 1/90 20060101ALI20240416BHJP
C11D 1/52 20060101ALI20240416BHJP
C11D 1/75 20060101ALI20240416BHJP
A01P 3/00 20060101ALI20240416BHJP
A01N 33/12 20060101ALI20240416BHJP
A01N 33/24 20060101ALI20240416BHJP
A01N 59/00 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
C11D1/62
C11D3/37
C11D1/68
C11D1/72
C11D1/90
C11D1/52
C11D1/75
A01P3/00
A01N33/12 101
A01N33/24
A01N59/00 A
(21)【出願番号】P 2022502025
(86)(22)【出願日】2020-07-13
(86)【国際出願番号】 US2020070258
(87)【国際公開番号】W WO2021011952
(87)【国際公開日】2021-01-21
【審査請求日】2022-01-12
(32)【優先日】2019-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2020-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100209495
【氏名又は名称】佐藤 さおり
(72)【発明者】
【氏名】ヘイワード、アダム・サイモン
【審査官】柴田 啓二
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-100085(JP,A)
【文献】国際公開第2019/036173(WO,A1)
【文献】特開2019-104793(JP,A)
【文献】特表2017-536420(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D
A01P
A01N
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
i)窒素含有殺生物性化合物と、
ii)以下の式のモノマーを含むポリマー:
a)H2C=CR1-CO-NH-R2-N+R3R4R5X-
(式中、R1は、水素又はC1~C4アルキルを表し、
R2は、直鎖状又は分岐鎖状C1~C12アルキレンを表し、
R3、R4、及びR5は、互いに独立してそれぞれが、水素、C1~C18アルキル又はフェニルを表し、
X-は、ハロゲン化物、サルフェート、アルキルサルフェート、水酸化物、ホスフェート、アセテート、及びホルメートからなる群から選択されるアニオンを表す)、
b)前記ポリマーの重量に基づいて40~75重量%のN-イソプロピルアクリルアミド、
c)アクリル酸及び/若しくはメタクリル酸、並びに/又はそれらの塩、及び
d)H2C=CR-CO-NH-CR'R''R'''-SO3H、及びその塩(式中、R、R'、及びR''は、独立して、水素、C1~C4アルキル、又はC1~C4アルキレンを表し、R'''は、独立して、C1~C4アルキル又はC1~C4アルキレンを表す)
とを、含
み、
前記窒素含有殺生物性化合物が、
混合物であり、前記混合物が、前記混合物の30重量%~50重量%のN-アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリドと、前記混合物の20重量%~40重量%のN-オクチルデシルジメチルアンモニウムクロリドと、前記混合物の5重量%~25重量%のジ-n-デシルジメチルアンモニウムクロリドと、前記混合物の5重量%~25重量%のジ-n-ジオクチルジメチルアンモニウムクロリドと、を含む、除菌洗浄組成物。
【請求項2】
前記モノマーa)、b)、c)、及びd)が、前記ポリマーの100重量%に基づいて、それぞれ、25~45%、40~70%、1~15%、及び1~15%の重量割合で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記ポリマーが、
トリメチルアンモニウムプロピルメタクリルアミドクロリドのモノマーと、
N-イソプロピルアクリルアミドのモノマーと、アクリル酸及び/又はメタクリル酸、並びにこれらの塩と、
2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパン-スルホン酸と、
を含む、請求項1
又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物が水性液体の形態である、請求項1~
3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物の0.1重量%~5重量%の前記ポリマーを含む、請求項1~
4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物の0.05重量%~5重量%の前記窒素含有殺生物性化合物を含む、請求項1~
5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物の0.05重量%~5重量%の界面活性剤を含み、前記界面活性剤が、アルキルポリグルコシド、脂肪族アルコールアルコキシレート、ベタイン、アルキルグルカミン、アルキルグルカミド、アミンオキシド、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1~
6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物の0.1重量%~10重量%のpH調整剤を含む、請求項1~
7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
i)前記組成物の0.05重量%~2重量%の窒素含有殺生物性化合物と、
ii)前記組成物の0.1重量%~4重量%のポリマーと、
iii)前記組成物の0.05重量%~2重量%の界面活性剤であって、アミンオキシド界面活性剤、非イオン性界面活性剤、及びそれらの混合物からなる群から選択される界面活性剤と、
iv)前記組成物の0.2重量%~3重量%のpH調整剤と、
v)90~99%の水と、
を含む、請求項1~
8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物が、残留殺生物性を表面に付与する、請求項1~
9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記組成物が、残留殺生物性を表面に提供する、請求項1~1
0のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項12】
請求項1~1
0のいずれか一項に記載の組成物で処理された物品。
【請求項13】
前記物品が、拭き取りの形態、又は使い捨て基材の形態である、請求項1
2に記載の物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除菌組成物の分野、特に除菌洗浄組成物の分野におけるものである。その組成物は、残留殺生物性を提供し、同時に良好な洗浄性及び輝きを提供する。
【背景技術】
【0002】
国際公開第2016/086012A1号に記載されているもののような組成物は、長期間の消毒効果を提供する。しかしながら、表面をそのような組成物で処理すると、ユーザにとっては、輝きプロファイルが劣り、乾燥速度が遅く、更にはユーザには清浄ではないと暗示するようなねばねば/べとべとする感触があるように感じられる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、良好な洗浄性、良好な輝き、及び長期にわたる殺菌性能を提供する除菌組成物が依然として必要とされている。好ましくは、組成物は、食品に接触する表面に好適なものであろう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様によれば、除菌洗浄組成物が提供される。その組成物は、残留殺生物性を提供する。
【0006】
本発明の第2の態様によれば、本発明の第1の態様の組成物で処理した物品が提供される。その物品は、1つ以上の不織布層を含む、使い捨ての基材又は部分的に再利用可能な基材の形態である。物品は、表面、特に硬質表面への衛生化を提供する。その物品は、本明細書においては、「本発明の物品」と呼ばれることもある。
【0007】
本発明の第3の態様によれば、表面、特に硬質表面に、残留殺生物性を提供するための本発明の組成物の使用が提供される。
【0008】
本発明の第1の態様に関連して説明される本発明の組成物の要素は、必要な変更を加えて、発明の他の態様にも適用される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書で用いる百分率、比率、及び割合は全て、特に断らない限りは組成物の重量に基づいた重量%である。全ての平均値は、別段の明示的な指示がない限り、組成物の「重量に基づいて」計算される。別段の定めがない限り、全ての比率は重量/重量のレベルとして計算される。
【0010】
全ての測定は、別段に明記しない限り、25℃で実施される。
【0011】
別途注記のない限り、全ての成分又は組成物の濃度は、当該成分又は組成物の活性部分に関するものであり、このような成分又は組成物の市販の供給源に存在する場合のある不純物、例えば、残留溶媒又は副生成物は除外される。
【0012】
本明細書で使用される場合、「微生物/菌」又は「微生物/菌の」という用語は、微生物学者によって研究される微小な生物又は処理された物品の使用環境に見られる微小な生物のうちの、任意のものを指すと解釈されるべきである。そのような生物としては、細菌及び真菌、並びに他の単細胞生物(カビ、白カビ、及び藻類など)が挙げられるが、それらに限定されない。ウイルス粒子及び他の感染性病原体もまた、「微生物/菌」という用語に含まれる。
【0013】
更に、「抗菌性」という表現は、殺菌性及び制菌性の両方の特性を包含すると理解されるべきである。すなわちこの用語は、微生物/菌を殺菌することを含み、微生物/菌の数的減少をもたらし、加えて微生物/菌の増殖を遅延させる効果をもたらす。そのため、微生物/菌の数は、ほぼ一定のままであり得る(とはいえ、わずかに増加/減少することは可能である)。
【0014】
議論を容易にするために、この説明は、「抗菌性」という用語を、薬効の広い活性(例えば、細菌及び真菌に対する活性)を示すために使用している。特定の微生物又は分類学的階級の生物に対する効果に関して言及する場合には、より焦点を絞った用語が使用される(例えば、「抗真菌性」という用語は、特に、真菌の増殖に対する効果を示す)。しかし上記の例を使用して言えば、真菌に対して効果があるということは、同じ抗菌性組成物が別の分類の微生物に対して効果を示す可能性を、いかなる意味でも排除するものではないということを理解されたい。
【0015】
残留殺生物特性は、硬質の、非多孔性表面上の乾燥生成残留物のための、米国環境保護庁(EPA)が認可した24時間残留自己消毒(RSS)試験法(EPA#01-1A)において、微生物が少なくとも99.9%減少することを指す。すなわち、残留殺生物特性を示す本発明の組成物は、12回の摩滅及び5回の再播種を伴う24時間の試験レジメン後に、微生物を少なくとも99.9%の減少させることができる。
【0016】
除菌組成物
本発明は、除菌組成物を対象とする。その組成物は、窒素含有殺生物性化合物とポリマーとを含む。その組成物は、他の成分の中でも特に、担体好ましくは水、界面活性剤、pH調整剤、及び芳香剤を更に含み得る。好ましくは、組成物は、液体形態、より好ましくは水溶液の形態であり、また好ましくは、その組成物が、組成物の80重量%超、より好ましくは90重量%超、特に95重量%~99重量%の水を含む。
【0017】
組成物は、EPA認可の24時間RSS試験法(EPA#01-1A)において、微生物を少なくとも99.9%の減少させることによって、少なくとも24時間にわたって表面殺菌性及び残留殺生物特性を有するように製剤化されている。その組成物は、噴霧、ローラーがけ、霧充満法、拭き取り、又は他の手段によって、表面に適用され得る。組成物は、表面除菌として作用し、表面上に存在する感染性微生物/菌を、少なくとも24時間にわたって殺菌する。
【0018】
ひとたび液体製剤が乾燥すると、その液体製剤は表面上に、残留保護フィルムを残す。その残留フィルムは、殺生物特性を有し、その適用後に長期間にわたって、表面を、微生物/菌による汚染から保護し続けることを可能にする。
【0019】
除菌組成物は、処理された表面上へのフィルムの堆積後少なくとも24時間にわたって、細菌及び他の病原菌を迅速に殺菌する能力を有するフィルムを付与する。迅速な殺菌とは一般に、約30秒間~約5分間での殺菌を指す。フィルムは表面上に残り、表面が複数回触られたり、表面が摩耗したりするのにも耐えることができる。組成物が表面に塗布された後、その表面は良好な輝きプロファイルを呈する。
【0020】
窒素を含有する殺生物性化合物
本発明の組成物に好適な、好ましい窒素含有殺生物剤としては、四級アンモニウム化合物、ビグアナイド、クロルヘキシジン塩、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0021】
窒素含有殺生物剤は、以下の分子構造を有する四級アンモニウム化合物(QAC)であり得る:
【0022】
【化1】
式中、
R1、R2、R3、及びR4は独立して選択され、その例としては、ヘテロ原子の有無、又は飽和であるか若しくは非飽和であるかにかかわらず、アルキル、アルコキシ、又はアリールが挙げられるが、それらに限定されない。官能基の一部又は全部が、同じであってもよい。
【0023】
対応するアニオンX’’としては、ハロゲン、スルホネート、サルフェート、ホスホネート、ホスフェート、カーボネート/ビカルボネート、ヒドロキシ、又はカルボキシレートが挙げられるが、それらに限定されない。
【0024】
QACとしては、n-アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ジ-n-オクチルジメチルアンモニウムクロリド、ドデシルジメチルアンモニウムクロリド、n-アルキルジメチルベンジルアンモニウムサッカリン酸塩、及び3-(トリメトキシシリル)プロピルジメチルオクタデシルアンモニウムクロリドが挙げられるが、それらに限定されない。
【0025】
複数の単量体QACの組み合わせが、本発明の組成物に使用されることが好ましい。QACの組み合わせの具体的例としては、N-アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリド(40%)と、N-オクチルデシルジメチルアンモニウムクロリド(30%)と、ジ-n-デシルジメチルアンモニウムクロリド(15%)と、ジ-n-ジオクチルジメチルアンモニウムクロリド(15%)との組み合わせである。上記のパーセンテージは、ブレンドされたQAC組成物の総重量に基づいた、個々のQACの重量パーセントである。市販の四級アンモニウム化合物の例としては、Lonza社製のBardac 205M及び208M、並びにStepan Company製のBTC885が挙げられるが、それらに限定されない。組成物は、組成物の約0.05重量%~約20重量%、好ましくは0.05重量%~10重量%のQAC組成物を含む。
【0026】
本発明に有用な窒素含有殺生物剤の別の分類は、分子中にビグアナイド部分を有する化合物である。例えば、ポリマービグアナイドあるいはポリビグアナイドとしても知られる物質、又はこれらの塩、類似体、若しくは誘導体が挙げられる。ポリビグアナイドは、コポリマー又はヘテロポリマーであり得る。ポリビグアナイドは、直鎖状、分岐鎖状、環状、及び/又は樹状のものであり得る。ポリマー繰り返し単位の平均数は、2~1,000、例えば、5~100、例えば10~50で変化し得る。ポリビグアナイドは、ポリヘキサメチレンビグアナイド(PHMB)、ポリヘキサメチレンモノグアナイド(PHMG)、ポリエチレンビグアナイド(PEB)、ポリテトラメチレンビグアナイド(PTMB)、ポリヘキサメチレンビグアナイド(PHMB)、ポリメチレンビグアナイド(PMB)、ポリ(アリルビグアニジニオ-co-アリルアミン)、ポリ(N-ビニル-ビグアナイド)、ポリアリル-ビグアナイドなどが含まれ得る。本明細書において用いられるのに好ましいポリマー性ビグアナイドは、ポリアルキレンビグアナイドであり、より好ましくは、ポリヘキサメチレンビグアナイドヒドロクロリドであって、繰り返しビグアナイド単位の平均値が10~50、又は10~25であるものである。そのようなポリヘキサメチレンビグアナイドは、Lonza社によって、20%の水溶液として供給され、商品名Vantocilの異形名(例えば、Vantocil IB、Vantocil Pなど)で、また商品名Reputexで、多くの用途に向けて販売されている。
【0027】
本発明に有用な窒素含有殺生物剤の別の分類は、クロルヘキシジン塩である。クロルヘキシジン塩としては、クロルヘキシジンジグルコネート、クロルヘキシジンジヒドロクロリド、クロルヘキシジンビスビカルボネート、クロルヘキシジンカルボネート、又はクロルヘキシジンジアセテートが挙げられる。クロルヘキシジンジアセテートは、クロルヘキシジンジアセテート水和物として、Medichem SAから購入することができる。
【0028】
本発明に有用な窒素含有殺生物剤の別の分類は、例えば約8~約16個の炭素原子を有するアルキルアミンなどの、三級アルキルアミンである。組成物中で使用され得るアミン殺生物剤の例としては、N,N-ビス(3-アミノプロピル)ドデシルアミン、N-(3-アミノプロピル)-N-ドデシルプロパン-1,3-ジアミン、N-(3-アミノプロピル)-N-デシル-1,3-プロパンジアミン、N-(3-アミノプロピル)-N-テトラデシル-1,3-プロパンジアミン、又はこれらの混合物が挙げられる。
【0029】
組成物は、組成物の約0.05重量%~約20重量%、好ましくは0.05重量%~10重量%の窒素含有殺生物性化合物を含む。
【0030】
ポリマー
組成物は好ましくは、組成物の約0.0005重量%~約5重量%、好ましくは約0.001重量%~約4重量%のポリマーを含む。より好ましくは、組成物の約0.05重量%~約3重量%のポリマーを含む。本発明の組成物のポリマーは、4つのモノマーを含む。
【0031】
モノマー成分a)
このタイプのモノマーは、以下の一般式に従う:
H2C=CR1-CO-NH-R2-N+R3R4R5X-
式中、R1は、水素原子又は1~4個の炭素(C)原子を有するアルキルラジカルを表し、R2は、1~12個のC原子を有する直鎖状又は分岐鎖状アルキレンラジカルを表し、R3、R4、及びR5は、互いに独立して、水素原子、1~18個のC原子を有するアルキルラジカル、又はフェニルラジカルを独表し、Xは、ハロゲン、サルフェート又はアルキルスルフェート、水酸化物、ホスフェート、アセテート、ホルマート、又はアンモニウムかの基からのアニオンを表す。特に好ましいものは、R1がメチルラジカルを表し、R2がCH2-CH2-CH2基を表し、かつR3、R4、及びR5のラジカルがそれぞれ、メチルラジカルを表す、タイプa)のモノマーである。X-は、例えばハロゲン化物、水酸化物、サルフェート、重硫酸塩、ホスフェート、ホルマート、又はアセテート、好ましくはクロリドなどの好適な対イオンを表す。モノマーである、3-トリメチルアンモニウムプロピルメタクリルアミドクロリド(MAPTAC)が、特に好ましい。
【0032】
モノマー成分b)
本発明によるポリマー中に含有される第2のモノマー構成単位は、以下の一般式の窒素含有エチレン性不飽和化合物である:
H2C=CR6-CO-NR7R8
式中、R6は、水素原子又は1~4個のC原子を有するアルキルラジカルを表し、R7及びR8は、互いに独立して、水素原子、1~4個のC原子を有するアルキルラジカル、又はC3~C6シクロアルキルラジカルを表し、ただしその仕様として、R7とR8とは同時に水素を表すものではない。モノマーb)は、アクリルアミドを包含する。特に好ましいのは、NIPAMという略称でも知られているN-イソプロピルアクリルアミドである。
【0033】
モノマー成分c)
第3の成分c)としては、エチレン性不飽和酸及びこれらの塩(例えば、アクリル酸又はメタクリル酸など)が好適である。メタクリル酸(M)は、ここで特に好ましいモノマーである。特に好適な塩は、アルカリ金属塩及びアンモニウム塩である。
【0034】
モノマー成分d)
このタイプのモノマーは、以下の一般式に従う:
H2C=CR-CO-NH-CR’R’’R’’’-SO3H及びその塩、特にアルカリ金属塩及びアンモニウム塩であり、R’、R’’、R’’’は、互いに独立して、水素原子又は1~4個のC原子を有するアルキル(又はアルキレン)ラジカルを表し、R’’’は独立して、1~4個のC原子を有するアルキル(又はアルキレン)ラジカルを表す。タイプd)のモノマー構成単位として特に好ましいものは、一般式H2C=CR-CO-NH-CR’R’’R’’’-SO3Hを有する分子であり、特に誘導体である、2-アクリルアミド-2-メチルプロパン-スルホン酸(AMPS)が好適である。
【0035】
追加のモノマー構成単位が、前述のa)~d)に加えて、本発明によるポリマー中に存在し得るが、ここでは特に、窒素含有モノマーが好ましい。例としては、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド(DADMAC)、2-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート(DMAE(M)A)、2-ジエチルアミノ-エチル(メタ)アクリレート、3-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド(DMAP(M)A)、3-ジメチル-アミノ-2,2-ジメチルプロピルアクリルアミド(DMADMPA)、及びそれらの誘導体が挙げられ、これらは、プロトン化若しくは四級化によって得ることができるが、特に、2-トリメチル-アンモニウムメチル(メタ)アクリレートクロリド、及び3-ジエチルメチルアミンモニウムプロピル-アクリルアミドクロリドが挙げられる。
【0036】
本発明によるポリマーは水溶性であり、すなわち、少なくとも0.1gのポリマーが、20℃で100mLの水に溶解できる。ポリマーは、両性のものである。すなわち、ポリマーは、酸性親水性基及び塩基性親水性基の両方を有し、条件に応じて酸性又は塩基性の挙動を示す。本発明によるポリマーは、好ましくは、10,000~500,000Daの範囲の、光散乱検出(SEC-Mall)を有する水性ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定される平均分子量(重量平均分子量、Mw)を有する。好ましくは、ポリマーの分子量は、50,000~350,000Da、特に100,000~250,000Daである。特に好ましい範囲は、110,000~140,000Daの間にあり得る。
【0037】
上記の様々なモノマー構成単位a)~d)は、好ましくは、互いに対して特定の選択された定量的比で生じる。それぞれの場合において好ましいのは、成分a)及びc)に対して成分(b)を、(モル基準及び成分の重量基準の両方で)過剰に含有するポリマーである。ここで好ましいのは、モノマーa)、b)、及びc)のモル比が1:10:1~5:10:5の範囲、好ましくは4:10:1~4:10:3の範囲、特に3:8:2~3:8:1の範囲のポリマーである。
【0038】
特に好ましいのは、とりわけ成分a)とb)との間のモル比が1:10~1:1、特に1:5~1:1であるポリマーである。
【0039】
それぞれのモノマーのモル%に基づけば、好ましくは、20~30%のモノマーa)、50~70%のモノマーb)、及び10~20%のモノマーc)が存在する。好ましくは、モノマー構成単位c)及びd)は、2:1~1:2のモル比で同時に存在するが、特に好ましくは1:1の比で存在する。4つの異なるモノマー構成単位を有する特に好ましいポリマーは、モル比a):b):c):d)=2:4:1:1~1:10:1:1を有する。特に好ましい比は、3:8:1:1である。
【0040】
特に、好ましいポリマーは、モノマーa)は、R’がメチル基を表し、R2が3つのC原子を有するアルキレンラジカルを表し、R3、R4、及びR5がそれぞれメチルラジカルを表し、Xがクロリドを表す、上記の一般式の化合物から選択され、モノマーb)は、R6及びR7が水素原子を表し、R8がイソプロピルラジカルを表す上記の一般式の化合物から選択され、モノマーc)は、R’、R’’、R’’’が、互いに独立して、水素原子又は1~4個のC原子を有するアルキル(又はアルキレン)ラジカルを表し、R’’’が独立して、1~4個のC原子を有するアルキル(又はアルキレン)ラジカルを表す、H2C=CR-CO-NH-CCR’R’’R’’’-SO3H及びその塩、特にアルカリ金属塩及びアンモニウム塩を表す。
【0041】
本発明によるそのようなポリマーは、様々な重合プロセスによって生成することができる。それらは、例えば、溶液重合又はバルク重合によって生成され得る。好ましくは、それらは溶液重合、したがって溶媒及び/又は水中でのモノマーの重合によって生成され、モノマー及びそれらから生じるポリマーの両方が可溶性を有する。更に、重合は、最初にモノマーの総量を取ることによって又はモノマーを流入させるという条件下で、バッチ式、半連続的、又は連続的に実施することができる。好ましくは、重合は、モノマー流入を伴う又は伴わないバッチ式重合として実施される。本発明の組成物のためのポリマーを生成するためのプロセスの詳細は、米国特許出願公開第2007/0179265A1号に見出される。
【0042】
本発明の、特に好ましいそれゆえ別の一態様は、20℃で水に溶解することができ、4つの異なるモノマーa)、b)、c)及びd)を含有するポリマーであり、モノマーa)及びb)が、1:1~1:10のモル比で存在し、加えてモノマーc)及びd)が存在し、モノマーa)としては、3-トリメチルアンモニウムプロピル-メタクリルアミドクロリド(MAPTAC)が好ましく、モノマーb)としては、N-イソプロピル-アクリルアミド(NIPAM)が好ましく、モノマーc)としては、アクリル酸(M)及び/又はメタクリル酸(MA)が好ましく、モノマーd)としては、2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸(AMPS)が好ましく、しかも仕様として、モノマーc)が、水溶性ポリマーの総重量に基づいて最大25重量%の量で、水溶性ポリマー中に存在するというポリマーである。前述の説明によるポリマーでは、モノマーc)の重量分率が、15重量%未満、特に10重量%以下になるものが好ましい。モノマーc)の好ましい重量範囲は、5重量%~25重量%である。
【0043】
好ましいポリマーは、20℃で水溶性のものであり、モノマーMAPTAC、NIPAM、M及びAMPASを、25~45%の重量割合でMAPTACを、40~70%の重量割合でNIPAMを、1~15%の重量割合でMを、かつ1~15%の重量割合でAMPSを含有し、ただし仕様として、これらのパーセンテージの合計が100となるものである。
【0044】
これらのポリマーに対しても、上述の好ましいモル比は適用可能であり、また、ポリマー内のモノマーどうしの好ましい重量比も適用可能である。すなわち、モノマーa)、b)、及びc)又はd)のモル比は、1:10:1~5:10:5、好ましくは4:10:1~4:10:3の範囲、特に3:8:2~3:8:1の範囲内にある。特に好ましいポリマーは、モノマーa)、b)、c)、及びd)を、3:8:1:1のモル比で含有する。
【0045】
上記ポリマーに基づく重量比は、20重量%~30重量%のモノマーa)、50重量%~70重量%のモノマーb)、及び10重量%~20重量%のモノマーc)及び/又はd)であり、ただし仕様として、パーセンテージの合計は100となる。モノマーc)及びd)は、それらがポリマー中に同時に存在する場合には、好ましくは1:1の重量比で存在する。上で詳細に説明したように、選択されたポリマーの平均分子量は、好ましくは10,000~500,000の範囲内である。
【0046】
界面活性剤
本発明の組成物は、組成物の0.1重量%~5重量%の界面活性剤を含み得る。界面活性剤は、洗浄される表面の洗浄と、洗浄される表面上に組成物を拡げることに寄与するものである。
【0047】
アルコールアルコキシル化非イオン性界面活性剤
好適なアルコールアルコキシル化非イオン性界面活性剤は、式:RO-(A)nHによるものであり、式中、Rが、C4~C18、好ましくはC6~C16、より好ましくはC6~C14の、分岐鎖状又は直鎖状第一アルキル鎖、又はC6~C28アルキルベンゼン鎖であり、Aは、エトキシ、プロポキシ、若しくはブトキシ単位又はこれらの混合物であり、nは1~30、好ましくは1~15、より好ましくは3~12、更により好ましくは3~8である。本明細書における使用に好ましいR鎖は、C6~C16の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル鎖である。
【0048】
好適な分岐鎖アルコキシル化アルコールは、C4~C10アルキル分岐鎖アルコキシル化アルコール、及びこれらの混合物から選択され得る。分岐鎖アルコキシル化アルコールは、1つ以上のC1~C4分岐基を有するC4~C10一級モノアルコールからなる群から選択されたC4~C10アルキル分岐鎖アルコールのアルコキシル化に由来するものであり得る。
【0049】
C4~C10一級モノアルコールとは、一級モノアルコールの主鎖が、合計4~10個の炭素原子を有することを意味する。上記のC4~C10一級モノアルコールは、メチルブタノール、エチルブタノール、メチルペンタノール、エチルペンタノール、メチルヘキサノール、エチルヘキサノール、プロピルヘキサノール、ジメチルヘキサノール、トリメチルヘキサノール、メチルへプタノール、エチルヘプタノール、プロピルヘプタノール、ジメチルヘプタノール、トリメチルヘプタノール、メチルオクタノール、エチルオクタノール、プロピルオクタノール、ブチルオクタノール、ジメチルオクタノール、トリメチルオクタノール、メチルノナノール、エチルノナノール、プロピルノナノール、ブチルノナノール、ジメチルノナノール、トリメチルノナノール、及びこれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0050】
C4~C10一級モノアルコールは、エチルヘキサノール、プロピルヘキサノール、エチルヘプタノール、プロピルヘプタノール、エチルオクタノール、プロピルオクタノール、ブチルオクタノール、エチルノナノール、プロピルノナノール、ブチルノナノール、及びこれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0051】
好ましくは、C4~C10一級モノアルコールは、エチルヘキサノール、プロピルヘキサノール、エチルヘプタノール、プロピルヘプタノール、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0052】
最も好ましくは、C4~C10一級モノアルコールは、エチルヘキサノールであり、プロピルヘプタノールである。
【0053】
分岐鎖アルコキシル化アルコールでは、1つ以上のC1~C4分岐基を、C4~C10一級モノアルコール内に、原料アルコールのヒドロキシル基から測定されるC1~C3位置、好ましくはC1~C2位置、より好ましくはC2位置で置換することができる。
【0054】
分岐鎖アルコキシル化アルコールは、1~14個、好ましくは2~7個、より好ましくは4~6個のエトキシレート単位と、任意選択で1~9個、好ましくは2~7個、より好ましくは4~6個のプロポキシレート単位を含み得る。
【0055】
分岐鎖アルコキシル化アルコールは、好ましくは、4~6の程度までエトキシル化され、4~6の程度までプロポキシル化された2-エチルヘキサン-1-オールであり、より好ましくは、そのアルコールは、最初にプロポキシル化され、その後でエトキシル化される。別の好ましい分岐鎖アルコキシル化アルコールは、2-アルキル-1-アルカノールであり、例えば、アルコキシル化C10ゲルベアルコールであって、1~14個、好ましくは2~7個、より好ましくは3~6個のエトキシレート又はエトキシレート-プロポキシレート単位を有するものである。
【0056】
好適な分岐鎖アルコキシル化アルコールの非限定的な例としては、例えば、DOW社から市販されているEcosurf(登録商標)EH3、EH6、及びEH9、並びにBASF社から入手可能なLutensol(登録商標)XPアルコキシル化ゲルベアルコール及びLutensol(登録商標)XLエトキシル化ゲルベアルコールが挙げられる。
【0057】
本明細書で好ましい直鎖状アルコールアルコキシル化非イオン性界面活性剤は、C8、C10、C12の直鎖状アルキル鎖、C8~C10の直鎖状アルキル鎖の混合物、C10~C12直鎖状アルキル鎖の混合物、C9~C11の直鎖状アルキル鎖の混合物、及び8個以下のエトキシレート単位、好ましくは3~8個のエトキシレート単位を有するアルコキシル化非イオン性界面活性剤である。
【0058】
本明細書で使用するための好適な直鎖状アルコキシル化非イオン性界面活性剤の非限定的な例は、Dobanol(登録商標)91-2.5(Rが、C9及びC11アルキル鎖の混合物であり、nが2.5である)、Dobanol(登録商標)91-5(Rが、C9~C11アルキル鎖の混合物であり、nが5である)、Dobanol(登録商標)91-10(Rが、C9~C11アルキル鎖の混合物であり、nが10である)、Greenbentine DE60(Rが、C10直鎖状アルキル鎖であり、nが6である)、Marlipal 10-8(Rが、C10直鎖状アルキル鎖であり、nが8である)、Neodol 91-8(Rが、C9~C11アルキル鎖の混合物であり、nが8である)、Empilan(登録商標)KBE21(Rが、C12及びC14アルキル鎖の混合物であり、nが21である)、Lutensol ON30(Rが、C10直鎖状アルキル鎖であり、nが3である)、Lutensol ON50(Rが、C10直鎖状アルキル鎖であり、nが5である)、Lutensol ON70(Rが、C10直鎖状アルキル鎖であり、nが7である)、Novel 610-3.5(Rが、C6~C10直鎖状アルキル鎖の混合物であり、nが3.5である)、Novel 810FD-5(Rが、C8~C10直鎖状アルキル鎖の混合物であり、nが5である)、Novel 10-4(Rが、C10直鎖状アルキル鎖であり、nが4である)、Novel 1412-3(Rが、C12~C14直鎖状アルキル鎖の混合物であり、nが3である)、Lialethl(登録商標)11-5(Rが、C11直鎖状アルキル鎖であり、nが5である)、Lialethl(登録商標)11-21(Rが、直鎖状及び分岐鎖状C11アルキル鎖の混合物であり、nが21である)、又はこれらの混合物である。
【0059】
アルコキシル化非イオン性界面活性剤は、二級アルコールエトキシレートであり得るが、例えば、以下に示される一般式を有し、DOW社によって市販されているTergitol(商標名)-15-S界面活性剤が挙げられる。
【0060】
【化2】
Tergitol 15-S界面活性剤
好ましい二級アルコールエトキシレート界面活性剤は、3~9個のEO単位を有する。
【0061】
別の好適なアルコキシル化非イオン性界面活性剤は、アルキルエトキシアルコキシアルコールであり、好ましくは分子のアルコキシ部分が、プロポキシ、又はブトキシ、又はプロポキシブトキシであるものである。より好ましいアルキルエトキシアルコキシアルコールは、式(II)のものである:
【0062】
【化3】
式中、
Rは、8~16個の炭素原子を有する分岐鎖又は非分岐鎖アルキルラジカルであり、
R
1は、1~5個の炭素原子を有する分岐鎖又は非分岐鎖アルキルラジカルであり、
nは1~10であり、mは6~35である。
【0063】
好ましくは、Rは、12~15個、好ましくは13個の炭素原子である。R1は、炭素原子数1~2の分岐鎖アルキルラジカルであることが好ましく、nは1~5であることが好ましく、mは8~25であることが好ましい。好ましくは、式(II)のエトキシル化アルコキシル化非イオン性界面活性剤の重量平均分子量は、500~2000g/モル、より好ましくは600~1700g/モル、最も好ましくは800~1500g/モルである。
【0064】
エトキシル化アルコキシル化非イオン性界面活性剤は、ポリオキシアルキレンコポリマーであり得る。ポリオキシアルキレンコポリマーは、ブロック-ヘテリックエトキシル化アルコキシル化非イオン性界面活性剤であり得るが、ブロックーブロック界面活性剤が好ましい。好適なポリオキシアルキレンブロックコポリマーとしては、式(III)のエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックポリマーが挙げられる:
(EO)x(PO)y(EO)x、又は
(PO)x(EO)y(PO)x
式中、EOが、エチレンオキシド単位を表し、POが、プロピレンオキシド単位を表し、x及びyが、生成物の各モルにおけるエチレンオキシド及びプロピレンオキシドの平均数を詳述する数である。かかる物質は、殆どの非イオン性界面活性剤よりも高い分子量を有する傾向があり、そのため、1000~30000g/モルの範囲であり得るが、分子量は、本発明に従うものとするためには、2200超且つ好ましくは13000未満であるべきである。ポリマー非イオン性界面活性剤の分子量の好ましい範囲は、2400~11500ダルトンである。BASF社(ニュージャージー州、Mount Olive)は、好適な一連の誘導体を製造し、それらをPluronicの商標名で販売している。それらの例としては、それぞれ6600、2450、及び11400g/モルの分子量を有する、Pluronic(商標)F77、L62、及びF88が挙げられる。
【0065】
他の好適なエトキシル化アルコキシル化非イオン性界面活性剤は、Surfactant Science and Technology,Third Edition,Wiley Press,ISBN 978-0-471-68024-6の第7章に記載されている。
【0066】
最も好ましくは、アルコキシル化非イオン性界面活性剤は、2-プロピルヘプチル EO8(Lutensol XL89(BASF社製))、2-プロピルヘプチルEO5(Lutensol XL50(BASF社製))、C10アルコールEO5(Lutensol ON50(BASF社製))、C10アルコールEO7(Lutensol ON70(BASF社製))、C8~C10EO5(Novel 810 FD5(Sasol社製))、C10EO4(Novel 10-4(Sasol社製))、Tergitol 15-S-3、Tergitol 15-S-5、Tergitol 15-S-7、及びエチルヘキサノールPO5EO6(Ecosurf EH6(Dow社製))からなる群から選択される。
【0067】
アルキルポリグルコシド
アルキルポリグリコシドは、当該技術分野において周知の生分解性非イオン性界面活性剤であり、本発明の組成物に使用することができる。好適なアルキルポリグリコシドは、一般式CnH2n+1O(C6H10O5)xHを有することができ、式中、nは好ましくは8~16、より好ましくは8~14であり、xは少なくとも1である。好適なアルキルポリグルコシド界面活性剤の例としては、Dow社製のTRITON(登録商標)アルキルポリグルコシド、BASF社製のAgnique PG、Disponil APG、及びGlucoponアルキルポリグルコシドが挙げられる。好ましいアルキルポリグルコシド界面活性剤は、nが8~12、より好ましくは8~10であり、例えばTriton CG50(Dow社製)などが挙げられる。
【0068】
アミンオキシド
好適なアミンオキシド界面活性剤としては、R1R2R3NOが挙げられ、式中、R1、R2、及びR3のそれぞれは、独立して、1~30個の炭素原子を有する、飽和又は不飽和で、置換又は非置換で、直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素鎖である。好ましいアミンオキシド界面活性剤は、以下の式:R1R2R3NOを有するアミンオキシドであり、式中、R1は、1~30個、好ましくは6~20個、より好ましくは8~16個の炭素原子を含む炭化水素鎖であり、R2及びR3は、独立して、1~4個の炭素原子、好ましくは1~3個の炭素原子を含む、飽和又は不飽和で、置換又は非置換で、直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素鎖であり、より好ましくはメチル基である。R1は、飽和又は不飽和で、置換又は非置換で、直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素鎖であってよい。
【0069】
非常に好ましいアミンオキシドは、C8ジメチルアミンオキシド、C10ジメチルアミンオキシド、C12ジメチルアミンオキシド、C14ジメチルアミンオキシド、及びこれらの混合物である。またC8ジメチルアミンオキシドは、Clariant社から、Genaminox(登録商標)OCの商品名で市販されている。C10ジメチルアミンオキシドは、Clariant社から、Genaminox(登録商標)K-10の商品名で市販されている。C12ジメチルアミンオキシドは、Clariant社から、Genaminox(登録商標)LAの商品名で市販され、またHuntsman社から、Empigen OBの商品名で市販されている。C14アミンオキシドは、Huntsman社から、Empigen OH25の商品名で市販されている。他の好適なアミンオキシド界面活性剤は、Clariant社から、Genaminox CHEの商品名で入手可能な、ココイルジエトキシアミンオキシド、及びHuntsman社から、Empigen OS/Aの商品名で市販されているコカミドプロピルアミンオキシドである。特に好ましいアミンオキシド界面活性剤は、例えばGenaminox K-10などの、C10ジメチルアミンオキシドである。
【0070】
アルキルグルカミド界面活性剤:
本発明の組成物は、アルキルグルカミド界面活性剤を含み得る。グルカミド界面活性剤は、親水性部分(アミノ-糖誘導体)及び疎水性部分(脂肪酸)がアミド結合を介して結合している、非イオン性界面活性剤である。この結果、アルカリ条件下で非常に安定である化学結合がもたらされる。特に好ましいアルキルグルカミド界面活性剤は、式(I)のN-アルキル-N-アシルグルカミドである:
【0071】
【化4】
式中、Raは、6~22個の炭素原子を有する、直鎖状又は分岐鎖状で、飽和又は不飽和ヒドロカルビル基であり、Rbは、C
1~C
4アルキルラジカルである。特に好ましくは、式(I)中のRbは、メチルラジカルである。これらのグルカミド界面活性剤の非限定的な例は以下のとおりである:N-オクタノイル-N-メチルグルカミド、N-ノナノイル-N-メチルグルカミド、N-デカノイル-N-メチルグルカミド、N-ドデカノイル-N-メチルグルカミド、N-ココイル-N-メチルグルカミド(Clariant社から、GlucoPure Foamの商標名で入手可能とされている)、N-ラウロイル/ミリストイル-N-メチルグルカミド(Clariant社から、GlucoPure Deg の商標名で入手可能とされている)、N-オクタノイル/デカノイル-N-メチルグルカミド(Clariant社によって、GlucoPure Wetの商標名で入手可能とされている)。
【0072】
アルキルグルカミン界面活性剤:
本発明の組成物は、以下の式(I)によるアミン化合物から選択されるアミン界面活性剤を含み得る:
R1-N-(R2)(CH2CHOH(CH2O)nR3) 式(I)
式中、
R1及びR2は、独立して、水素、環式又は非環式、直鎖状又は分岐鎖状の、C1~C10のアルキル、C1~C10のヒドロキシアルキル、ポリヒドロキシヒドロカルビル、及び、式(R4-O)xH(式中、R4はC1~C4ポリアルコキシであり、xは1~15であり、好ましくはxは1~5であり、より好ましくはxは1である)のポリアルコキシから選択され、nは、0又は1であり、好ましくは1であり、
かつR3は、C6~C30のヒドロカルビル、好ましくはC6~C30のアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、シクロアルキル、アラルキル又はアルケニルである。
【0073】
「ポリヒドロキシヒドロカルビル」は、2つ以上のヒドロキシル(-OH)基を有するヒドロカルビルである。「ヒドロカルビル」は、例えばエチル、フェニルなどの炭化水素から水素原子を除去することによって形成される一価の基である。
【0074】
R1がポリヒドロキシヒドロカルビルである場合には、R1は、非環式又は環式のポリヒドロキシヒドロカルビル、好ましくは直鎖状ポリヒドロキシヒドロカルビルである。好ましくは、R1は、少なくとも2つのヒドロキシル基を有する直鎖状のC3~C8鎖であり、好ましくは、鎖の炭素原子に直接結合した、少なくとも3つのヒドロキシル基を有するC4~C7鎖である。R1は、例えば、更なるヒドロキシル基又は、例えばポリヒドロキシアルキル基などの更なるポリヒドロキシヒドロカルビルのエーテル化によって、置換基、特にアルコキシ基を含んでもよい。R1は、好ましくは、塩基性炭素鎖の置換基上にかかるヒドロキシル基を含む少なくとも3つの遊離ヒドロキシル基を含む。あるいは、R1を、内部エーテル結合を含む環構造から選択することができ、この環は、少なくとも2個以上のヒドロキシル基を含み、最も好ましくは、ヒドロキシル基は、式(I)中の窒素に結合していない炭素原子上にある。R1が、開鎖テトラトール、ペンチトール、ヘキシトール、若しくはヘプチトール基、又はそのような基のシクロエーテルアンヒドロ誘導体などのアンヒドロであってもよい。
【0075】
R1は、糖、好ましくは単糖類、二糖類、又は三糖類からなる群から選択される糖、好ましくは単糖類から誘導されるポリヒドロキシヒドロカルビルであり得る。例えば、R1は、糖、特にグルコース、キシロース、フルクトース若しくはソルビトールなどの単糖類、マルトース若しくはスクロースなどの二糖類、又はより高次のオリゴ糖の残基、あるいはこれらの糖に由来する残基であってもよい。単糖類が好ましいが、二糖類及び三糖類も、典型的にはポリヒドロキシヒドロカルビルが由来する糖中に存在する比で存在し得る。好ましくは、R1は、グルコース、キシロース、マルトース及びこれらの混合物からなる群の糖から誘導される。
【0076】
好ましいR1基は、グリコースから誘導され、式:
-CH2(CHOH)4-CH2OH (式II)
で表され、例えば、グルコース、マンノース又はガラクトース、好ましくはグルコースなどの単糖類からの残基に対応する。単糖類のアルデヒドは、典型的には、式Iのアミンに単糖類を結合させる反応の間に排除される。R1がグルコースから誘導される場合には、これは特に好ましい。この場合、NR1基は、式:
-N-CH2(CHOH)4-CH2OH (式III)
で表され、この基は便宜上、グリカミン基と呼ばれる。最も好ましくは、R1基はグルコースから誘導され、対応するアミンは、(通常、グルコースから製造されるため)グルカミンと呼ばれ得る。R1基は、1個、2個、又はそれ以上のグルコース単位を含んでもよく、得られるグルカミンは、モノグルカミン(R1は1つのグルコース単位を含む)、ジグルカミン(R1は2つのグルコース単位を含む)、及びトリグルカミン(R1は3個のグルコース単位を含む)の混合物であってもよい。
【0077】
R1がC1~C10のアルキルである場合、そのアルキルは、好ましくは1~5個、より好ましくは1~4個、更により好ましくは1~2個の炭素原子を含むアルキルである。最も好ましくは、R1がポリヒドロキシヒドロカルビルではない場合、そのR1は、水素又はメチルである。
【0078】
最も好ましくは、R1はポリヒドロキシヒドロカルビルである。
【0079】
R2は、特にR1がポリヒドロキシヒドロカルビルである場合には、好ましくは、水素及びC1~C10のアルキルからなる群から選択される。R2は、好ましくは水素であるか、又は1~5個、より好ましくは1~4個、更により好ましくは1~2個の炭素原子を含むアルキル基である。最も好ましくは、R2は水素又はメチルである。
【0080】
R1がポリヒドロキシヒドロカルビルではない場合、R1及びR2は、好ましくは独立して、水素又は1~5個、好ましくは1~4個、更により好ましくは1~2個の炭素原子を含むアルキル基から選択される。最も好ましくは、R1及びR2は、独立して水素又はメチルから選択される。
【0081】
R3はヒドロカルビルであり、好ましくはC6~C30のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、又はアルケニル基から選択され、好ましくはアルキル基は、6~30個、好ましくは7~20個、より好ましくは8~15個、更により好ましくは8~14個の炭素原子を含む。アルキル基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、好ましくは2位又は3位で、好ましくは2位で分岐するC1~C4、より好ましくはC1~C3であってもよい。R3はまた、例えば、ヒドロキシ又はアルコキシ置換アルキル基、特にヒドロキシ置換されたC6~C30のアルキル基などの、置換アルキル基であってもよい。更なるヒドロキシル基又は酸素原子が、水溶性を適度に向上させてもよい。R3は、アラルキル基、特にベンジル基などのC7~C12のアラルキル基であってもよい。R3は、好ましくは、C6~C14のアルキル及びこれらの混合物からなる群から選択され、好ましくは、R3はヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル、テトラデシル、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0082】
式(I)によるアミン化合物から選択されるアミン界面活性剤は、以下のような式を有し得る:
R1が、好ましくは単糖類、より好ましくはグルコースから誘導されるポリヒドロキシヒドロカルビルであり、以下の式IIを有する:
-CH2(CHOH)4CH2OH 式II、
R2は水素又はメチルであり、
R3は、C6~C10のアルキル及びこれらの混合物からなる群から選択され、好ましくは、R3は、ヘキシル、オクチル、デシル及びこれらの混合物からなる群から選択され、より好ましくはR3はデシルであり、最も好ましくはR3は2-プロピルヘプチルである。
【0083】
本明細書で使用するのに好ましいアミンとしては、nが1であり、R1がグルカミン化合物を形成するグルコースであり、R2がメチルであり、R3がヘキシル、オクチル又はデシルであるアミンが挙げられる。
【0084】
R3がオクチルである場合、そのR3は、好ましくはn-オクチル及び2-エチルヘキシルから選択される。R3がデシルである場合、そのR3は、好ましくはn-デシル及び2-プロピルヘプチルから選択される。
【0085】
本明細書で使用するのに好ましい他のアミンは、nが1であり、R1及びR2がメチルであり、R3がヘキシル、オクチル又はデシルであるアミンである。R3がオクチルである場合、そのR3は、好ましくはn-オクチル及び2-エチルヘキシルから選択される。R3がデシルである場合、そのR3は、好ましくはn-デシル及び2-プロピルヘプチルから選択される。
【0086】
複数の異なるアミンの混合物は、加工処理性、溶解性、及び性能の点で有利であり得る。
【0087】
このようなアミン界面活性剤は、特定のpHでは正味の正電荷を有し得るが、典型的には非イオン性界面活性剤と呼ばれる。しかしながら、低pH(界面活性剤のpKa未満)では、正味の正電荷を有し得る。
【0088】
これら界面活性剤は、欧州特許第16184415号及び米国特許出願公開第2019/0055496号に記載されている。
【0089】
双性イオン性及び両性の界面活性剤
硬質表面洗浄組成物は、両性界面活性剤、双性イオン界面活性剤、及びこれらの混合物を含み得る。好適な双性イオン性界面活性剤は、典型的には、使用時のpHにおいて電気的に中性になるように、実質的に等しい比率でカチオン性基及びアニオン性基を両方含有し、当該技術分野において周知である。双性イオン性界面活性剤のいくつかの一般的な例は、米国特許第2,082,275号、同第2,702,279号、及び同第2,255,082号に記載されている。
【0090】
好適な双性イオン性界面活性剤としては、アルキルベタイン、アルキルアミドベタイン、アミドアゾリニウムベタイン、スルホベタイン(INCIスルタイン)、並びにホスホベタインなどのベタインが挙げられる。
【0091】
好適なベタインは、式(Ia)のアルキルベタイン、式(Ib)のアルキルアミドベタイン、式(Ic)のスルホベタイン、及び式(Id)のアミドスルホベタインである;
R1-N+(CH3)2-CH2COO- (Ia)
R1-CO-NH(CH2)3-N+(CH3)2-CH2COO- (Ib)
R1-N+(CH3)2-CH2CH(OH)CH2SO3- (Ic)
R1-CO-NH-(CH2)3-N+(CH3)2-CH2CH(OH)CH2SO3- (Id)
式中、R1は飽和又は不飽和のC6~C22アルキル残基、好ましくはC8~C18アルキル残基である。特に好ましいのは、例えば、Huntsman社によって、Empigen BBの商標名で販売されているもののようなN-アルキル-N-ジメチルベタインなどの式Iaのベタインである。
【0092】
好適なベタイン及びスルホベタインの例は、以下のものであり、[INCI]に従って表記されている:アーモンドアミドプロピルベタイン、アプリコットアミドプロピルベタイン、アボカドアミドプロピルベタイン、ババスアミドプロピルベタイン、ベヘナミドプロピルベタイン、ベヘニルベタイン、ベタイン、キャノーラミドプロピルベタイン、カプリル/カプラミドプロピルベタイン、カルニチン、セチルベタイン、コカミドエチルベタイン、コカミドプロピルベタイン、コカミドプロピルヒドロキシスルタイン、ココベタイン、ココヒドロキシスルタイン、ココ/オレアミドプロピルベタイン、ココスルタイン、デシルベタイン、ジヒドロキシエチルオレイルグリシネート、ジヒドロキシエチル大豆グリシネート、ジヒドロキシエチルステアリルグリシネート、ジヒドロキシエチルタローグリシネート、PG-ベタインのプロピルジメチコーン、エルカミドプロピルヒドロキシスルタイン、水素添加タローベタイン、イソステアラミドプロピルベタイン、ラウラミドプロピルベタイン、ラウリルベタイン、ラウリルヒドロキシスルタイン、ラウリルスルタイン、ミルクアミドプロピルベタイン、ミンクアミドプロピルベタイン、ミリスタミドプロピルベタイン、ミリスチルベタイン、オレアミドプロピルベタイン、オレアミドプロピルヒドロキシスルタイン、オレイルベタイン、オリーブアミドプロピルベタイン、ヤシアミドプロピルベタイン、パルミタミドプロピルベタイン、パルミトイルカルニチン、ヤシ仁アミドプロピルベタイン、ポリテトラフルオロエチレンアセトキシプロピルベタイン、リシノール酸アミドプロピルベタイン、セサミドプロピルベタイン、ソイアミドプロピルベタイン、ステアラミドプロピルベタイン、ステアリルベタイン、タローアミドプロピルベタイン、タローアミドプロピルヒドロキシスルタイン、タローベタイン、タロージヒドロキシエチルベタイン、ウンデシレンアミドプロピルベタイン、及び小麦胚芽アミドプロピルベタインである。
【0093】
組成物が双性イオン性界面活性剤を含む場合、その双性イオン性界面活性剤活性剤は、好ましくは、Huntsman社によってEmpigenBBの商品名で販売されているもの、すなわちアルキルジメチルベタインのような、例えばN-アルキル-N-ジメチルベタインなどの、式Iaのベタインである。
【0094】
両性界面活性剤は、組成物のpHに依存してカチオン性又はアニオン性のいずれであることができる。好適な両性界面活性剤としては、ドデシルβ-アラニン、N-アルキルタウリン(例えば米国特許第2,658,072号に教示されているようにドデシルアミンをイセチオン酸ナトリウムと反応させることによって調製されるものなど)、米国特許第2,438,091号に教示されているものなどのN-高級アルキルアスパラギン酸が挙げられる。他の好適な両性界面活性剤は、Solvay-Novecare社によって、Miranolという商標名で販売されている製品であるが、その例としては例えば、ラウロアンホ酢酸ナトリウム(Miranol Ultra L-32E)、ステアロアンホ酢酸ナトリウム(Miranol DM)、ココアンホジアセテート二ナトリウム(Miranol C2m Conc NP)、ラウロアンホジアセテート二ナトリウム(Miranol BM Conc)、カプリロアンホジプロピオネート二ナトリウム(Miranol JBS)、ナトリウム混合C8アンホカルボキシレート(Miranol JEM Conc)、及びカプリロアンホヒドロキシプロピルスルホネートナトリウム(Miranol JS)が挙げられる。好適な両性界面活性剤の他の非限定的な例は、カプリロアンホジアセテート二ナトリウム(Mackam 2CY 75(Solvay-Novecare社製))、オクチルイミノジプロピオネート(Ampholak YJH40(Akzo Nobel社製))、ラウリミノジプロピオネートナトリウム(MirataineH2C-HA(Solvay-Novecare社製))、及びラウロアンホヒドロキシプロピルスルホン酸ナトリウム(Mackam LS(Solvay Novecare社製)である。
【0095】
他の好適な追加の界面活性剤は、McCutcheon’s Detergents and Emulsifers、North American Ed.(1980年)に見出すことができる。
【0096】
アルキルピロリドン:
アルキルピロリドンを含む、ピロリドン系界面活性剤は周知であり、それらの使用及びそれらを作製する方法は、広汎にレビューがなされている(例えば、ピロリドン系界面活性剤(文献レビュー)、ログイン、R.B.J Am Oil Chem Soc(1995)72:759-771)。
【0097】
好適なアルキルピロリドンは、以下の式を有することができる:
【0098】
【化5】
式中、R1はC
6~C
20アルキル、又はR2NHCOR3であり、かつR2は、C
1~C
6アルキルであり、R3は、C
6~C
20アルキルである。R1は、好ましくは、C
6~C
20アルキルである。好適なアルキルピロリドンとしては、アルキル鎖がC
6~C
20、又はC
6~C
10、又はC
8であるN-アルキル-2-ピロリドンが挙げられる。
【0099】
好適なアルキルピロリドンは、Ashland Inc.によって、商品名Surfadone(登録商標)で市販されている。例えば、Surfadone LP-100(N-オクチル-2-ピロリドン)及び同LP-300(N-ドデシル-2-ピロリドン)などがある。また、そのようなアルキルピロリドンは、BASF社からも入手可能である。
【0100】
アニオン性界面活性剤
アニオン性界面活性剤が存在する場合、それは好ましくは、低い濃度で存在する。アニオン性界面活性剤は、アルキルサルフェート、アルキルアルコキシル化サルフェート、スルホン酸又はスルホネート界面活性剤、ポリカルボキシル化アニオン性界面活性剤、及びこれらの混合物からなる群から選択することができる。抗菌性硬質表面洗浄組成物は、最大2.0重量%、好ましくは最大1.0重量%、又は最大0.1重量%のアニオン性界面活性剤を含むことができる。最も好ましい実施形態では、組成物はアニオン性界面活性剤を本質的に含まないか、又は全く含まない。
【0101】
好適なポリカルボキシル化アニオン性界面活性剤は、複数種類のポリアルコキシレートポリカルボキシル化界面活性剤、及びこれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0102】
好適なポリカルボキシル化アニオン性界面活性剤は、米国特許第5376298号、欧州特許第0129328号、国際公開第03018733号、及び米国特許第5120326号に記載されている。
【0103】
好適なポリアルコキシレートポリカルボキシル化界面活性剤は、以下の実験式を有することができる:
R-O-(CH(x)-CH(y)-O)n-R1
式中、Rは、疎水性基、好ましくは、6~16個の炭素原子、好ましくは8~14個の炭素原子を、典型的に含有する炭化水素基であり、x及びyは、ただし、分子ごとに少なくとも1つのx又はy部分がコハク酸ラジカルであるという条件で、それぞれ独立して、水素、メチル、及びコハク酸ラジカルからなる群から選択され、また、nは、1~60であり、R1は、水素、置換炭化水素、非置換炭化水素であり、好ましくはその炭化水素は、1~8個の炭素原子、硫酸、又はスルホン酸ラジカルを有し、いかなる酸性基も、例えばナトリウム、カリウム、アルカノールアンモニウム、マグネシウムなどの、相応のカチオン性の基によって中和される。
【0104】
好適なポリアルコキシレートポリカルボキシレート界面活性剤は、以下の実験式を有することができる:
R-O-(C2H4O)x-[CH(L)CH(L)]y-[CH2CH(CH3)O)zQ
式中、Rは、炭化水素疎水基、好ましくはアルキルであり、6~16個の炭素原子、好ましくは8~14個の炭素原子を含有し、xは、0~60の数、好ましくは4~50の数、より好ましくは6~50の数であり、Lは、C1~C3アルキル基又は式-CH-(COO-)CH2(COO-)を有する基のいずれかであり、各分子中の少なくとも1つのL基が、-CH(COO-)CH2(COO-)であり、yは、1~12の数、好ましくは2~10の数、より好ましくは3~8の数であり、zは、0~20の数、好ましくは0~15の数、より好ましくは0~10の数であり、Qは、水素(H)及びスルホネート基からなる群から選択され、化合物は、カチオン性基の存在によって電気的に中性にされ、好ましくはナトリウム、カリウム、及び置換アンモニウム(例えば、モノエタノールアンモニウム)のカチオンからなる群から選択される。そのようなポリアルコキシレートポリカルボキシレート界面活性剤の具体例としては、以下のものが挙げられる:Poly-Tergent(登録商標)C9-51B(CS-1)(x=12、y=8、及びz=17)、Poly-Tergent(登録商標)C9-62P(x=4、y=3、及びz=17)、Poly-Tergent(登録商標)C9-74P(x=10、y=3.5、及びz=3 5.)、及びPoly-Tergent(登録商標)C9-92(x=約55、y=6.5、及びz=0)。Rは、直鎖状C9アルキル基などのアルキル基であると考えられ、Qは、水素(H)であると考えられている。なおPoly-Tergent(登録商標)界面活性剤は現在、BASF社によって、Plurafac(登録商標)という商標名で販売されている。
【0105】
好適なポリカルボキシル化アニオン性界面活性剤としては、例えば、BASF社によってPlurafac CS-10の商標名で販売されているようなアルコキシル化ポリマー、アルキルエーテル、アルケン二酸の塩が挙げられる。
【0106】
本明細書での使用に好適なアルキルサルフェートとしては、式ROSO3のMの水溶性の塩又は酸が挙げられ、式中、Rは、C6~C18の直鎖状又は分岐鎖状の、飽和又は不飽和アルキル基、好ましくはC8~C16のアルキル基、より好ましくはC10~C16のアルキル基であり、Mは、水素(H)、又は例えばアルカリ金属カチオン(例えばナトリウム、カリウム、リチウム)、又はアンモニウム若しくは置換アンモニウム(例えばメチル-、ジメチル-、及びトリメチルアンモニウムカチオン及び四級アンモニウムカチオン、例えばテトラメチル-アンモニウム及びジメチルピペリジニウムカチオン、並びにエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、及びこれらの混合物のようなアルキルアミンから誘導される四級アンモニウムカチオンなど)などのカチオンである。
【0107】
特に好適な直鎖状アルキルサルフェートとしては、Huntsman社から市販されている、EMPICOL(登録商標)0298/、EMPICOL(登録商標)0298/F、又はEMPICOL(登録商標)XLBなどのC12~C14アルキルサルフェートが挙げられる。「直鎖状アルキルサルフェート」とは、本明細書において、非置換のアルキルサルフェートを意味し、ここで直鎖状アルキル鎖は、6~16個の炭素原子、好ましくは8~14個の炭素原子、より好ましくは10~14個の炭素原子を含み、このアルキル鎖は、一方の末端が硫酸化されている。
【0108】
本明細書での使用に好適なスルホン化アニオン性界面活性剤は、当業者には周知の全てのスルホン化アニオン性界面活性剤である。好ましくは、本明細書で使用されるスルホン化アニオン性界面活性剤は、アルキルスルホネート、アルキルアリールスルホネート、ナフタレンスルホネート、アルキルアルコキシル化スルホネート、及びC6~C16のアルキルアルコキシル化直鎖状又は分岐鎖状ジフェニルオキシドジスルホネート、並びにこれらの混合物からなる群から選択される。
【0109】
本明細書での使用に好適なアルキルスルホネートとしては、式RSO3Mの水溶性の塩又は酸が挙げられ、式中、Rは、C6~C18の直鎖状又は分岐鎖状の、飽和又は不飽和アルキル基、好ましくはC8~C16のアルキル基、より好ましくはC10~C16のアルキル基であり、Mは、水素(H)、又は例えばアルカリ金属カチオン(例えばナトリウム、カリウム、リチウム)又はアンモニウム若しくは置換アンモニウム(例えばメチル-、ジメチル-、及びトリメチルアンモニウムカチオン及び四級アンモニウムカチオン、例えばテトラメチル-アンモニウム及びジメチルピペリジニウムカチオン、並びにエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、及びこれらの混合物のようなアルキルアミンから誘導される四級アンモニウムカチオンなど)などのカチオンである。
【0110】
本明細書での使用に好適なアルキルアリールスルホネートとしては、式RSO3Mの水溶性の塩又は酸が挙げられ、式中、Rは、C6~C18の直鎖状又は分岐鎖状の、飽和又は不飽和アルキル基、好ましくはC8~C16のアルキル基、より好ましくはC10~C16のアルキル基で置換された、アリール、好ましくはベンジルであり、Mは、水素(H)、又は例えばアルカリ金属カチオン(例えばナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウムなど)、又はアンモニウム若しくは置換アンモニウム(例えばメチル-、ジメチル-、及びトリメチルアンモニウムカチオン及び四級アンモニウムカチオン、例えばテトラメチル-アンモニウム及びジメチルピペリジニウムカチオン、並びにエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、及びこれらの混合物などのアルキルアミンから誘導される四級アンモニウムカチオンなど)などのカチオンである。
【0111】
特に好適な直鎖状アルキルスルホネートとしては、Clariant社から市販されているHostapur(登録商標)SASのようなC12~C16パラフィンスルホネートが挙げられる。特に好ましいアルキルアリールスルホネートは、Huntsman社から、商標名Nansa(登録商標)として市販されているアルキルベンゼンスルホネートである。
【0112】
「直鎖状アルキルスルホネート」とは、本明細書において、非置換のアルキルスルホネートであって、そのアルキル鎖は、6~18個の炭素原子、好ましくは8~16個の炭素原子、より好ましくは10~16個の炭素原子を含み、このアルキル鎖は一方の末端がスルホン化されている非置換のアルキルスルホネートを意味する。
【0113】
本明細書での使用に好適なアルコキシル化スルホネート界面活性剤は、式R(A)mSO3Mによるものであり、式中、Rは、非置換のC6~C18アルキル、ヒドロキシアルキル、又はアルキルアリール基であって、直鎖状又は分岐鎖状のC6~C18アルキル成分、好ましくはC8~C16のアルキル又はヒドロキシアルキル、より好ましくはC12~C16アルキル又はヒドロキシアルキルを有し、Aは、エトキシ又はプロポキシ又はブトキシ単位であり、mは、0よりも大きく、典型的には0.5~6、より好ましくは0.5~3であり、Mは、水素(H)又はカチオンであり、当該カチオンは、例えば、金属カチオン(例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウムなど)、アンモニウムカチオン、又は置換アンモニウムカチオンであり得る。アルキルエトキシル化スルホネート、アルキルブトキシル化スルホネート、及びアルキルプロポキシル化スルホネートが本明細書で想到される。置換アンモニウムカチオンの具体例としては、メチル-、ジメチル-、トリメチルアンモニウム、及び四級アンモニウムカチオン(例えば、テトラメチルアンモニウム、ジメチルピペリジニウムなど)、並びにエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、及びこれらの混合物などのアルカノールアミンから誘導されるカチオンが挙げられる。
【0114】
界面活性剤の例としては、C12~C18アルキルポリエトキシレート(1.0)スルホネート(C12~C18E(1.0)SM)、C12~C18アルキルポリエトキシレート(2.25)スルホネート(C12~C18E(2.25)SM)、C12~C18アルキルポリエトキシレート(3.0)スルホネート(C12~C18E(3.0)SM)、C12~C18アルキルポリエトキシレート(4.0)スルホネート(C12~C18E(4.0)SM)があり、Mは、ナトリウム及びカリウムから適宜選択される。特に好適なアルコキシル化スルホネートとしては、Dow Chemical社から市販されているTriton X-200(登録商標)のような、アルキルアリールポリエーテルスルホネートが挙げられる。
【0115】
好ましくは、本明細書で使用される硫酸化又はスルホン化アニオン性界面活性剤は、アルキルサルフェート(AS)、好ましくはC12、C13、C14及びC15のAS、直鎖状アルキルスルホン酸ナトリウム(NaLAS)、パラフィンスルホン酸ナトリウムNaPC12~16S、及びこれらの混合物からなる群から選択される。最も好ましくは、本明細書で使用される硫酸化又はスルホン化アニオン性界面活性剤は、アルキルサルフェート(AS)、好ましくはC12、C13、C14及びC15のAS、直鎖状アルキルスルホン酸ナトリウム(NaLAS)、パラフィンスルホン酸ナトリウムNaPC12~16S、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0116】
本明細書での使用に特に好ましい界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、特に分岐鎖アルコールアルコキシレート、特に4~6の程度までエトキシル化され、かつ4~6の程度までプロポキシル化された2-エチルヘキサン-1-オールが挙げられ、より好ましくは、そのアルコールは、最初にプロポキシル化され、その後にエトキシル化されたものであ。また本明細書での使用に特に好ましい界面活性剤として、2-アルキル-1-アルカノールも挙げられ、例えば、1~14個、好ましくは2~8個、より好ましくは3~6個のエトキシレート単位又はエトキシレート-プロポキシレート単位を有するアルコキシル化C10ゲルベアルコールが挙げられる。他の特に好ましい非イオン性界面活性剤としては、C8、C10C12の直鎖状アルキル鎖、C8~C10の混合の直鎖状アルキル鎖、C10~C12の混合の直鎖状アルキル鎖、C9~C11の混合の直鎖状アルキル鎖と、8個以下のエトキシレート単位、好ましくは3~8個のエトキシレート単位とを有する直鎖アルコールアルコキシル化非イオン性界面活性剤が挙げられる。最も好ましくは、アルコキシル化非イオン性界面活性剤は、2-プロピルヘプチルEO8(Lutensol XL89(BASF社製))、2-プロピルヘプチルEO5(Lutensol XL50(BASF社製))、C10アルコールEO5(Lutensol ON50(BASF社製))、C10アルコールEO7(Lutensol ON70(BASF社製))、C8~C10アルコールEO5(Novel 810 FD5(Sasol社製))、C10アルコールEO4(Novel 10-4(Sasol社製))、及び2-エチル-ヘキサノールPO5EO6(Ecosurf EH6(Dow社製))からなる群から選択される。
【0117】
本明細書で使用するための他の特に好ましい界面活性剤としては、直鎖アミンオキシド界面活性剤、特にC8~C12ジメチルアミンオキシド、より具体的にはC10ジメチルアミンオキシドと、アルキルジメチルベタイン界面活性剤、特にN,N-ジメチル-N-ドデシルグリシンベタイン(Empigen BB(Huntsman社製))と、アルキルグルカミド界面活性剤(例えば、N-アルキル-N-アシルグルカミド、好ましくはN-デカノイル-N-メチルグルカミン)であって、GlucoPure(登録商標)、GlucoTain(登録商標)、及びGlucoWet(登録商標)の名称で、Clariant社によって販売されているアルキルグルカミド界面活性剤と、アルキルポリグルコシド界面活性剤であって、より具体的には、C8~C12アルキルポリグルコシド、より好ましくはC8~C10アルキルポリグルコシド(例えば、Triton CG50(Dow社製)などのアルキルポリグルコシド界面活性剤と、が挙げられる。
【0118】
pH調整剤
目的とする用途に応じて、ホームケアに使用されるための本発明の液体製剤は、適切なpH条件を必要とし得る。例えば、液体製品がキッチン領域で使用される場合には、領域に一般的に見られる油脂汚れを効果的に除去するため、pH値の大きい製品が望ましいという場合があり得る。製品が浴室領域で使用される場合には、石鹸カス及び硬水から析出する堆積物が、主な懸念事項となり得る。そのような場合には、その目的を達成するためにはpH値の小さい製品がより適切であり得る。本発明の液体組成物に添加することができるpH調整剤の種類に限定はない。使用され得るpH調整剤の例としては、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、クエン酸、酢酸、塩酸、スルファミン酸、硫酸などが挙げられるが、それらに限定されない。
【0119】
上記の成分以外の追加的機能性成分を、本発明の組成物に含めることができる。追加の成分としては、キレート剤、相溶化剤、カップリング剤、腐食抑制剤、レオロジー調整剤、香料、着色剤、防腐剤、UV安定剤、光学増白剤、及び活性成分インジケータが挙げられるが、それらに限定されない。
【0120】
本明細書の好ましい組成物としては、
i)組成物の約0.05重量%~約2重量%の窒素含有殺生物性化合物、好ましくは四級アンモニウム化合物、好ましくはN-アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、N-オクチルジメチルジメチルアンモニウムクロリド、ジ-n-デシルジメチルアンモニウムクロリド、及びジ-n-ジオクチルジメチルアンモニウムクロリドと、
ii)組成物の0.1重量%~約4重量%のポリマーであって、好ましくは、トリメチルアンモニウムプロピルメタクリルアミドクロリドのモノマー、N-イソプロピルアクリルアミドのモノマー、アクリル酸及び/又はメタクリル酸、及びこれらの塩、並びに2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸、を含むポリマーと、
iii)組成物の0.05重量%~2重量%の界面活性剤であって、アミンオキシド界面活性剤、非イオン性界面活性剤、及びそれらの混合物からなる群から選択される界面活性剤、好ましくはC10ジメチルアミンオキシド及びエチルヘキサノールPO5EO6の混合物と、
iv)組成物の約0.2重量%~約3重量%の塩基、好ましくはモノエタノールアミンと、
v)約95~99%の水と、
を含む組成物が挙げられる。
【0121】
本明細書の好ましい組成物としては、
i)組成物の約0.05重量%~約2重量%の窒素含有殺生物性化合物、好ましくは四級アンモニウム化合物、好ましくはN-アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、N-オクチルジメチルジメチルアンモニウムクロリド、ジ-n-デシルジメチルアンモニウムクロリド、及びジ-n-ジオクチルジメチルアンモニウムクロリドと、
ii)組成物の0.1重量%~約4重量%のポリマーであって、好ましくは、トリメチルアンモニウムプロピルメタクリルアミドクロリドのモノマー、N-イソプロピルアクリルアミドのモノマー、アクリル酸及び/又はメタクリル酸並びにこれらの塩、並びに2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸、を含むポリマーと、
iii)組成物の0.05重量%~2重量%の非イオン性界面活性剤と、
iv)組成物の約0.2重量%~約3重量%の酸、好ましくはクエン酸と、
v)約95~99%の水と、を含む組成物が挙げられる。
【0122】
組成物の塗布
組成物は、様々な手段によって塗布され得る。組成物が噴霧される場合、組成物は、有利なことには、噴霧器を備えた従来式のボトルで供給され得る。噴霧器は、トリガー式噴霧器であり得る。トリガー式噴霧器に対するオプションとしては、エアロゾルを使用して、液体製剤を表面に送達することもできる。追加の適用手段としては、霧充満法、ローラーがけ、ブラッシング、モッピング、及び拭き布を様々な塗布装置によって使用することが挙げられるが、それらに限定されない。本発明の範囲内では、拭き布製品はまた、例えば、既製品として販売され使用されるために、本発明の除菌製剤(複数可)を含むか、又は予めそれ(ら)によって処理されるように製造されていてもよい。
【0123】
汚染された表面を消毒するためには、該当する領域が完全に覆われるまで液体製剤を噴霧する。続いて、表面を濡らしている製剤は、乾燥布又は紙タオルで拭き取ればよい。
【0124】
本発明はまた、本発明の態様による除菌製剤で処理された物品にも関する。
【実施例】
【0125】
実施例1:表1は、本発明による組成物(組成物A~F)を示す。組成物は、硬質表面用消毒洗浄剤として使用される。それらは、洗浄性に優れていることと、良好な表面輝きを有する外観をもたらすことと組み合わせて、24時間の残留自己消毒(RSS)性能を提供する。それぞれの成分は、全組成物の重量に基づいた重量パーセントとして表される。組成物Gは、本発明の範囲外のものである。
【0126】
【0127】
実施例2:表2には、ポリマーを含まない組成物C(組成物1)と、組成物C(組成物2)と、本発明の範囲外のポリマーを、組成物の1重量%含む組成物C(組成物3~6)と、四級アンモニウム化合物の代わりに過酸化水素を含む組成物G(組成物7)との性能比較を示す。
【0128】
何らのポリマーも存在しない場合(組成物1)においては、組成物は、24時間のRSSを達成することができず、輝きの筋を与える性能が低く、せいぜい中程度の洗浄指数しか有さない。
【0129】
ポリ(MAPTAC-M-AMPS-NIPAM)を含む本発明の組成物(組成物2)は、24時間のRSSを達成し、輝きの筋を与える能力はほんのわずかであるかせいぜい中程度であったが、試験した他の全ての組成物よりもはるかに優れた洗浄力を示した。組成物2は、四級アンモニウム化合物の混合物を、殺生物性活性物質として、合計濃度0.5%で使用したが、これは、同じポリマーを用いながら、0.5%の過酸化水素を用いた組成物7と直接比較することができ、後者(組成物7)は、24時間のRSSを達成できていない。
【0130】
欧州特許第2797413B1号及びドイツ特許出願公開第100634271A1号に記載されているものなどの、AMPS及びNIPAMモノマーを含まないポリマーを含む組成物(組成物3及び4)は、ポリ(MAPTAC-M-AMPS-NIPAM)を含有する組成物と比較して、その洗浄力がはるかに劣っていた。理論に束縛されるものではないが、NIPAMが追加する両親媒性と、及びAMPSのもたらす吸水力とが、油脂をより可溶化させるのに役立ち、その結果、洗浄力に対して、ポリマーによってもたらされる利益を提供すると考えられる。
【0131】
欧州特許第2797413B1号に記載されているものなどの、DADMACモノマーを含むポリマーを含む組成物(組成物5及び6)は、輝きのプロファイルが非常に劣り、ポリ(DADMAC-M)の場合(組成物5)においては、相安定性の問題が生じた。
【0132】
【表2】
(1)四級:n-アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ジ-n-オクチルジメチルアンモニウムクロリド、n-オクチルデシルジメチルアンモニウムクロリド、ジ-n-デシルジメチルアンモニウムクロリドの混合物
(2)EPA01-1Aに基づくプロトコル(24時間残留自己消毒、12回の摩滅サイクル)で、エンテロバクターエアロゲネスを、供試生物として用い、ガラスを、供試表面として用いる。合格という結果は、最終接触時間が5分である場合に、摩滅レジメンの終わり時点で細菌が、少なくとも99.9%の減少(log3減少)を示すことを意味する。
(3)製品塗布及び拭き取り後の、黒色の光沢のあるセラミックタイルの輝きのグレード。パネリストは、以下の尺度に従って、タイルの輝きの筋の見た目を視覚的に評価する。0=筋なし、1=非常にわずかな程度の筋、2=わずかな程度の筋、3=わずかな程度~中程度の筋、4=中程度の筋、5=中程度~高程度の筋、6=高程度の筋。
(4)表面の感触は、パネリストに乾燥したタイルを穏やかに擦らせて、粘着性があるか又は滑らかであるかのいずれかの感触として特徴付けて評価した。
(5)相安定性を視覚的に評価した。単一相は、曇りがなく透明であった組成物を指し、相分離は、曇りがあり、少なくとも2つの相があることの視覚的徴候を示している組成物を指すものとした。
(6)エナメル表面上で焼き付いた/ポリマー化した油脂の洗浄。製剤をスポンジに塗布し、完全に汚れを除去できるまでに記録された拭き取りのストローク数を記録する。次いで、ストローク数は、標準的な硬質表面洗浄剤(指数100)に対して指数化される。指数が高いほど、洗浄性能が良好であることを意味する。
【0133】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。代わりに、特に明記されていない限り、そのような各寸法は、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲の両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味するものとする。