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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】抗菌性組成物
(51)【国際特許分類】
   C11D 1/58 20060101AFI20240416BHJP
   C11D 1/68 20060101ALI20240416BHJP
   C11D 1/90 20060101ALI20240416BHJP
   C11D 1/75 20060101ALI20240416BHJP
   C11D 1/52 20060101ALI20240416BHJP
   C11D 1/72 20060101ALI20240416BHJP
   C11D 3/33 20060101ALI20240416BHJP
   C11D 3/36 20060101ALI20240416BHJP
   C11D 3/48 20060101ALI20240416BHJP
   A01P 3/00 20060101ALI20240416BHJP
   A01N 43/40 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
C11D1/58
C11D1/68
C11D1/90
C11D1/75
C11D1/52
C11D1/72
C11D3/33
C11D3/36
C11D3/48
A01P3/00
A01N43/40 101K
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022502046
(86)(22)【出願日】2020-07-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-14
(86)【国際出願番号】 US2020070285
(87)【国際公開番号】W WO2021022286
(87)【国際公開日】2021-02-04
【審査請求日】2022-01-12
(31)【優先権主張番号】19188856.9
(32)【優先日】2019-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100209495
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 さおり
(72)【発明者】
【氏名】コンヤ、アビゲイル・マリー
(72)【発明者】
【氏名】ヘイワード、アダム・サイモン
(72)【発明者】
【氏名】ペレス-プラート・ヴィヌエサ、エヴァ・マリア
【審査官】柴田 啓二
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-110174(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02443925(EP,A1)
【文献】国際公開第2019/121380(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D
A01P
A01N
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
9~14のpHを有する抗菌性洗浄組成物であって、
前記抗菌性洗浄組成物の0.001重量%~0.5重量%のオクテニジン二塩酸塩と、
前記抗菌性洗浄組成物の0.05重量%~12重量%の、D-グルコピラノースオリゴマーデシルオクチルグルコシド、2-プロピルヘプチルEO5、2-プロピルヘプチルEO8、2-エチルヘキシルアルコールPO5EO6、C 10直鎖状アルコールEO5、C 10 直鎖状アルコールEO7、N,N-ジメチル-N-ドデシルグリシンベタイン、N-デカノイル-N-メチルグルカミン、オクチルジメチルアミンオキシド、デシルジメチルアミンオキシド、ドデシルジメチルアミンオキシド、テトラデシルジメチルアミンオキシド、C12~18ジヒドロキシエチルアミンオキシド、及びそれらの混合物からなる群から選択される、界面活性剤と、を含み、
第四級アンモニウム抗菌活性物質を実質的に含まない、抗菌性洗浄組成物。
【請求項2】
前記抗菌性洗浄組成物が、水性液体である、請求項1に記載の抗菌性洗浄組成物。
【請求項3】
前記抗菌性洗浄組成物の0.025重量%~5重量%のキレート剤を更に含み、前記キレート剤が、ジエチレントリアミン五酢酸、グルタミン酸二酢酸四ナトリウム、メチルグリシン二酢酸、ポリイタコン酸、ホスホネートキレート剤、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の抗菌性洗浄組成物。
【請求項4】
溶媒を更に含む、請求項1に記載の抗菌性洗浄組成物。
【請求項5】
a)前記抗菌性洗浄組成物の0.001重量%~0.5重量%のオクテニジン二塩酸塩と、
b)前記抗菌性洗浄組成物の0.05重量%~2重量%の界面活性剤と、
c)前記抗菌性洗浄組成物の0.05重量%~5重量%の塩基と、を含む請求項1に記載の抗菌性洗浄組成物。
【請求項6】
a)前記抗菌性洗浄組成物の0.001重量%~0.5重量%のオクテニジン二塩酸塩と、
b)前記抗菌性洗浄組成物の0.05重量%~2重量%の、デシルジメチルアミンオキシド、ドデシルジメチルアミンオキシド、D-グルコピラノースオリゴマーデシルオクチルグルコシド、2-エチルヘキシルアルコールPO5EO6、及びこれらの混合物からなる群から選択される界面活性剤と、
c)前記抗菌性洗浄組成物の0.05重量%~5重量%の塩基と、
d)前記抗菌性洗浄組成物の0.05重量%~1重量%のキレート剤と、
e)前記抗菌性洗浄組成物の0.1重量%~5重量%のアルキルグリコールエーテルと、
f)前記抗菌性洗浄組成物の80~99重量%の水と、を含む、請求項1に記載の抗菌性洗浄組成物。
【請求項7】
請求項1~のいずれか一項に記載の抗菌性洗浄組成物で処理された、1つ以上の不織布層を含む使い捨て又は部分的に再使用可能な基材の形態の物品であって、前記基材が、不織布基材1グラム当たり抗菌性洗浄組成物の3倍~10倍の負荷率を有する、物品。
【請求項8】
硬質表面を消毒する方法であって、前記硬質表面を請求項1~のいずれか一項に記載の抗菌性洗浄組成物と接触させる工程を含む、方法。
【請求項9】
布地を消毒する方法であって、請求項1~のいずれか一項に記載の抗菌性洗浄組成物と前記布地を接触させる工程を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗菌性組成物の分野に属する。詳細には、本発明は、ビスピリジニウムアルカン抗菌活性物質を含む高pH組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
抗菌家庭用洗浄剤は、表面の衛生又は消毒を提供するために第四級アンモニウム化合物などの抗菌活性物質を含むことが多く、これらの化合物は目に見える残留物として表面に沈着する傾向があり、処理された表面が十分に洗浄されていないという印象をユーザに与える。これは、表面が縞状に見え、光沢がよくないためである。更に、処理された表面は、わずかにべたつきを感じる場合があり、これがユーザに洗浄不良の印象を更に与える。更に、第四級アンモニウム化合物は、典型的には、組成物中に存在する洗浄界面活性剤と相互作用する。その結果、組成物の抗菌効果が低下するか、又はより高い濃度の抗菌活性物質が存在しなければならない。洗浄製品に高濃度の第四級アンモニウム抗菌活性物質を使用することは、環境上の理由から望ましくない場合がある。別の欠点は、それらの濃度が食品の接触面に使用される製品において制限されることである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
より環境に優しい抗菌製品は、乳酸又はクエン酸などの天然酸、及び/又は植物抽出物を使用して製造することができるが、植物抽出物に基づく製品は、ロバストで速効性の抗菌効果を有さず、酸性製品は油汚れを良好に除去することができない。したがって、良好な環境プロファイル及び人間安全性プロファイルを有し、強力な抗菌効果を示し、食品接触面に使用することができ、がんこな油汚れであっても良好な洗浄を示し、表面を光沢があって筋のない状態にする抗菌性洗浄剤が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様によれば、抗菌性洗浄組成物が提供される。
【0005】
本発明の第2の態様によれば、本発明の第1の態様の組成物で処理された物品が提供される。この物品は、好ましくは、1つ以上の不織布層を含む任意の使い捨て又は部分的に再使用可能な基材の形態である。この物品は、表面、特に、硬質表面の衛生化を可能にする。この物品は、本明細書では「本発明の物品」と呼ばれることがある。
【0006】
本発明の第3の態様によれば、本発明の組成物を使用して表面を消毒する方法が提供される。
【0007】
本発明の第1の態様に関連して説明される本発明の組成物の要素は、必要な変更を加えて、発明の他の態様にも適用される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、抗菌性組成物を包含する。本組成物はアルカリ性であり、9~14、好ましくは10~13のpHを有する。本組成物は、ビスピリジニウムアルカン、好ましくはオクテニジン二塩酸塩を含む。本組成物は、第四級アンモニウム抗菌活性物質を実質的に含まない。本明細書において、第四級アンモニウム抗菌活性物質を「実質的に含まない」とは、本組成物が本組成物の0.001重量%未満の第四級アンモニウム抗菌活性物質を含むことを意味する。
【0009】
第四級アンモニウム化合物は、式(A)の化合物を含み、
【0010】
【化1】
式中、R及びRは、それぞれ独立して、直鎖状の、非置換で中断されていないC~C12アルキル基であり、Xは、ハロゲン化物アニオン、例えば、塩化物、臭化物、フッ化物、ヨウ化物又はスルホン酸塩、サッカリネート、炭酸塩又は重炭酸塩、及び式(B)を有するベンザルコニウム化合物であり、
【0011】
【化2】
式中、mは、8~18であり、Xは、ハロゲン化物アニオン、例えば、塩化物、臭化物、フッ化物、ヨウ化物、スルホン酸塩、サッカリネート、炭酸塩又は重炭酸塩である。このベンザルコニウム化合物は、通常、C~Ciアルキル基の混合物、特に、n-C17からn-C1837、主に、n-C1225(ドデシル)、n-C1429(テトラデシル)及びn-C1633(ヘキサデシル)などの直鎖状の、非置換で中断されていないアルキル基の混合物を含む。
【0012】
式(A)の化合物では、各基R及びRは、独立して、直鎖状の、非置換で中断のないC8~12アルキル基、例えば、8、9、10、11又は12個の炭素原子を含むアルキル基である。R基及びR基は、等しい数の炭素原子を含んでいてもよく、又は異なる数の炭素原子を含んでいてもよい。
【0013】
式(A)の第四級アンモニウム化合物の例としては、ジ-n-デシルジメチルアンモニウムクロリド、オクチルデシルジメチルアンモニウムクロリド及びジオクチルジメチルアンモニウムクロリドが挙げられる。
【0014】
本発明の組成物は、硬質表面及び布地を処理するために使用するのによく適している。本組成物は、好ましくは、少なくとも80重量%の水を含む液体水性組成物である。本組成物は、組成物全体の重量基準で、90%~99.5%、好ましくは95%~99%、より好ましくは96%~99%の水を含み得る。
【0015】
本明細書で用いる百分率、比率、及び割合は全て、特に断らない限りは組成物の重量%である。全ての平均値は、別段の明示的な指示がない限り、組成物の「重量に対し」計算される。別段の定めがない限り、全ての比率は重量/重量レベルとして計算される。
【0016】
全ての測定は、別段に明記しない限り、25℃で実施される。
【0017】
別途注記のない限り、全ての成分又は組成物の濃度は、当該成分又は組成物の活性部分に関するものであり、このような成分又は組成物の市販の供給源に存在する場合のある不純物、例えば、残留溶媒又は副生成物は除外される。
【0018】
抗菌性洗浄組成物
本発明の組成物は、硬質表面に使用するのに適している。本組成物は、例えば、本組成物を噴霧した後に表面を拭き取ることによって、好ましくは、すすぎなしで、又は本発明の組成物を含浸させたワイプなどの基材を使用することによって、表面に供給することができる。
【0019】
本明細書で使用される場合、「微生物」又は「微生物の」という用語は、微生物学者によって研究された微小生物、又は処理された表面の使用環境で見られる微小生物のいずれかを指すと解釈されるべきである。そのような生物には、細菌及び真菌、並びにカビ、白カビ及び藻類などの他の単細胞生物が含まれるが、これらに限定されない。ウイルス(エンベロープ及び非エンベロープ)及び他の感染病原体も微生物という用語に含まれる。
【0020】
「抗菌性」は更に、殺菌特性及び静菌特性の両方を包含すると理解されるべきである。すなわち、この用語は、微生物の数の減少をもたらす微生物の殺滅、並びに微生物の増殖の遅延効果を含み、数はおおよそ一定(しかし、とはいえ、わずかな増加/減少は許容する)に保たれ得る。
【0021】
議論を容易にするために、この説明では、(例えば、細菌及び真菌に対する、又は細菌及びウイルスに対する)広域スペクトル活性を示すために抗菌性という用語を使用する。特定の微生物又は分類学的ランクに対する有効性について述べる場合、より焦点を絞った用語が使用される(例えば、特に真菌の増殖に対する有効性を示すために抗真菌性)。上記の例を使用して、真菌に対する有効性は、同じ抗菌性組成物が別のクラスの微生物に対する有効性を示し得る可能性をなんら排除しないことを理解されたい。
【0022】
本明細書において、「硬質表面」とは、家庭、特に、一般家庭で見られる硬質表面を意味する。洗浄される表面としては、セラミック、ビニル、無ワックスビニル、リノリウム、メラミン、ガラス、鋼、キッチン調理台、任意のプラスチック、プラスチック化木材、金属又は任意の塗装若しくはワニス仕上げ若しくは封止処理された表面等のような異なる材料からできている、キッチン及び浴室、例えば床、壁、タイル、窓、食器棚、流し、シャワー、シャワープラスチック化カーテン、洗面台、トイレ、什器及び付属品が挙げられる。家庭の硬質表面はまた、家庭用器具を含み、その例としては、冷蔵庫、冷凍庫、洗濯機、自動式乾燥機、オーブン、電子レンジ、食洗機などが挙げられるが、これらに限定されない。かかる硬質表面は、個人の家庭において、また商用環境、企業環境、及び工業環境においても見出され得る。
【0023】
本発明の組成物はまた、例えば、本組成物を布地に噴霧することによって直接的に、又は洗濯機での予備洗い、本洗い若しくは1回のすすぎの際に、布地に使用するのに適している。
【0024】
本明細書の液体組成物は、本組成物の少なくとも80重量%の水、好ましくは85重量%~98重量%、より好ましくは90重量%~96重量%の水を含む水性組成物である。
【0025】
本発明の組成物は、好ましくは、円錐角2°及び切頭部±60μmの40mm円錐スピンドルを有する剪断速度10s-1のAtlas(登録商標)製AD1000 Advancedレオメータを使用して20℃で測定したとき、1mPa.s~20Pa.sの粘度を有して非増粘性又は水様であってもよいが、50Pa.s~1200Pa.s、より好ましくは100Pa.s~800Pa.s、最も好ましくは200Pa.s~600Pa.sの粘度を有して増粘性であってもよい。
【0026】
本組成物の高いpHは、洗浄、特に油汚れ及び粒子状の油汚れの除去に役立つ。本組成物のpHは、9~14、好ましくは10~13である。したがって、本明細書の組成物は、pHを調整するための塩基を含み得る。
【0027】
本明細書において使用される好適な塩基は、有機及び/又は無機塩基である。本明細書における使用に好適な塩基は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、及び/若しくは水酸化リチウムのような苛性アルカリ、並びに/又は酸化ナトリウム、及び/若しくは酸化カリウムのようなアルカリ金属酸化物、あるいはそれらの混合物である。好ましい塩基は苛性アルカリであり、より好ましくは、水酸化ナトリウム及び/又は水酸化カリウムである。
【0028】
その他の好適な塩基としては、アンモニア、アンモニウムカーボネート、KCO、NaCO、アルカノールアミン(モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、アミノメチルプロパノール及びこれらの混合物など)、含窒素緩衝剤並びにこれらの混合物が挙げられる。好適な含窒素緩衝剤としては、アンモニウム又はアルカリ土類カルバメート、グアニジン誘導体、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、水酸化アンモニウム、アンモニア(水に添加すると水酸化アンモニウムをin situで形成する)、及びこれらの混合物が挙げられる。特に好ましい塩基は、モノエタノールアミン及びトリエタノールアミンなどのアルカノールアミンである。
【0029】
存在する場合、このような塩基の典型的な濃度は、全組成物の0.01重量%~5.0重量%、好ましくは0.05重量%~3.0重量%、より好ましくは0.1重量%~2.0重量%である。
【0030】
抗菌剤
本発明の組成物は、ビスピリジニウムアルカン、例えば、英国特許出願公開第1533952号に記載されているものを含む。ビスピリジニウムアルカンという用語は、一般式(I)又は(II)のビス[4-(置換アミノ)-1-ピリジニウム]アルカンを含む。
【0031】
【化3】
[式中、
Yは、炭素数4~18のアルキレン基又はアルキル基であり、
Rは、炭素数6~18のアルキル基、又は炭素数5~7のシクロアルキル基、又はハロゲン置換の有無にかかわらずフェニル基を表し、Aは、1つのアニオン又は数個のアニオンである。]
Aは、一価、二価又は多価アニオンであり得、例えば、塩化物、臭化物、リン酸塩又はオルトケイ酸塩であり得る。Aはまた、式R4-COO~を有する有機酸であってもよく、式中、R4は、水素、ヒドロキシル、又はC1~C40アルキルである。
【0032】
本発明のビスピリジニウムアルカンは、式(I)及び(II)の化合物の様々なプロトタイプ、例えば、英国特許出願公開第1533952号及び独国特許出願公開第19647692(A1)号に開示されているものなどを含む。
【0033】
他の適切なビスピリジニウムアルカンは、有機酸が約4~約30個の炭素原子を含むビスピリジンアミンの有機酸塩、例えば、国際公開第2014100807号に記載されているものなどを含む。適切な有機酸には、カルボン酸、例えば、非置換であるか又はハロゲンで置換されている(C1~C40)アルカンカルボン酸、飽和又は不飽和ジカルボン酸、例えば、ヒドロキシカルボン酸、例えば、アミノ酸、例えば、(C1~C40)アルキルスルホン酸が含まれるが、これらに限定されない。塩を誘導することができる更なる有機酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、リン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、グリチルリチン酸、サリチル酸、ステアリン酸、ホスホン酸、トリフルオロ酢酸、シアノ酢酸、4-シアノ安息香酸、2-クロロ安息香酸、2-ニトロ安息香酸、フェノキシ酢酸、ベンゼンスルホン酸が挙げられる。ビスピリジニウムアルカンジステアレートなどのステアレートの塩が好ましい。
【0034】
好ましいビスピリジニウムアルカンは、オクテニジン二塩酸塩(R=n-オクチル、Y=n-デセニル;A=2×Cl、以下「オクテニジン」CAS番号70775-75-6)である。
【0035】
抗菌剤は、殺菌有効量で存在するだけでよく、それは本組成物のわずか0.001重量%~1重量%未満であり得る。より好ましい組成物において、本洗浄組成物は、抗菌剤を、本組成物の約0.0025重量%~約0.5重量%、より好ましくは0.005重量%~0.15重量%の濃度で含む。
【0036】
抗菌剤の殺菌有効量は、典型的には、EN13697(Chemical Disinfectants Bactericidal Activity Testing)の方法を用いて、5分でスタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)の少なくともlog4の減少をもたらす。
【0037】
界面活性剤
本発明の組成物は、好ましくは界面活性剤を含み、より好ましくは本組成物の0.01重量%~12重量%、好ましくは0.05重量%~10重量%、より好ましくは0.08重量%~5重量%、より好ましくは0.1重量%~3重量%の界面活性剤を含む。界面活性剤は、本組成物によって提供される洗浄に寄与する。
【0038】
アルコールアルコキシル化非イオン性界面活性剤
適切なアルコールアルコキシル化非イオン性界面活性剤は、式RO-(A)nHによるものであり、式中、Rは、第一級CからC18、好ましくはCからC16、より好ましくはCからC14分枝鎖状若しくは直鎖状アルキル鎖、又はCからC28アルキルベンゼン鎖であり、Aは、エトキシ若しくはプロポキシ若しくはブトキシ単位又はそれらの混合物であり、nは、1~30、好ましくは1~15、より好ましくは3~12、更により好ましくは3~8である。本明細書で使用するための好ましいR鎖は、CからC16直鎖状又は分岐鎖状アルキル鎖である。
【0039】
適切な分枝鎖状アルコキシル化アルコールは、C~C10アルキル分枝鎖状アルコキシル化アルコール、及びそれらの混合物からなる群から選択され得る。分枝鎖状アルコキシル化アルコールは、1つ以上のC~C分枝鎖状基を有するC~C10第一級モノアルコールからなる群から選択されるC~C10アルキル分枝鎖状アルコールのアルコキシル化から誘導することができる。
【0040】
~C10第一級モノアルコールとは、第一級モノアルコールの主鎖が合計4~10個の炭素原子を有することを意味する。C~C10第一級モノアルコールは、メチルブタノール、エチルブタノール、メチルペンタノール、エチルペンタノール、メチルヘキサノール、エチルヘキサノール、プロピルヘキサノール、ジメチルヘキサノール、トリメチルヘキサノール、メチルヘプタノール、エチルヘプタノール、プロピルヘプタノール、ジメチルヘプタノール、トリメチルヘプタノール、メチルオクタノール、エチルオクタノール、プロピルオクタノール、ブチルオクタノール、ジメチルオクタノール、トリメチルオクタノール、メチルノナノール、エチルノナノール、プロピルノナノール、ブチルノナノール、ジメチルノナノール、トリメチルノナノール及びそれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0041】
~C10第一級モノアルコールは、エチルヘキサノール、プロピルヘキサノール、エチルヘプタノール、プロピルヘプタノール、エチルオクタノール、プロピルオクタノール、ブチルオクタノール、エチルノナノール、プロピルノナノール、ブチルノナノール、及びそれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0042】
好ましくは、C~C10第一級モノアルコールは、エチルヘキサノール、プロピルヘキサノール、エチルヘプタノール、プロピルヘプタノール、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0043】
~C10第一級モノアルコールは、最も好ましくはエチルヘキサノール及びプロピルヘプタノールである。
【0044】
分枝鎖状アルコキシル化アルコールでは、1つ以上のC~C分枝鎖状基は、出発アルコールのヒドロキシル基から数えて、C1からC3位、好ましくはC1からC2位、より好ましくはC2位で、C~C10第一級モノアルコールに置換され得る。
【0045】
分枝鎖状アルコキシル化アルコールは、1~14個、好ましくは2~7個、より好ましくは4~6個のエトキシレート単位、及び、任意で、1~9個、好ましくは2~7個、より好ましくは4~6個のプロポキシレート単位を含むことができる。
【0046】
分岐鎖状アルコキシル化アルコールは、好ましくは、4~6の程度までエトキシル化され、4~6の程度までプロポキシル化された2-エチルヘキサン-1-オールであり、より好ましくは、アルコールは、最初にプロポキシル化され、次いでエトキシル化される。別の好ましい分枝鎖状アルコキシル化アルコールは、2-アルキル-1-アルカノール、例えば、1~14個、好ましくは2~7個、より好ましくは3~6個のエトキシラート単位又はエトキシレート-プロポキシラート単位を有するアルコキシル化C10ゲルベアルコールである。
【0047】
適切な分枝鎖状アルコキシル化アルコールの非限定的な例は、例えば、DOWから市販されているEcosurf(登録商標)EH3、EH6、及びEH9、並びにBASFから市販されているLutensol(登録商標)XPアルコキシル化ゲルベアルコール及びLutensol(登録商標)XLエトキシル化ゲルベアルコールである。
【0048】
本明細書において好ましい直鎖状アルコールアルコキシル化非イオン性界面活性剤は、C、C10、C12、C~C10の混合物、C10~C12の混合物、C~C11直鎖状アルキル鎖の混合物及び8個以下のエトキシレート単位、好ましくは3~8個のエトキシレート単位を有するアルコキシル化非イオン性界面活性剤である。
【0049】
本明細書で使用するのに適した直鎖状アルコキシル化非イオン性界面活性剤の非限定的な例は、Dobanol(登録商標)91-2.5(RはC及びC11アルキル鎖の混合物であり、nは2.5である)、Dobanol(登録商標)91-5(RはCからC11アルキル鎖の混合物であり、nは5である);ドバノール(登録商標)91-10(RはCからC11アルキル鎖の混合物であり、nは10である);Greenbentine DE60(RはC10直鎖状アルキル鎖であり、nは6である);Marlipal 10-8(RはC10直鎖状アルキル鎖であり、nは8である);Neodol 91-8(RはCからC11アルキル鎖の混合物であり、nは8である);Empilan(登録商標)KBE21(RはC12及びC14アルキル鎖の混合物であり、nは21である);Lutensol ON30(RはC10直鎖状アルキル鎖であり、nは3である);Lutensol ON50(RはC10直鎖状アルキル鎖であり、nは5である);Lutensol ON70(RはC10直鎖状アルキル鎖であり、nは7である);Novel 610-3.5(RはCからC10の直鎖状アルキル鎖の混合物であり、nは3.5である);Novel 810FD-5(RはCからC10の直鎖状アルキル鎖の混合物であり、nは5である);Novel 10-4(RはC10直鎖状アルキル鎖であり、nは4である);Novel 1412-3(RはC12からC14の直鎖状アルキル鎖の混合物であり、nは3である);Lialethl(登録商標)11-5(RはC11直鎖状アルキル鎖であり、nは5である);Lialethl(登録商標)11-21(Rは直鎖状及び分岐鎖状C11アルキル鎖の混合物であり、nは21である)、又はそれらの混合物である。
【0050】
アルコキシル化非イオン性界面活性剤は、第二級アルコールエトキシレート、例えば、以下に示す一般式を有し、DOWから市販されているTergitol(商標)-15-S界面活性剤などであってもよい。
【0051】
【化4】
Tergitol 15-S界面活性剤
好ましい第二級アルコールエトキシレート界面活性剤は、3~9 EO単位を有する。
【0052】
別の好適なアルコキシル化非イオン性界面活性剤は、好ましくは分子のアルコキシ部分が、プロポキシ、又はブトキシ、又はプロポキシブトキシである、アルキルエトキシアルコキシアルコールである。より好ましいアルキルエトキシアルコキシアルコールは、式(II):
【0053】
【化5】
式中、
Rは、8~16個の炭素原子を有する分枝鎖状又は非分枝鎖状のアルキル基であり、
は、1~5個の炭素原子を有する分枝鎖状又は非分枝鎖状のアルキル基であり、
nは1~10であり、mは6~35である。
好ましくは、Rは、12~15個、好ましくは13個の炭素原子である。Rは、好ましくは1~2個の炭素原子を有する分岐鎖状アルキル基であり、nは、好ましくは1~5であり、mは、好ましくは8~25である。好ましくは、式(II)のエトキシル化アルコキシル化非イオン性界面活性剤の重量平均分子量は、500~2000g/モル、より好ましくは600~1700g/モル、最も好ましくは800~1500g/モルである。
【0054】
エトキシル化アルコキシル化非イオン性界面活性剤は、ポリオキシアルキレンコポリマーであり得る。ポリオキシアルキレンコポリマーは、ブロック-ヘテリックエトキシル化アルコキシル化非イオン性界面活性剤であり得るが、ブロック-ブロック界面活性剤が好ましい。好適なポリオキシアルキレンブロックコポリマーとしては、式(III)のエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックポリマー:
(EO)(PO)(EO)、又は
(PO)(EO)(PO)
が挙げられ、式中、EOが、エチレンオキシド単位を表し、POが、プロピレンオキシド単位を表し、x及びyが、生成物の各モルにおけるエチレンオキシド及びプロピレンオキシドの平均数を詳述する数である。かかる物質は、殆どの非イオン性界面活性剤よりも高い分子量を有する傾向があり、そのため、1000~30000g/モルの範囲であり得るが、分子量は、本発明に従うものとするためには、2200超且つ好ましくは13000未満であるべきである。ポリマー非イオン性界面活性剤の分子量の好ましい範囲は、2400~11500ダルトンである。BASF(Mount Olive,N.J.)は、好適な一連の誘導体を製造し、それらをPluronicの商品名で販売している。これらの例は、それぞれ6600、2450、及び11400g/モルの分子量を有する、Pluronic(商標)F77、L62、及びF88である。
【0055】
他の好適なエトキシル化アルコキシル化非イオン性界面活性剤は、Surfactant Science and Technology,Third Edition,Wiley Press,ISBN 978-0-471-68024-6の第7章に記載されている。
【0056】
最も好ましくは、アルコキシル化非イオン性界面活性剤は、2-プロピルヘプチルEO8(Lutensol XL89-BASF)、2-プロピルヘプチルEO5(Lutensol XL50-BASF)、C10アルコールEO5(Lutensol ON 50-BASF)、C10-アルコールEO7(Lutensol ON 70-BASF)、C~C10 EO5(Novel 810 FD5 Sasol)、C10 EO4(Novel 10-4 Sasol)、Tergitol 15-S-3、Tergitol 15-S-5、Tergitol 15-S-7、及びエチルヘキサノールPO5EO6(Ecosurf EH6-Dow)からなる群から選択される。これらの界面活性剤は、驚くべきことに、オクテニジンの抗菌効果を増強することが見出された。
【0057】
アルキルポリグルコシド
アルキルポリグリコシドは、当該技術分野において周知の生分解性非イオン性界面活性剤であり、本発明の組成物に使用することができる。好適なアルキルポリグリコシドは、一般式C2n+1O(C10Hを有することができ、式中、nは好ましくは8~16、より好ましくは8~14であり、xは、少なくとも1である。好適なアルキルポリグルコシド界面活性剤の例は、Dow製のTRITON(登録商標)アルキルポリグルコシド、BASF製のAgnique PG、Disponil APG及びグルコポンアルキルポリグルコシドである。好ましいアルキルポリグルコシド界面活性剤は、nが8~12、より好ましくは8~10であるもの、例えば、Triton(商標)CG50(Dow)などである。これらの界面活性剤は、驚くべきことに、オクテニジンの抗菌効果を高めることが見出された。
【0058】
アミンオキシド
好適なアミンオキシド界面活性剤としては、RNOが挙げられ、式中、R、R及びRのそれぞれは、独立して、1~30個の炭素原子を有する飽和又は不飽和、置換又は非置換、直鎖状又は分枝鎖状の炭化水素鎖である。好ましいアミンオキシド界面活性剤は、以下の式:RNO(式中、R1は、1~30個、好ましくは6~20個、より好ましくは8~16個の炭素原子を含む炭化水素鎖であり、R及びRは、独立して、1~4個の炭素原子、好ましくは1~3個の炭素原子を含む飽和又は不飽和、置換又は非置換、直鎖状又は分枝鎖状の炭化水素鎖であり、より好ましくはメチル基である)を有するアミンオキシドである。R1は、飽和又は不飽和、置換又は非置換、直鎖又は分枝鎖の炭化水素鎖であってよい。
【0059】
非常に好ましいアミンオキシドは、Cジメチルアミンオキシド、C10ジメチルアミンオキシド、C12ジメチルアミンオキシド、C14ジメチルアミンオキシド、及びこれらの混合物であり、Cジメチルアミンオキシドは、ClariantからGenaminox(登録商標)OCの商品名で市販され、C10ジメチルアミンオキシドは、ClariantからGenaminox(登録商標)K-10の商品名で市販され、C12ジメチルアミンオキシドは、ClariantからGenaminox(登録商標)LAの商品名で、またHuntsmanからEmpigen OBの商品名で市販され、C14アミンオキシドは、HuntsmanからEmpigen OH 25の商品名で市販されている。他の適切なアミンオキシド界面活性剤は、ClariantからGenaminox CHEの商品名で入手可能なココイルジエトキシアミンオキシド、及びHuntsmanからEmpigen OS/Aの商品名で市販されているコカミドプロピルアミンオキシドである。特に好ましいアミンオキシド界面活性剤は、C10ジメチルアミンオキシド、例えば、Genaminox K-10である。これらの界面活性剤は、驚くべきことに、オクテニジンの抗菌効果を大きく向上させることが見出された。
【0060】
アルキルグルカミド界面活性剤
本発明の組成物は、アルキルグルカミド界面活性剤を含み得る。グルカミド界面活性剤は、親水性部分(アミノ糖誘導体)と疎水性部分(脂肪酸)とがアミド結合を介して連結された非イオン性界面活性剤である。これは、アルカリ条件下で非常に安定な化学結合をもたらす。特に好ましいアルキルグルカミド界面活性剤は、式(III)のN-アルキル-N-アシルグルカミドであり、
【0061】
【化6】
式中、Raは、6~22個の炭素原子を有する直鎖状又は分岐鎖状の飽和又は不飽和ヒドロカルビル基であり、Rbは、C~Cアルキル基である。特に好ましくは、式(I)中のRbはメチル基である。これらのグルカミド界面活性剤の非限定的な例は、ClariantからGlucoPure Foamの商品名で入手可能な、N-オクタノイル-N-メチルグルカミド、N-ノナノイル-N-メチルグルカミド、N-デカノイル-N-メチルグルカミド、N-ドデカノイル-N-メチルグルカミド、N-ココイル-N-メチルグルカミド、ClariantからGlucoPure Degの商品名で入手可能なN-ラウロイル/ミリストイル-N-メチルグルカミド、及び、ClariantからGlucoPure Wetの商品名で入手可能なN-オクタノイル/デカノイル-N-メチルグルカミドである。
【0062】
アルキルグルカミン界面活性剤は、本発明の組成物に適している。
【0063】
これらの界面活性剤は、欧州特許第16184415号及び米国特許出願公開第20190055496号に記載されている。
【0064】
双性イオン界面活性剤及び両性界面活性剤
硬質表面洗浄組成物は、両性界面活性剤、双極性イオン界面活性剤、及びそれらの混合物を含み得る。好適な双極性イオン性界面活性剤は、典型的には、使用pHにおいて電気的に中性になるように、実質的に等しい比率でカチオン性基及びアニオン性基を両方含有し、当該技術分野において周知である。双極性イオン性界面活性剤のいくつかの一般的な例は、米国特許第2,082,275号、同第2,702,279号、及び同第2,255,082号に記載されている。
【0065】
好適な双極性イオン性界面活性剤としては、ベタイン、例えば、アルキルベタイン、アルキルアミドベタイン、アミダゾリニウムベタイン、スルホベタイン(INCI Sultaines)並びにホスホベタインが挙げられる。
【0066】
好適なベタインは、式(Ia)のアルキルベタイン、式(Ib)のアルキルアミドベタイン、式(Ic)のスルホベタイン、及び式(Id)のアミドスルホベタインである;
【0067】
【表1】
式中、R1は、飽和又は不飽和C~C22アルキル残基、好ましくはC~C18アルキル残基である。式Iaのベタイン、例えば、HuntsmanによってEmpigen(登録商標)BBの商品名で販売されているようなN-アルキル-N-ジメチルベタインなどが特に好ましい。
【0068】
本組成物が双極性イオン界面活性剤を含む場合、それは、好ましくは式Iaのベタイン、例えば、HuntsmanによってEmpigen BBの商品名で販売されているようなN-アルキル-N-ジメチルベタインである。これらのベタインは、オクテニジン塩酸塩の抗菌効果を大幅に増加させることが分かった。
【0069】
両性界面活性剤は、組成物のpHに依存してカチオン性又はアニオン性のいずれであることができる。好適な両性界面活性剤としては、ドデシルベータ-アラニン、N-アルキルタウリン、例えば、米国特許第2,658,072号に教示されているようにドデシルアミンをイセチオン酸ナトリウムと反応させることによって調製されるもの、N-高級アルキルアスパラギン酸、例えば、米国特許第2,438,091号に教示されているもの、が挙げられる。他の好適な両性界面活性剤は、Solvay-Novecareによって商品名Miranolで販売されている製品、例えば、ラウロアンホ酢酸ナトリウム(Miranol Ultra L-32E)、ステアロアンホ酢酸ナトリウム(Miranol DM)、ココアンホ二酢酸二ナトリウム(Miranol C2m Conc NP)、ラウロアンホ二酢酸二ナトリウム(Miranol BM Conc)、カプリロアンホ二プロピオン酸二ナトリウム(Miranol JBS)、混合Cアンホカルボン酸ナトリウム(Miranol JEM Conc)、及びカプリロアンホヒドロキシプロピルスルホン酸ナトリウム(Miranol JS)など、である。適切な両性界面活性剤の他の非限定的な例は、カプリロアンホ二酢酸二ナトリウム(Mackam 2CY 75-Solvay Novecare)、オクチルイミノジプロピオネート(Ampholak YJH40-Akzo Nobel)、ラウリミノジプロピオネートナトリウム(Mirataine H2C-HA-Solvay Novecare)及びラウロアンホヒドロキシプロピルスルホン酸ナトリウム(Mackam LS-Solvay Novecare)である。これらの両性界面活性剤は、オクテニジン塩酸塩の抗菌効果に悪影響を及ぼさないことが分かった。
【0070】
他の好適な更なる界面活性剤は、McCutcheon’s Detergents and Emulsifiers,North American Ed.1980に見出すことができる。
【0071】
アニオン性界面活性剤
アニオン性界面活性剤が存在する場合、それは好ましくは低濃度で、すなわち本組成物の重量の0.05%未満で存在する。
【0072】
本明細書で使用するための特に好ましい界面活性剤には、非イオン性界面活性剤、特に、分岐鎖状アルコールアルコキシレートが含まれ、より具体的には、4~6の程度までエトキシル化され、4~6の程度までプロポキシル化された2-エチルヘキサン-1-オールアルコキシレート(より好ましくは、アルコールは、最初にプロポキシル化され、次いでエトキシル化される)、及び、2-アルキル-1-アルカノール、例えば、1から14個、好ましくは2から8個、より好ましくは3から6個のエトキシレート単位又はエトキシレート-プロポキシレート単位を有するアルコキシル化C10ゲルベアルコール、が含まれる。他の特に好ましい非イオン性界面活性剤には、C、C10、C12を有する直鎖状アルコールアルコキシル化非イオン性界面活性剤、C~C10の混合物、C10~C12の混合物、C~C11直鎖状アルキル鎖の混合物、及び8個以下のエトキシレート単位、好ましくは3~8個のエトキシレート単位が含まれる。最も好ましくは、アルコキシル化非イオン性界面活性剤は、2-プロピルヘプチルEO8(Lutensol XL89-BASF)、2-プロピルヘプチルEO5(Lutensol XL50-BASF)、C10アルコールEO5(Lutensol ON 50-BASF);C10アルコールEO7(Lutensol ON 70-BASF);C~C10アルコールEO5(Novel 810 FD5 Sasol);C10アルコールEO4(Novel 10-4 Sasol);及び2-エチル-ヘキサノールPO5EO6(Ecosurf EH6-Dow)。
【0073】
ここで使用するための他の特に好ましい界面活性剤としては、直鎖状アミンオキシド界面活性剤、特に、C~C12ジメチルアミンオキシド、より具体的にはC10ジメチルアミンオキシド;アルキルジメチルベタイン界面活性剤、より具体的にはN,N-ジメチル-N-ドデシルグリシンベタイン(Empigen BB-Huntsman);アルキルグルカミド界面活性剤、例えば、N-アルキル-N-アシルグルカミド、好ましくは、N-デカノイル-N-メチルグルカミン、並びにClariantによってGlucoPure(登録商標)、GlucoTain(登録商標)及びGlucoWet(登録商標)の名称で販売されているアルキルグルカミド界面活性剤;アルキルポリグルコシド界面活性剤、より具体的にはCからC12アルキルポリグルコシド、より好ましくはCからC10アルキルポリグルコシド、例えば、Triton CG50(Dow)などが挙げられる。
【0074】
これらの界面活性剤は、ビスピリジニウムアルカンの抗菌活性、特にオクテニジン二塩酸塩の抗菌活性を改善する。
【0075】
任意成分
キレート剤
抗菌性洗浄組成物はキレート剤を含むことができる。好適なキレート剤は、界面活性剤系と組み合わされて光沢効果を向上させる。キレート剤は、本組成物の0.02重量%~5.0重量%、好ましくは0.1重量%~3.0重量%、より好ましくは0.2重量%~2.0重量%、最も好ましくは0.2重量%~0.4重量%の範囲の量で本組成物に配合することができる。
【0076】
好適なホスホネートキレート剤としては、エチレンジアミンテトラメチレンホスホネート、及びジエチレントリアミンペンタメチレンホスホネート(DTPMP)が挙げられ、これらの酸形態、又は塩のいずれかとして存在させることができる。
【0077】
本明細書における使用に好ましい生分解性キレート剤は、エチレンジアミンN,N’-二コハク酸、又はアルカリ金属塩若しくはアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩若しくはそれらの置換アンモニウム塩、又はこれらの混合物である。より好ましい生分解性キレート剤は、Akzo Nobelから商標名Dissolvine 47Sで市販されているL-グルタミン酸N,N-二酢酸(GLDA)である。
【0078】
好適なアミノカルボキシレートとしては、酸形態、又はアルカリ金属、アンモニウム、及び置換アンモニウム塩形態の両方での、エチレンジアミンテトラアセテート、ジエチレントリアミンペンタアセテート、ジエチレントリアミンペンタアセテート(DTPA)、N-ヒドロキシエチルエチレンジアミントリアセテート、ニトロトリアセテート、エチレンジアミンテトラプロピオネート、トリエチレンテトラアミンヘキサアセテート、エタノールジグリシン、及びメチルグリシン二酢酸(MGDA)が挙げられる。本明細書における使用に特に好適なアミノカルボキシレートは、例えばBASFより商品名Trilon FS(登録商標)で市販されるプロピレンジアミン四酢酸(PDTA)、及びメチルグリシン二酢酸(MGDA)である。本明細書における使用に最も好ましいアミノカルボキシレートは、BASFより販売されるジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)である。更に、本明細書における使用のためのカルボン酸キレート剤としては、サリチル酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、マロン酸、又はこれらの混合物が挙げられる。
【0079】
好適なポリカルボキシレートとしては、イタコン酸及びポリイタコン酸ナトリウムが挙げられ、例えば、Itaconix(登録商標)DSP 2K(商標)及びItaconix(登録商標)CHT121(商標)の商品名でItaconixから市販されている。
【0080】
ポリマー
抗菌性洗浄組成物は、追加のポリマーを含んでもよい。本明細書に記載の特定のポリマーの存在によって、それが存在するときに、ポリマーが本組成物にもたらす特有の泡立ち/起泡特性のために、本組成物の油脂除去性能の更なる改善が可能になることが見出されている。本明細書での使用に適したポリマーは、欧州特許第2272942号及び欧州特許第2025743号に開示されている。
【0081】
ポリマーは、ビニルピロリドンホモポリマー(PVP)、ポリエチレングリコールジメチルエーテル(DM-PEG)、ビニルピロリドン/ジアルキルアミノアルキルアクリレート、又はメタクリレートコポリマー、ポリスチレンスルホネートポリマー(PSS)、ポリビニルピリジン-N-オキシド(PVNO)、ポリビニルピロリドン/ビニルイミダゾールコポリマー(PVP-VI)、ポリビニルピロリドン/ポリアクリル酸コポリマー(PVP-AA)、ポリビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー(PVP-VA)、ポリアクリル酸ポリマー又はポリアクリル酸マレイン酸コポリマー、及びポリアクリル酸又はポリアクリル酸マレイン酸ホスホノ末端基コポリマー、並びにこれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0082】
典型的には、抗菌性硬質表面洗浄組成物は、本組成物の0.005重量%~5.0重量%、好ましくは0.10重量%~4.0重量%、より好ましくは0.1重量%~3.0重量%、最も好ましくは0.20重量%~1.0重量%の当該ポリマーを含み得る。
【0083】
溶媒
本発明の液体組成物は、好ましい任意成分として、溶媒又はその混合物を含むことができる。
【0084】
好適な溶媒は、3~14個の炭素原子を有するエーテル類及びジエーテル類;グリコール類(プロピレングリコールなど)、又はアルコキシル化グリコール類;アルコキシル化芳香族アルコール類;芳香族アルコール類;アルコキシル化脂肪族アルコール類;脂肪族アルコール類;C~C14アルキル及びシクロアルキル炭化水素類及びハロ炭化水素類、C~C16グリコールエーテル類、テルペン類、並びにこれらの混合物からなる群から選択され得る。N-ブトキシプロパノール及びジプロピレングリコールn-ブチルエーテルなどのグリコールエーテルなどのエーテル類が特に好ましい。
【0085】
存在する場合、溶媒は、本組成物の0.1重量%~10重量%、又は0.2重量%~5重量%、又は0.5重量%~3重量%の濃度で存在することができる。
【0086】
増粘剤
本発明の抗菌性洗浄組成物は、増粘剤を更に含むことができる。本明細書における好適な増粘剤としては、ポリアクリレート系ポリマー、好ましくは疎水変性されたポリアクリレートポリマー;アミドポリマー;ヒドロキシエチルセルロース、好ましくは疎水変性ヒドロキシエチルセルロース、キサンタンガム、硬化ヒマシ油(HCO)、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0087】
他の任意成分
本発明の組成物は、目指す技術的利益及び処理される表面に応じて、様々な他の任意の成分を含み得る。本明細書で用いるのに好適な任意成分としては、香料、ビルダー、その他のポリマー、緩衝剤、ヒドロトロープ、着色剤、安定剤、ラジカルスカベンジャー、研磨剤、汚れ懸濁剤、光沢剤、防塵剤、分散剤、移染阻害剤、顔料、シリコーン、及び/又は染料が挙げられる。
【0088】
本発明による好ましい組成物は、
a)本組成物の0.001重量%~0.5重量%、好ましくは0.002重量%~0.1重量%のビスピリジニウムアルカン、好ましくはオクテニジン二塩酸塩と、
b)本組成物の0.05重量%~2重量%の、アミンオキシド界面活性剤、分枝鎖状アルコールアルコキシレート界面活性剤、アルキルポリグルコシド界面活性剤及びこれらの混合物からなる群から選択される界面活性剤と、
c)本組成物の0.05~5重量%の塩基と、
d)本組成物の85重量%~98重量%の水と、を含む。
【0089】
本発明による好ましい組成物は、
a)本組成物の0.001重量%~0.5重量%、好ましくは0.002重量%~0.1重量%のオクテニジン二塩酸塩と、
b)本組成物の0.05重量%~2重量%の、アミンオキシド界面活性剤、好ましくはデシルジメチルアミンオキシド、ドデシルジメチルアミンオキシド及びこれらの混合物;D-グルコピラノースオリゴマーデシルオクチルグルコシド;2-エチルヘキシルPO5EO6アルキルアルコキシレート並びにこれらの混合物、からなる群から選択される界面活性剤と、
c)本組成物の0.05重量%~5重量%の塩基と、
d)本組成物の0.05重量%~1重量%のキレート剤と、
e)0.1%~5%の有機溶媒、好ましくは芳香族アルコール、好ましくはフェノキシエタノール、アルキルグリコールエーテル及びこれらの混合物と、
f)本組成物の85重量%~98重量%の水と、を含む。
【0090】
ワイプ
本発明はまた、本発明の組成物で処理された物品に関する。本物品は、好ましくはワイプである。好適なワイプは、繊維質であってよい。好適な繊維質ワイプは、ポリマー繊維、セルロース繊維、及びこれらの組み合わせを含み得る。好適なセルロースベースのワイプとしては、キッチンワイプなどが挙げられる。好適なポリマー繊維としては、ポリエチレン、ポリエステルなどが挙げられる。ポリマー繊維をスパンボンドしてワイプを形成することができる。熱的に結合した繊維材料を調製する方法は、米国特許出願第08/479,096号(特に16~20ページを参照)及び米国特許第5,549,589号(特に、第9欄から第10欄参照)に記載されている。好適なパッドとしては、発泡体など、例えば、HIPE由来の疎水性高分子発泡体が挙げられる。そのような発泡体及びその調製方法は、米国特許第5,550,167号、及び米国特許出願第08/370,695号に記載されている。
【0091】
負荷率は、抗菌溶液と不織布基材の重量比として定義され、好ましくは約3倍~約10倍である。好ましくは、負荷率は、4倍~8倍、又は4.5倍~7.5倍、又は5倍~7倍である。本発明の予め湿らせたワイプの負荷率をより高くすることは、製品の耐用距離を増加させるのに役立つため、好ましいことが分かっている。
【0092】
表面を洗浄する方法
本発明の洗浄組成物は、セラミック、エナメル、ステンレス鋼、Inox(登録商標)、Formica(登録商標)、ビニル、無ワックスビニル、リノリウム、メラミン、ガラス、プラスチック及び可塑化木材、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される表面の洗浄に特に適している。特に、本組成物は、表面を清潔で、光沢があり、グリースフリーの状態に維持しながら、微生物の集合を減少させるのに特に適している。
【0093】
本明細書に記載の組成物は、そのまま使用することができ、又は表面に塗布する前に濃縮組成物を水で希釈することによって得ることができる。好ましい方法では、硬質表面洗浄組成物は未希釈で塗布され、より好ましくは硬質表面洗浄組成物は硬質表面上に噴霧される。
【0094】
本組成物は、モップ、スポンジ、布、ペーパータオル、又は他の適切な器具を使用することなど、任意の適切な手段によって塗布することができる。
【0095】
硬質表面を、任意の更なる工程で、好ましくは清潔な水で洗い流してもよく、また更なる工程として、布又はペーパータオルなどで拭き取ってもよい。
【0096】
本発明の別の好ましい実施形態では、硬質表面を洗浄する当該方法は、当該硬質表面上に当該液体組成物を塗布する、好ましくは噴霧すること、当該液体組成物を、当該表面に作用するように、機械的作用を加えて又は加えないで、所定時間にわたって放置すること、及び、任意で、当該液体組成物を除去することであって、好ましくは、当該硬質表面を水で洗い流す、且つ/又は当該硬質表面を、例えば、スポンジ、紙、又は布タオルなどの適切な手段で拭くことによって当該液体組成物を除去すること、を含む。このような組成物は、多くの場合、「即時使用可能な」組成物と呼ばれる。好ましい方法では、抗菌性硬質表面洗浄組成物の塗布後に硬質表面を洗い流さない。
【0097】
特定の界面活性剤と、オクテニジンなどのビスピリジニウムアルカン抗菌剤とを含むアルカリ性抗菌性組成物は、非常に低いオクテニジン濃度で非常に良好な抗菌効果をもたらすと考えられる。この強力な有効性は、界面活性剤と抗菌活性剤との間の相乗的相互作用を達成するように界面活性剤の種類及び濃度を慎重に選択することによってもたらされる。その結果、抗菌性組成物中の抗菌剤の抗菌効果が改善される。実際、本発明の抗菌性硬質表面洗浄組成物は、改善された抗菌効力、良好なグリース洗浄及び筋のない光沢を示すことが見出された。
【0098】
試験法
A)pH測定:
pHを、取扱説明書に従って較正された親和性(compatible)ゲル充填pHプローブ(例えば、Toledoプローブ部品番号52 000 100を備えるSartarius PT-10Pメータなどの)pHメータを用いて、25℃で、未希釈組成物に対して測定する。
【0099】
B)抗菌効果(懸濁液中の最小殺菌濃度):
組成物中の抗菌剤の抗菌効果を、その最小殺菌濃度(MBC)を測定することによって求める。MBCは、完全な殺菌(細菌増殖がゼロ)をもたらす特定の抗菌活性物質の最低絶対濃度として定義される。本明細書の組成物のMBCを、グラム陽性菌である細菌Staphylococcus aureus(黄色ブドウ球菌(S.aureus)-ATCC#6538)、及びグラム陰性菌であるEnterobacter aerogenes(E.aerogenesに対して求めた。これらの微生物は、多くの消費者向けの及び産業上の用途における天然汚染物質を代表する。必要な場合、いくつかのコロニーを、トリプトンソイ寒天(TSA)プレートから追加の土壌負荷として5%のウマ血清を含む生理食塩水(0.85% NaCl)に移すことによって細菌接種菌液を調製し、この生理食塩水中の細菌濃度を、425nmでの透過率%を測定することによって求め、425nmでの透過率%が10CFU/mlの細菌濃度に相当する23~25%になるまで、更なる細菌又は更なる生理食塩水を添加することによって調整した。
【0100】
最小殺菌濃度(MBC)に応じて、抗菌剤を本組成物に1000ppm、又は500ppm、又は200ppm、又は100ppm、又は50ppmの濃度で添加した。200μLの抗菌性硬質表面洗浄組成物を、96ウェルマイクロタイタープレートの行Aの一ウェルに注入した。それぞれの後続のウェル(行B~G)に、抗菌剤を添加せずに、100μLの同じ硬質表面洗浄組成物を注入した。100μLの抗菌性硬質表面洗浄組成物を、行Aから行Bに移し、混合した。次に、100μLの組成物を行Bから行Cに移して混合し、このプロセスを行Gまで繰り返した。このように、抗菌剤の濃度は、隣り合うウェルごとに2倍に希釈され、一方、硬質表面洗浄組成物中の他の活性物質の濃度は、同じカラム中の全てのウェルにわたって一定に維持されていた。
【0101】
10CFU/ml細菌の生理食塩水懸濁液10μLを、マイクロタイタープレートのウェルA~Fに添加し、行Gを無細菌対照のままとした。各ウェル中の最終体積は、100μLの硬質表面洗浄組成物を含み、細菌懸濁液を含まない行Gを除いて、110μLであった。各カラムへの細菌接種を30秒間ずつずらして、全てのウェルでインキュベーション時間を等しくし、全ての試料の細菌と抗菌活性物質との接触時間が6分となるようにした。この接触時間の後、各試験溶液10μLを90μLの中和溶液(BioMerieuxから販売されているModified Letheen Broth+1.5%のPolysorbate 80)に移し、接種のずらした配置に合わせて抗菌活性物質の抗菌作用を停止させた。この溶液2μLを、全ての試料が中和剤に同じ時間の間曝露されるように、TSAプレート上に接種のずれに合わせてプレーティングした。プレートを32.5℃で48時間インキュベートした。MBC濃度を、TSAプレート上で目に見えるコロニー成長が観察されない抗菌活性物質の最低濃度として採用する。
【0102】
C)抗菌効果(表面消毒):
EN13697表面消毒法に従って、本組成物と細菌との間の5分間の接触時間で黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(S.aureus-ATCC#6538)に対する抗菌性洗浄組成物の抗菌効果を試験した。
【実施例
【0103】
実施例1:アルカリ組成物中のビスピリジニウムアルカンと他の抗菌活性物質との抗菌効果の比較
ビスピリジニウムアルカンオクテニジン二塩酸塩の抗菌効果を、家庭用洗浄製品に一般的に使用される他の抗菌活性物質の抗菌効果と比較した。0.5%のモノエタノールアミン(MEA)、1.5%のトリエタノールアミン(TEA)及び50ppmの異なる抗菌活性物質を含むアルカリ組成物を調製し、グラム陽性菌(Staphylococcus aureus)及びグラム陰性菌(Enterobacter aerogenes)に対する各抗菌活性物質の懸濁液中の最小殺菌濃度(MBC)を上記のように測定した。この試験では追加の土壌としてウマ血清を使用しなかった。接触時間は6分であった。結果を表1に示す。
【0104】
【表2】
(1)オクテニジン二塩酸塩-東京化成
(2)BTC 65-Stepan
(3)Lonzabac 12.30-Lonza
【0105】
表1から分かるように、ビスピリジニウムアルカンを含むアルカリ組成物は、これらのアルカリ組成物中の他の活性物質のMBCに対してビスピリジニウムアルカンのMBCが低いことによって示されるように、他の抗菌活性物質のいずれかを含む組成物よりも高い抗菌効果を有する。
【0106】
実施例2:界面活性剤を含むアルカリ組成物中のビスピリジニウムアルカンの抗菌効果
以下のアルカリ性組成物を調製し、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)に対するビスピリジンアルカンオクテニジン塩酸塩(東京化成(株)製)の懸濁液中の最小殺菌濃度を各組成物について評価した。接触時間は6分であった。ストレスを受けた汚れた状態を模倣するために、5%ウマ血清の存在下で試験を行った。組成物Aはいかなる界面活性剤も含まず、組成物1~19は示された界面活性剤を含む。結果を表2に示す。
【0107】
【表3】
(1)Triton CG50-Dow
(2)Genaminox OC-Clariant
(3)Genaminox K-10-Clariant
(4)Empigem OB-Huntsman
(5)Empigen OH 25-Huntsman
(6)Genaminox CHE-Clariant
(7)Ecosurf EH6-Dow
(8)Lutensol XL 50-BASF
(9)Lutensol XL 89-BASF
(10)Lutensol ON 50-BASF
(11)Lutensol ON 70-BASF
(12)Empigen BB-Huntsman
(13)Sigma-Aldrich
(14)Mackam SB 50-Solvay Novacare
(15)Empigen OS/A-Huntsman
(16)Tergitol 15-S-40
(17)Texapon EHS-BASF
【0108】
製法1~19は全て、示された界面活性剤を1%モノエタノールアミン(MEA)+3%トリエタノールアミン(TEA)pH11.69の溶液に添加し、脱イオン水を添加して所望の0.5%MEA、1.5%TEA及び1%又は0.5%界面活性剤濃度にすることによって調製される。
【0109】
非常に低い最小殺菌濃度値から分かるように、ビスピリジニウムオクテニジン塩酸塩は、界面活性剤の存在下で、アルキルエトキシサルフェート及びアルキルベンゼンスルホネートのような、抗菌活性物質との相性が非常に悪い可能性があるアニオン性界面活性剤の存在下でさえ、非常に良好な抗菌効力を示す。
【0110】
実施例3:他の抗菌活性物質に対するビスピリジニウムアルカンを含むアルカリ性組成物の表面消毒効果
以下の組成物を調製し、EN13697表面消毒法に従って、本組成物と細菌との間の5分間の接触時間で黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(S.aureus-ATCC#6538)に対するそれらの表面消毒効果を測定した。組成物B、C及びDは、非ビスピリジニウムアルカン抗菌活性物質を含む比較組成物であり、組成物20~23は、抗菌活性物質としてオクテニジン塩酸塩を含む本発明の組成物である。
【0111】
表3は、他の抗菌活性物質に対するビスピリジニウムアルカンを含む組成物によって達成される黄色ブドウ球菌(S.aureus)対数減少を示す。
【0112】
【表4】
非ビスピリジニウムアルカン抗菌活性物質を含む比較配合
(1)ジエチレントリアミン五酢酸
(2)ブチルジグリコールエーテル-Dow
(3)Triton CG50-Dow
(4)Genaminox K-10-Clariant
(5)Empigem OB-Huntsman
(6)Ecosurf EH6-Dow
(7)Lonzabac 12.30 Lonza
(8)BTC2125 Stepan
(9)オクテニジン二塩酸塩-東京化成
【0113】
オクテニジン塩酸塩を含む組成物20~23の抗菌効果は、比較抗菌活性物質、すなわち、クロルヘキシジン、N-(3-アミノプロピル)-N-ドデシルプロパン-1,3-ジアミン(Lonzabac 12.30-Lonza)、又はn-アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリド/n-アルキルジメチルエチルベンジルアンモニウムクロリド(BTC2125-Stepan)を含む比較組成物B、C、及びDの抗菌効果よりもはるかに高いことが分かる。特に、組成物22及び23は、非常に低濃度のオクテニジン塩酸塩を含み、5分で黄色ブドウ球菌(S.aureus)に対して4log超の減少を示し、オクテニジン塩酸塩を他の一般的に使用される抗菌活性物質よりもはるかに低い濃度で使用して、非常に強力な抗菌効果を有するアルカリ性組成物を製造できることを示している。
【0114】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、そのような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。