(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】位置対応感情評価装置及び位置対応感情評価システム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20240416BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20240416BHJP
G16Y 10/40 20200101ALI20240416BHJP
G16Y 20/20 20200101ALI20240416BHJP
G16Y 40/20 20200101ALI20240416BHJP
【FI】
G08G1/16 F
G08G1/00 A
G16Y10/40
G16Y20/20
G16Y40/20
(21)【出願番号】P 2022506857
(86)(22)【出願日】2021-03-12
(86)【国際出願番号】 JP2021010192
(87)【国際公開番号】W WO2021182628
(87)【国際公開日】2021-09-16
【審査請求日】2022-09-08
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2020/011253
(32)【優先日】2020-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142022
【氏名又は名称】鈴木 一晃
(74)【代理人】
【識別番号】100085213
【氏名又は名称】鳥居 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100196623
【氏名又は名称】松下 計介
(72)【発明者】
【氏名】鮫島 暁
(72)【発明者】
【氏名】井上 真一
【審査官】佐々木 佳祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-169706(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
G16Y 10/40
G16Y 20/20
G16Y 40/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも対象者の心拍に関する生体情報と前記生体情報が測定された位置に関する位置情報とを記憶する記憶部と、
前記生体情報と前記位置情報とを取得して記憶部に記憶し、前記生体情報基づいて感情に関する感情情報を生成する
分類器を有し、前記
分類器に基づいて前記生体情報基づいて前記感情情報を生成し、前記位置情報と前記感情情報とを出力する制御部と、
を有する位置対応感情評価装置であって、
前記制御部は、
前記生体情報を用いて前記対象者の心身状態に関する心身状態情報及び前記感情情報の両方を生成し、
前
記位置情報と、前
記感情情報とが関連付けられた位置対応感情関連情報を生成し
、
前記位置対応感情関連情報
に基づいた、前記位置情報が関連付けられた感情情報
と、前記位置対応感情関連情報に基づいた、前記感情情報が関連付けられた位置情報
と、前記位置情報が関連付けられた心身状態情報と、前記心身状態情報が関連付けられた位置情報とのうち少なくとも一つを出力する、位置対応感情評価装置。
【請求項2】
請求項1に記載の位置対応感情評価装置において、
前記感情は、複数種類の感情を含み、
前記感情情報は、前記複数種類の感情から選択された感情に関する感情情報
であり、
前記心身状態は、複数種類の心身状態を含み、
前記心身状態情報は、前記複数種類の心身状態から選択された心身状態に関する心身状態情報である位置対応感情評価装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の位置対応感情評価装置において、
前記感情情報は、感情の度合いに関する情報を含
み、
前記心身状態情報は、心身状態の度合いに関する情報を含む、
位置対応感情評価装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の位置対応感情評価装置において、
前記制御部は、
前記位置情報と前記位置情報を取得した時刻に基づいて、前記対象者の移動速度を算出し、
算出した前記移動速度に基づいて
、移動手段を判定し、
前記移動手段に基づいて、分類器を選択し、前記分類器に基づいて、位置対応感情関連情報を生成し
、
前記位置対応感情関連情報
に基づいた、前記位置情報が関連付けられた感情情報
と、前記位置対応感情関連情報に基づいた、前記感情情報が関連付けられた位置情報
と、前記位置情報が関連付けられた心身状態情報と、前記心身状態情報が関連付けられた位置情報と、のうち少なくとも一つを出力する位置対応感情評価装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一つに記載の位置対応感情評価装置において、
前記制御部は、
前記位置情報を取得した時刻に基づいて位置対応感情関連情報を生成し
、
前記位置対応感情関連情報
に基づいた、前記位置情報が関連付けられた感情情報
と、前記位置対応感情関連情報に基づいた、前記感情情報が関連付けられた位置情報
と、前記位置情報が関連付けられた心身状態情報と、前記心身状態情報が関連付けられた位置情報と、のうち少なくとも一つを出力する位置対応感情評価装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の位置対応感情評価装置において、
前記制御部は、
前記位置情報に基づいて気象情報を取得し、
前記気象情報に基づいて
、分類器を選択し、
前記分類器に基づいて、位置対応感情関連情報を生成し
、
前記位置対応感情関連情報
に基づいた、前記位置情報が関連付けられた感情情報
と、前記位置対応感情関連情報に基づいた、前記感情情報が関連付けられた位置情報
と、前記位置情報が関連付けられた心身状態情報と、前記心身状態情報が関連付けられた位置情報と、のうち少なくとも一つを出力する位置対応感情評価装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一つに記載の位置対応感情評価装置において
前記制御部は、
前記感情情報を数値、記号、図形及び色の少なくとも一つに変換した感情ラベル
及び前記心身状態情報を数値、記号及び色の少なくとも1つに変換した心身状態ラベルのうち少なくとも一つを出力する位置対応感情評価装置。
【請求項8】
複数の対象者から取得した少なくとも前記対象者の心拍に関する生体情報と前記生体情報が測定された位置に関する位置情報とを記憶する記憶部と、
前記複数の生体情報と前記位置情報とを取得して記憶部に記憶し、前記生体情報から感情に関する感情情報を生成する
分類器を有し、前記
分類器に基づいて前記生体情報から前記感情情報を生成し、前記位置情報と前記感情情報とを出力する制御部とを有する位置対応感情評価システムであって、
前記制御部は、
前記生体情報を用いて前記複数の対象者の心身状態に関する心身状態情報及び前記感情情報の両方を生成し、
前
記位置情報と、前
記感情情報とが関連付けられた複数の位置対応感情関連情報を生成し
、
前記位置対応感情関連情報
に基づいた、前記位置情報が関連付けられた感情情報
と、前記位置対応感情関連情報に基づいた、前記感情情報が関連付けられた位置情報
と、前記位置情報が関連付けられた心身状態情報と、前記心身状態情報が関連付けられた位置情報と、のうち少なくとも一つを出力する、
位置対応感情評価システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置対応感情評価装置及び位置対応感情評価システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ナビゲーション装置の普及に伴い、道路情報、事故情報、店舗情報等の様々な情報を地図情報上に表示する技術が提案されている。また、対象者の心理状態に影響を与える可能性のある外的事象を受けた際の前記対象者の生体情報から、前記対象者の身体状態及び心理状態を推定する技術が提案されている。
【0003】
特許文献1に開示されている危険度合い判定装置では、移動情報取得部によって位置、速度等の車両の移動に関する移動情報を取得するとともに、生体情報取得部によって車両の搭乗者の心拍等の生体情報を取得する。前記危険度合い判定装置は、前記取得した移動情報と前記生体情報とから、前記生体情報が大きく変化した区間を危険度が高い区間と判定する。
【0004】
特許文献2に開示されている感情推定装置では、感情入力デバイスから被験者自身が現在の感情を表す情報入力を行うとともに、ウェアラブル端末等に内蔵される計測デバイスによって感情と相関を持つ活動状態を表す生体情報等を計測する。前記感情推定装置は、入力された感情を表す情報を教師データとし、計測した生体情報等の特徴量を変数として重回帰分析により感情を推定する回帰式を生成する。前記感情推定装置は、前記生成した回帰式を用いて前記計測した生体情報から被験者の感情の変化を推定する。
【0005】
特許文献3に開示されている車両運転支援システムでは、複数の運転者の運転データに基づいて複数の運転者に適用するための一般ドライバモデルを学習し更新する人工知能を有する。前記人工知能は、前記運転者の心拍データを含む運転者状態データに基づいて前記運転者の感情状態を分析する。前記人工知能は、分析された感情状態と、車速、前後加速度、横加速度等を含む車両状態との間の関連性を分析する。更に前記人工知能は、前記感情状態を生じさせる新たな車両状態を分析する。前記感情状態を生じさせる前記新たな車両状態が検出された場合、前記新たな車両状態に基づく新たな関連性モデルが生成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2018-181386号公報
【文献】特開2018-102617号公報
【文献】特開2018-169706号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示されている危険度合い判定装置は、危険度の高い場所に関する情報を搭乗者に伝達することにより事故及びトラブルの発生を抑制することができる。
【0008】
特許文献2に開示されている感情推定装置は、被験者の生体情報等と回帰式とに基づいて、その時の前記被験者の感情変化をリアルタイムで推定する。これにより、前記感情推定装置は、前記被験者の周りの環境条件等の外的事象を監視することなく前記被験者の感情変化を推定できる。また、特許文献2に開示されている感情推定装置は、前記外的事象を監視するための構成を必要としないので、ハードウェアの負担を増大させることなく広範囲の用途に適用することができる。
【0009】
前記感情推定装置は、前記被験者に感情が生じたと推定した際の前記外的事象を監視していない。従って、前記感情推定装置では、ユーザは、前記被験者の感情がどのような前記外的事象の影響を受けて生じているかを把握できない。前記被験者に生じる感情は、前記外的事象と密接に関係している。よって、ユーザは、前記感情推定装置が出力する感情に関する情報が利用目的に適した情報であるかどうかを判断できない。つまり、ユーザは、前記感情推定装置が出力する感情に関する情報を有効に活用できていない可能性があった。一方、前記被験者の感情に影響を与える外的事象を監視しつつ、前記被験者の感情を推定することは、ハードウェアの処理負荷の増大を招く。
【0010】
特許文献3に開示されている車両運転支援システムは、運転者の運転特性に最適な車両制御処理を提供するために、前記運転者の心拍データ、位置情報等を取得し、分析している。また、前記車両運転支援システムは、心拍データ等から感情状態を分析している。前記車両運転支援システムは、例えば前記運転者が感じている楽しさが低いと推定した場合、現在位置から所定距離範囲内において、前記運転者が楽しさを感じる場所として登録されている場所を推薦する。このように、前記車両運転支援システムは、前記運転者の感情状態に基づいて車両制御処理及びナビゲーションを行う。しかしながら、前記車両運転支援システムは、前記運転者の感情状態と前記運転者の位置とを関連付ける記載はない。そこで、感情と位置とを関連付けて、感情に関する情報を有効活用することが望まれている。一方、感情に関する情報を処理するハードウェアは、感情に関する情報だけでなく様々な情報を同時並行で処理する能力が求められている。そのため、ハードウェアの処理負荷の増大を抑制しつつ、感情に関する情報を有効に活用することができる構成が望まれていた。
【0011】
本発明は、ハードウェアの処理負荷の増大を抑制しつつ、感情に関する情報を有効に活用することができる位置対応感情評価装置及び位置対応感情評価システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者は、ハードウェアの処理負荷の増大を抑制しつつ、感情に関する情報を有効に活用することができる装置の構成について検討した。鋭意検討の結果、本発明者は、以下のような感情に関する情報を用いた位置対応感情評価装置の構成に想到した。
【0013】
本発明の一実施形態に係る位置対応感情評価装置は、少なくとも対象者の心拍に関する生体情報と前記生体情報が測定された位置に関する位置情報とを記憶する記憶部と、前記生体情報と前記位置情報とを取得して記憶部に記憶し、前記生体情報から感情に関する感情情報を生成する基準を有し、前記基準に基づいて前記生体情報から前記感情情報を生成し、前記位置情報と前記感情情報とを出力する制御部とを有する位置対応感情評価装置である。前記制御部は、前記生体情報が測定された位置に関する位置情報と、前記位置で測定された前記生体情報を用いて生成した前記対象者の感情に関する感情情報とが関連付けられた位置対応感情関連情報を生成し、前記生成された前記位置対応感情関連情報から前記位置情報が関連付けられた感情情報または前記感情情報が関連付けられた位置情報を出力する。
【0014】
上述の構成では、位置対応感情評価装置は、記憶部によって少なくとも対象者の心拍に関する生体情報と前記生体情報が測定された位置に関する位置情報とを記憶する。前記位置対応感情評価装置は、制御部によって少なくとも前記対象者の心拍に関する生体情報から前記対象者の感情に関する感情情報を生成する。前記位置対応感情評価装置は、前記制御部によって少なくとも前記対象者の心拍に関する生体情報を取得した場所に関する位置情報を取得する。さらに、前記位置対応感情評価装置は、前記制御部によって前記位置情報と前記感情情報とを関連付けた位置対応感情関連情報を生成する。このように、前記位置対応感情評価装置は、外的事象を含まない少なくとも前記対象者の心拍に関する生体情報から前記感情情報を生成することでハードウェアの処理負荷を低減することができる。
【0015】
また、前記位置対応感情評価装置は、前記生成された前記位置対応感情関連情報から前記位置情報が関連付けられた感情情報または前記感情情報が関連付けられた位置情報を出力する。このように、前記位置対応感情評価装置は、既存の技術及び設備を利用することにより容易に取得できる前記位置情報と前記感情情報とを関連付けることにより、前記位置情報を感情に関する指標により評価することができる。つまり、前記位置対応感情評価装置は、単に対象者が位置する場所を示す位置情報を、前記対象者にとってどのような場所なのかを示す付加価値を持った情報に変換することができる。また、前記位置対応感情評価装置は、前記感情情報に前記位置情報を付加することで前記感情情報の活用度を向上させることができる。つまり、前記位置対応感情評価装置は、単に対象者の感情を示す感情情報を、前記対象者にとってどのような外的事象によって生じた感情なのかを示す付加価値を持った情報に変換することができる。これにより、前記位置対応感情評価装置は、ハードウェアの処理負荷の増大を抑制しつつ、感情に関する情報を有効に活用することができる。
【0016】
他の観点によれば、本発明の前記位置対応感情評価装置は、以下の構成を含むことが好ましい。前記感情は、複数種類の感情を含み、前記感情情報は、前記複数種類の感情から選択された感情に関する感情情報である。
【0017】
上述のように、前記位置対応感情評価装置の制御部は、少なくとも前記対象者の心拍に関する生体情報に基づいて、複数種類の感情から選択された感情に関する感情情報を生成する。前記位置対応感情評価装置は、複数の前記感情から一つの感情を選択することにより対象者の感情の変化に柔軟に対応することができる。これにより、前記位置対応感情評価装置は、ハードウェアの処理負荷の増大を抑制しつつ、感情に関する情報を有効に活用することができる。
【0018】
他の観点によれば、本発明の前記位置対応感情評価装置は、以下の構成を含むことが好ましい。前記感情情報は、感情の度合いに関する情報を含む。
【0019】
上述のように、前記位置対応感情評価装置は、前記制御部によって少なくとも前記対象者の心拍に関する生体情報から感情の度合いを含んだ感情情報を生成する。前記位置対応感情評価装置は、感情の度合いを選択することにより前記対象者の感情の変化に柔軟に対応することができる。これにより、前記位置対応感情評価装置は、ハードウェアの処理負荷の増大を抑制しつつ、感情に関する情報を有効に活用することができる。
【0020】
本発明の一実施形態に係る位置対応感情評価装置は、以下の構成を含むことが好ましい。前記制御部は、前記位置情報と前記位置情報を取得した時刻に基づいて、前記対象者の移動速度を算出する。前記制御部は、算出した前記移動速度に基づいて前記位置対応感情関連情報を生成する。前記制御部は、前記移動速度に基づいて前記生成された前記位置対応感情関連情報から前記位置情報が関連付けられた感情情報または前記感情情報が関連付けられた位置情報を出力する。
【0021】
上述のように、前記位置対応感情評価装置は、取得した前記位置情報に含まれる位置と時刻とを指標として移動速度毎に区分した感情情報を生成する。つまり、前記位置対応感情評価装置は、前記対象者の感情に影響を与える外的事象である移動手段に応じた指標により前記感情情報を生成する。前記位置対応感情評価装置は、移動手段の違いを考慮した感情情報によって前記位置情報を評価することができる。これにより、前記位置対応感情評価装置は、ハードウェアに処理負荷をかけることなく、移動速度(移動手段)による感情への影響を考慮して感情に関する情報を有効に活用することができる。
【0022】
本発明の一実施形態に係る位置対応感情評価装置は、以下の構成を含むことが好ましい。前記制御部は、前記位置情報を取得した時刻に基づいて前記位置対応感情関連情報を生成する。前記制御部は、前記時刻に基づいて前記生成された前記位置対応感情関連情報から前記位置情報が関連付けられた感情情報または前記感情情報が関連付けられた位置情報を出力する。
【0023】
前記位置対応感情評価装置は、取得した前記位置情報に含まれる時刻を指標として季節毎、時間帯毎等、任意の時間間隔により区分した前記感情情報を生成する。つまり、前記位置対応感情評価装置は、前記対象者の感情に影響を与える外的事象である時刻毎の周辺環境の変化に応じた指標により前記感情情報を生成する。前記位置対応感情評価装置は、季節、時間帯等の違いを考慮した感情情報によって前記位置情報を評価することができる。これにより、前記位置対応感情評価装置は、ハードウェアに処理負荷をかけることなく、季節、時間帯による感情への影響を考慮して感情に関する情報を有効に活用することができる。
【0024】
本発明の一実施形態に係る位置対応感情評価装置は、以下の構成を含むことが好ましい。前記制御部は、前記位置情報に基づいて気象情報を取得する。前記制御部は、前記気象情報に基づいて前記位置対応感情関連情報を生成する。前記制御部は、前記気象情報に基づいて前記生成された前記位置対応感情関連情報から前記位置情報が関連付けられた感情情報または前記感情情報が関連付けられた位置情報を出力する。
【0025】
上述のように、前記位置対応感情評価装置は、取得した前記位置情報に基づいて対応する位置における気象情報を取得する。更に前記位置対応感情評価装置は、気象情報を指標として前記感情情報を生成する。つまり、前記位置対応感情評価装置は、前記対象者の感情に影響を与える外的事象である気象情報を指標として前記位置対応感情情報を生成する。前記位置対応感情評価装置は、気象条件の違いを考慮した感情を指標として前記位置情報を評価することができる。これにより、前記位置対応感情評価装置は、ハードウェアに処理負荷をかけることなく、気象条件による感情への影響を考慮して感情に関する情報を有効に活用することができる。
【0026】
本発明の一実施形態に係る位置対応感情評価装置は、以下の構成を含むことが好ましい。前記制御部は、前記感情情報を数値、記号、図形及び色の少なくとも一つに変換した感情ラベルとして出力する。
【0027】
上述のように、前記感情情報を視覚的に認識し易い数値、記号、図形及び色の少なくとも一つに変換して出力情報を生成することにより、容易且つ視認し易い態様により前記感情情報を地図上に表示したり、グラフ、図表により表示したりすることができる。これにより、前記位置対応感情評価装置は、ハードウェアの処理負荷の増大を抑制しつつ、感情に関する情報を有効に活用することができる。
【0028】
本発明の一実施形態に係る位置対応感情評価システムは、複数の対象者から取得した少なくとも前記対象者の心拍に関する生体情報と前記生体情報が測定された位置に関する位置情報とを記憶する記憶部と、前記複数の生体情報と前記位置情報とを取得して記憶部に記憶し、前記生体情報から感情に関する感情情報を生成する基準を有し、前記基準に基づいて前記生体情報から前記感情情報を生成し、前記位置情報と前記感情情報とを出力する制御部とを有する。前記制御部は、前記生体情報が測定された位置に関する位置情報と、前記位置で測定された前記生体情報を用いて生成された前記複数の対象者の感情に関する感情情報とが関連付けられた複数の位置対応感情関連情報を生成する。更に、前記制御部は、前記生成された複数の前記位置対応感情関連情報から、前記位置情報が関連付けられた感情情報または前記感情情報が関連付けられた位置情報を出力する。
【0029】
上述の構成では、前記位置対応感情評価システムは、記憶部によって複数の対象者の少なくとも対象者の心拍に関する生体情報と前記生体情報が測定された位置に関する位置情報とを記憶する。位置対応感情評価システムは、記憶した前記複数の対象者の感情に関する前記感情情報及び前記複数の対象者の前記生体情報が測定された位置に関する前記位置情報から複数の位置対応感情関連情報を生成する。前記位置対応感情評価システムは、複数の位置対応感情関連情報を記憶部によって記憶する。つまり、前記位置対応感情評価システムは、前記位置対応感情関連情報の集合体(ビッグデータ)を有する。前記位置対応感情評価システムは、前記位置対応感情関連情報の集合体から前記位置情報が関連付けられた感情情報または前記感情情報が関連付けられた位置情報を生成する。よって、前記位置対応感情評価システムは、前記感情情報から個人の性格、趣向など個人の個性による影響を排除した指標により前記位置情報を評価することができる。これにより、前記位置対応感情評価システムは、ハードウェアの処理負荷の増大を抑制しつつ、感情に関する情報を有効に活用することができる。
【0030】
本明細書で使用される専門用語は、特定の実施例のみを定義する目的で使用されるのであって、前記専門用語によって発明を制限する意図はない。
【0031】
本明細書で使用される「及び/または」は、一つまたは複数の関連して列挙された構成物のすべての組み合わせを含む。
【0032】
本明細書において、「含む、備える(including)」「含む、備える(comprising)」または「有する(having)」及びそれらの変形の使用は、記載された特徴、工程、要素、成分、及び/または、それらの等価物の存在を特定するが、ステップ、動作、要素、コンポーネント、及び/または、それらのグループのうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0033】
本明細書において、「取り付けられた」、「接続された」、「結合された」、及び/または、それらの等価物は、広義の意味で使用され、“直接的及び間接的な”取り付け、接続及び結合の両方を包含する。さらに、「接続された」及び「結合された」は、物理的または機械的な接続または結合に限定されず、直接的または間接的な接続または結合を含むことができる。
【0034】
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。
【0035】
一般的に使用される辞書に定義された用語は、関連する技術及び本開示の文脈における意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本明細書で明示的に定義されていない限り、理想的または過度に形式的な意味で解釈されることはない。
【0036】
本発明の説明においては、いくつもの技術及び工程が開示されていると理解される。これらの各々は、個別の利益を有し、他に開示された技術の1つ以上、または、場合によっては全てと共に使用することもできる。
【0037】
したがって、明確にするために、本発明の説明では、不要に個々のステップの可能な組み合わせをすべて繰り返すことを控える。しかしながら、本明細書及び特許請求の範囲は、そのような組み合わせがすべて本発明の範囲内であることを理解して読まれるべきである。
【0038】
本明細書では、本発明に係る位置対応感情評価装置の実施形態について説明する。
【0039】
以下の説明では、本発明の完全な理解を提供するために多数の具体的な例を述べる。しかしながら、当業者は、これらの具体的な例がなくても本発明を実施できることが明らかである。
【0040】
よって、以下の開示は、本発明の例示として考慮されるべきであり、本発明を以下の図面または説明によって示される特定の実施形態に限定することを意図するものではない。
【0041】
[対象者]
本明細書において、対象者とは、位置対応感情評価装置によって少なくとも心拍に関する生体情報と場所に関する位置情報を取得される対象となる者である。位置対応感情評価装置は、少なくとも対象者の心拍に関する生体情報を取得する。また、位置対応感情評価装置は、少なくとも対象者が心拍に関する生体情報を取得された場所に関する位置情報を取得する。
【0042】
[対象者に関する情報]
本明細書において対象者に関する情報とは、対象者の性別、年齢、身長、体重等の身体的特徴、性格、趣味、嗜好等の対象者に関する情報を含む。対象者に関する情報は、対象者自身が予め位置対応感情評価装置に入力する。対象者に関する情報には、対象者を特定する氏名、住所等の個人情報を含まない。
【0043】
[外的事象]
本明細書において、外的事象とは、対象者が置かれている周辺の環境、被験者が行っている作業等、外部から対象者に情報及び刺激等を与える事象を含む。外的事象は、例えば、対象者がリーン車両により移動している状態、対象者が徒歩により移動している状態、対象者が動物の写真を見ている状態等である。
【0044】
[被験者]
本明細書において、被験者とは、感情情報を生成する分類器の教師データを構成するために特定の外部事象に対する心拍に関する生体情報と自己申告による感情に関する感情情報とを教師データベースに取得される対象となる者である。分類器は、複数の被験者から取得した心拍に関する生体情報と自己申告による感情に関する感情情報とから、対象者の感情を分類する分類器として生成される。
【0045】
[生体情報]
本明細書において、生体情報とは、対象者(生体)が発する種々の生理学的・解剖学的情報である。生体情報は、対象者の生体を調節するために生体に入力される情報、生体から出力される情報を含む。生体情報は、例えば対象者の心拍数、心音、心拍波形、心拍周期、心拍数の変化、血圧、高周波変動成分(HF)、低周波変動成分(LF)、3軸加速度、体表面温度、脳波、呼吸数、瞳孔の状態、筋電、血液成分、呼気量、呼気成分等に関する情報を含む。生体情報は、対象者が装着するアンダーウェア等に設けられた制御部によって制御される心拍センサ、加速度センサ、温度センサ等によって計測される。
【0046】
[対象者の心拍に関する生体情報]
本明細書において、対象者の心拍に関する生体情報とは、生体情報のうち対象者の心拍数、心拍波形、心拍周期、心拍数の変化、血圧、高周波変動成分(HF)及び低周波変動成分(LF)等を含む情報を含む。心拍に関する生体情報は、対象者が装着するアンダーウェア等に設けられた生体情報取得部である心拍センサによって計測される。
【0047】
[対象者の位置する場所に関する位置情報]
本明細書において、対象者の位置する場所に関する位置情報とは、対象者が位置する場所の、緯度、経度、標高、測定時刻、環境、天候等に関する情報を含む。場所に関する位置情報は、対象者が保持している携帯端末等に設けられている制御部によって制御される全球測位衛星システム(Global Navigation Satellite System)用受信機、ビーコン(Beacon)、ジャイロセンサ及び方位センサ等によって算出される。
【0048】
[対象者の感情に関する感情情報]
本明細書において、対象者の感情に関する感情情報とは、対象者の喜怒哀楽などの感情に関する情報を含む。対象者の感情に関する感情情報は、対象者が幸福を感じている状態、対象者がリラックスしている状態、対象者が怒りを感じている状態及び対象者が悲しみを感じている状態を含む。対象者の感情に関する感情情報は、例えば、対象者が保持している携帯端末、または心拍に関する生体情報を取得したサーバ等に設けられている制御部によって生成される。
【0049】
[対象者の心身状態に関する心身状態情報]
本明細書において、対象者の心身状態に関する心身状態情報とは、対象者の感情により身体に生じている影響に関する情報を含む。対象者の心身状態に関する心身状態情報は、対象者が高揚している状態、対象者がリラックスしている状態、対象者が緊張している状態及び対象者が眠気を感じている状態などを含む。対象者の心身状態に関する心身状態情報は、例えば、対象者が保持している携帯端末、または心拍に関する生体情報を取得したサーバ等に設けられている制御部によって生成される。
【0050】
[度合い]
本明細書において、度合いとは、感情の強さの段階的な表現である。例えば、快適性の度合いは、快適性に関する感情が支配的であり、且つ快適性に関する感情が最も強く現れている標準感情から、快適性に関する感情が支配的であり、且つ快適性に関する感情が最も弱い(不快ではないが快適と感じていない)標準感情までの間で、快適性に関する標準感情を段階的に割り当てることにより得られる。
【発明の効果】
【0051】
本発明の一実施形態によれば、ハードウェアの処理負荷の増大を抑制しつつ、感情に関する情報を有効に活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【
図1】本発明の実施形態1に係る位置対応感情評価装置の全体構成を表す模式図を示す。
【
図2】本発明の実施形態1に係る位置対応感情評価装置による
位置対応感情関連情
報及び位置対応心身状態関連情報の表示態様を表す模式図を示す。
【
図3】本発明の実施形態1に係る位置対応感情評価装置における感情情報の分類指標を表すグラフを示す。
【
図4】本発明の実施形態1に係る位置対応感情評価装置における心身状態情報の分類指標を表すグラフを示す。
【
図5】本発明の実施形態1に係る位置対応感情評価装置の制御を表す制御フロー図を示す。
【
図6】本発明の実施形態2に係る位置対応感情評価装置の全体構成を表す模式図を示す。
【
図7】本発明の実施形態2に係る位置対応感情評価装置を対象者が装着した構成を表す模式図を示す。
【
図8】本発明の実施形態2に係る位置対応感情評価装置の感情情報及び
心身状態情報による
位置対応感情関連情報及び位置対応心身状態関連情報の表示状態を表す模式図を示す。
【
図9】本発明の実施形態3に係る位置対応感情評価システムの全体構成を表す模式図を示す。
【
図10】本発明の実施形態4に係る位置対応感情評価装置の全体構成を表す模式図を示す。
【
図11】本発明の実施形態4に係る位置対応感情評価装置の制御を表す制御フロー図を示す。
【
図12】本発明の他の実施形態に係る位置対応感情評価装置の全体構成を表す模式図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0053】
以下で、各実施形態について、図面を参照しながら説明する。各図において、同一部分には同一の符号を付して、その同一部分の説明は繰り返さない。なお、各図中の構成部材の寸法は、実際の構成部材の寸法及び各構成部材の寸法比率等を忠実に表したものではない。
【0054】
[実施形態1]
<位置対応感情評価装置の全体構成>
図1を用いて本発明の実施形態1に係る位置対応感情評価装置1について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る位置対応感情評価装置1の全体構成を表す模式図である。
図2は、本発明の実施形態1に係る位置対応感情評価装置1による位置対応感情関連情報Vi1及び位置対応心身状態関連情報Vi2の表示態様を表す模式図である。
図3は、本発明の実施形態1に係る位置対応感情評価装置1における感情情報Eiの分類指標を表すグラフである。
図4は、本発明の実施形態1に係る位置対応感情評価装置1における心身状態情報MBiの分類指標を表すグラフである。
【0055】
図1に示すように、本発明の実施形態1に係る位置対応感情評価装置1は、対象者の感情に関する感情情報Eiに基づいて対象者の位置する場所に関する位置情報Piを評価する装置である。位置対応感情評価装置1は、少なくとも対象者の心拍に関する生体情報Biから感情に関する感情情報Eiと心身状態に関する心身状態情報MBiを生成する。位置対応感情評価装置1は、位置情報Piと生成した感情情報Eiとから、位置情報Piが関連付けられた感情情報Eiまたは感情情報Eiが関連付けられた位置情報Piを含む位置対応感情関連情報Vi1を生成する。更に、位置対応感情評価装置1は、位置情報Piと生成した心身状態情報MBiとから、位置情報Piが関連付けられた心身状態情報MBiまたは心身状態情報MBiが関連付けられた位置情報Piを含む位置対応心身状態関連情報Vi2を生成する。
【0056】
位置対応感情評価装置1は、生体情報取得部2、位置情報取得部3、感情情報生成部4、位置評価部5、出力部6及び記憶部7を備える。
【0057】
生体情報取得部2は、対象者の生体情報Biを測定し、測定した生体情報Biを取得する。また。生体情報取得部2は、取得した生体情報Biを記憶部7に記憶する。生体情報取得部2は、生体情報Biを取得する各種センサを有する。生体情報取得部2は、対象者の体表面温度、三軸加速度、心拍に関する生体情報である心拍数、心拍波形、心拍周期、心拍数の変化、血圧、高周波変動成分(HF)、低周波変動成分(LF)及び取得した時刻等を含む生体情報Biを単位時間毎に測定する。生体情報取得部2は、例えば、温度センサ、加速度センサ、心拍センサを含む。
【0058】
位置情報取得部3は、対象者が位置する場所に関する位置情報Pi(以下、単に「位置情報Pi」と記す)を取得する。また、位置情報取得部3は、取得した位置情報Piを記憶部7に記憶する。位置情報取得部3は、例えば、位置情報Piを取得するGNSS受信機を有する。GNSS受信機は、全球測位衛星システム(Global Navigation Satellite System)を構成する受信機である。GNSS受信機は、衛星から測距電波を受信し、GNSS受信機の絶対座標である緯度、経度、標高を算出する。位置情報取得部3は、対象者が位置する場所の緯度、経度、標高、方位及び取得した時刻等を含む位置情報Piを単位時間毎に取得する。
【0059】
感情情報生成部4は、対象者の生体情報Biから対象者の感情に関する感情情報Ei(以下、単に「感情情報Ei」と記す)と対象者の心身状態に関する心身状態情報MBi(以下、単に「心身状態情報MBi」と記す)を生成する制御部の一部である。感情情報生成部4は、予め対象者の性別、年齢、身体的特徴等の対象者に関する情報を有している。また、感情情報生成部4は、少なくとも対象者の心拍に関する生体情報Biから感情に関する感情情報Eiと心身状態に関する心身状態情報MBiを生成する基準である分類器Cを少なくとも一つ有している。本実施例において、感情情報生成部4は、タイプの異なる複数の分類器Cを有している。
【0060】
感情情報生成部4は、生体情報取得部2から少なくとも対象者の心拍に関する生体情報Biを取得する。感情情報生成部4は、対象者に関する情報に基づいてまたは対象者の選択により、使用する分類器Cを決定する。また、感情情報生成部4は、位置情報取得部3が取得した位置情報Piに含まれる時刻から、対象者の移動手段(例えば、バイク、自転車、徒歩等)を判定することができる。感情情報生成部4は、移動手段に応じた分類器Cを決定する。また、感情情報生成部4は、生体情報取得部2が取得した対象者の3軸加速度から対象者がリーン車両に乗車しているか否かを判定することができる。感情情報生成部4は、車両のタイプに応じた分類器Cを決定する。
【0061】
感情情報生成部4は、決定した分類器Cによって、対象者の心拍に関する生体情報BiからR-Rインターバル、LF/HF比、周波数成分等のうち少なくとも一つのパラメータ値から構成される評価データDを算出する。分類器Cは、算出した評価データDの分類を行う。分類器Cは、単位時間毎に算出した各評価データDをサポートベクターマシン(SVM)等のパターン認識モデルにより分類する。分類器Cは、パターン認識モデルによって分類された評価データDに感情情報Ei及び心身状態情報MBiを割り当てる。
【0062】
位置評価部5は、位置情報Piと感情情報Eiとを関連付けた位置対応感情関連情報Vi1、及び位置情報Piと心身状態情報MBiとが関連付けられた位置対応心身状態関連情報Vi2を生成する制御部の一部である。位置評価部5は、地図情報Mを有している。位置評価部5は、位置情報取得部3から位置情報Piを取得する。さらに、位置評価部5は、感情情報生成部4から感情情報Eiと心身状態情報MBiとを取得する。
【0063】
位置評価部5は、例えば時刻等をフラグにして、位置情報Piと感情情報Eiとを関連付けた単位時間毎の位置対応感情関連情報Vi1を生成する。同様に、位置評価部5は、例えば時刻等をフラグにして、位置情報Piと心身状態情報MBiとを関連付けた単位時間毎の位置対応心身状態関連情報Vi2を生成する。つまり、位置評価部5は、少なくとも対象者の心拍に関する生体情報Biから生成した感情情報Ei及び心身状態情報MBiと、対象者から生体情報Biを取得した際の位置情報Piとを取得し、対象者が位置する場所において対象者が抱いた感情と心身状態とを関連付ける。これにより、位置評価部5は、対象者が位置する場所を対象者の感情と心身状態とによって評価可能である。
【0064】
位置評価部5は、位置対応感情関連情報Vi1における位置情報Piが関連付けられた感情情報Eiまたは感情情報Eiが関連付けられた位置情報Piを出力部6に出力可能である。また、位置評価部5は、位置対応心身状態関連情報Vi2における位置情報Piが関連付けられた心身状態情報MBiまたは心身状態情報MBiが関連付けられた位置情報Piを出力部6に出力可能である。
【0065】
出力部6は、位置対応感情関連情報Vi1及び位置対応心身状態関連情報Vi2に含まれる情報を出力する制御部の一部である。出力部6は、生体情報取得部2から少なくとも対象者の心拍に関する生体情報Biを取得する。また、出力部6は、位置評価部5から位置対応感情関連情報Vi1及び位置対応心身状態関連情報Vi2を取得する。または、出力部6は、位置評価部5から位置情報Piが関連付けられた感情情報Eiまたは感情情報Eiが関連付けられた位置情報Piを取得する。更に、出力部6は、位置評価部5から位置情報Piが関連付けられた心身状態情報MBiまたは心身状態情報MBiが関連付けられた位置情報Piを取得する。出力部6は、取得した各情報を外部の表示装置、携帯端末、サーバ等の機器に出力する。また、出力部6は、各情報を表示する表示装置6aを含んでいてもよい。
【0066】
図2に示すように、出力部6は、例えば、位置情報Piに基づいて表示装置6aに地図情報Mを表示する。更に、出力部6は、位置対応感情関連情報Vi1(
図1参照)に基づいて、地図情報M上の対象者が位置する場所に感情情報Ei(
図1参照)を数値、記号、図形及び色の少なくとも一つに変換した感情ラベルELを表示する。また、出力部6は、位置対応心身状態関連情報Vi2(
図1参照)に基づいて、心身状態情報MBi(
図1参照)を数値、記号、図形及び色の少なくとも一つに変換した心身状態ラベルBLを表示する。本実施形態において、出力部6は、感情ラベルEL及び心身状態ラベルBLを円形の図形により地図情報M上に単位時間毎に重畳表示させている。
【0067】
記憶部7は、少なくとも生体情報取得部2であるウェアラブルセンサが検出した生体情報Bi、位置情報取得部3であるGNSS受信機が検出した位置情報Pi、位置対応感情関連情報Vi1及び位置対応心身状態関連情報Vi2等を記憶する。記憶部7は、生体情報Biを記憶するRAM、プロセッサ内部のメモリ、ハードディスク等を有している。記憶部7は、位置評価部5が生成した位置対応感情関連情報Vi1及び位置対応心身状態関連情報Vi2を時系列で記憶する。記憶部7は、記憶した位置対応感情関連情報Vi1における位置情報Piが関連付けられた感情情報Eiまたは感情情報Eiが関連付けられた位置情報Piを位置評価部5または出力部6に送信する。記憶部7は、位置対応心身状態関連情報Vi2における位置情報Piが関連付けられた心身状態情報MBiまたは心身状態情報MBiが関連付けられた位置情報Piを位置評価部5または出力部6に送信する。
【0068】
制御部の一部である生体情報取得部2、位置情報取得部3、感情情報生成部4、位置評価部5及び出力部6は、実体的には、CPU、ROM、RAM、HDD等がバスにより接続される構成であってもよい。また、生体情報取得部2、位置情報取得部3、感情情報生成部4及び位置評価部5は、ワンチップのLSI等からなる構成であってもよい。生体情報取得部2及び位置情報取得部3は、各情報を取得し、記憶するために種々のプログラム、データが格納されている。感情情報生成部4は、分類器を制御するために種々のプログラム、データが格納されている。また、位置評価部5は、位置情報Pi、感情情報Ei及び心身状態情報MBiを取得し、且つ関連付けるために種々のプログラム、データが格納されている。
【0069】
<分類器Cの構成>
次に
図3と
図4とを用いて、感情情報生成部4の分類器Cについて説明する。
【0070】
図3に示すように、感情情報生成部4の分類器Cは、例えば、パターン認識モデルによって感情値E(Valence)と覚醒値A(Arousal)とを指標とする評価データDの分類を行う。分類器Cは、分類した評価データDの感情値Eと覚醒値Aとを取得する。分類器Cは、感情値Eと覚醒値Aとに基づいて複数種類の感情から対象者の感情を選択した感情情報Eiを生成する。
【0071】
感情値Eは、ポジティブな感情からネガティブな感情までの度合いを表している。ポジティブな感情とは、興奮、安心、高揚、安らぎ、落ち着き、愉快等の対象者の肯定的な感情を含む。ネガティブな感情とは、緊張、動揺、憂鬱、不安、不愉快、絶望等の対象者の否定的な感情を含む。感情値Eが高い評価データD(感情値Eが+側)は、感情値Eに応じてポジティブな感情に割り当てられる。感情値Eが低い評価データD(感情値Eが-側)は、感情値Eに応じてネガティブな感情に割り当てられる。
【0072】
覚醒値Aは、感情が活性している状態から感情が不活性の状態までの度合いを表している。活性している感情とは、興奮、高揚、愉快、動揺、緊張、不愉快等の対象者の高揚した感情を含む。不活性な感情とは、安心、安らぎ、落ち着き、憂鬱、不安、絶望等の対象者の消沈している感情を含む。覚醒値Aが高い評価データD(覚醒値Aが+側)は、覚醒値Aに応じて活性している感情に割り当てられる。覚醒値Aが低い評価データD(覚醒値Aが-側)は、覚醒値Aに応じて不活性な感情に割り当てられる。
【0073】
分類器Cは、パターン認識モデルによって分類された評価データDの感情値Eと覚醒値Aとから、評価データDが示す感情を割り当てる。分類器Cは、評価データDの感情値Eがポジティブな感情の範囲(感情値Eが+側)であり、評価データDの覚醒値Aが活性している感情の範囲(覚醒値Aが+側)である場合、評価データDを興奮、高揚、愉快等の感情が含まれる幸福(Happy)の領域に割り当てる。更に分類器Cは、幸福の領域内において、感情値Eと覚醒値Aとから評価データDに具体的な感情(興奮、高揚、愉快等)を割り当てる。分類器Cは、例えば、幸福の領域内において評価データD1の感情値Eが高く(ポジティブな感情の度合いが大きく)、覚醒値Aが低い(活性している感情の度合いが小さい)場合、評価データD1に幸福の領域における複数種類の感情から愉快(Pleasant)という感情を選択する。
【0074】
分類器Cは、評価データDの感情値Eがポジティブな感情の範囲(感情値Eが+側)であり、評価データDの覚醒値Aが不活性な感情の範囲(覚醒値Aが-側)である場合、評価データDを安心、安らぎ、落ち着き等を含むリラックス(Relaxed)の領域に割り当てる。更に分類器Cは、リラックスの領域内において、感情値Eと覚醒値Aとから評価データDに具体的な感情(安心、安らぎ、落ち着き等)を割り当てる。分類器Cは、例えば、リラックスの領域内において評価データD2の感情値Eが高く(ポジティブな感情の度合いが大きく)、覚醒値Aが低い(不活性な感情の度合いが大きい)場合、評価データD2にリラックスの領域における複数種類の感情から安らぎ(Serenity)という感情を選択する。
【0075】
分類器Cは、評価データDの感情値Eがネガティブな感情の範囲(感情値Eが-側)であり、評価データDの覚醒値Aが活性している感情の範囲(覚醒値Aが+側)である場合、評価データDを緊張、動揺、不愉快等を含む怒り(Angry)の領域に割り当てる。更に分類器Cは、怒りの領域内において、感情値Eと覚醒値Aとから評価データDに具体的な感情(緊張、動揺、不愉快等)を割り当てる。分類器Cは、例えば、怒りの領域内において評価データD3の感情値Eが低く(ネガティブな感情の度合いが大きく)、覚醒値Aが低い(活性している感情の度合いが小さい)場合、評価データD3に怒りの領域における複数種類の感情から不愉快(Unpleasant)という感情を選択する。
【0076】
分類器Cは、評価データDの感情値Eがネガティブな感情の範囲(感情値Eが-側)であり、評価データDの覚醒値Aが不活性な感情の範囲(覚醒値Aが-側)である場合、評価データDを憂鬱、不安、絶望等を含む悲しみ(Sad)の領域に割り当てる。更に分類器Cは、悲しみの領域内において、感情値Eと覚醒値Aとから評価データDに具体的な感情(憂鬱、不安、絶望等)を割り当てる。分類器Cは、例えば、悲しみの領域内において評価データD4の感情値Eが低く(ネガティブな感情の度合いが大きく)、覚醒値Aが低い(不活性な感情の度合いが大きい)場合、評価データD4に悲しみの領域における複数種類の感情から絶望(Despair)という感情を選択する。
【0077】
また、
図4に示すように、分類器Cは、例えば、パターン認識モデルによって気力値W(Willpower)と覚醒値Aとを指標とする評価データDの分類を行う。分類器Cは、分類した評価データDの気力値Wと覚醒値Aとを取得する。分類器Cは、気力値Wと覚醒値Aとに基づいて複数種類の心身状態から対象者の心身状態に関する心身状態情報MBiを生成する。
【0078】
気力値Wは、心身が元気な状態から心身が疲労している状態までの度合いを表している。気力値Wが高い評価データD(気力値Wが+側)は、気力値Wに応じて興奮、リラックス等を含む心身状態に割り当てられる。気力値Wが低い評価データD(気力値Wが-側)は、気力値Wに応じて緊張、眠気等を含む心身状態に割り当てられる。
【0079】
覚醒値Aは、感情が活性している状態から感情が不活性の状態までの度合いを表している。覚醒値Aが高い評価データD(覚醒値Aが+側)は、覚醒値Aに応じて高揚、緊張等を含む心身状態に割り当てられる。覚醒値Aが低い評価データD(覚醒値Aが-側)は、覚醒値Aに応じてリラックス、眠気等を含む心身状態に割り当てられる。
【0080】
分類器Cは、評価データD5の気力値Wが元気な状態の範囲(気力値Wが+側)であり、評価データD5の覚醒値Aが活性している感情の範囲(覚醒値Aが+側)である場合、評価データD5を高揚(Exaltation)している心身状態の領域に割り当てる。
【0081】
分類器Cは、評価データD6の気力値Wが元気な状態の範囲(気力値Wが+側)であり、評価データD6の覚醒値Aが不活性な感情の範囲(覚醒値Aが-側)である場合、評価データD6をリラックス(Relaxed)している心身状態の領域に割り当てる。
【0082】
分類器Cは、評価データD7の気力値Wが疲労している状態の範囲(気力値Wが-側)であり、評価データD7の覚醒値Aが不活性な感情の範囲(覚醒値Aが-側)である場合、評価データD7を眠気(Sleepiness)が生じている心身状態の領域に割り当てる。
【0083】
分類器Cは、評価データD8の気力値Wが疲労している状態の範囲(気力値Wが-側)であり、評価データD8の覚醒値Aが活性している感情の範囲(覚醒値Aが+側)である場合、評価データD8を緊張(Tension)している心身状態の領域に割り当てる。
【0084】
このように構成される分類器Cは、サポートベクターマシン(SVM)等のパターン認識モデルによって評価データDを分類している。バターン認識モデルは、様々な外的事象の影響下における被験者の感情に関する感情情報Eiと少なくとも心拍に関する生体情報Biとを教師データとして生成される。教師データは、例えば、特定の画像を見た際の被験者の心拍に関する生体情報から算出したR-Rインターバル、LF/HF比、周波数成分等のパラメータ値から構成されるインプット情報と、特定の画像を見た被験者の自己申告による感情情報をラベル付き正解とするペアが多数含まれている。分類器Cは、教師データを用いた機械学習によって分類精度が向上する。
【0085】
また、分類器Cは、機械学習により使用する教師データの構成内容に応じて分類精度が異なる。例えば、分類器Cは、男性の被験者によるペアだけが含まれる教師データを使用した場合、男性の対象者における感情の分類精度が向上する。また、分類器Cは、30代―40代の被験者によるペアだけが含まれる教師データを使用した場合、30代―40代の対象者における感情の分類精度が向上する。このように、分類器Cは、被験者に関する情報に基づいて分類された学習データを使用することにより、タイプの異なる分類器Cになる。
【0086】
図1に示すように、感情情報生成部4は、生体情報取得部2に接続されている。感情情報生成部4は、生体情報取得部2から少なくとも対象者の心拍に関する生体情報Biを取得することができる。また、感情情報生成部4は、位置情報取得部3に接続されている。感情情報生成部4は、位置情報取得部3から対象者の位置する場所に関する位置情報Piを取得することができる。
【0087】
感情情報生成部4は、位置評価部5に接続されている。感情情報生成部4は、位置評価部5に対象者の感情に関する感情情報Eiと対象者の心身状態に関する心身状態情報MB
iとを送信することができる。
【0088】
感情情報生成部4は、出力部6に接続されている。感情情報生成部4は、出力部6に対象者の心拍に関する生体情報Bi、位置情報Pi、感情情報Ei及び心身状態情報MBiのうち少なくとも一つの情報を出力部6に送信することができる。
【0089】
位置評価部5は、出力部6に接続されている。位置評価部5は、地図情報M、位置対応感情関連情報Vi1における位置情報Piが関連付けられた感情情報Eiまたは感情情報Eiが関連付けられた位置情報Pi及び位置対応心身状態関連情報Vi2における位置情報Piが関連付けられた心身状態情報MBiまたは心身状態情報MBiが関連付けられた位置情報Piを出力部6に送信することができる。
【0090】
<制御フロー>
図5を用いて、位置対応感情評価装置1の位置対応感情評価制御の制御フローについて説明する。
図5は、本発明の実施形態1に係る位置対応感情評価装置1の制御を表す制御フロー図である。なお、位置対応感情評価装置1は、位置対応感情評価開始信号を取得している。
【0091】
図5に示すように、ステップS110において、位置対応感情評価装置1は、生体情報取得部2によって時刻等を含む少なくとも対象者の心拍に関する生体情報Bi
を単位時
間毎に取得し、位置情報取得部によって位置情報Piを単位時間毎に取得する。
【0092】
ステップS120において、位置対応感情評価装置1の感情情報生成部4は、対象者に関する情報または位置情報Piに基づいて、または対象者による選択により、使用する分類器Cを決定する。
【0093】
ステップS130において、感情情報生成部4は、少なくとも心拍に関する生体情報Biから評価データDを単位時間毎に算出する。
【0094】
ステップS140において、感情情報生成部4は、分類器Cによって単位時間毎に算出した評価データDを感情値Eと覚醒値Aとを指標として分類する。感情情報生成部4は、感情値Eと覚醒値Aとから感情情報Eiを生成する。
【0095】
ステップS150において、感情情報生成部4は、分類器Cによって単位時間毎に算出した評価データDを気力値Wと覚醒値Aとを指標として分類する。感情情報生成部4は、気力値Wと覚醒値Aとから心身状態情報MBiを生成する。
【0096】
ステップS160において、位置対応感情評価装置1の位置評価部5は、例えば時刻等をフラグにして、位置情報Piと感情情報Eiとを関連付けた単位時間毎の位置対応感情関連情報Vi1、及び位置情報Piと心身状態情報MBiとを関連付けた単位時間毎の位置対応心身状態関連情報Vi2を生成する。
【0097】
ステップS170において、位置評価部5は、位置対応感情関連情報Vi1における位置情報Piが関連付けられた感情情報Eiまたは感情情報Eiが関連付けられた位置情報Piを出力部6に送信する。また、位置評価部5は、位置対応心身状態関連情報Vi2における位置情報Piが関連付けられた心身状態情報MBiまたは心身状態情報MBiが関連付けられた位置情報Piを出力部6に送信する。
【0098】
ステップS180において、出力部6は、取得した位置情報Piが関連付けられた感情情報Eiまたは感情情報Eiが関連付けられた位置情報Piを表示装置6a、または、位置情報Piが関連付けられた心身状態情報MBiまたは心身状態情報MBiが関連付けられた位置情報Piのうち少なくとも一つを表示装置6aに表示する。
【0099】
上述の構成では、位置対応感情評価装置1は、外的事象を含まない少なくとも対象者の心拍に関する生体情報Biから分類器Cを用いて対象者の感情情報Ei及び心身状態情報MBiを生成することにより、ハードウェアの処理負荷を低減することができる。また、位置対応感情評価装置1は、感情情報生成部4により生成された感情情報Ei及び心身状態情報MBiに既存の技術及び設備を利用することにより容易に取得できる位置情報Piを関連付けることにより、ハードウェアの処理負荷を増大することなく、感情情報Ei及び心身状態情報MBiに外的事象を付加することができる。これにより、位置対応感情評価装置1は、単に対象者が位置する場所を示す位置情報Piを、対象者にとってどのような場所なのかを示す付加価値を持った位置情報Piに変換することができる。また、位置対応感情評価装置1は、感情情報Ei及び心身状態情報MBiに位置情報Piを付加することにより、感情情報Ei及び心身状態情報MBiの活用度を向上させることができる。つまり、前記位置対応感情評価装置1は、単に対象者の感情を示す感情情報Eiと単に対象者の心身状態を示す心身状態情報MBiを、対象者がどのような場所、時間、天候、季節等の外的事象によって生じた感情及び心身状態かを示す付加価値をもった感情情報Ei及び心身状態情報MBiに変換することができる。
【0100】
また、位置対応感情評価装置1は、感情情報生成部4によって少なくとも対象者の心拍に関する生体情報Biから複数種類の感情情報Eiと複数種類の心身状態情報MBiとを生成する。位置対応感情評価装置1は、位置情報Piに複数の感情から一つの感情を選択した感情情報Eiと複数の心身状態から一つの心身状態を選択した心身状態情報MBiとを生成することにより、対象者の感情と心身状態との変化に柔軟に対応することができる。また、位置対応感情評価装置1は、感情の度合いを選択することにより対象者の感情の変化に柔軟に対応することができる。
【0101】
位置対応感情評価装置1は、ネガティブな感情情報Eiが継続して生成されている場合、またはネガティブな感情情報Eiの度合いが大きい場合、対象者に注意喚起またはアドバイスを行うことができる。また、位置対応感情評価装置1は、心身が疲労している状態の心身状態情報MBiが継続して生成されている場合、または心身が疲労している状態の心身状態情報MBiの度合いが大きい場合、対象者に注意喚起またはアドバイスを行うことができる。これにより、位置対応感情評価装置1は、ハードウェアの処理負荷の増大を抑制しつつ、感情に関する情報を有効に活用することができる。
【0102】
[実施形態2]
<位置対応感情評価装置1
Aの単独使用>
図6と
図7を用いて、本発明の実施形態2に係る位置対応感情評価装置1Aの全体構成について説明する。
図6は、本発明の実施形態2に係る位置対応感情評価装置1Aの全体構成を表す模式図である。
図7は、本発明の実施形態2に係る位置対応感情評価装置1Aを対象者が装着した構成を表す模式図である。なお、以下の実施形態において、既に説明した実施形態と同様の点に関してはその具体的説明を省略し、相違する部分を中心に説明する。本実施形態において、位置対応感情評価装置1Aは、一人の対象者が単独で使用している。
【0103】
図6に示すように、位置対応感情評価装置1Aは、生体情報取得部2、位置情報取得部3、感情情報生成部4、位置評価部5、出力部6及び端末記憶部7aを備える。
【0104】
図7に示すように、生体情報取得部2は、対象者の身体に装着可能な機器、着衣等に各種センサが内蔵されているウェアラブルセンサである。本実施形態において、生体情報取得部2は、アンダーウェアUに心拍センサ2a、温度センサ2b、3軸加速度センサ2c、通信機2d及び電池が内蔵されているウェアラブルセンサである。ウェアラブルセンサは、対象者に装着された状態で、心拍センサ2aの電極と温度センサ2bの測定端子が対象者の胸部に接触するように構成されている。また、生体情報取得部2であるウェアラブルセンサは、通信機2dによって、心拍センサ2a、温度センサ2b、3軸加速度センサ2cが検出した生体情報Biを端末記憶部7aに送信可能、且つ制御部からの心拍センサ2a、温度センサ2b及び3軸加速度センサ2cへの制御信号を受信可能である。
【0105】
位置情報取得部3、感情情報生成部4、位置評価部5及び出力部6は、対象者が所持しているスマートフォン等の携帯端末Tに内蔵されている。位置情報取得部3は、携帯端末Tに内蔵されているGNSS受信機で構成されている。位置情報取得部3は、取得した位置情報Piを端末記憶部7aに送信可能である。制御部の一部である感情情報生成部4、位置評価部5及び出力部6は、携帯端末TのROM等の保存されている。感情情報生成部4、位置評価部5及び出力部6は、携帯端末TのCPUによって制御可能である。携帯端末Tは、通信機を介してウェアラブルセンサ及びGNSS受信機通信可能である。これにより、感情情報生成部4及び出力部6は、携帯端末Tの通信機を介して、生体情報取得部2及び位置情報取得部3と通信可能である。
【0106】
図6に占めすように、記憶部である端末記憶部7aは、少なくとも生体情報取得部2であるウェアラブルセンサが検出した生体情報Bi、位置情報取得部3であるGNSS受信機が検出した位置情報Pi、位置対応感情関連情報Vi1及び位置対応心身状態関連情報Vi2を記憶する。端末記憶部7aは、携帯端末T(
図7参照)の記憶装置から構成されている。端末記憶部7aは、位置評価部5が生成した位置対応感情関連情報Vi1及び位置対応心身状態関連情報Vi2を時系列で記憶する。また、端末記憶部7aは、記憶した位置対応感情関連情報Vi1における位置情報Piが関連付けられた感情情報Eiまたは感情情報Eiが関連付けられた位置情報Piを出力部6に送信する。
端末記憶部7aは、位置対応心身状態関連情報Vi2における位置情報Piが関連付けられた心身状態情報MBiまたは心身状態情報MBiが関連付けられた位置情報Piを出力部6に送信することができる。
【0107】
位置対応感情評価装置1Aは、端末記憶部7aから過去の位置対応感情関連情報Vi1及び位置対応心身状態関連情報Vi2を取り出すことにより、同じ位置における日時の異なる位置対応感情関連情報Vi1及び位置対応心身状態関連情報Vi2を比較することができる。
【0108】
出力部6は、携帯端末T(
図7参照)の表示装置6aを含む。出力部6は、端末記憶部7aに接続されている。出力部6は、端末記憶部7aから位置対応感情関連情報Vi1
お
よび位置対応心身状態関連情報Vi2を取得可能である。また、出力部6は、端末記憶部7aから生体情報Bi、位置情報Pi、感情情報Ei及び心身状態情報MBi、のうち少なくとも一つの情報を取得可能に構成されている。また、出力部6は、携帯端末Tの表示装置6aに位置対応感情関連情報Vi1における位置情報Piが関連付けられた感情情報Eiまたは感情情報Eiが関連付けられた位置情報Piまたは感情情報Eiが関連付けられた位置情報Piを表示可能である。また、出力部6は、携帯端末Tの表示装置6aに位置対応心身状態関連情報Vi2における位置情報Piが関連付けられた心身状態情報MBiまたは心身状態情報MBiが関連付けられた位置情報Piを表示可能である。また、出力部6は、生体情報Bi、位置情報Pi、感情情報Ei及び心身状態情報MBiのうち少なくとも一つの情報を表示可能である。出力部6は、携帯端末Tの通信機を介して、外部の機器に少なくとも対象者の心拍に関する生体情報Bi、位置情報Pi、感情情報Ei、心身状態情報MBi、感情情報Eiによる位置対応感情関連情報Vi1及び心身状態情報MBiによる位置対応心身状態関連情報Vi2のうち少なくとも一つの情報を出力可能である。
【0109】
以下に、
図8を用いて位置対応感情評価装置1Aによる位置対応感情関連情報Vi1及び位置対応心身状態関連情報Vi2の表示状態について説明する。
図8は、本発明の実施形態2に係る位置対応感情評価装置1Aにおける位置対応感情関連情報Vi1及び位置対応心身状態関連情報Vi2の表示状態を表す模式図である。
【0110】
図8に示すように、出力部6(
図6参照)は、例えば、対象者が位置する場所を中心として所定の範囲の地図情報Mを携帯端末Tの表示装置6aに表示する。また、出力部6は、地図情報M上に対象者の位置する場所を示す位置情報Piを表示する。この際、出力部6は、位置対応感情関連情報Vi1における位置情報Piに関連付けられた感情情報Eiまたは位置対応心身状態関連情報Vi2における位置情報Piに関連付けられた心身状態情報MBiを、数値、記号、図形及び色の少なくとも一つに変換した感情ラベルEL1
お
よび心身状態ラベルBL1として地図上に表示する。また、出力部6は、位置対応感情関連情報Vi1における感情情報Eiに関連付けられた位置情報Piまたは
位置対応心身状
態関連情報Vi2における心身状態情報MBiに関連付けられた位置情報Piを表示してもよい。例えば、出力部6は、特定の感情情報Eiまたは心身状態情報MBiが生じている場所、環境、天候、季節、時刻等を含む位置情報Piを統計的に処理して表示してもよい。
【0111】
また、出力部6は、例えば、感情情報Eiを感情グラフGe上に表示する。出力部6は、横軸に感情値Eを表し、横軸に直交する縦軸に覚醒値Aを表す感情グラフGeを表示する。感情値Eが+側(ポジティブな感情)、覚醒値Aが+側(活性している感情)である感情グラフGeの第1象限は、幸福の領域として設定されている。感情値Eが+側(ポジティブな感情)、覚醒値Aが-側(不活性な感情)である感情グラフGeの第2象限は、リラックスの領域として設定されている。感情値Eが-側(ネガティブな感情)、覚醒値Aが-側(不活性な感情)である感情グラフGeの第3象限は、悲しみの領域として設定されている。感情値Eが-側(ネガティブな感情)、覚醒値Aが+側(活性している感情)である感情グラフGeの第4象限は、怒りの領域として設定されている。出力部6は、感情グラフGeに感情情報Eiを数値、記号、図形及び色の少なくとも一つから表示される感情ラベルEL2に変換して対象者の現在の感情に相当する位置に表示する。
【0112】
また、出力部6は、例えば、対象者の心身状態に関する心身状態情報MBiを表す心身状態グラフGbを表示する。心身状態グラフGbには、気力値Wが+側、且つ覚醒値Aが+側の心身状態である高揚の度合いを数値、記号、図形及び色の少なくとも一つに変換した心身状態ラベルBL1が表示される。同様に、心身状態グラフGbには、気力値Wが+側、覚醒値Aが-側の心身状態であるリラックスの度合いを示す心身状態ラベルBL2、気力値Wが-側、覚醒値Aが+側の心身状態である緊張の度合いを示す心身状態ラベルBL3及び気力値Wが-側、覚醒値Aが-側の心身状態である眠気の度合いを示す心身状態ラベルBL4が表示される。出力部6は、心身状態グラフGbに対象者の心身状態に関する心身状態情報MBiを気力値Wと覚醒値Aとの値に基づいて表示する。
【0113】
上述の構成では、位置対応感情評価装置1Aは、対象者が所持している携帯端末Tのハードウェアにより作動する分類器C等を用いて対象者の生体情報Biから対象者の感情情報Ei及び対象者の心身状態情報MBiを生成している。位置対応感情評価装置1Aは、携帯端末TのGNSS受信機が取得した位置情報Piを利用することにより、ハードウェアの処理負荷を増大させることなく、感情情報Ei及び心身状態情報MBiに外的事象を付加する。また、位置対応感情評価装置1Aは、ハードウェアの処理負荷を増大させることなく、位置情報Piに対象者の感情及び心身状態を付加する。これにより、位置対応感情評価装置1Aは、ハードウェアの処理負荷の増大を抑制しつつ、感情に関する情報を有効に活用することができる。
【0114】
[実施形態3]
<位置対応感情評価システム>
図9を用いて、本発明の実施形態3に係る位置対応感情評価システム8の全体構成について説明する。
図9は、本発明の実施形態に係る位置対応感情評価システム8の全体構成を表す模式図である。
【0115】
位置対応感情評価システム8は、複数の対象者からの感情情報Ei及び心身状態情報MBiによって位置の評価を行うシステムである。位置対応感情評価システム8は、生体情報取得部2、位置情報取得部3、感情情報生成部4、位置評価部5、端末記憶部7a、出力情報生成部10、サーバ記憶部9及び出力部6を備える。位置対応感情評価システム8は、例えばアンダーウェアUに設けられたウェアラブルセンサ、携帯端末T及びサーバSから構成されている。
【0116】
生体情報取得部2は、生体情報Biを取得する。生体情報取得部2は、対象者の身体に装着可能な機器、アンダーウェアUに各種センサが内蔵されているウェアラブルセンサである。つまり、生体情報取得部2は、対象者が所持している(
図7参照)。生体情報取得部2は、アンダーウェアUを装着している対象者の生体情報Biを取得可能である。また、生体情報取得部2は、対象者の生体情報Biをサーバ記憶部9に送信可能である。
【0117】
位置情報取得部3は、位置情報Piを取得する。位置情報取得部3は、対象者が所持しているスマートフォン等の携帯端末T内に構成されている(
図7参照)。位置情報取得部3は、携帯端末Tを所持している対象者の位置情報Piを取得する。位置情報取得部3は、取得した位置情報Piをサーバ記憶部9に送信可能である。
【0118】
制御部の一部である感情情報生成部4は、生体情報Biから感情情報Ei及び心身状態情報MBiを生成する。感情情報生成部4は、対象者が所持しているスマートフォン等の携帯端末T内に構成されている。携帯端末Tは、ウェアラブルセンサの通信機2dを介して通信可能に構成されている。つまり、感情情報生成部4は、携帯端末Tの通信機を介して、生体情報取得部2と通信可能に構成されている。感情情報生成部4は、携帯端末Tを所持している対象者が装着しているアンダーウェアUから生体情報Biを取得する。
【0119】
携帯端末Tには、少なくとも位置対応感情関連情報Vi1及び位置対応心身状態関連情報Vi2を記憶する端末記憶部7aを備えている。端末記憶部7aは、携帯端末Tの記憶装置から構成されている。端末記憶部7aは、位置評価部5が生成した位置対応感情関連情報Vi1及び位置対応心身状態関連情報Vi2を時系列により記憶する。なお、端末記憶部7aは、心拍に関する生体情報Bi、位置情報Pi、感情情報Ei及び心身状態情報MBiを記憶してもよい。
【0120】
制御部の一部である位置評価部5は、位置対応感情関連情報Vi1及び位置対応心身状態関連情報Vi2を生成する。位置評価部5は、サーバS内に構成されている。サーバSは、インターネットに接続されている。また、サーバSは、インターネット及び携帯端末Tの通信機を介して対象者が所持している携帯端末Tと通信可能に構成されている。つまり、位置評価部5は、インターネット及び携帯端末Tの通信機を介して位置情報取得部3及び感情情報生成部4と通信可能に構成されている。
【0121】
記憶部であるサーバ記憶部9は、サーバSの記憶装置から構成されている。サーバ記憶部9は、少なくとも位置対応感情関連情報Vi1及び位置対応心身状態関連情報Vi2を記憶する。サーバ記憶部9は、位置評価部5が生成した位置対応感情関連情報Vi1及び位置対応心身状態関連情報Vi2を時系列により記憶する。また、サーバ記憶部9は、記憶した位置対応感情関連情報Vi1及び位置対応心身状態関連情報Vi2を出力情報生成部10に送信することができる。なお、サーバ記憶部9は、心拍に関する生体情報Bi、位置情報Pi、感情情報Ei及び心身状態情報MBiを記憶してもよい。
【0122】
出力情報生成部10は、記憶した位置対応感情関連情報Vi1及び位置対応心身状態関連情報Vi2から出力情報Oiを生成する。出力情報生成部10は、サーバS内に構成されている。出力情報生成部10は、位置対応感情関連情報Vi1における位置情報Piが関連付けられた感情情報Eiまたは感情情報Eiが関連付けられた位置情報Piを出力情報Oiとして生成する。また、出力情報生成部10は、位置対応心身状態関連情報Vi2における位置情報Piが関連付けられた心身状態情報MBiまたは心身状態情報MBiが関連付けられた位置情報Piを出力情報Oiとして生成する。また、生体情報Bi、位置情報Pi、感情情報Ei及び心身状態情報MBiのうち少なくとも一つの情報から出力情報Oiを生成可能である。また、出力情報生成部10は、インターネット及び携帯端末Tの通信機を介して、出力部6または外部機器に出力情報Oiを出力可能である。
【0123】
出力情報生成部10は、例えば、地図情報M上に対象者が位置する場所での対象者の感情に関する位置情報Piに関連付けられた感情情報Eiと対象者の心身状態に関する位置情報Piに関連付けられた心身状態情報MBiとのうち少なくとも一つを、数値、記号、図形及び色のうち少なくとも一つに変換した感情ラベルELまたは心身状態ラベルBL(
図8参照)を表示するための出力情報Oiを生成する。
【0124】
出力部6は、出力情報Oiを出力する。出力部6は、携帯端末Tの表示装置6aを含む(
図8参照)。出力部6は、携帯端末Tの表示装置6aに出力情報Oiを表示する。出力部6は、インターネット及び携帯端末Tの通信機を介して、出力情報生成部10から出力情報Oiを取得する。
【0125】
このように構成される位置対応感情評価システム8において、サーバSは、複数の対象者が保持する携帯端末Tから、インターネット及び携帯端末Tの通信機を介して各位置情報Pi、各感情情報Ei及び各心身状態情報MBiを取得可能に構成されている。
【0126】
位置対応感情評価システム8は、複数の対象者が所持する携帯端末Tから取得した各位置情報Pi、各感情情報Ei及び各心身状態情報MBiをサーバ記憶部9に記憶する。また、位置対応感情評価システム8は、各携帯端末Tからの位置情報Pi、各感情情報Ei及び各心身状態情報MBiに基づいて生成された位置対応感情関連情報Vi1及び位置対応心身状態関連情報Vi2をサーバ記憶部9に記憶する。
【0127】
位置対応感情評価システム8の出力情報生成部10は、サーバ記憶部9が記憶している位置対応感情関連情報Vi1における位置情報Piが関連付けられた感情情報Eiまたは感情情報Eiが関連付けられた位置情報Piを抽出する。また、出力情報生成部10は、位置対応心身状態関連情報Vi2における位置情報Piが関連付けられた心身状態情報MBiまたは心身状態情報MBiが関連付けられた位置情報Piを抽出する。出力情報生成部10は、例えば、特定の場所における複数の感情情報Eiが関連付けられた位置情報Pi及び特定の場所における複数の心身状態情報MBiが関連付けられた位置情報Piを抽出する。また、出力情報生成部10は、例えば、特定の時刻(例えば季節、時間帯等)における複数の感情情報Eiが関連付けられた位置情報Pi及び特定の時刻における複数の心身状態情報MBiが関連付けられた位置情報Piを抽出する。
【0128】
出力情報生成部10は、抽出した位置情報Piが関連付けられた感情情報Eiまたは感情情報Eiが関連付けられた位置情報Piから出力情報Oiを生成する。また、出力情報生成部10は、抽出した位置情報Piが関連付けられた心身状態情報MBiまたは心身状態情報MBiが関連付けられた位置情報Piから出力情報Oiを生成する。出力情報生成部10は、例えば、位置対応感情関連情報Vi1及び位置対応心身状態関連情報Vi2から抽出した各情報を地図情報M上に重畳表示させるための出力情報Oiを生成する。また、出力情報生成部10は、例えば、位置対応感情関連情報Vi1及び位置対応心身状態関連情報Vi2から抽出した各情報を適切な統計手法により処理した出力情報Oiを生成する。
【0129】
このように構成される位置対応感情評価システム8は、複数の感情情報Ei及び複数の位置情報Piから生成された複数の位置対応感情関連情報Vi1と、複数の心身状態情報MBi及び複数の位置情報Piから生成された複数の位置対応心身状態関連情報Vi2から位置対応感情関連情報Vi1の集合体(ビッグデータ)及び位置対応心身状態関連情報Vi2の集合体を生成する。位置対応感情評価システム8は、位置対応感情関連情報Vi1及び位置対応心身状態関連情報Vi2の集合体から任意の指標に基づいて出力情報Oiを生成する。これにより、位置対応感情評価システム8は、位置対応感情関連情報Vi1及び位置対応心身状態関連情報Vi2から個人の性格、趣向など個人の個性によるばらつきの影響を排除することができる。また、位置対応感情評価システム8は、位置対応感情関連情報Vi1及び位置対応心身状態関連情報Vi2を任意の指標に基づいて評価することができる。これにより、位置対応感情評価システム8は、ハードウェアの処理負荷の増大を抑制しつつ、感情に関する情報を有効に活用することができる。
【0130】
[実施形態4]
<位置対応感情評価装置>
図10を用いて、本発明の実施形態4に係る位置対応感情評価装置1Bの全体構成について説明する。
図10は、本発明の実施形態4に係る位置対応感情評価装置1Bの全体構成を表す模式図である。本実施形態における位置対応感情評価装置1Bは、対象者の移動手段に適した分類器Cを選択する。
【0131】
図10に示すように、位置対応感情評価装置1Bは、生体情報取得部2、位置情報取得部3、感情情報生成部4、位置評価部5、端末記憶部7a及び出力部6を備える。位置対応感情評価装置1Bは、例えばアンダーウェアUに設けられたウェアラブルセンサ及び携帯端末Tから構成されている。対象者は、ウェアラブルセンサであるアンダーウェアUを身に着けるとともに、携帯端末Tであるスマートフォンを所持している。
【0132】
位置対応感情評価装置1Bの制御部の一部である感情情報生成部4は、生体情報Biから感情情報Eiを生成する基準であるバイク用分類器C1、自転車用分類器C2及び徒歩用分類器C3を有している。感情情報生成部4は、生体情報取得部2から時刻の情報を含む少なくとも対象者の心拍に関する生体情報Biと3軸加速度とを単位時間毎に取得する。また感情情報生成部4は、位置情報取得部3から、時刻の情報を含む対象者の位置する場所に関する位置情報Piを単位時間毎に取得する。
【0133】
感情情報生成部4は、対象者の位置情報Piから対象者の移動速度Vを算出する。感情情報生成部4は、算出した対象者の移動速度Vから対象者の移動手段を判定する。感情情報生成部4は、対象者の移動速度Vが基準値Vs以上の場合、バイクでの移動であると判定する。感情情報生成部4は、対象者の移動速度Vが基準値Vs未満の場合、自転車または徒歩による移動であると判定する。感情情報生成部4は、3軸加速度から対象者が進行方向に対して左右方向の加速度が一定の割合で生じている場合、対象者がリーン車両である自転車に乗車していると判定する。
【0134】
感情情報生成部4は、判定した対象者の移動手段に応じた分類器を選択する。感情情報生成部4は、対象者がバイクでの移動であると判定した場合、バイク用分類器C1を選択する。感情情報生成部4は、対象者が自転車での移動であると判定した場合、自転車用分類器C2を選択する。感情情報生成部4は、対象者が徒歩での移動であると判定した場合、徒歩用分類器C3を選択する。選択した分類器を用いて、取得した少なくとも対象者の心拍に関する生体情報Biから感情情報Eiと心身状態情報MBiを生成する。感情情報生成部4は、分類器を切り替えることにより、同じ生体情報Biでも異なる感情情報Eiを生成する。
【0135】
感情情報生成部4は、例えば、バイク用分類器C1を選択している場合、少なくとも対象者の心拍に関する生体情報Biである心拍数H1に基づいて、複数の感情の中から「動揺」を選択する。同様に、感情情報生成部4は、少なくとも対象者の心拍に関する生体情報Biである心拍数H1に基づいて、複数の心身状態の中から「緊張」を選択する。
【0136】
感情情報生成部4は、例えば、自転車用分類器C2を選択している場合、少なくとも対象者の心拍に関する生体情報Biである心拍数H1に基づいて、複数の感情の中から「興奮」を選択する。同様に、感情情報生成部4は、少なくとも対象者の心拍に関する生体情報Biである心拍数H1に基づいて、複数の心身状態の中から「高揚」を選択する。
【0137】
感情情報生成部4は、例えば、徒歩用分類器C3を選択している場合、少なくとも対象者の心拍に関する生体情報Biである心拍数H1に基づいて、複数の感情の中から「不愉快」を選択する。同様に、感情情報生成部4は、少なくとも対象者の心拍に関する生体情報Biである心拍数H1に基づいて、複数の心身状態の中から「緊張」を選択する。
【0138】
このように、感情情報生成部4は、同じ心拍数H1でも対象者の移動手段が異なる場合、異なる感情情報Ei及び心身状態情報MBiを生成する。更に、感情情報生成部4は、対象者に関する情報に基づいて分類器を選択してもよい。感情情報生成部4は、心拍数と移動手段とが同一でも対象者に関する情報である対象者の性別、年齢等が異なる場合、異なる感情情報Ei及び心身状態情報MBiを生成する。
【0139】
位置対応感情評価装置1Bの位置評価部5は、位置情報取得部3が取得した位置情報Piと感情情報生成部4が生成した感情情報Eiと心身状態情報MBiとから位置対応感情関連情報Vi1及び位置対応心身状態関連情報Vi2を生成する。
【0140】
位置対応感情評価装置1Bの出力部6は、位置対応感情関連情報Vi1から抽出した位置情報Piが関連付けられた感情情報Eiまたは感情情報Eiが関連付けられた位置情報Piに基づいて対象者の移動速度Vに基づいた縮尺、スクロール速度、表示項目の地図情報M上の対象者が位置する場所に感情ラベルELを表示する(
図8参照)。
【0141】
<制御フロー>
図11を用いて、位置対応感情評価装置1Bの分離器選択制御フローについて説明する。
図11は、本発明の実施形態4に係る位置対応感情評価装置1Bの制御を表す制御フロー図である。なお、位置対応感情評価装置1Bは、位置対応感情評価開始信号を取得している。
【0142】
図11に示すように、ステップS210において、位置対応感情評価装置1Bの生体情報取得部2は、生体情報取得部2によって3軸加速度及び時刻等を含む生体情報Bi
を取
得し、位置情報取得部3によって位置情報Piを単位時間毎に取得する。
【0143】
ステップS220において、位置対応感情評価装置1Bの感情情報生成部4は、位置情報Piに基づいて対象者の移動速度Vを算出する。
【0144】
ステップS230において、感情情報生成部4は、算出した対象者の移動速度Vが基準値Vs未満か否か判定する。感情情報生成部4は、対象者の移動速度Vが基準値Vs未満の場合、ステップをステップS240に移行させる。一方、感情情報生成部4は、対象者の移動速度Vが基準値Vs以上の場合、ステップをステップS270に移行させる。
【0145】
ステップS240において、感情情報生成部4は、取得した3軸加速度から対象者が進行方向を前方向として一定の割合により左右に傾斜(リーン)しているか否か判定する。感情情報生成部4は、対象者が一定の割合により左右に傾斜している場合、ステップをステップS250に移行させる。一方、感情情報生成部4は、対象者が一定の割合により左右に傾斜していない場合、ステップをステップS260に移行させる。
【0146】
ステップS250において、感情情報生成部4は、対象者が自転車により移動しているとして、自転車用分類器C2を選択し、分離器選択制御を終了する。
【0147】
ステップS260において、感情情報生成部4は、対象者が徒歩により移動しているとして、徒歩用分類器C3を選択し、分離器選択制御を終了する。
【0148】
ステップS270において、感情情報生成部4は、対象者がバイクにより移動しているとして、バイク用分類器C1を選択し、分離器選択制御を終了する。
【0149】
このように構成される位置対応感情評価装置1Bは、取得した対象者の3軸加速度と対象者の位置する場所に関する位置情報Piに基づいて対象者の移動速度V毎に異なる分類器により感情情報Ei及び心身状態情報MBiを生成する。つまり、位置対応感情評価装置1Bは、対象者の移動手段の違いによって異なる分類器を使用して感情情報Ei及び心身状態情報MBiを生成する。位置対応感情評価装置1Bは、対象者の3軸加速度と位置情報Piとを関連付けることにより、対象者の感情及び心身状態に影響を与える外的事象である移動手段の違いを考慮して位置対応感情関連情報Vi1及び位置対応心身状態関連情報Vi2を生成することができる。これにより、位置対応感情評価装置1Bは、ハードウェアの処理負荷をかけることなく、対象者の移動速度V(移動手段)による感情への影響を考慮して感情に関する情報を有効に活用することができる。
【0150】
(その他の実施形態)
なお、上述の実施形態4において、位置対応感情評価装置1Bの感情情報生成部4は、対象者の移動手段に応じて分類器を選択している。しかしながら、感情情報生成部4は、対象者の位置する場所に関する情報等に含まれる時刻の情報から、時刻を指標にして分類器を選択する構成でもよい。例えば、感情情報生成部は、時刻の情報から季節毎の分類器を有していてもよい。また、感情情報生成部は、午前中の分類器、午後の分類器及び夜間の分類器等、日中の時間帯毎の分類器を有していてもよい。
【0151】
また、上述の実施形態4において、位置対応感情評価装置1Bにおける感情情報生成部4の分類器は、対象者の移動手段に応じて、バイク用分類器C1、自転車用分類器C2及び徒歩用分類器C3を有している。しかしながら、分類器は、対象者の移動手段に対応するために、4輪自動車用分類器、船舶用分類器及び鉄道用分類器等を有していてもよい。例えば、感情情報生成部は、対象者の移動速度Vだけでなく、地図情報Mから対象者の移動手段を判定してもよい。
【0152】
位置対応感情評価装置1Bは、取得した対象者の位置する場所に関する位置情報Piに含まれる時刻を指標として季節毎、時間帯毎等、時刻を指標にして前記感情情報Eiを生成する。つまり、位置対応感情評価装置1Bは、対象者の感情及び心身状態に影響を与える外的事象である時刻毎の周辺環境の変化を考慮した感情情報Ei及び心身状態情報MBiを生成する。位置対応感情評価装置1Bは、感情情報Eiと位置情報Piを関連付けることにより、位置情報Piを季節、時間帯等の違いを考慮した感情情報Eiを指標として評価することができる。また、位置対応感情評価装置1Bは、心身状態情報MBiと位置情報Piを関連付けることにより、位置情報Piを季節、時間帯等の違いを考慮した心身状態情報MBiを指標として評価することができる。これにより、位置対応感情評価装置1Bは、ハードウェアの処理負荷をかけることなく、季節、時間帯による感情への影響を考慮して感情情報Eiを有効に活用することができる。
【0153】
また、
図12に示すように、上述の全ての実施形態において、位置対応感情評価装置1、1A、1Bは、気象情報取得部12を更に備えていてもよい。
図12は、本発明の他の実施形態に係る位置対応感情評価装置1Cの全体構成を表す模式図である。この場合、位置対応感情評価装置1Cの感情情報生成部4は、気温、天候等の気象条件毎の分類器を有している。感情情報生成部4は、例えば、晴天用分類器C4、雨天用分類器C5、暴風雨用分類器C6を有している。感情情報生成部4は、対象者の位置する場所の気温、天候等の気象情報WEiを取得する。感情情報生成部4は、気象情報WEiに基づいて分類器を選択する。例えば、感情情報生成部4は、対象者の位置する場所が降雨地域である場合、雨天用分類器C5を選択する。
【0154】
位置対応感情評価装置1Cは、対象者の感情及び心身状態に影響を与える気象条件を考慮した感情情報Ei及び心身状態情報MBiを生成する。位置対応感情評価装置1Cは、位置情報Piと感情情報Eiとを関連付けることにより、位置情報Piを対象者の感情及び心身状態に影響を与える外的事象である気象情報を考慮した感情情報Eiによって評価することができる。また、位置対応感情評価装置1Cは、位置情報Piと心身状態情報MBiとを関連付けることにより、位置情報Piを対象者の心身状態に影響を与える外的事象である気象情報を考慮した心身状態情報MBiによって評価することができる。これにより、位置対応感情評価装置1Cは、ハードウェアの処理負荷をかけることなく、気象条件による感情への影響を考慮して感情に関する情報を有効に活用することができる。
【0155】
また、上述の全ての実施形態において、生体情報取得部2は、少なくとも対象者の心拍に関する生体情報Biを取得している。しかしながら、生体情報取得部は、上述の実施形態の構成に限定されない。例えば、生体情報取得部は、対象者の体表面温度、対象者の三軸加速度等、対象者の心拍に関する生体情報Bi以外の対象者の生体に関する情報を取得する構成でもよい。
【0156】
また、上述の各実施形態において、感情情報生成部4は、対象者の移動手段毎の分類器、気象条件毎の分類器、時間帯毎の分類器、対象者の情報に対応する分類器のうち少なくとも一つを有している。しかしながら、位置対応感情評価装置は、上述の実施形態の構成に限定されない。例えば、感情情報生成部4は、地理的特性を指標とする分類器を有していてもよい。
【0157】
また、上述の全ての実施形態において、感情情報生成部4の分類器は、パターン認識モデルによって感情値Eと覚醒値Aとを指標とする評価データDの分類を行う。しかしながら、分類器は、感情値Eと覚醒値Aとを指標とする構成に限定されない。例えば、分類器は、任意に設定した感情に関する指標によって、対象者の感情に関する感情情報Eiを生成してもよい。
【0158】
なお、上述の実施形態2において、位置対応感情評価装置1Aにおける感情情報生成部4の分類器Cは、教師データを用いた機械学習により生成されたパターン認識モデルによって評価データDを分類している。しかしながら、分類器は、生成した感情情報Eiに対する対象者からのフィードバックを取得することにより更に機械学習をさせる構成でもよい。これにより、分類器は、使用回数を重ねるにつれて使用している対象者に適したパターン認識モデルに改良される。
【0159】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0160】
1、1A、1B、1C 位置対応感情評価装置
2 生体情報取得部
3 位置情報取得部
4 感情情報生成部
5 位置評価部
6 出力部
6a 表示装置
7 記憶部
7a 端末記憶部
8 位置対応感情評価システム
C 分類器
Bi 対象者の心拍に関する生体情報
Pi 対象者の位置する場所に関する位置情報
Ei 対象者の感情に関する感情情報
Vi1 位置対応感情関連情報
Vi2 位置対応心身状態関連情報