(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】電気抵抗率の測定によって汚れの量を測定するための装置、方法、システム及びキット
(51)【国際特許分類】
G01N 27/04 20060101AFI20240416BHJP
【FI】
G01N27/04 Z
(21)【出願番号】P 2022517131
(86)(22)【出願日】2020-09-04
(86)【国際出願番号】 EP2020074818
(87)【国際公開番号】W WO2021052784
(87)【国際公開日】2021-03-25
【審査請求日】2023-06-08
(32)【優先日】2019-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】522103247
【氏名又は名称】レーニンベント エービー
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】レーンストロム, ヨハン ヘンリク
【審査官】村田 顕一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-243950(JP,A)
【文献】特開平05-232166(JP,A)
【文献】特開2007-040792(JP,A)
【文献】特開2017-015521(JP,A)
【文献】米国特許第9032584(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/00-27/10
G01N 27/14-27/24
A47L 13/40
A47L 23/10
A47L 1/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
汚れ(50)の量を測定するための装置(1)であって、前記装置(1)が、
試料収集部(40)を受容するように構成される受容部(2)であって、前記試料収集部(40)が、前面(42)及び裏面(44)を有し、汚れの試料が、前記試料収集部(40)の前記前面(42)に付着する、受容部(2)と、
第1の接触点で、受容した前記試料収集部(40)の前記前面(42)に接触して載置されるように構成される第1の接触(11)と、第2の接触点で、受容した前記試料収集部(40)の前記前面(42)に接触して載置されるように構成される第2の接触(12)であって、前記第1の接触及び第2の接触が導電性である、第1の接触(11)及び第2の接触(12)と、
導電性表面(14)と、
前記導電性表面(14)を、受容した前記試料収集部(40)の前記裏面(44)に接触して配置するように構成される位置調整部(20)であって、前記導電性表面(14)が前記位置調整部(20)によって配置された場合、
前記導電性表面(14)の第1の部が、前記前面(42)上の前記第1の接触点を横切る点において前記試料収集部(40)の前記裏面(44)に接触して載置され、且つ
前記導電性表面(14)の第2の部が、前記前面(42)上の前記第2の接触点を横切る点において前記試料収集部(40)の前記裏面(44)に接触して載置される、位置調整部(20)と、
前記第1の接触(11)と前記第2の接触(12)と間の電気抵抗を測定するように構成される抵抗計(30)と
を備え、
前記第1の接触(11)及び第2の接触(12)が、前記前面(42)に接触して載置され、更に前記導電性表面(14)が、前記裏面(44)に接触して載置された場合、前記第1の接触(11)と第2の接触(12)との間の測定した前記電気抵抗が、前記汚れの試料の前記汚れ(50)の量を表し、表した前記汚れ(50)の量が、前記第1の接触(11)と第2の接触(12)との間の前記試料収集部(40)の前記前面(42)に位置する、装置(1)。
【請求項2】
前記位置調整部(20)が、
前記第1の接触(11)及び第2の接触(12)が取り付けられる前部分(22)と、
前記導電性表面(14)が取り付けられる裏部分(24)と、
前記前部分(22)を前記裏部分(24)に機械的に接続するヒンジ(26)であって、前記ヒンジ(26)が、前記裏部分(24)に対する前記前部分(22)の回転動作を可能にし、前記ヒンジ(26)が、
前記受容部(2)が前記試料収集部(40)を自由に受容することができる回転開位置と、
前記導電性表面(14)が受容した前記試料収集部(40)の前記裏面(44)に接触している回転閉位置と、を有する、ヒンジ(26)と
を備え、
前記ヒンジ(26)が前記回転閉位置にある場合、前記前部分(22)、前記裏部分(24)及び前記ヒンジ(26)が、前記導電性表面(14)を、受容した前記試料収集部(40)の前記裏面(44)に接触して配置するように構成される、請求項1に記載の装置(1)。
【請求項3】
前記導電性表面(14)が、前記位置調整部(20)によって配置された場合、試料収集部/導電性表面界面(SC/ECS界面)が、
試料収集部/第1の接触界面(SC/1C界面)の横方向の表現と、
試料収集部/第2の接触界面(SC/2C界面)の横方向の表現と
をカバーするように、前記導電性表面(14)及び前記位置調整部(20)が構成され、
前記SC/ECS界面が、前記導電性表面(14)に接触している受容した前記試料収集部(40)の前記裏面(44)間の界面を表現し、
前記SC/1C界面が、前記第1の接触(11)に接触している受容した前記試料収集部(40)の前記前面(42)間の界面を表現し、前記SC/1C界面の前記横方向の表現が、前記前面から前記裏面への前記SC/1C界面の横方向の移動によって画定される前記裏面(44)上の領域であり、
前記SC/2C界面が、前記第2の接触(12)に接触している受容した前記試料収集部(40)の前記前面(42)間の界面を表現し、前記SC/2C界面の前記横方向の表現が、前記前面(42)から前記裏面(44)への前記SC/2C界面の横方向の移動によって画定される前記裏面(44)上の領域である、
請求項1又は2に記載の装置(1)。
【請求項4】
前記導電性表面(14)が、前記位置調整部(20)によって配置された場合、前記試料収集部/導電性表面界面(SC/ECS界面)が、
試料測定領域の横方向の表現
を更にカバーするように、前記導電性表面(14)及び前記位置調整部(20)が構成され、
前記試料測定領域が、前記第1の接触(11)と前記第2の接触(12)との間に延在する前記試料収集部(40)の前記前面(42)上の領域であり、前記試料測定領域の前記横方向の表現が、前記前面(42)から前記裏面(44)への前記試料測定領域の横方向の移動によって画定される前記裏面(44)上の領域である、請求項3に記載の装置(1)。
【請求項5】
前記第1の接触(11)及び第2の接触(12)が、前記前面(42)に接触して載置され、更に前記導電性表面(14)が、前記裏面(44)に接触して載置された場合、前記装置(1)が、前記導電性表面(14)と、前記第1の接触(11)及び前記第2の接触(12)のうちの少なくとも一方と、によって、前記試料収集部(40)に作用する圧力を設定するように構成される接触圧力制御部(60)
を更に備える、請求項1~4のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項6】
汚れ(50)の量を測定するためのシステムであって、前記システムが、
請求項1~5のいずれか一項に記載の装置(1)と、
測定した電気抵抗と、前記第1の接触(11)と第2の接触(12)との間の前記試料収集部(40)の前記前面(42)に位置する汚れ(50)の量と、の間の関係を記憶するように構成されるメモリ(70)と、
前記抵抗計(30)から、前記測定した電気抵抗を受け取り、
前記メモリ(70)から、前記関係を受け取り、且つ
前記測定した電気抵抗及び前記関係を使用して前記汚れ(50)の量を計算する
ように構成されるプロセッサ(72)と
を備える、システム。
【請求項7】
汚れ(50)の量を測定するための方法(100)であって、前記方法(100)が、
試料収集部(40)を受容すること(S102)であって、前記試料収集部(40)が、前面(42)及び裏面(44)を有し、汚れの試料が、前記試料収集部(40)の前記前面(42)に付着する、試料収集部(40)を受容すること(S102)と、
第1の接触点で、受容した前記試料収集部(40)の前記前面(42)に接触して第1の接触(11)を載置すること、並びに、第2の接触点で、受容した前記試料収集部(40)の前記前面(42)に接触して第2の接触(12)を載置すること(S104)と、
受容した前記試料収集部(40)の前記裏面(44)に接触して導電性表面(14)を配置すること(S106)であって、前記導電性表面(14)が配置された場合(S106)、
前記導電性表面(14)の第1の部が、前記前面(42)上の前記第1の接触点を横切る点において前記試料収集部(40)の前記裏面(44)に接触して載置され、且つ
前記導電性表面(14)の第2の部が、前記前面(42)上の前記第2の接触点を横切る点において前記試料収集部(40)の前記裏面(44)に接触して載置される、導電性表面(14)を配置すること(S106)と、
前記第1の接触(11)と前記第2の接触(12)との間の電気抵抗を測定することと
を含み、
前記第1の接触(11)及び第2の接触(12)が、前記前面(42)に接触して載置され、更に前記導電性表面(14)が、前記裏面(44)に接触して配置された(S106)場合、前記第1の接触(11)と第2の接触(12)との間の測定した前記電気抵抗が、前記汚れの試料の前記汚れ(50)の量を表し、表した前記汚れ(50)の量が、前記第1の接触(11)と第2の接触(12)との間の前記試料収集部(40)の前記前面(42)に位置する、方法(100)。
【請求項8】
試料収集部/導電性表面界面(SC/ECS界面)が、
試料収集部/第1の接触界面(SC/1C界面)の横方向の表現と、
試料収集部/第2の接触界面(SC/2C界面)の横方向の表現と、
をカバーするように、前記導電性表面(14)が配置され(S106)、
前記SC/ECS界面が、前記導電性表面(14)に接触している受容した前記試料収集部(40)の前記裏面(44)間の界面を表現し、
前記SC/1C界面が、前記第1の接触(11)に接触している受容した前記試料収集部(40)の前記前面(42)間の界面を表現し、前記SC/1C界面の前記横方向の表現が、前記前面(42)から前記裏面(44)への前記SC/1C界面の横方向の移動によって画定される前記裏面(44)上の領域であり、
前記SC/2C界面が、前記第2の接触(12)に接触している受容した前記試料収集部(40)の前記前面(42)間の界面を表現し、前記SC/2C界面の前記横方向の表現が、前記前面(42)から前記裏面(44)への前記SC/2C界面の横方向の移動によって画定される前記裏面(44)上の領域である、請求項7に記載の方法(100)。
【請求項9】
前記試料収集部/導電性表面界面(SC/ECS界面)が、
試料測定領域の横方向の表現
を更にカバーするように、前記導電性表面(14)が配置され(S106)、
前記試料測定領域が、前記第1の接触(11)と前記第2の接触(12)との間に延在する前記試料収集部(40)の前記前面(42)上の領域であり、前記試料測定領域の前記横方向の表現が、前記前面(42)から前記裏面(44)への前記試料測定領域の横方向の移動によって画定される前記裏面(44)上の領域である、請求項8に記載の方法(100)。
【請求項10】
前記第1の接触(11)及び第2の接触(12)が、前記前面(42)に接触して載置され、更に前記導電性表面(14)が、前記裏面(44)に接触して載置された場合、前記導電性表面(14)と、前記第1の接触(11)及び前記第2の接触(12)のうちの少なくとも一方と、によって、前記試料収集部(40)に作用する圧力を設定するように、前記方法(100)が、接触圧力を制御すること(S108)
を更に含む、請求項7~9のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項11】
前記方法(100)が、
抵抗計(30)から、測定した電気抵抗を受け取ること(S110)と、
測定した電気抵抗と、前記第1の接触(11)と第2の接触(12)との間の前記試料収集部(40)の前記前面(42)に位置する汚れ(50)の量と、の間の関係を受け取ること(S112)と、
前記測定した電気抵抗及び前記関係を使用して前記汚れ(50)の量を計算すること(S114)と、
を更に含む、請求項7~10のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項12】
前面(42)及び裏面(44)を備える試料収集部(40)であって、対象物(52)が前記試料収集部(40)の前記前面(42)で拭き取られた場合、前記試料収集部(40)が、前記対象物(52)から汚れの試料を収集するように構成され、前記試料収集部(40)が、1つ又は複数の電気抵抗特性を有する、試料収集部(40)と、
請求項6に記載のシステムと
を備える、部品のキットであって、
前記システムの前記メモリ(70)に記憶された前記関係、すなわち、測定した電気抵抗と、前記第1の接触(11)と第2の接触(12)との間の前記試料収集部(40)の前記前面(42)に位置する汚れ(50)の量と、の間の関係が、前記試料収集部(40)の少なくとも1つの電気抵抗特性を含む、部品のキット。
【請求項13】
前記試料収集部がマイクロファイバクロスである、請求項12に記載の部品のキット。
【請求項14】
前記マイクロファイバクロスの1平方メートル当たりの重さが、閾値を下回り、前記閾値が、600g/m
2である、請求項13に記載の部品のキット。
【請求項15】
前記部品のキットが、ブロック(46)を更に備え、前記ブロック(46)の平坦面が、前記対象物(52)の平坦面上で拭き取られた場合、前記マイクロファイバクロスが、前記ブロック(46)の前記平坦面と前記対象物(52)の前記平坦面との間に押し付けられるように、前記ブロック(46)が、前記平坦面上に前記マイクロファイバクロスを受容するように構成される、請求項13又は14に記載の部品のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、汚れの量を測定することに関する。
【背景技術】
【0002】
施設内の対象物の清掃中、清掃員は通常、意識的又は無意識的に様々な対象物の清浄度を評価する。これは、施設内のどの対象物が最も汚れていて、最も多くの清掃が必要であるか、清掃された対象物が十分に清掃されているか、又は多くの清掃が必要であるか、未清掃の対象物が十分に清掃されており、清掃が必要でないかなどを判定するために行われ得る。清浄度を評価することにより、清掃処理の品質を良くすることができる。品質は、多くの清掃時間が最も汚れた対象物に費やされ、既に清掃された対象物に無駄に費やされない場合、全体的な清掃施設に対して高くなり得る。また、少ない清掃時間を施設に割り当てる必要があり、施設、又は施設内の対象物が必要なときにのみ清掃された場合に、品質は、費用効果の高い清掃処理の観点からも高くなり得る。
【0003】
清浄度を評価する最も一般的な方法は、断然、目視による観察、すなわち眼を使用して対象物を見ることによる観察である。対象物上の有機物残渣の量に関して清浄度を評価する方法は、ATP法である。ATPは、生物学的細胞に見られる分子であり、ATP法では、対象物の表面からの試料を化学的に処理してATPの存在を検出する。清浄度を評価する別の方法は、UV照明であり、UV光で表面を照射して、特定の種類の汚れ、例えば血液、尿、唾液などから蛍光を誘起する。
【0004】
これらの評価方法は機能するが、汚れの量の測定方法は、改善する余地がある。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、汚れの量を測定するための改善した手段を提供することである。本発明の更なる目的は、正確で、汎用性があり、迅速で、安価に汚れの量を測定するための手段を提供することである。
【0006】
本発明のこれら及び他の目的は、独立請求項に規定する本発明によって少なくとも部分的に満たされる。好ましい実施形態は、従属請求項に記載している。
【0007】
本発明の第1の態様によれば、汚れの量を測定するための装置を提供し、装置は、
試料収集部を受容するように構成される受容部であって、試料収集部が、前面及び裏面を有し、汚れの試料が試料収集部の前面に付着する、受容部と、
第1の接触点で、受容した試料収集部の前面に接触して載置されるように構成される第1の接触と、第2の接触点で、受容した試料収集部の前面に接触して載置されるように構成される第2の接触であって、第1の接触及び第2の接触が導電性である、第1の接触及び第2の接触と、
導電性表面と、
導電性表面を、受容した試料収集部の裏面に接触して配置するように構成される位置調整部であって、導電性表面が位置調整部によって配置された場合、
導電性表面の第1の部が、前面上の第1の接触点を横切る点において試料収集部の裏面に接触して載置され、且つ
導電性表面の第2の部が、前面上の第2の接触点を横切る点において試料収集部の裏面に接触して載置される、位置調整部と、
第1の接触と第2の接触との間の電気抵抗を測定するように構成される抵抗計と
を備え、
第1の接触及び第2の接触が、前面に接触して載置され、更に導電性表面が裏面に接触して載置された場合、第1の接触と第2の接触との間の測定した電気抵抗が、汚れの試料の汚れの量を表し、表した汚れの量が、第1の接触と第2の接触との間の試料収集部の前面に位置する。
【0008】
本発明の概念によれば、汚れの試料は、対象物、例えばテーブル、床、又は棚から採取されてもよい。これは、例えば、試料収集部の前面が対象物に面した状態で、試料収集部を対象物の表面上でスワイプすることによって行われてもよい。次いで、試料収集部上の汚れの量の測定値は、表面が、どれほど汚れているかを表すものとして見てもよい。本明細書では、正確な測定を実現するために、試料の収集を標準化することができ、例えば、試料収集部は、各測定に対して特定の距離だけスワイプされることを理解されたい。新規又は清掃された試料収集部もまた、各測定のために使用され得る。
【0009】
試料収集部は、マイクロファイバクロスであってもよいことを理解されたい。試料収集部としてマイクロファイバクロスを受容するように装置を構成する利点は、清掃処理に装置を組み入れることが容易であることである。ほとんどの清掃器は、マイクロファイバクロスを保持しており、汚れの試料を採取するために使用されるマイクロファイバクロスを、測定が行われた後の継続的な清掃のために使用してもよい。以下では、本発明を、主に試料収集部がマイクロファイバクロスであるという文脈で説明する。しかしながら、他の試料収集部、例えばマイクロファイバ表面を有する堅い試料収集部も使用し得ることを理解されたい。試料収集部の前側及び裏側は、試料収集部の対向する両側、例えばマイクロファイバクロスの対向する両側を指し得ることを理解されたい。
【0010】
第1の態様による装置の利点は、汚れの量の正確な測定を提供することである。本発明の実現は、表面の汚れが、表面の表面抵抗率を変化させ得ることである。例えば、マイクロファイバクロスは、静電気を使用して汚れを集めることができ、静電気の量は、収集した汚れの量に反比例し得る。静電気は、課題のシステムの抵抗率に比例し得る。表面は、表面が汚れているとき、電流を容易に伝導することができ、結果、抵抗が減少する。したがって、汚れは、試料収集部の表面上に導電性経路を形成し得る。当業者によって容易に理解されるように、表面上の2つの接触間の抵抗を測定することによって、表面抵抗率は、抵抗、並びに接触の寸法及び間隔に基づいて評価され得る。したがって、本発明の概念によれば、試料収集部の表面上の抵抗測定値を使用して、第1の接触と第2の接触との間において、試料収集部上に位置する汚れの量を測定し得る。したがって、この値は、試料が採取されたときに、対象物が、どれほど汚れているかに関連し得る。本発明の更なる実現は、汚れ評価のための抵抗測定が、試料収集部に関連する他の導電性経路、例えば試料収集部を通る、又は前面以外の試料収集部の他の表面上の導電性経路によって影響を受け得ることである。
【0011】
本発明者は、試料収集部の裏面上に導電性表面を配置することにより、精度を向上し得ることを見出した。抵抗読み取りは、導電性表面が裏面に配置されたときに、安定し、及び/又は再現可能になり得る。導電性表面のない抵抗測定中、電流は、一方の接触から、試料収集部の前面に沿って、他方の接触まで流れ、この電流経路を使用して汚れの量を測定し得る。しかしながら、電流はまた、試料収集部の場合、接触の1つを通って、試料収集部を通って、試料収集部の場合裏側に沿って、更に試料収集部を再び通って、他方の接触まで流れることが可能である。導電性表面を使用してこの電流経路を短絡することにより、測定を改善することが可能である。導電性表面が裏面に電荷を再分配することも可能である。導電性表面は、第1の接触と第2の接触との間の全抵抗を低下させ、それによって抵抗計が正確である範囲に抵抗をシフトさせることも可能である。
【0012】
前面上の第1の接触点を横切る試料収集部の裏面上の点は、第1の接触点で始まり、第1の接触点で前面に対する法線方向に試料収集部を通過し、裏面上で終了するベクトルによって示される裏面上の点として定義され得ることを理解されたい。前面上の第2の接触点を横切る試料収集部の裏面上の点は、同様に定義され得ることを理解されたい。
【0013】
接触と試料収集部との間の少なくとも1つの接触点が、試料収集部の横方向側の対応する接触点を有することを確保することによって、接触と導電性表面との間の短絡した電流経路が確保され得る。これにより、試料を流れる電流の抵抗を低減することができ、測定の精度を向上させることができる。また、導電性表面が、試料収集部の横方向側の第1の接触及び第2の接触と少なくとも部分的に重なることを確保し得る。これは、試料収集部の裏側の対応する低抵抗電流経路を確保することができ、その電流経路は、試料収集部の裏面に接触しても、しなくてもよい。そのような電流経路は、裏側電流経路の短絡、及び/又は裏面上の電荷の再分配を助け得る。
【0014】
第1の態様による装置の別の利点は、汚れの量の汎用測定を提供することである。抵抗は、試料収集部上の有機汚れ及び無機汚れの両方によって影響を受ける可能性がある。したがって、装置は、有機汚れ及び無機汚れの両方を測定するために使用され得る。更に、測定は、例えば目視による検査又はUV光とは対照的に、定量的であってもよい。
【0015】
第1の態様による装置の別の利点は、汚れの量の迅速な測定を提供することである。抵抗測定は、例えば、進行する時間を有する反応に依存する化学的方法よりも、迅速である可能性がある。装置はまた、非熟練者の使用に対しても十分に単純である。試料は、離れた研究室又は測定施設に送る必要がなく、時間を節約し得る。
【0016】
第1の態様による装置の別の利点は、汚れの量の安価な測定を提供することである。装置は、標準的な電気部品で作られてもよく、製造が安価になる。
【0017】
受容部は、試料収集部が第1の接触及び第2の接触の上部に受容されるように構成されてもよく、受容部は、例えば、第1の接触と第2の接触との間の領域と共に、第1の接触及び第2の接触を備えてもよいことを理解されたい。受容部はまた、試料収集部が導電性表面の上部に受容されるように構成されてもよく、受容部は、例えば導電性表面であってもよい。
【0018】
汚れの試料は、例えば静電気によって、試料収集部の前面に静電的に付着させてもよいことを理解されたい。
【0019】
第1の接触は、前面に対する最小接触領域、例えば、0.5cm2、1cm2、又は5cm2の最小接触領域を有してもよいことを理解されたい。第2の接触もまた、前面に対する最小接触領域、例えば、0.5cm2、1cm2、又は5cm2の最小接触領域を有してもよい。第1の接触及び第2の接触は、最小離隔距離を有してもよく、最小離隔距離は、例えば、0.5cm、1cm又は5cmである。第1の接触及び第2の接触は、互いに平行であってもよい。第1の接触及び第2の接触は、接触間の離隔方向と直交する方向において、同じ長さを有してもよい。その長さは、例えば1cm、2cm又は5cmの最小値を有してもよい。例えば、2つの平行な接触の長さと、接触間の離隔距離との積によって定義される接触間の測定領域は、例えば、0.5cm2、5cm2、又は20cm2の最小領域を有してもよい。そのような接触測定は、汚れの抵抗測定に特に適し得る。
【0020】
第1の接触及び第2の接触の形状は、導電性表面の形状に適合し得ることを理解されたい。導電性表面は、例えば、凸状表面を形成してもよく、例えば、その凸状表面の上に垂れ下がったマイクロファイバクロスの裏側を接続する球状の凸状であってもよい。第1の接触及び第2の接触が、吊り下げられたマイクロファイバクロスの前側を接続した場合、第1の接触及び第2の接触は、凸状表面に一致する凹状形状を有してもよい。
【0021】
位置調整部は、装置の機械的構成であってもよく、その装置は、導電性表面が第1の接触及び第2の接触に対して配置されることを確保しつつ、導電性表面を移動させて、受容した試料収集部の裏面に接触させることを理解されたい。また、位置調整部は、装置の機械的構成であってもよく、その装置は、第1の接触及び第2の接触が導電性表面に対して正確に配置されることを確保しつつ、第1の接触及び第2の接触を移動させて、受容した試料収集部の前面に電気的に接触させることを理解されたい。
【0022】
また、位置調整部は、眼のためのガイド、又はユーザの接触のためのガイドであってもよく、そのガイドは、第1の接触と第2の接触、試料収集部と導電性表面の互いに対して正確な配置を確保することを理解されたい。例えば、第1の接触及び第2の接触は、プレート上に配置されてもよく、試料収集部は、第1の接触及び第2の接触上のそのプレート上に載置されてもよい。次いで、保持器は、導電性表面の1つ又は複数の縁部、あるいは導電性表面のキャリアに対応する、線又は突起の形態である1つ又は複数のガイドを備えてもよい。導電性表面又はキャリアの全周囲もまた、輪郭が描かれてもよい。したがって、導電性表面が、1つ又は複数のガイドに従って試料保持器の上部に載置された場合、導電性表面は、これらが見えなくても、下にある接触に対して正しく配置され得る。
【0023】
抵抗計は、例えばオーム計であってもよいことを理解されたい。また、第1の接触及び第2の接触と共に、抵抗計は、抵抗率計を形成してもよいことも理解されたい。表面抵抗率は、例えば、抵抗と、接触の長さとの積を、接触間の離隔距離で割ったものでもよい。
【0024】
本発明の概念によれば、位置調整部は、
第1の接触及び第2の接触が取り付けられる前部分と、
導電性表面が取り付けられる裏部分と、
前部分を裏部分に機械的に接続するヒンジであって、ヒンジが、裏部分に対する前部分の回転動作を可能にし、ヒンジが、
受容部が試料収集部を自由に受容することができる回転開位置と、
導電性表面が、受容した試料収集部の裏面に接触している回転閉位置と、
を有するヒンジと、
を備え、
ヒンジが回転閉位置にある場合、前部分、裏部分、及びヒンジが、導電性表面を、受容した試料収集部の裏面に接触して配置するように構成される。
【0025】
このような位置調整部を有する装置は、ユーザフレンドリである。装置は、単一のユニットとして構成されてもよい。導電性表面を、第1の接触及び第2の接触と位置合わせすることは、最小限の思考労力で行うことができる。導電性表面を、第1の接触及び第2の接触と位置合わせすることは、片手の動作で行うことができる。このような位置調整部を有する装置は正確である。導電性表面の動作を単一の回転動作に制限することは、誤差の余地を相当少なくする可能性がある。
【0026】
前部分、裏部分、又はヒンジの少なくとも一部は、電気的に絶縁性であってもよいことを理解されたい。これにより、試料収集部をバイパスする接触間の電流経路を防止することができる。
【0027】
ヒンジ及び導電性表面は、第1の接触及び第2の接触を含む平面の両側に配置されてもよい。したがって、回転動作の枢動点、及び導電性表面は、第1の接触及び第2の接触を含む平面の両側に配置されてもよい。これは、第1の接触及び第2の接触に対して受容した試料収集部を移動させることなく、受容した試料収集部の裏面に接触するように導電性表面を容易に移動することができるので、有利であり得る。
【0028】
本発明の概念によれば、導電性表面が、位置調整部によって配置された場合、試料収集部/導電性表面界面(SC/ECS界面)が、
試料収集部/第1の接触界面(SC/1C界面)の横方向の表現と、
試料収集部/第2の接触界面(SC/2C界面)の横方向の表現と、
をカバーするように、導電性表面及び位置調整部が、構成されてもよく、
SC/ECS界面が、導電性表面に接触している受容した試料収集部の裏面間の界面を表現し、
SC/1C界面が、第1の接触に接触している受容した試料収集部の前面間の界面を表現し、SC/1C界面の横方向の表現が、前面から裏面へのSC/1C界面の横方向の移動によって画定される裏面上の領域であり、
SC/2C界面が、第2の接触に接触している受容した試料収集部の前面間の界面を表現し、SC/2C界面の横方向の表現が、前面から裏面へのSC/2C界面の横方向の移動によって画定される裏面上の領域である。
【0029】
実験は、そのような位置調整部を有する装置が正確であることを示している。前面のSC/1C界面及びSC/2C界面が、試料収集部と裏面の導電性表面との間に対応する界面を有することを確保することによって、接触が試料収集部に触れるすべての点について、試料収集部を通る短絡した電流経路を確保することができる。これにより、試料を流れる電流の抵抗を低減することができ、測定の精度を向上させることができる。また、導電性表面が試料収集部の横方向側の第1の接触及び第2の接触と完全に重なることを確保し得る。これは、試料収集部の裏側上の対応する低抵抗電流経路を確保することができ、その電流経路は、第1の接触と第2の接触との間のすべての点で、試料収集部の裏面に接触しても、しなくてもよい。そのような電流経路は、裏側電流経路の短絡、及び/又は裏面上の電荷の再分配を助け得る。
【0030】
前面から裏面へのSC/1C界面の横方向の移動は、前面上のSC/1C界面の各点が、前記点の前面に対する法線に沿って前面から、試料収集部を通って、裏面上の対応する点まで移動することとして定義されてもよく、裏面上のすべての対応する点は、SC/1C界面の横方向の表現を構成することを理解されたい。前面から裏面へのSC/2C界面の横方向の移動は、同様に定義され得る。
【0031】
導電性表面及び位置調整部は、導電性表面が、位置調整部によって配置された場合、試料収集部/導電性表面界面(SC/ECS界面)が、
試料測定領域の横方向の表現を更にカバーするように構成されてもよく、
試料測定領域が、第1の接触と第2の接触との間に延在する試料収集部の前面上の領域であり、試料測定領域の横方向の表現が、前面から裏面への試料測定領域の横方向の移動によって画定される裏面上の領域である。
【0032】
実験は、そのような位置調整部を有する装置が正確であることを示している。SC/ECS界面が、試料測定領域の横方向の表現を更にカバーすることは、第1の接触と第2の接触との間にある裏面領域上部の任意の点の電荷が、接触の上の点に効果的に再分配され得ることを確保することであり得る。その後、電荷は試料収集部を通って短い距離を移動して、接触に到達し得る。
【0033】
試料測定領域の横方向の表現は、前記点で前面に対する法線に沿って、試料収集部を通って、裏面上の対応する点に移動される試料測定領域の各点として定義され得、裏面上のすべての対応する点が試料測定領域の横方向の表現を構成することを理解されたい。
【0034】
本発明の概念によれば、装置が、
第1の接触及び第2の接触が前面に接触して載置され、更に導電性表面が裏面に接触して載置された場合、導電性表面と、第1の接触及び第2の接触のうちの少なくとも一方と、によって、試料収集部に作用する圧力を設定するように構成される接触圧力制御部を更に備える。
【0035】
接触圧力制御部を備える装置は正確である。導電性表面及び接触によって試料収集部に作用する圧力は、接触から試料収集部を通って導電性表面までの電流経路の抵抗に影響を及ぼし得る。例えば、試料収集部が導電性表面と接触との間に挟まれた場合、作用する圧力は、試料収集部が、どれほど圧縮されるかに影響を及ぼし、これは次に抵抗に影響を及ぼし得る。したがって、ある測定から別の測定まで、同じ圧力に設定すると、測定の再現性を向上させ得る。
【0036】
接触圧力制御部は、接触と導電性表面との間の最小距離を設定するスペーサであってもよいことを理解されたい。スペーサは、例えば、回転動作を制限する位置調整部の前部分又は裏部分のスペーサであってもよい。圧力制御部は、圧力を測定及び設定する能動装置であってもよいことも理解されたい。
【0037】
導電性表面は浮遊導体であってもよいことを理解されたい。したがって、導電性表面の電位は、接地から電気的に切断され、電源から電気的に切断されるように、電気的に浮遊していてもよい。これにより、第1の接触からのすべての電流経路が、第2の接触に至ること、及びその逆が確保され得る。これにより、正確な測定を確保し得る。
【0038】
装置の表面、つまり第1の接触から第2の接触に到達する表面は、電気的に浮遊していてもよいことを理解されたい。したがって、第1の接触から第2の接触に到達する表面は、接地から電気的に切断され、電源から電気的に切断され得る。これにより、第1の接触からのすべての電流経路が、第2の接触に至ること、及びその逆が確保され得る。これにより、正確な測定を確保し得る。
【0039】
試料収集部は、マイクロファイバクロスであってもよいことを理解されたい。したがって、本発明の一態様によれば、マイクロファイバクロスの汚れの量を測定するための装置を提供し、装置が、
試料収集部を受容するように構成される受容部であって、試料収集部が、マイクロファイバクロスであり、試料収集部が、前面及び裏面を有し、汚れの試料が試料収集部の前面に付着する、受容部と、
第1の接触点で、受容した試料収集部の前面に接触して載置されるように構成される第1の接触と、第2の接触点で、受容した試料収集部の前面に接触して載置されるように構成される第2の接触であって、第1の接触及び第2の接触が導電性である、第1の接触及び第2の接触と、
導電性表面と、
導電性表面を、受容した試料収集部の裏面に接触して配置するように構成される位置調整部であって、導電性表面が位置調整部によって配置された場合、
導電性表面の第1の部が、前面上の第1の接触点を横切る点において試料収集部の裏面に接触して載置され、且つ
導電性表面の第2の部が、前面上の第2の接触点を横切る点において試料収集部の裏面に接触して載置される、位置調整部と、
第1の接触と第2の接触との間の電気抵抗を測定するように構成される抵抗計と
を備え、
第1の接触及び第2の接触が前面に接触して載置され、導電性表面が裏面に接触して載置された場合、第1の接触と第2の接触との間の測定した電気抵抗が、汚れの試料の汚れの量を表し、表した汚れの量が、第1の接触と第2の接触との間の試料収集部の前面に位置する。
【0040】
本発明の第2の態様によれば、汚れの量を測定するためのシステムを提供し、システムは、
本発明の第1の態様による装置と、
測定した電気抵抗と、第1の接触と第2の接触との間の試料収集部の前面に位置する汚れの量と、の間の関係を記憶するように構成されるメモリと、
抵抗計から、測定した電気抵抗を受け取り、
メモリから関係を受け取り、且つ
測定した電気抵抗及び関係を使用して汚れの量を計算する
ように構成されるプロセッサと
を備える。
【0041】
この第2の態様の効果及び特徴は、全般に、第1の態様に関連して上述したものと類似している。第1の態様に関して述べた実施形態は、第2の態様と概して互換性がある。
【0042】
更なる利点は、システムが使いやすいことである。抵抗は汚れの量に反比例し得るが、システムは、汚れの量に比例する値を計算し得る。
【0043】
メモリ及び/又はプロセッサは、装置内又は別の装置内、例えば携帯電話又はサーバ内に位置してもよいことを理解されたい。
【0044】
この関係は、様々な汚れの量に関して測定した較正値のセットであってもよいことを理解されたい。また、この関係は、汚れの量に応じて、抵抗が、どれほど変動するかに関する経験的又は理論的モデルであってもよいことを理解されたい。
【0045】
本発明の第3の態様によれば、汚れの量を測定するための方法を提供し、方法が、
試料収集部を受容することであって、試料収集部が前面及び裏面を有し、汚れの試料が試料収集部の前面に付着する、受容することと、
第1の接触点で、受容した試料収集部の前面に接触して第1の接触を載置することと、第2の接触点で、受容した試料収集部の前面に接触して第2の接触を載置することと、
受容した試料収集部の裏面に接触して導電性表面を配置することであって、導電性表面が配置された場合、
導電性表面の第1の部が、前面上の第1の接触点を横切る点において試料収集部の裏面に接触して載置され、且つ
導電性表面の第2の部が、前面上の第2の接触点を横切る点において試料収集部の裏面に接触して載置される、配置することと、
第1の接触と第2の接触との間の電気抵抗を測定することと
を含み、
第1の接触及び第2の接触が、前面に接触して載置され、導電性表面が、裏面に接触して配置された場合、第1の接触と第2の接触との間の測定した電気抵抗が、汚れの試料の汚れの量を表し、表した汚れの量が、第1の接触と第2の接触との間の試料収集部の前面に位置する。
【0046】
この第3の態様の効果及び特徴は、全般に、第1の態様に関連して上述したものと類似している。第1の態様に関して述べた実施形態は、第2の態様と概して互換性がある。
【0047】
本発明の第3の態様の方法によれば、試料収集部/導電性表面界面(SC/ECS界面)が、
試料収集部/第1の接触界面(SC/1C界面)の横方向の表現と、
試料収集部/第2の接触界面(SC/2C界面)の横方向の表現と、をカバーするように、導電性表面が、配置されてもよく、
SC/ECS界面が、導電性表面に接触している受容した試料収集部の裏面間の界面を表現し、
SC/1C界面が、第1の接触に接触している受容した試料収集部の前面間の界面を表現し、SC/1C界面の横方向の表現が、前面から裏面へのSC/1C界面の横方向の移動によって画定される裏面上の領域であり、
SC/2C界面が、第2の接触に接触している受容した試料収集部の前面間の界面を表現し、SC/2C界面の横方向の表現が、前面から裏面へのSC/2C界面の横方向の移動によって画定される裏面上の領域である。
【0048】
本発明の第3の態様の方法によれば、試料収集部/導電性表面界面(SC/ECS界面)が、試料測定領域の横方向の表現を更にカバーするように、導電性表面が配置されてもよく、
試料測定領域が、第1の接触と第2の接触との間に延在する試料収集部の前面上の領域であり、
試料測定領域の横方向の表現が、前面から裏面への試料測定領域の横方向の移動によって画定される裏面上の領域である。
【0049】
本発明の第3の態様の方法は、
第1の接触及び第2の接触が前面に接触して載置され、更に導電性表面が裏面に接触して載置された場合、導電性表面と、第1の接触及び第2の接触のうちの少なくとも一方と、によって、試料収集部に作用する圧力を設定するように接触圧力を制御することを更に含み得る。
【0050】
本発明の第3の態様の方法は、
抵抗計から、測定した電気抵抗を受け取ることと、
測定した電気抵抗と、第1の接触と第2の接触との間の試料収集部の前面に位置する汚れの量と、の間の関係を受け取ることと、
測定した電気抵抗及び関係を使用して汚れの量を計算することと、
を更に含む。
【0051】
前述のように、試料収集部はマイクロファイバクロスであってもよい。したがって、本発明の一態様によれば、マイクロファイバクロスの汚れの量を測定するための方法を提供し、方法が、
試料収集部を受容することであって、試料収集部が、マイクロファイバクロスであり、試料収集部が、前面及び裏面を有し、汚れの試料が試料収集部の前面に付着する、受容することと、
第1の接触点で、受容した試料収集部の前面に接触して第1の接触を載置することと、第2の接触点で、受容した試料収集部の前面に接触して第2の接触を載置することと、
受容した試料収集部の裏面に接触して導電性表面を配置することであって、導電性表面が配置された場合、
導電性表面の第1の部が、前面上の第1の接触点を横切る点において試料収集部の裏面に接触して載置され、且つ
導電性表面の第2の部が、前面上の第2の接触点を横切る点において試料収集部の裏面に接触して載置される、配置することと、
第1の接触と第2の接触との間の電気抵抗を測定することと
を含み、
第1の接触及び第2の接触が前面に接触して載置され、導電性表面が裏面に接触して配置された場合、第1の接触と第2の接触との間で測定した電気抵抗が、汚れの試料の汚れの量を表し、表した汚れの量が、第1の接触と第2の接触との間の試料収集部の前面に位置する。
【0052】
本発明の第4の態様によれば、部品のキットを提供し、部品のキットが、
前面及び裏面を備える試料収集部であって、対象物が試料収集部の前面で拭き取られた場合、試料収集部が、対象物から汚れの試料を収集するように構成され、試料収集部が、1つ又は複数の電気抵抗特性を有する、試料収集部と、
本発明の第2の態様によるシステムと
を備え、
システムのメモリに記憶された関係、すなわち、測定した電気抵抗と、第1の接触と第2の接触との間の試料収集部の前面に位置する汚れの量と、の間の関係が、試料収集部の少なくとも1つの電気抵抗特性を含む。
【0053】
この第4の態様の効果及び特徴は、全般に、第1、第2及び第3の態様に関連して上述したものと類似している。第1の態様に関して述べた実施形態は、全般に、第1、第2、及び第3の態様と互換性がある。
【0054】
部品のキットは、汚れの量の正確な測定値を提供する。異なる種類の試料収集部、例えば異なる製造業者によって製造されたマイクロファイバクロスは、異なる抵抗特性を有し得る。したがって、両方の試料収集部が同じ量の汚れを含む場合であっても、1つの試料収集部での抵抗測定が1つの結果をもたらし得る一方で、別の試料収集部での抵抗測定が別の結果をもたらす場合がある。メモリに記憶された関係と一致する試料収集部を使用することにより、汚れの量の正確な測定を確保し得る。
【0055】
抵抗特性は、例えば、2つ以上の汚れレベルでの試料収集部の測定から予想される抵抗に関するデータの較正セットであってもよいことを理解されたい。データの較正セットは、2つ以上の汚れレベルにおいて、試料収集部又は同等の試料収集部での較正測定によって取得され得る。データの較正セットは、測定に使用される装置で、又は同等の装置で、取得されてもよい。次いで、測定した抵抗を、データの較正セットからの2つ以上のデータ点と比較し、測定した抵抗によって表される汚れの量を、例えば2つ以上のデータ点からの内挿又は外挿によって計算してもよい。データの較正セットは、必ずしも測定されなくてもよいことを理解されたい。これは、例えば、最初から計算されてもよく、又は別のデータの較正セットから計算されてもよい。例えば、特定の厚さのマイクロファイバクロスに関するデータの較正セットを使用して、同じ材料であるが例えば2倍の厚さである別のマイクロファイバクロスのデータの較正セットを計算してもよい。
【0056】
抵抗特性は、例えば清浄な試料収集部の表面抵抗率又は体積抵抗率の測定値又は推定値であってもよいことも理解されるべきである。
【0057】
本発明の概念は、部品のキットを網羅し、部品のキットが、
前面及び裏面を備える試料収集部であって、対象物が試料収集部の前面で拭き取られた場合、試料収集部が、対象物から汚れの試料を収集するように構成され、試料収集部が、1つ又は複数の電気抵抗特性を有する、試料収集部と、
本発明の第1の態様による装置と、
を備える。
【0058】
本発明の概念によれば、部品のキットの試料収集部は、マイクロファイバクロスであってもよい。
【0059】
そのような部品のキットは、正確な測定値を提供し得る。マイクロファイバクロスは、静電気を利用して汚れを集めることができ、静電気の量は、収集した汚れの量に反比例し、静電気は、測定した抵抗に比例し得る。
【0060】
このような部品のキットも安価である。マイクロファイバクロスは安価に製造し得る。それらはまた、ほとんどの専門的な清掃者によって携帯され、使用され得る。
【0061】
本発明の概念によれば、マイクロファイバクロスの1平方メートル当たりの重さは、閾値を下回る場合があり、ここで、閾値は600g/m2である。
【0062】
1平方メートル当たりの重さが軽いマイクロファイバクロスは、第1の接触と導電性表面との間にマイクロファイバ材料がほとんどないことを確保し得る。これにより、マイクロファイバクロスを通る電流経路の抵抗が小さくなり、測定の精度を向上させることができる。
【0063】
他の閾値、例えば400g/m2、又は250g/m2も使用し得ることを理解されたい。
【0064】
部品のキットが、ブロックを更に備えてもよく、ブロックの平坦面が、対象物の平坦面上で拭き取られた場合、マイクロファイバクロスが、ブロックの平坦面と対象物の平坦面との間に押し付けられるように、ブロックが、平坦面上にマイクロファイバクロスを受容するように構成される。
【0065】
これにより、汚れの試料がマイクロファイバクロス上に均一に分散されることを確保し得る。これにより、測定の精度及び再現性を向上させることができる。
【0066】
本発明の概念の上記、並びに追加の目的、特徴及び利点は、添付の図面を参照して、以下の例示的で、非限定的な詳細な説明を通して良好に理解されるであろう。図面において、特に明記しない限り、同様の参照番号が同様の要素に使用される。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【
図3】マイクロファイバクロス及びブロックを示す図である。
【
図6】受容したマイクロファイバクロスを有する装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0068】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の技術的内容及び詳細な説明を、好ましい実施形態に従って説明するが、これらは特許請求の範囲を限定するために用いるものではない。本発明は、多くの様々な形態で具体化されてもよく、本明細書に記載の実施形態に限定されると解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、徹底性及び完全性のために提供され、本発明の範囲を当業者に完全に伝える。
【0069】
図1は、マイクロファイバクロス40’の形態の試料収集部40を示している。マイクロファイバクロス40’は、前面42及び裏面44を有する。汚れ50は、マイクロファイバクロス40’の前面に集められる。
【0070】
図2及び
図3は、汚れの試料を収集するために、対象物52の表面上で拭き取るマイクロファイバクロス40’を示しており、図中の対象物はテーブルである。拭き取り中、マイクロファイバクロス40’の前面42は、評価対象の対象物表面に面する。
【0071】
図3では、汚れの試料を収集する際に、ブロック46を使用している。図示では、ブロック46は本明細書では直方体であり、マイクロファイバクロス40’は、前記直方体の周りに巻き付けられている。
【0072】
図4及び
図5は、汚れ50の量を測定するための装置1の斜視図である。図示の装置1は、第1の接触11と、第2の接触12と、導電性表面14と、を備える。図示の装置は、平坦な導電性表面14を有する。図示の装置1は、前部分22と、裏部分24と、ヒンジ26と、を有する位置調整部20を更に備える。図示の装置1では、前部分22は、抵抗計30などの電子部品を保持する。抵抗計30は、第1の接触11と第2の接触12との間の電気抵抗を測定し得るように、第1の接触11及び第2の接触12に電気的に接続される。図示の装置1では、裏部分24は、導電性表面14をヒンジ26に電気的に接続する2つの電気絶縁アームを備える。
【0073】
図示の装置1は、マイクロファイバクロス40’を受容するための受容部2を有する。受容部2は、本明細書では前部分22上の平坦領域であり、その平坦領域は、第1の接触11及び第2の接触12を備える。第1の接触11及び第2の接触12は、平坦領域からわずかに突出してもよい。しかしながら、一部の実施形態では、接触は、突出していなくてもよい。
【0074】
図4は、位置調整部20のヒンジ26が回転開位置にある場合の装置を示し、
図5は、位置調整部20のヒンジ26が回転閉位置にある場合の装置を示している。回転開位置では、受容部2は、マイクロファイバクロス40’を自由に受容し得る。本明細書では、マイクロファイバクロス40’は、マイクロファイバクロス40’が受容部2上に載置される際に、受容され、マイクロファイバクロス40’の前面42が、第1の接触11及び第2の接触12に面する状態で、第1の接触11及び第2の接触12の両方をカバーし得る。ヒンジ26が回転閉位置にあるとき、導電性表面14は、第1の接触11及び第2の接触12に近接して移動する。
【0075】
図6は、マイクロファイバクロス40’を受容している装置1を示しており、ヒンジ26を回転閉位置にすることによって、導電性表面14は、第1の接触11及び第2の接触12と位置合わせされている。この位置において、マイクロファイバクロス40’は、受容部2と導電性表面14との間に挟まれる。図示では、第1の接触11及び第2の接触12は、マイクロファイバクロス40’の前面42と完全に接触している。第1の接触11と第2の接触12との間にあるマイクロファイバクロス前面42の部分、すなわち接触の離隔に対応する幅、及び接触の長さに対応する長さを有する領域は、測定領域を画定する。測定領域上の汚れ50は、測定に影響を及ぼし得る。したがって、測定値は、この測定領域内の汚れ50の量を表し得る。第1の接触11とマイクロファイバクロス40’との間の界面、第2の接触12とマイクロファイバクロス40’との間の界面、及び測定領域は、表面抵抗率測定の対象表面を表す。この対象表面がマイクロファイバクロス40’に対する法線に沿って移動した場合、その移動は、前面から裏面へ、であり、対象表面の横方向の表現が形成される。対象表面の横方向の表現内の裏面44上の電荷又は電流は、測定に影響を及ぼし得る。図示では、導電性表面14は、この全領域内でマイクロファイバクロス裏面44との界面を形成することによって、すなわちこの全領域内でマイクロファイバクロス裏面44に接触することによって、対象表面のこの横方向の表現をカバーする。
【0076】
図7は、装置1の背面図であり、
図8は、装置1の側面図である。
図8の挿入図は、第2の接触12に対する導電性表面14の拡大図を示している。上記の図のいくつか、例えば
図6及び
図8では、装置1は、接触と導電性表面14との間の最小距離を設定するスペーサの形態の接触圧力制御部60を備える。マイクロファイバクロス40’が所定の厚さに圧縮されるように使用されるマイクロファイバクロス40’の厚さよりも、この最小距離は、小さくてもよい。しかしながら、装置は、接触圧力制御部60なしでも機能し得ることを理解されたい。
【0077】
図9は、メモリ70及びプロセッサ72を有する装置1の形態のシステム90を示している。プロセッサは、測定した電気抵抗を抵抗計から受け取り、メモリから関係を受け取ることができ、その関係は、第1の接触と第2の接触との間の試料収集部の前面に位置する汚れの量に、測定した電気抵抗が、どれほど依存するかを定義する。プロセッサは、続いて、測定した電気抵抗及び関係を使用して汚れの量を計算し得る。
【0078】
図10は、装置1と、メモリ70と、プロセッサ72と、を備えるシステム90を示している。メモリ70及びプロセッサ72は、本明細書では、図示のように、外部装置、例えばサーバ又は携帯電話に位置する。装置は、例えば無線通信によって、プロセッサ72及び/又はメモリと通信し得る。
【0079】
図11は、汚れ50の量を測定するための方法100のフローチャートである。方法は、ステップS102、S104、S106及び任意選択のステップS108、S110、S12、S114を含む。方法100のステップは、必ずしも以下の順序で実施される必要はない。方法100によれば、S102で、試料収集部40が受容される。試料収集部40は、S102で、例えば、前面42が第1の接触11及び第2の接触12に面する状態で、装置1によって受容され得る。方法100によれば、S104で、第1の接触11及び第2の接触12は、受容した試料収集部40の前面42と接触して載置される。これは、例えば、試料収集部40が第1の接触11及び第2の接触12に載置されるか、又は試料収集部40が第1の接触11及び第2の接触12に押し付けられることによって、行われてもよい。S106で、例えば、導電性表面14を第1の接触11及び第2の接触12に位置合わせすることによって、導電性表面14を配置する。第1の接触11に位置合わせすることは、例えば、導電性表面14が裏面44に載置される又は押し付けられることを確保することによって行われてもよく、これにより、第1の接触11が試料収集部40に押し付けられる一箇所において、導電性表面14は、試料収集部40の横方向側で試料収集部40に同時に押し付けられる。第2の接触12に位置合わせすることは、例えば、導電性表面14が裏面44に載置される又は押し付けられることを確保することによって行われてもよく、これにより、第2の接触12が試料収集部に押し付けられる一箇所において、導電性表面14は、試料収集部40の横方向側で試料収集部40に同時に押し付けられる。
【0080】
上記に加えて、方法100は、任意選択で、以下のステップを含んでもよい。S108で、接触圧力は、例えば、導電性表面14と、第1の接触11及び/又は第2の接触12との間の距離を設定することによって、制御されてもよい。更にS110で、測定した電気抵抗を受け取ってもよい。S112で、関係が更に受け取られてもよく、その関係は、測定した電気抵抗と、第1の接触11と第2の接触12との間の試料収集部40の前面42に位置する汚れ50の量と、の間の関係である。S114で、汚れ50の量は、例えば、測定した電気抵抗を関係と比較することによって、プロセッサ72において計算されてもよい。
【0081】
上記では、本発明の概念を、限られた数の例を参照して主に説明している。しかしながら、当業者によって容易に理解されるように、添付の特許請求の範囲によって規定されるように、上記で開示されたもの以外の他の例も、本発明の概念の範囲内で等しく可能である。