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特許7473636固体物品を収容する生分解性及び/又は家庭で堆肥化可能な小袋
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】固体物品を収容する生分解性及び/又は家庭で堆肥化可能な小袋
(51)【国際特許分類】
   B65D 65/46 20060101AFI20240416BHJP
   C11D 17/06 20060101ALI20240416BHJP
   C11D 17/04 20060101ALI20240416BHJP
   C11D 3/37 20060101ALI20240416BHJP
   C11D 3/22 20060101ALI20240416BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20240416BHJP
   B65D 75/30 20060101ALI20240416BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALN20240416BHJP
   A61K 8/73 20060101ALN20240416BHJP
   A61K 8/81 20060101ALN20240416BHJP
   A61K 8/365 20060101ALN20240416BHJP
   A61K 8/49 20060101ALN20240416BHJP
   A61K 8/46 20060101ALN20240416BHJP
   A61K 8/36 20060101ALN20240416BHJP
【FI】
B65D65/46
C11D17/06
C11D17/04
C11D3/37
C11D3/22
B32B27/00 H
B65D75/30
A61Q19/10
A61K8/73
A61K8/81
A61K8/365
A61K8/49
A61K8/46
A61K8/36
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2022520470
(86)(22)【出願日】2020-10-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-08
(86)【国際出願番号】 US2020070665
(87)【国際公開番号】W WO2021077133
(87)【国際公開日】2021-04-22
【審査請求日】2022-04-01
(31)【優先権主張番号】62/914,972
(32)【優先日】2019-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ステファノ バルトルッチ
(72)【発明者】
【氏名】エミリー シャーロット ボズウェル
(72)【発明者】
【氏名】スアンヌ リー
【審査官】小原 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-504236(JP,A)
【文献】特表2011-510065(JP,A)
【文献】特表2012-515835(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 65/46
C11D 17/06
C11D 17/04
C11D 3/37
C11D 3/22
B32B 27/00
B65D 75/30
A61Q 19/10
A61K 8/73
A61K 8/81
A61K 8/365
A61K 8/49
A61K 8/46
A61K 8/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続気泡発泡体を含む固体物品と、表面フィルム及び裏面フィルムを含む生分解性及び/又は家庭で堆肥化可能な小袋とを含む小袋製品であって
前記表面フィルム及び前記裏面フィルムは、
a.セルロース、酢酸セルロース、金属化セルロース、金属化酢酸セルロースおよびこれらの組みあわせからなる群から選択される材料を含む表面中間層及び裏面中間層と、
b.前記表面中間層に接合された表面内層及び前記裏面中間層に接合された裏面内層であって、ポリビニルアルコール、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリヒドロキシルアルカノエート、ポリ塩化ビニリデン、カルナバワックス、生分解性熱可塑性デンプン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される内層材料を含む、表面内層及び裏面内層と、
を含み
前記小袋は、38℃および90%RHにおいて12~800g/m 2 /日のMVTRを含み
前記表面内層および裏面内層がポリビニルアルコールを含む際に、前記表面内層および裏面内層は10μm~150μmの厚さを有し
前記表面内層及び前記裏面内層が、外周の周りで恒久的に接合されてシール部を形成しており、前記シール部は、連続気泡発泡体を含む固体物品を格納するように適合された区画を形成し
前記連続気泡発泡体は、
前記物品の総重量の10%~40%の水溶性ポリマーと、
前記物品の総重量の5%~80%の、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される界面活性剤と、
を含み
前記連続気泡発泡体は、
明細書に記載の試験7にしたがって測定したときに、80%~100%の連続気泡含有率と、
明細書に記載の試験6にしたがって測定したときに、100μm~2000μmの全体平均孔径と、
を有する、
小袋製品。
【請求項2】
前記表面内層および裏面内層は10μm~150μmの厚さを有する、請求項1に記載の小袋製品。
【請求項3】
前記表面フィルム及び前記裏面フィルムが、前記表面中間層に接合された表面外層と、前記裏面中間層に接合された裏面外層と、を更に含み、前記表面外層及び前記裏面外層が、生分解性ワックスを含む、請求項1に記載の小袋製品。
【請求項4】
前記小袋は、表面中間層に接合された表面外層と、裏面中間層に接合された裏面外層とをさらに含み、前記表面外層および裏面外層は、85%超のセルロース含有量を有する紙を含む、請求項1に記載の小袋製品。
【請求項5】
前記生分解性ワックスが、蜜蝋、ホホバワックス、カルナバワックス、菜種ワックス、ヒマシワックス、キャンデリラワックス、大豆ワックス、パーム油ワックス、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項3に記載の小袋製品。
【請求項6】
前記内層材料が、ポリビニルアルコール及び/又はポリヒドロキシルアルカノエートを含む、請求項1に記載の小袋製品。
【請求項7】
前記小袋が、リサイクル可能である、請求項1に記載の小袋製品。
【請求項8】
前記小袋が、4辺がシールされた小袋である、請求項1に記載の小袋製品。
【請求項9】
前記小袋が、明細書に記載の試験17にしたがって測定したときに、550mN未満の引裂抵抗を含む、請求項1に記載の小袋製品。
【請求項10】
前記シール部が、明細書に記載の試験3にしたがって測定したときに、500N/mより大きいシール強度を有する、請求項1に記載の小袋製品。
【請求項11】
40℃、75%RHで2週間の保管の後、前記物品が、明細書に記載の試験1にしたがって測定したときに、15ストローク未満の手溶解値、および、明細書に記載の試験8にしたがって測定したときに、0.5重量%~25重量%の最終水分含量を含む、請求項1に記載の小袋製品。
【請求項12】
前記表面中間層および前記裏面中間層は、30~120g/m 2 の坪量を含む、請求項1に記載の小袋製品。
【請求項13】
前記水溶性ポリマーが、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキシド、デンプン及びデンプン誘導体、プルラン、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、並びにカルボキシメチルセルロースからなる群から選択される、請求項1に記載の小袋製品。
【請求項14】
前記表面内層及び前記裏面内層が、明細書に記載の試験15にしたがって測定したときに、6超の耐グリース性を含む、請求項1に記載の小袋製品。
【請求項15】
前記表面中間層と前記表面内層との間に接合された追加の層と、前記裏面中間層と前記裏面内層との間に接合された追加の層とを更に含み、前記追加の層が、明細書に記載の試験13にしたがって測定したときに、38℃及び98%RHにおいて300g/m2/日未満のMVTRを有する、請求項1に記載の小袋製品。
【請求項16】
2週間の期間の保管後、前記小袋製品が、明細書に記載の試験4によって判定される加速安定性を満たす、請求項1に記載の小袋製品。
【請求項17】
前記表面内層および/または裏面内層は、ポリブチレンサクシネートアジペートを含み、前記ポリブチレンサクシネートアジペートは金属化されている、請求項1に記載の小袋製品。
【請求項18】
前記表面中間層と前記表面内層との間の表面生分解性接着剤層、および前記裏面中間層と前記裏面内層との間の裏面生分解性接着剤層をさらに含む、請求項1に記載の小袋製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体物品を収容する小袋(sachet)、より詳細には、連続気泡発泡体物品を収容する生分解性及び/又は家庭で堆肥化可能な小袋に関する。
【背景技術】
【0002】
シャンプー、コンディショナー、ボディウォッシュ、及び他の消費者製品、並びに洗濯洗剤などの少量の消費者製品の小袋包装は、安価で単回使用の製品を望む消費者にとって望ましい場合がある。このことには、先進国に典型的に見られる大きな容器を提供することができない、輸送することができない、及び/又は保管することができない人々が含まれる。
【0003】
小袋包装は、一般に、プラスチック及びアルミニウムの層を含むラミネートフィルムで作製されている。生分解性及び/又は家庭で堆肥化可能な小袋を使用することに関心が集まっている。しかしながら、許容可能な生分解性及び/又は家庭で堆肥化可能な小袋、特に、湿潤気候において温度と湿度が調節されていない高頻度店(high frequency store)で販売及び保管される可能性のある、液体製品を貯蔵するそのような小袋を作製することには、多くの課題がある。多くの生分解性及び/又は家庭で堆肥化可能な小袋は、高い水蒸気透過率(moisture vapor transmission rate、MVTR)を有し、水分損失(液体製品に関し)又は水分獲得(粉末及び他の固体製品に関し)が高くなるため、消費者製品の実用性が制限される。
【0004】
固体物品を小袋包装に入れて販売することが有利である場合があり、これは、(1)固体物品は、従来の液体製品の同様の用量と比較して軽量であり得る、(2)固体物品は、一貫した分量を提供することができる、かつ(3)ボトル又は小袋から液体製品を分注することと比較して、無駄になる製品がかなり少ない、という理由による。
【0005】
更に、小袋は、出荷、保管、及び販売時に比較的高い圧縮荷重(最大約20psig/137.9kPa)を受け得る。これらの圧縮荷重は、製品及び/又はパッケージに損傷を与える可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、少なくとも18ヶ月間の貯蔵安定性を有する消費者製品の、固体単回使用消費者製品を保管するための小袋であって、紙の再パルプ化システムでリサイクルされるか、又は(例えば、利用可能な家庭での堆肥化又は工業堆肥化によって)有機リサイクルされ得る、生分解性及び/又は家庭で堆肥化可能であり、許容可能な水分バリアを提供し、最大20psig(137.9kPa)の圧縮荷重に耐えることができる小袋が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
表面フィルム及び裏面フィルムを含む生分解性及び/又は家庭で堆肥化可能な小袋を含む小袋製品であって、表面フィルム及び裏面フィルムは、(a)85%超のセルロース含有量を有する紙を含む表面中間層及び裏面中間層と、(b)表面中間層に接合された表面内層及び裏面中間層に接合された裏面内層であって、ポリビニルアルコール、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリヒドロキシルアルコネート、ポリ塩化ビニリデン、カルナバワックス、生分解性熱可塑性デンプン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される内層材料を含む、表面内層及び裏面内層と、を含み、表面内層及び裏面内層が、外周の周りで恒久的に接合されてシール部を形成しており、シール部は、連続気泡発泡体を含む固体物品を格納するように適合された区画を形成し、連続気泡発泡体は、物品の総重量の約10%~約40%の水溶性ポリマーと、物品の総重量の約5%~約80%の、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される界面活性剤と、を含み、約80%~100%の連続気泡含有率と、約100μm~約2000μmの全体平均孔径と、を有する、小袋製品。
【0008】
表面フィルム及び裏面フィルムを含む生分解性及び/又は家庭で堆肥化可能な小袋を含む小袋製品であって、表面フィルム及び裏面フィルムは、(a)表面中間層及び裏面中間層は、セルロース、酢酸セルロース、金属化セルロース(metalized cellulose)、金属化酢酸セルロース(metalized cellulose acetate)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される材料を含み、(b)表面外層に接合された表面内層及び裏面外層に接合された裏面内層と、を含み、表面内層及び裏面内層が、ポリビニルアルコール、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリヒドロキシルアルコネート、カルナバワックス、生分解性熱可塑性デンプン、ポリ塩化ビニリデン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される材料を含み、表面内層及び裏面内層が、外周の周りで恒久的に接合されてシール部を形成しており、シール部は、連続気泡発泡体を含む固体物品を格納するように適合された区画を形成し、連続気泡発泡体は、物品の総重量の約10%~約40%の水溶性ポリマーと、物品の総重量の約5%~約80%の、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される界面活性剤と、を含み、約80%~100%の連続気泡含有率と、約100μm~約2000μmの全体平均孔径と、を有する、小袋製品。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本明細書は、本発明の主題を具体的に指摘して明確に請求する特許請求の範囲をもって結論とするが、本発明は、添付図面と関連させた次の説明によってより容易に理解することができると考えられる。
図1A】小袋の斜視図である。
図1B図1Aの切断線1B-1Bに沿った小袋の断面図である。
図1C】第2の小袋の断面図である。
図2A】繊維状物品の溶解に対する圧縮圧力及び相対湿度の相対的インパクトを示す図である。
図2B】連続気泡発泡体物品の溶解に対する圧縮圧力及び相対湿度の相対的インパクトを示す図である。
図3A】連続気泡発泡体物品の一部分のマイクロCTスキャンを示す図である。
図3B】繊維状物品の一部のマイクロCTスキャンを示す図である。
図4】バッチプロセスにおいて可撓性多孔質溶解性のシートを作製するための底部伝導式加熱/乾燥構成を示す図である。
図5】連続プロセスにおいて可撓性多孔質溶解性シートを作製するための回転ドラム式加熱/乾燥構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
消費者によっては、パーソナルケア活性物質(例えば、シャンプー、コンディショナー、ボディウォッシュなど)及び/又は洗濯活性物質(例えば、洗剤、布地柔軟剤など)を含有する固体物品を望む場合がある。第1に、固体物品は、一般に少なくとも80%の水を含有する従来の液体製品の同様の用量と比較して軽量であり得る。第2に、固体物品は、使用する量を消費者がより精密に制御することができるため、一貫した分量を提供することができる。例えば、消費者は、小袋又はボトルから液体製品をやみくもに注ぐ代わりに、物品全体又はその一部を容易に使用することができる。第3に、ボトル又は小袋から液体製品を分注することと比較して、無駄になる製品がかなり少ない。シャンプー、コンディショナー、及び洗濯製品のような消費者製品は、贅沢品と見なされるため、発展途上市場の消費者は、無駄になる製品によって特にフラストレーションを感じる。更に、固体形態の消費者物品は、従来の物品と比較して性能利点を提供することができる。
【0011】
更に、固体物品は、小袋包装内で保管されることができる。小袋包装は、シャンプー、コンディショナー、及びボディウォッシュ、並びに洗濯製品などの少量の消費者製品を保管するために一般的に使用されている。小袋内の物品は、消費者に安価で単回使用の製品を提供する。小袋を定期的に使用する多くの消費者は、先進国に典型的に見られる大きな容器を提供することができない、輸送することができない、及び/又は保管することができない消費者である。
【0012】
小袋は、典型的には、買い物客が店を1日に又は1週間に何回も訪れるため「高頻度店」と呼ばれる地域主体の雑貨店、露店、及び売店で販売される。これらの店舗のほとんどは粗末であり、所有者の家の外で営業している場合が多く、小さく(例えば、ラテンアメリカの典型的な高頻度店はたったの250平方フィートである)、かつ温度と湿度が調節されていない。高頻度店は、ラテンアメリカの一部、中国、インド、及びインドネシアの一部を含むアジア、並びにアフリカにおいて一般的である。気候は高温多湿であり得、したがって、小袋は、物品を保護するために有効な水分バリアを提供する必要がある。これは、物品が水和時に液体になる固体物品である場合に重要である。小袋が高すぎるMVTRを有する場合には、湿度が物品に染み込み、小袋から取り出すときに残留物を残す場合があるべたべたした物品をもたらす。
【0013】
更に、高頻度店のオーナは、一般に、消費者製品の小袋を重ねた箱の中で保管し、少数の小袋だけを天井から吊り下げる。これは、小袋に保管された物品が、出荷中に、取り扱い中に、及び商品棚で、比較的高い圧縮荷重(最大約20psig/137.9kPa)を受けることを意味する。更に、消費者は、小袋製品をポケット又はショッピングバッグに入れて運ぶか、又は更には商品棚の小袋をぎゅっと握る場合が多いので、物品は更なる損傷を受ける可能性がある。したがって、小袋は、特に物品が繊維構造及び連続気泡発泡体構造などの多孔質構造を有する固体である場合、この圧縮荷重から消費者物品を保護する必要がある。多孔質構造が高すぎる圧縮荷重を受けた場合、圧縮圧力が物品を不可逆的に高密度化する。これは、物品が高い相対湿度条件で保管される場合に特に当てはまる。この高密度化により、物品を溶解することが困難になることから、物品の使い勝手が悪くなる、かつ/又は効果が弱くなる。
【0014】
小袋は、最大90%の相対湿度という環境の下で固体物品を格納し、最大20psig(137.9kPa)の圧縮荷重を受ける可能性がある。小袋製品は、2週間、4週間、8週間、12週間、及び/又は6ヶ月の期間後に、加速安定性試験及び/又は安定性試験を満たすことができる。小袋製品を、2週間、4週間、8週間、12週間、及び/又は6ヶ月の間にわたって加速安定条件下で保管した後、物品は、15ストローク未満、あるいは12ストローク未満、あるいは10ストローク未満の手溶解値を有することができる。
【0015】
小袋は、38℃/90%RHで約0.01~約50g/m 2 /日、あるいは約0.05~約40g/m 2 /日、あるいは約0.1~約30g/m 2 /日、あるいは約0.2~約15g/m 2 /日のMVTRを有することができる。あるいは、小袋は、38℃/90%RHで約10~約1000g/m 2 /日、あるいは約12~約800g/m 2 /日のMVTRを有することができる。小袋は、500g/m 2 /日未満、あるいは400g/m 2 /日未満、あるいは300g/m 2 /日未満のMVTRを有することができる。MVTRは、後述するMVTR試験方法に従って測定される。以下に記載されるグリース試験に従って、KITが6以上である場合には、MVTRはより高くなり得る。以下に記載されるグリース試験に従って、KITが6以下である場合には、MVTRはより低くなり得る。
【0016】
小袋は、D1922-15、エルメンドルフ法、MD引き裂き方向に従って550nM未満の引裂抵抗を有することができる。
【0017】
小袋は、約70~約700N/m、約750~約650N/m、あるいは約300~約600N/m、あるいは約300~約500N/mのシール強度を有するシール部を有することができる。小袋は、75N/m以上、あるいは100N/m以上、あるいは150N/m以上のシール強度を有するシール部を有することができる。小袋は、500N/m未満、あるいは400N/m未満、あるいは250N/m未満のシール強度を有することができる。シール強度は、以下に記載される平均シール強度試験方法に従って測定される。
【0018】
定義
本明細書で使用するとき、「通気させる」、「通気させること」、又は「通気」とは、機械的及び/又は化学的手段によって液体又はペースト状組成物にガスを導入するプロセスを指す。
【0019】
本明細書で使用するとき、「制御された表面温度」とは、比較的安定している、すなわち、+/-20%未満の変動、あるいは+/-10%未満の変動、あるいは+/-5%未満の変動を有する表面温度を指す。
【0020】
本明細書で使用するとき、「溶解性」とは、20℃で、かつ大気圧下で、全く撹拌せずに8時間以内に、十分な量の脱イオン水中に完全に又は実質的に溶解して、不溶残留物の残留が5重量%未満である、物品の能力を指す。
【0021】
本明細書で使用するとき、「可撓性」とは、物品が、その長手方向に垂直な中心線に沿って90度で曲げられた場合に、破損することなく、又は著しい破壊を伴わずに、応力に耐える物品の能力を指す。あるいは、このような物品は、顕著な弾性変形を受ける可能性があり、5GPa以下、あるいは1GPa以下、あるいは0.5GPa以下、あるいは最も多くは0.2GPa以下のヤング率によって特徴付けられる。
【0022】
本明細書で使用するとき、「加熱方向」とは、熱源が物品に熱エネルギーを印加する方向であって、その結果、そのような物品の一方の側から他方の側へと減少する、そのような物品の温度勾配をもたらす方向を指す。例えば、物品の一方の側に位置する熱源が、当該物品に熱エネルギーを印加して、当該一方の側から反対側へと減少する温度勾配を発生させる場合、加熱方向は、当該一方の側から反対側に延びるとみなされる。このような物品の両側又はそのような物品の異なる部分が、そのような物品にわたって観察可能な温度勾配を伴わずに同時に加熱される場合には、加熱は非方向的な方法で行われ、加熱方向は存在しない。
【0023】
本明細書で使用するとき、「家庭で堆肥化可能」とは、TUV AUSTRIA(2012)によるOK compostable HOME OK-02e certificationの合格水準を満たす材料を指す。
【0024】
本明細書で使用するとき、「接合された」とは、第1の要素が第2の要素に直接固定されている構成を指す。接合はまた、第1の要素が第2の要素に間接的に固定されている構成も包含する。
【0025】
本明細書で使用するとき、「含む(include、includes、及びincluding)」は非限定的であることを意味し、それぞれ「含む(comprise、comprises、及びcomprising)」を意味すると理解される。
【0026】
本明細書で使用するとき、「分子量(molecular weight又はMolecular weight)」は、特に記述のない限り、重量平均分子量を指す。分子量は、業界標準法であるゲル浸透クロマトグラフィ(gel permeation chromatography、「GPC」)を使用して測定される。
【0027】
本明細書で使用するとき、「連続気泡発泡体」又は「連続気泡細孔構造」とは、ガス、典型的にはガス(空気など)を含有し、乾燥プロセス中に発泡構造が崩壊せずに、それにより物理的強度及び固体の凝集性を維持する、空間又は気泡のネットワークを画定する固体相互結合ポリマー含有マトリックスを指す。構造体の相互結合性は、以下に開示される試験3によって測定される連続気泡含有率によって説明され得る。
【0028】
本明細書で使用するとき、「恒久的に接合される」とは、第1の要素と第2の要素とがそれら要素の一方又は両方を少なくとも部分的に破壊することなしには互いに分離されることができないように、第1の要素が第2の要素に固定される構成を指す。
【0029】
本明細書で使用するとき、「生分解性」とは、OECD Guideline for Testing of Chemicals,Method 301B:CO2 Evolution(修正Sturm試験)(1992年7月17日採用)に従って、容易かつ極限の生分解性の合格水準を満たす材料を指す。
【0030】
本明細書で使用するとき、「リサイクル可能」とは、Voluntary Standard for Repulping and Recycling Corrugated Fiberboard Treated to Improve its Performance in the Presence of Water and Water Vapor(Aug.16,2013)で定義されたプロセスを用いて新しい紙又は板紙に加工されることが可能である、工場内及び使用後の廃棄紙及び板紙を含む、使用済みの紙を指す。いくつかの例では、小袋はリサイクル可能であり得る。
【0031】
本明細書で使用するとき、「固体」とは、物品が閉じ込められておらず、かつ外力が物品に加えられていない場合に、20℃で、かつ大気圧下で、物品がその形状を実質的に保持する(すなわち、その形状に目に見える変化が生じない)物品の能力を指す。
【0032】
本明細書で使用するとき、「シート」とは、三次元形状、すなわち、厚さ、長さ、及び幅を有すると同時に、長さ対厚さのアスペクト比及び幅対厚さのアスペクト比が、両方とも少なくとも約5:1であり、長さ対幅の比が、少なくとも約1:1である、非繊維状構造体を指す。あるいは、長さ対厚さのアスペクト比及び幅対厚さのアスペクト比は、両方とも、少なくとも約10:1、あるいは少なくとも約15:1、あるいは最も多くは少なくとも約20:1であり、また、長さ対幅のアスペクト比は、あるいは少なくとも約1.2:1、あるいは少なくとも約1.5:1、あるいは最も多くは少なくとも約1.618:1である。
【0033】
本明細書で使用するとき、「視覚的検出」とは、標準的な100ワットの白熱電球の照度に少なくとも相当する照明の下で、1/3メートルの距離から、ヒトの観察者が、肉眼(近視、遠視、若しくは乱視を補正するように適合された標準的な矯正レンズ、又は他の矯正視力を例外とする)によって、実施例の品質を視覚的に識別できることを意味する。
【0034】
本明細書で使用するとき、「水溶性」とは、十分に撹拌しながら20℃かつ大気圧下で、少なくとも約25グラム、あるいは少なくとも約50グラム、あるいは少なくとも約100グラム、あるいは最も多くは少なくとも約200グラムの試料材料を1リットル(1L)の脱イオン水中に入れたときに、目に見える固形分が残ることも目に見える分離相を形成することもなく水に完全に溶解又は分散する、試料材料の能力を指す。
【0035】
全ての百分率、部及び比率は、別途指定されない限り、本発明の組成物の総重量に基づく。全てのこのような重量は、列挙された成分に関する場合、活性成分の濃度に基づいており、したがって市販材料に含まれ得るキャリア又は副生成物を含まない。
【0036】
別段の注記がない限り、全ての成分又は組成物の濃度は、当該成分又は組成物の活性部分に関するものであり、このような成分又は組成物の市販の供給源に存在する場合のある不純物、例えば、残留溶媒又は副生成物は除外される。
【0037】
本明細書の全体を通して与えられる全ての最大数値限定は、それよりも小さい全ての数値限定を、このようなより小さい数値限定があたかも本明細書に明確に記載されているかのように含むものと理解すべきである。本明細書の全体を通して与えられる全ての最小数値限定は、それよりも大きい全ての数値限定を、かかるより大きい数値限定があたかも本明細書に明確に記載されているかのように含む。本明細書の全体を通して与えられる全ての数値範囲は、かかるより広い数値範囲内に含まれる、より狭い全ての数値範囲を、かかるより狭い数値範囲があたかも全て本明細書に明確に記載されているかのように含む。
【0038】
量の範囲が記載される場合、これらは組成物中の当該成分の総量であり、又は成分定義の範囲に1種より多くが当てはまる場合、組成物中の、その定義に適合する全ての成分の総量であると理解されるべきである。例えば、組成物が1%~5%の脂肪族アルコールを含む場合、2%のステアリルアルコール及び1%のセチルアルコールを含み、かつ他の脂肪族アルコールは含まない組成物は、この範囲に収まるであろう。
【0039】
以下に記載される特定の各成分、又はそれらの混合物の量は、パーソナルケア組成物中の成分の総量の100%まで(又は100%)を占めることができる。
【0040】
生分解性及び/又は家庭で堆肥化可能な小袋
小袋は、有効な水分バリア、圧縮レジリエンスを提供し、かつ生分解性及び/又は家庭で堆肥化可能であり得る、固体物品を保管するのに好適な任意の小袋であり得る。小袋は、ブロックボトムバッグ、フラットバッグ、フローパック、十字底袋、サイドガゼット袋、三方シール部袋、四方シール部袋、スタンドアップパウチ、スティックパック、又は完全に輪郭形成されたパウチであり得る。小袋は接続されることができ、それぞれの小袋の間にミシン目のある端と端とが接続された複数の小袋を有するロールとして、高頻度店などの店舗で販売されてもよく、そうすることで、消費者は、何枚の小袋が欲しいのかを選択し、その数の小袋をロールから引きちぎることができる。いくつかの実施例では、ミシン目はジグザグであってもよく、ジグザグは、ユーザが小袋を開くのをより容易にする。小袋のロールはまたミシン目によって分離された複数の小袋を横方向に有することができる(すなわち、2つ、3つ、4つ、又はそれ以上のレーンを備えたマルチレーン小袋)。小袋は、少なくとも1つの表面上に印刷された、絵で表された使用説明書を有することができる。
【0041】
図1Aは、小袋1の斜視図であり、この実施例では、小袋1は4辺がシールされた小袋(four-seal sachet)である。小袋は、表面外周11を備えた表面フィルム10と、裏面外周21を備えた裏面フィルム20とから作製されることができる。表面外周11と裏面外周21とは、シール部30で互いに接合されている。シール部は、不可逆的(すなわち、恒久的に接合される)又は可逆的であり得る。提示された実施例では、シール部は不可逆的であり、工業用インパルスシール部装置を使用する熱接触結合によって得られる。シール強度は、シール温度、時間、及び圧力に基づいて、選択されたシール材料のために最適化することができる。熱シールが好ましい場合があるが、コストの理由で、超音波溶接、高周波溶接、赤外線溶接などなどの他のシール溶接方法、又は当該技術分野の専門家に既知の接着剤結合も可能である。表面フィルム10及び裏面フィルム20は、固体物品のための有効な水分バリア及び圧縮レジリエンスを提供する任意の生分解性及び/又は家庭で堆肥化可能な材料から作製され得る。いくつかの実施例では、表面フィルム10及び裏面フィルム20は、リサイクル可能であり得る。
【0042】
小袋1また、1つ以上の引裂用ノッチ50を備えることができる。小袋を開けるために、ユーザは、引裂用ノッチで小袋を引き裂いて開ける。ユーザは、小袋の角を引き裂くか、又は小袋全体にわたって引き裂くことができる。引裂用ノッチ50は、ハサミ又は歯を使用せずに小袋1を開くことを可能にする任意のサイズ又は形状であり得る。一実施例では、引裂用ノッチ50は、小袋の外周まで延びていてもよい。別の実施例では、引裂用ノッチ50は、表面フィルム10及び裏面フィルム20を通って延びていてもよい。一実施例では、小袋は、どこで引き裂くべきかをユーザに支持する、矢印又は三角形の矢印などの引き裂き印を含むことができる。引裂用ノッチは、ヒートシール部にわたって約15%~約75%、あるいは約25%~約65%、あるいは約40%~約60%、あるいは約45%~約55%延びていてもよい。
【0043】
小袋1は、外面上にあるか、又は外面を通して可視である印刷領域を備えることができる。印刷は、フレキソ印刷、グラビア印刷、又はインクジェット印刷などの標準的な印刷技術を使用して達成することができる。いくつかの実施例では、外面は、偶発的な水分に対するアートワーク保護の目的で、及び/又は艶消し効果/光沢効果のために、表面コーティングを含むことができる。
【0044】
図1Bは、切断線1B-1Bに沿った小袋1の断面図である。一実施例では、表面フィルム10及び裏面フィルム20は、多層構造体から作製される。表面フィルム10及び裏面フィルム20は、同じ多層構造体又は異なる多層構造体から作製することができる。
【0045】
図1Bに示すように、表面フィルム10は、表面外層12、表面中間層13、及び表面内層14を備えることができる。表面外層12は、表面中間層13の第1の面に接合され、表面内層14は、表面中間層13の第2の反対側の面に接合される。裏面フィルム20は、裏面外層22、裏面中間層23、及び裏面内層24を備えることができる。表面外層22は、表面中間層23の第1の面に接合され、表面内層24は、表面中間層23の第2の反対側の面に接合される。フィルムの各層は、恒久的に接合され得る。フィルムの各層は、接着剤を用いて又は用いずに接合されることができる。表面フィルム10と裏面フィルム20とは、より具体的には表面内層14と裏面内層24とは、ヒートシール部30において恒久的に接合されて、固体物品45を保持するように適合された区画40を形成することができる。ヒートシール部の幅は、約1mm~約10mm、あるいは約2mm~約7mm、あるいは約3mm~約5mmであってもよい。
【0046】
小袋は、表面コーティングであってもよい表面外層12及び裏面外層22を含むことができる。コーティングは、小袋の水分バリア特性を改善し、下にあるフィルム層の耐久性を向上させ(これは印刷領域を保護することを含む)、かつ/又は審美的仕上げ(例えば、艶消し、光沢)をもたらすことができる。一実施例では、表面外層12及び裏面外層22は、易生分解性ワックス(例えば、蜜蝋、ホホバワックス、カルナバワックス)を含むことができる。表面及び裏面外層は、ラッカー、ワニス、又は耐スプラッシュ層であり得る。いくつかの実施例では、表面コーティングは、ニトロセルロースラッカー、アクリルラッカー、水性ラッカー、反応性2成分ポリウレタンラッカーから作製される。生分解性の選択肢が好ましい場合がある。いくつかの実施例では、表面コーティングは、曝露温度がワックス融点を超えないという条件で、蜜蝋、菜種ワックス、ヒマシワックス、キャンデリラワックス、大豆ワックス、パーム油ワックス、又は別の天然ワックスなどのOECD 301B生分解スクリーニング試験に合格する天然ワックスから作製される。場合によっては、いくつかのパラフィン油系ワックスもまた、OECD 301Bに合格し得る。外層の厚さは、リサイクル性及び/又は小袋の生物分解に影響を及ぼす可能性があり、表面コーティングが薄いほど、より容易に生物分解され得る。いくつかの実施例では、各外層は、表面コーティングであり、0.1μm~25μm、あるいは10μm未満、あるいは5μm未満の厚さを有することができる。
【0047】
表面中間層13及び裏面中間層23は、紙を含むことができる。表面及び裏面中間層は、紙層又は生分解性ポリマー層と呼ぶこともでき、小袋の内面及び/又は外面を形成することができる。紙は、85%超のセルロース、あるいは90%超のセルロース、あるいは95%超のセルロースを含むことができる。あるいは、表面中間層13及び裏面中間層23は、紙がポリマー性結合剤、鉱物系サイジング剤、増白剤、界面活性剤などを含む添加剤に加えてセルロースを含有する、現在の紙リサイクルの流れでリサイクル可能であり得る生分解性紙を含むことができる。添加剤は、(a)紙が、環境中に不適切に廃棄された場合でも生物分解することができ、生態毒性問題を生じさせないこと、及び/又は(b)紙が、紙リサイクル業者の再パルプ化装置内で分解し、再生紙を作製するために最大量のセルロース繊維を解放することができること、を確実にするように選択され得る。
【0048】
表面中間層及び/又は裏面中間層は、約50%及び約100%のセルロース繊維、あるいは約65%~約98%のセルロース繊維、あるいは約75%~約95のセルロース繊維を含むことができる。表面及び裏面中間層は、表面及び/又は裏面フィルムの中で、したがってそれらで作製された小袋パッケージの中で、最も厚い層であり得、これらの中間層は、高いバイオベースのセルロース含有量(重量で)を有し得る。
【0049】
いくつかの実施例では、表面及び裏面中間層は、リサイクルされた材料、バージン材料、又はこれらの混合物を含むことができる。いくつかの実施例では、表面及び裏面中間層は、層の80重量%超のリサイクルされた材料、あるいは層の85重量%超のリサイクルされた材料、あるいは層の90重量%超のリサイクルされた材料、あるいは層の95重量%超のリサイクルされた材料を含有することができる。いくつかの実施例では、小袋は、10重量%超のリサイクルされた材料、あるいは20重量%超、あるいは30重量%超、あるいは40重量%超のリサイクルされた材料、あるいは50重量%超、あるいは60重量%超、あるいは70重量%超、あるいは80重量%超のリサイクルされた材料を含有することができる。
【0050】
リサイクル材料の存在は、パッケージを目視検査することで確認することができる。例えば、製造業者は、典型的には、環境に優しい製品であるというアプローチを実証するための努力の一環として、リサイクルされた材料の使用を宣伝する。この例を更に詳しく説明すると、一部の製造業者は、パッケージ材料にリサイクルされた材料を使用していることを示す言葉と共に、ロゴ、例えばリーフを利用する場合がある。多くの場合、製造業者は、例えば、50パーセント超、70パーセント超など、使用したリサイクル材料の割合も更に明記する場合がある。目視検査は、人間の目を利用して、リサイクル材料の使用のロゴに関してパッケージを検査するので、簡単であり得る。追加的に、又は代替的に、目視検査は、光学顕微鏡法、走査電子顕微鏡法、又は当該技術分野で既知の他の好適な方法などの顕微鏡法を含み得る。例えば、リサイクルされた紙繊維を含むパッケージ材料は、パッケージ材料が100%の未再生紙で構成される場合よりもはるかに広い範囲の天然繊維タイプが存在することから、顕微鏡下で異なるように見える。別の例として、顕微鏡下、潜在的に走査型電子顕微鏡下では、リサイクルされた繊維は、それらの処理に起因して、それらのバージン繊維対応物よりもフィブリル化がより多く見られる場合がある。
【0051】
いくつかの実施例では、紙層(例えば、表面及び裏面中間層)の少なくとも1つの面を可能な限り平坦にするために、その面は、次に、水性ポリマー系でコーティングされて、隣接する水性生分解性ポリマー層を形成することができる。紙は「サイジング」によって平坦化されてもよく、このサイジングは、業界では、クレイ、炭酸カルシウム、二酸化チタン、メチルセルロース、二酸化ケイ素などの様々な無機充填剤を含有する水性ポリマー懸濁液でコーティングされ得ることを意味する。懸濁液を乾燥させることができ、無機充填剤及び結合剤が乾燥して紙の多孔質粗面を充填すれば、紙をカレンダー加工して、サイジング前よりも平らな表面を供給することができる。
【0052】
あるいは、紙は、時には熱を伴うメカニカルアイロニング/メカニカルプレス工程によって、紙製造プロセス中に機械艶出しされてもよく、この場合、紙の表面を高密度化し、多孔性を除去するために、紙繊維が一緒に押しつぶされて、平坦化される。
【0053】
場合によっては、サイジング及び機械艶出しを組み合わせて、紙製造中に更に平坦でより完璧な表面を得ることができ、その後、水性生分解性ポリマー層(例えば、表面及び裏面中間層)で被覆される。
【0054】
他の場合には、既に自然に非常に平坦な紙である上質皮紙又はグラシンペーパー又はトレーシングペーパーが使用されてもよい。かかる紙は、製造中に紙構造をその厚さ全体プロセスにわたって高密度化するプロセスによって作製され、更なるサイジング又は艶出しを必要としない。生分解性紙バリア積層体を作製する生分解性及びリサイクル可能な紙層に適した紙の例としては、「OK Home Compost」認定の機械艶出しされた紙である、Sappi(登録商標)製のLeine Nature(登録商標)紙(坪量85g/m);片面だけサイジングされている紙である、Birgl&Bergmeister製のNiklaSelect V Natural Linen紙(99g/m);両面がサイジングされている紙である、Birgl&Bergmeister製のPackPro(登録商標)7.0紙(65g/m);他の多くの紙よりも頑丈になるように設計されているので、流通網においていくつかの利点を有する、BillerudKorsnas(商標)製のAxello紙(Axello Tough White紙、80g/mなど);SCG/Prepack製のSCG Glassine(登録商標)紙(58g/m)、が挙げられる。下の表1に示すように、これらの紙は、米国のWesternMichiganUniversity、及びドイツのPTS Instituteの両方で、紙リサイクルプロトコルに合格する。これらの紙はまた、OECD 301B生分解試験に合格する。
【0055】
【表1】
【0056】
他の好適な紙は、Birgl&Bergmeister製のNikkalett Spezial TD紙(60g/m)などの、その後の装飾金属化のために特に調製された紙を含み得る。
【0057】
表面内層14及び裏面内層24は、水溶性又は水不溶性ポリマー層などのポリマー層を含むことができる。表面及び裏面内層はまた、生分解性ポリマー層又はポリマー層と称することができる。いくつかの実施例では、表面内層14及び裏面内層24は、PVOH(ポリビニルアルコール)、PBS(ポリブチレンサクシネート)、PBSA(ポリブチレンサクシネートアジペート)、PHA(ポリヒドロキシルアルコネート)、PVDC(ポリ塩化ビニリデン)、カルナバワックス及び/又は易生分解性TPS(Novamont(商標)Mater-BI(登録商標)などの熱可塑性デンプン)を含み得る。ポリマー層は、ポリビニルアルコール(PVOH)、ブテンジオール-ビニルアルコールコポリマー(BVOH)などのポリビニルアルコールコポリマー(BVOHは、ブテンジオールと酢酸ビニルとの共重合、続いて酢酸ビニルの加水分解によって生成され、好適なブテンジオールモノマーは、3,4-ジオール-1-ブテン、3,4-ジアシルオキシ-1-ブテン、3-アシルオキシ-4-オール-1-ブテン、4-アシルオキシ-3-オール-1-ブテンなどから選択される)から選択される、水溶性ポリマー層として使用するのに適したコポリマー又は誘導体;ポリビニルピロリドン;ポリエチレンオキシド又はポリエチレングリコール(PEG)などのポリアルキレンオキシド;ポリ(メタクリル酸)、ポリアクリル酸、ポリアクリレート、アクリレートコポリマー、マレイン酸/アクリル酸コポリマー;ポリアクリルアミド;ポリ(2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸(ポリAMPS);ポリアミド、ポリ-N-ビニルアセトアミド(PNVA);ポリカルボン酸及び塩;セルロースエーテル、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体;ヒドロキシプロピルメチルセルロース;キサンタン及びカラギーナンガムなどの天然ガム;アルギン酸ナトリウム;マルトデキストリン、低分子量デキストリン;糖;多糖類;ポリアミノ酸又はペプチド;カゼイン及び/又はカゼイネートなどのタンパク質(例えば、Lactipsによって商品化されたものなど)、を含み得る。いくつかの実施例では、表面及び裏面内層は、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、メチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される水溶性生分解性ポリマーを含み得る。
【0058】
「プラスチックフリー」製品が所望される用途では、表面及び裏面中間層の大部分の構成成分は、アルギン酸ナトリウムなどの水溶性天然由来ポリマーであり得る。
【0059】
内層は、少なくとも60%、あるいは少なくとも70%、あるいは少なくとも80%の生分解性水溶性ポリマーを含み得る。ポリマーは、(約1,000Da~約1,000,000Da、又は約1,000Da~約1,000,000Daの任意の整数値、又は、約10,000Da~約300,000Da、約20,000Da~約150,000Daなどの前述の値のいずれかによって形成される任意の範囲の平均分子量を有し得る。より具体的には、ポリビニルアルコールは、30,000~150,000Daの範囲の分子量を有し得る。ポリエチレンオキシドは、50,000Da~400,000Daの範囲の分子量を有し得る。メチルセルロースは、10,000Da~100,000Daの範囲の分子量を有し得る。ホモポリマーポリビニルアルコールが使用される場合、加水分解度は、70~100%、又は、70%~100%のパーセンテージの任意の整数値、又は、80~100%、85~100%、90~100%、95~100%、98~100%、99~100%、85~99%、90~99%、95~99%、98~99%、80~98%、85~98%、90~98%、95~98%、80~95%、85~95%、90~95%などの、これらの値のうちのいずれかによって形成される任意の範囲であり得る。いくつかの実施例では、生分解性ポリマー層を生分解性及びリサイクル可能な紙層(例えば、表面及び裏面中間層)の表面上に押出コーティングした場合よりも薄くかつ平坦な生分解性ポリマー層を形成することができるという理由から、生分解性紙層と生分解性プライマー層との間の積層として使用される生分解性ポリマー層は水性である。いくつかの実施形態では、生分解性ポリマー層は、生分解性及びリサイクル可能な紙層と生分解性プライマー層との間の積層として使用することができ、可溶性である。その理由は、これら2つの層が典型的な紙再パルプ化装置内で分離することができる速度を増加させ、したがって、構造全体が典型的な紙リサイクルの流れの中でリサイクル可能である可能性を増加させるためである。いくつかの実施形態では、生分解性ポリマー層は、生分解性及びリサイクル可能な紙層と生分解性プライマー層との間の積層として使用することができ、可溶性でありかつ水性組成物から敷設(laid down)される。その理由は、そのような生分解性ポリマー層は、非常に平坦であり(構造全体のバリア特性を最大化するのを助けるために)、かつまた、その可溶性の性質が典型的な紙再パルプ化の流れの中で、紙が崩壊する時間を最小化するためである。
【0060】
水溶性である生分解性ポリマー層は、崩壊剤、可塑剤、界面活性剤、潤滑剤/剥離剤、充填剤、増量剤、ブロッキング防止剤、減粘剤、消泡剤、又は他の機能性成分などの追加の成分を含有してもよい。水溶性である生分解性ポリマー層が崩壊剤を含有して、水中での溶解速度を向上させることが、特定の用途に必要とされる場合がある。好適な崩壊剤は、トウモロコシ/ジャガイモデンプン、メチルセルロース、鉱物粘土粉末、クロスカルメロース(架橋セルロース)、クロスポビドン(架橋ポリビニルN-ピロリドン、又はPVP)、デンプングリコール酸ナトリウム(架橋デンプン)であるが、これらに限定されない。水溶性ポリマー層は、0.1重量%~15重量%、あるいは約1重量%~約15重量%の崩壊剤を含んでもよい。いくつかの例では、水溶性である生分解性ポリマー層は、水溶性可塑剤を含有してもよい。水溶性可塑剤は、ポリオール、糖アルコール、及びそれらの混合物から選択することができる。好適なポリオールとしては、グリセロール、ジグリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、最大400Daの分子量のポリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、メチレングリコール、トリメチロールプロパン、ヘキシレングリコール、ネオペンチルグリコール、及びポリエーテルポリオール、又はこれらの混合物からなる群から選択されるポリオールを挙げることができる。好適な糖アルコールとしては、イソマルト、マルチトール、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、アドニトール、ズルシトール、ペンタエリスリトール、及びマンニトール、又はこれらの混合物からなる群から選択される糖アルコールが挙げられる。場合によっては、可塑剤は、次のリストから選択することができる:エタノールアミン、クエン酸アルキル、イソソルビド、ペンタエリスリトール、グルコサミン、N-メチルグルカミン又はクメンスルホン酸ナトリウム。ソルビトール又はポリエチレンオキシドなどの流動性のより低い可塑剤は、グリセロールなどの流動性のより高い可塑剤を含む水溶性ポリマー層よりも高いバリア特性を有する水溶性ポリマー層の形成を促進することができる。可能な限り多くの天然由来の材料を使用することが望まれる場合、次の可塑剤もまた使用することができる:植物油、ポリソルビトール、ジメチコン、鉱油、パラフィン、C~Cアルコール、ジメチルスルホキシド、N、N-ジメチルアセトアミド、スクロース、コーンシロップ、フルクトース、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、1,2-プロピレングリコール、グリセリンのモノ、ジ、又はトリアセテート、天然ガム、クエン酸塩、及びこれらの混合物。水溶性可塑剤は、グリセロール、1,2-プロパンジオール、20ジプロピレングリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、トリメチロールプロパン、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、又はこれらの混合物から選択することができる。いくつかの実施例では、水溶性可塑剤は、グリセロール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、ジプロピレングリコール、及びこれらの混合物から選択することができる。水溶性ポリマー層は、5重量%~50重量%、あるいは10重量%~40重量%、あるいは約12重量%~約30重量%の可塑剤を含み得る。いくつかの例では、生分解性ポリマー層は、界面活性剤を含み得る。好適な界面活性剤は、非イオン性、カチオン性、アニオン性、又は双性イオン性クラスに属し得る。好適な界面活性剤は、ポロクサマー(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール)、アルコールエトキシレート、アルキルフェノールエトキシレート、第3級アセチレングリコール及びアルカノールアミド(非イオン性物質)、ポリオキシエチレンアミン、第四級アンモニウム塩及び四級化ポリオキシエチレンアミン(カチオン性)、及びアミンオキシド、N-アルキルベタイン及びスルホベタイン(双性イオン性物質)であるが、これらに限定されない。他の好適な界面活性剤は、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、グリセロールとプロピレングリコールのラクチル化脂肪酸エステル、脂肪酸のラクチルエステル(lactylic ester)、アルキル硫酸ナトリウム、ポリソルベート20、ポリソルベート60、ポリソルベート65、ポリソルベート80、レシチン、グリセロールとプロピレングリコールのアセチル化脂肪酸エステル、及び5脂肪酸のアセチル化エステル、並びにこれらの組み合わせである。水溶性ポリマー層は、0.1重量%~2.5重量%、あるいは約1重量%~約2重量%の界面活性剤を含み得る。いくつかの実施例では、本開示による生分解性ポリマー層は、潤滑剤/剥離剤を含み得る。好適な潤滑剤/離型剤としては、脂肪酸類及びそれらの塩、脂肪族アルコール、脂肪酸エステル、脂肪族アミン、脂肪族アミンアセテート、脂肪酸アミド、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施例では、潤滑剤/剥離剤は、脂肪酸、脂肪酸塩、脂肪族アミンアセテート、及びこれらの混合物であり得る。水溶性ポリマー層は、0.02重量%~1.5重量%、あるいは約0.1重量%~約1重量%の潤滑剤/剥離剤を含み得る。生分解性ポリマー層は、充填剤、増量剤、ブロッキング防止剤、減粘剤を含み得る。好適な充填剤、増量剤、ブロッキング防止剤、減粘剤としては、デンプン、変性デンプン、架橋ポリビニルピロリドン、架橋セルロース、微結晶セルロース、シリカ、金属酸化物、炭酸カルシウム、タルク、雲母、及びこれらの組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されない。いくつかの実施例では、生分解性ポリマー層は、0.1重量%~25重量%、あるいは約1重量%~約15重量%の充填剤、増量剤、ブロッキング防止剤、減粘剤を含み得る。デンプンがない場合、生分解性ポリマー層は、1重量%~5重量%の充填剤、増量剤、ブロッキング防止剤を含むことができる。いくつかの実施例では、水溶性である水性生分解性ポリマー層は、消泡剤を含み得る。好適な消泡剤としては、ポリジメチルシロキサン及び炭化水素ブレンドを挙げることができるが、これらに限定されない。水溶性ポリマー層は、0.001重量%~0.5重量%、あるいは約0.01重量%~約0.1重量%の消泡剤を含み得る。生分解性ポリマー層のうちの少なくとも1つを本発明による水溶性ポリマーから形成することができる生分解性紙バリア積層体は、カールフィッシャー滴定によって測定された所与の温度及び湿度条件における積層構成要素の吸湿性(hygroscopy)及び等温線に応じて、水溶性層中に残留水分を含有し得る。例えば、積層体中の水溶性ポリビニルアルコール層は、23℃及び相対湿度50%で約4~8%の残留水分を含有し得る。
【0061】
いくつかの実施形態では、生分解性表面内層14及び裏面内層24のうちの少なくとも1つは、水不溶性ポリマーから作製され得る。これらの材料は、一般に「バイオプラスチック」、並びに生分解性ポリマーと呼ばれる。そのような生分解性ポリマー層は、生分解性及びリサイクル可能な紙層と生分解性プライマー層との間に積層を形成するのに好適であり得、及び/又は生分解性及びリサイクル可能な紙バリア積層体のヒートシール層を形成するために使用され得る。
【0062】
一例では、生分解性脂肪族ポリエステル及びコポリエステルは、大規模な細菌発酵によって生成され得る。ポリヒドロキシアルカノエートと総称され、「PHA」としても知られる、これらのポリマーは、発酵植物中のグルコースなどの特定の基質を供給された植物又は細菌から合成されることができる。多くの場合、PHAの構造的又は機械的特性は、所望の最終製品の仕様に適合するようにカスタマイズされ得る。PHA及びそれらのコポリマーは、好気的かつ嫌気的に分解することができる。これにより、環境中で堆肥化する又は急速かつ完全に分解するのに特によく適している。そのようなバイオプラスチックは、多くの場合、プラスチックが水性エマルション中に懸濁されており、様々な基材上でフィルムに乾燥させることができる形態で販売されているが、フィルム及びコーティングへの押出のためのペレット形態で販売される場合もある。PHAは、コポリマー分散コーティングとして得ることができる。DanimerScientific,Inc.は、ポリ(ベータ-ヒドロキシアルカノエート)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシヘキサノエート)NODAX(商標))を生産しており、Kanekaは、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシヘキサノエート)を生産している。PHAコポリマーの非限定的な例としては、米国特許第5,498,692号に記載されているものが挙げられる。他のPHAコポリマーは、参照により本明細書に組み込まれるVolova,「Polyhydroxy Alkanoates Plastic Materials of the 21」Century:Production,Properties,and Application,Nova Science Publishers,Inc.,(2004)に記載されているように、例えば微生物から当業者に既知の方法によって、ベータラクトンの開環重合によって、ヒドロキシアルカン酸の脱水重縮合によって、及びヒドロキシアルカン酸のアルキルエーテルの脱アルコール重縮合によって合成されることができる。
【0063】
他の考えられる生分解性水溶性ポリマーは、脂肪族芳香族ポリエステル(例えば、BASF製のECOFLEX(登録商標))、熱可塑性デンプン(例えば、Novamont製のMATER-BI又はPlantic/Kuraray製のPLANTIC(登録商標))、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリブチレンサクシネートアジペート(PBSA)及びそれらのコポリマー(例えば、昭和高分子株式会社製のBIONOLLE(登録商標)又は三菱ケミカル株式会社製のPBSA)、及びこれらの混合物からなる群から選択される生分解性熱可塑性材料を含み得る。これらのポリマーは、現在は水性形態で一般的に販売されていないが、そのような形態が将来的に開発され得る可能性がある。
【0064】
いくつかの実施例では、生分解性ポリマー層を生分解性紙層の表面上に押出コーティングした場合よりも薄くてより平坦な生分解性ポリマー層を形成することができるという理由から、生分解性紙層と生分解性プライマー層との間の積層として使用される生分解性ポリマー層は水性であり得る。いくつかの実施形態では、生分解性ポリマー層は、生分解性及びリサイクル可能な紙層と生分解性プライマー層との間の積層として使用することができ、可溶性である。その理由は、これら2つの層が典型的な紙再パルプ化装置内で分離することができる速度を増加させ、したがって、構造全体が典型的な紙リサイクルの流れの中でリサイクル可能である可能性を増加させるためである。
【0065】
いくつかの実施例では、生分解性接着剤層は、既に形成された生分解性フィルムを積層構造の残りの部分に接着することができる。そのような接着剤は、生分解性溶液系接着剤組成物又は溶剤系接着剤組成物のいずれかであり得る。生分解性接着剤層の非限定的な例としては、生分解性ポリ酢酸ビニル、デンプン、マルトデキストリン、天然ワックス、人工ワックス、及びポリエステルポリウレタンブレンドを挙げることができる。いくつかの実施形態では、生分解性接着剤層は、生分解性でありかつ堆肥化可能な、BASFから商業的に入手可能なグレード、例えば、Epotal3675又はEpotal3702又はEpotalP100ECOなどであり得る。別の実施形態では、接着剤は、Berkshire LabelsによるBioTAK(登録商標);又はBostik 43298 Thermogripホットメルト接着剤であり得る。可溶性接着剤は、バリア紙構造が破壊するのを加速することができるため、典型的な紙再パルプ化システムにおけるリサイクル性を高めるという利点を有し得る。すなわち、生物分解過程に同様の利益をもたらすことになる。
【0066】
本発明による小袋1は、材料選択に応じて不透明又は半透明であり得る。小袋1は、印刷領域を含んでもよい。印刷は、フレキソ印刷、グラビア印刷、又はインクジェット印刷などの標準的な印刷技術を使用して達成することができる。パッケージ内の製品と関連したブランディング及び/又は他のパッケージ情報は、小袋の表面のうちの1つに適用することができる。いくつかの実施形態では、印刷領域は、中間層の外面に適用され得る。ブランディングは、パッケージ内の製品と関連したロゴ、商品名、商標、アイコンなどを含むことができる。ブランディングは、パッケージ内の製品の情報を消費者に与えるために利用され得る。パッケージ情報は、パッケージ内の製品と関連した、製品のサイズ、パッケージ内の製品の数、パッケージ内に収容されている製品の例示的な画像、リサイクル可能であることを示すロゴ(recyclability logos)などを含むことができる。本発明のすべての態様で、堆積されるインクは、溶媒ベース又は水性ベースのいずれかであってよく、インク内の顔料は、有機もしくは無機のいずれか、又は両方の組み合わせであり得る。いくつかの実施形態では、インクは、高耐摩耗性である。例えば、高耐摩耗性インクは、紫外線(UV)又は電子ビーム(EB)によって硬化されたコーティングを含み得る。いくつかの実施形態では、インク内の任意の有機顔料は、石油源に由来する。いくつかの実施形態では、インク内の任意の有機顔料は、大豆、植物などの再生可能資源に由来する。いくつかの実施形態では、顔料が有機であり、生分解するように設計されている場合、インク内の任意の有機顔料も生分解性である。他の実施形態では、インク内の任意の無機顔料は、それ自体が生分解性でない場合であっても、安全に分散性であり、使用されるレベルで環境に有害ではない無機金属酸化物から作製される。生分解性ではないが生物分解を阻害せず、生物分解中に安全に分散することができるインクの非限定的な例としては、Gans Ink&Supply Co製のECO-SUREITM、並びにEFI製の溶剤系VUTEk(登録商標)及びBioVu(商標)が挙げられ、これらは完全に再生可能資源(例えば、トウモロコシ)から誘導される。これら以外のものとしては、Sun Chemicals(商標)製のSunVisto(登録商標)AquaGreen、SunSpectro(登録商標)(Aquathene)、また、Sakata Inc.製のINXhrc(商標)及びGENESIS(商標)GSが挙げられる。生分解性インクは特に限定されるものではなく、例えば、再生処理された植物油を用いるインク、大豆油インクなどであり得る。大豆油インクは、従来のインク内の石油系溶媒の全部又は一部及び乾性油を大豆油で置き換えることによって得られ、インクを紙から容易に分離し、土壌で分解することができるため、有利である。大豆油インクは、例えば、東洋インキ製造株式会社又は凸版印刷株式会社から商業的に入手可能であり得る。別の可能性のある生分解性インクは、SunChemicals(商標)製のBlueIrisである。インクは、約0.5μm~約20μm、あるいは約1μm~約10μm、あるいは約2.5μm~約3.5μmの厚さで存在する。本開示の生分解性積層体は、本開示のパッケージに背景色を提供するためのインク及び/又は染料を含み得る。背景色を更に明確にするために、紙層が基色を含むことに注目すべきである。紙層の基色は、インク又は染料を含まないパッケージの色である。例えば、漂白紙は白色であり、未漂白は茶色であり、草由来の紙は緑色であり、再生含有物を含む紙は灰色である。背景色は、基色ではない任意の色、例えば、青、赤、緑、黄色、紫、オレンジ色、黒、又はこれらの組み合わせである。しかしながら、色がインク及び/又は染料によって得られる場合、背景色は、白色、茶色、又は灰色も含み得る。リサイクルプロセスの利益のためにインク/染料の使用を低減するために、紙層の天然色を利用してもよい。例えば、インク/染料を使用して、消費者に面するパネルの背景色だけを定めてもよく、紙層の天然色は、可撓性パッケージの他のパネルの背景色として使用される。
【0067】
表面外層12及び裏面外層22は、約5μm~約50μmの厚さ、あるいは約10μm~約40μmの厚さ、あるいは約20μm~約30μmの厚さであり得る。表面中間層13及び裏面中間層23は、約30~約120g/m 2 、あるいは約40~約110g/m 2 、あるいは約50~約100g/m 2 、あるいは約60~約90g/m 2 であり得る。表面内層14及び裏面内層24は、約1μm~約150μmの厚さ、あるいは約2μm~約100μm、あるいは約3μm~約40μmの厚さ、あるいは約5μm~約35μm、あるいは約10μm~約30μmの厚さであり得る。
【0068】
図1Cは、小袋1’の断面図であり、この図は、図1Bと同様であり、線1B-1Bに沿って取られている。小袋1’は、図1Aの小袋1の斜視図と同じように見える。この実施例では、表面フィルム10’及び裏面フィルム20’は、2つの層を含み得る多層構造体から作製されている。表面フィルム10’と裏面フィルム20’とは、より具体的には表面内層14’と裏面内層24’とは、ヒートシール部30’において恒久的に接合されて、固体物品45’を格納するように適合された区画40’を形成することができる。
【0069】
この実施例では、表面フィルム10は、表面外層12’及び表面内層14’を含んでもよく、裏面フィルム20’は、裏面外層22’及び裏面内層24’を含んでもよい。一実施例では、表面外層12’及び裏面外層22’は、セルロース、酢酸セルロース又は金属化セルロース、又は金属化酢酸セルロースを含むことができ、表面内層14’及び裏面内層24’は、PVOH、PBS、PBSA、PHA、カルナバワックス、生分解性TPS、及び/又はPVDC(ポリ塩化ビニリデン)を含むことができる。一実施例では、表面外層12’及び裏面外層22’はセルロースを含み、表面内層14’及び裏面内層24’は金属化PBSAを含む。一実施形態では、表面外層12’及び裏面外層22’は金属化セルロースを含み、表面内層14’及び裏面内層24’はPBSAを含む。小袋1’は、外層と内層との間に、小袋1について記載されたものと同様の生分解性接着剤層を含むことができる。
【0070】
小袋1’は、選択されたセルロースタイプに応じて、不透明又は半透明又は透明のいずれかであり得る。例えば、セルロースは、透明であっても、金属仕上げを有しても、半透明艶消しであっても、又は白色であってもよい。小袋1は、印刷領域を含んでもよい。印刷は、フレキソ印刷、グラビア印刷、又はインクジェット印刷などの標準的な印刷技術を使用して達成することができる。パッケージ内の製品と関連したブランディング及び/又は他のパッケージ情報は、小袋の表面のうちの1つに適用することができる。いくつかの実施形態では、印刷は、内層に面する表面上の透明又は半透明のセルロース外層に適用される。この配置は、環境又は取り扱いによるあらゆる損傷から印刷を保護するのに特に有利である。他の実施形態では、印刷は、外層の上に直接適用される。インクの適用及びタイプは、小袋1について既に説明したものと同様である。
【0071】
表面外層12’及び裏面外層22’は、約5μm~約50μmの厚さ、あるいは約10μm~約30μmの厚さ、あるいは約15μm~約25μmの厚さであり得る。表面内層14’及び裏面内層24’は、約0.5μm~約100μmの厚さ、あるいは1μm~約30μmの厚さ、あるいは約1μm~約5μmの厚さであり得る。あるいは、表面内層14’及び裏面内層24’は、約1μm~約50μmの厚さ、あるいは約3μm~約40μmの厚さ、あるいは約5μm~約35μm、あるいは約10μm~約30μmの厚さであり得る。
【0072】
いくつかの実施形態では、構造全体の水分透過率を低下させるために、追加の無機バリア層が存在し得る。無機バリア層は、内面、外面、紙層に隣接して、ポリマー層に隣接してなどであるが、これらに限定されない、表面及び又は裏面フィルム内の任意の好適な部分に配置され得る。好適な無機コーティングは、アルミニウム、マグネシウム、チタン、スズ、インジウム、ケイ素、炭素、金、銀、クロム、亜鉛、銅、セリウム、ハフニウム、タンタル、及びダイヤモンド様炭素を含むがこれらに限定されない金属の蒸着によって形成され得る。特定の実施形態では、好適な無機コーティングは、金属酸化物、金属窒化物、及び関連化合物の蒸着によって形成され得る。本明細書で使用するとき、金属酸化物としては、酸化アルミニウム(例えば、Al)、炭化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化チタン(二酸化チタン、酸化チタン(III)又は一酸化チタン)、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化イットリウム、又は酸化ジルコニウム(例えば、一酸化ジルコニウム)、酸化カルシウム、酸化ホウ素、又は金属酸化物、例えば酸化ケイ素、オキシ炭化ケイ素、及び窒化ケイ素が挙げられる。本明細書で使用するとき、酸化ケイ素又は窒化物系コーティングはまた、SiOX(式中、xは1~4の整数である)又はSiOXNY(式中、x及びyのそれぞれは1~3の整数である)からなる群から選択されるものであり得る。バリア層は、上記の群から選択される少なくとも1つを含む単一成分蒸着層、又は、SiOx/Al203、SiO/ZnO、SiO/CaO、SiO/B2O3及びCaO/Ca(OH)2からなる群から選択される2つの成分の少なくとも1つの組み合わせを含む2成分蒸着層であり得る。無機バリアコーティング層は、5~1,000nm、あるいは20~500nm、あるいは50~200nmの厚さを有することができる。
【0073】
いくつかの実施例は、無機バリア層と共に生分解性プライマー層を使用することもできる。生分解性プライマー層の役割は、プライマーでコーティングされる紙ベースの構造の表面を、無機バリア層がその表面上に堆積される前に、可能な限り平坦化することである。したがって、平坦値が小さいほど、バリア特性が大きくなる。また、安定したバリア層を可能にし、下層構造から無機バリア層が剥離するのを回避するよう強力な界面を形成するために、無機バリア層が可能な限り接着に適したものである必要がある。場合によっては、そのようなプライマー層は、機械的損傷又は酸化を防止するために、無機バリア層の上にのみ使用されてもよく、したがってこの場合は保護層と呼ばれ得る。プライマーを使用して、蒸着中にしばしば受ける熱的ヒステリシスに対する追加の耐熱性を提供することもできる。生分解性プライマー層はまた、保護層の他に生分解性ラッカー又は生分解性ワニスと呼ばれることもある。いずれの単語もこの層を説明するために使用され、目的は同じである。いくつかの実施形態では、プライマーは、The Fraunhofer Institute for Silicate Research(Wurzburg,Germany)によって開発されたbio-ORMOCER(登録商標)又はORMOCER(登録商標)などの無機有機ハイブリッドポリマーであり得る。これらの材料は、ガラスとポリマーとの間のハイブリッドであり、これらの材料の正確な化学的性質は、特定の用途に合わせて調整することができる。ORMOCER(登録商標)材料は、ゾル-ゲル法を介して合成され、無機部分と有機部分との間に強い共有結合を有する。有機部分と有機部分との比は、特定の用途用に特性を最適化するために変更され得る。有機アルコキシシランと金属アルコキシドとの制御された加水分解及び縮合反応により、ハイブリッドポリマーORMOCER(登録商標)の無機ネットワークが生成される。有機ネットワークは、有機アルコキシシランを介して導入される反応性有機基のその後の重合を介して形成される。典型的には、これは、非生分解性バージョンのアクリレート又はメタアクリレートのエポキシド重合又はラジカル重合を伴う。有機ネットワークの形成、したがって材料の硬化は、熱又はUV光によって誘発され得る(例えば、Bio-ORMOCER(登録商標))。典型的には、bio-ORMOCER(登録商標)を作製するために、ORMOCER(登録商標)は、生分解性バージョンを作製するために生分解性ポリマーキトサン又はポリカプロラクトンのいずれかによって修飾され、無機ORMOCER(登録商標)ネットワークへの共有結合のための生分解性官能基を形成する。生分解性成分のハイブリッドポリマーネットワークへの組み込みを保証するために、これらの成分のいくつかは、化学修飾に供される。例えば、ポリカプロラクトン誘導体は、これらの生分解性成分が続いて加水分解反応及び縮合反応を介して無機ネットワークに結合するのを可能にするために、トリ-エトキシ-シラン基で官能化され得る。ポリカプロラクトンバージョンの場合、ハイブリッド材料の有機ネットワークへの生分解性前駆体の付着は、エポキシ基での官能化によって達成された。その後、反応性エポキシ基は、有機ネットワークの形成のための重合反応に関与した。対照的に、キトサンは、それ自体のアミノ基のいくつかを介して有機ネットワークと結合することができるため、修飾を必要としなかった。キトサンバージョンは、より速い速度で生分解する傾向がある。ポリカプロラクトンバージョンは、水分によって引き起こされる抗菌効果を考慮して具体的に設計された。ORMOCER(登録商標)及びbio-ORMOCER(登録商標)の非限定的な例としては、ドイツ特許第3828098号及び同第4303570号に加えて、米国特許出願公開第2011/0250441(Al)号及び米国特許第6709757(B2)号に記載されているものが挙げられる。無機有機ハイブリッド材料に対する代替的な実施形態としては、HuberGroup(Germany)製のPVOHラッカー、又はシェラックラッカーを挙げることができるが、これらに限定されない。これらの代替選択肢の両方はまた、生分解することが期待される。典型的には、任意のプライマー層は、0.5~20μm、あるいは2~10μm、あるいは1~5μmの範囲の最終硬化厚さを与えるように配置される。無機バリア層のバリア特性を保護することと、それと同時に紙リサイクルの流れにおいて支障が生じないこととの良好なバランスを保つために、この層を可能な限り薄く保つことが重要である。プライマー層が厚すぎるか、又は破壊が困難な場合、紙再パルプ化装置内のフィルターを詰まらせるか、又は得られた再生紙に光学的欠陥を引き起こす可能性がある。
【0074】
驚くべきことに、固体物品が、表3の例示的な物品のような連続気泡発泡体(open cell foam、OCF)物品である場合、後述するように、生分解性及び/又は家庭で堆肥化可能な小袋内に保管することができることが見出された。しかしながら、表2に記載されるように、また、米国特許出願公開第2019/0282461号に記載の方法に従って、紡糸繊維から作製された物品は、生分解性及び/又は家庭で堆肥化可能な小袋内に保管することができない。
【0075】
【表2】
1.Solvay(登録商標)から供給されるJaguar(登録商標)C500
2.Solvay(登録商標)から供給されるMirapol(登録商標)AM-T
3.Kuraray(登録商標)によって供給されるPoval(商標)3-80、PVA420H
4.Kuraray(登録商標)によって供給されるPoval(商標)32-80(420H)、PVA403
5.Solvay(登録商標)によって供給されるMackham(登録商標)LHS
6.Momentive(登録商標)によって供給されるY-14945アミノ流体
【0076】
【表3】
1.Solvay(登録商標)によって供給されるJaguar(登録商標)C500
2.Sekisui Specialty Chemicals(登録商標)によって供給されるSelvol(商標)ポリビニルアルコール523
3.Solvay(登録商標)によるMiranol(登録商標)Ultra L 32 E
【0077】
図2A及び図2Bは、それぞれ繊維状物品(表2)及びOCF物品(表3)に関する、後述する手溶解法によって決定される物品溶解に対する圧縮圧力及び相対湿度の相対的インパクトを示す。物品を、包装することなく、25℃及び設定された相対湿度(RH)で少なくとも48時間コンディショニングし、次いで設定圧縮荷重に15秒間供され、次いで、同じ設定RH室内で少なくとも48時間回復させ、次に、後述する手溶解試験に従って外観及び手溶解について評価した。物品が溶解するために必要なのが15ストローク未満である場合、物品は、許容可能な手溶解を有すると見なされた。OCF及び繊維状物品を、次の相対湿度組み合わせ:20%、40%、60%、80%、90%、及び圧力条件:0、20、40、60、80psigで、合計で25の条件で試験した。各条件について3つの物品を試験した。図2A及び2Bにおいて、破線1は、流通及び消費者の取り扱い中に小袋で測定された典型的な圧縮応力を表す。
【0078】
図2Aに示すように、紡糸繊維は、20psig(137.9kPa)及び相対湿度80%を含むほとんどの相対湿度/圧力の組み合わせで許容できない手溶解(15ストローク以上)を有することが見出された。繊維状物品では、あらゆる相対湿度における少量の圧縮荷重でさえ、物品にある程度の不可逆的な変形を引き起こすことが見出された。
【0079】
しかしながら、図2Bに示すように、連続気泡発泡体は、20psig(137.9kPa)及び90%相対湿度を含む相対湿度及び圧力の組み合わせの大部分にわたって許容可能な手溶解(15ストローク未満)を有し、平均手溶解は約7であった。更に、圧縮荷重を加えると、OCF物品は、20~80%RHまで形状を完全に回復させることが見出されたことがわかった。90%RHで保管されたOCF物品は、圧縮後にそれらの初期形状を部分的にのみ回復させ、したがって、依然として消費者にとって許容可能ではあるとはいえ、よりゆっくりと溶解することが見出された。
【0080】
理論に拘束されることを意図するものではないが、OCF物品の構造により、OCF物品は、生物分解可能な(biodegradabe)及び/又は家庭で堆肥化可能な小袋内での保管にとって好ましい固体物品となり得ると考えられる。図3Aは、OCF物品の一部のマイクロCTスキャンを示し、図3Bは、繊維物品の一部のマイクロCTスキャンを示す。図3Aに示すように、OCF物品は、繊維状物品のような他の固体形態と比較して、比較的大きな平均ストラット直径(例えば、30~50μm)を有する。このことより、湿度、更には湿った指に対する物品の堅牢性が増加するが、依然として消費者にとって許容可能な溶解を提供する。更に、図3Bに示されるように個々の繊維が互いにランダムに置かれている紡糸繊維を有する物品とは異なり、図3Aは、OCFストラットが、各ストラットが互いに反対方向に継続的に押し込まれている状態の単一の一体部品として編成されていることを示している。
【0081】
固体物品
固体物品は、限定するものではないが、参照により本明細書に援用される米国特許第8,349,786号、同第8,461,091号、及び同第8,349,787号及び米国特許出願公開第2012/0270029号に記載されているような連続気泡発泡体物品と、米国特許出願公開第2012/052036号、同第2018/0333339号、及び同第2019/0282461号、米国特許出願第15/981,096号、米国特許第9,545,364号に記載されているような繊維状物品とを含み得る。
【0082】
連続気泡発泡体(OCF)物品
OCF物品は、可撓性多孔質溶解性固体シートを含む物品であり得る。OCF物品は、水溶性ポリマーを含むことができ、当該固体シートOCF物品は、
(i)以下に記載する試験6を使用して測定したとき、約0.5mm~約4mm、あるいは約0.6mm~約3.5mm、あるいは約0.7mm~約3mm、あるいは約0.8mm~約2mm、あるいは約1mm~約1.5mmの範囲の厚さと、
(ii)後述の試験3によって測定したとき、約80%~100%、あるいは約85%~100%、あるいは約90%~100%の連続気泡含有率と、
(iii)後述の試験2に記載のマイクロCT法によって測定したとき、約100μm~約2000μm、あるいは約150μm~約1000μm、あるいは約200μm~約600μmの全体平均孔径と、を有し、
当該固体シートOCF物品は、互いに反対側に上面及び底面を有し、当該上面は、後述の試験1に記載のSEM法によって測定したとき、約100μm超、あるいは約110μm超、あるいは約120μm超、あるいは約130μm超、あるいは最も多くは約150μm超の表面平均細孔直径を有し、
当該固体シートOCF物品は、上面に隣接する上部領域と、底面に隣接する底部領域と、それらの間の中間領域とを含み、当該上部領域、底部領域、及び中間領域は同じ厚さを有し、上部領域、底部領域、及び中間領域のそれぞれは平均孔径によって特徴付けられ、当該上部領域における平均粒径に対する当該底部領域における平均孔径の比率は、約0.6~約1.5、あるいは約0.7~約1.4、あるいは約0.8~約1.3、あるいは最も多くは約1~約1.2である。
【0083】
また更に、物品の上部領域、中間領域、及び底部領域における平均孔径間の相対標準偏差(relative standard deviation、RSTD)は、20%以下、あるいは15%以下、あるいは10%以下、あるいは最も多くは5%以下であり得る。
【0084】
物品は、後述の試験2によって測定したとき、約5μm~約200μm、あるいは約10μm~約100μm、あるいは約10μm~約80μmの平均気泡壁厚さを有し得る。
【0085】
物品は、少量の水を含有してもよい。物品は、後述の試験4によって測定したとき、当該固体シートOCF物品の約0.5重量%~約25重量%、あるいは約1重量%~約20重量%、あるいは約3重量%~約10重量%の最終水分含量を有し得る。得られる固体シートOCF物品における適切な最終水分含量は、シート物品の所望の可撓性/変形性を確保するのみならず、消費者に柔らかな/滑らかな感触を提供することができる。最終水分含量が低すぎる場合、シート物品は、脆すぎたり剛性が高すぎたりする場合がある。最終水分含量が高すぎる場合、シート物品はべたつきすぎる場合があり、その全体的な構造的一体性が損なわれる場合がある。
【0086】
OCF物品は、以下に記載される試験6によって測定したとき、約50g/m 2 ~約250g/m 2 、あるいは約80g/m 2 ~約220g/m 2 、あるいは約100g/m 2 ~約200g/m 2 の坪量を含み得る。
【0087】
OCF物品は、後述の試験7によって測定したとき、約0.05グラム/cm~約0.5グラム/cm、あるいは約0.06グラム/cm~約0.4グラム/cm、あるいは約0.07グラム/cm~約0.2グラム/cm、あるいは約0.08グラム/cm~約0.15グラム/cmの範囲の密度を有してもよい。固体シートOCF物品の密度は、全体的な体積膨張を招く細孔膨張にも起因して、通気された湿潤プレミックスのシートの密度よりも低くてもよい。
【0088】
更に、OCF物品は、以下に記載される試験8によって測定したとき、約0.03m/g~約0.25m/g、あるいは約0.04m/g~約0.22m/g、あるいは0.05m/g~0.2m/g、あるいは0.1m/g~0.18m/gの比表面積によって特徴付けることができる。固体シートOCF物品の比表面積は、その多孔度を示し得るものであり、例えば、比表面積が大きいほど、シート物品がより多孔質であり、その溶解速度が速くなるといった、その溶解速度に影響を与え得る。
【0089】
配合物
水溶性ポリマー
湿潤プレミックスは、プレミックスの約3重量%~約20重量%の水溶性ポリマー、あるいはプレミックスの約5重量%~約15重量%の水溶性ポリマー、あるいはプレミックスの約7重量%~約10重量%の水溶性ポリマーを含んでもよい。
【0090】
乾燥後、OCF物品中の水溶性ポリマーは、固体シートOCF物品の総重量の約10%~約40%、あるいは約15%~約30%、あるいは約20%~約25%であり得る。一実施例では、水溶性ポリマーOCF物品の総量は、そのような物品の総重量の25%以下であり得る。
【0091】
水溶性ポリマーは、約50,000~約400,000ダルトン、あるいは約60,000~約300,000ダルトン、あるいは約70,000~約200,000ダルトン、あるいは約80,000~約150,000ダルトンの範囲の重量平均分子量を有するものを選択されてもよい。重量平均分子量は、各ポリマー原材料の平均分子量を加算し、多孔質固体物内に存在するポリマーの総重量の重さによるそれぞれの相対的重量パーセントを乗じて計算する。本明細書で使用される水溶性ポリマーの重量平均分子量は、湿潤プレミックスの粘度に影響を与える場合があり、これはひいては、通気工程中の気泡の数及びサイズ、並びに乾燥工程中の細孔膨張/開口結果に影響を与え得る。更に、水溶性ポリマーの重量平均分子量は、湿潤プレミックスの全体的なフィルム形成特性、及び特定の界面活性剤との適合性/不適合性に影響を及ぼし得る。
【0092】
水溶性ポリマーとしては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキシド、ポリアクリレート、カプロラクタム、ポリメタクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリメチルアクリルアミド、ポリジメチルアクリルアミド、ポリエチレングリコールモノメタアクリレート、アクリル酸とメチルアクリレートとのコポリマー、ポリウレタン、ポリカルボン酸、ポリビニルアセテート、ポリエステル、ポリアミド、ポリアミン、ポリエチレンイミン、マレイン酸/(アクリレート又はメタクリレート)コポリマー、メチルビニルエーテルと無水マレイン酸とのコポリマー、酢酸ビニルとクロトン酸とのコポリマー、ビニルピロリドン及び酢酸ビニルのコポリマー、ビニルピロリドン及びカプロラクタムのコポリマー、ビニルピロリドン/酢酸ビニルのコポリマー、アニオン性モノマーとカチオン性モノマーと両性モノマーとのコポリマー、並びにこれらの組み合わせを含む合成ポリマーを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0093】
水溶性ポリマーはまた、カラヤガム、トラガカントガム、アラビアゴム、アセマンナン、コンニャクマンナン、アカシアガム、ガティガム、乳清タンパク質単離物、及び大豆タンパク質単離物などの例を含む植物起源のもの;グアーガム、ローカストビーンガム、マルメロ種子、及びオオバコ種子を含む種子抽出物;カラギーナン、アルギン酸、及び寒天などの海藻抽出物;果物抽出物(ペクチン);キサンタンガム、ジェランガム、プルラン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、及びデキストランを含む微生物由来のもの;並びにカゼイン、ゼラチン、ケラチン、ケラチン加水分解物、スルホン酸ケラチン、アルブミン、コラーゲン、グルテリン、グルカゴン、グルテン、ゼイン、及びシェラックを含む動物起源のもの、を含む天然起源のポリマーから選択されてもよい。
【0094】
また、改質された天然ポリマーを水溶性ポリマーとして使用してもよい。好適な改質された天然ポリマーとしては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、セルロースアセテートフタレート、ニトロセルロース及び他のセルロースエーテル/エステルのようなセルロース誘導体;並びにヒドロキシプロピルのようなグアー誘導体が挙げられるが、それらに限定されない。
【0095】
水溶性ポリマーは、デンプンを含んでもよい。本明細書で使用するとき、「デンプン」という用語は、天然に存在する又は改質されたデンプンの両方を含む。デンプンの典型的な供給源としては、穀物、塊茎、根、豆果及び果実を挙げることができる。より具体的な天然の供給源としては、トウモロコシ、豆、ポテト、バナナ、大麦、小麦、米、サゴ、アマランス、タピオカ、アロールート、カンナ、サトウモロコシ、及びそれらのろう質又は高級アミラーゼ類を挙げることができる。天然デンプンは、剪断されたデンプン又は熱抑制されたデンプンなどの物理的に改質されたデンプン;架橋、アセチル化、及び有機エステル化、ヒドロキシエチル化、並びにヒドロキシプロピル化、リン酸化、並びに無機エステル化、カチオン性、アニオン性、非イオン性、両性及び双極性、並びにこれらのコハク酸塩及び置換サクシネート誘導体などの化学的に改質されたデンプン;酸化、酵素変換、酸加水分解、熱若しくは酸デキストリン化、熱的及び/又は剪断された生成物によって調製される流動性又は薄い煮沸デンプン、本明細書で有用であり得る熱及び/又は剪断生成物、を含むデンプンのいずれかに由来する変換生成物、並びに、当該技術分野において既知のアルファ化デンプン、を含んだ改質デンプンを形成するために当該技術分野において既知の任意の改質方法によって改質することができる。
【0096】
一実施例では、水溶性ポリマーとしては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリド、ポリアルキレンオキシド、デンプン及びデンプン誘導体、プルラン、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、及びカルボキシメチルセルロースを挙げることができる。別の実施例では、水溶性ポリマーとしては、ポリビニルアルコール、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースを挙げることができる。
【0097】
本発明の水溶性ポリマーは、約40%~約100%、あるいは約50%~約95%、あるいは約70%~約92%、あるいは約80%~約90%の範囲の加水分解度によって特徴付けられるポリビニルアルコールを含み得る。市販のポリビニルアルコールとしては、Celanese Corporation(Texas,USA)からの商品名CELVOLのものが挙げられ、限定するものではないが、CELVOL 523、CELVOL 530、CELVOL 540、CELVOL 518、CELVOL 513、CELVOL 508、CELVOL 504;Kuraray Europe GmbH(Frankfurt,Germany)からの商品名Mowiol(登録商標)及びPOVAL(商標)、Lubon Vinylon Co.(Nanjing,China)を含む様々な供給元から市販されているPVA 1788(PVA BP17とも称される);並びにそれらの組み合わせからなる群から選択されてもよい。可撓性多孔質溶解性固体シートOCF物品は、このような物品の総重量の約10%~約25%、あるいは約15%~約23%の、80,000~約150,000ダルトンの範囲の重量平均分子量、及び約80%~約90%の範囲の加水分解度を有するポリビニルアルコールを含み得る。
【0098】
上述したポリビニルアルコールに加えて、本明細書に記載されたような必須の構造と物理的/化学的特性を備える固体シートOCF物品を提供するのに役立つ限り、単一のデンプン又はデンプンの組み合わせを、必要とされる水溶性ポリマーの全体の濃度を低減させるような量の充填材料として使用してもよい。しかしながら、デンプンが多すぎると、シート物品の溶解度及び構造的一体性を含む場合がある。したがって、固体シートOCF物品は、当該固体シートOCF物品の20%重量%以下、あるいは0重量%~10重量%、あるいは0重量%~5重量%、あるいは0重量%~1重量%のデンプンを含むことが望ましくあり得る。
【0099】
界面活性剤
上述の水溶性ポリマーに加えて、固体シートOCF物品は、1種以上の界面活性剤を含み得る。界面活性剤は、物品の所望のOCF構造を形成するのに十分な量の安定した気泡を生成するために、通気プロセス中に乳化剤として機能し得る。また、界面活性剤は、所望の洗浄効果を実現するための活性成分として機能し得る。
【0100】
固体シートOCF物品は、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、ポリマー界面活性剤、又はこれらの組み合わせからなる群から選択される1種以上の界面活性剤を含む。このような固体シートOCF物品の所望の用途及び達成すべき所望の消費者利益に応じて、異なる界面活性剤を選択することができる。1つの利点は、固体シートOCF物品のOCF構造が、高速溶解を依然として提供しながら、高い界面活性剤含有量を組み込むことを可能にすることである。結果的に、高濃度の洗浄組成物を本発明の固体シートOCF物品に配合して、消費者に新たな優れた洗浄体験を提供することができる。
【0101】
本明細書で使用する界面活性剤は、慣例的な観念(すなわち、消費者の目を引く泡立ち効果を提供する界面活性剤)及び乳化剤(すなわち、任意の泡立ち性能を提供しないが、主に安定した発泡構造体を作製する際のプロセス助剤として意図されるもの)の両方の界面活性剤を含んでもよい。本明細書で界面活性剤成分として使用される乳化剤の例としては、モノ-及びジ-グリセリド、脂肪族アルコール、ポリグリセロールエステル、プロピレングリコールエステル、ソルビタンエステル及び既知の又は別の方法で空気界面を安定させるのに一般的に使われる他の乳化剤が挙げられる。
【0102】
固体シートOCF物品に存在する界面活性剤の総量は、当該固体シートOCF物品の総重量の約5%~約80%、あるいは約10%~約70%、あるいは約30%~約65%と広範囲であってもよい。結果的に、湿潤プレミックスは、プレミックスの約1重量%~約40重量%の界面活性剤、一実施形態ではプレミックスの約2重量%~約35重量%の界面活性剤、一実施形態ではプレミックスの約5重量%~約30重量%の界面活性剤を含んでもよい。
【0103】
固体シートOCF物品は、当該固体シートOCF物品の総重量の約30%~約80%、あるいは約40%~約70%、あるいは約50%~約65%の1種以上の界面活性剤を含有する洗浄製品であり得る。このようなケースでは、湿潤プレミックスは、プレミックスの約10重量%~約40重量%の界面活性剤、一実施形態ではプレミックスの約12重量%~約35重量%の界面活性剤、一実施形態ではプレミックスの約15重量%~約30重量%の界面活性剤を含んでもよい。
【0104】
本明細書に用いるのに好適なアニオン性界面活性剤の非限定的な例としては、アルキル及びアルキルエーテル硫酸塩、硫酸化モノグリセリド、スルホン化オレフィン、アルキルアリールスルホン酸塩、一級又は二級アルカンスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アシルタウレート、アシルイセチオネート、アルキルグリセリルエーテルスルホン酸塩、スルホン化メチルエステル、スルホン化脂肪酸、アルキルホスフェート、アシルグルタメート、アクリルサルコシネート、アルキルホスフェート、アシル化ペプチド、アルキルエーテルカルボキシレート、アシルラクチレート、アニオン性フルオロ界面活性剤、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0105】
アニオン性界面活性剤の1つのカテゴリとしては、具体的に、C~C20直鎖アルキルベンゼンスルホネート(linear alkylbenzene sulphonate、LAS)界面活性剤を挙げることができる。LAS界面活性剤は、当該技術分野において周知であり、市販の直鎖状アルキルベンゼンをスルホン化することによって容易に入手することができる。使用することができる例示的なC10~C20直鎖アルキルベンゼンスルホネートとしては、C10~C20直鎖アルキルベンゼンスルホン酸のアルカリ金属、アルカリ土類金属、又はアンモニウムの塩、あるいは、C11~C18又はC11~C14直鎖アルキルベンゼンスルホン酸のナトリウム、カリウム、マグネシウム、及び/又はアンモニウムの塩を挙げることができる。一実施例では、C12及び/又はC14直鎖アルキルベンゼンスルホン酸のナトリウム又はカリウム塩、あるいは、C12及び/又はC14直鎖アルキルベンゼンスルホン酸のナトリウム塩、すなわち、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム又はテトラデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムである。
【0106】
LASは優れた洗浄効果をもたらし、洗濯洗剤用途での使用に特に好適である。より高い重量平均分子量(例えば、約50,000~約400,000ダルトン、あるいは約60,000~約300,000ダルトン、あるいは約70,000~約200,000ダルトン、あるいは最も多くは約80,000~約150,000ダルトン)を有するポリビニルアルコールがフィルム形成剤及びキャリアとして使用されるとき、LASは主界面活性剤、すなわち、全体的な組成物のフィルム形成性能及び安定性に悪影響を及ぼすことなく、固体シートOCF物品中の総界面活性剤含有量の50重量%超の量で存在し得るものとして使用することができることが見出された。それに対応して、一実施例では、LASは、固体シートOCF物品中の主界面活性剤として使用される。存在する場合、固体シートOCF物品中のLASの量は、固体シートOCF物品の総重量の約10%~約70%、あるいは約20%~約65%、あるいは約40%~約60%の範囲であってもよい。
【0107】
アニオン性界面活性剤の別のカテゴリとしては、約0.5~約5、あるいは約0.8~約4、あるいは約1~約3、あるいは最も多くは約1.5~約2.5の範囲の重量平均アルコキシル化度を有するトリデセス硫酸ナトリウム(sodium trideceth sulfates、STS)を挙げることができる。トリデセスは、一実施形態では、1分子当たり平均して少なくとも1つのメチル分岐を含む炭素13個の分岐鎖アルコキシル化炭化水素である。STSとしては、ST(EOxPOy)Sを挙げることができ、EOxは、0~5、あるいは1~4、あるいは1~3の繰り返し数xを有する繰り返しエチレンオキシド単位を表し、POyは、0~5、あるいは0~4、あるいは0~2の範囲の繰り返し数yを有する繰り返しプロピレンオキシド単位を表す。例えば、約2の重量平均エトキシル化度を有するST2Sなどの材料は、エトキシレートなし、1モルのエトキシレート、3モルのエトキシレートなどを有する有意な量の分子を含んでもよく、一方、エトキシル化の分布は、広い、狭い、又は切断されたものとなり得、それでもなお約2の総重量平均エトキシル化度をもたらすことができることが理解される。STSは、パーソナルクレンジング用途に特に好適であり、より高い重量平均分子量(例えば、約50,000~約400,000ダルトン、あるいは約60,000~約300,000ダルトン、あるいは約70,000~約200,000ダルトン、あるいは最も多くは約80,000~約150,000ダルトン)を有するポリビニルアルコールがフィルム形成剤及びキャリアとして使用されるとき、STSは主界面活性剤として、すなわち、全体的な組成物のフィルム形成性能及び安定性に悪影響を及ぼすことなく、固体シートOCF物品中の総界面活性剤含有量の50重量%超の量で存在し得るものとして使用することができることが見出された。それに対応して、STSは、固体シートOCF物品中の主界面活性剤として使用され得る。存在する場合、固体シートOCF物品中のSTSの量は、固体シートOCF物品の総重量の約10%~約70%、あるいは約20%~約65%、あるいは約40%~約60%の範囲であってもよい。
【0108】
好適なアニオン性界面活性剤の別のカテゴリとしては、アルキルサルフェートを挙げることができる。これら物質は、対応する式:ROSOM(式中、Rは、約6~約20個の炭素原子のアルキル又はアルケニルであり、xは1~10であり、Mは、アンモニウム、ナトリウム、カリウム及びトリエタノールアミンなどの水溶性カチオンである)を有する。あるいは、Rは、約6~約18個、あるいは約8~約16個、あるいは約10~約14個の炭素原子を有する。より高い重量平均分子量(例えば、約50,000~約400,000ダルトン、あるいは約60,000~約300,000ダルトン、あるいは約70,000~約200,000ダルトン、あるいは最も多くは約80,000~約150,000ダルトン)を有するポリビニルアルコールがフィルム形成剤及びキャリアとして使用されるとき、LAS及び/又はSTSなどの他の界面活性剤が、全体的な組成物のフィルム形成性能及び安定性に悪影響を及ぼすことなく、固体シートOCF物品中の主界面活性剤として使用され得ることが見出された。したがって、当該固体シートOCF物品の約20重量%以下、あるいは0重量%~約10重量%、あるいは0重量%~約5重量%、あるいは最も多くは0重量%~約1重量%のASを有する固体シートOCF物品を提供することが望ましくあり得る。
【0109】
好適なアニオン性界面活性剤の別のカテゴリとしては、直鎖状又は分枝鎖状C~C20アルキルアルコキシサルフェート(alkylalkoxy sulfates、AAS)を挙げることができる。このカテゴリの中でも、対応する式RO(CO)SOMを有する直鎖状又は分枝鎖状アルキルエトキシサルフェート(alkylethoxy sulfates、AES)を挙げることができ、式中、Rは、約6~約20個の炭素原子のアルキル又はアルケニルであり、xは1~10であり、Mは、アンモニウム、ナトリウム、カリウム及びトリエタノールアミンなどの水溶性カチオンである。あるいは、Rは、約6~約18個、あるいは約8~約16個、あるいは約10~約14個の炭素原子を有する。AES界面活性剤は、典型的には、エチレンオキシドと約6~約20個の炭素原子を有する一価アルコールとの縮合生成物として作製される。有用なアルコールは、脂肪、例えば、ココナッツ油若しくは獣脂から誘導されることができる、又は合成であることができる。ココナッツ油から誘導されるラウリルアルコール及び直鎖アルコールを使用することができる。このようなアルコールを、約1~約10、あるいは約3~約5、特に約3の、モル割合のエチレンオキシドと反応させ、例えば、アルコール1モル当たり平均3モルのエチレンオキシドを有する得られた分子種の混合物は、スルフェート化され、中和される。AESは、個々の化合物の混合物を含むものであり、当該混合物は、約10個~約16個の炭素原子の平均アルキル鎖長、及び約1~約4モルのエチレンオキシドの平均エトキシル化の程度を有する。存在する場合、固体シートOCF物品中のAASの量は、固体シートOCF物品の総重量の約2%~約40%、あるいは約5%~約30%、あるいは約8%~約12%の範囲であってもよい。
【0110】
他の好適なアニオン性界面活性剤には、一般式[R-SO-M]の有機硫酸反応生成物の水溶性塩が挙げられ、式中、Rは約6~約20個、あるいは約10~約18個の炭素原子を有する、直鎖又は分枝鎖状の飽和脂肪族炭化水素ラジカルからなる群から選択され、Mはカチオンである。いくつかの実施例では、アルカリ金属及びアンモニウムスルホン化C10~18n-パラフィンが含まれてもよい。他の好適なアニオン性界面活性剤としては、約12~約24個の炭素原子を有するオレフィンスルホネートが挙げられる。オレフィンスルホネートが誘導されるαオレフィンは、約12~約24個の炭素原子、あるいは約14~約16個の炭素原子を有するモノ-オレフィンである。あるいは、それらは直鎖オレフィンである。
【0111】
布地及びホームケア組成物に用いるのに好適なアニオン性界面活性剤のもう1つの種類は、β-アルキルオキシアルカン酸塩である。これらの化合物は、以下の式を有し、
【0112】
【化1】
式中、Rは、約6~約20の炭素原子を有する直鎖アルキル基であり、Rは、約1~約3の炭素原子を有する低アルキル基であり、Mは、上述の水溶性カチオンである。
【0113】
好適なアニオン性界面活性剤の更なる例は、イセチオン酸でエステル化され、水酸化ナトリウムで中和された脂肪酸の反応生成物(例えば、脂肪酸はココナツ油に由来する)、例えば、脂肪酸がココナツ油に由来するメチルタウリドの脂肪酸アミドのナトリウム又はカリウム塩である。更に他の好適なアニオン性界面活性剤は、スクシナメートであり、その例としては、N-オクタデシルスルホスクシナメート、ジアンモニオウムラウリルスルホスクシナメート、四ナトリウムN-(1,2-ジカルボキシエチル)-N-オクタデシルスルホスクシナメート、スルホコハク酸ナトリウムのジアミルエステル、スルホコハク酸ナトリウムのジヘキシルエステル、及びスルホコハク酸ナトリウムのジオクチルエステルである。
【0114】
固体シートOCF物品に含まれ得る非イオン性界面活性剤としては、アルキルアルコキシル化アルコール、アルキルアルコキシル化フェノール、アルキル多糖類(特にアルキルグルコシド及びアルキルポリグルコシド)、ポリヒドロキシ脂肪酸アミド、アルコキシル化脂肪酸エステル、スクロースエステル、ソルビタンエステル、並びにソルビタンエステルのアルコキシル化誘導体、アミンオキシドなどをふくむがこれらに限定されない任意の従来の非イオン性界面活性剤を挙げることができる。非イオン性界面活性剤としては、式R(OCOH(式中、RはC~C18アルキル基又はアルキルフェニル基であり、nは約1~約80である)のものを挙げることができる。いくつかの実施例では、Shell(登録商標)から市販されているNEODOL(登録商標)非イオン性界面活性剤などの、約1~約20、あるいは約5~約15、あるいは約7~約10の重量平均エトキシル化度を有するC~C18アルキルエトキシル化アルコールが含まれ得る。本明細書で有用な非イオン性界面活性剤の他の非限定例としては、アルコキシレート単位がエチレンオキシ単位、プロピレンオキシ単位、又はこれらの混合物であり得るC~C12アルキルフェノールアルコキシレート;C12~C18アルコール、及びエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックポリマーとのC~C12アルキルフェノール縮合物、例えば、BASF製のPluronic(登録商標);C14~C22中鎖分枝鎖状アルコール(BA);C14~C22中鎖分枝鎖状アルキルアルコキシレート、BAE(式中、xは1~30である);アルキル多糖類、具体的にはアルキルポリグリコシド;ポリヒドロキシ脂肪酸アミド;及びエーテル末端処理ポリ(オキシアルキル化)アルコール界面活性剤が挙げられる。好適な非イオン性界面活性剤としては更に、商標名Lutensol(登録商標)としてBASFから販売されているものも挙げられる。
【0115】
非イオン性界面活性剤は、モノラウリン酸ソルビタン(SPAN(登録商標)20)、モノパルミチン酸ソルビタン(SPAN(登録商標)40)、モノステアリン酸ソルビタン(SPAN(登録商標)60)、トリステアリン酸ソルビタン(SPAN(登録商標)65)、モノオレイン酸ソルビタン(SPAN(登録商標)80)、トリオレイン酸ソルビタン(SPAN(登録商標)85)、イソステアリン酸ソルビタン、モノラウリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(Tween(登録商標)20)、モノパルミチン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(Tween(登録商標)40)、モノステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(Tween(登録商標)60)、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(Tween(登録商標)80)、モノラウリン酸ポリオキシエチレン(4)ソルビタン(Tween(登録商標)21)、モノステアリン酸ポリオキシエチレン(4)ソルビタン(Tween(登録商標)61)、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(5)ソルビタン(Tween(登録商標)81)(これらは全てUniqemaから入手可能)、及びこれらの組み合わせを含むソルビタンエステル及びソルビタンエステルのアルコキシル化誘導体から選択され得る。
【0116】
界面活性剤としては、5~15の範囲の重量平均アルコキシル化度を有する直鎖状又は分枝鎖状C~C20アルキルアルコキシル化アルコール(alkylalkoxylated alcohols、AA)、あるいは7~9の範囲の重量平均アルコキシル化度を有する直鎖C12~C14エトキシル化アルコールを挙げることができる。存在する場合、固体シートOCF物品中のAAタイプの非イオン性界面活性剤の量は、固体シートOCF物品の総重量の約2%~約40%、あるいは約5%~約30%、あるいは約8%~約12%の範囲であってもよい。
【0117】
固体シートOCF物品における使用に適した両性界面活性剤としては、脂肪族第二級及び第三級アミンの誘導体として広く記載されるものを挙げることができ、脂肪族ラジカルは、直鎖又は分枝鎖であってよく、脂肪族置換基の1つは、約8~約18個の炭素原子を含有し、1つは、アニオン性水溶性基、例えば、カルボキシ、スルホネート、サルフェート、ホスフェート、又はホスホネートを含有する。この定義に該当する化合物の例は、3-ドデシルアミノプロピオン酸ナトリウム、3-ドデシルアミノプロパンスルホン酸ナトリウム、ラウリルサルコシン酸ナトリウム、ドデシルアミンをイセチオン酸ナトリウムと反応させることで調製されるもののようなN-アルキルタウリン、及びN-高級アルキルアスパラギン酸である。
【0118】
パーソナルケア用途(例えば、シャンプー、顔又は身体洗浄剤など)を有する固体シートOCF物品への組み込みに特に好適な両性界面活性剤の1つのカテゴリとしては、ラウロアンホアセテート及びココアンホアセテートなどのアルキルアンホアセテートが挙げられる。アルキルアンホアセテートは、モノアセテート及びジアセテートで構成され得る。アルキルアンホアセテートのいくつかの種類では、ジアセテートは、不純物又は意図しない反応生成物である。存在する場合、固体シートOCF物品中のアルキルアンホアセテートの量は、固体シートOCF物品の総重量の約2%~約40%、あるいは約5%~約30%、あるいは約10%~約20%の範囲であってもよい。
【0119】
好適な双極性界面活性剤には、脂肪族第四級アンモニウム、ホスホニウム及びスルホニウム化合物の誘導体として広く記述されるものであって、その脂肪族ラジカルが直鎖又は分枝鎖であることができ、その脂肪族置換基のうちの1つが約8~約18個の炭素原子を含有し、1つがアニオン性基、例えば、カルボキシ、スルホネート、サルフェート、ホスフェート又はホスホネートを含有するものが挙げられる。そのような好適な双極性界面活性剤は、次の式で表すことができる:
【0120】
【化2】
(式中、Rは、約8~約18個の炭素原子のアルキル、アルケニル、又はヒドロキシアルキルラジカル、0~約10個のエチレンオキシド部分、及び0~約1個のグリセリル部分を含有し、Yは、窒素、リン、及び硫黄原子からなる群から選択され、Rは、約1~約3個の炭素原子を含有するアルキル又はモノヒドロキシアルキル基であり、Xは、Yが硫黄原子であるとき、1であり、Yが窒素又はリン原子であるとき、2であり、Rは、約1~約4個の炭素原子のアルキレン又はヒドロキシアルキレンであり、Zは、カルボキシレート、スルホネート、サルフェート、ホスホネート、及びホスフェート基からなる群から選択されるラジカルである)。
【0121】
本明細書に用いるのに好適な他の双極性界面活性剤には、ココジメチルカルボキシメチルベタイン、ココアミドプロピルベタイン、ココベタイン、ラウリルアミドプロピルベタイン、オレイルベタイン、ラウリルジメチルカルボキシメチルベタイン、ラウリルジメチルαカルボキシエチルベタイン、セチルジメチルカルボキシメチルベタイン、ラウリルビス-(2-ヒドロキシエチル)カルボキシメチルベタイン、ステアリルビス-(2-ヒドロキシプロピル)カルボキシメチルベタイン、オレイルジメチルγ-カルボキシプロピルベタイン、及びラウリルビス-(2-ヒドロキシプロピル)α-カルボキシエチルベタインのような高級アルキルベタインを包含するベタインが挙げられる。スルホベタインは、ココジメチルスルホプロピルベタイン、ステアリルジメチルスルホプロピルベタイン、ラウリルジメチルスルホエチルベタイン、ラウリルビス-(2-ヒドロキシエチル)スルホプロピルベタインなどで表すことができ、RCONH(CHラジカル(式中、Rは、C11~C17アルキルである)がベタインの窒素原子に付着する、アミドベタイン類及びアミドスルホベタイン類も本発明においてやはり有用である。
【0122】
カチオン性界面活性剤はまた、OCF物品、特に布地柔軟剤及びヘアコンディショナー製品において利用することができる。カチオン性界面活性剤を主界面活性剤として含有する製品を作製する際に使用される場合、このようなカチオン性界面活性剤は、固体シートOCF物品の総重量の約2%~約30%、あるいは約3%~約20%、あるいは約5%~約15%の範囲の量で存在することができる。
【0123】
カチオン性界面活性剤は、ジアミド活性成分、並びにアミド結合及びエステル結合の混合を有する活性成分を包含するDEQA化合物の説明を含み得る。DEQA化合物は、典型的には、MDEA(メチルジエタノールアミン)及びTEA(トリエタノールアミン)などのアルカノールアミンを脂肪酸と反応させることによって作製される。このような反応から典型的に得られるいくつかの物質としては、N,N-ジ(アシル-オキシエチル)-N,N-ジメチルアンモニウムクロリド又はN,N-ジ(アシル-オキシエチル)-N,N-メチルヒドロキシエチルアンモニウムメチルサルフェートが挙げられ、式中、アシル基は、動物脂、不飽和及び多価不飽和脂肪酸から誘導される。
【0124】
カチオン性界面活性剤としての使用に好適な他の活性成分としては、例えば、分子比約2:1での、脂肪酸とジアルキレントリアミンとの反応生成物が挙げられ、当該反応生成物は、下式の化合物を含有する:
-C(O)-NH-R-NH-R-NH-C(O)-R
式中、R、Rは、上記に定義したとおりであり、各Rは、C1~6アルキレン基、あるいはエチレン基である。これらの活性成分の例は、約2:1の分子比でのタロー酸、キャノーラ酸又はオレイン酸とジエチレントリアミンの反応生成物であり、当該反応生成物混合物は、N,N”-ジタローオイルジエチレントリアミン、N,N”-ジキャノーラ-オイルジエチレントリアミン又はN,N”-ジオレオイルジエチレントリアミンを含有し、それぞれ下式を有する:
-C(O)-NH-CHCH-NH-CHCH-NH-C(O)-R
(式中、R及びRは二価エチレン基であり、Rは上記に定義したとおりであり、Rが植物若しくは動物供給源から誘導される市販のオレイン酸のオレオイル基である場合、この構造の許容可能な例としては、Henkel Corporationから入手可能なEMERSOL(登録商標)223LL又はEMERSOL(登録商標)7021が挙げられる)。
【0125】
カチオン性界面活性剤として使用される別の活性成分は、下式を有する:
[R-C(O)-NR-R-N(R)-R-NR-C(O)-R
(式中、R、R、R、R及びXは、上記のように定義される)。この活性成分の例は、下式を有するジ脂肪アミドアミン系柔軟剤である:
[R-C(O)-NH-CHCH-N(CH)(CHCHOH)-CHCH-NH-C(O)-RCHSO
(式中、R-C(O)は、オレオイル基、ソフトタロー基、又は硬化タロー基であり、DegussaからVARISOFT(登録商標)222LT、VARISOFT(登録商標)222、及びVARISOFT(登録商標)110の商品名でそれぞれ市販されている)。
【0126】
カチオン性界面活性剤として使用するための活性成分として好適な第2のタイプのDEQA(「DEQA(2)」)化合物は、次の一般式を有する:
[RCHCH(YR)(CHYR)]X
(式中、各Y、R、R、及びXは、上記と同じ意味を有する)。DEQA(2)は、式1,2-ジ(アシルオキシ)-3-トリメチルアンモニオプロパンクロリドを有する「プロピル」エステル四級アンモニウム布地柔軟剤活性物質であり得る。
【0127】
パーソナルケア組成物での使用に好適なポリマー界面活性剤としては、限定するものではないが、エチレンオキシドと脂肪族アルキル残基(fatty alkyl residues)とのブロックコポリマー、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのブロックコポリマー、疎水変性ポリアクリレート、疎水変性セルロース、シリコーンポリエーテル、シリコーンコポリオールエステル、ジ四級ポリジメチルシロキサン、及び共修飾されたアミノ/ポリエーテルシリコーンを挙げることができる。
【0128】
可塑剤
OCF物品は、任意選択的に、当該固体シートOCF物品の総重量の0.1%~約25%、あるいは約0.5%~約20%、あるいは約1%~約15%、あるいは最も多くは2%~12%の範囲の量の可塑剤を含み得る。それに対応して、このような固体シートOCF物品を形成するために使用される湿潤プレミックスは、当該湿潤プレミックスの約0.02重量%~約20重量%、一実施形態では当該湿潤プレミックスの約0.1重量%~約10重量%、一実施形態では湿潤プレミックスの約0.5重量%~約5重量%の湿潤プレミックスを含み得る。
【0129】
好適な可塑剤としては、例えば、ポリオール、コポリオール、ポリカルボン酸、ポリエステル、ジメチコンコポリオールなどを挙げることができる。
【0130】
ポリオールとしては、グリセリン、ジグリセリン、エチレングリコール、ポリエチレングリコール(特に200~600)、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、グリセロール誘導体(プロポキシル化グリセロールなど)、グリシドール、シクロヘキサンジメタノール、ヘキサンジオール、2,2,4-トリメチルペンタン-1,3-ジオール、ペンタエリスリトール、尿素、糖アルコール(ソルビトール、マンニトール、ラクチトール、キシリトール、マルチトール、及び他のモノ-及び多価アルコールなど)、モノ-、ジ-及びオリゴ-糖(フルクトース、グルコース、スクロース、マルトース、ラクトース、高フルクトースコーンシロップ固形物、及びデキストリンなど)、アスコルビン酸、ソルビン酸塩、エチレンビスホルムアミド、アミノ酸などを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0131】
ポリカルボン酸の例としては、クエン酸、マレイン酸、コハク酸、ポリアクリル酸、及びポリマレイン酸を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0132】
ポリエステルとしては、グリセロールトリアセテート、アセチル化モノグリセリド、ジエチルフタレート、トリエチルシトレート、トリブチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、アセチルトリブチルシトレートを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0133】
好適なジメチコンコポリオールとしては、PEG-12ジメチコン、PEG/PPG-18/18ジメチコン、及びPPG-12ジメチコンを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0134】
他の好適な可塑剤としては、アルキル及びアリルフタレート;ナフタレート;乳酸塩(例えば、ナトリウム塩、アンモニウム塩、及びカリウム塩);ソルベス-30;尿素;乳酸;ピロリドンカルボン酸ナトリウム(pyrrolidone carboxylic acid、PCA);ヒアルロン酸ナトリウム又はヒアルロン酸;可溶性コラーゲン;変性タンパク質;L-グルタミン酸モノナトリウム;グリコール酸、乳酸、クエン酸、マレイン酸及びサリチル酸などの、α及びβヒドロキシル酸;ポリメタクリル酸グリセリル;ポリマー可塑剤、例えば、ポリクオタニウム;タンパク質、並びに、グルタミン酸、アスパラギン酸、及びリシンなどのアミノ酸;水素デンプン加水分解産物;その他低分子量エステル(例えば、C~C10アルコールと酸とのエステル);及び、食品及びプラスチック業界の当業者に既知である任意の他の水溶性可塑剤;並びに、これらの混合物を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0135】
一実施例では、可塑剤としては、グリセリン、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、及びこれらの混合物を挙げることができる。一実施例では、可塑剤はグリセリンを含むことができる。
【0136】
追加成分
上述の成分、例えば、水溶性ポリマー、界面活性剤、及び可塑剤に加えて、OCF物品は、その意図される用途に応じて、1つ以上の追加成分を含んでもよい。このような1つ以上の追加成分は、布地ケア活性物質、食器洗浄活性物質、硬質表面洗浄活性物質、美容及び/又はスキンケア活性物質、パーソナルクレンジング活性物質、ヘアケア活性物質、口腔ケア活性物質、女性ケア活性物質、ベビーケア活性物質、並びにこれらの任意の組み合わせからなる群から選択され得る。
【0137】
好適な布地ケア活性物質としては、有機溶媒(直鎖又は分枝鎖状の低級C~Cアルコール、ジオール、グリセロール、又はグリコール;C~Cアルカノールアミン等のより低級のアミン溶媒及びこれらの混合物;より具体的には、1,2-プロパンジオール、エタノール、グリセロール、モノエタノールアミン及びトリエタノールアミン)、キャリア、ヒドロトロープ、ビルダー、キレート剤、分散剤、酵素及び酵素安定剤、触媒材料、漂白剤(光漂白剤を含む)及び漂白活性化剤、香料(カプセル化香料又は香料マイクロカプセルを含む)、着色剤(色相染料を含む、顔料及び染料など)、増白剤、移染防止剤、粘土汚れ除去/再付着防止剤、構造化剤、レオロジー変性剤、抑泡剤、加工助剤、布地柔軟剤、抗菌剤などを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0138】
好適なヘアケア活性物質としては、縮れ減少のためのクラスIIの水分調整物質(サリチル酸及び誘導体、有機アルコール、及びエステル)、カチオン性界面活性剤(特に、25℃での水への溶解度が0.5g/水100g未満、あるいは0.3g/水100g未満である非水溶性タイプ)、高融点脂肪族化合物(例えば、25℃以上、あるいは40℃以上、あるいは45℃以上、あるいは50℃以上の融点を有する脂肪族アルコール、脂肪酸、及びこれらの混合物)、シリコーン化合物、コンディショニング剤(Hormelから入手可能な商標名Peptein 2000を有する加水分解コラーゲン、Eisaiから入手可能な商標名Emix-dのビタミンE、Rocheから入手可能なパンテノール、Rocheから入手可能なパンテニルエチルエーテル、加水分解ケラチン、タンパク質、植物抽出物、及び栄養素)、防腐剤(ベンジルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン、及びイミダゾリジニル尿素など)、pH調整剤(クエン酸、クエン酸ナトリウム、コハク酸、リン酸、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムなど)、塩(酢酸カリウム及び塩化ナトリウムなど)、着色剤、香料又は芳香剤、金属イオン封鎖剤(エチレンジアミン四酢酸二ナトリウムなど)、紫外線及び赤外線スクリーニング及び吸収剤(サリチル酸オクチルなど)、毛髪脱色剤、毛髪パーマ剤、毛髪固定剤、抗ふけ剤、抗菌剤、育毛剤又は補充剤、共溶媒又は他の追加の溶媒などを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0139】
好適な美容及び/又はスキンケア活性物質としては、化粧品での使用が認可され、CTFA Cosmetic Ingredient Handbook,Second Edition,The Cosmetic,Toiletries,and Fragrance Association,Inc.1988,1992などの参考文献に記載されている物質を挙げることができる。好適な美容及び/又はスキンケア活性物質の更なる非限定的な例としては、防腐剤、香料又は芳香剤、着色剤又は染料、増粘剤、保湿剤、皮膚軟化剤、医薬活性物質、ビタミン又は栄養素、日焼け止め剤、脱臭剤、感覚剤、植物抽出物、栄養素、収れん剤、化粧品粒子、吸収性粒子、繊維、抗炎症剤、美白剤、皮膚色調剤(皮膚色調全体を改善するように機能し、ビタミンB3化合物、糖アミン、ヘキサミジン化合物、サリチル酸、ヘキシルレゾルシノール及びレチノイドなどの1,3-ジヒドロキシ-4-アルキルベンゼンを含み得る)、皮膚日焼け剤、剥離剤、保湿剤、酵素、酸化防止剤、フリーラジカル捕捉剤、抗しわ活性物質、抗にきび剤、酸、塩基、ミネラル、懸濁剤、pH調整剤、顔料粒子、抗菌剤、防虫剤、シェービングローション剤、共溶媒又は他の追加の溶媒などが挙げられる。
【0140】
固体シートOCF物品は、組成物での使用が既知であるか、あるいは有用であるような他の任意選択的な成分を更に含んでもよく、かかる任意選択的な材料は、本明細書に記載の選択された不可欠な材料と適合性があるか、あるいはそうでなくても過度に製品性能を損なわないという条件で含まれる。
【0141】
本発明の固体シートOCF物品によって形成され得る製品タイプの実施形態の非限定的な例としては、洗濯洗剤製品、布地柔軟製品、手洗浄製品、ヘアシャンプー製品、ヘアコンディショニング製品、ヘアトリートメント製品を含むヘアスタイリング製品、ボディクレンジング製品、シェービング調製製品、食器洗浄製品、医薬又は他のスキンケア活性物質を含有するパーソナルケア基材、保湿製品、日焼け止め製品、美容製品又はスキンケア製品、脱臭製品、口腔ケア製品、女性用洗浄製品、ベビーケア製品、芳香剤含有製品などを挙げることができる。
【0142】
連続気泡発泡体物品を作製するためのプロセス
参照により本明細書に援用される国際公開第2010077627号及び国際公開第2012138820号は、まず、様々な材料を含有するプレミックスを調製し、次いで、ガスをその中に導入することによってプレミックスを通気し、続いて通気されたプレミックスをシートに形成し、最後に高温でシートを乾燥させることによって、OCF構造を有する可撓性多孔質溶解性固体シートOCF物品を形成するプロセスを開示している。OCF構造は、水蒸発、気泡崩壊、薄膜気泡表面から気泡間のプラトー境界内への介在液体排出(気泡間の開口部を生成して連続気泡を形成する)、及びプレミックスの固化といった同時的な機構の下で、乾燥工程中に形成される。様々な処理条件が、例えば、湿潤プレミックス中の固体含有量、湿潤プレミックスの粘度、重力、及び乾燥温度などのこれらの機構、並びに制御された排液を達成して所望のOCF構造を形成するように処理条件を均衡化させる必要性に影響し得る。
【0143】
表3の物品を含む記載されたOCF物品は、次の工程によって作製され得る:(a)水又は好適な溶媒中に溶解又は分散された原材料(例えば、水溶性ポリマー、界面活性剤などの活性成分、及び任意選択的に可塑剤)を含有する、約40℃及び1s-1で測定した約1,000cps~約25,000cpsの粘度によって特徴付けられるプレミックスを形成する工程;(b)当該プレミックスを(例えば、ガスを湿潤スラリーに導入することによって)通気して、通気された湿潤プレミックスを形成する工程;(c)当該通気された湿潤プレミックスを、互いに反対側に第1の面及び第2の面を有するシートに形成する工程;及び(d)当該形成されたシートを、当該形成されたシートの第1の面から第2の面へと減少する温度勾配を形成する加熱方向に沿って、1分~60分の乾燥時間にわたって70℃~200℃の温度で乾燥させる工程であって、加熱方向は、乾燥時間の半分を超えて重力方向から実質的にオフセットされ、すなわち、主に「反重力」加熱方向に沿った加熱下で実施される、乾燥させる工程。このような主に「反重力」加熱方向は、これらに限定されないが、図4及び図5にそれぞれ示したような、底部伝導型の加熱/乾燥構成及び回転ドラム式加熱/乾燥構成を含む、様々な手段によって達成することができる。
【0144】
OCF物品を作製する際、得られるシート物品における最適なOCF構造を達成するために、湿潤プレミックスの粘度及び/又は固体含有量、通気の量及び速度(通気されたプレミックス中の気泡サイズ及び量に影響を及ぼし、それに対応して、固化シート物品の孔径/分布/量/特性に影響を及ぼし得る、空気供給ポンプ速度、混合ヘッド速度、空気流量、通気されたプレミックスの密度など)、乾燥温度及び乾燥時間を慎重に調整することが望ましくあり得る。加えて、所望の加熱方向(すなわち、重力方向に対して実質的にオフセットされた関係)を有することが重要であり得る。
【0145】
工程(A):湿潤プレミックスの調製
湿潤プレミックスは、水溶性ポリマー、界面活性剤、及び/又は他の有益剤、任意選択的な可塑剤、及び他の任意選択的な成分を含む、対象の固体を、プレミックスタンク内の十分な量の水又は別の溶媒と混合することによって調製することができる。湿潤プレミックスは、メカニカルミキサーを使用して形成することができる。本明細書で有用なメカニカルミキサーには、ピッチ翼を有するタービン、又はMAXBLEND撹拌機(Sumitomo Heavy Industries)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0146】
湿潤プレミックスの粘度は、40℃及び1s-1で測定したときに約1,000cps~約25,000cpsとなるように調節され得る。湿潤プレミックスの粘度は、後続の乾燥工程中に、通気されたプレミックスの細孔膨張及び細孔開口に影響を与える可能性がある。湿潤プレミックスの粘度は、40℃及び1秒-1で測定したときに、約3,000cps~約24,000cps、あるいは約5,000cps~約23,000cps、あるいは約10,000cps~約20,000cpsの範囲であり得る。プレミックスの粘度値を、コーン及びプレート形状を有するMalvern Kinexus Lab+レオメータ(CP1/50 SR3468 SS)を使用して、ギャップ幅0.054mm、温度40℃、剪断速度1.0レシプロカル秒で360秒間測定する。
【0147】
湿潤プレミックスは、当該湿潤プレミックスの総重量の約15%~約70%、あるいは約20%~約50%、あるいは約25%~約45%の固体を含有し得る。固体含有パーセントは、水及び低沸騰アルコールのような明らかに揮発性のあらゆる物質を除いた、固体成分、半固体成分、及び液体成分の全ての総加工混合物の重量による重量パーセントの合計である。
【0148】
湿潤プレミックス中の対象となる固体の中でも、固体の総重量の約1%~約75%の界面活性剤、約0.1%~約25%の水溶性ポリマー、及び任意選択的に約0.1%~約25%の可塑剤を含有し得る。他の活性剤又は有益剤をプレミックスに添加することもできる。
【0149】
任意選択的に、湿潤プレミックスは、通気プロセスの直前に及び/又は通気プロセス中に、周囲温度よりも高い温度であるが、その内部で成分の分解を引き起こすいかなる温度よりも低い温度にて、予め加熱され得る。湿潤プレミックスは、約40℃~約100℃、あるいは約50℃~約95℃、あるいは約60℃~約90℃、あるいは約75℃~約85℃の範囲の高温に維持され得る。また、このような高温で湿潤プレミックスを試し、維持するために、通気プロセス中に追加の熱を加えることができる。これは、1つ以上の表面からの伝導性加熱、蒸気の注入、又は他のプロセス方法により達成することができる。
【0150】
工程(B):湿潤プレミックスの通気
湿潤プレミックスの通気により、引き続き乾燥時にその中にOCF物品を形成するために十分な量の気泡を湿潤プレミックスに導入することができる。十分に通気された後、湿潤プレミックスは、非通気された湿潤プレミックス(不注意に閉じ込められた気泡をわずかに含んでもよい)又は不十分に通気された湿潤プレミックス(気泡をいくらか含有し得るが、非常に低い体積割合で及びかなり大きい気泡サイズのものを含んでもよい)の密度より著しく低い密度によって特徴付けられる。通気された湿潤プレミックスは、約0.05g/mL~約0.5g/mL、あるいは約0.08g/mL~約0.4g/mL、あるいは約0.1g/mL~約0.35g/mL、あるいは約0.15g/mL~約0.3g/mL、あるいは約0.2g/mL~約0.25g/mLの範囲の密度を有し得る。
【0151】
通気は、物理的又は化学的手段のいずれかによって達成することができる。通気は、例えば、ローターステーターミキサー、プラネタリーミキサー、加圧ミキサー、非加圧ミキサー、バッチミキサー、連続ミキサー、半連続ミキサー、高剪断ミキサー、低剪断ミキサー、水中スバージャー、又はこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない任意の好適な機械的処理手段を使用することによって、機械的撹拌を通して湿潤プレミックスにガスを導入することにより達成することができる。あるいは、通気は、化学的手段を通して、例えば、発泡系による二酸化炭素(COガス)の形成を含む1つ以上の成分の化学反応を介してその場でガス形成を提供するために化学的発泡剤を使用して達成され得る。
【0152】
通気された湿潤プレミックスの気泡サイズは、得られる固体シートOCF物品のOCF物品内で均一な層を得るのを助けることができる。一実施例では、通気された湿潤プレミックスの気泡サイズは、約5~約100マイクロメートル、あるいは約20マイクロメートル~約80マイクロメートルであり得る。
【0153】
工程(C):シート形成
十分な通気の後、通気された湿潤プレミックスは、互いに反対側に第1の面及び第2の面を有する1つ以上のシートを形成する。シート形成工程は、例えば、押出成形、鋳造、成型、真空成形、プレス、印刷、コーティングなどによって、任意の好適な方法で実施することができる。より具体的には、通気された湿潤プレミックスは、(i)当該湿潤プレミックスを浅いキャビティ若しくはトレー又は特別に設計されたシート型に鋳造することと、(ii)当該湿潤プレミックスを乾燥機の連続ベルト又はスクリーン上に押出成形することと、(iii)当該湿潤プレミックスを回転ドラム乾燥機の外面上にコーティングすることと、を行うことによってシートに形成することができる。シートがその上に形成される支持面は、金属(例えば、鋼、クロムなど)、TEFLON(登録商標)、ポリカーボネート、NEOPRENE(登録商標)、HDPE、LDPE、ゴム、ガラスなどの、防食で非相互作用及び/又は非粘着性の材料によって形成されるか、又はコーティングされることができる。
【0154】
通気された湿潤プレミックスの形成されたシートは、約0.5mm~約4mm、あるいは約0.6mm~約3.5mm、あるいは約0.7mm~約3mm、あるいは約0.8mm~約2mm、あるいは約0.9mm~約1.5mmの厚さを有する。通気された湿潤プレミックスのそのような形成されたシートの厚さを制御することは、得られる固体シートOCF物品が所望のOCF構造を有することを確実にするために重要であり得る。形成されたシートが薄すぎる(例えば、厚さが0.5mm未満)場合、通気された湿潤プレミックス中に閉じ込められた気泡の多くが後続の乾燥工程中に膨張して、得られる固体シートOCF物品の厚さ全体を通って延びる貫通孔を形成する。このような貫通孔は、多すぎる場合、シート物品の全体的な構造的完全性及び美的外観の両方を著しく損なう場合がある。形成されたシートが厚すぎる場合には、乾燥のためにより長い時間がかかるだけでなく、その厚さに沿って異なる領域(例えば、上部領域、中間領域、及び底部領域)間のより大きな孔径の変動を有する固体シートOCF物品をもたらすことになる。なぜならば、乾燥時間が長いほど、気泡の破裂/崩壊/合体、液体排出、細孔膨張、細孔開口、水蒸発などによって、より不均衡な力が生じる場合があるからである。
【0155】
工程D:反重力加熱下での乾燥
シートが形成された後、乾燥時間全体にわたって、又は少なくとも乾燥時間の半分超にわたって、乾燥工程中に反重力加熱方向を使用することができる。
【0156】
特定の実施形態では、反重力加熱方向は、図4に示すものと同じ又は類似の伝導型の加熱/乾燥構成によって提供される。
【0157】
図4は、本発明の可撓性多孔質溶解性OCFシートを作製するための、底部伝導式加熱/乾燥構成を示す。具体的には、金型51を、通気された湿潤プレミックスで充填し、これにより、第1の面52A(すなわち、底部面)と、反対側の第2の面52B(すなわち、上部面)とを有するシート52を形成する。このような金型51を、乾燥工程中、加熱された表面(図示せず)上に、例えば、約125~130℃の制御された表面温度を有する予め加熱されたペルチェプレートの上部に、約30分間置く。熱は、金型51の底部の加熱された表面から金型を通って伝導し、シート52を下方から、すなわち、上向きの加熱方向(クロスハッチ入り矢印によって示されるように)に沿って加熱し、これにより、当該シート52内に第1の面52A(底部面)から反対側の第2の面52B(上部面)へと減少する温度勾配を形成する。このような上向きの加熱方向は、重力方向(白い矢印によって示されるように)と反対であり、乾燥時間全体にわたってそのように維持される(すなわち、加熱方向は、乾燥時間のほぼ100%の重力方向とは反対である)。乾燥中、重力は依然として、液体プレミックスを底部領域に向かって下向きに排出する。しかしながら、上向きの加熱方向は、シートを下から上に乾燥させ、底部領域での熱により発生した水蒸気が、上向きに上昇して固化マトリックスから逃れるため、底部領域に向かう下向きの液体排出は、固化マトリックス及び上昇水蒸気によって著しく制限され、「妨害」/低減される。それに対応して、得られる乾燥シートの底部領域は密度が低く、比較的薄い気泡壁を有する多数の細孔を含む。また、上部領域は、このプロセス中に乾燥される最後の領域であるため、上部領域内の気泡は、膨張するのに十分な時間を有して、得られるシートの上面にかなり大きな開いた細孔を形成し、これは、シートへの水の侵入を促進するのに特に有効である。更に、得られるシート物品は、その異なる領域(例えば、上部、中間、底部)全体にわたって、より均一に分布した全孔径を有する。
【0158】
あるいは、反重力加熱方向を、図5に示すものと類似した、ドラム乾燥又はローラー乾燥とも称される回転ドラム式加熱/乾燥構成によって提供する。
【0159】
図5は、可撓性多孔質溶解性OCFシートを作製するためにも使用することができる回転ドラム式加熱/乾燥構成を示す。具体的には、供給トラフ60を、通気された湿潤プレミックス61で充填する。加熱された回転可能なシリンダ70(ドラム乾燥機とも称される)を、当該供給トラフ60の上方に配置する。当該加熱されたドラム乾燥機70は、約130℃の制御された表面温度によって特徴付けられる円筒状の加熱された外面を有し、これは、時計回りの方向に沿って(矢印付きの細い曲線によって示されるように)回転して、供給トラフ60から通気された湿潤プレミックス61を持ち上げる。通気された湿潤プレミックス61は、ドラム乾燥機70の円筒状の加熱された外面上に薄いシート62を形成し、通気された湿潤プレミックスのそのようなシート62は、約10~15分間回転されて乾燥させられる。このように形成されたシート62の一貫した厚さを確保するために、通気された湿潤プレミックス61の粘度並びにドラム乾燥機70の回転速度及び表面温度を調節することによって、シート62の厚さを制御することが可能であるが、レベリング刃(図示せず)をスラリー拾い出し位置付近に配置してもよい。乾燥したら、次に、ドラムの回転の終わりに、手作業で又はスクレーパ72によってシート62を持ち上げることができる。
【0160】
図5に示すように、通気された湿潤プレミックス61によって形成されたシート62は、加熱されたドラム乾燥機70の加熱された外面に直接接触する第1の面62A(すなわち、底部面)と、反対側の第2の面62B(すなわち、上部面)とを含む。それに対応して、ドラム乾燥機70からの熱は、外向きの加熱方向に沿ってシート62に伝導し、シート62の第1の面62A(底部面)を最初に加熱し、次いで、反対側の第2の面62B(上部面)を加熱する。このような外向きの加熱方向は、シート62内に第1の面62A(底部面)から反対側の第2の面62B(上部面)へと減少する温度勾配を形成する。外向きの加熱方向は、ドラム乾燥機70が回転するにつれてゆっくりとかつ常に変化するが、非常にはっきりとしたかつ予想可能な経路に沿っている(図4の複数の外向きに延びたクロスハッチ入り矢印によって示されるように)。外向きの加熱方向及び重力方向(白い矢印によって示されるような)の相対的な位置もまた、同様のはっきりとしたかつ予測可能な方法で減速及び常時変化する。乾燥時間の半分未満(すなわち、加熱方向が水平の破線の下にあるとき)の間、外向きの加熱方向は、その間が90°未満のオフセット角度となって重力方向と実質的に整列される。乾燥時間の大部分の間(すなわち、加熱方向が水平の破線と同一であるか、又はそれを超えるとき)、外向きの加熱方向は、その間が90°以上のオフセット角度となって重力方向と反対又は実質的に反対になる。シート62の初期の「開始」コーティング位置に応じて、加熱方向は、乾燥時間の55%超(コーティングがドラム乾燥機70のちょうど底部で始まる場合)、あるいは乾燥時間の60%超(コーティングが図5に示されるようにドラム乾燥機70のより高い位置で開始する場合)にわたって、重力方向と反対又は実質的に反対になることができる。結果的に、乾燥工程の大部分の間、回転ドラム型の加熱/乾燥構成でのこのゆっくりとした回転及び加熱方向の変化は、重力によって引き起こされるシート62内の液体排出を制限及び「妨害」/低減するように作用することができ、結果として、そのように形成されたシート物品におけるOCF構造の改善をもたらす。加熱されたドラム乾燥機70によって乾燥されることで得られるシート物品はまた、多数のより均一なサイズの細孔を有する低密度の底部領域と、比較的大きい細孔開口を有する上面と、によって特徴付けられる。更に、得られるシート物品は、その異なる領域(例えば、上部、中間、底部)全体にわたって、より均一に分布した全孔径を有する。
【0161】
複数のシートを多層構造に変換する
可撓性溶解性多孔質固体シートが形成されると、上述したように、そのようなシートの2つ以上を更に組み合わせて及び/又は処理して、球状、立方体、長方形、楕円形、円筒形、ロッド、シート、花形、扇型、星形、ディスク形状などが挙げられるが、これらに限定されない任意の望ましい三次元形状の溶解性固体OCF物品を形成することができる。シートは、その例として化学的手段、機械的手段、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない当該技術分野において既知の任意の手段によって、組み合わされて及び/又は処理してもよい。このような組み合わせ工程及び/又は処理工程は、本明細書において集合的に「変換」プロセスと称され、すなわち、これは、2つ以上の可撓性溶解性多孔質OCFシートを、所望の三次元形状を有する溶解性固体物品に変換する役割を果たす。
【0162】
固体シートOCF物品の複数の層を積み重ねることによって形成される多層溶解性固体OCF物品は、最大寸法D及び最小寸法z(最大寸法に対して垂直である)によって特徴付けられ、D/z比(以下、「アスペクト比」とも称される)は、1~約10、あるいは約1.4~約9、あるいは約1.5~約8、あるいは約2~約7の範囲である。アスペクト比が1である場合、溶解性固体物品は球状の形状を有することに留意されたい。アスペクト比が約1.4である場合、溶解性固体物品は立方体形状を有する。
【0163】
多層溶解性固体OCF物品は、約3mm超であるが約20cm未満、あるいは約4mm~約10cm、あるいは約5mm~約30mmの最小寸法zを有してもよい。
【0164】
上述の多層溶解性固体OCF物品は、このような可撓性溶解性多孔質シートを2つより多く含んでもよい。例えば、溶解性固体OCF物品は、約4~約50、あるいは約5~約40、あるいは約6~約30の当該可撓性溶解性多孔質シートを含んでもよい。可撓性溶解性多孔質シート内の改善されたOCF構造は、多くのシート(例えば、15~40)を一緒に積み重ねることを可能にする一方で、積層体に十分な全体的溶解速度を依然として提供する。
【0165】
一実施例では、多層溶解性固体物品は、15~40層の上述の可撓性溶解性多孔質シートを含み、約2~約7の範囲のアスペクト比を有することができる。
【0166】
表4~表11は、以下、洗濯ケア及びヘアケアを意図した様々な固体OCF物品の実施例を示す。
【0167】
以下の表4及び表5に記載の以下の界面活性剤/ポリマー組成物を有する湿潤プレミックスを、それぞれ洗濯ケア物品用及びヘアケア物品用に調製する。
【0168】
【表4】
【0169】
表4に記載の湿潤プレミックス組成物の粘度は、約14309.8cpsである。通気後、このような通気された湿潤プレミックスの平均密度は、約0.25g/cmである。
【0170】
【表5】
【0171】
表5に記載の湿潤プレミックス組成物の粘度は、約19254.6cpsである。通気後、このような通気された湿潤プレミックスの平均密度は、約0.225g/cmである。
【0172】
可撓性多孔質溶解性固体シートOCF物品A及びBは、下の表6に記載される以下の設定及び条件で、連続エアレーター(Aeros)及び回転ドラム乾燥機を使用して、表4及び表5に記載の上記湿潤プレミックスから調製される。
【0173】
【表6】
【0174】
可撓性多孔質溶解性固体シートOCF物品Cもまた、以下の表7に記載される以下の設定及び条件で、連続エアレーター(Oakes)及びホットプレート(底部伝導式加熱を提供する)上に配置された金型を使用して、表4に記載の上記湿潤プレミックスから調製される。
【0175】
【表7】
【0176】
更に、可撓性多孔質溶解性固体シートOCF物品は、以下の表8に記載される以下の設定及び条件で、連続エアレーター(Oakes)及び衝突式オーブン上に配置された金型を使用して、表4及び表5に記載の上記湿潤プレミックスから調製される。
【0177】
【表8】
【0178】
表9~表11は、以下のように、上述の湿潤プレミックス及び乾燥プロセスから作製された本発明の固体シートOCF物品A~C及びI~IIについて測定された様々な物理的パラメータ及び細孔構造を要約する。
【0179】
【表9】
【0180】
【表10】
【0181】
【表11】
【0182】
表12~表17は、以下、パーソナルケア、洗濯ケア、及び布地増強を意図した様々な固体OCF物品の実施例を示す。
【0183】
【表12】
【0184】
【表13】
【0185】
【表14】
【0186】
【表15】
【0187】
【表16】
【0188】
OCF構造を有する可撓性多孔質溶解性固体シートは、以下の表17に記載される以下の設定及び条件で、連続エアレーター(Aeros)及び回転ドラム乾燥機を使用して、表12~表16に記載の上記湿潤プレミックス1~5から調製される。
【0189】
【表17】
【0190】
試験方法
試験1:手溶解試験方法
必要材料:
試験対象物品:3~5個の試料を試験し、個別の試料のそれぞれのストローク数の平均を計算して、平均手溶解値として記録する。この方法では、消費者に販売可能な又は消費者試料の全体を試験する。消費者に販売可能な又は消費者が使用する試料全体が50cmを超える設置面積を有するパッドである場合には、最初に、50cmの設置面積を有するように物品を切断する。
ニトリル手袋
10ccシリンジ
プラスチック製秤量ボート(約3インチ×3インチ)
100mLガラスビーカー
【0191】
水(以下の特性を有するCincinnati市水道水又は等価物:総硬度=155mg/L(CaCOとして);カルシウム含量=33.2mg/L;マグネシウム含量=17.5mg/L;リン酸含量=0.0462mg/L)。使用される水は、1ガロン当たりの水7グレイン(grains per gallon、gpg)硬度及び40℃±5℃である。
【0192】
プロトコル:
・水80mLをガラスビーカーに加える。
・水が40℃±5℃の温度になるまでビーカー内の水を加熱する。
・ビーカーからシリンジによって15mLの水を秤量ボートに移す。
・水を秤量ボートに移す10秒以内に、手袋をはめた手(試料を保持するための非利き手で、カップのように丸めた形の手)の掌に試料を置く。
・利き手を使用して、秤量ボートから試料に水を素早く添加して、直ちに5~10秒間濡らす。
・反対側の利き手(同様に手袋をはめている)を用いて、2回の急速な円形ストロークで擦る。
・2回のストローク後に、手の中の試料を目視検査する。試料が完全に溶解している場合、ストローク数=2溶解ストロークを記録する。完全に溶解していない場合、残りの試料をもう1回のストローク(合計3回)で擦り合わせ、溶解度を観察する。この追加のストローク後に試料が固体片を含有しない場合、ストローク数=3溶解ストロークを記録する。合計3回のストローク後に、試料が、依然として溶解していない試料の固体片を含有する場合、試料が完全に溶解するか、又は合計ストロークが30に達するかのいずれか早い方まで、引き続き更なる円形ストロークで擦り合わせ、各追加のストローク後に固体片が残っているか否かを確認する。合計ストローク数を記録する。上限の30ストローク後に試料片が残った場合であっても、30溶解ストロークを記録する。
・更に4つの試料のそれぞれについて、このプロセスを繰り返す。
【0193】
3~5個の試料の記録された溶解ストロークの値の算術平均を計算し、物品の平均手溶解値として記録する。平均手溶解値は、最も近い単一の溶解ストローク単位で報告する。
【0194】
試験2:安定性試験方法
小袋製品(物品を収容しているシールされた小袋又は液体を収容しているシールされた小袋)は、以下に記載されるように、それらが少なくとも75N/mの強さ(最小要件:剥離容易シール)以上のシール強度を有し、外周の周囲全体にシールの完全性を示し、加速安定性試験の要件を満たす場合に、許容可能な安定性試験方法を有すると判定される。
【0195】
試験3:平均シール強度
この試験方法は、ASTM F88に従って実施される。シールの1インチのストリップを切断することにより、試験用のシールされた試験片を調製する。縁部は、輪郭がはっきりしており、シールの方向に垂直であるものとする。試料を、72°F、50%RHで36時間コンディショニングした。試験片の各脚を、2.95バール±0.1の圧力で剥離試験機にクランプした。シールを、300mm/分のグリップ分離速度で試験する。各サイクルについて、試験片が応力を受けて破損したときを最大力として記録し、破損のタイプを識別する。脚あたり5つの試験片を試験して平均シール強度を計算する。平均シール強度は、次のように定義される:75N/未満の場合にはシールなし/弱いシール;75~250N/mの場合には剥離容易;250~500N/mmの場合には剥離困難;500N/m超の場合にはロックシール。剥離シールは、典型的には、接着の失敗であり、ロックシールは結合力を有する。
【0196】
試験4:加速安定性試験
小袋製品は、以下に記載されるように、許容可能なパッケージの完全性、乾燥物品の完全性、及び物品性能を有する場合、加速安定性試験を満たす。
【0197】
小袋製品を、加速安定条件(40℃、75%RH)下で、一定期間(例えば、2週間、4週間、8週間、12週間、及び/又は6カ月)にわたって試験する。一定期間の後、5つの小袋製品のパッケージの完全性を視覚的に検出する。小袋製品は、(1)視覚的検出によって判定して、小袋の崩壊又は剥離の兆候がなく、小袋シールが無傷である、及び(2)以下に記載されるように、圧縮荷重が印加された後に小袋の内層を汚染の兆候について検査する(視覚的検出及び10倍の顕微鏡検査による)場合に、許容可能なパッケージの完全性を有する。
【0198】
次いで、小袋製品を15秒間18psig(124.1kPa)の圧縮荷重に供し、物品を小袋から取り出し、25℃、60%RHで1日保管する。物品を乾燥物品の完全性及び物品性能について検査する。物品が視覚的検出によって一体構造である場合、物品は許容可能な乾燥物品完全性を有する。例えば、物品は、加速安定性試験中に破砕又は剥離する場合には一体構造と見なされない。物品は、本明細書に記載されるように、手溶解試験で15ストローク未満を必要とし、手溶解試験中の視覚的検出の際に溶解が滑らかであり(塊や荒い粒がない)、かつ色が実質的に均一である場合に、許容可能な性能を有する。
【0199】
試験5:シート物品の表面平均細孔直径を決定するための走査型電子顕微鏡(SEM)法
Hitachi TM3000 Tabletop Microscope(S/N:123104-04)を使用して、試料のSEM顕微鏡写真を取得する。固体シートOCF物品の試料は、面積約1cm×1cmであり、より大きなシートから切断される。画像を倍率50Xで収集し、ユニットを15kVで動作させる。最低5つの顕微鏡画像を、各試料にわたってランダムに選択された位置から収集し、平均孔直径が推定される約43.0mmの総分析面積を得る。
【0200】
次いで、SEM顕微鏡写真を、まず、Matlab内の画像解析ツールボックスを使用して処理する。必要に応じて、画像をグレースケールに変換する。所与の画像について、Matlabの「imhist」関数を使用して、単一画素ごとの強度値のヒストグラムを生成する。典型的には、このようなヒストグラムから、細孔内のより明るいシート表面の画素及びより暗い領域の画素に対応する2つの別個の分布が明らかとなる。これら2つの分布のピーク値間の強度値に対応する閾値を選択する。次いで、この閾値よりも低い強度値を有する全ての画素を、0の強度値に設定し、それよりも強度値が高い画素を1に設定し、これによって、2値の白黒画像を生成する。次いで、その2値画像を、ImageJ(https://imagej.nih.gov、バージョン1.52a)を用いて分析して、細孔面積比及び孔径分布の両方を調べる。各画像のスケールバーを使用して、ピクセル/mmスケールファクタを提供する。分析のために、自動閾値化機能及び分析粒子機能を使用して、各細孔を分離する。分析関数からの出力は、画像全体と細孔面積とに対する面積比及び検出された細孔ごとの細孔周長を含む。
【0201】
平均孔径は、D50として定義され、すなわち、総細孔面積の50%は、D50平均直径以下の水力直径を有する細孔から構成される。
【0202】
水力直径=「4細孔面積(m)/細孔周長(m)」
【0203】
これは、全て円形ではない細孔を考慮するために計算された等価直径である。
【0204】
試験6:連続気泡発泡体(OCF)の全体又は局所の平均孔径及び平均気泡壁厚さを決定するためのマイクロコンピューター断層撮影(μCT)法
多孔度は、OCFによって占有される全空間に対する空隙空間の比率である。多孔度は、空隙空間を閾値化によって区画化し、全ボクセルに対する空隙ボクセルの比率を決定することによって、μCTスキャンから計算することができる。同様に、固体体積分率(solid volume fraction、SVF)は、全空間に対する固体空間の比率であり、SVFは、全ボクセルに対する占有されたボクセルの比率として計算することができる。多孔度及びSVFの両方とも、OCFの高さ方向における孔径分布、又はOCFストラットの平均気泡壁厚などの構造情報を提供しない平均スカラー値である。
【0205】
OCFの3D構造によって特徴付けるために、高い等方性空間分解能でデータセットを取得することができるμCT X線走査機器を使用して試料を撮像する。好適な計測器の一例は、以下の設定で作動するSCANCO Systemモデル50μCTスキャナ(Scanco Medical AG(Bruttisellen,Switzerland))である。エネルギーレベル:133μAで45kVp、投影:3000、視野:15mm、積分時間:750ms、平均:5回、及びボクセルサイズ:3μm。走査及びその後のデータ再構成が完了した後、スキャナシステムは、ISQファイルと称される16ビットデータセットを作成し、そこでは、グレーレベルは、X線減衰の変化を反映し、ひいては材料密度に関連する。次いで、ISQファイルを、スケーリング係数を使用して8ビットに変換する。
【0206】
走査されたOCF試料を、通常、直径およそ14mmのコアを穿孔することによって調製する。OCFパンチを、低減衰発泡体上に平らに置き、次いで、走査用の直径15mmのプラスチック円筒管に取り付ける。取り付けられた切断試料全ての体積全体がデータセットに含まれるように、試料の走査を取得する。このより大きなデータセットから、試料データセットのより小さいサブボリュームを、走査されたOCFの総断面から抽出して3Dのデータスラブを作成し、ここで、細孔は、エッジ/境界効果なしに定性的に評価することができる。
【0207】
高さ方向における孔径分布を特徴付けるために、ストラットサイズ、局所厚さマップアルゴリズム、又はLTMを、サブボリュームデータセット上に実装する。LTM法は、ユークリッド距離マッピング(Euclidean Distance Mapping、EDM)で開始し、各空隙ボクセルのその最も近い境界からの距離に等しいグレーレベル値を割り当てる。EDMデータに基づいて、細孔を表す3D空隙空間(又は、ストラットを表す3D固体空間)を、EDM値に一致するようにサイズ決めされた球体でモザイク化する。球体によって囲まれたボクセルに、最大球面の半径値を割り当てる。換言すれば、各空隙ボクセル(又はストラットの固体ボクセル)には、空隙空間境界(又はストラットの固体空間境界)内に適合しており、かつ割り当てられているボクセルを含む、最大球面の径方向値が割り当てられる。
【0208】
LTMデータ走査から出力された3D標識された球面分布は、高さ方向(又はZ方向)における二次元画像のスタックとして処理され、スライスからスライスへの球面直径の変化をOCF深度の関数として推定するために使用することができる。ストラットの厚さを、3Dデータセットとして処理し、平均値は、サブボリュームの全体又は一部について評価することができる。計算及び測定は、Thermo Fisher ScientificのAVIZO Lite(9.2.0)及びMathworksのMATLAB(R2017a)を使用して行った。
【0209】
試験7:シート物品の連続気泡含有率
連続気泡含有率を、ガス比重瓶法を通して測定する。ガス比重瓶法は、体積を正確に測定するガス置換法を使用する一般的な分析技術である。置換媒体としてヘリウム又は窒素のような不活性ガスが使用される。固体シートOCF物品の試料を既知の体積の計器コンパートメント内に密閉し、適切な不活性ガスを入れ、次に別の精密な内部体積に膨張させる。膨張前及び膨張後の圧力を測定し、これを使用して試料物品の体積を計算する。
【0210】
ASTM標準試験方法D2856は、気体比重瓶(air comparison pycnometer)のより古いモデルを使用して開放気泡の割合を決定するための手順を提供する。この装置はもはや製造されていない。しかしながら、MicromeriticsのAccuPyc比重瓶を使用する試験を実施することにより便利に、かつ精密に開放気泡の割合を決定することができる。ASTM手順書D2856は、発泡材料の連続気泡比率を決定するための5つの方法(A、B、C、D及びE)について述べている。これらの実験のために、窒素ガスを使用して、Accupyc 1340を使用して、ASTM foampycソフトウェアにより、試料を分析することができる。ASTM手順書の方法Cは、連続気泡パーセントを計算するために使用されるべきである。この方法は、以下の式に従ってキャリパ及び標準体積計算を使用して決定されたような幾何学的体積を、Accupycによって測定されたような連続気泡体積と単純に比較する。
連続気泡率=試料の連続気泡体積/試料の幾何学的体積100
【0211】
これらの測定は、Micromeretics Analytical Services,Inc.(One Micromeritics Dr,Suite 200,Norcross,GA 30093)により行うことが推奨される。この技術に関するより多くの情報は、Micromeretics Analytical Servicesのウェブサイト(www.particletesting.com若しくはwww.micromeritics.com)上で入手可能であり、又はClyde Orr及びPaul Webb著「Analytical Methods in Fine particle Technology」において公開されている。
【0212】
試験8:シート物品の最終水分含量
固体シートOCF物品の最終水分含量を、Mettler Toledo HX204 Moisture Analyzer(S/N B706673091)を使用して得る。乾燥したシート物品の最低1gを測定トレー上に置く。次いで、標準プログラムを、10分間の分析時間及び110℃の温度の追加のプログラム設定で実行する。
【0213】
試験9:シート物品の厚さ
可撓性多孔質溶解性固体シートOCF物品の厚さを、Mitutoyo Corporation Digital Disk Stand Micrometer Model Number IDS-1012E(Mitutoyo Corporation,965 Corporate Blvd,Aurora,IL,USA 60504)などのマイクロメータ又は厚さゲージを用いて得る。マイクロメータは、直径1インチ、重さ約32グラムのプラテンを有し、約0.09psi(6.32gm/cm)の印加圧力において厚さを測定する。
【0214】
可撓性多孔質溶解性固体シートOCF物品の厚さは、プラテンを上げてシート物品の一部分をプラテンの真下のスタンド上に置き、注意深くプラテンを下げてシート物品に接触させ、プラテンを離し、シート物品の厚さをミリメートル単位で数値表示装置上で測定することにより、測定する。平らでないより堅い基材の場合を除いて、厚さを可能な限り小さい表面圧力において測定するのを確実にするために、シート物品をプラテンの全てのエッジまで十分に延ばすべきである。
【0215】
試験10:シート物品の坪量
可撓性多孔質溶解性固体シートOCF物品の坪量を、その面積当たりのシート物品の重量(g/m 2 )として計算する。その面積はシート物品の外側エッジに直角の平坦表面上の投影面積として計算される。固体シートOCF物品は、10cm×10cmの正方形試料に切断されているため、その面積は既知である。次いで、このような正方形試料の各々を秤量し、得られた重量を100cm2の既知の面積で割って、対応する坪量を決定する。
【0216】
不規則な形状の物品に対しては、それが平らな物体である場合、その面積は、したがってそのような物体の外周内で取り囲まれている面積に基づいて計算する。したがって、球状物体に関しては、面積は、平均直径に基づいて3.14×(直径/2)として計算される。したがって、円筒状物体に対しては、面積は、平均直径及び平均長さに基づいて直径×長さとして計算される。不規則な形状の三次元物体に対しては、その面積は、この側部に直角に向けられた平坦表面上に投影される最大の外側寸法を備える辺に基づいて計算する。このことは、物体の外側寸法を1枚のグラフ用紙に鉛筆で注意深くトレーシングし、次に正方形を近似的に計数し、その正方形の既知の面積を乗算することによるか、又はスケールを含むトレーシングした領域(コントラストのために陰影がつけられている)の写真を撮り、画像分析技術を用いることにより、その面積を算定することによって達成できる。
【0217】
試験11:シート物品の密度
可撓性多孔質溶解性固体シートOCF物品の密度は、次の等式によって決定される:計算された密度=多孔質固体の坪量/(多孔質固体の厚さ×1,000)。可撓性多孔質固体物の坪量及び厚みを、本明細書に記載の方法に従って決定する。
【0218】
試験12:シート物品の比表面積
可撓性多孔質溶解性固体シートOCF物品の比表面積を、ガス吸着技術によって測定する。表面積は、分子規模の固体試料の露出した表面の測定値である。BET(Brunauer、Emmet、及びTeller)理論は、表面積を決定するのに使用される最もよく知られているモデルであり、ガス吸着等温線に基づいている。ガス吸着は、物理的な吸着及び毛管凝縮を使用してガス吸着等温線を測定するものである。この技術は、以下の工程によって要約される。試料を試料管に入れ、真空下又はガス流下で熱して試料の表面上の汚染物を除去する。試料重量は、脱ガスされた試料及び料管の混合重量から空の管重量を差し引いて得られる。次に試料管を分析ポート上に置き、分析を開始する。この分析プロセスの最初の工程は、試料管を排気し、次に液体窒素温度でヘリウムガスを使用して試料管内の自由空間体積を測定する。次に試料を再度排気し、ヘリウムガスを除去する。計器は次に、要求される圧力測定値が達成されるまで、ユーザが特定する間隔でクリプトンガスを投与することによって吸着等温線を収集し始める。次に試料を、クリプトンガス吸着を備えるASAP2420を使用して分析してもよい。これらの測定は、Micromeretics Analytical Services,Inc.(One Micromeritics Dr,Suite 200,Norcross,GA 30093)により行うことが推奨される。この技術に関するより多くの情報は、Micromeretics Analytical Servicesのウェブサイト(www.particletesting.com若しくはwww.micromeritics.com)上で入手可能であり、又はClyde Orr及びPaul Webb著「Analytical Methods in Fine particle Technology」という書籍において公開されている。
【0219】
試験13:水蒸気透過率(MVTR)
この試験方法は、主にASTM F1249-13に従って実施される。試験ガスの温度を38℃(±0.56℃)に、その相対湿度を90%(±3%)に設定する。キャリアガスは100%N(乾燥)である。試験を実行するために使用される機器は、Permatran-W Water Vapor Permeability Instrumentであり、書面による手順QMS 702-004に従う。ASTM F-1249-13の範囲(§1.1)外の材料には、水蒸気透過率試験方法は適用されない。
【0220】
特定の基材のバリア特性が低すぎる場合、特に紙基材上のコーティングが非常に薄く、機器に対して良好にシールできなかった場合には、ASTMF1249-13によってMVTRを測定することは不可能である。これらの場合、異なる試験方法、すなわちASTME96カップ試験法が使用される。しかしながら、2つの異なる試験方法からの結果を依然として比較することができる。ASTM E96の場合、温度は38℃であり、相対湿度は90%であった。
【0221】
いずれの試験方法でも、水蒸気透過率は、g/m/日で報告される。バリア厚さによって正規化される場合、水蒸気透過率は、g.μm/m/日で報告される。
【0222】
全てのMVTR試験は、Mocon Labs(Minneapolis)で行った。
【0223】
試験14:酸素透過率(OTR)
この試験方法は、以下の試験条件下でASTMF1927に従って主に実施される:試験ガスの温度は23℃(±0.56℃)であり、その相対湿度は80%(±3%)であり、試験ガス濃度は100%O2である。キャリアガスは、98%N2及び2%H2であり、キャリアガスの湿度は、0%である。試験ガス圧は、760mmHgである。この試験を実行するために使用する機器は、Oxtran 2/21酸素透過性試験機(Oxygen Permeability Instrument)であり、試験手順QMS 702-002に従う。
【0224】
特定の基材のバリア特性が低すぎる場合、特に紙基材上のコーティングが非常に薄く、機器に対して良好にシールできなかった場合には、ASTM F1927によってMVTRを測定することは不可能であった。これらの場合、異なる試験方法、すなわちF3136が使用された。しかしながら、2つの異なる試験方法からの結果を依然として概略的に比較することはできる。F3136の場合、試験ガスの温度は23℃(±0.56℃)であり、その相対湿度は39%であり、試験ガス濃度は20.9%O2(室内空気)である。この試験を実行するために使用する機器は、Mocon OpTech-O2 Model P機器であり、試験手順QMS 702-002に従う。
【0225】
いずれの試験方法でも、酸素透過率は、cc/m2/日で報告される。バリア厚さによって正規化される場合、水蒸気透過率は、cc.μm/m2/日で報告される。
【0226】
全てのOTR試験は、Mocon Labs(Minneapolis,USA)で行った。
【0227】
試験15:耐グリース性試験(キット試験)
グリース試験抵抗は、紙及び板紙について、TAPPI T 559 cm-12耐グリース性試験を使用して測定した。グリース試験は、SGS Integrated Paper Services(Appleton,Wisconsin,USA)で行った。
【0228】
TAPPIの標準状態で試料を試験し、コンディショニングした。試料はプレコンディショニングされなかった。
【0229】
【表18】
キット12を合格した紙及び板紙試料並びに試験片のTAPPI T 559 cm-12耐グリース性試験は、12以上と報告されている。
【0230】
異なって指定されない限り、報告されるKIT値は、製品に面する側(内側)で測定される。
【0231】
試験16:フィルム全体/個々の層の基材全体/個々の層の厚さ
フィルム全体/個々の層の厚さは、滑走式ミクロトーム(例えば、Leica SM2010 R)によってフィルム試料の厚さ20μmの断面を切断し、光透過モードの光学顕微鏡(例えば、Leica Diaplan)の下に配置し、画像解析ソフトウェアを適用することによって測定される。水分散性ナノプレートレット層は、水溶性ポリマー層と強くコントラストをなす。隣接する水溶性ポリマー層の場合、0.5重量%のローダミンB又は0.5重量%の二酸化チタンナノ粒子などの異なるトレーサーを添加することによって、コントラストを得ることができる。
【0232】
試験17:フィルム引裂抵抗
この試験方法は、ASTMD1922-15(エルメンドルフ法)に従って、試験方法で指定された機器タイプを使用し、試験片の調製に従って実施される。試験片は、実質的に長方形の底部分及び半円形の頂部を有する。底部は、機器において事前に切断される又は適用されるスリットを備え、スリットは、頂部91に向かって延び、かつ底縁部の延長部に対して垂直な方向に20mmの長さを有し、概してフィルム機械方向に整列されている。試料は、2つのクランプの間に取り付けられる。次いで、振子を始動させ、少なくとも1回自由に揺動させる。試料が破損したときに振り子を手動で停止する。引裂抵抗は、mNで報告するものとする。
【0233】
試験18:キャリパ
単層試験試料のキャリパ又は厚さは、公定書の方法(compendial method)ISO 534に従い、本明細書に記載の修正を加えて、静的荷重下でマイクロメータによって測定される。全ての測定は、23℃±2℃及び相対湿度50%±2%で維持された実験室で実施され、試験試料は、試験前に少なくとも2時間、この環境でコンディショニングされる。
【0234】
キャリパは、70kPa±0.05kPaの定常圧力を試験試料にかけることができる押さえを備えたマイクロメータで測定される。マイクロメータは、0.1マイクロメートルの単位まで正確に読み取れる自重型器具である。好適な機器は、Testing Machines Inc.(New Castle,DE)から入手可能なTMI Digital Micrometer Model 49-56、又は同等物である。押さえは、試験片よりも小さい直径を有し、必要な圧力をかけることが可能な、平坦な接地した円形可動面である。好適な押さえは、16.0mmの直径を有する。試験試料は、押さえの表面よりも大きく、かつ押さえの表面に平行な水平の平坦な基準プラットフォームによって支持される。システムは、製造元の指示に従って較正及び操作される。
【0235】
測定は、原材料のロール若しくはシートから採取した単層試験試料、又は完成したパッケージから得た試験試料について行う。試験試料を完成したパッケージから切り取るとき、プロセス中に試料にいかなる汚染又は変形も付与しないように注意を払う。切り取った試料は、残存接着剤を含んではならず、継目又は折り目のないパッケージの領域から採取されなければならない。試験試料は、理想的には200mmであり、押さえより大きくなくてはならない。
【0236】
キャリパを測定するために、最初に、水平の平坦な基準プラットフォームに対してマイクロメータをゼロにする。試験試料を、試験位置が押さえの下で中心にある状態で、プラットフォーム上に置く。全圧力が試験試料に加えられるまで、3.0mm/秒の下降速度で押さえを静かに下げる。5秒待った後、試験試料のキャリパを0.1マイクロメートル単位で記録する。同じ要領で、合計10個の複製試験試料について繰り返す。全てのキャリパ測定値について算術平均を計算し、この値をキャリパとして0.1マイクロメートル単位で報告する。
【0237】
試験19:坪量
試験試料の坪量は、単一の材料層の単位面積(平方メートル単位)当たりの質量(グラム単位)であり、公定書の方法ISO 536に従って測定される。試験試料の塊を既知の面積に切断し、0.0001グラムの精度の分析天秤を用いて試料の質量を測定する。全ての測定は、23℃±2℃及び相対湿度50%±2%で維持された実験室で実施され、試験試料は、試験前に少なくとも2時間、この環境でコンディショニングされる。
【0238】
測定は、原材料のロール若しくはシートから採取した試験試料、又は完成したパッケージから得た試験試料について行う。試験試料を完成したパッケージから切り取るとき、プロセス中に試料にいかなる汚染又は変形も付与しないように注意を払う。切り取った試料は、残存接着剤を含んではならず、継目又は折り目のないパッケージの領域から採取されなければならない。試験試料は、任意の固有の材質変動が考慮されるように、可能な限り大きくなければならない。
【0239】
NISTにトレーサブルな較正された鋼製金属定規又は同等物を使用して、単層試験試料の寸法を測定する。試験試料の面積を計算し、0.0001平方メートル単位で記録する。分析天秤を使用して試験試料の質量を取得し、0.0001グラム単位で記録する。質量(グラム単位)を面積(平方メートル単位)で除算して坪量を計算し、0.01グラム/平方メートル(g/m 2 )単位で記録する。同じ要領で、合計10個の複製試験試料について繰り返す。坪量の算術平均を計算し、0.01グラム/平方メートル単位で報告する。
【実施例
【0240】
表18~表22は、消費者製品に使用することができる小袋の実施例を含む。小袋は、4辺がシールされた小袋である。これらの実施例では、シール温度は110~170℃、シール時間は0.5秒、及びシール圧力は3バールであり得る。小袋が生分解性、家庭で堆肥化可能、及び/又はリサイクル可能であるかどうかは、小袋材料の別個の層を試験し、本明細書に記載の基準を満たすかどうかを判定することによって決定することができた。許容可能なパッケージの完全性、乾燥物品の完全性、及び物品性能を、加速安定性試験に従って決定した。
【0241】
【表19】
【0242】
【表20】
【0243】
実施例1は、生分解性でもなく、家庭で堆肥化可能でもなく、又はリサイクル可能でもない液体シャンプーのために使用される市販の小袋を開示している。
【0244】
ほとんどの生分解性又は家庭で堆肥化可能なフィルムは、液体製品と適合性はない。実施例2では、小袋は、生分解性及び家庭で堆肥化可能である120g/m 2 のPHAを含む。しかしながら、PHAフィルムは、貯蔵寿命(例えば、6ヶ月~3年)にわたって高すぎる水損失を経験し、液体製品用に商業的に実行可能であると見なされることが見出された。
【0245】
実施例3、4、5、及び6は、紡糸繊維物品と組み合わせて使用される様々な生分解性及び家庭で堆肥化可能なフィルムを開示する。これらの実施例では、フィルムの水分バリア特性は、紡糸繊維物品を保護するのに不十分であり、したがって、経時的に、不十分な溶解及び許容できない物品の外観及び完全性をもたらした。
【0246】
実施例7、8、9、10、11、及び12は、OCF物品と組み合わせてセルロースフィルムを含む様々な小袋構造を開示する。これらのフィルムはすべて、家庭で堆肥化可能かつ生分解性である。これらの実施例では、小袋は、現在の箔積層小袋と比較して比較的低い引裂抵抗を有し、消費者は、自分の手だけを使用して(すなわち、歯又はハサミを使用せずに)小袋を引き裂くことができることが見出された。NatureFlex(登録商標)NKA(実施例7)及びNatureFlex(登録商標)NE セルロース(実施例8)はいずれも、開くのが最も簡単であることが見出された。しかしながら、これらの小袋は、剥離力が弱く、特に小袋が挟まれるか又は圧縮される場合に、流通中に壊れて開く可能性がある。したがって、PBSA又はPHA又はPVOH内層(実施例9、10、11及び12)を含むことが望ましい場合がある。引裂力がわずかに大きいにもかかわらず、依然として消費者にとって許容可能となるのに依然として十分低く、かつ現在の多層積層小袋よりも低い。
【0247】
【表21】
【0248】
【表22】
【0249】
【表23】
【0250】
表20~表22の実施例19~34は、OCF物品と組み合わせて紙フィルムを含む様々な小袋構造を開示する。これらの小袋構造は、生分解性かつ/又は家庭で堆肥化可能であり、かつ/又はリサイクル可能である。実施例19及び20は、生体分解可能であるが、高い貯蔵温度及び高い相対湿度に曝露されたときに界面活性剤浸出に対して脆弱である紙小袋構造を開示している。生産物間に水分バリア層及び/又はグリースバリア層の存在を加えることにより、界面活性剤浸出を阻止できる、又は許容可能なレベルまで有意に遅くすることができることがわかった。
【0251】
実施例21~34は、OCF物品と組み合わせて紙フィルムを含む様々な生分解性小袋構造を開示し、これらは満足のいく安定性能を提供した。これらの構造の全ては、PBSA内層又はPHA内層又はPVOH内層のいずれかを含む。実施例24、25、26、28、及び34は、リサイクル可能であることも見出された生分解性小袋紙構造を開示する。実施例22は、家庭で堆肥化可能であることが証明された生分解性小袋紙構造開示する。蜜蝋(実施例29、30、31、32、33)又はカルナバワックス34などの生分解性ワックスの添加は、いくらかの耐飛水性を提供するのに役立つことが見出された。これらの小袋は開放環境において高頻度店に陳列される可能性があるため、この耐飛水性は、追加のバリアを提供するために望ましい。実施例31では、Leine Nature(登録商標)紙は、特に急速な生分解速度を有すると考えられている。
【0252】
組み合わせ:
A.表面フィルム及び裏面フィルムを含む生分解性及び/又は家庭で堆肥化可能な小袋を含む小袋製品であって、表面フィルム及び裏面フィルムは、
a.85%超のセルロースを有する紙を含む表面中間層及び裏面中間層と、
b.表面中間層に接合された表面内層及び裏面中間層に接合された裏面内層であって、ポリビニルアルコール、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリヒドロキシルアルコネート、ポリ塩化ビニリデン、カルナバワックス、生分解性熱可塑性デンプン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される内層材料を含む、表面内層及び裏面内層と、を含み、
表面内層及び裏面内層が、外周の周りで恒久的に接合されてシール部を形成しており、シール部は、連続気泡発泡体を含む固体物品を格納するように適合された区画を形成し、連続気泡発泡体は、
物品の総重量の約10%~約40%、好ましくは約15%~約30%、より好ましくは約20%~約25%の水溶性ポリマーと、
物品の総重量の約5%~約80%、あるいは約10%~約70%、あるいは約30%~約65%の、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される界面活性剤と、を含み、
試験3に従って測定したとき、約80%~100%、好ましくは約85%~100%、より好ましくは約90%~100%の連続気泡含有率と、
試験2に記載のマイクロCT法によって測定したとき、約100μm~約2000μm、あるいは約150μm~約1000μm、あるいは約200μm~約600μmの全体平均孔径と、を有する、小袋製品。
B.表面フィルム及び裏面フィルムが、表面中間層に接合された表面外層と、裏面中間層に接合された裏面外層と、を更に含み、表面フィルム及び裏面フィルムが、生分解性ワックスを含む、段落Aに記載の小袋製品。
C.生分解性ワックスが、蜜蝋、ホホバワックス、カルナバワックス、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、段落Bに記載の小袋製品。
D.紙が、植物油結合剤を更に含む、段落A~Cに記載の小袋製品。
E.内層材料が、ポリビニルアルコールを含む、段落A~Dに記載の小袋製品。
F.表面中間層及び裏面中間層が、約30~約120g/m 2 、好ましくは約40~約110g/m 2 、より好ましくは約50~約100g/m 2 、及び更により好ましくは約60~約90g/m 2 の坪量を有する、段落A~Eに記載の小袋製品。
G.表面フィルム及び裏面フィルムを含む生分解性及び/又は家庭で堆肥化可能な小袋を含む小袋製品であって、表面フィルム及び裏面フィルムは、
a.セルロースを含む表面外層及び裏面外層と、
b.表面外層に接合された表面内層及び裏面外層に接合された裏面外層と、を含み、表面内層及び裏面外層が、ポリビニルアルコール、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリヒドロキシルアルコネート、カルナバワックス、生分解性熱可塑性デンプン、ポリ塩化ビニリデン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される材料を含み、
表面内層及び裏面内層が、外周の周りで恒久的に接合されてシール部を形成しており、シール部は、連続気泡発泡体を含む固体物品を格納するように適合された区画を形成し、連続気泡発泡体は、
物品の総重量の約10%~約40%、好ましくは約15%~約30%、より好ましくは約20%~約25%の水溶性ポリマーと、
物品の総重量の約5%~約80%、あるいは約10%~約70%、あるいは約30%~約65%の、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される界面活性剤と、を含み、
試験3に従って測定したとき、約80%~100%、好ましくは約85%~100%、より好ましくは約90%~100%の連続気泡含有率と、
試験2に記載のマイクロCT法によって測定したとき、約100μm~約2000μm、あるいは約150μm~約1000μm、あるいは約200μm~約600μmの全体平均孔径と、を有する、小袋製品。
H.表面外層及び裏面外層が、約5μm~約50μm、好ましくは約10μm~約40μm、より好ましくは約15μm~約30μmの厚さを有する、段落A~Gに記載の小袋製品。
I.表面内層及び裏面内層が、約1μm~約150μm、好ましくは約2μm~約100μm、より好ましくは約3μm~約40μm、更により好ましくは約10μm~約30μmの厚さを有する、段落A~Hに記載の小袋製品。
J.小袋が、生分解性及び堆肥化可能である、段落A~Iに記載の小袋製品。
K.小袋が、リサイクル可能である、段落A~Jに記載の小袋製品。
L.小袋が、4辺がシールされた小袋である、段落A~Kに記載の小袋製品。
M.小袋製品が、ASTM E96-16に従って測定したとき、約0.01~約50g/m 2 /日、好ましくは約0.05~約40g/m 2 /日、約0.1~約30g/m 2 /日、更により好ましくは約0.2~約15g/m 2 /日のMVTRを有する、段落A~Lに記載の小袋製品。
N.小袋が、D1922-15、エルメンドルフ法、MD引き裂き方向に従って550nM未満の引裂抵抗を含む、段落A~Mに記載の小袋製品。
O.シールが、ASTM F88-15に従って、300mm/分及び2.95bar(295kPa)において、約250~約700N/m、あるいは約300~約600N/m、あるいは約300~約500N/mのシール強度を有する、段落A~Nに記載の小袋製品。
P.小袋製品が、シール試験を満たす、段落A~Oに記載の小袋製品。
Q.40℃、75%RHで2週間の保管の後、物品が、手溶解試験法に従って、15ストローク未満、好ましくは12ストローク未満、最も好ましくは10ストローク未満の手溶解値を有し得る、段落A~Pに記載の小袋製品。
R.2週間、好ましくは4週間、より好ましくは8週間、より好ましくは12週間、最も好ましくは6ヶ月の期間の保管後、小袋製品が加速安定性試験を満たすことができる、段落A~Qに記載の小袋製品。
S.2週間、好ましくは4週間、より好ましくは8週間、より好ましくは12週間、最も好ましくは6ヶ月の期間の保管後、小袋製品が安定性試験を満たすことができる、段落A~Rに記載の小袋製品。
T.小袋製品が、洗濯洗剤製品、布地柔軟剤製品、手指用洗浄製品、ヘアシャンプー製品、ヘアコンディショニング製品、ヘアスタイリング製品、ボディクレンジング製品、シェービング準備製品、食器洗浄製品、スキンケア製品、保湿製品、日焼け止め製品、美容製品、脱臭製品、口腔ケア製品、女性用洗浄製品、乳児ケア製品、香料含有製品、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される消費者製品である、段落A~Sに記載の小袋製品。
U.物品が、試験2により測定したとき、約5μm~約200μm、好ましくは約10μm~約100μm、より好ましくは約10μm~約80μmの平均気泡壁厚さを有する、段落A~Tに記載の小袋製品。
V.物品が、後述の試験4により測定したとき、当該固体シートOCF物品の約0.5重量%~約25重量%、好ましくは約1重量%~約20重量%、より好ましくは約3重量%~約10重量%の最終水分含量を含む、段落A~Uに記載の小袋製品。
W.物品が、後述の試験7により測定したとき、約0.05g/cm3~約0.5g/cm3、好ましくは約0.06g/cm3~約0.4g/cm3、より好ましくは約0.07グラム/cm3~約0.2グラム/cm3、あるいは最も多くは約0.08グラム/cm3~約0.15グラム/cm3の範囲の密度を有する、段落A~Vに記載の小袋製品。
X.物品が、以下に記載される試験8により測定したとき、約0.03m2/g~約0.25m2/g、好ましくは約0.04m2/g~約0.22m2/g、より好ましくは0.05m2/g~0.2m2/g、最も好ましくは0.1m2/g~0.18m2/gの比表面積を有する、段落A~Wに記載の小袋製品。
Y.水溶性ポリマーが、約50,000~約400,000ダルトン、好ましくは約60,000~約300,000ダルトン、より好ましくは約70,000~約200,000ダルトン、最も好ましくは約80,000~約150,000ダルトンの重量平均分子量を有する、段落A~Xに記載の小袋製品。
Z.水溶性ポリマーが、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキシド、デンプン及びデンプン誘導体、プルラン、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、並びにカルボキシメチルセルロースからなる群から選択される、段落A~Yに記載の小袋製品。別の実施形態では、水溶性ポリマーとしては、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びこれらの組み合わせを挙げることができる。
【0253】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、別途指定されない限り、そのような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【0254】
相互参照される又は関連する任意の特許又は特許出願、及び本願が優先権又はその利益を主張する任意の特許出願又は特許を含む、本明細書に引用される全ての文書は、除外又は限定することを明言しない限りにおいて、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いかなる文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求される任意の発明に対する先行技術であるとはみなされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献と組み合わせたときに、そのようないかなる発明も教示、示唆又は開示するとはみなされない。更に、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照により組み込まれた文書内の同じ用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合、本文書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0255】
本発明の特定の実施形態を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な他の変更及び修正を行うことができる点は当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にある全てのそのような変更及び修正を添付の特許請求の範囲に網羅することが意図される。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5