(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】固定子および電動機
(51)【国際特許分類】
H02K 1/18 20060101AFI20240416BHJP
H02K 3/50 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
H02K1/18 A
H02K3/50 Z
(21)【出願番号】P 2022545655
(86)(22)【出願日】2021-08-25
(86)【国際出願番号】 JP2021031078
(87)【国際公開番号】W WO2022045166
(87)【国際公開日】2022-03-03
【審査請求日】2023-03-08
(31)【優先権主張番号】P 2020145609
(32)【優先日】2020-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 哲丸
【審査官】宮崎 賢司
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-015578(JP,A)
【文献】特開2010-233328(JP,A)
【文献】特開2020-058223(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0167559(US,A1)
【文献】特開2001-008388(JP,A)
【文献】特開2015-211558(JP,A)
【文献】特公平02-013541(JP,B2)
【文献】特開2018-207561(JP,A)
【文献】特開2016-073158(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 1/18
H02K 3/50
H02K 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータ鉄心と、
前記ステータ鉄心に設けられ、前記ステータ鉄心の軸方向の両端面の各々から前記軸方向に突出するコイル部を有するコイルと、
前記コイル部を被覆する被覆樹脂と、
を備え、
前記ステータ鉄心の
前記軸方向の両端面の少なくとも一方は、前記被覆樹脂から一部が露出して
おり、
各々の前記コイル部を被覆する少なくとも一方の前記被覆樹脂の外周面には、前記被覆樹脂の前記軸方向の先端から前記一部が露出する前記ステータ鉄心の端面まで延びる少なくとも1つの切り欠きが設けられ、
前記被覆樹脂から露出する前記ステータ鉄心の端面の前記一部は、前記切り欠きが位置する領域である、固定子。
【請求項2】
請求項1に記載の固定子であって、
前記ステータ鉄心の
前記軸方向の両端面の一方は、前記被覆樹脂から一部が露出し、前記ステータ鉄心の
前記軸方向の両端面の他方は、前記被覆樹脂に全体が覆われる、固定子。
【請求項3】
請求項1または2に記載の固定子であって、
前記ステータ鉄心の径方向に沿った前記被覆樹脂の断面形状は、前記ステータ鉄心の
前記径方向の断面形状と同じである、固定子。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の固定子であって、
各々の前記コイル部を被覆する少なくとも一方の前記被覆樹脂は、前記ステータ鉄心の外周面よりも内側に設けられ、
前記被覆樹脂から露出する前記ステータ鉄心の端面の前記一部は、前記ステータ鉄心の外周面と前記被覆樹脂の外周面との間の領域である、固定子。
【請求項5】
ステータ鉄心と、前記ステータ鉄心に設けられ、前記ステータ鉄心の軸方向の両端面の各々から前記軸方向に突出するコイル部を有するコイルと、前記コイル部を被覆する被覆樹脂と、を有する固定子と、前記固定子が挿入される挿入穴を有するハウジング
と、回転子とを備える電動機であって、
前記ステータ鉄心の
前記軸方向の両端面の少なくとも一方は、前記被覆樹脂から一部が露出し、
前記ハウジングには、前記挿入穴に突出する突起が設けられ、
前記被覆樹脂から露出する前記ステータ鉄心の端面に前記突起が接触することで、前記ハウジングに対する前記軸方向の前記固定子の位置が固定され
、
各々の前記コイル部を被覆する少なくとも一方の前記被覆樹脂の外周面には、前記被覆樹脂の前記軸方向の先端から前記一部が露出する前記ステータ鉄心の端面まで延びる少なくとも1つの切り欠きが設けられ、
前記被覆樹脂から露出する前記ステータ鉄心の端面の前記一部は、前記切り欠きが位置する領域である、電動機。
【請求項6】
請求項
5に記載の電動機であって、
前記ステータ鉄心の
前記軸方向の両端面の一方は、前記被覆樹脂から一部が露出し、前記ステータ鉄心の
前記軸方向の両端面の他方は、前記被覆樹脂に全体が覆われる、電動機。
【請求項7】
請求項
5または
6に記載の電動機であって、
前記軸方向に直交する方向における前記ステータ鉄心の断面形状と前記被覆樹脂の断面形状とは同じである、電動機。
【請求項8】
請求項
5~
7のいずれか1項に記載の電動機であって、
各々の前記コイル部を被覆する少なくとも一方の前記被覆樹脂は、前記ステータ鉄心の外周面よりも内側に設けられ、
前記被覆樹脂から露出する前記ステータ鉄心の端面の前記一部は、前記ステータ鉄心の外周面と前記被覆樹脂の外周面との間の領域である、電動機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定子および電動機に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2014-110716号公報には、固定子鉄心と、コイルと、カバーとを備えた固定子が開示されている。コイルは、固定子鉄心に設けられる。カバーは、コイル部(コイルエンド)を包囲する。コイル部は、固定子鉄心の軸線方向端面から突出する。
【発明の概要】
【0003】
ところで、特開2014-110716号公報のカバーのコストが高くなる傾向にある。このため、カバーを省く要請がある。しかし、特開2014-110716号公報の固定子のカバーが省かれると、電動機のハウジングに形成された挿入穴に固定子を挿入する場合に、固定子をハウジングに位置決めすることが困難になる。
【0004】
そこで、本発明は、ハウジングに対して適切に固定子を配置し得る固定子および電動機を提供することを目的とする。
【0005】
本発明の一態様は、固定子であって、ステータ鉄心と、前記ステータ鉄心に設けられ、前記ステータ鉄心の軸方向の両端面の各々から前記軸方向に突出するコイル部を有するコイルと、前記コイル部を被覆する被覆樹脂と、を備え、前記ステータ鉄心の前記軸方向の両端面の少なくとも一方は、前記被覆樹脂から一部が露出しており、各々の前記コイル部を被覆する少なくとも一方の前記被覆樹脂の外周面には、前記被覆樹脂の前記軸方向の先端から前記一部が露出する前記ステータ鉄心の端面まで延びる少なくとも1つの切り欠きが設けられ、前記被覆樹脂から露出する前記ステータ鉄心の端面の前記一部は、前記切り欠きが位置する領域である。
【0006】
本発明の他の一態様は、ステータ鉄心と、前記ステータ鉄心に設けられ、前記ステータ鉄心の軸方向の両端面の各々から前記軸方向に突出するコイル部を有するコイルと、前記コイル部を被覆する被覆樹脂と、を有する固定子と、前記固定子が挿入される挿入穴を有するハウジングと、回転子とを備える電動機であって、前記ステータ鉄心の軸方向の両端面の少なくとも一方は、前記被覆樹脂から一部が露出し、前記ハウジングには、前記挿入穴に突出する突起が設けられ、前記被覆樹脂から露出する前記ステータ鉄心の端面に前記突起が接触することで、前記ハウジングに対する前記軸方向の前記固定子の位置が固定され、各々の前記コイル部を被覆する少なくとも一方の前記被覆樹脂の外周面には、前記被覆樹脂の前記軸方向の先端から前記一部が露出する前記ステータ鉄心の端面まで延びる少なくとも1つの切り欠きが設けられ、前記被覆樹脂から露出する前記ステータ鉄心の端面の前記一部は、前記切り欠きが位置する領域である。
【0007】
本発明の態様によれば、被覆樹脂から露出する端面を、ハウジングの挿入穴に固定子を挿入したときのストッパとすることができ、この結果、ハウジングに対して適切に固定子を配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態の固定子を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、電動機のハウジングに固定子を装着する様子を示す図である。
【
図5】
図5は、変形例1の固定子を
図2と同じ視点で示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明について好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0010】
図1~
図3を用いて、実施形態の固定子10を説明する。
図1は実施形態の固定子10を示す斜視図である。
図2は
図1のII-II矢視断面図である。
図3は
図2のIII-III矢視断面図である。固定子10は、ステータ鉄心12と、コイル14と、被覆樹脂16と、を有する。
【0011】
ステータ鉄心12は、筒状に形成される。ステータ鉄心12の軸AX方向の両端面のうち一方の端面12F1と、他方の端面12F2とは、ステータ鉄心12の径方向に沿って延びている。
【0012】
端面12F1の一部は、被覆樹脂16から露出している。被覆樹脂16から露出する端面12F1の露出部分は、ステータ鉄心12の外周面12OSと被覆樹脂16の外周面16OSとの間である。一方、端面12F2は、被覆樹脂16に全体が覆われている。
【0013】
コイル14は、ステータ鉄心12に設けられる。コイル14は、コイル部14Xを有する。コイル部14Xは、ステータ鉄心12の軸方向の両端面12F1、12F2の各々からステータ鉄心12の軸方向に沿って外側に突出する。コイル部14Xは、一般的にはコイルエンドと呼ばれる。
【0014】
被覆樹脂16は、コイル部14Xを被覆する樹脂である。被覆樹脂16は、硬化している。被覆樹脂16は、例えばモールド成形により形成される。ステータ鉄心12の径方向に沿った被覆樹脂16の断面形状は、当該ステータ鉄心12の径方向の断面形状と同じである。なお、
図1~
図3では、ステータ鉄心12の径方向の断面形状が円形状である場合が例示されている。
【0015】
端面12F1に接する被覆樹脂16の外径はステータ鉄心12の外径よりも小さい。つまり、端面12F1に接する被覆樹脂16は、ステータ鉄心12の外周面12OSよりも内側に設けられる。付言すると、端面12F1に接する被覆樹脂16の外周面16OSと、ステータ鉄心12の外周面12OSとの間には段差空間ST(
図2)が形成される。
【0016】
端面12F2に接する被覆樹脂16の外径はステータ鉄心12の外径と同じである。なお、端面12F2に接する被覆樹脂16の外径は、許容誤差範囲内においてステータ鉄心12の外径と異なっていてもよい。
【0017】
次に、上記の固定子10を備えた電動機50に関して説明する。
図4は、電動機50のハウジング30に固定子10を装着する様子を示す図である。
【0018】
電動機50は、上記の固定子10と、ハウジング30と、不図示の回転子とを備える。ハウジング30は、固定子10が挿入される挿入穴30Hを有する。ハウジング30には、挿入穴30Hに突出する突起32が設けられる。突起32は、挿入穴30Hに固定子10が挿入された場合に、被覆樹脂16から露出するステータ鉄心12の端面12F1の露出部分に接触する。
【0019】
電動機50は、ハウジング30の挿入穴30Hに上記の固定子10を挿入し、挿入した固定子10をハウジング30に装着することで製造される。
【0020】
ハウジング30の挿入穴30Hに上記の固定子10を挿入する場合、まず、固定子10を治具40に載置する。
図4の例では、ステータ鉄心12の端面12F2に接する被覆樹脂16が治具40の載置面に載置される。次に、治具40に載置された固定子10が、ステータ鉄心12の端面12F1からハウジング30の挿入穴30Hに挿入される。
【0021】
この挿入時に、ハウジング30の突起32は、端面12F1に接する被覆樹脂16の外周面16OSと、ステータ鉄心12の外周面12OSとの間の段差空間ST(
図2)を通る。その後、ハウジング30の突起32は、被覆樹脂16から露出するステータ鉄心12の端面12F1の露出部分に接触する。これにより、電動機50では、ハウジング30に対する固定子10の軸方向の位置が固定される。
【0022】
このように本実施形態の固定子10は、被覆樹脂16から露出するステータ鉄心12の端面12F1を、ハウジング30の挿入穴30Hに固定子10を挿入したときのストッパとすることができる。したがって、ハウジング30に対して適切に固定子10を配置することができる。
【0023】
なお、ハウジング30に固定子10が装着された状態において、ステータ鉄心12の端面12F1に接する被覆樹脂16と、端面12F2に接する被覆樹脂16とは、ハウジング30と接する。これにより、被覆樹脂16がハウジング30と接しない場合に比べて放熱性を高めることができる。
【0024】
[変形例]
上記の実施形態は、以下のように変形してもよい。
【0025】
(変形例1)
図5は変形例1の固定子10を
図2と同じ視点で示す図である。
図6は
図5のVI-VI矢視断面図である。
【0026】
本変形例では、ステータ鉄心12の端面12F1に接する被覆樹脂16の外周面16OSに、切り欠き16Xが設けられる。切り欠き16Xは、被覆樹脂16の軸AX方向の先端からステータ鉄心12の端面12F1まで延びている。
【0027】
図6に例示するように、切り欠き16Xの数は、複数であってもよい。また、切り欠き16Xの数は、1つであってもよい。切り欠き16Xの数が複数である場合、複数の切り欠き16Xは、ステータ鉄心12の軸AX周り方向(周方向)に間隔をあけて配置される。
【0028】
ステータ鉄心12の端面12F1に接する被覆樹脂16の外径はステータ鉄心12の外径と同程度である。つまり、本変形例では、被覆樹脂16から露出する端面12F1の露出部分は、切り欠き16Xの部分である。
【0029】
本変形例の固定子10は、上記の実施形態と同様に、ステータ鉄心12の端面12F1からハウジング30の挿入穴30Hに挿入される。本変形例のハウジング30には、切り欠き16Xに対応した突起が形成される。この突起は、挿入穴30Hに対する固定子10の挿入時に、切り欠き16Xを通り、被覆樹脂16から露出するステータ鉄心12の端面12F1の露出部分に接触する。これにより、ハウジング30に対する固定子10の軸方向の位置が固定される。したがって、上記の実施形態と同様に、端面12F1を、ハウジング30の挿入穴30Hに固定子10を挿入したときのストッパとすることができる。この結果、本変形例であっても、ハウジング30に対して適切に固定子10を配置することができる。
【0030】
また、本変形例の場合、切り欠き16Xによって、ステータ鉄心12に対する軸AX周り方向の相対角度が予め決められた状態となるようにハウジング30を案内することができる。
【0031】
(変形例2)
本変形例では、ハウジング30に固定子10が装着された状態において、端面12F1に接する被覆樹脂16は、電動機50が規定温度に達したときにハウジング30と接する。なお、電動機50が規定温度に達していない場合、端面12F1に接する被覆樹脂16は、ハウジング30と非接触である。具体的には次の手法が1つの例として挙げられる。
【0032】
ここで、被覆樹脂16の外径は「D0」と定義し、ステータ鉄心12の外径は「D1」と定義し、被覆樹脂16の線膨張係数は「k0」と定義し、ステータ鉄心12の線膨張係数は「k1」と定義する。また、電動機50の温度は「t」と定義し、室温は「tr」と定義する。このように定義した場合、規定温度時の被覆樹脂16の外径D0tは下記の(1)式となり、規定温度時のステータ鉄心12の外径D1tは下記の(2)式となる。
【0033】
D0t=D0+D0×(t-tr)×k0・・(1)
D1t=D1+D1×(t-tr)×k1・・(2)
【0034】
規定温度時の被覆樹脂16の外径D0tと、規定温度時のステータ鉄心12の外径D1tとが等しい場合は、上記(1)式と(2)式とが等しい場合となる。したがって、上記の(1)式および(2)式から下記の(3)式が成り立つ。
【0035】
D0=D1(1+k1(t-tr))/(1+k0(t-tr))・・(3)
【0036】
上記の(3)式に基づいて、電動機50が規定温度に達したときに、端面12F1に接する被覆樹脂16がハウジング30と接する状態にすることができる。なお、規定温度としては、例えば、定格運転時に生じる熱に応じて電動機50が達する温度等が挙げられる。
【0037】
このように変形例2によれば、電動機50が規定温度未満の場合には通気性を高めることができる。また、電動機50が規定温度以上の場合には放熱性を高めることができる。
【0038】
(変形例3)
ステータ鉄心12の端面12F2に対して、被覆樹脂16から露出する露出部分が設けられてもよい。これにより、ステータ鉄心12の軸方向の両端面12F1、12F2のいずれが、ハウジング30の挿入穴30Hに挿入する側となっても、ハウジング30に対して適切に固定子10を配置することができる。
【0039】
なお、上記の実施形態では、ステータ鉄心12の両端面12F1、12F2のうちの端面12F1のみに対して、被覆樹脂16から露出する露出部分が設けられている。上記の実施形態の場合、露出部分の有無に応じて、固定子10の両端面12F1、12F2のうちどちらを、ハウジング30の挿入穴30Hに挿入すればよいかをオペレータに視覚的に把握させることができる。
【0040】
[発明]
上記の実施形態および変形例から把握しうる発明について、以下に第1の発明および第2の発明を記載する。
【0041】
(第1の発明)
第1の発明は、ステータ鉄心(12)と、ステータ鉄心(12)に設けられ、ステータ鉄心(12)の軸(AX)方向の両端面(12F1、12F2)の各々から軸(AX)方向に突出するコイル部(14X)を有するコイル(14)と、コイル部(14X)を被覆する被覆樹脂(16)と、を備える固定子(10)である。この固定子(10)では、ステータ鉄心(12)の軸(AX)方向の両端面(12F1、12F2)の少なくとも一方は、被覆樹脂(16)から一部が露出している。
【0042】
これにより、被覆樹脂(16)から露出する端面(12F1)を、ハウジング(30)の挿入穴(30H)に固定子(10)を挿入したときのストッパとすることができ、この結果、ハウジング(30)に対して適切に固定子(10)を配置することができる。
【0043】
ステータ鉄心(12)の軸(AX)方向の両端面(12F1、12F2)の一方は、被覆樹脂(16)から一部が露出し、ステータ鉄心(12)の軸(AX)方向の両端面(12F1、12F2)の他方は、被覆樹脂(16)に全体が覆われてもよい。これにより、露出部分の有無に応じて、固定子(10)の軸方向の両端面のいずれが、ハウジング(30)の挿入穴(30H)に挿入する側となるかを、オペレータに対して視覚的に把握させることができる。
【0044】
ステータ鉄心(12)の径方向に沿った被覆樹脂(16)の断面形状は、ステータ鉄心(12)の径方向の断面形状と同じであってもよい。これにより、被覆樹脂(16)とステータ鉄心(12)とを接触させることができる。
【0045】
各々のコイル部(14X)を被覆する少なくとも一方の被覆樹脂(16)は、ステータ鉄心(12)の外周面(12OS)よりも内側に設けられ、被覆樹脂(16)から露出するステータ鉄心(12)の端面(12F1)の一部は、ステータ鉄心(12)の外周面(12OS)と被覆樹脂(16)の外周面(16OS)との間の領域であってもよい。これにより、ステータ鉄心(12)の外周面(12OS)と被覆樹脂(16)の外周面(16OS)との間の領域を、ハウジング(30)の挿入穴(30H)に固定子(10)を挿入したときのストッパとすることができる。
【0046】
各々のコイル部(14X)を被覆する少なくとも一方の被覆樹脂(16)の外周面(16OS)には、被覆樹脂(16)の軸(AX)方向の先端から一部が露出するステータ鉄心(12)の端面(12F1)まで延びる少なくとも1つの切り欠き(16X)が設けられ、被覆樹脂(16)から露出するステータ鉄心(12)の端面(12F1)の一部は、切り欠き(16X)が位置する領域であってもよい。これにより、切り欠き(16X)が位置する領域を、ハウジング(30)の挿入穴(30H)に固定子(10)を挿入したときのストッパとすることができる。また、切り欠き(16X)によって、ステータ鉄心(12)の軸(AX)周り方向の相対角度が予め決められた状態となるようにハウジング(30)を案内することができる。
【0047】
(第2の発明)
第2の発明は、ステータ鉄心(12)と、ステータ鉄心(12)に設けられ、ステータ鉄心(12)の軸(AX)方向の両端面(12F1、12F2)の各々から軸(AX)方向に突出するコイル部(14X)を有するコイル(14)と、コイル部(14X)を被覆する被覆樹脂(16)と、を有する固定子(10)と、固定子(10)が挿入される挿入穴(30H)を有するハウジング(30)と、回転子とを備える電動機(50)である。この電動機(50)では、ステータ鉄心(12)の軸(AX)方向の両端面(12F1、12F2)の少なくとも一方は、被覆樹脂(16)から一部が露出し、ハウジング(30)には、挿入穴(30H)に突出する突起(32)が設けられ、被覆樹脂(16)から露出するステータ鉄心(12)の端面(12F1)に突起(32)が接触することで、ハウジング(30)に対する軸(AX)方向の固定子(10)の位置が固定される。
【0048】
これにより、被覆樹脂(16)から露出する端面(12F1)を、ハウジング(30)の挿入穴(30H)に固定子(10)を挿入したときのストッパとすることができ、この結果、ハウジング(30)に対して適切に固定子(10)を配置することができる。
【0049】
ステータ鉄心(12)の軸(AX)方向の両端面(12F1、12F2)の一方は、被覆樹脂(16)から一部が露出し、ステータ鉄心(12)の軸(AX)方向の両端面(12F1、12F2)の他方は、被覆樹脂(16)に全体が覆われてもよい。これにより、露出部分の有無に応じて、固定子(10)の軸方向の両端面のいずれが、ハウジング(30)の挿入穴(30H)に挿入する側となるかを、オペレータに対して視覚的に把握させることができる。
【0050】
軸(AX)方向に直交する方向におけるステータ鉄心(12)の断面形状と被覆樹脂(16)の断面形状とは同じであってもよい。これにより、被覆樹脂(16)とステータ鉄心(12)とを接触させることができる。
【0051】
各々のコイル部(14X)を被覆する少なくとも一方の被覆樹脂(16)は、ステータ鉄心(12)の外周面(12OS)よりも内側に設けられ、被覆樹脂(16)から露出するステータ鉄心(12)の端面(12F1)の一部は、ステータ鉄心(12)の外周面(12OS)と被覆樹脂(16)の外周面(16OS)との間の領域であってもよい。これにより、ステータ鉄心(12)の外周面(12OS)と被覆樹脂(16)の外周面(16OS)との間の領域を、ハウジング(30)の挿入穴(30H)に固定子(10)を挿入したときのストッパとすることができる。
【0052】
各々のコイル部(14X)を被覆する少なくとも一方の被覆樹脂(16)の外周面(16OS)には、被覆樹脂(16)の軸(AX)方向の先端から一部が露出するステータ鉄心(12)の端面(12F1)まで延びる少なくとも1つの切り欠き(16X)が設けられ、被覆樹脂(16)から露出するステータ鉄心(12)の端面(12F1)の一部は、切り欠き(16X)が位置する領域であってもよい。これにより、切り欠き(16X)が位置する領域を、ハウジング(30)の挿入穴(30H)に固定子(10)を挿入したときのストッパとすることができる。また、切り欠き(16X)によって、ステータ鉄心(12)の軸(AX)周り方向の相対角度が予め決められた状態となるようにハウジング(30)を案内することができる。