IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士機械製造株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-部品確認装置および部品確認方法 図1
  • 特許-部品確認装置および部品確認方法 図2
  • 特許-部品確認装置および部品確認方法 図3
  • 特許-部品確認装置および部品確認方法 図4
  • 特許-部品確認装置および部品確認方法 図5
  • 特許-部品確認装置および部品確認方法 図6
  • 特許-部品確認装置および部品確認方法 図7
  • 特許-部品確認装置および部品確認方法 図8
  • 特許-部品確認装置および部品確認方法 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】部品確認装置および部品確認方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/02 20060101AFI20240416BHJP
【FI】
H05K13/02 D
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022566542
(86)(22)【出願日】2020-12-02
(86)【国際出願番号】 JP2020044838
(87)【国際公開番号】W WO2022118392
(87)【国際公開日】2022-06-09
【審査請求日】2023-04-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉原 康平
(72)【発明者】
【氏名】久保田 知克
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/064609(WO,A1)
【文献】特開2008-071940(JP,A)
【文献】特開2013-243168(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パレットに配列されている部品を採取する前に前記部品を撮像して、前記部品が撮像された画像に基づいて前記部品を確認する部品確認装置であって、
前記部品を採取して基板に装着する装着ヘッドが一度に採取する少なくとも一つの前記部品である対象部品の採取を開始してから前記対象部品が前記基板に装着されるまでの周期をピックアンドプレースサイクルとするときに、
一の前記ピックアンドプレースサイクルにおいて採取する前記対象部品が前記対象部品を撮像する際に前記対象部品を照明する照明装置によって照明可能な照明範囲に含まれない場合に、一の前記ピックアンドプレースサイクルにおいて採取する前記対象部品が前記照明範囲に含まれるように、前記照明装置および前記パレットのうちの一方である対象機器を、前記照明装置および前記パレットのうちの他方に対して移動させ、一の前記ピックアンドプレースサイクルにおいて採取する前記対象部品が前記照明範囲に含まれる場合に、前記対象機器を移動させない移動部を備える部品確認装置。
【請求項2】
前記移動部は、前記照明範囲に含まれる前記対象部品の数が最大になるように、前記対象機器を移動させる請求項に記載の部品確認装置。
【請求項3】
前記移動部は、前記対象部品の上面に設けられる前記対象部品を確認可能な特徴部が前記照明範囲に含まれるように、前記対象機器を移動させる請求項または請求項に記載の部品確認装置。
【請求項4】
一の前記ピックアンドプレースサイクルにおいて採取する複数の前記対象部品の一部が前記照明装置によって照明可能な照明範囲に含まれないときに、前記照明範囲に含まれる前記対象部品が当該ピックアンドプレースサイクルにおいて採取され、前記照明範囲に含まれない前記対象部品が当該ピックアンドプレースサイクルの次の前記ピックアンドプレースサイクルにおいて採取されるように、前記ピックアンドプレースサイクルを設定する設定部を備える請求項1~請求項のいずれか一項に記載の部品確認装置。
【請求項5】
前記対象部品が撮像された画像データを画像処理して、前記装着ヘッドが採取する前記対象部品の正否および前記対象部品の採取時の角度のうちの少なくとも前記対象部品の正否を確認する確認処理を行う確認部を備える請求項1~請求項のいずれか一項に記載の部品確認装置。
【請求項6】
前記照明装置は、前記パレットに配列されている前記対象部品を側方から照明し、
前記確認部は、前記画像データを画像処理して、前記対象部品の上面に付されている前記対象部品を確認可能な文字を認識して、認識した文字に基づいて前記確認処理を行う請求項に記載の部品確認装置。
【請求項7】
パレットに配列されている部品を採取する前に前記部品を撮像して、前記部品が撮像された画像に基づいて前記部品を確認する部品確認方法であって、
前記部品を採取して基板に装着する装着ヘッドが一度に採取する少なくとも一つの前記部品である対象部品の採取を開始してから前記対象部品が前記基板に装着されるまでの周期をピックアンドプレースサイクルとするときに、
一の前記ピックアンドプレースサイクルにおいて採取する前記対象部品が前記対象部品を撮像する際に前記対象部品を照明する照明装置によって照明可能な照明範囲に含まれない場合に、一の前記ピックアンドプレースサイクルにおいて採取する前記対象部品が前記照明範囲に含まれるように、前記照明装置および前記パレットのうちの一方である対象機器を、前記照明装置および前記パレットのうちの他方に対して移動させ、一の前記ピックアンドプレースサイクルにおいて採取する前記対象部品が前記照明範囲に含まれる場合に、前記対象機器を移動させない移動工程を備える部品確認方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、部品確認装置および部品確認方法に関する技術を開示する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の電子部品供給装置は、トレイにおいて電子部品が収容されたポケットの位置と関連する操作パネルの位置を指定することにより、トレイにおいて電子部品が収容されているポケットの位置を入力する。これにより、電子部品供給装置は、一部のポケットのみに電子部品が収容されているトレイを電子部品供給装置に使用する場合に、電子部品が収容されているポケットを指定できるようにしようとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-159177号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
部品供給装置は、パレットに配列されている部品を採取する前に部品を撮像して、部品が撮像された画像に基づいて部品を確認する場合がある。この場合、部品供給装置は、部品を撮像する際に部品を照明する照明装置を備えている。しかしながら、照明装置は、照明範囲が限られ、パレットに配列されているすべての部品を一度に照明することができない場合がある。
【0005】
上記の照明装置を用いて部品を確認する場合、パレットおよび照明装置のうちの一方を他方に対して移動させる必要がある。例えば、パレットに収容されている部品が一つ採取されるごとに次の部品の採取のためにパレットが移動されると、パレットの移動が完了するまでに待機時間が生じる。その結果、単位時間あたりの部品の装着点数が減少する可能性があり、生産効率が低下する可能性がある。
【0006】
このような事情に鑑みて、本明細書は、パレットに配列されている部品を撮像する際に、パレットおよび照明装置のうちの一方を他方に対して所定のタイミングで移動させて、生産効率の低下を抑制可能な部品確認装置および部品確認方法を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書は、パレットに配列されている部品を採取する前に前記部品を撮像して、前記部品が撮像された画像に基づいて前記部品を確認する部品確認装置を開示する。前記部品を採取して基板に装着する装着ヘッドが一度に採取する少なくとも一つの前記部品である対象部品の採取を開始してから前記対象部品が前記基板に装着されるまでの周期をピックアンドプレースサイクルとする。このとき、前記部品確認装置は、前記対象部品を撮像する際に前記対象部品を照明する照明装置および前記パレットのうちの一方である対象機器を、前記照明装置および前記パレットのうちの他方に対して前記ピックアンドプレースサイクルごとに必要に応じて移動させる移動部を備える。
【0008】
また、本明細書は、パレットに配列されている部品を採取する前に前記部品を撮像して、前記部品が撮像された画像に基づいて前記部品を確認する部品確認方法を開示する。前記部品を採取して基板に装着する装着ヘッドが一度に採取する少なくとも一つの前記部品である対象部品の採取を開始してから前記対象部品が前記基板に装着されるまでの周期をピックアンドプレースサイクルとする。このとき、前記部品確認方法は、前記対象部品を撮像する際に前記対象部品を照明する照明装置および前記パレットのうちの一方である対象機器を、前記照明装置および前記パレットのうちの他方に対して前記ピックアンドプレースサイクルごとに必要に応じて移動させる移動工程を備える。
【発明の効果】
【0009】
上記の部品確認装置によれば、移動部を備えている。これにより、部品確認装置は、対象部品を撮像する際に照明装置およびパレットのうちの一方である対象機器を、照明装置およびパレットのうちの他方に対してピックアンドプレースサイクルごとに必要に応じて移動させることができる。よって、部品確認装置は、部品が一つ採取されるごとに次の部品の採取のためにパレットまたは照明装置が移動される場合と比べて、生産効率の低下を抑制することができる。部品確認装置について上述されていることは、部品確認方法についても同様に言える。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】部品装着機の構成例を示す平面図である。
図2】部品確認装置の制御ブロックの一例を示すブロック図である。
図3】部品確認装置による制御手順の一例を示すフローチャートである。
図4】パレット(対象機器)の位置決めの一例を示す平面図である。
図5】パレット(対象機器)の位置決めの他の一例を示す平面図である。
図6】パレット(対象機器)の位置決めの他の一例を示す平面図である。
図7】パレットに配置されている部品の配置例を示す平面図である。
図8】ピックアンドプレースサイクルの設定の一例を示すパレットの平面図である。
図9】照明装置の照明方向の一例を示す対象部品の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
1.実施形態
1-1.部品装着機10の構成例
部品確認装置70は、部品装着機10に設けられる。部品装着機10は、基板90に部品80を装着する。図1に示すように、部品装着機10は、基板搬送装置11、部品供給装置12、部品移載装置13、部品カメラ14、基板カメラ15および制御装置16を備えている。
【0012】
基板搬送装置11は、例えば、ベルトコンベアなどによって構成され、基板90を搬送方向(X軸方向)に搬送する。基板90は、回路基板であり、電子回路、電気回路、磁気回路などの種々の回路が形成される。基板搬送装置11は、部品装着機10の機内に基板90を搬入して、機内の所定位置に基板90を位置決めしクランプする。基板搬送装置11は、部品装着機10による部品80の装着処理が終了した後に、基板90をアンクランプし、基板90を部品装着機10の機外に搬出する。
【0013】
部品供給装置12は、基板90に装着される部品80を供給する。部品供給装置12は、基板90の搬送方向(X軸方向)に沿って設けられるフィーダ12aを備えることができる。フィーダ12aは、複数の部品80が収納されているキャリアテープをピッチ送りさせて、フィーダ12aの先端側に位置する供給位置において部品80を採取可能に供給する。また、部品供給装置12は、チップ部品などと比べて比較的大型の電子部品(例えば、リード部品など)を、パレット30に配置した状態で供給することもできる。フィーダ12aおよびパレット30は、部品供給装置12において着脱可能(交換可能)に設けられる。
【0014】
部品移載装置13は、ヘッド駆動装置13aおよび移動台13bを備えている。ヘッド駆動装置13aは、直動機構によって移動台13bを、X軸方向およびY軸方向(水平面においてX軸方向と直交する方向)に移動可能に構成されている。移動台13bには、クランプ部材によって装着ヘッド20が着脱可能(交換可能)に設けられている。装着ヘッド20は、少なくとも一つの保持部材21を用いて、部品供給装置12によって供給される部品80を採取し保持して、基板搬送装置11によって位置決めされた基板90に部品80を装着する。保持部材21は、例えば、吸着ノズル、チャックなどを用いることができる。
【0015】
部品カメラ14および基板カメラ15は、公知の撮像装置を用いることができる。部品カメラ14は、光軸が鉛直方向(X軸方向およびY軸方向と直交するZ軸方向)の上向きになるように、部品装着機10の基台に固定されている。部品カメラ14は、保持部材21に保持されている部品80を下方から撮像することができる。基板カメラ15は、光軸が鉛直方向(Z軸方向)の下向きになるように、部品移載装置13の移動台13bに設けられている。基板カメラ15は、基板90を上方から撮像することができる。
【0016】
部品カメラ14および基板カメラ15は、制御装置16から送出される制御信号に基づいて撮像を行う。部品カメラ14および基板カメラ15によって撮像された画像の画像データは、制御装置16に送信される。制御装置16は、公知の演算装置および記憶装置を備えており、制御回路が構成されている。制御装置16には、部品装着機10に設けられる各種センサから出力される情報、画像データなどが入力される。制御装置16は、制御プログラムおよび予め設定されている所定の装着条件などに基づいて、各装置に対して制御信号を送出する。
【0017】
例えば、制御装置16は、基板搬送装置11によって位置決めされた基板90を基板カメラ15に撮像させる。制御装置16は、基板カメラ15によって撮像された画像を画像処理して、基板90の位置決め状態を認識する。また、制御装置16は、部品供給装置12によって供給された部品80を保持部材21に採取させ保持させて、保持部材21に保持されている部品80を部品カメラ14に撮像させる。制御装置16は、部品カメラ14によって撮像された画像を画像処理して、部品80の保持姿勢を認識する。
【0018】
制御装置16は、制御プログラムなどによって予め設定される装着予定位置の上方に向かって、保持部材21を移動させる。また、制御装置16は、基板90の位置決め状態、部品80の保持姿勢などに基づいて、装着予定位置を補正して、実際に部品80を装着する装着位置を設定する。装着予定位置および装着位置は、位置(X軸座標およびY軸座標)の他に回転角度を含む。
【0019】
制御装置16は、装着位置に合わせて、保持部材21の目標位置(X軸座標およびY軸座標)および回転角度を補正する。制御装置16は、補正された目標位置において補正された回転角度で保持部材21を下降させて、基板90に部品80を装着する。制御装置16は、ピックアンドプレースサイクルを繰り返すことによって、基板90に複数の部品80を装着する装着処理を実行する。
【0020】
1-2.部品確認装置70の構成例
本実施形態の部品供給装置12は、パレット30に配列されている部品80を採取する前に部品80を撮像して、部品80が撮像された画像に基づいて部品80を確認する。図1に示すように、部品供給装置12は、部品80を撮像する際に部品80を照明する照明装置50を備えている。照明装置50は、例えば、LED(Light Emitting Diode)を備える公知の照明装置を用いることができる。このような照明装置50では、照明範囲R0が限られ、パレット30に配列されているすべての部品80を一度に照明することができない場合がある。
【0021】
上記の照明装置50を用いて部品80を確認する場合、パレット30および照明装置50のうちの一方を他方に対して移動させる必要がある。例えば、パレット30に収容されている部品80が一つ採取されるごとに次の部品80の採取のためにパレット30が移動されると、パレット30の移動が完了するまでに待機時間が生じる。その結果、単位時間あたりの部品80の装着点数が減少する可能性があり、生産効率が低下する可能性がある。
【0022】
そこで、本実施形態の部品装着機10には、部品確認装置70が設けられている。部品確認装置70は、移動部71を備えている。部品確認装置70は、設定部72を備えることができる。部品確認装置70は、確認部73を備えることもできる。図2に示すように、本実施形態の部品確認装置70は、移動部71と、設定部72と、確認部73とを備えている。
【0023】
部品確認装置70は、種々の制御装置、管理装置、クラウド上などに設けることができる。図2に示すように、本実施形態の部品確認装置70は、部品装着機10の制御装置16に設けられている。また、本実施形態の部品確認装置70は、図3に示すフローチャートに従って、制御を実行する。移動部71は、ステップS12に示す処理を行う。設定部72は、ステップS11に示す処理を行う。確認部73は、ステップS13に示す処理を行う。
【0024】
なお、ステップS13において部品80の確認処理が行われると、既述したように、制御装置16は、部品80を保持部材21に採取させ保持させて、基板90に部品80を装着する(ステップS14)。次に、制御装置16は、採取予定のすべての部品80が採取された否かを判断する(ステップS15)。
【0025】
採取予定のすべての部品80が採取された場合(ステップS15でYesの場合)、制御は、一旦、終了する。採取予定のすべての部品80が採取されていない場合(ステップS15でNoの場合)、制御は、ステップS12に示す処理に戻り、採取予定のすべての部品80が採取されるまで、ステップS12~ステップS14に示す処理が繰り返される。
【0026】
1-2-1.移動部71
既述したように、装着ヘッド20は、少なくとも一つの保持部材21を用いて、部品供給装置12によって供給される部品80を採取し保持して、基板搬送装置11によって位置決めされた基板90に部品80を装着する。装着ヘッド20の上記動作が繰り返されて、基板90に複数の部品80が装着される。そのため、装着ヘッド20の保持部材21に採取される部品80を単位として、パレット30および照明装置50のうちの一方を他方に対して移動させると良い。
【0027】
部品80を採取して基板90に装着する装着ヘッド20が一度に採取する少なくとも一つの部品80である対象部品80tの採取を開始してから対象部品80tが基板90に装着されるまでの周期をピックアンドプレースサイクルとする。このとき、移動部71は、対象部品80tを撮像する際に対象部品80tを照明する照明装置50およびパレット30のうちの一方である対象機器60を、照明装置50およびパレット30のうちの他方に対してピックアンドプレースサイクルごとに必要に応じて移動させる(ステップS12)。
【0028】
本実施形態では、対象機器60は、パレット30である。図1に示すように、パレット30は、例えば、駆動装置41によってY軸方向に移動される。駆動装置41は、収容装置40に収容されている複数のパレット30の中から、基板製品の生産において使用するパレット30を引き出し、当該パレット30をY軸方向に移動させて部品供給装置12に装備する。駆動装置41は、基板製品の生産において使用された使用済みのパレット30をY軸方向に移動させて、部品供給装置12から収容装置40に回収することもできる。このように、本実施形態の移動部71は、駆動装置41を用いて、照明装置50に対してパレット30を移動させることができる。
【0029】
移動部71は、一のピックアンドプレースサイクルにおいて採取する対象部品80tが照明装置50によって照明可能な照明範囲R0に含まれるように、対象機器60(本実施形態では、パレット30)を移動させる。例えば、図1に示すパレット30には、40個の部品80が10行4列のキャビティに配列されている。図1に示すように、装着ヘッド20は、8つの保持部材21を備える。例えば、図1の破線の長方形によって囲まれる対象部品80t(2行分の8つの部品80)を一のピックアンドプレースサイクルで採取する場合を想定する。なお、同図では、照明装置50の照明範囲R0は、直線L1および直線L2によって挟まれる領域(例えば、パレット30の2行分)で示されている。
【0030】
この場合、移動部71は、ピックアンドプレースサイクルごとに、照明装置50に対してパレット30を2行分、移動させる。これにより、移動部71は、一のピックアンドプレースサイクルにおいて採取する対象部品80t(2行分の8つの部品80)が照明範囲R0に含まれるように、パレット30を移動させることができる。
【0031】
仮に、照明範囲R0がパレット30の4行分の場合、移動部71は、ピックアンドプレースサイクルの二倍の周期で、照明装置50に対してパレット30を4行分、移動させる。この場合、一のピックアンドプレースサイクルでパレット30が移動されたときに、当該ピックアンドプレースサイクルの次のピックアンドプレースサイクルでは、パレット30は移動されない。このように、移動部71は、照明装置50に対してパレット30をピックアンドプレースサイクルごとに必要に応じて移動させる。
【0032】
また、移動部71は、照明範囲R0に含まれる対象部品80tの数が最大になるように、対象機器60(本実施形態では、パレット30)を移動させることができる。例えば、パレット30のY軸方向の移動方向と、部品80のY軸方向の採取方向とを反対方向に設定すると、パレット30を移動させながら、パレット30に配列されている部品80を順に採取することができる。
【0033】
具体的には、図4に示すように、パレット30が移動するY1方向(Y軸方向のうちの一の方向)と、部品80が太線矢印で示すように順に採取されるときのY2方向(Y軸方向のうちの他の一の方向)とは、反対方向である。同図では、一のピックアンドプレースサイクルにおいて採取される対象部品80tのうち、最初に採取される部品80が最先部品80sで示され、最後に採取される部品80が最終部品80eで示されている。
【0034】
この場合、移動部71は、照明範囲R0のY1方向の側(パレット30が移動するY軸方向の側)の境界を示す直線L1と最先部品80sを収容するキャビティが接するように、パレット30を移動させると、照明範囲R0に含まれる対象部品80tの数を最大化し易い。
【0035】
同様に、図5に示すように、パレット30が移動するY2方向と、部品80が太線矢印で示すように順に採取されるときのY1方向とは、反対方向である。この場合、移動部71は、照明範囲R0のY2方向の側(パレット30が移動するY軸方向の側)の境界を示す直線L2と最先部品80sを収容するキャビティが接するように、パレット30を移動させると、照明範囲R0に含まれる対象部品80tの数を最大化し易い。
【0036】
部品確認装置70は、対象部品80tが撮像された画像に基づいて対象部品80tを確認する。例えば、部品確認装置70は、対象部品80tの上面に設けられる対象部品80tを確認可能な特徴部80fを画像から抽出して、抽出された特徴部80fに基づいて、対象部品80tを確認することができる。
【0037】
特徴部80fは、対象部品80tを確認可能であれば良く、種々の形態をとり得る。例えば、対象部品80tの上面に付されている対象部品80tを確認可能な文字、図形、記号などは、特徴部80fに含まれる。対象部品80tの上面に形成されている対象部品80tを確認可能な刻印などの立体的形状などは、特徴部80fに含まれる。
【0038】
この場合、移動部71は、対象部品80tの上面に設けられる対象部品80tを確認可能な特徴部80fが照明範囲R0に含まれるように、対象機器60(本実施形態では、パレット30)を移動させると良い。具体的には、図6に示すように、移動部71は、対象部品80tの特徴部80f(同図では、文字P80)が、照明範囲R0の境界を示す直線L1および直線L2によって挟まれる領域(例えば、パレット30の2行分)に含まれるように、パレット30を移動させる。これにより、部品確認装置70は、画像から特徴部80f(文字P80)を抽出して、抽出された特徴部80f(文字P80)に基づいて、対象部品80tを確認することができる。
【0039】
1-2-2.設定部72
設定部72は、ピックアンドプレースサイクルを設定する(ステップS11)。設定部72は、制御プログラムおよび予め設定されている所定の装着条件などに基づいて、ピックアンドプレースサイクルを設定することができる。例えば、設定部72は、装着シーケンス順に部品80および当該部品80を採取する保持部材21を割り当てる。設定部72は、装着ヘッド20に装備される保持部材21の数、種類などに合わせて、ピックアンドプレースサイクルを設定することができる。
【0040】
しかしながら、一のピックアンドプレースサイクルにおいて採取する複数の対象部品80tの一部が、照明装置50によって照明可能な照明範囲R0に含まれない場合がある。このとき、設定部72は、照明範囲R0に含まれる対象部品80tが当該ピックアンドプレースサイクルにおいて採取され、照明範囲R0に含まれない対象部品80tが当該ピックアンドプレースサイクルの次のピックアンドプレースサイクルにおいて採取されるように、ピックアンドプレースサイクルを設定する。
【0041】
例えば、装着ヘッド20が12個の保持部材21を備え、12個の部品80を一のピックアンドプレースサイクルで採取可能であると仮定する。また、例えば、照明装置50の照明範囲R0が、パレット30の2行分(最大8つの部品80を照明可能)であると仮定する。この場合、4つの部品80は、照明範囲R0に含まれない。よって、設定部72は、照明範囲R0に含まれる8つの部品80を対象部品80tとする一のピックアンドプレースサイクルを設定する。また、設定部72は、当該ピックアンドプレースサイクルの次に、照明範囲R0に含まれない4つの部品80を対象部品80tとする一のピックアンドプレースサイクルを設定する。
【0042】
また、一のピックアンドプレースサイクルで採取する対象部品80tの数が、パレット30の一行に収容可能な部品80の最大数(例えば、4つ)の倍数になるとは限らない。そのため、例えば、図7に示すように、パレット30は、一行に収容可能な部品80の最大数(同図では、4つ)よりも少ない部品80(同図では、2つの部品80)が収容されている端数部80hを含む可能性がある。
【0043】
例えば、装着ヘッド20が8つの保持部材21を備え、8つの部品80を一のピックアンドプレースサイクルで採取可能であると仮定する。また、例えば、照明装置50の照明範囲R0が、パレット30の2行分(最大8つの部品80を照明可能)であると仮定する。この場合、端数部80hを含む8つの部品80を一のピックアンドプレースサイクルで採取しようとすると、2つの部品80は、照明範囲R0に含まれない。
【0044】
よって、図8に示すように、設定部72は、照明範囲R0に含まれる6つの部品80を対象部品80tとする一のピックアンドプレースサイクルを設定する。また、設定部72は、当該ピックアンドプレースサイクルの次に、照明範囲R0に含まれない2つの部品80を対象部品80tとする一のピックアンドプレースサイクルを設定する。なお、上記の例において、端数部80hの2つの部品80を採取しない場合、設定部72は、8つの部品80を対象部品80tとする一のピックアンドプレースサイクルを設定することもできる。
【0045】
1-2-3.確認部73
部品確認装置70は、移動部71によって対象機器60(本実施形態では、パレット30)が移動された後に、照明装置50によって対象部品80tを照明して、対象部品80tを撮像する。対象部品80tの撮像は、公知の撮像装置を用いることができる。例えば、部品確認装置70は、基板カメラ15を用いて、対象部品80tを撮像することができる。
【0046】
確認部73は、対象部品80tが撮像された画像データを画像処理して、装着ヘッド20が採取する対象部品80tの正否および対象部品80tの採取時の角度のうちの少なくとも対象部品80tの正否を確認する確認処理を行う(ステップS13)。確認部73が確認処理を行うことができれば良く、画像処理の方法は、限定されない。確認部73は、例えば、二値化処理などによって、既述した特徴部80fを抽出して、抽出された特徴部80fに基づいて、確認処理を行うことができる。
【0047】
例えば、確認部73が対象部品80tの上面に付されている対象部品80tを確認可能な文字を認識して確認処理を行う場合を想定する。この場合、図9の破線で示す矢印のように、照明装置50が対象部品80tの上面の法線方向に落射光を照射すると、全反射などによって文字の認識が困難な場合がある。
【0048】
よって、図1および図9に示すように、本実施形態の照明装置50は、パレット30に配列されている対象部品80tを側方から照明する。対象部品80tの上面に対する照明の照射角度は、例えば、シミュレーション、実機による検証などによって予め取得され、文字を認識可能に設定される。
【0049】
確認部73は、画像データを画像処理して、対象部品80tの上面に付されている対象部品80tを確認可能な文字を認識して、認識した文字に基づいて確認処理を行う。図6に示す例では、確認部73は、文字P80を認識して、装着ヘッド20が採取する対象部品80tの正否を確認することができる。例えば、文字P80は、対象部品80tの部品種を示している。
【0050】
確認部73は、装着ヘッド20が採取すべき対象部品80tの部品種と、画像データを画像処理して認識された文字P80が示す部品種とが、一致しているか否かを判断する。確認部73は、部品種が一致する場合、採取する対象部品80tが正しいと判断し、部品種が一致しない場合、採取する対象部品80tが正しくないと判断する。
【0051】
また、確認部73は、文字P80を認識できたときの視角に基づいて、対象部品80tの採取時の角度を確認することもできる。なお、確認部73は、例えば、対象部品80tの角部に設けられる図形(例えば、三角形)などを認識することによって、対象部品80tの採取時の角度を確認することもできる。
【0052】
1-2-4.その他
既述した実施形態では、対象機器60は、パレット30である。対象機器60は、照明装置50であっても良い。この場合、照明装置50は、例えば、公知の直動機構などによって、Y軸方向に沿って移動可能に設けられる。また、移動部71は、パレット30に対して照明装置50をピックアンドプレースサイクルごとに必要に応じて移動させる。
【0053】
1-3.部品確認方法
部品確認装置70について既述されていることは、部品確認方法についても同様に言える。具体的には、部品確認方法は、移動工程を備える。移動工程は、移動部71が行う制御に相当する。部品確認方法は、設定工程を備えることもできる。設定工程は、設定部72が行う制御に相当する。部品確認方法は、確認工程を備えることもできる。確認工程は、確認部73が行う制御に相当する。
【0054】
2.実施形態の効果の一例
部品確認装置70によれば、移動部71を備えている。これにより、部品確認装置70は、対象部品80tを撮像する際に照明装置50およびパレット30のうちの一方である対象機器60を、照明装置50およびパレット30のうちの他方に対してピックアンドプレースサイクルごとに必要に応じて移動させることができる。よって、部品確認装置70は、部品80が一つ採取されるごとに次の部品80の採取のためにパレット30または照明装置50が移動される場合と比べて、生産効率の低下を抑制することができる。部品確認装置70について上述されていることは、部品確認方法についても同様に言える。
【符号の説明】
【0055】
20:装着ヘッド、30:パレット、50:照明装置、60:対象機器、
70:部品確認装置、71:移動部、72:設定部、73:確認部、
80:部品、80t:対象部品、80f:特徴部、90:基板、
R0:照明範囲。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9