(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】イメージ比較のための試料撮像及びイメージアーカイビング
(51)【国際特許分類】
G01N 21/27 20060101AFI20240416BHJP
G01N 33/48 20060101ALI20240416BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20240416BHJP
【FI】
G01N21/27 A
G01N33/48 P
G06T7/00 630
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023010015
(22)【出願日】2023-01-26
(62)【分割の表示】P 2021527111の分割
【原出願日】2019-11-19
【審査請求日】2023-02-24
(32)【優先日】2018-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521210818
【氏名又は名称】リーンエイピー・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】LEANAP, INC.
【住所又は居所原語表記】6540 Burroughs Ave., Sterling Heights, Michigan 48314, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100221729
【氏名又は名称】中尾 圭介
(72)【発明者】
【氏名】メルロ、フィリップ・ティー
(72)【発明者】
【氏名】メルロ、パトリック・アロイシャス
(72)【発明者】
【氏名】ライス、マシュー・アンドルー
(72)【発明者】
【氏名】トロンゴ、ジョン・ジェイコブ
(72)【発明者】
【氏名】フラゲッタ、フィリッポ
(72)【発明者】
【氏名】パンタノウィッツ、リロン
(72)【発明者】
【氏名】マイケルズ、ラリー
【審査官】清水 靖記
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-095588(JP,A)
【文献】特開2012-229993(JP,A)
【文献】特開2012-229994(JP,A)
【文献】特開2008-020293(JP,A)
【文献】特開2001-338276(JP,A)
【文献】特開平09-145559(JP,A)
【文献】特表2018-532132(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00 - G01N 21/958
G01N 33/00 - G01N 33/98
G01N 1/00 - G01N 1/44
G02B 19/00 - G02B 21/36
G06T 1/00 - G06T 1/60
G06T 7/00 - G06T 7/90
A61B 1/00 - A61B 1/32
A61B 5/00 - A61B 5/398
A61B 10/00 - A61B 10/06
C12M 1/00 - C12M 3/10
C12Q 1/00 - C12Q 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織試料の画像を捕捉するための方法であって、
選択可能な視野内に、基板ブロックに埋め込まれた組織試料を位置決めすることと、
前記基板ブロック包埋組織試料に偏光を照射することと、
前記視野内に位置決めされた前記基板ブロック包埋組織試料の第1の画像を捕捉することと、
前記基板ブロック包埋組織試料に非偏光を照射することと、
前記視野内に位置決めされた前記基板ブロック包埋組織試料の第2の画像を捕捉することと、
前記第1の画像上にオーバーレイした前記第2の画像を含むオーバーレイ画像を作成するために、前記第1及び第2の画像を処理することと、
前記基板ブロック包埋組織試料の切断組織を識別することであって、前記切断組織が、スライシング後に前記基板ブロックの切断面に存在する組織である、識別することと、
前記基板ブロック包埋組織試料の非切断組織を識別することであって、前記非切断組織が、スライシング後に前記基板ブロックの前記切断面の下に存在する組織である、識別することと、
前記非切断組織に対する前記切断組織の境界を識別することと、
前記オーバーレイ画像をアーカイブに格納することと
を含む、方法。
【請求項2】
前記基板ブロック包埋組織試料が、カセットにマウントされる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記基板ブロック包埋組織試料に偏光を前記照射することが、偏光源を用いて前記基板ブロック包埋組織試料に照射することを含み、
前記第1の画像を前記捕捉することが、偏光フィルタの使用を含み、
前記偏光が、前記視野内のグリント、グレア及び反射を低減する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記基板ブロック包埋組織試料に非偏光を前記照射することが、前記基板ブロックの前記切断面に垂直な方向からある角度を成す光源を用いて前記基板ブロック包埋組織試料に照射することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記基板ブロックの前記切断面に垂直な方向からある角度を成す光源から照射される前記非偏光が、前記基板ブロックの表面におけるグリント、グレア及び反射を生成し、前記切断組織が、光沢のない、実質的には、グリント、グレア及び反射のない状態のままである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
組織試料スライスを作成するための前記基板ブロック包埋組織試料の後続のスライシングをさらに含み、前記組織試料スライスが、前記基板ブロック包埋組織試料に存在していた少なくともいくつかの組織を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
スライドにマウントされた組織試料を作成するために前記組織試料スライスを処理することであって、前記スライドにマウントされた組織試料が、前記組織試料スライスのカバースリップが施された最終的な染色スライドである、処理することをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記スライドにマウントされた組織試料の画像を捕捉することをさらに含む、請求項
7に記載の方法。
【請求項9】
第1の画像対を作成するために、前記スライドにマウントされた組織試料の画像と前記オーバーレイ画像を対にすることを含み、前記スライドにマウントされた組織試料に存在する組織が、前記オーバーレイ画像に存在する前記組織の少なくとも一部分を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の画像対を一連の漸進的な対の画像に追加することをさらに含み、前記一連の漸進的な対の画像を前記アーカイブに格納することをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記スライドにマウントされた組織試料の前記画像から欠けている組織があるかどうかを判断するために、前記第1の画像対を分析することをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の画像対を分析することが、前記オーバーレイ画像に存在するいずれかの組織が前記スライドにマウントされた組織試料の前記画像
に存在するいずれかの組織から欠けているかどうかを判断するために、前記基板ブロック包埋組織試料の前記非切断組織に対する前記切断組織の前記境界をレビューすることを含
み、
前記オーバーレイ画像に存在する組織は、前記スライドにマウントされた組織試料の前記画像に存在するいずれかの組織に対応する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記視野内に位置決めされた基板ブロック包埋組織試料のライブ画像を表示することをさらに含み、
前記基板ブロックの透明度及び前記切断組織の境界の強度の少なくとも1つを調整するために、光の偏光レベル及び光強度レベルの少なくとも1つを調整することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組織試料画像の捕捉を対象とし、具体的には、後の画像比較のための捕捉した組織試料画像のアーカイビングを対象とする。
【背景技術】
【0002】
バイオバンク、病理学部門又は他の同様の施設で処理され研究されるものなど、従来の組織試料は、後のセクショニング又はスライシングのためにパラフィンワックスブロックに埋め込まれる場合が多い。パラフィンブロックは、組織試料を薄切りすることができるように組織試料を支持する。そのようなスライシングは、一般に、ミクロトーム又は他の同様の組織スライシング機器で実行される。パラフィン包埋組織ブロックは薄切り(切片化)され、組織の各スライスは、それぞれのスライド上に置かれる。各試料スライスは処理され、最終的な染色組織試料スライスは、カバーされて、次いで、保管される。保管された組織スライドの各々は、後の回収のために個別に識別することもできる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の実施形態は、組織生検カセット、顕微鏡スライド及び他の組織容器並びにその中に含まれる標本組織(本明細書では、組織/ブロック/試料容器としても知られている)を撮像するための装置及び方法を提供する。
【0004】
本発明の態様では、組織試料のバーコード追跡、撮像及びその画像の分析のための装置が提供される。装置は、イメージャ、コントローラ、作動レンズ、レンジファインダ、試料ホルダー、照明システム及びプロセッサを含む。イメージャは、選択可能な視野内で画像を捕捉するように構成される。試料/ブロック/組織容器は、視野内に位置決め可能である。イメージャは、複数の試料/組織容器の画像を捕捉するように構成される。試料ホルダーは、試料容器の各タイプに対する調整可能な支持を提供すること、直接視野にないバーコードの撮像のための光学経路を提供すること、及び、画像捕捉時の試料容器タイプを識別するために符号化システムを提供することを行うように構成される。照明システムは、視野に照射するように構成される。プロセッサは、試料/組織容器の第1の複数の捕捉画像を受信するように構成される。プロセッサは、第1の複数の捕捉画像を分析し、画像の自動アーカイビングのためにベースファイル識別子を提供する目的でバーコードを位置付けて読み取るように構成される。第1の複数の捕捉画像の追加の画像は、ドキュメンテーション目的で使用され、第1の複数の捕捉画像のいずれか1つから欠けている組織があるかどうかを判断するためにプロセッサによって分析される。
【0005】
本発明のさらなる態様では、組織試料の画像を捕捉するための方法は、選択可能な視野内に組織試料容器を位置決めすることを含む。視野内に位置決めされた組織試料容器が照射を受ける。視野内に位置決めされた組織試料容器の画像が捕捉される。組織試料容器の第1の複数の捕捉画像は、一連の漸進的な対の画像として配置される。方法は、第1の複数の捕捉画像をアーカイブに格納することをさらに含む。
【0006】
本発明の別の態様では、組織試料の画像を捕捉するための方法は、画像を捕捉するためのイメージャシステムを提供することを含み、イメージャシステムは、視野に光を当てるための光源と、捕捉画像を処理するためのプロセッサと、イメージャの焦点を決定するためのレンジファインダとを含む。方法は、試料/ブロックの切断面に対するイメージャの焦点を決定することをさらに含む。焦点は、各撮像の前に実行される切断の量に応じて変化する。レンジファインダは、イメージャの作動レンズの焦点位置に合わせて較正される。光源及びイメージャは、切断面に対して垂直な方向から10~20度の角度で位置決めされ、その結果、反射光は、試料/ブロックに対して角度を成して跳ね返り、試料/ブロックの切断面を強調する。イメージャ及び光源は、互いに対して試料角度で位置決めされる。第1の画像が捕捉され、第1の画像において切断組織の境界が存在する場所を示すためにプロセッサで処理される。光源は偏光を提供し、その結果、切断面で反射する光が排除され、表面下(非切断組織)を観察することができる。第2の画像は、偏光を用いて捕捉される。第1の画像と第2の画像は、プロセッサによって比較される。そのような比較は、第1及び第2の画像の一方を第1及び第2の画像の他方にオーバーレイすることを含み、それにより、表面の下にある延いては切断も検査のためのスライドへの移動も行われていない試料組織のそれらの部分が識別される。最後に、方法は、試料/ブロックの表面の下にある試料組織のそれらの部分を区別するという観察者の能力を高めるために調整可能な観察制御機能を提供することを含む。
【0007】
本発明の態様では、レンジファインダは、1対の超音波飛行時間(TOF)センサである。
【0008】
本発明のさらなる態様では、撮像システムは、偏光源及び浅いポケットをさらに含み、浅いポケットは、ベースファイル識別子を提供するためのバーコードの画像の捕捉や、切断組織境界が存在する場所を示すための処理に適した画像の捕捉に役立てるために、標準の25mm×75mm顕微鏡スライド及び50mm×75mm顕微鏡スライドを白色背景上に支持するように構成される。
【0009】
本発明の別の態様では、プロセッサは、パラフィンワックス包埋組織試料ブロックの第1の画像を組織試料スライドの第2の画像と比較するように構成される。第1の画像は、第2の画像に存在する組織の画像を含む。プロセッサは、第1の画像に存在する組織のいずれかが第2の画像から欠けているかどうかを判断するようにさらに構成される。
【0010】
従って、組織試料スライド及びパラフィンワックス包埋組織試料ブロックを撮像し、結果として得られた画像をアーカイブする(例えば、メモリのデータベースに格納される)ことができる。次いで、これらのアーカイブされた画像は、患者/症例別にインデックスを付けることができ、その結果、特定の患者/症例に関連する一連の画像を後日に回収して分析することができる。そのような分析は、最終的なスライド画像からいずれかの組織が欠けているかどうかを判断するための「最終的な」スライド画像を含む一連の漸進的な画像及びブロック画像の画像分析を含み得る。
【0011】
図面と併せて以下の説明を検討することにより、本発明のこれら及び他の目的、利点、目標及び特徴が明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明による例示的な撮像装置のブロック図である。
【
図2A】本発明による、組織試料に対して位置決めされた例示的なイメージャの側面図である。
【
図2B】本発明による、組織スライシング機器に組み込まれた別の例示的なイメージャの側面図である。
【
図3A】試料容器に対して位置決めされた例示的なイメージャシステムの側面図である。
【
図3B】本発明による、試料ホルダーからカセットを取り出すことなく、下向きカセットバーコードを観察するように構成されたイメージャの正面図である。
【
図4】スライド画像からいずれかの組織が欠けているかどうかを判断するために使用される画像を捕捉するための方法を示すフロー図である。
【
図5】スライド画像からいずれかの組織が欠けているかどうかを判断するための方法を示すフロー図である。
【
図6A】本発明による顕微鏡スライドの斜視図であり、バーコードの配置を示す。
【
図7A】本発明による別の顕微鏡スライドの斜視図であり、バーコードの配置を示す。
【
図8A】本発明による小型カセットの斜視図であり、小型カセット上に位置決めされた組織試料/ワックスブロックを示す。
【
図8B】
図8Aの小型カセットの正面図であり、小型カセット上に置かれた組織試料/ワックスブロックを示す。
【
図9A】本発明による大型カセットの斜視図であり、大型カセット上に位置決めされた組織試料/ワックスブロックを示す。
【
図9B】
図9Aの大型カセットの正面図であり、大型カセット上の組織試料/ワックスブロックの位置決め及びバーコードの配置を示す。
【
図9C】
図9Aの大型カセットの側面図であり、大型カセット上の組織試料/ワックスブロックの位置決めを示す。
【
図10】ワックスブロックに埋め込まれた組織試料の例示的な偏光画像である。
【
図11】
図10のワックスブロックに埋め込まれた組織試料の例示的な非偏光画像である。
【
図12】本発明による、
図10のワックスブロックに埋め込まれた組織試料の例示的な処理済みの画像であり、偏光及び非偏光画像のオーバーレイを示す。
【
図13】本発明による、
図10のワックスブロックに埋め込まれた組織試料の別の例示的な処理済みの画像であり、偏光及び非偏光画像のオーバーレイを示す。
【
図14】本発明による、
図10のワックスブロックに埋め込まれた組織試料のさらなる例示的な処理済みの画像であり、偏光及び非偏光画像のオーバーレイを示す。
【
図15A】本発明による、
図14のワックスブロックに埋め込まれた組織試料の例示的な処理済みの画像であり、
図14のワックスブロックに埋め込まれた組織の「切断」部分の輪郭をハイライトする。
【
図15B】
図10のワックスブロックに埋め込まれた組織試料の例示的な処理済みの画像であり、
図14のワックスブロックに埋め込まれた組織の「非切断」部分及び切断面の下の部分の輪郭をハイライトする。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図面及びその中で描写される説明に役立つ実施形態を参照すると、組織に関連する研究所情報システム(「LIS」)の電子ファイルにパラフィン包埋組織ブロック(以下では「ブロック」)の画像をアーカイブするためのイメージ管理システム及び方法が提供されている。また、電子ファイルは、組織試料が切除された患者にも関連又はリンクし得る。撮像の目的の1つは、カバースリップが施された最終的な染色スライドの撮影画像との後の比較のために、特定のブロックに存在する切断組織及び表面下の組織の「パターン」を記録することである。例えば、スライドは、(i)切断すべきであったいずれかの組織が切断されなかったかどうか、又は、(ii)組織/カセット及びスライド処理の間にいずれかの組織が失われたかどうか(そのような組織は画像取得及び処理から「失われる」可能性もあることに留意されたい)を確かめるために、ホールスライドイメージング(WSI)を使用して撮像することができる。任意選択的に、イメージ管理システム及び方法は、いずれかの組織が最終的なスライドから欠けているかどうかを判断するために自動画像認識アルゴリズムを組み込み、組織ブロック(すなわち、オリジナルの組織ブロック画像)と比べて特定のスライドが組織を欠いていることをユーザに知らせるための警報をユーザに提供することができる。それに加えて、イメージ管理システム及び方法は、不適合を記録及び報告するために使用することができる取得画像用のデータ管理システムを提供することができる。従って、本明細書で論じられるように、例示的なイメージ管理システムは、撮像装置と、画像取得及びアーカイビングモジュールと、画像分析モジュールとを含む。
【0014】
図1は、例示的なイメージ管理システム100を示し、例示的なイメージ管理システム100は、アナライザ/画像プロセッサ120と、撮像装置150とを含む。
図1に示されるように、アナライザ/画像プロセッサ120は、画像取得及びアーカイビングモジュールと、画像分析モジュールとを含み、それらは両方とも、マルチコアグラフィクス処理ユニット(GPU)126の別個のハードウェアモジュールとして、又は、マルチコアマイクロ処理ユニット(CPU)124によって実装されるソフトウェアモジュールとして実装することができる。また、
図1は、イメージ管理システム100がサーバ170に通信可能に結合されることも示しており、サーバ170は、メモリ178に格納されたデータベース129など、アーカイブされたイメージの格納及び回収を提供する。撮像装置150は、スタンドアロン機器150として実装するか(
図2Aを参照)、又は、イメージャ152を組織スライシング機器210(例えば、ミクロトーム又は他の同様の機器)のアクセサリとして組み込むことができる。撮像装置150は、パラフィンワックス包埋組織試料808、908(
図8及び9を参照)又は組織試料スライスを載せたスライド602、702(
図6及び7を参照)などの組織試料202の画像を捕捉する。
【0015】
任意選択的に、
図1に示されるように、イメージ管理システム100は、アクセサリ接続(例えば、マウス、キーボード、バーコードスキャナ及びサムドライブアクセス)を容易にするためにハウジングに配置された外部データポート103(USBポートなど)を含む。また、機関のネットワークとの接続を可能にするために、外部LANポート104又は他の適切なデータ接続も提供することができる。外部電源スイッチは、照明システム156、256の電源のオン/オフを行うために配置することができる。同様に、イメージ管理システム100のハウジングには、アナライザ/画像プロセッサ120及び撮像装置150のための主電源スイッチも配置することができる。
【0016】
アナライザ/画像プロセッサ120の画像取得及びアーカイビングモジュールは、撮像装置150の制御のためのユーザインタフェース(イメージ管理システム100の表示画面108上に表示される)を提供する。また、画像取得及びアーカイビングモジュールは、病院又は同様の機関の情報技術(IT)インフラ及び電子アーカイブへのアクセスをユーザに提供することができる。また、画像取得及びアーカイビングモジュールは、関連画像の自動アーカイビングを可能にするために、カセット802、902(パラフィンワックスブロック808、908を保持するように構成される)及び組織試料を載せた顕微鏡スライド602、702の画像上の識別子バーコードを読み取ることもできる(
図6~9を参照)。アナライザ/画像プロセッサ120の画像分析モジュールは、ブロックの画像及びスライド画像(例えば、WSI)を分析し、いずれかの組織が仕上げ済みのスライド602、702の画像から欠けているかどうかを示す合格/不合格出力をユーザに提供する。それに加えて、画像分析モジュールは、LISに格納された特定の患者/症例電子ファイルにイメージ分析結果をアーカイブする。
【0017】
図2Aは、例示的なスタンドアロンユニットとして実装された撮像装置150を示す。撮像装置150は、コンピュータ制御イメージャ152を含む(
図1に示されるように、撮像装置150は、アナライザ/画像プロセッサ120に通信可能に結合され、アナライザ/画像プロセッサ120は、上記で記述されるように、撮像装置150の動作を制御する)。任意選択的に、撮像装置150は、コンピュータインタフェース(例えば、USB3.0)を介してアナライザ/画像プロセッサ120に結合される。イメージャ152は、所望の焦点及び/又は虹彩設定に対して調整可能なレンズ系154を含む。任意選択的に、レンズ系154は、手動で選択可能な焦点、シャッタ速度及び虹彩(アパーチャ)制御機能を有する手動レンズであり得る。さらなる任意選択的な実施形態では、レンズ系154は、アナライザ/画像プロセッサを介して調整可能な自動設定を有する。
【0018】
図2Aに示されるように、イメージャ152は、照明システム156に通信可能に結合することができ、照明システム156は、カセット内及びスライド上の組織試料の適切な画像の効果的な捕捉を支援するために、特殊な照明設定を提供する。任意選択的に、照明システム156は、アナライザ/画像プロセッサ120を介して、コンピュータ制御することができる。また、照明システム156は、偏光を視野に照射するために使用される偏光子も含み得る。偏光を視野に照射することにより、イメージャ152の視野内のグリント又はグレアを低減することができ、それにより、ワックスブロックの切断面の下の組織の部分などの組織試料の鮮明な画像を得るというイメージャの能力を高めることができる。イメージャ152の視野は、顕微鏡スライド(WSI)602、702(組織試料スライスを載せたもの)全体をカバーするか、又は、パラフィンワックス包埋組織試料(すなわち、カセット802、902に載せたパラフィンワックスブロック808、908に埋め込まれた組織試料202)全体をカバーするように調整可能である。任意選択的に、試料組織容器の異なる態様を強調するように構成された複数のコンピュータ制御照明源が存在し得る。明確にするため、
図2A、2Bに示される組織試料202は、カセット802、902なしで及び試料202が埋め込まれる関連パラフィンワックスブロック808、908なしで示されていることに留意されたい。
【0019】
イメージャ152、レンズ系154及び照明システム156は、ハウジング158内に配置される及び/又はハウジング158によって支持される。任意選択的に、イメージャ152及びその関連レンズ154は、粉塵、破片及び流体がイメージャ152及びその関連光学系(154)を汚染することを防ぐために、窓及びアクセスカバーを有するハウジング158内に密閉することができる。また、典型的な病理組織固定剤の存在下で使用する際にヒューム軽減を容易にするために、ハウジング158の換気ポートを提供することもできる。また、ハウジング158は、関連ケーブル配線が妨げられないようにすることもできる。
【0020】
また、撮像装置150は、位置決めシステム159も含み、位置決めシステム159は、撮像予定のアイテムの正しいセンタリング及び焦点調節を保証するために、異なるサイズ(及び厚さ)のパラフィンブロック202間及び異なるサイズのスライド602、702間の撮像の素早い変更に備える。
図2Aに示されるように、位置決めシステム159は、ハウジング158を介してイメージャ152に機械的に結合される。任意選択的に、位置決めシステム159は、アナライザ/画像プロセッサ120の画像取得及びアーカイビングモジュールを介してコンピュータ制御することができる。また、イメージャ152は、組織試料202を保持するカセット及びスライド上のバーコードを読み取るためのバーコードリーダとして機能するように構成することもできる。
【0021】
撮像装置150は、複数の構成可能な「位置」を有する試料ホルダー160を含む。試料ホルダー160の第1の位置は、「スライド」位置である。試料ホルダー160がスライド位置にある際は、試料ホルダー160は、イメージャ152に対するセンタリング及び焦点距離を維持するために、スライドにマウントされた組織試料202が正しい位置に保持されることを保証する。試料ホルダー160は、「全載」カセット及び「全載」スライドを受け入れる及び/又は収容するように構成可能であり得る。試料ホルダー160は、「ブロック」位置に方向付けることができる。試料ホルダー160がブロック位置にある際は、試料ホルダー160は、イメージャ152に対するセンタリング及び焦点距離を維持するために、試料ブロック202が正しい位置に保持されることを保証する。
【0022】
パラフィンワックスブロック808、908(カセット802、902にそれぞれ載せたもの)及び顕微鏡スライド602、702(各々が組織試料202を載せる)は、カメラ画素サイズ以下の光回折錯乱円を用いて、並びに、虹彩、焦点及び偏光の向きに対するイメージャ設定を可能にするためのイメージャ152のレンズ系154のロック可能な調整機能を用いて、組織試料全体の撮像に十分な視野を提供するように選択され方向付けられたイメージャ152及びその関連レンズ配置154で撮像される。組織の例示的な断片は、非常に小さいものであり得、視覚化する必要がある。また、本発明の実施形態は、試料容器において供給され、次いで、カセットに移され、次いで、パラフィンワックス基板又は包埋体に移された離散的な試料片を位置付けることを対象とするということにも留意されたい。言い換えれば、例示的な実施形態は、組織試料の詳細を視覚化することは対象とせず、組織が存在しているか否かを視覚化することを対象とする。従って、典型的なコアニードルをガイドとして使用し、追跡される最小の「実用的又は典型的な」組織試料サイズを決定することができる。例えば、予想される最小の組織試料サイズは、22ゲージニードルの直径の1/4又は1/2×0.413mm=0.207mmとして指定することができる。言い換えれば、1インチあたりの画素の数は、追跡される最小の「実用的/典型的な」組織片に依存する。従って、最小解像度は、1軸方向あたり2画素を超えるか又は2軸領域検出に対して4画素を超えるナイキストサンプリング基準に基づき得、その結果、0.052mmの画素ピッチが得られる。実用的には、安全率は、1軸方向あたり2倍の2×2=4より大きいか又は2軸領域あたり16画素より大きい。撮像される最大の組織/ブロック/試料容器は、最大で75mm×55mmのエリアを有する「全載」スライドである。画素ピッチ(0.052mm)と組み合わせると、1,538×1,057の最小カメラ解像度が得られる。
【0023】
上記で説明されるコア又は生検ニードルは、典型的には、19ゲージ~25ゲージの範囲であり得る。その上、そのようなニードルによって取得された組織試料は、粉々に砕ける可能性がある。コア/生検ニードルからの組織試料が粉々に砕けると、単一のパラフィンワックスブロック内に撮像が必要な10以上の小さな断片が存在するようになりかねない。それに加えて、本発明のイメージ管理システム及び方法は、組織マイクロアレイ(TMA)のブロックを撮像するために使用することができ、TMAの各組織のコアは、0.1mmほどの小さな直径を有し得、それに従って、結果として得られる必要な最小解像度が調整される。一実施形態では、イメージャ152は、モノクロイメージャである。また、カラーイメージャ及び同様のものなど、他の実施形態も可能である。
【0024】
図2Bは、組織スライシング機器210のアクセサリツールとして設置されたイメージャ252を示す。
図2Bのイメージャ252、レンズ系254及び照明システム256は、
図2Aのイメージャ152、レンズ系154及び照明システム156と同じものであり得る。イメージャ252は、アクセサリアタッチメントとして設置されると、位置決めシステム209を介して、組織スライシング機器210の作業面202上に置かれた/マウントされたパラフィンワックス包埋組織試料202の画像を捕捉するために正しく方向付けられるように位置決め可能である。組織スライシング機器210は、スライスの厚さを選択できるようにスライシングの深さを調整することができる。例えば、組織試料202の一面からのスライスは、典型的には4~5μmであるが、2μm~10μmに及び得る。正しく位置決めされると、イメージャ252は、セクショニング又はスライシングプロセスの間、組織試料202の画像を捕捉する。
図2Bに示されるように、イメージャ252は、組織試料202の外面が組織スライシング機器210によって組織試料202から切り離される前に、組織試料202のその外面の画像を捕捉するように位置決めされる。次いで、組織試料202のその画像は、その組織試料スライスが処置されカバースリップが施された後に、その組織試料スライスの後の画像と比較することができる。比較は、いずれかの組織が後の画像から欠けているか否かを判断するために実行される。また、比較は、スライド上での組織の位置がずれたか否かを判断するため又は他の異常を検出するために実行することもできる。
【0025】
アナライザ/画像プロセッサ120の画像取得及びアーカイビングモジュールは、次の主要な機能、すなわち、ライブ画像プレビュー機能、画像取得機能、ブロック完成/終了切断画像取得機能、画像レビュー機能及び病理学者レビュー機能を提供する。ライブ画像プレビュー機能は、ユーザの目に見えるように表示画面108上に表示されるライブ画像を備える。表示画面108上に表示されたライブ画像を使用することにより、ユーザは、イメージャ152、252及び照明156、256をセットアップすることができる。表示画面108は、任意選択的に、接触応答型ディスプレイであり得る。また、例えば、取り外し可能な表示画面108又は遠隔表示画面108へのケーブル配線など、他の実施形態も利用可能である。
【0026】
アナライザ/画像プロセッサ120の画像取得機能は、組織試料を有し且つバーコードラベルの付いた各スライド602、702の画像を捕捉するためにトリガすることができる。本明細書で論じられるように、イメージャ152は、任意選択的に、バーコードリーダを含み得る。同様に、組織試料ブロック202もまた、バーコードに対する問い合わせ又はスキャンを受けることができる。関連バーコードが読み取られた時点で、そのデータを患者/症例電子記録の適切なフィールド変数に解析することができる。そのような記録は、ローカルメモリ128又はサーバ170のリモートメモリ178のデータベース129に格納することができる。フィールド変数を使用することにより、捕捉画像は、症例/患者番号、スライド又は組織ブロック番号及び他の任意の必要なフィールドを示すフィールドメタデータを有する関連症例/患者用のデータベース129に格納することができる。
【0027】
アナライザ/画像プロセッサ120のブロック完成/終了切断画像取得機能は、いかなるセクション(スライス)も取り除かれる前に、パラフィンブロック(及び埋め込まれた組織試料)202の第1の画像を捕捉することを備える。また、パラフィンブロック202が保管される前に、パラフィンブロック202の完成/終了切断状態の後続の最終的な画像(すべてのセクション/スライスがパラフィンブロック202から取り除かれた後の)も撮影される。スライドにマウントされた組織試料202の処理に関して上記で論じられる機能と同様に、ワックスブロック808、908に埋め込まれた組織試料202の各画像は、以前に捕捉されたサイド(side)バーコードからのフィールド変数を使用して、フィールドメタデータを有する症例/患者用のデータベース129に格納される。
【0028】
図3Aは、代替の撮像装置350を示し、撮像装置350は、コンピュータ制御イメージャ352を含む。
図1に示されるように、撮像装置350は、アナライザ/画像プロセッサ120に通信可能に結合され、アナライザ/画像プロセッサ120は、上記で記述されるように、撮像装置350の動作を制御する。任意選択的に、撮像装置350は、コンピュータインタフェース(例えば、USB3.0)を介してアナライザ/画像プロセッサ120に結合される。イメージャ352は、所望の焦点及び/又は虹彩設定に対して調整可能なレンズ系354を含む。任意選択的に、レンズ系354は、手動で作動される焦点、シャッタ速度及び虹彩(アパーチャ)制御機能を有する手動レンズであり得る。さらなる任意選択的な実施形態では、レンズ系354は、アナライザ/画像プロセッサ120を介して作動される自動設定を有する。一実施形態では、イメージャ352は、モノクロイメージャである。また、カラーイメージャ及び同様のものなど、他の実施形態も可能である。
【0029】
図3Aに示されるように、撮像装置350は、イメージャ352とパラフィンワックスブロック808、908の表面との間の距離を決定するためのレンジファインダ381も含む。一実施形態では、レンジファインダ381は、1対の超音波飛行時間(TOF)センサである。第1の超音波センサは、標準参照距離を読み取って、温度、圧力及び湿度補償係数を提供するために使用される。第2の超音波センサは、対象の焦点距離を測定し、第1のセンサからの補償係数を使用して現在の環境条件において焦点距離が正確に測定されることを保証する。本明細書で論じられるように、距離は、使用されるカセット(802、902)のタイプに応じて変化するのみならず、パラフィンワックスブロックに埋め込まれた組織から薄切り(切片化)されたスライスの数によっても変化する。パラフィンワックスブロック806、906の切断面とレンジファインダ381との間の距離は、セクショニングプロセスの継続と共に増加する。レンジファインダ381がパラフィンワックス包埋組織試料の表面までの距離を決定した時点で、焦点距離が決定され、レンズ系354は、パラフィンワックス包埋組織試料の表面に焦点を合わせるように調整される。任意選択的に、撮像装置350は、更新焦点距離を決定し、レンズ系354の焦点を自動式で調整する。代替の実施形態では、更新された焦点距離情報を使用することにより、レンズ系354は、パラフィンワックス包埋組織試料の表面に焦点を合わせるようにオペレータによって手動で調整される。
【0030】
また、撮像装置350は、反射光パネル382及び斜め偏光パネル383(及び関連偏光子384)も含む。撮像装置350によって制御され、光パネル382、偏光パネル383及び偏光子384は、カセット802、902内及びスライド602、702上の組織試料の適切な画像の効果的な捕捉を支援するために、特殊な照明設定を提供する。任意選択的に、照明システム(382、383)は、アナライザ/画像プロセッサ120を介してコンピュータ制御することができる。本明細書で論じられるように、偏光を視野に照射することにより(偏光パネル383及び偏光子384を介して)、イメージャ352の視野内のグリント又はグレアを低減することができ、それにより、ワックスブロック802、902の切断面の下の組織の部分(202b)などの組織試料202の鮮明な画像を得るというイメージャの能力が向上する。イメージャ352の視野は、顕微鏡スライド602、702全体又はパラフィンワックスブロック808、908全体をカバーするように調整可能であり、各ワックスブロックは、埋め込まれた試料202を含む。また、
図3Aに示されるように、照明システム382及びイメージャ/レンズ系(342、354)は、ワックスブロック802、902の切断面に垂直な方向から約10~20度の角度で位置決めされ、その結果、反射光(照明システム382からのもの)は、ワックスブロック802、902に対して角度を成して跳ね返り、ワックスブロックの切断面を強調する。ワックスブロック802、902の切断面で反射する斜光の効果については、以下で詳細に論じる。また、
図3Aに示されるように、照明システム382及びイメージャ/レンズ系(352、354)は、互いに対して適切な角度で位置決めされ、その結果、ワックスブロックの切断面は、ワックスブロックからレンズに向かう光の反射率が高くなり、ワックスブロックの切断面とワックスブロック内の組織の切断面との間でかなり高いコントラストが生まれる。
【0031】
イメージャ352及びレンズ系354は、ハウジング358内に配置するか又はハウジング358によって支持することができる。任意選択的に、イメージャ352及びその関連レンズ354は、粉塵、破片及び流体がイメージャ352及びその関連光学系354を汚染することを防ぐために、窓及びアクセスカバーを有するハウジング358内に密閉することができる。また、典型的な病理組織固定剤の存在下で使用する際にヒューム軽減を容易にするために、ハウジング358の換気ポートを提供することもできる。また、ハウジング358は、関連ケーブル配線が妨げられないようにすることもできる。
【0032】
また、撮像装置350は、位置決めシステム359も含み、位置決めシステム359は、撮像予定のアイテムの正しいセンタリング及び焦点調節を保証するために、異なるサイズ(及び厚さ)のパラフィンブロック808、908間及び異なるサイズのスライド602、702間の撮像の素早い変更に備える。位置決めシステム359は、ハウジング358を介してイメージャ352に機械的に結合される。任意選択的に、位置決めシステム359は、アナライザ/画像プロセッサ120の画像取得及びアーカイビングモジュールを介してコンピュータ制御することができる。また、以下で論じられるように、イメージャ352は、組織試料202を保持するカセット802、902及びスライド602、702上のバーコードを読み取るためのバーコードリーダとして機能するように構成することもできる。
【0033】
撮像装置350は、複数の構成可能な「位置」を有する試料ホルダー360を含む。
図3Aに示されるように、試料ホルダー360には、位置停止のための複数のデテントを含む複数の足部362や、位置符号化のための複数のホール効果センサ364が装備される。試料ホルダー360の第1の位置は、「スライド」位置である。試料ホルダー360がスライド位置にある際は、試料ホルダー360は、イメージャ352に対するセンタリング及び焦点距離を維持するために、スライドにマウントされた組織試料202が正しい位置に保持されることを保証する。焦点距離は、レンジファインダ381で確認することができる。試料ホルダー360は、「全載」カセット及び「全載」スライドを受け入れる及び/又は収容するように構成可能であり得る。次に、試料ホルダー360は、「ブロック」位置に方向付けることができる。試料ホルダー360がブロック位置にある際は、試料ホルダー360は、イメージャ352に対するセンタリング及び焦点距離を維持するために、ワックスブロック808、908に埋め込まれた及びカセット802、902に載せた試料202(
図8及び9を参照)が正しい位置に保持されることを保証する。任意選択的に、ブロック位置は、「小型カセット」(802)位置及び「大型カセット」(902)位置などの複数のサブ位置に分割することができる。
【0034】
図3Bは、試料ホルダー360からカセット802、902を取り出すことなく、カセット802、902上に印刷されたバーコード610を読み取るために使用されるイメージャ352を示す。
図8及び9に示されるカセット802、902は、45度の角度に下向きのバーコード610を有する。
図3Bに示されるように、試料ホルダー360は、試料ホルダー360上に位置決めされたカセット802、902を保持するように構成された空洞366を含む。試料ホルダーの空洞366は、イメージャ352の視野においてバーコード610が見えるように位置決めされた鏡面368(又は空洞366のその表面を背にして位置決めされた鏡368)を含む。
図3Bに示されるように、イメージャ352の視野は、鏡によって反転され、その結果、試料ホルダー空洞366からカセット802、902を取り出すことなく、バーコード610は、表を上にして撮像される。
【0035】
図4は、組織試料202が薄切り(切片化)される際のワックスブロック808、908に埋め込まれた組織試料202の切断組織境界を明確に識別するための画像強調のための方法を示す。本明細書で論じられるように、複数の組織試料202は、単一のワックスブロック808、908に埋め込むことができ、且つ、異なる深さで埋め込むことができる。その上、単に単一の試料202がワックスブロック808、908に埋め込まれた場合でさえ、組織試料202は、例えば、変な又は間違った角度でなど、不適切に又は異例にワックスブロック808、908に置かれる可能性がある。従って、組織が埋め込まれたワックスブロックが切片化される際は常に、すべての組織試料が完全に切片化されているかどうか又はワックスブロック808、908のさらに深い所にさらなる組織試料202が存在するかどうかに関する懸念が存在する。そのような判断は、ワックスがわずかに半透明であり、且つ、必ずしも試料202のどの部分がワックスブロック808、908の切断面の下にあるかが明確であるとは限らないという事実によって複雑化される。
【0036】
これらの問題に対処するため、画像強調プロセスが提供され、画像強調プロセスは、偏光が照射された組織試料が埋め込まれたワックスブロック808、908の第1の画像と、非偏光が照射された組織試料が埋め込まれたワックスブロック808、908の第2の画像とを組み合わせるものである。偏光源(383)及び偏光子384が使用される際は、捕捉画像は、ワックスブロック808、908内の深い所にある組織試料の詳細を含むが、その理由は、ワックスブロックの従来の画像に見られる表面反射が消失するためである。第2の画像が捕捉されると、一瞬の非偏光により、ワックスブロック808、908の比較的光沢のある表面に対して、組織試料202の比較的光沢のない表面を容易に視覚化することができる。従って、第1の画像は、ワックスブロック808、908内の深い所の詳細を捕捉するが、第2の画像は、ワックスブロック808、908の切断面の組織試料202の輪郭など、表面の詳細を捕捉する。組織試料808、908の結果として得られる輪郭は、ワックスブロック808、908の切断又は切片化表面のものであることに留意されたい。従って、第1又は第2の画像が他方の画像上にオーバーレイされると、プラクティショナ又は画像分析プログラムは、埋め込まれた組織試料202の表面下部分(202b)(第1の画像からのもの)とワックスブロック808、908の切断面に存在する組織試料202の輪郭(202a)(第2の画像からのもの)の両方を見ることができる(
図11~15を参照)。任意選択的に、偏光の強度又はエッジ検出は、画像オーバーレイとエッジ検出の両方を変更するように調整することができる。すなわち、画像処理を調整することにより、プラクティショナ又は画像分析ソフトウェアは、ワックスブロック808、908の所望のフィーチャに焦点を合わせることができる(例えば、ワックスブロック808、908のさらに深い所を見る及び/又はワックスブロック808、908の切断面における試料202の輪郭をより明確に識別する。
【0037】
強調プロセスは、
図4のステップ402において始まり、ステップ402では、組織試料202が埋め込まれたワックスブロック808、908を保持するカセット802、902の第1の画像が捕捉される。本明細書で論じられるように、カセット802、902が試料ホルダー360の空洞366に位置決めされると、埋め込まれた組織試料202は、イメージャの視野内に位置する。この第1の画像は、偏光を用いて(斜め偏光パネル383及び偏光子384を利用して)捕捉される。第1の画像が偏光を用いて捕捉されることで、通常の反射及びグレアが大幅に低減され、ワックスブロック808、908の切断面の下にある表面下の詳細(202b)が見えるようになる。これは
図10に示されており、組織試料202の詳細を見ることができる(切断組織202a及び非切断組織202b)。本明細書で論じられるように、切断組織202aは、組織202の薄切り(切片化)されている部分内に見られるが、非切断組織202bは、組織試料202のワックスブロック808、908の表面の下の未だ切断されていない部分である。
図10は、偏光の使用により、組織試料202の表面下の詳細の視覚化が可能になる一方で、この単一の画像では、組織試料202の切断組織(202a)部分の識別が難しいことを示す。
【0038】
図4のステップ404では、ステップ402のカセット802、902(依然として、組織試料202が埋め込まれた同じワックスブロック808、908を保持する)の第2の画像が捕捉される。この第2の画像は、非偏光を用いて(反射光パネル382を利用して)捕捉される。第2の画像が斜め非偏光を用いて捕捉されることで、ワックスブロック808、908のワックス表面上ではグレア及び反射が意図的に生成される一方で、第2の画像の他の部分、すなわち、特に光沢のない切断組織202aを有するエリアでは低反射が見られる。これにより、切断組織202aを含まないワックスブロック808、908のワックス部分と切断組織部分202aを含むワックスブロック808、908の表面のそれらの部分と間でかなり高いコントラストが生まれる。これは
図11に示されており、
図10と比べて、切断組織部分202aの詳細がより容易に視覚化されている。
【0039】
図4のステップ406では、バーコード610の画像が捕捉される。
図3Bに示されるように、イメージャ352の視野は、バーコード610の反射を鏡366に見つけるようにシフトされる。視野の変化により、イメージャ352は、バーコード610を見つけるために焦点を再び合わせる。
【0040】
図4のステップ408では、第2の画像が第1の画像上のオーバーレイとして使用される。代替手段では、第1の時間が第2の画像上のオーバーレイとして使用される。そのようなオーバーレイ画像は、
図12に示されている。
図12では、オーバーレイ画像(第1及び第2の画像の組合せから作成されたもの)がさらに処理されている。画像処理は、1)モノクロへの画像の変換、2)切断組織202aのエッジの識別に役立てるためのコントラスト強調のためのヒストグラム調整、3)実際のエッジ検出、4)観察を向上させるためのカラーチャネルのパレチゼーション、次いで、5)調整可能な透明度及び強度制御機能を用いたオーバーレイとしての画像の提示を含み得る。次いで、同じ組織試料の対の画像間のいかなる組織の欠如も識別するために、強調された組織境界画像を使用して、切断ワックスブロック、未処理スライド及び完全に処理されたスライドから得られた複数の画像を分析することができる(ワックスブロック包埋組織試料のオリジナルの画像とスライドにマウントされた組織試料スライスの画像とを比較する)。
【0041】
画像処理については、
図13~15にさらに示されている。
図13では、
図12のオーバーレイ画像がモノクロ(黒色及び白色)画像に変換されている。
図14では、組織試料境界の視覚化に役立てるために、
図13の黒色及び白色画像が「ネガティブ」画像にさらに変換されている。その一方で、
図15A及び15Bは、切断組織202aの境界及び非切断組織202b(ワックスの表面の下)の境界を示している。
図15Aには、切断組織202aの境界が示されており、
図15Bには、非切断組織202bの境界が示されている。これらの境界は、境界の一方若しくは両方をより見やすくするため、又は、切断及び非切断組織部分202a、202bに関連する所望の情報を提供するために、画像処理を通じて調整することができる。
【0042】
また、アナライザ/画像プロセッサ120の画像取得機能は、表示画面108上に表示される画像ビューモードに備える。画像ビューモードは、ユーザが、捕捉画像を検査し、現在見ている画像を受け入れるか又は拒否できるようにする。拒否された場合は、画像取得機能は、画像(又は複数の画像)を再撮影するようにユーザを促す。
【0043】
画像レビュー機能は、選択された症例/患者エントリから(データベース129から)以前に格納された画像を呼び出して、呼び出した画像をレビューするために使用することができる。画像レビュー機能は、それらの画像の評価及びアノテーション並びにエクスポートを可能にする。
【0044】
アナライザ/画像プロセッサ120の病理学者レビュー機能は、病理学者又は他の専門家がレビューのための症例のサインアウトを行えるようにする。次いで、病理学者又は他の専門家は、任意の適合する組織試料が埋め込まれたワックスブロック808、908又はスライド602、702(患者/症例と関連付けられた)を症例アーカイブ内から又はLIS内から探すことによって、それらのワックスブロック808、908又はスライド602、702をレビューすることができる。
【0045】
アナライザ/画像プロセッサ120の画像分析モジュールは、画像取得ワークステーションの一部として又はスタンドアロン画像レビューシステムとして含めることができる。撮像ワークステーションの一部として、画像分析モジュールは、組織スライド602、702のライブモードプレビューもサポートする。また、画像分析モジュールは、画像捕捉、バーコード読み取り及び捕捉画像データからのパージング(parsing)もサポートする。また、画像分析モジュールは、スライド602、702のボディを読み取ったバーコードと関連付けることも行う。アーカイブされたスライド画像(開始及び完成/終了画像を含む)は、アナライザ/画像プロセッサ120の画像分析モジュールによって使用のために電子医療記録(データベース129に格納されたもの)から回収することができる。画像分析モジュールは、対応するスキャン済みのスライド602、702から欠けている組織があるかどうかを判断するために使用することができる。画像分析は、セントロイド及びエリアプログレッションが妥当な範囲内であるか又は問題がありユーザレビューを必要とするかを判断するための組織セントロイド位置、組織エリア比較並びに以前の及び次のスライドプログレッションの使用を含み得る。本明細書で使用される場合、セントロイド又はエリア「プログレッション」は、画像ごとに決定される組織試料のセントロイド又はエリアの場所の変化を指す。最後に、画像取得ワークステーションの一部として、画像分析モジュールは、ユーザレビューのためにスライド602、702にフラグを付すため、症例用のLISに画像及び結果をアーカイブするため、並びに、関連画像、データ及び報告を介して完了症例をレビューするために報告するためのインタフェースを含む。
【0046】
スタンドアロンの画像レビューシステムの一部として、アナライザ/画像プロセッサ120の画像分析モジュールは、LISからのスライド画像(開始及び完成/終了画像を含む)の回収をサポートする。スライド画像を回収することで、上記で論じられるように、スライド画像から欠けている組織があるかどうかを判断するために、画像分析を実行することができる。画像分析は、セントロイド及びエリアプログレッションが妥当な範囲内であるか又は問題がありユーザレビューを必要とするかを判断するための組織セントロイド位置、組織エリア比較並びに以前の及び次のスライドプログレッションの使用を含み得る。撮像ワークステーションと同様に、画像分析モジュールがスタンドアロン画像レビューシステムの一部として含まれる際は、画像分析モジュールは、ユーザレビューのためにスライド602、702にフラグを付すため、症例用のLISに画像及び結果をアーカイブするため、並びに、関連画像、データ及び報告を介して完了症例をレビューするために報告するためのインタフェースを含む。
【0047】
図5は、スライド画像からいずれかの組織が欠けているかどうかを判断するために使用される画像分析のための方法のステップを示す。ステップ502では、電子ファイルアーカイブ(例えば、ローカルに格納されるか又はリモートでLISの一部であるサーバ170に格納されるデータベース129から画像が回収される。特定の症例/患者と関連付けられた画像は、症例インデックスから選択することができる。選択される画像は、顕微鏡スライド602、702上の組織スライス及びパラフィンワックスブロック808、908に埋め込まれた組織試料202の画像を含み得る。ステップ304では、一連のスライド画像が画像順に漸進的に比較される。例えば、パラフィンワックス包埋組織試料202の切断面の第1の画像は、それに続くセクショニングの間のパラフィンワックス包埋組織試料202の表面の一連の漸進的な画像と共に、一連の「最終的な」スライド画像と比較され、「最終的な」スライド画像は、処理されてスライド602、702にマウントされた後のパラフィンワックス包埋組織試料202の表面を含む。言い換えれば、セクショニング前の各組織試料表面の画像は、セクショニング後及び最終的な処理後のその組織試料表面のスライド画像と比較される。「前」と「後」の画像を比較することにより、ステップ306では、後の又は最終的なスライド画像からいずれかの組織が欠けているかどうか又は他の任意の異常が存在するかどうかを判断することができる。ステップ302、304及び306は、GPU 126において又はその代替としてCPU 124において実行される。
【0048】
また、イメージ管理システム100は、データセキュリティを保証するために、HIPAA対応データ伝送及び暗号化を容易にするためのプロビジョン並びにバックアッププロトコルフィーチャも含み得る。そのようなステップは、伝送データの暗号化及びLAN停止中に使用するためにデータをローカルに格納するする階層型バッファデータベース構造に関連する。
【0049】
イメージ管理システム100が設置されたワークステーションを対象とするデータをイメージ管理システム100が位置付けると、イメージ管理システム100は、新しいデータが利用可能であるという通知をユーザ自身のデスクトップコンピュータ又は他のパーソナルコンピューティングデバイスに送信する。次いで、ユーザは、データを選択し、データをメモリ128などの一時的なメモリ(「クリップボード」)にコピーし、次いで、データをサーバのメモリ178に見られる研究所情報システム追跡入力フィールドに転送する(「ペーストする」)ことができる。これにより、ユーザの時間を節約し、紛失容器に関連するエラーの発生を低減することができる。
【0050】
組織の管理の連鎖モジュールは、データベース129に格納されたスキャン済みのデータと連動して動作するように構成することができ、いくつかの品質保証(QA)評価を提供する。例示的な手動評価モードでは、スライドインデックスからスライド画像が捕捉され、バーコード(画像上の)が読み取られ、次いで、処理の間にいずれかの組織が失われたかどうか又は著しく変化したかどうかをオペレータが評価できるように、最終的な染色スライド画像との比較のために組織切断直後のスライド及び切断ブロックの対応する画像が回収される。また、オペレータは、現在の切断レベルでいずれかの組織が切断されなかった(すなわち、パラフィンのさらに深い所に移動した)かどうかを判断することもできる。自動評価モードでは、切断されたばかりのスライド画像が最終的な染色スライド画像と比較される。画像分析は、最終的なスライドにおいていずれかの組織が欠けているかどうかを判断するために使用される。また、自動評価モードは、オペレータがレビューする必要がある違いを呈するいかなるスライドにもフラグを付す。現在のスライドの切断深さ問題を評価できるように、切断ブロックの画像もまたオペレータに提供される。
【0051】
従って、顕微鏡スライド602、702及びパラフィンワックス包埋組織試料202(例えば、カセット802、902上にマウントされたワックスブロック808、908にそれぞれ埋め込まれた組織試料202)を撮像し、結果として得られた画像をアーカイブする(例えば、メモリ178のデータベース129に格納する)ことができる。次いで、これらのアーカイブされた画像は、患者/症例別にインデックスを付けることができ、その結果、特定の患者/症例に関連する一連の画像を後日に回収して分析することができる。そのような分析は、最終的なスライド画像からいずれかの組織が欠けているかどうかを判断するための「最終的な」スライド画像を含む一連の漸進的な画像及びブロック画像の画像分析を含み得る。言い換えれば、セクショニング前の各組織試料表面の画像は、セクショニング後及び最終的な処理(例えば、染色)後のその組織試料表面のスライド画像と比較される。「前」と「後」の画像を比較することにより、後の又は最終的なスライド画像からいずれかの組織が欠けているかどうか、変化しているかどうか又は移動しているかどうかを判断することができる。
【0052】
具体的に説明される実施形態の変更形態及び修正形態は、均等論を含む特許法の原理に従って解釈される添付の特許請求の範囲によってのみ限定されることが意図される本発明の原理から逸脱することなくなされ得る。