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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】作業用車両
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/22 20060101AFI20240416BHJP
   E02F 9/24 20060101ALI20240416BHJP
   E02F 3/40 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
E02F9/22 Z
E02F9/24 K
E02F3/40 E
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023035264
(22)【出願日】2023-03-08
【審査請求日】2023-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000150154
【氏名又は名称】株式会社竹内製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】弁理士法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 佑太
(72)【発明者】
【氏名】奥谷 俊平
(72)【発明者】
【氏名】清水 宏一
【審査官】荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2018-0106482(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2010-0117416(KR,A)
【文献】特開2023-005347(JP,A)
【文献】再公表特許第2018/164152(JP,A1)
【文献】特開2017-187144(JP,A)
【文献】特開2011-127676(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 3/40- 3/413
E02F 9/00- 9/28
F15B 11/00-11/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サービスアクチュエータ用制御バルブを含む制御バルブユニットと、インバータが電動モータを作動させて油圧ポンプから作動油を吐出させることで作動して前記制御バルブユニットの一次側に前記作動油を送る第1駆動部と、前記インバータへの直流給電を行うバッテリと、走行装置と、前記走行装置が取付けられた下部体と、前記下部体の上に旋回可能に配設された上部体と、前記上部体を旋回させる第2駆動部と、前記上部体に配設された運転室と、前記制御バルブユニットの二次側からの圧油によって作動する複数の作業装置および複数の走行用油圧モータと、オペレータが操作する操作装置と、前記インバータに信号接続されたコントローラを備、前記作業装置のうちのアームに取付けられた状態で前記圧油によって作動しロックをするクイックヒッチと、前記ロックをしたことで前記アームに連結されるアタッチメントと、前記オペレータの操作によってトリガー信号を送出するトリガースイッチを有する作業用車両であって
前記コントローラは、前記トリガースイッチからの前記トリガー信号を受信して前記クイックヒッチにおける前記ロックを解除するとき前記電動モータを停止し前記サービスアクチュエータ用制御バルブのスプール両側に配された電磁弁に交互に通電することで前記サービスアクチュエータ用制御バルブに連結しているサービスアクチュエータ用油路の圧抜きをする制御をること
を特徴とする作業用車両。
【請求項2】
前記コントローラは、前記圧抜きをるために必要な第1期間の経過後前記電動モータを作動してロック解除用電磁弁に通電することで前記クイックヒッチにおける前記ロックを解除する制御をること
を特徴とする請求項に記載の作業用車両。
【請求項3】
前記コントローラは、前記トリガースイッチが作動している第2期間前記サービスアクチュエータ用制御バルブに接続されたサービスアクチュエータの操作を受け付けない制御をること
を特徴とする請求項に記載の作業用車両。
【請求項4】
前記トリガースイッチ前記運転室に配設されたハンドボタンとフットボタンからなり、
前記ハンドボタンと前記フットボタンの両方を押すことで前記トリガー信号が送出されこと
を特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の作業用車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業用車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アームに取付けられたクイックヒッチがアタッチメントのロックをする構成の作業用車両が知られている(特許文献1:特開2017-187144号公報)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-187144号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の構成は、専用のサービス配管および専用の電磁弁を用いてサービスアクチュエータ用油路の圧抜きを行っていた。そのため、従来の構成は、部品コストが掛かり、配管レイアウトが複雑になるという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされ、専用のサービス配管および専用の電磁弁をなくした簡易構成にしつつ、クイックヒッチのロックの解除操作の際に、サービスアクチュエータ用油路の圧抜きを自動で行うことが可能な作業用車両を提供することを目的とする。
【0006】
一実施形態として、以下に開示する解決策により、前記課題を解決する。
【0007】
本発明に係る作業用車両は、サービスアクチュエータ用制御バルブを含む制御バルブユニットと、インバータが電動モータを作動させて油圧ポンプから作動油を吐出させることで作動して前記制御バルブユニットの一次側に前記作動油を送る第1駆動部と、前記インバータへの直流給電を行うバッテリと、走行装置と、前記走行装置が取付けられた下部体と、前記下部体の上に旋回可能に配設された上部体と、前記上部体を旋回させる第2駆動部と、前記上部体に配設された運転室と、前記制御バルブユニットの二次側からの圧油によって作動する複数の作業装置および複数の走行用油圧モータと、オペレータが操作する操作装置と、前記インバータに信号接続されたコントローラを備、前記作業装置のうちのアームに取付けられた状態で前記圧油によって作動しロックをするクイックヒッチと、前記ロックをしたことで前記アームに連結されるアタッチメントと、前記オペレータの操作によってトリガー信号を送出するトリガースイッチを有する作業用車両であって、前記コントローラは、前記トリガースイッチからの前記トリガー信号を受信して前記クイックヒッチにおける前記ロックを解除するとき前記電動モータを停止し前記サービスアクチュエータ用制御バルブのスプール両側に配された電磁弁に交互に通電することで前記サービスアクチュエータ用制御バルブに連結しているサービスアクチュエータ用油路の圧抜きをする制御をることを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、コントローラは、第1駆動部を停止させた状態で、アキュームレータ内の圧力を利用しつつ、サービスアクチュエータ用制御バルブに付設の電磁弁によってスプールを往復動させて、サービスアクチュエータ用油路に供給された作動油を作動油タンクに戻す圧抜きをする一連の制御を行う。よって、専用のサービス配管および専用の電磁弁が不要になり、部品コストが低減できるとともに、配管レイアウトが単純になり、尚且つ、圧抜きを自動で行うことができる。
【0009】
の構成によれば、サービスアクチュエータ用油路を、より確実に圧抜きをすることができる。
【0010】
一例として、前記コントローラは、前記圧抜きをるために必要な第1期間の経過後前記電動モータを作動してロック解除用電磁弁に通電することで前記クイックヒッチにおける前記ロックを解除する制御をる。この構成によれば、クイックヒッチのロックを解除する際に、より確実に圧抜きをすることができる。
【0011】
一例として、前記コントローラは、前記トリガースイッチが作動している第2期間前記サービスアクチュエータ用制御バルブに接続されたサービスアクチュエータの操作を受け付けない制御をす。この構成により、サービスアクチュエータ用油路の圧抜きを行ってからクイックヒッチのロックが解除されるまでの期間に、オペレータが誤操作したとしても、圧油がサービスアクチュエータ用油路に供給されることが防止できる。よって、より安全性を高めた作業用車両にできる。
【0012】
一例として、走行装置と、前記走行装置が取付けられた下部体と、前記下部体に配設された上部体と、前記上部体に配設された運転室を備える。一例として、前記トリガースイッチ前記運転室に配設されたハンドボタンとフットボタンからなり、前記ハンドボタンと前記フットボタンの両方を押すことで前記トリガー信号が送出され。この構成によれば、誤作動によってクイックヒッチのロックが解除されることが防止できる。よって、より安全性を高めた作業用車両にできる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、専用のサービス配管および専用の電磁弁をなくした簡易構成にしつつ、クイックヒッチのロックの解除操作の際に、サービスアクチュエータ用油路の圧抜きを自動で行うことが可能な作業用車両が実現する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本実施形態に係る作業用車両の例を示す概略の斜視図である。
図2図2は、図1に示す作業用車両における駆動制御系の例を示す概略の回路図である。
図3図3は、図1に示す作業用車両におけるサービスアクチュエータ用油路の圧抜きの制御の動作手順を示す概略のフローチャート図である。
図4図4は、図1に示す作業用車両におけるサービスアクチュエータ用油路の圧抜きの制御を示す概略のタイミングチャート図である。
図5図5Aは、図1に示す作業用車両における第1サービスアクチュエータ用油路の第1の圧抜き状態および第2の圧抜き状態を模式的に示す概略の回路図である。図5Bは、図1に示す作業用車両における第2サービスアクチュエータ用油路の第1の圧抜き状態および第2サービスアクチュエータ用油路の第2の圧抜き状態を模式的に示す概略の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳しく説明する。図1は、本実施形態に係る作業用車両1の例を示す概略図であり、左後部上方からの斜視図である。本実施形態の作業用車両1として、油圧ショベルを例に挙げて説明する。上記以外の構成として、作業用車両1は、トラックローダやキャリアなどとしてもよい。なお、説明の便宜上、図中において矢印により上下、左右、前後の方向を示す場合がある。また、実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
【0016】
作業用車両1は、複数の電動モータ等に電力を供給する車載充電器と、駆動部の作動情報、バッテリの残容量情報、その他既知の車両情報を表示可能なディスプレイ部98を備える。なお、作業用車両1における走行および作業のための装置における、公知の作業用車両との共通部分については、詳細の説明を省略する。
【0017】
図1に示すように、作業用車両1は、走行可能な下部体2と、下部体2の上に配設されて旋回可能な上部体3を備えている。下部体2は、走行装置6を備えており、走行装置6は、一例として、左右一対のクローラ(無限軌道)を備える。上部体3は、運転室4を備えており、運転室4は、前部にオペレータが乗車して走行や作業の操作をするための操作装置5が設けられている。図中の破線P2で囲んだ部分は操作装置5を模式的に示す概略の構造図である。走行装置6は、左側走行体における走行用油圧モータ17aと、右側走行体における走行用油圧モータ17bを有する。上記以外の構成として、タイヤを備えた走行装置としてもよい。
【0018】
作業用車両1は、第2駆動部16によって作動する旋回装置8を備える。一例として、第2駆動部16は、減速機16cが組付けられた旋回用電動モータ16aを備えており、減速機16cのピニオンギヤが下部体2の旋回ベアリングに噛合している構成である(不図示)。上記以外の構成として、旋回用油圧モータを備えた旋回装置とすることも可能である。
【0019】
作業用車両1は、作業装置7と作業装置14を含む複数の作業装置を備えており、これら複数の作業装置は、油圧(所定圧力の作動油)によって作動する構成である。作業装置14は、一例として、排土板51aを備えている。排土板51aは、上下方向や前後成分を含む上下方向に揺動可能に下部体2に取付けられている。
【0020】
作業装置7は、一例として、ブーム51bと、アーム51cと、バケット等のアタッチメント51dを備えている。ただし、アタッチメント51dは、バケットに限定されず、既知のアタッチメントが適用できる。ブーム51bは、上下方向や前後成分を含む上下方向に揺動可能に上部体3に取付けられている。本実施形態においては、上部体3とブーム51bとの間にブームブラケットが設けられている(不図示)。ブームブラケットによって、ブーム51bは上部体3に対して左右方向や前後成分を含む左右方向に揺動可能な構成となる。なお、ブームブラケットは省略される場合がある。アーム51cは、上下方向や前後成分を含む上下方向に揺動可能にブーム51bに取付けられている。アタッチメント51d(バケット)は、上下方向や前後成分を含む上下方向に揺動可能にアーム51cに取付けられている。本実施形態においては、アタッチメント51dは、アーム51cに取付けたクイックヒッチ55によって係止されロックされている。図中の破線P1で囲んだ部分はクイックヒッチ55を模式的に示す概略の構造図である。
【0021】
一例として、排土板51aは、排土板シリンダ18aによって下部体2に対して上下方向に揺動する構成である。一例として、アーム51cは、アームシリンダ18bによってブーム51bに対して上下方向に揺動する構成である。一例として、アタッチメント51d(バケット)は、バケットシリンダ18cによってアーム51cに対して上下方向に揺動する構成である。一例として、ブーム51bは、ブームシリンダによって上部体3に対して上下方向に揺動する構成である(不図示)。一例として、ブーム51bは、スイングシリンダによって上部体3に対して左右方向に揺動する構成である(不図示)。
【0022】
一例として、クイックヒッチ55は、固定爪部55aと、可動爪部55bと、可動爪部55bを回動させるクイックヒッチシリンダ56(クイックヒッチアクチュエータ)を備える。クイックヒッチ55のロックをするときは、オペレータは、操作装置5を操作し、アタッチメント51d(バケット)に付設された第1ピン57aに固定爪部55aを取付けて、次に、アタッチメント51d(バケット)に付設された第2ピン57bに可動爪部55bを取付ける。そして、クイックヒッチシリンダ56を伸長動作させて、アタッチメント51dのロックをする。クイックヒッチ55のロックを解除するときは、オペレータは、操作装置5を操作し、クイックヒッチシリンダ56を収縮動作させて、アタッチメント51dのロックを解除する。なお、クイックヒッチ55は、上記構成に限定されない。
【0023】
運転室4は、オペレータが操作する複数の操作装置5(操作レバー)が配設されている。一例として、トリガースイッチ30は、左側の操作装置5における第1ボタン31a(ハンドボタン)と、運転室4の床に配された第2ボタン31b(フットボタン)から構成される。そして、第1ボタン31aと第2ボタン31bの両方をオペレータが押すことでコントローラ9にトリガー信号が送出されてクイックヒッチ55のロックを解除する制御が行われる。上記構成に加えて、一例として、作業用車両1は、起動用と停止用を兼用したキースイッチやプッシュスイッチなどの複数のスイッチを備える(不図示)。
【0024】
一例として、第1サービスアクチュエータ用ポート19aは、ブレーカなどのサービスアクチュエータが接続される。一例として、第2サービスアクチュエータ用ポート19bは、クイックヒッチ55を、長手方向の軸を中心に回転させるための旋回アクチュエータなどのサービスアクチュエータが接続される。第3サービスアクチュエータ用ポート19c(クイックヒッチアクチュエータ用ポート)は、クイックヒッチシリンダ56(クイックヒッチアクチュエータ)が接続される。
【0025】
図2は、作業用車両1における駆動制御系の例を示す概略の回路図である。作業用車両1は、走行用油圧モータ17a,17b、油圧シリンダ18a,18b,18c、およびサービスアクチュエータ用ポート19a,19b,19cに所定圧力の作動油を供給する第1駆動部15を備える。また、作業用車両1は、電動式の旋回装置8を作動させる第2駆動部16を備える。サービスアクチュエータ用ポート19a,19b,19cは、オプションとして取付けた各種アタッチメントを油圧作動させるための接続ポートである。なお、図2の回路図は要部以外の表記を一部省略している。
【0026】
作業用車両1は、バッテリパック47を備える。バッテリパック47は、バッテリマネジメントシステム48とリチウムイオンバッテリ49を有する。リチウムイオンバッテリ49は、多数のセルを組み合わせており、一例として、電源電圧は70~600[V]である。バッテリパック47は、脱着可能に作業用車両1に装着される。バッテリパック47は、各種センサが内蔵されており、それらの配線図は省略している。一例として、作業用車両1は、起動時にバッテリマネジメントシステム48に電力供給する鉛バッテリ46を有する。
【0027】
第1駆動部15は、作動油タンク54に貯留している作動油を吸い込んで吐出する第1油圧ポンプ22aと、第1油圧ポンプ22aを駆動する第1電動モータ21aと、コントローラ9からの指令によって第1電動モータ21aに電力供給する第1インバータ25aを有する。また、第1駆動部15は、作動油タンク54に貯留している作動油を吸い込んで吐出する第2油圧ポンプ22bと、第2油圧ポンプ22bを駆動する第2電動モータ21bと、前記指令によって第2電動モータ21bに電力供給する第2インバータ25bを有する。第1駆動部15は、第1油圧ポンプ22aの第1出力部と第2油圧ポンプ22bの第2出力部とを合流させて制御バルブユニット10の一次側に作動油を送る構成である。
【0028】
制御バルブユニット10は、複数の制御バルブの一次側が並列接続されている構成であり、図2の例では、油圧モータ用制御バルブ11a,11b、油圧シリンダ用制御バルブ12a,12b,12c、並びにサービスアクチュエータ用制御バルブ13a,13b,13cの各一次側が並列接続されている。なお、制御バルブユニット10を構成する各種制御バルブの数はそれぞれ増減する場合がある。また、制御バルブユニット10はリリーフ弁43を有し、リリーフ弁43の一次側は各制御バルブの一次側に並列接続されている。リリーフ弁43の二次側はリターン流路になっており、設定圧を超える作動油は作動油タンク54に戻される。
【0029】
第1駆動部15は、第1チェック弁41aと第2チェック弁41bを有する。本実施形態は、第1油圧ポンプ22aの出力側に第1チェック弁41aの一次側を接続し、第2油圧ポンプ22bの出力側に第2チェック弁41bの一次側を接続し、第1チェック弁41aの二次側と第2チェック弁41bの二次側とを合流させて制御バルブユニット10の一次側に接続する構成である。本実施形態によれば、第1油圧ポンプ22aからの圧油の第2油圧ポンプ22bへの逆流を防止するとともに、第2油圧ポンプ22bからの圧油の第1油圧ポンプ22aへの逆流を防止することができる。
【0030】
第1油圧ポンプ22aと第2油圧ポンプ22bは、いずれも固定容量型のギヤポンプである。第1電動モータ21aと第2電動モータ21bは、いずれも同期モータであり、いずれも埋込磁石型モータ(IPMモータ)である。この構成によれば、圧油必要量の増加に速やかに追従できる。一例として、第1油圧ポンプ22aと第2油圧ポンプ22bの定格出力は同じである。一例として、第1電動モータ21aと第2電動モータ21bの最大トルクは同じである。
【0031】
第1駆動部15は、第1電動モータ21aの回転数を検出する回転数センサ45aを有し、第2電動モータ21bの回転数を検出する回転数センサ45bを有する。また、第1駆動部15は、作動油タンク54に貯留している作動油の温度を検出する温度センサ44を有する。第2駆動部16は、減速機16cが組付けられた旋回用電動モータ16aと、前記指令によって旋回用電動モータ16aに電力供給する旋回用インバータ16bを有する。第2駆動部16は、旋回用電動モータ16aの回転数を検出する回転数センサ45cを有する。
【0032】
運転室4は、エアコン26が配設されている。エアコン26は、エアコン用電動モータ26aと、コントローラ9からの指令によってエアコン用電動モータ26aに電力供給するエアコン用インバータ26bを有する。
【0033】
オペレータは、操作レバーやジョイスティック等から構成される操作装置5を操作することで、走行装置6や作業装置7や旋回装置8や作業装置14などの操作をする。操作装置5が操作されると、コントローラ9に操作信号が送出される。
【0034】
図3は、作業用車両1におけるサービスアクチュエータ用油路の圧抜きの制御の動作手順を示す概略のフローチャート図である。図4は、作業用車両1におけるサービスアクチュエータ用油路の圧抜きの制御を示す概略のタイミングチャート図である。図5Aは、作業用車両1における第1サービスアクチュエータ用油路73の圧抜き状態および第1サービスアクチュエータ用油路74の圧抜き状態を模式的に示す概略の回路図である。図5Bは、作業用車両1における第2サービスアクチュエータ用油路77の圧抜き状態および第2サービスアクチュエータ用油路78の圧抜き状態を模式的に示す概略の回路図である。引き続き、圧抜きの制御の動作手順について、以下に説明する。
【0035】
図3のステップS1において、コントローラ9は、トリガー信号を受信したか否かを判定する。作業に応じてアタッチメント51dを別のアタッチメントに交換する場合、オペレータは、操作装置5(操作レバー)における第1ボタン31a(ハンドボタン)と、運転室4の床に配された第2ボタン31b(フットボタン)の両方を押す。トリガースイッチ30が押されると、コントローラ9にトリガー信号が送出される。コントローラ9は、トリガー信号を受信したときは、ステップS2に遷移する。
【0036】
図3のステップS2において、コントローラ9は、第1駆動部15を停止する。図4に示すように、コントローラ9は、第1電動モータ21aと第2電動モータ21bをアイドリング状態の最低回転数V0から回転数ゼロの状態にして第1電動モータ21aと第2電動モータ21bを停止する。そして、ステップS3に遷移する。
【0037】
図3のステップS3において、コントローラ9は、サービスアクチュエータの操作を受け付けない状態にする。つまり、コントローラ9は、第1サービスアクチュエータ用ポート19aに接続されたサービスアクチュエータの操作を受け付けない状態にし、第2サービスアクチュエータ用ポート19bに接続されたサービスアクチュエータの操作を受け付けない状態にする。そして、ステップS4に遷移する。
【0038】
図3のステップS4において、コントローラ9は、第1サービスアクチュエータ用油路73と第1サービスアクチュエータ用油路74、および、第2サービスアクチュエータ用油路77と第2サービスアクチュエータ用油路78の圧抜きの制御をする。
【0039】
図4図5Aに示すように、コントローラ9は、第1サービスアクチュエータ用制御バルブ13aにおける電磁弁71aに通電することでスプールを往動させて、第1サービスアクチュエータ用油路73の圧抜きを行い、そして、電磁弁71aの通電を停止する。図5Aにおける下向き矢印73aは、圧抜き方向を示している。次に、コントローラ9は、第1サービスアクチュエータ用制御バルブ13aにおける電磁弁71bに通電することでスプールを復動させて、第1サービスアクチュエータ用油路74の圧抜きを行い、そして、電磁弁71bの通電を停止する。図5Aにおける下向き矢印74aは、圧抜き方向を示している。
【0040】
また、図4図5Bに示すように、コントローラ9は、第2サービスアクチュエータ用制御バルブ13bにおける電磁弁75aに通電することでスプールを往動させて、第2サービスアクチュエータ用油路77の圧抜きを行い、そして、電磁弁75aの通電を停止する。図5Bにおける下向き矢印77aは、圧抜き方向を示している。次に、コントローラ9は、第2サービスアクチュエータ用制御バルブ13bにおける電磁弁75bに通電することでスプールを復動させて、第2サービスアクチュエータ用油路77の圧抜きを行い、そして、電磁弁75bの通電を停止する。図5Bにおける下向き矢印78aは、圧抜き方向を示している。これらの一連の動作によって、コントローラ9は、各サービスアクチュエータ用油路の圧抜きを行って、ステップS5に遷移する。
【0041】
図3のステップS5において、コントローラ9は、第1期間T1が経過したか否かを判定する。そして、第1期間T1が経過したときは、ステップS6に遷移する。
【0042】
図3のステップS6において、コントローラ9は、クイックヒッチ55のロックを解除する。
【0043】
図4に示すように、コントローラ9は、第1期間T1が経過すると、第1電動モータ21aを回転数V1に上げて、第3サービスアクチュエータ用制御バルブ13c(クイックヒッチアクチュエータ用制御バルブ)におけるロック解除用電磁弁に通電することでスプールを移動させて、クイックヒッチ55のロックを解除し、そして、前記ロック解除用電磁弁の通電を停止する。この一連の動作によって、コントローラ9は、クイックヒッチ55のロックを解除して、ステップS7に遷移する。
【0044】
オペレータは、第1ボタン31a(ハンドボタン)と第2ボタン31b(フットボタン)の両方を押した状態で、使用したいアタッチメントにクイックヒッチ55を係止する。そして、第1ボタン31a(ハンドボタン)と第2ボタン31b(フットボタン)の両方を離すことで、前記トリガー信号が終了し、第2期間T2が経過する。図3のステップS7において、コントローラ9は、第2期間T2が経過したか否かを判定する。そして、第2期間T2が経過したときは、ステップS8に遷移する。
【0045】
図3のステップS8において、コントローラ9は、第2期間T2が経過したときは、前記サービスアクチュエータの操作を受け付けない状態を終了する。
【0046】
上述した本実施形態によれば、専用のサービス配管および専用の電磁弁をなくした簡易構成にしつつ、クイックヒッチ55のロックの解除操作に連動して、第1サービスアクチュエータ用油路73と第1サービスアクチュエータ用油路74の圧抜きを自動で行うとともに、第2サービスアクチュエータ用油路77と第2サービスアクチュエータ用油路78の圧抜きを自動で行うことが可能な作業用車両1が実現する。
【0047】
なお、上述した作業用車両1は、第1電動モータと第2電動モータの組み合わせに限られず、1つの電動モータを用いてもよく、電動モータに加えてエンジンを併用する構成としてもよい。また、上述のインバータへの直流給電をするためのバッテリは、上述したリチウムイオンバッテリに限られず、ニッケル水素電池などの二次電池が適用可能である。このように、上述の作業用車両1は、仕様等に合わせて適宜仕様変更する場合がある。
【符号の説明】
【0048】
1 作業用車両
2 下部体
3 上部体
4 運転室
5 操作装置(操作レバー)
6 走行装置
7 作業装置
8 旋回装置
9 コントローラ
10 制御バルブユニット
11a、11b 油圧モータ用制御バルブ
13a 第1サービスアクチュエータ用制御バルブ(サービスアクチュエータ用制御バルブ)
13b 第2サービスアクチュエータ用制御バルブ(サービスアクチュエータ用制御バルブ)
13c 第3サービスアクチュエータ用制御バルブ(クイックヒッチアクチュエータ用制御バルブ)
14 作業装置
15 第1駆動部
16 第2駆動部、16a 旋回用電動モータ、16b 旋回用インバータ、16c 減速機
17a、17b 走行用油圧モータ
18a 排土板シリンダ(油圧シリンダ)
18b アームシリンダ(油圧シリンダ)
18c バケットシリンダ(油圧シリンダ)
19a 第1サービスアクチュエータ用ポート(サービスアクチュエータ用ポート)
19b 第2サービスアクチュエータ用ポート(サービスアクチュエータ用ポート)
19c 第3サービスアクチュエータ用ポート(クイックヒッチアクチュエータ用ポート)
21a 第1電動モータ、21b 第2電動モータ
22a 第1油圧ポンプ、22b 第2油圧ポンプ
25a 第1インバータ、25b 第2インバータ
26 エアコン、26a エアコン用電動モータ、26b エアコン用インバータ
30 トリガースイッチ
31a 第1ボタン(ハンドボタン)、31b 第2ボタン31b(フットボタン)
41a 第1チェック弁、41b 第2チェック弁
43 リリーフ弁
44 温度センサ
45a、45b、45c 回転数センサ
46 鉛バッテリ
47 バッテリパック
48 バッテリマネジメントシステム
49 リチウムイオンバッテリ
51a 排土板
51b ブーム
51c アーム
51d バケット
54 作動油タンク
55 クイックヒッチ
56 クイックヒッチシリンダ(クイックヒッチアクチュエータ)
71a、71b 電磁弁
73、74 第1サービスアクチュエータ用油路(サービスアクチュエータ用油路)
75a、75b 電磁弁
77、78 第2サービスアクチュエータ用油路(サービスアクチュエータ用油路)
T1 第1期間
T2 第2期間
【要約】
【課題】クイックヒッチのロックを解除する操作の際に、サービスアクチュエータ用油路の圧抜きを自動で行うことが可能な作業用車両を提供することを目的とする。
【解決手段】作業用車両1は、制御バルブユニット10の一次側に作動油を送る第1駆動部15と、制御バルブユニット10の二次側からの圧油によって作動する作業装置と、アーム51cに取付けられた状態で作動しロックをするクイックヒッチ55と、前記ロックをされて連結されるバケット51dと、オペレータの操作によってトリガー信号を送出するトリガースイッチ30と、コントローラ9を備えた構成であり、コントローラ9は、前記トリガー信号を受信して前記ロックを解除するときは、第1駆動部15が停止した状態でサービスアクチュエータ用制御バルブ13aの電磁弁に通電することでサービスアクチュエータ用油路73,74の圧抜きをする制御を行う構成である。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5