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特許7473730情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
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  • 特許-情報処理装置、情報処理方法及びプログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 19/00 20110101AFI20240416BHJP
   G01S 19/42 20100101ALI20240416BHJP
【FI】
G06T19/00 A
G01S19/42
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2023158392
(22)【出願日】2023-09-22
【審査請求日】2023-12-13
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】大野 勝弘
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 学
【審査官】淀川 滉也
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第116767281(CN,A)
【文献】特開2019-014398(JP,A)
【文献】特開2004-164340(JP,A)
【文献】特表2023-536692(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 19/00
G01S 19/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられた基準点である車両基準点における水平方向の二次元位置である車両二次元位置と、垂直方向の車両の位置である車両高さ位置とを示す三次元位置情報を取得する第1取得部と、
前記三次元位置情報が示す前記車両二次元位置に対応する道路の垂直方向の位置である道路高さ位置を示す道路高さ情報を取得する第2取得部と、
前記三次元位置情報が示す前記車両高さ位置と前記道路高さ位置との差分が、第1閾値以上、かつ、前記第1閾値よりも大きい第2閾値未満である場合、実空間に存在する道路に対応する道路オブジェクトが配置されている三次元仮想空間に前記車両に設けられている複数のタイヤを除く前記車両に対応する車両オブジェクトを配置するときの前記車両オブジェクトの垂直方向の位置である車両オブジェクト高さ位置を、前記車両高さ位置に特定する特定部と、
前記三次元仮想空間において、前記車両二次元位置と、特定された車両オブジェクト高さ位置とに対応する三次元位置に前記車両オブジェクトを配置する配置部と、
を有する情報処理装置。
【請求項2】
前記特定部は、前記車両オブジェクト高さ位置に基づいて、前記車両に設けられた複数のタイヤを示すタイヤオブジェクトの垂直方向の位置であるタイヤオブジェクト高さ位置を特定し、
前記配置部は、前記車両二次元位置と、前記タイヤオブジェクト高さ位置とに対応する三次元位置に前記タイヤオブジェクトを配置する、
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項3】
車両に設けられた基準点である車両基準点における水平方向の二次元位置である車両二次元位置と、垂直方向の車両の位置である車両高さ位置とを示す三次元位置情報を取得する第1取得部と、
前記三次元位置情報が示す前記車両二次元位置に対応する道路の垂直方向の位置である道路高さ位置を示す道路高さ情報を取得する第2取得部と、
前記三次元位置情報が示す前記車両高さ位置と前記道路高さ位置との差分が、第1閾値未満、又は前記第1閾値よりも大きい第2閾値以上である場合、実空間に存在する道路に対応する道路オブジェクトが配置されている三次元仮想空間に前記車両に設けられている複数のタイヤを示すタイヤオブジェクトを配置するときの前記タイヤオブジェクトの垂直方向の位置であるタイヤオブジェクト高さ位置を、前記タイヤオブジェクトの下端が前記道路オブジェクトに接触する高さ位置に特定し、前記三次元仮想空間に、前記複数のタイヤを除く前記車両に対応する車両オブジェクトを配置するときの前記車両オブジェクトの垂直方向の位置である車両オブジェクト高さ位置を、特定した前記タイヤオブジェクト高さ位置よりも垂直方向に対して所定距離だけ上の位置に特定する特定部と、
前記三次元仮想空間において、前記車両二次元位置と、特定された車両オブジェクト高さ位置とに対応する三次元位置に前記車両オブジェクトを配置するとともに、前記車両二次元位置と、前記タイヤオブジェクト高さ位置とに対応する三次元位置に前記タイヤオブジェクトを配置する配置部と、
を有する情報処理装置。
【請求項4】
前記特定部は、前記差分が前記第1閾値未満である場合又は前記第2閾値以上である場合、前記道路高さ位置と、前記タイヤオブジェクトと前記車両オブジェクトとが取り得る垂直方向の距離の範囲とに基づいて、前記車両オブジェクト高さ位置を特定する、
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記車両が水平な道路に停車している場合における、前記車両基準点における垂直方向の車両の位置である前記車両高さ位置と、前記車両の停車位置における前記道路高さ位置との差分と、前記タイヤオブジェクトと前記車両オブジェクトとが取り得る垂直方向の距離の範囲とに基づいて、前記第1閾値及び前記第2閾値を設定する設定部を有し、
前記特定部は、前記三次元位置情報が示す前記車両高さ位置と、前記道路高さ情報が示す前記道路高さ位置との差分と、前記設定部が設定した前記第1閾値及び前記第2閾値に基づいて、前記車両オブジェクト高さ位置を特定する、
請求項2から4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
車両に設けられた基準点である車両基準点における水平方向の二次元位置である車両二次元位置と、垂直方向の車両の位置である車両高さ位置とを示す三次元位置情報を取得する第1取得部と、
前記三次元位置情報が示す前記車両二次元位置に対応する道路の垂直方向の位置である道路高さ位置を示す道路高さ情報を取得する第2取得部と、
前記三次元位置情報が示す三次元位置の精度を特定し、特定した前記精度が所定の精度以上である場合、実空間に存在する道路に対応する道路オブジェクトが配置されている三次元仮想空間に前記車両に設けられている複数のタイヤを除く前記車両に対応する車両オブジェクトを配置するときの前記車両オブジェクトの垂直方向の位置である車両オブジェクト高さ位置を、前記三次元位置情報が示す前記車両高さ位置に特定し、前記三次元仮想空間に、前記複数のタイヤを示すタイヤオブジェクトを配置するときの前記タイヤオブジェクトの垂直方向の位置であるタイヤオブジェクト高さ位置を、特定した車両オブジェクト高さ位置に対し、垂直方向に所定距離だけ下の位置に特定し、特定した前記精度が前記所定の精度未満である場合、前記道路高さ位置に基づいて、前記タイヤオブジェクトの下端が前記道路オブジェクトに接触するように前記タイヤオブジェクト高さ位置を特定し、前記車両オブジェクト高さ位置を、特定した前記タイヤオブジェクト高さ位置よりも垂直方向に対して前記所定距離だけ上の位置に特定する特定部と、
前記三次元仮想空間において、前記車両二次元位置と、特定された車両オブジェクト高さ位置とに対応する三次元位置に前記車両オブジェクトを配置するとともに、前記車両二次元位置と、前記タイヤオブジェクト高さ位置とに対応する三次元位置に前記タイヤオブジェクトを配置する配置部と、
を有する情報処理装置。
【請求項7】
前記車両には2つの基準点が設けられており、
前記第1取得部は、2つの基準点それぞれの三次元位置情報を取得し、
前記特定部は、2つの基準点それぞれの三次元位置情報に基づく2つの基準点の水平面に対する傾きが所定の範囲内である場合に、当該2つの基準点の水平面に対する傾きを前記車両オブジェクトの傾きと特定し、
前記配置部は、前記特定部が特定した前記車両オブジェクトの傾きで、前記車両オブジェクトを配置する、
請求項1、3又は6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
コンピュータが実行する、
車両に設けられた基準点である車両基準点における水平方向の二次元位置である車両二次元位置と、垂直方向の車両の位置である車両高さ位置とを示す三次元位置情報を取得するステップと、
前記三次元位置情報が示す前記車両二次元位置に対応する道路の垂直方向の位置である道路高さ位置を示す道路高さ情報を取得するステップと、
前記三次元位置情報が示す前記車両高さ位置と前記道路高さ位置との差分が、第1閾値以上、かつ、前記第1閾値よりも大きい第2閾値未満である場合、実空間に存在する道路に対応する道路オブジェクトが配置されている三次元仮想空間に前記車両に設けられている複数のタイヤを除く前記車両に対応する車両オブジェクトを配置するときの前記車両オブジェクトの垂直方向の位置である車両オブジェクト高さ位置を、前記車両高さ位置に特定するステップと、
前記三次元仮想空間において、前記車両二次元位置と、特定された車両オブジェクト高さ位置とに対応する三次元位置に前記車両オブジェクトを配置するステップと、
を有する情報処理方法。
【請求項9】
コンピュータが実行する、
車両に設けられた基準点である車両基準点における水平方向の二次元位置である車両二次元位置と、垂直方向の車両の位置である車両高さ位置とを示す三次元位置情報を取得するステップと、
前記三次元位置情報が示す前記車両二次元位置に対応する道路の垂直方向の位置である道路高さ位置を示す道路高さ情報を取得するステップと、
前記三次元位置情報が示す前記車両高さ位置と前記道路高さ位置との差分が、第1閾値未満、又は前記第1閾値よりも大きい第2閾値以上である場合、実空間に存在する道路に対応する道路オブジェクトが配置されている三次元仮想空間に前記車両に設けられている複数のタイヤを示すタイヤオブジェクトを配置するときの前記タイヤオブジェクトの垂直方向の位置であるタイヤオブジェクト高さ位置を、前記タイヤオブジェクトの下端が前記道路オブジェクトに接触する高さ位置に特定し、前記三次元仮想空間に、前記複数のタイヤを除く前記車両に対応する車両オブジェクトを配置するときの前記車両オブジェクトの垂直方向の位置である車両オブジェクト高さ位置を、特定した前記タイヤオブジェクト高さ位置よりも垂直方向に対して所定距離だけ上の位置に特定するステップと、
前記三次元仮想空間において、前記車両二次元位置と、特定された車両オブジェクト高さ位置とに対応する三次元位置に前記車両オブジェクトを配置するとともに、前記車両二次元位置と、前記タイヤオブジェクト高さ位置とに対応する三次元位置に前記タイヤオブジェクトを配置するステップと、
を有する情報処理方法。
【請求項10】
コンピュータが実行する、
車両に設けられた基準点である車両基準点における水平方向の二次元位置である車両二次元位置と、垂直方向の車両の位置である車両高さ位置とを示す三次元位置情報を取得するステップと、
前記三次元位置情報が示す前記車両二次元位置に対応する道路の垂直方向の位置である道路高さ位置を示す道路高さ情報を取得するステップと、
前記三次元位置情報が示す三次元位置の精度を特定し、特定した前記精度が所定の精度以上である場合、実空間に存在する道路に対応する道路オブジェクトが配置されている三次元仮想空間に前記車両に設けられている複数のタイヤを除く前記車両に対応する車両オブジェクトを配置するときの前記車両オブジェクトの垂直方向の位置である車両オブジェクト高さ位置を、前記三次元位置情報が示す前記車両高さ位置に特定し、前記三次元仮想空間に、前記複数のタイヤを示すタイヤオブジェクトを配置するときの前記タイヤオブジェクトの垂直方向の位置であるタイヤオブジェクト高さ位置を、特定した車両オブジェクト高さ位置に対し、垂直方向に所定距離だけ下の位置に特定し、特定した前記精度が前記所定の精度未満である場合、前記道路高さ位置に基づいて、前記タイヤオブジェクトの下端が前記道路オブジェクトに接触するように前記タイヤオブジェクト高さ位置を特定し、前記車両オブジェクト高さ位置を、特定した前記タイヤオブジェクト高さ位置よりも垂直方向に対して前記所定距離だけ上の位置に特定するステップと、
前記三次元仮想空間において、前記車両二次元位置と、特定された車両オブジェクト高さ位置とに対応する三次元位置に前記車両オブジェクトを配置するとともに、前記車両二次元位置と、前記タイヤオブジェクト高さ位置とに対応する三次元位置に前記タイヤオブジェクトを配置するステップと、
を有する情報処理方法。
【請求項11】
コンピュータを、
車両に設けられた基準点である車両基準点における水平方向の二次元位置である車両二次元位置と、垂直方向の車両の位置である車両高さ位置とを示す三次元位置情報を取得する第1取得部、
前記三次元位置情報が示す前記車両二次元位置に対応する道路の垂直方向の位置である道路高さ位置を示す道路高さ情報を取得する第2取得部、
前記三次元位置情報が示す前記車両高さ位置と前記道路高さ位置との差分が、第1閾値以上、かつ、前記第1閾値よりも大きい第2閾値未満である場合、実空間に存在する道路に対応する道路オブジェクトが配置されている三次元仮想空間に前記車両に設けられている複数のタイヤを除く前記車両に対応する車両オブジェクトを配置するときの前記車両オブジェクトの垂直方向の位置である車両オブジェクト高さ位置を、前記車両高さ位置に特定する特定部、及び、
前記三次元仮想空間において、前記車両二次元位置と、特定された車両オブジェクト高さ位置とに対応する三次元位置に前記車両オブジェクトを配置する配置部、
として機能させるプログラム。
【請求項12】
コンピュータを、
車両に設けられた基準点である車両基準点における水平方向の二次元位置である車両二次元位置と、垂直方向の車両の位置である車両高さ位置とを示す三次元位置情報を取得する第1取得部、
前記三次元位置情報が示す前記車両二次元位置に対応する道路の垂直方向の位置である道路高さ位置を示す道路高さ情報を取得する第2取得部、
前記三次元位置情報が示す前記車両高さ位置と前記道路高さ位置との差分が、第1閾値未満、又は前記第1閾値よりも大きい第2閾値以上である場合、実空間に存在する道路に対応する道路オブジェクトが配置されている三次元仮想空間に前記車両に設けられている複数のタイヤを示すタイヤオブジェクトを配置するときの前記タイヤオブジェクトの垂直方向の位置であるタイヤオブジェクト高さ位置を、前記タイヤオブジェクトの下端が前記道路オブジェクトに接触する高さ位置に特定し、前記三次元仮想空間に、前記複数のタイヤを除く前記車両に対応する車両オブジェクトを配置するときの前記車両オブジェクトの垂直方向の位置である車両オブジェクト高さ位置を、特定した前記タイヤオブジェクト高さ位置よりも垂直方向に対して所定距離だけ上の位置に特定する特定部、及び、
前記三次元仮想空間において、前記車両二次元位置と、特定された車両オブジェクト高さ位置とに対応する三次元位置に前記車両オブジェクトを配置するとともに、前記車両二次元位置と、前記タイヤオブジェクト高さ位置とに対応する三次元位置に前記タイヤオブジェクトを配置する配置部、
として機能させるプログラム。
【請求項13】
コンピュータを、
車両に設けられた基準点である車両基準点における水平方向の二次元位置である車両二次元位置と、垂直方向の車両の位置である車両高さ位置とを示す三次元位置情報を取得する第1取得部、
前記三次元位置情報が示す前記車両二次元位置に対応する道路の垂直方向の位置である道路高さ位置を示す道路高さ情報を取得する第2取得部、
前記三次元位置情報が示す三次元位置の精度を特定し、特定した前記精度が所定の精度以上である場合、実空間に存在する道路に対応する道路オブジェクトが配置されている三次元仮想空間に前記車両に設けられている複数のタイヤを除く前記車両に対応する車両オブジェクトを配置するときの前記車両オブジェクトの垂直方向の位置である車両オブジェクト高さ位置を、前記三次元位置情報が示す前記車両高さ位置に特定し、前記三次元仮想空間に、前記複数のタイヤを示すタイヤオブジェクトを配置するときの前記タイヤオブジェクトの垂直方向の位置であるタイヤオブジェクト高さ位置を、特定した車両オブジェクト高さ位置に対し、垂直方向に所定距離だけ下の位置に特定し、特定した前記精度が前記所定の精度未満である場合、前記道路高さ位置に基づいて、前記タイヤオブジェクトの下端が前記道路オブジェクトに接触するように前記タイヤオブジェクト高さ位置を特定し、前記車両オブジェクト高さ位置を、特定した前記タイヤオブジェクト高さ位置よりも垂直方向に対して前記所定距離だけ上の位置に特定する特定部、及び、
前記三次元仮想空間において、前記車両二次元位置と、特定された車両オブジェクト高さ位置とに対応する三次元位置に前記車両オブジェクトを配置するとともに、前記車両二次元位置と、前記タイヤオブジェクト高さ位置とに対応する三次元位置に前記タイヤオブジェクトを配置する配置部、
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
現実世界を模擬した模擬データを構築し、構築した模擬データを用いて現実世界と同じ環境を仮想空間で再現する技術であるデジタルツインが知られている。例えば、特許文献1では、走行車両の走行データを生成し、生成した走行データに基づいて当該走行車両の走行を仮想空間で再現する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2023-44080号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
走行データを示す情報が車両の三次元位置情報であり、三次元位置情報に基づいて車両の走行を再現する場合、三次元位置の測位精度の悪化により、三次元位置情報が示す車両の位置が実際の車両の位置と異なることがある。この場合には、車両が不自然な状態で再現されてしまう。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、車両を三次元仮想空間で再現する場合に不自然な状態で車両が再現されてしまうことを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係る情報処理装置は、車両に設けられた基準点である車両基準点における水平方向の二次元位置である車両二次元位置と、垂直方向の車両の位置である車両高さ位置とを示す三次元位置情報を取得する第1取得部と、前記三次元位置情報が示す前記車両二次元位置に対応する道路の垂直方向の位置である道路高さ位置を示す道路高さ情報を取得する第2取得部と、実空間に存在する道路に対応する道路オブジェクトが配置されている三次元仮想空間に前記車両に設けられている複数のタイヤを除く前記車両に対応する車両オブジェクトを配置するときの前記車両オブジェクトの垂直方向の位置である車両オブジェクト高さ位置を、前記三次元位置情報が示す前記車両高さ位置と、前記道路高さ位置との差分に基づいて特定する特定部と、前記三次元仮想空間において、前記車両二次元位置と、特定された車両オブジェクト高さ位置とに対応する三次元位置に前記車両オブジェクトを配置する配置部と、を有する。
【0007】
前記特定部は、前記車両高さ位置と道路高さ位置との差分が第1閾値以上、かつ、第1閾値よりも大きい第2閾値未満である場合、前記車両高さ位置を前記車両オブジェクト高さ位置と特定してもよい。
【0008】
前記特定部は、前記車両高さ位置と道路高さ位置との差分が前記第1閾値未満である場合又は前記第2閾値以上である場合、前記道路高さ位置に基づいて、前記車両オブジェクト高さ位置を特定してもよい。
【0009】
前記特定部は、前記車両オブジェクト高さ位置に基づいて、前記車両に設けられた複数のタイヤを示すタイヤオブジェクトの垂直方向の位置であるタイヤオブジェクト高さ位置を特定し、前記配置部は、前記車両二次元位置と、前記タイヤオブジェクト高さ位置とに対応する三次元位置に前記タイヤオブジェクトを配置してもよい。
【0010】
前記特定部は、前記車両高さ位置と道路高さ位置との差分が前記第1閾値未満である場合又は前記第2閾値以上である場合、前記道路高さ位置と、前記タイヤオブジェクトと前記車両オブジェクトとが取り得る垂直方向の距離の範囲とに基づいて、前記車両オブジェクト高さ位置を特定してもよい。
【0011】
前記情報処理装置は、前記車両が水平な道路に停車している場合における、前記車両基準点における垂直方向の車両の位置である前記車両高さ位置と、前記車両の停車位置における前記道路高さ位置との差分と、前記タイヤオブジェクトと前記車両オブジェクトとが取り得る垂直方向の距離の範囲とに基づいて、前記第1閾値及び前記第2閾値を設定する設定部を有し、前記特定部は、前記車両高さ位置と道路高さ位置との差分と、前記設定部が設定した前記第1閾値及び前記第2閾値に基づいて、前記車両オブジェクト高さ位置を特定してもよい。
【0012】
前記特定部は、前記タイヤオブジェクトの下端が、前記三次元位置情報が示す前記車両二次元位置における道路に接するように前記タイヤオブジェクトの高さ位置を特定してもよい。
【0013】
前記特定部は、前記三次元位置情報が示す三次元位置の精度を特定し、特定した精度が所定の精度未満である場合、前記車両オブジェクト高さ位置を、前記道路高さ位置に基づいて特定し、特定した精度が所定の精度以上である場合、前記車両高さ位置を前記車両オブジェクト高さ位置と特定してもよい。
【0014】
前記車両には2つの基準点が設けられており、前記第1取得部は、2つの基準点それぞれの三次元位置情報を取得し、前記特定部は、2つの基準点それぞれの三次元位置情報に基づく2つの基準点の水平面に対する傾きが所定の範囲内である場合に、当該2つの基準点の水平面に対する傾きを前記車両オブジェクトの傾きと特定し、前記配置部は、前記特定部が特定した前記車両オブジェクトの傾きで、前記車両オブジェクトを配置してもよい。
【0015】
本発明の第2の態様に係る情報処理方法は、コンピュータが実行する、車両に設けられた基準点である車両基準点における水平方向の二次元位置である車両二次元位置と、垂直方向の車両の位置である車両高さ位置とを示す三次元位置情報を取得するステップと、前記三次元位置情報が示す前記車両二次元位置に対応する道路の垂直方向の位置である道路高さ位置を示す道路高さ情報を取得するステップと、実空間に存在する道路に対応する道路オブジェクトが配置されている三次元仮想空間に前記車両に設けられている複数のタイヤを除く前記車両に対応する車両オブジェクトを配置するときの前記車両オブジェクトの垂直方向の位置である車両オブジェクト高さ位置を、前記三次元位置情報が示す前記車両高さ位置と、前記道路高さ位置との差分に基づいて特定するステップと、前記三次元仮想空間において、前記車両二次元位置と、特定された車両オブジェクト高さ位置とに対応する三次元位置に前記車両オブジェクトを配置するステップと、を有する。
【0016】
本発明の第3の態様に係るプログラムは、コンピュータを、車両に設けられた基準点である車両基準点における水平方向の二次元位置である車両二次元位置と、垂直方向の車両の位置である車両高さ位置とを示す三次元位置情報を取得する第1取得部、前記三次元位置情報が示す前記車両二次元位置に対応する道路の垂直方向の位置である道路高さ位置を示す道路高さ情報を取得する第2取得部、実空間に存在する道路に対応する道路オブジェクトが配置されている三次元仮想空間に前記車両に設けられている複数のタイヤを除く前記車両に対応する車両オブジェクトを配置するときの前記車両オブジェクトの垂直方向の位置である車両オブジェクト高さ位置を、前記三次元位置情報が示す前記車両高さ位置と、前記道路高さ位置との差分に基づいて特定する特定部、及び、前記三次元仮想空間において、前記車両二次元位置と、特定された車両オブジェクト高さ位置とに対応する三次元位置に前記車両オブジェクトを配置する配置部、として機能させる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、車両を三次元仮想空間で再現する場合に不自然な状態で車両が再現されてしまうことを抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】情報処理装置の概要を説明する図である。
図2】情報処理装置の機能構成を示す図である。
図3】走行履歴情報の一例を示す図である。
図4】第1閾値及び第2閾値を説明する図である。
図5】情報処理装置における車両オブジェクト及びタイヤオブジェクトの配置に係る処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[情報処理装置1の概要]
図1は、情報処理装置1の概要を説明する図である。情報処理装置1は、車両Vの走行履歴情報に基づいて、当該車両Vの走行を仮想空間で再現する装置である。
【0020】
まず、情報処理装置1が車両Vの走行を仮想空間で再現するにあたり、車両Vの走行履歴情報が記憶部に記憶されているとともに、車両Vが走行した実空間に存在する道路を含む現実空間を再現した三次元仮想空間が予め設けられている。
【0021】
走行履歴情報は、例えば、車両Vが走行を開始してからの経過時間と、当該経過時間における車両Vの三次元位置を示す三次元位置情報とを関連付けた情報である。三次元位置情報は、車両Vに設けられた基準点である車両基準点に設けられているデバイスであって、GNSS(Global Navigation Satellite System)を用いて測位可能な測位デバイスが測定した三次元位置を示す情報である。三次元位置情報は、車両基準点における水平方向の二次元位置である車両二次元位置と、垂直方向の車両の位置である車両高さ位置とを示す三次元位置を示すものとする。
【0022】
情報処理装置1は、ある経過時間に対応して車両Vを仮想空間上に再現するにあたり、当該経過時間に対応する車両Vの三次元位置情報を取得する(図1における(1))。情報処理装置1は、取得した三次元位置情報に含まれる車両二次元位置に対応する道路の垂直方向の位置である道路高さ位置を示す道路高さ情報を取得する(図1における(2))。
【0023】
ここで、車両Vの三次元位置の測位精度の悪化により、三次元位置情報が示す車両Vの位置が実際の車両Vの位置と異なることがある。この場合には、車両Vを示す車両オブジェクトが、仮想空間において実際の車両Vの位置と異なる位置に配置され、不自然な状態で三次元仮想空間に再現されてしまう。
【0024】
これに対し、情報処理装置1は、三次元仮想空間に対し、車両Vに設けられている複数のタイヤを除く車両Vに対応する車両オブジェクトを配置するときの車両オブジェクトの垂直方向の位置である車両オブジェクト高さ位置を、三次元位置情報が示す車両高さ位置と、道路高さ位置との差分に基づいて特定する(図1における(3))。例えば、三次元位置情報が示す車両高さ位置と、道路高さ位置との差分が第1閾値未満である場合、又は第1閾値よりも大きい第2閾値以上である場合、道路高さ位置に基づいて車両オブジェクトが道路上を走行しているように、車両オブジェクト高さ位置を特定する。
【0025】
そして、情報処理装置1は、三次元仮想空間において、車両二次元位置と、特定した車両オブジェクト高さ位置とに対応する三次元位置に車両オブジェクトを配置する(図1における(4))。情報処理装置1は、車両オブジェクトが配置された三次元仮想空間において仮想カメラを配置し、当該仮想カメラにより車両オブジェクトを撮影したときの映像データを生成し(図1における(5))、当該映像データが示す映像を視聴するユーザの端末2に当該映像データを出力する(図1における(6))。
【0026】
このようにすることで、情報処理装置1は、車両を三次元仮想空間で再現する場合に不自然な状態で車両が再現されてしまうことを抑制し、当該三次元仮想空間に対応する映像データをユーザに視認させることができる。
【0027】
[情報処理装置1の機能構成]
続いて、情報処理装置1の構成について説明する。図2は、情報処理装置1の機能構成を示す図である。情報処理装置1は、通信部11と、記憶部12と、制御部13とを有する。
【0028】
通信部11は、携帯電話回線、インターネット、無線LAN等の通信ネットワークを介して端末2等の外部装置とデータを送受信するための通信インターフェースである。
【0029】
記憶部12は、各種のデータを記憶する記憶媒体であり、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及びハードディスク等を有する。記憶部12は、制御部13が実行するプログラムを記憶する。記憶部12は、制御部13を、設定部131、計時部132、第1取得部133、第2取得部134、特定部135、配置部136、及び表示制御部137として機能させるプログラムを記憶する。
【0030】
また、記憶部12は、車両Vの走行履歴を示す走行履歴情報を記憶する。図3は、走行履歴情報の一例を示す図である。図3に示すように、走行履歴情報は、例えば、車両Vが走行を開始した時刻からの経過時間と、当該経過時間における車両Vの三次元位置を示す三次元位置情報と、当該経過時間における車両Vが基準方向に対して向いている角度を示す方位角とを関連付けた情報である。
【0031】
三次元位置情報は、車両基準点における水平方向の二次元位置である車両二次元位置を示す二次元位置情報と、垂直方向の車両の位置である車両高さ位置を示す高さ位置情報とにより構成される。
【0032】
また、記憶部12は、車両Vが走行した実空間を示す実空間情報が記憶されている。実空間情報は、例えば、測量機器を用いて実空間を測量することにより生成された点群データである。点群データは、実空間を示す複数の特徴点それぞれにおける三次元位置情報と、当該特徴点における実空間を示すオブジェクトの色とを関連付けた情報である。情報処理装置1は、実空間情報に基づいて、道路オブジェクト等の各種オブジェクトを配置した三次元仮想空間を生成することにより、現実空間を再現することができる。
【0033】
制御部13は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。制御部13は、記憶部12に記憶されたプログラムを実行することにより、設定部131、計時部132、第1取得部133、第2取得部134、特定部135、配置部136、及び表示制御部137として機能する。
【0034】
設定部131は、車両Vが水平な道路に停車している場合における、車両基準点における垂直方向の車両Vの位置である車両高さ位置と、車両Vの停車位置における道路高さ位置との差分と、タイヤオブジェクトと車両オブジェクトとが取り得る垂直方向の距離の範囲とに基づいて、情報処理装置1が車両オブジェクトの高さ位置を特定するために用いる第1閾値及び第2閾値を設定する。
【0035】
図4は、第1閾値及び第2閾値を説明する図である。例えば、設定部131は、車両Vが水平な道路に停車している場合における、車両基準点Pにおける垂直方向の車両Vの位置である車両高さ位置Hvから、車両Vの停車位置における道路高さ位置Hrを減算して得られる差分Dを、車両Vが停車している場合における車両基準点の高さである車両基準高さとする。
【0036】
また、設定部131は、車両Vに設けられているサスペンションが変形することにより車両Vの車体が車両基準高さに比べて最も沈み込むときの車両Vの車両基準点Pにおける車両高さ位置を第1閾値Th1と特定する。同様に、設定部131は、車両Vに設けられているサスペンションが変形することにより車両Vの車体が車両基準高さに比べて最も浮き上がるときの車両Vの車両基準点Pにおける車両高さ位置を第2閾値Th2と特定する。例えば、設定部131は、第1閾値Th1と、第2閾値Th2とを、情報処理装置1の管理者が使用する管理端末(不図示)から受け付けることにより特定してもよい。
【0037】
計時部132は、例えば、通信部11を介して、端末2から、現実空間を再現した三次元仮想空間における車両Vの走行再現要求を受け付けることにより、計時を行う。なお、計時部132は、端末2から、任意の時間を受け付け、受け付けた時間から計時を行うようにしてもよい。
【0038】
第1取得部133は、車両Vに設けられた基準点である車両基準点における水平方向の二次元位置である車両二次元位置と、垂直方向の車両の位置である車両高さ位置とを示す三次元位置情報を取得する。例えば、第1取得部133は、所定時間おきに、記憶部12に記憶されている走行履歴情報を参照し、計時部132が計時を開始してからの計時時間に関連付けられている三次元位置情報を取得する。所定時間は、例えば、一般的なディスプレイ装置のフレームレート(例えば、60Hz)に基づく画面の書き換え間隔に基づいて設定されるものとする。
【0039】
なお、第1取得部133は、所定時間おきに、記憶部12に記憶されている走行履歴情報を参照し、計時部132が計時を開始してからの計時時間に関連付けられている三次元位置情報を取得したが、これに限らない。第1取得部133は、記憶部12に記憶されている走行履歴情報を参照し、所定時間おきに、直前に取得した三次元位置情報に関連付けられている時刻の直後の時刻に関連付けられている三次元位置情報を取得してもよい。この場合、情報処理装置1は、計時部132を有していなくてもよい。
【0040】
第2取得部134は、第1取得部133が取得した三次元位置情報が示す車両二次元位置に対応する道路の垂直方向の位置である道路高さ位置を示す道路高さ情報を取得する。例えば、第2取得部134は、記憶部12に記憶されている、実空間情報(点群データ)を参照し、第1取得部133が取得した三次元位置情報が示す車両二次元位置に最も近い二次元位置を有する現実空間を示す特徴点を特定する。そして、第2取得部134は、特定した特徴点に対応する三次元位置情報に含まれている高さ方向の位置情報を、道路高さ情報として取得する。
【0041】
特定部135は、実空間に存在する道路に対応する道路オブジェクトが配置されている三次元仮想空間に、車両Vに対応する車両オブジェクトを配置するときの車両オブジェクトの垂直方向の位置である車両オブジェクト高さ位置を特定する。特定部135は、第1取得部133が取得した三次元位置情報が示す車両高さ位置と、第2取得部134が取得した道路高さ情報が示す道路高さ位置との差分Dを算出し、算出した差分Dに基づいて車両オブジェクト高さ位置を特定する。
【0042】
具体的には、特定部135は、車両Vの車両高さ位置と、道路高さ情報が示す道路高さ位置との差分Dと、設定部131が設定した第1閾値Th1及び第2閾値Th2とに基づいて、車両オブジェクト高さ位置を特定する。例えば、特定部135は、第1取得部133が取得した三次元位置情報が示す車両高さ位置と、第2取得部134が取得した道路高さ位置との差分Dが、第1閾値Th1以上、かつ、第1閾値Th1よりも大きい第2閾値Th2未満である場合、第1取得部133が取得した三次元位置情報が示す車両高さ位置を、車両オブジェクト高さ位置と特定する。
【0043】
この場合、特定部135は、特定した車両オブジェクト高さ位置に基づいて、車両Vに設けられた複数のタイヤを示すタイヤオブジェクトの垂直方向の位置であるタイヤオブジェクト高さ位置を特定する。例えば、特定部135は、特定した車両オブジェクト高さ位置に対し、垂直方向に予め定められた所定距離だけ下の位置を、タイヤオブジェクト高さ位置に特定する。所定距離は、車両Vが走行せずに水平面に停車している状態である場合における、車両オブジェクト高さ位置とタイヤオブジェクト高さ位置との距離である。
【0044】
ここで、特定した車両オブジェクト高さ位置に対し、垂直方向に予め定められた所定距離だけ下の位置を、タイヤオブジェクト高さ位置に特定した場合には、タイヤオブジェクトを配置した場合に、タイヤオブジェクトの下端が道路オブジェクトに接触しなかったり、タイヤオブジェクトの一部が道路オブジェクトに埋もれたりしてしまう場合がある。
【0045】
例えば、車両高さ位置と道路高さ位置との差分Dが、車両基準高さよりも小さい場合には、タイヤオブジェクトの下部が道路オブジェクトに埋もれてしまう。また、車両高さ位置と道路高さ位置との差分Dが、車両基準高さよりも大きい場合には、タイヤオブジェクトの下端が道路オブジェクトに接触しなくなってしまう。このため、特定部135は、車両高さ位置と道路高さ位置との差分Dが、第1閾値Th1以上、かつ、第1閾値Th1よりも大きい第2閾値Th2未満である場合、タイヤオブジェクトの下端が道路オブジェクトに接触するようにタイヤオブジェクト高さ位置を特定してもよい。
【0046】
特定部135は、第1取得部133が取得した三次元位置情報が示す車両高さ位置と、第2取得部134が取得した道路高さ位置との差分Dが第1閾値Th1未満である場合又は第2閾値Th2以上である場合、当該道路高さ位置に基づいて、車両オブジェクト高さ位置を特定する。
【0047】
この場合、まず特定部135は、道路高さ位置に基づいてタイヤオブジェクト高さ位置を特定する。特定部135は、タイヤオブジェクトの下端が道路オブジェクトに接触するようにタイヤオブジェクト高さ位置を特定する。そして、特定部135は、特定したタイヤオブジェクト高さ位置に対し、垂直方向に予め定められた所定距離だけ上の位置を、車両オブジェクト高さ位置に特定する。
【0048】
ここで、特定部135は、車両高さ位置と道路高さ位置との差分Dが第1閾値未満である場合又は第2閾値以上である場合、道路高さ位置と、タイヤオブジェクトと車両オブジェクトとが取り得る垂直方向の距離の範囲、すなわちサスペンションの可動範囲とに基づいて、車両オブジェクト高さ位置を特定してもよい。
【0049】
例えば、下り坂から上り坂に変化する位置を車両Vが走行する場合には、車両Vに対して車両Vが道路に押し付けられる力が発生する。このため、特定部135は、取得した三次元位置情報よりも所定期間前に取得した三次元位置情報が示す二次元位置情報に対応する道路高さ位置の変化に基づいて、車両Vに対し、車両Vが道路に押し付けられる力が発生したか否かを判定する。特定部135は、車両Vに対し、車両Vが道路に押し付けられる力が発生したと判定すると、車両オブジェクト高さ位置を、第1閾値Th1以上であるとともに、車両基準高さよりも低い高さ位置に特定する。
【0050】
また、上り坂から下り坂に変化する位置を車両Vが走行する場合には、車両Vに対して車両Vが道路から浮き上がろうとする力が発生する。このため、特定部135は、取得した三次元位置情報よりも所定期間前に取得した三次元位置情報が示す二次元位置情報に対応する道路高さ位置の変化に基づいて、車両Vに対し、車両Vが道路から浮き上がろうとする力が発生したか否かを判定する。特定部135は、車両Vに対し、車両Vが道路から浮き上がろうとする力が発生したと判定すると、車両オブジェクト高さ位置を、車両基準高さよりも高く、第2閾値Th2未満の高さ位置に特定する。
【0051】
また、車両Vが、ラリー専用車等である場合、道路の形状によっては車両Vがジャンプし、道路から浮き上がることがある。これに対し、上述の処理により、車両Vが浮き上がらないように車両オブジェクト高さ位置及びタイヤオブジェクト高さ位置を特定すると、車両Vが不自然な状態で仮想空間内に再現されてしまう。
【0052】
これに対し、特定部135は、三次元位置情報が示す三次元位置の精度を特定するようにしてもよい。この場合、記憶部12に記憶される走行履歴情報に、車両Vに設けられた測位デバイスが三次元位置を測定したときの測位精度を示す精度情報を含ませておく。そして、特定部135が、三次元位置情報に関連付けられている精度情報が示す測位精度を参照することにより、三次元位置の精度を特定する。
【0053】
そして、特定部135は、特定した精度が所定の精度未満である場合、車両オブジェクト高さ位置を道路高さ位置に基づいて特定する。すなわち、特定部135は、特定した精度が所定の精度未満である場合、道路高さ位置に基づいて、タイヤオブジェクトの下端が道路オブジェクトに接触するようにタイヤオブジェクト高さ位置を特定するとともに、特定したタイヤオブジェクト高さ位置に対し、垂直方向に予め定められた所定距離だけ上の位置を、車両オブジェクト高さ位置に特定する。
【0054】
また、特定部135は、特定した精度が所定の精度以上である場合、車両高さ位置を、三次元位置情報が示す車両オブジェクト高さ位置と特定する。そして、特定部135は、特定した車両オブジェクト高さ位置に対し、垂直方向に予め定められた所定距離だけ下の位置を、タイヤオブジェクト高さ位置に特定する。
【0055】
配置部136は、三次元仮想空間において、第1取得部133が取得した三次元位置情報が示す車両二次元位置に、車両オブジェクトと、タイヤオブジェクトとを配置する。具体的には、配置部136は、三次元仮想空間において、第1取得部133が取得した三次元位置情報が示す車両二次元位置と、特定部135が特定した車両オブジェクト高さ位置とに対応する三次元位置に、走行履歴情報において当該三次元位置情報に関連付けられている方位角で車両オブジェクトを配置する。
【0056】
また、配置部136は、三次元仮想空間において、第1取得部133が取得した三次元位置情報が示す車両二次元位置と、特定部135が特定したタイヤオブジェクト高さ位置とに対応する三次元位置に、走行履歴情報において当該三次元位置情報に関連付けられている方位角でタイヤオブジェクトを配置する。
【0057】
表示制御部137は、車両オブジェクト及びタイヤオブジェクトが配置された三次元仮想空間に一以上の仮想カメラを配置し、当該一以上の仮想カメラそれぞれにより三次元仮想空間を撮影したときの映像データを生成する。そして、表示制御部137は、生成した映像データの少なくともいずれかを、映像を視聴するユーザの端末2に出力する。なお、表示制御部137は、仮想カメラの配置位置を端末2から受け付け、受け付けた配置位置から三次元仮想空間を撮影したときの映像データを生成してもよい。
【0058】
[動作フロー]
続いて、情報処理装置1における車両オブジェクト及びタイヤオブジェクトの配置に係る処理の流れについて説明する。図5は、情報処理装置1における車両オブジェクト及びタイヤオブジェクトの配置に係る処理の流れを示すフローチャートである。図5に示すフローチャートは、計時部132が計時を開始したことに応じて、所定時間おきごとに実行されるものとする。
【0059】
まず、第1取得部133は、走行履歴情報を参照し、計時部132が計時した時間に関連付けられている車両Vに設けられた車両基準点における三次元位置情報を取得する(S1)。
続いて、第2取得部134は、第1取得部133が取得した三次元位置情報が示す車両二次元位置に対応する道路の垂直方向の位置である道路高さ位置を示す道路高さ情報を取得する(S2)。
【0060】
続いて、特定部135は、第1取得部133が取得した三次元位置情報が示す車両高さ位置と、第2取得部134が取得した道路高さ位置との差分を算出する(S3)。
続いて、特定部135は、算出した差分が第1閾値以上、かつ、第2閾値未満であるか否かを判定する(S4)。特定部135は、算出した差分が第1閾値以上、かつ、第2閾値未満であると判定すると(S4のYES)、S5に処理を移す。特定部135は、算出した差分が第1閾値未満、又は、第2閾値以上であると判定すると(S4のNO)、S7に処理を移す。
【0061】
S5において、特定部135は、第1取得部133が取得した三次元位置情報が示す車両高さ位置を車両オブジェクト高さ位置と特定する。続いて、特定部135は、特定した車両オブジェクト高さ位置に基づいてタイヤオブジェクト高さ位置を特定する(S6)。具体的には、特定部135は、特定した車両オブジェクト高さ位置に対し、垂直方向に予め定められた所定距離だけ下の位置を、タイヤオブジェクト高さ位置に特定する。
【0062】
S7において、特定部135は、道路高さ位置に基づいてタイヤオブジェクト高さ位置を特定する。続いて、特定部135は、特定したタイヤオブジェクト高さ位置に基づいて車両オブジェクト高さ位置を特定する(S8)。具体的には、特定部135は、特定したタイヤオブジェクト高さ位置に対し、垂直方向に予め定められた所定距離だけ上の位置を、車両オブジェクト高さ位置に特定する。
【0063】
S9において、配置部136は、三次元仮想空間において、第1取得部133が取得した三次元位置情報が示す車両二次元位置に対し、特定した車両オブジェクト高さ位置及びタイヤオブジェクト高さ位置に基づいて、車両オブジェクト及びタイヤオブジェクトを配置する。
【0064】
[変形例1]
上述の実施の形態において、車両Vには、1台の測位デバイスが設けられていることとしたが、これに限らない。例えば、車両Vには、複数の測位デバイスが設けられ、複数の測位デバイスそれぞれの設置位置が車両基準点とされてもよい。そして、記憶部12に記憶される走行履歴情報に、複数の車両基準点それぞれにおける三次元位置情報が含まれてもよい。ここで、車両Vの2つの車両基準点に対応して2つの測位デバイスが設けられる場合、測位デバイスにより測定された2つの車両基準点の三次元位置に基づいて、車両Vの前後方向の傾きが検出可能に車両基準点が設定されるものとする。
【0065】
この場合、第1取得部133は、走行履歴情報を参照し、少なくとも2つの車両基準点それぞれにおける三次元位置情報を取得する。特定部135は、2つの車両基準点それぞれの三次元位置情報に基づく2つの基準点の水平面に対する傾きであって、車両の前後方向を基準とした傾きを、車両オブジェクトの傾きと特定する。配置部136は、特定部135が特定した車両オブジェクトの傾きで、車両オブジェクトを三次元仮想空間に配置する。
【0066】
ここで、特定部135は、2つの車両基準点それぞれ三次元位置情報に基づく2つの基準点の水平面に対する傾きが所定の範囲内であるか否かを判定してもよい。そして、特定部135は、2つの基準点の水平面に対する傾きが所定の範囲内であると判定すると、当該傾きを車両オブジェクトの傾きに特定し、2つの基準点の水平面に対する傾きが所定の範囲内ではないと判定すると、所定の傾きを車両オブジェクトの傾きに特定してもよい。所定の傾きは、例えば、車両Vが停車している場合における車両の傾きである。このようにすることで、情報処理装置1は、車両Vの走行時の傾きを考慮して車両Vを三次元仮想空間に再現することができる。
【0067】
[変形例2]
また、上述の実施の形態では、走行履歴情報を記憶部12に記憶させておき、第1取得部133が、記憶部12に記憶されている走行履歴情報を所定時間おきに参照し、計時部132が計時を開始してからの計時時間に関連付けられている三次元位置情報を取得したが、これに限らない。走行履歴情報は記憶部12に記憶されていなくてもよく、第1取得部133は、車両Vに設けられた測位デバイスが測定した三次元位置を示す三次元位置情報を、通信部11を介してリアルタイムに取得してもよい。このようにすることで、情報処理装置1は、車両Vが実際に走行しているときの車両Vの三次元位置情報に基づいて、三次元仮想空間に車両Vの車両オブジェクトをリアルタイムに再現することができる。なお、この場合、情報処理装置1は、計時部132を有していなくてもよい。
【0068】
[情報処理装置1による効果]
以上説明したように、本実施の形態に係る情報処理装置1は、車両Vに設けられた基準点である車両基準点における水平方向の二次元位置である車両二次元位置と、垂直方向の車両の位置である車両高さ位置とを示す三次元位置情報を取得し、当該三次元位置情報が示す車両二次元位置に対応する道路の垂直方向の位置である道路高さ位置を示す道路高さ情報を取得する。そして、情報処理装置1は、実空間に存在する道路に対応する道路オブジェクトが配置されている三次元仮想空間に車両に設けられている複数のタイヤを除く車両に対応する車両オブジェクトを配置するときの車両オブジェクトの垂直方向の位置である車両オブジェクト高さ位置を、三次元位置情報が示す車両高さ位置と、道路高さ位置との差分に基づいて特定し、三次元仮想空間において、当該車両二次元位置と、特定した車両オブジェクト高さ位置とに対応する三次元位置に車両オブジェクトを配置する。このようにすることで、情報処理装置1は、車両Vを三次元仮想空間で再現する場合に不自然な状態で車両Vが再現されてしまうことを抑制することができる。
【0069】
なお、本発明により、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」に貢献することが可能となる。
【0070】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0071】
1 情報処理装置
11 通信部
12 記憶部
13 制御部
131 設定部
132 計時部
133 第1取得部
134 第2取得部
135 特定部
136 配置部
137 表示制御部
2 端末
V 車両
【要約】
【課題】車両を三次元仮想空間で再現する場合に不自然な状態で車両が再現されてしまうことを抑制する。
【解決手段】情報処理装置1は、車両Vに設けられた車両基準点における水平方向の二次元位置である車両二次元位置と、垂直方向の車両Vの位置である車両高さ位置とを示す三次元位置情報を取得する第1取得部133と、当該車両二次元位置に対応する道路高さ位置を示す道路高さ情報を取得する第2取得部134と、実空間に存在する道路に対応する道路オブジェクトが配置されている三次元仮想空間に車両Vに対応する車両オブジェクトを配置するときの車両オブジェクト高さ位置を、三次元位置情報が示す車両高さ位置と、道路高さ位置との差分に基づいて特定する特定部135と、三次元仮想空間において、車両二次元位置と、特定された車両オブジェクト高さ位置とに対応する三次元位置に車両オブジェクトを配置する配置部136と、を有する。
【選択図】図2

図1
図2
図3
図4
図5