IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 独立行政法人海上技術安全研究所の特許一覧 ▶ 宇部興産建材株式会社の特許一覧 ▶ 株式会社ピーエス三菱の特許一覧

<>
  • 特許-高耐久性裏込めグラウト材 図1
  • 特許-高耐久性裏込めグラウト材 図2
  • 特許-高耐久性裏込めグラウト材 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-16
(45)【発行日】2024-04-24
(54)【発明の名称】高耐久性裏込めグラウト材
(51)【国際特許分類】
   C04B 28/02 20060101AFI20240417BHJP
   C04B 16/06 20060101ALI20240417BHJP
   C04B 22/08 20060101ALI20240417BHJP
   C04B 22/14 20060101ALI20240417BHJP
   C04B 24/26 20060101ALI20240417BHJP
   E01C 7/14 20060101ALI20240417BHJP
   E01C 23/10 20060101ALI20240417BHJP
【FI】
C04B28/02
C04B16/06 A
C04B16/06 E
C04B16/06 Z
C04B22/08 Z
C04B22/14 B
C04B24/26 D
E01C7/14
E01C23/10
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020015631
(22)【出願日】2020-01-31
(65)【公開番号】P2021123507
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2022-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】501204525
【氏名又は名称】国立研究開発法人 海上・港湾・航空技術研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100088719
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 博史
(73)【特許権者】
【識別番号】515181409
【氏名又は名称】MUマテックス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000112196
【氏名又は名称】株式会社ピーエス三菱
(74)【上記1名の代理人】
【識別番号】100088719
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 博史
(72)【発明者】
【氏名】田原英男
(72)【発明者】
【氏名】高原幸之助
(72)【発明者】
【氏名】木元大輔
(72)【発明者】
【氏名】伊豆 太
(72)【発明者】
【氏名】福手 勤
(72)【発明者】
【氏名】西田 孝弘
(72)【発明者】
【氏名】諸橋 克敏
(72)【発明者】
【氏名】雨宮 美子
【審査官】田中 永一
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-015236(JP,A)
【文献】特開2004-360136(JP,A)
【文献】特開平07-002554(JP,A)
【文献】特開平10-183473(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106186864(CN,A)
【文献】特開2019-011233(JP,A)
【文献】特開2008-120612(JP,A)
【文献】国際公開第2017/171009(WO,A1)
【文献】特開2008-120611(JP,A)
【文献】特開2008-050214(JP,A)
【文献】特開2011-144103(JP,A)
【文献】特開2004-210557(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 2/00 - 32/02
E01C 7/14
E01C 23/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セメントを主成分とし、速硬材、繊維、減水剤、および凝結調整剤を含むコンクリート舗装版用裏込めグラウト材であって、上記繊維は乾式混合前においては集束状態を保ち乾式混合後には単繊維に解繊する解離性の集束繊維であり、該集束繊維はストレートシリコンオイルまたは変性シリコンオイルの油で一体化され、該油の含有率は該繊維に対して1.0質量%以上~5.0質量%以下であって、該繊維表面が該油による撥水性を有し、該グラウト材と水を練り混ぜてグラウトにしたときに、該撥水性によって該繊維がグラウト中に分散し、練り混ぜ開始2分後の該集束繊維の凝集率が20%以下であることを特徴とする高耐久性裏込めグラウト材。
【請求項2】
上記集束繊維は、繊維径10~30μmの単繊維を300~1200本を束にして一本化した、繊維長2~4mmの短繊維である請求項1に記載する高耐久性裏込めグラウト材。
【請求項3】
上記解離性の集束繊維の含有量がグラウトに対して0.05体積%以上~0.40体積%未満である請求項1または請求項2の何れかに記載する高耐久性裏込めグラウト材。
【請求項4】
上記解離性の集束繊維がアラミド繊維である請求項1~請求項3の何れかに記載する高耐久性裏込めグラウト材。
【請求項5】
上記速硬材の含有率が該セメントに対して8質量%以上~40質量%以下である請求項1~請求項4の何れかに記載する高耐久性裏込めグラウト材。
【請求項6】
再乳化粉末樹脂を含み、該再乳化粉末樹脂の含有量が該裏込めグラウト材の内割で3.0質量%以上~6.0質量%以下である請求項1~請求項5の何れかに記載する高耐久性裏込めグラウト材。
【請求項7】
上記再乳化粉末樹脂がアクリル系再乳化粉末樹脂である請求項6に記載する高耐久性裏込めグラウト材。
【請求項8】
上記減水剤の含有量が上記セメントに対して0.05質量%以上~1.0質量%以下、上記凝結調整剤の含有量が上記セメントに対して0.0~3.0質量%以下である請求項1~請求項7の何れかに記載する高耐久性裏込めグラウト材。
【請求項9】
上記グラウト材を水グラウト材比(W/B)35~65%で練り混ぜたグラウトのJA漏斗流下試験の流下時間が30秒以下であり、水和硬化後のグラウトの材齢2時間の圧縮強度が2N/mm以上であることを特徴とする請求項1~請求項8の何れかに記載する高耐久性裏込めグラウト材。
【請求項10】
請求項1~請求項9の何れかに記載する上記裏込めグラウト材によって形成された材齢7日の圧縮強度が20N/mm以上であることを特徴とする高耐久性裏込めグラウト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート舗装版下の隙間に導入される裏込めグラウトについて、繰返し荷重による粉状化に対する耐久性が高く、材齢2時間の初期強度に優れた裏込めグラウト材に関する。
【背景技術】
【0002】
プレキャストRC舗装版やプレキャストPC舗装版などのコンクリート舗装版の施工において、通常、舗装版を設置するには水平方向のレベル調整を行うために舗装版と路盤上面との間にスペーサー等が設置され、路盤上面と舗装版下面の間に約1mm~30mm程度の隙間が形成される。この隙間には裏込めグラウトが注入され、コンクリート舗装版の自重や交通の走行により発生する荷重を均一に路盤に伝達する構造が形成される。
【0003】
また、軟弱地盤上に構築されるコンクリート舗装版は、コンクリート舗装版の自重や経年の荷重により地盤が圧密されるため、コンクリート舗装版が僅かに沈下することが知られている。沈下した舗装表面の高さを元に戻すために、コンクリート舗装版を持ち上げて不陸調整し、その下面と路盤との間にできた空隙に裏込めグラウトが注入されることもある。
【0004】
このようなコンクリート舗装工事において、空港エプロン等の施設の舗装では、工事に時間的制約を受けるために迅速な施工が要求され、それに対応できるように裏込めグラウトにも速硬性が要求される。また、交通荷重による繰返し疲労による粉状化に対する抵抗性も求められる。
【0005】
裏込めグラウト材として、特開平8-290951号公報(特許文献1)には、セメント、カルシウムアルミネート、石膏、およびアルミナドロスを主成分とした裏込めグラウト材が記載されている。この裏込めグラウト材は、カルシウムアルミネートおよび石膏によって初期強度の発現を早め、アルミナドロスによって長期強度の抑制と容積減少の低減を図っている。
【0006】
しかし、特許文献1の裏込めグラウト材は、速硬性を有するものの、繰返し荷重による粉状化に対する抵抗性は十分ではなかった。そこで、特開2011-144103号公報(特許第5311584号:特許文献2)に記載されているように、疲労耐久性を高めた裏込めグラウト材が開発されている。この裏込めグラウト材は、セメントおよび速硬材を主成分にし、無機または有機の短繊維を配合したものであり、速硬材を配合して初期強度の発現を早めると共に短繊維を配合して繰返し荷重による粉状化に対する抵抗性を高めている。
【0007】
特許文献2の裏込めグラウト材は、短繊維を配合して耐粉状化性を高めているが、一方で速硬性を得るために多量の速硬材が配合されている。具体的には、セメントに対して25質量%~40質量%に及ぶ多量の速硬材が配合されている。しかし、速硬材の量が多いと、繰返し荷重に対する耐粉状化性が低下する傾向がある。一方、速硬材の量が少なく硬化までの時間が長すぎると、材料分離を生じやすくなり、短繊維がグラウト上面に偏って十分な疲労耐久性が得られない。そこで、速硬材の含有量を1~6質量%にして適度な流動性とゲル化までの時間を確保した裏込めグラウト材が提案されている(特開2019-11233号公報:特許文献3)。しかし、この裏込めグラウト材は材齢2時間の圧縮強度が低い。
【0008】
また、鉱物質粉末フィラーを配合したグラウト材(特許第3372012号:特許文献4)、アルミノ珪酸カルシウムや石膏等を配合したグラウト組成物(特開2004-210557号公報:特許文献5)が知られているが、何れも耐久性が低い。
【0009】
一方、セメント補強用繊維材料として、玄武岩繊維を樹脂で集束した補強用短繊維が知られており(特開2012-56780号公報)、また、多数の単繊維を束ねた繊維集束体をイソシアネート化合物樹脂で固め、表面をエポキシ樹脂で処理した補強用繊維材料が知られている(国際公開2016-117435号公報)。しかし、これらの補強用繊維材料は単繊維を束ねて樹脂で固めたものであるので、グラウトに配合したときに、該繊維材料が単繊維に分散せず集合体としてグラウト中に存在するので補強効果が十分ではない場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開平8-290951号公報
【文献】特開2011-144103号公報(特許第5311584号公報)
【文献】特開2019-11233号公報
【文献】特許第3372012号公報
【文献】特開2004-210557号公報
【文献】特開2012-56780号公報
【文献】国際公開2016-117435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の裏込めグラウト材は、従来の上記問題を解消したものであり、該グラウトに配合する繊維の種類と配合量を検討し、また特許文献3の裏込めグラウト材について、材齢2時間の初期強度を高めると共に十分な長期強度を有し、繰返し荷重に対する疲労耐久性に優れた裏込めグラウトを提供する。なお、本発明において、水を加えない粉体のものを裏込めグラウト材と云い、水を加えて練り混ぜ硬化するまでの液体状態のものを含め、水和硬化した状態のものを裏込めグラウトと云い、本発明の裏込めグラウト材によって形成された裏込めグラウトを本発明の裏込めグラウトと云う。
また、水を除いた繊維およびセメント等の材料を混合してグラウト材を製造することを乾式混合といい、粉体のグラウト材に水を加え練り混ぜグラウトを製造する工程を練り混ぜという。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、以下の構成からなる裏込めグラウト材等に関する。
〔1〕セメントを主成分とし、速硬材、繊維、減水剤、および凝結調整剤を含むコンクリート舗装版用裏込めグラウト材であって、上記繊維は乾式混合前においては集束状態を保ち乾式混合後には単繊維に解繊する解離性の集束繊維であり、該集束繊維はストレートシリコンオイルまたは変性シリコンオイルの油で一体化され、該油の含有率は該繊維に対して1.0質量%以上~5.0質量%以下であって、該繊維表面が該油による撥水性を有し、該グラウト材と水を練り混ぜてグラウトにしたときに、該撥水性によって該繊維がグラウト中に分散し、練り混ぜ開始2分後の該集束繊維の凝集率が20%以下であることを特徴とする高耐久性裏込めグラウト材。
〔2〕上記集束繊維は、繊維径10~30μmの単繊維を300~1200本を束にして一本化した、繊維長2~4mmの短繊維である上記[1]に記載する高耐久性裏込めグラウト材。
〔3〕上記解離性の集束繊維の含有量がグラウトに対して0.05体積%以上~0.40体積%未満である上記[1]または上記[2]の何れかに記載する高耐久性裏込めグラウト材。
〔4〕上記解離性の集束繊維がアラミド繊維である上記[1]~上記[3]の何れかに記載する高耐久性裏込めグラウト材。
〔5〕上記速硬材の含有率が該セメントに対して8質量%以上~40質量%以下である上記[1]~上記[4]の何れかに記載する高耐久性裏込めグラウト材。
〔6〕再乳化粉末樹脂を含み、該再乳化粉末樹脂の含有量が該裏込めグラウト材の内割で3.0質量%以上~6.0質量%以下である上記[1]~上記[5]の何れかに記載する高耐久性裏込めグラウト材。
〔7〕上記再乳化粉末樹脂がアクリル系再乳化粉末樹脂である上記[6]に記載する高耐久性裏込めグラウト材。
〔8〕上記減水剤の含有量が上記セメントに対して0.05質量%以上~1.0質量%以下、上記凝結調整剤の含有量が上記セメントに対して0.0~3.0質量%以下である上記[1]~上記[7]の何れかに記載する高耐久性裏込めグラウト材。
〔9〕上記グラウト材を水グラウト材比(W/B)35~65%で練り混ぜたグラウトのJA漏斗流下試験の流下時間が30秒以下であり、水和硬化後のグラウトの材齢2時間の圧縮強度が2N/mm2 以上であることを特徴とする上記[1]~上記[8]の何れかに記載する高耐久性裏込めグラウト材。
〔10〕上記[1]~上記[9]の何れかに記載する上記裏込めグラウト材によって形成された材齢7日の圧縮強度が20N/mm以上であることを特徴とする高耐久性裏込めグラウト。
【0013】
〔具体的な説明〕
本発明の裏込めグラウト材(以下、グラウト材と云う)は、セメントを主成分とし、速硬材、繊維、減水剤、および凝結調整剤を含むコンクリート舗装版用裏込めグラウト材であって、上記繊維は乾式混合前においては集束状態を保ち乾式混合後には単繊維に解繊する解離性の集束繊維であり、該集束繊維はストレートシリコンオイルまたは変性シリコンオイルの油で一体化され、該油の含有率は該繊維に対して1.0質量%以上~5.0質量%以下であって、該繊維表面が該油による撥水性を有し、該グラウト材と水を練り混ぜてグラウトにしたときに、該撥水性によって該繊維がグラウト中に分散し、練り混ぜ開始2分後の該集束繊維の凝集率が20%以下であることを特徴とする高耐久性裏込めグラウト材であり、好ましくは、上記集束繊維は、繊維径10~30μmの単繊維を300~1200本を束にして一本化した、繊維長2~4mmの短繊維である高耐久性裏込めグラウト材である。
【0014】
本発明のグラウト材はセメントを主成分とする。セメントは普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、高炉セメント、フライアッシュセメント、または白色セメントなどを使用することができる。
【0015】
本発明のグラウト材は速硬材を含む。速硬材は、C12などのカルシウムアルミネート粉砕物(ブレーン比表面積4000~6000cm/g)と無水石膏(ブレーン比表面積5000~12000cm/g)の混合物、超速硬セメント、アルミナセメントなどを用いることができる。カルシウムアルミネート粉砕物と無水石膏の混合物からなる速硬材は、カルシウムアルミネート粉砕物と無水石膏が概ね40:60~60:40質量比含まれている。市販品としては、例えば三菱マテリアル社製のコーカエーススーパー(商品名)などを用いることができる。
【0016】
速硬材の含有量は、セメントに対して8質量%以上~40質量%以下が好ましい。速硬材の含有量が上記範囲であることによって、グラウトの材齢2時間の圧縮強度を2N/mm以上に高めることができる。速硬材の含有量が8質量%未満では材齢2時間の圧縮強度を上記強度に高めるのが難しい。一方、速硬材の含有量が40質量%を超えると原料のコストが高くなるので好ましくない。
【0017】
本発明のグラウト材は繊維を含み、該繊維は解離性の集束繊維である。集束繊維とは複数の単繊維が一体化された繊維の集束体であって、解離性の集束繊維とはセメント等との乾式混合後には単繊維に解繊する集束繊維であり、さらにグラウト材を水と練り混ぜたときに凝集し難い性質を有する集束繊維を云う。具体的には、例えば、練り混ぜ2分後の凝集率Sが20%以下の集束繊維である。
【0018】
上記凝集率Sとは、配合した繊維の全量に対する練り混ぜ時に生じる凝集物量の質量比であり、例えば、次式[1]によって表される。なお、本発明において凝集物とは、篩の開き目4mmの篩上残留物である。
凝集率S=(G/M)×100 ・・・[1]
(Mは配合した繊維の全質量、Gは凝集物質量)
【0019】
解離性の集束繊維は、樹脂などの結着剤によって固めたものではなく、複数の単繊維の間に水や油を含ませて束にした状態で乾燥し、分子間力などによって一体化したものである。油は例えばストレートシリコンオイル、変性シリコンオイルなどが用いられる。油の含有率(含油率)は繊維に対して1.0質量%以上~5.0質量%以下が好ましい。
【0020】
油で処理した集束繊維は、グラウト材の乾式混合後に単繊維に解繊するが、繊維表面が撥水性を有するので、水を加えた練り混ぜの際に、この撥水性によって水の存在下で繊維どうしが絡み合うことなく、グラウト中に分散する性質を有する。このため、練り混ぜ時に凝集(ダマ)を生じ難く、凝集率Sが小さい。一方、油で処理されていない集束繊維は、油の代わりに水を含むので親水性が良く、練り混ぜ時に凝集物を生じやすく、凝集率Sが大きい。本発明で用いる集束繊維は、主に油処理された集束繊維であり、練り混ぜ時に凝集し難いので凝集率が小さい。
【0021】
このように、本発明において用いる解離性の集束繊維は、乾式混合時には集束状態を保つので凝集し難く、さらに水を加えた練り混ぜ時には、油の撥水性などによって凝集を生じ難く、凝集率Sが20%以下であり、該グラウト材と水を練り混ぜてグラウトにしたときに、該撥水性によって該繊維がグラウト中に均一に分散する。


【0022】
上記解離性の集束繊維は、例えば、繊維径が約10~約30μmの単繊維を約300~約1200本を束にして一体化したものである。集束繊維の一体化した形状は平板状でもよく、また棒状でもよい。このような解離性の集束繊維を含むことによって、該集束繊維が単繊維に解繊してグラウト中にダマを形成し難いのでグラウトの強度が増し疲労耐久性が向上する。
【0023】
上記解離性の集束繊維は繊維長2~4mmの短繊維が好ましい。適度な長さの単繊維を集束して集束繊維にした後に2~4mmの繊維長に切断すればよい。繊維長2~4mmの集束繊維を用いることによって、グラウトの練り混ぜ時に繊維のダマが少なくフレッシュグラウトの流動性も良好に保たれる。
【0024】
上記解離性の集束繊維の含有量は、グラウトに対して0.05体積%以上~0.40体積%未満が良く、0.15体積%以上~0.25体積%以下がより好ましい。該集束繊維の含有量が0.05体積%より少ないと補強効果が不十分になり、0.40体積%を上回るとフレッシュグラウトの流動性が低下するので好ましくない。さらに、該集束繊維は繊維長2~4mmの短繊維が良く、繊維長6mm以上の繊維量は0.1体積%未満が好ましい。繊維長6mm以上の繊維は繊維長が長いので凝集し易く、グラウトを2分間練り混ぜた後の上記凝集率Sが20%を上回る場合があり、この繊維長6mm以上の繊維量が0.1体積%より多いと流動性が低下するので、好ましくない。
【0025】
上記解離性の集束繊維の材質は、ポリアミド繊維(商品名アラミド繊維)、ポリビニルアルコール繊維(商品名ビニロン繊維)、または炭素繊維などを用いることができる。このうちアラミド繊維は引張強度が350kg/mmと高いため、少量でグラウトの疲労耐久性を高めることができるので好ましい。
【0026】
本発明のグラウト材は、再乳化粉末樹脂を含有することができる。再乳化粉末樹脂は、ゴムラテックスおよび樹脂エマルションに安定剤などを加えて乾燥した再乳化可能な粉末状樹脂であり、日本産業規格(JIS A 6203)に定められている。再乳化粉末樹脂としては、例えば、アクリル系、アクリル-ベオバ系、EVA(エチレン・酢酸ビニル共重合体)系、SBR(スチレン・ブタジエンゴム)系などが知られている。グラウトの疲労耐久性をより高めるにはアクリル系が好ましい。
【0027】
再乳化粉末樹脂を含有することによって、速硬材を多くしてもグラウトの疲労耐久性を高めることができる。具体的には、本発明のグラウト材は、速硬材の含有量8質量%以上~40質量%以下と共に、再乳化粉末樹脂をグラウト材の内割で3.0~6.0質量%含有することによって、フレッシュグラウトについてJA漏斗流下時間が30秒以下の流動性を保ち、グラウトの疲労耐久性を高めることができる。再乳化粉末樹脂の含有量が3.0質量%未満では上記効果が乏しく、6.0質量%を超えると練り混ぜの際に水分が不足して流動性が悪くなる。
【0028】
なお、特許文献3の裏込めグラウト材では、再乳化粉末樹脂の含有量はセメントの0.5~8質量%が好ましいことが示されているが、この裏込めグラウト材の速硬材含有量はセメントに対して1~6質量%に限定されており、しかも、その実施例での速硬材の量は3質量%であって、再乳化粉末樹脂の量は2質量%である。従って、セメントに対して8~40質量%の速硬材に対して、再乳化粉末樹脂を上記含有量用いたときの効果を特許文献3から窺い知ることは全くできない。
【0029】
本発明のグラウト材は水中不分離剤を含むことができる。水中不分離剤としては、MC(メチルセルロース)、HPMC(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、HEMC(ヒドロキシエチルメチルセルロース)、HMPポリマー(変性アクリルアミドモノマー)、グアーガム誘導体(ヒドロキシプロピルグアー)などを使用することができる。
【0030】
本発明のグラウト材は減水剤を含む。所定量の減水剤を含むことによって、フレッシュグラウトの流動性が改善され、自然流下によってコンクリート舗装版下の隙間へ注入することが可能となる。減水剤の含有量はセメントに対して0.05~1.0質量%が好ましい。減水剤の含有量が0.05質量%未満では減水剤の効果が乏しく、1.0質量%を超えるとグラウトの流動性が過剰となって材料分離を生じ、繊維がグラウトの上面に浮いてくることがある。減水剤としては市販品のポリカルボン酸塩系高性能減水剤(商品名メルフラックス等)などを用いることができる。
【0031】
本発明のグラウト材は凝結調整剤を含む。凝結調整剤としては、無機炭酸塩、無機硫酸塩、オキシカルボン酸、オキシカルボン酸塩などを用いることができる。凝結調整剤を含有することによって、ゲル化までの適度な時間(凝結開始までの時間)を確保して施工時の良好な流動性を維持すると共に、上記時間経過後はゲル化の進行によってブリーディングの発生を抑え、またグラウトの粘性が高まることによってグラウト中の短繊維の分離が抑制されて短繊維の分散性が向上する。
【0032】
凝結調整剤の含有量はセメントに対して0.0~3.0質量%が好ましい。凝結調整剤の含有量が3.0質量%を超えると、凝結開始までの時間が長すぎて短繊維がグラウト表面に偏在する材料分離を生じやすくなる。
【0033】
本発明のグラウト材は無機フィラーを含有してもよい。無機フィラーとしては道路用普通炭酸カルシウム粉末、フライアッシュ、シリカフューム等を用いることができる。このうち道路用普通炭酸カルシウム粉末やフライアッシュ等が好ましく、道路用普通炭酸カルシウム等が特に好ましい。
【0034】
本発明のグラウト材は、これに水を加えて混練したときに、水グラウト材比(W/B)35~65%で練り混ぜたグラウトにおいて、コンクリート標準示方書(規準編)(JSCE F-531-2018「PCグラウトの流動性試験方法(案)」[土木学会])に規定されるJA漏斗流下試験の流下時間が30秒以下の流動性を有する。なお、以下の説明においてJA漏斗流下試験とは土木学会による上記規格に基づくJA漏斗流下試験である。流下時間が30秒を超えると流動性が低いため、コンクリート舗装版下の空隙に良好に注入し難くなる。なお、水グラウト材比(W/B)が35%未満では所要の流動性を得ることができず、JA漏斗試験の流下時間は概ね35秒を超える。一方、水グラウト材比(W/B)が65%を超えるとブリーディングを抑制することが難しくなる。
【0035】
本発明のグラウト材からなるグラウトは、材齢7日以上の長期強度に優れており、繰返し荷重に対して高い耐粉状化性を有しており、疲労耐久性に優れている。長期強度について、具体的には、材齢7日以上の圧縮強度は20N/mm以上である。
【0036】
グラウトの疲労耐久性は、水浸ホイールトラッキング試験方法(舗装調査・試験法便覧(社団法人日本道路協会編(平成31年)))に規定されたホイールトラッキング試験等より評価することができる。疲労耐久性は、グラウト下面に発生するひずみを直接測定し、また、実構造物でグラウトに発生するひずみを3次元有限要素解析により計算し、この計算値を用いて、コンクリート標準示方書 設計編(2017年制定)[土木学会]に示されるコンクリートの疲労強度式に準じて評価することができる。
【発明の効果】
【0037】
本発明のグラウト材は解離性の集束繊維を含むことによって、フレッシュグラウトの良好な流動性を維持しつつ、グラウトの高い初期強度を有している。該集束繊維は乾式混合時には凝集を生じ難く、均一に分散する。一方、集束されていない繊維を用いると、乾式混合(プレミックス)時にダマになりやすく、均一に分散させることができない。また、解離性の集束繊維は、油処理されたものは、表面が撥水性を有するので水の存在下で、この撥水性によって繊維どうしが絡むことなく分散し、グラウト中に均一に分散する。このためグラウトの疲労耐久性を高めることができる。
【0038】
本発明のグラウトは材齢2時間の圧縮強度が2N/mm以上である。従って、施工後に短時間での供用が求められる環境下での使用に適する。例えば、空港施設でのエプロンなどの舗装補修では、施工後数時間程度の短時間で供用できることが必要になるが、本発明のグラウト材はこのような短時間での供用が可能になる。
【0039】
本発明の再乳化粉末樹脂を含むグラウト材は、速硬材の含有量を多くして材齢2時間の初期強度を高める場合に、繰返し荷重に対する疲労耐久性を高めている。
【0040】
さらに、本発明のグラウト材は流動性が良く、水グラウト材比(W/B)35~65%において練り混ぜたグラウトの、JA漏斗試験の流下時間が30秒以下である。このため、例えば、0.4m×4.5m×隙間5mmのコンクリート舗装版の裏側に自然流下で充填することができる。さらに、荷重に対する変位の追随性が良好である。
【0041】
本発明のグラウトは、具体的には、例えば、上記WT試験(ホイールトラッキング試験)において、厚さ5mmの載荷版(ポリカーボネイト版)を用いた条件下で、2000回の繰返し荷重でのひび割れ密度は0.002%程度であり、従来のグラウト材よりも、ひび割れ密度が格段に小さく、繰返し荷重に対して高い疲労耐久性を有している。
【0042】
さらに、本発明のグラウトは材齢7日の圧縮強度が20N/mm以上であり、十分な長期強度を有しており、さらに繰返し荷重に対して高い疲労耐久性を有しているので、航空機や大型車両による繰返し荷重を受けても、疲労による粉状化を生じ難い。従って、航空機や大型車両が出入りする空港や港湾施設等のコンテナヤードなどの舗装版の裏込めグラウトとして好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】破壊エネルギー試験結果を示すグラフ
図2】WT試験の側面説明図
図3】WT試験の平面説明図
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、本発明の実施例を比較例と共に示す。表1に使用材料を示す。表2にベースグラウト材の配合比を示す。
【0045】
【表1】

【0046】
【表2】
【0047】
〔実施例1〕
表2に示す配合比のベースグラウト材に、表1に示す集束繊維A(表面油処理:含油率2質量%、含水率0質量%)を該グラウトに対して繊維添加率が0.20体積%になるように配合して乾式混合し、粉状のグラウト材を製造した。乾式混合終了後、網目の開き4mmの篩に粉状のグラウト材を載せて凝集物G1を回収し、上記式[1]によって凝集率(S)を求めた。
次に、水グラウト材比50%になるように水を加えて2分間練り混ぜた。練り混ぜ終了後に網目の開き4mmの篩にスラリー状のグラウトを通じて凝集物G2を回収し、上記式[1]によって凝集率(S)を求めた。また、JA漏斗試験の流下時間を測定した。この結果を表3に示した(本発明試料)。
【0048】
一方、比較試料1として、アラミド単繊維を含水させて一体化した繊維体(集束繊維、、表面油処理なし、含水率5%)を用い、これを上記ベースグラウト材に、該グラウトに対して繊維添加率が0.20体積%になるように配合し、本発明試料と同様にして乾式混合終了後の凝集率(S)を求めた。また、水を加えて水グラウト材比50%でグラウト材を練り混ぜ、練り混ぜ開始2分間後の凝集率(S)およびJA漏斗流下時間を求めた。この結果を表3に示した(比較試料1)。
また、比較試料2として、バラのアラミド単繊維を用い、これを上記ベースグラウト材に該グラウトに対して繊維添加率が0.20体積%となるように配合し、本発明試料と同様にして乾式混合後の凝集率(S)、練り混ぜ開始2分間後の凝集率(S)およびJA漏斗流下時間を求めた。この結果を表3に示した(比較試料2)。
【0049】
表3に示すように、本発明試料は、乾式混合後の凝集率(S)および練り混ぜ後の凝集率(S)の何れも、比較試料1、2よりも格段に小さく、繊維のダマが生じ難く、グラウト中に単繊維がよく分散されている。そのため、良好な流動性を有しており、JA漏斗流下時間は20秒以下である。
一方、比較試料1は、含水状態の集束繊維であり、表面を油処理していないので、繊維体が水に接すると親水性が良いため、練り混ぜ直後から単繊維どうしが絡み合ってダマ(凝集体)が形成される。このため、練り混ぜ後の凝集率(S)が36%と高く、JA漏斗流下時間も20秒を超える。
また、比較試料2のアラミド単繊維を用いた場合、乾式混合後の凝集率(S)と練り混ぜ後の凝集率(S)は本発明試料および比較試料1の何れに比べても大幅に高い。また、流下試験では途中で流路が閉塞している。
【0050】
【表3】
【0051】
〔実施例2〕
表2に示す配合比のベースグラウトに、表1に示す集束繊維Aを、表4に示す繊維量を配合して乾式混合し、プレミックスの粉体グラウト材を調製した。これに水を加え、水グラウト材比50%で2分間練り混ぜてグラウトを調製した。このグラウトについて、フレッシュ性状を目視観察し、以下の試験を行った。これらの結果を表4に示した。
試験方法
JA漏斗流下試験:コンクリート標準示方書(規準編)(JSCE F-531-2018「PCグラウトの流動性試験方法(案)」[土木学会])に規定されるJA漏斗流下試験。
圧縮強度:JSCE-G505-2018「円柱供試体を用いたモルタルまたはセメントペーストの圧縮強度試験方法」に準拠。
引張強度:JIS A 1113:2018「コンクリートの割裂引張強度試験方法」に準拠。
曲げ強度:JIS R 5201:2015「セメントの物理試験方法」に準拠。
破壊エネルギー:規格(JSCE-G552「鋼繊維補強コンクリートの曲げ強度および曲げタフネス試験方法」)に準じて行った。破壊エネルギーは試験開始時から破断点のあいだの荷重-たわみ線図で囲まれる面積に基づいて算出。本実施例においては、変位5mmまでの荷重-たわみ線図で囲まれる面積に基づいて算出した。
試験結果
グラウトのフレッシュ性状は、繊維量0.25体積%までは良好であるが、繊維量が0.40体積%になるとファイバーボールが多く、グラウトのフレッシュ性状が劣化した。繊維量0.05体積%~0.25体積%では流下時間が20秒以下であって流動性が良く、引張強度、曲げ強度、破壊エネルギーが向上する。繊維量0.15体積%~0.25体積%では引張強度および曲げ強度が高い。従って、グラウトに配合される集束繊維Aの繊維量は0.05体積%以上~0.40体積%未満が良く、0.15体積%~0.25体積%が好ましい。
【0052】
【表4】
【0053】
〔実施例3〕
表2に示す配合のベースグラウト材に、表5に示す配合量の再乳化粉末樹脂を加えた。また、集束繊維Aをグラウトに対して0.05体積%加え、水グラウト材比50%で練り混ぜ、グラウト(試料A1~A5)を調製した。この試料(A1~A5)について、JA漏斗流下試験を規格(JSCE-F531-2018)に準拠して行った。また、圧縮強度試験を行い、静弾性係数を測定した。
圧縮強度試験は、φ5×10cmの試験体を使用し、規格(JSCE-G505-2018:土木学会基準「円柱供試体を用いたモルタルまたはセメントペーストの圧縮強度試験方法(案)」)に準拠し、材齢2時間および7日の圧縮強度を測定した。
静弾性係数は、φ5×10cmの試験体を使用し、規格(JIS A 1149:2017「コンクリートの静弾性係数試験方法」に準じて材齢7日の静弾性係数を測定した。
この結果を表6に示す。
【0054】
表6に示すように、再乳化粉末樹脂の配合量が3~5質量%の範囲では練混ぜ状態が良好であり、6質量%になると水とやや馴染み難いが、流下時間および材齢2時間の圧縮強度は良好である。一方、再乳化粉末樹脂の配合量が7質量%になると、均一に練混ぜるまでの時間が掛かる。従って、再乳化粉末樹脂の含有量はグラウト材の内割りで3~6質量%が好ましい。また、本発明の試料A2~A4は何れも材齢2時間の圧縮強度が4N/mm以上であり、目標強度2N/mmを上回っている。
【0055】
【表5】
【0056】
【表6】
【0057】
〔実施例4〕
表2のベースグラウト材に、表7に示す配合量の再乳化粉末樹脂と、集束繊維A(3mm)、集束繊維B(6mm)を加え、表7に示す水グラウト材比で練り混ぜ、グラウト(試料B1~B6)を調製した。この試料(B1~B6)について、JA漏斗流下試験を規格(JSCE-F531-2018)に準拠して行った。さらに充填性試験、破壊エネルギー試験を行った。
充填性試験は、幅400mm、長さ4500mm、隙間5mmの試験装置にグラウトを水頭差1000mmの自然流下で充填し、充填開始から先端までグラウトが届く時間を計測した。破壊エネルギー試験は、20×100×400mmの試験体を用い、万能試験機によって破壊エネルギーを測定した。
JA漏斗流下試験および充填性試験の結果を表7に示す。破壊エネルギー試験の結果を図1に示す。
【0058】
表7に示すように、再乳化粉末樹脂を含むグラウト材において、集束繊維A(3mm)を0.25体積%含有する試料B3は、漏斗の流下時間が25秒であり、良好な流動性を示しており充填時間も短い。一方、集束繊維B(6mm)を0.15体積%含む試料B4は流下試験の漏斗が閉塞し、集束繊維B(6mm)を0.1体積%含む試料B5は充填性試験の途中で注入不可になる。一方、試料B6に示すように、繊維量の合計が0.1体積%であって、集束繊維B(6mm)の含有量が0.05体積%であれば、適度な流動性を示し、自然流下で充填することができる。従って、集束繊維の合計含有量は0.05~0.25体積%であって、繊維長6mm以上の繊維量は0.1体積%未満が好ましい。
【0059】
また、図1のグラフに示すように、集束繊維Aを含むことによって荷重に対する変位が大きく、変位追随性が高くなる(試料B2)。さらに上記再乳化粉末樹脂を含むことによって荷重に対する変位(変位追随性)はさらに大きく良好になる(試料B3)。
【0060】
【表7】
【0061】
〔実施例5〕
表7の試料B1、B2、B3についてホイールトラッキング試験を行った。
ホイールトラッキング試験(WT試験)は、水浸ホイールトラッキング試験方法(舗装調査・試験法便覧(社団法人日本道路協会編(平成19年6月)))に準拠して行った。試験条件を表8に示す。試験方法の概要を図2図3に示す。図示するように、模擬路盤材(発泡スチロール)10の上面に試験体(裏込めグラウト)11を載せて拘束版12で押さえ、その上側に載荷版(ポリカーボネイト版:厚さ5mm)13を設置し、載荷版13の上側から走行ホイール14を押し当て、表8に示す走行回数を往復動させ、グラウトが破損する回数を測定した。WT試験の試験条件を表9に示す。
【0062】
試料B1はWT試験1500回で破壊したので試験を打ち切った。繊維の多い試料B2、B3はWT試験2000回においても破壊が認めらなかった。WT試験2000回後の板の状態は、試料B2のひび割れ密度が0.009%であるのに対して、試料B3のひび割れ密度は0.002%であり、本発明の試料B3はWT試験における疲労耐久性に対する抵抗性が格段に高いことが示された。なお、載荷版5mmの試験で2000回の結果は、特許文献3の載荷版10mmの試験では概ね2万回の結果に相当すると考えられる。
【0063】
【表8】
【0064】
【表9】
【符号の説明】
【0065】
10-模擬路盤材(発泡スチロール)、11-試験体(裏込めグラウト)、
12-拘束板12、13-載荷版(ポリカーボネイト版)、14-走行ホイール
図1
図2
図3