(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-16
(45)【発行日】2024-04-24
(54)【発明の名称】ドットパターン
(51)【国際特許分類】
G06K 19/06 20060101AFI20240417BHJP
【FI】
G06K19/06 037
G06K19/06 131
G06K19/06 103
(21)【出願番号】P 2023032168
(22)【出願日】2023-03-02
(62)【分割の表示】P 2022212873の分割
【原出願日】2022-12-30
【審査請求日】2023-03-06
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】504340202
【氏名又は名称】グリッドマーク株式会社
(72)【発明者】
【氏名】吉田 健治
【審査官】小林 紀和
(56)【参考文献】
【文献】特許第5489122(JP,B2)
【文献】特開2007-073057(JP,A)
【文献】特許第4336837(JP,B2)
【文献】特許第6445734(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 19/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の規則に則ってドットが配置されたドットパターンであって、
前記ドットは、
前記ドットパターンで符号化するための基準となり、向きを特定可能なドットを含む複数の基準ドットと、
前記基準ドットの配置を基に特定される複数の配置領域に配置される情報ドットと、を含み、
前記ドットパターンは、媒体に複数形成され、前記ドットパターンに重畳または隣接して、前記媒体の所定の位置に前記ドット以外の画像の少なくとも一部が形成されており、
少なくとも1つの前記ドットパターンは、復号できない不可領域を含み、前記不可領域に対応するドットが前記不可領域を含むドットパターン以外のドットパターンによって補完される、
ドットパターン。
【請求項2】
前記不可領域には、前記ドットパターンの少なくとも一部が印刷されていないか、または、前記画像に前記ドットパターンの少なくとも一部が重畳印刷されている、
請求項1記載のドットパターン。
【請求項3】
所定の規則に則ってドットが配置されたドットパターンであって、
前記ドットは、
前記ドットパターンで符号化するための基準となり、向きを特定可能なドットを含む複数の基準ドットと、
前記基準ドットの配置を基に特定される複数の配置領域に配置される情報ドットと、を含み、
前記ドットパターンは、媒体に複数形成され、前記ドットパターンに重畳または隣接して、前記媒体の所定の位置に前記ドット以外の画像の少なくとも一部が形成されており、
前記画像は、前記ドットパターンを読み取るドットコード読み取り装置がフォーカスを合わせることが可能なフォーカス用画像である、ドットパターン。
【請求項4】
所定の規則に則ってドットが配置されたドットパターンであって、
前記ドットは、
前記ドットパターンで符号化するための基準となり、向きを特定可能なドットを含む複数の基準ドットと、
前記基準ドットの配置を基に特定される複数の配置領域に配置される情報ドットと、を含み、
前記ドットパターンは、媒体に複数形成され、前記ドットパターンに重畳または隣接して、前記媒体の所定の位置に前記ドット以外の画像の少なくとも一部が形成されており、
前記画像は、前記ドットパターンを読み取るドットコード読み取り装置に内蔵または接続される情報処理装置が認識可能な特定画像を含み、
前記ドットパターンで符号化されたドットコードの少なくとも一部は、前記特定画像によって関連付けられた1以上の所定の情報および1以上の情報処理の少なくともいずれかを特定
し、
前記特定画像によって関連付けられた前記1以上の所定の情報および1以上の情報処理の少なくともいずれかは、該特定画像との所定の位置関係で拡張処理して形成される、
ドットパターン。
【請求項5】
前記所定の位置関係は、少なくとも前記ドットコードに含まれる座標値に基づき拡張処理して形成される、請求項4に記載のドットパターン。
【請求項6】
前記画像に重畳、隣接、または近接して点状の凸部が複数設けられている、
請求項1~4のいずれかに記載のドットパターン。
【請求項7】
少なくとも前記情報ドットの一部は、濃度の異なる複数のドットからなり、
少なくとも一方の濃度の前記ドットは、情報を定義しないダミードットまたは真の情報を定義する情報ドットである、
請求項1~4のいずれかに記載のドットパターン。
【請求項8】
少なくとも1つの前記ドットパターンは、復号できない不可領域を含み、前記不可領域に対応するドットが前記不可領域を含むドットパターン以外のドットパターンによって補完される、
請求項3または請求項4に記載のドットパターン。
【請求項9】
前記不可領域には、前記ドットパターンの少なくとも一部が印刷されていないか、または、前記画像に前記ドットパターンの少なくとも一部が重畳印刷されている、
請求項
8に記載のドットパターン。
【請求項10】
前記画像は、前記ドットパターンを読み取るドットコード読み取り装置がフォーカスを合わせることが可能なフォーカス用画像である、請求項1または請求項4に記載のドットパターン。
【請求項11】
前記画像は、前記ドットパターンを読み取るドットコード読み取り装置に内蔵または接続される情報処理装置が認識可能な特定画像を含み、
前記ドットパターンで符号化されたドットコードの少なくとも一部は、前記特定画像によって関連付けられた1以上の所定の情報および1以上の情報処理の少なくともいずれかを特定する、請求項1または3に記載のドットパターン。
【請求項12】
前記フォーカス用画像には特定画像の少なくとも一部が含まれ、該特定画像は、前記ドットコード読み取り装置に内蔵または接続され
る情報処理装置により認識され、
前記ドットパターンで符号化されたドットコードの少なくとも一部は、前記特定画像によって関連付けられ
た1以上の所定の情報および1以上の情報処理の少なくともいずれかを特定する、
請求項3に記載のドットパターン。
【請求項13】
前記ドットパターンで符号化されたドットコードの少なくとも一部は、所定の情報および情報処理の少なくともいずれかが関連付けられた、請求項1~4のいずれかに記載のドットパターン。
【請求項14】
前記ドットコードの少なくとも一部で関連付けられた前記所定の情報および情報処理の少なくともいずれかは、該ドットコードが形成された前記媒体表面との所定の位置関係で拡張処理して形成される、請求項12に記載のドットパターン。
【請求項15】
前記所定の位置関係は、少なくとも前記ドットコードに含まれる座標値に基づき拡張処理して形成される、請求項
14に記載のドットパターン。
【請求項16】
前記座標値は、前記媒体表面を示す座標値に対応し、該媒体表面の所定の位置を特定できる、請求項15に記載のドットパターン。
【請求項17】
前記所定の位置関係は、前記ドットコード読み取り装置によって撮影された前記ドットパターンの向きおよび変形状態から、該ドットコード読み取り装置の撮影方向と前記特定画像との傾斜角および/または回転角を取得して、前記所定の位置関係で拡張処理して形成される、請求項
4に記載のドットパターン。
【請求項18】
前記ドットは、前記ドットコード読み取り装置がフォーカスを所定時間以内に合わせることができない大きさおよび形状の少なくともいずれかであり、
前記フォーカス用画像は、前記ドットコード読み取り装置がフォーカスを前記所定時間以内に合わせることが可能である、
請求項3に記載のドットパターン。
【請求項19】
前記媒体は、印刷用媒体またはディスプレイのいずれかであって、
前記ドットパターンおよび前記画像が前記印刷用媒体に印刷または前記ディスプレイに表示される、請求項1~4のいずれかに記載のドットパターン。
【請求項20】
前記ドットは、所定の背景に重畳して形成され、
前記所定の背景と識別して前記ドットの配置が取得されるように、前記ドットの色と前記所定の背景の色が設定される、請求項1~4のいずれかに記載のドットパターン。
【請求項21】
前記ドットパターンは、前記媒体に少なくとも上下左右に2個以上連接して形成された、請求項1~4のいずかに記載のドットパターン。
【請求項22】
前記不可領域において、前記基準ドットの少なくとも一部が認識できず、前記ドットを復号できない場合に、
その他の認識できる基準ドットを基に該認識できない基準ドットの位置に仮想的に基準ドットを配置して、前記ドットを復号する、請求項1に記載のドットパターン。
【請求項23】
前記媒体には、近傍に記入領域が形成されている、
請求項1~4のいずれかに記載のドットパターン。
【請求項24】
請求項1~4のいずれかに記載のドットパターンを媒体に複数形成する手段を備える、
ドットパターン生成装置。
【請求項25】
請求項1~4のいずれかに記載のドットパターンと前記画像を撮影する手段と、
前記ドットパターンをドットコードに復号する手段と、
を備えるドットコード読み取り装置。
【請求項26】
コンピュータに、
請求項1~4のいずれかに記載のドットパターンを媒体に複数形成させる、
ドットパターン生成プログラム。
【請求項27】
コンピュータに、
請求項1~4のいずれかに記載のドットパターンをドットコード読み取り装置で撮影させ、
該ドットパターンをドットコードに復号させる、
ドットパターン読み取りプログラム。
【請求項28】
ドットコードと、情報または操作指示が記憶された記憶先を特定する情報と、が対応付けて登録されたテーブルにアクセスさせることが可能であり、
前記復号されたドットコードを基に前記テーブルから前記記憶先を取得し、
前記情報を出力しまたは前記操作指示を実行する、
請求項27に記載のドットパターン読み取りプログラム。
【請求項29】
前記復号されたドットコードに対応付けてテーブルに登録される情報または操作指示を受け付け、
前記受け付けた情報または操作指示を所定の記憶先に記憶させ、
前記ドットコードと前記記憶先を特定する情報とを前記テーブルに登録する、
請求項27に記載のドットパターン読み取りプログラム。
【請求項30】
請求項1~4のいずれかに記載のドットパターンを媒体に複数形成する、
ドットパターン生成方法。
【請求項31】
請求項1~4のいずれかに記載のドットパターンと前記画像を撮影し、
前記ドットパターンをドットコードに復号する、
ドットパターン読み取り方法。
【請求項32】
請求項1~4のいずれかに記載のドットパターンを撮影して、該ドットパターンをドットコードに復号する読み取り手段と、
所定の情報および情報処理の結果の少なくともいずれかを出力する出力手段と、を備える情報処理装置と、
前記ドットコードを受信して、該ドットコードの少なくとも一部に関連付けられた前記所定の情報および情報処理を前記情報処理装置に送信するサーバーと、
を備える、ドットパターン読み取りシステム。
【請求項33】
情報処理装置が、請求項1~4のいずれかに記載のドットパターンを撮影して、該ドットパターンをドットコードに復号し、所定の情報および情報処理の結果の少なくともいずれかを出力し、
サーバーが、前記ドットコードを受信して、該ドットコードの少なくとも一部に関連付けられた前記所定の情報および情報処理を前記情報処理装置に送信する、
ドットパターン読み取り方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可視光領域で読み取り可能なドットパターンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、二次元コードの一種であるドットコードが知られている。ドットコードを符号化したドットパターンは、絵柄や文字等のグラフィックと重畳して印刷が可能であるため、印刷物の外観を損なうことなく、印刷物に多量の情報を格納することができる、極めて優れた二次元コードである。ドットパターンは、人の目に見えづらくするため、非常に微細なドットを赤外線吸収インク(カーボンインクやステルスインク等)で印刷し、グラフィックと重畳して印刷しても、赤外線カメラを備えた専用の読み取り装置を使用してドットのみを読み取ることができる。ドットとグラフィックが重畳されるため、通常の可視光領域では読み取ることができない。現在、特に利用されているのは、音声ペンやブルートゥース(登録商標)ペンである。音声ペンでドットパターンをタッチしてドットコードを読み取ると、瞬時にそのドットコードに対応する音声が出力される。さらに、スマートフォンやタブレットの普及により、ブルートゥースペンが登場し、ドットコードを読み取ると、無線接続されたスマートフォンやタブレットに動画等のコンテンツが出力される。
【0003】
しかし、いずれも専用の読み取り装置が必要であることから、世界最強のコンテンツプラットホームであるスマートフォンのカメラで、ドットコードを読み取るニーズが増大している。一方、スマートフォンは盗撮防止のため、赤外線遮断フィルターが設けられており、可視光領域ではグラフィックと重畳印刷している領域においてドットパターンのみを撮影することができない。
【0004】
ここで、色分解処理を施すことにより可視光領域でのドットコードの読み取りを可能とするドットパターンの読み取り方法が提案されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開公報WO2006/040832号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、色分解処理では、黒のドットと識別するためには、黒(墨や混合色であるコンポジットブラック)や濃い色が発生しないように、シアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)の内の1色もしくは2色しか使用できない。そのため本来のグラフィックの色を表現することができない場合が多い。さらに、その色が濃いとドットと識別できなくなる場合もあり、色分解は非常に複雑で繊細な処理が必要となる。さらに、実際に処理を実現するには、微細なドットパターンに正確にフォーカスを合わせる必要があり、スマートフォンのカメラの性能や印刷状態等の多くの制約があった。
【0007】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、どのようなスマートフォン等の読み取り装置でも簡易な印刷方法および簡易な処理により、可視光でのドットパターンの読み取りを可能にすることを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)上記課題を解決するために、本発明のドットパターンは、所定の規則に則ってドットが配置されたドットパターンであって、前記ドットは、前記ドットパターンで符号化するための基準となり、向きを特定可能なドットを含む複数の基準ドットと、前記基準ドットの配置を基に特定される複数の配置領域に配置される情報ドットと、を含み、前記ドットパターンは、媒体に複数形成され、前記ドットパターンに重畳または隣接して、前記媒体の所定の位置に前記ドット以外の画像の少なくとも一部が形成されており、少なくとも1つの該前記ドットパターンには、少なくとも一部のドットが復号できない不可領域を含み、前記不可領域に対応するドットが前記不可領域を含むドットパターン以外のドットパターンによって補完される、ドットパターンである。
【0009】
(2)さらに、前記不可領域には、前記ドットパターンの少なくとも一部が印刷されていないか、または、前記画像に前記ドットパターンの少なくとも一部が重畳印刷されていてもよい。
【0010】
(3)本発明のドットパターンは、所定の規則に則ってドットが配置されたドットパターンであって、前記ドットは、前記ドットパターンで符号化するための基準となり、向きを特定可能なドットを含む複数の基準ドットと、前記基準ドットの配置を基に特定される複数の配置領域に配置される情報ドットと、を含み、前記ドットパターンは、媒体に複数形成され、前記ドットパターンに重畳または隣接して、前記媒体の所定の位置に前記ドット以外の画像の少なくとも一部が形成されており、前記画像は、前記ドットパターンを読み取るドットコード読み取り装置がフォーカスを合わせることが可能なフォーカス用画像である、ドットパターンである。
【0011】
(4)本発明のドットパターンは、所定の規則に則ってドットが配置されたドットパターンであって、前記ドットは、前記ドットパターンで符号化するための基準となり、向きを特定可能なドットを含む複数の基準ドットと、前記基準ドットの配置を基に特定される複数の配置領域に配置される情報ドットと、を含み、前記ドットパターンは、媒体に複数形成され、前記ドットパターンに重畳または隣接して、前記媒体の所定の位置に前記ドット以外の画像の少なくとも一部が形成されており、前記画像は、前記ドットパターンを読み取るドットコード読み取り装置に内蔵または接続される情報処理装置が認識可能な特定画像を含み、前記ドットパターンで符号化されたドットコードの少なくとも一部は、前記特定画像によって関連付けられた1以上の所定の情報および1以上の情報処理の少なくともいずれかを特定する、ドットパターンである。
【0012】
(5)さらに、前記画像に重畳、隣接、または近接して点状の凸部が複数設けられていてもよい。
【0013】
(6)さらに、少なくとも前記情報ドットの一部は、濃度の異なる複数のドットからなり、少なくとも一方の濃度の前記ドットは、情報を定義しないダミードットまたは真の情報を定義する情報ドットでもよい。
【0014】
(7)さらに、前記フォーカス用画像には特定画像の少なくとも一部が含まれ、該特定画像は、前記ドットコード読み取り装置に内蔵または接続される前記情報処理装置により認識され、前記ドットパターンで符号化されたドットコードの少なくとも一部は、前記特定画像によって関連付けられた前記1以上の所定の情報および1以上の情報処理の少なくともいずれかを特定してもよい。
【0015】
(8)さらに、前記ドットパターンで符号化されたドットコードの少なくとも一部は、所定の情報および情報処理の少なくともいずれかが関連付けられていてもよい。
【0016】
(9)さらに、前記ドットコードの少なくとも一部で関連付けられた前記所定の情報および情報処理の少なくともいずれかは、該ドットコードが形成された前記媒体表面との所定の位置関係で拡張処理して形成されてもよい。
【0017】
(10)さらに、前記特定画像によって関連付けられた前記1以上の所定の情報および1以上の情報処理の少なくともいずれかは、該特定画像との所定の位置関係で拡張処理して形成されてもよい。
【0018】
(11)さらに、前記所定の位置関係は、少なくとも前記ドットコードに含まれる座標値に基づき拡張処理して形成されてもよい。
【0019】
(12)さらに、前記座標値は、前記媒体表面を示す座標値に対応し、該媒体表面の所定の位置を特定できてもよい。
【0020】
(13)さらに、前記所定の位置関係は、前記ドットコード読み取り装置によって撮影された前記ドットパターンの向きおよび変形状態から、該ドットコード読み取り装置の撮影方向と前記特定画像との傾斜角および/または回転角を取得して、前記所定の位置関係で拡張処理して形成されてもよい。
【0021】
(14)さらに、前記ドットは、前記ドットコード読み取り装置がフォーカスを所定時間以内に合わせることができない大きさおよび形状の少なくともいずれかであり、前記フォーカス用画像は、前記ドットコード読み取り装置がフォーカスを前記所定時間以内に合わせることが可能であってもよい。
【0022】
(15)さらに、前記媒体は、印刷用媒体またはディスプレイのいずれかであって、前記ドットパターンおよび前記画像が前記印刷用媒体に印刷または前記ディスプレイに表示されてもよい。
【0023】
(16)さらに、前記ドットは、所定の背景に重畳して形成され、前記所定の背景と識別して前記ドットの配置が取得されるように、前記ドットの色と前記所定の背景の色が設定されてもよい。
【0024】
(17)さらに、前記ドットパターンは、前記媒体に少なくとも上下左右に2個以上連接して形成されてもよい。
【0025】
(18)さらに、前記不可領域において、前記基準ドットの少なくとも一部が認識できず、前記ドットを復号できない場合に、その他の認識できる基準ドットを基に該認識できない基準ドットの位置に仮想的に基準ドットを配置して、前記ドットを復号すしてもよい。
【0026】
(19)さらに、前記媒体には、近傍に記入領域が形成されていてもよい。
【0027】
(20)本発明のドットパターン生成装置は、(1)~(4)のいずれかに記載のドットパターンを媒体に複数形成する手段を備える。
【0028】
(21)本発明のドットコード読み取り装置は、(1)~(4)のいずれかに記載のドットパターンと前記画像を撮影する手段と、前記ドットパターンをドットコードに復号する手段と、を備える。
【0029】
(22)本発明のドットパターン生成プログラムは、コンピュータに、(1)~(4)のいずれかに記載のドットパターンを媒体に複数形成させる、ドットパターン生成プログラムである。
【0030】
(23)本発明のドットパターン読み取りプログラムは、コンピュータに、請求項1~4のいずれかに記載のドットパターンをドットコード読み取り装置で撮影させ、該ドットパターンをドットコードに復号させる、ドットパターン読み取りプログラムである。
【0031】
(24)さらに、ドットコードと、情報または操作指示が記憶された記憶先を特定する情報と、が対応付けて登録されたテーブルにアクセスさせることが可能であり、前記復号されたドットコードを基に前記テーブルから前記記憶先を取得し、前記情報を出力しまたは前記操作指示を実行してもよい。
【0032】
(25)さらに、前記復号されたドットコードに対応付けてテーブルに登録される情報または操作指示を受け付け、前記受け付けた情報または操作指示を所定の記憶先に記憶させ、前記ドットコードと前記記憶先を特定する情報とを前記テーブルに登録してもよい。
【0033】
(26)本発明のドットパターン生成方法は、(1)~(4)のいずれかに記載のドットパターンを媒体に複数形成する、ドットパターン生成方法である。
【0034】
(27)本発明のドットパターン読み取り方法は、(1)~(4)のいずれかに記載のドットパターンと前記画像を撮影し、前記ドットパターンをドットコードに復号する、ドットパターン読み取り方法である。
【0035】
(28)本発明のドットパターン読み取りシステムは、(1)~(4)のいずれかに記載のドットパターンを撮影して、該ドットパターンをドットコードに復号する読み取り手段と、所定の情報および情報処理の結果の少なくともいずれかを出力する出力手段と、を備える情報処理装置と、前記ドットコードを受信して、該ドットコードの少なくとも一部に関連付けられた前記所定の情報および情報処理を前記情報処理装置に送信するサーバーと、を備える、ドットパターン読み取りシステムである。
【0036】
(29)本発明のドットパターン読み取り方法は、情報処理装置が、(1)~(4)のいずれかに記載のドットパターンを撮影して、該ドットパターンをドットコードに復号し、所定の情報および情報処理の結果の少なくともいずれかを出力し、サーバーが、前記ドットコードを受信して、該ドットコードの少なくとも一部に関連付けられた前記所定の情報および情報処理を前記情報処理装置に送信する、ドットパターン読み取り方法である。
【発明の効果】
【0037】
本二次元コードでは、簡易に印刷されたグラフィックでフォーカスを合わせ、可視光領域で撮影された微細なドットパターンのみでドットコードが復号されることにより、スマートフォンのカメラで撮影して容易にドットコードを読み取れ安価に利用でき、様々なコンテンツを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る二次元コード(ドットパターン)を用いた情報処理システムについて説明する図である。
【
図2】読み取り装置の外観図であり、(a)は装置表面、(b)は装置裏面を示すものである。
【
図3】スマートフォンのハードウェア構成図である。
【
図4】本発明にかかるドットパターンが印刷された媒体について説明する図である。
【
図5】情報ドットの配置の仕方について説明する図である。
【
図6】情報ドットのコードの割り当ての一例を示す図である。
【
図7】「GRID0」のドットパターンの汎用例を示す図である。
【
図8】「GRID0」のドットパターンの変形例を示す図である。
【
図10】「GRID5」のドットパターンの汎用例を示すものである。
【
図11】ドットパターンの解析および復号の手順を示すフローチャートである。
【
図12】GRID1ドットパターンの、二値化された撮影画像に検索開始点を設定した図である。
【
図13】検索点から最も近い少なくとも6個のドットを検索する手順について説明する図である。
【
図14】基準ドットを検索する手順について説明する図(1)である。
【
図15】基準ドットを検索する手順について説明する図(2)である。
【
図16】基準ドットを検索する手順について説明する図(3)である。
【
図17】仮想点から格子線上に所定の間隔だけずれたドットを検索する手順について説明する図である。
【
図18】情報ドットに定義される数値情報を取得する手順について説明する図(1)である。
【
図19】情報ドットに定義される数値情報を取得する手順について説明する図(2)である。
【
図20】ドット付きアイコンの生成について説明するフローチャートである。
【
図21】ドット付きアイコンを読み取ってから情報が出力されるまでの処理を示すフローチャートである。
【
図22】ドットパターンの解析処理の詳細を示すフローチャートである。
【
図23】ドットパターンとアイコン画像が重畳印刷されているドットアイコンを示す図である。
【
図24】撮影された画像からドットを二値化した結果を示す図である。
【
図25】二値化されたドット画像を9個の領域に分割し、各領域の中心点を検索開始点(基準ドット検索開始点)とする手順について説明する図である。
【
図26】二値化画像から認識できる情報ドットの数値情報を取得する手順について説明する図である。
【
図27】仮想基準ドットを設定して情報ドットの配置を求める手順について説明する図である。
【
図28】複数の領域の情報ドットを合成して数値情報を取得する手順について説明する図である。
【
図29】本発明の第2の実施形態による特定画像を用いた拡張現実システムの構成例を示す説明図である。
【
図30】ドットコードと、表示される画面との対応付けを示すテーブルである。
【
図31】アイコンを撮影した後にスマートフォンのディスプレイに表示される画面の一例である。
【
図32】本発明にかかる拡張現実の処理を示すフローチャート(1)である。
【
図33】本実施例にかかる拡張現実の処理を示すフローチャート(2)である。
【
図34】ドットパターンに定義された座標値と媒体表面を示す座標値との対応について説明する図である。
【
図35】本発明をワインリストに用いた場合の説明図である。
【
図36】本発明を商品カタログに用いた場合の説明図である。
【
図37】本発明を非常口に用いた場合の説明図である。
【
図38】本発明を水族館での説明に用いた場合の説明図である。
【
図39】ドットアイコンを、番号を示したシールとした場合の説明図である。
【
図41】ドットアイコンを印刷した手帳の一例を示す図である。
【
図42】本発明を真贋判定やトレーサビリティに用いる場合の説明図である。
【
図43】ドットパターンにおける真贋判定の精度をさらに高める技術について説明する図である。
【
図44】本発明を商品のプロモーションに用いる場合の説明図である。
【
図45】ドットアイコンを観光案内の地図に設定した場合の説明図である。
【
図46】ドットアイコンに凸部を設ける場合の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
【0040】
<第1の実施形態>
図1~
図28では、本発明の第一の実施形態について説明する。
【0041】
第1の実施形態は、ドットパターンを撮影するためのフォーカス用画像が形成されていることを特徴とする。
【0042】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る二次元コード(ドットパターン)を用いた情報処理システムについて説明する図である。この画像は特定の意味を示すアイコンとして用いてよい。
【0043】
図1に示す情報処理システムは、ドットパターンが形成されたアイコン1(以下「ドット付きアイコン」または「ドットアイコン」という)が印刷された媒体10と、ドットパターンを撮影する読み取り装置20と、を備えている。
【0044】
図2は、読み取り装置の外観図であり、(a)は装置表面、(b)は装置裏面を示すものである。
【0045】
本発明では、読み取り装置として、市販のスマートフォン、タブレット、携帯電話機等を用いることができる。なお、専用の読み取り装置であってもよい。ここでは、読み取り装置がスマートフォンである場合の構造について説明する。
【0046】
なお、以下の実施形態の説明では、読み取り装置として「スマートフォン」との用語を用いて説明するが、本発明では、タブレットや携帯電話機等、スマートフォン以外の読み取り装置も用いることができることはもちろんである。
【0047】
図2(a)に示すように、スマートフォン20は、縦長・矩形状の筐体210の前面にディスプレイ220が設けられ、両側面に複数の操作ボタン230が設けられている。筐体210は、樹脂や金属などの材質で構成される。ディスプレイ220は、縦長・矩形状であり、液晶パネルなどのディスプレイとタッチパッドなどのタッチ位置入力装置とを組み合わせたいわゆるタッチパネルディスプレイである。ディスプレイ220には、スマートフォン20の操作に必要なアイコンなどが表示される。ユーザは、ディスプレイ220にタッチや筐体に設けられたボタン等を操作することでスマートフォン20の操作が可能である。またディスプレイには、ユーザが操作を行うことにより、画像、映像、ウェブページ等が表示される。操作ボタン230は、電源のON/OFFや音量などユーザの操作入力を受け付ける。なお、操作ボタン230は、筐体210の前面に設けられていてもよい。また、物理的な操作ボタン230を設けずに、ディスプレイ上で、操作ボタン230と同様の操作入力を受け付けるようにしてもよい。
【0048】
また、
図2(b)に示すように、スマートフォン20裏面には、撮像部240が設けられている。撮像部240は、ユーザの所定の操作により、被写体を撮影する。また、本実施形態においては、ドットパターンを撮影する。
【0049】
図3は、スマートフォン20のハードウェア構成図である。
【0050】
同図に示すように、スマートフォン20は、ディスプレイ220、アンテナ2010、送受信部2011、情報処理部2015、記憶部2016、スピーカ2017、マイク2013、撮像部2018、電源2014などスマートフォンとして機能するために必要な構成が収容されている。
【0051】
送受信部2011は、アンテナ2010で受信した信号(以下、データ)を情報処理部2015に送信する。また、送受信部2011は、情報処理部2015から受信したデータを、アンテナ2010を介して送信する。
【0052】
情報処理部2015は、CPU等のプロセッサであり、操作ボタン及びディスプレイから入力される指示信号に応じて読み取り装置全体を制御する。また、情報処理部2015は、アンテナ2010を介して送受信部2011で受信したデータを記憶部2016に記憶する。さらに、情報処理部2015は、送受信部2011で受信したデータが音声データである場合、アンテナ2010を介してスピーカ2017に出力する。記憶部2016は、送受信部2011で受信したデータの他、情報処理部2015が実行するアプリケーションやオペレーティングシステム等のプログラムを記憶する。なお、情報処理部2015は、記憶部2016に記憶されたプログラムに基づき、撮像部2018により撮影されたドットパターンを解析して復号する処理を実行する。ドットパターンに対する処理については後述する。
【0053】
なお、上述したスマートフォンにおいては、撮像部2018、スピーカ2017、ディスプレイ220が全て一体になっているが、本発明ではこれに限られない。例えば、読み取り装置は撮像部2018だけを有し、スピーカ2017とディスプレイ220を有するパーソナルコンピュータに有線または無線で接続してもよい。さらには、撮像部2018、スピーカ2017、ディスプレイ220が全て別体となっていて有線または無線で接続してもよい。また、時計や眼鏡に内蔵したカメラを有するウェラブルコンピュータであってもよいし、様々な機器に搭載したカメラと無線接続するスマートフォンの組み合わせでもよい。
【0054】
図4は、本発明にかかるドットパターンが印刷された媒体10について説明する図である。
【0055】
本実施例においては、媒体10として英語の教材(本)が用いられている。媒体10の各ページの左上に、アイコンが印刷されている。アイコンは、絵柄と外枠から構成されている。同図(a)では、スピーカの絵柄のアイコンと、マイクの絵柄のアイコンが印刷されている。アイコンが印刷された領域には、本発明のドットパターンである二次元コードが印刷されてドットアイコン1を形成する。そして、スピーカの絵柄のアイコンの下には「再生」と記載され、マイクの絵柄のアイコンの下には「録音」と記載されている。
【0056】
アイコンは、フォーカス用画像としての役割を有してもよい。ドットパターンは微細であるため、ドットパターンだけが印刷またはディスプレイに表示された状態で撮影すると、ドットに正確にピントを合わせることが難しく、ドットがぼやけた状態で撮影されてしまう。そこで、同図のようにアイコンをフォーカス用画像として使用することにより、アイコンに自動的にフォーカスが合い、同時にドットパターンを形成するドットにもフォーカスが合いドットパターンがクリアに撮像され、正確にドットコードに復号される。フォーカス用画像として適正なアイコンは、フォーカスを合わせやすくするためアイコンの外部内部問わず、周辺に比べて色や濃度が変化するエッジが強い画像、つまりコントラストのはっきりした画像であるのが望ましい。アイコン周辺が濃くアイコンが薄くエッジが強くてもよい。もちろん、アイコンを形成する画像内部に上述のエッジが存在してもよい。ユーザがスマートフォンでアイコンに向けて撮影すると、スマートフォンの機種によって被写界深度が異なるため、短距離ではフォーカスが合わない場合や、同時に撮像されるドットが正確に認識できない程、撮影領域に対してアイコン画像が小さく撮像する場合等は、スマートフォンと媒体間の距離が適正となるように、印刷媒体面からのスマートフォンの位置をユーザに操作させるような文字やグラフィックを、ユーザのスマートフォンのディスプレイに表示させてもよい。また、連写や動画により、オートフォーカスの稼働中の複数枚の撮影画像からフォーカスの合った画像を選択するようにしてもよい。但し、一般的に静止画(連写も含む)より動画の解像度が低いことから、動画を使用した場合は撮像されたドットが認識できるのに十分な解像度でなければならない。なお、ドットが形成される領域が小さい場合は撮影ガイド(枠)の表示を小さくし、その領域が大きい場合は撮影ガイド(枠)を広くしてフォーカスの合う被写界深度内で撮影すればよい。
【0057】
さらにアイコンは、どのような情報にアクセスするかをユーザに知らせる役割を有している。例えば
図4(a)では、スピーカの絵柄のアイコンは、音声が再生されることをユーザに知らせ、マイクの絵柄のアイコンは、音声の録音をユーザに知らせている。ユーザがスマートフォンで、スピーカの絵柄のアイコンを撮影すると、“Hello!”“Good Morning!”等、撮影したページに記載された文章が、スマートフォンのスピーカから再生される。マイクの絵柄のアイコンを撮影すると、音声の録音が可能な状態となる。これにより、ユーザは、スピーカの絵柄のアイコンを撮影して、模範となる英語音声を聞いた後に、マイクの絵柄のアイコンを撮影して自身の音声を録音して、発音やアクセントがチェックされ音声出力やグラフィック表示で指導される、という操作を簡単に行うことができ、学習効果をより高めることができる。
図4(b)は、パンフレットやポスター、サイネージに形成された多言語アイコンである。「JP」を読取ると日本語で、「EN」を読取ると英語で、「CN」を読取ると中国語で、ユーザに提供したい内容の音声やテキスト、グラフィックがスマートフォンに出力される。当然であるが、各アイコン周辺に形成される異なるドットコードは言語に対応している。教材以外にも、インバウンド等様々なシーンで利用できる。アイコン周辺やアイコン内部に点字を設けてドットパターンを読み取れば、視覚障害者向けにも活用できる。
図4(c)は、オーディオや映像の制御用アイコンであるが、
図4(a)や(b)のように、線画や文字で描いてもよいが、塗りつぶしたアイコンを中央に配置して周辺にドットパターンを配置してもよい。
図4(a)~(c)はアイコン部がフォーカス用画像として機能すれば、枠線はあってもなくてもよい。さらに、
図4(d)は、
図4(c)のアイコン部分を白抜きまたは、黒色が混在しない薄い色の背景にしてドットが識別するようにドットパターンを配置して、アイコン周辺を濃色のフォーカス用画像としたものである。
【0058】
なお、情報処理部2015が、読み取った画像からドットパターンを抽出してドットコードに復号するためには、背景とドットパターンとを識別する必要がある。そこで、背景とドットとが識別できるように、ドットの色および背景色を設定することが好ましい。
【0059】
例えば、ドットを黒色または略黒色に設定する場合について説明する。この場合、背景も黒色または略黒色であると、ドットを識別することが困難になる。そのため、背景には、黒色または略黒色のインク(Kインク)を用いないことが望ましい。また、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)のインクを用いて印刷する場合であっても、C,M,Yの3色が重なる部分は、黒に近い色となる。そのため、C,M,Yの3色が重ならないように印刷するか、C,M,Yのうちの1色または2色で印刷することが望ましい。C,M,Yのうちの1色または2色で印刷する場合、それぞれの色の網点面積率が50%を下回れば、ドットと背景との識別が可能となる場合が多い。網点面積率が30%を下回れれば、さらに識別が容易になる。なお、Yは同じ網点面積率であってもC,M,よりはドットの認識率が高くなる。
【0060】
なお、黒色以外の色でドットを設定してもよい。この場合は、背景と識別できる特定の色とする。
【0061】
なお、アイコンの外枠や絵柄の部分には、ドットパターンが重畳して印刷されていてもよいし、印刷されていなくてもよい。ドットパターンを重畳して印刷しない場合は、アイコンの絵柄の美観がより保たれる。また、外枠またはアイコンの絵柄のいずれかのみが印刷されていてもよい。
【0062】
図4では、媒体として紙を説明したが、本発明ではこれに限られない。例えば、布、スクリーン、金属箔等、印刷可能なあらゆる媒体に印刷することができる。さらには、印刷以外でも、刻印や孔によりドットパターンを形成してもよい。この場合、紙以外に、金属やプラスチック等に形成することが可能となる。また、ディスプレイにドットパターンを表示してもよいし、プロジェクタを用いてドットパターンをスクリーンに投影してもよい。
【0063】
ディスプレイにドットパターンを表示する場合も、媒体に形成する場合と同様、背景とドットとが識別できるように、ドットの色および背景色を設定することが好ましい。グラフィック領域はどのような配色をしてもよいが、できるだけ背景に対してコントラストを高く設定するのが望ましい。
【0064】
一般に、ディスプレイでは、R(赤)、G(緑)、B(青)の3色を用いて色が表現される。フルカラーでは、RGBの各色を0~255(8ビット)の値で扱う。ドットを黒色とする場合は、ドットの部分をR=0、G=0、B=0近傍に設定する。背景の色は、RGBの少なくとも1色を6ビット以上に設定する。7ビット以上であればさらに望ましい。背景が明るくなるほど、ドットと背景との識別が容易になる。なお、アイコンや外枠、背景色に使用する色と識別できる色をドットの色に定めてドットを識別してもよい。この方法は、印刷においても同様に使用できる。
【0065】
また、媒体10は2次元の他、3次元でもよい。3次元の媒体の例としては、地球儀や商品の箱があるが、もちろんこれらに限られず、あらゆる3次元の媒体にドットパターンを形成することが可能である。
【0066】
[ドットパターンの説明]
つぎに、上記で言及したドットコード(ドットパターン)の一例について、
図5~
図10を用いて以下に説明する。
【0067】
ここで、「ドットパターン」とは、複数のドットの配置アルゴリズムにより情報コードを符号化したものをいう。詳細は後述するが、ドットには、少なくとも、数値情報を定義する情報ドットと、情報ドットを定義する基準となる基準ドットと、を含む。
【0068】
なお、上記のドットパターンを読み取って求めた数値情報(コード)がドットコードであり、総称してドットコードとしで表記することを含む。以降も同様である。
【0069】
ドットパターンによる情報コードの符号化アルゴリズムについては、グリッドマーク社のGrid Onput(登録商標)、Anoto社のアノトパターン、Sonix社のOID等の、周知のアルゴリズムを用いることができる。
【0070】
なお、ドットパターンのうちグリッドマーク社のGrid Onput(登録商標)としては、特許第3706385号、第3858051号、第4142683号、第5331989号等、多数の特許がある。これらの特許の詳細は各特許公報に記載されているが、以下に概要を説明する。
【0071】
ドットパターンの符号化アルゴリズムは、コンピュータで実行可能なドットパターン生成プログラムとして提供される。コンピュータで実行可能であればプログラムの提供方法は問わない。例えばCD-ROM等の記録媒体に格納されていてもよいし、ネットワークを通じてコンピュータにダウンロードしてもよい。また、ドットパターンの符号化アルゴリズムは、可視光により読み取る場合と、赤外線により読み取る場合と、で共通するため、特に限定されない。
【0072】
ドットパターンはこの他にも、視認できないか、視認できたとしても単なる模様として認識される程度のものであれば足り、どのようなドットパターンであっても採用可能である。
【0073】
またドットパターンは、座標値を定義することにより、その読み取り位置により異なる情報コードを符号化することができる。さらに、ドットパターンには、情報コードを符号化および復号化するための基準となる向きを有し、その向きを読み取ることにより、ドットパターンに対する読み取り装置の回転角を取得することができる。一方、読み取り装置をドットパターン形成媒体に対して傾けると、撮像画像の明るさの変化によって、どの方向に、どの程度読み取り装置を傾けたかも取得できる。
【0074】
(
図5の情報ドットの配置の仕方)
情報ドットの配置の仕方は、
図5(a)~(c)に示す通りである。
【0075】
なお、情報ドットの配置の仕方は、
図5(a)~(c)の例に限定されない。
【0076】
図5(a)は、仮想点からずれた位置、すなわち、仮想点からの所定距離および所定方向に対する角度を有する位置に情報ドットを配置したものである。具体的には、同図(a-1)に示すように、情報ドットを仮想点の上下左右、斜めに配置する。なお、「角度」には0度を含む。
【0077】
なお、同図(a-1)では、仮想点からの距離を一定にして8方向にドットを配置しているが、本発明のドットパターンにおいては、さらに、ドットの距離を変化させて8方向にドットを配置してもよい。これにより、16通りの数値情報を表すことができる。
【0078】
また、一つの仮想点を基準に複数の情報ドットを配置してもよい。さらに、同図(a-2)に示すように、仮想点に情報ドットを配置するか、配置しないかによって情報を定義することも可能である。この場合、(a-1)のドットの配置の仕方に追加して、仮想点に情報ドットを配置するか、配置しないかによって情報を定義してもよい。これにより、情報量を増やすことが可能である。また、(a-1)に示す、仮想点からずれた位置に配置することに代えて、(a-2)に示す、仮想点に情報ドットを配置するか、配置しないかによって情報を定義することも可能である。
【0079】
図5(b)は、2行×2列の計4個の仮想領域内に情報ドットを配置したものであるが、境界付近に情報ドットを配置すると誤認識が発生する可能性があるので、
図5(c)は、一定の間隔をおいて隣り合う仮想領域を配置した実施例である。
【0080】
なお、
図5(b)~(c)においては、仮想領域内に複数個の情報ドットを配置したり、情報ドットを配置しない場合も含めて情報量を増やすことが可能である。
(
図6の情報ドットのコードの割り当て)
情報ドットのコードの割り当ては、
図6(a)~(c)に示す通りである。
【0081】
すなわち、
図6(a)に示すように、例えばカンパニーコードや音声情報等、位置情報以外の情報を意味する「コード値」に全て割り当ててもよいし、同図(b)に示すように、1つのコードフォーマットとして位置情報を意味する「X座標値」と「Y座標値」の2つのデータ領域に割り当ててもよいし、あるいは同図(c)に示すように、「コード値」、「X座標値」、「Y座標値」の3つのデータ領域に割り当ててもよい。長方形の領域に座標値を割り当てる場合は、データ量を削減するために「X座標値」、「Y座標値」のデータ領域は異なってもよい。さらに、図示しないが位置座標における高さを定義するために「Z座標値」をさらに割り当ててもよい。なお、「X座標値」、「Y座標値」を割り当てた場合は、位置情報のため、X、Y座標の+方向に座標値が所定量だけ増分するため、全てのドットパターンは同一ではなくなる。
【0082】
(第1の例(「GRID0」)、
図7~
図9)
図7~
図9は、ドットパターンの第一の例について説明する図である。
【0083】
ドットパターンの第1の例は、本出願人は「GRID0」との仮称で呼んでいる。
【0084】
「GRID0」の特徴は、ずれた位置に配置された基準ドットを用いることで、ドットパターンの範囲や方向の少なくとも一つを認識できるようにしたものである。
【0085】
「GRID0」は、
図7~
図9に示すように、次の構成を備える。
【0086】
(1)情報ドット
情報ドットは、情報を記憶するためのものである。
【0087】
なお、情報ドットの配置の仕方は、
図5(a)~(c)に示した通りであり、また、情報ドットのコードの割り当ては
図6(a)~(c)に示した通りである。
【0088】
(2)基準ドット
基準ドットは、予め設定された複数の位置に配置されたものであり、後述する仮想点あるいは仮想領域の位置を特定するためのものである。
【0089】
また、基準ドットのうちの少なくとも一つは、他の基準ドットの位置からずれた位置に配置されている。この基準ドットは「方向基準ドット」と呼ぶこともある。
【0090】
なお、図示しないが、ずれた位置に配置された基準ドットは、本来の位置に配置された基準ドットに追加して配置されてもよい。
【0091】
ずれた位置に配置された基準ドットは、基準ドットと仮想点に対する情報ドット、あるいは基準ドットと仮想領域中に配置する情報ドットの基準となる方向を特定するものである。この基準となる方向が定まることにより、仮想点に対する情報ドットの方向で情報を与え、読み取ることが可能となる。さらに1つのデータを複数の情報ドットで定義するドットパターンの範囲を特定することもできる。これにより、ドットパターンが上下左右に並べられていても、ドットパターンの範囲を読み取りデータを復号化することができる。
【0092】
(3)仮想点あるいは仮想領域
仮想点あるいは仮想領域は、基準ドットの配置により特定されるものである。
【0093】
図7は、「GRID0」のドットパターンの汎用例を示すものであり、同(a)は基準ドットを略プラスの文字形に配置した例、同(b)は情報ドットの配置個数を増加した例、をそれぞれ示すものである。
【0094】
図8は、「GRID0」のドットパターンの変形例を示すものであり、同(a)は基準ドットを略方形に配置した例、同(b)は基準ドットを略L字形に配置した例、同(c)は基準ドットを平行四辺形に配置した例をそれぞれ示すものである。
【0095】
同図(a)では、基準ドットを水平方向(第1の方向)および垂直方向(第2の方向)に配置している。そして、4点の基準ドットで囲まれた格子領域の中心点を仮想点として、仮想点からの距離および方向の少なくとも一つに基づいて情報ドットを配置している。
【0096】
ここで、1個のドットパターンの四隅に配置された基準ドットは、ずれた位置に配置されて、ドットパターンの向きおよび範囲を示している。ずれた基準ドットも含め、基準ドットは、水平方向に等間隔で配置されている。
【0097】
同図(b)では、基準ドットを水平方向(第1の方向)および垂直方向(第2の方向)に配置している。そして、水平方向の基準ドットから仮想的に設定される垂直ラインと、垂直方向の基準ドットから仮想的に設定される水平ラインとの交点を仮想点として、仮想点からの距離および方向の少なくとも一つに基づいて情報ドットを配置している。
【0098】
ここで、垂直方向に配置されたドットの一つは右方向にずれて配置され、ドットパターンの向きを示している。水平方向に配置された基準ドットは水平方向に等間隔で配置され、垂直方向に配置された基準ドットは垂直方向に等間隔で配置されている。
【0099】
なお、第1の方向と第2の方向が交差する角度は同図のような90度に限らず、45度や60度等、他の所定の角度であってもよい。
【0100】
同図(c)では、第1の方向と第2の方向が交差する角度が90度以外の場合の一例である。基準ドットを水平方向(第1の方向)および斜め方向(第2の方向)に配置している。そして、4点の基準ドットで囲まれた格子領域の中心点を仮想点として、仮想点からの距離および方向の少なくとも一つに情報ドットを配置している。
【0101】
図9は、
図8(a)のドットパターン、すなわち基準ドットを略方形に配置したドットパターンを、その基準ドットの一部が共通するように隣接させて複数配置した連結例である。連結ができる条件は、1つのドットパターンの上下および/または左右の両端のドットの位置が必ず同一位置とならなければならない。なお、上下または左右のみ連結してもよい。また、図示は省略するが、
図8(b)(c)のドットパターンについても、上下および/または左右に連結または連接されることが可能である。
【0102】
さらに、図示は省略するが、基準ドットを略方形に配置したドットパターンを、所定の間隔をおいて上下左右に並べる、すなわち上下左右に2個以上独立して並べる方法もある。
【0103】
なお、
図8(a)(c)および
図9のドットパターンは、「GRID1」との仮称でも呼ばれている。
【0104】
(第2の例(「GRID5」))
ドットパターンの第2の例は、本出願人は「GRID5」との仮称で呼んでいる。
【0105】
「GRID5」は、「GRID0」のずれた位置に配置された基準ドットに代えて、「基準ドットの配置の仕方」によって、ドットパターンの範囲および方向を認識できるようにしたものである。「基準ドットの配置の仕方」でドットパターンの方向を認識するためには、基準ドットの配置がどのような点を中心にどれだけ回転(360°を除く)させても、回転前の配置と同一にならない非軸対称でなければならない。さらに、ドットパターンを上下および/または左右に複数繰り返し並べて連接または連結した場合にも、ドットパターンの範囲および向きが認識できる必要がある。
【0106】
なお、「GRID5」では、パターン認識を用いてドットパターンの方向を認識している。すなわち、基準ドットにより形成されたドットパターンの形状を記憶手段に記憶しておく。そして、読み取ったドットパターンの画像と記憶手段に記憶された形状とを照合することにより、ドットパターンの方向が分かる。
【0107】
図10は、「GRID5」のドットパターンの汎用例を示すものであり、同(a)は基準ドットを上下方向に非対称な略ハウス形に配置した例、同(b)は基準ドットを上下方向に非対称な略十字架形に配置した例、同(c)は基準ドットを上下方向に非対称な略二等辺三角形に配置した例をそれぞれ示すものである。
【0108】
「GRID5」では、基準ドットはどのような配置でもよく、パターン認識できるドットの配置であればよい。
【0109】
(ドットパターンの解析)
次に、上述したドットパターンのうち「GRID1」との仮称で呼ばれるドットパターン(以下「GRID1ドットパターン」と呼ぶ)について、読み取ったドットパターンをどのように解析して復号するか、
図11~
図19を用いてその手順を説明する。
【0110】
撮像部2018がドットパターンを撮影すると、スマートフォン内部の情報処理部2015でドットパターンの解析が行われる。
【0111】
図11は、ドットパターンの解析について説明するフローチャートである。
【0112】
まず情報処理部2015は、画像処理によりドットパターンを二値化する(ステップS00)。ドットはピクセル数で表すことができ、本処理では、ピクセル数が最小所定数から最大所定数に収まる画像のみをドットとして判定する。最小所定数は2~4個程度、最大所定数は15~30個程度とするのが好ましい。ドットとして判定するピクセル数の最小所定数や最大所定数は、撮影するカメラの解像度や当該解像度で撮影される撮影領域に大きく依存するため、カメラの解像度や撮影領域によって適切に増減させるのが望ましい。すなわち、カメラの解像度が高ければ、ピクセル数の最小所定数と最大所定数を増加させ、接写や拡大で撮影領域を狭くした場合でも、同様にピクセル数の最小所定数と最大所定数を増加させるのが望ましい。なお、カメラの撮影領域は被写体からの距離やカメラの拡大・縮小機能に基づく。また、ドット付きアイコン1を撮影する場合には、スマートフォンのディスプレイにドット付きアイコン1を撮影するガイド(枠)を設けるのが望ましい。なお、ドット付きアイコン1の大きさが変化する場合には、そのガイド(枠)内にドット付きアイコン1が収まるように、ガイド(枠)またはドット付きアイコン1を拡大・縮小して表示してもよい。解析は、基本的には元画像(撮影画像)で実施するのが望ましいが、モーションブラー(ボケ)を省いたり、コントラストを高めたり、ドットのエッジをクリアにしたりして、ドットの欠落を無くすための画像処理は施してよい。
【0113】
次に、検索開始点を設定する(ステップS01)。
図12は、GRID1ドットパターンの、二値化された撮影画像に検索開始点を設定した図である。縦横方向の線は、実際の撮影画像には存在しない。撮影画像の中心点を検索開始点(基準ドット検索開始点)とする。なお、検索開始点は中心点以外の点としてもよい。また、検索開始点は固定した点とは限らず、任意に検索点を1個以上設定してもよい。
【0114】
次に、
図13に示すように、検索開始点から最も近い少なくとも6個のドットを検索する(ステップS02)。最初に6個のドットを選択するのは、ドットパターンの配置規則から少なくとも基準ドットが1個以上含まれるからである。
図13では、検索開始点に近い順に1から6の番号を付している。以下では、1の番号を付したドットを「ドット1」、2の番号を付したドットを「ドット2」などと呼ぶ。
【0115】
次に、それぞれのドットについて、他のドットとの位置関係を求める(ステップS03)。
【0116】
具体的には、
図14に示すように、まず、検索されたドット6個の内、検索点に1番目に近いドット(ドット1)を基準に、当該ドット1から最も近いドットまでの距離(間隔(1))を求め(同図(a))、その反対方向の同一距離(間隔(2))にドットが存在するかを検索する(同図(b))。同図では、ドット1から間隔(2)離れた位置にはドットが存在しておらず、等間隔に配置されたドットを検索できない。その場合は、その位置に、仮想のドットであるダミードットを配置する。次に、同図(c)に示すように、ドット1から最も近いドットおよびダミードットのそれぞれを端部として、両端延長上に、それらの端部から基準ドットまでの距離と同じ間隔(間隔(3)、(4))にドットが存在するかを検索する。同図では、端部から間隔(3)、間隔(4)離れた位置にはドットが存在していない。したがって、同図の間隔(1)~(4)により生成される線上には3個以上のドットが等間隔に直線状に並ぶことはないため、この並びには基準ドットは存在しないと判断する。
【0117】
なお、ダミードットを配置するのは間隔(2)を求めたとき1回限りであるが、他の実施例ではダミードットは間隔(3)、間隔(4)を求めたときに配置してもよい。ダミードットの配置に関しては、GRID1ドットパターンでは、基準ドットをずらして方向基準ドットを配置しているため、基準ドットが並ぶ線上のいずれかには、基準ドットが配置されていない位置が必ず存在するからである。
【0118】
図15は、ドット1から2番目に近いドットについて、
図14(a)~(c)で説明したのと同じ処理を行うことを説明する図である。ドット1と、ドット1から最も近いドットにより形成される並びには基準ドットが存在しない場合は、ドット1から2番目に近いドットについて、ドット1から最も近いドットに対して行ったのと同じ検索処理を行う。
図15では、間隔(1)~(4)により生成される線上には5個のドットが等間隔に直線状に並ぶことはない。したがって、ドット1とドット1から2番目に近いドットにより形成される並びも、基準ドットが配置される並びではない。
【0119】
ドット1について、同様の処理を、ドット1から6番目に近いドットまで行う。本実施例では、ドット1はキードットであるため、ドット1から6番目に近いドットまで検索処理を行っても、5個のドットが等間隔に直線状に並ぶことはない。その場合、ドット1についての検索処理を終了する。
【0120】
このように、上記の工程で直線上の等間隔のドットが検索できなかった場合(所定数の仮想点も含んでもよい)、つまり、上述の検索開始点から最も近い少なくとも6個の内の1番目に近いドットが基準ドットではなかった場合は、検索点から2番目に近いドットを基準にして同じ操作を行いドットコードの復号を行う。それでも直線上の等間隔のドットが検索できなかった場合は、検索点から近いドットを順に基準として6個まで同様な操作を繰り返せばよい。
【0121】
図16は、稀な例であるが、ドット1~5が基準ドットではなかった例であり、ドット6について検索処理をした結果を示す図である。同図(a)に示すように、ドット6では、ダミードットを含む5個のドットが概ね等間隔で直線状に並ぶ、間隔(1)~(4)により生成される線が検索される。これにより、ドット6およびダミードットを除く等間隔のドットが基準ドットであると認識される(ステップS04)。
【0122】
なお、図示しないが、両端部の延長上の片方に等間隔のドットが見つからない場合、その反対側で、端部のドットと1つ内側のドットの距離と等間隔(間隔(4)´)のドットを検索してもよい。
【0123】
次に、同図(b)に示すように、検索された5個のドットのそれぞれから、直角方向の直線上にも等間隔に並ぶドットが存在するかを検索する。これらの直線を仮想的に引くと格子線となり、格子線の交点(格子点)に基準ドットが位置し、格子状にドットが検索されることになる。ここで、等間隔に配置されたドットが検索できない時は、その位置に仮想点を配置して、仮想点から等間隔のドットを検索する。この処理を進めていくと、最初に検索された5個のドットと水平方向および垂直方向に、等間隔に格子状に格子線が引かれ、基準ドットが検索される。
【0124】
次に、仮想点から格子線上に所定の間隔だけずれたドットを検索する(ステップS05)。
【0125】
図17に示すように、仮想点から所定の間隔だけずれた位置にドットが存在している。このずれたドットは方向基準ドットであり、ドットパターンの配置方向を示し、各情報ドットの配置関係(情報ドットインデックス:ID)と当該情報ドットの数値情報が定義される極めて重要なドットである。方向基準ドットは縦横4格子点毎に配置されている。具体的には、
図17に示すように、向きおよびドットパターンの範囲を認識する方向基準ドット(同図で丸で囲まれたドット)で囲まれた、5×5個の基準ドットにより構成される領域(4×4個の格子により構成される領域)を1個のドットパターンであると判断し、ドットパターンの向きおよび範囲を判断する。なお、方向基準ドットの配置は任意に決めてよく、ドットパターンのサイズ(情報量)によっては方向基準ドットの配置間隔を変更してもよい。
【0126】
次に、情報ドットを検索する。情報ドットは、格子点上にある4個の基準ドット(1個は前述の仮想点であってもよい)の中心を仮想点として、仮想点からドットパターンの配置方向に対して上下左右、斜め4方向のいずれかの所定の距離にドットが存在するかを検索すればよい。検索されたドットの位置によって情報ドットに定義される数値情報を取得することができる(ステップS06)。
【0127】
具体例を
図18~19に示す。
図18(a)は情報ドットの配置と数値情報の対応について示す図であり、同図(b)は
図17において領域Aが撮影された場合のドットパターンの1個分を示す図であり、同図(c)は各ドットに割り当てられたIDと数値情報を示す図である。同図では、1個の情報ドットで3ビットの数値情報が定義されており、ID
16からID
1の順に並べて101101000111001110011100100001110011111010101001の48ビットのドットコードに復号される。
【0128】
図19(a)は、
図17において領域Bが撮影された場合のIDと数値情報を示す図であり、同図(b)は、
図17において領域Cが撮影された場合のIDと数値情報を示す図である。
図18(b)(c)では、4個の方向基準ドットを四隅とする領域を1個のドットパターンとして検出した。しかし1個のドットパターンの検出はこれに限られない。
図19(a)は、1個の方向基準ドットを中心に16個の情報ドットを有する領域を1個のドットパターンとして検出した例であり、同図(b)は、2個の方向基準ドットを左端および右端に有する領域を1個のドットパターンとして検出した例である。これらの場合は、IDがID1~ID16の順番には並ばないこととなる。しかし、方向基準ドットを基準にして16個の情報ドットが配置される領域を検索すれば、ID1~ID16を全て含む1個分のドットパターンを検出することができる。そして、このドットパターンから、
図18の場合と同じドットコードが復号される。
【0129】
このように、本発明のドットパターンでは、方向基準ドットによりドットパターンの範囲および方向を認識することができる。そのため、キードットを含む所定数の情報ドットを取得することができれば、それらの情報ドットの並びにかかわらず、ドットコードを正確に復号することができる。
【0130】
基準ドット、方向基準ドットおよび情報ドットの検索は、各ドットの配置位置を中心とした所定の大きさの円または正方形をバウンディングボックスとしてその内部に当該ドットが存在するか否かで判定する。なぜなら、印刷および二値化の精度や、媒体面に対して並行ではない状態でドットパターンが撮影された場合の歪により、ドットの中心座標値がずれるからである。つまり、ドットの中心座標値が多少ずれても検索できるように所定の大きさのバウンディングボックスを用いてドットの有無を検索する。
【0131】
[ドット付きアイコン1の生成]
次に、
図20を用いて、ドット付きアイコン1の生成について説明する。
【0132】
まず、ドットパターンのデータを作成する(ステップS10)。上記[ドットパターンの説明]で説明した通り、ドットパターンの符号化アルゴリズムにより、数値情報を有するドットコードを符号化し、ドットパターンのデータを作成する。
【0133】
次に、アイコンの画像データを作成する(ステップS11)。
【0134】
次に、ドット付きアイコン1のデータを作成する(ステップS12)。ドットパターンのデータとアイコンの画像データとを重畳して、ドット付きアイコン1のデータを作成する。このとき、ドットパターンとアイコンの画像とが重畳する領域においては、そのまま重畳させておいてもよいし、アイコンの画像を鮮明にみせるためにドットを除く処理を行ってもよい。
【0135】
ステップS10~S12の処理は、パーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォン等で行われる。
【0136】
次に、ドット付きアイコン1を出力する(ステップS13)。具体的には、プリンタを通じてドット付きアイコン1を印刷したり、ドット付きアイコン1のデータをユーザのディスプレイに表示したりする。なお、様々な商業印刷機で印刷してもよいし、媒体に刻印してもよい。
【0137】
なお、
図20では、ドットパターンデータを作成してからアイコンデータを作成しているが、本発明はこれに限らず、アイコンデータを作成してからドットパターンデータを先に作成してもよい。また、両者を同時に作成してもよい。
【0138】
[ドット付きアイコン1のドットパターン解析について]
本発明のドット付きアイコン1は、上述したいずれのドットパターンを用いて実現してもよい。しかし、後述の通り、方向基準ドットでドットパターンの方向と範囲を認識して、異なる領域の数値情報を合成することから、GRID1ドットパターンを用いることが好ましい。
【0139】
図21から23を用いて、アイコン領域(アイコンの周辺および近傍)に印刷されたドットパターンを解析する手順について説明する。なお、すでに説明した構成、技術および手順については説明を省略する。
【0140】
図21は、ドットアイコン1を読み取ってから情報が出力されるまでの処理を示すフローチャートである。
【0141】
まずユーザは、スマートフォンのアプリケーションを起動する(ステップS20)。ユーザは、ドットコードの読み取りおよび復号を行うためのアプリケーションを自身のスマートフォンにダウンロードしておく。そして、ドットパターンを読み取る際にアプリケーションを起動する。
【0142】
次にユーザは、アイコンに印刷されたドットパターンをスマートフォンで読み取る(ステップS21)。アイコンには、
図23に示すように、ドットパターンとアイコン画像(同図ではワイングラスの画像)が重畳印刷されている。ユーザは、マニュアルまたはスマートフォンの自動フォーカス機能でアイコン画像にフォーカスを合わせてドットパターンを撮影する。なお、
図1および4のように、アイコンの周囲に太枠が設けられている場合は、太枠にフォーカスを合わせてもよい。
【0143】
ドットパターンを構成するドットの大きさおよび形状の少なくとも一つは、スマートフォンがフォーカスを所定時間以内に合わせることができない程度の形状または大きさであってもよい。一方、フォーカス用画像は、スマートフォンがフォーカスを所定時間以内に合わせることができる程度の大きさや色彩が必須である。フォーカス用画像にフォーカスが合うことによって、媒体が2次元の場合はフォーカス用画像と同一面上、媒体が3次元の場合はフォーカス用画像と同一面または略同一面に形成されたドットパターンも、同時にフォーカスが合うようになる。所定時間は0.4秒以内が望ましい。人間が「間」と感じるのは0.5秒程度とされるため、ドットコードの復号、ドットコードに対応する情報の表示や情報処理に要する時間である0.1秒程度を加えると、フォーカスを合わせて情報処理までに要する時間は0.5秒程度となるからである。なお、「間」を感じさせないように、待ち時間に表示される画像を変化させるなどの工夫をすれば1~2秒を要してもよい。
【0144】
より具体的には、ドットパターンにおいて、ドットの大きさおよびドット間の間隔は、ドットパターンの用途、ドットパターンを印刷できる面積等により、種々の値を決めることができるが、専用の赤外線カメラで読み取る場合には、ドットの大きさが約0.04mm(600dpi、1ピクセル)、基準ドット間の間隔が約0.5mm(600dpi、12ピクセル)、ドットパターン1個の大きさは約2mm×2mm=4mm2である。これに対して本発明では、上述の通りスマートフォン等を近づけて撮影する。スマートフォン等のカメラは年々高解像度になっており、このような微細なドットでも正確に認識でき、ドットコードに復号できる。しかし、世代の古いスマートフォンや格安のスマートフォンでは、カメラの解像度が低くドットが微細なため認識できない場合も多々ある。そこで、上記の場合に比べてドットの大きさを1.5~2.0倍としたドットパターンを使用するのが望ましい。つまり、ドット1個の大きさを直径約0.06mm(400dpi、1ピクセル)~0.08mm(600dpi、2×2ピクセルまたは300dpi、1ピクセル)とすることにより、若干フォーカスが合わない場合や、拡大した際の手ぶれによるぼけが生じてもドットパターンを認識することが可能となる。なお、基準ドット間の間隔は可視的効果を勘案し、0.5mm以上としてもよい。さらに、ドットパターンを紙面ではなく、ポスターや看板、箱等に印刷しそれらをスマートフォンで遠くから撮影する場合は、ドットの大きさおよび間隔は適宜大きくする必要がある。つまり、撮影画像のドットが小さすぎるとドットとして認識できないことから、スマートフォンで撮影したドットパターンの撮像画像がドットコードに復号できる程度のドットの大きさおよび間隔でなければならない。
【0145】
なお、本発明においても、赤外線を吸収する材料でドットパターンを形成し、専用の赤外線カメラでドットパターンを撮影してもよい。また、将来的には、スマートフォンが赤外線や紫外線等、可視光以外の光を読み取ることができるようになる可能性もある。その場合、ドットパターンを、可視光以外の波長を吸収する材料で形成してもよい。可視光以外の波長を吸収する材料は、透明であってもよい。透明の材料を用いることで、ドットの大きさが比較的大きいドットパターンであっても、視認しづらくすることができる。
【0146】
次に、スマートフォンの情報処理部2015により、ドットパターンの解析が行われる(ステップS22)。ユーザによりアイコンが撮影されると、
図23の矩形で示した領域が読み取られ、撮影画像がスマートフォン内部の記憶部2016に記録される。情報処理部2015による解析では、記録された撮影画像から二値化画像を生成し、各ドットの中心座標値を計算する。
【0147】
次に、情報処理部2015は、ドットパターンを構成するドット中心座標値を基にパターン解析を実施して、情報ドットに定義された数値情報を求めてドットコードを復号する(ステップS23)。
【0148】
次に、ドットコードに対応した情報の出力または操作指示を行う(ステップS24)。情報の出力としては、例えば、スマートフォンのスピーカから音声を出力したり、ディスプレイに画像や文字等のコンテンツを表示したりする。操作指示としては、例えば、マイクから音声を録音することが可能な状態にすることや、GPS機能や無線機能を有効にするなどどのような操作を実行してもよい。ドットコードに対応した情報の出力または操作指示は、スマートフォンで読取ったドットコードに対して、スマートフォンもしくはクラウドに記憶された情報または操作指示をタッチ操作などで選択して割り付ければよい。または、スマートフォンもしくはクラウドに記憶された情報または操作指示をタッチ操作などで選択して予め登録されている所定のドットコード(ドット付きアイコン1)に割り付けてもよい。上記の割り付けを行う際に専用のアプリを起動して実施してもよいし、ドット付きアイコン1読取りリーダーにその機能を内蔵してもよい。
【0149】
なお、アプリケーションの代わりにブラウザーを使用してもよい。その場合、撮影した画像をサーバに送信して、サーバで撮影画像を二値化してドットコードに復号してもよい。
【0150】
図22は、上記ステップS22のドットパターンの解析処理の詳細を示すフローチャートである。
【0151】
ドットパターンの解析は、スマートフォン内部の情報処理部2015で行われる。
【0152】
まず、情報処理部2015は、画像処理によりドットパターンを二値化する(ステップS30)。
【0153】
ここで
図24を参照する。
図24は、撮影された画像からドットを二値化した結果を示す図である。アイコン画像が印刷されている部分は、ドットが認識されない空隙領域(不可領域)となる。アイコン画像の削除は、二値化する際に閾値より小さく白として判定されるか、閾値より大きく黒として判定されるかのいずれかである。黒として判定された場合は、巨大なドットの塊として認識されることからドットでないと判定して省けばよい。つまり、当該画像を構成するピクセル数がドットを構成する最大所定数のピクセル数を超えた場合である。また、画像処理やAI(Artificial Intelligence:人工知能)などを使用してアイコン画像であるかどうかを判定して削除してもよい。なお、ワイングラスの枠線は、空隙領域を分かりやすく示すために描かれたものであり、実際の二値化画像には存在しない。
【0154】
次に、読み取り領域を分割し(ステップS31)、検索開始点を設定する(ステップS32)。具体的には、
図25に示すように、二値化されたドット画像を9個の領域に分割し、各領域の中心点を検索開始点(基準ドット検索開始点)とする。すなわち、検索開始点1~9を設定する。本実施例の二値化画像では、ドットが欠落してドットの検索ができない領域が存在する。そのため、複数の領域に分割して検索開始点を多く設定する。
【0155】
なお、分割する領域の数および形状は
図25に示したものに限られない。また、検索点は固定した点とは限らず、グラフィックが重畳しない領域を検索して検索点を1個以上設定してもよい。また、本実施例においては、情報ドットの数は16個であるが、16個全ての情報ドットを検索するまで、検索点を適時増加させてもよい。
【0156】
次に、各検索開始点から最も近い少なくとも6個のドットを検索し、基準ドットおよびずれたドットを検索する(ステップS33)。9個の検索開始点のうち、まず検索開始点1について、
図11のステップS03~S05で説明した方法により、基準ドットおよびずれたドットを検索して格子線を引く。本実施例では、ドットが欠落している領域が存在するが、1つのドットコードを形成する1つのドットパターンが一部切り欠いていても、欠落した情報を他の領域の情報ドットで補充できるアルゴリズムから構成されている。上述の通り、本来は最低1個の方向基準ドットを含む5×5=25個の基準ドットが必要であるが、方向基準ドットを含む2×2=4個の基準ドット(方向基準ドットを検索する際に設けられた仮想点を含んでもよい)を検索できれば、少なくとも1個の情報ドットを検索でき、方向基準ドットによりそれらの情報ドットの配置関係(情報ドットインデックス:ID)と数値情報を取得できる。
【0157】
検索開始点1から引ける格子線がなくなったら、検索開始点2以降について同様の処理を行う。欠落していない基準ドットおよびずれたドットを全て検索できた時点で、検索処理を終了する。
【0158】
次に、本発明による、1つのドットコードを形成する1つのドットパターンが一部切り欠いていても、欠落した情報を他の領域の情報ドットで補充できるアルゴリズムについて説明する。すなわち、
図26に示すように、二値化画像から認識できる情報ドットの数値情報を取得する(ステップS34)。ドットが欠落している領域は、情報を取得することができない。つまり、少なくとも1以上の方向基準ドットと基準ドットおよび情報ドットのいずれも欠落していない箇所からのみ、情報ドットの数値情報が求められる。丸付き数字で示されたドットが、数値情報を取得可能な情報ドットである。
【0159】
次に、
図27に示すように、仮想基準ドットを設定して(ステップS35)、上記で認識できなかった情報ドットの配置を求める。ドットコードを復号するためには、ドットパターンの向きと、情報ドットを囲む4個の基準ドットにより、情報ドットの配置を認識して数値情報を取得する必要がある。基準ドットが欠落している領域において、基準ドットが格子状に等間隔で配置され、少なくとも1以上の方向基準ドットが配置されていることから、既に検索した基準ドットの位置関係に基づいて、仮想的な基準ドットとして仮想基準ドットを設ける。
図27では、×印が仮想基準ドットである。仮想基準ドットにより、ステップS34で取得できなかった情報ドットの数値情報が取得できる。太線の丸で囲んだ情報ドットが、仮想基準ドットを設けたことにより数値情報を取得できた情報ドットである。なお、仮想基準ドットは、検索された基準ドット間の距離の増分値(微係数)による線形補間を実施すること、または、変形した格子から自然座標系を求めて情報ドットを自然座標系に配置すること、により設定することが可能である。もちろん、他の方法により設定してもよい。
【0160】
次に、数値情報を合成する(ステップS36~37)。二値化画像には空隙領域があることから、1個のドットパターン中に情報ドットが欠落している領域がある。そこで、複数の領域から情報ドットの数値情報を取得する(ステップS36)。
図27において、左下のドットパターンでは(9)(12)(13)(14)の情報ドットの数値情報が取得できておらず、右下のドットパターンでは(1)(2)(4)(5)の情報ドットの数値情報が取得できていない。そこで、
図28に示すように、左下のドットパターンの(1)~(8)の情報ドットと右下のドットパターンの(9)~(16)の情報ドット(点線で囲まれたドット)を合成して、(1)~(16)の全ての数値情報を取得する(ステップS37)。なお、これらの数値情報は、方向基準ドットが示す方向に対しての情報ドットの配置から求められる。つまり、少なくとも1以上の方向基準ドットが配置されていないと、数値情報そのものも取得できないし、どの番号の情報ドットかも特定できない。どの番号の情報ドットかは方向基準ドットの配置関係から特定される。
図28では、合成に用いていない情報ドットについては、番号を省略している。
【0161】
最後に、合成された数値情報に基づいてドットパターンをドットコードに復号する(ステップS38)。ドットコードの復号手順は、
図18で説明した通りである。
【0162】
なお、本実施例においては、アイコンに含まれる4個のドットパターン全てについて情報ドットを検索したが、本発明はこれに限らず、(1)~(16)の全ての情報ドットの数値情報を取得できた時点で、検索をやめてもよい。上述のように、
図28では、左下のドットパターンと右下のドットパターンだけで全ての情報ドットの数値情報を取得でき、2個のドットパターンのみで数値情報の合成を行った。このような場合は、左下のドットパターンと右下のドットパターンだけを検索してもよい。
【0163】
ただし、全てのドットパターンを検索することにより、同じ番号の情報ドットが同じ数値情報を有するかどうか確認することができ、強力なエラーチェック機能を果たすこともできる。
【0164】
<第2の実施形態>
次に、
図29~
図34を用いて本発明の第2の実施形態について説明する。なお、第1の実施形態と同一の構成、技術および手順については省略する。
【0165】
第2の実施形態は、ドットアイコン1を特定画像とし、特定画像を用いて拡張現実(Augmented Reality:AR)を実現することを特徴とする。拡張現実とは、現実世界に仮想世界を重ね合わせて表示する技術であり、例えば、現実の映像にデジタル情報を加えたコンテンツを出力する。
【0166】
図29は、本発明の第2の実施形態による特定画像を用いた拡張現実システムの構成例を示す説明図である。
【0167】
図29に示すシステムは、ドットパターンが形成されたアイコンが印刷された媒体30と、ドットパターンを撮影する読み取り装置20(スマートフォン)と、を備えている。
【0168】
本実施例では、媒体30はチョコレートの商品パッケージである。図示しないが、商品パッケージには、拡張現実用プログラムをダウンロードできるQRコード(登録商標)が印刷されていてもよい。ユーザが拡張現実用プログラムを保有していない場合は、スマートフォンでQRコードを撮影して、拡張現実用プログラムをダウンロードする。もちろん、拡張現実用プログラムをダウンロードする方法はこれに限られない。
【0169】
商品パッケージの略中央には、ウサギの絵柄のアイコンが印刷されている。ウサギのアイコンには、ドットパターンが重畳印刷されており、ドットアイコン1を形成している。ユーザは、スマートフォンに拡張現実用プログラムを起動させた状態でドットアイコン1を撮影する。
【0170】
図30は、ドットコードと、表示される画面との対応付けを示すテーブルであり、
図31は、アイコンを撮影した後にスマートフォンのディスプレイに表示される画面の一例である。
【0171】
拡張現実用プログラムをダウンロードすると、
図30のようなテーブルも同時にダウンロードされ、スマートフォンの記憶部に記憶される。例えば、ドットコードが「10101」である場合、対応するコンテンツは「ウサギが躍る映像」であり、ドットコードが「10110」である場合、対応するコンテンツは「ウサギが走る映像」である。テーブルには、「ウサギが躍る映像」や「ウサギが走る映像」が記憶されているアドレスが登録されてもよいし、3DCGをそのように動かす命令であってもよい。
【0172】
なおテーブルは、スマートフォンに記憶することに代えてサーバに記憶してもよい。また、ドットコードとコンテンツの対応付けは、テーブルに限らず、他の方法によって行ってもよい。
【0173】
ユーザが、拡張現実用プログラムを起動させた状態のスマートフォンのカメラによってアイコンを撮影すると、スマートフォンはアイコンに重畳印刷されたドットパターンを読み取り、
図22~28で説明した手順に従ってドットパターンを解析して数値情報(ドットコード)を取得する。そして
図30のテーブルを参照して、カメラが撮影している現実の映像(チョコレートの商品パッケージ)に重ねて、ドットコードに関連づけられた3DCG映像をディスプレイに表示する。
【0174】
図31(a)は、ウサギが躍っている3DCGがディスプレイに表示されている状態を示す図であり、この場合、読み取られたドットパターンに定義されたドットコードは「10101」である。同図(b)は、ウサギが走っている3DCGがディスプレイに表示されている状態を示す図であり、この場合、読み取られたドットパターンに定義されたドットコードは「10110」である。
【0175】
なお、拡張現実の処理(拡張処理)により形成される内容物は、3DCGに限られず、2次元画像、文字、音声、および複数の内容物の組み合わせでもよい。また、拡張現実という用語にとらわれず、アイコンに対して情報を付加、削除、強調および減衰の少なくとも一つを行うあらゆる処理を含む。
【0176】
また、1個のドットパターンによって定義されるドットコード全てを、コンテンツを特定するコード値に用いてもよいし、ドットコードの一部のみを、コンテンツを特定するコード値としてもよい。
【0177】
従来のARでは、ARマーカーを読み取り、ARマーカーに対応したコンテンツを出力している。しかし、その方法では、ARマーカー1種類に対して1個のコンテンツを出力することしかできない。これに対して本発明では、同じ特定画像(ARマーカーに相当)それぞれに異なるドットパターンを印刷することにより、同じ特定画像で複数の異なるコンテンツを出力することが可能となる。
【0178】
図32は、本発明にかかる拡張現実の処理を示すフローチャートである。
【0179】
まずユーザは、拡張現実用のアプリケーションプログラムを起動する(ステップS70)。そして、ドットパターンが印刷されたアイコン画像(ドットアイコン1)を、スマートフォンのカメラで読み取る(ステップS71)。
【0180】
次に、画像認識処理を行う(ステップS72)。スマートフォンの情報処理部2015は、読み取った画像の画像認識処理を行って、アイコン画像を検出する(ステップS73)。
【0181】
次にアイコン画像を解析する(ステップS74)。情報処理部2015は、アイコン画像を解析して、アイコンの絵柄を認識する。そして、現実空間におけるアイコンの位置および姿勢を検出する(ステップS75)。
【0182】
さらに情報処理部2015は、画像認識処理によりドットパターンを検出する(ステップS76)。そして、ドットパターンを解析して(ステップS77)、ドットパターンをドットコードに復号する(ステップS78)。なお、ドットパターンの解析・復号の具体的な処理は、
図22~
図28に示す通りである。
【0183】
なお、アイコン画像の検出とドットパターンの検出は、同時に行ってもよいし、どちらかの処理を先に行ってもよい。
【0184】
次に情報処理部2015は、ステップS75で検出したアイコンの位置および姿勢、およびステップS78で復号したドットコードに基づき拡張処理を行う(ステップS79)。まず情報処理部2015は、
図30で説明したテーブルを参照して、ドットコードに対応する処理を認識する。そして、ステップS75で検出したアイコンの位置および姿勢に合わせて、すなわち、アイコンと所定の位置関係を有するように、現実の映像(現実空間)の中に合成する内容(拡張現実画像)を制御する。例えば、
図30においてドットコードが10101の場合、ウサギの絵柄の位置および姿勢に合わせて、ウサギが躍る3DCGの配置位置、傾き等を制御する。なお、アイコンの位置および姿勢に合わせることに代えて、アイコンが印刷された媒体表面の位置に対応させて、すなわち媒体表面と所定の位置関係を有するように、拡張現実画像を合成してもよい。
【0185】
次に、情報処理部2015は、拡張処理により生成した拡張現実画像をディスプレイに表示する(ステップS80)。そして、本処理を終了する(ステップS81)。
【0186】
一般に、拡張処理では、カメラによりARマーカーを撮影し、ARマーカーを認識することで、ARマーカーに対応づけられたコンテンツを出力する。しかし、ARマーカーを認識するためには、特徴点が多く必要であり、ARマーカーの形状や画像を正確に認識することが難しい場合がある。これに対して本発明では、アイコンに対応づけられたコンテンツを、ドットパターンを用いて認識する。これにより、ARマーカーを用いる場合よりも正確かつ容易にコンテンツを出力することができる。さらに、上述した通り、同じアイコンであっても異なるドットパターンを形成し異なるコード値を定義することにより、それぞれのコード値に対応する異なるコンテンツを出力することが可能となる。
【0187】
なお、ドットパターンに座標値を定義することにより、ARマーカーを用いないで印刷された媒体表面のドットパターンに定義された座標値による位置情報に対応させて、媒体表面と所定の位置関係を有するように、拡張現実画像を合成してもよい。この場合、ドットパターンに定義された座標値または、座標値とコード値がARマーカーの役目を担う。
【0188】
<第2の実施形態の変形例>
次に、第2の実施形態の変形例について説明する。
【0189】
本実施例では、ドットパターンにさらに座標値が定義されていることを特徴とする。
【0190】
図33は、本実施例にかかる拡張現実の処理を示すフローチャートである。
【0191】
まずユーザは、拡張現実用のアプリケーションプログラムを起動する(ステップS90)。そして、ドットパターンが印刷されたアイコン画像(ドットアイコン1)を、スマートフォンのカメラで読み取る(ステップS91)。
【0192】
次に、画像認識処理を行う(ステップS92)。スマートフォンの情報処理部2015は、ドットパターンを検出する(ステップS93)。そして、ドットパターンを解析して(ステップS94)、ドットパターンをドットコードに復号する(ステップS95)。なお、ドットパターンの解析・復号の具体的な処理は、
図22~
図28に示す通りである。
【0193】
次に情報処理部2015は、ドットパターンの変形状態を検出する(ステップS96)。検出されたドットとカメラの傾きとの関係から、ドットパターンの向きや変形の状態を検出する。そして、情報処理部2015は、ドットパターンの変形状態、およびドットコードに基づき拡張処理を行う(ステップS97)。まず情報処理部2015は、
図30で説明したテーブルを参照して、ドットコードに対応するコンテンツを認識する。また、ドットコードには、コンテンツに加えて座標値が定義されている。この座標値から、媒体におけるアイコンの配置位置を認識する。そして、ステップS96で検出したドットパターンの向きおよび変形状態から、カメラの撮影方向とアイコンとの傾斜角および/または回転角を取得して、例えば
図30においてドットコードが10101の場合、ウサギが躍る3DCGの傾きや大きさ等を調整する。
【0194】
なお、拡張処理の起点として認識する位置は、ドットアイコン1の中央でもよいし、予め定められたドットアイコン1内の所定の位置でもよい。また、ドットアイコン1が配置された媒体上の位置を認識することに代えて、媒体表面の所定の位置を認識するようにしてもよい。
【0195】
次に情報処理部2015は、、拡張処理により生成した拡張現実画像をディスプレイに表示する(ステップS98)。そして、本処理を終了する(ステップS99)。
【0196】
上述した通り、ARマーカーを認識するためには、特徴点が多く必要である。そのため、ARマーカーに描かれた内容だけでなく、ARマーカーの位置を求めるためにも、複雑な計算が必要となる。
【0197】
本実施例のように、ドットパターンで座標値を定義することにより、複雑な計算を要することなく拡張処理を行うことが可能になる。
【0198】
なお、ドットパターンに定義された座標値は、媒体表面を示す座標値に対応させることができる。具体的には
図34に示す通りである。すなわち、媒体表面の左下の座標値を原点(0,0)とした座標系により、アイコンが配置された位置の座標値(x1、y1)~(x2,y2)を特定する。
【0199】
また、媒体表面を示す座標系とドットコードの座標系は異なっていてもよい。例えば、ドットコードは直交座標系を定義しているが、媒体表面は円座標系や3次元の球面座標系であってもよい。しかも、ドットパターンが形成された位置とは無関係に、媒体表面の位置情報を示すことも可能である。
【0200】
このように、ドットパターンが印刷されたアイコンを用いて拡張処理を行うことにより、ARマーカーを使用する等の従来の拡張現実と比較して、より拡張的に迅速かつ簡易に処理をすることが可能となる。
【0201】
なお実施例では、ドットコードはコンテンツと対応付けられているが、本発明ではこれに限らず、情報処理や操作指示等と対応付けられていてもよい。
【0202】
<具体的な用途>
図35~
図46は、本発明を用いた種々の用途について説明する図である。
【0203】
図35は、本発明をワインリストに用いた場合の説明図である。
【0204】
同図(a)は赤ワインのリストである。このリストは、例えば飲食店のメニューとして飲食店のテーブルに置かれたり、酒店のチラシとして客に配布されたりする。リストの左側には赤ワインのアイコン(ワイングラスマーク)が描かれており、右側には赤ワインの名称と値段が記載されている。ワイングラスマークには、ドットパターンが重畳印刷されている。同図(b)は、撮影する際のスマートフォンの画面である。ドットアイコン1に重畳印刷されたドットコードを読取るドットアイコンリーダー(拡張現実用のアプリケーションプログラムでもよい)を立ち上げ、撮影用のページを開くと、画面の上部から中央にかけて四角形状の枠が、画面の下に「マークが枠内に収まるよう撮影してください」との指示が表示される。ユーザは、3個のワイングラスマークのうち、目的とするワイングラスマークが枠内に収まるように、いずれかのワイングラスマークを撮影する。例えば同図では、一番上のワイングラスマークを撮影している。スマートフォンは、
図22~28で説明した方法により、ワイングラスマークに重畳印刷されたドットパターンを読み取り解析する。ドットパターンの解析が完了すると、同図(c)の画面が表示される。画面には、カベルネ・ソーヴィニョンの特長やおすすめの料理等、カベルネ・ソーヴィニョンに関する情報が表示される。
【0205】
図36は、本発明を商品カタログに用いた場合の説明図である。
【0206】
同図(a)はカタログの一部である。このページでは、秋野菜が掲載されており、各秋野菜の左上にはチェックマークが描かれている。チェックマークには、ドットパターンが重畳印刷されている。同図(b)は、撮影する際のスマートフォンの画面である。ドットアイコン1リーダー(拡張現実用のアプリケーションプログラムでもよい)を立ち上げ、撮影用のページを開くと、画面の上部から中央にかけて四角形状の枠が、画面の下に「マークが枠内に収まるよう撮影してください」との指示が表示される。ユーザは、目的とする野菜の左上に描かれたチェックマークが枠内に収まるように撮影する。同図では、かぼちゃの左上のチェックマークを撮影している。スマートフォンは、
図22~28で説明した方法により、チェックマークに重畳印刷されたドットパターンを読み取り解析する。ドットパターンの解析が完了すると、同図(c)の画面が表示される。画面には、かぼちゃを用いた料理のレシピが表示される。なお、チェックマークの代わりに、各秋野菜に対応するドットコードを重畳印刷してドットアイコン1としてもよい。
【0207】
図37は、本発明を非常口に用いた場合の説明図である。
【0208】
同図(a)は壁面等に設置された非常口のピクトグラムである。ピクトグラムには、ドットパターンが重畳印刷されている。同図(b)は、撮影する際のスマートフォンの画面である。拡張現実用のアプリケーションプログラムを立ち上げ、撮影用のページを開くと、画面の上部から中央にかけて四角形状の枠と「マークが枠内に収まるよう撮影してください」との指示が表示される。ユーザは、非常口のピクトグラムが枠内に収まるように撮影する。スマートフォンは、
図32,33で説明した方法により、ピクトグラムを認識し、
図22~28で説明した方法により、ピクトグラムに重畳印刷されたドットパターンを読み取り解析する。ピクトグラムの認識とドットパターンの解析が完了すると、同図(c)の画像が表示される。廊下の画像は、ユーザが現実に位置している場所の撮影画像である。ドットパターンには、非常口の位置を示す位置情報(座標値)が定義されており、この位置情報に基づいて、ユーザが位置している廊下の撮影画像が表示される。そして、廊下の画像に重ねて、矢印と「非常口 20m」「左15m」という文字とが表示される。ユーザは、この矢印および文字に従って進むことにより、安全な場所に避難することができる。
【0209】
一般に、1つの建物の中で、非常口を示すピクトグラムの画像は全て同一である。画像を認識して呼び出す従来の拡張現実では、1つのピクトグラムでは1つの同じ情報しか呼び出すことができない。そこで同図のように、ピクトグラムに重畳印刷されたドットパターンを読み取って解析することにより、同じピクトグラムであってもそれぞれの設置場所に対応した異なる情報を表示することができる。
【0210】
なお、位置情報は、ドットパターンから取得することに代えて、またはドットパターンで取得することに加えて、GPSにより取得してもよい。
【0211】
図38は、本発明を水族館での説明に用いた場合の説明図である。
【0212】
同図(a)は水族館の様子を示す図である。水槽下部の壁面には、博士のアイコンが設置されている。アイコンにはドットパターンが重畳印刷されている。同図(b)は、撮影する際のスマートフォンの画面である。拡張現実用のアプリケーションプログラムを立ち上げ、撮影用のページを開くと、画面の上部から中央にかけて四角形状の枠が、画面の下に「マークが枠内に収まるよう撮影してください」との指示が表示される。ユーザは、博士のアイコンが枠内に収まるように撮影する。スマートフォンは、
図32,33で説明した方法により、アイコンを認識し、
図22~28で説明した方法により、アイコンに重畳印刷されたドットパターンを読み取り解析する。アイコンの認識とドットパターンの解析が完了すると、同図(c)の画面が表示される。ウミガメの画面は、実際にユーザがいる位置でスマートフォンをかざして表示される水槽の映像である。現実の水槽の映像に重畳して、ウミガメの画像と説明文が一覧もしくはスクロール表示される。ユーザが、表示された画像と同じ生物にスマートフォンを翳すと、‘ピンポーン’などのアクションが出力表示されたりしてもよい。
【0213】
水族館、動物園等の施設では、飼育されている生き物、展示されている物の説明が壁面等に設けられていることが多い。しかし、見学者が多い時など、じっくりと説明文を読んでいる時間がない場合がある。本実施例では、ユーザのスマートフォンで水槽内の生物の情報を取得することができるため、見学者の流れを気にせずに説明文を読むことが可能となる。
【0214】
また、画像を認識して呼び出す従来の拡張現実では、1つのアイコンでは1つの同じ情報しか呼び出すことができない。そこで同図のように、アイコンに重畳印刷されたドットパターンを読み取って解析することにより、同じアイコンであってもそれぞれの設置場所に対応した異なる情報を表示することができる。
【0215】
なお、
図37の実施例においては、スマートフォンに設けられたジャイロセンサを活用してもよい。例えば
図37においては、ユーザが、非常口のピクトグラムを読み取った後にスマートフォンを様々な方角に向けると、その方角に対応して、表示される矢印や文字の内容が異なってくる。また、
図38においては、ユーザが、博士のアイコンを読み取った後にスマートフォンを水槽の生物に向けると、その生物を画像認識してその生物の説明が表示されるようにしてもよい。
【0216】
図39~40は、本発明をシールに用いた場合の説明図である。
【0217】
図39は、ドットアイコン1を、番号を示したシールとしたものである。同図では、番号1~10の10個のアイコンが媒体に印刷されており、それぞれが個別に剥がせるシールとなっている。各アイコンには、それぞれ異なるドットパターンが重畳印刷されている。
【0218】
図40は、
図39の使用例を示す説明図である。複数の人が同一のシールを所持する。所持している人のうちの一人(ここではユーザA)が、画像や動画等のコンテンツをドットコードに関連付ける。関連付けは、例えば、専用のアプリケーションをスマートフォンにダウンロードして行う。ユーザAがアプリケーションを起動して、シールに印刷されたドットアイコン1のいずれかを撮影すると、アイコンに重畳印刷されたドットパターンが読み取られる。次に、関連付けをしたいコンテンツの選択を促す画面がディスプレイに表示され、ユーザAは、画面の指示に従ってアイコンに関連付けをしたいコンテンツを選択する。選択が完了すると、ドットコードとコンテンツとを対応付けたテーブルが生成され、クラウドに送信される。なお、ドットコードとコンテンツとがそれぞれクラウドに送信され、クラウドでテーブルが作成されてもよい。その後、他のユーザ(ここではユーザB~D)が、ユーザAが関連付けをしたドットアイコン1と同じ番号のドットアイコン1を自身のスマートフォンで撮影すると、ユーザAが関連付けをしたコンテンツがユーザB~Dのディスプレイに表示またはスピーカから出力される。なお、コンテンツとしては、画像(写真)、動画、音楽等がある。それらは、単体(例えば写真1枚)でドットアイコン1に関連付けるだけでなく、複数のコンテンツ(例えば写真複数枚)をまとめて関連付けることも可能である。この場合、ドットアイコン1はホルダの役割を有することになる。また、ドットアイコン1に複数のコンテンツを関連付けたときには、スマートフォンにもホルダが自動的に作成されてもよい。ドットアイコン1と複数のコンテンツとの関連付けを解除しても、スマートフォンに作成されたホルダは維持される。
【0219】
友人や知人間でコンテンツの送受信をする場合には、メールやメッセージアプリ(LINE等)を用いることが多い。しかし、画像や動画の容量が大きい場合には送受信ができなかったり、できたとしても時間や負荷がかかったりする等の問題がある。大容量のファイルを転送するサービスも存在するが、ファイルのアップロードやダウンロードに必要な手順が煩雑であり、また、ダウンロード期限が短く、期限が過ぎてしまうことが多いという問題がある。本発明では、ファイルの容量やダウンロード期限を気にすることなく、簡易な操作でコンテンツの送受信をすることができる。
【0220】
シールは、手帳やノート等に貼付して用いることが好ましい。コンテンツが関連付けられたドットアイコン1が増えていくと、どのドットアイコン1にどのコンテンツが関連付けられているのか分からなくなる。そこで、手帳やノートにドットアイコン1を貼付して、その横などの空いた領域に、コンテンツの内容(「飲み会」「博物館訪問」等)を記入すれば、閲覧したいコンテンツに容易にアクセスすることができる。
【0221】
また本発明は、友人や知人間での個人的なコンテンツのやり取りだけでなく、SNS(Social networking service;ソーシャル・ネットワーキング・サービス)に利用することも可能である。
【0222】
また関連付けは、コンテンツだけでなく、各種の操作指示であってもよい。
【0223】
なお、本実施例では、ドットアイコン1をシールにしたが、ドットアイコン1を印刷した手帳やノート、カレンダー、付箋等、どのような媒体であってもよい。
【0224】
図41は、ドットアイコン1を印刷した手帳の一例である。ドットアイコン1の横にはメモ欄と日付記入欄が設けられている。例えば工事現場では、工事中の建物等の写真を撮影しておくことが多い。しかし、現場での業務中に撮影した写真を、その場でホルダにまとめ、そのホルダにホルダ名を付けることは困難である。本発明の手帳では、撮影した写真をその場でまとめてドットアイコン1に関連付け、写真の内容や撮影日をその場で記入することができる。そのため、効率的に業務を進めることが可能となる。
【0225】
図42は、本発明を真贋判定やトレーサビリティに用いる場合の説明図である。
【0226】
同図(a)は、化粧品の外箱および化粧品本体である。外箱にはドットアイコン1が印刷されている。ユーザ(化粧品の購入者)は、自身のスマートフォンでドットアイコン1を撮影する。化粧品が正規品である場合には、同図(b)のように、ディスプレイに「正規品」と表示される。なお、ドットアイコン1は化粧品本体に設けてもよい。
【0227】
多くの製品が日本で製造され、海外に輸出されている現在、模倣品の被害は深刻な問題となっており、真贋判定技術の重要性が高まっている。ドットパターンは秘匿性が非常に高いため、すでに製品の真贋判定に用いられているが、専用の読み取り装置が必要であるため、製品の販売者等の事業者側の利用がほとんどであった。本発明では、スマートフォンでドットパターンを読み取ることができるため、一般消費者においても製品の真贋判定を行うことが可能である。
【0228】
また、ドットアイコン1を、物流拠点での商品のトレーサビリティに用いてもよい。
【0229】
ここで、ドットパターンにおける真贋判定の精度をさらに高める技術について説明する。
【0230】
図43は、真贋判定の精度をさらに高めたドットパターンの一部領域の拡大図である。GRID1ドットパターンでは仮想点を基準に情報ドットを配置して情報を定義するが、本発明では、仮想点から2個のドットを配置する。2個のドットは濃度が異なっており、1個は基準ドットと同じ濃度で印刷されており、1個は基準ドットよりも薄い色で印刷されている。薄い色のドットは、スマートフォンによる読み取りが可能な程度の薄さである。
【0231】
2個のドットのうち、1個は数値情報を定義する真正の情報ドットとし、1個は情報を定義しないダミードット(
図14~16のダミードットとは異なる)とする。濃い色のドットと薄い色のドットのいずれも、真正の情報ドットおよびダミードットとすることができる。また仮想点によって、情報ドットとダミードットの割り当てを異ならせることができる。例えば同図では、上中央の仮想点、左下の仮想点では、濃い色のドットをダミードット(「偽」と記載されたドット)、薄い色のドットを情報ドット(「真」と記載されたドット)としているが、それ以外の仮想点では、濃い色のドットを情報ドット、薄い色のドットをダミードットとしている。この割り当てを、予め記憶手段に記憶しておく。
【0232】
スマートフォンでドットパターンが撮影されると、記憶された割り当てに従ってドットコードに復号される。予め記憶されたものとは異なって情報ドットとダミードットの割り当てがなされている場合は復号されない。この場合、正規品ではない旨を文字や音声で知らせるようにしてもよい。
【0233】
このように、真正な情報ドットとダミードットの2個のドットを設けることにより、万が一ドットパターンがそのまま複製された場合であっても正規品であるか模倣品であるかを判断することができるため、ドットパターンの秘匿性をより一層高めることができる。
【0234】
図44は、本発明を商品のプロモーションに用いる場合の説明図である。同図(a)では、飲料の容器にドットアイコン1が印刷されている。ユーザ(飲料の購入者)が、自身のスマートフォンでドットアイコン1を撮影すると、同図(b)のように、ユーザのスマートフォンに購入者限定の特典ムービーが表示される。もちろん、ドットアイコン1を撮影してユーザに提供される特典はムービーに限られない。例えば、特別なウェブサイトへの誘導、クーポン、スタンプラリーのスタンプ付与であってもよい。ドットアイコン1は、パッケージに合わせたアイコンを設定することができるため、パッケージのデザイン性、美観を損なわない。そのため、デザイン性を重視した幅広いシーンでの活用が可能である。ドットアイコン1に印刷されたドットパターンを変えることによって、それぞれで提供されるサービスを変えてもよい。
【0235】
なお、飲料の容器が透明のペットボトルである場合は、薄い色をベタ印刷した上にドットアイコン1を印刷することが好ましい。透明の容器ではドットアイコン1以外のものが映り込みする可能性があるため、映り込みを防止して、正確にドットパターンを読み取ることができるようにするためである。
【0236】
図45は、ドットアイコン1を観光案内の地図に設定した場合の説明図である。同図(a)は、市町村や特定の地域等で配布される観光案内の地図である。地図には、ホテル、神社、博物館等、その地域の主要な施設の場所がアイコンで示されている。このアイコンは、ドットパターン(図示せず)が重畳印刷されているドットアイコン1である。ユーザが自身のスマートフォンでドットアイコン1を撮影すると、ユーザのスマートフォンに、アイコンに関連した情報が出力される。例えば、ユーザが神社のドットアイコン1を撮影すると、ユーザのスマートフォンに、○○神社の紹介文が表示される(同図(b))。これにより、一般的な地図に対してさらに詳細な情報を提供することが可能となる。
【0237】
なお、ドットアイコン1を、ユーザ一人一人に配布する地図だけでなく、駅構内、道路等に設置される案内標識に用いてもよい。ユーザが、案内標識に記載された施設等を表示するドットアイコン1を撮影すると、施設に関する情報や、案内標識から施設までの道順等がユーザのスマートフォンに表示される。
【0238】
図46は、ドットアイコン1に凸部を設ける場合の説明図である。同図(a)は、凸部付きのドットアイコン1が印刷された印刷物(媒体)の一例である。印刷物には、凸部付きドットアイコン1の他にも文字情報や、文字情報に対応する点字も印刷されている。同図の印刷物は、観光地等の主要施設の案内であり、文字情報は施設の名称である。同図の点字はイメージであり実際の点字とは異なる。
【0239】
同図(b)は凸部付きドットアイコン1の拡大図である。凸部はドットアイコン1の上に複数配置されており、これらが点字を構成するように配置されている。同図では、ドットアイコン(Dot Icon)を表わす「DI」の文字に対応する点字が配置されているが、これに限定されない。また、点字ではなく、所定の記号や線であってもよい。凸部は、アイコン画像に重畳して配置する。元々、画像が印刷された領域のドットパターンは解析されないため、アイコン画像に凸部を重畳しても、ドットパターンの解析に影響しないからである。
【0240】
同図(c)は凸部付きドットアイコン1の他の例を示す拡大図である。同図では、凸部がドットアイコン1の輪郭に沿って設置されている。このように、ドットアイコン1の輪郭に沿って凸部が設置されていれば、ドットアイコン1の位置に加えてドットアイコン1の大きさや存在範囲も触覚によって認識できる。なお、同図ではドットアイコン1の輪郭全体に凸部を設けたが、これに限らず、ドットアイコン1の四隅等、輪郭の一部のみに凸部を設けてもよい。また、アイコン画像に重畳して同図(b)の点字を配置するとともに、ドットアイコン1の輪郭に沿って凸部を配置してもよい。
【0241】
ドットアイコン1に凸部を設けることにより、視覚障害者によるドットアイコン1の撮像がより容易になる。
【0242】
なお、上記用途は一例に過ぎず、スマートフォンに表示される画面、使用例等は、上記説明に限定されないことはもちろんである。
【0243】
以上、本発明を説明したが、本発明は、上述した実施形態に限られない。上記で説明した各構成や各処理は、単独で実施することもでき、また、異なる実施形態、異なる用途に記載された構成同士でも、それらを自由に組み合わせて実施することも可能である。
【0244】
例えば、アイコンを、実施形態1のフォーカス用画像としての機能と、実施形態2の拡張現実用マーカーとしての機能の、両方の機能を有するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0245】
本発明の二次元コードは、語学学習用教材、観光案内、各種広告、真贋判定、その他ありとあらゆる用途に利用できる。
【符号の説明】
【0246】
1 ドット付きアイコン1、ドットアイコン1
10、30 媒体
20 読み取り装置(スマートフォン)
210 筐体
220 ディスプレイ
230 操作ボタン
240 撮像部
2010 アンテナ
2011 送受信部
2013 マイク
2015 情報処理部
2016 記憶部
2017 スピーカ
2018 撮像部
【要約】
【課題】 どのようなスマートフォン等の読み取り装置でも簡易な印刷方法および簡易な処理により、可視光でのドットパターンの読み取りを可能にすることを技術的課題とする。
【解決手段】 所定の規則に則ってドットが配置されたドットパターンであって、ドットは、ドットパターンで符号化するための基準となり、向きを特定可能なドットを含む複数の基準ドットと、基準ドットの配置を基に特定される複数の配置領域に配置される情報ドットと、を含み、ドットパターンは、媒体に複数形成され、ドットパターンに重畳または隣接して、媒体の所定の位置にドット以外の画像の少なくとも一部が形成されており、少なくとも1つのドットパターンには、少なくとも一部のドットが復号できない不可領域を含み、不可領域に対応するドットが不可領域を含むドットパターン以外のドットパターンによって補完される。。
【選択図】
図1