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特許7473781音要素入力媒体、読取変換装置、及び、楽器システム、並びに、楽音生成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-16
(45)【発行日】2024-04-24
(54)【発明の名称】音要素入力媒体、読取変換装置、及び、楽器システム、並びに、楽音生成方法
(51)【国際特許分類】
   G10G 1/00 20060101AFI20240417BHJP
   G10H 1/00 20060101ALI20240417BHJP
   G10H 1/18 20060101ALI20240417BHJP
   G10H 1/24 20060101ALI20240417BHJP
   G09B 15/04 20060101ALI20240417BHJP
【FI】
G10G1/00
G10H1/00 Z
G10H1/18 101
G10H1/24
G09B15/04
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2019240113
(22)【出願日】2019-12-12
(65)【公開番号】P2021096436
(43)【公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-11-11
(73)【特許権者】
【識別番号】597010226
【氏名又は名称】株式会社コト
(72)【発明者】
【氏名】窪田 和弘
【審査官】大石 剛
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-509011(JP,A)
【文献】特開2018-149221(JP,A)
【文献】特開2003-330463(JP,A)
【文献】特開昭57-076585(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10G 1/00
G10H 1/00
G10H 1/18
G10H 1/24
G09B 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項9】
音要素に関する基情報が付与されている二種類の音要素エリアを備え、前記基情報に前記音要素における音高を発音させる情報を含む一方の前記音要素エリアと、当該一方の音
要素エリアと分けて配置される、前記基情報に前記音要素における音色を発音させる情報を含む他方の前記音要素エリアとを有して構成される音要素入力媒体を設け、列状に並ぶ各一方の音要素エリアに付与されている基情報における音高を発音させる情報と前記他方の音要素エリアに付与されている基情報における音色を発音させる情報とを読み取って楽音情報を生成し、当該楽音情報を音源機構に向けて出力する機能を内蔵する読取変換装置を設け、前記音高を前記音色に基づき人により列順に発音させて奏でることを特徴とする楽器システム。
【請求項20】
読取変換装置は、音色を発音させる情報を一時記憶させる一時記憶手段と、読み取られた一方の音要素エリアにおける基情報に音色を選択する音色選択情報が存在するか否かを判断する有無判断手段とを備えており、有無判断手段により前記音色選択情報が存在する場合には、前記一時記憶手段に既に記憶されている音色を発生させる情報に基づいて前記楽音情報を生成する請求項18記載の楽音生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音高に関する音要素の情報を付与する音要素エリアと音色に関する音要素の情報を付与する音要素エリアを有して構成される音要素入力媒体、該音要素入力媒体における音要素を読み取って楽音情報を生成する読取変換装置、及び、音要素入力媒体と読取変換装置とを備える楽器システム、並びに、楽音生成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、従来の譜面における音高の記号化と音価の発音タイミングのグラフ化を実現した演奏用譜面を用いて読譜力と音感とリズム感を効率よく養成する音楽学習方法が開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、一枚のカードにコンピュータチップを含む電子回路と音を鳴らす押しボタン及びスピーカとを内蔵し、このカードの表面に、鳴らす音の音符記号を付した音楽教材が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】WO2017-69117
【文献】特開2017-211565号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記音楽学習方法は、譜面を読みながら楽器を鳴らす練習をすることで音感等を養う音楽学習方法であり、楽器を演奏できることを前提とするので、この学習方法では、初心者にとっては楽器の操作練習から始めなければならず、また、楽器の操作が苦手な学習者にとっては不向きであるという問題点があった。
【0006】
また、前記音楽教材は、コンピュータチップを搭載する回路をカード毎に内蔵する教材であるから、カードが増えれば増える程、製造コストが嵩み、一般家庭用の幼児を含む子供(学習者)の音楽学習用教材としては高価であるという問題点があった。
【0007】
そこで、本発明は、例えば、カードや紙面を利用して、音名や階名を表す各音高情報の音要素を付与したエリアを一区画として列状に連続して並べて、好みの音色の音要素を使って列順に音を鳴らす環境を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記技術的課題は、次の通りの本発明によって解決できる。
【0009】
請求項1に係る発明は、音要素に関する基情報が付与されている二種類の音要素エリアを備え、一方の前記音要素エリアは音高に関する音要素を表現する視認情報付帯面を有し、前記一方の音要素エリアの基情報は音要素における音高を発音させる情報を含み、他方の前記音要素エリアは音色に関する音要素を表現する視認情報付帯面を有し、前記他方の音要素エリアの基情報は音要素における音色を発音させる情報を含み、前記一方の音要素エリアと前記他方の音要素エリアとは分けて配置されて前記一方の音要素エリアは複数用意されて列状に並べて用いられ、列状に並ぶ各一方の音要素エリアにおける音高を前記他方の音要素エリアにおける音色に基づき列順に発音させて奏でる環境に形成される音要素入力媒体である。
【0010】
請求項2に係る発明は、請求項1記載の音要素入力媒体において、音高を発音させる情報が、和音の構成音から構成されているものである。
【0011】
請求項3に係る発明は、請求項1記載の音要素入力媒体において、一方の音要素エリアの基情報には、音色を選択する音色選択情報が含まれるものである。
【0012】
請求項4に係る発明は、請求項1記載の音要素入力媒体において、音色を発音させる情報が、該音色を移調してなる音色情報である。
【0013】
請求項5に係る発明は、前記いずれかの音要素入力媒体において、音要素エリアが、それぞれ扁平なカードからなるものである。
【0014】
請求項6に係る発明は、同じく、前記いずれかの音要素入力媒体において、音要素エリアが、同一平面上に一体的に配置されているものである。
【0015】
請求項7に係る発明は、音要素に関する基情報が付与されている二種類の音要素エリアを備え、前記基情報に前記音要素における音高を発音させる情報を含む一方の前記音要素エリアと、当該一方の音要素エリアと分けて配置される、前記基情報に前記音要素における音色を発音させる情報を含む他方の前記音要素エリアとを有して構成される音要素入力媒体における前記各情報を読み取って楽音を発生させる楽音情報を生成する読取変換装置であって、読み取られた基情報が直前に読み取った基情報と同じ基情報であるか否かを判断する同異判断手段と、同異判断手段により同じである場合には、当該基情報による楽音を発生させる楽音情報を生成する処理を実施しない制御をする処理回避手段とを備えている読取変換装置である。
【0016】
請求項8に係る発明は、音要素に関する基情報が付与されている二種類の音要素エリアを備え、前記基情報に前記音要素における音高を発音させる情報を含む一方の前記音要素エリアと、当該一方の音要素エリアと分けて配置される、前記基情報に前記音要素における音色を発音させる情報を含む他方の前記音要素エリアとを有して構成される音要素入力媒体における前記各情報を読み取って楽音を発生させる楽音情報を生成する読取変換装置であって、前記音色を発音させる情報を一時記憶させる一時記憶手段と、読み取られた前記一方の音要素エリアにおける基情報に音色を選択する音色選択情報が存在するか否かを判断する有無判断手段と、有無判断手段により前記音色選択情報が存在する場合には、前記一時記憶手段に既に記憶されている音色を発音させる情報に基づいて前記楽音情報を生成する制御をする楽音情報生成手段とを備えている読取変換装置である。
【0017】
請求項9に係る発明は、音要素に関する基情報が付与されている二種類の音要素エリアを備え、前記基情報に前記音要素における音高を発音させる情報を含む一方の前記音要素エリアと、当該一方の音要素エリアと分けて配置される、前記基情報に前記音要素における音色を発音させる情報を含む他方の前記音要素エリアとを有して構成される音要素入力媒体を設け、列状に並ぶ各一方の音要素エリアに付与されている基情報における音高を発音させる情報と前記他方の音要素エリアに付与されている基情報における音色を発音させる情報とを読み取って楽音情報を生成し、当該楽音情報を音源機構に向けて出力する機能を内蔵する読取変換装置を設け、前記音高を前記音色に基づき列順に発音させて奏でる楽器システムである。
【0018】
請求項10に係る発明は、請求項9記載の楽器システムにおいて、音高を発音させる情報が、和音の構成音から構成されているものである。
【0019】
請求項11に係る発明は、請求項9記載の楽器システムにおいて、音色を発音させる情報が、該音色を移調してなる音色情報である。
【0020】
請求項12に係る発明は、前記いずれかの楽器システムにおいて、読取変換装置は、さらに、読み取られた基情報が直前に読み取った基情報と同じ基情報であるか否かを判断する同異判断手段と、同異判断手段により同じである場合には、当該基情報による楽音を発生させる楽音情報を生成する処理を実施しない制御をする処理回避手段とを備えているものである
【0021】
請求項13に係る発明は、前記いずれかの楽器システムにおいて、読取変換装置は、さらに、前記音色を発音させる情報を一時記憶させる一時記憶手段と、読み取られた一方の音要素エリアにおける基情報に音色を選択する音色選択情報が存在するか否かを判断する有無判断手段とを備え、有無判断手段により前記音色選択情報が存在する場合には、前記一時記憶手段に既に記憶されている音色を発音させる情報に基づいて前記楽音情報を生成するものである。
【0022】
請求項14に係る発明は、前記いずれかの楽器システムにおいて、読取変換装置は、情報を光学的に読み取る機能を有し、一方の音要素エリアは、音名と階名とから選ばれる音高を表現する視認情報付帯面からなり、当該視認情報付帯面には光学的に読み取り可能な音高を発音させる情報が重畳印刷されていると共に、他方の音要素エリアは、音色を表現する視認情報付帯面からなり、当該視認情報付帯面には光学的に読み取り可能な音色を発音させる情報が重畳印刷されているものである。
【0023】
請求項15に係る発明は、請求項14記載の楽器システムにおいて、読取変換装置が、下部に形成する複数の足部位により支持されて臥位状態にて立設される筐体に内蔵されているものである。
【0024】
請求項16に係る発明は、請求項15記載の楽器システムにおいて、筐体が、少なくとも三つの足部位により立設されるものである。
【0025】
請求項17に係る発明は、請求項15又は請求項16記載の楽器システムにおいて、前記複数の足部位の内の一つの足部位は前記筐体から延出して下方へ伸びて下端部が開口する光学系読取部となっているものである。
【0026】
請求項18に係る発明は、音要素に関する基情報が付与されている二種類の音要素エリアを備え、前記基情報に前記音要素における音高を発音させる情報を含む一方の前記音要素エリアと、当該一方の音要素エリアと分けて配置される、前記基情報に前記音要素における音色を発音させる情報を含む他方の前記音要素エリアとを有して構成される音要素入力媒体と、音要素入力媒体における前記各情報を読み取って楽音を発生させる楽音情報を生成する読取変換装置とを具備し、前記他方の音要素エリアにおける音色を発音させる情報を前記読取変換装置を用いて読み取った後に、列状に並ぶ各一方の音要素エリアにおける音高を発音させる情報を列順に読み取り、読み取られた音色に基づく前記列順の音高からなる楽音情報を生成し、生成された前記楽音情報を音源機構へ向けて出力することにより前記列順に発音させて奏でる楽音生成方法である。
【0027】
請求項19に係る発明は、請求項18記載の楽音生成方法において、読取変換装置は、読み取られた基情報が直前に読み取った基情報と同じ基情報であるか否かを判断する同異判断手段を備えており、同異判断手段により同じである場合には、当該基情報による楽音を発生させる楽音情報を生成する処理を実施しない制御をするものである。
【0028】
請求項20に係る発明は、請求項18記載の楽音生成方法において、読取変換装置は、音色を発音させる情報を一時記憶させる一時記憶手段と、読み取られた一方の音要素エリアにおける基情報に音色を選択する音色選択情報が存在するか否かを判断する有無判断手段とを備えており、有無判断手段により前記音色選択情報が存在する場合には、前記一時記憶手段に既に記憶されている音色を発生させる情報に基づいて前記楽音情報を生成するものである。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、音要素における音高を発音させる情報を含んで付与する音高用音要素エリアと、音要素における音色を発音させる情報を含んで付与する音色用音要素エリアとを備え、音高用音要素エリアと音色用音要素エリアとを分けて配置し、音高用音要素エリアを列状に並べて音色用音要素エリアにおけるピアノやギター等の所望の音色を用いて当該列順に楽曲を発音できる環境に形成するから、ピアノやギター等の楽器を操作できなくても、容易に曲を演奏できる。
【0030】
また、楽器を操作できなくても、音楽を自由に表現できるから、特に、幼児、低学年層に遊びながら作曲できる環境を提供することができる。
【0031】
さらに、音高情報の音要素エリアを列状に並べて当該列順に楽曲を発音できる環境を調毎に形成できるから、相対音感が身につく可能性を期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】 楽器システムを説明する斜視図である。
図2図1に図示する読取変換装置を説明するブロック図である。
図3図2に図示するコード読取部を説明する透視側面図である。
図4】 楽音生成プログラムの一例を説明するフローチャート図である。
図5】 消音処理の一例を説明するフローチャート図である。
図6】 楽音情報生成処理の一例を説明するフローチャート図である。
図7】 音要素入力媒体の一例を説明する図である。
図8】 読取変換装置を内蔵する筐体の一例を説明する図であり、図8の(a)は平面図、図8の(b)は側面図である。
図9】 無線にて楽音情報を出力する読取変換装置を説明するブロック図である。
図10】 音要素入力媒体の説明図である。
図11】 音要素入力媒体の説明図である。
図12】 音要素入力媒体の説明図である。
図13】 音要素入力媒体の説明図である。
図14】 音要素入力媒体の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0034】
実施の形態1.
【0035】
図1において、1は、音要素における音高の階名(例えば、「ド」)を文字にて表現した表面(視認情報付帯面)に該階名(音高)を発音させる情報を含む音高用ドットパターンを重畳印刷により付与した扁平な階名カード(一方の音要素エリア)であり、音高用ドットパターンには、音色を選択する音色選択情報が含まれているものがある。そして、1楽曲に必要な複数の階名カード(「ド」、「レ」、「ミ」、・・・)1,1,・・・を曲の階名順(同図中矢印により示す。)で列状に並べて配置することにより、階名を列順に発音させて奏でる環境に形成されている。
【0036】
2は、音要素における音色(例えば、「ピアノ」)を文字にて表現した表面(視認情報付帯面)に該音色を発音させる情報を含む音色用ドットパターンを重畳印刷により付与した音色カード(他方の音要素エリア)であり、2aはピアノの音色を発音させるドットパターンが印刷されている第一音色カード、2bはギターの音色を発音させるドットパターンが印刷されている第二音色カード、2cは人声の音色を発音させるドットパターンが印刷されている第三音色カードであり、これらの音色カード2は列状に並べられた階名カード1と分けて配置されている。そして、前記各階名カード1と前記各音色カード2とを含んで備えて音要素入力媒体3を構成している。なお、前記音色用ドットパターンには、音色カード単独で音色を発することができるように、例えば、音高「ド」等の階名情報が含まれている。
【0037】
4は、前記各種カード1,2(音要素入力媒体3)に付与されたドットパターンを光学的に読み取って該ドットパターンの情報に基づく楽音情報を生成するペン型読取変換装置であり、読取変換装置4にはスピーカ5が一体的に取り付けられている。
【0038】
前記読取変換装置4は、図2に示すように、音要素入力媒体3のドットパターンを読み取ってドットコード(音要素に関する基情報)を出力するコード読取部6(図3参照)と、コード読取部6から得られるドットコードに対応させて音高を発音させる音高情報(階名情報)と音色を発音させる音色情報が記憶されている音高・音色記憶部7と、音高・音色記憶部7の音色情報に対して別途に音色情報を保持する選択音色記憶部(一時記憶手段)8と、コード読取部6よりドットコードを取得して当該ドットコードから音高を表す音高情報や音色を表す音色情報を抽出して楽音情報を生成し、当該楽音情報に基づき楽音を発生させるために各種音源情報(wavやMIDI等)を保有する音源機構に向けて出力する制御を行う制御部9と、前記制御を実行させる後述する楽音生成プログラム(図4参照)を格納するプログラム記憶部10とを含んで構成されている。そして、読取変換装置4には、前記音源情報を記憶する音源記憶部11と音源記憶部11より取り出された楽音を出力する前記スピーカ5とからなるオーディオ部(音源機構)12がパターン回路を介して接続されている。よって、読取変換装置4は楽音情報を音源機構に向けて出力する機能を内蔵している。
【0039】
前記コード読取部6は、図3に示すように、読取変換装置4の先端の開口部61から音要素入力媒体3に付与されたドットパターンにLED62を照射してレンズ63を介してドットパターンをイメージセンサー64に取り込み、デコーダIC65においてドットコードに変換して制御部9へ出力する。
【0040】
前記制御部9は、前記楽音生成プログラムに従って、読み取ったドットコード(基情報)が直前に読み取ったドットコード(基情報)と同じである場合には、楽音情報を生成する処理を行わず、異なる場合には、前記ドットコードの情報に基づいて音高・音色記憶部7より該当する音高情報や音色情報を抽出し、抽出した音色情報を選択音色記憶部8に記憶する制御を実施し、また、音高情報に音色情報が含まれていない場合や音高情報に音色を選択する音色選択情報が含まれていた場合には、選択音色記憶部8に既に記憶されている音色情報を選択する等の制御を実施している。
【0041】
前記音要素入力媒体3と前記ペン型読取変換装置4とを含んで楽器システム(図1参照)を構成している。
【0042】
次に、図4に図示する楽音生成プログラムについて説明する。
【0043】
読取変換装置4の電源スイッチ(図示せず。)をオンにすれば、制御部9の制御により、プログラム記憶部10から楽音生成プログラムを読み込んで、初期化処理を実行する(ステップs1)。初期化処理では、読取変換装置4の初期化により、選択音色記憶部8にデフォルトの音色情報が記憶され、コード読取部6が起動し、所定の読取速度が設定される。そして、読取変換装置4によるドットコードの読み込み待ちになる。
【0044】
制御部9の制御により、コード読取部6からドットコードを取得できたか否かを判断し(ステップs2)、ドットコードを取得できていない場合には、連続して取得できなかった時間を加算して所定時間(例えば、100ms)経過したか否かを判断し(ステップs3)、所定時間経過していなければ、何もせずステップs2へジャンプし、所定時間経過していれば、既に音が鳴動しているか否かを判断し(ステップs4)、鳴動中であれば、鳴動音の消音処理をして(ステップs5)、ステップs2へジャンプし、鳴動していなければ、何もせずにステップs2へジャンプする。ステップs2,s3及びs4における処理は、電源投入直後の操作を除いて、継続して順次読み取り操作がなされている場合に、コード読取部6の開口部61が各種カード1,2の紙面より離れた位置に在ってドットパターンの読み取りがなされていない状態に、鳴動が継続する違和感を除くために、消音処理をするタイミング(100ms)を取得している。
【0045】
ステップs2において、ドットコードを取得できたならば、取得したドットコードが前回取得したドットコードと同じコードであるか否かを判断し(ステップs6:同異判断手段)、同じであれば、以後の楽音情報を生成する処理には進まず、当該ドットコードによる楽音を発生させる楽音情報を生成する処理を実施しない制御としてステップs2へジャンプする(処理回避手段)。取得したドットコードが前回と同じである現象は、コード読取部6の先端の開口部61が音要素入力媒体3(カード1,2)に当てられた状態が継続して同じドットコードが読み込まれていると判断し、同じ音を連続して鳴動させないように処理回避の制御を行っている。当該処理により同じ音が連打音として発生することが防止される。
【0046】
ステップs6において、前回のドットコードと異なるドットコードであった場合には、制御部9の制御により、前回のドットコードを今回のドットコードで置き換え(ステップs7)、鳴動中であれば(ステップs8)、ステップs5における消音処理と同じ鳴動音の消音処理をし(ステップs9)、続いて、今回のドットコードから音高情報、音色情報、音色選択情報等を抽出する(ステップs10)。ステップs8において、鳴動中でなければ、ステップs10へジャンプする。
【0047】
ステップs10において抽出した情報に音色選択情報が含まれているか否かを判断し(ステップs11:有無判断手段)、音色選択情報が存在する場合には、階名カード1が指定されており、選択音色記憶部8に既に記憶されている音色情報と今回得られた音高情報に関するコード部分に基づいて音高・音色記憶部7に記憶されている階名情報を読み込み(ステップs12)、当該前回の音色情報と今回の階名情報により楽音情報を生成する楽音情報生成処理を実行する(ステップs13:楽音情報生成手段)。
【0048】
ステップs11において、音色選択情報が含まれていない場合には、音色カード2が指定されたとして、今回の音色情報と階名情報に関するコード部分に基づいて音高・音色記憶部7に記憶されている音色情報、階名情報を読み込み、抽出した音色情報を選択音色記憶部8に登録して(ステップs14)、当該今回の音色情報と今回の階名情報により楽音情報を生成する(ステップs13:楽音情報生成手段)。そして、ステップs2へジャンプする。
【0049】
次に、図5を参照して、ステップs5,s9の消音処理について説明する。
【0050】
消音処理では、現在、鳴動中の楽音情報は制御部9内のレジスタ(図示せず。)に格納されており、当該レジスタより前記楽音情報を取得し(ステップs15)、鳴動している音のボリュームを段階的に下げることでオーディオ部12に対して取得した楽音の再生処理を停止する消音信号を出力する(ステップs16)。
【0051】
次に、図6を参照して、ステップs13の楽音情報生成処理について説明する。
【0052】
楽音情報生成処理では、ステップs11又はステップs14における処理の結果に基づいて、音色情報と階名情報とから楽音を鳴動させる楽音情報を生成し(ステップs17)、続いて、オーディオ部12に対して生成した楽音情報を出力する(ステップs18)。
【0053】
前記楽音情報を受けてオーディオ部12では、音源記憶部11より楽音情報に対応する音源情報を取得してスピーカ5から発音させる。前記読取変換装置4では予め音源記憶部11に記憶されている音源の種類を記憶しており、音源記憶部11にMIDI音源が記憶されている場合には、制御部9より、MIDI音源に対応する楽音情報を生成して出力し、WAV音源が記憶されている場合には、WAV音源に対応する楽音情報を生成して出力する。
【0054】
また、ステップs12とステップs13とからなる鳴動処理、又はステップs14とステップs13とからなる鳴動処理を、選択音色より音高データの索引を取得し、取得した音高をインデックスとして再生音声データ内を検索して楽音情報を取得し、取得した楽音情報をサウンドシステムに与えるようにしても良い。
【0055】
本実施の形態では、前記コード読取部6と、前記音高・音色記憶部7と、選択音色記憶部8と、コード読取部6から得られるパターン情報に基づき音高・音色記憶部7から音高情報(階名情報)と音色情報とを抽出して音源記憶部8に記憶されている各種音源に基づく楽音情報を出力する機能を実行する制御部9とにより読取変換装置4を構成している。
【0056】
なお、視認情報付帯面は、階名、音名等の音高や音色が音符、彩色キャラクタ等により描画して表現されていても良い。また、光学的に読み取り可能な情報は、ドットに限らず、色彩や、図形であっても良く、この場合には、紫外線を照射して認識するようにしても良い。そのほか、凹凸によって識別されるようになっていても良く、この場合には、超音波により認識するようにしても良い。さらに、コード読取部6に送受信部を設けてドットコードを無線にて制御部9へ送信するようにしても良い。
【0057】
また、音要素に関する基情報は音要素入力媒体3の表面に設けられたドットパターンであっても良く、当該ドットパターンに割り当てられたドットコードであっても良い。さらに、音色選択情報は、ビット列における所定位置のビット情報により特定されても良く、所定位置に情報が存在しないことにより特定されても良い。
【0058】
本実施の形態によれば、楽器を操作できなくても、容易に曲を演奏でき、また、幼児、低学年層に遊びながら作曲できる環境を提供することができ、音高情報の音要素エリアを列状に並べて当該列順に楽曲を発音できる環境を調毎に形成することもできるから、相対音感が身につく可能性を期待できる。
【0059】
実施の形態2.
【0060】
図1図6と同一符号は同一又は相当部分を示し、本実施の形態は、実施の形態1におけるカードタイプの音要素入力媒体(音要素エリア)3が紙面13の同一平面上に一区画として一体的に配置された音要素エリアにより構成されているものである。音要素エリア3は、一枚のシートに印刷により配置されている場合、楽譜本の一ページに印刷により配置されて用いられる場合、無地の紙シートにシールタイプの音要素エリア3を貼り付けて配置される場合が想定される。
【0061】
図7において、音要素入力媒体3は、楽曲「ちょうちょ」を奏でる順の列状に階名を印刷により表記して色分けしてなる各一区画(視認情報付帯面)の円形音高用音要素エリア1と、音高用音要素エリア1と分けて配置されている、「ピアノ」、「オルガン」、「トランペット」、「ギター」等の音色を印刷により表記してなる各一区画(視認情報付帯面)の四角形音色用音要素エリア2とにより構成されている。
【0062】
前記音高用音要素エリア1は列状に並べて用いられ、列状に並ぶ各音高用音要素エリア1における階名を音色用音要素エリア2における音色に基づき列順に発音させて奏でる環境に形成されており、「ソ」と印刷された音高用音要素エリア1から順に矢印方向に向かって読み込んで1列目の最後まで読み込んだ後、続いて2列目先頭の「ド」を読み込み、同様に列順に読み進めるように配列されている。
【0063】
前記音色用音要素エリア2は、紙面13の右上位置に、上列の左から順に、ピアノの音色を表現する絵柄の音色用音要素エリア2、同様に、オルガン絵柄の音色用音要素エリア2、トランペット絵柄の音色用音要素エリア2、エレキギター絵柄の音色用音要素エリア2、クラシックギター絵柄の音色用音要素エリア2、ウッドブロック絵柄の音色用音要素エリア2、声楽絵柄の音色用音要素エリア2、下列の左から順に、犬鳴き声絵柄の音色用音要素エリア2、猫鳴き声絵柄の音色用音要素エリア2等がそれぞれ一区画毎に配列されている。
【0064】
図8において、14は、読取変換装置4を内蔵する、下部に形成する複数の足部位により支持されて前記紙面13にて臥位状態にて立設できるように形成された筐体であり、筐体14は、三つの足部位14a,14b,14cより立設され、3つの足部位の内の一つの足部位14cは、筐体14から前方に延出した後に下方へ伸びた形状を成し、足部位14cの下端部61は開口して光学系読取部となっており、コード読取部6が配設されている。
【0065】
図9において、15は、読取変換装置4にて生成された楽音情報をオーディオ部(音源機構)12を搭載するスマートデバイス等の外部デバイス16へ無線にて出力する送受信部である。外部デバイス16はオーディオ部12を設けるものであれば、スマートフォン、タブレット等の携帯端末やパソコンであっても良い。送受信機能を有する専用オーディオ機器であっても良い。
【0066】
本実施の形態では、紙面13に印刷された各音色用音要素エリア2の内、好みの音色を選んで、読取変換装置4により音色用ドットパターンを読み込んだ後に、続いて、「ソ」と印刷された音高用音要素エリア1から順に矢印方向に向かって読み進めていけば、図9に示す外部のオーディオ部12から楽音が発音される。従って、楽器を操作できなくても、好みの楽器を自由に選んで曲を演奏することができる。
【0067】
変形例1:
音高用音要素エリア(一方の音要素エリア)と音色用音要素エリア(他方の音要素エリア)とを分けて配置し、音高用音要素エリアは曲の譜に合わせて複数用意して列状に並べ、列状に並ぶ各音高用音要素エリアにおける音高(階名、音名、和音)を音色用音要素エリアにおける音色によって列順に発音させることにより演奏する環境に形成されている例について説明する。
【0068】
図10に図示する紙面13には、右上位置に、各音色用音要素エリア2がそれぞれ一区画毎に配列されている。これらの音色用音要素エリア2群とは分けて、曲名「ちょうちょ」の譜に合わせて各音高用音要素エリア1が往復する列状に配置されており、上列の左端から「ソ」の階名を表現するカタカナを階名「ソ」用の特定色で満たす円形の音高用音要素エリア1、同様に、階名「ミ」の音高用音要素エリア1、と曲の階名が続いている。
【0069】
図11に図示する紙面13には、円形に並ぶ列状に音高用音要素エリア1が配置されており、出発点を他より一回り大きな円にて表現することにより知らせている。
【0070】
変形例2:
音高を発音させる情報が、和音の構成音から構成されている音高用音要素エリア1が配列されてなる音要素入力媒体3について図面を参照して説明する。
【0071】
図12に図示する紙面13には、曲名「きらきら星」の譜に合わせて各音高用音要素エリア1が一列に配置されていると共に、三列目には和音のコードがC、C、F、C、F、C、G、Cと表記されてコード順に配列されている。
【0072】
詳細には、本例では、それぞれ三列から成り、「きらきら星1&3」の一列目、二列目、三列目の小節を同時に順に発音させた後、「きらきら星2」の三列を同様に発音させ、続いて、再び「きらきら星1&3」の三列を同様に発音させる構成に形成されている。
【0073】
変形例3:
音色を発音させる情報が、該音色を移調してなる音色情報を表記した音色用音要素エリア2が配置されてなる音要素入力媒体3について図面を参照して説明する。
【0074】
図13に図示する紙面13には、音色として声楽を表現する人顔キャラクタと共にハ長調の文字を印字した音色用音要素エリア2及び該音色用音要素エリア2と分けて一列に配置された音名を表記した各音高用音要素エリア1と、同様に、音色を移調してなるヘ長調の文字を印字した音色用音要素エリア2及び該音色用音要素エリア2と分けて一列に配置された階名を表記した各音高用音要素エリア1と、同様に、音色を移調してなるト長調の文字を印字した音色用音要素エリア2及び該音色用音要素エリア2と分けて一列に配置された階名を表記した各音高用音要素エリア1が印刷されている。
【0075】
なお、図14における各音高用音要素エリア1は曲の譜を構成する音高(音名、階名)が、彩色により区別された四角形を成している。
【0076】
また、音高や音色の外、その他の音要素を付与する音要素エリアが配置されていても良い。音高用音要素エリア1には、音高情報のみが含まれ、音色用音要素エリア2には、音高情報と音色情報との両方が含まれていてもよい。
【0077】
また、音名又は階名を表す情報が付与されている複数の音階情報エリア(音高用音要素エリア)と前記音階情報エリアと分けて配置される、音色を表す情報が付与されている少なくとも一つの音色情報エリア(音色用音要素エリア)とを有して構成される音源入力媒体(音要素入力媒体)であって、前記音階情報エリアは列状に並べて用いられ、列状に並ぶ各音階情報エリアにおける音名又は階名を前記音色情報エリアにおける音色に基づき列順に発音させて奏でる環境に形成されるものであっても良く、音高を表す情報が付与されている複数の音高情報エリア(音高用音要素エリア)と、前記音高情報エリアと分けて配置される、音色を表す情報が付与されている少なくとも一つの音色情報エリア(音色用音要素エリア)とを有して構成される音源入力媒体(音要素入力媒体)であって、前記音高情報エリアは列状に並べて用いられ、列状に並ぶ各音高情報エリアにおける音高を前記音色情報エリアにおける音色に基づき列順に発音させて奏でる環境に形成されるものであっても良い。
【0078】
また、音色を移調してなる音色情報を付与する音色用音要素エリア2は、「ハ長調」では、調性がハ長調であることを指示するアイコンを用い、「ト長調」では、調性がト長調であることを指示するアイコンを用い、「ヘ長調」では、調性がヘ長調であることを指示するアイコンを用いれば良い。「ピアノ」の音色用音要素エリア2は、ピアノ楽器音を鳴動させることを指示するアイコンを用い、「階名」の音高用音要素エリア1は、階名言語音を鳴動させることを指示するアイコンを用いれば良い。
【0079】
次に、本発明における、相対音感を会得するための訓練方法について説明する。
【0080】
調性と階名の関係を表1に示す。音楽で定められた調性は次表の12種類である。
【0081】
【表1】
【0082】
表内では、音名を表すためにアルファベットのAからGまでを使用した。階名はドレミファソラシと表記し、音名はCDEFGABと表記する。この表で示すように、階名の「ド」がどの音名を指し示すかは、調性に依存して決まる。
【0083】
ハ長調の場合のみ、次のように階名と音名が一致する。
【0084】
ド レ ミ ファソ ラ シ
C D E F G A B
【0085】
ところが、ハ長調以外の調性では階名と音名が一致しない。例えば、ト長調の場合、
【0086】
ド レ ミ ファソ ラ シ
G A B C D E F#
【0087】
となる。あるいは、ヘ長調の場合、
【0088】
ド レ ミ ファソ ラ シ
F G A A#C D E
となる。
【0089】
読取変換装置4に電源を入れた後、楽器音はピアノ、調整はハ長調になっているものとする。ひとつひとつの音要素が線でつながって列をなしている。時系列に従って、ひとつひとつの音要素を順番に左から右へタッチすることで、演奏する。
【0090】
1.ハ長調での楽器音演奏
読取変換装置で「ピアノでハ長調」(図14参照)をタッチし、演奏する。このときは、音名に対応するピアノ楽器音が鳴動する。言語音は鳴動しない。なお、「●」は休符を表す。
【0091】
童謡「チューリップ」の音名 ハ長調
CDE● CDE● GEDC DED●
CDE● CDE● GEDC DEC●
GGEG AAG● EEDD C●●●
【0092】
2.ト長調での楽器音演奏
読取変換装置で「ピアノでト長調」をタッチし、演奏する。このときは、音名に対応するピアノ楽器音が鳴動する。言語音は鳴動しない。
【0093】
童謡「チューリップ」の音名 ト長調
GAB● GAB● DBAG ABA●
GAB● GAB● DBAG ABG●
DDBD EED● BBAA G●●●
【0094】
3.ヘ長調での楽器音演奏
読取変換装置で「ピアノでヘ長調」をタッチし、演奏する。このときは、音名に対応するピアノ楽器音が鳴動する。言語音は鳴動しない。
【0095】
童謡「チューリップ」の音名 ヘ長調
FGA● FGA● CAGF GAG●
FGA● FGA● CAGF GAF●
CCAC DDC● AAGG F●●●
【0096】
4.階名での言語音演奏
読取変換装置で「人声でハ長調」、「人声でヘ長調」、「人声でト長調」のいずれかをタッチし、演奏する。このとき、演奏時点において設定
されている調性に従った音高で、階名言語音が鳴動する。楽器音は鳴動しない。
【0097】
童謡「チューリップ」の階名
ドレミ● ドレミ● ソミレド レミレ●
ドレミ● ドレミ● ソミレド レミド●
ソソミソ ララソ● ミミレレ ド●●●
【0098】
上記のような4種類の演奏方法を装備している状態で、次のように演奏を繰り返す。
【0099】
ハ長調での楽器音→ハ長調での階名言語音→ハ長調での楽器音→ハ長調での階名言語音
【0100】
これに慣れたら、別の調性でも同様のことを繰り返す。
【0101】
ヘ長調での楽器音→ヘ長調での階名言語音→ヘ長調での楽器音→ヘ長調での階名言語音
ト長調での楽器音→ト長調での階名言語音→ト長調での楽器音→ト長調での階名言語音
【0102】
さらに慣れたら、階名言語音だけで調性を変更して演奏する。
【0103】
階名言語音(ハ長調)→階名言語音(ト長調)→階名言語音(ヘ長調)
【0104】
これを繰り返すことで、「調性が変わっても、主音がどれかを常に認識できる」という能力が身に付く訓練になる。
【0105】
本発明の楽器システム(紙面と読取変換装置)の特長について説明する。
【0106】
上述したように、相対音感を会得するシステムは、3つの特長を持つ。これらの特長を持つために、プレイヤー(演奏者)は、指導者なしで、相対音感を身に着けるための練習ができる。
【0107】
1つめの特長は、楽器を演奏する技術を習熟せずとも、自分の演奏行為に対応した階名を聞くことができる点である。通常、音程を出力する楽器を演奏するためには、その楽器特有の演奏技術を身に着ける必要がある。一般的には、忍耐を伴う練習が必要なため、音楽自体を楽しむ前に演奏をあきらめてしまう人も少なからずいる。ところが、このシステムは演奏技術がほとんど要らない。打楽器のように読取変換装置を紙面にタッチするのみで所望の音が鳴動する。演奏技術の習得よりも、演奏行為自体を楽しめる。
【0108】
2つめの特長は、自分が知っている曲を、自分で演奏して階名音を聴くことができる点である。楽器音による演奏、階名言語音による演奏、双方とも自分の意思で聴くことができる。「演奏する曲の中で登場する各々の音要素を、主音からの音程距離として把握する」ことを擦り込むことができる。
【0109】
3つめの特長は、調性が変わっても階名言語が変化しないことを体感できる点である。「ひとつの調性で、楽器音と階名言語音とを交互に聴く」だけでは、システムとして不完全である。なぜならば、階名言語音が「主音からの音程距離」として演奏者に聴こえているのか、それとも、階名が「音高そのもの」として演奏者に聴こえているのか、第三者からは判別できない。「主音からの音程距離」として階名言語が存在することを演奏者に刷り込むためには、同じ曲を調性を変更して演奏し、その上で階名言語は変化しないことを聴かせる以外に方法はない。本発明に係る楽器システムは、これを容易に実現できる。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明によれば、例えば、カードや紙面を利用して、音名や階名を表す各音高情報を付与したエリアを一区画として列状に連続して並べて、好みの音色を使って、列順に音を鳴らすことで楽曲を容易に奏でることを可能にし、楽器が苦手な学習者でも、旋律を奏でることができると共に音感を養うことができる安価な楽器システムを提供できる。
【0111】
楽器を使えなくても、曲を演奏でき、自由に作曲でき、相対音感が身につく効果を期待できるから、新たな音楽学習教材に利用できる。
【0112】
【符号の説明】
【0113】
1 階名カード(一方の音要素エリア、音高用音要素エリア)
2 音色カード(他方の音要素エリア、音色用音要素エリア)
2a 第一音色カード
2b 第二音色カード
2c 第三音色カード
3 音要素入力媒体(音要素エリア)
4 ペン型読取変換装置
5 スピーカ
6 コード読取部
7 音高・音色記憶部
8 選択音色記憶部
9 制御部
10 プログラム記憶部
11 音源記憶部
12 オーディオ部
13 紙面
14 筐体
15 送受信部
16 外部デバイス(スマートデバイス、携帯端末)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14