(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-16
(45)【発行日】2024-04-24
(54)【発明の名称】クレードル
(51)【国際特許分類】
H04M 1/04 20060101AFI20240417BHJP
H04M 1/06 20060101ALI20240417BHJP
H04M 1/11 20060101ALI20240417BHJP
【FI】
H04M1/04 A
H04M1/06 Z
H04M1/11 Z
(21)【出願番号】P 2020065545
(22)【出願日】2020-04-01
【審査請求日】2023-03-27
(73)【特許権者】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】100095795
【氏名又は名称】田下 明人
(74)【代理人】
【識別番号】100143454
【氏名又は名称】立石 克彦
(72)【発明者】
【氏名】大竹 誠
【審査官】松原 徳久
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-025408(JP,A)
【文献】特開2001-313137(JP,A)
【文献】特開2016-136675(JP,A)
【文献】米国特許第06438229(US,B1)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0083301(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F1/00
1/16-1/18
H04M1/02-1/23
H05K5/00-5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末の載置側端部が収容される収容部と、
前記収容部に収容された前記携帯端末の外部端子に接続可能なばね式の接続端子と、
を備えるクレードルであって、
前記載置側端部の対向する外面を構成する一面及び他面のうち前記一面には被係合部が設けられ、
前記収容部は、前記接続端子のばね力を利用することで前記被係合部に係合可能な係合部を有し、前記外部端子が前記接続端子に対してばね力に抗して接触するように前記載置側端部が押し込まれた状態であって前記係合部が前記被係合部に係合していない非係合状態と、前記非係合状態から前記携帯端末が前記外部端子と前記接続端子との接触を維持したまま傾けられた状態であって前記係合部が前記被係合部に係合する係合状態と、を許容するように形成され、
前記収容部には、押し込まれる際の前記載置側端部の前記他面を案内可能であって、前記非係合状態から前記係合状態となるように前記携帯端末を傾ける際に前記他面に接触する案内部が設けられることを特徴とするクレードル。
【請求項2】
前記一面には、前記被係合部が複数設けられ、
前記収容部には、複数の前記被係合部にそれぞれ係合可能に前記係合部が複数設けられることを特徴とする請求項1に記載のクレードル。
【請求項3】
前記係合部は、凸状に形成されて、外方に向けて付勢された状態で保持されることを特徴とする請求項1又は2に記載のクレードル。
【請求項4】
前記係合部は、前記収容部に設けられるねじ挿入穴を利用して形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載のクレードル。
【請求項5】
前記載置側端部には、位置決め用凹部が設けられ、
前記収容部には、前記非係合状態時に前記位置決め用凹部に挿入し、前記非係合状態から前記係合状態への前記携帯端末の傾倒を、前記位置決め用凹部を利用して案内する位置決め用凸部が形成されることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載のクレードル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末が載置されるクレードルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯端末を載置することで充電や通信等を行うクレードル(置台)が各種提供されている。このようなクレードルでは、載置された携帯端末に対して充電や通信等を行うために多極の接続端子が設けられており、各接続端子にてそれぞれ確実に接続させるため、先端がばねで伸縮するばね式の接続端子が採用されている。このようなばね式の多極接続端子が採用される構成では、接続端子のばね反発力が携帯端末の重量よりも大きくなる場合があり、安定した接続性の確保のため、一般的に載置状態の携帯端末に弾性的に係合するスナップフィット等がクレードルに設けられる。
【0003】
上述のようにスナップフィット等の係合によって携帯端末を保持する構成では、クレードルから携帯端末を取り外す際に、一方の手でクレードルを保持しつつ他方の手で携帯端末を把持して取り外す必要があるため、両手が必要となり非常に操作性が悪いという問題がある。また、片手で無理矢理取り外し操作したために、携帯端末の取り外し時にクレードルが一緒に付いてきてしまい、その後に外れたクレードルが机上等に落下して故障などの原因になる場合もある。
【0004】
このような問題を解決するため、例えば、下記特許文献1に開示されるクレードルが知られている。このクレードルは、保持された筐体の外部接続用端子に対向する底面に、その外部接続用端子が接続するためのポゴピンコネクタとスプリングによって露出方向への付勢力が作用するストッパとが設けられ、筐体の背面が対向する傾斜面に凸部が設けられている。このように構成されるクレードルでは、携帯端末をストッパの付勢力に抗して傾斜面に沿って押し込むことで、凸部が筐体の背面のネジ用凹部に嵌入して、ポゴピンコネクタが外部接続用端子に接続した状態で携帯端末が保持される。そして、この保持状態の携帯端末の上部を前方に移動させて凸部がネジ用凹部から抜け出すことで、携帯端末がクレードルから取り外し可能な状態になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述のように露出方向への付勢力が作用するストッパを設ける構成では、携帯端末をクレードルに押し込む際により大きな押し込み力が必要となり、その必要な押し込み力が大きくなるほど操作性が悪くなるという問題がある。また、大きな押し込み力を必要とするような構成では、クレードルの傾斜面に設けられる凸部に過大な応力が作用しやすくなり、凸部が摩耗しやすくなるために安定した接続性の確保ができなくなるという問題がある。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、携帯端末を載置する際の操作を円滑に実施可能な構成を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲の請求項1に記載の発明は、
携帯端末(10)の載置側端部(13)が収容される収容部(32)と、
前記収容部に収容された前記携帯端末の外部端子(16)に接続可能なばね式の接続端子(34)と、
を備えるクレードル(30)であって、
前記載置側端部の対向する外面を構成する一面(13b)及び他面(13a)のうち前記一面には被係合部(14)が設けられ、
前記収容部は、前記接続端子のばね力を利用することで前記被係合部に係合可能な係合部(36)を有し、前記外部端子が前記接続端子に対してばね力に抗して接触するように前記載置側端部が押し込まれた状態であって前記係合部が前記被係合部に係合していない非係合状態と、前記非係合状態から前記携帯端末が前記外部端子と前記接続端子との接触を維持したまま傾けられた状態であって前記係合部が前記被係合部に係合する係合状態と、を許容するように形成され、
前記収容部には、押し込まれる際の前記載置側端部の前記他面を案内可能であって、前記非係合状態から前記係合状態となるように前記携帯端末を傾ける際に前記他面に接触する案内部(37)が設けられることを特徴とする。
なお、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明では、収容部に携帯端末の載置側端部が収容され、この載置側端部の対向する外面を構成する一面及び他面のうち一面には被係合部が設けられる。そして、収容部は、接続端子のばね力を利用することで被係合部に係合可能な係合部を有し、外部端子が接続端子に対してばね力に抗して接触するように載置側端部が押し込まれた状態であって係合部が被係合部に係合していない非係合状態と、この非係合状態から携帯端末が外部端子と接続端子との接触を維持したまま傾けられた状態であって係合部が被係合部に係合する係合状態と、を許容するように形成される。この収容部には、押し込まれる際の載置側端部の他面を案内可能であって、非係合状態から係合状態となるように携帯端末を傾ける際に他面に接触する案内部が設けられる。
【0010】
これにより、携帯端末をクレードルに載置する場合には、案内部にて他面が案内されるように載置側端部を収容部に押し込んで上記非係合状態とした後、この状態から携帯端末を傾けて上記係合状態とすることで、接続端子のばね力を受けた状態で係合部が被係合部に係合する。このため、携帯端末を把持している片手だけでも、その携帯端末をクレードルに載置することができる。そして、携帯端末をクレードルから取り外す場合には、携帯端末を上記非係合状態となるように傾けることで、係合部と被係合部との係合が解除される。このため、携帯端末を把持している片手だけでも、その携帯端末をクレードルから取り外すことができる。また、ばね式の接続端子の他にスプリング等の付勢力が作用する部材も必要ないため、大きな押し込み力も不要となる。このため、上記係合状態への操作時での係合部及び被係合部間の摩耗が抑制されて、安定した接続性を確保することができる。特に、載置側端部を収容部に押し込んで上記非係合状態とする操作の際と、この非係合状態の携帯端末を傾けて上記係合状態とする操作の際とでは、収容部の案内部が載置側端部の他面を案内するように機能するので、載置のための操作を円滑に実施することができる。
【0011】
請求項2の発明では、載置側端部の上記一面には、被係合部が複数設けられ、収容部には、複数の被係合部にそれぞれ係合可能に係合部が複数設けられる。これにより、載置時には、係合部と被係合部とが複数個所で係合するため、携帯端末をクレードルに対して安定して載置することができる。
【0012】
請求項3の発明では、係合部は、凸状に形成されて、外方に向けて付勢された状態で保持される。これにより、携帯端末をクレードルから取り外す場合には、被係合部を介した力を受けた係合部が上記付勢に抗して押し込まれるようにして係合部と被係合部との係合が解除される。このため、携帯端末をクレードルから取り外す際の操作を円滑に実施することができる。
【0013】
請求項4の発明では、係合部は、収容部に設けられるねじ挿入穴を利用して形成される。これにより、係合部のためだけの部位を収容部に設ける必要がないので、収容部の形状に関して簡素化を図ることができる。
【0014】
請求項5の発明では、載置側端部には、位置決め用凹部が設けられ、収容部には、非係合状態時に位置決め用凹部に挿入し、非係合状態から係合状態への携帯端末の傾倒を、位置決め用凹部を利用して案内する位置決め用凸部が形成される。これにより、クレードルの位置決め用凸部が携帯端末の位置決め用凹部に挿入されるように載置側端部を収容部に押し込むことで、クレードルの接続端子と携帯端末の外部端子とが接触するので、上記非係合状態だけでなく上記係合状態でも、クレードルの接続端子と携帯端末の外部端子とを確実に接触させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】第1実施形態に係るクレードルに携帯端末を載置した状態を説明する正面図である。
【
図2】
図1の携帯端末及びクレードルの側面図である。
【
図7】携帯端末の電気的構成を例示するブロック図である。
【
図11】載置側端部の表面を案内部に接触させた状態で外部端子が接続端子の直上の位置している状態を説明する説明図である。
【
図12】外部端子と接続端子とが接触している状態から背面方向に倒し始めた携帯端末とクレードルとの状態を説明する説明図である。
【
図13】係合部が凹部に係合したクレードルと携帯端末との係合状態を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[第1実施形態]
以下、本発明に係るクレードルを具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
図1及び
図2に示すように、本実施形態に係るクレードル30は、載置された携帯端末10に対して電力を供給する電力供給装置として機能するとともに、携帯端末10と上位機器(図示略)とを通信可能に接続する通信中継装置として機能する置台として構成されている。
【0017】
図3~
図6に示すように、クレードル30に載置される携帯端末10は、QRコード(登録商標)等の外部の情報を読み取り、バッテリで駆動するタッチパネル式の読取装置であって、筐体11によって外郭が構成され、この筐体11内に各種電子部品が収容された構成をなしている。この携帯端末10は、
図7に示すように、CPU等からなる制御部21、半導体メモリ等からなる記憶部22、カメラとして構成される撮像部23、制御部21によって表示内容が制御されるタッチパネル式の表示部24、タッチパネルに対するタッチ操作やキー操作に応じた信号を制御部21に出力する操作部25、ビープ音やアラーム音等の警告音を発音可能なブザー26、外部機器等と通信するための通信部27、電源部28及びバッテリ29などを備えている。
【0018】
図5に示すように、筐体11の背面側には、バッテリ29を装着するための装着部12が設けられており、この装着部12にバッテリ29が装着されることで、
図1及び
図2に示す携帯端末10が構成される。バッテリ29には、装着部12への装着時に所定の付勢力に抗してスライドさせる一対のロック部29aが設けられており、両ロック部29aが上記付勢力によってそれぞれ装着部12の規定箇所に係合することで、バッテリ29が装着部12に装着固定される。
【0019】
筐体11の下端部を形成する載置側端部13は、クレードル30によって保持される部位である。この載置側端部13の対向する外面を構成する表面13a及び裏面(背面)13bのうちの裏面13bには、装着状態の両ロック部29aの外側に位置にする部位に、ロック部29aを操作する指の干渉を避けるために、凹部14がそれぞれ形成されている。なお、裏面13b及び表面13aは、「載置側端部の対向する外面を構成する一面及び他面」の一例に相当し得る。
【0020】
図6に示すように、載置側端部13の底面15には、多極の外部端子16が設けられており、携帯端末10がクレードル30に載置された際に、外部端子16がクレードル30の接続端子34に電気的に接続されるように形成されている。携帯端末10の外部端子16がクレードル30の接続端子34に電気的に接続される電気的接続状態では、制御部21により制御された電源部28によりクレードル30から給電されてバッテリ29が充電可能であり、制御部21により制御された通信部27によりクレードル30を介して外部機器等と通信可能となる。
【0021】
また、載置側端部13の底面15には、外部端子16を介して対向するように、一対の位置決め用凹部17が設けられている。両位置決め用凹部17は、携帯端末10をクレードル30に載置する際に、クレードル30の位置決め用凸部35が挿入することで、外部端子16が接続端子34に接触するように案内するように機能するものである。
【0022】
次に、本実施形態に係るクレードル30の具体的構成について、図面を参照して説明する。
図8~
図10に示すように、クレードル30は、樹脂等により外郭を構成する筐体31を備えており、この筐体31の正面側には、携帯端末10の載置側端部13を収容して保持するための収容部32が設けられている。この収容部32の底部33には、充電用の端子や通信用の端子等を兼ねた多極のばね式の接続端子34が、載置された携帯端末10の外部端子16に接続するように配置されている。接続端子34は、そのばねによる付勢方向が、後述する係合部36の下面と凹部14の内面との接触面に対してほぼ直交するように構成されている。また、筐体31の背面側には、電源ケーブルが接続される電源ポートやLANケーブルなどの通信ケーブルが接続される通信ポートが設けられている。
【0023】
また、底部33には、接続端子34を介して対向するように、一対の位置決め用凸部35が設けられている。両位置決め用凸部35は、携帯端末10をクレードル30に載置する際に、携帯端末10の両位置決め用凹部17にそれぞれ挿入することで、外部端子16を接続端子34に接触させる案内手段として機能するものである。
【0024】
収容部32の背面側の内側面には、一対の係合部36が設けられている。両係合部36は、保持した携帯端末10における載置側端部13の両凹部14が被係合部として機能するように、凸状に形成されている。より具体的には、両係合部36は、外部端子16に対して接続端子34がそのばね力によって付勢された状態にて、両凹部14に対してそれぞれ係合可能となるように凸状に形成されている。特に、凹部14との係脱を容易にするため、係合部36は、先端下方の角がR形状となるように形成されている。
【0025】
また、収容部32は、外部端子16が接続端子34に対してそのばね力に抗して接触するように携帯端末10の載置側端部13が押し込まれた状態であって係合部36が凹部14に係合していない非係合状態と、この非係合状態から携帯端末10が外部端子16と接続端子34との接触を維持したまま傾けられた状態であって係合部36が凹部14に係合する係合状態と、を許容するように形成されている。このため、両位置決め用凸部35は、位置決め用凹部17を非係合状態から係合状態まで案内可能に形成されている。
【0026】
また、収容部32の正面側には、一対の案内部37が設けられている。両案内部37は、携帯端末10が押し込まれる際の載置側端部13の表面13aを案内可能であって、上記非係合状態から上記係合状態となるように携帯端末10を傾ける際に表面13aに接触するように形成されている。より具体的には、両案内部37は、クレードル30が載置される載置面に対してほぼ垂直となっている表面13aが接触するとき、接続端子34の上方に携帯端末10の外部端子16が位置するように、収容部32の内方に向けて突出して形成される。
【0027】
次に、上述のように構成されるクレードル30に対して携帯端末10を載置する際のユーザの操作等について、図面を参照して説明する。
携帯端末10をクレードル30に載置する場合には、ユーザによって、片手で把持された携帯端末10の載置側端部13がクレードル30の収容部32に挿入される。その際、載置面に対してほぼ垂直にした載置側端部13の表面13aが一対の案内部37に接触することで、
図11に示すように、携帯端末10の外部端子16がクレードル30の接続端子34の直上に位置する。
【0028】
そして、両位置決め用凹部17に位置決め用凸部35をそれぞれ挿入するように携帯端末10が下ろされることで、外部端子16が接続端子34に接触する。そして、
図12に示すように、外部端子16が接続端子34に接触するとともに表面13aと両案内部37とが接触する状態を保ちつつ両位置決め用凹部17が位置決め用凸部35によって案内されるようにして、携帯端末10が背面方向に倒される。
【0029】
その後、外部端子16が接続端子34に対してそのばね力に抗して接触しており係合部36が凹部14に係合していない非係合状態から、表面13aが両案内部37と離れるまで携帯端末10を傾倒させて、両係合部36が対応する凹部14にそれぞれ係合することで、
図13に示す係合状態となる。この係合状態では、外部端子16が、接続端子34のばね力に対して適度に抗するようにして接続端子34に接触することで、外部端子16と接続端子34とが電気的に接続される。
【0030】
このようにして外部端子16及び接続端子34が電気的に接続される状態では、クレードル30は、電源ポートを介して供給される電力によって携帯端末10を充電するように機能し、通信ポートを介して接続される外部機器と携帯端末10との通信を中継するように機能する。
【0031】
そして、携帯端末10をクレードル30から取り外す場合には、片手で把持した携帯端末10を上記非係合状態となるように傾けるだけで、
図12からわかるように、係合部36と凹部14との係合が解除される。これにより、携帯端末10をクレードル30から取り外し可能な状態になる。
【0032】
以上説明したように、本実施形態に係るクレードル30では、収容部32に携帯端末10の載置側端部13が収容され、この載置側端部13の対向する外面を構成する裏面13b及び表面13aのうち裏面13bには被係合部として凹部14が設けられる。そして、収容部32は、接続端子34のばね力を利用することで凹部14に係合可能な係合部36を有し、外部端子16が接続端子34に対してばね力に抗して接触するように載置側端部13が押し込まれた状態であって係合部36が凹部14に係合していない非係合状態と、この非係合状態から携帯端末10が外部端子16と接続端子34との接触を維持したまま傾けられた状態であって係合部36が凹部14に係合する係合状態と、を許容するように形成される。この収容部32には、押し込まれる際の載置側端部13の表面13aを案内可能であって、非係合状態から係合状態となるように携帯端末10を傾ける際に表面13aに接触する一対の案内部37が設けられる。
【0033】
これにより、携帯端末10をクレードル30に載置する場合には、両案内部37にて表面13aが案内されるように載置側端部13を収容部32に押し込んで上記非係合状態とした後、この状態から携帯端末10を傾けて上記係合状態とすることで、接続端子34のばね力を受けた状態で係合部36が凹部14に係合する。このため、携帯端末10を把持している片手だけでも、その携帯端末10をクレードル30に載置することができる。そして、携帯端末10をクレードル30から取り外す場合には、携帯端末10を上記非係合状態となるように傾けることで、係合部36と凹部14との係合が解除される。このため、携帯端末10を把持している片手だけでも、その携帯端末10をクレードル30から取り外すことができる。また、ばね式の接続端子34の他にスプリング等の付勢力が作用する部材も必要ないため、大きな押し込み力も不要となる。このため、上記係合状態への操作時での係合部36及び凹部14間の摩耗が抑制されて、安定した接続性を確保することができる。特に、載置側端部13を収容部32に押し込んで上記非係合状態とする操作の際と、この非係合状態の携帯端末10を傾けて上記係合状態とする操作の際とでは、収容部32の両案内部37が載置側端部13の表面13aを案内するように機能するので、載置のための操作を円滑に実施することができる。
【0034】
さらに、載置側端部13の裏面13bには、凹部14が2つ設けられ、収容部32には、2つの凹部14にそれぞれ係合可能に係合部36が2つ設けられる。これにより、載置時には、係合部36と凹部14とが複数個所で係合するため、携帯端末10をクレードル30に対して安定して載置することができる。なお、係合部36及び凹部14に加えて、他の係合部及び被係合部をクレードル30と携帯端末10とにそれぞれ1又は2以上設けることで、係合部と被係合部との係合箇所を複数個所とするように構成されてもよい。
【0035】
特に、載置側端部13には、一対の位置決め用凹部17が設けられ、収容部32には、非係合状態時に位置決め用凹部17に挿入し、非係合状態から係合状態への携帯端末10の傾倒を、位置決め用凹部17を利用して案内する一対の位置決め用凸部35が形成される。これにより、クレードル30の両位置決め用凸部35が携帯端末10の両位置決め用凹部17にそれぞれ挿入されるように載置側端部13を収容部32に押し込むことで、クレードル30の接続端子34と携帯端末10の外部端子16とが接触するので、上記非係合状態だけでなく上記係合状態でも、クレードル30の接続端子34と携帯端末10の外部端子16とを確実に接触させることができる。
【0036】
本実施形態の変形例として、クレードル30及び携帯端末10では、上記係合状態に係合する係合部及び被係合部として、係合部36及び凹部14を採用することに限らず、他の形状、機構の係合部及び被係合部を採用してもよい。例えば、係合部36に代えた凹部状の係合部と凹部14に代えた凸部状の被係合部とを採用してもよい。
【0037】
また、例えば、クレードル30に設けられる係合部36は、凸状に形成されて、その突出側(携帯端末側)に向けて付勢された状態で収容部32の内側面にて保持されてもよい。これにより、携帯端末10をクレードル30から取り外す場合には、凹部14を介した力を受けた係合部36が上記付勢に抗して収容部32の内側面に押し込まれるようにして係合部36と凹部14との係合が解除される。このため、携帯端末10をクレードル30から取り外す際の操作を円滑に実施することができる。
【0038】
また、例えば、クレードル30に設けられる係合部36は、収容部32に設けられるねじ挿入穴や他の既存の形状を利用して形成されてもよい。これにより、係合部のためだけの部位を収容部32に設ける必要がないので、収容部32の形状に関して簡素化等を図ることができる。
【0039】
なお、本発明は上記実施形態等に限定されるものではなく、例えば、以下のように具体化してもよい。
(1)クレードル30は、載置される携帯端末に対して電力供給装置及び通信中継装置として機能するように構成されることに限らず、例えば、電力供給装置としてのみ機能するように構成されてもよいし、他の機能を有するように構成されてもよい。
【0040】
(2)クレードル30に載置される携帯端末10は、QRコード等を光学的に読み取る読取装置として構成されることに限らず、例えば、さらに、無線タグ等を無線通信にて読み書き可能な装置として構成されてもよいし、他の機能を有するように構成されてもよい。
【符号の説明】
【0041】
10…携帯端末
13…載置側端部
13a…表面(他面)
13b…裏面(一面)
14…凹部(被係合部)
15…底面
16…外部端子
17…位置決め用凹部
30…クレードル
31…筐体
32…収容部
34…接続端子
35…位置決め用凸部
36…係合部
37…案内部