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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-16
(45)【発行日】2024-04-24
(54)【発明の名称】タイヤ用ゴム組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 7/00 20060101AFI20240417BHJP
   C08K 5/098 20060101ALI20240417BHJP
   C08L 61/00 20060101ALI20240417BHJP
   C08L 81/04 20060101ALI20240417BHJP
   B60C 1/00 20060101ALI20240417BHJP
【FI】
C08L7/00
C08K5/098
C08L61/00
C08L81/04
B60C1/00 C
B60C1/00 Z
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020077491
(22)【出願日】2020-04-24
(65)【公開番号】P2021172733
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2023-03-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【弁理士】
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【弁理士】
【氏名又は名称】境澤 正夫
(72)【発明者】
【氏名】辻 拓衛
【審査官】西山 義之
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-193679(JP,A)
【文献】特開2007-092085(JP,A)
【文献】特開2007-146168(JP,A)
【文献】特開2015-205970(JP,A)
【文献】特開2013-122038(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00-101/14
C08K 3/00- 13/08
B60C 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天然ゴム50質量%以上を含む硫黄加硫可能なゴム100質量部に、有機酸コバルトまたはコバルト錯体をコバルトとして0.05~1質量部、フェノール誘導体を1~8質量部、下記式(I)で表わされる環状ポリスルフィドを1~15質量部、硫黄、および任意に多価メチロールメラミンを含み、前記硫黄の配合量をa質量部、前記環状ポリスルフィドの配合量をb質量部、前記フェノール誘導体の配合量をc質量部、前記多価メチロールメラミンの配合量をd質量部とするとき、以下の関係式(1)及び(2)を満たし、前記フェノール誘導体が、レゾルシン樹脂、クレゾール樹脂、またはパラヒドロキシ安息香酸であることを特徴とするタイヤ用ゴム組成物。
5 ≦ a+(2b/3) ≦ 11 (1)
d ≦ c/4 (2)
【化1】
(式(I)中、Rは置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のオキシアルキレン基、または芳香族基を含むアルキレン基を示し、xは平均2~6の数、nは1~20の整数を表す。)
【請求項2】
請求項1に記載のゴム組成物で、ベルトコート、カーカスコート、ベルトエッジクッション、ベルトクッション、アンダートレッド、タイゴムから選ばれる少なくとも一つが形成されたタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐熱老化性および耐水接着性を改良するようにしたタイヤ用ゴム組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、タイヤの長期耐久性を向上するために、タイヤ構成部材として耐熱老化性に優れたゴム材料を使用するようにされている。例えば、特許文献1は、環状ポリスルフィドを加硫剤として含むゴム組成物が、耐熱老化性を改良し、引張り破断伸びなどの機械的特性を改良することを提案する。ここで、金属との接着性が求められるゴム材料は、硫黄を多量に配合することがあり、その場合、老化による物性変化が大きくなる傾向がある。したがって、金属との接着性が求められるゴム材料に、環状ポリスルフィドを加硫剤として配合することにより、耐熱老化性を改良することが考えられる。
【0003】
しかし、環状ポリスルフィドを配合したゴム組成物は、金属との接着性、特に耐水接着性が十分に得られないという課題がある。このため、ベルトコート、カーカスコート、ベルトエッジクッション、ベルトクッション、アンダートレッド、タイゴムなど金属コードとの接着性が必要な部材やこれに隣接する部材に、環状ポリスルフィドを配合することは困難であった。したがって、金属コードを被覆する或いはその被覆するゴムに隣接するタイヤ用ゴム組成物における耐熱老化性および耐熱老化性を従来レベル以上に向上することが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-193679号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、耐熱老化性及び耐水接着性を従来レベル以上に改良するようにしたタイヤ用ゴム組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成する本発明のタイヤ用ゴム組成物は、天然ゴム50質量%以上を含む硫黄加硫可能なゴム100質量部に、有機酸コバルトまたはコバルト錯体をコバルトとして0.05~1質量部、フェノール誘導体を1~8質量部、下記式(I)で表わされる環状ポリスルフィドを1~15質量部、硫黄、および任意に多価メチロールメラミンを含み、前記硫黄の配合量をa質量部、前記環状ポリスルフィドの配合量をb質量部、前記フェノール誘導体の配合量をc質量部、前記多価メチロールメラミンの配合量をd質量部とするとき、以下の関係式(1)~(3)を満たし、前記フェノール誘導体が、レゾルシン樹脂、クレゾール樹脂、またはパラヒドロキシ安息香酸であることを特徴とする。
5 ≦ a+(2b/3) ≦ 11 (1)
d ≦ c/4 (2)
【化1】
(式(I)中、Rは置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のオキシアルキレン基、または芳香族基を含むアルキレン基を示し、xは平均2~6の数、nは1~20の整数を表す。)
【発明の効果】
【0007】
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、天然ゴム50質量%以上を含む硫黄加硫可能なゴム100質量部に、有機酸コバルトまたはコバルト錯体をコバルトとして0.05~1質量部、フェノール誘導体を1~8質量部、前記式(I)で表わされる環状ポリスルフィドを1~15質量部、硫黄、および任意に多価メチロールメラミンを含み、硫黄の配合量a質量部、環状ポリスルフィドの配合量b質量部、フェノール誘導体の配合量c質量部、多価メチロールメラミンの配合量d質量部が、以下の関係式;
5 ≦ a+(2b/3) ≦ 11 (1)
d ≦ c/4 (2)
を満たすようにしたので、耐熱老化性および金属コードとの耐水接着性を従来レベル以上に改良することができる。
【0008】
前記フェノール誘導体は、レゾルシン樹脂、クレゾール樹脂、またはパラヒドロキシ安息香酸であるとよく、金属コードとの耐水接着性を優れたものにすることができる。
【0009】
上述したゴム組成物で、ベルトコート、カーカスコート、ベルトエッジクッション、ベルトクッション、アンダートレッド、タイゴムから選ばれる少なくとも一つが形成されたタイヤは、耐熱老化性が優れると共に、金属コードとの耐水接着性が優れるので、タイヤ耐久性を従来レベル以上に向上することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明において、タイヤ用ゴム組成物は、ゴム成分として、硫黄加硫可能なゴムを含む。硫黄加硫可能なゴムは、天然ゴムを50質量%以上、好ましくは80~100質量%含む。天然ゴムを50質量%以上含むことにより、ゴム組成物に金属接着性を付与し、弾性率を高くすることができる。タイヤ用ゴム組成物は、天然ゴム以外の他の硫黄加硫可能なゴムを含むことができ、例えばポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、クロロプレンゴムなどのジエン系ゴム及びそれらの部分水添物などをあげることができ、これらは単独又は任意のブレンドとして天然ゴムと共に含有することができる。
【0011】
タイヤ用ゴム組成物は、下記式(I)で表わされる環状ポリスルフィドおよび硫黄を配合することにより、耐熱老化性を向上させ、ゴム組成物の機械的特性を高くすることができる。このためタイヤ耐久性および耐摩耗性を従来レベル以上に改良することができる。
【化1】
(式(I)中、Rは置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のオキシアルキレン基、または芳香族基を含むアルキレン基を示し、xは平均2~6の数、nは1~20の整数を表す。)
【0012】
式(I)中、Rは置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のオキシアルキレン基、または芳香族基を含むアルキレン基を示し、好ましくは、置換もしくは非置換の炭素数4~8のアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数4~8のオキシアルキレン基、または芳香族基を含むアルキレン基を示す。
【0013】
アルキレン基として、例えばエチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、オクチレン、ノニレン、デシレン、1,2-プロピレンなどの直鎖又は分岐鎖のアルキレン基があげられ、これらのアルキレン基はフェニル基、ベンジル基などの置換基で置換されていてもよい。
【0014】
オキシアルキレン基として、例えば基(CH2CH2O)p及び基(CH2q(式中、pは1~5の整数であり、qは0~2の整数である)が任意に結合したオキシアルキレン基をあげることができる。好ましいオキシアルキレンとして、
-CH2CH2OCH2CH2-、-(CH2CH2O)2CH2CH2-、
(-CH2CH2O)3CH-CH2-、-(CH2CH2O)4CH2CH2-、
-(CH2CH2O)5CH2CH2-、-(CH2CH2O)2CH2-、
-CH2CH2OCH2OCH2CH2-などを例示することができる。
【0015】
アルキレン基及びオキシアルキレン基に対する置換基としては、例えばフェニル基、ベンジル基、メチル基、エポキシ基、イソシアネート基、ビニル基、シリル基などを例示することができる。
【0016】
式(I)中、xは平均2~6の数、好ましくは3~5の数、より好ましくは3.5~4.5の数である。また、nは1~20の整数、好ましくは1~15の整数、より好ましくは1~10の整数、更に好ましくは1~5の整数である。このような環状ポリスルフィドは、通常の方法で製造することができ、例えば特開2007-92086号公報に記載の製造方法を例示することができる。
【0017】
式(I)で表わされる環状ポリスルフィドは、硫黄加硫可能なゴム100質量部に対し、1~15質量部、好ましくは3~10質量部、より好ましくは4~7質量部配合する。環状ポリスルフィドの配合量bを1質量部以上にすることにより、耐熱性を向上することができる。また環状ポリスルフィドの配合量bを15質量部以下にすることにより、ゴム組成物に耐水接着性を付与することができる。
【0018】
タイヤ用ゴム組成物は、式(I)で表わされる環状ポリスルフィドおよび硫黄を配合する。硫黄加硫可能なゴム100質量部に対する硫黄の配合量をa質量部、環状ポリスルフィドの配合量をb質量部とするとき、以下の関係式(1)を満たすものとする。
5 ≦ a+(2b/3) ≦ 11 (1)
硫黄の配合量a質量部は、環状ポリスルフィドの配合量b質量部との間で、関係式(1)を満たすように決められる。配合量の値[a+(2b/3)]を5以上にすることにより、ゴム組成物に初期接着性及び耐水接着性を付与することができる。また、11以下にすることにより、熱老化による硬化を抑制することができる。値[a+(2b/3)]は、好ましくは6以上10以下、より好ましくは7以上9以下であるとよい。
【0019】
本発明において、タイヤ用ゴム組成物は、有機酸コバルトまたはコバルト錯体を配合することにより、金属コードとの接着性、耐水接着性を確保することができる。有機酸コバルトまたはコバルト錯体は、硫黄加硫可能なゴム100質量部に対し、コバルトとして0.05~1質量部、好ましくは0.1~0.5質量部、より好ましくは0.1~0.2質量部配合する。有機酸コバルトまたはコバルト錯体を、コバルトとして0.05質量部以上にすることにより、タイヤ用ゴム組成物と金属コードとの接着性、耐水接着性を確保することができる。またコバルトとして1質量部以下にすることにより、接着性、耐水接着性を確保することができる。
【0020】
有機酸コバルトの有機酸として、例えば炭素数6~24の飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸が挙げられ、直鎖状、分岐鎖状のいずれでもよい。有機酸として、例えばステアリン酸、オレイン酸、ラウリン酸、リノール酸、ネオデカン酸、ロジン酸、パルミチン酸、等が挙げられる。有機酸コバルトまたはコバルト錯体として、例えばステアリン酸コバルト、パルミチン酸コバルト、オクテン酸コバルト、ナフテン酸コバルト、ネオデカン酸コバルト、ホウ酸三ネオデカン酸コバルト、ロジン酸コバルト等を挙げることができる。
【0021】
本発明において、タイヤ用ゴム組成物は、フェノール誘導体を配合することにより、金属コードとの接着性、耐水接着性を一層向上することができる。フェノール誘導体は、硫黄加硫可能なゴム100質量部に対し、1~8質量部、好ましくは2~6質量部、より好ましくは2~4質量部配合する。フェノール誘導体を1質量部以上にすることにより、金属コードとの初期接着性、耐水接着性をより改良することができる。また8質量部以下にすることにより、耐水接着性と耐熱老化性とを両立することができる。
【0022】
フェノール誘導体として、例えばフェノール樹脂、レゾルシン樹脂、クレゾール樹脂、カシュー変性フェノール樹脂、またはパラヒドロキシ安息香酸を挙げることができる。好ましくは、レゾルシン樹脂、クレゾール樹脂、またはパラヒドロキシ安息香酸がよい。
【0023】
タイヤ用ゴム組成物は、任意に多価メチロールメラミンを配合してもよい。多価メチロールメラミンを配合することにより、ゴム組成物のゴム硬度を高くすることができる。多価メチロールメラミンの配合量は、フェノール誘導体の配合量との関係で決められる。硫黄加硫可能なゴム100質量部に対するフェノール誘導体の配合量をc質量部、多価メチロールメラミンの配合量をd質量部とするとき、以下の関係式(2)を満たすものとする。
d ≦ c/4 (2)
多価メチロールメラミンの配合量d質量部を、フェノール誘導体の配合量c質量部の4分の1以下にすることにより、耐熱老化性および金属コードへの耐水接着性を改良することができる。また、多価メチロールメラミンの配合量dは、好ましくはc/8以下、より好ましくはc/10以下であるとよい。多価メチロールメラミンの配合量dは、0でもよい。すなわち、多価メチロールメラミン等のフェノール誘導体の硬化剤を有しなくてもよい。
【0024】
タイヤ用ゴム組成物は、カーボンブラック、シリカ、クレイ、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム等の補強性充填剤を配合することができる。また、タイヤ用ゴム組成物には、加硫又は架橋剤、加硫促進剤、老化防止剤、可塑剤、加工助剤、液状ポリマー、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂などのゴム組成物に一般的に使用される各種配合剤を配合することができる。このような配合剤は一般的な方法で混練してゴム組成物とし、加硫又は架橋するのに使用することができる。これらの配合剤の配合量は本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。ゴム組成物は、公知のゴム用混練機械、例えば、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール等を使用して、上記各成分を混合することによって製造することができる。
【0025】
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、空気入りタイヤのベルトコート、カーカスコート、ベルトエッジクッション、ベルトクッション、アンダートレッド、タイゴムなどに好適に使用することができる。本発明のゴム組成物を使用したタイヤは、耐熱老化性が優れると共に、金属コードとの耐水接着性が優れるので、タイヤ耐久性を従来レベル以上に向上することができる。
【0026】
以下、実施例によって本発明をさらに説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例
【0027】
表4に示す配合を共通配合として、表1~3に示す配合からなる25種類のゴム組成物(実施例1~11、標準例、比較例1~13)を、硫黄、加硫促進剤、多価メチロールメラミンおよび環状ポリスルフィドを除く成分を1.8Lの密閉型ミキサーで160℃、5分間混練し放出したマスターバッチに、硫黄、加硫促進剤、多価メチロールメラミンおよび環状ポリスルフィドを加えてオープンロールで混練することにより調製した。なお、表4の共通配合剤の配合量は、表1~3に示す天然ゴム100質量部に対する質量部で表される。得られたゴム組成物の耐熱老化性および耐水接着性を、それぞれ以下の方法で評価した。
【0028】
耐熱老化性
ゴム組成物を厚さ2mmのモールドを用いて160℃で20分間加硫し、得られた加硫ゴムシートをJIS3号ダンベルで打ち抜きサンプルとした。サンプルを温度80℃に設定したギヤーオーブンで5日間熱老化した後、未老化のサンプルと共にJIS K6251に従い引張試験機で破断伸びを測定した。未老化の破断伸び(Eb)と老化後の破断伸び(Ea)との比をとり、Ea/Ebを耐熱老化性の指標とした。値は標準例の指標を100として指数で表記した。指数が105以下のとき、耐熱老化性が劣るものとする。
【0029】
耐水接着性
ASTM D2229に従い実施した。ゴム組成物に3+9+15構造のブラスめっきワイヤを埋め込み、所定のモールドを用い160℃20分間加硫しサンプルとした。サンプルを温度70℃、湿度96%に設定した恒温恒湿チャンバー内に2週間置き、その後引抜き試験を実施、ワイヤ表面のゴムの被覆率を目視で判定し指標とした。値は標準例の指標を100として指数で表記した。指数が95以下のとき、耐水接着性が劣るものとする。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】
【表3】
【0033】
なお、表1~3において使用した原材料の種類を下記に示す。
-NR:天然ゴム、RSS#3
-有機酸コバルト:ネオデカン酸ホウ酸コバルト、コバルト含有量が22質量%、dic社製DICNATE NBC-II
-硫黄:FLEXSYS社製クリステックスHS OT20
-環状ポリスルフィド:Akzo Nobel社製THIOPLAST CPS 200、式(I)において、Rが-CH2CH2OCH2OCH2CH2-、x(平均)が4、nが10
-レゾルシン樹脂:TECHNO WAXCHEM社製 TECHNIC B18S
-クレゾール樹脂:田岡化学工業社製 スミカノール610
-パラヒドロキシ安息香酸:上野製薬社製パラヒドロキシ安息香酸
-HMMM:ヘキサメトキシメチルメラミン、Allnex社製 Cyrez 964RPC
【0034】
【表4】
【0035】
なお、表4において使用した原材料の種類を下記に示す。
-カーボンブラック:東海カーボン 社製 シースト300
-老化防止剤: LANXESS 社製 VULKANOX4020
-亜鉛華: 正同化学工業 社製 酸化亜鉛3種
-加硫促進剤: 大内新興化学 社製 ノクセラーDZ-G
【0036】
表1~3から明らかなように実施例1~11のタイヤ用ゴム組成物は、耐熱老化性および耐水接着性が従来レベル以上に向上することが確認された。
【0037】
表1から明らかなように、比較例1および2のゴム組成物は、フェノール誘導体の配合量が1質量部未満なので、耐水接着性が劣る。
比較例3のゴム組成物は、フェノール誘導体の配合量が8質量部を超えるので、耐熱老化性が劣る。
【0038】
表2から明らかなように、比較例4および5のゴム組成物は、環状ポリスルフィドの配合量が1質量部未満なので、熱老化性の向上が見られない。
比較例6および7のゴム組成物は、硫黄を配合しないので、耐水接着性が劣る。
比較例8および9のゴム組成物は、多価メチロールメラミンの配合量をdがフェノール誘導体の配合量cの1/4を超えるので、超えない場合に比較して耐熱老化性が劣る。
【0039】
表3から明らかなように、比較例10~13のゴム組成物は、環状ポリスルフィドを配合しないので、耐熱性が劣る。