IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社デンソーウェーブの特許一覧

<>
  • 特許-セキュリティ装置 図1
  • 特許-セキュリティ装置 図2
  • 特許-セキュリティ装置 図3
  • 特許-セキュリティ装置 図4
  • 特許-セキュリティ装置 図5
  • 特許-セキュリティ装置 図6
  • 特許-セキュリティ装置 図7
  • 特許-セキュリティ装置 図8
  • 特許-セキュリティ装置 図9
  • 特許-セキュリティ装置 図10
  • 特許-セキュリティ装置 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-16
(45)【発行日】2024-04-24
(54)【発明の名称】セキュリティ装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 5/03 20060101AFI20240417BHJP
   G08B 25/14 20060101ALI20240417BHJP
【FI】
H05K5/03 D
H05K5/03 C
G08B25/14 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020112333
(22)【出願日】2020-06-30
(65)【公開番号】P2022011299
(43)【公開日】2022-01-17
【審査請求日】2023-02-17
(73)【特許権者】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 成幸
【審査官】小林 大介
(56)【参考文献】
【文献】実開平04-051002(JP,U)
【文献】実公昭49-040501(JP,Y1)
【文献】特開2006-045943(JP,A)
【文献】特開昭55-048171(JP,A)
【文献】特開2002-070409(JP,A)
【文献】特開平10-110568(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0198432(US,A1)
【文献】登録実用新案第3041725(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 5/03
G08B 25/14
E05D 15/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セキュリティ装置であって、
本体部と前記本体部に対して第1方向側に配置される蓋部とを有する筐体と、
前記第1方向に交差する第2方向に沿って移動可能に前記蓋部が接続される第1接続部と、前記第1方向および前記第2方向に交差する第3方向に沿った回転軸を中心にして回転可能かつ着脱可能に前記本体部に接続される第2接続部とを有し、前記筐体内に配置される連結部材と、
前記本体部に対して前記蓋部を固定する固定部材と、
を備え、
前記蓋部は、前記固定部材による固定を解消され、前記蓋部の外周壁よりも内側に前記第2接続部が配置される第3位置から前記蓋部の外周壁よりも外側に前記第2接続部が配置される第4位置に前記連結部材が前記蓋部に対して相対移動した状態で、開閉可能となる、
セキュリティ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のセキュリティ装置であって、
前記連結部材に対する前記蓋部の前記第2方向に沿った移動可能距離は、前記固定部材によって前記蓋部が固定された状態における前記回転軸から前記本体部の外周壁までの前記第2方向に沿った距離と、前記本体部の外周壁の前記第2方向に沿った厚みとの合計量よりも長い、セキュリティ装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のセキュリティ装置であって、
前記第2接続部は、予め定められた方向に向かって予め定められた大きさの力を加えられた場合に、前記第2接続部と前記本体部との接続を解消する、セキュリティ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、セキュリティ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、防犯システムに用いられる無線中継器が開示されている。この無線中継器は、住宅の屋内に配置された各種センサから送信された信号を受信し、受信した信号を警備会社と通信する受信装置に送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-105102号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した無線中継器のように、セキュリティを管理するための装置は、屋内の壁面や天井面に固定され、筐体内に収容された電池を電源として駆動されることがある。装置の保守点検時に作業者が電池交換等の作業を容易に行うことができるように、装置の筐体には、ロックを解除することにより開閉可能になる蓋部が着脱可能に設けられることが好ましい。このような蓋部は、例えば、蓋部の一端に設けられた爪の先端が筐体の本体部に支持されることにより、本体部に取り付けられる。しかしながら、このような構成では、ロックを解除した際に、蓋部が自重で開いて本体部から脱落する可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
【0006】
(1)本開示の第1の形態によれば、セキュリティ装置が提供される。このセキュリティ装置は、本体部と前記本体部に対して第1方向側に配置される蓋部とを有する筐体と、前記第1方向に交差する第2方向に沿って移動可能に前記本体部に接続される第1接続部と、前記第1方向および前記第2方向に交差する第3方向に沿った回転軸を中心にして回転可能かつ着脱可能に前記蓋部が接続される第2接続部とを有し、前記筐体内に配置される連結部材と、前記本体部に対して前記蓋部を固定する固定部材と、を備える。前記蓋部は、前記固定部材による固定を解消され、前記本体部の外周壁よりも内側に前記第2接続部が配置される第1位置から前記本体部の外周壁よりも外側に前記第2接続部が配置される第2位置に前記連結部材が移動した状態で、開閉可能となる。
この形態のセキュリティ装置によれば、固定部材による本体部に対する蓋部の固定が解消され、連結部材が第1位置から第2位置に移動した状態で、蓋部が本体部に対して回転することによって、蓋部が開閉する。そのため、固定部材による本体部に対する蓋部の固定が解消された際に、蓋部が自重で開いて本体部から脱落することを抑制できる。
(2)上記形態のセキュリティ装置において、前記第2接続部は、前記本体部の外周壁の前記第1方向側の端部よりも前記蓋部側に配置されてもよい。
この形態のセキュリティ装置によれば、第2接続部を通過させるための穴や切欠きを本体部の外周壁に設けずに、第2接続部を第1位置から第2位置に移動させることができる。そのため、筐体の堅牢性を確保しつつ、固定部材による本体部に対する蓋部の固定が解消された際に、蓋部が自重で開いて本体部から脱落することを抑制できる。
(3)上記形態のセキュリティ装置において、前記連結部材の前記第2方向に沿った移動可能距離は、前記固定部材によって前記蓋部が固定された状態における前記回転軸から前記本体部の外周壁までの前記第2方向に沿った距離と、前記本体部の外周壁の前記第2方向に沿った厚みとの合計量よりも長くてもよい。
この形態のセキュリティ装置によれば、本体部に対する蓋部の開度を十分に大きく確保することができる。
(4)上記形態のセキュリティ装置において、前記連結部材の前記第2方向に沿った移動可能距離は、前記固定部材によって前記蓋部が固定された状態における前記回転軸から前記本体部の外周壁までの前記第2方向に沿った距離と、前記本体部の外周壁の前記第2方向に沿った厚みと、前記固定部材によって前記蓋部が固定された状態における前記回転軸から前記蓋部の外周壁の前記第1方向とは反対方向側の端部までの前記第1方向に沿った距離との合計量よりも長くてもよい。
この形態のセキュリティ装置によれば、本体部に対する蓋部の開度を90度以上確保することができる。
(5)上記形態のセキュリティ装置において、前記本体部は、設置場所の壁面に取り付けられる取付面を有し、前記取付面から前記本体部の外周壁の前記第1方向側の端部までの前記第1方向に沿った距離は、前記固定部材によって前記蓋部が固定された状態における前記回転軸から前記蓋部の外周壁までの前記第2方向に沿った距離と、前記蓋部の外周壁の前記第2方向に沿った厚みとの合計量よりも長くてもよい。
この形態のセキュリティ装置によれば、設置場所の壁面に蓋部が接触して蓋部の回転が阻害されることを抑制できる。
(6)上記形態のセキュリティ装置において、前記第2接続部は、前記第2方向とは異なる方向に沿って予め定められた大きさの力を加えられた場合に、前記第2接続部と前記蓋部との接続を解消してもよい。
この形態のセキュリティ装置によれば、連結部材を第1位置から第2位置に第2方向に沿って移動させる際に、第2接続部と蓋部との接続が意図せず解消されることを抑制できる。
(7)本開示の第2の形態によれば、セキュリティ装置が提供される。このセキュリティ装置は、本体部と前記本体部に対して第1方向側に配置される蓋部とを有する筐体と、前記第1方向に交差する第2方向に沿って移動可能に前記蓋部が接続される第1接続部と、前記第1方向および前記第2方向に交差する第3方向に沿った回転軸を中心にして回転可能かつ着脱可能に前記本体部に接続される第2接続部とを有し、前記筐体内に配置される連結部材と、前記本体部に対して前記蓋部を固定する固定部材と、を備える。前記蓋部は、前記固定部材による固定を解消され、前記蓋部の外周壁よりも内側に前記第2接続部が配置される第3位置から前記蓋部の外周壁よりも外側に前記第2接続部が配置される第4位置に前記連結部材が前記蓋部に対して相対移動した状態で、開閉可能となる。
この形態のセキュリティ装置によれば、固定部材による本体部に対する蓋部の固定が解消され、連結部材が第3位置から第4位置に蓋部に対して相対移動した状態で、蓋部が本体部に対して回転することによって、蓋部が開閉する。そのため、固定部材による本体部に対する蓋部の固定が解消された際に、蓋部が自重で開いて本体部から脱落することを抑制できる。
本開示は、セキュリティ装置以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、セキュリティ装置の筐体等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】セキュリティシステムの概略構成を示す説明図。
図2】第1実施形態のセキュリティ装置の概略構成を示す斜視図。
図3】第1実施形態の本体部および連結部の構成を示す斜視図。
図4】第1実施形態の本体部および連結部のIV-IV線断面図。
図5】第1実施形態の蓋部の構成を示す斜視図。
図6】第1実施形態のセキュリティ装置のVI-VI線断面図。
図7】第1実施形態の蓋部が開閉される様子を示す第1の説明図。
図8】第1実施形態の蓋部が開閉される様子を示す第2の説明図。
図9】第2実施形態のセキュリティ装置の概略構成を示す断面図。
図10】第2実施形態の蓋部が開閉される様子を示す第1の説明図。
図11】第2実施形態の蓋部が開閉される様子を示す第2の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
A.第1実施形態:
図1は、第1実施形態におけるセキュリティ装置10を備えるセキュリティシステム100の概略構成を示す説明図である。本実施形態では、セキュリティシステム100は、セキュリティ装置10と、コントローラ110と、センサ120と、警報ランプ130と、警報ブザー140とを備えている。コントローラ110は、例えば、建物内の壁面に固定されている。センサ120と警報ランプ130と警報ブザー140は、それぞれ、建物内や建物外の所定の場所に設置されている。コントローラ110とセンサ120との間は、無線通信によって通信可能に構成されている。本実施形態では、セキュリティ装置10は、コントローラ110とセンサ120との間の無線通信を中継する無線中継器である。
【0009】
セキュリティシステム100は、動作モードとして、保安モードと通常モードとを有している。セキュリティシステム100の動作モードは、コントローラ110によって切り替えられる。保安モード時に、例えば、建物内の異常がセンサ120によって検出された場合、コントローラ110は、予め契約された警備会社200に異常が検出されたことを通報するとともに、警報ランプ130を点灯させ、警報ブザー140を鳴動させる。
【0010】
図2は、本実施形態におけるセキュリティ装置10の概略構成を示す斜視図である。本実施形態では、セキュリティ装置10の筐体20は、正面部21と、第1側面部22と、第2側面部23と、第3側面部24と、第4側面部25と、背面部26とを有する箱状の外形形状を有している。筐体20内には、上述したコントローラ110とセンサ120との間の無線通信を中継するための電子機器や、電子機器を駆動させるための電源として用いられる電池が収容されている。本実施形態では、セキュリティ装置10は、建物内の天井面に固定されている。セキュリティ装置10は、正面部21が重力方向Gを向き、かつ、背面部26が建物内の天井面に対向するように固定されている。設置場所である建物内の天井面に取り付けられる背面部26の+Z方向側の面のことを取付面28と呼ぶ。
【0011】
図2には、互いに直交するX,Y,Z方向を示す矢印が示されている。X方向およびY方向は、水平面に平行な方向であり、Z方向は、重力方向Gとは反対の方向である。X,Y,Z方向を示す矢印は、他の図においても、図示の方向が図2と対応するように適宜、図示してある。以下の説明において、向きを特定する場合には、矢印の指し示す方向である正の方向を「+」、矢印の指し示す方向とは反対の方向である負の方向を「-」として、方向表記に正負の符合を併用する。尚、-Z方向のことを第1方向と呼ぶことがあり、+X方向のことを第2方向と呼ぶことがあり、+Y方向のことを第3方向と呼ぶことがある。
【0012】
筐体20は、本体部30と、本体部30に対して開閉および着脱が可能な蓋部40とによって構成されている。図2には、蓋部40が閉じた状態の筐体20が表されている。
本体部30は、第1基部31と、第1基部31の外周縁から-Z方向側に向かって突き出した第1外周壁32とを有している。蓋部40は、本体部30に対して-Z方向側に配置されている。蓋部40は、第2基部41と、第2基部41の外周縁から+Z方向側に向かって突き出した第2外周壁42とを有している。蓋部40が閉じられた状態で、Z方向において第1外周壁32の-Z方向側の端部と第2外周壁42の+Z方向側の端部とが対向するように、筐体20が構成されている。筐体20の正面部21は、第2基部41によって構成されており、各側面部22~25は、第1外周壁32と第2外周壁42とによって構成されており、背面部26は、第1基部31によって構成されている。上述した電子機器や電池は、本体部30に固定されている。
【0013】
本体部30のうちの+X方向側の部分と蓋部40のうちの+X方向側の部分とは、連結部材50によって着脱可能に接続されている。連結部材50は、筐体20内に配置されている。連結部材50の構成については後述する。
【0014】
蓋部40が閉じられた状態で、本体部30のうちの-X方向側の部分と蓋部40のうちの-X方向側の部分とは、固定部材60によって固定されている。固定部材60は、本体部30に対する蓋部40の固定を解消可能に構成されている。固定部材60は、筐体20内に配置されている。固定部材60は、例えば、専用の鍵を用いて施錠および解錠されるシリンダ錠によって構成される。固定部材60は、専用の工具を用いて本体部30と蓋部40との固定を解消可能なスナップフィット構造によって構成されてもよい。筐体20には、鍵あるいは工具を筐体20内に挿入するための挿入口29が設けられている。
【0015】
図3は、本体部30および連結部材50の構成を示す斜視図である。図4は、図3における本体部30および連結部材50のIV-IV線断面図である。図5は、蓋部40の構成を示す斜視図である。図6は、図2におけるセキュリティ装置10のVI-VI線断面図である。図3および図4には、図の下側から上側に向かう方向が重力方向Gになるように本体部30および連結部材50が表されている。図5には、図の上側から下側に向かう方向が重力方向Gになるように蓋部40が表されている。図6には、図の上側から下側に向かう方向が重力方向Gになるようにセキュリティ装置10の断面が表されており、セキュリティ装置10が固定されている天井面CPが二点鎖線で表されている。図6に示すように、連結部材50は、本体部30に接続される第1接続部51と、蓋部40が接続される第2接続部52とを有している。
【0016】
図3に示すように、第1接続部51は、X方向に沿って移動可能に本体部30に接続されている。本実施形態では、第1接続部51は、矩形板状の外形形状を有している。第1接続部51の中央部分には、X方向に沿った長手方向を有する長穴状のガイド穴55が設けられている。
【0017】
図4に示すように、本体部30の第1基部31には、-Z方向側に向かって突き出した凸部35が設けられている。凸部35は、Y方向に並んで配置された2本のカンチレバー型のスナップフィット構造によって構成されている。凸部35を構成する2本のスナップフィット構造のうちの+Y方向側に配置されたスナップフィット構造は、+Y方向側に向かって屈曲した鉤状の先端部分を有しており、凸部35を構成する2本のスナップフィット構造のうちの-Y方向側に配置されたスナップフィット構造は、-Y方向側に向かって屈曲した鉤状の先端部分を有している。
【0018】
図3に示すように、ガイド穴55に対して凸部35が-Z方向側に向かって差し込まれることによって、第1接続部51と本体部30とが接続される。第1接続部51が本体部30に接続された状態では、凸部35の先端部分によって第1接続部51の-Z方向側の面が支持されている。尚、他の実施形態では、第1基部31に設けられたガイド穴あるいはガイド溝に、第1接続部51に設けられた凸部が差し込まれて、第1接続部51と本体部30とが接続されてもよい。
【0019】
図6に示すように、第2接続部52には、Y方向に沿った回転軸RXを中心にして回転可能に蓋部40が接続されている。本実施形態では、第2接続部52は、第1接続部51よりも+X方向側、かつ、第1外周壁32の-Z方向側の端部よりも-Z方向側に設けられている。第2接続部52は、+X方向に向けて開口するクランプ状の外形形状を有している。第2接続部52は、Z方向に並んで配置された2本のカンチレバー型のスナップフィット構造によって構成されている。第2接続部52を構成する2本のスナップフィット構造のうちの+Z方向側に配置されたスナップフィット構造は、-Z方向側に向かって屈曲した鉤状の先端部分を有しており、第2接続部52を構成する2本のスナップフィット構造のうちの-Z方向側に配置されたスナップフィット構造は、+Z方向側に向かって屈曲した鉤状の先端部分を有している。第2接続部52を構成する2本のスナップフィット構造によって、Y方向に沿った中心軸を中心とした円筒状の軸受部56が構成されている。
【0020】
図3に示すように、連結部材50には、2つの第2接続部52が設けられている。2つの第2接続部52は、Y方向に並んで配置されている。2つの第2接続部52のうちの+Y方向側に配置された第2接続部52の-X方向側の端部は、第1接続部51の+Y方向側の端部から-Z方向側に沿って設けられた支持部53によって接続されている。2つの第2接続部52のうちの-Y方向側に配置された第2接続部52の-X方向側の端部は、第1接続部51の-Y方向側の端部から-Z方向側に沿って設けられた支持部53によって接続されている。
【0021】
図5に示すように、蓋部40には、Y方向に沿った中心軸を中心とした円柱状の軸部45が設けられている。軸部45は、第2外周壁42の内側に設けられている。軸部45は、第2外周壁42から-X方向側に沿って設けられた腕部46に接続されている。軸部45のY方向に沿った長さは、2つの第2接続部52のY方向に沿った間隔よりも長い。腕部46のY方向に沿った幅は、2つの第2接続部52のY方向に沿った間隔よりも狭く、かつ、2つの支持部53のY方向に沿った間隔よりも狭い。尚、他の実施形態では、腕部46は、第2基部41から+Z方向に沿って設けられてもよい。
【0022】
図6に示すように、軸受部56に対して軸部45が-X方向側に向かって差し込まれることによって、第2接続部52と蓋部40とが接続される。連結部材50が固定された状態で、軸部45が+X方向側に向かって所定の大きさの力で引き抜かれた場合、第2接続部52は、第2接続部52と蓋部40との接続を解消する。本実施形態では、スナップフィット構造によって第2接続部52と蓋部40とが接続されているので、工具を用いずに、第2接続部52と蓋部40との接続を解消できる。後述するように、連結部材50は、蓋部40に引張られて、本体部30に対して移動する。第2接続部52と蓋部40との接続を解消するために必要な力は、連結部材50が本体部30に対して移動する際に本体部30から受ける摩擦力よりも大きい。尚、他の実施形態では、蓋部40に設けられた軸受部に、第2接続部52に設けられた軸部が差し込まれて、第2接続部52と蓋部40とが接続されてもよい。
【0023】
支持部53に対して+X方向側に配置された第1外周壁32と支持部53との間には、連結部材50が移動可能な隙間が設けられている。連結部材50のX方向に沿った移動可能距離は、固定部材60によって蓋部40が本体部30に固定された状態である固定状態における回転軸RXから第1外周壁32までのX方向に沿った距離L1と、第1外周壁32のX方向に沿った厚みt1との合計量よりも長い。本実施形態では、連結部材50のX方向に沿った移動可能距離は、固定状態における回転軸RXから第1外周壁32までのX方向に沿った距離L1と、第1外周壁32のX方向に沿った厚みt1と、固定状態における回転軸RXから第2外周壁42の+Z方向側の端部までのZ方向に沿った距離L2との合計量よりも長い。また、天井面CPから第1外周壁32の+Z方向側の端部までのZ方向に沿った距離L3、換言すれば、取付面28から第1外周壁32の-Z方向側の端部までのZ方向に沿った距離L3は、固定状態における回転軸RXから第2外周壁42までのX方向に沿った距離L4と、第2外周壁42のX方向に沿った厚みt2との合計量よりも長い。
【0024】
図6には、第2接続部52の回転軸RXが第1外周壁32よりも内側に配置される第1位置P1に配置された連結部材50が表されている。固定状態では、連結部材50は、第1位置P1に配置されている。固定部材60による本体部30に対する蓋部40の固定が解消された状態である固定解消状態であっても、連結部材50が第1位置P1に配置されている場合には、第2接続部52に接続された蓋部40を回転させようとしても、第1外周壁32の-Z方向側の端部と第2外周壁42の+Z方向側の端部とが接触して、蓋部40の回転が阻害される。そのため、連結部材50が第1位置P1に配置されている場合には、蓋部40を開閉することができない。開閉とは、セキュリティ装置10に対して、筐体20内に収容された電池の交換作業等を行える程度の開度で本体部30に対して蓋部40が回転することを意味する。
【0025】
図7は、蓋部40が開閉される様子を示す第1の説明図である。図8は、蓋部40が開閉される様子を示す第2の説明図である。図7および図8では、第2接続部52の回転軸RXが第1外周壁32よりも外側に配置される第2位置P2に配置された連結部材50が表されている。固定解消状態で、第1接続部51によって本体部30に接続された連結部材50は、蓋部40とともに+X方向側に移動して、図6に示した第1位置P1から図7に示した第2位置P2に移動する。その後、図8に示すように、連結部材50が第2位置P2に移動した状態で、第2接続部52によって連結部材50に接続された蓋部40は、回転軸RXを中心にして回転して、本体部30に対して開閉する。
【0026】
以上で説明した本実施形態のセキュリティ装置10によれば、固定部材60による本体部30に対する蓋部40の固定が解消されたとしても、連結部材50が第1位置P1に配置された状態では、本体部30の第1外周壁32の-Z方向側の端部と蓋部40の第2外周壁42の+Z方向側の端部とが接触して、連結部材50に接続された蓋部40の回転が阻害される。そのため、固定部材60による本体部30に対する蓋部40の固定が解消された際に、蓋部40が自重で開いて脱落することを抑制できる。一方、連結部材50が第1接続部51によって第1位置P1から第2位置P2に移動した状態では、連結部材50とともに蓋部40が移動しており、第1外周壁32の-Z方向側の端部と第2外周壁42の+Z方向側の端部とが接触しないので、蓋部40を回転させることによって本体部30に対して蓋部40を開閉できる。そのため、保守点検等の作業を行う作業者は、蓋部40を開いて作業を行うことができる。また、本実施形態では、蓋部40と連結部材50とが第2接続部52によって着脱可能に接続されているので、連結部材50に接続されている蓋部40が作業を妨げる場合には、保守点検等の作業を行う作業者は、蓋部40を取り外して作業を行うことができる。さらに、本実施形態では、固定部材60による本体部30に対する蓋部40の固定が解消されていない状態では、本体部30と蓋部40との接続部分である連結部材50や固定部材60は、筐体20外から視認されにくい筐体20内に収容されている。そのため、本体部30と蓋部40との接続部分が破壊されて、蓋部40が開かれることを抑制できる。
【0027】
また、本実施形態では、第2接続部52は、第1外周壁32の-Z方向側の端部よりも-Z方向側に配置されているので、第2接続部52を通過させるための穴や切欠きを第1外周壁32に設けずに、第2接続部52を第1外周壁32の外側に移動させることができる。そのため、筐体20の堅牢性を確保しつつ、固定部材60による本体部30に対する蓋部40の固定が解消された際に、蓋部40が自重で開いて本体部30から脱落することを抑制できる。
【0028】
また、本実施形態では、連結部材50のX方向に沿った移動可能距離は、固定状態における回転軸RXから第1外周壁32までのX方向に沿った距離L1と、第1外周壁32のX方向に沿った厚みt1との合計量よりも長い。そのため、本体部30に対する蓋部40の開度を十分に大きく確保することができる。特に、本実施形態では、連結部材50のX方向に沿った移動可能距離は、固定状態における回転軸RXから第1外周壁32までのX方向に沿った距離L1と、第1外周壁32のX方向に沿った厚みt1と、固定状態における回転軸RXから第2外周壁42の+Z方向側の端部までのZ方向に沿った距離L2との合計量よりも長い。そのため、本体部30に対する蓋部40の開度を90度以上確保することができる。
【0029】
また、本実施形態では、取付面28から第1外周壁32の-Z方向側の端部までのZ方向に沿った距離L3は、固定状態における回転軸RXから第2外周壁42までのX方向に沿った距離L4と、第2外周壁42のX方向に沿った厚みt2との合計量よりも長い。そのため、天井面CPに第2外周壁42が接触して蓋部40の回転が阻害されることを抑制できる。
【0030】
B.第2実施形態:
図9は、第2実施形態におけるセキュリティ装置10bの概略構成を示す断面図である。第2実施形態のセキュリティ装置10bでは、連結部材50が第1実施形態とは上下逆に配置されており、第1接続部51には筐体20bの蓋部40bがX方向に沿って移動可能に接続されており、第2接続部52には筐体20bの本体部30bがY方向に沿った回転軸RXを中心にして回転可能に接続されていることが第1実施形態と異なる。その他の構成については、特に説明しない限り、第1実施形態と同じである。
【0031】
本体部30bには、Y方向に沿った中心軸を中心とした円柱状の軸部45bが設けられている。軸部45bは、第1外周壁32bの内側に設けられている。軸部45bは、第1外周壁32bから-X方向側に沿って設けられた腕部46bに接続されている。第2接続部52に設けられた軸受部56に対して軸部45bが-X方向側に向かって差し込まれることによって、第2接続部52と本体部30bとが接続される。尚、他の実施形態では、本体部30bに設けられた軸受部に、第2接続部52に設けられた軸部が差し込まれて、第2接続部52と本体部30bとが接続されてもよい。
【0032】
蓋部40bの第2基部41bには、+Z方向側に向かって突き出した凸部35bが設けられている。凸部35bは、図4に示した第1実施形態の凸部35を上下逆にした形態を有している。本実施形態では、第1接続部51に設けられたガイド穴55に対して、凸部35bが+Z方向側に向かって差し込まれることによって、第1接続部51と蓋部40bとが接続される。連結部材50に対する蓋部40bのX方向に沿った移動可能距離は、固定状態における回転軸RXから第1外周壁32bまでのX方向に沿った距離L1と、第1外周壁32bのX方向に沿った厚みt1との合計量よりも長い。尚、他の実施形態では、第2基部41bに設けられたガイド穴あるいはガイド溝に、第1接続部51に設けられた凸部が差し込まれて、第1接続部51と蓋部40bとが接続されてもよい。
【0033】
図10は、蓋部40bが開閉される様子を示す第1の断面図である。図11は、蓋部40bが開閉される様子を示す第2の断面図である。固定解消状態で、第1接続部51によって連結部材50に接続された蓋部40bは、-X方向側に移動する。蓋部40bが移動することによって、連結部材50は、図9に示した第3位置P3から図10に示した第4位置P4に蓋部40に対して相対移動する。第3位置P3は、第2接続部52の回転軸RXが第2外周壁42bよりも内側に配置される位置であり、第4位置P4は、第2接続部52の回転軸RXが第2外周壁42bよりも外側に配置される位置である。その後、図11に示すように、連結部材50が蓋部40bに対して第4位置P4に相対移動した状態で、第2接続部52によって本体部30bに接続された連結部材50は、蓋部40bとともに、回転軸RXを中心にして本体部30bに対して回転する。蓋部40bは、連結部材50とともに回転することによって、本体部30bに対して開閉する。
【0034】
この形態のセキュリティ装置10bよれば、固定部材60による本体部30bに対する蓋部40bの固定が解消されたとしても、連結部材50が第3位置P3に配置された状態では、本体部30bの第1外周壁32bの-Z方向側の端部と蓋部40bの第2外周壁42bの+Z方向側の端部とが接触して、連結部材50に接続された蓋部40bの回転が阻害される。そのため、固定部材60による本体部30bに対する蓋部40bの固定が解消された際に、蓋部40bが自重で開いて脱落することを抑制できる。
【0035】
C.他の実施形態:
(C1)上述した各実施形態のセキュリティ装置10,10bでは、連結部材50の第2接続部52は、スナップフィット構造によって構成されており、蓋部40の軸部45、あるいは、本体部30bの軸部45bが+X方向に向かって所定の大きさの力で引き抜かれた場合に、第2接続部52は、第2接続部52と蓋部40との接続、あるいは、第2接続部52と本体部30bとの接続を解消する。これに対して、第2接続部52は、蓋部40の軸部45、あるいは、本体部30bの軸部45bが+X方向とは異なる方向に向かって所定の大きさの力で引き抜かれた場合に、第2接続部52と蓋部40との接続、あるいは、第2接続部52と本体部30bとの接続を解消するように構成されてもよい。例えば、第1実施形態において、第2接続部52は、軸部45が+Z方向に向かって所定の大きさの力で引き抜かれた場合に、第2接続部52と蓋部40との接続を解消するように構成されてもよい。より具体的には、2本のカンチレバー型のスナップフィット構造を+Z方向に向けて開口するクランプ状に配置することによって第2接続部52が構成されてもよい。この場合、蓋部40とともに連結部材50を+X方向側に移動させる際に、第2接続部52と蓋部40との接続が意図せず解消されることを抑制できる。また、第2接続部52が重力方向Gとは反対の方向である+Z方向に向けて開口するように構成されることによって、蓋部40の脱落をより一層抑制することができる。
【0036】
(C2)上述した第1施形態のセキュリティ装置10では、連結部材50の第2接続部52は、本体部30の第1外周壁32の-Z方向側の端部よりも-Z方向側に配置されている。これに対して、第2接続部52は、第1外周壁32の-Z方向側の端部よりも+Z方向側に配置されてもよい。この場合であっても、例えば、第2接続部52を通過させるための穴や切欠きを第1外周壁32に設けることによって、第2接続部52を第1位置P1から第2位置P2に移動させて、蓋部40を開閉することができる。
【0037】
(C3)上述した各実施形態のセキュリティ装置10,10bでは、本体部30に対する連結部材50のX方向に沿った移動可能距離、あるいは、連結部材50に対する蓋部40bのX方向に沿った移動可能距離は、固定状態における回転軸RXから第1外周壁32,32bまでのX方向に沿った距離L1と、第1外周壁32,32bのX方向に沿った厚みt1との合計量よりも長い。これに対して、本体部30に対する連結部材50のX方向に沿った移動可能距離、あるいは、連結部材50に対する蓋部40bのX方向に沿った移動可能距離は、固定状態における回転軸RXから第1外周壁32,32bまでのX方向に沿った距離L1と、第1外周壁32,32bのX方向に沿った厚みt1との合計量以下でもよい。
【0038】
(C4)上述した第1実施形態のセキュリティ装置10では、取付面28から第1外周壁32の-Z方向側の端部までのZ方向に沿った距離L3は、固定状態における回転軸RXから第2外周壁42までのX方向に沿った距離L4と、第2外周壁42のX方向に沿った厚みt2との合計量よりも長い。これに対して、取付面28から第1外周壁32の-Z方向側の端部までのZ方向に沿った距離L3は、固定状態における回転軸RXから第2外周壁42までのX方向に沿った距離L4と、第2外周壁42のX方向に沿った厚みt2との合計量以下でもよい。
【0039】
(C5)上述した各実施形態のセキュリティ装置10,10bは、正面部21が重力方向Gを向くように建物内の天井面CPに固定されている。つまり、セキュリティ装置10,10bは、本体部30,30bに対して重力方向Gの下側に蓋部40,40bが配置されるように、建物内の天井面CPに固定されている。これに対して、セキュリティ装置10,10bは、正面部21が水平方向を向くように建物内の壁面に固定されてもよい。つまり、セキュリティ装置10,10bは、本体部30,30bと蓋部40,40bとが水平方向に沿って並んで配置されるように建物内の壁面に固定されてもよい。この場合、セキュリティ装置10,10bは、第1位置P1から第2位置P2に向かう方向、あるいは、第3位置P3から第4位置P4に向かう方向が重力方向Gとは異なる方向を向くように固定されることが好ましい。
【0040】
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0041】
10…セキュリティ装置、20…筐体、21…正面部、22…第1側面部、23…第2側面部、24…第3側面部、25…第4側面部、26…背面部、28…取付面、29…挿入口、30…本体部、31…第1基部、32…第1外周壁、35…凸部、40…蓋部、41…第2基部、42…第2外周壁、45…軸部、46…腕部、50…連結部材、51…第1接続部、52…第2接続部、53…支持部、55…ガイド穴、56…軸受部、60…固定部材、100…セキュリティシステム、110…コントローラ、120…センサ、130…警報ランプ、140…警報ブザー、200…警備会社
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11