(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-16
(45)【発行日】2024-04-24
(54)【発明の名称】包装袋の製造システム
(51)【国際特許分類】
B31B 70/10 20170101AFI20240417BHJP
【FI】
B31B70/10
(21)【出願番号】P 2020130981
(22)【出願日】2020-07-31
【審査請求日】2023-05-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000104674
【氏名又は名称】キョーラク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】海津 大
【審査官】西塚 祐斗
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-178068(JP,A)
【文献】特開2002-192629(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B31B 70/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装袋の製造システムであって、
フィルム供給装置と、搬送装置と、底部挿入装置と、底部シール装置と、横シール装置と、分断装置を備え、
前記フィルム供給装置は、互いに対向する前面長尺フィルムと背面長尺フィルムを供給し、
前記搬送装置は、前記前面長尺フィルムと前記背面長尺フィルムを搬送するように構成され、
前記底部挿入装置と、前記底部シール装置と、前記横シール装置と、前記分断装置は、前記搬送の方向に沿ってこの順に配置され、
前記底部挿入装置は、挿入開始位置において、前記前面長尺フィルムと前記背面長尺フィルムの間に底部長尺フィルムの挿入を開始し、前記挿入開始位置よりも下流側の挿入完了位置において、前記底部長尺フィルムの挿入を完了するように構成され、
前記底部シール装置は、前記底部長尺フィルムを前記前面長尺フィルムと前記背面長尺フィルムのそれぞれに溶着するように構成され、
前記横シール装置は、前記前面長尺フィルムと前記背面長尺フィルムを互いに溶着するように、前記搬送の方向に垂直な方向に延びる横シール部を形成し、
前記分断装置は、前記横シール部に沿って、前記前面長尺フィルム、前記背面長尺フィルム、及び前記底部長尺フィルムを分断し、
前記底部挿入装置は、前記底部長尺フィルムをV字状に折り畳んだ状態で前記挿入を行い、
前記底部長尺フィルムの、折り畳まれていない状態での幅をWとすると、
前記挿入開始位置と前記挿入完了位置の距離は、Wの10倍以上である、製造システム。
【請求項2】
包装袋の製造システムであって、
フィルム供給装置と、搬送装置と、底部挿入装置と、底部シール装置と、横シール装置と、分断装置を備え、
前記フィルム供給装置は、互いに対向する前面長尺フィルムと背面長尺フィルムを供給し、
前記搬送装置は、前記前面長尺フィルムと前記背面長尺フィルムを搬送するように構成され、
前記底部挿入装置と、前記底部シール装置と、前記横シール装置と、前記分断装置は、前記搬送の方向に沿ってこの順に配置され、
前記底部挿入装置は、挿入開始位置において、前記前面長尺フィルムと前記背面長尺フィルムの間に底部長尺フィルムの挿入を開始し、前記挿入開始位置よりも下流側の挿入完了位置において、前記底部長尺フィルムの挿入を完了するように構成され、
前記底部シール装置は、前記底部長尺フィルムを前記前面長尺フィルムと前記背面長尺フィルムのそれぞれに溶着するように構成され、
前記横シール装置は、前記前面長尺フィルムと前記背面長尺フィルムを互いに溶着するように、前記搬送の方向に垂直な方向に延びる横シール部を形成し、
前記分断装置は、前記横シール部に沿って、前記前面長尺フィルム、前記背面長尺フィルム、及び前記底部長尺フィルムを分断し、
前記搬送装置は、前記挿入開始位置と前記底部シール装置の間に、前記前面長尺フィルムと前記背面長尺フィルムを挟着するローラ対を備え、
前記ローラ対は、前記底部長尺フィルムを挟着しないように配置される、製造システム。
【請求項3】
包装袋の製造システムであって、
フィルム供給装置と、搬送装置と、底部挿入装置と、底部シール装置と、横シール装置と、分断装置を備え、
前記フィルム供給装置は、互いに対向する前面長尺フィルムと背面長尺フィルムを供給し、
前記搬送装置は、前記前面長尺フィルムと前記背面長尺フィルムを搬送するように構成され、
前記底部挿入装置と、前記底部シール装置と、前記横シール装置と、前記分断装置は、前記搬送の方向に沿ってこの順に配置され、
前記底部挿入装置は、挿入開始位置において、前記前面長尺フィルムと前記背面長尺フィルムの間に底部長尺フィルムの挿入を開始し、前記挿入開始位置よりも下流側の挿入完了位置において、前記底部長尺フィルムの挿入を完了するように構成され、
前記底部シール装置は、前記底部長尺フィルムを前記前面長尺フィルムと前記背面長尺フィルムのそれぞれに溶着するように構成され、
前記横シール装置は、前記前面長尺フィルムと前記背面長尺フィルムを互いに溶着するように、前記搬送の方向に垂直な方向に延びる横シール部を形成し、
前記分断装置は、前記横シール部に沿って、前記前面長尺フィルム、前記背面長尺フィルム、及び前記底部長尺フィルムを分断し、
前記前面長尺フィルムは、前面上部と前面下部の互いに折り返された状態で重ね合わされた重ね合わせ部が溶着されて形成された合掌部を備え、
前記横シール装置は、前記前面長尺フィルムと前記背面長尺フィルムを挟着して溶着する
複数のシールバー対を備え、
前記複数のシールバー対のうちの少なくとも1つは、前記前面長尺フィルムと前記背面長尺フィルムの間に前記底部長尺フィルムが挟まっている底部領域と、前記合掌部が形成されている合掌領域とを挟着し、且つ前記底部領域と前記合掌領域の間の中間領域を挟着しない、製造システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装袋の製造システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、両縁が互いに溶着された前面フィルムと背面フィルムの間に底面フィルムが折り畳まれた状態で挿入され、この底面フィルムが前面フィルムと背面フィルムに溶着されて構成される包装袋が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のような構成の包装袋は、前面フィルムと、背面フィルムと、底面フィルムを互いに溶着させる必要があり、製造に手間がかかる。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、製造効率に優れた、包装袋の製造システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、包装袋の製造システムであって、フィルム供給装置と、搬送装置と、底部挿入装置と、底部シール装置と、横シール装置と、分断装置を備え、前記フィルム供給装置は、互いに対向する前面長尺フィルムと背面長尺フィルムを供給し、前記搬送装置は、前記前面長尺フィルムと前記背面長尺フィルムを搬送するように構成され、前記底部挿入装置と、前記底部シール装置と、前記横シール装置と、前記分断装置は、前記搬送の方向に沿ってこの順に配置され、前記底部挿入装置は、挿入開始位置において、前記前面長尺フィルムと前記背面長尺フィルムの間に底部長尺フィルムの挿入を開始し、前記挿入開始位置よりも下流側の挿入完了位置において、前記底部長尺フィルムの挿入を完了するように構成され、前記底部シール装置は、前記底部長尺フィルムを前記前面長尺フィルムと前記背面長尺フィルムのそれぞれに溶着するように構成され、前記横シール装置は、前記前面長尺フィルムと前記背面長尺フィルムを互いに溶着するように、前記搬送の方向に垂直な方向に延びる横シール部を形成し、前記分断装置は、前記横シール部に沿って、前記前面長尺フィルム、前記背面長尺フィルム、及び前記底部長尺フィルムを分断する、製造システムが提供される。
【0007】
本発明の製造システムによれば、フィルムの搬送方向に沿って配置された各種装置によって、包装袋の製造に必要な各種工程を順次行うことができるので、包装袋を効率的に製造することができる。
【0008】
以下、本発明の種々の実施形態を例示する。以下に示す実施形態は互いに組み合わせ可能である。
好ましくは、前記記載の製造システムであって、前記底部挿入装置は、前記底部長尺フィルムをV字状に折り畳んだ状態で前記挿入を行い、前記底部長尺フィルムの、折り畳まれていない状態での幅をWとすると、前記挿入開始位置と前記挿入完了位置の距離は、Wの10倍以上である、製造システムである。
好ましくは、前記記載の製造システムであって、前記搬送装置は、前記挿入開始位置と前記底部シール装置の間に、前記前面長尺フィルムと前記背面長尺フィルムを挟着するローラ対を備え、前記ローラ対は、前記底部長尺フィルムを挟着しないように配置される、製造システムである。
好ましくは、前記記載の製造システムであって、前記前面長尺フィルムは、前面上部と前面下部の互いに折り返された状態で重ね合わされた重ね合わせ部が溶着されて形成された合掌部を備え、前記横シール装置は、前記前面長尺フィルムと前記背面長尺フィルムを挟着して溶着するシールバー対を複数備え、前記複数のシールバー対のうちの少なくとも1つは、前記前面長尺フィルムと前記背面長尺フィルムの間に前記底部長尺フィルムが挟まっている底部領域と、前記合掌部が形成されている合掌領域とを挟着し、且つ前記底部領域と前記合掌領域の間の中間領域を挟着しない、製造システムである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1Aは、本発明の一実施形態の包装袋1内に内容物が収容された状態の斜視図である。
図1Bは、開封された状態における包装袋1の斜視図である。
【
図4】底面部2を構成する底部フィルム20aの斜視図である。
【
図5】
図5Aは、包装袋1の中央部下端を前後方向に大きく開いた状態での底面部2の拡大図である。
図5Bは、
図2の包装袋1の下端近傍の詳細図である。
【
図6】
図6Aは、周壁長尺フィルム40の側面図である。
図6Bは、周壁長尺フィルム40の一部を切断した後の状態を示す。
【
図7】
図7Aは、前面長尺フィルム43と背面長尺フィルム44の間に、V字状の底部長尺フィルム42を挿入した後の状態を示し、
図7Bは、底部長尺フィルム42を前面長尺フィルム43と背面長尺フィルム44のそれぞれに溶着した後の状態を示す。
【
図8】
図7Bの状態から横シール部45を形成した後の状態を示す。
【
図9】本発明の一実施形態の包装袋1の製造システム30の一部を示し、
図9Aは平面図、
図9Bは正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴事項について独立して発明が成立する。
【0011】
1.包装袋1
最初は、本発明の包装袋1の製造システム30によって製造される包装袋1について説明する。
図1~
図3に示すように、包装袋1は、可撓性を有するフィルムが袋状に形成された自立式の電子レンジ用の包装袋である。包装袋1は、底面部2と、底面部2から立ち上げるように設けられた周面部21を備える。周面部21は、互いに対向する前面部3および背面部4を備える。前面部3および背面部4は、その左右方向の端部(以下、側端ともいう)において互いに溶着されている。底面部2は、前面部3および背面部4と溶着(ヒートシール)されている。このように、底面部2と、前面部3と、背面部4が互いに溶着されることによって、フィルムが袋状となっている。なお、
図1Aに示すように、内部に内容物を収容した場合には、包装袋1の上端に上端溶着部16が設けられ、包装袋1が封止される。
【0012】
本開示では、
図2の上下左右を包装袋1の上下左右として説明する。具体的には、底面部2側を背面、前面部3(および背面部4)側を前面とする。また、前面部3を手前に配置したときの左右を、包装袋1の左右とする。さらに、前面部3側を前側、背面部4側を後側とする。
【0013】
前面部3は、前面下部3aと前面上部3bを備える。前面下部3aは、底面部2に溶着されている。
図3に示すように、前面下部3aと前面上部3bは、互いに折り返された状態で、前面下部3aと前面上部3bの内面同士を重ね合わされて形成された合掌部10において溶着されている。
【0014】
図1~
図3に示すように、包装袋1の周面部21には開封部24が設けられている。開封部24は、包装袋1を開封するための部位であり、本実施形態では、開封部24は、周面部21を引き裂く際の起点となる引裂開始部24aと、開封箇所を切り取る部位を示す線が印刷された切り取り線24bを備える。包装袋1は、引裂開始部24aを起点にして周面部21を引き裂くことによって開封してもよく、ハサミなどの切断具を用いて切り取り線24bに沿って周面部21を切断することによって開封してもよい。引裂開始部24aは、周面部21の引き裂きを容易にする部位であり、例えば切り欠きや切り込みによって構成される。引裂開始部24aと切り取り線24bの一方は省略可能である。また、開封部24は、包装袋1の開封を可能にする別の構成であってもよい。例えば、切り取り線24bの代わりに、周面部21の周方向に延びるハーフカットのラインを設けたり、周面部21の周方向に延びるように帯状フィルムを配置してもよい。帯状フィルムは、周面部21に溶着され、帯状フィルムの端部を把持して引っ張ることによって周面部21を帯状フィルムに沿って切り裂くことを可能にするものである。
【0015】
包装袋1は、開封部24を境界にして、上下方向における前面の切り取り部5と、背面の本体部6を備える。開封部24において周面部21を周方向に裂いて開封部24よりも前面の切り取り部5を除くことによって容器状の本体部6が得られる。
図1Bに示すように、本体部6には、開口7が形成されている。本体部6は、包装袋1内の内容物を食べる際に使用する食器として利用される。
【0016】
開封部24は、合掌部10よりも底面部2に近い位置に設けられる。つまり、合掌部10は、切り取り部5に設けられる。このため、開封の際に切り取り部5を除くと、合掌部10も一緒に除かれる。従って、内容物を食べる際に合掌部10が邪魔になることがない。
【0017】
図2は、包装袋1を平面視において示す図である。平面視とは、包装袋1内に内容物が含まれていない状態で包装袋1を平たくし、その状態で包装袋1の前面部3に垂直な方向から見ることを意味する。
図2に示すように、包装袋1は、左右方向の中心線を基準として線対称となるように形成されている。
【0018】
包装袋1には、蒸気抜きシール部11が形成されている。蒸気抜きシール部11は、合掌部10に設けられている。蒸気抜きシール部11は、他の溶着部よりも溶着強度が低い溶着部である。蒸気抜きシール部11では、包装袋1を加熱することにより内部に発生した蒸気によって包装袋1内の内圧が上昇すると、それに伴って蒸気流路が形成される。包装袋1内の蒸気は、蒸気抜きシール部11から外部へ排出される。蒸気抜きシール部11は、エンドシール部17を介して側端溶着部12に連結される。
【0019】
切り取り部5の上下方向の長さH1は、たとえば6~10cmとすることができる。本体部6の上下方向の長さH2は、たとえば6~14cmであり、12cm以下が好ましく、10cm以下がさらに好ましい。これよりも大きくしすぎると、内容物を取り出すのが難しくなる。H1は、具体的には例えば、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10cmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。H2は、具体的には例えば、6、7、8、9、10、11、12、13、14cmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0020】
さらに、長さH2は、底部フィルム20aの中央線Eから下端までの長さH3よりも長いことが好ましく、H3より2cm以上長いことがさらに好ましい。(H2-H3)の値は、例えば2~8cmであり、具体的には例えば、2、3、4、5、6、7、8cmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。(H2-H3)の値が2cm未満の場合には、包装袋1を開封した際の周壁の高さが低くなるため、内容物の量が制限されてしまう。
【0021】
包装袋1の側端には、前面部3と背面部4を溶着する側端溶着部12が設けられている。これにより、前面部3と背面部4は、前後方向に固定されている。さらに、包装袋1の下端には、底面部2と前面部3、および底面部2と背面部4を溶着する下端溶着部13が設けられている。
【0022】
下端溶着部13は、中央線Eより下端側に設けられた溶着部であって、包装袋1の側端および下端(
図2において、1点鎖線で囲まれた領域)において、底面部2と前面部3、および底面部2と背面部4を溶着している。
【0023】
包装袋1は、
図4に示すように中央線EにおいてV字形に折り曲げられた底部フィルム20aが、前面部3と背面部4との間に挿入されて製造されている。ここで、底部フィルム20aの中央線Eから下端までの長さH3は、3~6cmが好ましく、より具体的には、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6(単位:cm)のいずれかの値であり、また、ここで例示した数値のいずれか2つの間の範囲内であってもよく、たとえば4.5cmとすることができる。上述したように、本体部6は、食器としても使用するため、この程度の大きさがあるのが好ましい。底部フィルム20aの両端には、切り欠けRが形成されている。
【0024】
底部フィルム20aの中央線Eから切り欠けRの下端までの長さr1は、1~3cmが好ましく、より具体的には、1、1.5、2、2.5、3(単位:cm)のいずれかの値であり、また、ここで例示した数値のいずれか2つの間の範囲内であってもよく、たとえば2.5cmとすることができる。
【0025】
切り欠けRの直径は、1~4cmが好ましく、より具体的には、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4(単位:cm)のいずれかの値であり、また、ここで例示した数値のいずれか2つの間の範囲内であってもよく、たとえば2cmとすることができる。
【0026】
図5Aに示すように、包装袋1は、左右方向における中央部の下端(以下、中央部下端ともいう)では、左右方向における側部の下端(以下、側部下端ともいう)よりも前後方向に大きく開くように構成されている。これは、底部フィルム20aに形成された切り欠けRにおいて、前面部3と背面部4が直接溶着されることとなり、前面部3と背面部4を前後方向に固定する固定部15が構成されているためである。なお、中央部下端が前後方向に開くことにより、底面部2の中央線Eは包装袋1の背面に引っ張られる。
【0027】
図5Bに示すように、下端溶着部13は、1対の勾配部13aと、中央部13bを備える。勾配部13aは、包装袋1の側端から中央部下端に向けて、勾配をつけて(斜めに)溶着されている箇所である。このように、勾配部13aを設けることにより、中央線Eからの下端溶着部13までの距離が、側端から左右方向中央部に向かうにつれて徐々に大きくなる(W1<W2)。このような構成とすることにより、側部下端においてピンホールが発生することを防ぐことができる。
【0028】
中央部13bは、1対の勾配部13aの間に設けられ、直線状に形成されている。中央部13bを直線状に設けることにより、本体部6を食器として使用しやすくなる。
【0029】
勾配部13aの外側には、エアポケット14が設けられている。エアポケット14は三角形状に形成され、下端溶着部13における溶着で外部に排出しきれなかった空気が残留する空間である。エアポケット14を設けることにより、下端溶着部13内の残留空気がエアポケット14に集まることとなり、溶着の強度が向上する。
【0030】
包装袋1の下端での左右方向の長さL1は、15~25cmが好ましく、18cm以上がさらに好ましい。より具体的には、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25(単位:cm)のいずれかの値であり、また、ここで例示した数値のいずれか2つの間の範囲内であってもよく、たとえば20cmとすることができる。25cmより大きくしすぎると、電子レンジのターンテーブルに収まらなくなる可能性がある。ただし、フラットタイプの電子レンジ向けの包装袋であれば、この限りではない。
【0031】
勾配部13aの左右方向の長さL2は、3~6cmが好ましく、より具体的には、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6(単位:cm)のいずれかの値であり、また、ここで例示した数値のいずれか2つの間の範囲内であってもよく、たとえば4cmとすることができる。これよりも小さくしすぎると、中央部下端を前後方向に完全に開くのが難しくなる。
【0032】
中央部13bの左右方向の長さL3は、5~15cmが好ましく、8cm以上がさらに好ましい。より具体的には、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15(単位:cm)のいずれかの値であり、また、ここで例示した数値のいずれか2つの間の範囲内であってもよく、たとえば10cmとすることができる。このように、L3の値を設定することにより、底面部2が前後方向に広がった際に、前面部3と背面部4が前後方向の距離が大きくなり、開口7を大きくすることができる。
【0033】
包装袋1の内側における左右方向の長さL4は、10~23cmが好ましく、より具体的には、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23(単位:cm)のいずれかの値であり、また、ここで例示した数値のいずれか2つの間の範囲内であってもよく、例えば18cmとすることができる。
【0034】
中央線Eから中央部13bの上端までの長さW2は、3~6cmが好ましく、より具体的には、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6(単位:cm)のいずれかの値であり、また、ここで例示した数値のいずれか2つの間の範囲内であってもよく、たとえば4cmとすることができる。なお、長さW2は、勾配部13aの左右方向の長さL2と同じ長さとするのがより好ましい。
【0035】
なお、中央部13bの左右方向の長さL3は、中央線Eから中央部13bの上端までの長さW2に対して、2≦L3/W2≦3であることが好ましく、より具体的には、2.0、2.2、2.4、2.6、2.8、3.0のいずれかの値、または、ここで例示した数値のいずれか2つの間の範囲内とすることが好ましい。このようにすることで、底面部2を前後方向に広げた際に、載置面に接する底面を広く設けることができる。
【0036】
さらに、中央線Eから中央部13bの上端までの長さW2は、勾配部13aの左右方向の長さL2に対して、0.5≦W2/L2≦1.7であることが好ましく、より具体的には、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7のいずれかの値、または、ここで例示した数値のいずれか2つの間の範囲内とすることが好ましい。より好ましくは、0.8≦W2/L2≦1.2であり、さらに好ましくは、0.9≦W2/L2≦1.1である。W2/L2が小さいと、開封時の開口7において、前面部3と背面部4が近くなりやすくなり食器として利用する際の利便性が低下する。一方、W2/L2が大きいと、底面部2を前後方向に広げた際に、勾配部13aよりも内側で折り目が発生し、内容物の取り出しに支障をきたしてしまう。
【0037】
中央線Eから固定部15の上端までの高さH4は、中央線Eから下端までの長さH3に対して、H4/H3≧0.2であることが望ましい。好ましくは、0.5≧H4/H3≧0.2であることが望ましく、より具体的にはH4/H3の値は、0.20、0.25、0.30、0.35、0.40、0.45、0.50のいずれかの値であり、また、ここで例示した数値のいずれか2つの間の範囲内であってもよい。このように、中央線Eから固定部15までの高さH4を確保することにより、開口7を前後方向に確実に開きつづけておくことが可能となる。
【0038】
中央部13bの上端に対する勾配部13aの角度θの値は、30度~60度とすることが好ましく、より具体的には、30、35、40、45、50、55、60(単位:度)のいずれかの値であり、またここで例示した数値のいずれか2つの間の範囲内であってもよく、より好ましくは45度とすることができる。このように、勾配部13aの角度θを30度よりも大きくすることにより、包装袋1の側端の近傍領域N2間における前後方向の幅Wnを確保することができ、包装袋1の底面を大きく確保できるため、包装袋1の自立安定性が向上する(
図5A参照)。同時に、開口7を前後方向に広く開口した状態にできるため、食器として利用する際の利便性が向上する。
【0039】
ここで、周面部21を構成するフィルムおよび底面部2を構成するフィルムは、基材層とシーラント層を有する積層フィルムであることが好ましく、基材層とシーラント層の間に接着層、印刷層を備えることがさらに好ましい。
【0040】
基材層は、包装袋1の外表面に露出するように配置され、シーラント層は、包装袋1の内表面に露出するように配置される。シーラント層同士が溶着(ヒートシール)されることによって、溶着部が形成される。
【0041】
基材層は、強度に優れて高い耐衝撃性を有する素材により形成されている。基材層としては、例えば、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリエステル等が用いられる。より具体的には、延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、シリカ蒸着延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、アルミナ蒸着延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、延伸ナイロンフィルム、延伸ポリプロピレンフィルム、またはポリプロピレン/エチレンービニルアルコール共重合体共押共延伸フィルム等を用いることができる。基材層を構成するフィルムとしては、MD方向(製造時においてフィルムが流れる方向)の直線カット性を有するものが好ましい。最外層となる基材層には、抗菌、抗ウイルス剤(銀イオンなど)を配合しても良い。得に、ブリードアウト性の抗菌、抗ウイルス剤を基材層に練りこんでおくことで、電子レンジで加熱して高温になった際に、基材層の表面の抗菌、抗ウイルス処理がすすみ、電子レンジから取り出す際に衛生的で良い。
【0042】
接着層は、基材層とシーラント層を互いに積層するように接着するための層である。接着方法として例えばポリエチレン等を接着層として用いた押し出しラミネートでもいいし、接着材としてポリ酢酸ビニル系接着剤、ポリアクリル酸エステル系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、エチレン共重合体系接着剤、セルロース系接着剤、ポリエステル系接 着剤、ポリアミド系接着剤、アミノ樹脂系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリウレタン系接着剤等を用いたドライラミネートでもよい。
【0043】
シーラント層は、溶着性に優れた樹脂で形成可能である。シーラント層としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-プロピレンブロック共重合体などのポリオレフィン系樹脂で形成することができ、より具体的には、無延伸ポリプロピレンや直鎖状低密度ポリエチレンを用いることができる。シーラント層を構成するフィルムとしては、MD方向の直線カット性を有するものが好ましい。
【0044】
包装袋1の最内面となるシーラント層には、易滑落処理を行ってもよい。易滑落処理は、滑落性を高める処理であり、シーラント層に滑材を混合又は塗布したり、包装袋1の最内面に撥水撥油加工を行ったりすることによって行うことができる。これによって、包装袋1の内面に付着した内容物の滑落性が向上する。易滑落処理は、開封部24の近傍と、切り取り部5に対して行うことが好ましい。この場合、包装袋1を倒した状態で包装袋1を加熱した場合、開封部24や切り取り部5に内容物が移動する場合があり、その場合、包装袋1の開封時に手やハサミが汚れる虞があるが、易滑落処理を行った包装袋1では、包装袋1を立たせた時に内容物が底部に落ちるので、包装袋1の開封時に手やハサミが汚れることが防止される。易滑落処理は、フィルム作成時に行っても良いし、製袋時に行ってもよい。
【0045】
一例として、本実施形態では、基材層:延伸ナイロン(25μm)/印刷層/接着層(ドライラミネート)/シーラント層:LLDPE(60μm)といった構成となっている。なお、基材層とシーラント層との間には、中間層を設けてもよい。中間層としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、エチレンープロピレン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体ケン化物等のフィルム、あるいはこれらにポリ塩化ビニリデンを塗工したフィルムないしは酸化珪素、酸化アルミニウム等の無機物の蒸着を施したフィルム、あるいはポリ塩化ビニリデン等のフィルムなどを用いることができる。
【0046】
なお、底面部2を構成するフィルムは、温度上昇に伴って引張弾性率が低下するものが好ましい。この場合、包装袋1を加熱した際にフィルムが軟化して包装袋1の中央部下端が前後方向に開きやすい。ここで、底面部2を構成するフィルムの23.5℃及び100℃でのTD方向(包装袋1の前後方向に対応)の引張弾性率をそれぞれM1,M2とする。引張弾性率は、JIS K 7127に準拠して引張試験を行うことによって求めることができる。引張の試験速度は、50mm/minとし、試験用のダンベル形状は5号形とする。
【0047】
M1は、600~1400MPaが好ましく、800~1200MPaがさらに好ましい。M1は、具体的には例えば、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400MPaであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0048】
M2は、200~600MPaが好ましく、300~500MPaがさらに好ましい。M2は、具体的には例えば、200、250、300、350、400、450、500、550、600MPaであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0049】
M1/M2の値は、例えば、1.2~4であり、1.5~3が好ましい。この値は、具体的には例えば、1.2、1.5、2、2.5、3、3.5、4であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0050】
周面部21を構成するフィルムは、底面部2を構成するフィルムと同じ物性を有するものを用いてもよく、異なる物性を有するものを用いてもよい。
【0051】
2.包装袋1の製造方法の概要
以下、
図6~
図7を参照し、包装袋1の製造工程の概要を説明する。以下の製造工程は、各種フィルムを製造ラインに沿って搬送しながら実行される。
【0052】
まず、
図6Aに示すように、1枚の周壁長尺フィルム40の端部の内面同士を重ね合わせて重ね合わせ部10aを形成し、
図6Bに示すように、重ね合わせ部10aを溶着することで合掌部10を形成し、残りの部分で楕円状の環Cを形成する。合掌部10には、
図2と同様の形状の蒸気抜きシール部11及びエンドシール部17が形成される。これによって、互いに対向する前面長尺フィルム43と背面長尺フィルム44が得られる。周壁長尺フィルム40は、
図6Aの紙面垂直方向(搬送方向)に連続的に延びる長尺状のフィルムであり、フィルムロールを巻き戻すことによって供給される。前面長尺フィルム43と背面長尺フィルム44は、
図6Aの紙面垂直方向(搬送方向)に連続的に延びる長尺状のフィルムである。周壁長尺フィルム40を加工して前面長尺フィルム43と背面長尺フィルム44を得る代わりに、前面長尺フィルム43と背面長尺フィルム44を別々のフィルムロールから供給してもよい。
【0053】
続いて、
図6Bに示すように、環Cの下端C1を切断する。本実施形態では、前面長尺フィルム43と背面長尺フィルム44は、上端C2で互いに連結されているが、この時点で、上端C2でも前面長尺フィルム43と背面長尺フィルム44を分離してもよい。
【0054】
次に、
図7Aに示すように、下端C1側から前面長尺フィルム43と背面長尺フィルム44の間に底部長尺フィルム42を挿入する。底部長尺フィルム42は、
図7Aの紙面垂直方向(搬送方向)に連続的に延びる長尺状のフィルムである。底部長尺フィルム42には、底部フィルム20aの切り欠けRとなる円形の開口部46(
図8に図示)が挿入前に形成されている。
【0055】
次に、
図7Bに示すように、底部長尺フィルム42を前面長尺フィルム43と背面長尺フィルム44のそれぞれに溶着する。これによって、
図2と同様の形状の下端溶着部13が形成される。
【0056】
次に、
図8に示すように、
図5Bの長さL1と同じピッチで、前面長尺フィルム43と背面長尺フィルム44を互いに溶着するように、前面長尺フィルム43と背面長尺フィルム44の搬送方向Aに垂直な方向に延びる横シール部45を形成する。横シール部45の幅は、側端溶着部12の幅の2倍である。
【0057】
次に、上端C2において前面長尺フィルム43と背面長尺フィルム44を分離して、上端を開口させる。
【0058】
次に、横シール部45に沿って前面長尺フィルム43、背面長尺フィルム44、及び底部長尺フィルム42を分断する。この分断は、横シール部45の幅方向の中央で行うことが好ましい。これによって、
図2に示す包装袋1が得られる。
【0059】
3.包装袋1の製造システム30
次に、
図9~
図12を用いて、本発明の一実施形態の包装袋1の製造システム30について説明する。上記の製造方法は、製造システム30を用いて実施することが好ましい。
【0060】
製造システム30は、フィルム供給装置31と、搬送装置32と、底部挿入装置33と、底部シール装置34と、横シール装置35と、上部カッター36と、分断装置37を備える。
【0061】
3-1.フィルム供給装置31
図9に示すように、フィルム供給装置31は、互いに対向する前面長尺フィルム43と背面長尺フィルム44を供給する。本実施形態では、フィルム供給装置31は、周壁長尺フィルムロール40aと、転向ローラ40bと、フォーマ40cと、合掌部シール装置40dと、合掌部冷却装置40eと、カッター40fを備える。
【0062】
周壁長尺フィルムロール40aから巻き戻された周壁長尺フィルム40は、転向ローラ40bにおいて巻き癖が除去された後に、フォーマ40cにおいて、
図6Aに示すように周壁長尺フィルム40の端部の内面同士を重ね合わせて重ね合わせ部10aが形成された形状に成形される。次に、合掌部シール装置40dにおいて重ね合わせ部10aを溶着することで合掌部10が形成され、残りの部分で楕円状の環Cが形成される。合掌部冷却装置40eで合掌部10が冷却される。合掌部シール装置40dは、一対のシールバー40d1を備え、一対のシールバー40d1で重ね合わせ部10aを加熱しながら挟圧することによって蒸気抜きシール部11及びエンドシール部17が形成される。また、合掌部冷却装置40eは、一対の冷却バー40e1を備え、一対の冷却バーで合掌部10を挟圧することによって合掌部10を冷却する。カッター40fは、環Cの下端C1を切断する。これによって、下端C1において互いに分離された前面長尺フィルム43と背面長尺フィルム44が得られる。カッター40fは、搬送方向の上流側の縁40f1に刃が設けられており、この縁40f1と搬送方向がなす角度(言い換えると、縁40f1と下端C1がなす角度)が90度よりも大きくなっている。このため、環Cの下端C1が縁40f1に垂直方向に当接する場合よりも、下端C1が切断されやすくなっている。この角度は、例えば100~170度であり、120~150度が好ましい。この角度は、具体的には例えば、100、110、120、130、140、150、160、170度であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0063】
なお、フィルム供給装置31は、前面長尺フィルム43と背面長尺フィルム44を別々のフィルムロールから巻き戻して供給するような装置であってもよい。
【0064】
3-2.搬送装置32
前面長尺フィルム43と背面長尺フィルム44は、搬送装置32によって、製造ラインに沿って搬送される。底部挿入装置33と、底部シール装置34と、横シール装置35と、分断装置37は、搬送の方向に沿ってこの順に配置される。上部カッター36は、任意の位置に配置可能である。
【0065】
搬送方向は、通常、前面長尺フィルム43と背面長尺フィルム44の長手方向に沿った方向である。搬送装置32は、複数のローラ対51~54を備えている。各ローラ対は、一対のローラ50を備える。各ローラ対51~54が前面長尺フィルム43と背面長尺フィルム44を挟着し、その状態で一対のローラ50が互いに逆方向に回転することによって前面長尺フィルム43と背面長尺フィルム44が下流に向かって送られる。
【0066】
搬送装置32は、1ピッチの搬送と、所定時間の停止を繰り返すことが好ましい。所定時間の停止の間に、シール、冷却、分断等の処理が行われる。これらの処理を停止中に行うことによって、処理精度が高められる。1ピッチの搬送の距離は、例えば、包装袋1の1つ分の左右方向の長さ(つまり長さL1)である。つまり、包装袋1の1つの分の長さの搬送を行った後に、搬送を所定時間停止させ、その間に、各種装置がシール、冷却、分断等の処理を行う。このような工程を繰り返すことによって、多数の包装袋1を効率的に製造することができる。1ピッチの搬送は、複数のローラ対51~54を同期して回転させることによって実現させることができる。
【0067】
ローラ対の数や配置は、特に限定されず、フィルムを適切に搬送できればいい。本実施形態での配置は以下の通りである。ローラ対51は、
図9に示すように、合掌部冷却装置40eとカッター40fの間に配置される。ローラ対52は、
図10~
図11に示すように、底部挿入装置33の挿入開始位置ISと底部シール装置34の間に配置される。ローラ対53は、
図11に示すように、底部シール装置34と横シール装置35の間に配置される。ローラ対54は、
図11~
図12に示すように、横シール装置35と分断装置37の間に配置される。
【0068】
3-3.底部挿入装置33
図10に示すように、底部挿入装置33は、挿入開始位置ISにおいて、前面長尺フィルム43と背面長尺フィルム44の間に底部長尺フィルム42の挿入を開始し、挿入開始位置ISよりも下流側の挿入完了位置ICにおいて、底部長尺フィルム42の挿入を完了するように構成される。
【0069】
本実施形態では、底部挿入装置33は、底部長尺フィルムロール42aと、転向ローラ42bと、フォーマ42cと、穿孔装置42dと、ガイド部材42eを備える。
【0070】
底部長尺フィルムロール42aから巻き戻された底部長尺フィルム42は、転向ローラ42bにおいて巻き癖が除去された後に、フォーマ42cにおいて、
図7Aに示すようにV字状に折り畳まれる。次に、穿孔装置42dがV字状に折り畳まれた底部長尺フィルム42に対して円形の開口部46を形成する。次に、V字状に折り畳まれた底部長尺フィルム42がガイド部材42eによってガイドされることによって、
図7Aに示すように、前面長尺フィルム43と背面長尺フィルム44の間に挿入される。
【0071】
挿入開始位置ISと挿入完了位置ICの間の距離が短いと、底部長尺フィルム42にシワが発生しやすい。そこで、本実施形態では、底部長尺フィルム42の、折り畳まれていない状態での幅をWとすると、挿入開始位置ISと挿入完了位置ICの距離DをWの10倍以上としている。これによって、底部長尺フィルム42にシワが発生することが抑制される。D/Wは、例えば10~50であり、具体的には例えば、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、30、40、50であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。一例では、Dは、例えば、1m以上であり、1~5mが好ましい。この長さは、具体的には例えば、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、3、4、5mであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0072】
ところで、長尺フィルム42,43,44を安定的に搬送する観点から、挿入開始位置ISと底部シール装置34の間(例えば、挿入開始位置ISと挿入完了位置ICの間)にローラ対52を設けることが好ましいが、底部長尺フィルム42が前面長尺フィルム43と背面長尺フィルム44に溶着されていない状態で、ローラ対52によって底部長尺フィルム42を挟着すると底部長尺フィルム42にシワやズレが発生する虞がある。そこで、ローラ対52は、底部長尺フィルム42を挟着しないように配置することが好ましい。換言すると、ローラ対52は、前面長尺フィルム43と背面長尺フィルム44の間に底部長尺フィルム42が挟まっていない領域のみにおいて、前面長尺フィルム43と背面長尺フィルム44を挟着している。これによって、底部長尺フィルム42にシワやズレが発生することが抑制される。
【0073】
ローラ対52の挟圧力は、他のロール対(ロール対51又はロール対53)の挟圧力よりも小さいことが好ましい。挟圧力が高すぎると底部長尺フィルム42にシワやズレが発生しやすくなるからである。(ローラ対52の挟圧力/他のローラ対の挟圧力)の値は、例えば、0.01~0.9であり、0.05~0.5が好ましい。この値は、具体的には例えば、0.01、0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0074】
3-4.底部シール装置34
図7B及び
図11に示すように、底部シール装置34は、底部長尺フィルム42を前面長尺フィルム43と背面長尺フィルム44のそれぞれに溶着するように構成される。
【0075】
本実施形態では、底部シール装置34は、一対のシールバー34aと、一対の冷却バー34bを備える。一対のシールバー34aで、底部長尺フィルム42が前面長尺フィルム43と背面長尺フィルム44の間に挟まった領域を加熱しながら挟圧することによって底部長尺フィルム42を前面長尺フィルム43と背面長尺フィルム44のそれぞれに溶着することができる。また、一対の冷却バー34bで、一対のシールバー34aで加熱した部位を冷却することによって軟化したシーラント層を固化することができる。開口部46が形成されている部位では、開口部46を通じて、前面長尺フィルム43と背面長尺フィルム44が溶着される。冷却バー34bは不要な場合には省略可能である。
【0076】
3-5.横シール装置35
図7B、
図8及び
図11に示すように、横シール装置35は、前面長尺フィルム43と背面長尺フィルム44を互いに溶着するように、搬送の方向に垂直な方向に延びる横シール部45を形成する。
【0077】
横シール装置35は、好ましくは、第1~第4シールバー対35a~35dと、一対の冷却バー35eを備える。各シールバーは、前面シールバー35a1~35d1と、背面シールバー35a2~35d2を備える。第1~第4シールバー対35a~35dは、搬送方向に間隔を開けて配置されている。第4シールバー対35dが最下流に配置されている。隣接するシールバー対間の距離は、搬送の1ピッチの長さと一致することが好ましい。
【0078】
第1~第4シールバー対35a~35dは、それぞれ、前面長尺フィルム43と背面長尺フィルム44を加熱しながら挟圧する。これによって、横シール部45が形成される。一対の冷却バー35eで、シールバーで加熱した部位を冷却することによって軟化したシーラント層を固化することができる。
【0079】
複数のシールバー対のうちの少なくとも1つ(好ましいは最下流に配置された1つ。本実施形態では第4シールバー対35d)は、前面長尺フィルム43と背面長尺フィルム44の間に底部長尺フィルム42が挟まっている底部領域R1と、合掌部10が形成されている合掌領域R2とを加熱して挟着し、且つ底部領域R1と合掌領域R2の間の中間領域R3を挟着しないことが好ましい。底部領域R1と合掌領域R2は、フィルムが4枚重なっているので、これらの領域において溶着が不十分になりやすい。そこで、底部領域R1と合掌領域R2を局所的に加熱して挟着することによって、これらの領域での溶着不良の発生を抑制することができる。
【0080】
好ましくは、第1シールバー対35aでは、背面シールバー35a2の温度が前面シールバー35a1の温度よりも高く、第2シールバー対35bでは、前面シールバー35b1の温度が背面シールバー35b2の温度よりも高く、第3シールバー対35cでは、背面シールバー35c2の温度が前面シールバー35c1の温度よりも高い。このような温度のシールバーで前面長尺フィルム43と背面長尺フィルム44を加熱しながら挟圧すると、前面側の温度が高くなりすぎない状態で第4シールバー対35dの位置に搬送される。そして、第4シールバー対35dにおいてで、底部領域R1と合掌領域R2を局所的に加熱して挟着することで、溶着不良の発生を特に抑制することができる。
【0081】
3-6.上部カッター36
上部カッター36は、前面長尺フィルム43と背面長尺フィルム44の上部を切断して、前面長尺フィルム43と背面長尺フィルム44の上端を開口させる。上部カッター36は、前面長尺フィルム43と背面長尺フィルム44の上部を所定幅で切り落とすことによって開口を形成してもよく、上端C2を切り裂くことによって開口を形成してもよい。上部カッター36は、製造ライン上の別の位置に配置してもよく、省略してもよい。省略した場合、分断された包装袋1に対して、その上端を開口させる処理を行うことが好ましい。
【0082】
3-7.分断装置37
分断装置37は、横シール部45に沿って、前面長尺フィルム43、背面長尺フィルム44、及び底部長尺フィルム42を分断するように構成される。これによって、長尺フィルム43,44,42から切り離された包装袋1が得られる。この分断は、1ピッチの搬送ごとに行われるので、1ピッチの搬送ごとに1枚の包装袋1を製造することができる。なお、この分断の際に、引裂開始部24aを形成してもよい。
【0083】
4.他の実施形態
以上、実施形態について説明してきたが、本開示における技術的思想は、以下の態様においても採用することができる。
・上記実施形態では、固定部15は、底面部2に形成された半円状の切り欠きRで構成されているが、この形態に限定されることはない。たとえば、接着剤を用いて底部フィルムの対向する面同士を接着することや、ステープラー等の係止手段によって前面部3と背面部4とを前後方向に固定してもよい。
・上記実施形態では、底面部2はV字形に折り曲げられたフィルムで構成されているが、この形態に限定されることはなく、たとえばW字形に折り曲げられたフィルムで構成されていてもよい。
・包装袋1は、蒸気抜きシール部11を備えていてなくてもよい。その場合は、例えば袋を少しだけ開封して加熱の際に発生した蒸気を排出することができる
・包装袋1は、合掌部10を備えていなくてもよい。
・蒸気抜きシール部11は、合掌部10以外の部分に設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0084】
1 :包装袋
2 :底面部
3 :前面部
3a :前面下部
3b :前面上部
4 :背面部
5 :切り取り部
6 :本体部
7 :開口
10 :合掌部
10a :重ね合わせ部
11 :蒸気抜きシール部
12 :側端溶着部
13 :下端溶着部
13a :勾配部
13b :中央部
14 :エアポケット
15 :固定部
16 :上端溶着部
17 :エンドシール部
20a :底部フィルム
21 :周面部
24 :開封部
24a :引裂開始部
24b :切り取り線
25 :周壁フィルム
30 :製造システム
31 :フィルム供給装置
32 :搬送装置
33 :底部挿入装置
34 :底部シール装置
34a :シールバー
34b :冷却バー
35 :横シール装置
35a :第1シールバー対
35a1 :前面シールバー
35a2 :背面シールバー
35b :第2シールバー対
35b1 :前面シールバー
35b2 :背面シールバー
35c :第3シールバー対
35c1 :前面シールバー
35c2 :背面シールバー
35d :第4シールバー対
35d1 :前面シールバー
35d2 :背面シールバー
35e :冷却バー
36 :上部カッター
37 :分断装置
40 :周壁長尺フィルム
40a :周壁長尺フィルムロール
40b :転向ローラ
40c :フォーマ
40d :合掌部シール装置
40d1 :シールバー
40e :合掌部冷却装置
40e1 :冷却バー
40f :カッター
40f1 :縁
42 :底部長尺フィルム
42a :底部長尺フィルムロール
42b :転向ローラ
42c :フォーマ
42d :穿孔装置
42e :ガイド部材
43 :前面長尺フィルム
44 :背面長尺フィルム
45 :横シール部
46 :開口部
50 :ローラ
51 :ローラ対
52 :ローラ対
53 :ローラ対
54 :ローラ対
C :環
C1 :下端
C2 :上端
IS :挿入開始位置
IC :挿入完了位置
R1 :底部領域
R2 :合掌領域
R3 :中間領域