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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-16
(45)【発行日】2024-04-24
(54)【発明の名称】検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/26 20200101AFI20240417BHJP
   G01R 1/067 20060101ALI20240417BHJP
   G01R 31/28 20060101ALI20240417BHJP
【FI】
G01R31/26 Z
G01R1/067 C
G01R31/26 J
G01R31/28 K
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020151643
(22)【出願日】2020-09-09
(65)【公開番号】P2022045831
(43)【公開日】2022-03-22
【審査請求日】2023-05-15
(73)【特許権者】
【識別番号】518232168
【氏名又は名称】ダイトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003395
【氏名又は名称】弁理士法人蔦田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小薮 隆史
(72)【発明者】
【氏名】坂東 史一
(72)【発明者】
【氏名】堀 正輝
(72)【発明者】
【氏名】角井 志織
【審査官】田口 孝明
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-058908(JP,A)
【文献】特開昭62-052940(JP,A)
【文献】特開2003-004802(JP,A)
【文献】特開平06-034707(JP,A)
【文献】特開2018-054427(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC G01R 1/06-1/073、
31/26-31/27、
31/28-31/3193、
31/00-31/01、
31/24-21/25、
H01L 21/64-31/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気信号である検査信号を発生させる検査部と、
検査対象のデバイスと電気的に繋がるデバイス側接点と、
前記デバイス側接点から離隔する接点部と弾性的に湾曲する板バネとを有し、前記板バネの先端部に前記接点部が設けられたプローブと、
前記プローブの前記板バネを押圧して前記接点部を前記デバイス側接点に接触させる駆動部と、を備え、
前記駆動部が前記接点部を前記デバイス側接点に接触させた状態で、前記プローブが前記接点部を通じてデバイスに前記検査信号を入力する検査装置において、
前記駆動部は、所定条件を満たすと、前記デバイス側接点に対する前記接点部の押し込み量、前記デバイス側接点との接触時における前記接点部の変位速度、又は前記プローブに与える押圧力を変化させる制御を行って前記接点部を前記デバイス側接点に接触させる検査装置。
【請求項2】
電気信号である検査信号を発生させる検査部と、
複数のデバイスに対応付けて設けられ検査対象のデバイスと電気的に繋がるデバイス側接点と、
前記デバイス側接点から離隔する接点部を有する複数のプローブと、
前記プローブを押圧して前記接点部を前記デバイス側接点に接触させる複数の駆動部と、を備え、
前記駆動部が前記接点部を前記デバイス側接点に接触させた状態で、複数の前記プローブが前記接点部を通じて複数のデバイスに前記検査信号を入力して複数のデバイスを同時に検査する検査装置において、
1のデバイスの検査において所定条件を満たすと、全ての前記駆動部は、前記デバイス側接点に対する前記接点部の押し込み量、前記デバイス側接点との接触時における前記接点部の変位速度、又は前記プローブに与える押圧力を変化させる制御を行って前記接点部を前記デバイス側接点に接触させる検査装置。
【請求項3】
電気信号である検査信号を発生させる検査部と、
検査対象のデバイスと電気的に繋がるデバイス側接点と、
前記デバイス側接点から離隔する接点部を有するプローブと、
前記プローブを押圧して前記接点部を前記デバイス側接点に接触させる駆動部と、
前記デバイス側接点に対する前記プローブの位置を変更する位置変更部と、
を備え、
前記駆動部が前記接点部を前記デバイス側接点に接触させた状態で、前記プローブが前記接点部を通じてデバイスに前記検査信号を入力する検査装置において、
前記駆動部は、所定条件を満たすと、前記デバイス側接点に対する前記接点部の押し込み量、前記デバイス側接点との接触時における前記接点部の変位速度、又は前記プローブに与える押圧力を変化させる制御を行って前記接点部を前記デバイス側接点に接触させる検査装置であって、
前記駆動部が前記制御を行った後、更に所定条件を満たすと前記駆動部は前記制御を行い、
前記制御を所定回数実行すると、前記位置変更部が、前記デバイス側接点において前記接点部が接触する面に平行な方向へ前記プローブの前記接点部の位置を変更して、前記デバイス側接点に対する前記プローブの位置を変更する検査装置。
【請求項4】
前記所定条件は、前記接点部を前記デバイス側接点に接触させた回数が所定回数以上となることである請求項1~3のいずれか1項に記載の検査装置。
【請求項5】
前記接点部と前記デバイス側接点との接触抵抗を検出する検出部を備え、
前記所定条件は、前記検出部が検出する接触抵抗が所定しきい値以上となることである請求項1~3のいずれか1項に記載の検査装置。
【請求項6】
複数のデバイスに対応付けて設けられた前記デバイス側接点、前記プローブ及び前記駆動部をそれぞれ複数備え、複数のデバイスを同時に検査する検査装置であって、
1のデバイスの検査において前記所定条件を満たすと、当該デバイスに対応する前記駆動部は前記制御を行う請求項1又は3に記載の検査装置。
【請求項7】
前記制御は、前記デバイス側接点に対する前記接点部の押し込み量、前記デバイス側接点との接触時における前記接点部の変位速度、又は前記プローブに与える押圧力が、大きくなるように変化させる請求項1~6のいずれか1項に記載の検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査対象のデバイスと電気的に繋がるデバイス側接点に対してプローブを接触させてデバイスの検査を行う検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザやICやLSI等のデバイスでは、製造された後、検査対象のデバイスと電気的に繋がるデバイス側接点にプローブを接触させてデバイスに検査信号を入力し、デバイスの性能を評価する電気的試験を行うことがある。
【0003】
このような電気的試験を行う検査装置の中には、同一のデバイス側接点に対してプローブが接触と離隔を繰り返すことがある。しかしながら、同一のデバイス側接点に対してプローブが接触と離隔を繰り返すことでデバイス側接点が摩耗し、その結果、充分なコンタクトが得られなかったり、プローブの接触抵抗が大きくなったりして、安定した検査を行うことができないことがある。摩耗したデバイス側接点は新しいデバイス側接点と交換されるが、この交換中、検査装置を停止しなければならず、検査装置の稼働率が低下する。
【0004】
そこで、プローブやデバイス側接点の位置を調整し、プローブがデバイス側接点に接触する位置を変更することで、プローブが繰り返し接触することによるデバイス側接点の摩耗の影響を抑え、安定して検査することができる検査装置が提案されている(例えば、下記特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2006-237378号公報
【文献】特開2006-318965号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1,2では、プローブがデバイス側接点の中でこれまで接触した位置と異なる位置へ接触するように、プローブやデバイス側接点を位置調整しなければならないため、プローブやデバイス側接点の位置を多数回調整することが難しいことがある。
【0007】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、同一のデバイス側接点に対してプローブが接触と離隔を繰り返す検査装置において、長期間にわたってプローブの接触抵抗の変動を抑えつつデバイス側接点と充分なコンタクトが得られる検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明にかかる検査装置は、電気信号である検査信号を発生させる検査部と、検査対象のデバイスと電気的に繋がるデバイス側接点と、前記デバイス側接点から離隔する接点部と弾性的に湾曲する板バネとを有し、前記板バネの先端部に前記接点部が設けられたプローブと、前記プローブの前記板バネを押圧して前記接点部を前記デバイス側接点に接触させる駆動部と、を備え、前記駆動部が前記接点部を前記デバイス側接点に接触させた状態で、前記プローブが前記接点部を通じてデバイスに前記検査信号を入力する検査装置において、前記駆動部は、所定条件を満たすと、前記デバイス側接点に対する前記接点部の押し込み量、前記デバイス側接点との接触時における前記接点部の変位速度、又は前記プローブに与える押圧力を変化させる制御を行って前記接点部を前記デバイス側接点に接触させる検査装置。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、デバイス側接点に対してプローブが接触と離隔を繰り返しても長期間にわたってプローブの接触抵抗の変動を抑えつつデバイス側接点と充分なコンタクトが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態にかかる検査装置の構成を模式的に示す平面図
図2図1の検査装置の構成を模式的に示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の第1実施形態について図面を参照して説明する。
【0012】
本実施形態では、検査対象のデバイスDとして半導体レーザを検査する検査装置10を例として説明する。
【0013】
図1及び図2に示すように、検査装置10は、不図示の供給手段によって給排位置P1に供給されたデバイスDを検査位置P2,P3,P4,P5、P6に順次移動させる搬送装置20と、各検査位置P2,P3,P4,P5,P6に配設されたコンタクト装置30と、搬送装置20やコンタクト装置30を制御する制御部50を備える。
【0014】
搬送装置20は、円形の回転テーブル21と、回転テーブル21を回転させるテーブル駆動部22とを備える。回転テーブル21の外周部には、周方向に所定間隔をあけて複数(本実施形態では6つ)のデバイスホルダ23を備え、回転テーブル21の回転に伴って、複数のデバイスホルダ23が、給排位置P1、検査位置P2,P3,P4,P5、P6を移動する。
【0015】
テーブル駆動部22は、間欠的に回転テーブル21を所定方向(例えば、反時計回り)に回転させて、回転テーブル21に設けられたデバイスホルダ23を回転方向前方に隣接する検査位置に移動させる。
【0016】
デバイスホルダ23は、デバイスDが載置されるステージ24と、ステージ24に載置されたデバイスDの電極とリード線25を介して電気接続されたデバイス側接点26とを備える。なお、本実施形態では、1つのステージ24に複数個(4個)のデバイスDが載置され、デバイスDの数に対応して複数個(4個)のデバイス側接点26が設けられている。
【0017】
デバイス側接点26は、銅に金メッキした金属板等の導電性を有する金属板からなり、検査位置P2,P3,P4,P5、P6において、コンタクト装置30に設けられた第1プローブ31の接点部31aと接触して制御部50と電気接続される(図2参照)。
【0018】
コンタクト装置30は、図2に示すように、デバイス側接点26と接触したり離れたりする第1プローブ31と、第1プローブ31の下部を保持するベース部32、第1プローブ31を押圧してデバイス側接点26に接触させる駆動部33(図1参照)と、デバイスホルダ23に保持されたデバイスDの上面に設けられた電極27に接触する第2プローブ34とを備える。
【0019】
第1プローブ31は、銅に金メッキした金属板等の導電性を有し、弾性的に湾曲可能な板バネからなる。第1プローブ31は、ベース部32から上方に延び上端部が折れ曲がった全体として略L字状をなしており、折り曲がった部分の先端側にデバイス側接点26と接触する接点部31aが形成されている。
【0020】
本実施形態では、デバイス側接点26の一方面と他方面のそれぞれに接点部31aが対向するように、1つのデバイス側接点26に対して2つの第1プローブ31が設けられている。つまり、本実施形態では、1つのデバイスホルダ23に4個のデバイス側接点26が設けられているため、1つのコンタクト装置30に8つの第1プローブ31が設けられている。
【0021】
ベース部32は、第1プローブ31が駆動部33から外力を受けていない状態において、第1プローブ31の接点部31aが、デバイス側接点26と所定間隔をあけて対向するように、第1プローブ31を保持する。
【0022】
ベース部32は、制御部50に電気接続された電極27が設けられており、第1プローブ31を保持すると電極27が第1プローブ31に電気接続される。
【0023】
駆動部33は、ベース部32を移動させるエアーシリンダや電動アクチュエータを備える。駆動部33は、ベース部32を移動させることで第1プローブ31の接点部31aがデバイス側接点26に当接するまで第1プローブ31をデバイス側接点側へ押圧する。接点部31aがデバイス側接点26に当接すると、第1プローブ31が弾性変形して接点部31aをデバイス側接点26に押し付けるように接触させる。
【0024】
本実施形態では、1つのデバイスホルダ23に設けられた4個のデバイス側接点26のそれぞれに対応させて設けられた8つの第1プローブ31の接点部31aが同期してデバイス側接点26に近接離隔するように、駆動部33が8つの第1プローブ31を押圧する。
【0025】
駆動部33は、デバイス側接点26に対する第1プローブ31の接点部31aの押し込み量Qを変更したり、第1プローブ31の接点部31aがデバイス側接点26に接触するときの接点部31aの変位速度Rを調整したり、第1プローブ31に与える押圧力Sを調整したりすることができる。
【0026】
なお、上記押し込み量Qを調整する場合、駆動部33がベース部32をデバイス側接点側へ移動させる移動量を変更する。上記変位速度Rを調整する場合、駆動部33がベース部32をデバイス側接点側へ移動させる移動速度を変更する。上記押圧力Sを調整する場合、駆動部33がベース部32に与える加圧力を変更する。
【0027】
第2プローブ34は、不図示の駆動部によって電極27に接触する位置と電極27から離れた位置との間を移動可能に設けられている。駆動部33によって第1プローブ31の接点部31aが移動してデバイス側接点26に接触すると、不図示の駆動部も第2プローブ34の先端に設けられた接点部34aを電極27に接触させる。これにより、制御部50が、第1プローブ31及び第2プローブ34を介してデバイスDと電気接続される。
【0028】
制御部50は、コンピュータを備え、予め定められたプログラムに従って、検査装置10全体の動作を制御する。
【0029】
具体的には、制御部50は、不図示の供給手段によって給排位置P1のデバイスホルダ23に検査前のデバイスDを載置する。給排位置P1のデバイスホルダ23に検査済みのデバイスDがあれば、不図示の取り出し手段がこれを取り出した後、検査前のデバイスDをデバイスホルダ23に載置する。
【0030】
給排位置P1のデバイスホルダ23にデバイスDが載置されると、制御部50は、デバイスホルダ23が回転方向前方に隣接する検査位置に移動するように回転テーブル21を所定角度だけ回動させる。
【0031】
各検査位置P2,P3,P4,P5,P6にデバイスホルダ23とともにデバイスDが搬送されると、制御部50は、各検査位置P2,P3,P4,P5,P6において、駆動部33を制御して第1プローブ31をデバイス側接点側へ押圧し、デバイス側接点26に第1プローブ31の接点部31aを接触させるとともに、第2プローブ34も不図示の駆動部によって移動させてデバイスDの電極27に接点部34aを接触させる。これにより、デバイスホルダ23に設けられた4個のデバイスDと制御部50とが電気接続される。
【0032】
その際、制御部50は、駆動部33によるデバイス側接点26に対する第1プローブ31の接点部31aの押し込み量Q、接点部31aがデバイス側接点26に接触するときの接点部31aの変位速度R、及び第1プローブ31に与える押圧力Sが、それぞれ所定の初期値となるように駆動部33を制御する。
【0033】
デバイスDと制御部50が電気接続されると、制御部50は、電気信号からなる検査信号を発生させ、これを各検査位置P2,P3,P4,P5,P6のデバイスホルダ23に載置されたデバイスDへ入力することで、複数のデバイスDの検査を同時に行う。つまり、制御部50は、検査用の電気信号を発生する検査部として機能する。
【0034】
制御部50は、デバイスDの検査中に第1プローブ31と第2プローブ34との間の電気特性やデバイスDから放出される光を計測し、計測結果をメモリに記憶する。また、制御部50は、第1プローブ31がデバイス側接点26に接触した回数を1つ繰り上げ、これまでに第1プローブ31がデバイス側接点26に接触した回数をカウントする。
【0035】
そして、各検査位置P2,P3,P4,P5,P6において検査が終了すると、制御部50は、第1プローブ31の接点部31aをデバイス側接点26から離隔し、第2プローブ34の接点部34aをデバイスDの電極27から離隔して、デバイスDと制御部50との電気接続を解除した後、デバイスホルダ23が回転方向前方に隣接する検査位置に移動するように回転テーブル21を所定角度だけ回動させる。
【0036】
デバイスDが回転方向前方に隣接する検査位置に搬送されると、制御部50は、上記したように、各検査位置P2,P3,P4,P5,P6においてデバイスDと制御部50とを電気接続してデバイスDの検査を行い、計測結果をメモリに記憶するとともに第1プローブ31がデバイス側接点26に接触した回数を1つ繰り上げ、デバイスDの検査が終了すると、デバイスDと制御部50との電気接続を解除した後、デバイスDを回転方向前方に隣接する検査位置へ搬送する。
【0037】
検査装置10は、上記したような、デバイスDの搬送と、デバイスDと制御部50との電気接続と、デバイスDの検査と、デバイスDと制御部50との電気接続の解除とを繰り返すことで、給排位置P1から各検査位置P2,P3,P4,P5、P6にデバイスDを順次搬送し、各検査位置P2,P3,P4,P5、P6において所望の特性を検査する。全ての検査位置において特性の検査が終了したデバイスDは、給排位置P1へ搬送され不図示の取り出し装置によって取り出され、その後、検査前のデバイスDが給排位置P1のデバイスホルダ23に載置される。
【0038】
検査装置10は、上記のような制御を繰り返し行うことで複数のデバイスDを検査するが、その中で所定条件を満たすと、制御部50は、デバイス側接点26に第1プローブ31の接点部31aを接触させる際に設定する押し込み量Q、変位速度R及び押圧力Sの少なくとも1つを変更する制御(以下、この制御を第1制御ということもある)を行う。
【0039】
ここでの所定条件とは、例えば、これまでに第1プローブ31がデバイス側接点26に接触した回数が所定回数に達したことである。制御部50は、デバイス側接点26毎に第1プローブ31との接触回数を記憶し、所定回数に達したデバイス側接点26に接触する第1プローブ31について押し込み量Q、変位速度R及び押圧力Sの少なくとも1つを変更して第1制御を行う。
【0040】
そして、制御部50は、押し込み量Q、変位速度R及び押圧力Sの少なくとも1つを変更すると、第1プローブ31がデバイス側接点26に接触した回数を0回にリセットした後、再び、デバイスDの搬送と、押し込み量Q、変位速度R及び押圧力Sの少なくとも1つを変更した条件によるデバイスDと制御部50との電気接続と、デバイスDの検査と、デバイスDと制御部50との電気接続の解除とを繰り返し行い多数のデバイスDを検査する。
【0041】
そして、制御部50は、多数のデバイスDを検査する中で所定条件を満たす毎に第1制御を行ってからデバイスDの検査を行う。なお、押し込み量Q、変位速度R及び押圧力Sを変更する場合、例えば、変更前より押し込み量Q、変位速度R及び押圧力Sが大きくなるように変化させる。
【0042】
上記したような本実施形態の検査装置10では、制御部50が駆動部33を制御して押し込み量Q、変位速度R及び押圧力Sを変更する第1制御を行うことで、第1プローブ31の接点部31aとデバイス側接点26との接触の態様を変化させることができる。そのため、検査装置10では、第1プローブ31やデバイス側接点26の位置を変更することなく、繰り返し第1プローブ31が接触することによるデバイス側接点26の摩耗による接触不良を抑え、長期間にわたって安定して検査することができ、第1プローブ31やデバイス側接点26の交換周期を長くすることができる。
【0043】
また、検査装置10では、第1プローブ31が弾性的に湾曲可能な板バネで構成されているため、制御部50が、第1プローブ31の接点部31aをデバイス側接点26に接触させる際の押し込み量Qや変位速度Rや押圧力Sの変更によって、第1プローブ31の接点部31aとデバイス側接点26との接触の態様を変化しやすくなり、長期間にわたって安定して検査することができる。
【0044】
また、検査装置10では、制御部50が、デバイス側接点26毎に第1プローブ31との接触回数を記憶し、所定回数に到達したデバイス側接点26に接触する第1プローブ31のみについて第1制御を行う。つまり、検査装置10は、所定条件を満たしたデバイス側接点26に接触する第1プローブ31のみについて第1制御を行うため、1プローブ31やデバイス側接点26の交換周期を長くすることができる。
【0045】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。以下に変更例を列挙する。
【0046】
(変更例1)
次に上記した実施形態の変更例1について説明する。上記した実施形態では、制御部50が、デバイス側接点26に第1プローブ31の接点部31aを接触させる際に設定する押し込み量Q、変位速度R及び押圧力Sの少なくとも1つを変更する所定条件を、これまでに第1プローブ31がデバイス側接点26に接触した回数が所定回数に達したこととしたが、デバイス側接点26と第1プローブ31の接点部31aとの接触抵抗値に基づいて押し込み量Q、変位速度R及び押圧力Sの少なくとも1つを変更してもよい。
【0047】
具体的には、制御部50は、デバイスDと制御部50とを繋ぐ回路の電気抵抗値を計測することで、デバイス側接点26と第1プローブ31の接点部31aとの接触抵抗値を含むデバイスDと制御部50との間の合成抵抗値を計測する。
【0048】
そして、計測した合成抵抗値が所定値以上となると、制御部50は、デバイス側接点26と第1プローブ31の接点部31aとの接触抵抗値が所定のしきい値以上となり所定条件を満たしたとして、押し込み量Q、変位速度R及び押圧力Sの少なくとも1つを変更する第1制御を行う。
【0049】
本変更例1では、デバイス側接点26と第1プローブ31の接点部31aとの接触抵抗値に基づいて、第1制御を行うため、接触不良が発生したときに第1プローブ31の接点部31aとデバイス側接点26との接触の態様を変化させることができる。そのため、不必要なタイミングで第1プローブ31の接点部31aとデバイス側接点26との接触の態様を変化させることがなくなり、第1プローブ31やデバイス側接点26の交換周期を長くすることができる。
【0050】
(変更例2)
次に上記した実施形態の変更例2について説明する。上記した実施形態では、所定条件を満たしたデバイス側接点26に接触する第1プローブ31のみについて、押し込み量Q、変位速度R及び押圧力Sの少なくとも1つを変更する第1制御を行ったが、1以上のデバイス側接点26において所定条件を満たすと、検査装置10にある全てのデバイス側接点26に接触する第1プローブ31について第1制御を行ってもよい。本変更例2では、未だ所定条件を満たしていないが接触不良の発生しやすいデバイス側接点26について未然にこれを防ぐことができる。
【0051】
(変更例3)
次に上記した実施形態の変更例3について説明する。第1制御を複数回実行すると、第1制御を行ってもデバイス側接点26と第1プローブ31の接点部31aと接触不良を改善できないこともある。そこで、デバイス側接点26において接点部31aが接触する面に平行な方向へ第1プローブ31の接点部31aの位置を変更する位置変更部を設け、第1制御を所定回数実行すると、制御部50は、位置変更部によってデバイス側接点26に対する第1プローブ31の接点部31aの位置を変更し、第1プローブ31の接点部31aの押し込み量Q、接点部31aがデバイス側接点26に接触するときの接点部31aの変位速度R、及び第1プローブ31に与える押圧力Sをそれぞれ所定の初期値とリセットした後、再び、変更後の位置においてデバイスDの検査を行ってもよい。
【0052】
本変更例3では、上記した実施形態と同様、所定条件を満たすと第1プローブ31やデバイス側接点26の位置を変更することなく、第1制御を行うことでデバイス側接点26と第1プローブ31の接点部31aと接触不良を抑えることができる。加えて、本変更例3では、第1制御を複数回実行すると、位置変更部によって第1プローブ31の接点部31aがデバイス側接点26に接触する位置を変更するため、デバイス側接点の摩耗の影響を受けることなく、良好な電気的な接続が得られる。
【0053】
(変更例4)
次に上記した実施形態の変更例4について説明する。上記した実施形態では、多数のデバイスDを検査する中で所定条件を満たす毎に、制御部50が、変更前より押し込み量Q、変位速度R及び押圧力Sが大きくなるように変化させる場合について説明したが、所定条件を満たす毎に変更前より押し込み量Q、変位速度R及び押圧力Sが小さくなるように変化させたり、順番に予め設定された複数種類の値になるように周期的に変化させたり、ランダムに設定値を変化させてもよい。
【符号の説明】
【0054】
10…検査装置、20…搬送装置、21…回転テーブル、22…テーブル駆動部、23…デバイスホルダ、24…ステージ、25…リード線、26…デバイス側接点、27…電極、30…コンタクト装置、31…第1プローブ、31a…接点部、32…ベース部、33…駆動部、34…第2プローブ、34a…接点部、50…制御部
図1
図2