(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-16
(45)【発行日】2024-04-24
(54)【発明の名称】列車識別システム
(51)【国際特許分類】
B61L 25/02 20060101AFI20240417BHJP
G06K 7/10 20060101ALI20240417BHJP
G06K 19/07 20060101ALI20240417BHJP
G06K 19/073 20060101ALI20240417BHJP
【FI】
B61L25/02 C
G06K7/10 140
G06K19/07 230
G06K19/073 009
(21)【出願番号】P 2021048731
(22)【出願日】2021-03-23
【審査請求日】2023-07-24
(73)【特許権者】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100125575
【氏名又は名称】松田 洋
(72)【発明者】
【氏名】松田 直丈
【審査官】冨永 達朗
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/129750(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0055043(US,A1)
【文献】特開2006-067478(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61L 25/02
G06K 19/07
G06K 19/073
G06K 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象線路を走行する列車を識別する列車識別システムであって、
列車に取り付けられ、受信した電波のエネルギに基づいて列車の識別情報を送信するICタグと、
前記対象線路を走行する列車が通る所定位置に向けて前記電波を送信し、前記ICタグにより送信された前記識別情報を受信して読み取る読取部と、
前記列車に設けられ、前記読取部による前記ICタグの前記識別情報の読み取りが可能な状態と不可能な状態とに切り替える切替部と、
前記列車に設けられ、前記列車が走行している線路の前記所定位置を前記列車が通る際に前記ICタグの前記識別情報の読み取りが可能な状態に切り替え、前記列車が走行している線路の前記所定位置を前記列車が通らない際に前記ICタグの前記識別情報の読み取りが不可能な状態に切り替えるように、前記切替部を切替制御する切替制御部と、
前記読取部により読み取られた前記識別情報に基づいて、前記対象線路を走行する列車を識別する識別部と、
を備え
、
前記読取部は、所定方向に偏波した直線偏波の前記電波を送信し、
前記切替部は、前記ICタグの方向を前記所定方向に近くすることで前記読取部による前記ICタグの前記識別情報の読み取りが可能な状態に切り替え、前記ICタグの方向を前記所定方向から遠くすることで前記読取部による前記ICタグの前記識別情報の読み取りが不可能な状態に切り替える、列車識別システム。
【請求項2】
前記切替部は、前記ICタグを回転させることにより、前記ICタグの方向を前記所定方向に一致させた状態と、前記ICタグの方向を前記所定方向から90°ずれた状態とに切り替える回転機構である、請求項
1に記載の列車識別システム。
【請求項3】
対象線路を走行する列車を識別する列車識別システムであって、
列車に取り付けられ、受信した電波のエネルギに基づいて列車の識別情報を送信するICタグと、
前記対象線路を走行する列車が通る所定位置に向けて前記電波を送信し、前記ICタグにより送信された前記識別情報を受信して読み取る読取部と、
前記列車に設けられ、前記読取部による前記ICタグの前記識別情報の読み取りが可能な状態と不可能な状態とに切り替える切替部と、
前記列車に設けられ、前記列車が走行している線路の前記所定位置を前記列車が通る際に前記ICタグの前記識別情報の読み取りが可能な状態に切り替え、前記列車が走行している線路の前記所定位置を前記列車が通らない際に前記ICタグの前記識別情報の読み取りが不可能な状態に切り替えるように、前記切替部を切替制御する切替制御部と、
前記読取部により読み取られた前記識別情報に基づいて、前記対象線路を走行する列車を識別する識別部と、
を備え、
前記切替部は、前記I
Cタグに向かう前記電波を遮らないことで前記読取部による前記ICタグの前記識別情報の読み取りが可能な状態に切り替え、前記ICタグに向かう前記電波を遮ることで前記読取部による前記ICタグの前記識別情報の読み取りが不可能な状態に切り替える
、列車識別システム。
【請求項4】
対象線路を走行する列車を識別する列車識別システムであって、
列車の右部に取り付けられ、受信した電波のエネルギに基づいて列車の識別情報を送信する第1ICタグと、
列車の左部に取り付けられ、受信した電波のエネルギに基づいて列車の識別情報を送信する第2ICタグと、
前記対象線路を走行する列車が通る所定位置に向けて前記電波を送信し、前記第1ICタグ及び前記第2ICタグにより送信された前記識別情報を受信して読み取る読取部と、
前記列車に設けられ、前記読取部による前記第1ICタグの前記識別情報の読み取りが可能な状態と不可能な状態とに切り替える第1切替部と、
前記列車に設けられ、前記読取部による前記第2ICタグの前記識別情報の読み取りが可能な状態と不可能な状態とに切り替える第2切替部と、
前記列車に設けられ、前記第1ICタグ及び前記第2ICタグのうち、前記列車が走行している線路に対応する前記読取部の側に位置するICタグの前記識別情報の読み取りが可能な状態に切り替え、前記列車が走行している線路に対応する前記読取部の反対側に位置するICタグの前記識別情報の読み取りが不可能な状態に切り替えるように、前記第1切替部及び前記第2切替部を切替制御する切替制御部と、
前記読取部により読み取られた前記識別情報に基づいて、前記対象線路を走行する列車を識別する識別部と、
を備える列車識別システム。
【請求項5】
前記読取部は、所定方向に偏波した直線偏波の前記電波を送信し、
前記第1切替部は、前記第1ICタグの方向を前記所定方向に近くすることで前記読取部による前記第1ICタグの前記識別情報の読み取りが可能な状態に切り替え、前記第1ICタグの方向を前記所定方向から遠くすることで前記読取部による前記第1ICタグの前記識別情報の読み取りが不可能な状態に切り替え、
前記第2切替部は、前記第2ICタグの方向を前記所定方向に近くすることで前記読取部による前記第2ICタグの前記識別情報の読み取りが可能な状態に切り替え、前記第2ICタグの方向を前記所定方向から遠くすることで前記読取部による前記第2ICタグの前記識別情報の読み取りが不可能な状態に切り替える、請求項
4に記載の列車識別システム。
【請求項6】
前記第1切替部は、前記第1ICタグを回転させることにより、前記第1ICタグの方向を前記所定方向に一致させた状態と、前記第1ICタグの方向を前記所定方向から90°ずれた状態とに切り替える回転機構であり、
前記第2切替部は、前記第2ICタグを回転させることにより、前記第2ICタグの方向を前記所定方向に一致させた状態と、前記第2ICタグの方向を前記所定方向から90°ずれた状態とに切り替える回転機構である、請求項
5に記載の列車識別システム。
【請求項7】
前記第1切替部は、前記第1I
Cタグに向かう前記電波を遮らないことで前記読取部による前記第1ICタグの前記識別情報の読み取りが可能な状態に切り替え、前記第1ICタグに向かう前記電波を遮ることで前記読取部による前記第1ICタグの前記識別情報の読み取りが不可能な状態に切り替え、
前記第2切替部は、前記第2I
Cタグに向かう前記電波を遮らないことで前記読取部による前記第2ICタグの前記識別情報の読み取りが可能な状態に切り替え、前記第2ICタグに向かう前記電波を遮ることで前記読取部による前記第2ICタグの前記識別情報の読み取りが不可能な状態に切り替える、請求項
4に記載の列車識別システム。
【請求項8】
前記識別部には、前記所定位置に到着する列車の到着予定時刻及び識別情報を含む運行情報、並びに前記所定位置に前記到着予定時刻に列車が到着するか否かが入力され、
前記識別部は、前記所定位置に前記到着予定時刻に列車が到着すると入力された場合に、入力された前記運行情報に基づいて前記対象線路を走行する列車を識別し、前記所定位置に前記到着予定時刻に列車が到着しないと入力された場合に、前記読取部により読み取られた前記識別情報に基づいて前記対象線路を走行する列車を識別する、請求項1~
7のいずれか1項に記載の列車識別システム。
【請求項9】
対象線路を走行する列車を識別する列車識別システムであって、
列車に取り付けられ、受信した電波のエネルギに基づいて列車の識別情報を送信するICタグと、
前記対象線路を走行する列車が通る所定位置に向けて前記電波を送信し、前記ICタグにより送信された前記識別情報を受信して読み取る読取部と、
前記列車に設けられ、前記読取部による前記ICタグの前記識別情報の読み取りが可能な状態と不可能な状態とに切り替える切替部と、
前記列車に設けられ、前記列車が走行している線路の前記所定位置を前記列車が通る際に前記ICタグの前記識別情報の読み取りが可能な状態に切り替え、前記列車が走行している線路の前記所定位置を前記列車が通らない際に前記ICタグの前記識別情報の読み取りが不可能な状態に切り替えるように、前記切替部を切替制御する切替制御部と、
前記読取部により読み取られた前記識別情報に基づいて、前記対象線路を走行する列車を識別する識別部と、
を備え、
前記識別部には、前記所定位置に到着する列車の到着予定時刻及び識別情報を含む運行情報、並びに前記所定位置に前記到着予定時刻に列車が到着するか否かが入力され、
前記識別部は、前記所定位置に前記到着予定時刻に列車が到着すると入力された場合に、入力された前記運行情報に基づいて前記対象線路を走行する列車を識別し、前記所定位置に前記到着予定時刻に列車が到着しないと入力された場合に、前記読取部により読み取られた前記識別情報に基づいて前記対象線路を走行する列車を識別する、列車識別システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象線路を走行する列車を識別するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、列車を編成する各車両に搭載され、当該車両の個別識別情報が記憶されたRFIDタグと、列車が走行する線路近傍に設置されたアンテナを介して前記RFIDタグとの間で無線通信媒体により信号を送受信し、前記RFIDタグから送信された信号から当該車両の個別識別情報を読み取るリーダと、を備えるシステムがある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、対象線路を走行する列車を識別する際に、対象線路を高速(例えば100km/h)で走行する列車を識別可能とするためには、リーダの読み取り可能範囲をある程度広く設定する必要がある。その場合、対象線路の隣の線路までリーダの読み取り可能範囲に含まれ、対象線路の隣の線路を走行する列車を、対象線路を走行する列車であると誤判定するおそれがある。
【0005】
本発明は、こうした課題を解決するためになされたものであり、その主たる目的は、列車識別システムにおいて、対象線路の隣の線路を走行する列車を、対象線路を走行する列車であると誤判定することを抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための第1の手段は、
対象線路を走行する列車を識別する列車識別システムであって、
列車に取り付けられ、受信した電波のエネルギに基づいて列車の識別情報を送信するICタグと、
前記対象線路を走行する列車が通る所定位置に向けて前記電波を送信し、前記ICタグにより送信された前記識別情報を受信して読み取る読取部と、
前記列車に設けられ、前記読取部による前記ICタグの前記識別情報の読み取りが可能な状態と不可能な状態とに切り替える切替部と、
前記列車に設けられ、前記列車が走行している線路の前記所定位置を前記列車が通る際に前記ICタグの前記識別情報の読み取りが可能な状態に切り替え、前記列車が走行している線路の前記所定位置を前記列車が通らない際に前記ICタグの前記識別情報の読み取りが不可能な状態に切り替えるように、前記切替部を切替制御する切替制御部と、
前記読取部により読み取られた前記識別情報に基づいて、前記対象線路を走行する列車を識別する識別部と、
を備える。
【0007】
上記構成によれば、ICタグは、列車に取り付けられ、受信した電波のエネルギに基づいて列車の識別情報を送信する。読取部は、前記対象線路を走行する列車(以下、「対象列車」という)が通る所定位置に向けて前記電波を送信し、前記ICタグにより送信された前記識別情報を受信して読み取る。このため、対象線路の所定位置を列車が通った場合は、対象列車のICタグが列車の識別情報を送信し、読取部が識別情報を読み取る。一方、対象線路の隣の線路(以下、「隣線路」という)を列車が通った場合も、隣線路を走行する列車(以下、「隣列車」という)のICタグが列車の識別情報を送信し、読取部が隣列車の識別情報を読み取るおそれがある。
【0008】
ここで、切替部は、前記列車に設けられ、前記読取部による前記ICタグの前記識別情報の読み取りが可能な状態と不可能な状態とに切り替える。そして、切替制御部は、前記列車に設けられ、前記列車が走行している線路の前記所定位置を前記列車が通る際に前記ICタグの前記識別情報の読み取りが可能な状態に切り替え、前記列車が走行している線路の前記所定位置を前記列車が通らない際に前記ICタグの前記識別情報の読み取りが不可能な状態に切り替えるように、前記切替部を切替制御する。
【0009】
このため、対象線路に対応する読取部がICタグの識別情報を読み取る際に、隣列車のICタグの前記識別情報の読み取りが不可能な状態に切り替えられる。したがって、隣列車のICタグの識別情報を対象線路に対応する読取部が読み取ることを抑制することができ、隣線路を走行する列車を、対象線路を走行する列車であると誤判定することを抑制することができる。一方、対象線路に対応する読取部がICタグの識別情報を読み取る際に、対象列車のICタグの前記識別情報の読み取りが可能な状態に切り替えられる。したがって、対象線路を列車が走行している場合は、識別部は、前記読取部により読み取られた前記識別情報に基づいて、前記対象線路を走行する列車を識別することができる。
【0010】
第2の手段では、前記読取部は、所定方向に偏波した直線偏波の前記電波を送信し、前記切替部は、前記ICタグの方向を前記所定方向に近くすることで前記読取部による前記ICタグの前記識別情報の読み取りが可能な状態に切り替え、前記ICタグの方向を前記所定方向から遠くすることで前記読取部による前記ICタグの前記識別情報の読み取りが不可能な状態に切り替える。
【0011】
上記構成によれば、前記読取部は、所定方向に偏波した直線偏波の前記電波を送信する。読取部が直線偏波の電波を送信する場合、電波の偏波方向とICタグの方向とが一致するとこれらの通信可能距離が最長になり、電波の偏波方向とICタグの方向とが90°ずれるとこれらの通信可能距離が最短になる。
【0012】
こうした特性を利用して、前記切替部は、前記ICタグの方向を前記所定方向に近くすることで前記読取部による前記ICタグの前記識別情報の読み取りが可能な状態に切り替え、前記ICタグの方向を前記所定方向から遠くすることで前記読取部による前記ICタグの前記識別情報の読み取りが不可能な状態に切り替える。したがって、ICタグの方向を変更する機構により、前記読取部によるICタグの識別情報の読み取りが可能な状態と不可能な状態とに切り替えることができる。
【0013】
具体的には、第3の手段のように、前記切替部は、前記ICタグを回転させることにより、前記ICタグの方向を前記所定方向に一致させた状態と、前記ICタグの方向を前記所定方向から90°ずれた状態とに切り替える回転機構である、といった構成を採用することができる。
【0014】
第4の手段では、前記切替部は、前記ICタグに向かう前記電波を遮らないことで前記読取部による前記ICタグの前記識別情報の読み取りが可能な状態に切り替え、前記ICタグに向かう前記電波を遮ることで前記読取部による前記ICタグの前記識別情報の読み取りが不可能な状態に切り替える。こうした構成によれば、ICタグに向かう前記電波を遮らない状態と遮る状態とに切り替える機構により、前記読取部によるICタグの識別情報の読み取りが可能な状態と不可能な状態とに切り替えることができる。
【0015】
第5の手段は、
対象線路を走行する列車を識別する列車識別システムであって、
列車の右部に取り付けられ、受信した電波のエネルギに基づいて列車の識別情報を送信する第1ICタグと、
列車の左部に取り付けられ、受信した電波のエネルギに基づいて列車の識別情報を送信する第2ICタグと、
前記対象線路を走行する列車が通る所定位置に向けて前記電波を送信し、前記第1ICタグ及び前記第2ICタグにより送信された前記識別情報を受信して読み取る読取部と、
前記列車に設けられ、前記読取部による前記第1ICタグの前記識別情報の読み取りが可能な状態と不可能な状態とに切り替える第1切替部と、
前記列車に設けられ、前記読取部による前記第2ICタグの前記識別情報の読み取りが可能な状態と不可能な状態とに切り替える第2切替部と、
前記列車に設けられ、前記第1ICタグ及び前記第2ICタグのうち、前記列車が走行している線路に対応する前記読取部の側に位置するICタグの前記識別情報の読み取りが可能な状態に切り替え、前記列車が走行している線路に対応する前記読取部の反対側に位置するICタグの前記識別情報の読み取りが不可能な状態に切り替えるように、前記第1切替部及び前記第2切替部を切替制御する切替制御部と、
前記読取部により読み取られた前記識別情報に基づいて、前記対象線路を走行する列車を識別する識別部と、
を備える。
【0016】
上記構成によれば、第1ICタグ及び第2ICタグは、列車に取り付けられ、受信した電波のエネルギに基づいて列車の識別情報を送信する。読取部は、前記対象線路を走行する列車が通る所定位置に向けて前記電波を送信し、第1ICタグ及び第2ICタグのうち読取部の側に位置するICタグにより送信された前記識別情報を受信して読み取る。このため、対象線路の所定位置を列車が通った場合は、対象列車の第1ICタグ及び第2ICタグのうち読取部の側に位置するICタグが列車の識別情報を送信し、読取部が識別情報を読み取る。一方、隣線路を列車が通った場合も、隣列車の第1ICタグ及び第2ICタグのうち、読取部の側に位置するICタグが列車の識別情報を送信し、読取部が隣列車の識別情報を読み取るおそれがある。なお、第1ICタグ及び第2ICタグのうち読取部の反対側に位置するICタグは、読取部が送信する電波が列車自体により遮られるため、受信した電波のエネルギに基づく識別情報の送信をしにくい状態となる。
【0017】
ここで、第1切替部は、前記列車に設けられ、前記読取部による前記第1ICタグの前記識別情報の読み取りが可能な状態と不可能な状態とに切り替える。また、第2切替部は、前記列車に設けられ、前記読取部による前記第2ICタグの前記識別情報の読み取りが可能な状態と不可能な状態とに切り替える。そして、切替制御部は、前記列車に設けられ、前記第1ICタグ及び前記第2ICタグのうち、前記列車が走行している線路に対応する前記読取部の側に位置するICタグの前記識別情報の読み取りが可能な状態に切り替え、前記列車が走行している線路に対応する前記読取部の反対側に位置するICタグの前記識別情報の読み取りが不可能な状態に切り替えるように、前記第1切替部及び前記第2切替部を切替制御する。
【0018】
このため、隣列車の第1ICタグ及び第2ICタグのうち、隣列車が走行している隣線路に対応する読取部の反対側に位置するICタグ(対象線路に対応する読取部の側に位置するICタグ)の前記識別情報の読み取りが不可能な状態に切り替えられる。したがって、隣列車のICタグの識別情報を対象線路に対応する読取部が読み取ることを抑制することができ、隣線路を走行する列車を、対象線路を走行する列車であると誤判定することを抑制することができる。一方、対象列車の第1ICタグ及び第2ICタグのうち、対象線路に対応する読取部の側に位置するICタグの前記識別情報の読み取りが可能な状態に切り替えられる。したがって、対象線路を列車が走行している場合は、識別部は、前記読取部により読み取られた前記識別情報に基づいて、前記対象線路を走行する列車を識別することができる。
【0019】
第6の手段では、前記読取部は、所定方向に偏波した直線偏波の前記電波を送信し、前記第1切替部は、前記第1ICタグの方向を前記所定方向に近くすることで前記読取部による前記第1ICタグの前記識別情報の読み取りが可能な状態に切り替え、前記第1ICタグの方向を前記所定方向から遠くすることで前記読取部による前記第1ICタグの前記識別情報の読み取りが不可能な状態に切り替え、前記第2切替部は、前記第2ICタグの方向を前記所定方向に近くすることで前記読取部による前記第2ICタグの前記識別情報の読み取りが可能な状態に切り替え、前記第2ICタグの方向を前記所定方向から遠くすることで前記読取部による前記第2ICタグの前記識別情報の読み取りが不可能な状態に切り替える。
【0020】
上記構成によれば、上述した直線偏波の特性を利用して、前記第1切替部は、前記第1ICタグの方向を前記所定方向に近くすることで前記読取部による前記第1ICタグの前記識別情報の読み取りが可能な状態に切り替え、前記第1ICタグの方向を前記所定方向から遠くすることで前記読取部による前記第1ICタグの前記識別情報の読み取りが不可能な状態に切り替える。また、前記第2切替部は、前記第2ICタグの方向を前記所定方向に近くすることで前記読取部による前記第2ICタグの前記識別情報の読み取りが可能な状態に切り替え、前記第2ICタグの方向を前記所定方向から遠くすることで前記読取部による前記第2ICタグの前記識別情報の読み取りが不可能な状態に切り替える。したがって、ICタグの方向を変更する機構により、前記読取部によるICタグの識別情報の読み取りが可能な状態と不可能な状態とに切り替えることができる。
【0021】
具体的には、第7の手段のように、前記第1切替部は、前記第1ICタグを回転させることにより、前記第1ICタグの方向を前記所定方向に一致させた状態と、前記第1ICタグの方向を前記所定方向から90°ずれた状態とに切り替える回転機構であり、前記第2切替部は、前記第2ICタグを回転させることにより、前記第2ICタグの方向を前記所定方向に一致させた状態と、前記第2ICタグの方向を前記所定方向から90°ずれた状態とに切り替える回転機構である、といった構成を採用することができる。
【0022】
第8の手段では、前記第1切替部は、前記第1ICタグに向かう前記電波を遮らないことで前記読取部による前記第1ICタグの前記識別情報の読み取りが可能な状態に切り替え、前記第1ICタグに向かう前記電波を遮ることで前記読取部による前記第1ICタグの前記識別情報の読み取りが不可能な状態に切り替え、前記第2切替部は、前記第2ICタグに向かう前記電波を遮らないことで前記読取部による前記第2ICタグの前記識別情報の読み取りが可能な状態に切り替え、前記第2ICタグに向かう前記電波を遮ることで前記読取部による前記第2ICタグの前記識別情報の読み取りが不可能な状態に切り替える。こうした構成によれば、ICタグに向かう前記電波を遮らない状態と遮る状態とに切り替える機構により、前記読取部によるICタグの識別情報の読み取りが可能な状態と不可能な状態とに切り替えることができる。
【0023】
第9の手段では、前記識別部には、前記所定位置に到着する列車の到着予定時刻及び識別情報を含む運行情報、並びに前記所定位置に前記到着予定時刻に列車が到着するか否かが入力され、前記識別部は、前記所定位置に前記到着予定時刻に列車が到着すると入力された場合に、入力された前記運行情報に基づいて前記対象線路を走行する列車を識別し、前記所定位置に前記到着予定時刻に列車が到着しないと入力された場合に、前記読取部により読み取られた前記識別情報に基づいて前記対象線路を走行する列車を識別する。
【0024】
上記構成によれば、前記識別部には、前記所定位置に到着する列車の到着予定時刻及び識別情報を含む運行情報、並びに前記所定位置に前記到着予定時刻に列車が到着するか否かが入力される。このため、識別部は、前記所定位置に前記到着予定時刻に列車が到着するか否かを把握することができる。
【0025】
ここで、前記所定位置に前記到着予定時刻に列車が到着する場合は、運行情報に基づいて前記対象線路を走行する列車を容易に識別することができる。一方、前記所定位置に前記到着予定時刻に列車が到着しない場合は、所定位置に到着した列車が運行情報に基づき識別される列車と異なるおそれがあるため、運行情報に基づいて前記対象線路を走行する列車を識別することができない。
【0026】
この点、前記識別部は、前記所定位置に前記到着予定時刻に列車が到着しないと入力された場合に、前記読取部により読み取られた前記識別情報に基づいて前記対象線路を走行する列車を識別する。したがって、運行情報に基づいて前記対象線路を走行する列車を識別することができない場合であっても、前記読取部により読み取られた前記識別情報に基づいて対象線路を走行する列車を識別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図3】隣列車のIDを読み取らないようする態様を示す模式図。
【
図6】隣列車のIDを読み取らないようする他の態様を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態は、駅のホームにおいて列車を識別する列車識別システムとして具現化している。
【0029】
図1に示すように、線路11(対象線路)を列車13が走行する。駅では線路11に隣接してホーム12が設けられている。ホーム12は、線路11から規定距離に設けられている。
【0030】
列車識別システム20は、タグ31,32、リーダ21、回転機構33(
図4参照)、切替制御部34、制御部23等を備えている。
【0031】
タグ31,32(ICタグ)は、アンテナ、IC、メモリ等を備えるパッシブ型のRF(Radio Frequency)タグである。タグ31,32は、リーダ21から受信した電波を動力源(エネルギ)として動作する。タグ31,32は、列車13に取り付けられ、リーダ21から電波を受信すると、メモリに記憶された列車13のID(識別情報)を含む電波を送信する。IDは、各列車に固有の番号である。タグ31(第1ICタグ)は、列車13の右側部(右部)に取り付けられている。タグ32(第2ICタグ)は、列車13の左側部(左部)に取り付けられている。なお、タグ31,32のうちリーダ21の反対側に位置するタグ32は、リーダ21が送信する電波が列車13自体により遮られるため、受信した電波のエネルギに基づくIDの送信をしにくい状態となる。
【0032】
リーダ21(読取部)は、アンテナ、送信部、受信部、制御部等を備えるRFID(Radio Frequency IDentification)リーダである。リーダ21は、タグ31,32に電波を送信し、タグ31,32から返信(送信)されるIDを含む電波を受信してIDを読み取る。
図2に示すように、リーダ21は、線路11を走行する列車13が通る所定位置Pに向けて電波を送信する。所定位置Pは、ホーム12の後端寄りの部分に対面し、線路11の上方で列車13の高さよりも低い位置である。リーダ21は制御部23により制御され、リーダ21による読取結果は制御部23に入力される。
【0033】
リーダ21は、タグ31が送信するIDを、列車13が停止するまでに読み取る必要がある。また、ホーム12に停止しない列車13では、高速で通過する列車13のタグ31のIDを読み取る必要がある。このため、リーダ21の読み取り可能範囲は、ある程度広く設定されている。例えば、時速100kmで走行する列車13のタグ31のIDを正しく読み取るためには、読み取り可能範囲の半径を10~12[m]に設定する必要がある。
【0034】
上記事情により、読み取り可能範囲はある程度広く設定されているため、
図3に示すように線路11に並行する線路15がある場合には、以下の問題が生じる。すなわち、リーダ21が送信した電波が、線路15を走行する列車17のタグ36に到達し、タグ36が列車17のIDを返信するおそれがある。この場合、リーダ21は、タグ36が送信したIDに対応する列車を、線路11の所定位置Pを走行する列車として誤って識別するおそれがある。なお、線路15に隣接するホーム16に設置されたリーダ25がタグ35のIDを読み取る場合においても、同様の問題が生じ得る。
【0035】
そこで、リーダ21は、水平方向(所定方向)に偏波した直線偏波の電波を送信する。リーダ21が直線偏波の電波を送信する場合、電波の偏波方向とタグ31,32,35,36の方向とが一致するとこれらの通信可能距離が最長になり、電波の偏波方向とタグ31,32,35,36の方向とが90°ずれるとこれらの通信可能距離が最短になる。具体的には、タグ31,32,35,36の面積が最も大きい面(主面)に垂直に電波が照射される状態において、タグ31,32,35,36の長手方向が水平方向(所定方向)と一致すると通信可能距離が最長になり、タグ31,32,35,36の長手方向が鉛直方向と一致する(所定方向から90°ずれる)と通信可能距離が最短(通信不能)になる。同様に、リーダ25も、水平方向(所定方向)に偏波した直線偏波の電波を送信する。
【0036】
列車13には、
図4に示すように、回転機構33が設けられている。回転機構33(切替部、第1切替部)は、例えばタグ31が取り付けられる回転板、回転板を回転させるモータ、タグ31を覆うカバー等により構成されている。カバーは、リーダ21から照射される電波を透過させる樹脂等により形成されている。このカバーにより、タグ31を埃や水等から保護することができる。
【0037】
回転機構33は、タグ31を右回り及び左回りに90°回転させることにより、タグ31の長手方向(以下、単に「方向」という)を水平方向に一致させた状態と、タグ31の方向を水平方向から90°ずれた状態とに切り替える。すなわち、回転機構33は、タグ31の方向を水平方向に近くすることでリーダ21によるタグ31のIDの読み取りが可能な状態に切り替え、タグ31の方向を水平方向から遠くすることでリーダ21によるタグ31のIDの読み取りが不可能な状態に切り替える。
【0038】
同様に、タグ32も、回転機構33(切替部、第2切替部)により、タグ32の方向を水平方向に一致させた状態と、タグ32の方向を水平方向から90°ずれた状態とに切り替えられる。タグ31,32をそれぞれ回転させる回転機構33は、切替制御部34(
図1参照)により切替制御される。
【0039】
図3に示すように、切替制御部34は、列車13に設けられ、タグ31及びタグ32のうち、列車13が走行している線路11に対応するリーダ21の側に位置するタグ31のIDの読み取りが可能な状態に切り替え、列車13が走行している線路11に対応するリーダ21の反対側に位置するタグ32のIDの読み取りが不可能な状態に切り替えるように、各回転機構33を切替制御する。さらに、切替制御部34は、列車13の進行方向において、列車13がリーダ21の正面を含む所定範囲から外れている場合に、タグ31,32の読み取りが不可能な状態に切り替える。
【0040】
同様に、切替制御部38は、列車17に設けられ、タグ35及びタグ36のうち、列車17が走行している線路15に対応するリーダ25の側に位置するタグ35のIDの読み取りが可能な状態に切り替え、列車17が走行している線路15に対応するリーダ25の反対側に位置するタグ36のIDの読み取りが不可能な状態に切り替えるように、各回転機構33を切替制御する。さらに、切替制御部38は、列車17の進行方向において、列車17がリーダ25の正面を含む所定範囲から外れている場合に、タグ35,36の読み取りが不可能な状態に切り替える。
【0041】
要するに、切替制御部34,38は、列車13,17が走行している線路11,15の所定位置Pを列車13,17が通る際にタグ31,32,35,36のIDの読み取りが可能な状態に切り替え、列車13,17が走行している線路11,15の所定位置Pを列車13,17が通らない際にタグ31,32,35,36のIDの読み取りが不可能な状態に切り替えるように、各回転機構33を切替制御する。詳しくは、切替制御部34,38は、それぞれ列車13,17が現在走行している線路11,15、リーダ21,25の位置、現在の時刻等の現在状況を把握している。このため、切替制御部34,38は、現在状況に基づいて、各回転機構33を切替制御する。なお、列車13,17の運転士が現在状況に基づいて、切替制御部34,38による切替制御を指令することもできる。
【0042】
制御部23(識別部)は、CPU、ROM、RAM、及び入出力インターフェース等を備えるマイコンにより構成されている。制御部23は、リーダ21により読み取られたIDに基づいて線路11を走行する列車を識別する。
【0043】
以上詳述した本実施形態は、以下の利点を有する。
【0044】
・回転機構33は、列車13に設けられ、リーダ21,25によるタグ31,32のIDの読み取りが可能な状態と不可能な状態とに切り替える。そして、切替制御部34は、列車13に設けられ、列車13が走行している線路の所定位置Pを列車13が通る際にタグ31のIDの読み取りが可能な状態に切り替え、列車13が走行している線路11の所定位置Pを列車13が通らない際にタグ31,32のIDの読み取りが不可能な状態に切り替えるように、回転機構33を切替制御する。同様に、切替制御部38は、列車17に設けられ、列車17が走行している線路の所定位置Pを列車17が通る際にタグ35のIDの読み取りが可能な状態に切り替え、列車17が走行している線路15の所定位置Pを列車17が通らない際にタグ35,36のIDの読み取りが不可能な状態に切り替えるように、回転機構33を切替制御する。
【0045】
このため、線路11に対応するリーダ21がタグ31のIDを読み取る際に、列車17のタグ36のIDの読み取りが不可能な状態に切り替えられる。したがって、列車17のタグ36のIDを線路11に対応するリーダ21が読み取ることを抑制することができ、線路15を走行する列車17を、線路11を走行する列車13であると誤判定することを抑制することができる。一方、線路11に対応するリーダ21がタグ31のIDを読み取る際に、列車13のタグ31のIDの読み取りが可能な状態に切り替えられる。したがって、線路11を列車13が走行している場合は、制御部23は、リーダ21により読み取られたIDに基づいて、線路11を走行する列車13を識別することができる。
【0046】
・リーダ21,25は、水平方向に偏波した直線偏波の電波を送信する。回転機構33は、タグ31,32,35,36の方向を水平方向に近くすることでリーダ21,25によるタグ31,32,35,36のIDの読み取りが可能な状態に切り替え、タグ31,32,35,36の方向を水平方向から遠くすることでリーダ21,25によるタグ31,32,35,36のIDの読み取りが不可能な状態に切り替える。したがって、タグ31,32,35,36の方向を変更する回転機構33により、リーダ21,25によるタグ31,32,35,36のIDの読み取りが可能な状態と不可能な状態とに切り替えることができる。具体的には、回転機構33は、タグ31,32,35,36を回転させることにより、タグ31,32,35,36の方向を水平方向に一致させた状態と、タグ31,32,35,36の方向を水平方向から90°ずれた状態とに切り替える回転機構である、といった構成を採用することができる。
【0047】
・切替制御部34は、列車13に設けられ、タグ31及びタグ32のうち、列車13が走行している線路11に対応するリーダ21の側に位置するタグ31のIDの読み取りが可能な状態に切り替え、列車13が走行している線路11に対応するリーダ21の反対側に位置するタグ32のIDの読み取りが不可能な状態に切り替えるように、回転機構33を切替制御する。同様に、切替制御部38は、列車17に設けられ、タグ35及びタグ36のうち、列車17が走行している線路15に対応するリーダ25の側に位置するタグ35のIDの読み取りが可能な状態に切り替え、列車17が走行している線路15に対応するリーダ25の反対側に位置するタグ36のIDの読み取りが不可能な状態に切り替えるように、回転機構33を切替制御する。
【0048】
このため、列車17のタグ35及びタグ36のうち、列車17が走行している線路15に対応するリーダ25の反対側に位置するタグ36(線路11に対応するリーダ21の側に位置するタグ36)のIDの読み取りが不可能な状態に切り替えられる。したがって、列車17のタグ36のIDを線路11に対応するリーダ21が読み取ることを抑制することができ、線路15を走行する列車17を、線路11を走行する列車13であると誤判定することを抑制することができる。一方、列車13のタグ31及びタグ32のうち、線路11に対応するリーダ21の側に位置するタグ31のIDの読み取りが可能な状態に切り替えられる。したがって、線路11を列車13が走行している場合は、制御部23は、リーダ21により読み取られたIDに基づいて、線路11を走行する列車13を識別することができる。
【0049】
・リーダ21が列車の上方から電波を送信して、タグのIDを読み取る構成も考えられる。しかし、列車の上方にリーダ21を支持する構造物が存在しないため、列車の上方にリーダ21を設置することは困難である。また、列車の上方には電線が配置され、列車の上部にはパンタグラフが設けられていることが多いため、これらも列車の上方にリーダ21を設置することを困難にしている。したがって、ホーム12等、列車の側方にリーダ21を設置せざるを得ず、その場合に生じる列車の誤識別を抑制することができる点で、本実施形態は有意義である。
【0050】
なお、上記実施形態を、以下のように変更して実施することもできる。上記実施形態と同一の部分については、同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0051】
・回転機構33に代えて、
図5に示すように、タグ31を常に1方向に回転させる回転機構133を採用することもできる。この場合も、回転機構133は、タグ31の方向を水平方向に一致させた状態と、タグ31の方向を水平方向から90°ずれた状態とに切り替えることができる。
【0052】
・列車識別システム20は、回転機構33に代えて、タグ31,32,35,36に向かう電波を遮らないことでリーダ21,25によるタグ31,32,35,36のIDの読み取りが可能な状態に切り替え、タグ31,32,35,36に向かう電波を遮ることでリーダ21によるタグ31,32,35,36のIDの読み取りが不可能な状態に切り替える遮断機構(切替部)を、備えていてもよい。遮断機構は、例えば電波を遮断するシャッタと、シャッタを開閉する駆動部とにより構成することができる。遮断機構は、切替制御部34,38により制御される。この場合、リーダ21,25は、直線偏波の電波に限らず、円偏波の電波を送信してもよい。
【0053】
・回転機構33は、レーザ光に限らず、ミリ波等(電磁波)を照射するものであってもよい。
【0054】
・一般に、制御部23には、所定位置Pに到着する列車13の到着予定時刻及びIDを含む運行情報、並びに所定位置Pに到着予定時刻に列車13が到着するか否かが入力される。そして、制御部23は、所定位置Pに到着予定時刻に列車13が到着すると入力された場合に、入力された運行情報に基づいて線路11を走行する列車13を識別し、所定位置Pに到着予定時刻に列車13が到着しないと入力された場合に、上記実施形態と同様にリーダ21により読み取られたIDに基づいて線路11を走行する列車13を識別してもよい。
【0055】
上記構成によれば、制御部23には、所定位置Pに到着する列車13の到着予定時刻及びIDを含む運行情報、並びに所定位置Pに到着予定時刻に列車13が到着するか否かが入力される。このため、制御部23は、所定位置Pに到着予定時刻に列車13が到着するか否かを把握することができる。
【0056】
ここで、所定位置Pに到着予定時刻に列車13が到着する場合は、運行情報に基づいて線路11を走行する列車13を容易に識別することができる。一方、所定位置Pに到着予定時刻に列車13が到着しない場合は、所定位置Pに到着した列車13が運行情報に基づき識別される列車13と異なるおそれがあるため、運行情報に基づいて線路11を走行する列車13を識別することができない。
【0057】
この点、制御部23は、所定位置Pに到着予定時刻に列車13が到着しないと入力された場合に、リーダ21により読み取られたIDに基づいて線路11を走行する列車を識別する。したがって、運行情報に基づいて線路11を走行する列車を識別することができない場合であっても、リーダ21により読み取られたIDに基づいて線路11を走行する列車を識別することができる。
【0058】
なお、所定位置Pに到着予定時刻に列車13が到着する場合に、運行情報に基づいて線路11を走行する列車を識別することと、リーダ21により読み取られたIDに基づいて線路11を走行する列車を識別することとを、併せて実行してもよい。そして、それらの識別結果が一致したことを条件として、識別結果を確定してもよい。あるいは、それらの識別結果が一致しない場合に、一方の識別結果を優先させてもよい。
【0059】
・タグ31,32を、列車13の複数の車両にそれぞれ取り付けてもよい。そして、制御部23は、リーダ21により読み取られた複数の車両のタグ31,32のIDに基づいて、線路11を走行する列車を識別してもよい。こうした構成によれば、読み取られた複数の車両のタグ31,32のIDに基づいて、線路11を走行する列車をより慎重に識別することができる。
【0060】
・
図6に示すように、線路111に対してホーム112が常に一方側に設けられている場合がある。この場合、列車113の一方の側部のみにタグ131を取り付ければ、リーダ21により列車113のタグ131のIDを読み取ることができる。しかし、この場合も、切換線114を利用して列車がスイッチバックを実行すると、隣の線路115を走行する列車117のタグ135のIDを、リーダ21が誤って読み取るおそれがある。したがって、切替制御部134は、列車113が走行している線路111の所定位置Pを列車113が通る際にタグ131のIDの読み取りが可能な状態に切り替える。切替制御部138は、列車117が走行している線路115の所定位置Pを列車117が通らない際にタグ135のIDの読み取りが不可能な状態に切り替えるように、回転機構33を切替制御する。これにより、線路115を走行する列車117を、線路111を走行する列車113であると誤判定することを抑制することができる。なお、タグ131を列車の左右方向において中央に取り付けることもできる。
【符号の説明】
【0061】
11…線路、13…列車、15…線路、17…列車、20…列車識別システム、21…リーダ(読取部)、23…制御部(識別部)、25…リーダ(読取部)、33…回転機構(切替部)、31…タグ(ICタグ)、32…タグ(ICタグ)、34…切替制御部、35…タグ(ICタグ)、36…タグ(ICタグ)、38…切替制御部、111…線路、113…列車、115…線路、117…列車、131…タグ(ICタグ)、133…回転機構(切替部)、134…切替制御部、135…タグ(ICタグ)、138…切替制御部。