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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-16
(45)【発行日】2024-04-24
(54)【発明の名称】電子機器及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/03 20060101AFI20240417BHJP
   G06F 3/046 20060101ALI20240417BHJP
   G06F 3/01 20060101ALI20240417BHJP
   G06F 3/0346 20130101ALI20240417BHJP
【FI】
G06F3/03 400Z
G06F3/046 Z
G06F3/01 514
G06F3/0346 421
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022192817
(22)【出願日】2022-12-01
【審査請求日】2022-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】518133201
【氏名又は名称】富士通クライアントコンピューティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡部 雄貴
【審査官】鈴木 崇雅
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-242821(JP,A)
【文献】特開2011-103092(JP,A)
【文献】特開2021-081986(JP,A)
【文献】再公表特許第2014/192157(JP,A1)
【文献】特開2012-221358(JP,A)
【文献】特開2006-039686(JP,A)
【文献】特表2017-527906(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108762533(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第107111387(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第104345917(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01、3/03、3/041-3/04895
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子ペンのペン先位置のキャリブレーションにおいて、前記ペン先位置のキャリブレーション用の表示画面をディスプレイにより表示する表示制御部と、
前記ディスプレイの表示面上の前記電子ペンの前記ペン先位置と、当該ペン先位置に対する前記電子ペンの後端部の位置と、を検出し、前記ペン先位置と前記後端部の位置との関係に基づいて前記ディスプレイの表示面上の前記電子ペンの姿勢を検出し、前記ペン先位置のキャリブレーションにおいて、前記ペン先位置のキャリブレーション用の表示画面が表示された前記ディスプレイの表示面上の前記電子ペンの前記ペン先位置と、当該ペン先位置に対する前記後端部の位置と、を検出し、前記ペン先位置と前記後端部の位置との関係に基づいてユーザが前記電子ペンを把持する姿勢を示す把持態様情報を取得するペン検出部と、
前記把持態様情報と、当該把持態様情報が示す姿勢においてユーザが自然に前記電子ペンを動かせると想定される前記電子ペンの姿勢の範囲であるペン姿勢範囲と、の対応を保持するメモリと、
前記把持態様情報に対応する前記ペン姿勢範囲に段階的な制御が要求されるレベル制御の複数の制御レベルを割り当て、前記ペン検出部により検出された前記電子ペンの姿勢に応じて前記レベル制御を行うレベル制御部と
を備える電子機器。
【請求項2】
前記電子ペンの姿勢は、前記電子ペンのペン傾き及びペン方向の少なくともいずれかである、請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記把持態様情報は、前記ユーザが左右のいずれの手で前記電子ペンを使用するかを示す利き手情報と、前記ユーザの前記電子ペンの持ち方を示す持ち方情報との少なくともいずれかである、請求項1に記載の電子機器。
【請求項4】
前記ディスプレイをさらに備え、請求項1に記載の電子機器。
【請求項5】
前記レベル制御部は、前記電子ペンの姿勢に応じた前記レベル制御が開始された時点の前記電子ペンの姿勢を基準として、前記ペン姿勢範囲に前記複数の制御レベルを割り当てる、請求項1に記載の電子機器。
【請求項6】
電子ペンのペン先位置のキャリブレーションにおいて、前記ペン先位置のキャリブレーション用の表示画面をディスプレイにより表示し、
前記ディスプレイの表示面上の前記電子ペンの前記ペン先位置と、当該ペン先位置に対する前記電子ペンの後端部の位置と、を検出し、前記ペン先位置と前記後端部の位置との関係に基づいて前記ディスプレイの表示面上の前記電子ペンの姿勢を検出し、
前記ペン先位置のキャリブレーションにおいて、前記ペン先位置のキャリブレーション用の表示画面が表示された前記ディスプレイの表示面上の前記電子ペンの前記ペン先位置と、当該ペン先位置に対する前記後端部の位置と、を検出し、前記ペン先位置と前記後端部の位置との関係に基づいてユーザが前記電子ペンを把持する姿勢を示す把持態様情報を取得し、
前記把持態様情報と、当該把持態様情報が示す姿勢においてユーザが自然に前記電子ペンを動かせると想定される前記電子ペンの姿勢の範囲であるペン姿勢範囲と、の対応を保持し、
前記把持態様情報に対応する前記ペン姿勢範囲に段階的な制御が要求されるレベル制御の複数の制御レベルを割り当て、検出された前記電子ペンの姿勢に応じて前記レベル制御を行う
ことをコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電子機器及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォン、タブレット端末、携帯電話、電子ペーパー、パーソナルコンピュータ等の電子機器においては、タッチパネルの表面に指で触れる指タッチを検出し、入力操作を実現するタッチ入力機能が搭載される場合がある。また、これらの電子機器は、タッチ機能に加えて、ペン型の入力デバイス(以下、電子ペンと記載する。)を用いて手書き文字の入力操作を実現するペン入力機能が搭載される場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2022-072461号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば筆記用途で電子ペンを使用している途中で指タッチのために電子ペンを持ち替える必要があるなど、ペン入力機能にはユーザの利便性の観点から改善の余地があった。
【0005】
本発明の課題の一つは、上記に鑑みてなされたものであって、ペン入力機能におけるユーザの入力操作に係る利便性を向上することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様に係る電子機器は、表示制御部と、ペン検出部と、メモリと、レベル制御部とを備える。前記表示制御部は、電子ペンのペン先位置のキャリブレーションにおいて、前記ペン先位置のキャリブレーション用の表示画面をディスプレイにより表示する。前記ペン検出部は、前記ディスプレイの表示面上の前記電子ペンの前記ペン先位置と、当該ペン先位置に対する前記電子ペンの後端部の位置と、を検出し、前記ペン先位置と前記後端部の位置との関係に基づいて前記ディスプレイの表示面上の前記電子ペンの姿勢を検出する。前記ペン検出部は、前記ペン先位置のキャリブレーションにおいて、前記ペン先位置のキャリブレーション用の表示画面が表示された前記ディスプレイの表示面上の前記電子ペンの前記ペン先位置と、当該ペン先位置に対する前記後端部の位置と、を検出し、前記ペン先位置と前記後端部の位置との関係に基づいてユーザが前記電子ペンを把持する姿勢を示す把持態様情報を取得する。前記メモリは、前記把持態様情報と、当該把持態様情報が示す姿勢においてユーザが自然に前記電子ペンを動かせると想定される前記電子ペンの姿勢の範囲であるペン姿勢範囲と、の対応を保持する。前記レベル制御部は、前記把持態様情報に対応する前記ペン姿勢範囲に段階的な制御が要求されるレベル制御の複数の制御レベルを割り当て、前記ペン検出部により検出された前記電子ペンの姿勢に応じて前記レベル制御を行う。
【0007】
本発明の第2態様に係るプログラムは、電子ペンのペン先位置のキャリブレーションにおいて、前記ペン先位置のキャリブレーション用の表示画面をディスプレイにより表示し、前記ディスプレイの表示面上の前記電子ペンの前記ペン先位置と、当該ペン先位置に対する前記電子ペンの後端部の位置と、を検出し、前記ペン先位置と前記後端部の位置との関係に基づいて前記ディスプレイの表示面上の前記電子ペンの姿勢を検出し、前記ペン先位置のキャリブレーションにおいて、前記ペン先位置のキャリブレーション用の表示画面が表示された前記ディスプレイの表示面上の前記電子ペンの前記ペン先位置と、当該ペン先位置に対する前記後端部の位置と、を検出し、前記ペン先位置と前記後端部の位置との関係に基づいてユーザが前記電子ペンを把持する姿勢を示す把持態様情報を取得し、前記把持態様情報と、当該把持態様情報が示す姿勢においてユーザが自然に前記電子ペンを動かせると想定される前記電子ペンの姿勢の範囲であるペン姿勢範囲と、の対応を保持し、前記把持態様情報に対応する前記ペン姿勢範囲に段階的な制御が要求されるレベル制御の複数の制御レベルを割り当て、検出された前記電子ペンの姿勢に応じて前記レベル制御を行うことをコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の上記態様によれば、ペン入力機能におけるユーザの入力操作に係る利便性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態に係るシステムの外観の一例を示す図である。
図2図2は、図1の表示装置の構成の一例を示す図である。
図3図3は、図1の表示装置に対する電子ペンの傾き及び/又は方向の検出について説明するための図である。
図4図4は、実施形態に係るキャリブレーション用の表示画面の一例を示す図である。
図5図5は、実施形態に係るキャリブレーションにおいて取得及び保持される利き手・持ち方情報の一例について説明するための図である。
図6図6は、実施形態に係るペン傾き範囲の一例を示す図である。
図7図7は、実施形態に係るペン傾き範囲の一例を示す図である。
図8図8は、実施形態に係るペン傾き範囲に対する制御レベルの割り当ての一例について説明するための図である。
図9図9は、実施形態に係るペン方向範囲の一例を示す図である。
図10図10は、実施形態に係るペン方向範囲の一例を示す図である。
図11図11は、実施形態に係るペン方向範囲に対する制御レベルの割り当ての一例について説明するための図である。
図12図12は、実施形態に係るキャリブレーション処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図13図13は、実施形態に係るペン傾き範囲に対する制御レベル割当処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図14図14は、実施形態に係るペン方向範囲に対する制御レベル割当処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の例示的な実施形態が開示される。以下に示される実施形態の構成、並びに、当該構成によってもたらされる作用、結果及び効果は、一例である。本発明は、以下の実施形態に開示される他の構成によっても実現可能であるとともに、基本的な構成に基づく種々の効果や派生的な効果のうち、少なくとも一つを得ることが可能である。
【0011】
図1は、実施形態に係るシステム5の外観の一例を示す図である。システム5は、図1に示すように、表示装置1及び電子ペン3を含む。
【0012】
表示装置1は、スマートフォン、タブレット端末、携帯電話、電子ペーパー、PC(Personal Computer)等の電子機器である。図1は、表示装置1は、ペン入力機能を搭載する電子機器の一例として、携帯型のタブレット端末を例示する。
【0013】
表示装置1は、ディスプレイ12及びEMR(電磁誘導授受)(登録商標)センサ14を有する。表示装置1は、電子ペン3のペン先のディスプレイ12の表示面12a上での移動をEMRセンサにより検出することにより、コンテンツに対する手書きでの情報の入力等が可能に構成されている。
【0014】
表示装置1の筐体1aの側面等には、図示を省略した電源スイッチや音量調整等の各種機能を実現するスイッチ類や音声データを出力するスピーカ等が配置されている。また、筐体1aの表示面12a側の一部や表示面12aの裏面側(筐体1aの裏面側、図1ではZ-側)の一部等には、カメラが配置されていてもよい。カメラは、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCIS(CMOS Image Sensor)等の撮像素子を内蔵するデジタルカメラである。
【0015】
なお、表示装置1は、静電容量方式のタッチパネルをさらに有していてもよい。つまり、表示装置1は、電子ペン3に加えて、ユーザの指先等の生体や静電容量方式のペン型入力デバイス(例えばタッチペン)をタッチパネル上で移動させることにより、コンテンツに対する手書きでの情報の入力等が可能に構成されていてもよい。当該タッチパネルは、例えばディスプレイ12の表示面12a上(図1ではZ+側)に設けられる。
【0016】
ディスプレイ12は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)や、OLED(Organic Light Emitting Diode)等である。ディスプレイ12の表示面12aは、例えば、表示装置1の薄い矩形形状の筐体1aの一面側(図1ではZ+側)の略全面に亘って設けられる。
【0017】
EMRセンサ14は、例えば、垂直/水平(図1ではX方向/Y方向)交互の格子状に配置された複数のループコイル14aを有する。複数のループコイル14aは、例えばディスプレイ12の裏面側(図1ではZ-側)に表示面12aに沿って配置される。EMRセンサ14は、複数のループコイル14aのそれぞれから微弱な電磁信号を発することにより、ディスプレイ12を介して、ディスプレイ12の表示面12a上の空間に磁界を発生する。一例として、EMRセンサ14は、表示面12a又は表示面12a上のガラス板からZ+側に5mm程度の範囲に磁界を発生する。また、EMRセンサ14は、複数のループコイル14aのそれぞれにより磁束密度(電磁波強度)又はその変化を検出し、検出した磁束密度(電磁波強度)又はその変化に応じた検出信号を出力する。
【0018】
電子ペン3は、EMR方式のペン型入力デバイスである。電子ペン3は、共振回路31及びサイドスイッチ32を有する。共振回路31は、電子ペン3の先端部3a側に設けられる。共振回路31は、図示を省略したコイル及びコンデンサを有する。電子ペン3は、EMRセンサ14により発生された磁界を受けて共振回路31が共振することにより磁界を発生する。サイドスイッチ32は、ユーザ操作を受け付ける。電子ペン3は、ユーザによりサイドスイッチ32が押下されたことに応じて共振回路31により磁界を発生する周波数を変更可能である。
【0019】
図2は、図1の表示装置1の構成の一例を示す図である。表示装置1は、一般的なPCと同様のハードウェア構成を有している。表示装置1は、図2に示すように、処理回路11、メモリ15及びスピーカ16をさらに有する。また、表示装置1は、図示を省略した通信インタフェースや入出力インタフェース等をさらに有する。
【0020】
処理回路11は、表示装置1の全体を制御するように構成された回路である。一例として、処理回路11は、内部メモリやメモリ15に格納されている情報処理プログラムをロードして実行することにより、表示制御部111、ペン検出部112及びレベル制御部113を含む表示装置1の各機能を実現する。一例として、処理回路11は、表示制御部111、ペン検出部112及びレベル制御部113を含む表示装置1の各機能を実現可能に構成された少なくとも1の専用回路であってもよい。
【0021】
表示制御部111は、ディスプレイ12による表示を制御する。
【0022】
一例として、表示制御部111は、キャリブレーション用の表示画面420(図4参照)をディスプレイ12により表示する。
【0023】
ペン検出部112は、ユーザが電子ペン3を把持する姿勢を示す把持態様情報を取得する。具体的には、ペン検出部112は、EMRセンサ14の出力に基づいて、表示装置1におけるユーザUの利き手・持ち方情報を把持態様情報として取得する。
【0024】
ペン検出部112は、ディスプレイ12の表示面12aに対する電子ペン3の姿勢を検出する。具体的には、ペン検出部112は、EMRセンサ14の出力に基づいて、表示装置1における電子ペン3のペン先位置、傾き及び方向を検出する。ここで、電子ペン3のペン先位置、傾き及び方向は、電子ペン3の姿勢の一例である。また、ペン検出部112は、検出されたペン先位置を用いて、電子ペン3による筆記用途のペン入力及びタップ操作のペン入力に応じた制御を行う。
【0025】
レベル制御部113は、把持態様情報に対応するペン姿勢範囲に制御レベルを割り当てる。ここで、制御レベルとは、段階的な制御が要求されるレベル制御の複数の制御レベルである。また、ペン姿勢範囲は、電子ペン3の姿勢の範囲である。具体的には、レベル制御部113は、利き手・持ち方情報に基づいて、電子ペン3のペン傾き範囲及びペン方向範囲のそれぞれに対して制御レベルを割り当てる。
【0026】
レベル制御部113は、ペン検出部112により検出された電子ペン3の姿勢に応じてレベル制御を行う。具体的には、レベル制御部113は、電子ペン3の傾き及び/又は方向と、割り当てられた制御レベルとを用いて、筆記用途以外のペン入力に応じたレベル制御を行う。
【0027】
なお、処理回路11としては、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)、Mux(Multiplex)、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などの各種のプロセッサが適宜利用可能である。また、処理回路11は、2種類以上の回路要素の組み合わせであってもよい。
【0028】
なお、上記の各種プログラムは、必ずしもメモリ15に記録されている必要はない。例えば、コンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムを、表示装置1が読み出して実行するようにしてもよい。表示装置1が読み取り可能な記録媒体は、例えば、CD-ROMやDVDディスク、USB(Universal Serial Bus)メモリやSSD(Solid State Drive)などのフラッシュメモリ(半導体メモリ)、HDD(Hard Disc Drive)等が対応する。また、公衆回線、インターネット、LAN等に接続された装置に各種のプログラムを記憶させておき、表示装置1がこれらから各種のプログラムを読み出して実行するようにしてもよい。
【0029】
メモリ15は、処理回路11が実行する各プログラムや各プログラムのパラメータを記憶する。また、メモリ15は、処理回路11が演算処理を実行する際に処理中のデータを一時的に記憶する。メモリ15は、例えば、ペン先位置のキャリブレーションにおいて取得された、ユーザが電子ペン3を把持する姿勢を示す把持態様情報を保持する。また、メモリ15は、例えば、把持態様情報及びペン姿勢範囲の対応を保持する。
【0030】
なお、メモリ15としては、ROM(Read Only Memory)やHDD、SSDなどの各種のメモリが適宜利用可能である。また、メモリ15としては、不揮発性メモリに加えて、ワーキングメモリとして利用されるRAM(Random Access Memory)などの揮発性メモリがさらに利用され得る。また、メモリ15は、2種類以上の回路要素の組み合わせであってもよい。
【0031】
スピーカ16は、処理回路11の制御に従い音声等の音を出力する。
【0032】
ここで、本実施形態に係る表示装置1における電子ペン3の傾き及び/又は方向の検出について説明する。図3は、図1の表示装置1に対する電子ペン3の傾き及び/又は方向の検出について説明するための図である。EMRセンサ14の複数のループコイル14aのそれぞれは、電子ペン3により発生された磁界401による電磁波強度に応じた信号レベルで検出信号を出力する。ペン検出部112は、複数のループコイル14aについての信号レベルの分布に基づいて、電子ペン3の傾き及び/又は方向を検出する。
【0033】
具体的には、ペン検出部112は、信号レベルの分布における第1ローブ(極大部分)405、第2ローブ407及び第3ローブ409を特定する。第1ローブ405は、最も信号レベルが大きいローブである。第2ローブ407は、第1ローブ405に次いで信号レベルが大きいローブである。第3ローブ409は、第2ローブ407に次いで信号レベルが大きいローブである。
【0034】
ペン検出部112は、第1ローブ405の表示面12a上の位置に基づいて、電子ペン3の先端部3aに対応する表示面12a上のペン先位置403を検出する。例えば、ペン先位置403は、第1ローブ405の中央部分である。
【0035】
ペン検出部112は、第1ローブ405及び第2ローブ407の表示面12a上の位置に基づいて、電子ペン3の方向を検出する。具体的には、ペン検出部112は、第1ローブ405から第2ローブ407に向かう方向を電子ペン3の方向として検出する。
【0036】
ここで、本実施形態において電子ペン3の方向とは、表示面12aを真上方向(図1ではZ+方向)から見た時の電子ペン3の角度、すなわち電子ペン3の先端部3aに対する後端部3bの方向であるとする。電子ペン3の方向は、表示面12a(図1ではX-Y平面)における、X方向又はY方向に対する角度により規定することができる。
【0037】
ペン検出部112は、第2ローブ407及び第3ローブ409の表示面12a上の位置に基づいて、電子ペン3の傾きを検出する。具体的には、ペン検出部112は、第2ローブ407及び第3ローブ409の信号レベルの差分を用いて電子ペン3の傾きを検出する。
【0038】
ここで、本実施形態において電子ペン3の傾きとは、表示面12aを真横方向(図1ではX方向又はY方向)から見た時の電子ペン3の角度、すなわち表示面12aの法線方向(図1ではZ方向)に対する電子ペン3の先端部3aから後端部3bに向かう方向であるとする。つまり、電子ペン3の傾きは、電子ペン3の先端部3aから後端部3bに向かう方向と表示面12aの法線方向(図1ではZ方向)との成す角により規定することができる。この場合、信号レベルの差分が大きいほど、電子ペン3の傾きは大きい。
【0039】
なお、電子ペン3の傾きは、電子ペン3の先端部3aから後端部3bに向かう方向と表示面12a(図1ではX-Y平面)との成す角により規定してもよい。この場合、信号レベルの差分が大きいほど、電子ペン3の傾きは小さい。
【0040】
ここで、本実施形態に係る表示装置1における電子ペン3のキャリブレーションについて説明する。
【0041】
電子ペン3のキャリブレーションは、例えば表示装置1の端末開封時、すなわち初回の電源オン時や新規ユーザ登録時に実施される。キャリブレーションは、表示装置1の初期セットアップに含まれ得る。キャリブレーションは、表示面12a又は複数のループコイル14aに対する電子ペン3のペン位置に関する。
【0042】
図4は、実施形態に係るキャリブレーション用の表示画面420の一例を示す図である。キャリブレーションにおいて、表示制御部111は、キャリブレーション用の表示画面420をディスプレイ12により表示する。表示画面420は、図4に示すように、メッセージ421及び基準423の表示を含む。メッセージ421は、「普段と同じようにペンを持ち、ペンで点線をなぞってください。描かれた線が点線とずれてもそのまま描き続けてください。次の画面で、描かれた線と点線のズレを補正します。」といったキャリブレーションにおけるユーザ操作の案内である。基準423は、例えばキャリブレーションにおいてユーザが電子ペン3を用いてなぞる対象である。図4は、基準423として点線で表示された矩形枠と×印とを例示する。
【0043】
ペン検出部112は、EMRセンサ14の出力に基づいてペン先位置を特定し、基準423の表示位置に対するペン先位置のキャリブレーションを行う。また、ペン検出部112は、ペン先位置のキャリブレーションを行う際に、EMRセンサ14の出力に基づいて電子ペン3の先端部3aに対する後端部3bの表示面12a上の位置を取得する。
【0044】
ペン検出部112は、表示画面420の向きと、電子ペン3の先端部3aに対する後端部3bの表示面12a上の位置関係とに基づいて、ユーザUの利き手・持ち方情報を取得する。図5は、実施形態に係るキャリブレーションにおいて取得及び保持される利き手・持ち方情報の一例について説明するための図である。ここでは、図5に示すように、Y+方向を上方向とし、Y-方向を下方向とし、X-方向を左方向とし、X+方向を右方向とする。
【0045】
ペン検出部112は、ペン先位置403に対して右下方の領域R1において後端部3bに対応する第3ローブ409の位置が検出されたとき、ユーザUが右利きであり、かつ、ユーザUの電子ペン3の持ち方が通常持ちであると判定する。レベル制御部113は、ユーザUの利き手・持ち方情報として、右利き・通常持ちを示す情報をメモリ15に保持する。
【0046】
ペン検出部112は、ペン先位置403に対して右上方の領域R2において後端部3bに対応する第3ローブ409の位置が検出されたとき、ユーザUが右利きであり、かつ、ユーザUの電子ペン3の持ち方が巻き込み持ちであると判定する。レベル制御部113は、ユーザUの利き手・持ち方情報として、右利き・巻き込み持ちを示す情報をメモリ15に保持する。
【0047】
ペン検出部112は、ペン先位置403に対して左下方の領域L1において後端部3bに対応する第3ローブ409の位置が検出されたとき、ユーザUが左利きであり、かつ、ユーザUの電子ペン3の持ち方が通常持ちであると判定する。レベル制御部113は、ユーザUの利き手・持ち方情報として、左利き・通常持ちを示す情報をメモリ15に保持する。
【0048】
ペン検出部112は、ペン先位置403に対して左上方の領域L2において後端部3bに対応する第3ローブ409の位置が検出されたとき、ユーザUが左利きであり、かつ、ユーザUの電子ペン3の持ち方が巻き込み持ちであると判定する。レベル制御部113は、ユーザUの利き手・持ち方情報として、左利き・巻き込み持ちを示す情報をメモリ15に保持する。
【0049】
ここで、本実施形態に係る表示装置1におけるペン傾き範囲に対する制御レベルの割り当てについて説明する。
【0050】
電子ペン3のペン傾きに応じてレベル制御を行う場合がある。しかしながら、右利きのユーザUと、左利きのユーザUとでは、問題なく電子ペン3を傾ける方向に動かすことのできるペン傾き範囲503が異なる。また、電子ペン3自体の厚みや電子ペン3の極端な傾けの非現実性から、電子ペン3によるペン入力で利用するペン傾き範囲503には制限がある。ここで、ペン傾き範囲503は、ペン姿勢範囲の一例である。
【0051】
そこで、本実施形態に係る表示装置1では、キャリブレーションの際に予め取得されて保持されているユーザUの利き手情報に基づいて、レベル制御において対象とするペン傾き範囲を自動的に割り当てる。ここで、利き手情報は、ユーザの電子ペン3の把持態様情報の一例である。
【0052】
本実施形態では、利き手情報に基づくペン傾き範囲503にページ自動めくりのレベル制御を割り当てる場合を例示する。なお、利き手情報に基づくペン傾き範囲503に割り当てるレベル制御は、ページ自動めくりに限らず、段階的な制御が要求される制御対象であればよい。
【0053】
図6は、実施形態に係るペン傾き範囲503の一例を示す図である。図6は、右利きのユーザUについてのペン傾き範囲503を例示する。右利きのユーザUの場合、持ち手自体を右方に傾けることなく、ペン先位置403を通る表示面12aの法線501に対するペン傾きを右方に大きくすることができる。一方で、法線501に対するペン傾きが左方に大きくなると、持ち手自体を左方に傾ける必要があるなど、自然な操作ではなくなることが想定される。また、法線501に対するペン傾きが右方に極端に大きくなるペン操作は、電子ペン3自体の厚みや電子ペン3の極端な傾けの非現実性から想定され難い。このことから、右利きのユーザUに対しては、法線501に対するペン傾きが左方に大きくなる範囲と右方に極端に大きくなる範囲とを含むペン傾き範囲505についてはレベル制御を割り当てる対象としない。
【0054】
図7は、実施形態に係るペン傾き範囲503の一例を示す図である。図7は、左利きのユーザUについてのペン傾き範囲503を例示する。左利きのユーザUの場合、持ち手自体を左方に傾けることなく、法線501に対するペン傾きを左方に大きくすることができる。一方で、法線501に対するペン傾きが右方に大きくなると、持ち手自体を右方に傾ける必要があるなど、自然な操作ではなくなることが想定される。また、法線501に対するペン傾きが左方に極端に大きくなるペン操作は、電子ペン3自体の厚みや電子ペン3の極端な傾けの非現実性から想定され難い。このことから、左利きのユーザUに対しては、法線501に対するペン傾きが右方に大きくなる範囲と左方に極端に大きくなる範囲とを含むペン傾き範囲505についてはレベル制御を割り当てる対象としない。
【0055】
図8は、実施形態に係るペン傾き範囲503に対する制御レベルの割り当ての一例について説明するための図である。図8は、図6の右利きのユーザUについてのペン傾き範囲503に対してページ自動めくりの制御レベルを割り当てる場合を例示する。
【0056】
レベル制御部113は、図8に示すように、利き手情報に応じた電子ペン3のペン傾き範囲503に対してページ自動めくりの制御レベルを割り当てる。
【0057】
一例として、レベル制御部113は、利き手情報に応じた電子ペン3のペン傾き範囲503に対してページの進み/戻りのレベル制御を割り当てる。例えば、レベル制御部113は、右利きのユーザUに対して、ペン傾き範囲503のうちの法線501より左方のペン傾き範囲に対してページ戻りのレベル制御を割り当てる。例えば、レベル制御部113は、右利きのユーザUに対して、ペン傾き範囲503のうちの法線501より右方のペン傾き範囲に対してページ進みのレベル制御を割り当てる。
【0058】
一例として、レベル制御部113は、利き手情報に応じた電子ペン3のペン傾き範囲503に対してページめくりの速度のレベル制御を割り当てる。例えば、レベル制御部113は、右利きのユーザUに対して、ペン傾き範囲503のうちの法線501より左方のペン傾き範囲において、ペン傾きが左方に大きくなるにつれて戻り速度が高速になるようレベル制御を割り当てる。例えば、レベル制御部113は、右利きのユーザUに対して、ペン傾き範囲503のうちの法線501より左方のペン傾き範囲において、ペン傾きが右方に大きくなるにつれて進みが高速になるようレベル制御を割り当てる。
【0059】
なお、レベル制御の各段階は、ペン傾き範囲503に対する割合で規定されてもよいし、ペン傾きの角度で規定されてもよい。
【0060】
なお、ページの戻り/進みのそれぞれについてのレベル制御の段階は、1段階でもよいし、3段階以上の複数段階であってもよい。また、ページの戻り/進みのレベル制御の段階が異なっていてもよい。
【0061】
なお、ここでは法線501を基準としてページの戻り/進みを切り替える場合を例示したが、これに限らない。例えば、筆記用途からページ自動めくり用途に電子ペン3のペン入力を切り替えることをユーザUがサイドスイッチ32の押下により指示した際の電子ペン3のペン傾きを基準としてページの戻り/進みを切り替えることもできる。つまり、利き手情報に基づくペン傾き範囲に割り当てるレベル制御の基準位置は、動的に設定されてもよい。ここで、基準位置は、電子ペン3の傾きに応じたレベル制御が開始された時点の電子ペン3の傾きの一例である。また、当該レベル制御が開始された時点とは、例えばユーザUがサイドスイッチ32を押下した時点である。
【0062】
なお、持ち方情報に応じたペン傾き範囲503を設定することもできる。つまり、ペン傾き範囲503は、利き手情報及び持ち方情報のうちの少なくともいずれかに基づいて設定されてもよい。
【0063】
ここで、本実施形態に係る表示装置1におけるペン方向範囲に対する制御レベルの割り当てについて説明する。
【0064】
電子ペン3のペン方向に応じてレベル制御を行う場合がある。しかしながら、右利きのユーザUと、左利きのユーザUとでは、問題なく電子ペン3を動かすことのできるペン方向範囲507が異なる。また、通常持ちのユーザUと、巻き込み持ちのユーザUとでは、問題なく電子ペン3を動かすことのできるペン方向範囲507が異なる。ここで、ペン方向範囲507は、ペン姿勢範囲の一例である。
【0065】
そこで、本実施形態に係る表示装置1では、キャリブレーションの際に予め取得されて保持されているユーザUの利き手情報及び持ち方情報に基づいて、レベル制御において対象とするペン傾き方向を自動的に割り当てる。ここで、持ち方情報は、ユーザの電子ペン3の把持態様情報の一例である。
【0066】
本実施形態では、利き手・持ち方情報に基づくペン方向範囲507に音声ボリュームレベルのレベル制御を割り当てる場合を例示する。なお、利き手・持ち方情報に基づくペン方向範囲507に割り当てるレベル制御は、音声ボリュームレベルに限らず、段階的な制御が要求される制御対象であればよい。
【0067】
図9は、実施形態に係るペン方向範囲507の一例を示す図である。図9は、右利き・通常持ちのユーザUについてのペン方向範囲507を例示する。右利き・通常持ちのユーザUの場合、持ち手自体を動かすことなく、後端部3bが主として右下方に位置するペン方向範囲507において、ペン先位置403まわりに表示面12aに沿ってペン方向を回転することができる。
【0068】
図10は、実施形態に係るペン方向範囲507の一例を示す図である。図9は、左利き・巻き込み持ちのユーザUについてのペン方向範囲507を例示する。左利き・巻き込み持ちのユーザUの場合、持ち手自体を動かすことなく、後端部3bが主として左上方に位置するペン方向範囲507において、ペン先位置403まわりに表示面12aに沿ってペン方向を回転することができる。
【0069】
なお、右利き・巻き込み持ちのユーザUについてのペン方向範囲507は、後端部3bが主として右上方に位置するペン方向の範囲である。また、左利き・通常持ちのユーザUについてのペン方向範囲507は、後端部3bが主として左下方に位置するペン方向の範囲である。
【0070】
図11は、実施形態に係るペン方向範囲507に対する制御レベルの割り当ての一例について説明するための図である。図11は、図9の右利き・通常持ちのユーザUについてのペン方向範囲507に対して音声ボリュームレベルのレベル制御を割り当てる場合を例示する。
【0071】
レベル制御部113は、図11に示すように、利き手情報に応じた電子ペン3のペン方向範囲507に対して音声ボリュームレベルの制御レベルを割り当てる。例えば、レベル制御部113は、右利き・通常持ちのユーザUに対して、ペン方向範囲507のうちの後端部3bが右方から左下方へ向かうにつれて音声ボリュームレベルが大きくなるようレベル制御を割り当てる。
【0072】
なお、レベル制御の各段階は、ペン方向範囲507に対する割合で規定されてもよいし、ペン方向の角度で規定されてもよい。
【0073】
なお、音声ボリュームレベルについてのレベル制御の段階は、任意の段数とすることができる。
【0074】
なお、ペン方向範囲507に対して、ペン傾き範囲の場合と同様にして、ある基準方向に対するペン方向の角度に応じてボリュームレベルを増減するようにレベル制御を割り当てることもできる。
【0075】
なお、ペン傾き範囲の場合と同様にして、利き手情報だけに応じたペン方向範囲507を設定することもできる。あるいは、持ち方情報だけに応じたペン方向範囲507を設定することもできる。つまり、ペン方向範囲507は、利き手情報及び持ち方情報のうちの少なくともいずれかに基づいて設定されてもよい。
【0076】
そして、レベル制御部113は、以上のようにしてペン傾き範囲503及び/又はペン方向範囲507に対して割り当てられた制御レベルと、ペン検出部112により検出された電子ペン3の傾き及び/又は方向とに基づいて、筆記用途以外のペン入力に応じた表示装置1のレベル制御を行う。
【0077】
ここで、図面を参照しつつ、実施形態に係る表示装置1の動作の一例を説明する。
【0078】
図12は、実施形態に係るキャリブレーション処理の流れの一例を示すフローチャートである。表示制御部111は、キャリブレーション用の表示画面420をディスプレイ12により表示する(S101)。ペン検出部112は、ペン先位置のキャリブレーションを行う際に、EMRセンサ14の出力に基づいて電子ペン3の先端部3aに対する後端部3bの表示面12a上の位置を取得する。また、ペン検出部112は、表示画面420の向きと、電子ペン3の先端部3aに対する後端部3bの表示面12a上の位置関係とに基づいて、ユーザの利き手・持ち方情報を取得する(S102)。レベル制御部113は、ユーザの利き手・持ち方情報をメモリ15に保持する(S103)。
【0079】
図13は、実施形態に係るペン傾き範囲に対する制御レベル割当処理の流れの一例を示すフローチャートである。レベル制御部113は、ユーザがログインしたとき(S201)、ログインしたユーザについての利き手情報をメモリ15から読み出す(S202)。また、レベル制御部113は、利き手情報に基づくペン傾き範囲にページ自動めくりの制御レベルを割り当てる(S203)。その後、レベル制御部113は、ユーザによる電子ペン3を傾けるペン入力に応じて、そのペン傾きに割り当てられたレベルを用いてレベル制御を行う。
【0080】
図14は、実施形態に係るペン方向範囲に対する制御レベル割当処理の流れの一例を示すフローチャートである。レベル制御部113は、ユーザがログインしたとき(S301)、ログインしたユーザについての利き手情報及び持ち方情報をメモリ15から読み出す(S302)。また、レベル制御部113は、利き手情報及び持ち方情報に基づくペン方向範囲に音声ボリュームレベルの制御レベルを割り当てる(S303)。その後、レベル制御部113は、ユーザによる電子ペン3をペン先位置403まわりに回転させるペン入力に応じて、そのペン方向に割り当てられたレベルを用いてレベル制御を行う。
【0081】
なお、上述の実施形態において、ペン傾き範囲及びペン方向範囲のそれぞれについて、その全範囲に亘って制御レベルを割り当てる場合を例示したが、これに限らない。制御レベルは、ペン傾き範囲及びペン方向範囲のそれぞれについて、その一部に対してだけ割り当てることもできる。
【0082】
なお、上述の実施形態では、ペン傾き範囲及びペン方向範囲のそれぞれについて、予め利き手及び持ち方の少なくともいずれかに応じて規定されている場合を例示したが、これに限らない。ペン傾き範囲及びペン方向範囲は、キャリブレーションにおいてユーザの電子ペン3を傾けたり回転させたりするペン入力に応じて取得されてもよい。
【0083】
なお、上述の実施形態では、ペン傾き範囲及びペン方向範囲をそれぞれ異なるレベル制御に割り当てる場合を例示したが、これに限らない。一つのレベル制御をペン傾き範囲及びペン方向範囲に割り当てることもできる。例えば、表示装置1は、ディスプレイ12のフロントライトの輝度調整において、寒色のColdライトと、暖色のWarmライトとのそれぞれについてレベル制御可能に構成されているとする。この場合、ColdライトとWarmライトとのいずれか一方にペン傾き範囲を割り当て、他方にペン方向範囲を割り当てることもできる。これにより、ユーザは、電子ペン3の傾きを変えつつ方向を変えることにより、2種類のフロントライト制御を一度のペン入力により同時に実現することができる。
【0084】
なお、上述の実施形態では、ディスプレイ12を有する表示装置1を例示して実施形態に係る電子機器を説明したが、これに限らない。実施形態に係る電子機器は、外部のディスプレイ又は他の電子機器に接続される、ペン入力装置として構成されてもよい。つまり、実施形態に係る電子機器において、ディスプレイ12は必須の構成ではない。
【0085】
以上説明したように、実施形態に係る表示装置1は、処理回路11と、メモリ15とを備える。処理回路11(ペン検出部112)は、電子ペン3の姿勢を検出する。メモリ15は、ユーザが電子ペン3を把持する姿勢を示す把持態様情報を保持する。処理回路11(レベル制御部113)は、把持態様情報に対応する電子ペン3の姿勢の範囲であるペン姿勢範囲に段階的な制御が要求されるレベル制御の複数の制御レベルを割り当て、ペン検出部112により検出された電子ペン3の姿勢に応じてレベル制御を行う。
【0086】
また、実施形態に係るプログラムは、電子ペン3の姿勢を検出し、ユーザが電子ペン3を把持する姿勢を示す把持態様情報を保持し、把持態様情報に対応する電子ペン3の姿勢の範囲であるペン姿勢範囲に段階的な制御が要求されるレベル制御の複数の制御レベルを割り当て、検出された電子ペン3の姿勢に応じてレベル制御を行うことをコンピュータに実行させる。
【0087】
この構成によれば、少なくともEMR方式でのペン入力可能に構成された電子機器において、ユーザのペンの把持態様に応じて検知対象範囲とするペン姿勢範囲を自動的に制御することができる。このため、上記構成によれば、筆記用途以外のレベル制御を電子ペン3によるペン入力で実現することができる。したがって、ユーザは、電子ペン3の把持態様によらず、操作範囲が常に自然に電子ペン3を動かせる範囲となり、電子ペン3による「レベル」の制御に係るペン入力操作を不便なく実施できるようになる。換言すれば、ペン入力機能におけるユーザの入力操作に係る利便性を向上することができる。
【0088】
また、実施形態に係る表示装置1において、電子ペン3の姿勢は、電子ペン3のペン傾き及びペン方向の少なくともいずれかである。この構成によれば、筆記用途以外のレベル制御を電子ペン3によるペン入力で実現することができる。
【0089】
また、実施形態に係る表示装置1において、把持態様情報は、ユーザが左右のいずれの手で電子ペン3を使用するかを示す利き手情報と、ユーザの電子ペン3の持ち方を示す持ち方情報との少なくともいずれかである。この構成によれば、ユーザの電子ペン3の把持態様によらず、常にユーザが自然に電子ペン3を動かせる範囲を操作範囲とすることができる。
【0090】
また、実施形態に係る表示装置1は、ディスプレイ12をさらに備える。処理回路11(表示制御部111)は、電子ペン3のペン先位置403のキャリブレーション用の表示画面420をディスプレイ12により表示する。電子ペン3の姿勢は、ディスプレイ12の表示面12a上の姿勢である。処理回路11(ペン検出部112)は、キャリブレーション用の表示画面420を表示するディスプレイ12の表示面12a上における、ペン先位置403に対する電子ペン3の後端部3bの位置を検出し、ペン先位置403と後端部3bの位置との関係に基づいて把持態様情報を取得する。この構成によれば、ペン先位置403のキャリブレーションにおいて、把持態様情報を取得することができる。
【0091】
また、実施形態に係る表示装置1において、メモリ15は、把持態様情報とペン姿勢範囲との対応を保持する。この構成によれば、ユーザのペンの把持態様に応じて検知対象範囲とするペン姿勢範囲を自動的に制御することができる。
【0092】
また、実施形態に係る表示装置1において、処理回路11(レベル制御部113)は、電子ペン3の姿勢に応じたレベル制御が開始された時点の電子ペン3の姿勢を基準として、ペン姿勢範囲に複数の制御レベルを割り当てる。この構成によれば、ユーザのペンの把持態様に応じて検知対象範囲とするペン姿勢範囲を動的、かつ、自動的に制御することができる。
【0093】
なお、本実施形態の表示装置1のプロセッサで実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0094】
さらに、本実施形態で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、本実施形態で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。
【0095】
以上説明した少なくとも1の実施形態によれば、ペン入力機能におけるユーザの入力操作に係る利便性を向上することができる。
【0096】
本発明の実施形態及び変形例を説明したが、この実施形態及び変形例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態及び変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0097】
(付記)
(1)
電子ペンの姿勢を検出するペン検出部と、
ユーザが前記電子ペンを把持する姿勢を示す把持態様情報を保持するメモリと、
前記把持態様情報に対応する前記電子ペンの姿勢の範囲であるペン姿勢範囲に段階的な制御が要求されるレベル制御の複数の制御レベルを割り当て、前記ペン検出部により検出された前記電子ペンの姿勢に応じて前記レベル制御を行うレベル制御部と
を備える電子機器。
(2)
前記電子ペンの姿勢は、前記電子ペンのペン傾き及びペン方向の少なくともいずれかである、上記(1)に記載の電子機器。
(3)
前記把持態様情報は、前記ユーザが左右のいずれの手で前記電子ペンを使用するかを示す利き手情報と、前記ユーザの前記電子ペンの持ち方を示す持ち方情報との少なくともいずれかである、上記(1)又は上記(2)に記載の電子機器。
(4)
ディスプレイと、
前記電子ペンのペン先位置のキャリブレーション用の表示画面を前記ディスプレイにより表示する表示制御部をさらに備え、
前記電子ペンの姿勢は、前記ディスプレイの表示面上の姿勢であり、
前記ペン検出部は、前記キャリブレーション用の表示画面を表示する前記ディスプレイの表示面上における、前記ペン先位置に対する前記電子ペンの後端部の位置を検出し、前記ペン先位置と前記後端部の位置との関係に基づいて前記把持態様情報を取得する、
上記(1)から上記(3)のうちのいずれかに記載の電子機器。
(5)
前記メモリは、前記把持態様情報と前記ペン姿勢範囲との対応を保持する、上記(1)から上記(4)のうちのいずれかに記載の電子機器。
(6)
前記レベル制御部は、前記電子ペンの姿勢に応じた前記レベル制御が開始された時点の前記電子ペンの姿勢を基準として、前記ペン姿勢範囲に前記複数の制御レベルを割り当てる、上記(1)から上記(4)のうちのいずれかに記載の電子機器。
(7)
電子ペンの姿勢を検出し、
ユーザが前記電子ペンを把持する姿勢を示す把持態様情報を保持し、
前記把持態様情報に対応する前記電子ペンの姿勢の範囲であるペン姿勢範囲に段階的な制御が要求されるレベル制御の複数の制御レベルを割り当て、検出された前記電子ペンの姿勢に応じて前記レベル制御を行う
ことをコンピュータに実行させるためのプログラム。
(8)
前記コンピュータにより実行されるプログラムであって、上記(7)に記載の前記プログラムが記録された記録媒体。
【符号の説明】
【0098】
1 表示装置
1a 筐体
11 処理回路
111 表示制御部
112 ペン検出部
113 レベル制御部
12 ディスプレイ
12a 表示面
14 EMRセンサ
14a 複数のループコイル
15 メモリ
16 スピーカ
【要約】      (修正有)
【課題】ペン入力機能におけるユーザの入力操作に係る利便性を向上する電子機器及びプログラムを提供する。
【解決手段】表示装置1及び電子ペン3を含むシステム5において、電子機器である表示装置1は、ペン検出部112と、メモリ15と、レベル制御部113とを備える。ペン検出部112は、電子ペン3の姿勢を検出する。メモリ15は、ユーザが電子ペン3を把持する姿勢を示す把持態様情報を保持する。レベル制御部113は、把持態様情報に対応する電子ペン3の姿勢の範囲であるペン姿勢範囲に段階的な制御が要求されるレベル制御の複数の制御レベルを割り当て、ペン検出部112により検出された電子ペン3の姿勢に応じてレベル制御を行う。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14