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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-16
(45)【発行日】2024-04-24
(54)【発明の名称】冷凍サイクルシステム
(51)【国際特許分類】
   F25B 1/00 20060101AFI20240417BHJP
   F25B 7/00 20060101ALI20240417BHJP
【FI】
F25B1/00 397E
F25B1/00 101F
F25B1/00 341D
F25B1/00 351N
F25B7/00 E
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022519643
(86)(22)【出願日】2021-05-10
(86)【国際出願番号】 JP2021017755
(87)【国際公開番号】W WO2021225178
(87)【国際公開日】2021-11-11
【審査請求日】2022-11-07
(31)【優先権主張番号】P 2020082789
(32)【優先日】2020-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】山野井 喜記
(72)【発明者】
【氏名】井吉 悠太
【審査官】庭月野 恭
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-077042(JP,A)
【文献】特開2012-112615(JP,A)
【文献】特開2007-248001(JP,A)
【文献】特開2003-028524(JP,A)
【文献】国際公開第2018/235832(WO,A1)
【文献】特開昭59-038568(JP,A)
【文献】特開2012-184873(JP,A)
【文献】特開2000-121183(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 1/00
F25B 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1サイクル(10)と第2サイクル(5a)とを備える冷凍サイクルシステム(1)であって、
前記第1サイクルは、第1圧縮機(21)と、カスケード熱交換器(35)と、第1膨張部(36、11)と、第1熱交換器(52a、52b、52c)とが接続され、二酸化炭素冷媒が循環しており、前記第1圧縮機と前記カスケード熱交換器とを接続する第1流路(25)と、前記カスケード熱交換器と前記第1膨張部とを接続する第2流路(26)と、前記第1熱交換器と前記第1圧縮機とを接続する第3流路(23)と、開閉可能な開閉弁(49)を有しており、前記第1流路および前記第2流路の少なくとも一方と前記第3流路とを接続するバイパス流路(47、47a、41、41a)とを含み、
前記第2サイクルは、前記カスケード熱交換器を有し、二酸化炭素冷媒とは異なる熱媒体が循環しており、
前記カスケード熱交換器を前記第1サイクルの放熱器および前記第2サイクルの吸熱器として用いる場合に、前記第2サイクルにおいて前記熱媒体が前記カスケード熱交換器に流れた後に、前記第1サイクルの前記第1圧縮機が起動し、前記第2サイクルにおいて前記熱媒体が前記カスケード熱交換器に流れ初めた後から前記第1圧縮機が起動するまでの間は前記開閉弁は開状態であり、前記第1圧縮機の起動時または起動した後に前記開閉弁が閉状態となる、
冷凍サイクルシステム。
【請求項2】
第1サイクル(10)と第2サイクル(5a)とを備える冷凍サイクルシステム(1)であって、
前記第1サイクルは、第1圧縮機(21)と、カスケード熱交換器(35)と、第1膨張部(36、11)と、第1熱交換器(52a、52b、52c)とが接続され、二酸化炭素冷媒が循環しており、前記第1圧縮機と前記カスケード熱交換器とを接続しており油分離器(34)を有する第1流路(25)と、前記カスケード熱交換器と前記第1膨張部とを接続する第2流路(26)と、前記第1熱交換器と前記第1圧縮機とを接続する第3流路(23)と、前記第1流路および前記第2流路の少なくとも一方と前記第3流路とを接続するバイパス流路(47、47a、41、41a)と、前記油分離器(34)と前記第3流路(23)とを接続する油戻し回路(40)と、を含み、
前記第2サイクルは、前記カスケード熱交換器を有し、二酸化炭素冷媒とは異なる熱媒体が循環しており、
前記カスケード熱交換器を前記第1サイクルの放熱器および前記第2サイクルの吸熱器として用いる場合に、前記第2サイクルにおいて前記熱媒体が前記カスケード熱交換器に流れ初めた後から前記第1圧縮機が起動するまでの間、前記第3流路(23)の前記二酸化炭素冷媒を前記バイパス流路を介して前記カスケード熱交換器に導いた後に、前記第1サイクルの前記第1圧縮機が起動する、
冷凍サイクルシステム。
【請求項3】
前記第2サイクルは、第2圧縮機(71)を有しており、
前記カスケード熱交換器を前記第1サイクルの放熱器および前記第2サイクルの吸熱器として用いる場合に、前記第2圧縮機が起動した後に、前記第1圧縮機が起動する、
請求項1または2に記載の冷凍サイクルシステム。
【請求項4】
前記第3流路における冷媒圧力または冷媒温度を検出するセンサ(37)をさらに備え、
前記カスケード熱交換器を前記第1サイクルの放熱器および前記第2サイクルの吸熱器として用いる場合に、前記センサの検出値が所定値以下である場合に前記第1圧縮機が起動する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の冷凍サイクルシステム。
【請求項5】
前記第3流路における冷媒圧力または冷媒温度を検出するセンサ(37)をさらに備え、
前記カスケード熱交換器を前記第1サイクルの放熱器および前記第2サイクルの吸熱器として用いる場合に、前記センサの検出値が所定値以下であることと、前記第2サイクルにおいて前記熱媒体が前記カスケード熱交換器に流れ初めてから所定時間が経過したことと、のいずれかを満たした場合に前記第1圧縮機が起動する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の冷凍サイクルシステム。
【請求項6】
前記バイパス流路は、冷媒を減圧する減圧機構(48)を有している、
請求項1から5のいずれか1項のいずれか1項に記載の冷凍サイクルシステム。
【請求項7】
前記第1サイクルは、切換機構(22)をさらに含んでおり、
前記切換機構は、前記第1圧縮機から吐出された冷媒を前記カスケード熱交換器に送る状態と、前記第1圧縮機から吐出された冷媒を前記第1熱交換器に送る状態と、を切り換え、
前記第3流路は、前記切換機構と前記第1圧縮機とを接続する吸入流路(23)を含んでおり、
前記バイパス流路は、前記第1流路および前記第2流路の少なくとも一方と前記吸入流路とを接続し、
前記切換機構が前記第1圧縮機から吐出された冷媒を前記カスケード熱交換器に送る状態となっている場合に、前記カスケード熱交換器を前記第1サイクルの放熱器および前記第2サイクルの吸熱器として用いる運転を開始する、
請求項1から6のいずれか1項に記載の冷凍サイクルシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍サイクルシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、一次側の冷媒回路と二次側の冷媒回路とをカスケード熱交換器を介して接続させた二元冷凍装置が知られている。このような二元冷凍装置の二次側の冷媒回路において二酸化炭素冷媒を用いる場合には、二次側の冷媒回路における起動時において、吐出冷媒の圧力が過渡的に上昇してしまうことから、二次側の冷媒回路における設計圧力が高まってしまうという課題がある。
【0003】
これに対して、例えば、特許文献1(特開2004-190917号公報)に記載の冷凍装置では、一次側の冷媒回路を構成する圧縮機を起動させた後に、二次側の冷媒回路を構成する圧縮機を起動させることにより、二次側の冷媒回路の起動時における過渡的な吐出冷媒圧力の上昇を抑制させることを提案している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記引用文献1に記載の冷凍装置では、二次側の冷媒回路において圧縮機から吐出された後にカスケード熱交換器を流れる冷媒の圧力については、上昇を抑制できるものの、二次側の冷媒回路における圧縮機の吸入側の冷媒の圧力については、なんら考慮されていない。二次側の冷媒回路における圧縮機の吸入側の冷媒の圧力が高い状態のままで圧縮機を起動させると、二次側の冷媒回路における圧縮機の吐出側の冷媒の圧力が上昇しすぎてしまうおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1観点に係る冷凍サイクルシステムは、第1サイクルと第2サイクルとを備える。第1サイクルは、第1圧縮機とカスケード熱交換器と第1膨張部と第1熱交換器とを有しており、これらが互いに接続されている。第1サイクルは、二酸化炭素冷媒が循環する。第1サイクルは、第1流路と、第2流路と、第3流路と、バイパス流路と、を含んでいる。第1流路は、第1圧縮機とカスケード熱交換器とを接続する。第2流路は、カスケード熱交換器と第1膨張部とを接続する。第3流路は、第1熱交換器と第1圧縮機とを接続する。バイパス流路は、第1流路および第2流路の少なくとも一方と、第3流路と、を接続する。第2サイクルは、カスケード熱交換器を有している。第2サイクルは、二酸化炭素冷媒とは異なる熱媒体が循環する。冷凍サイクルシステムでは、カスケード熱交換器を第1サイクルの放熱器および第2サイクルの吸熱器として用いる場合に、第2サイクルにおいて熱媒体がカスケード熱交換器に流れた後に、第1サイクルの第1圧縮機が起動する。
【0006】
なお、第1流路は、第1圧縮機の吐出側とカスケード熱交換器の一端との間で延びている流路であってよい。第2流路は、カスケード熱交換器の他端と第1膨張部との間で延びている流路であってよい。第3流路は、第1熱交換器の一端と第1圧縮機の吸入側との間で延びている流路であってよい。カスケード熱交換器は、第1サイクルを循環する二酸化炭素冷媒と、第2サイクルを循環する熱媒体との間で熱交換を行わせるものであってよい。
【0007】
なお、第1サイクルが冷媒の流れを切り替える切換機構を有していてもよい。第1サイクルが切換機構を有している場合には、第3流路は、切換機構から第1圧縮機の吸入側までの間で延びている流路であってよい。また、第1サイクルが切換機構を有している場合には、第1流路は、切換機構からカスケード熱交換器の一端との間で延びている流路であってよい。
【0008】
また、バイパス流路は、第1流路および第2流路の少なくとも一方と、第3流路と、を常時接続していてもよいし、開閉弁等を用いて接続状態と非接続状態との切り換えが可能なように接続していてもよい。
【0009】
また、第2サイクルを循環する熱媒体は、二酸化炭素冷媒とは異なる熱媒体であれば特に限定されず、例えば、R32、ブライン、水等であってもよい。
【0010】
この冷凍サイクルシステムでは、第1サイクルにおける第1圧縮機の吸入側の冷媒の圧力が高い状態のままで第1圧縮機が起動することを防ぐことができる。これにより、第1サイクルの起動時における第1圧縮機の吐出側の冷媒の圧力の上昇を抑制させることが可能になる。
【0011】
第2観点に係る冷凍サイクルシステムは、第1観点に係る冷凍サイクルシステムにおいて、第2サイクルは、第2圧縮機を有している。この冷凍サイクルシステムでは、カスケード熱交換器を第1サイクルの放熱器および第2サイクルの吸熱器として用いる場合に、第2圧縮機が起動した後に、第1圧縮機が起動する。
【0012】
この冷凍サイクルシステムでは、第2圧縮機が起動した後に第1圧縮機を起動させることにより、第1サイクルの第1圧縮機の起動時に、第2サイクルにおいて吸熱器として機能するカスケード熱交換器に熱媒体が流れている状態を、より確実に確保することが可能になる。
【0013】
第3観点に係る冷凍サイクルシステムは、第1観点または第2観点に係る冷凍サイクルシステムにおいて、第3流路における冷媒圧力または冷媒温度を検出するセンサをさらに備えている。この冷凍サイクルシステムでは、カスケード熱交換器を第1サイクルの放熱器および第2サイクルの吸熱器として用いる場合に、センサの検出値が所定値以下である場合に第1圧縮機が起動する。
【0014】
この冷凍サイクルシステムでは、第1サイクルの起動時における第1圧縮機の吐出側の冷媒の圧力の上昇をより確実に抑制させることが可能になる。
【0015】
第4観点に係る冷凍サイクルシステムは、第1観点または第2観点に係る冷凍サイクルシステムにおいて、第3流路における冷媒圧力または冷媒温度を検出するセンサをさらに備えている。この冷凍サイクルシステムでは、カスケード熱交換器を第1サイクルの放熱器および第2サイクルの吸熱器として用いる場合に、センサの検出値が所定値以下であることと、第2サイクルにおいて熱媒体がカスケード熱交換器に流れ初めてから所定時間が経過したことと、のいずれかを満たした場合に第1圧縮機が起動する。
【0016】
この冷凍サイクルシステムでは、センサの検出値が所定値以下になった場合には迅速に第1サイクルを起動させることができ、センサの検出値が所定値以下にならないままで所定時間が経過した場合には第1サイクルが起動されない状態が長く維持されてしまうことを抑制できる。
【0017】
第5観点に係る冷凍サイクルシステムは、第1観点から第4観点のいずれかに係る冷凍サイクルシステムにおいて、バイパス流路は、冷媒を減圧する減圧機構を有している。
【0018】
この冷凍サイクルシステムでは、第1流路および第2流路の少なくとも一方から第3流路に過剰な量の冷媒が流れることを抑制できる。
【0019】
第6観点に係る冷凍サイクルシステムは、第1観点から第5観点のいずれかに係る冷凍サイクルシステムにおいて、バイパス流路は、開閉可能な開閉弁を有している。この冷凍サイクルシステムでは、カスケード熱交換器を第1サイクルの放熱器および第2サイクルの吸熱器として用いる場合に、第2サイクルにおいて熱媒体がカスケード熱交換器に流れ初めた後から第1圧縮機が起動するまでの間は開閉弁は開状態であり、第1圧縮機の起動時または起動した後に開閉弁が閉状態となる。
【0020】
開閉弁は、開状態と閉状態との2つの状態が切り換えられるものであってもよいし、弁開度を調節可能なものであってもよい。
【0021】
また、第2サイクルにおいて熱媒体がカスケード熱交換器に流れ初める前から熱媒体がカスケード熱交換器に流れ初める時までについても、開閉弁は開状態であってよい。
【0022】
この冷凍サイクルシステムでは、第1圧縮機が起動するまでは第1圧縮機の吸入側の冷媒の圧力を低下させることが可能であり、第1圧縮機の起動後は、第1圧縮機の吐出側からバイパス流路を介して第1圧縮機の吸入側に冷媒が流れる状態を回避することができる。
【0023】
第7観点に係る冷凍サイクルシステムは、第1観点から第6観点のいずれかに係る冷凍サイクルシステムにおいて、第1サイクルは、切換機構をさらに含んでいる。切換機構は、第1圧縮機から吐出された冷媒をカスケード熱交換器に送る状態と、第1圧縮機から吐出された冷媒を第1熱交換器に送る状態と、を切り換える。第3流路は、切換機構と第1圧縮機とを接続する吸入流路を含んでいる。バイパス流路は、第1流路および第2流路の少なくとも一方と吸入流路とを接続する。切換機構が第1圧縮機から吐出された冷媒をカスケード熱交換器に送る状態となっている場合に、カスケード熱交換器を第1サイクルの放熱器および第2サイクルの吸熱器として用いる運転を開始する。
【0024】
この冷凍サイクルシステムでは、第1熱交換器を冷媒の放熱器および吸熱器として用いることができる構造を備えつつ、第1熱交換器を冷媒の吸熱器として用いる場合の第1サイクルの起動時における第1圧縮機の吐出側の冷媒の圧力の上昇を抑制させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】冷凍サイクルシステムの概略構成図である。
図2】冷凍サイクルシステム1の概略機能ブロック構成図である。
図3】冷凍サイクルシステムの冷房運転における動作(冷媒の流れ)を示す図である。
図4】冷凍サイクルシステムの暖房運転における動作(冷媒の流れ)を示す図である。
図5】冷凍サイクルシステムの冷暖同時運転(冷房主体)における動作(冷媒の流れ)を示す図である。
図6】冷凍サイクルシステムの冷暖同時運転(暖房主体)における動作(冷媒の流れ)を示す図である。
図7】冷凍サイクルシステムの起動制御フローチャートである。
図8】他の実施形態Aに係る冷凍サイクルシステムの概略構成図である。
図9】他の実施形態Bに係る冷凍サイクルシステムの概略構成図である。
図10】他の実施形態Fに係る冷凍サイクルシステムの概略構成図である。
図11】他の実施形態Gに係る熱源ユニットと一次側ユニットの接続形態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(1)冷凍サイクルシステムの構成
図1は、冷凍サイクルシステム1の概略構成図である。図2は、冷凍サイクルシステム1の概略機能ブロック構成図である。
【0027】
冷凍サイクルシステム1は、蒸気圧縮式の冷凍サイクル運転を行うことによって、ビル等の室内の冷暖房に使用される装置である。
【0028】
冷凍サイクルシステム1は、一次側ユニット5と二次側ユニット4(冷凍サイクル装置に相当)とを有しており、二元冷凍サイクルを行う二元冷媒回路を備えている。
【0029】
一次側ユニット5は、蒸気圧縮式の一次側冷媒回路5a(第2サイクルに相当)を有している。一次側冷媒回路5aには、冷媒として、R32(熱媒体に相当)等が封入されている。
【0030】
二次側ユニット4は、蒸気圧縮式の二次側冷媒回路10(第1サイクルに相当)を有している。二次側冷媒回路10には、冷媒として、二酸化炭素が封入されている。一次側ユニット5と二次側ユニット4とは、後述するカスケード熱交換器35を介して連結されている。
【0031】
二次側ユニット4は、複数の利用ユニット3a、3b、3cと対応する複数の分岐ユニット6a、6b、6cが対応する第1接続管15a、15b、15cおよび第2接続管16a、16b、16cを介して接続され、かつ、複数の分岐ユニット6a、6b、6cと熱源ユニット2が3つの連絡管7、8、9を介して接続されることによって構成されている。複数の利用ユニット3a、3b、3cは、本実施形態では、第1利用ユニット3aと、第2利用ユニット3bと、第3利用ユニット3cと、の3台である。複数の分岐ユニット6a、6b、6cは、本実施形態では、第1分岐ユニット6aと、第2分岐ユニット6bと、第3分岐ユニット6cと、の3台である。熱源ユニット2は、本実施形態では、1台である。3つの冷媒連絡管は、第1連絡管8と、第2連絡管9と、第3連絡管7である。第1連絡管8には、運転状態に応じて、超臨界状態の冷媒と気液二相状態の冷媒とガス状態の冷媒とのいずれかの冷媒が流れる。第2連絡管9には、運転状態に応じて、気液二相状態の冷媒とガス状態の冷媒とのいずれかの冷媒が流れる。第3連絡管7には、運転状態に応じて、超臨界状態の冷媒と気液二相状態の冷媒と液状態の冷媒とのいずれかの冷媒が流れる。
【0032】
そして、冷凍サイクルシステム1では、各利用ユニット3a、3b、3cが個別に冷房運転または暖房運転を行うことが可能になっており、暖房運転を行う利用ユニットから冷房運転を行う利用ユニットに冷媒を送ることで利用ユニット間において熱回収を行うことが可能になるように構成されている。具体的には、本実施形態では、冷房運転と暖房運転とを同時に行う冷房主体運転や暖房主体運転を行うことで、熱回収が行われる。また、冷凍サイクルシステム1では、上記の熱回収(冷房主体運転や暖房主体運転)も考慮した複数の利用ユニット3a、3b、3c全体の熱負荷に応じて、熱源ユニット2の熱負荷をバランスさせるように構成されている。
【0033】
(2)一次側ユニット
一次側ユニット5は、一次側冷媒回路5aと、一次側ファン75と、一次側制御部70と、を有している。
【0034】
一次側冷媒回路5aは、一次側圧縮機71(第2圧縮機に相当)と、一次側切換機構72と、一次側熱交換器74と、一次側膨張弁76と、二次側冷媒回路10と共有しているカスケード熱交換器35と、を有している。一次側冷媒回路5aは、冷凍サイクルシステム1において一次側の冷媒回路を構成しており、内部をR32等の冷媒が循環する。
【0035】
一次側圧縮機71は、一次側の冷媒を圧縮するための機器であり、例えば、圧縮機モータ71aをインバータ制御することで運転容量を可変することが可能なスクロール型等の容積式圧縮機からなる。
【0036】
カスケード熱交換器35を一次側の冷媒の蒸発器として機能させる場合には、一次側切換機構72は、一次側圧縮機71の吸入側とカスケード熱交換器35の一次側流路35bのガス側とを接続する第5接続状態となる(図1の一次側切換機構72の実線を参照)。また、一次側切換機構72は、カスケード熱交換器35を一次側の冷媒の放熱器として機能させる場合には、一次側圧縮機71の吐出側とカスケード熱交換器35の一次側流路35bのガス側とを接続する第6接続状態となる(図1の一次側切換機構72の破線を参照)。このように、一次側切換機構72は、一次側冷媒回路5a内における冷媒の流路を切り換えることが可能な機器であり、例えば、四路切換弁からなる。そして、一次側切換機構72の切り換え状態を変更することによって、カスケード熱交換器35を一次側の冷媒の蒸発器または放熱器として機能させることが可能になっている。
【0037】
カスケード熱交換器35は、一次側の冷媒であるR32等の冷媒と、二次側の冷媒である二酸化炭素と、の間で互いに混合させることなく熱交換を行わせるための機器である。カスケード熱交換器35は、例えば、プレート型熱交換器からなる。カスケード熱交換器35は、二次側冷媒回路10に属する二次側流路35aと、一次側冷媒回路5aに属する一次側流路35bと、を有している。二次側流路35aは、そのガス側が第3熱源配管25(第1流路に相当)を介して二次側切換機構22に接続され、その液側が第4熱源配管26(第2流路に相当)を介して熱源側膨張弁36に接続されている。一次側流路35bは、そのガス側が一次側切換機構72を介して一次側圧縮機71に接続され、その液側が一次側膨張弁76に接続されている。
【0038】
一次側膨張弁76は、一次側冷媒回路5aのカスケード熱交換器35と一次側熱交換器74との間の液配管に設けられている。一次側膨張弁76は、一次側冷媒回路5aの液側の部分を流れる一次側の冷媒の流量の調節等を行う、開度調節が可能な電動膨張弁である。
【0039】
一次側熱交換器74は、一次側の冷媒と室内空気との熱交換を行うための機器であり、例えば、多数の伝熱管およびフィンによって構成されたフィン・アンド・チューブ型熱交換器からなる。
【0040】
一次側ファン75は、一次側ユニット5内に設けられており、屋外空気を一次側熱交換器74に導いて、一次側熱交換器74を流れる一次側の冷媒と熱交換させた後に、屋外に排出させる、という空気流れを生じさせる。一次側ファン75は、一次側ファンモータ75aによって駆動される。
【0041】
また、一次側ユニット5には、各種のセンサが設けられている。具体的には、一次側熱交換器74を通過する前の屋外空気の温度を検出する外気温度センサ77と、一次側圧縮機71から吐出された一次側の冷媒の圧力を検出する一次側吐出圧力センサ78と、が設けられている。
【0042】
一次側制御部70は、一次側ユニット5を構成する各部71(71a)、72、75(75a)、76の動作を制御する。そして、一次側制御部70は、一次側ユニット5の制御を行うために設けられたCPUやマイクロコンピュータ等のプロセッサとメモリを有しており、リモコン(図示せず)との間で制御信号等のやりとりを行うことや、二次側ユニット4の熱源側制御部20や分岐ユニット制御部60a、60b、60cや利用側制御部50a、50b、50cとの間で制御信号等のやりとりを行うことができるようになっている。
【0043】
(3)二次側ユニット
二次側ユニット4は、複数の利用ユニット3a、3b、3cと、複数の分岐ユニット6a、6b、6cと、熱源ユニット2と、が互いに接続されて構成されている。各利用ユニット3a、3b、3cは、対応する分岐ユニット6a、6b、6cと、1対1に接続されている。具体的には、利用ユニット3aと分岐ユニット6aとは第1接続管15aおよび第2接続管16aを介して接続され、利用ユニット3bと分岐ユニット6bとは第1接続管15bおよび第2接続管16bを介して接続され、利用ユニット3cと分岐ユニット6cとは第1接続管15cおよび第2接続管16cを介して接続されている。また、各分岐ユニット6a、6b、6cは、熱源ユニット2と、3つの連絡管である第3連絡管7と第1連絡管8と第2連絡管9とを介して接続されている。具体的には、熱源ユニット2から延び出した第3連絡管7と第1連絡管8と第2連絡管9とは、それぞれ複数に分岐して、各分岐ユニット6a、6b、6cに接続されている。
【0044】
(3-1)利用ユニット
利用ユニット3a、3b、3cは、ビル等の室内の天井に埋め込みや吊り下げ等、または、室内の壁面に壁掛け等により設置されている。利用ユニット3a、3b、3cは、連絡管7、8、9を介して熱源ユニット2に接続されており、二次側冷媒回路10の一部を構成する利用回路13a、13b、13cを有している。
【0045】
次に、利用ユニット3a、3b、3cの構成について説明する。なお、第2利用ユニット3bおよび第3利用ユニット3cは、第1利用ユニット3aと同様の構成であるため、ここでは、第1利用ユニット3aの構成のみ説明し、第2利用ユニット3bおよび第3利用ユニット3cの構成については、それぞれ、第1利用ユニット3aの各部を示す符号の添字「a」の代わりに、「b」または「c」の添字を付して、各部の説明を省略する。
【0046】
第1利用ユニット3aは、主として、二次側冷媒回路10の一部を構成する利用回路13aと、室内ファン53aと、利用側制御部50aと、を有している。なお、室内ファン53aは、室内ファンモータ54aを有している。なお、第2利用ユニット3bは、利用回路13b、室内ファン53b、利用側制御部50b、室内ファンモータ54bを有している。第3利用ユニット3cは、利用回路13c、室内ファン53c、利用側制御部50c、室内ファンモータ54cを有している。
【0047】
利用回路13aは、主として、利用側熱交換器52a(第1熱交換器に相当)と、第1利用配管57aと、第2利用配管56aと、利用側膨張弁51aと、を有している。
【0048】
利用側熱交換器52aは、冷媒と室内空気との熱交換を行うための機器であり、例えば、多数の伝熱管およびフィンによって構成されたフィン・アンド・チューブ型熱交換器からなる。ここで、利用ユニット3aは、ユニット内に室内空気を吸入して、利用側熱交換器52aを流れる冷媒と熱交換させた後に、供給空気として室内に供給する室内ファン53aを有している。室内ファン53aは、室内ファンモータ54aによって駆動される。なお、複数の利用側熱交換器52a、52b、52cは、二次側切換機構22と吸入流路23とカスケード熱交換器35に対して互いに並列に接続されている。
【0049】
第2利用配管56aは、その一端が第1利用ユニット3aの利用側熱交換器52aの液側(ガス側とは反対側)に接続されている。第2利用配管56aの他端は、第2接続管16aに接続されている。第2利用配管56aの途中には、上述した利用側膨張弁51aが設けられている。
【0050】
利用側膨張弁51aは、利用側熱交換器52aを流れる冷媒の流量の調節等を行う、開度調節が可能な電動膨張弁である。利用側膨張弁51aは、第2利用配管56aに設けられている。
【0051】
第1利用配管57aは、その一端が第1利用ユニット3aの利用側熱交換器52aのガス側に接続されている。本実施形態では、第1利用配管57aは、利用側熱交換器52aの利用側膨張弁51a側とは反対側に接続されている。第1利用配管57aは、その他端が、第1接続管15aに接続されている。
【0052】
また、利用ユニット3aには、各種のセンサが設けられている。具体的には、利用側熱交換器52aの液側における冷媒の温度を検出する液側温度センサ58aが設けられている。また、利用ユニット3aには、室内から取り込まれた空気であって、利用側熱交換器52aを通過する前の空気の温度である室内温度を検出する室内温度センサ55aが設けられている。
【0053】
利用側制御部50aは、利用ユニット3aを構成する各部51a、53a(54a)の動作を制御する。そして、利用側制御部50aは、利用ユニット3aの制御を行うために設けられたCPUやマイクロコンピュータ等のプロセッサとメモリを有しており、リモコン(図示せず)との間で制御信号等のやりとりを行うことや、二次側ユニット4の熱源側制御部20や分岐ユニット制御部60a、60b、60cや一次側ユニット5の一次側制御部70との間で制御信号等のやりとりを行うことができるようになっている。
【0054】
(3-2)分岐ユニット
分岐ユニット6a、6b、6cは、利用ユニット3a、3b、3cと1対1に対応しつつ接続されており、ビル等の室内の天井裏の空間等に設置されている。分岐ユニット6a、6b、6cは、連絡管7、8、9を介して熱源ユニット2に接続されている。分岐ユニット6a、6b、6cは、二次側冷媒回路10の一部を構成する分岐回路14a、14b、14cを有している。
【0055】
次に、分岐ユニット6a、6b、6cの構成について説明する。なお、第2分岐ユニット6bおよび第3分岐ユニット6cは、第1分岐ユニット6aと同様の構成であるため、ここでは、第1分岐ユニット6aの構成のみ説明し、第2分岐ユニット6bおよび第3分岐ユニット6cの構成については、それぞれ、第1分岐ユニット6aの各部を示す符号の添字「a」の代わりに、「b」または「c」の添字を付して、各部の説明を省略する。
【0056】
第1分岐ユニット6aは、主として、二次側冷媒回路10の一部を構成する分岐回路14aと、分岐ユニット制御部60aと、を有している。なお、第2分岐ユニット6bは、分岐回路14bと分岐ユニット制御部60bを有している。第3分岐ユニット6cは、分岐回路14cと分岐ユニット制御部60cを有している。
【0057】
分岐回路14aは、主として、合流配管62aと、第1分岐配管63aと、第2分岐配管64aと、第1調節弁66aと、第2調節弁67aと、第3分岐配管61aと、を有している。
【0058】
合流配管62aは、その一端が第1接続管15aに接続されている。合流配管62aの他端には、第1分岐配管63aと第2分岐配管64aが分岐して接続されている。
【0059】
第1分岐配管63aは、合流配管62側とは反対側が、第1連絡管8に接続されている。第1分岐配管63aには、開閉可能な第1調節弁66aが設けられている。なお、ここでは、第1調節弁66aとして、開度調節が可能な電動膨張弁を採用しているが、開閉のみが可能な電磁弁等を採用してもよい。
【0060】
第2分岐配管64aは、合流配管62側とは反対側が、第2連絡管9に接続されている。第2分岐配管64aには、開閉可能な第2調節弁67aが設けられている。なお、ここでは、第2調節弁67aとして、開度調節が可能な電動膨張弁を採用しているが、開閉のみが可能な電磁弁等を採用してもよい。
【0061】
第3分岐配管61aは、その一端が第2接続管16aに接続されている。第3分岐配管61aは、その他端が第3連絡管7に接続されている。
【0062】
そして、第1分岐ユニット6aは、後述の冷房運転を行う際には、第1調節弁66aおよび第2調節弁67aを開けた状態にすることで、以下のように機能することができる。第1分岐ユニット6aは、第3連絡管7を通じて第3分岐配管61aに流入する冷媒を、第2接続管16aに送る。なお、第2接続管16aを通じて第1利用ユニット3aの第2利用配管56aを流れる冷媒は、利用側膨張弁51aを通じて、第1利用ユニット3aの利用側熱交換器52aに送られる。そして、利用側熱交換器52aに送られた冷媒は、室内空気との熱交換によって蒸発した後、第1利用配管57aを介して、第1接続管15aを流れる。第1接続管15aを流れた冷媒は、第1分岐ユニット6aの合流配管62aに送られる。合流配管62aを流れた冷媒は、第1分岐配管63aと第2分岐配管64aに分岐して流れる。第1分岐配管63aにおいて第1調節弁66aを通過した冷媒は、第1連絡管8に送られる。第2分岐配管64aにおいて第2調節弁67aを通過した冷媒は、第2連絡管9に送られる。
【0063】
また、第1分岐ユニット6aは、後述の冷房主体運転を行う際と暖房主体運転を行う際に、第1利用ユニット3aにおいて室内を冷房する場合には、第1調節弁66aを閉じた状態にしつつ第2調節弁67aを開けた状態にすることで、以下のように機能することができる。第1分岐ユニット6aは、第3連絡管7を通じて第3分岐配管61aに流入する冷媒を、第2接続管16aに送る。なお、第2接続管16aを通じて第1利用ユニット3aの第2利用配管56aを流れる冷媒は、利用側膨張弁51aを通じて、第1利用ユニット3aの利用側熱交換器52aに送られる。そして、利用側熱交換器52aに送られた冷媒は、室内空気との熱交換によって蒸発した後、第1利用配管57aを介して、第1接続管15aを流れる。第1接続管15aを流れた冷媒は、第1分岐ユニット6aの合流配管62aに送られる。合流配管62aを流れた冷媒は、第2分岐配管64aに流れて第2調節弁67aを通過した後、第2連絡管9に送られる。
【0064】
また、第1分岐ユニット6aは、後述の暖房運転を行う際には、第2調節弁67aを後述するように運転状況に応じて開状態か閉状態にし、かつ、第1調節弁66aを開けた状態にすることで、次のように機能することができる。第1分岐ユニット6aでは、第1連絡管8を通じて第1分岐配管63aに流入する冷媒が、第1調節弁66aを通過して、合流配管62aに送られる。合流配管62aを流れた冷媒は、第1接続管15aを介して、利用ユニット3aの第1利用配管57aを流れて、利用側熱交換器52aに送られる。そして、利用側熱交換器52aに送られた冷媒は、室内空気との熱交換によって放熱した後、第2利用配管56aに設けられた利用側膨張弁51aを通過する。第2利用配管56aを通過した冷媒は、第2接続管16aを介して、第1分岐ユニット6aの第3分岐配管61aを流れた後、第3連絡管7に送られる。
【0065】
また、第1分岐ユニット6aは、後述の冷房主体運転を行う際と暖房主体運転を行う際に、第1利用ユニット3aにおいて室内を暖房する場合には、第2調節弁67aを閉状態にし、かつ、第1調節弁66aを開けた状態にすることで、次のように機能することができる。第1分岐ユニット6aでは、第1連絡管8を通じて第1分岐配管63aに流入する冷媒が、第1調節弁66aを通過して、合流配管62aに送られる。合流配管62aを流れた冷媒は、第1接続管15aを介して、利用ユニット3aの第1利用配管57aを流れて、利用側熱交換器52aに送られる。そして、利用側熱交換器52aに送られた冷媒は、室内空気との熱交換によって放熱した後、第2利用配管56aに設けられた利用側膨張弁51aを通過する。第2利用配管56aを通過した冷媒は、第2接続管16aを介して、第1分岐ユニット6aの第3分岐配管61aを流れた後、第3連絡管7に送られる。
【0066】
このような機能は、第1分岐ユニット6aだけでなく、第2分岐ユニット6b、第3分岐ユニット6cも同様に有している。このため、第1分岐ユニット6a、第2分岐ユニット6b、第3分岐ユニット6cは、ぞれぞれ、各利用側熱交換器52a、52b、52cについて、冷媒の蒸発器として機能させるか、または、冷媒の放熱器として機能させるか、を個別に切り換えることが可能になっている。
【0067】
分岐ユニット制御部60aは、分岐ユニット6aを構成する各部66a、67aの動作を制御する。そして、分岐ユニット制御部60aは、分岐ユニット6aの制御を行うために設けられたCPUやマイクロコンピュータ等のプロセッサとメモリを有しており、リモコン(図示せず)との間で制御信号等のやりとりを行うことや、二次側ユニット4の熱源側制御部20や利用ユニット3a、3b、3cや一次側ユニット5の一次側制御部70との間で制御信号等のやりとりを行うことができるようになっている。
【0068】
(3-3)熱源ユニット
熱源ユニット2は、利用ユニット3a、3b、3cや分岐ユニット6a、6b、6cが配置された空間とは異なる空間や屋上等に設置されている。熱源ユニット2は、連絡管7、8、9を介して分岐ユニット6a、6b、6cに接続されており、二次側冷媒回路10の一部を構成している。
【0069】
次に、熱源ユニット2の構成について説明する。熱源ユニット2は、主として、二次側冷媒回路10の一部を構成する熱源回路12と、熱源側制御部20と、を有している。
【0070】
熱源回路12は、主として、二次側圧縮機21(第1圧縮機に相当)と、二次側切換機構22(切換機構に相当)と、第1熱源配管28と、第2熱源配管29と、吸入流路23(第3流路に相当)と、吐出流路24と、第3熱源配管25(第1流路に相当)と、第4熱源配管26(第2流路に相当)と、第5熱源配管27と、カスケード熱交換器35と、熱源側膨張弁36(第1膨張弁に相当)と、第3閉鎖弁31と、第1閉鎖弁32と、第2閉鎖弁33と、アキュムレータ30と、油分離器34と、油戻し回路40と、接続流路45と、バイパス流路47と、を有している。なお、熱源回路12は、カスケード熱交換器35と第3閉鎖弁31との間に二次側の冷媒を溜めるレシーバ等の冷媒容器を有していないものであってよい。
【0071】
二次側圧縮機21は、二次側の冷媒を圧縮するための機器であり、例えば、圧縮機モータ21aをインバータ制御することで運転容量を可変することが可能なスクロール型等の容積式圧縮機からなる。なお、二次側圧縮機21は、運転時の負荷に応じて、負荷が大きいほど運転容量が大きくなるように制御される。なお、二次側圧縮機21は、停止時には、吐出側と吸入側とで冷媒の行き来ができないまたは実質的にできない構造のものを用いることができる。
【0072】
二次側切換機構22は、二次側冷媒回路10の接続状態、特に、熱源回路12内における冷媒の流路を切り換えることが可能な機構である。本実施形態では、二次側切換機構22は、環状の流路に二方弁である切換弁22a、22b、22c、22dが4つ並んで設けられて構成されている。なお、二次側切換機構22としては、これに変えて、複数の三路切換弁を組合せたものを用いてもよい。二次側切換機構22は、吐出流路24と第3熱源配管25とを接続する流路に設けられた第1切換弁22aと、吐出流路24と第1熱源配管28とを接続する流路に設けられた第2切換弁22bと、吸入流路23と第3熱源配管25とを接続する流路に設けられた第3切換弁22cと、吸入流路23と第1熱源配管28とを接続する流路に設けられた第4切換弁22dと、を有している。本実施形態において、第1切換弁22aと、第2切換弁22bと、第3切換弁22cと、第4切換弁22dと、はそれぞれ開状態と閉状態とが切り換えられる電磁弁である。
【0073】
二次側切換機構22は、カスケード熱交換器35を二次側の冷媒の放熱器として機能させる場合には、第1切換弁22aを開状態として二次側圧縮機21の吐出側とカスケード熱交換器35の二次側流路35aのガス側とを接続しつつ、第3切換弁22cを閉状態とする第1接続状態とする。また、二次側切換機構22は、カスケード熱交換器35を二次側の冷媒の蒸発器として機能させる場合には、第3切換弁22cを開状態として二次側圧縮機21の吸入側とカスケード熱交換器35の二次側流路35aのガス側とを接続しつつ、第1切換弁22aを閉状態とする第2接続状態とする。また、二次側切換機構22は、二次側圧縮機21から吐出される二次側の冷媒を第1連絡管8に送る場合には、第2切換弁22bを開状態として二次側圧縮機21の吐出側と第1連絡管8とを接続しつつ、第4切換弁22dを閉状態とする第3接続状態とする。また、二次側切換機構22は、第1連絡管8を流れる冷媒を二次側圧縮機21に吸入させる場合には、第4切換弁22dを開状態として第1連絡管8と二次側圧縮機21の吸入側とを接続しつつ、第2切換弁22bを閉状態とする第4接続状態とする。
【0074】
カスケード熱交換器35は、上述の通り、一次側の冷媒であるR32等の冷媒と、二次側の冷媒である二酸化炭素と、の間で互いに混合させることなく熱交換を行わせるための機器である。なお、カスケード熱交換器35は、二次側冷媒回路10の二次側の冷媒が流れる二次側流路35aと、一次側冷媒回路5aの一次側の冷媒が流れる一次側流路35bと、を有することで、一次側ユニット5と熱源ユニット2とで共有されている。なお、本実施形態では、カスケード熱交換器35は、熱源ユニット2の図示しないケーシング内部に配置されており、カスケード熱交換器35のうちの一次側流路35bの両端から延びた冷媒配管が、熱源ユニット2の図示しないケーシング外まで延びるように設けられている。
【0075】
熱源側膨張弁36は、カスケード熱交換器35を流れる二次側の冷媒の流量の調節等を行うために、カスケード熱交換器35の液側に接続された開度調節が可能な電動膨張弁である。
【0076】
第3閉鎖弁31、第1閉鎖弁32および第2閉鎖弁33は、外部の機器・配管(具体的には、連絡管7、8および9)との接続口に設けられた弁である。具体的には、第3閉鎖弁31は、熱源ユニット2から引き出される第3連絡管7に接続されている。第1閉鎖弁32は、熱源ユニット2から引き出される第1連絡管8に接続されている。第2閉鎖弁33は、熱源ユニット2から引き出される第2連絡管9に接続されている。
【0077】
第1熱源配管28は、第1閉鎖弁32と二次側切換機構22とを接続する冷媒配管である。具体的には、第1熱源配管28は、第1閉鎖弁32と、二次側切換機構22のうちの第2切換弁22bと第4切換弁22dとの間の部分と、を接続している。
【0078】
吸入流路23は、二次側切換機構22と二次側圧縮機21の吸入側とを連絡する流路である。具体的には、吸入流路23は、二次側切換機構22のうちの第3切換弁22cと第4切換弁22dとの間の部分と、二次側圧縮機21の吸入側と、を接続している。吸入流路23の途中には、アキュムレータ30が設けられている。
【0079】
第2熱源配管29は、第2閉鎖弁33と吸入流路23の途中とを接続する冷媒配管である。なお、本実施形態では、第2熱源配管29は、吸入流路23のうち、二次側切換機構22における第2切換弁22bと第4切換弁22dの間の部分と、アキュムレータ30と、の間の部分である接続箇所Yにおいて、吸入流路23に接続されている。
【0080】
吐出流路24は、二次側圧縮機21の吐出側と二次側切換機構22とを接続する冷媒配管である。具体的には、吐出流路24は、二次側圧縮機21の吐出側と、二次側切換機構22のうちの第1切換弁22aと第2切換弁22bとの間の部分と、を接続している。
【0081】
第3熱源配管25は、二次側切換機構22とカスケード熱交換器35のガス側とを接続する冷媒配管である。具体的には、第3熱源配管25は、二次側切換機構22のうちの第1切換弁22aと第3切換弁22cとの間の部分と、カスケード熱交換器35における二次側流路35aのガス側端部とを接続している。
【0082】
第4熱源配管26は、カスケード熱交換器35の液側(ガス側とは反対側、二次側切換機構22が設けられている側とは反対側)と熱源側膨張弁36とを接続する冷媒配管である。具体的には、第4熱源配管26は、カスケード熱交換器35における二次側流路35aの液側端部(ガス側とは反対側の端部)と、熱源側膨張弁36とを接続している。
【0083】
第5熱源配管27は、熱源側膨張弁36と第3閉鎖弁31とを接続する冷媒配管である。
【0084】
アキュムレータ30は、二次側の冷媒を溜めることが可能な容器であり、二次側圧縮機21の吸入側に設けられている。
【0085】
油分離器34は、吐出流路24の途中に設けられている。油分離器34は、二次側の冷媒に伴って二次側圧縮機21から吐出された冷凍機油を二次側の冷媒から分離して、二次側圧縮機21に戻すための機器である。
【0086】
油戻し回路40は、油分離器34と吸入流路23とを接続するように設けられている。油戻し回路40は、油分離器34から延び出た流路が、吸入流路23のうちアキュムレータ30と二次側圧縮機21の吸入側との間の部分に合流するように延びた油戻し流路41を有している。油戻し流路41の途中には、油戻しキャピラリーチューブ42と油戻し開閉弁44とが設けられている。油戻し開閉弁44が開状態に制御されることで、油分離器34において分離された冷凍機油は、油戻し流路41の油戻しキャピラリーチューブ42を通過して、二次側圧縮機21の吸入側に戻される。ここで、本実施形態では、油戻し開閉弁44は、二次側冷媒回路10において二次側圧縮機21が運転状態の場合には、開状態を所定時間維持し閉状態を所定時間維持することを繰り返すことにより、油戻し回路40を通じた冷凍機油の返油量が制御される。なお、油戻し開閉弁44は、本実施形態では開閉制御される電磁弁であるが、開度調節が可能な電動膨張弁としつつ油戻しキャピラリーチューブ42を省略した構成としてもよい。
【0087】
接続流路45は、第5熱源配管27と吸入流路23とを接続するように設けられている。接続流路45は、第5熱源配管27と、吸入流路23のうち二次側切換機構22とアキュムレータ30との間の部分と、を接続するように設けられている。接続流路45の途中には、接続開閉弁46が設けられている。なお、接続開閉弁46は、本実施形態では開閉制御される電磁弁であるが、開度調節が可能な電動膨張弁としてもよい。接続開閉弁46は、本実施形態においては、後述の冷房運転または冷房主体運転の停止時において開状態に制御されるものであり、二次側圧縮機21が駆動している通常運転時には閉状態に維持される。このように、冷房運転または冷房主体運転の停止時に接続開閉弁46を開状態とすることにより、二次側冷媒回路10の高圧冷媒の圧力が低減される。これにより、二次側圧縮機21の停止時において、二次側冷媒回路10の高圧冷媒が存在する箇所の周囲の温度が上昇することで、高圧冷媒の圧力が高くなりすぎることを抑制することが可能になっている。
【0088】
バイパス流路47は、第3熱源配管25と吸入流路23とを接続するように設けられている。バイパス流路47は、第3熱源配管25と、吸入流路23のうち二次側切換機構22とアキュムレータ30との間の部分と、を接続するように設けられている。バイパス流路47の途中には、バイパスキャピラリーチューブ48(減圧機構に相当)とバイパス開閉弁49(開閉弁に相当)が設けられている。バイパス開閉弁49は、本実施形態においては、後述の暖房運転または暖房主体運転の起動時において開状態に制御されるものであり、二次側圧縮機21が駆動している通常運転時には閉状態に維持される。なお、バイパス開閉弁49は、本実施形態では開閉制御される電磁弁であるが、開度調節が可能な電動膨張弁としつつバイパスキャピラリーチューブ48を省略した構成としてもよい。
【0089】
また、熱源ユニット2には、各種のセンサが設けられている。具体的には、二次側圧縮機21の吸入側における二次側の冷媒の圧力を検出する二次側吸入圧力センサ37(第3流路における冷媒圧力または冷媒温度を検出するセンサに相当)と、二次側圧縮機21の吐出側における二次側の冷媒の圧力を検出する二次側吐出圧力センサ38と、二次側圧縮機21の吐出側における二次側の冷媒の温度を検出する二次側吐出温度センサ39とが設けられている。
【0090】
熱源側制御部20は、熱源ユニット2を構成する各部21(21a)、22、36、44、46、49の動作を制御する。そして、熱源側制御部20は、熱源ユニット2の制御を行うために設けられたCPUやマイクロコンピュータ等のプロセッサとメモリを有しており、一次側ユニット5の一次側制御部70や利用ユニット3a、3b、3cの利用側制御部50a、50b、50cや分岐ユニット制御部60a、60b、60cとの間で制御信号等のやりとりを行うことができるようになっている。
【0091】
(4)制御部
冷凍サイクルシステム1では、上述の熱源側制御部20、利用側制御部50a、50b、50c、分岐ユニット制御部60a、60b、60c、一次側制御部70が、有線または無線を介して相互に通信可能に接続されることで、制御部80を構成している。したがって、この制御部80は、各種センサ37、38、39、77、78、58a、58b、58c等の検出情報および図示しないリモコン等から受け付けた指示情報等に基づいて、各部21(21a)、22、36、44、46、49、51a、51b、51c、53a、53b、53c(54a、54b、54c)、66a、66b、66c、67a、67b、67c、71(71a)、72、75(75a)、76の動作を制御する。
【0092】
(5)冷凍サイクルシステムの動作
次に、冷凍サイクルシステム1の動作について、図3図6を用いて説明する。
【0093】
冷凍サイクルシステム1の冷凍サイクル運転は、主として、冷房運転と、暖房運転と、冷房主体運転と、暖房主体運転と、に分けることができる。
【0094】
ここで、冷房運転は、利用側熱交換器が冷媒の蒸発器として機能する運転を行う利用ユニットだけが存在し、利用ユニット全体の蒸発負荷に対してカスケード熱交換器35を二次側の冷媒の放熱器として機能させる冷凍サイクル運転である。
【0095】
暖房運転は、利用側熱交換器が冷媒の放熱器として機能する運転を行う利用ユニットだけが存在し、利用ユニット全体の放熱負荷に対してカスケード熱交換器35を二次側の冷媒の蒸発器として機能させる冷凍サイクル運転である。
【0096】
冷房主体運転は、利用側熱交換器が冷媒の蒸発器として機能する運転を行う利用ユニットと、利用側熱交換器が冷媒の放熱器として機能する運転を行う利用ユニットと、を混在させる運転である。冷房主体運転は、利用ユニット全体の熱負荷のうち蒸発負荷が主体である場合に、この利用ユニット全体の蒸発負荷に対してカスケード熱交換器35を二次側の冷媒の放熱器として機能させる冷凍サイクル運転である。
【0097】
暖房主体運転は、利用側熱交換器が冷媒の蒸発器として機能する運転を行う利用ユニットと、利用側熱交換器が冷媒の放熱器として機能する運転を行う利用ユニットと、を混在させる運転である。暖房主体運転は、利用ユニット全体の熱負荷のうち放熱負荷が主体である場合に、この利用ユニット全体の放熱負荷に対してカスケード熱交換器35を二次側の冷媒の蒸発器として機能させる冷凍サイクル運転である。
【0098】
なお、これらの冷凍サイクル運転を含む冷凍サイクルシステム1の動作は、上記の制御部80によって行われる。
【0099】
なお、これらのいずれの運転においても、利用ユニットのいずれかが運転停止状態であってもよい。利用ユニット3a、3b、3cは、図示しないリモコン等からの指令を受け付けた利用側制御部50a、50b、50cが、運転停止状態に制御する。利用ユニット3a、3b、3cは、運転停止状態では、利用側膨張弁51a、51b、51cを閉じるか、第1調節弁66a、66b、66cおよび第2調節弁67a、67b、67cを閉じた状態にして、室内ファン53a、53b、53cを停止させる。これによって、運転停止状態の利用ユニット3a、3b、3cにおける冷媒の流れが途絶える。
【0100】
(5-1)冷房運転
冷房運転では、例えば、利用ユニット3a、3b、3cの利用側熱交換器52a、52b、52cの全てが冷媒の蒸発器として機能する運転を行い、カスケード熱交換器35が二次側の冷媒の放熱器として機能する運転を行う。この冷房運転では、冷凍サイクルシステム1の一次側冷媒回路5aおよび二次側冷媒回路10は、図3に示すように構成される。なお、図3の一次側冷媒回路5aに付された矢印および二次側冷媒回路10に付された矢印は、冷房運転時の冷媒の流れを示している。
【0101】
具体的には、一次側ユニット5においては、一次側切換機構72を第5接続状態に切り換えることによって、カスケード熱交換器35を一次側の冷媒の蒸発器として機能させるようになっている。なお、一次側切換機構72の第5接続状態は、図3の一次側切換機構72において実線で示す接続状態である。これにより、一次側ユニット5では、一次側圧縮機71から吐出された一次側の冷媒は、一次側切換機構72を通過して、一次側熱交換器74において一次側ファン75から供給される外気と熱交換を行うことで凝縮する。一次側熱交換器74において凝縮した一次側の冷媒は、一次側膨張弁76において減圧された後、カスケード熱交換器35の一次側流路35bを流れて蒸発し、一次側切換機構72を介して、一次側圧縮機71に吸入される。
【0102】
また、熱源ユニット2においては、二次側切換機構22を第1接続状態でかつ第4接続状態に切り換えることによって、カスケード熱交換器35を二次側の冷媒の放熱器として機能させるようになっている。なお、二次側切換機構22の第1接続状態は、第1切換弁22aが開状態で第3切換弁22cが閉状態となる接続状態である。二次側切換機構22の第4接続状態は、第4切換弁22dが開状態で第2切換弁22bが閉状態となる接続状態である。ここで、熱源側膨張弁36は、開度調節されている。第1~第3利用ユニット3a、3b、3cにおいては、第1調節弁66a、66b、66c、および、第2調節弁67a、67b、67cは、開状態に制御される。これにより、利用ユニット3a、3b、3cの利用側熱交換器52a、52b、52cの全てが、冷媒の蒸発器として機能する。また、利用ユニット3a、3b、3cの利用側熱交換器52a、52b、52cの全てと熱源ユニット2の二次側圧縮機21の吸入側とは、第1利用配管57a、57b、57c、第1接続管15a、15b、15c、合流配管62a、62b、62c、第1分岐配管63a、63b、63c、第2分岐配管64a、64b、64c、第1連絡管8および第2連絡管9を介して接続された状態になっている。利用ユニット3a、3b、3cにおいては、利用側膨張弁51a、51b、51cは、開度調節されている。なお、冷房運転では、複数の利用ユニット3a、3b、3cに運転停止状態の利用ユニットが含まれていてもよい。
【0103】
このような二次側冷媒回路10において、二次側圧縮機21で圧縮され吐出された二次側の高圧冷媒は、二次側切換機構22を通じて、カスケード熱交換器35の二次側流路35aに送られる。カスケード熱交換器35では、二次側流路35aを流れる二次側の高圧冷媒は放熱し、カスケード熱交換器35の一次側流路35bを流れる一次側の冷媒は蒸発する。カスケード熱交換器35において放熱した二次側の冷媒は、開度調節されている熱源側膨張弁36を通過した後、第3閉鎖弁31を通じて、第3連絡管7に送られる。
【0104】
そして、第3連絡管7に送られた冷媒は、3つに分岐されて、各第1~第3分岐ユニット6a、6b、6cの第3分岐配管61a、61b、61cを通過する。その後、各第2接続管16a、16b、16cを流れた冷媒は、各第1~第3利用ユニット3a、3b、3cの第2利用配管56a、56b、56cに送られる。第2利用配管56a、56b、56cに送られた冷媒は、利用ユニット3a、3b、3cの利用側膨張弁51a、51b、51cに送られる。
【0105】
そして、開度調節されている利用側膨張弁51a、51b、51ccを通過した冷媒は、利用側熱交換器52a、52b、52cにおいて、室内ファン53a、53b、53cによって供給される室内空気と熱交換を行う。これにより、利用側熱交換器52a、52b、52cを流れる冷媒は、蒸発し、低圧のガス冷媒となる。室内空気は、冷却されて室内に供給される。これにより、室内空間が冷房される。利用側熱交換器52a、52b、52cにおいて蒸発した低圧のガス冷媒は、第1利用配管57a、57b、57cを流れ、第1接続管15a、15b、15cを流れた後、第1~第3分岐ユニット6a、6b、6cの合流配管62a、62b、62cに送られる。
【0106】
そして、合流配管62a、62b、62cに送られた低圧のガス冷媒は、第1分岐配管63a、63b、63cと、第2分岐配管64a、64b、64cと、に分岐して流れる。第1分岐配管63a、63b、63cにおいて第1調節弁66a、66b、66cを通過した冷媒は、第1連絡管8に送られる。第2分岐配管64a、64b、64cにおいて第2調節弁67a、67b、67cを通過した冷媒は、第2連絡管9に送られる。
【0107】
そして、第1連絡管8および第2連絡管9に送られた低圧のガス冷媒は、第1閉鎖弁32、第2閉鎖弁33、第1熱源配管28、第2熱源配管29、二次側切換機構22、吸入流路23およびアキュムレータ30を通じて、二次側圧縮機21の吸入側に戻される。
【0108】
このようにして、冷房運転における動作が行われる。
【0109】
(5-2)暖房運転
暖房運転では、例えば、利用ユニット3a、3b、3cの利用側熱交換器52a、52b、52cの全てが冷媒の放熱器として機能する運転を行う。また、暖房運転では、カスケード熱交換器35が二次側の冷媒の蒸発器として機能する運転を行う。暖房運転では、冷凍サイクルシステム1の一次側冷媒回路5aおよび二次側冷媒回路10は、図4に示すように構成される。図4の一次側冷媒回路5aに付された矢印および二次側冷媒回路10に付された矢印は、暖房運転時の冷媒の流れを示している。
【0110】
具体的には、一次側ユニット5においては、一次側切換機構72を第6運転状態に切り換えることによって、カスケード熱交換器35を一次側の冷媒の放熱器として機能させるようになっている。一次側切換機構72の第6運転状態は、図4の一次側切換機構72において破線で示す接続状態である。これにより、一次側ユニット5では、一次側圧縮機71から吐出された一次側の冷媒は、一次側切換機構72を通過して、カスケード熱交換器35の一次側流路35bを流れて凝縮する。カスケード熱交換器35において凝縮した一次側の冷媒は、一次側膨張弁76において減圧された後、一次側熱交換器74において一次側ファン75から供給される外気と熱交換を行うことで蒸発し、一次側切換機構72を介して、一次側圧縮機71に吸入される。
【0111】
また、熱源ユニット2においては、二次側切換機構22を第2接続状態でかつ第3接続状態に切り換える。これにより、カスケード熱交換器35を二次側の冷媒の蒸発器として機能させるようになっている。二次側切換機構22の第2接続状態は、第1切換弁22aが閉状態で第3切換弁22cが開状態の接続状態である。二次側切換機構22の第3接続状態は、第2切換弁22bが開状態で第4切換弁22dが閉状態の接続状態である。また、熱源側膨張弁36は、開度調節されている。第1~第3分岐ユニット6a、6b、6cにおいては、第1調節弁66a、66b、66cが開状態に制御され、第2調節弁67a、67b、67cが閉状態に制御される。これにより、利用ユニット3a、3b、3cの利用側熱交換器52a、52b、52cの全てが冷媒の放熱器として機能する。そして、利用ユニット3a、3b、3cの利用側熱交換器52a、52b、52cと熱源ユニット2の二次側圧縮機21の吐出側とは、吐出流路24、第1熱源配管28、第1連絡管8、第1分岐配管63a、63b、63c、合流配管62a、62b、62c、第1接続管15a、15b、15c、第1利用配管57a、57b、57cを介して接続された状態になっている。利用ユニット3a、3b、3cにおいては、利用側膨張弁51a、51b、51cは、開度調節されている。なお、暖房運転では、複数の利用ユニット3a、3b、3cに運転停止状態の利用ユニットが含まれていてもよい。
【0112】
このような二次側冷媒回路10において、二次側圧縮機21で圧縮され吐出された高圧冷媒は、二次側切換機構22において開状態に制御された第2切換弁22bを通じて、第1熱源配管28に送られる。第1熱源配管28に送られた冷媒は、第1閉鎖弁32を通じて、第1連絡管8に送られる。
【0113】
そして、第1連絡管8に送られた高圧冷媒は、3つに分岐されて、運転中の利用ユニットである各利用ユニット3a、3b、3cの第1分岐配管63a、63b、63cに送られる。第1分岐配管63a、63b、63cに送られた高圧冷媒は、第1調節弁66a、66b、66cを通過し、合流配管62a、62b、62cを流れる。その後、第1接続管15a、15b、15cおよび第1利用配管57a、57b、57cを流れた冷媒が、利用側熱交換器52a、52b、52cに送られる。
【0114】
そして、利用側熱交換器52a、52b、52cに送られた高圧冷媒は、利用側熱交換器52a、52b、52cにおいて、室内ファン53a、53b、53cによって供給される室内空気と熱交換を行う。これにより、利用側熱交換器52a、52b、52cを流れる冷媒は、放熱する。室内空気は、加熱されて室内に供給される。これにより、室内空間が暖房される。利用側熱交換器52a、52b、52cにおいて放熱した冷媒は、第2利用配管56a、56b、56cを流れて、開度調節されている利用側膨張弁51a、51b、51cを通過する。その後、第2接続管16a、16b、16cを流れた冷媒は、各分岐ユニット6a、6b、6cの第3分岐配管61a、61b、61cを流れる。
【0115】
そして、第3分岐配管61a、61b、61cに送られた冷媒は、第3連絡管7に送られて合流する。
【0116】
そして、第3連絡管7に送られた冷媒は、第3閉鎖弁31を通じて、熱源側膨張弁36に送られる。熱源側膨張弁36に送られた冷媒は、熱源側膨張弁36において流量調節された後、カスケード熱交換器35に送られる。カスケード熱交換器35では、二次側流路35aを流れる二次側の冷媒は蒸発して低圧のガス冷媒となって二次側切換機構22に送られ、カスケード熱交換器35の一次側流路35bを流れる一次側の冷媒は凝縮する。そして、二次側切換機構22に送られた二次側の低圧のガス冷媒は、吸入流路23およびアキュムレータ30通じて、二次側圧縮機21の吸入側に戻される。
【0117】
このようにして、暖房運転における動作が行われる。
【0118】
(5-3)冷房主体運転
冷房主体運転では、例えば、利用ユニット3a、3bの利用側熱交換器52a、52bが冷媒の蒸発器として機能し、かつ、利用ユニット3cの利用側熱交換器52cが冷媒の放熱器として機能する運転を行う。冷房主体運転では、カスケード熱交換器35は、二次側の冷媒の放熱器として機能する。冷房主体運転では、冷凍サイクルシステム1の一次側冷媒回路5aおよび二次側冷媒回路10は、図5に示されるように構成される。図5の一次側冷媒回路5aに付された矢印および二次側冷媒回路10に付された矢印は、冷房主体運転時の冷媒の流れを示している。
【0119】
具体的には、一次側ユニット5においては、一次側切換機構72を第5接続状態(図5の一次側切換機構72の実線で示された状態)に切り換えることによって、カスケード熱交換器35を一次側の冷媒の蒸発器として機能させるようになっている。これにより、一次側ユニット5では、一次側圧縮機71から吐出された一次側の冷媒は、一次側切換機構72を通過して、一次側熱交換器74において一次側ファン75から供給される外気と熱交換を行うことで凝縮する。一次側熱交換器74において凝縮した一次側の冷媒は、一次側膨張弁76において減圧された後、カスケード熱交換器35の一次側流路35bを流れて蒸発し、一次側切換機構72を介して、一次側圧縮機71に吸入される。
【0120】
また、熱源ユニット2においては、二次側切換機構22を第1接続状態(第1切換弁22aが開状態で第3切換弁22cが閉状態)でかつ第3接続状態(第2切換弁22bが開状態で第4切換弁22dが閉状態)に切り換えることによって、カスケード熱交換器35を二次側の冷媒の放熱器として機能させるようになっている。また、熱源側膨張弁36は、開度調節されている。第1~第3分岐ユニット6a、6b、6cにおいては、第1調節弁66c、および、第2調節弁67a、67bが開状態に制御され、かつ、第1調節弁66a、66b、および、第2調節弁67cが閉状態に制御される。これにより、利用ユニット3a、3bの利用側熱交換器52a、52bが冷媒の蒸発器として機能し、かつ、利用ユニット3cの利用側熱交換器52cが冷媒の放熱器として機能する。また、利用ユニット3a、3bの利用側熱交換器52a、52bと熱源ユニット2の二次側圧縮機21の吸入側とが第2連絡管9を介して接続された状態になり、かつ、利用ユニット3cの利用側熱交換器52cと熱源ユニット2の二次側圧縮機21の吐出側とが第1連絡管8を介して接続された状態になっている。利用ユニット3a、3b、3cにおいては、利用側膨張弁51a、51b、51cは、開度調節されている。なお、冷房主体運転では、複数の利用ユニット3a、3b、3cに運転停止状態の利用ユニットが含まれていてもよい。
【0121】
このような二次側冷媒回路10において、二次側圧縮機21で圧縮され吐出された二次側の高圧冷媒は、その一部が、二次側切換機構22、第1熱源配管28および第1閉鎖弁32を通じて、第1連絡管8に送られ、残りが、二次側切換機構22および第3熱源配管25を通じて、カスケード熱交換器35の二次側流路35aに送られる。
【0122】
そして、第1連絡管8に送られた高圧冷媒は、第1分岐配管63cに送られる。第1分岐配管63cに送られた高圧冷媒は、第1調節弁66cおよび合流配管62cを通じて、利用ユニット3cの利用側熱交換器52cに送られる。
【0123】
そして、利用側熱交換器52cに送られた高圧冷媒は、利用側熱交換器52cにおいて、室内ファン53cによって供給される室内空気と熱交換を行う。これにより、利用側熱交換器52cを流れる冷媒は、放熱する。室内空気は、加熱されて室内に供給されて、利用ユニット3cの暖房運転が行われる。利用側熱交換器52cにおいて放熱した冷媒は、第2利用配管56cを流れ、利用側膨張弁51cにおいて流量調節される。その後、第2接続管16cを流れた冷媒は、分岐ユニット6cの第3分岐配管61cに送られる。
【0124】
そして、第3分岐配管61cに送られた冷媒は、第3連絡管7に送られる。
【0125】
また、カスケード熱交換器35の二次側流路35aに送られた高圧冷媒は、カスケード熱交換器35において、一次側流路35bを流れる一次側の冷媒と熱交換を行うことによって放熱する。カスケード熱交換器35において放熱した二次側の冷媒は、熱源側膨張弁36において流量調節された後、第3閉鎖弁31を通じて、第3連絡管7に送られて、利用側熱交換器52cにおいて放熱した冷媒と合流する。
【0126】
そして、第3連絡管7において合流した冷媒は、2つに分岐して、分岐ユニット6a、6bの各第3分岐配管61a、61bに送られる。その後、第2接続管16a、16bを流れた冷媒は、各第1~第2利用ユニット3a、3bの第2利用配管56a、56bに送られる。第2利用配管56a、56bを流れる冷媒は、利用ユニット3a、3bの利用側膨張弁51a、51bを通過する。
【0127】
そして、開度調節されている利用側膨張弁51a、51bを通過した冷媒は、利用側熱交換器52a、52bにおいて、室内ファン53a、53bによって供給される室内空気と熱交換を行う。これにより、利用側熱交換器52a、52bを流れる冷媒は、蒸発し、低圧のガス冷媒となる。室内空気は、冷却されて室内に供給される。これにより、室内空間が冷房される。利用側熱交換器52a、52bにおいて蒸発した低圧のガス冷媒は、第1~第2分岐ユニット6a、6bの合流配管62a、62bに送られる。
【0128】
そして、合流配管62a、62bに送られた低圧のガス冷媒は、第2調節弁67a、67bおよび第2分岐配管64a、64bを通じて、第2連絡管9に送られて合流する。
【0129】
そして、第2連絡管9に送られた低圧のガス冷媒は、第2閉鎖弁33、第2熱源配管29、吸入流路23およびアキュムレータ30を通じて、二次側圧縮機21の吸入側に戻される。
【0130】
このようにして、冷房主体運転における動作が行われる。
【0131】
(5-4)暖房主体運転
暖房主体運転では、例えば、利用ユニット3a、3bの利用側熱交換器52a、52bが冷媒の放熱器として機能し、かつ、利用側熱交換器52cが冷媒の蒸発器として機能する運転を行う。暖房主体運転では、カスケード熱交換器35は、二次側の冷媒の蒸発器として機能する。暖房主体運転では、冷凍サイクルシステム1の一次側冷媒回路5aおよび二次側冷媒回路10は、図6に示すように構成される。図6の一次側冷媒回路5aに付された矢印および二次側冷媒回路10に付された矢印は、暖房主体運転時の冷媒の流れを示している。
【0132】
具体的には、一次側ユニット5においては、一次側切換機構72を第6運転状態に切り換えることによって、カスケード熱交換器35を一次側の冷媒の放熱器として機能させるようになっている。一次側切換機構72の第6運転状態は、図6の一次側切換機構72において破線で示された接続状態である。これにより、一次側ユニット5では、一次側圧縮機71から吐出された一次側の冷媒は、一次側切換機構72を通過して、カスケード熱交換器35の一次側流路35bを流れて凝縮する。カスケード熱交換器35において凝縮した一次側の冷媒は、一次側膨張弁76において減圧された後、一次側熱交換器74において一次側ファン75から供給される外気と熱交換を行うことで蒸発し、一次側切換機構72を介して、一次側圧縮機71に吸入される。
【0133】
熱源ユニット2においては、二次側切換機構22を第2接続状態でかつ第3接続状態に切り換える。二次側切換機構22の第2接続状態は、第1切換弁22aが閉状態で第3切換弁22cが開状態の接続状態である。二次側切換機構22の第3接続状態は、第2切換弁22bが開状態で第4切換弁22dが閉状態の接続状態である。これによって、カスケード熱交換器35を二次側の冷媒の蒸発器として機能させるようになっている。また、熱源側膨張弁36は、開度調節されている。第1~第3分岐ユニット6a、6b、6cにおいては、第1調節弁66a、66b、および、第2調節弁67cが開状態に制御され、かつ、第1調節弁66c、および、第2調節弁67a、67bが閉状態に制御される。これによって、利用ユニット3a、3bの利用側熱交換器52a、52bは冷媒の放熱器として機能し、利用ユニット3cの利用側熱交換器52cは冷媒の蒸発器として機能する。そして、利用ユニット3cの利用側熱交換器52cと熱源ユニット2の二次側圧縮機21の吸入側とは、第1利用配管57c、第1接続管15c、合流配管62c、第2分岐配管64c、および第2連絡管9を介して接続された状態になる。また、利用ユニット3a、3bの利用側熱交換器52a、52bと熱源ユニット2の二次側圧縮機21の吐出側とは、吐出流路24、第1熱源配管28、第1連絡管8、第1分岐配管63a、63b、合流配管62a、62b、第1接続管15a、15b、第1利用配管57a、57bを介して接続された状態になっている。利用ユニット3a、3b、3cにおいては、利用側膨張弁51a、51b、51cは、開度調節されている。なお、暖房主体運転では、複数の利用ユニット3a、3b、3cに運転停止状態の利用ユニットが含まれていてもよい。
【0134】
このような二次側冷媒回路10において、二次側圧縮機21で圧縮され吐出された二次側の高圧冷媒は、二次側切換機構22、第1熱源配管28および第1閉鎖弁32を通じて、第1連絡管8に送られる。
【0135】
そして、第1連絡管8に送られた高圧冷媒は、2つに分岐されて、運転中の利用ユニットである各第1利用ユニット3aと第2利用ユニット3bにそれぞれ接続されている第1分岐ユニット6aと第2分岐ユニット6bの第1分岐配管63a、63bに送られる。第1分岐配管63a、63bに送られた高圧冷媒は、第1調節弁66a、66b、合流配管62a、62b、および第1接続管15a、15bを通じて、第1利用ユニット3aと第2利用ユニット3bの利用側熱交換器52a、52bに送られる。
【0136】
そして、利用側熱交換器52a、52bに送られた高圧冷媒は、利用側熱交換器52a、52bにおいて、室内ファン53a、53bによって供給される室内空気と熱交換を行う。これにより、利用側熱交換器52a、52bを流れる冷媒は、放熱する。室内空気は、加熱されて室内に供給される。これにより、室内空間が暖房される。利用側熱交換器52a、52bにおいて放熱した冷媒は、第2利用配管56a、56bを流れ、開度調節されている利用側膨張弁51a、51bを通過する。その後、第2接続管16a、16bを流れた冷媒は、分岐ユニット6a、6bの第3分岐配管61a、61bを介して、第3連絡管7に送られる。
【0137】
そして、第3連絡管7に送られた冷媒は、その一部が、分岐ユニット6cの第3分岐配管61cに送られ、残りが、第3閉鎖弁31を通じて、熱源側膨張弁36に送られる。
【0138】
そして、第3分岐配管61cに送られた冷媒は、第2接続管16cを介して、利用ユニット3cの第2利用配管56cを流れ、利用側膨張弁51cに送られる。
【0139】
そして、開度調節されている利用側膨張弁51cを通過した冷媒は、利用側熱交換器52cにおいて、室内ファン53cによって供給される室内空気と熱交換を行う。これにより、利用側熱交換器52cを流れる冷媒は、蒸発し、低圧のガス冷媒となる。室内空気は、冷却されて室内に供給される。これにより、室内空間が冷房される。利用側熱交換器52cにおいて蒸発した低圧のガス冷媒は、第1利用配管57cと第1接続管15cを通過し、合流配管62cに送られる。
【0140】
そして、合流配管62cに送られた低圧のガス冷媒は、第2調節弁67cおよび第2分岐配管64cを通じて、第2連絡管9に送られる。
【0141】
そして、第2連絡管9に送られた低圧のガス冷媒は、第2閉鎖弁33、第2熱源配管29、吸入流路23およびアキュムレータ30を通じて、二次側圧縮機21の吸入側に戻される。
【0142】
また、熱源側膨張弁36に送られた冷媒は、開度調節されている熱源側膨張弁36を通過した後、カスケード熱交換器35の二次側流路35aにおいて、一次側流路35bを流れる一次側の冷媒と熱交換を行う。これにより、カスケード熱交換器35の二次側流路35aを流れる冷媒は、蒸発して低圧のガス冷媒になり、二次側切換機構22に送られる。二次側切換機構22に送られた低圧のガス冷媒は、吸入流路23において利用側熱交換器52cにおいて蒸発した低圧のガス冷媒と合流する。合流した冷媒は、アキュムレータ30を介して、二次側圧縮機21の吸入側に戻される。
【0143】
このようにして、暖房主体運転における動作が行われる。
【0144】
(6)起動制御
以下、冷凍サイクルシステム1の起動制御について、図7のフローチャートを参照しつつ説明する。
【0145】
なお、ここでは、冷房運転の起動時または冷房主体運転の起動時に行われる熱源ユニット2と一次側ユニット5との起動制御を説明する。制御部80は、図示しないリモコンからの起動の指示を受け付けた場合等に、起動制御を開始する。
【0146】
ステップS1では、制御部80は、冷房運転の停止時または冷房主体運転の停止時において開状態となっている接続開閉弁46を閉状態に制御する。
【0147】
ステップS2では、制御部80は、起動制御開始のための第1所定条件を満たしているか否かを判断する。ここで、第1所定条件としては、特に限定されないが、例えば、吸入流路23の冷媒の温度や外気温度等が所定温度以上である場合に満たすと判断される条件であってよい。なお、吸入流路23の冷媒の温度を用いて判断する場合は、二次側吸入圧力センサ37で検出される圧力から把握される圧力相当飽和温度を用いてもよい。また、外気温度を用いて判断する場合は、外気温度センサ77で検出される温度を用いてもよい。ここで、第1所定条件を満たしている場合には、ステップS3に移行する。また、第1所定条件を満たしていない場合には、ステップS6に移行する。
【0148】
ステップS3では、制御部80は、一次側ユニット5について、一次側切換機構72を第5接続状態(図1の一次側切換機構72の実線を参照)としつつ一次側圧縮機71を起動させる。また、制御部80は、二次側ユニット4について、二次側圧縮機21を停止状態としたままで、バイパス開閉弁49を開状態に制御する。なお、制御部80は、油戻し開閉弁44を閉状態に維持させる。
【0149】
ステップS4では、制御部80は、第2所定条件を満たしているか否かを判断する。第2所定条件は、二次側吸入圧力センサ37の検出圧力が所定圧力以下になっている場合に満たす条件であってもよいし、ステップS3の処理を開始してから経過した時間が所定時間を超えた場合に満たす条件であってもよいし、これらのいずれかまたは両方を満たした場合に満たす条件であってもよい。ここで、第2所定条件を満たしている場合には、ステップS5に移行する。また、第2所定条件を満たしていない場合には、ステップS4を繰り返す。
【0150】
ステップS5では、制御部80は、二次側切換機構22の接続状態を上述の冷房運転または冷媒主体運転に応じた接続状態としつつ、二次側圧縮機21を起動させる。また、制御部80は、バイパス開閉弁49を閉状態に制御する。制御部80は、以上で起動制御を終了し、以降は、上述の冷房運転または冷媒主体運転を実行する。
【0151】
ステップS6では、制御部80は、一次側ユニット5について、一次側切換機構72を第5接続状態としつつ一次側圧縮機71を起動させる。また、制御部80は、二次側ユニット4について、バイパス開閉弁49を閉状態に維持したままで、二次側切換機構22の接続状態を上述の冷房運転または冷房主体運転に応じた接続状態としつつ、二次側圧縮機21を起動させる。制御部80は、以上で起動制御を終了し、以降は、上述の冷房運転または冷房主体運転を実行する。
【0152】
(7)実施形態の特徴
本実施形態の冷凍サイクルシステム1では、二次側冷媒回路10において、冷媒として二酸化炭素が用いられている。このため、地球温暖化係数(GWP)を低く抑えることが可能になっている。また、利用側において冷媒漏洩が生じたとしても、冷媒にフロンが含まれていないため、利用側においてフロンが流出することがない。また、本実施形態の冷凍サイクルシステム1では、二元冷凍サイクルが採用されているため、二次側冷媒回路10において十分な能力を出すことが可能となっている。
【0153】
以上の本実施形態の冷凍サイクルシステム1では、二次側冷媒回路10において冷媒として二酸化炭素を用いているが、この二酸化炭素冷媒は、周囲温度の影響を受けて、冷媒圧力が急激に上昇しやすい。特に、運転停止時において、外気温度等の周囲温度が30℃~40℃乃至50℃の高温環境となった場合には、二次側冷媒回路10内の高圧冷媒の領域において冷媒圧力が急激に上昇してしまうおそれがある。このため、本実施形態の冷凍サイクルシステム1では、冷房運転または冷房主体運転の停止時に、接続開閉弁46を開状態に制御することで、二次側冷媒回路10における高圧冷媒の領域と低圧冷媒の領域を接続し、高圧冷媒の冷媒圧力を低下させている。
【0154】
ところが、このように運転停止時において接続開閉弁46を開状態に制御し、高圧冷媒を吸入流路23に導いた場合には、吸入流路23における冷媒圧力が上昇しがちになる。この場合、二次側圧縮機21を起動させると、比較的圧力が高まっている吸入流路23の冷媒をさらに圧縮することになるため、二次側圧縮機21の吐出側の冷媒圧力が急激に上昇してしまうおそれがある。
【0155】
これに対して、本実施形態では、冷房運転の起動時または冷房主体運転の起動時には、二次側圧縮機21を起動させる前に、一次側圧縮機71を起動させて、バイパス開閉弁49を開状態に制御する、という起動制御を行っている。これにより、カスケード熱交換器35における一次側流路35bが一次側の冷媒の蒸発器として機能することで、二次側流路35aにおける二次側の冷媒の温度を低下させることができる。そして、二次側流路35aにおける二次側の冷媒の温度が低下することで、吸入流路23における冷媒を、バイパスキャピラリーチューブ48と開状態に制御されたバイパス開閉弁49を有するバイパス流路47と、第3熱源配管25とを介して、二次側流路35aに導くことが可能になる。これにより、吸入流路23における二次側の冷媒圧力を低く抑えることが可能になる。
【0156】
したがって、二次側圧縮機21が起動した場合においても、比較的低い圧力に抑制された吸入冷媒を圧縮することになるため、吐出側の二次側の冷媒圧力も低く抑えることが可能になる。また、カスケード熱交換器35の二次側流路35aにおける二次側の冷媒の温度が低下していることにより、二次側流路35a、第3熱源配管25および第4熱源配管26における二次側の冷媒の圧力が低下し、二次側圧縮機21が起動した後の二次側冷媒回路10の高圧圧力を低めに抑えることが可能になっている。
【0157】
なお、本実施形態の熱源回路12では、カスケード熱交換器35と第3閉鎖弁31との間に二次側の冷媒を溜めるレシーバ等の冷媒容器を有しおらず、二次側の高圧冷媒の圧力が上がりやすい構造である。しかし、上述のように、本実施形態では、起動制御が行われるため、二次側の高圧冷媒が異常上昇することを回避できる。
【0158】
(8)他の実施形態
(8-1)他の実施形態A
上記実施形態では、吸入流路23と第3熱源配管25とを接続するバイパス流路47を有する熱源回路12を例として挙げて説明した。
【0159】
これに対して、例えば、図8に示すように、熱源回路12では、上記実施形態のバイパス流路47に代えて、吸入流路23と第4熱源配管26とを接続するバイパス流路47aを用いるようにしてもよい。この場合においても、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0160】
(8-2)他の実施形態B
上記実施形態では、吸入流路23と第3熱源配管25とを接続するバイパス流路47を有する熱源回路12を例として挙げて説明した。
【0161】
これに対して、例えば、図9に示すように、熱源回路12では、上記実施形態のバイパス流路47および油戻し回路40に代えて、油戻し回路40aを採用してもよい。
【0162】
本実施形態の油戻し回路40aは、油分離器34と吸入流路23を互いに並列に接続する第1油戻し流路41aと第2油戻し流路43aを有している。第1油戻し流路41aには、油戻しキャピラリーチューブ42aが設けられている。第2油戻し流路43aには、油戻し開閉弁44aが設けられている。この油戻し開閉弁44aは、上記実施形態の油戻し開閉弁44と同様に、開状態を所定時間維持し閉状態を所定時間維持することを繰り返すことにより、油戻し回路40aを通じた冷凍機油の返油量を制御するものである。
【0163】
以上の構成によれば、起動制御によって、吸入流路23における二次側の冷媒を、油戻しキャピラリーチューブ42aを有する第1油戻し流路41a、油分離器34、吐出流路24、二次側切換機構22(の第1切換弁22a)、および、第3熱源配管25を介して、カスケード熱交換器35における二次側流路35aに導くことが可能になる。これにより、上記実施形態と同様の効果を奏することが可能になる。
【0164】
(8-3)他の実施形態C
上記実施形態では、運転停止時の二次側冷媒回路10の高圧冷媒の圧力の上昇を抑制させるために、運転停止時に接続開閉弁46が開状態に制御され、これにより吸入流路23の冷媒の圧力が上昇しうることを例に挙げて説明した。そして、
しかし、冷凍サイクルシステムとしては、停止時に接続開閉弁46が開状態に制御されるものに限られず、また、熱源回路12が接続流路45および接続開閉弁46を有しているものにも限られない。
【0165】
例えば、運転停止時において、二次側冷媒回路10の吸入流路23の周囲温度が比較的高温となっている場合には、吸入流路23における二次側の冷媒の圧力が上昇しがちになるため、上記実施形態と同様の課題が生じうる。特に、吸入流路23の途中にアキュムレータ30が設けられていることから、アキュムレータ30内の冷媒が周囲温度の影響を受けることで、上記課題が生じやすい。これらの場合においても、二次側圧縮機21の起動前に、吸入流路23の冷媒圧力を低減させる処理を行うことで、二酸化炭素冷媒の圧力が異常に上昇してしまうことを避けることができる。
【0166】
(8-4)他の実施形態D
上記実施形態では、熱媒体としてR32等の冷媒が循環する一次側冷媒回路5aを例に挙げて説明した。
【0167】
これに対して、一次側冷媒回路5aに循環する熱媒体は、特に限定されず、例えば、ブラインや水等を用いてもよい。そして、一次側冷媒回路5aは、上記圧縮式の冷凍サイクルが行われるものに限られず、低温源としてのブラインや水がカスケード熱交換器35に供給されるものであってもよい。
【0168】
(8-5)他の実施形態E
上記実施形態では、カスケード熱交換器35を二次側の冷媒の放熱器として機能させる状態と吸熱器として機能させる状態とを切り換える二次側切換機構22を二次側冷媒回路10が有している場合を例に挙げて説明した。
【0169】
これに対して、二次側冷媒回路10は、上記のような二次側切換機構22を有していなくてもよく、カスケード熱交換器35を二次側の冷媒の放熱器として機能させる運転のみが可能なものであってもよい。この場合には、上記実施形態のバイパス流路47は、利用側熱交換器52a、52b、52cから二次側圧縮機21の吸入側までのいずれかの箇所に接続されたものであってよい。
【0170】
(8-6)他の実施形態F
上記実施形態では、熱源ユニット2に設けられた熱源側膨張弁36と、利用ユニット3a、3b、3cに設けられた利用側膨張弁51a、51b、51cと、分岐ユニット6a、6b、6cに設けられた第1調節弁66a、66b、66cおよび第2調節弁67a、67b、67cと、を有する二次側ユニット4を例に挙げて説明した。
【0171】
これに対して、上記実施形態の二次側ユニット4は、例えば、図10に示す二次側ユニット4aのように構成されていてもよい。
【0172】
二次側ユニット4aは、上記実施形態の熱源側膨張弁36の代わりに、熱源ユニット2において熱源側膨張機構11(第1膨張部に相当)が設けられている。熱源側膨張機構11は、第4熱源配管26と第5熱源配管27との間に設けられている。熱源側膨張機構11は、互いに並列に並んだ流路である、第1熱源側分岐流路11aと第2熱源側分岐流路11bとを有している。第1熱源側分岐流路11aには、第1熱源側膨張弁17aと第1熱源側逆止弁18aとが並んで設けられている。第2熱源側分岐流路11bには、第2熱源側膨張弁17bと第2熱源側逆止弁18bとが並んで設けられている。第1熱源側膨張弁17aと第2熱源側膨張弁17bは、いずれも開度調節が可能な電動膨張弁である。第1熱源側逆止弁18aは、第4熱源配管26から第5熱源配管27に向けて流れる冷媒流れのみを通過させる逆止弁である。第2熱源側逆止弁18bは、第5熱源配管27から第4熱源配管26に向けて流れる冷媒流れのみを通過させる逆止弁である。以上の構成において、第1熱源側膨張弁17aは、第4熱源配管26から第5熱源配管27に向けて冷媒が流れる運転が行われる際に開度制御され、第2熱源側膨張弁17bは、第5熱源配管27から第4熱源配管26に向けて冷媒が流れる際に開度制御される。具体的には、第1熱源側膨張弁17aは、冷房運転時と冷房主体運転時に開度制御され、第2熱源側膨張弁17bは、暖房運転時と暖房主体運転時に開度制御される。以上の熱源側膨張機構11では、第1熱源側膨張弁17aに対して第1熱源側逆止弁18aが接続され、第2熱源側膨張弁17bに対して第2熱源側逆止弁18bが接続されている。このため、第1熱源側膨張弁17aを通過する冷媒流れ方向を一方向に限ることができ、第2熱源側膨張弁17bを通過する冷媒流れ方向についても一方向に限ることができている。したがって、冷媒圧力が高い状況または高圧冷媒と低圧冷媒との圧力差が大きい状況において所望の弁開度に制御できる膨張弁の確保が困難な場合でも、上記実施形態の熱源側膨張弁36の制御による作用効果と同様の作用効果をより確実に得ることができる。
【0173】
ここで、冷媒圧力が高い状況または高圧冷媒と低圧冷媒との圧力差が大きい状況において所望の弁開度の制御が確保になる要因としては、例えば、次に述べることが挙げられる。具体的には、二次側冷媒回路10の冷媒として二酸化炭素冷媒を用いる場合には、従来のR32やR410A等の冷媒を使用する場合と比較して、冷凍サイクル内の高圧冷媒の圧力が高い状態で用いられる。ここで、膨張弁としては、弁座に対してニードルを移動させることによって弁の開閉や弁開度の調節を行うものが多い。このようなニードルを備える膨張弁では、弁を閉めるまたは弁開度を狭める際に、ニードルを移動させる方向に対向する向きに冷媒が流れる状況で使用されると、ニードルの先端が冷媒の圧力を受けることになる。この場合に、ニードルの先端に作用する冷媒圧力が高いほど、ニードルの移動が抑制されるため、所望の弁開度に調節することが困難になるおそれがある。特に、ニードルの先端側に高圧冷媒が作用する向きで膨張弁が用いられている場合において、膨張弁の前後の冷媒圧力の差が大きい場合には、膨張弁を全閉状態に制御しようとしても、弁開度を適切に閉めきることができず、ニードルと弁座との間を冷媒が通過して、冷媒の漏れが生じるおそれがある。また、膨張弁を所望の低開度に制御しようとする場合においては、意図する弁開度に制御することができず、所望の低開度よりも弁が開いてしまうおそれがある。このように、冷媒圧力が高い状況または高圧冷媒と低圧冷媒との圧力差が大きい状況では、膨張弁を意図した状態に制御することが困難になるおそれがある。これに対して、上記熱源側膨張機構11を採用した場合には、上記課題を解決することが可能になる。
【0174】
二次側ユニット4aは、上記実施形態の利用ユニット3a、3b、3cにおいて、利用側膨張弁51a、51b、51cの代わりに、利用側膨張機構151a、151b、151cが設けられている。以下、第1利用側膨張機構151aについて説明するが、第2利用側膨張機構151bおよび第3利用側膨張機構151cの構成については、それぞれ、第1利用側膨張機構151aの各部を示す符号の添字「a」の代わりに、「b」または「c」の添字を付して、各部の説明を省略する。第1利用側膨張機構151aは、第2利用配管56aの途中に設けられている。第1利用側膨張機構151aは、互いに並列に並んだ流路である、第1利用側分岐流路90aと第2利用側分岐流路93aとを有している。第1利用側分岐流路90aには、第1利用側膨張弁91aと第1利用側逆止弁92aとが並んで設けられている。第2利用側分岐流路93aには、第2利用側膨張弁94aと第2利用側逆止弁95aとが並んで設けられている。第1利用側膨張弁91aと第2利用側膨張弁94aは、いずれも開度調節が可能な電動膨張弁である。第1利用側逆止弁92aは、第2接続管16a側から利用側熱交換器52a側に向けて流れる冷媒流れのみを通過させる逆止弁である。第2利用側逆止弁95aは、利用側熱交換器52a側から第2接続管16a側に向けて流れる冷媒流れのみを通過させる逆止弁である。以上の構成において、第1利用側膨張弁91aは、第2接続管16a側から利用側熱交換器52a側に向けて冷媒が流れる運転が行われる際に開度制御され、第2利用側膨張弁94aは、利用側熱交換器52a側から第2接続管16a側に向けて冷媒が流れる際に開度制御される。具体的には、第1利用側膨張弁91aは、冷房運転時と、冷房主体運転時において利用側熱交換器52aが冷媒の蒸発器として機能する時と、暖房主体運転時において利用側熱交換器52aが冷媒の蒸発器として機能する時に、開度制御される。第2利用側膨張弁94aは、暖房運転時と、冷房主体運転時において利用側熱交換器52aが冷媒の放熱器として機能する時と、暖房主体運転時において利用側熱交換器52aが冷媒の放熱器として機能する時に、開度制御される。以上の第1利用側膨張機構151aでは、第1利用側膨張弁91aに対して第1利用側逆止弁92aが接続され、第2利用側膨張弁94aに対して第2利用側逆止弁95aが接続されている。このため、第1利用側膨張弁91aを通過する冷媒流れ方向を一方向に限ることができ、第2利用側膨張弁94aを通過する冷媒流れ方向についても一方向に限ることができている。したがって、冷媒圧力が高い状況または高圧冷媒と低圧冷媒との圧力差が大きい状況において所望の弁開度に制御できる膨張弁の確保が困難な場合でも、上記実施形態の利用側膨張弁51aの制御による作用効果と同様の作用効果をより確実に得ることができる。なお、第2利用側膨張機構151b、第3利用側膨張機構151cについても同様である。
【0175】
二次側ユニット4aは、上記実施形態の分岐ユニット6a、6b、6cにおいて、第1調節弁66a、66b、66cの代わりに、第1調節弁96a、96b、96cおよび第1逆止弁196a、196b、196cが設けられ、第2調節弁67a、67b、67cの代わりに、第2調節弁97a、97b、97cおよび第2逆止弁197a、197b、197cが設けられている。さらに、二次側ユニット4aは、分岐ユニット6a、6b、6cにおいて、第1分岐配管63a、63b、63cと第2分岐配管64a、64b、64cとを接続する接続流路98a、98b、98cを有している。接続流路98a、98b、98cには、逆止弁99a、99b、99cが設けられている。以下、第1分岐ユニット6aに設けられた第1調節弁96a、第2調節弁97a、接続流路98aおよび逆止弁99aについて説明するが、第2分岐ユニット6bおよび第3分岐ユニット6cの対応する構成については、各部を示す符号の添字「a」の代わりに、「b」または「c」の添字を付して、各部の説明を省略する。第1分岐配管63aには、第1調節弁96aと第1逆止弁196aとが並んで設けられている。第2分岐配管64aには、第2調節弁97aと第2逆止弁197aとが並んで設けられている。第1調節弁96aと第2調節弁97aは、いずれも、開状態と閉状態とが切り換えられる電磁弁である。第1逆止弁196aは、第1連絡管8から合流配管62aに向けて流れる冷媒流れのみを通過させる逆止弁である。第2逆止弁197aは、合流配管62aから第2連絡管9に向けて流れる冷媒流れのみを通過させる逆止弁である。接続流路98aは、第1分岐配管63aにおける第1調節弁96aおよび第1逆止弁196aよりも第1連絡管8側の部分と、第2分岐配管64aにおける第2調節弁97aおよび第2逆止弁197aよりも第2連絡管9側の部分と、を接続している。逆止弁99aは、第2分岐配管64aから第1分岐配管63aに向かう冷媒流れのみを許容する。以上の構成において、冷房運転時には、第2調節弁97aを開状態に制御し、第1調節弁96aを閉状態に制御する。これにより、利用側熱交換器52aにおいて蒸発して第2分岐配管64aの第2調節弁97aを通過した冷媒は、一部が第2連絡管9を流れ、他の一部が接続流路98aの逆止弁99aを通過して第1連絡管8に流れる。暖房運転時には、第1調節弁96aを開状態に制御し、第2調節弁97aを閉状態に制御する。これにより、第1暖房運転では、第1連絡管8を流れた冷媒と、第2連絡管9を流れて接続流路98aの逆止弁99aを通過した冷媒と、が合流して、第1調節弁96aを通過するように流れる。なお、第2暖房運転では、第1連絡管8を流れた冷媒が第1調節弁96aを通過するように流れる。冷房主体運転時および暖房主体運転時において利用側熱交換器52aが冷媒の蒸発器として機能する時には、第1調節弁96aを閉状態に制御し、第2調節弁97aを開状態に制御する。これにより、利用側熱交換器52aにおいて蒸発した冷媒は、第2分岐配管64aの第2調節弁97aを通過して、第2連絡管9に流れる。冷房主体運転時および暖房主体運転時において利用側熱交換器52aが冷媒の放熱器として機能する時には、第1調節弁96aを開状態に制御し、第2調節弁97aを閉状態に制御する。これにより、第1連絡管8を流れた冷媒は、第1分岐配管63aの第1調節弁96aを通過させて、利用側熱交換器52aに送られる。なお、第1調節弁96aと第2調節弁97aは、いずれも、弁座に対して移動するニードルを備えた電磁弁であり、上述の意図した状態に制御することが困難になるという課題と同様の課題が生じうる。これに対して、以上のように、第1調節弁96aおよび第1逆止弁196aと、第2調節弁97aおよび第2逆止弁197aと、を互いに並列に設けた構成によれば、第1調節弁96aを通過する冷媒流れ方向を一方向に限ることができ、第2調節弁97aを通過する冷媒流れ方向についても一方向に限ることができている。したがって、冷媒圧力が高い状況または高圧冷媒と低圧冷媒との圧力差が大きい状況において所望の閉状態に制御できる電磁弁の確保が困難な場合でも、上記実施形態の第1調節弁66aおよび第2調節弁67aの制御による作用効果と同様の作用効果をより確実に得ることができる。なお、第1調節弁96bおよび第1逆止弁196bと第2調節弁97bおよび第2逆止弁197bとを互いに並列に設けた構成や、第1調節弁96cおよび第1逆止弁196cと第2調節弁97cおよび第2逆止弁197cとを互いに並列に設けた構成についても同様である。
【0176】
なお、第1分岐ユニット6aにおいて、第1調節弁96aと第2調節弁97aは、いずれも、電磁弁ではなく、開度調節が可能な電動膨張弁としてもよい。具体的には、電動膨張弁である第1調節弁96aおよび第1逆止弁196aと、電動膨張弁である第2調節弁97aおよび第2逆止弁197aと、を互いに並列に設けた構成を採用してもよい。この点は、第2分岐ユニット6bおよび第3分岐ユニット6cにおいても同様である。
【0177】
このように、二次側ユニット4aにおいても、上記実施形態の二次側ユニット4と同様の運転を行うことが可能である。
【0178】
なお、上記実施形態の熱源側膨張弁36の代わりに熱源側膨張機構11を設けることと、利用側膨張弁51a、51b、51cの代わりに利用側膨張機構151a、151b、151cを設けることと、第1調節弁66a、66b、66cの代わりに第1調節弁96a、96b、96cおよび第1逆止弁196a、196b、196cを設けて第2調節弁67a、67b、67cの代わりに第2調節弁97a、97b、97cおよび第2逆止弁197a、197b、197cを設けつつ接続流路98a、98b、98cと逆止弁99a、99b、99cを設けることと、については、互いに独立した事項である。したがって、これらを適宜組合せた実施形態としてもよい。
【0179】
なお、利用側膨張機構151a、151b、151cが設けられている利用ユニット3a、3b、3cと、第1調節弁96a、96b、96cおよび第1逆止弁196a、196b、196cと第2調節弁97a、97b、97cおよび第2逆止弁197a、197b、197cとが並列に設けられている分岐ユニット6a、6b、6cと、を備える二次側ユニット4aにおいても、上記実施形態と同様に、各種運転時において、運転停止状態の利用ユニットが含まれていてもよい。この場合、例えば、冷媒の蒸発器として機能していた利用側熱交換器52a、52b、52cを備える利用ユニット3a、3b、3cが運転停止状態となる際には、運転停止状態となる利用ユニット3a、3b、3cが備える利用側膨張機構151a、151b、151cが閉状態に制御される。より具体的には、運転停止状態となる利用ユニット3a、3b、3cが備える第1利用側膨張弁91a、91b、91cが閉状態に制御される。また、冷媒の放熱器として機能していた利用側熱交換器52a、52b、52cを備える利用ユニット3a、3b、3cが運転停止状態となる際には、例えば、制御パターン1または制御パターン2のどちらかで制御される。制御パターン1では、運転停止状態となる利用ユニット3a、3b、3cが備える利用側膨張機構151a、151b、151cの第1利用側膨張弁91a、91b、91cおよび第2利用側膨張弁94a、94b、94cが閉状態に制御され、かつ、運転停止状態となる利用ユニット3a、3b、3cに対応して接続される分岐ユニット6a、6b、6cが備える第1調節弁96a、96b、96cが閉状態に制御される。制御パターン2では、運転停止状態となる利用ユニット3a、3b、3cが備える利用側膨張機構151a、151b、151cの第2利用側膨張弁94a、94b、94cが所定の低開度に制御され、かつ、運転停止状態となる利用ユニット3a、3b、3cに対応して接続される分岐ユニット6a、6b、6cが備える第1調節弁96a、96b、96cが開状態に制御される。
【0180】
(8-7)他の実施形態G
上記実施形態では、熱源ユニット2と一次側ユニット5とで共有されているカスケード熱交換器35について説明した。
【0181】
ここで、例えば、図11に示すように、カスケード熱交換器35は、熱源ユニット2が有する熱源ケーシング2xの内部に収容されており、一次側ユニット5が有する一次側ケーシング5xの外部に延び出した一次側冷媒回路5aの冷媒配管に接続されていてもよい。
【0182】
熱源ケーシング2xの内部には、上記カスケード熱交換器35以外にも、熱源ユニット2が有している各機器が収容される。一次側ケーシング5xの内部には、一次側冷媒回路5aの一部を構成する機器として、一次側圧縮機71、一次側切換機構72、一次側熱交換器74、一次側膨張弁76、一次側ファン75、外気温度センサ77、一次側吐出圧力センサ78、一次側制御部70等が収容されている。
【0183】
上述の各機器を収容した熱源ケーシング2xと、上述の各機器を収容した一次側ケーシング5xとは、いずれも建物の屋上等の屋外に配置され、一次側冷媒回路5aの冷媒配管を介して互いに接続されていてもよい。
【0184】
また、上述の各機器を収容した熱源ケーシング2xは、室内等の空調対象空間とは別の空間である機械室等の屋内空間に配置され、上述の各機器を収容した一次側ケーシング5xは建物の屋上等の屋外に配置され、両者が一次側冷媒回路5aの冷媒配管を介して互いに接続されていてもよい。
【0185】
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0186】
1 :冷凍サイクルシステム
2 :熱源ユニット
3a :第1利用ユニット
3b :第2利用ユニット
3c :第3利用ユニット
4 :二次側ユニット
5 :一次側ユニット
5a :一次側冷媒回路(第2サイクル)
6a、6b、6c:分岐ユニット
7 :液冷媒連絡管
8 :高低圧ガス冷媒連絡管
9 :低圧ガス冷媒連絡管
10 :二次側冷媒回路(第1サイクル)
11 :熱源側膨張機構(第1膨張部)
12 :熱源回路
13a-c:利用回路
20 :熱源側制御部
21 :二次側圧縮機(第1圧縮機)
21a :圧縮機モータ
22 :二次側切換機構(切換機構)
23 :吸入流路(第3流路)
24 :吐出流路
25 :第3熱源配管(第1流路)
26 :第4熱源配管(第2流路)
27 :第5熱源配管
28 :第1熱源配管
29 :第2熱源配管
30 :アキュムレータ
31 :第3閉鎖弁
32 :第1閉鎖弁
33 :第2閉鎖弁
34 :油分離器
35 :カスケード熱交換器
35a :二次側流路
35b :一次側流路
36 :二次側膨張弁(第1膨張部)
37 :二次側吸入圧力センサ(第3流路における冷媒圧力または冷媒温度を検出するセンサ)
38 :二次側吐出圧力センサ
39 :二次側吐出温度センサ
40 :油戻し回路
40a :油戻し回路
41 :油戻し流路(バイパス流路)
41a :第1油戻し流路(バイパス流路)
42 :油戻しキャピラリーチューブ
42a :油戻しキャピラリーチューブ
43a :第2油戻し流路
44 :油戻し開閉弁
44a :油戻し開閉弁
45 :接続流路
46 :接続開閉弁
47 :バイパス流路
47a :バイパス流路
48 :バイパスキャピラリーチューブ(減圧機構)
49 :バイパス開閉弁(開閉弁)
50a-c:利用側制御部
51a-c:利用側膨張弁
52a-c:利用側熱交換器(第1熱交換器)
56a、56b、56c:第2利用配管
57a、57b、57c:第1利用配管
58a、58b、58c:液側温度センサ
60a、60b、60c:分岐ユニット制御部
61a、61b、61c:第3分岐配管
62a、62b、62c:合流配管
63a、63b、63c:第1分岐配管
64a、64b、64c:第2分岐配管
66a、66b、66c:第1調節弁
67a、67b、67c:第2調節弁
70 :一次側制御部
71 :一次側圧縮機(第2圧縮機)
72 :一次側切換機構
74 :一次側熱交換器
76 :一次側膨張弁
77 :外気温度センサ
78 :一次側吐出圧力センサ
80 :制御部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0187】
【文献】特開2004-190917号公報
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