(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-16
(45)【発行日】2024-04-24
(54)【発明の名称】フルオロポリエーテル基含有チオール化合物
(51)【国際特許分類】
C08G 65/334 20060101AFI20240417BHJP
C08G 75/045 20160101ALI20240417BHJP
H01L 23/29 20060101ALI20240417BHJP
H01L 23/31 20060101ALI20240417BHJP
【FI】
C08G65/334
C08G75/045
H01L23/30 R
(21)【出願番号】P 2023026170
(22)【出願日】2023-02-22
【審査請求日】2023-02-22
(31)【優先権主張番号】P 2022025731
(32)【優先日】2022-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129791
【氏名又は名称】川本 真由美
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【氏名又は名称】式見 真行
(72)【発明者】
【氏名】澁谷 祥太
(72)【発明者】
【氏名】東後 行倫
(72)【発明者】
【氏名】奥野 晋吾
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 友理
【審査官】三宅 澄也
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-511635(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2020-0033558(KR,A)
【文献】CAPORICCIO,G. et al.,Some Physicochemical Properties of Perfluoropolyether Surfactants,Journal of Colloid and Interface Science,1984 Vol. 98 No. 1,p.202-209
【文献】CAPORICCIO,G. et al.,Some Physicochemical Properties of Perfluoropolyether Surfactants,Journal of Colloid and Interface Science,.Vol. 98, No. 1, March 1984
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G
H01L
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)又は(2):
【化2】
[式中:
R
F1は、それぞれ独立して、Rf
1-R
F-O
q-であり、
R
F2は、-Rf
2
p-R
F-O
q-であり、
Rf
1は、それぞれ独立して、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1-16アルキル基であり、
Rf
2は、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1-6アルキレン基であり、
R
Fは、それぞれ独立して、2価のフルオロポリエーテル基であり、
pは、0又は1であり、
qは、それぞれ独立して、0又は1であり、
X
Aは、それぞれ独立して、単結合又は2~10価の
炭化水素基又はその誘導体であり、
R
Sは、それぞれ独立して、下記式(S1)、(S2)、又は(S3):
【化3】
[式中:
R
Saは、-Z-CR
1R
2-SHであり、
Zは、-R
11-R
12-であり、
R
11は、単結合、又はC
1-6アルキレン基であり、
R
12は、-OCO-(CH
2)
m-であり、
mは、0~6の整数であり、
R
1は、炭化水素基であり、
R
2は、水素原子であり、
R
3は、水素原子又は炭化水素基であり、
n1は、1又は2であり、
n2は、1、2又は3である。]
で表される基であり、
式(1)及び(2)中、-CR
1R
2-SHで表される基は、少なくとも2個存在し、
α1は、1~9の整数であり、
α2は、1~9の整数であり、
βは、それぞれ独立して、1~9の整数である。]
で表される、フルオロポリエーテル基含有チオール化合物。
【請求項2】
フッ素含有率が30質量%以上である、請求項1に記載のフルオロポリエーテル基含有チオール化合物。
【請求項3】
前記チオール基を、2~6個含む、請求項1に記載のフルオロポリエーテル基含有チオール化合物。
【請求項4】
前記チオール基は、第2級チオール基である、請求項1に記載のフルオロポリエーテル基含有チオール化合物。
【請求項5】
前記チオール基は、前記フルオロポリエーテル基の両端側に存在する、請求項1に記載のフルオロポリエーテル基含有チオール化合物。
【請求項6】
Rf
1は、それぞれ独立して、C
1-16パーフルオロアルキル基であり、
Rf
2は、それぞれ独立して、C
1-6パーフルオロアルキレン基である、
請求項1に記載のフルオロポリエーテル基含有チオール化合物。
【請求項7】
R
Fは、それぞれ独立して、式:
-(OC
6F
12)
a-(OC
5F
10)
b-(OC
4F
8)
c-(OC
3R
Fa
6)
d-(OC
2F
4)
e-(OCF
2)
f-
[式中、R
Faは、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子又は塩素原子であり、
a、b、c、d、e及びfは、それぞれ独立して、0~200の整数であって、a、b、c、d、e及びfの和は1以上であり、a、b、c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意であり、ただし、すべてのR
Faが水素原子又は塩素原子である場合、a、b、c、e及びfの少なくとも1つは、1以上である。]
で表される基である、請求項1に記載のフルオロポリエーテル基含有チオール化合物。
【請求項8】
R
Faは、フッ素原子である、請求項7に記載のフルオロポリエーテル基含有チオール化合物。
【請求項9】
R
Fは、それぞれ独立して、下記式(f1)、(f2)、(f3)、(f4)、(f5)、又は(f6):
-(OC
3F
6)
d-(OC
2F
4)
e- (f1)
[式中、dは、1~200の整数であり、eは、0又は1である。]、
-(OC
4F
8)
c-(OC
3F
6)
d-(OC
2F
4)
e-(OCF
2)
f- (f2)
[式中、c及びdは、それぞれ独立して、0~30の整数であり、
e及びfは、それぞれ独立して、1~200の整数であり、
c、d、e及びfの和は、10~200の整数であり、
添字c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。]、
-(R
6-R
7)
g- (f3)
[式中、R
6は、OCF
2又はOC
2F
4であり、
R
7は、OC
2F
4、OC
3F
6、OC
4F
8、OC
5F
10及びOC
6F
12から選択される基であるか、あるいは、これらの基から選択される2又は3つの基の組み合わせであり、
gは、2~100の整数である。]、
-(R
6-R
7)
g-R
r-(R
7’-R
6’)
g’- (f4)
[式中、R
6は、OCF
2又はOC
2F
4であり、
R
7は、OC
2F
4、OC
3F
6、OC
4F
8、OC
5F
10及びOC
6F
12から選択される基であるか、あるいは、これらの基から独立して選択される2又は3つの基の組み合わせであり、
R
6’は、OCF
2又はOC
2F
4であり、
R
7’は、OC
2F
4、OC
3F
6、OC
4F
8、OC
5F
10及びOC
6F
12から選択される基であるか、あるいは、これらの基から独立して選択される2又は3つの基の組み合わせであり、
gは、2~100の整数であり、
g’は、2~100の整数であり、
R
rは、
【化4】
(式中、*は、結合位置を示す。)
である。];
-(OC
6F
12)
a-(OC
5F
10)
b-(OC
4F
8)
c-(OC
3F
6)
d-(OC
2F
4)
e-(OCF
2)
f- (f5)
[式中、eは、1以上200以下の整数であり、a、b、c、d及びfは、それぞれ独立して0以上200以下の整数であり、また、a、b、c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。]
-(OC
6F
12)
a-(OC
5F
10)
b-(OC
4F
8)
c-(OC
3F
6)
d-(OC
2F
4)
e-(OCF
2)
f- (f6)
[式中、fは、1以上200以下の整数であり、a、b、c、d及びeは、それぞれ独立して0以上200以下の整数であり、また、a、b、c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。]
で表される基である、請求項1に記載のフルオロポリエーテル基含有チオール化合物。
【請求項10】
R
1は、C
1-6アルキル基であり、R
2は、水素原子である、請求項1に記載のフルオロポリエーテル基含有チオール化合物。
【請求項11】
R
3は、水素原子、又はC
1-6アルキル基である、請求項1に記載のフルオロポリエーテル基含有チオール化合物。
【請求項12】
R
Sは、式(S2)又は(S3)で表される基である、請求項1に記載のフルオロポリエーテル基含有チオール化合物。
【請求項13】
R
Sは、式(S2)で表される基である、請求項1に記載のフルオロポリエーテル基含有チオール化合物。
【請求項14】
R
Sは、式(S3)で表される基である、請求項1に記載のフルオロポリエーテル基含有チオール化合物。
【請求項15】
α1、α2、及びβは、1である、請求項1に記載のフルオロポリエーテル基含有チオール化合物。
【請求項16】
X
Aは、式:
-(R
21)
m1-(R
22)
m2-
[式中:
R
21は、C
1-6アルキレン基であり、
R
22は、-O-、-CO-、-OCO-、-COO-、-NR
23-、-CONR
23-、又は-NR
23CO-であり、
R
23は、水素原子、又はC
1-6アルキル基であり、
m1は、0~10の整数であり、
m2は、0~10の整数であり、
m1とm2の合計は、1以上であり、
R
21及びR
22の存在順序は、式中において任意である。]
で表される基である、請求項1に記載のフルオロポリエーテル基含有チオール化合物。
【請求項17】
数平均分子量は、1,000~100,000である、請求項1に記載のフルオロポリエーテル基含有チオール化合物。
【請求項18】
粘度は、100~10000cPである、請求項1に記載のフルオロポリエーテル基含有チオール化合物。
【請求項19】
請求項1~18のいずれか1項に記載のフルオロポリエーテル基含有チオール化合物を含む硬化性組成物。
【請求項20】
さらに、炭素-炭素二重結合を有する基を含むフルオロポリエーテル基含有不飽和化合物を含む、請求項19に記載の硬化性組成物。
【請求項21】
前記炭素-炭素二重結合を有する基の数は、2~8個である、請求項20に記載の硬化性組成物。
【請求項22】
前記炭素-炭素二重結合を有する基は、アリル基、ビニル基、又は(メタ)アクリル基である、請求項20に記載の硬化性組成物。
【請求項23】
前記炭素-炭素二重結合を有する基は、アリル基である、請求項20に記載の硬化性組成物。
【請求項24】
前記炭素-炭素二重結合を有する基は、前記フルオロポリエーテル基の両端側に存在する、請求項20に記載の硬化性組成物。
【請求項25】
前記フルオロポリエーテル基含有不飽和化合物は、下記式(3)又は(4):
【化5】
[式中:
R
F1は、それぞれ独立して、Rf
1-R
F-O
q-であり、
R
F2は、-Rf
2
p-R
F-O
q-であり、
Rf
1は、それぞれ独立して、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1-16アルキル基であり、
Rf
2は、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1-6アルキレン基であり、
R
Fは、それぞれ独立して、2価のフルオロポリエーテル基であり、
pは、0又は1であり、
qは、それぞれ独立して、0又は1であり、
X
Bは、それぞれ独立して、単結合又は2~10価の
炭化水素基又はその誘導体であり、
R
Dは、それぞれ独立して、炭素-炭素二重結合を含む基であり、
γ1は、1~9の整数であり、
γ2は、1~9の整数であり、
δは、それぞれ独立して、1~9の整数である。]
で表される化合物である、請求項20に記載の硬化性組成物。
【請求項26】
前記炭素-炭素二重結合を含む基は、式:
-Y-A
[式中:
Yは、単結合、酸素原子又は2価の
炭化水素基又はその誘導体であり、
Aは、-CR
41=CH
2であり、
R
41は、それぞれ独立して、水素原子又はC
1-3アルキル基である。]
で表される基である、請求項25に記載の硬化性組成物。
【請求項27】
Yは、-CR
42
2-又は-CO-であり、
R
42は、それぞれ独立して、水素原子、又はC
1-6アルキル基である、
請求項25に記載の硬化性組成物。
【請求項28】
R
Dは、下記式(D1)、(D2)、(D3)、(D4)又は(D5):
【化6】
[式中、
Yは、単結合、酸素原子又は2価の
炭化水素基又はその誘導体であり、
Aは、-CR
41=CH
2であり、
R
41は、それぞれ独立して、水素原子またはC
1-3アルキル基であり、
X
10は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合又は2価の
炭化水素基又はその誘導体であり、
R
13は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子又は1価の
炭化水素基又はその誘導体であり、
tは、各出現においてそれぞれ独立して、2以上の整数であり、
R
14は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、又はハロゲン原子であり、
R
a1は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z
1-SiR
a2
p1R
a3
q1R
a4
r1であり、
Z
1は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、酸素原子又は2価の
炭化水素基又はその誘導体であり、
R
a2は、各出現においてそれぞれ独立して、各出現においてそれぞれ独立して、-Z
1’-SiR
a3’
q1’R
a4’
r1’であり、
Z
1’は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、酸素原子又は2価の
炭化水素基又はその誘導体であり、
R
a3’は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z
2-Y-Aであり、
R
a4’は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、水酸基または1価の
炭化水素基又はその誘導体であり、
Z
2は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、酸素原子または2価の
炭化水素基又はその誘導体であり、
q1’は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり、
r1’は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり、
ここに、q1’及びr1’の合計は、(SiR
a3’
q1’R
a4’
r1’)単位において、3であり、
R
a3は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z
2-Y-Aであり、
R
a4は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、水酸基または1価の
炭化水素基又はその誘導体であり、
p1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり、
q1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり、
r1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり、
ここに、p1、q1及びr1の合計は、(SiR
a2
p1R
a3
q1R
a4
r1)単位において、3であり、
R
b1は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z
2-Y-Aであり、
R
c1は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、水酸基または1価の
炭化水素基又はその誘導体であり、
k1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり、
l1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり、
m1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり、
ここに、k1、l1、及びm1の合計は、(SiR
a1
k1R
b1
l1R
c1
m1)単位において、3であり、
式(D3)中、少なくとも1つの-Y-Aが存在し、
R
d1は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z
3-CR
d2
p2R
d3
q2R
d4
r2であり、
Z
3は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、酸素原子または2価の
炭化水素基又はその誘導体であり、
R
d2は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z
3’-CR
d3’
q2’R
d4’
r2’であり、
Z
3’は、各出現においてそれぞれ独立して、酸素原子又は2価の
炭化水素基又はその誘導体であり、
R
d3’は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z
2-Y-Aであり、
R
d4’は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、水酸基または1価の
炭化水素基又はその誘導体であり、
q2’は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり、
r2’は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり、
ここに、q2’及びr2’の合計は、(CR
d3’
q2’R
d4’
r2’)単位において、3であり、
R
d3は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z
2-Y-Aであり;
R
d4は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、水酸基または1価の
炭化水素基又はその誘導体であり;
p2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
q2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
r2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
ここに、p2、q2及びr2の合計は、(CR
d2
p2R
d3
q2R
d4
r2)単位において、3であり、
R
e1は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z
2-Y-Aであり、
R
f1は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、水酸基または1価の
炭化水素基又はその誘導体であり、
k2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり、
l2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり、
m2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり、
ここに、k2、l2、及びm2の合計は、(CR
d1
k2R
e1
l2R
f1
m2)単位において、3であり、
式(D4)中、Aは少なくとも1つは存在し、
R
g1及びR
h1は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z
4-Y-A、-Z
4-SiR
a1
k1R
b1
l1R
c1
m1、又は-Z
4-CR
d1
k2R
e1
l2R
f1
m2であり、
Z
4は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、酸素原子又は2価の
炭化水素基又はその誘導体であり、
式(D5)中、Aは少なくとも1つは存在する。]
で表される基である、請求項25に記載の硬化性組成物。
【請求項29】
X
Bは、それぞれ独立して、下記式:
-{(R
31)
p’-(X
a)
q’}-R
32-
[式中:
R
31は、単結合、-(CH
2)
s’-又はo-、m-もしくはp-フェニレン基であり、
R
32は、単結合、-(CH
2)
t’-又はo-、m-もしくはp-フェニレン基であり、
s’は、1~20の整数であり、
t’は、1~20の整数であり、
X
aは、-(X
b)
r’-を表し、
X
bは、各出現においてそれぞれ独立して、-O-、-S-、o-、m-もしくはp-フェニレン基、置換又は非置換のC
3-10シクロアルキレン、置換又は非置換のo-、m-もしくはp-フェニレン基、-C(O)O-、-CONR
34-、-O-CONR
34-、-NR
34-、-Si(R
33)
2-、-(Si(R
33)
2O)
m’-Si(R
33)
2-、および-(CH
2)
n’-からなる群から選択される基を表し、
R
33は、各出現においてそれぞれ独立して、フェニル基、C
1-6アルキル基又はC
1-6アルコキシ基であり、
R
34は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、フェニル基又はC
1-6アルキル基であり、
m’は、各出現において、それぞれ独立して、1~100の整数であり、
n’は、各出現において、それぞれ独立して、1~20の整数であり、
r’は、1~10の整数であり、
p’は、0又は1であり、
q’は、0又は1であり、
ここに、p’およびq’の少なくとも一方は1であり、p’又はq’を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は任意である。]
で表される2価の基である、請求項25に記載の硬化性組成物。
【請求項30】
前記フルオロポリエーテル基含有チオール化合物と、前記フルオロポリエーテル基含有不飽和化合物との含有質量比は、0.1:100~100:0.1である、請求項20に記載の硬化性組成物。
【請求項31】
さらに、重合開始剤を含む、請求項19に記載の硬化性組成物。
【請求項32】
前記重合開始剤は、ラジカル重合開始剤である、請求項31に記載の硬化性組成物。
【請求項33】
前記重合開始剤は、ラジカル光重合開始剤である、請求項31に記載の硬化性組成物。
【請求項34】
前記重合開始剤は、芳香環構造を1~3個有する、請求項31に記載の硬化性組成物。
【請求項35】
さらに、含フッ素オイルを含む、請求項19に記載の硬化性組成物。
【請求項36】
前記含フッ素オイルは、下記式(5):
Rf
5-(OC
4F
8)
a’-(OC
3F
6)
b’-(OC
2F
4)
c’-(OCF
2)
d’-Rf
6 ・・・(5)
[式中:
Rf
5は、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1-16アルキル基であり、
Rf
6は、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1-16アルキル基、フッ素原子又は水素原子であり、
a’、b’、c’およびd’は、それぞれ独立して、0以上300以下の整数であり、
添字a’、b’、c’又はd’を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。]
で表される化合物である、請求項35に記載の硬化性組成物。
【請求項37】
無溶媒である、請求項19に記載の硬化性組成物。
【請求項38】
粘度は、100~10000cPである、請求項19に記載の硬化性組成物。
【請求項39】
請求項19に記載の硬化性組成物が硬化した硬化物。
【請求項40】
引張弾性率が0.5~500MPaである請求項39に記載の硬化物。
【請求項41】
封止材である、請求項39に記載の硬化物。
【請求項42】
電子機器用の封止材である、請求項39に記載の硬化物。
【請求項43】
基材と、該基材上に、請求項19に記載の硬化性組成物が硬化した層とを含む物品。
【請求項44】
式(c1):
【化7】
[式中:
R
F2は、-Rf
2
p-R
F-O
q-であり、
Rf
2は、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1-6アルキレン基であり、
R
Fは、それぞれ独立して、2価のフルオロポリエーテル基であり、
pは、0又は1であり、
qは、それぞれ独立して、0又は1であり、
X
11は、単結合、又は2価の炭化水素基であり、
X
12は、2価の炭化水素基である。]
で表される化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、フルオロポリエーテル基含有チオール化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
フルオロポリエーテル基含有チオール化合物として、例えば、フルオロポリエーテル基と第1級チオール基を有する化合物が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、安定性に優れたフルオロポリエーテル基含有チオール化合物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、以下の態様を含む。
[1] 第2級又は第3級チオール基から選択されるチオール基を2個以上含む、フルオロポリエーテル基含有チオール化合物。
[2] フッ素含有率が30質量%以上である、上記[1]に記載のフルオロポリエーテル基含有チオール化合物。
[3] 前記チオール基を、2~6個含む、上記[1]又は[2]に記載のフルオロポリエーテル基含有チオール化合物。
[4] 前記チオール基は、第2級チオール基である、上記[1]~[3]のいずれか1項に記載のフルオロポリエーテル基含有チオール化合物。
[5] 前記チオール基は、前記フルオロポリエーテル基の両端側に存在する、上記[1]~[4]のいずれか1項に記載のフルオロポリエーテル基含有チオール化合物。
[6] 下記式(1)又は(2):
【化1】
[式中:
R
F1は、それぞれ独立して、Rf
1-R
F-O
q-であり、
R
F2は、-Rf
2
p-R
F-O
q-であり、
Rf
1は、それぞれ独立して、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1-16アルキル基であり、
Rf
2は、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1-6アルキレン基であり、
R
Fは、それぞれ独立して、2価のフルオロポリエーテル基であり、
pは、0又は1であり、
qは、それぞれ独立して、0又は1であり、
X
Aは、それぞれ独立して、単結合又は2~10価の有機基であり、
R
Sは、それぞれ独立して、-CR
1R
2-SHで表される基を含む1価の基であり、
R
1は、炭化水素基であり、
R
2は、水素原子又は炭化水素基であり、
式(1)及び(2)中、-CR
1R
2-SHで表される基は、少なくとも2個存在し、
α1は、1~9の整数であり、
α2は、1~9の整数であり、
βは、それぞれ独立して、1~9の整数である。]
で表される、上記[1]~[5]のいずれか1項に記載のフルオロポリエーテル基含有チオール化合物。
[7] Rf
1は、それぞれ独立して、C
1-16パーフルオロアルキル基であり、
Rf
2は、それぞれ独立して、C
1-6パーフルオロアルキレン基である、
上記[6]に記載のフルオロポリエーテル基含有チオール化合物。
[8] R
Fは、それぞれ独立して、式:
-(OC
6F
12)
a-(OC
5F
10)
b-(OC
4F
8)
c-(OC
3R
Fa
6)
d-(OC
2F
4)
e-(OCF
2)
f-
[式中、R
Faは、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子又は塩素原子であり、
a、b、c、d、e及びfは、それぞれ独立して、0~200の整数であって、a、b、c、d、e及びfの和は1以上であり、a、b、c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意であり、ただし、すべてのR
Faが水素原子又は塩素原子である場合、a、b、c、e及びfの少なくとも1つは、1以上である。]
で表される基である、上記[6]又は[7]に記載のフルオロポリエーテル基含有チオール化合物。
[9] R
Faは、フッ素原子である、上記[8]に記載のフルオロポリエーテル基含有チオール化合物。
[10] R
Fは、それぞれ独立して、下記式(f1)、(f2)、(f3)、(f4)、(f5)、又は(f6):
-(OC
3F
6)
d-(OC
2F
4)
e- (f1)
[式中、dは、1~200の整数であり、eは、0又は1である。]、
-(OC
4F
8)
c-(OC
3F
6)
d-(OC
2F
4)
e-(OCF
2)
f- (f2)
[式中、c及びdは、それぞれ独立して、0~30の整数であり、
e及びfは、それぞれ独立して、1~200の整数であり、
c、d、e及びfの和は、10~200の整数であり、
添字c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。]、
-(R
6-R
7)
g- (f3)
[式中、R
6は、OCF
2又はOC
2F
4であり、
R
7は、OC
2F
4、OC
3F
6、OC
4F
8、OC
5F
10及びOC
6F
12から選択される基であるか、あるいは、これらの基から選択される2又は3つの基の組み合わせであり、
gは、2~100の整数である。]、
-(R
6-R
7)
g-R
r-(R
7’-R
6’)
g’- (f4)
[式中、R
6は、OCF
2又はOC
2F
4であり、
R
7は、OC
2F
4、OC
3F
6、OC
4F
8、OC
5F
10及びOC
6F
12から選択される基であるか、あるいは、これらの基から独立して選択される2又は3つの基の組み合わせであり、
R
6’は、OCF
2又はOC
2F
4であり、
R
7’は、OC
2F
4、OC
3F
6、OC
4F
8、OC
5F
10及びOC
6F
12から選択される基であるか、あるいは、これらの基から独立して選択される2又は3つの基の組み合わせであり、
gは、2~100の整数であり、
g’は、2~100の整数であり、
R
rは、
【化2】
(式中、*は、結合位置を示す。)
である。];
-(OC
6F
12)
a-(OC
5F
10)
b-(OC
4F
8)
c-(OC
3F
6)
d-(OC
2F
4)
e-(OCF
2)
f- (f5)
[式中、eは、1以上200以下の整数であり、a、b、c、d及びfは、それぞれ独立して0以上200以下の整数であり、また、a、b、c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。]
-(OC
6F
12)
a-(OC
5F
10)
b-(OC
4F
8)
c-(OC
3F
6)
d-(OC
2F
4)
e-(OCF
2)
f- (f6)
[式中、fは、1以上200以下の整数であり、a、b、c、d及びeは、それぞれ独立して0以上200以下の整数であり、また、a、b、c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。]
で表される基である、上記[6]~[9]のいずれか1項に記載のフルオロポリエーテル基含有チオール化合物。
[11] R
Sは、下記式(S1)、(S2)、又は(S3):
【化3】
[式中:
R
Saは、-Z-CR
1R
2-SHであり、
Zは、単結合、又は2価の基であり、
R
1は、炭化水素基であり、
R
2は、水素原子又は炭化水素基であり、
R
3は、水素原子又は炭化水素基であり、
n1は、1又は2であり、
n2は、1、2又は3である。]
で表される基である、上記[6]~[10]のいずれか1項に記載のフルオロポリエーテル基含有チオール化合物。
[12] Zは、-R
11-R
12-であり、
R
11は、単結合、又はC
1-6アルキレン基であり、
R
12は、-OCO-(CH
2)
m-であり、
mは、0~6の整数である、
上記[11]に記載のフルオロポリエーテル基含有チオール化合物。
[13] R
1は、C
1-6アルキル基であり、R
2は、水素原子又はC
1-6アルキル基である、上記[6]~[12]のいずれか1項に記載のフルオロポリエーテル基含有チオール化合物。
[14] R
3は、水素原子、又はC
1-6アルキル基である上記[11]~[13]のいずれか1項に記載のフルオロポリエーテル基含有チオール化合物。
[15] R
Sは、式(S2)又は(S3)で表される基である、上記[11]~[14]のいずれか1項に記載のフルオロポリエーテル基含有チオール化合物。
[16] R
Sは、式(S2)で表される基である、上記[11]~[15]のいずれか1項に記載のフルオロポリエーテル基含有チオール化合物。
[17] R
Sは、式(S3)で表される基である、上記[11]~[15]のいずれか1項に記載のフルオロポリエーテル基含有チオール化合物。
[18] α1、α2、及びβは、1である、上記[6]~[17]のいずれか1項に記載のフルオロポリエーテル基含有チオール化合物。
[19] X
Aは、式:
-(R
21)
m1-(R
22)
m2-
[式中:
R
21は、C
1-6アルキレン基であり、
R
22は、-O-、-CO-、-OCO-、-COO-、-NR
23-、-CONR
23-、又は-NR
23CO-であり、
R
23は、水素原子、又はC
1-6アルキル基であり、
m1は、0~10の整数であり、
m2は、0~10の整数であり、
m1とm2の合計は、1以上であり、
R
21及びR
22の存在順序は、式中において任意である。]
で表される基である、上記[6]~[18]のいずれか1項に記載のフルオロポリエーテル基含有チオール化合物。
[20] 数平均分子量は、1,000~100,000である、上記[1]~[19]のいずれか1項に記載のフルオロポリエーテル基含有チオール化合物。
[21] 粘度は、100~10000cPである、上記[1]~[20]のいずれか1項に記載のフルオロポリエーテル基含有チオール化合物。
[22] 上記[1]~[21]のいずれか1項に記載のフルオロポリエーテル基含有チオール化合物を含む硬化性組成物。
[23] さらに、炭素-炭素二重結合を有する基を含むフルオロポリエーテル基含有不飽和化合物を含む、上記[22]に記載の硬化性組成物。
[24] 前記炭素-炭素二重結合を有する基の数は、2~8個である、上記[23]に記載の硬化性組成物。
[25] 前記炭素-炭素二重結合を有する基は、アリル基、ビニル基、又は(メタ)アクリル基である、上記[23]又は[24]に記載の硬化性組成物。
[26] 前記炭素-炭素二重結合を有する基は、アリル基である、上記[23]~[25]のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
[27] 前記炭素-炭素二重結合を有する基は、前記フルオロポリエーテル基の両端側に存在する、上記[23]~[26]のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
[28] 前記フルオロポリエーテル基含有不飽和化合物は、下記式(3)又は(4):
【化4】
[式中:
R
F1は、それぞれ独立して、Rf
1-R
F-O
q-であり、
R
F2は、-Rf
2
p-R
F-O
q-であり、
Rf
1は、それぞれ独立して、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1-16アルキル基であり、
Rf
2は、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1-6アルキレン基であり、
R
Fは、それぞれ独立して、2価のフルオロポリエーテル基であり、
pは、0又は1であり、
qは、それぞれ独立して、0又は1であり、
X
Bは、それぞれ独立して、単結合又は2~10価の有機基であり、
R
Dは、それぞれ独立して、炭素-炭素二重結合を含む基であり、
γ1は、1~9の整数であり、
γ2は、1~9の整数であり、
δは、それぞれ独立して、1~9の整数である。]
で表される化合物である、上記[23]~[27]のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
[29] 前記炭素-炭素二重結合を含む基は、式:
-Y-A
[式中:
Yは、単結合、酸素原子又は2価の有機基であり、
Aは、-CR
41=CH
2であり、
R
41は、それぞれ独立して、水素原子又はC
1-3アルキル基である。]
で表される基である、上記[28]に記載の硬化性組成物。
[30] Yは、-CR
42
2-又は-CO-であり、
R
42は、それぞれ独立して、水素原子、又はC
1-6アルキル基である、
上記[28]又は[29]に記載の硬化性組成物。
[31] R
Dは、下記式(D1)、(D2)、(D3)、(D4)又は(D5):
【化5】
[式中、
Yは、単結合、酸素原子又は2価の有機基であり、
Aは、-CR
41=CH
2であり、
R
41は、それぞれ独立して、水素原子またはC
1-3アルキル基であり、
X
10は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合又は2価の有機基であり、
R
13は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり、
tは、各出現においてそれぞれ独立して、2以上の整数であり、
R
14は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、又はハロゲン原子であり、
R
a1は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z
1-SiR
a2
p1R
a3
q1R
a4
r1であり、
Z
1は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、酸素原子又は2価の有機基であり、
R
a2は、各出現においてそれぞれ独立して、各出現においてそれぞれ独立して、-Z
1’-SiR
a3’
q1’R
a4’
r1’であり、
Z
1’は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、酸素原子又は2価の有機基であり、
R
a3’は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z
2-Y-Aであり、
R
a4’は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、水酸基または1価の有機基であり、
Z
2は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、酸素原子または2価の有機基であり、
q1’は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり、
r1’は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり、
ここに、q1’及びr1’の合計は、(SiR
a3’
q1’R
a4’
r1’)単位において、3であり、
R
a3は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z
2-Y-Aであり、
R
a4は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、水酸基または1価の有機基であり、
p1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり、
q1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり、
r1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり、
ここに、p1、q1及びr1の合計は、(SiR
a2
p1R
a3
q1R
a4
r1)単位において、3であり、
R
b1は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z
2-Y-Aであり、
R
c1は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、水酸基または1価の有機基であり、
k1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり、
l1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり、
m1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり、
ここに、k1、l1、及びm1の合計は、(SiR
a1
k1R
b1
l1R
c1
m1)単位において、3であり、
式(D3)中、少なくとも1つの-Y-Aが存在し、
R
d1は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z
3-CR
d2
p2R
d3
q2R
d4
r2であり、
Z
3は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、酸素原子または2価の有機基であり、
R
d2は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z
3’-CR
d3’
q2’R
d4’
r2’であり、
Z
3’は、各出現においてそれぞれ独立して、酸素原子又は2価の有機基であり、
R
d3’は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z
2-Y-Aであり、
R
d4’は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、水酸基または1価の有機基であり、
q2’は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり、
r2’は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり、
ここに、q2’及びr2’の合計は、(CR
d3’
q2’R
d4’
r2’)単位において、3であり、
R
d3は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z
2-Y-Aであり;
R
d4は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、水酸基または1価の有機基であり;
p2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
q2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
r2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
ここに、p2、q2及びr2の合計は、(CR
d2
p2R
d3
q2R
d4
r2)単位において、3であり、
R
e1は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z
2-Y-Aであり、
R
f1は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、水酸基または1価の有機基であり、
k2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり、
l2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり、
m2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり、
ここに、k2、l2、及びm2の合計は、(CR
d1
k2R
e1
l2R
f1
m2)単位において、3であり、
式(D4)中、Aは少なくとも1つは存在し、
R
g1及びR
h1は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z
4-Y-A、-Z
4-SiR
a1
k1R
b1
l1R
c1
m1、又は-Z
4-CR
d1
k2R
e1
l2R
f1
m2であり、
Z
4は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、酸素原子又は2価の有機基であり、
式(D5)中、Aは少なくとも1つは存在する。]
で表される基である、上記[28]~[30]のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
[32] X
Bは、それぞれ独立して、下記式:
-{(R
31)
p’-(X
a)
q’}-R
32-
[式中:
R
31は、単結合、-(CH
2)
s’-又はo-、m-もしくはp-フェニレン基であり、
R
32は、単結合、-(CH
2)
t’-又はo-、m-もしくはp-フェニレン基であり、
s’は、1~20の整数であり、
t’は、1~20の整数であり、
X
aは、-(X
b)
r’-を表し、
X
bは、各出現においてそれぞれ独立して、-O-、-S-、o-、m-もしくはp-フェニレン基、置換又は非置換のC
3-10シクロアルキレン、置換又は非置換のo-、m-もしくはp-フェニレン基、-C(O)O-、-CONR
34-、-O-CONR
34-、-NR
34-、-Si(R
33)
2-、-(Si(R
33)
2O)
m’-Si(R
33)
2-、および-(CH
2)
n’-からなる群から選択される基を表し、
R
33は、各出現においてそれぞれ独立して、フェニル基、C
1-6アルキル基又はC
1-6アルコキシ基であり、
R
34は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、フェニル基又はC
1-6アルキル基であり、
m’は、各出現において、それぞれ独立して、1~100の整数であり、
n’は、各出現において、それぞれ独立して、1~20の整数であり、
r’は、1~10の整数であり、
p’は、0又は1であり、
q’は、0又は1であり、
ここに、p’およびq’の少なくとも一方は1であり、p’又はq’を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は任意である。]
で表される2価の基である、上記[28]~[31]のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
[33] 前記フルオロポリエーテル基含有チオール化合物と、前記フルオロポリエーテル基含有不飽和化合物との含有質量比は、0.1:100~100:0.1である、上記[23]~[32]のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
[34] さらに、重合開始剤を含む、上記[22]~[33]のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
[35] 前記重合開始剤は、ラジカル重合開始剤である、上記[34]に記載の硬化性組成物。
[36] 前記重合開始剤は、ラジカル光重合開始剤である、上記[34]に記載の硬化性組成物。
[37] 前記重合開始剤は、芳香環構造を1~3個有する、上記[34]に記載の硬化性組成物。
[38] さらに、含フッ素オイルを含む、上記[22]~[37]のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
[39] 前記含フッ素オイルは、下記式(5):
Rf
5-(OC
4F
8)
a’-(OC
3F
6)
b’-(OC
2F
4)
c’-(OCF
2)
d’-Rf
6 ・・・(5)
[式中:
Rf
5は、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1-16アルキル基であり、
Rf
6は、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1-16アルキル基、フッ素原子又は水素原子であり、
a’、b’、c’およびd’は、それぞれ独立して、0以上300以下の整数であり、
添字a’、b’、c’又はd’を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。]
で表される化合物である、上記[38]に記載の硬化性組成物。
[40] 無溶媒である、上記[22]~[39]のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
[41] 粘度は、100~10000cPである、上記[22]~[40]のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
[42] 上記[22]~[41]のいずれか1項に記載の硬化性組成物が硬化した硬化物。
[43] 引張弾性率が0.5~500MPaである上記[42]に記載の硬化物。
[44] 封止材である、上記[42]に記載の硬化物。
[45] 電子機器用の封止材である、上記[42]に記載の硬化物。
[46] 基材と、該基材上に、上記[22]~[41]のいずれか1項に記載の硬化性組成物が硬化した層とを含む物品。
[47] 式(c1):
【化6】
[式中:
R
F2は、-Rf
2
p-R
F-O
q-であり、
Rf
2は、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1-6アルキレン基であり、
R
Fは、それぞれ独立して、2価のフルオロポリエーテル基であり、
pは、0又は1であり、
qは、それぞれ独立して、0又は1であり、
X
11は、単結合、又は2価の炭化水素基であり、
X
12は、2価の炭化水素基である。]
で表される化合物。
【発明の効果】
【0006】
本開示のフルオロポリエーテル基含有チオール化合物は、安定性に優れている。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書において用いられる場合、「1価の有機基」とは、炭素を含有する1価の基を意味する。1価の有機基としては、特に限定されないが、炭化水素基又はその誘導体であり得る。炭化水素基の誘導体とは、炭化水素基の末端又は分子鎖中に、1つ又はそれ以上のN、O、S、Si、アミド、スルホニル、シロキサン、カルボニル、カルボニルオキシ等を有している基を意味する。尚、単に「有機基」と示す場合、1価の有機基を意味する。また、「2価の有機基」とは、炭素を含有する2価の基を意味する。かかる2価の有機基としては、特に限定されないが、有機基からさらに1個の水素原子を脱離させた2価の基が挙げられる。同様に、「2~10価の有機基」とは、炭素を含有する2~10価の基を意味し、かかる2~10価の有機基としては、特に限定されないが、有機基からさらに1~9個の水素原子を脱離させた2~10価の基が挙げられる。
【0008】
本明細書において用いられる場合、「炭化水素基」とは、炭素及び水素を含む基であって、炭化水素から1個の水素原子を脱離させた基を意味する。かかる炭化水素基としては、特に限定されるものではないが、1つ又はそれ以上の置換基により置換されていてもよい、C1-20炭化水素基、例えば、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基等が挙げられる。上記「脂肪族炭化水素基」は、直鎖状、分枝鎖状又は環状のいずれであってもよく、飽和又は不飽和のいずれであってもよい。また、炭化水素基は、1つ又はそれ以上の環構造を含んでいてもよい。
【0009】
本明細書において用いられる場合、「炭化水素基」の置換基としては、特に限定されないが、例えば、ハロゲン原子、1個又はそれ以上のハロゲン原子により置換されていてもよい、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C3-10シクロアルキル基、C3-10不飽和シクロアルキル基、5~10員のヘテロシクリル基、5~10員の不飽和ヘテロシクリル基、C6-10アリール基及び5~10員のヘテロアリール基から選択される1個又はそれ以上の基が挙げられる。
【0010】
本明細書において用いられる場合、「加水分解性基」とは、加水分解反応を受け得る基を意味し、すなわち、加水分解反応により、化合物の主骨格から脱離し得る基を意味する。加水分解性基の例としては、-ORj、-OCORj、-O-N=CRj
2、-NRj
2、-NHRj、-NCO、ハロゲン(これら式中、Rjは、置換又は非置換のC1-4アルキル基を示す)などが挙げられる。
【0011】
(フルオロポリエーテル基含有チオール化合物)
本開示は、第2級又は第3級チオール基から選択されるチオール基を2個以上含む、フルオロポリエーテル基含有チオール化合物を提供する。
【0012】
本開示のフルオロポリエーテル基含有チオール化合物は、チオール基が第2級又は第3級チオール基であることから、優れた保存安定性を有する。
【0013】
上記第2級チオールとは、チオール基(SH)が結合する炭素原子が、置換基として1つの炭化水素基を有する化合物、例えば、-CHR-SH(式中、Rは、炭化水素基である。)で表される基を意味する。
【0014】
上記第3級チオールとは、チオール基(SH)が結合する炭素原子が、置換基として2つの炭化水素基を有する化合物、例えば、-CR2-SH(式中、Rは、それぞれ独立して、炭化水素基である。)で表される基を意味する。
【0015】
本開示のフルオロポリエーテル基含有チオール化合物中に含まれるチオール基の数は、好ましくは2個以上、より好ましくは3個以上、さらに好ましくは4個以上であり得る。また、本開示のフルオロポリエーテル基含有チオール化合物中に含まれるチオール基の数は、好ましくは6個以下、例えば5個以下又は4個以下であり得る。
【0016】
一の態様において、本開示のフルオロポリエーテル基含有チオール化合物中に含まれるチオール基の数は、好ましくは2~6個、より好ましくは2~4個であり得る。ある態様において、本開示のフルオロポリエーテル基含有チオール化合物中に含まれるチオール基の数は、2個である。別の態様において、本開示のフルオロポリエーテル基含有チオール化合物中に含まれるチオール基の数は、4個である。フルオロポリエーテル基含有チオール化合物が複数のチオール基を有することにより、硬化性が高くなる。
【0017】
好ましい態様において、上記チオール基は、フルオロポリエーテル基の両端側に存在する。
【0018】
好ましい態様において、本開示のフルオロポリエーテル基含有チオール化合物において、フルオロポリエーテル基の両端側に存在する上記チオール基の数は、同じである。例えば、フルオロポリエーテル基の各端側に、チオール基は1個ずつ存在し、あるいは、フルオロポリエーテル基の各端側に、チオール基は2個ずつ存在する。フルオロポリエーテル基含有チオール化合物が、フルオロポリエーテル基の両端側に複数のチオール基を有することにより、より硬化性が高くなり、例えば2000mJ/cm3以下、さらに1000mJ/cm3以下の照射量の紫外線であっても硬化し得る。
【0019】
一の態様において、上記チオール基は、第2級チオール基である。
【0020】
別の態様において、上記チオール基は、第3級チオール基である。
【0021】
本開示のフルオロポリエーテル基含有チオール化合物のフッ素含有率は、好ましくは30質量%以上、より好ましくは35質量%以上、さらに好ましくは40質量%以上である。また、本開示のフルオロポリエーテル基含有チオール化合物のフッ素含有率は、好ましくは80質量%以下、より好ましくは75質量%以下、さらに好ましくは70質量%以下である。
【0022】
上記フッ素含有率は元素分析により測定することができる。
【0023】
本開示のフルオロポリエーテル基含有チオール化合物は、SP値が5.0~13.0の範囲であることが好ましい。
【0024】
上記SP値はFedorsの推算法により求めることができる。
【0025】
本開示のフルオロポリエーテル基含有チオール化合物の粘度は、好ましくは100cP以上、より好ましくは300cP以上、さらに好ましくは500cP以上である。また、本開示のフルオロポリエーテル基含有チオール化合物の粘度は、好ましくは10000cP以下、より好ましくは7000cP以下、さらに好ましくは5000cP以下である。
【0026】
一の態様において、本開示のフルオロポリエーテル基含有チオール化合物の粘度は、100~10000cP、好ましくは300~7000cP、より好ましくは500~5000cPである。
【0027】
上記粘度は、東機産業社製TV-10型粘度計(ローターNo.THM1、回転数1.0rpm、測定温度25℃)により測定することができる。
【0028】
好ましい態様において、本開示のフルオロポリエーテル基含有チオール化合物は、下記式(1)又は(2):
【化7】
[式中:
R
F1は、それぞれ独立して、Rf
1-R
F-O
q-であり、
R
F2は、-Rf
2
p-R
F-O
q-であり、
Rf
1は、それぞれ独立して、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1-16アルキル基であり、
Rf
2は、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1-6アルキレン基であり、
R
Fは、それぞれ独立して、2価のフルオロポリエーテル基であり、
pは、0又は1であり、
qは、それぞれ独立して、0又は1であり、
X
Aは、それぞれ独立して、単結合又は2~10価の有機基であり、
R
Sは、それぞれ独立して、-CR
1R
2-SHで表される基を含む1価の基であり、
R
1は、炭化水素基であり、
R
2は、水素原子又は炭化水素基であり、
式(1)及び(2)中、-CR
1R
2-SHで表される基は、少なくとも2個存在し、
α1は、1~9の整数であり、
α2は、1~9の整数であり、
βは、それぞれ独立して、1~9の整数である。]
で表される化合物であり得る。
【0029】
上記式(1)において、RF1は、Rf1-RF-Oq-である。
【0030】
上記式(2)において、RF2は、-Rf2
p-RF-Oq-である。
【0031】
上記式において、Rf1は、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基である。
【0032】
上記1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基における「C1-16アルキル基」は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、好ましくは、直鎖又は分枝鎖のC1-6アルキル基、特にC1-3アルキル基であり、より好ましくは直鎖のC1-6アルキル基、特にC1-3アルキル基である。
【0033】
上記Rf1は、好ましくは、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されているC1-16アルキル基であり、より好ましくはCF2H-C1-15パーフルオロアルキレン基であり、さらに好ましくはC1-16パーフルオロアルキル基である。
【0034】
上記C1-16パーフルオロアルキル基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、好ましくは、直鎖又は分枝鎖のC1-6パーフルオロアルキル基、特にC1-3パーフルオロアルキル基であり、より好ましくは直鎖のC1-6パーフルオロアルキル基、特にC1-3パーフルオロアルキル基、具体的には-CF3、-CF2CF3、又は-CF2CF2CF3である。
【0035】
上記式において、Rf2は、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-6アルキレン基である。
【0036】
上記1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-6アルキレン基における「C1-6アルキレン基」は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、好ましくは、直鎖又は分枝鎖のC1-3アルキレン基であり、より好ましくは直鎖のC1-3アルキレン基である。
【0037】
上記Rf2は、好ましくは、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されているC1-6アルキレン基であり、より好ましくはC1-6パーフルオロアルキレン基であり、さらに好ましくはC1-3パーフルオロアルキレン基である。
【0038】
上記C1-6パーフルオロアルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、好ましくは、直鎖又は分枝鎖のC1-3パーフルオロアルキレン基であり、より好ましくは直鎖のC1-3パーフルオロアルキレン基、具体的には-CF2-、-CF2CF2-、又は-CF2CF2CF2-である。
【0039】
上記式において、pは、0又は1である。一の態様において、pは0である。別の態様においてpは1である。
【0040】
上記式において、qは、それぞれ独立して、0又は1である。一の態様において、qは0である。別の態様においてqは1である。
【0041】
上記式(1)及び(2)において、RFは、各出現においてそれぞれ独立して、2価のフルオロポリエーテル基である。
【0042】
RFは、好ましくは、下記:
-(OCh1RFa
2h1)h3-(OCh2RFa
2h2-2)h4-
[式中:
RFaは、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子又は塩素原子であり、
h1は、1~6の整数であり、
h2は、4~8の整数であり、
h3は、0以上の整数であり、
h4は、0以上の整数であり、
だたし、h3とh4の合成は、1以上、好ましくは2以上、より好ましくは5以上であり、h3及びh4を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。]
で表される基を含み得る。
【0043】
一の態様において、RFは、直鎖状、又は分枝鎖状であり得る。RFは、好ましくは、式:
-(OC6F12)a-(OC5F10)b-(OC4F8)c-(OC3RFa
6)d-(OC2F4)e-(OCF2)f-
[式中:
RFaは、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子又は塩素原子であり、
a、b、c、d、e及びfは、それぞれ独立して、0~200の整数であって、a、b、c、d、e及びfの和は1以上である。a、b、c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。ただし、すべてのRFaが水素原子又は塩素原子である場合、a、b、c、e及びfの少なくとも1つは、1以上である。]
で表される基である。
【0044】
RFaは、好ましくは、水素原子又はフッ素原子であり、より好ましくは、フッ素原子である。ただし、すべてのRFaが水素原子又は塩素原子である場合、a、b、c、e及びfの少なくとも1つは、1以上である。
【0045】
a、b、c、d、e及びfは、好ましくは、それぞれ独立して、0~100の整数であってもよい。
【0046】
a、b、c、d、e及びfの和は、好ましくは5以上であり、より好ましくは10以上であり、例えば15以上又は20以上であってもよい。a、b、c、d、e及びfの和は、好ましくは200以下、より好ましくは100以下、さらに好ましくは60以下であり、例えば50以下又は30以下であってもよい。
【0047】
これら繰り返し単位は、直鎖状であっても、分枝鎖状であってもよい。例えば、-(OC6F12)-は、-(OCF2CF2CF2CF2CF2CF2)-、-(OCF(CF3)CF2CF2CF2CF2)-、-(OCF2CF(CF3)CF2CF2CF2)-、-(OCF2CF2CF(CF3)CF2CF2)-、-(OCF2CF2CF2CF(CF3)CF2)-、-(OCF2CF2CF2CF2CF(CF3))-等であってもよい。-(OC5F10)-は、-(OCF2CF2CF2CF2CF2)-、-(OCF(CF3)CF2CF2CF2)-、-(OCF2CF(CF3)CF2CF2)-、-(OCF2CF2CF(CF3)CF2)-、-(OCF2CF2CF2CF(CF3))-等であってもよい。-(OC4F8)-は、-(OCF2CF2CF2CF2)-、-(OCF(CF3)CF2CF2)-、-(OCF2CF(CF3)CF2)-、-(OCF2CF2CF(CF3))-、-(OC(CF3)2CF2)-、-(OCF2C(CF3)2)-、-(OCF(CF3)CF(CF3))-、-(OCF(C2F5)CF2)-及び-(OCF2CF(C2F5))-のいずれであってもよい。-(OC3F6)-(即ち、上記式中、RFaはフッ素原子である)は、-(OCF2CF2CF2)-、-(OCF(CF3)CF2)-及び-(OCF2CF(CF3))-のいずれであってもよい。-(OC2F4)-は、-(OCF2CF2)-及び-(OCF(CF3))-のいずれであってもよい。
【0048】
一の態様において、上記繰り返し単位は直鎖状である。上記繰り返し単位を直鎖状とすることにより、表面処理層の表面滑り性、摩耗耐久性等を向上させることができる。
【0049】
一の態様において、上記繰り返し単位は分枝鎖状である。上記繰り返し単位を分枝鎖状とすることにより、表面処理層の動摩擦係数を大きくすることができる。
【0050】
一の態様において、RFは、環構造を含み得る。
【0051】
上記環構造は、下記三員環、四員環、五員環、又は六員環であり得る。
【化8】
[式中、*は、結合位置を示す。]
【0052】
上記環構造は、好ましくは四員環、五員環、又は六員環、より好ましくは四員環、又は六員環であり得る。
【0053】
環構造を有する繰り返し単位は、好ましくは、下記の単位であり得る。
【化9】
[式中、*は、結合位置を示す。]
【0054】
一の態様において、R
Fは、各出現においてそれぞれ独立して、下記式(f1)~(f6)のいずれかで表される基である。
-(OC
3F
6)
d-(OC
2F
4)
e- (f1)
[式中、dは、1~200の整数であり、eは0又は1である。];
-(OC
4F
8)
c-(OC
3F
6)
d-(OC
2F
4)
e-(OCF
2)
f- (f2)
[式中、c及びdは、それぞれ独立して0以上30以下の整数であり、e及びfは、それぞれ独立して1以上200以下の整数であり、
c、d、e及びfの和は2以上であり、
添字c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。];
-(R
6-R
7)
g- (f3)
[式中、R
6は、OCF
2又はOC
2F
4であり、
R
7は、OC
2F
4、OC
3F
6、OC
4F
8、OC
5F
10及びOC
6F
12から選択される基であるか、あるいは、これらの基から独立して選択される2又は3つの基の組み合わせであり、
gは、2~100の整数である。];
-(R
6-R
7)
g-R
r-(R
7’-R
6’)
g’- (f4)
[式中、R
6は、OCF
2又はOC
2F
4であり、
R
7は、OC
2F
4、OC
3F
6、OC
4F
8、OC
5F
10及びOC
6F
12から選択される基であるか、あるいは、これらの基から独立して選択される2又は3つの基の組み合わせであり、
R
6’は、OCF
2又はOC
2F
4であり、
R
7’は、OC
2F
4、OC
3F
6、OC
4F
8、OC
5F
10及びOC
6F
12から選択される基であるか、あるいは、これらの基から独立して選択される2又は3つの基の組み合わせであり、
gは、2~100の整数であり、
g’は、2~100の整数であり、
R
rは、
【化10】
(式中、*は、結合位置を示す。)
である。];
-(OC
6F
12)
a-(OC
5F
10)
b-(OC
4F
8)
c-(OC
3F
6)
d-(OC
2F
4)
e-(OCF
2)
f- (f5)
[式中、eは、1以上200以下の整数であり、a、b、c、d及びfは、それぞれ独立して0以上200以下の整数であって、また、a、b、c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。]
-(OC
6F
12)
a-(OC
5F
10)
b-(OC
4F
8)
c-(OC
3F
6)
d-(OC
2F
4)
e-(OCF
2)
f- (f6)
[式中、fは、1以上200以下の整数であり、a、b、c、d及びeは、それぞれ独立して0以上200以下の整数であって、また、a、b、c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。]
【0055】
上記式(f1)において、dは、好ましくは5~200、より好ましくは10~100、さらに好ましくは15~50、例えば25~35の整数である。一の態様において、eは、1である。別の態様において、eは0である。上記式(f1)においてOC3F6は、好ましくはOCF2CF2CF2、OCF2CF(CF3)、又はOCF(CF3)CF2であり、より好ましくはOCF2CF2CF2である。OC2F4は、OCF2CF2、又はOCF(CF3)であり、好ましくはOCF2CF2である。
【0056】
上記式(f2)において、e及びfは、それぞれ独立して、好ましくは5~200、より好ましくは10~200の整数である。また、c、d、e及びfの和は、好ましくは5以上であり、より好ましくは10以上であり、例えば15以上又は20以上であってもよい。一の態様において、上記式(f2)は、好ましくは、-(OCF2CF2CF2CF2)c-(OCF2CF2CF2)d-(OCF2CF2)e-(OCF2)f-で表される基である。別の態様において、式(f2)は、-(OC2F4)e-(OCF2)f-で表される基であってもよい。
【0057】
上記式(f3)において、R6は、好ましくは、OC2F4である。上記(f3)において、R7は、好ましくは、OC2F4、OC3F6及びOC4F8から選択される基であるか、あるいは、これらの基から独立して選択される2又は3つの基の組み合わせであり、より好ましくは、OC3F6及びOC4F8から選択される基である。OC2F4、OC3F6及びOC4F8から独立して選択される2又は3つの基の組み合わせとしては、特に限定されないが、例えば-OC2F4OC3F6-、-OC2F4OC4F8-、-OC3F6OC2F4-、-OC3F6OC3F6-、-OC3F6OC4F8-、-OC4F8OC4F8-、-OC4F8OC3F6-、-OC4F8OC2F4-、-OC2F4OC2F4OC3F6-、-OC2F4OC2F4OC4F8-、-OC2F4OC3F6OC2F4-、-OC2F4OC3F6OC3F6-、-OC2F4OC4F8OC2F4-、-OC3F6OC2F4OC2F4-、-OC3F6OC2F4OC3F6-、-OC3F6OC3F6OC2F4-、及び-OC4F8OC2F4OC2F4-等が挙げられる。上記式(f3)において、gは、好ましくは3以上、より好ましくは5以上の整数である。上記gは、好ましくは50以下の整数である。上記式(f3)において、OC2F4、OC3F6、OC4F8、OC5F10及びOC6F12は、直鎖又は分枝鎖のいずれであってもよく、好ましくは直鎖である。この態様において、上記式(f3)は、好ましくは、-(OC2F4-OC3F6)g-又は-(OC2F4-OC4F8)g-である。
【0058】
上記式(f4)において、R
6、R
7及びgは、上記式(f3)の記載と同意義であり、同様の態様を有する。R
6’、R
7’及びg’は、それぞれ、上記式(f3)に記載のR
6、R
7及びgと同意義であり、同様の態様を有する。R
rは、好ましくは、
【化11】
[式中、*は、結合位置を示す。]
であり、より好ましくは
【化12】
[式中、*は、結合位置を示す。]
である。
【0059】
上記式(f5)において、eは、好ましくは、1以上100以下、より好ましくは5以上100以下の整数である。a、b、c、d、e及びfの和は、好ましくは5以上であり、より好ましくは10以上、例えば10以上100以下である。
【0060】
上記式(f6)において、fは、好ましくは、1以上100以下、より好ましくは5以上100以下の整数である。a、b、c、d、e及びfの和は、好ましくは5以上であり、より好ましくは10以上、例えば10以上100以下である。
【0061】
一の態様において、上記RFは、上記式(f1)で表される基である。
【0062】
一の態様において、上記RFは、上記式(f2)で表される基である。
【0063】
一の態様において、上記RFは、上記式(f3)で表される基である。
【0064】
一の態様において、上記RFは、上記式(f4)で表される基である。
【0065】
一の態様において、上記RFは、上記式(f5)で表される基である。
【0066】
一の態様において、RFは、上記式(f6)で表される基である。
【0067】
上記RFにおいて、fに対するeの比(以下、「e/f比」という)は、0.1~10であり、好ましくは0.2~5であり、より好ましくは0.2~2であり、さらに好ましくは0.2~1.5であり、さらにより好ましくは0.2~0.85である。e/f比を10以下にすることにより、この化合物から得られる表面処理層の滑り性、摩耗耐久性及び耐ケミカル性(例えば、人工汗に対する耐久性)がより向上する。e/f比がより小さいほど、表面処理層の滑り性及び摩耗耐久性はより向上する。一方、e/f比を0.1以上にすることにより、化合物の安定性をより高めることができる。e/f比がより大きいほど、化合物の安定性はより向上する。
【0068】
一の態様において、上記e/f比は、好ましくは0.2~0.95であり、より好ましくは0.2~0.9である。
【0069】
一の態様において、耐熱性の観点から、上記e/f比は、好ましくは1.0以上であり、より好ましくは1.0~2.0である。
【0070】
上記フルオロポリエーテル基含有チオール化合物において、RF1及びRF2部分の数平均分子量は、特に限定されるものではないが、例えば500~30,000、好ましくは1,500~30,000、より好ましくは2,000~10,000である。本明細書において、RF1及びRF2の数平均分子量は、19F-NMRにより測定される値とする。
【0071】
R
Sは、下記式(S1)、(S2)、又は(S3):
【化13】
[式中:
R
Saは、-Z-CR
1R
2-SHであり、
Zは、単結合、又は2価の基であり、
R
1は、炭化水素基であり、
R
2は、水素原子又は炭化水素基であり、
R
3は、水素原子又は炭化水素基であり、
n1は、1又は2であり、
n2は、1、2又は3である。]
で表される基である。
【0072】
RSaは、-Z-CR1R2-SHである。
【0073】
Zは、単結合、又は2価の基である。一の態様において、Zは、単結合である。別の態様において、Zは、2価の有機基である。
【0074】
Zは、好ましくは-R11-R12-である。式中、R11は、単結合、又はC1-6アルキレン基であり、R12は、-OC(O)-(CH2)m-(mは0~6の整数である。)である。ここに、-OC(O)-(CH2)m-は、右側がCR1R2-SHに結合する。
【0075】
R11におけるC1-6アルキレン基は、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。一の態様において、C1-6アルキレン基は、直鎖である。別の態様において、C1-6アルキレン基は、分岐鎖である。
【0076】
R11におけるC1-6アルキレン基は、好ましくはC1-4アルキレン基であり得る。
【0077】
mは、好ましくは0~4、より好ましくは0~3の整数である。
【0078】
一の態様において、mは0である。
【0079】
別の態様において、mは、1~6の整数、好ましくは1~4の整数、より好ましくは1~3の整数である。
【0080】
R1は、炭化水素基である。
【0081】
R2は、水素原子又は炭化水素基である。
【0082】
一の態様において、R2は、水素原子である。
【0083】
別の態様において、R2は、炭化水素基である。
【0084】
R1及びR2における炭化水素基は、好ましくはC1-6アルキル基、より好ましくはC1-3アルキル基、さらに好ましくはメチル基又はエチル基であり、さらにより好ましくはメチル基である。
【0085】
R1及びR2におけるC1-6アルキル基は、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。一の態様において、C1-6アルキル基は、直鎖である。別の態様において、C1-6アルキル基は、分岐鎖である。
【0086】
好ましい態様において、R1は、C1-6アルキル基であり、R2は、水素原子又はC1-6アルキル基である。一の態様において、R1は、C1-6アルキル基であり、R2は、水素原子である。別の態様において、R1は、C1-6アルキル基であり、R2は、C1-6アルキル基である。
【0087】
R3は、水素原子又は炭化水素基である。
【0088】
一の態様において、R3は、水素原子である。
【0089】
別の態様において、R3は、炭化水素基である。
【0090】
R3における炭化水素基は、好ましくはC1-6アルキル基、より好ましくはC1-3アルキル基、さらに好ましくはメチル基又はエチル基であり、さらにより好ましくはメチル基である。
【0091】
R3におけるC1-6アルキル基は、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。一の態様において、C1-6アルキル基は、直鎖である。別の態様において、C1-6アルキル基は、分岐鎖である。
【0092】
n1は、1又は2である。一の態様において、n1は1である。別の態様において、n1は2である。
【0093】
n2は、1、2又は3である。一の態様において、n2は、1である。別の態様において、n2は、2である。別の態様において、n2は、3である。
【0094】
好ましい態様において、RSは、式(S2)又は(S3)で表される基である。
【0095】
一の態様において、RSは、式(S2)で表される基である。
【0096】
一の態様において、RSは、式(S3)で表される基である。
【0097】
上記式(1)及び(2)において、XAは、撥水性等の機能を提供するフルオロポリエーテル部(RF1及びRF2)と、基材との結合能を提供する部(RS)とを連結するリンカーと解される。従って、当該XAは、式(1)及び(2)で表される化合物が安定に存在し得るものであれば、単結合であってもよく、いずれの基であってもよい。
【0098】
上記式(1)において、α1は1~9の整数であり、α2は1~9の整数である。これらα1及びα2は、XAの価数に応じて変化し得る。α1及びα2の和は、XAの価数と同じである。例えば、XAが10価の有機基である場合、α1及びα2の和は10であり、例えばα1が9かつα2が1、α1が5かつα2が5、又はα1が1かつα2が9となり得る。また、XAが2価の有機基である場合、α1及びα2は1である。
【0099】
上記式(2)において、βは、それぞれ独立して、1~9の整数である。βは、XAの価数に応じて変化し得る。即ち、βは、XAの価数から1を引いた値である。
【0100】
XAは、それぞれ独立して、単結合又は2~10価の有機基である。
【0101】
上記XAにおける2~10価の有機基は、好ましくは2~8価の有機基である。一の態様において、かかる2~10価の有機基は、好ましくは2~4価の有機基であり、より好ましくは2価の有機基である。別の態様において、かかる2~10価の有機基は、好ましくは3~8価の有機基、より好ましくは3~6価の有機基である。
【0102】
一の態様において、XAは、単結合又は2価の有機基であり、αは1であり、α2は1である。
【0103】
一の態様において、XAは、単結合又は2価の有機基であり、βは1である。
【0104】
一の態様において、XAは3~6価の有機基であり、α1は1であり、α2は2~5である。
【0105】
一の態様において、XAは3~6価の有機基であり、βは2~5である。
【0106】
一の態様において、XAは、3価の有機基であり、α1は1であり、α2は2である。
【0107】
一の態様において、XAは、3価の有機基であり、βは2である。
【0108】
一の態様において、XAは、単結合又は2価の有機基であり、α1、α2、及びβは、1である。
【0109】
好ましい態様において、XAは、式:
-(R21)m1-(R22)m2-
[式中:
R21は、C1-6アルキレン基であり、
R22は、-O-、-CO-、-OCO-、-COO-、-NR23-、-CONR23-、又は-NR23CO-であり、
R23は、水素原子、又はC1-6アルキル基であり、
m1は、0~10の整数であり、
m2は、0~10の整数であり、
m1とm2の合計は、1以上であり、
R21及びR22の存在順序は、式中において任意である。]
で表される基である。ここに、XA(典型的にはXAの水素原子)は、フッ素原子、C1-3アルキル基及びC1-3フルオロアルキル基から選択される1個又はそれ以上の置換基により置換されていてもよい。好ましい態様において、XAは、これらの基により置換されていない。
【0110】
一の態様において、XAは、それぞれ独立して、-(R21)m1-1-(R22)m2-R24-である。R21、R22、m1及びm2は、上記と同意義である。R21及びR22存在順序は、式中において任意である。R24は、単結合、-(CH2)t5-又はo-、m-もしくはp-フェニレン基を表し、好ましくは-(CH2)t5-である。t5は、1~20の整数、好ましくは2~6の整数、より好ましくは2~3の整数である。ここに、R24(典型的にはR24の水素原子)は、フッ素原子、C1-3アルキル基及びC1-3フルオロアルキル基から選択される1個又はそれ以上の置換基により置換されていてもよい。好ましい態様において、R24は、これらの基により置換されていない。
【0111】
R21におけるC1-6アルキレン基は、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。一の態様において、C1-6アルキレン基は、直鎖である。別の態様において、C1-6アルキレン基は、分岐鎖である。
【0112】
R21におけるC1-6アルキレン基は、好ましくはC1-4アルキレン基、より好ましくはC1-2アルキレン基である。
【0113】
R22は、-O-、-CO-、-OCO-、-COO-、-NR23-、-CONR23-、又は-NR23CO-であり、好ましくは-O-、-CO-、-OCO-、又は-COO-であり、より好ましくは-O-、又は-CO-である。
【0114】
R23は、水素原子、又はC1-6アルキル基である。
【0115】
一の態様において、R23は、水素原子である。
【0116】
別の態様において、R23は、C1-6アルキル基である。
【0117】
R23におけるC1-6アルキル基は、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。一の態様において、C1-6アルキル基は、直鎖である。別の態様において、C1-6アルキル基は、分岐鎖である。
【0118】
R23におけるC1-6アルキル基は、好ましくはC1-4アルキル基、より好ましくはC1-2アルキル基、さらにより好ましくはメチル基である。
【0119】
m1は、0~10の整数、好ましくは0~4の整数、より好ましくは0~2の整数である。
【0120】
m2は、0~10の整数、好ましくは0~2の整数、より好ましくは0又は1である。
【0121】
一の態様において、m1は、0~2の整数であり、m2は、0又は1である。
【0122】
一の態様において、(m1,m2)は、(0,1)、(1,1)、(2,1)、又は(1,0)である。
【0123】
好ましい態様において、XAは、それぞれ独立して、単結合、
-R21-R22-R24-、
-R21-R22-、
-R22-R24-、又は
-R22-
(式中:
R21は、C1-6アルキレン基であり、
R22は、-O-、又は-CO-であり、
R24は、C1-6アルキレン基である。)
である。
【0124】
本開示のフルオロポリエーテル基含有チオール化合物の数平均分子量は、好ましくは1,000以上、より好ましくは1,500以上、例えば2,000以上、4,000以上、又は5,000以上であり得る。また、本開示のフルオロポリエーテル基含有チオール化合物の数平均分子量は、好ましくは100,000以下、より好ましくは50,000以下、さらに好ましくは30,000以下、さらにより好ましくは10,000以下、例えば8,000以下、6,000以下、又は5,000以下であり得る。本明細書において、フルオロポリエーテル基含有チオール化合物の数平均分子量は、19F-NMRにより測定される値とする。
【0125】
一の態様において、本開示のフルオロポリエーテル基含有チオール化合物の数平均分子量は、1,000~100,000、好ましくは2,000~30,000、より好ましくは2,000~10,000である。
【0126】
本開示のフルオロポリエーテル基含有チオール化合物は、例えば下記の方法により製造することができる。
【0127】
下記式(a):
【化14】
[式中:
PFPEは、フルオロポリエーテル基であり、
R
51は、それぞれ独立して、水素原子又はC
1-3アルキル基、好ましくはメチル基であり、
X
1は、それぞれ独立して、単結合又は2価の有機基である。]
で表される化合物と、式(b):
【化15】
[式中、X
2は、それぞれ独立して、2価の有機基である。]
で表される化合物とを反応させ、式(c):
【化16】
[式中、PFPE、X
1及びX
2は、上記と同意義である。]
で表される化合物を得る。なお、X
1-CO-部分は、式(2)のX
Aに対応する。
【0128】
次に、式(c)で表される化合物と、式(d):
【化17】
[式中:
Hal
1は、ハロゲン原子、好ましくは臭素原子であり、
Hal
2は、ハロゲン原子、好ましくは臭素原子であり、
R
52は、炭化水素基である。]
で表される化合物とを反応させ、式(e):
【化18】
[式中、PFPE、X
1、X
2、R
52、及びHal
2は、上記と同意義である。]
で表される化合物を得る。なお、R
52は、式(2)のR
1に対応し、-X
2-O-CO-部分は、式(S2)のZに対応する。
【0129】
次に、式(e)で表される化合物と、式(f):
【化19】
[式中、R
53は、C
1-6アルキル基、好ましくはメチル基又はエチル基、特にエチル基である。]
で表される化合物とを反応させ、式(g):
【化20】
[式中、PFPE、X
1、X
2、R
52、及びR
53は、上記と同意義である。]
で表される化合物を得る。
【0130】
次に、式(g)で表される化合物を、アルキルアミン、好ましくはn-ブチルアミンで処理することにより、式(h):
【化21】
[式中、PFPE、X
1、X
2、及びR
52は、上記と同意義である。]
で表される本開示のフルオロポリエーテル基含有チオール化合物が得られる。
【0131】
上記式(c)で示される化合物は、本開示のフルオロポリエーテル基含有チオール化合物の有用な製造中間体である。従って、本開示は、下記式(c1):
【化22】
[式中:
R
F2は、-Rf
2
p-R
F-O
q-であり、
Rf
2は、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1-6アルキレン基であり、
R
Fは、それぞれ独立して、2価のフルオロポリエーテル基であり、
pは、0又は1であり、
qは、それぞれ独立して、0又は1であり、
X
11は、単結合、又は2価の炭化水素基であり、
X
12は、2価の炭化水素基である。]
で表される化合物を提供する。
【0132】
RF2は、上記式(1)及び(2)におけるRF2と同意義である。
【0133】
上記2価の炭化水素基は、好ましくは
R61-R62-R63
[式中:
R61は、単結合又はC1-6アルキレン基であり、
R62は、単結合又はフェニレンであり、
R63は、単結合又はC1-6アルキレン基であり、
ただし、すべてが単結合となる場合は除く。]
【0134】
上記C1-6アルキレン基は、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。好ましくは、C1-6アルキレン基は直鎖である。
【0135】
X11は、好ましくは単結合である。
【0136】
X12は、好ましくはC1-6アルキレン基である。
【0137】
別の方法として、下記の方法が挙げられる。
【0138】
式(i):
【化23】
[式中、X
1は、上記と同意義である。]
で表される化合物と、式(j):
【化24】
[式中、R
52は、上記と同意義である。]
で表される化合物とを反応させ、式(k):
【化25】
[式中、PFPE、X
1、及びR
52は、上記と同意義である。]
で表される化合物を得ることができる。
【0139】
さらに別の方法として、下記の方法が挙げられる。
【0140】
式(m):
【化26】
[式中:
Hal
3は、ハロゲン原子、好ましくは臭素であり、
X
3は、それぞれ独立して、単結合又は2価の有機基、好ましくはメチレンである。]
で表される化合物と、式(n):
【化27】
[式中、PFPE、X
1、及びX
3は、上記と同意義である。]
で表される化合物とを反応させ、式(o):
【化28】
[式中、PFPE、X
1、及びX
3は、上記と同意義である。]
で表される化合物を得ることができる。
【0141】
次に、式(o)で表される化合物を、例えば塩酸を用いて開環させて、式(p):
【化29】
[式中、PFPE、X
1、及びX
3は、上記と同意義である。]
で表される化合物を得る。
【0142】
次に、式(p)で表される化合物と、式(j):
【化30】
[式中、R
52は、上記と同意義である。]
で表される化合物とを反応させ、式(q):
【化31】
[式中、PFPE、X
1、X
3、及びR
52は、上記と同意義である。]
で表される化合物を得ることができる。
【0143】
(硬化性組成物)
本開示は、本開示のフルオロポリエーテル基含有チオール化合物を含む硬化性組成物を提供する。
【0144】
本開示の硬化性組成物は、さらに、炭素-炭素二重結合を有する基を含むフルオロポリエーテル基含有不飽和化合物を含んでいてもよい。
【0145】
(フルオロポリエーテル基含有不飽和化合物)
上記炭素-炭素二重結合を含む基は、炭素-炭素二重結合を含む基であれば特に限定されない。典型的には、炭素-炭素二重結合を含む基は、末端に炭素-炭素二重結合を有する。
【0146】
上記炭素-炭素二重結合を有する基は、好ましくはアリル基、ビニル基、又は(メタ)アクリル基、より好ましくはアリル基である。
【0147】
一の態様において、フルオロポリエーテル基含有不飽和化合物中の炭素-炭素二重結合を有する基の数は、好ましくは2~8個、より好ましくは2~6個、さらに好ましくは2~4個であり得る。
【0148】
好ましい態様において、上記炭素-炭素二重結合を有する基は、フルオロポリエーテル基含有不飽和化合物の両端側に存在する。
【0149】
好ましい態様において、本開示のフルオロポリエーテル基含有不飽和化合物において、フルオロポリエーテル基の両端側に存在する上記炭素-炭素二重結合を有する基の数は、同じである。例えば、フルオロポリエーテル基の各端側に、炭素-炭素二重結合を有する基は1個ずつ存在し、あるいは、フルオロポリエーテル基の各端側に、炭素-炭素二重結合を有する基は2個ずつ存在する。
【0150】
好ましい態様において、上記フルオロポリエーテル基含有不飽和化合物は、下記式(3)又は(4):
【化32】
[式中:
R
F1は、それぞれ独立して、Rf
1-R
F-O
q-であり、
R
F2は、-Rf
2
p-R
F-O
q-であり、
Rf
1は、それぞれ独立して、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1-16アルキル基であり、
Rf
2は、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1-6アルキレン基であり、
R
Fは、それぞれ独立して、2価のフルオロポリエーテル基であり、
pは、0又は1であり、
qは、それぞれ独立して、0又は1であり、
X
Bは、それぞれ独立して、単結合又は2~10価の有機基であり、
R
Dは、それぞれ独立して、炭素-炭素二重結合を含む基であり、
γ1は、1~9の整数であり、
γ2は、1~9の整数であり、
δは、それぞれ独立して、1~9の整数である。]
で表される化合物である。
【0151】
上記式中、RF1及びRF2は、上記式(1)又は(2)で表されるフルオロポリエーテル基含有チオール化合物におけるRF1及びRF2と同意義である。
【0152】
上記式中、XBは、それぞれ独立して、単結合または2~10価の有機基を表す。当該XBは、RDとRF1またはRF2とを連結するリンカーと解される。従って、当該XBは、式(3)および(4)で表される化合物が安定に存在し得るものであれば、いずれの有機基であってもよい。
【0153】
上記式中のγ1は、1~9の整数であり、γ2は、1~9の整数であり、δは、1~9の整数である。これらγ1、γ2およびδは、XBの価数に応じて決定され、式(3)において、γ1およびγ2の和は、XBの価数の値である。例えば、XBが10価の有機基である場合、γ1およびγ2の和は10であり、例えばγ1が9かつγ2が1、γ1が5かつγ2が5、またはγ1が1かつγ2が9となり得る。また、XBが2価の有機基である場合、γ1およびγ2は1である。式(4)において、δはXBの価数の値から1を引いた値である。
【0154】
上記XBは、好ましくは2~7価、より好ましくは2~4価、さらに好ましくは2価の有機基である。γ1、γ2およびδは、XBに応じて、1~6の整数、1~3の整数または1等であり得る。
【0155】
上記XBの例としては、特に限定するものではないが、例えば、下記式:
-(R31)p’-(Xa)q’-R32-
[式中:
R31は、単結合、-(CH2)s’-またはo-、m-もしくはp-フェニレン基を表し、好ましくは-(CH2)s’-であり、
R32は、単結合、-(CH2)t’-またはo-、m-もしくはp-フェニレン基を表し、好ましくは-(CH2)t’-であり、
s’は、1~20の整数、好ましくは1~6の整数、より好ましくは1~3の整数、さらにより好ましくは1または2であり、
t’は、1~20の整数、好ましくは2~6の整数、より好ましくは2~3の整数であり、
Xaは、-(Xb)r’-を表し、
Xbは、各出現においてそれぞれ独立して、-O-、-S-、o-、m-もしくはp-フェニレン基、置換または非置換のC3-10シクロアルキレン、置換または非置換のo-、m-もしくはp-フェニレン基、-C(O)O-、-CONR34-、-O-CONR34-、-NR34-、-Si(R33)2-、-(Si(R33)2O)m’-Si(R33)2-、および-(CH2)n’-からなる群から選択される基を表し、
上記置換基としては、上記炭化水素基の置換基と同意義であり、
R33は、各出現においてそれぞれ独立して、フェニル基、C1-6アルキル基またはC1-6アルコキシ基を表し、好ましくはC1-6アルキル基、より好ましくはメチル基であり、
R34は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、フェニル基またはC1-6アルキル基(好ましくはメチル基)を表し、
m’は、各出現において、それぞれ独立して、1~100の整数、好ましくは1~20の整数であり、
n’は、各出現において、それぞれ独立して、1~20の整数、好ましくは1~6の整数、より好ましくは1~3の整数であり、
r’は、1~10の整数、好ましくは1~5の整数、より好ましくは1~3の整数であり、
p’は、0または1であり、
q’は、0または1であり、
ここに、p’およびq’の少なくとも一方は1であり、p’またはq’を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は任意である。]
で表される2価の基が挙げられる。
【0156】
RDは、各出現においてそれぞれ独立して、炭素-炭素二重結合を含む基である。
【0157】
上記RDにおける炭素-炭素二重結合を含む基は、-Y-A(式中、Yは、単結合、酸素原子または2価の有機基を表し、Aは、-CR41=CH2であり、R41は、それぞれ独立して、水素原子またはC1-3アルキル基(好ましくはメチル基)である。)で表される基である。
【0158】
上記Yは、単結合、酸素原子または2価の有機基を表す。Yは、好ましくは単結合、酸素原子、-CR42
2-または-CO-であり、より好ましくは-CO-である。
【0159】
上記R42は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表す。該低級アルキル基は、好ましくは炭素数1~6のアルキル基、より好ましくはメチル基である。好ましい態様において、R42は、水素原子である。
【0160】
好ましい態様において、R
Dは、下記式(D1)、(D2)、(D3)、(D4)又は(D5):
【化33】
[式中、
Yは、単結合、酸素原子又は2価の有機基であり、
Aは、-CR
41=CH
2であり、
R
41は、それぞれ独立して、水素原子またはC
1-3アルキル基であり、
X
10は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合又は2価の有機基であり、
R
13は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり、
tは、各出現においてそれぞれ独立して、2以上の整数であり、
R
14は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、又はハロゲン原子であり、
R
a1は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z
1-SiR
a2
p1R
a3
q1R
a4
r1であり、
Z
1は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、酸素原子又は2価の有機基であり、
R
a2は、各出現においてそれぞれ独立して、各出現においてそれぞれ独立して、-Z
1’-SiR
a3’
q1’R
a4’
r1’であり、
Z
1’は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、酸素原子又は2価の有機基であり、
R
a3’は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z
2-Y-Aであり、
R
a4’は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、水酸基または1価の有機基であり、
Z
2は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、酸素原子または2価の有機基であり、
q1’は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり、
r1’は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり、
ここに、q1’及びr1’の合計は、(SiR
a3’
q1’R
a4’
r1’)単位において、3であり、
R
a3は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z
2-Y-Aであり、
R
a4は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、水酸基または1価の有機基であり、
p1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり、
q1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり、
r1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり、
ここに、p1、q1及びr1の合計は、(SiR
a2
p1R
a3
q1R
a4
r1)単位において、3であり、
R
b1は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z
2-Y-Aであり、
R
c1は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、水酸基または1価の有機基であり、
k1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり、
l1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり、
m1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり、
ここに、k1、l1、及びm1の合計は、(SiR
a1
k1R
b1
l1R
c1
m1)単位において、3であり、
式(D3)中、少なくとも1つの-Y-Aが存在し、
R
d1は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z
3-CR
d2
p2R
d3
q2R
d4
r2であり、
Z
3は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、酸素原子または2価の有機基であり、
R
d2は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z
3’-CR
d3’
q2’R
d4’
r2’であり、
Z
3’は、各出現においてそれぞれ独立して、酸素原子又は2価の有機基であり、
R
d3’は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z
2-Y-Aであり、
R
d4’は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、水酸基または1価の有機基であり、
q2’は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり、
r2’は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり、
ここに、q2’及びr2’の合計は、(CR
d3’
q2’R
d4’
r2’)単位において、3であり、
R
d3は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z
2-Y-Aであり;
R
d4は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、水酸基または1価の有機基であり;
p2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
q2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
r2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
ここに、p2、q2及びr2の合計は、(CR
d2
p2R
d3
q2R
d4
r2)単位において、3であり、
R
e1は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z
2-Y-Aであり、
R
f1は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、水酸基または1価の有機基であり、
k2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり、
l2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり、
m2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり、
ここに、k2、l2、及びm2の合計は、(CR
d1
k2R
e1
l2R
f1
m2)単位において、3であり、
式(D4)中、Aは少なくとも1つは存在し、
R
g1及びR
h1は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z
4-Y-A、-Z
4-SiR
a1
k1R
b1
l1R
c1
m1、又は-Z
4-CR
d1
k2R
e1
l2R
f1
m2であり、
Z
4は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、酸素原子又は2価の有機基であり、
式(D5)中、Aは少なくとも1つは存在する。]
で表される基である。
【0161】
上記式中、X10は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合又は2価の有機基である。かかる2価の有機基は、好ましくは-R28-Ox-R29-(式中、R28及びR29は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合又はC1-20アルキレン基であり、xは0又は1である。)である。かかるC1-20アルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。かかるC1-20アルキレン基は、好ましくはC1-10アルキレン基、より好ましくはC1-6アルキレン基、さらに好ましくはC1-3アルキレン基である。
【0162】
一の態様において、X10は、各出現においてそれぞれ独立して、-C1-6アルキレン-O-C1-6アルキレン-又は-O-C1-6アルキレン-である。
【0163】
好ましい態様において、X10は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合又は直鎖のC1-6アルキレン基であり、好ましくは単結合又は直鎖のC1-3アルキレン基、より好ましくは単結合又は直鎖のC1-2アルキレン基であり、さらに好ましくは直鎖のC1-2アルキレン基である。
【0164】
上記式中、R13は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基である。かかる1価の有機基は、好ましくはC1-20アルキル基である。かかるC1-20アルキル基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。
【0165】
好ましい態様において、R13は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子又は直鎖のC1-6アルキル基であり、好ましくは水素原子又は直鎖のC1-3アルキル基、好ましくは水素原子又はメチル基である。
【0166】
上記式中、tは、各出現においてそれぞれ独立して、2以上の整数である。
【0167】
好ましい態様において、tは、各出現においてそれぞれ独立して、2~10の整数、好ましくは2~6の整数である。
【0168】
上記式中、R14は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、又はハロゲン原子である。かかるハロゲン原子は、好ましくはヨウ素原子、塩素原子又はフッ素原子であり、より好ましくはフッ素原子である。好ましい態様において、R14は、水素原子である。
【0169】
上記式中、Ra1は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z1-SiRa2
p1Ra3
q1Ra4
r1である。
【0170】
上記Z1は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、酸素原子または2価の有機基である。尚、以下Z1として記載する構造は、右側が(SiRa2
p1Ra3
q1Ra4
r1)に結合する。
【0171】
好ましい態様において、Z1は、2価の有機基である。
【0172】
上記Z1は、好ましくは、C1-6アルキレン基、-(CH2)z1-O-(CH2)z2-(式中、z1は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z2は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)、-(CH2)z3-フェニレン-(CH2)z4-(式中、z3は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z4は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)または-(CH2)z5-C3-10シクロアルキレン-(CH2)z6-(式中、z5は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z6は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)である。かかるC1-6アルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、およびC2-6アルキニル基から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていてもよいが、好ましくは非置換である。
【0173】
好ましい態様において、Z1は、C1-6アルキレン基または-(CH2)z3-フェニレン-(CH2)z4-、好ましくは-フェニレン-(CH2)z4-である。
【0174】
別の好ましい態様において、上記Z1は、C1-3アルキレン基である。一の態様において、Z1は、-CH2CH2CH2-であり得る。別の態様において、Z1は、-CH2CH2-であり得る。
【0175】
Ra2は、各出現においてそれぞれ独立して、各出現においてそれぞれ独立して、-Z1’-SiRa3’
q1’Ra4’
r1’である。
【0176】
上記Z1’は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、酸素原子又は2価の有機基である。尚、以下Z1’として記載する構造は、右側が(SiRa3’
q1’Ra4’
r1’)に結合する。
【0177】
好ましい態様において、Z1’は、2価の有機基である。
【0178】
上記Z1’は、好ましくは、C1-6アルキレン基、-(CH2)z1’-O-(CH2)z2’-(式中、z1’は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z2’は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)又は、-(CH2)z3’-フェニレン-(CH2)z4’-(式中、z3’は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z4’は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)である。かかるC1-6アルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、及びC2-6アルキニル基から選択される1個又はそれ以上の置換基により置換されていてもよいが、好ましくは非置換である。
【0179】
好ましい態様において、Z1’は、C1-6アルキレン基又は-(CH2)z3’-フェニレン-(CH2)z4’-、好ましくは-フェニレン-(CH2)z4’-である。Z1’がかかる基である場合、光耐性、特に紫外線耐性がより高くなり得る。
【0180】
別の好ましい態様において、上記Z1’は、C1-3アルキレン基である。一の態様において、Z1’は、-CH2CH2CH2-であり得る。別の態様において、Z1’は、-CH2CH2-であり得る。
【0181】
Ra3’は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z2-Y-Aである。
【0182】
Z2は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、酸素原子または2価の有機基である。尚、以下Z2として記載する構造は、右側が(Y-A)に結合する。
【0183】
好ましい態様において、Z2は、2価の有機基である。
【0184】
Z2は、好ましくは、C1-6アルキレン基、-(CH2)z11-O-(CH2)z12-(式中、z11は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z12は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)、-(CH2)z13-フェニレン-(CH2)z14-(式中、z13は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z14は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)または-(CH2)z15-C3-10シクロアルキレン-(CH2)z16-(式中、z15は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z16は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)である。かかるC1-6アルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、およびC2-6アルキニル基から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていてもよいが、好ましくは非置換である。
【0185】
好ましい態様において、Z2は、C1-6アルキレン基または-(CH2)z13-フェニレン-(CH2)z14-、好ましくは-フェニレン-(CH2)z14-である。
【0186】
別の好ましい態様において、Z2は、C1-3アルキレン基である。一の態様において、Z2は、-CH2CH2CH2-であり得る。別の態様において、Z2は、-CH2CH2-であり得る。
【0187】
Ra4’は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、水酸基または1価の有機基である。かかる1価の有機基は、上記加水分解可能な基を除く1価の有機基である。かかる1価の有機基は、上記-Z2-Y-Aを除く1価の有機基である。
【0188】
Ra4’において、1価の有機基は、好ましくはC1-20アルキル基であり、より好ましくはC1-6アルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
【0189】
q1’は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり、r1’は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数である。ここに、q1’及びr1’の合計は、(SiRa3’
q1’Ra4’
r1’)単位において、3である。
【0190】
好ましい態様において、q1’は、各出現においてそれぞれ独立して、1~3の整数、好ましくは2又は3、さらに好ましくは3である。この場合、r1’は、各出現においてそれぞれ独立して、0~2の整数であり、好ましくは0又は1であり、さらに好ましくは0である。
【0191】
Ra3は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z2-Y-Aである。
【0192】
Ra4は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、水酸基または1価の有機基である。かかる1価の有機基は、上記加水分解可能な基を除く1価の有機基である。かかる1価の有機基は、上記-Z2-Y-Aを除く1価の有機基である。
【0193】
Ra4において、1価の有機基は、好ましくはC1-20アルキル基であり、より好ましくはC1-6アルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
【0194】
p1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり、q1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり、r1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数である。ここに、p1、q1及びr1の合計は、(SiRa2
p1Ra3
q1Ra4
r1)単位において、3である。
【0195】
一の態様において、p1は、各出現においてそれぞれ独立して、1~3の整数、好ましくは2又は3、より好ましくは3である。
【0196】
別の態様において、q1は、各出現においてそれぞれ独立して、1~3の整数、好ましくは2又は3、より好ましくは3である。
【0197】
好ましい態様において、r1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~2の整数であり、好ましくは0又は1であり、さらに好ましくは0である。
【0198】
一の態様において、p1は3である。
【0199】
別の態様において、q1は3である。
【0200】
上記式中、Rb1は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z2-Y-Aである。
【0201】
上記式中、Rc1は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、水酸基または1価の有機基である。かかる1価の有機基は、上記-Z2-Y-Aを除く1価の有機基である。
【0202】
Rc1において、1価の有機基は、好ましくはC1-20アルキル基であり、より好ましくはC1-6アルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
【0203】
k1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり、l1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり、m1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数である。ここに、k1、l1、及びm1の合計は、(SiRa1
k1Rb1
l1Rc1
m1)単位において、3である。
【0204】
一の態様において、k1は、各出現においてそれぞれ独立して、1~3の整数、好ましくは2又は3、より好ましくは3である。
【0205】
別の態様において、l1は、各出現においてそれぞれ独立して、1~3の整数、好ましくは2又は3、より好ましくは3である。
【0206】
好ましい態様において、m1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~2の整数であり、好ましくは0又は1であり、さらに好ましくは0である。
【0207】
一の態様において、k1は3である。
【0208】
別の態様において、l1は3である。
【0209】
ここに、式(D3)において、少なくとも1つの-Y-Aが存在する。
【0210】
Rd1は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z3-CRd2
p2Rd3
q2Rd4
r2である。
【0211】
Z3は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、酸素原子または2価の有機基である。尚、以下Z3として記載する構造は、右側が(CRd2
p2Rd3
q2Rd4
r2)に結合する。
【0212】
好ましい態様において、Z3は、2価の有機基である。
【0213】
上記Z3は、好ましくは、C1-6アルキレン基、-(CH2)z5-O-(CH2)z6-(式中、z5は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z6は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)、-(CH2)z7-フェニレン-(CH2)z8-(式中、z7は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z8は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)または-(CH2)z9-C3-10シクロアルキレン-(CH2)z10-(式中、z9は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z10は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)である。かかるC1-6アルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、およびC2-6アルキニル基から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていてもよいが、好ましくは非置換である。
【0214】
好ましい態様において、Z3は、C1-6アルキレン基または-(CH2)z7-フェニレン-(CH2)z8-、好ましくは-フェニレン-(CH2)z8-である。
【0215】
別の好ましい態様において、上記Z3は、C1-3アルキレン基である。一の態様において、Z3は、-CH2CH2CH2-であり得る。別の態様において、Z3は、-CH2CH2-であり得る。
【0216】
Rd2は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z3’-CRd3’
q2’Rd4’
r2’である。
【0217】
Z3’は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、酸素原子または2価の有機基である。尚、以下Z3’として記載する構造は、右側が(CRd3’
q2’Rd4’
r2’)に結合する。
【0218】
上記Z3’は、好ましくは、C1-6アルキレン基、-(CH2)z5’-O-(CH2)z6’-(式中、z5’は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z6’は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)、-(CH2)z7’-フェニレン-(CH2)z8’-(式中、z7’は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z8’は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)または-(CH2)z9’-C3-10シクロアルキレン-(CH2)z10’-(式中、z9’は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z10’は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)である。かかるC1-6アルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、およびC2-6アルキニル基から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていてもよいが、好ましくは非置換である。
【0219】
好ましい態様において、Z3’は、C1-6アルキレン基または-(CH2)z7’-フェニレン-(CH2)z8’-、好ましくは-フェニレン-(CH2)z8’-である。
【0220】
別の好ましい態様において、上記Z3’は、C1-3アルキレン基である。一の態様において、Z3’は、-CH2CH2CH2-であり得る。別の態様において、Z3’は、-CH2CH2-であり得る。
【0221】
上記Rd3’は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z2-Y-Aである。
【0222】
上記Rd4’は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、水酸基または1価の有機基である。かかる1価の有機基は、上記-Z2-Y-Aを除く1価の有機基である。
【0223】
上記Rd4’において、1価の有機基は、好ましくはC1-20アルキル基であり、より好ましくはC1-6アルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
【0224】
別の態様において、Rd4’は、1価の有機基は、好ましくはC1-20アルキル基であり、より好ましくはC1-6アルキル基である。
【0225】
q2’は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり、r2’は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数である。ここに、q2’及びr2’の合計は、(CRd3’
q2’Rd4’
r2’)単位において、3である。
【0226】
好ましい態様において、q2’は、各出現においてそれぞれ独立して、1~3の整数、好ましくは2又は3、さらに好ましくは3である。この場合、r2’は、各出現においてそれぞれ独立して、0~2の整数であり、好ましくは0又は1であり、さらに好ましくは0である。
【0227】
Rd3は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z2-Y-Aである。
【0228】
上記Rd4は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、水酸基または1価の有機基である。かかる1価の有機基は、上記-Z2-Y-Aを除く1価の有機基である。
【0229】
上記Rd4において、1価の有機基は、好ましくはC1-20アルキル基であり、より好ましくはC1-6アルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
【0230】
別の態様において、Rd4は、1価の有機基は、好ましくはC1-20アルキル基であり、より好ましくはC1-6アルキル基である。
【0231】
上記p2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり、q2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり、r2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数である。尚、p2、q2およびr2の合計は、(CRd2
p2Rd3
q2Rd4
r2)単位において、3である。
【0232】
一の態様において、p2は、各出現においてそれぞれ独立して、1~3の整数、好ましくは2又は3、より好ましくは3である。
【0233】
別の態様において、q2は、各出現においてそれぞれ独立して、1~3の整数、好ましくは2又は3、より好ましくは3である。
【0234】
好ましい態様において、r2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~2の整数であり、好ましくは0又は1であり、さらに好ましくは0である。
【0235】
一の態様において、p2は3である。
【0236】
別の態様において、q2は3である。
【0237】
上記Re1は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z2-Y-Aである。
【0238】
上記Rf1は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、水酸基または1価の有機基である。かかる1価の有機基は、上記加水分解可能な基を除く1価の有機基である。
【0239】
上記Rf1において、1価の有機基は、好ましくはC1-20アルキル基であり、より好ましくはC1-6アルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
【0240】
別の態様において、Rf1は、1価の有機基は、好ましくはC1-20アルキル基であり、より好ましくはC1-6アルキル基である。
【0241】
上記k2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり、l2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり、m2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数である。尚、k2、l2およびm2の合計は、(CRd1
k2Re1
l2Rf1
m2)単位において、3である。
【0242】
一の態様において、k2は、各出現においてそれぞれ独立して、1~3の整数、好ましくは2又は3、より好ましくは3である。
【0243】
別の態様において、l2は、各出現においてそれぞれ独立して、1~3の整数、好ましくは2又は3、より好ましくは3である。
【0244】
好ましい態様において、m2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~2の整数であり、好ましくは0又は1であり、さらに好ましくは0である。
【0245】
一の態様において、k2は3である。
【0246】
別の態様において、l2は3である。
【0247】
ここに、式(D4)において、少なくとも1つの-Y-Aが存在する。
【0248】
Rg1及びRh1は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z4-Y-A、-Z4-SiRa1
k1Rb1
l1Rc1
m1、又は-Z4-CRd1
k2Re1
l2Rf1
m2である。
【0249】
Z4は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、酸素原子又は2価の有機基である。尚、以下Z4として記載する構造は、右側が(-Y-A基等)に結合する。
【0250】
ここに、式(D5)において、少なくとも1つの-Y-Aが存在する。
【0251】
一の態様において、Z4は酸素原子である。
【0252】
一の態様において、Z4は2価の有機基である。
【0253】
上記Z4は、好ましくは、C1-6アルキレン基、-(CH2)z5”-O-(CH2)z6”-(式中、z5”は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z6”は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)又は、-(CH2)z7”-フェニレン-(CH2)z8”-(式中、z7”は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z8”は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)である。かかるC1-6アルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、及びC2-6アルキニル基から選択される1個又はそれ以上の置換基により置換されていてもよいが、好ましくは非置換である。
【0254】
好ましい態様において、Z4は、C1-6アルキレン基又は-(CH2)z7”-フェニレン-(CH2)z8”-、好ましくは-フェニレン-(CH2)z8”-である。Z3がかかる基である場合、光耐性、特に紫外線耐性がより高くなり得る。
【0255】
別の好ましい態様において、上記Z4は、C1-3アルキレン基である。一の態様において、Z4は、-CH2CH2CH2-であり得る。別の態様において、Z4は、-CH2CH2-であり得る。
【0256】
一の態様において、RDは、式(D1)で表される基である。
【0257】
一の態様において、RDは、式(D2)で表される基である。
【0258】
一の態様において、RDは、式(D3)で表される基である。
【0259】
一の態様において、RDは、式(D4)で表される基である。
【0260】
一の態様において、RDは、式(D5)で表される基である。
【0261】
本開示のフルオロポリエーテル基含有不飽和化合物の数平均分子量は、好ましくは1,000以上、より好ましくは1,500以上、例えば2,000以上、4,000以上、又は5,000以上であり得る。また、本開示のフルオロポリエーテル基含有不飽和化合物の数平均分子量は、好ましくは100,000以下、より好ましくは50,000以下、さらに好ましくは30,000以下、さらにより好ましくは10,000以下、例えば8,000以下、6,000以下、又は5,000以下であり得る。本明細書において、フルオロポリエーテル基含有不飽和化合物の数平均分子量は、19F-NMRにより測定される値とする。
【0262】
一の態様において、フルオロポリエーテル基含有不飽和化合物の数平均分子量は、1,000~100,000、好ましくは2,000~30,000、より好ましくは2,000~10,000である。
【0263】
本開示のフルオロポリエーテル基含有チオール化合物と、上記フルオロポリエーテル基含有不飽和化合物との含有質量比は、好ましくは0.1:100~100:0.1、より好ましくは5:100~100:5、さらに好ましくは10:100~100:10である。
【0264】
本開示の硬化性組成物は、さらに、含フッ素オイルを含んでいてもよい。
【0265】
上記含フッ素オイルは、特に限定されるものではないが、例えば、下記式(5):
Rf5-(OC4F8)a’-(OC3F6)b’-(OC2F4)c’-(OCF2)d’-Rf6 ・・・(5)
[式中:
Rf5は、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基であり、
Rf6は、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基、フッ素原子又は水素原子であり、
a’、b’、c’およびd’は、それぞれ独立して、0以上300以下の整数であり、
a’、b’、c’及びd’の和は少なくとも1であり、
添字a’、b’、c’又はd’を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。]
で表される化合物である。
【0266】
Rf5は、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1~16アルキル基であり、好ましくは、C1―16のパーフルオロアルキルである。
【0267】
Rf6は、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1~16アルキル基、フッ素原子又は水素原子であり、好ましくは、C1-16パーフルオロアルキル基である。
【0268】
好ましい態様において、Rf5及びRf6は、それぞれ独立して、C1―16のパーフルオロアルキル、より好ましくは、C1-3パーフルオロアルキル基である。
【0269】
a’、b’、c’及びd’の和は少なくとも1、好ましくは1~300、より好ましくは20~300である。
【0270】
上記含フッ素オイルの繰り返し単位のうち、-(OC4F8)-は、-(OCF2CF2CF2CF2)-、-(OCF(CF3)CF2CF2)-、-(OCF2CF(CF3)CF2)-、-(OCF2CF2CF(CF3))-、-(OC(CF3)2CF2)-、-(OCF2C(CF3)2)-、-(OCF(CF3)CF(CF3))-、-(OCF(C2F5)CF2)-及び(OCF2CF(C2F5))-のいずれであってもよいが、好ましくは-(OCF2CF2CF2CF2)-である。-(OC3F6)-は、-(OCF2CF2CF2)-、-(OCF(CF3)CF2)-及び(OCF2CF(CF3))-のいずれであってもよく、好ましくは-(OCF2CF2CF2)-である。-(OC2F4)-は、-(OCF2CF2)-及び(OCF(CF3))-のいずれであってもよいが、好ましくは-(OCF2CF2)-である。
【0271】
上記一般式(5)で表されるパーフルオロ(ポリ)エーテル化合物の例として、以下の一般式(5a)及び(5b)のいずれかで示される化合物(1種又は2種以上の混合物であってよい)が挙げられる。
Rf5-(OCF2CF2CF2)b”-Rf6 ・・・(5a)
Rf5-(OCF2CF2CF2CF2)a”-(OCF2CF2CF2)b”-(OCF2CF2)c”-(OCF2)d”-Rf6 ・・・(5b)
これら式中、Rf5及びRf6は上記の通りであり;式(5a)において、b”は1以上100以下の整数であり;式(5b)において、a”及びb”は、それぞれ独立して0以上30以下の整数であり、c”及びd”はそれぞれ独立して1以上300以下の整数である。添字a”、b”、c”、d”を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。
【0272】
また、別の観点から、含フッ素オイルは、一般式Rf3-F(式中、Rf3はC5-16パーフルオロアルキル基である。)で表される化合物であってよい。また、クロロトリフルオロエチレンオリゴマーであってもよい。
【0273】
上記含フッ素オイルは、500~10000の平均分子量を有していてよい。含フッ素オイルの分子量は、GPCを用いて測定し得る。
【0274】
含フッ素オイルは、本開示の硬化性組成物に対して、例えば0.01~50質量%、好ましくは0.1~30質量%、例えば、1~15質量%含まれ得る。
【0275】
一の態様において、本開示の硬化性組成物は、含フッ素オイルを実質的に含まない。含フッ素オイルを実質的に含まないとは、含フッ素オイルを全く含まない、又は極微量の含フッ素オイルを含んでいてもよいことを意味する。
【0276】
本開示の硬化性組成物は、さらに、重合開始剤を含んでいてもよい。
【0277】
上記重合開始剤は、好ましくは、芳香環構造を1~3個有する。
【0278】
上記重合開始剤は、好ましくは、ラジカル重合開始剤である。
【0279】
上記ラジカル重合開始剤は、熱や光によりラジカルを発生する化合物であり、ラジカル熱重合開始剤、ラジカル光重合開始剤が挙げられる。本発明においては、上記ラジカル光重合開始剤が好ましい。
【0280】
上記ラジカル熱重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド等のジアシルパーオキシド類、ジクミルパーオキシド、ジ-t-ブチルパーオキシド等のジアルキルパーオキシド類、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート等のパーオキシカーボネート類、t-ブチルパーオキシオクトエート、t-ブチルパーオキシベンゾエート等のアルキルパーエステル類等のパーオキシド化合物、並びに、アゾビスイソブチロニトリルのようなラジカル発生性アゾ化合物等が挙げられる。
【0281】
上記ラジカル光重合開始剤としては、例えば、ベンジル、ジアセチル等の-ジケトン類、ベンゾイン等のアシロイン類、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のアシロインエーテル類、チオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、チオキサントン-4-スルホン酸等のチオキサントン類、ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン類、アセトフェノン、2-(4-トルエンスルホニルオキシ)-2-フェニルアセトフェノン、p-ジメチルアミノアセトフェノン、2,2’-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、p-メトキシアセトフェノン、2-メチル[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノ-1-プロパノン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタン-1-オン等のアセトフェノン類、アントラキノン、1,4-ナフトキノン等のキノン類、2-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸(n-ブトキシ)エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4-ジメチルアミノ安息香酸2-エチルヘキシル等のアミノ安息香酸類、フェナシルクロライド、トリハロメチルフェニルスルホン等のハロゲン化合物、アシルホスフィンオキシド類、ジ-t-ブチルパーオキサイド等の過酸化物等が挙げられる。
【0282】
上記ラジカル光重合開始剤の市販品としては、以下のものが例示される。
IRGACURE 651:2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、
IRGACURE 184:1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、
IRGACURE 2959:1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、
IRGACURE 127:2-ヒロドキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン、
IRGACURE 907:2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン、
IRGACURE 369:2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、
IRGACURE 379:2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン、
IRGACURE 819:ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド、
IRGACURE 784:ビス(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)-ビス(2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)-フェニル)チタニウム、
IRGACURE OXE 01:1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)]、
IRGACURE OXE 02:エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(0-アセチルオキシム)、
IRGACURE261、IRGACURE369、IRGACURE500、
DAROCUR 1173:2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、
DAROCUR TPO:2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド、
DAROCUR1116、DAROCUR2959、DAROCUR1664、DAROCUR4043、
IRGACURE 754 オキシフェニル酢酸:2-[2-オキソ-2-フェニルアセトキシエトキシ]エチルエステルとオキシフェニル酢酸、2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチルエステルの混合物、
IRGACURE 500:IRGACURE 184とベンゾフェノンとの混合物(1
:1)、
IRGACURE 1300:IRGACURE 369とIRGACURE 651との混合物(3:7)、
IRGACURE 1800:CGI403とIRGACURE 184との混合物(1:3)、
IRGACURE 1870:CGI403とIRGACURE 184との混合物(7:3)、
DAROCUR 4265:DAROCUR TPOとDAROCUR 1173との混合物(1:1)。
なお、IRGACUREはBASF社製であり、DAROCURはメルクジャパン社製である。
【0283】
本開示の硬化性組成物は、さらに、有機溶媒、水、及び触媒から選択される1種又はそれ以上の他の成分を含有し得る。
【0284】
上記有機溶媒としては、フッ素含有有機溶媒又はフッ素非含有有機溶媒が挙げられる。
【0285】
上記フッ素含有有機溶媒としては、例えば、パーフルオロヘキサン、パーフルオロオクタン、パーフルオロジメチルシクロヘキサン、パーフルオロデカリン、パーフルオロアルキルエタノール、パーフルオロベンゼン、パーフルオロトルエン、パーフルオロアルキルアミン(フロリナート(商品名)等)、パーフルオロアルキルエーテル、パーフルオロブチルテトラヒドロフラン、ポリフルオロ脂肪族炭化水素(アサヒクリンAC6000(商品名))、ハイドロクロロフルオロカーボン(アサヒクリンAK-225(商品名)等)、ハイドロフルオロエーテル(ノベック(商品名)、HFE-7100(商品名)、HFE-7300(商品名)等)、1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタン、含フッ素アルコール、パーフルオロアルキルブロミド、パーフルオロアルキルヨージド、パーフルオロポリエーテル(クライトックス(商品名)、デムナム(商品名)、フォンブリン(商品名)等)、1,3-ビストリフルオロメチルベンゼン、メタクリル酸2-(パーフルオロアルキル)エチル、アクリル酸2-(パーフルオロアルキル)エチル、パーフルオロアルキルエチレン、フロン134a、及びヘキサフルオロプロペンオリゴマーが挙げられる。
【0286】
上記フッ素非含有有機溶媒としては、例えば、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールジメチルエーテルペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、二硫化炭素、ベンゼン、トルエン、キシレン、ニトロベンゼン、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、ダイグライム、トリグライム、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、2-ブタノン、アセトニトリル、ベンゾニトリル、ブタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、エタノール、メタノール、及びジアセトンアルコールが挙げられる。
【0287】
なかでも、上記有機溶媒として、好ましくは、メチルイソブチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ヘキサデカン、酢酸ブチル、アセトン、2-ブタノン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、ジアセトンアルコール、エタノール又は2-プロパノールである。
【0288】
上記有機溶媒は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0289】
上記有機溶媒は硬化性組成物中に、好ましくは10~99質量%、より好ましくは30~95質量%、さらに好ましくは50~95質量%の範囲で用いられる。
【0290】
一の態様において、本開示の硬化性組成物は、無溶媒、即ち、実質的に溶媒を含まない。「実質的に溶媒を含まない」とは、意図的に溶媒を添加していない状態をいい、不可避に含まれる溶媒、例えば水等が微量存在してもよい。例えば、本開示の硬化性組成物中の溶媒の含有量は、1.0質量%以下、0.5質量%以下、0.1質量%以下、又は0.01質量%以下であり得る。
【0291】
上記触媒としては、酸(例えば塩酸、酢酸、トリフルオロ酢酸等)、塩基(例えばアンモニア、トリエチルアミン、ジエチルアミン等)、遷移金属(例えばTi、Ni、Sn等)等が挙げられる。
【0292】
本開示の硬化性組成物の粘度は、好ましくは100cP以上、より好ましくは300cP以上、さらに好ましくは500cP以上である。また、本開示のフルオロポリエーテル基含有チオール化合物の粘度は、好ましくは10000cP以下、より好ましくは7000cP以下、さらに好ましくは5000cP以下である。
【0293】
一の態様において、本開示の硬化性組成物の粘度は、100~10000cP、好ましくは300~7000cP、より好ましくは500~5000cPである。
【0294】
一の態様において、本開示の硬化性組成物は、表面処理剤である。
【0295】
本開示は、本開示の硬化性組成物が硬化した硬化物を提供する。
【0296】
本開示の硬化物の引張弾性率は、好ましくは0.5~500MPa、より好ましくは0.6~300MPa、さらに好ましくは0.7~100MPaである。
【0297】
上記引張弾性率は、オートグラフ(島津製作所製AGS-J、ロードセル:50N、室温下、チャック間距離:40mm、試験速度:5.0mm/min、試験片:幅1cm、高さ6cm、膜厚130μm)を用いて測定することができる。
【0298】
本開示の硬化物は、好ましくは封止材である。
【0299】
上記封止材は、好ましくは電子機器用の封止材である。
【0300】
本開示は、基材と、該基材上に本開示の硬化性組成物が硬化した層(以下、「表面処理層」ともいう)とを含む。
【0301】
本開示において使用可能な基材は、例えば、ガラス、樹脂(天然又は合成樹脂、例えば一般的なプラスチック材料であってよい)、OCA(Optical Clear Adhesive)、偏光板金属、セラミックス、半導体(シリコン、ゲルマニウム等)、電子機器、繊維(織物、不織布等)、毛皮、皮革、木材、陶磁器、石材等、建築部材等、衛生用品、任意の適切な材料で構成され得る。
【0302】
好ましい態様において、上記基材は、ガラス、樹脂、偏光板、OCA(Optical Clear Adhesive)又は金属であり、好ましくはガラス、樹脂、偏光板又はOCA(Optical Clear Adhesive)である。
【0303】
上記ガラスとしては、サファイアガラス、ソーダライムガラス、アルカリアルミノケイ酸塩ガラス、ホウ珪酸ガラス、無アルカリガラス、クリスタルガラス、石英ガラスが好ましく、化学強化したソーダライムガラス、化学強化したアルカリアルミノケイ酸塩ガラス、及び化学結合したホウ珪酸ガラスが特に好ましい。
【0304】
例えば、製造すべき物品が光学部材である場合、基材の表面を構成する材料は、光学部材用材料、例えばガラス又は透明プラスチックなどであってよい。また、製造すべき物品が光学部材である場合、基材の表面(最外層)に何らかの層(又は膜)、例えばハードコート層や反射防止層などが形成されていてもよい。反射防止層には、単層反射防止層及び多層反射防止層のいずれを使用してもよい。反射防止層に使用可能な無機物の例としては、SiO2、SiO、ZrO2、TiO2、TiO、Ti2O3、Ti2O5、Al2O3、Ta2O5、Ta3O5,Nb2O5、HfO2、Si3N4、CeO2、MgO、Y2O3、SnO2、MgF2、WO3などが挙げられる。これらの無機物は、単独で、又はこれらの2種以上を組み合わせて(例えば混合物として)使用してもよい。多層反射防止層とする場合、その最外層にはSiO2及び/又はSiOを用いることが好ましい。製造すべき物品が、タッチパネル用の光学ガラス部品である場合、透明電極、例えば酸化インジウムスズ(ITO)や酸化インジウム亜鉛などを用いた薄膜を、基材(ガラス)の表面の一部に有していてもよい。また、基材は、その具体的仕様等に応じて、絶縁層、粘着層、保護層、装飾枠層(I-CON)、霧化膜層、ハードコーティング膜層、偏光フィルム、相位差フィルム、及び液晶表示モジュールなどを有していてもよい。
【0305】
上記基材の形状は、特に限定されず、例えば、板状、フィルム、その他の形態であってよい。また、表面処理層を形成すべき基材の表面領域は、基材表面の少なくとも一部であればよく、製造すべき物品の用途及び具体的仕様等に応じて適宜決定され得る。
【0306】
本開示の物品は、上記基材の表面に、上記の本開示の組成物の層を形成し、この層を必要に応じて後処理し、これにより、本開示の組成物から層を形成することにより製造することができる。
【0307】
本開示の組成物の層形成は、上記組成物を基材の表面に対して、該表面を被覆するように適用することによって実施できる。被覆方法は、特に限定されない。例えば、湿潤被覆法及び乾燥被覆法を使用できる。
【0308】
湿潤被覆法の例としては、浸漬コーティング、スピンコーティング、フローコーティング、スプレーコーティング、ロールコーティング、グラビアコーティング及び類似の方法が挙げられる。
【0309】
乾燥被覆法の例としては、蒸着(通常、真空蒸着)、スパッタリング、CVD及び類似の方法が挙げられる。蒸着法(通常、真空蒸着法)の具体例としては、抵抗加熱、電子ビーム、マイクロ波等を用いた高周波加熱、イオンビーム及び類似の方法が挙げられる。CVD方法の具体例としては、プラズマ-CVD、光学CVD、熱CVD及び類似の方法が挙げられる。
【0310】
更に、常圧プラズマ法による被覆も可能である。
【0311】
乾燥被覆法を使用する場合、本開示の硬化性組成物は、そのまま乾燥被覆法に付してもよく、又は、上記した有機溶媒で希釈してから乾燥被覆法に付してもよい。
【0312】
本開示の硬化性組成物の層形成は、層中で本開示の硬化性組成物が、加水分解及び脱水縮合のための触媒と共に存在するように実施することが好ましい。簡便には、湿潤被覆法による場合、本開示の硬化性組成物を溶媒で希釈した後、基材表面に適用する直前に、本開示の硬化性組成物の希釈液に触媒を添加してよい。乾燥被覆法による場合には、触媒添加した本開示の硬化性組成物をそのまま蒸着(通常、真空蒸着)処理するか、あるいは鉄や銅などの金属多孔体に、触媒添加した本開示の硬化性組成物を含浸させたペレット状物質を用いて蒸着(通常、真空蒸着)処理をしてもよい。
【0313】
触媒には、任意の適切な酸又は塩基を使用できる。酸触媒としては、例えば、塩酸、酢酸、ギ酸、トリフルオロ酢酸などを使用できる。また、塩基触媒としては、例えばアンモニア、有機アミン類などを使用できる。
【0314】
本開示の物品に含まれる表面処理層は、滑液性を有する。また、上記表面処理層は、高い滑液性に加えて、使用する組成物の組成にもよるが、抗菌性、撥水性、撥油性、防汚性(例えば指紋等の汚れの付着を防止する)、防水性(電子部品等への水の浸入を防止する)、表面滑り性(又は潤滑性、例えば指紋等の汚れの拭き取り性や、指に対する優れた触感)などを有し得、機能性薄膜として好適に利用され得る。
【0315】
好ましい態様において、本開示の物品は、車両用、船舶用または航空機用のガラス又はミラーガラス、例えば自動車用ガラス、自動車用ドアミラーもしくは自動車用フェンダミラー等、あるいは車載カメラに用いられるガラスなどに有用である。その他、防犯カメラに用いられるガラスや、カーブミラー等、屋外用途の基材に有用である。
【0316】
従って、本開示はさらに、上記表面処理層を最外層に有する光学材料にも関する。
【0317】
光学材料としては、後記に例示するようなディスプレイ等に関する光学材料のほか、多種多様な光学材料が好ましく挙げられる:例えば、陰極線管(CRT;例えば、パソコンモニター)、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、無機薄膜ELドットマトリクスディスプレイ、背面投写型ディスプレイ、蛍光表示管(VFD)、電界放出ディスプレイ(FED;Field Emission Display)などのディスプレイ又はそれらのディスプレイの保護板、又はそれらの表面に反射防止膜処理を施したもの。
【0318】
本開示の物品は、特に限定されるものではないが、光学部材であり得る。光学部材の例には、次のものが挙げられる:眼鏡などのレンズ;PDP、LCDなどのディスプレイの前面保護板、反射防止板、偏光板、アンチグレア板;携帯電話、携帯情報端末などの機器のタッチパネルシート;ブルーレイ(Blu-ray(登録商標))ディスク、DVDディスク、CD-R、MOなどの光ディスクのディスク面;光ファイバー;時計の表示面など。
【0319】
また、本開示の物品は、医療機器又は医療材料であってもよい。
【0320】
上記層の厚さは、特に限定されないが、例えば1nm以上、10nm以上、又は100nm以上であってもよい。また、上記層の厚さは、特に限定されないが、1000nm以下、500nm以下、又は100nm以下であってもよい。
【0321】
以上、本開示のフルオロポリエーテル基含有チオール化合物、硬化性組成物、及び硬化物等について詳述した。なお、本開示のこれらは、上記で例示したものに限定されない。
【実施例】
【0322】
本開示のフルオロポリエーテル基含有チオール化合物、及び硬化性組成物について、以下の実施例を通じてより具体的に説明するが、本開示はこれら実施例に限定されるものではない。なお、本実施例において、フルオロポリエーテルを構成する繰り返し単位の存在順序は任意であり、以下に示される化学式は平均組成を示す。
【0323】
(粘度の測定)
フルオロポリエーテル基含有不飽和化合物、フルオロポリエーテル基含有チオール化合物及びそれらと光重合開始剤を混合した表2に示す組成物について、東機産業社製TV-10型粘度計(ローターNo.THM1)を用いて、回転数1.0rpm、測定温度25℃にて粘度を測定した。
【0324】
(引張弾性率の測定)
表2に示す硬化性組成物から作製した硬化塗膜(膜厚130μm)から、幅1cm、長さ6cmの試験片を切り出し、オートグラフ(島津製作所製AGS-J、ロードセル:50N)を用いて、室温下、チャック間距離40mm、引張速度5.0mm/minにて引張弾性率を測定した。
【0325】
1.フルオロポリエーテル基含有不飽和化合物の合成
【0326】
合成例1 化合物(A-1)の合成
下記式(1)に示すペルフルオロポリエーテルジカルボン酸(平均組成:m=15、n=12)74g、1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン33.5mL、DMF1.48g、及び塩化チオニル13.5gを、フラスコに加えて撹拌し、80℃で3時間反応した。溶媒を留去後、生成物を氷冷し、ジアリルアミン11.1gを滴下し、滴下後室温で終夜撹拌した。反応液を分液し、さらに洗浄後、溶媒を留去することで下記式(A-1)で示されるアリル基を有するペルフルオロポリエーテル化合物65gを得た。19F-NMR測定より、この化合物の数平均分子量は2700であり、この化合物の粘度は300cPであった。
【0327】
【0328】
【0329】
合成例2 化合物(A-2)の合成
式(2)に示すペルフルオロポリエーテルジエステル(平均組成:m=15、n=12)20g及び2,2-ジアリルペンタ-4-エン-1-アミン2.64gを、フラスコに加えて減圧下、室温で撹拌することにより、下記式(A-2)で示されるアリル基を有するペルフルオロポリエーテル化合物20.5gを得た。19F-NMR測定より、この化合物の数平均分子量は2700であり、この化合物の粘度は400cPであった。
【0330】
【0331】
【0332】
合成例3 化合物(A-3)の合成
特開2016-204656、実施例6に記載の方法に従って、式(2)に示すペルフルオロポリエーテルジエステル(平均組成:m=15、n=12)10gを原料として下記式(A-3)で示されるアリル基を有するペルフルオロポリエーテル化合物8.52gを得た。19F-NMR測定より、この化合物の数平均分子量は2600であり、この化合物の粘度は300cPであった。
【0333】
【0334】
2.フルオロポリエーテル基含有チオール化合物の合成
【0335】
合成例4 化合物(B-1)の合成
(例4-1)化合物(X-1)の合成
式(2)に示すペルフルオロポリエーテルジエステル(平均組成:m=15、n=12)100g及びジエタノールアミン8.4gを、フラスコに加えて減圧下に70℃で一晩撹拌することにより、式(X-1)に示す水酸基を有するペルフルオロポリエーテル化合物104.8gを得た。
【0336】
【0337】
(例4-2)化合物(X-2)の合成
例4-1で得られた式(X-1)に示す化合物104.8g、1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン300mL、及びトリエチルアミン20gを、フラスコに加え、氷浴中2-ブロモプロピオニルブロミド41.5gを滴下して、一晩反応を行った。反応液を洗浄後、溶媒を留去することで式(X-2)に示すブロモ基を有するペルフルオロポリエーテル化合物108gを得た。
【0338】
【0339】
(例4-3)化合物(X-3)の合成
例4-2で得られた式(X-2)に示す化合物108g、O-エチルキサントゲン酸カリウム27.4g、1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン540mL、及びピリジン54mLを、フラスコに加え、室温で一晩反応を行った。反応液を水洗後、溶媒を留去することで式(X-3)に示すザンテート基を有するペルフルオロポリエーテル化合物111.7gを得た。
【0340】
【0341】
(例4-4)化合物(B-1)の合成
例4-3で得られた式(X-3)に示す化合物110g、1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン550mL,及びn-ブチルアミン17.1mLを、フラスコに加え、氷浴中4時間反応を行った。反応液を洗浄後、ヘキサンへ滴下することにより式(B-1)に示すチオール基を有するペルフルオロポリエーテル化合物67.2gを得た。19F-NMR測定より、この化合物の数平均分子量は3100であり、この化合物の粘度は2200cPであった。
【0342】
【0343】
合成例5 化合物(B-2)の合成
(例5-1)化合物(Y-1)の合成
式(3)のペルフルオロポリエーテルジオール(平均組成:m=10、n=10)15g、臭化アリル18g、テトラブチルアンモニウムブロミド0.48g、及び水酸化ナトリウム0.69gを、フラスコに加え、70℃で一晩撹拌した。反応液を分液し、次いで洗浄後、溶媒を留去することで式(Y-1)に示すアリル基を有するペルフルオロポリエーテル化合物13.9gを得た。
【0344】
【0345】
【0346】
(例5-2)化合物(Y-2)の合成
式(Y-1)に示す化合物12g、1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン13mL、及びジクロロメタン4.5mLを、フラスコに加えて溶解させ、p-クロロ過安息香酸3.42gを加えたのち、40℃で一晩反応させた。反応液を洗浄後、溶媒を留去して式(Y-2)に示すエポキシ基を有するペルフルオロポリエーテル化合物9.70gを得た。
【0347】
【0348】
(例5-3)化合物(Y-3)の合成
化合物(Y-2)に示す化合物7.23g、アセトン90mL、及び1M塩酸35mLを、フラスコに加え、室温で一晩撹拌した。撹拌停止後分離した上層を取り除き、式(Y-3)に示すペルフルオロポリエーテル化合物6.87gを得た。
【0349】
【0350】
(例5-4)化合物(B-2)の合成
化合物(Y-3)に示す化合物4.70g、p-トルエンスルホン酸一水和物0.167g、チオ乳酸0.935g、及び1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン20mLを、フラスコに加えて、還流温度で終夜反応した。反応液を洗浄後、溶媒を留去して式(B-2)に示すチオール基を有するペルフルオロポリエーテル化合物を得た。19F-NMR測定より、この化合物の数平均分子量は2500であり、この化合物の粘度は1100cPであった。
【0351】
【0352】
合成例6 化合物(B-3)の合成
式(3)のペルフルオロポリエーテルジオール(平均組成:m=10、n=10)10g、1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン20mL、チオ乳酸2.1g、及びp-トルエンスルホン一水和物0.38gを、フラスコに加え、還流温度で一晩反応を行った。反応液を水洗後、溶媒を留去し式(B-3)に示すチオール基を有するペルフルオロポリエーテル化合物9.54gを得た。19F-NMR測定より、この化合物の数平均分子量は2200であり、この化合物の粘度は300cPであった。
【0353】
【0354】
合成例7 化合物(B-4)の合成
式(4)のペルフルオロポリエーテルアルコール(m=15)10g、1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン30mL、及びチオ乳酸0.51g、p-トルエンスルホン酸一水和物95mgを、フラスコに加え、還流温度で一晩反応を行った。反応液を水洗後、溶媒を留去し式(B-4)に示すチオール基を有するペルフルオロポリエーテル化合物9.33gを得た。19F-NMR測定より、この化合物の数平均分子量は2600であり、この化合物の粘度は200cPであった。
【0355】
【0356】
【0357】
合成例8 化合物(B-5)の合成
(例8-1)化合物(Z-1)の合成
式(A-1)に示すアリル基を有するペルフルオロポリエーテル化合物10.0g、1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン30mL、チオ酢酸2.44g、及びAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)の0.263gを、フラスコに加え、80℃で反応させた。反応液を水洗し、式(Z-1)に示すペルフルオロポリエーテル化合物8.97gを得た。
【0358】
【0359】
(例8-2)化合物(B-5)の合成
式(Z-1)に示す化合物8.97g、Novec7200(スリーエム社製)50mL、及びメタノール5mLを、フラスコに加え、撹拌した。ナトリウム0.41gを加えてナトリウムメトキシドを生成させ、室温で1時間アセチル基の脱保護反応を行った。反応液を塩酸で洗浄後、溶媒を留去し、式(B-5)に示すチオール基を有するペルフルオロポリエーテル化合物7.53gを得た。19F-NMR測定より、この化合物の数平均分子量は2800であり、この化合物の粘度は1500cPであった。
【0360】
【0361】
合成例9 化合物(A-4)の合成
(例9-1)化合物(R-1)の合成
化合物(Y-1)に示す化合物2.32g、1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン7.2mL、トリアセトキシメチルシラン0.030gおよびトリクロロシラン0.686gを仕込み、5℃で30分間撹拌した。1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンのPt錯体2%キシレン溶液0.050mLを加えた後、60℃で5時間撹拌した。その後、揮発分を留去することにより、式(R-1)に示すトリクロロシリル基を有するペルフルオロポリエーテル化合物1.97gを得た。
【0362】
【0363】
(例9-2)化合物(A-4)の合成
式(R-1)に示す化合物1.15gおよび1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン3.6mLを仕込み、5℃で30分間撹拌した。続いて、アリルマグネシウムブロミド0.9Mジエチルエーテル溶液6.22mlを加えた後、室温で10時間撹拌した。その後、5℃まで冷却し、メタノール1.78mLを加えた後、不溶物をろ過した。続いて、揮発分を留去した後、不揮発分をパーフルオロヘキサンで希釈し、メタノールで洗浄後、溶媒を留去することにより、式(A-4)に示すアリル基を有するペルフルオロポリエーテル化合物1.12gを得た。19F-NMR測定より、この化合物の数平均分子量は2400であり、この化合物の粘度は400cPであった。
【0364】
【0365】
合成例10 化合物(B-6)の合成
(例10-1)化合物(S-1)の合成
式(3)のペルフルオロポリエーテルに替えて、式(5)のペルフルオロポリエーテルジオール(m=12)17gを用いる以外は(例5-1)と同様にして、式(S-1)に示すアリル基を有するペルフルオロポリエーテル化合物15.2gを得た。
【0366】
【0367】
【0368】
(例10-2)化合物(S-2)の合成
式(Y-1)に示す化合物に替えて、式(S-1)に示す化合物14gを用いる以外は(例5-2)と同様にして、式(S-2)に示すエポキシ基を有するペルフルオロポリエーテル化合物11.2gを得た。
【0369】
【0370】
(例10-3)化合物(S-3)の合成
式(Y-2)に示す化合物に替えて、式(S-2)に示す化合物8.1gを用いる以外は(例5-3)と同様にして、式(S-3)に示すペルフルオロポリエーテル化合物を得た。
【0371】
【0372】
(例10-4)化合物(B-6)の合成
式(Y-3)に示す化合物に替えて、式(S-3)に示す化合物5.3gを用いる以外は(例5-4)と同様にして、式(B-6)に示すチオール基を有するペルフルオロポリエーテル化合物を得た。19F-NMR測定より、この化合物の数平均分子量は2750であり、この化合物の粘度は1400cPであった。
【0373】
【0374】
実施例
1.フルオロポリエーテル基含有チオール化合物の保存安定性
合成例4~8で得られたフルオロポリエーテル基含有チオール化合物(B-1)~(B-6)を1mLずつスクリュー管(No.3)にとり、室温空気下で2週間放置した。スクリュー管には底から3cmのところに横線を引いておき、スクリュー管を真横に傾けて液端が横線を通過する時間を、初期サンプルと2週間後のサンプルで比較した。評価基準は下記の通りとし、結果を表1に示す。
G:2週間後サンプルでの測定時間が初期サンプルの2倍未満であった。
NG:2週間後サンプルでの測定時間が初期サンプルの2倍以上であった。
【0375】
【0376】
実施例1~8及び比較例1~2
2.硬化性組成物の調製と粘度測定
合成例1~3及び9で得られたフルオロポリエーテル基含有不飽和化合物と合成例4~8及び10で得られたフルオロポリエーテル基含有チオール化合物を、アリル基とチオール基の当量が同じになるように混合し、さらに光重合開始剤(C)のOmnirad184(IGM Resins B.V.社製)を2質量部混合し、硬化性組成物1~10を得た。組成を表2に示す。なお、硬化性組成物1~6、9及び10は実施例であり、硬化性組成物7~8は比較例である。また、これらの硬化性組成物について25℃における粘度測定を行った。
【0377】
3.硬化性試験
実施例1~8及び比較例1~2の硬化性組成物1~10を、基材であるガラス板に膜厚100μmとなるようにアプリケーターで塗布し、紫外線(波長:365nm)照射して硬化被膜が作製できるか検討した。照射量は1000mJ/cm2とした。評価基準は下記の通りとした。結果を表2に示す。
VG:硬化塗膜が得られ、表面のタックがなかった。
G:硬化し、流動しなくなった。
NG:硬化できず、液状であった。
【0378】
【0379】
硬化性組成物1から作製した硬化膜の引張弾性率は0.95MPaであった。
【0380】
表1の結果から、2級チオール基を有するフルオロポリエーテル基含有チオール化合物(B-1)~(B-4)、及び(B-6)が1級チオール基を有するフルオロポリエーテル基含有チオール化合物である(B-5)よりも増粘が抑えられ、空気下での安定性に優れることが確認された。
【0381】
表2の結果から、2級チオール基を末端に複数有するフルオロポリエーテル基含有チオール化合物(B-1)~(B-3)、及び(B-6)を含む組成物である実施例1~8は、2級チオール基を1つだけ有するフルオロポリエーテル基含有チオール化合物(B-4)を含む組成物である比較例1、及び1級チオール基を複数有するフルオロポリエーテル基含有チオール化合物(B-5)を含む組成物である比較例2よりも、紫外線による硬化性に優れることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0382】
本開示のフルオロポリエーテル基含有チオール化合物は、種々の用途、例えばコーティング剤として好適に用いることができる。