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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-16
(45)【発行日】2024-04-24
(54)【発明の名称】車両のキャニスタ装置
(51)【国際特許分類】
   F02M 25/08 20060101AFI20240417BHJP
   B60K 15/073 20060101ALI20240417BHJP
【FI】
F02M25/08 311H
F02M25/08 F
B60K15/073
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020085238
(22)【出願日】2020-05-14
(65)【公開番号】P2021179201
(43)【公開日】2021-11-18
【審査請求日】2023-04-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】位田 計人
(72)【発明者】
【氏名】佐野 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】橋本 佑
(72)【発明者】
【氏名】今井 宏輔
【審査官】北村 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-263176(JP,A)
【文献】特開2001-152972(JP,A)
【文献】特開平11-287160(JP,A)
【文献】特開2008-248795(JP,A)
【文献】特開平02-304132(JP,A)
【文献】米国特許第05912368(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 25/08
B60K 15/073
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料タンク内における燃料の蒸散ガスを吸着、吸着された蒸散ガスの脱離が可能なキャニスタと、
大気に開放する大気開放口を端に有し、前記キャニスタと大気とを連通させるベント路とを備え、
前記ベント路の大気開放口を車体の骨格部材の内部に開口させた車両のキャニスタ装置であって、
前記大気開放口の近傍となる前記骨格部材外に配置されるベント路の端部分に、ベント路内をキャニスタ側から骨格部材側へ流れ出る液体を地面へ流出させる分離器が備えられ、
前記ベント路の端部分は、前記骨格部材に固定される固定部を有し、
前記骨格部材は、開口部を有する壁部を有し、
前記固定部は、前記開口部に差し込まれる差込口部と、前記差込口部に設けられ前記開口部の縁部と係合して前記差込口部を固定するクリップ部とを有し、
前記分離器は、前記差込口部に設けられて前記固定部に保持される
ことを特徴とする車両のキャニスタ装置。
【請求項2】
前記分離器は、周囲に車両搭載部品が無い位置に配置される
ことを特徴とする請求項1に記載の車両のキャニスタ装置。
【請求項3】
前記分離器は、前記ベント路から下方へ突き出るように設けられ、前記ベント路内から液体を分離して集溜するチャンバ部と、
前記チャンバ部の底壁に設けられ、集溜された液体を地面へ排出する排出口と
を有することを特徴とする請求項1または2に記載の車両のキャニスタ装置。
【請求項4】
前記排出口は、前記骨格部材の底壁よりも下側に配置される
ことを特徴とする請求項3に記載の車両のキャニスタ装置。
【請求項5】
前記チャンバ部の底壁は傾斜され、
前記排出口は、傾斜した底壁の最下位となる位置に配置される
ことを特徴とする請求項3または請求項4に記載の車両のキャニスタ装置。
【請求項6】
前記チャンバ部の底壁の傾斜は、車両前方へ向かい下るように傾斜される
ことを特徴とする請求項5に記載の車両のキャニスタ装置。
【請求項7】
前記チャンバ部の排出口は、前記ベント路の大気開放口よりも小径である
ことを特徴とする請求項3から請求項6のいずれか一項に記載の車両のキャニスタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体に設置される車両のキャニスタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車など車両では、燃料タンク内における燃料の蒸散ガスを処理するため、キャニスタ装置が搭載される。
【0003】
キャニスタ装置は、燃料タンクからの燃料の蒸散ガスを吸着する一方、吸着した蒸散ガスの脱離を可能とし、車両に搭載されたエンジンが稼働するときに処理するものである。
【0004】
こうしたキャニスタ装置は、キャニスタと大気とを連通させるベント路が備えられる。ベント路は、先端に大気開放口をもち、このベント路が燃料タンクの通気やキャニスタの通気を果たして、燃料タンク内の蒸散ガスがキャニスタに吸着されたり、吸着した蒸散ガスがキャニスタから脱離されエンジンの吸気系へ導出され、燃料と共に燃焼されたりしている。
【0005】
ところで、ベント路は、キャニスタを介して、燃料タンクやエンジンなどとつながるため、大気開放口からの異物の侵入を抑えることが求められる。
【0006】
例えば、特許文献1に開示されているように、ベント路の大気開放口は、車両の骨格部材内に開口させ、車両の骨格部材内を介して、ベント路内に大気を流通させるといった、水や埃など異物を侵入し難くすることが講じられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2008-248795号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、ベント路は、大気開放口側よりもキャニスタ側が高い位置となるよう配置して、できるだけキャニスタ側から大気開放口側へ燃料が流出しないようにしているが、それでも、万一、燃料が流出することが考えられる。例えば燃料タンク内のバルブ不良により、燃料タンクの燃料がベント路へ漏れ、大気開放口から車両の骨格部材内へ流出する場合が考えられる。
【0009】
このような場合、燃料は、骨格部材の継ぎ目や、骨格部材に有る孔など、意図しない地点から燃料が外部へ流れ出ることがある。
【0010】
そこで、本発明の目的は、万一、燃料タンクの燃料がベント路に漏れ出ても、大気開放口から骨格部材へ侵入せずにすむ車両のキャニスタ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の態様は、燃料タンク内における燃料の蒸散ガスを吸着、吸着された蒸散ガスの脱離が可能なキャニスタと、大気に開放する大気開放口を端に有し、キャニスタと大気とを連通させるベント路とを備え、ベント路の大気開放口を車体の骨格部材の内部に開口させた車両のキャニスタ装置であって、大気開放口の近傍となる骨格部材外に配置されるベント路の端部分に、ベント路内をキャニスタ側から骨格部材側へ流れ出る液体を地面へ流出させる分離器が備えられ、前記ベント路の端部分は、前記骨格部材に固定される固定部を有し、前記骨格部材は、開口部を有する壁部を有し、前記固定部は、前記開口部に差し込まれる差込口部と、前記差込口部に設けられ前記開口部の縁部と係合して前記差込口部を固定するクリップ部とを有し、前記分離器は、前記差込口部に設けられて前記固定部に保持されるものとした。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、万一、燃料タンク内のバルブ固着等の発生により、燃料タンクの燃料がベント路へ漏れ出たとしても、骨格部材の直前となるベント路の端部分には、分離器が設けられているので、ベント路の大気開放口に至る前、ベント路を流れる燃料は、分離器により、ベント路から分離されて地面へ流出される。
【0013】
したがって、万一、燃料タンクの燃料がベント路に漏れ出ても、骨格部材の意図しない個所から流出されるのを防ぐことができ、車両の安全性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係る態様となる車両下面から見たキャニスタ装置を示す下面図。
図2図1中のA部に示される分離器の周辺を示す斜視図。
図3】分離器を説明する分解斜視図。
図4】分離器の側断面図。
図5】同じく平面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を図1から図5に示す一実施形態にもとづいて説明する。
【0016】
図1は、例えばエンジンやモータを搭載したハイブリッド車と称される車両1の後部側における下面を示している。
【0017】
車両1の主な部分を説明すると、図1中の符号3は車両1の車体2を構成するフロア部材、符号5はフロア部材3の車幅方向両側に配置された車両前後方向に延びる一対のサイドフレーム、符号7は車両後部側のサイドフレーム部分間に架け渡されたクロスメンバを示している。
【0018】
ちなみに、サイドフレーム5、クロスメンバ7は、いずれも逆ハット形の断面をもつ中空部材などが用いられる。
【0019】
車体2は、こうした各種骨格部材で構成される車体2の骨格部に、車体各部(フェンダ部やルーフ部など)組み合わって構成される。
【0020】
こうした車体2のフロア部材3の下面の前部には、走行輪(図示しない)を駆動するモータ(図示しない)やエンジン9が搭載される。エンジン9は、簡略化したブロックで示してある(図1)。またフロア部材3の下面の後部には、燃料タンク11やマフラー13が搭載される。フロア部材3の下面の中間部には、バッテリ(図示しない)が搭載される。
【0021】
ちなみに、燃料タンク11は、クロスメンバ7の車両前側に配置され、マフラー13は車両最後部に配置されている。そして、エンジン9から延びる排気管9aがマフラー13に連結してある。
【0022】
つまり、車両1は、燃料タンク11内に貯留された燃料でエンジン9が駆動されたり、バッテリに蓄えられた電力でモータが駆動されたりすることにより、走行される構造となっている。
【0023】
こうした車両1の下面、ここでは例えばマフラー13の側方(車幅方向)に、キャニスタ装置21が設置されている。
【0024】
キャニスタ装置21は、蒸散ガス(燃料タンク11内の燃料ガス)が吸着、脱離可能な活性炭23を収めたキャニスタ25と、同キャニスタ25から延びる吸着用のチューブ27(通路)と、同じく脱離用のチューブ29(通路)と、同じくベント用のチューブ31(本願のベント路に相当)とを備える。
【0025】
このうち、キャニスタ25は、例えば隣接するサイドフレーム5に保持される。
【0026】
吸着用のチューブ27は、燃料タンク11へ延びる。この吸着用のチューブ27の先端部は、燃料タンク11などに接続され、先端の開口を燃料の液面上方の空間(図示しない)に連通させている。これにより、燃料タンク11内の蒸散ガス(燃料)が、活性炭23へ導けるようにしている。
【0027】
脱離用のチューブ29は、エンジン9側へ延びる。このチューブ29の先端部は、エンジン9の吸気系、例えばスロットルボデーに連通接続されている。これにより、エンジン9の吸気負圧を利用して、活性炭23から蒸散ガスを脱離させてエンジン9の吸気系へ導けるようにしている。
【0028】
ベント用のチューブ31は、先端部がサイドフレーム5に沿って車両前側へ延び、燃料タンク11近くに配置されているクロスメンバ7(骨格部材)に接続されている。
【0029】
さらに述べると、チューブ31の先端部は、大気に開口する大気開放口32をもつ接続用の差込口部33が装着されている。この差込口部33が、骨格部材たるクロスメンバ7の側壁7aに差し込み接続され、先端に形成される大気開放口32をクロスメンバ7の内部に開口させている。つまり、大気開放口32は、車体2の骨格部内を通じて、車体1外、すなわち大気と連通されている。これにより、大気開放口32から、水や埃など異物を侵入し難くして、チューブ31内を、異物の含まれない大気が流通されるようにしている。
【0030】
このベント用のチューブ31が、燃料タンク11との通気、活性炭23との通気、エンジン9との通気を果たして、燃料タンク11内の蒸散ガスが活性炭23に吸着されたり、活性炭23に吸着した蒸散ガスが脱離してエンジン9の吸気系へパージされ燃料と共に燃焼されたりする。
【0031】
ちなみに、キャニスタ25内には、図示はしないが蒸発ガスの吸着や脱離をコントロールするコントロールバルブや吸引ポンプなどが設けられる。
【0032】
このベント用のチューブ31の先端部をなす差込口部33に、分離器35が設けられている。
【0033】
この分離器35は、万一、燃料タンク11からチューブ31へ漏れ出た燃料(本願の液体に相当)を、車体2の骨格部材であるクロスメンバ7内へ流出するのを防ぐため、漏れ出た燃料をチューブ31内から分離して地面(図示しない)へ流出させる機器である。この分離器35の構造が図3図5に示されている。
【0034】
分離器35は、大気開放口32からの燃料流出が確実に抑えられるよう、大気開放口32の近傍となるクロスメンバ7の直前に配置されたり、差込口部33を接続する固定部34を用いて分離器35を保持させたり、漏れた燃料αを車両搭載部品の無い位置から地面へ流出させたり、漏れた燃料を地面に徐々に地面へ流出させたりするなど、各種の構造が施されている。
【0035】
この分離器35の各部を説明すると、図3に示されるように固定部34は、差込口部33の先端両側の外面に設けた一対のクリップ部37を有している。
【0036】
クリップ部37は、差込口部33の先端側からを基端側へ拡がりながら延びる変位可能な一対のレバーから形成され、例えばクロスメンバ7の側壁7aに形成されている開口部7bに差し込まれる際に縮み、差し込み終えると拡がる。
【0037】
クリップ部37直後の差込口部分には、押付け用のパネル部39が設けられ、差込口部33がクロスメンバ7の開口部7bに差し込まれるにしたがい、図5に示されるように開口部7bの開口縁部が、クリップ部37端に形成された係合部37aと係合されて、パネル部39との間に挟み付けられる。
【0038】
つまり、チューブ31の先端部は、クリップ部37など係合構造(固定部34)にて、クロスメンバ7に固定される。
【0039】
分離器35は、このパネル部39の直後の差込口部分に設けられる。これにより、分離器35は、固定部34をそのまま活用して、チューブ31に保持される。さらに述べると、同保持構造にて、分離器35は、大気開放口32の近傍となるクロスメンバ7外(骨格部材外)の位置、具体的にはクロスメンバ7の直前の位置で保持される。
【0040】
つまり、漏れ出た燃料αは、クロスメンバ7へ流入する直前で分離されて地面へ排出される。これにより、大気開放口32からの燃料の流出が確実に抑えられるようにしている。
【0041】
詳しくは分離器35は、差込口部33(チューブ31の先端部)の下面から下方へ突き出るように配置されたチャンバ部40を有して構成される。チャンバ部40は、差込口部33と一体な上部が開放した有底の中空柱状をなすチャンバ本体40aと、同チャンバ本体40aの開放部を着脱可能に閉塞する蓋部40bと、チャンバ本体40aの底壁40dに設けられた排出口40cとを有している。
【0042】
チャンバ本体40aの内部空間は、図4に示されるように差込口部33の内部に開放され、チューブ31の内面を伝わりクロスメンバ7へ向かう燃料(液体)αが、クロスメンバ7の直前、チャンバ本体40a内へ流下して気液分離される。そして、チャンバ本体40a内で集溜された燃料αが、排出口40cから地面(図示しない)へ排出される構造となっている。
【0043】
特に差込口部33の接続位置は、分離器35から排出される燃料αが他の床下の車両搭載部品にかからないよう、分離器35の周囲に車両搭載部品が無い位置、ここでは例えばサイドフレーム5とクロスメンバ7とが連結する連結部6寄りの位置に配置されている(図1)。
【0044】
また車体2のサイドフレーム5など骨格部材に影響を与えずに燃料の排出が行われるよう、チャンバ本体40aの下部は、図4に示されるように下側へ延びていて、排出口40cの位置を、クロスメンバ7の底壁7dよりも下側に配置して、排出口40cを車体2の骨格部材や床下の車両搭載部品から遠ざけている。つまり、地面寄りの位置から燃料の排出が行えるようにしている。
【0045】
排出口40cは、チャンバ本体40a内から燃料が徐々に地面(外部)へ排出されるよう、大気開放口32よりも、かなり小径な通孔で形成してある(D1>d1)。
【0046】
加えて、チャンバ本体40aの底壁40dは、片側へ傾斜される。ここでは、多くの車両1は車両前方に下る方向へ傾斜する傾向があることから、底壁40dは車両前方へ下るよう傾斜させてある(図4)。そして、この傾斜した底壁40dの最下位となる位置に、排出口40cが配置され、チャンバ本体40a内の燃料αが、残らずチャンバ本体40a内から地面へ排出される構造としている。
【0047】
つぎに、キャニスタ装置21の作用について説明する。
【0048】
すなわち、燃料タンク11内に生じる蒸散ガスは、ベント用のチューブ31を通気に用いて、吸着用のチューブ27から活性炭23に至り、同活性炭23に吸着される。
【0049】
そして、車両1のエンジン9の稼働時、ベント用のチューブ31を通気に用いて、吸着した蒸散ガスが、活性炭23から脱離してエンジン9の吸気系へパージされ、燃料と共に燃焼される(蒸散ガス処理)。
【0050】
ここで、万一、燃料がキャニスタ装置21から流出することが考えられる。例えば燃料タンク11に給油する際の不手際などにより、燃料タンク11の燃料がベント用のチューブ31へ漏れ出て、骨格部材へ侵入することが考えられる。
【0051】
この場合、漏れ出た燃料αが、意図しない骨格部材の地点から外部へ流れ出てしまうことが懸念される。
【0052】
このとき、クロスメンバ7に開口するチューブ31の端部のうち、クロスメンバ7の直前位置(大気開放口32の近傍)には、分離器35が設けられている。
【0053】
このため、万一、燃料タンク11内のバルブ固着等の発生により、燃料タンク11の燃料がベント用のチューブ31へ漏れ出たとしても、図4に示されるように漏れ出た燃料αは、チューブ31の大気開放口32に至る直前、チューブ31内から気液分離されてチャンバ部40内に溜まる。この集溜した燃料αが、排出口40cから、定位置となる分離器35の直下の地面(外部)へ向け流出される。つまり、漏れた燃料αは、クロスメンバ7内に至らずにすむ。
【0054】
したがって、万一、燃料タンク11の燃料がベント用のチューブ31に漏れ出たとしても、大気開放口32から骨格部材、ここではクロスメンバ7内へ侵入せずにすむ。
【0055】
それ故、本実施形態のように分離器35の採用したことにより、漏れ出た燃料αが、骨格部材の意図しない個所から流出されるのを防ぐことができ、車両1の安全性の向上を図ることができる。
【0056】
特に分離器35は、周囲に車両搭載部品が無い位置に配置してあるので、排出口40cから排出される燃料αが不用意にかかることはない。
【0057】
また分離器35は、差込口部33(チューブ31の端部)を固定する固定部34で保持されるため、別途、分離器35を保持する保持具は不要である。特に固定部34は、クリップ部37を採用して、クロスメンバ7の開口縁部との係合により、差込口部33をクロスメンバ7に固定するので、簡単な構造ですむ。
【0058】
しかも、分離器35には、チャンバ部40と排出口40cとを組み合わせた気液分離構造が用いられているので、簡単な構造ですむ。
【0059】
また分離器35の排出口40cは、差込口部33が装着されるクロスメンバ7の底壁よりも下側に配置したので、排出口40cからの燃料αが不用意にクロスメンバ7にかかるのを防ぐことができる。
【0060】
そのうえ、チャンバ部40は、底壁40dを傾斜させ、最下位となる底壁部分に排出口40cを配置させたので、チャンバ部40内から漏れ出た燃料αを確実に地面へ排出させることができる。特に車両1の傾斜に合わせて、チャンバ部40の底壁40dを傾斜させると、効果的に漏れ出た燃料αを地面へ排出させることができる。
【0061】
加えて、チャンバ部40の排出口40cは、大気開放口32よりも小径にしたことにより(D1>d1)、チューブ31の通気機能は損なわれずに、蒸散ガスの吸着や脱離や漏れ出た燃料αの流出を果たすことができる。
【0062】
なお、本発明は、上述した一実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々可変して実施しても構わない。例えば一実施形態では、ベント用のチューブをクロスメンバに接続して開口させた例を挙げたが、これに限らず、クロスメンバ以外の骨格部材(サイドフレームや他の骨格部材など)にベント用のチューブを接続させてもよく、車両の骨格部材であればよい。
【符号の説明】
【0063】
2 車体
7 クロスメンバ(骨格部材)
7a 側壁(壁部)
7b 開口部
11 燃料タンク
21 キャニスタ装置
23 活性炭
25 キャニスタ
31 ベント用のチューブ(ベント路)
32 大気開放口
33 差込口部
34 固定部
35 分離器
37 クリップ部
40 チャンバ部
40c 排出口
α 漏れ出た燃料(液体)
図1
図2
図3
図4
図5