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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-16
(45)【発行日】2024-04-24
(54)【発明の名称】車両の下部車体構造
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/20 20060101AFI20240417BHJP
【FI】
B62D25/20 F
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020133809
(22)【出願日】2020-08-06
(65)【公開番号】P2022030064
(43)【公開日】2022-02-18
【審査請求日】2023-03-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089004
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】石川 靖
(72)【発明者】
【氏名】守田 雄一
(72)【発明者】
【氏名】山口 雄作
(72)【発明者】
【氏名】今城 秀之
(72)【発明者】
【氏名】三好 克久
(72)【発明者】
【氏名】西本 允也
【審査官】福田 信成
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-029455(JP,A)
【文献】特開2012-111246(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102017003843(DE,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0217498(US,A1)
【文献】特開2017-197059(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 25/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体前後方向に延びるアウタパネルとインナパネルとで第1閉断面を形成するサイドシルと、このサイドシルの前端部分を補強するために前記第1閉断面内に設けられた補強部材とを備えた車両の下部車体構造において、
前記補強部材は、
前記サイドシルの前端部分に入力した車体後方に向かう衝突荷重を支持する前端補強部と、
車幅方向内側後方に向かう衝突荷重が前記サイドシルの前端部分に入力したとき、前記サイドシルの車幅方向内側後方に向かう変形を許容する変形許容部と、
前記サイドシルの車幅方向内側後方に向かう変形の後に前記サイドシルの変形を抑制する変形抑制部とを有し、
前記変形許容部は、前記補強部材の車幅方向外側部分を切り欠いた切欠部によって形成され、
前記変形抑制部は、車体前後方向に対して略直交する第1部分と車幅方向に対して略直交する第2部分とを含み、
前記変形抑制部の第1部分よりも前側に形成された第1切欠部の車幅方向寸法は、前記変形抑制部の第1部分よりも後側に形成された第2切欠部の車幅方向寸法よりも大きく形成されたことを特徴とする車両の下部車体構造。
【請求項2】
車体前後方向に延びるアウタパネルとインナパネルとで第1閉断面を形成するサイドシルと、このサイドシルの前端部分を補強するために前記第1閉断面内に設けられた補強部材とを備えた車両の下部車体構造において、
前記補強部材は、
前記サイドシルの前端部分に入力した車体後方に向かう衝突荷重を支持する前端補強部と、
車幅方向内側後方に向かう衝突荷重が前記サイドシルの前端部分に入力したとき、前記サイドシルの車幅方向内側後方に向かう変形を許容する変形許容部と、
前記サイドシルの車幅方向内側後方に向かう変形の後に前記サイドシルの変形を抑制する変形抑制部とを有し、
前記変形許容部は、前記補強部材の車幅方向外側部分を切り欠いた切欠部によって形成され、
前記変形抑制部は、車体前後方向に対して略直交する第1部分を含み、
前記変形抑制部の第1部分よりも前側に形成された第1切欠部の車幅方向寸法は、前記変形抑制部の第1部分よりも後側に形成された第2切欠部の車幅方向寸法よりも大きく形成されたことを特徴とする車両の下部車体構造。
【請求項3】
車体前後方向に延びるアウタパネルとインナパネルとで第1閉断面を形成するサイドシルと、このサイドシルの前端部分を補強するために前記第1閉断面内に設けられた補強部材とを備えた車両の下部車体構造において、
前記補強部材は、
前記サイドシルの前端部分に入力した車体後方に向かう衝突荷重を支持する前端補強部と、
車幅方向内側後方に向かう衝突荷重が前記サイドシルの前端部分に入力したとき、前記サイドシルの車幅方向内側後方に向かう変形を許容する変形許容部と、
前記サイドシルの車幅方向内側後方に向かう変形の後に前記サイドシルの変形を抑制する変形抑制部とを有し、
前記変形許容部は、前記補強部材の車幅方向外側部分を切り欠いた切欠部によって形成され、
前記切欠部の車幅方向寸法は、車体前後方向前方程大きいことを特徴とする車両の下部車体構造。
【請求項4】
アウタ部材とこのアウタ部材と協働して上下方向に延びる第2閉断面を形成するインナ部材とを有するヒンジピラーを備え、
前記インナ部材が、前記第1閉断面を車幅方向内外に区分するように前記サイドシルのアウタパネルとインナパネルとの間に介装され、
前記補強部材は、前記第1閉断面のうち前記インナ部材よりも車幅方向外側に配設されたことを特徴とする請求項1~の何れか1項に記載の車両の下部車体構造。
【請求項5】
前記補強部材は、前記変形抑制部の第1部分よりも後側で且つ車幅方向外側に車体前後方向に延びる稜線を備えた段差部を有することを特徴とする請求項1~4の何れか1項に記載の車両の下部車体構造。
【請求項6】
前記段差部の車幅方向外側から上下方向に延びる固定部を設け、
前記固定部が前記アウタパネルの縦壁部に接合されたことを特徴とする請求項に記載の車両の下部車体構造。
【請求項7】
アウタ部材とこのアウタ部材と協働して上下方向に延びる閉断面を形成するインナ部材とを有するヒンジピラーを備え、
前記アウタ部材を補強すると共に前記サイドシルのアウタパネルに接合された外側補強部材を有し、
前記固定部は、前記アウタパネルを介在させて前記外側補強部材と三重接合されたことを特徴とする請求項に記載の車両の下部車体構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体前後方向に延びる閉断面を有するサイドシルと、このサイドシルの前端部を補強する補強部材とを備えた車両の下部車体構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、SORB(Small Overlap Rigid Barrier)試験に代表されるフロントサイドフレームよりも車幅方向外側部分(オーバラップ領域が25%以下)に障害物が衝突する、所謂スモールオーバーラップ衝突の際、前輪がサイドシルの前端部分に当るため、ヒンジピラーが車体後方に倒れ込むことが知られている。また、ヒンジピラーが車体後方に倒れ込んだ場合、衝突荷重がサイドシルに集中して発生したモーメントに伴う折れ曲がり変形がサイドシルに生じることも知られている。
【0003】
そこで、スモールオーバーラップ衝突対応に係る様々な技術的提案がなされている。
例えば、特許文献1の車両側部構造には、アウタ部材とこのアウタ部材と協働して上下方向に延びる第1閉断面を形成するインナ部材とを有するヒンジピラーと、このヒンジピラーの下端部分に連結されると共にアウタパネルとこのアウタパネルと協働して車体後方に延びる第2閉断面を形成するインナパネルとを有するサイドシルとを有し、ヒンジピラーのアウタ部材とサイドシルのアウタパネルに接合されたガセットと、サイドシルの第2閉断面を前後に節状に仕切る複数のバルク部材とを設けている。
【0004】
ところで、車両のデザイン性向上や運動性能向上を図るためにホイールのインチアップが行われる。通常、ホイールの大径化に伴って、タイヤ幅が太くなり、路面とタイヤの接地面積が増加することから、タイヤのグリップ性能やコーナリング性能が高くなる。
このように、ホイールがインチアップされた場合、ホイールのインチアップに対応してタイヤ径が大きいタイヤを収容するため、ホイールハウスの前後寸法が拡大される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-058749号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の車両側部構造は、ガセットと複数のバルク部材を新たに設けることにより、ヒンジピラーの車体後方への倒れ込みやサイドシルの折れ曲がり変形を回避している。
しかし、特許文献1の車両側部構造では、ガセットやバルク部材等の新設部品の追加により車体重量が増加することに加え、スモールオーバーラップ衝突時の衝撃エネルギ吸収性能を十分に確保することができない虞がある。
【0007】
特許文献1の技術では、車幅方向内側後方に向かう衝突荷重がサイドシルの前端部分に入力したとき、ガセットと複数のバルク部材が、衝突荷重の前後方向後方成分及び車幅方向内側成分を夫々受けているため、サイドシルの折れ曲がり変形が抑制される。
つまり、衝突荷重によるサイドシルの折れ曲がり変形が構造的に抑制されているため、衝突荷重の車幅方向内側成分がサイドシルに直接的に作用し、サイドシルが車幅方向内側に倒れ込む内倒れ変形が誘発される。サイドシルに内倒れ変形が生じた場合、サイドシルのアウタパネルとインナパネルの溶接による接合部(フランジ部)に剪断応力が作用し、最終的に、アウタパネルとインナパネルの接合部が破断してサイドシルの断面崩れが生じる虞がある。
【0008】
サイドシルに断面崩れが生じた際、サイドシルを介して車体後方に衝突荷重を十分に伝達分散することができず、車室の変形を招く。特に、ホイールをインチアップした車両の場合、ホイールハウスの前後長が拡大され、サイドシルの前端部分に衝撃吸収用の潰れ領域を確保することが難しいことから、スモールオーバーラップ衝突時、ホイールをインチアップしていない車両に比べてサイドシルの内倒れ変形傾向が顕著になる。
即ち、スモールオーバーラップ衝突時の衝撃エネルギ吸収性能は、現時点、改善の余地が残されている。
【0009】
本発明の目的は、スモールオーバーラップ衝突時の衝撃エネルギ吸収性能を十分に確保可能な車両の下部車体構造等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の車両の下部車体構造は、車体前後方向に延びるアウタパネルとインナパネルとで第1閉断面を形成するサイドシルと、このサイドシルの前端部分を補強するために前記第1閉断面内に設けられた補強部材とを備えた車両の下部車体構造において、前記補強部材は、前記サイドシルの前端部分に入力した車体後方に向かう衝突荷重を支持する前端補強部と、車幅方向内側後方に向かう衝突荷重が前記サイドシルの前端部分に入力したとき、前記サイドシルの車幅方向内側後方に向かう変形を許容する変形許容部と、前記サイドシルの車幅方向内側後方に向かう変形の後に前記サイドシルの変形を抑制する変形抑制部とを有し、前記変形許容部は、前記補強部材の車幅方向外側部分を切り欠いた切欠部によって形成され、前記変形抑制部は、車体前後方向に対して略直交する第1部分と車幅方向に対して略直交する第2部分とを含み、前記変形抑制部の第1部分よりも前側に形成された第1切欠部の車幅方向寸法は、前記変形抑制部の第1部分よりも後側に形成された第2切欠部の車幅方向寸法よりも大きく形成されたことを特徴としている。
【0011】
この車両の下部車体構造では、前記補強部材が、前記サイドシルの前端部分に入力した車体後方に向かう衝突荷重を支持する前端補強部を有するため、車幅方向内側後方に向かう衝突荷重の前後方向後方成分を支持することができ、ヒンジピラーの車体後方への倒れ込みを抑制することができる。前記補強部材が、車幅方向内側後方に向かう衝突荷重が前記サイドシルの前端部分に入力したとき、前記サイドシルの車幅方向内側後方に向かう変形を許容する変形許容部を有するため、車幅方向内側後方に向かう衝突荷重の車幅方向内側成分の一部をサイドシルの部分的な変形により吸収することができる。
前記補強部材が、前記サイドシルの車幅方向内側後方に向かう変形の後に前記サイドシルの変形を抑制する変形抑制部を有するため、車幅方向内側後方に向かう衝突荷重の車幅方向内側成分の残部を支持することができ、サイドシルの内倒れ変形に起因した断面崩れを回避して衝突荷重を車体後方に伝達分散することができる。
【0012】
記変形許容部は、前記補強部材の車幅方向外側部分を切り欠いた切欠部によって形成されたため、変形許容部を簡単な構造で構成することができ、補強部材の製造コストを廉価にすることができる。
【0013】
記変形抑制部は、車体前後方向に対して略直交する第1部分と車幅方向に対して略直交する第2部分とを含むため、変形抑制部を簡単な構造で構成することができる。
前記変形抑制部の第1部分よりも前側に形成された第1切欠部の車幅方向寸法は、前記変形抑制部の第1部分よりも後側に形成された第2切欠部の車幅方向寸法よりも大きく形成されたため、サイドシルによる車幅方向内側後方に向かう変形を円滑に実行することができる。
【0014】
請求項2の車両の下部車体構造は、車体前後方向に延びるアウタパネルとインナパネルとで第1閉断面を形成するサイドシルと、このサイドシルの前端部分を補強するために前記第1閉断面内に設けられた補強部材とを備えた車両の下部車体構造において、前記補強部材は、前記サイドシルの前端部分に入力した車体後方に向かう衝突荷重を支持する前端補強部と、車幅方向内側後方に向かう衝突荷重が前記サイドシルの前端部分に入力したとき、前記サイドシルの車幅方向内側後方に向かう変形を許容する変形許容部と、前記サイドシルの車幅方向内側後方に向かう変形の後に前記サイドシルの変形を抑制する変形抑制部とを有し、前記変形許容部は、前記補強部材の車幅方向外側部分を切り欠いた切欠部によって形成され、前記変形抑制部は、車体前後方向に対して略直交する第1部分を含み、 前記変形抑制部の第1部分よりも前側に形成された第1切欠部の車幅方向寸法は、前記変形抑制部の第1部分よりも後側に形成された第2切欠部の車幅方向寸法よりも大きく形成されたことを特徴としている。
この車両の下部構造では、段落[0011]~[0013]と略同様の作用効果を奏する。
【0015】
請求項3の車両の下部車体構造は、車体前後方向に延びるアウタパネルとインナパネルとで第1閉断面を形成するサイドシルと、このサイドシルの前端部分を補強するために前記第1閉断面内に設けられた補強部材とを備えた車両の下部車体構造において、前記補強部材は、前記サイドシルの前端部分に入力した車体後方に向かう衝突荷重を支持する前端補強部と、車幅方向内側後方に向かう衝突荷重が前記サイドシルの前端部分に入力したとき、前記サイドシルの車幅方向内側後方に向かう変形を許容する変形許容部と、前記サイドシルの車幅方向内側後方に向かう変形の後に前記サイドシルの変形を抑制する変形抑制部とを有し、前記変形許容部は、前記補強部材の車幅方向外側部分を切り欠いた切欠部によって形成され、前記切欠部の車幅方向寸法は、車体前後方向前方程大きいことを特徴としている。
この車両の下部構造では、段落[0011]、[0012]と同様の作用効果を奏するうえに、前記切欠部の車幅方向寸法、車体前後方向前方程大きいため、補強部材を簡単な構造で構成することができ、サイドシルによる車幅方向内側後方に向かう変形を円滑に実行することができる。
【0016】
請求項の発明は、請求項1~の何れか1項の発明において、アウタ部材とこのアウタ部材と協働して上下方向に延びる第2閉断面を形成するインナ部材とを有するヒンジピラーを備え、前記インナ部材が、前記第1閉断面を車幅方向内外に区分するように前記サイドシルのアウタパネルとインナパネルとの間に介装され、前記補強部材は、前記第1閉断面のうち前記インナ部材よりも車幅方向外側に配設されたことを特徴としている。
この構成によれば、補強部材を小型化することができる。
【0017】
請求項の発明は、請求項1~何れか1項の発明において、前記補強部材は、前記変形抑制部の第1部分よりも後側で且つ車幅方向外側に車体前後方向に延びる稜線を備えた段差部を有することを特徴としている。この構成によれば、前端補強部に入力された衝突荷重を稜線を用いて車体後方に伝達分散することができる。
【0018】
請求項発明は、請求項の発明において、前記段差部の車幅方向外側から上下方向に延びる固定部を設け、前記固定部が前記アウタパネルの縦壁部に接合されたことを特徴としている。この構成によれば、サイドシルの内倒れ変形を一層抑制することができる。
【0019】
請求項発明は、請求項の発明において、アウタ部材とこのアウタ部材と協働して上下方向に延びる閉断面を形成するインナ部材とを有するヒンジピラーを備え、前記アウタ部材を補強すると共に前記サイドシルのアウタパネルに接合された外側補強部材を有し、前記固定部は、前記アウタパネルを介在させて前記外側補強部材と三重接合されたことを特徴としている。この構成によれば、前端補強部に入力された衝突荷重を外側補強部材を用いてアウタ部材に伝達分散することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の車両の下部車体構造によれば、サイドシルの部分的変形を用いて衝突荷重の車幅方向内側成分をサイドシルの断面崩れが生じないように減少させることにより、スモールオーバーラップ衝突時の衝撃エネルギ吸収性能を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施例1に係る車両の下部車体構造の右側面図である。
図2図1の要部拡大図である。
図3図1に示す車体部分を車幅方向外側下方から視た斜視図である。
図4図3に示す車体部分のアウタパネルを透視した図である。
図5図2のV-V線断面図である。
図6図2のVI-VI線断面図である。
図7図2のVII-VII線断面図である。
図8】補強部材の平面図である。
図9】補強部材を斜め上方から視た斜視図である。
図10】スモールオーバーラップ衝突時の初期状態図である。
図11】スモールオーバーラップ衝突時の中期状態図である。
図12】変形例に係る補強部材の平面図である。
図13】変形例に係る補強部材を斜め上方から視た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
以下の説明は、本発明を車両の下部車体構造に適用したものを例示したものであり、本発明、その適用物、或いは、その用途を制限するものではない。
【実施例1】
【0023】
以下、本発明の実施例1について図1図11に基づいて説明する。
図1に示すように、車両Vは、トンネル部1aが形成され且つ車室床面を構成するフロアパネル1と、前後に延びる左右1対のサイドシル2と、車体前部に設けられたエンジンルーム(図示略)と車室とを仕切るダッシュパネル(図示略)と、このダッシュパネルから前方に延びる左右1対のフロントサイドフレーム3と、1対のサイドシル2の前端部分から鉛直上方に夫々延びる左右1対のヒンジピラー4と、これら1対のヒンジピラー4の上端部分から前方に延びる左右1対のエプロンレインフォースメント(以下、エプロンレインと略す)5等を備えている。
【0024】
この車両Vには、SORB(Small Overlap Rigid Barrier)試験に代表されるフロントサイドフレーム3よりも車幅方向外側部分(オーバラップ領域が25%以下)に障害物が衝突する、所謂スモールオーバーラップ衝突時、車幅方向内側後方に向かう衝突荷重の車幅方向内側成分を2段階に分けて受け止める衝撃エネルギ吸収機構が設けられている。
この衝撃エネルギ吸収機構は、車幅方向内側後方に向かう衝突荷重の車幅方向内側成分の一部をサイドシルの部分的変形により吸収する第1の荷重吸収機能と、サイドシルの部分的変形の後、車幅方向内側成分の残部を支持する第2の荷重吸収機能とにより構成されている。車両Vが左右対称構造に構成されているため、以下、右側部分について主に説明する。また、図において、矢印F方向を車体前後方向前方とし、矢印OUT方向を車幅方向外方とし、矢印U方向を車体上下方向上方としている。
【0025】
まず、車両Vの概略構成について説明する。
ダッシュパネルは、1対のヒンジピラー4の間に亙って車幅方向に延びるように配設されている。このダッシュパネルは、フロアパネル1の前端部から上方に向けて立ち上がるダッシュロアパネルと、このダッシュロアパネルの上端部に接合されたダッシュアッパパネルとを備えている(何れも図示略)。
【0026】
1対のフロントサイドフレーム3は、1対のサイドシル2の間に配置されている。図1に示すように、フロントサイドフレーム3とエプロンレイン5との間には、前輪用サスペンション(図示略)のダンパを支持するサスペンションタワー(以下、サスタワーと略す)6が形成されている。サスタワー6は、前輪及び前輪用サスペンションを収容するホイールハウス7を一体的に備えている。ホイールハウス7は、ダッシュパネルの前側で且つエプロンレイン5の下側領域に形成されている。
【0027】
ホイールハウス7は、後述するヒンジピラー4のインナ部材4bの外側に配置された部分椀状のホイールハウスアウタ(図示略)と、インナ部材4bの内側に配置された部分椀状のホイールハウスインナ7aとを備えている。ホイールハウスインナ7aは、フロントサイドフレーム3とインナ部材4bに接合され、ホイールハウスアウタは、インナ部材4bとエプロンレイン5の下側部分に接合されている。
【0028】
次に、1対のヒンジピラー4について説明する。
図1図7に示すように、ヒンジピラー4は、断面略ハット状のアウタ部材4aと、このアウタ部材4aと協働して上方に延びる略矩形状の第2閉断面C2を形成する板状のインナ部材4bとを有している。アウタ部材4a及びインナ部材4bは、高張力鋼或いは超高張力鋼にて構成されている。
【0029】
アウタ部材4aは、断面略コ字状の本体部と、この本体部の前端部と後端部から前方と後方に夫々延びる前後1対のフランジ部から構成されている。本体部の上段部及び下段部には、フロントドアのドアヒンジを取り付けるため、車幅方向外側に膨出した上下1対のヒンジ取付部4hが夫々形成されている。
【0030】
次に、1対のエプロンレイン5について説明する。
図1に示すように、エプロンレイン5は、ヒンジピラー4の前端部から車両Vの前端部に亙って延びるエプロンレインアウタ部材(以下、レインアウタ部材と略す)5aと、このレインアウタ部材5aの前後方向途中部から車両Vの前端部に亙って延びるエプロンレインインナ部材(以下、レインインナ部材と略す)(図示略)とを有している。
【0031】
レインアウタ部材5aは、高張力鋼にて構成され、アウタ部材4aにカウルサイドレイン8(カウルサイドレインフォースメント)を介して連結されている。
カウルサイドレイン8は、アウタ部材4aに対して上側のヒンジ取付部4hの右端部と部分的に重畳するようにスポット溶接にて接合されると共にフロントピラー9の上辺部分に対して上側を覆うように接合されている。断面略L字状のレインインナ部材は、レインアウタ部材5aの前半部に対応するように設けられ、レインアウタ部材5aと協働して前後に延びる断面略矩形状の閉断面を形成している。
【0032】
次に、1対のサイドシル2について説明する。
図1図4に示すように、サイドシル2は、フロアパネル1の車幅方向両端部に沿って前後に延びるように設けられている。図5図7に示すように、このサイドシル2は、車幅方向内側に開放された断面略ハット状のアウタパネル21と、車幅方向外側に開放された断面略ハット状のインナパネル22と、サイドシル2の前端部を閉塞するキャップ部23等を備えている。
【0033】
アウタパネル21は、断面略コ字状の本体部21aと、この本体部21aの上端部及び下端部から上方及び下方に夫々延びる上下1対のフランジ部21bを備えている。
インナパネル22は、断面略コ字状の本体部22aと、この本体部22aの上端部及び下端部から上方及び下方に夫々延びる上下1対のフランジ部22bを備えている。
アウタパネル21とインナパネル22は、1対のフランジ部21bと1対のフランジ部22bを接合して前後に延びる略矩形状の第1閉断面C1を形成している。1対のフランジ部21bと1対のフランジ部22bは、インナ部材4bを介在させて三重接合されているため、第1閉断面C1の前端部分はインナ部材4bにより車幅方向に2分割される。
【0034】
図3に示すように、アウタパネル21の本体部21aの底壁部には、塗装工程時、第1閉断面C1内に滞留した電着液を抜くため、前後1対の開口21hが形成されている。
本体部21aの縦壁部21sには、車幅方向外側部分に平板状の外側補強部材11がスポット溶接にて接合されている。図1図4に示すように、外側補強部材11は、ヒンジピラー4と略同様の前後寸法を有している。
【0035】
図5図7に示すように、外側補強部材11は、下半部がアウタパネル21に車幅方向外側から接合され、上半部がアウタ部材4aに車幅方向内側から接合されている。
この外側補強部材11の引張強度は、アウタ部材4aの引張強度よりも大きく、インナ部材4bの引張強度よりも小さく設定されている。これにより、外側補強部材11がアウタパネル21とアウタ部材4aの連結強度を高くしているため、アウタパネル21に作用した荷重がアウタ部材4aに能率的に伝達される。
【0036】
図1図4に示すように、アウタパネル21(サイドシル2)の上壁部と縦壁部21sの境界周辺部分において側面視にて緩湾曲状で且つ断面略L字状に形成されたコーナ補強部材12が設けられている。コーナ補強部材12は、ヒンジピラー4の下側部分からサイドシル2とヒンジピラー4の接合部分を経由してアウタパネル21の上壁部に沿って後方に延びるように配置されている。スモールオーバーラップ衝突時、前輪が後退してヒンジピラー4に当接したとき、前輪の更なる後退を抑制する、換言すれば、ヒンジピラー4の後退変形を阻止するためのものである。
【0037】
次に、衝撃エネルギ吸収機構の主要構成の1つである補強部材30について説明する。
図4に示すように、サイドシル2には、前端部分に補強部材30が配設されている。
この補強部材30は、第1閉断面C1内においてインナ部材4bよりも車幅方向外側に配置され、アウタパネル21の本体部21aの底壁部上に重畳された状態でスポット溶接にて接合されている。この補強部材30は、単一の金属製板材をプレス加工することにより一体成形されている。
【0038】
図8図9に示すように、補強部材30は、サイドシル2の前端部分に入力した後方に向かう衝突荷重を正面から支持する前端補強部31と、車幅方向内側後方に向かう衝突荷重がサイドシル2の前端部分に入力したとき、サイドシル2の車幅方向内側後方に向かう変形を許容する変形許容部32と、サイドシル2の車幅方向内側後方に向かう変形の後にサイドシル2の車幅方向内側後方に向かう変形を抑制する変形抑制部33等を主な構成要素としている。補強部材30の引張強度は、インナパネル22の引張強度よりも大きく、アウタパネル21やインナ部材4bの引張強度よりも小さく設定されている。
【0039】
前端補強部31は、補強部材30の前端部分に配置され、平面視にて略矩形状に形成されている。図5に示すように、前端補強部31は、本体部21aの底壁部の車幅方向内側端部から外側方向に略40%程を占有するように配設されている。
図8図9に示すように、前端補強部31には、前後方向に延びる左右1対の第1稜線34aが設けられている。1対の第1稜線34aは、前端補強部31の前端部から前端補強部31の前後方向中間部に亙って形成されている。
【0040】
変形許容部32は、補強部材30の前側部分で且つ車幅方向外側部分に形成されている。
具体的には、変形許容部32は、前端補強部31の車幅方向外側部分に形成された第1切欠部32aと、前端補強部31の車幅方向外側部分で且つ第1切欠部32aの後方に形成された第2切欠部32bとを備えている。
【0041】
変形許容部32に相当する第1,第2切欠部32a,32bは、平面視にて略矩形状に夫々形成され、第1切欠部32aの車幅方向寸法が第2切欠部32bの車幅方向寸法よりも大きくなるように設定されている。これにより、スモールオーバーラップ衝突時、車幅方向内側後方に向かう衝突荷重の車幅方向内側成分の一部をサイドシル2の部分的変形により吸収可能な第1の荷重吸収機能を達成している。
【0042】
変形抑制部33は、第1,第2切欠部32a,32bと補強部材30の境界相当部分に形成されている。図8図9に示すように、第1,第2切欠部32a,32bと補強部材30の境界部分には、車体前後方向に略直交する直線状の第1部分33a及び第3部分33cと、車幅方向に略直交する直線状の第2部分33b及び第4部分33dとが夫々設けられている。第1切欠部32a及び第2部分33bは、第1部分33aよりも前側に形成されており、第2切欠部32b及び第4部分33dは、第3部分33cよりも前側に形成されている。
【0043】
これにより、スモールオーバーラップ衝突時、第1の荷重吸収機能の実行によるサイドシルの部分的変形の後、衝突荷重の車幅方向内側成分の残部を支持可能な第2の荷重吸収機能を達成している。変形抑制部33に相当する第1部分33a及び第3部分33cは、衝突荷重の車幅方向内側成分を剪断荷重として支持している。また、変形抑制部33に相当する第2部分33b及び第4部分33dは、衝突荷重の車幅方向内側成分を直接的な押圧荷重として支持している。
【0044】
図8図9に示すように、補強部材30は、第1部分33aよりも後側で且つ車幅方向外側に車体前後方向に延びる第2稜線34bを有する段差部35と、第3部分33cよりも後側で且つ段差部35の車幅方向外側部分から上方に延びる固定部36等を備えている。
図6に示すように、段差部35は、第1部分33aの車幅方向外側端部から上方に屈曲するように形成され、第2稜線34bから車幅方向外側に延びるように屈曲されている。
【0045】
図7に示すように、固定部36は、第3部分33cの車幅方向外側端部から上方に屈曲するように形成され、外側補強部材11と本体部21aの縦壁部21sを挟んでスポット溶接にて三重接合されている。補強部材30には、本体部21aの底壁部に設けられた前後に並ぶ開口21hに対応するように前後に並ぶ1対の開口部37が形成されている。
【0046】
次に、本発明の実施形態による車両Vの下部車体構造の作用効果について説明する。
本実施形態によれば、補強部材30が、サイドシル2の前端部分に入力した車体後方に向かう衝突荷重を支持する前端補強部31を有するため、車幅方向内側後方に向かう衝突荷重の前後方向後方成分を支持することができ、ヒンジピラー4の車体後方への倒れ込みを抑制することができる。図10の矢印に示すように、スモールオーバーラップ衝突初期、後退してくるホイールWやドライブシャフトD等の車両部材による後退を補強部材30の前端補強部31にて受け止めることができる。尚、符号Bは、バリヤである。
【0047】
補強部材30が、車幅方向内側後方に向かう衝突荷重がサイドシル2の前端部分に入力したとき、サイドシル2の車幅方向内側後方に向かう変形を許容する変形許容部32を有するため、車幅方向内側後方に向かう衝突荷重の車幅方向内側成分の一部をサイドシル2の部分的な変形により吸収することができる。補強部材30が、サイドシル2の車幅方向内側後方に向かう変形の後にサイドシル2の変形を抑制する変形抑制部33を有するため、車幅方向内側後方に向かう衝突荷重の車幅方向内側成分の残部を支持することができ、サイドシル2の内倒れ変形に起因した断面崩れを回避して衝突荷重を車体後方に伝達分散することができる。図11の矢印に示すように、スモールオーバーラップ衝突中期、車幅方向内側に向かうサイドシル2の変形を許容しているため、変形抑制部33に入力する衝突荷重が減少してサイドシル2の内倒れ変形が抑制され、断面崩れに伴うフランジ部21b,22bの破断を回避している。
【0048】
変形許容部32は、補強部材30の車幅方向外側部分を切り欠いた第1,第2切欠部32a,32bによって形成されたため、変形許容部32を簡単な構造で構成することができ、補強部材30の製造コストを廉価にすることができる。
【0049】
変形抑制部33は、車体前後方向に対して略直交する第1部分33a及び第3部分33cと車幅方向に対して略直交する第2部分33b及び第4部分33dとを含むため、変形抑制部33を簡単な構造で構成することができる。
【0050】
変形抑制部33の第1部分33aよりも前側に形成された第1切欠部32aの車幅方向寸法は、変形抑制部33の第1部分33aよりも後側に形成された第2切欠部32bの車幅方向寸法よりも大きく形成されたため、サイドシル2による車幅方向内側後方に向かう変形を円滑に実行することができる。
【0051】
アウタ部材4aとこのアウタ部材4aと協働して上下方向に延びる第2閉断面C2を形成するインナ部材4bとを有するヒンジピラー4を備え、インナ部材4bが、第1閉断面C1を車幅方向内外に区分するようにサイドシル2のアウタパネル21とインナパネル22との間に介装され、補強部材30は、第1閉断面C1のうちインナ部材4bよりも車幅方向外側に配設されたため、補強部材30を小型化することができる。
【0052】
補強部材30は、変形抑制部33の第1部分33aよりも後側で且つ車幅方向外側に前後方向に延びる第2稜線34bを備えた段差部35を有するため、前端補強部31に入力された衝突荷重を第2稜線34bを用いて後方に伝達分散することができる。
【0053】
段差部35の車幅方向外側から上下方向に延びる固定部36を設け、固定部36が本体部21a(アウタパネル21)の縦壁部21sに接合されたため、サイドシル2の内倒れ変形を一層抑制することができる。
【0054】
アウタ部材4aとこのアウタ部材4aと協働して上下方向に延びる閉断面を形成するインナ部材4bとを有するヒンジピラー4を備え、アウタ部材4aを補強すると共にサイドシル2のアウタパネル21に接合された外側補強部材11とを有し、固定部36は、アウタパネル21を介在させて外側補強部材11と三重接合されたため、前端補強部31に入力された衝突荷重を外側補強部材11を用いてアウタ部材4aに伝達分散することができる。
【実施例2】
【0055】
次に、実施例2に係る補強部材30Aついて図12図13に基づいて説明する。尚、実施例1と同様の部材には、同じ符号を付している。
実施例1では、変形抑制部33が、車体前後方向に直交する第1,第3部分33a,33cと、車幅方向に直交する第2,第4部分33b,33dであったのに対し、実施例2では、変形抑制部33Aが、車幅方向内側後方に対して略直交する第5部分33eで構成されている。
【0056】
図12図13に示すように、補強部材30Aは、前端補強部31Aと、車幅方向内側後方に向かう衝突荷重がサイドシル2の前端部分に入力したとき、サイドシル2の車幅方向内側後方に向かう変形を許容する変形許容部32Aと、サイドシル2の車幅方向内側後方に向かう変形の後にサイドシル2の変形を抑制する変形抑制部33A等を主な構成要素としている。
【0057】
前端補強部31Aは、補強部材30Aの前端部分に配置され、平面視にて略台形状に形成されている。変形許容部32Aは、補強部材30Aの前側部分で且つ車幅方向外側部分に形成され、平面視にて略三角形状の第3切欠部32cで構成されている。第3切欠部32cの車幅方向寸法は、車体前後方向前方程大きくなるように形成されている。
変形抑制部33Aは、第3切欠部32cと補強部材30Aの境界相当部分に形成されている。第3切欠部32cと補強部材30Aの境界相当部分には、車体前後方向前方程内側に移行する第5部分33eが設けられている。これにより、補強部材30Aを簡単な構造で構成することができ、サイドシル2による車幅方向内側後方に向かう変形を円滑に実行することができる。
【0058】
次に、前記実施形態を部分的に変更した変形例について説明する。
1〕前記実施形態においては、補強部材30を、第1閉断面C1内において本体部21aの底壁部に重畳するように配設した例について説明したが、補強部材30を、第1閉断面C1内において本体部21aの上壁部に重畳するように配設しても良い。また、第1閉断面C1がインナ部材4bによって内外に区分されていない場合、本体部21a及び本体部22aの底壁部或いは上壁部に重畳するように配設することも可能である。
【0059】
2〕前記実施形態においては、変形許容部32を第1,第2切欠部32a,32bで構成した例について説明したが、変形許容部32は、車幅方向内側後方に向かう衝突荷重の車幅方向内側成分の一部をサイドシル2の部分的変形により吸収できれば良いため、変形許容部を脆弱部で構成しても良い。例えば、変形許容部を剛性の低い別材料で形成しても良く、また、エッチング加工やスリット加工により剛性を低くすることにより構成しても良い。
【0060】
3〕前記実施形態においては、サイドシル2がアウタパネル21とこのアウタパネル21と協働して第1閉断面C1を形成するインナパネル22によって構成された例について説明したが、アルミ合金材料を押出成形することによりサイドシルを単一部材で成形しても良い。
【0061】
4〕その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、前記実施形態に種々の変更を付加した形態や各実施形態を組み合わせた形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態も包含するものである。
【符号の説明】
【0062】
2 サイドシル
4 ヒンジピラー
4a アウタ部材
4b インナ部材
11 外側補強部材
21 アウタパネル
21s 縦壁部
22 インナパネル
30,30A 補強部材
31,31A 前端補強部
32,32A 変形許容部
32a 第1切欠部
32b 第2切欠部
32c 第3切欠部
33,33A 変形抑制部
33a 第1部分
33b 第2部分
33c 第3部分
33d 第4部分
33e 第5部分
34b 第2稜線
35 段差部
36 固定部
V 車両
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13