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特許7473894画像処理方法、画像処理装置及びそのコンピュータプログラム並びにヒトの顔の撮影処理方法及びその装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-16
(45)【発行日】2024-04-24
(54)【発明の名称】画像処理方法、画像処理装置及びそのコンピュータプログラム並びにヒトの顔の撮影処理方法及びその装置
(51)【国際特許分類】
   G06T 11/80 20060101AFI20240417BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20240417BHJP
   G06T 3/18 20240101ALI20240417BHJP
   G06T 3/147 20240101ALI20240417BHJP
【FI】
G06T11/80 A
G06T1/00 340A
G06T3/18
G06T3/147
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2020068715
(22)【出願日】2020-04-07
(65)【公開番号】P2021165917
(43)【公開日】2021-10-14
【審査請求日】2022-11-15
(73)【特許権者】
【識別番号】512256454
【氏名又は名称】KSコンサルタント株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】520078259
【氏名又は名称】AIサポート株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095577
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 富雅
(74)【代理人】
【識別番号】100100424
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 知公
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 博文
(72)【発明者】
【氏名】北岡 茂樹
【審査官】松永 隆志
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-329713(JP,A)
【文献】特開2009-033249(JP,A)
【文献】特開2013-138457(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/213604(US,A1)
【文献】特表2009-533786(JP,A)
【文献】特開2007-156945(JP,A)
【文献】米国特許第8413218(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 1/00-19/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の画像に含まれる顔の領域を第2の画像に含まれる顔の領域に合体させる画像処理方法であって、
前記第1の画像と前記第2の画像とを所定の画像合成方法で処理して第3の画像を生成する第1の生成ステップであって、該第3の画像において前記第1の画像の強度を前記第2の画像より大きくする第1の生成ステップと、
前記第2の画像から所定のルールでレイヤーを形成するレイヤー形成ステップと、
前記第3の画像と前記レイヤーとを所定の方法を用いて画像処理して、前記第3の画像に含まれる顔の領域を前記レイヤーに含まれる顔の領域に合体させて第4の画像を生成する第2の生成ステップと、
を備えてなる画像処理方法。
【請求項2】
前記第1の生成ステップの所定の画像合成方法はワーピング若しくはモーフィングであり、前記第2の生成ステップの所定の方法はアフィン変換を用いた画像処理である、請求項1に記載の画像処理方法。
【請求項3】
前記第1の生成ステップでは、前記第3の画像に現れる前記第1の画像の強度を70~80%とする、請求項2に記載の画像処理方法。
【請求項4】
前記第2の画像の顔の領域の特徴を表現する第2の指標を所定のルールで特定しておき、該第2の指標に基づき前記第1の画像を取得するステップが更に備えられる、請求項1~3の何れかに記載の画像処理方法。
【請求項5】
撮影したヒトの画像を前記所定のルールで処理して、該撮影したヒトの画像の顔の領域の特徴を表現する第1の指標を特定し、
該第1の指標と前記第2の指標とを比較して、両者が近似しているときに、前記撮影したヒトの画像を第1の画像として取得する、請求項4に記載の画像処理方法。
【請求項6】
前記第1の画像としてヒトの画像を採用し、前記第2の画像としてキャラクタの画像を採用する、請求項1~5の何れかに記載の画像処理方法。
【請求項7】
第1の画像に含まれるヒトの顔の領域を第2の画像に含まれるヒトの顔の領域に合体させる画像処理方法であって、
前記第1の画像と前記第2の画像とを所定の画像合成方法で処理して第3の画像を生成する第1の生成ステップであって、該第3の画像において前記第1の画像の強度を前記第2の画像より大きくする第1の生成ステップと、
前記第3の画像と前記第2の画像とを所定の方法用いて画像処理して、前記第3の画像に含まれる顔の領域を前記第2の画像に含まれる顔の領域に合体させて第5の画像を生成する第2の生成ステップと、
を備えてなる画像処理方法。
【請求項8】
前記第1の生成ステップの所定の画像合成方法はワーピング若しくはモーフィングであり、前記第2の生成ステップの所定の方法はアフィン変換を用いた画像処理である、請求項7に記載の画像処理方法。
【請求項9】
前記第1の生成ステップでは、前記第3の画像に現れる前記第1の画像の強度を70~80%とする、請求項8に記載の画像処理方法。
【請求項10】
前記第2の画像のヒト顔の領域の特徴を表現する第2の指標を所定のルールで特定しておき、該第2の指標に基づき前記第1の画像を取得するステップが更に備えられる、請求項7~9の何れかに記載の画像処理方法。
【請求項11】
撮影したヒトの画像を前記所定のルールで処理して、該撮影したヒトの画像の顔の領域の特徴を表現する第1の指標を特定し、
該第1の指標と前記第2の指標とを比較して、両者が近似しているときに、前記撮影したヒトの画像を第1の画像として取得する、請求項10に記載の画像処理方法。
【請求項12】
画像を所定のルールに基づき処理して該画像の特徴を表現する指標を特定する指標特定部と、
ターゲットとなる第2の画像を前記指標特定部で特定された、前記第2の画像の特徴を表現する第2の指標を保存する第2の指標メモリ部と、
画像撮影部と、指標比較部と、第1の指標メモリ部と、第1の画像取得部とを備え、
前記画像撮影部にヒトの画像を撮影させ、
前記指標特定部に、前記撮影されたヒトの画像を前記所定のルールで処理させて第1の指標を特定させ、
前記第1の指標メモリ部に、特定された前記第1の指標を保存させ、
前記指標比較部に、前記第1の指標と前記第2の指標とを比較させ、
前記第1の画像取得部に、前記指標比較部の比較結果に基づき、前記画像撮影部で撮影されたヒトの画像の中から保存すべき第1の画像を取得させる、
ヒトの顔の撮影処理方法。
【請求項13】
第1の画像に含まれる顔の領域を第2の画像に含まれる顔の領域に合体させる画像処理装置であって、
第1の画像を保存する第1のメモリ部と、
第2の画像を保存する第2のメモリ部と、
前記第1の画像と前記第2の画像とを所定の画像合成方法で処理して第3の画像を生成する第1の生成部であって、該第3の画像において前記第1の画像の強度を前記第2の画像より大きくする第1の生成部と、
前記第2の画像から所定のルールで形成されるレイヤーを形成するレイヤー形成部と、
前記第3の画像と前記レイヤーとを所定の方法を用いて画像処理して、前記第3の画像に含まれる顔の領域を前記レイヤーに含まれる顔の領域に合体させて第4の画像を生成する第2の生成部と、
を備えてなる画像処理装置。
【請求項14】
前記第1の生成部の所定の画像合成方法はワーピング若しくはモーフィングであり、前記第2の生成部の所定の方法はアフィン変換を用いた画像処理である、請求項13に記載の画像処理装置。
【請求項15】
第1の画像に含まれるヒトの顔の領域を第2の画像に含まれるヒトの顔の領域に合体させる画像処理装置であって、
第1の画像を保存する第1のメモリ部と、
第2の画像を保存する第2のメモリ部と、
前記第1の画像と前記第2の画像とを所定の画像合成方法で処理して第3の画像を生成する第1の生成部であって、該第3の画像において前記第1の画像の強度を前記第2の画像より大きくする第1の生成部と、
前記第3の画像と前記第2の画像とを所定の方法用いて画像処理して、前記第3の画像に含まれる顔の領域を前記第2の画像に含まれる顔の領域に合体させて第5の画像を生成する第2の生成装置と、
を備えてなる画像処理装置。
【請求項16】
前記第1の生成部の所定の画像合成方法はワーピング若しくはモーフィングであり、前記第2の生成装置の所定の方法はアフィン変換を用いた画像処理である、請求項15に記載の画像処理装置。
【請求項17】
画像を所定のルールに基づき処理して該画像の特徴を表現する指標を特定する指標特定部と、
ターゲットとなる第2の画像を前記指標特定部で特定された、前記第2の画像の特徴を表現する第2の指標を保存する第2の指標メモリ部と、
ヒトの顔を撮影する画像撮影部と、
該画像撮影部で撮影されたヒトの画像について前記指標特定部で特定された第1の指標を保存する第1の指標メモリ部と、
該第2の指標と前記第1の指標とを比較する指標比較部と、
該指標比較部による比較結果に基づき、前記画像撮影部で撮影されたヒトの画像の中から保存すべき第1の画像を取得する第1の画像取得部と、
を備えているヒトの顔の撮影処理装置。
【請求項18】
第1の画像を保存する第1のメモリ部と、
第2の画像を保存する第2のメモリ部と、
第1の生成部と、レイヤー形成部と、第2の生成部とを備えてなり、第1の画像に含まれる顔の領域を第2の画像に含まれる顔の領域に合体させる画像処理装置を動作させるコンピュータ用のプログラムであって、
前記第1の生成部に、前記第1のメモリ部から前記第1の画像を読み込ませ、前記第2のメモリ部から前記第2の画像を読み込ませ、前記第1の画像と前記第2の画像とを所定の画像合成方法で処理して第3の画像を生成させ、ここに、該第3の画像において前記第1の画像の強度を前記第2の画像より大きくし、
前記レイヤー形成部に、前記第2の画像から所定のルールでレイヤーを形成させ、
前記第2の生成部に、前記第3の画像と前記レイヤーとを所定の方法を用いて画像処理して、前記第3の画像に含まれる顔の領域を前記レイヤーに含まれる顔の領域に合体させて第4の画像を生成させる、
プログラム。
【請求項19】
前記第1の生成部で用いられる前記所定の画像合成方法はワーピング若しくはモーフィングであり、前記第2の生成部で用いられる所定の方法はアフィン変換を用いた画像処理である、請求項18に記載のプログラム。
【請求項20】
第1の画像を保存する第1のメモリ部と、
第2の画像を保存する第2のメモリ部と、
第1の生成部と、レイヤー形成部と、第2の生成部とを備えてなり、第1の画像に含まれるヒト顔の領域を第2の画像に含まれるヒトの顔の領域に合体させる画像処理装置を動作させるコンピュータ用のプログラムであって、
前記第1の生成部に、前記第1のメモリ部から前記第1の画像を読み込ませ、前記第2のメモリ部から前記第2の画像を読み込ませ、前記第1の画像と前記第2の画像とを所定の画像合成方法で処理して第3の画像を生成させ、ここに、該第3の画像において前記第1の画像の強度を前記第2の画像より大きくし、
前記第2の生成部に、前記第3の画像と前記第2の画像とを所定の方法を用いて画像処理して、前記第3の画像に含まれる顔の領域を前記第2の画像に含まれる顔の領域に合体させて第5の画像を生成させる、
プログラム。
【請求項21】
前記第1の生成部で用いられる前記所定の画像合成方法はワーピング若しくはモーフィングであり、前記第2の生成部で用いられる所定の方法はアフィン変換を用いた画像処理である、請求項20に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像処理方法、画像処理装置及びそのコンピュータプログラム並びにヒトの顔の撮影処理方法及びその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ゲームの利用者がよりゲームを楽しみ、かつゲームと一体感を持てるように、ゲームの利用者の顔をゲームのキャラクタの顔へ合体させることが望まれている。
そのため、ヒトの画像(ソース画像)の顔の領域をキャラクタの画像(ターゲット画像)の顔の領域に合体させる方法が、下記のURLに提案されている。
https://matthewearl.github.io/2015/07/28/switching-eds-with-python/
かかる画像処理方法では、dlibその他のライブラリィを用いた処理でソース画像及びターゲット画像の顔の領域のlandmarks(顔の64の特徴点)を抽出し、抽出した顔の64の特徴点を下記式に代入してアフィン変換を行う。
【数1】
ソース画像からlandmarksを抽出した領域を切り抜いて、それとターゲット画像において対応する顔の領域とを、色情報を加味して合体させる。これにより、ソース画像の顔の領域がターゲット画像の顔の領域に合体される。
また、本願発明に関連する技術を開示する文献として、特許文献1を参照されたい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許5976103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
アフィン変換を用いた上記の画像処理を用いれば、ゲーム利用者の画像(ソース画像)の顔の領域をキャラクタの画像(ターゲット画像)の顔の領域へ合体させられる。しかしながら、キャラクタの顔における各部位の比率がヒトの顔のそれと極端に異なるものであったとき、アフィン変換を用いた上記画像処理で合体された顔の領域には不自然さが残ることがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記のようにして合体された顔の領域の画像から不自然さを取り除くべく、鋭意検討を重ねてきた。
その結果、アフィン変換を用いた画像処理により顔の領域の画像を合体させる際に、ソース画像とターゲット画像とを前処理しておくことに気が付いた。そして、ソース画像(第1の画像)とターゲット画像(第2の画像)とをワーピング若しくはモーフィングしてそれらの中間合成画像(第3の画像)を生成し、このように生成された中間合成画像(第3の画像)とターゲット画像から得たレイヤーとを上記アフィン変換を用いた画像処理の対象とする。上記中間合成画像(第3の画像)には、ソース画像(第1の画像)の影響がターゲット画像(第2の画像)のそれより強く反映されるようにする。ここに、ターゲット画像(第2の画像)から形成されたレイヤーにはターゲット画像(第2の画像)の影響のみが反映されているので、当該レイヤーとソース画像(第1の画像)の影響が色濃い中間合成画像(第3の画像)とをアフィン変換を用いた画像処理の対象としたとき、得られた完成画像(第4の画像)の顔の領域にはソース画像及びターゲット画像の影響が融合されて現れ、そこからは不自然さが取り除かれている。
【0006】
以上より、この発明の第1の局面は次のように規定される。
第1の画像に含まれる顔の領域を第2の画像に含まれる顔の領域に合体させる画像処理方法あって、
前記第1の画像と前記第2の画像とをワーピング若しくはモーフィングして第3の画像を生成する第1の生成ステップであって、該第3の画像において前記第1の画像の強度を前記第2の画像より大きくし、
前記第2の画像から所定のルールに基づきレイヤーを形成するレイヤー形成ステップと、
前記第3の画像と前記レイヤーとをアフィン変換を用いた画像処理の対象として、前記第3の画像に含まれる顔の領域を前記レイヤーに含まれる顔の領域に合体させて第4の画像を生成する第2の生成ステップと、
を備えてなる画像処理方法。
上記において、第1の画像はヒトを対象とし、第2の画像はゲーム等のキャラクトを対象とすることができる。
第3の画像に現れる前記第1の画像の強度は70~80%とすることが好ましい。
【0007】
ターゲット画像(第2の画像)としてキャラクを採用するときは、上記のように、アフィン変換を用いた画像処理の対象としてレイヤーと上記中間合成画像(第3の画像)とを採用することにより、たとえ、ターゲット画像の顔の領域を構成する各部位の比率とソース画像の顔の領域のそれとが大きく異なっていても、得られる完成画像(第4の画像)の顔の領域は自然なものとなった。
本発明者の検討によれば、ソース画像(第1の画像)とターゲット画像(第2の画像)として共にヒトの画像を採用したときは、前処理として上記中間合成画像(第3の画像)を作成し、これとターゲット画像(第2の画像)とをアフィン変換を用いた画像処理の対象とすることにより得られた完成画像(第5の画像)の顔の領域が自然なものとなった。
換言すれば、第1の局面と比べて、レイヤーの作成が省略できる。
【0008】
よって、この発明の第2の局面は次のように規定される。
第1の画像に含まれるヒトの顔の領域を第2の画像に含まれるヒトの顔の領域に合体させる画像処理方法あって、
前記第1の画像と前記第2の画像とをワーピング若しくはモーフィングして第3の画像を生成する第1の生成ステップであって、該第3の画像において前記第1の画像の強度を前記第2の画像より大きくし、
前記第3の画像と前記第2の画像とをアフィン変換を用いて画像処理して、前記第3の画像に含まれる顔の領域を前記第2の画像に含まれる顔の領域に合体させて第5の画像を生成する第2の生成ステップと、
を備えてなる画像処理方法。
ここにおいて、第3の画像に現れる前記第2の画像の強度は70~80%とすることが好ましい。
【0009】
上記各局面では、第1の生成ステップにおいてワーピング若しくはモーフィングの手法を採用して第3の画像を生成していたが、同様の他の方法の採用を妨げるものではない。また、第2の生成ステップにおいてはアフィン変換を用いた画像処理を採用していたが、ソース画像の顔の領域をターゲット画像の顔の領域へ合体させることができるのであれば、他の方法の採用を妨げるものではない。
上記の説明を敷衍すれば、この発明の第3の局面は次のように規定できる。
第1の画像に含まれる顔の領域を第2の画像に含まれる顔の領域に合体させる画像処理方法あって、
前記第1の画像と前記第2の画像とを所定の画像合成方法で処理して第3の画像を生成する第1の生成ステップであって、該第3の画像において前記第1の画像の強度を前記第2の画像より大きくし、
前記第2の画像から所定のルールで形成されるレイヤーを形成するレイヤー形成ステップと、
前記第3の画像と前記レイヤーとを所定の方法を用いて画像処理して、前記第3の画像に含まれる顔の領域を前記レイヤーに含まれる顔の領域に合体させて第4の画像を生成する第2の生成ステップと、
を備えてなる画像処理方法。
【0010】
同様にこの発明の第4の局面は次のように規定できる。
第1の画像に含まれるヒトの顔の領域を第2の画像に含まれるヒトの顔の領域に合体させる画像処理方法あって、
前記第1の画像と前記第2の画像とを所定の画像合成方法で処理して第3の画像を生成する第1の生成ステップであって、該第3の画像において前記第1の画像の強度を前記第2の画像より大きくし、
前記第3の画像と前記第2の画像とを所定の方法用いて画像処理して、前記第3の画像に含まれる顔の領域を前記第2の画像に含まれる顔の領域に合体させて第5の画像を生成する第2の生成ステップと、
を備えてなる画像処理方法。
【0011】
この発明の第5の局面は次のように規定される。即ち、
第1~4の何れか局面に規定の画像処理方法において、前記第2の画像の顔の領域の特徴を表現する第2の指標を所定のルールで特定しておき、
該第2の指標に基づき前記第1の画像を取得する。
このように規定される第5の局面の画像処理方法によれば、第2の画像の顔の領域の特徴に合わせて第1の画像が取得されるので、両者を合体処理が容易になる。
【0012】
上記において、第2の画像をターゲット画像とし、第1の画像をソース画像としてヒトの画像を採用するとき、第2の画像に含まれる顔の領域の特徴に合わせてヒトの顔を撮影することが好ましい。
よって、この発明の第6の局面は次のように規定される。即ち、
第5の局面に規定の画像処理方法において、撮影したヒトの画像を前記所定のルールで処理して、該撮影したヒトの画像の顔の領域の特徴を表現する第1の指標を特定し、
該第1の指標と前記第2の指標とを比較して、両者が近似しているときに、前記撮影したヒトの画像を第1の画像として取得する。
以上、各局面において、第1の画像としてヒトの画像を採用し、第2の画像としてキャラクタの画像を採用することができる(第7の局面)。
【0013】
以下、既述の第1及び第2の局面に規定の処理方法は、画像処理装置として把握することもできる。即ち、この発明の第8の局面は次のように規定される。
第1の画像を保存する第1のメモリ部と、
第2の画像を保存する第2のメモリ部と、
第1の画像と第2の画像とをワーピング若しくはモーフィングして第3の画像を生成する第1の生成部であって、該第3の画像において前記第1の画像の強度を前記第2の画像の強度より大きくする第1の生成部と、
前記第2の画像から所定のルールに基づきレイヤーを形成するレイヤー形成部と、
前記第3の画像と前記レイヤーとをアフィン変換を用いた画像処理の対象として、前記第3の画像に含まれる顔の領域を前記レイヤーに含まれる顔の領域に合体させて第4の画像を生成する第2の生成部と、
を備えてなる画像処理装置。
【0014】
この発明の第9の局面は次のように規定される。
第1の画像を保存する第1のメモリ部と、
第2の画像を保存する第2のメモリ部と、
第1の画像と第2の画像とをワーピング若しくはモーフィングして第3の画像を生成する第1の生成部であって、該第3の画像において前記第1の画像の強度を前記第2の画像の強度より大きくする第1の生成部と、
前記第3の画像と前記第2の画像とをアフィン変換を用いた画像処理の対象として、前記第3の画像に含まれる顔の領域を前記第2の画像に含まれる顔の領域に合体させて第5の画像を生成する第2の生成部と、
を備えてなる画像処理装置。
【0015】
この発明は、また、コンピュータ用のプログラムとしても把握することができる。即ち、この発明の第10の局面は次のように規定される。
第1の画像を保存する第1のメモリ部と、
第2の画像を保存する第2のメモリ部と、
第1の生成部と、レイヤー形成部と、第2の生成部とを備えてなる、画像処理装置を動作させるコンピュータ用のプログラムであって、
前記第1の生成部に、前記第1のメモリ部から前記第1の画像を読み込ませ、前記第2のメモリ部から前記第2の画像を読み込ませ、前記第1の画像と第2の画像とをワーピングして第3の画像を生成させ、第3の画像において前記第1の画像の強度を前記第2の画像の強度より大きくする、
前記レイヤー形成部に、前記第2の画像から所定のルールに基づきレイヤーを形成させ、
前記第2の生成部に、前記第3の画像と前記レイヤーとをアフィン変換を用いた画像処理の対象として、前記第3の画像に含まれる顔の領域を前記レイヤーに含まれる顔の領域に合体させて第4の画像を生成させる、
プログラム。
【0016】
この発明の第11の局面は次のように規定される。即ち、
第1の画像を保存する第1のメモリ部と、
第2の画像を保存する第2のメモリ部と、
第1の生成部、及び第2の生成部を備えてなる、画像処理装置を動作させるコンピュータ用のプログラムであって、
前記第1の生成部に、前記第1のメモリ部から前記第1の画像を読み込ませ、前記第2のメモリ部から前記第2の画像を読み込ませ、前記第1の画像と第2の画像とをワーピングして第3の画像を生成させ、第3の画像において前記第1の画像の強度を前記第2の画像の強度より大きくする、
前記第2の生成部に、前記第3の画像と前記第2の画像をアフィン変換を用いた画像処理の対象として、前記第3の画像に含まれる第3の顔の領域を前記第2の画像に含まれる顔の領域に合体させて第5の画像を生成させる、
プログラム。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1はこの発明の画像処理装置の構成を示すブロック図である。
図2図2は同じく画像処理装置の第2の入力部の構成を示すブロック図である。
図3図3は同じく画像処理装置として機能するコンピュータ装置のハード構成を示すブロック図である。
図4図4は同じく画像処理装置の動作を示すフローチャートである。
図5図5は他の実施の形態の画像処理装置の構成を示すブロック図である。
図6図6は同じく他の実施の形態の画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明の実施の形態について説明する。
図1にこの発明の実施の形態の画像処理装置1の機能ブロック図を示す。
この画像処理装置1の第1の入力部11から第1の画像が入力されて第1のメモリ部21に保存される。第2の入力部12から第2の画像が入力されて第2のメモリ部22に保存される。
第2のメモリ部22に保存されている第2の画像からレイヤー形成部31によりレイヤーが形成される。ここにレイヤーとは、例えば、第2の画像の顔の領域であって、所定の部位、例えば目、鼻、口などを除去したものの画像である。レイヤーは任意に作成できるが、ヒトがヒトの顔を認識するに当たり強く印象を受ける部位を削除もしくは変形したものであって、削除若しくは変形前の顔のイメージの特徴が残されたものを指す。
【0019】
第1の生成部32は、第1のメモリ部21から第1の画像を読み出し、かつ第2のメモリ部22から第2の画像を読み出して、両者をモーフィングさせる。モーフィングには周知の手法を採用できる。例えば、下記のWebサイトで紹介されている手法を用いることができる。

https://matthewearl.github.io/2015/07/28/switching-eds-with-python/

なお、色を処理の対象としないときは、いわゆるワーピングの手法を採用できる。
【0020】
本願発明では、モーフィングを実行する際、第1の画像の影響が強く表れるようにする。
例えば、ターゲット画像である第2の画像としてキャラクタの画像を採用し、ソース画像である第1の画像をとしてヒトの画像を採用したとき、第1の画像の強度は70~80%とすることが好ましい。
第1の画像と第2の画像との形状の差に応じてこの強度は任意に設定可能である。
【0021】
第1の生成部32により生成された第3の画像は、第2の生成部41においてレイヤーと合体される。これにより完成画像(第4の画像)が生成される。
本願発明では、当該合体の方法として、従来周知のアフィン変換を用いた画像処理を採用した。即ち、第3の画像とレイヤーとがアフィン変換を用いた画像処理の対象とされ、もって、第3の画像の顔の領域がそれに対応するレイヤーの顔の領域に合体される。
このようにして生成された第4の画像は出力部41から出力される。
【0022】
図2には、第1の入力部11の詳細を示す。
第1の入力部11はカメラ部120と画像選択部124とを備えてなる。
カメラ部120は画像を撮影するCCD121と、撮影された画像を保存する画像メモリ122を備える。カメラ部120にはスマートフォンやPCに付属のカメラやデジタルカメラを用いることができる。
画像選択部124はクラウドサーバがその機能を奏する。カメラ部110と画像選択部124とはインターネットで繋がれている。指標特定部1241は所定のルールに基づき撮影した画像を処理して、処理した画像の特徴を表現する指標を特定する。
ヒトの顔はそのカメラに対する角度により輪郭が大きく異なるので、カメラに対する人の角度を上記特徴とすることができる。より具体的には、下記のWebサイトで紹介されるHead-pose-estimationの手法を利用することができる。

https://www.itd-blog.jp/entry/peep-prevention-1
【0023】
指標特定部1241はカメラ部120のイメージメモリ122に保存されているヒトの画像を読み出して、その顔の特徴を表す指標を特定する。図2の例では、ヒトの顔のランドマークを形成して(図2B参照)、これから顔の方向を特定するベクトルが形成され、これを指標とする。
このようにして特定された指標を第1の指標として第1の指標メモリ部1245に保存する。
指標比較部1248は第1の指標メモリ部1245から上記のようにして特定された第1の指標を読み出し、同じく第2の指標メモリ部1246から予め求めておいた第2の指標を読み出し、両者を比較する。なお、この第2の指標は第2の画像(ターゲット画像)の顔の方向を特定するベクトルであって、予め保存されている。
比較の結果、第1の指標が第2の指標に近似しているとき、撮影された画像を第1の画像として取得して、第1のメモリ部に書き込む。
この指標比較部が画像取得部として機能する。
【0024】
第1の指標と第2の指標が近似していることは、第1の画像と第2の画像とはカメラに対する角度が近似していることを意味するので、第1の生成部22におけるモーフィング処理が容易になる。
上記において、第1の指標と第2の指標の近似の度合い、換言すれば両者が近似しているか近似していないかのしきい値は任意に設定できる。例えば、カメラに対する角度の差を、上下左右に於いて±5度以内にすることができる。
また、カメラ120において、CCD121からイメージメモリ122に書き込まれた撮影イメージを指標特定部1241でリアルタイム処理してもよいし、イメージメモリ122に予め保存されていた複数の撮影イメージを指標特定部1241でバッチ処理して、第1の指標に最も近い指標を示す撮影イメージを選択することもできる。
【0025】
図3に画像処理装置1のハード構成を示す。
演算部300はCPU301、ROM303及びRAM305を備え、システム全体の制御をつかさどる。それとともに、レイヤー形成部31、第1の生成部32、第2の生成部41として機能する。ROM303は、演算部300を制御する制御プログラム等が格納された不揮発性メモリである。RAM305は、キーボード等の入力装置330を介して利用者により予め設定された各種設定値を読み出し可能に格納したり、CPU301に対してワーキングエリアを提供したりする。入力装置330は第1の入力部11及び第2の入力部12として機能する。演算部300を制御する制御プログラムはROM303に限らずRAM305や第1記憶装置340に格納されていてもよい。
【0026】
第1記憶装置340は第1のメモリ部11及び第2のメモリ部12として機能する。
第1記憶装置はハードメモリやフラッシュメモリなど、サーバシステムのメモリ装置の一部の領域を利用することが好ましい。
【0027】
データを一時的に保存する、いわゆるバッファメモリには、演算部のRAMの一部領域を利用できる。
出力装置320はディスプレイやプリンタであり、第4の画像(完成画像)を可視化する。入力装置330は音声入力部や、ディスプレイに重ねて配置されるタッチパネル式のキーボートやマウスなどが該当する。
コンピュータを構成する各装置はシステムバス370で連結されている。
【0028】
次に、この画像処理装置の動作について図4のフローチャートを参照しながら説明する。
ステップ1では、第2の画像を指定する。この例では、第2の画像としてキャラクタの画像を採用した。
そして、この第2の画像を、第2の入力部12を介して第2のメモリ部22に保存する。レイヤー形成部31は第2の画像から目、鼻及び口の部分を除去したレイヤーを形成する。更に、指標特定部1241の機能を利用して第1の画像についての第1の指標を特定して、第2の指標メモリ部1246に保存する。
【0029】
ステップ3では、ヒトの顔の写真を撮影する。撮影された写真は、指標特定部1241で処理されてその特徴を表現する指標(第1の指標)が特定される(ステップ5)。
ステップ7では、この第1の指標が第2の指標と比較されて、両者が近似していないとき(ステップ7:NO)、撮影が繰り返される。第1の指標が第2の指標に近似しているとき(ステップ7:YES)、ステップ9に進んで、撮影された画像は第1の画像として第2のメモリ部12へ書き込まれる。このとき、撮影された画像において不要な部分はトリミングすることができる。
【0030】
ステップ11では、第1の生成部32により、第1のメモリ部11に書き込まれたヒトを対象とした第1の画像と第2のメモリ部12に保存されているキャラクタの画像とが合成される。合成の方法としてモーフィングを用いた。第1の画像の強度を75%とした例(第3の画像、中間合成画像)が図4においてステップ11の横に示されている。
【0031】
ステップ13では第3の画像とレイヤーとを、アフィン変換を用いた画像処理の対象とし、第3の画像の顔の領域をレイヤーにおいて対応する領域に合体させる。これにより、完成画像(第4の画像)が得られる。
第1の画像と第2の画像を対象として、アフィン変換を用いた画像処理を実行して得られた画像を比較例1として示している。比較例2の画像は、アフィン変換を用いた画像処理の対象としてレイヤーと第1の画像を用いたときの例である。比較例2では顔を構成する目などの各部位に不自然な位置づれがみられる。
【0032】
図5には、他の実施の形態の画像処理装置101を示す。なお、図1の装置と同一の動作を奏する要素には、同一の符号を付してその説明を省略する。
図5に示す画像処理装置101は図1の画像処理装置1からレイヤー形成部31を省略したものである。
図5の画像処理装置101の動作を示すフローチャートを図6に示す。なお、図4のフローチャートと同様の処理が実行されるステップには、同一の符号を付してその説明を省略する。
図5の画像処理装置101はソース画像(第1の画像)及びターゲット画像(第2の画像)としてともにヒトの画像を採用したときに好適に用いられる。
【0033】
この例では、ステップ第113において、第3の画像と第2の画像と対象として、アフィン変換を用いた画像処理を実行して、第5の画像(完成画像を得る)。
比較例3は第1の画像と第2の画像とを対象としてアフィン変換を用いた画像処理を実行して得られた画像である。
【0034】
本発明の技術的範囲は、発明の詳細な説明の記載及び図面に限定されるものではなく、明細書の記載及び/又は図面を見た当業者が通常に把握できる範囲まで及ぶものである。
【符号の説明】
【0035】
1、101…画像処理装置
11…第1のメモリ部
12…第2のメモリ部
31…レイヤー形成部
32…第1の生成部
41…第2の生成部
1241…指標特定部
1248…指標比較部
図1
図2
図3
図4
図5
図6