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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-16
(45)【発行日】2024-04-24
(54)【発明の名称】エネルギー管理装置
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/418 20060101AFI20240417BHJP
   B21B 37/00 20060101ALI20240417BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
B21B37/00 300
B21B37/00 241
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020205880
(22)【出願日】2020-12-11
(65)【公開番号】P2022092898
(43)【公開日】2022-06-23
【審査請求日】2023-02-06
(73)【特許権者】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】株式会社TMEIC
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100172188
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 敬人
(72)【発明者】
【氏名】陸 子俊
(72)【発明者】
【氏名】尾坂 侑香
【審査官】豊島 唯
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-106425(JP,A)
【文献】特開2010-067114(JP,A)
【文献】特開2005-031743(JP,A)
【文献】特開2004-183007(JP,A)
【文献】特開2010-250383(JP,A)
【文献】特開2019-021211(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21B 37/00
G05B 19/418
G06Q 50/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラッキングシステムによってあらかじめ設定された第1サブゾーンの進入時刻および退出時刻の情報を含み、1つの製品識別番号に紐づけられた第1トラッキング信号を受信し、前記トラッキングシステムによってあらかじめ設定された第2サブゾーンの進入時刻および退出時刻の情報を含み、前記1つの製品識別番号に紐づけられた第2トラッキング信号を受信し、前記1つの製品識別番号に紐づけられた製品情報を上位計算機システムから収集し、前記第1サブゾーンに配置された第1機器および前記第2サブゾーンに配置された第2機器の消費エネルギーを算出するための時系列の第1データをプロセスコントローラから収集するデータ収集部と、
前記製品情報を前記1つの製品識別番号を介して前記第1トラッキング信号および前記第2トラッキング信号それぞれ紐づけるトラッキング処理部と、
前記第1データにもとづいて、前記第1機器および前記第2機器の消費エネルギーを計算する電力消費量計算部と、
前記第1機器および前記第2機器の消費エネルギーを前記第1トラッキング信号および前記第2トラッキング信号それぞれ紐づける製品原単位計算部と、
を備え、
前記第1機器および前記第2機器は、前記第1サブゾーンおよび前記第2サブゾーンに共通する第1エネルギー供給源からエネルギーを供給されて動作するエネルギー管理装置。
【請求項2】
前記トラッキング処理部は、前記第1トラッキング信号および前記第2トラッキング信号が前記第1サブゾーンおよび前記第2サブゾーンで重複してアクティブとなる場合に、前記第2トラッキング信号がアクティブである期間から前記第1トラッキング信号がアクティブである期間と重複する期間非アクティブにして第3トラッキング信号を生成し、
前記製品原単位計算部は、前記第1データを前記第3トラッキング信号に紐づけることを特徴とする請求項1記載のエネルギー管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、一定量の生産物を生産するために必要とされる電力消費量や燃料等の製品原単位を算出し、管理するエネルギー管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
製品を製造するラインにおいては、省エネルギー推進の観点からエネルギーの可視化は重要である。エネルギーの可視化には、単純に数値の時系列推移を表示する方法の他に、製造される製品単位で、エネルギー消費量を表示させる方法がある。前者は、電力計や流量計といった計測器から出力される値をそのまま、あるいはスケーリングを調整して画面に表示する。一方、後者の場合には、製造された製品の識別番号と、その製品を製造に消費されたエネルギーのデータを紐づける処理が必要となる。
【0003】
製造された製品にはすべて、個体を識別する製品識別番号(以下、製品ID)が紐づけられている。また、製造ラインでは、製造途中の材料が製造ラインのどの位置にあるかを追跡するためにトラッキングシステムが導入され、トラッキングシステムは、常にトラッキング信号によって材料の位置を監視している。
【0004】
トラッキングシステムが導入された製造ラインでは、その製造ラインを複数のゾーンに分割し、管理することができ、トラッキング信号は、「ある製品が、あるゾーンに進入し、退出したこと示す信号」ということができる。製品の製造に使用した電動機や電気機器、またその上位フィーダの情報をトラッキング信号に適切に紐づけることで、電動機等のエネルギー消費量を製品IDと紐づけることができる。
【0005】
圧延ラインにおいて、電動機等の消費電力に関するデータを時系列で収集し、そのデータを製品の製品IDや材質、幅、長さといった製品情報に関連付け、製品ごとに各ゾーンにおけるエネルギー消費量を計算して結果を表示する技術が知られている(たとえば、特許文献1)。
【0006】
電動機や機器等で発生した電力消費量をどのように計算するかや、電動機等の機器の情報をどのようにトラッキング信号に紐づけるかについては、正確な製品原単位の計算では、重要である。電力消費量の計算に当たっては、電動機を駆動するインバータ等のように装置単位でデータの収集が可能なものばかりでなく、電力の受電点であるフィーダや複数のフィーダを束ねる上位フィーダ単位でのデータ収集しかできない場合も少なくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2018-202475号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の実施形態は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、既存のトラッキングシステムを用いて、製品IDごとに正確で詳細な製品原単位を計算するエネルギー管理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施形態に係るエネルギー管理装置は、トラッキングシステムによってあらかじめ設定された第1サブゾーンの進入時刻および退出時刻の情報を含み、1つの製品識別番号に紐づけられた第1トラッキング信号を受信し、前記トラッキングシステムによってあらかじめ設定された第2サブゾーンの進入時刻および退出時刻の情報を含み、前記1つの製品識別番号に紐づけられた第2トラッキング信号を受信し、前記1つの製品識別番号に紐づけられた製品情報を上位計算機システムから収集し、前記第1サブゾーンに配置された第1機器および前記第2サブゾーンに配置された第2機器の消費エネルギーを算出するための時系列の第1データをプロセスコントローラから収集するデータ収集部と、前記製品情報を前記1つの製品識別番号を介して前記第1トラッキング信号および前記第2トラッキング信号それぞれ紐づけるトラッキング処理部と、前記第1データにもとづいて、前記第1機器および前記第2機器の消費エネルギーを計算する電力消費量計算部と、前記第1機器および前記第2機器の消費エネルギーを前記第1トラッキング信号および前記第2トラッキング信号それぞれ紐づける製品原単位計算部と、を備える。前記第1機器および前記第2機器は、前記第1サブゾーンおよび前記第2サブゾーンに共通する第1エネルギー供給源からエネルギーを供給されて動作する。
【発明の効果】
【0010】
本実施形態では、既存のトラッキングシステムを用いて、製品IDごとに正確で詳細な製品原単位を算出するエネルギー管理装置が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係るエネルギー管理装置を例示する模式的なブロック図である。
図2】熱間圧延ラインを例示する模式的な構成図である。
図3図2の熱間圧延ラインを複数のゾーンで分割した様子と、さらに細分化されたサブゾーンによる区分の例である。
図4】サブゾーンごとに設定されているトラッキング信号の例である。
図5】実施形態のエネルギー管理装置を含む熱間圧延制御システムを例示する模式的なブロック線図である。
図6】トラッキングシステムにおけるサブゾーンの区分の一例を示す模式図である。
図7】エネルギーアイテムのデータにトラッキング信号を適用して、エネルギーアイテムのデータを製品IDに紐づける方法を示す模式的な動作波形図である。
図8】1つの製品IDを有する製品が複数のサブゾーンに同時に存在する場合のトラッキング信号と、サブゾーンごとに加工処理した新たなトラッキング信号の例である。
図9】製品ごとに各ゾーンで消費した電力量の表示例である。
図10】製品ごとに各ゾーンで消費した電力量の表示例である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して詳細な説明を適宜省略する。
【0013】
図1は、実施形態に係るエネルギー管理装置を例示する模式的なブロック図である。
図1に示すように、実施形態のエネルギー管理装置10は、データ収集部11と、トラッキング処理部12と、電力消費量計算部13と、製品原単位計算部14と、表示部15と、を備える。エネルギー管理装置10は、トラッキングシステム20、上位計算機30およびリモートIOシステム40に接続されている。
以下では、主として、熱間圧延ラインの場合について説明するが、本発明の実施形態は、熱間圧延ラインに限らず、すべての製品をトラッキング信号により追跡しており、かつ製品ごとに識別IDや製品幅、製品の厚みといった製品情報を一元管理しているような他の製造プロセスに適用できる。
また、以下では、エネルギーという場合には、電力によるエネルギー、すなわち電力消費量[単位:kWh]を扱うものとするが、電力消費量の計算に変えて、コークスや重油等の燃料の消費量や冷却等に用いる水の消費量[単位:リットル]等にも適用することができる。
【0014】
データ収集部11は、トラッキングシステム20、上位計算機30およびリモートIOシステム40に接続されている。データ収集部11は、トラッキングシステム20からトラッキングデータを収集する。トラッキングデータは、製品IDに紐づけられたトラッキング信号を含むデータである。トラッキング信号は、製品IDを有する材が、後述する1つ以上のサブゾーンに進入した時刻およびサブゾーンから退出した時刻を提供する。トラッキングデータでは、サブゾーンが複数存在する場合には、すべてのサブゾーンの進入時刻および退出時刻は、製品IDに紐づけられている。トラッキングデータは、製造した製品が複数ある場合には、すべての製品の製品IDおよびサブゾーンに対応するトラッキング信号を含むデータである。
【0015】
データ収集部11は、上位計算機30から製品情報を収集する。製品情報は、製品IDに、その材の鋼種や厚み、長さ、重量等の製品の属性等に関する情報を紐づけた情報である。圧延ラインを構成するシステムによっては、製品情報の一部または全部をプログラマブルロジックコントローラ(PLC)等のプロセスコントローラによって管理している場合があり、そのような場合には、データ収集部11は、PLCからも製品情報を収集する。この場合には、上位計算機30およびPLCを上位計算システムと総称する。
【0016】
データ収集部11は、リモートIOシステム40からフィーダ出力のデータを収集する。フィーダとは、電動機等の電力供給のための受電点であり、フィーダ出力のデータとは、フィーダに設けられた電力計等の計器が出力する時系列のデータである。フィーダ出力のデータには、リモートIOシステム40に接続されている電動機等を動作させるための系統の電流や電圧等のデータを含んでいる。圧延ラインを構成するシステムによっては、PLCが電動機等の電力消費量を計算するためのデータを提供する場合がある。その場合には、データ収集部11は、フィーダ出力に代えて、PLCから電力量等のデータを収集する。なお、リモートIOシステム40およびPLCをプロセスコントローラと総称する。
【0017】
トラッキング処理部12は、データ収集部11によって収集されたトラッキングデータおよび製品情報を入力する。トラッキング処理部12は、トラッキング信号を加工処理し、製品情報に紐づけて新たなトラッキング信号を生成する。トラッキング処理部12では、加工処理された新たなトラッキング信号と製品情報との紐づけは、製品IDに、これらの情報を紐づけることにより実行される。トラッキング信号の加工処理の詳細については、後述する図8に関連して説明する。
【0018】
電力消費量計算部13は、データ収集部11によって収集されたフィーダ出力のデータを入力する。電力消費量計算部13は、フィーダごとにそのフィーダに接続されている単体の電動機や電動機群の消費電力を計算する。電力消費量計算部13は、PLCからも電力消費量の計算のためのデータを収集する場合には、PLCによって制御されている電動機の消費電力を、たとえば電動機のドライブ装置ごとに計算する。
【0019】
製品原単位計算部14は、トラッキング処理部12によって生成された新たなトラッキング信号および電力消費量計算部13によって計算された電力消費量を、製品IDに紐づける。製品原単位計算部14では、製品IDに新たなトラッキング信号が紐づけられており、新たなトラッキング信号は、その製品IDを有する製品がサブゾーンに存在することを表している。そのため、フィーダ出力およびドライブ装置ごとの電力消費量のデータは、サブゾーンごとに製品IDに紐づけられる。
【0020】
表示部15は、製品原単位計算部14によって計算された電力消費量を所望の条件にしたがって抽出されたデータとして表示する出力インタフェースを提供する。後述するように、表示部15は、画像表示装置によるグラフやテキストデータ等を選択的に表示し、出力することができる。
【0021】
図2は、熱間圧延ラインを例示する模式的な構成図である。
図2に示すように、熱間圧延システム1は、加熱炉2と、粗圧延前スケール除去装置(Hydraulic Scale Breaker、HSB)3と、粗圧延機4と、仕上圧延前スケール除去装置(Finishing Scale Breaker、FSB)5と、仕上圧延機6と、ランアウトテーブル(Run Out Table、ROT)7と、ダウンコイラ8a,8bと、を含む。圧延材200a~200cは、加熱炉2からダウンコイラ8a,8bに向かって搬送される。図2では、圧延材200a~200cは、左から右に搬送される。後述する図3も同様である。
【0022】
加熱炉2から抽出された圧延材200aは、HSB3を通過する。圧延材200aの表面に形成された酸化被膜は、HSB3の高圧水によって、取り除かれる。圧延材200aは、複数の粗圧延機4がそれぞれ正転、逆転を行いながら、数回にわたって圧延される。圧延材200bは、粗圧延機4によってある程度の厚みまで圧延された状態となっている。圧延材200bは、FSB5を通過する。圧延材200bの表面に形成された酸化被膜は、FSB5の高圧水によって、再度取り除かれる。
【0023】
その後、圧延材200bは、仕上圧延機6に投入される。仕上圧延機6は、複数段の圧延スタンドを含んでおり、圧延材200bは、各圧延スタンドを通過することによって、所望の製品厚まで圧延される。
【0024】
圧延材200cはROT7によって所望の製品品質を有するように冷却水で冷却される。冷却された圧延材200cは、ダウンコイラ8a,8bによって巻き取られる。
【0025】
各設備に備わる機器は、主に電動機によって駆動される。電動機は、MCCB(Molded Case Circuit Breaker)やVCB(Vacuum Circuit Breaker)といった遮断器を介してフィーダに接続されており、遮断器の入り切りによって機器の運転、停止を切り替えている場合がある。そのほかには、電動機は、その電動機の上位にインバータ装置等のドライブ装置が接続され、ドライブ装置の出力によって駆動される場合もある。この場合には、ドライブ装置がフィーダに接続されている。これらのフィーダは、いくつかが集まって、上位のフィーダに連結される。熱間圧延ラインでは、フィーダは、工場の受電点から分岐され、途中で降圧、分岐されながら末端のフィーダまで電力を供給する。フィーダや上位フィーダは、サブゾーンごとに設けられている場合もあるし、後述するように、複数のサブゾーンにまたがって設けられている場合もある。
【0026】
熱間圧延ラインには、図示しないが、上述のほかに製品を搬送するテーブルロールや、設備に送る圧縮空気を製造するコンプレッサーといった機器が設けられている。これらの機器は、インバータ等を介さずに、直接フィーダに接続される場合が多く、上述したように、MCCB等によって運転、停止の切り替えが行われる。
【0027】
図2の例では、熱間圧延ライン全体の工程を4つのゾーンに区分することとしている。Aゾーンは、加熱炉2を含むスラブの加熱工程を含んでいる。Bゾーンは、HSB3および粗圧延機4を含む粗圧延工程を含んでいる。Cゾーンは、FSB5および仕上圧延機6を含む仕上圧延工程を含んでいる。Dゾーンは、ROT7およびダウンコイラ8a,8bを含む冷却工程および巻取工程を含んでいる。
【0028】
図3は、図2の熱間圧延ラインを複数のゾーンで分割した様子と、さらに細分化されたサブゾーンによる区分の例である。
AゾーンからDゾーンまでの区分されたゾーンは、エネルギー管理装置10の利用者が任意に決定することができる。
【0029】
サブゾーンは、トラッキングシステム20のトラッキングポイントに応じて設けられる。トラッキングポイントは、HMD(Hot Metal Detector)等の材の先端や尾端を検出するセンサ等が配置される位置である。材の先端がトラッキングポイントを通過すると、トラッキング信号がアクティブとされ、尾端がトラッキングポイントを通過すると、トラッキング信号が非アクティブとされる。つまり、サブゾーンは、材がトラッキングシステム20によって設定された工程内にあるか否かを判定する区域であり、トラッキングシステム20の構成によって決定される。
【0030】
上述のことから、サブゾーンは、製造ラインに1つ以上設けられ、複数設けられる場合には、隣接するサブゾーンは、重複する区域が存在しないように設けられる。その上で、区分されたゾーンは、サブゾーンの組み合わせとして任意に設定することができる。なお、区分されたゾーンとサブゾーンとの関係は、上述のとおりであり、したがって、1つのサブゾーンが複数のゾーンにまたがって設定されることはない。
【0031】
図3に示すように、この例では、トラッキングシステム20の要求にもとづいて、サブゾーン1~サブゾーン11に区分されている。ゾーンの区分については、Aゾーンは、サブゾーン1およびサブゾーン2を含むように設定されている。Bゾーンは、サブゾーン3~サブゾーン6を含むように設定されている。Cゾーンは、サブゾーン7およびサブゾーン8を含むように設定されている。Dゾーンは、サブゾーン9~サブゾーン11を含むように設定されている。これは一例であり、上述のように、ゾーンの設定は、サブゾーンの組み合わせによって任意に設定される。
【0032】
図4は、サブゾーンごとに設定されているトラッキング信号の時間変化の例である。
図4には、上述の図2および図3に示されたサブゾーンとは異なる5つのサブゾーンに対応するトラッキング信号の波形が示されている。
図4に示すように、トラッキング信号は、トラッキングシステム20によって、サブゾーンごとに生成される。トラッキング信号は、サブゾーンに材または製品がない場合は、0を出力し、材が進入すると、その進入した材の製品IDを示す値が出力される。たとえば、ある製品IDを有する材がサブゾーンAに進入すると、その材の製品IDを表す出力がされ、その材がサブゾーンAを抜けると、トラッキング信号は、0となる。
【0033】
この例では、各サブゾーンにおけるトラッキング信号は、複数のサブゾーンにわたって重複する場合があることを示している。同一の製品IDを有する複数のトラッキング信号の重複する場合には、後述する図8に関連して説明するように、トラッキング処理部12は、これらのトラッキング信号を加工処理して、重複部を除去したトラッキング信号を生成して出力する。
【0034】
このようなトラッキング信号を収集してトラッキングデータとすることによって、特定の製品IDを有する材または製品が、どのサブゾーンに存在するのかを入時刻および出時刻によって判断することができる。なお、このトラッキング信号は、一例であり、それぞれのサブゾーンにおける材料の進入および退出がわかる、他の形態の既存トラッキングシステムを適用することができる。
【0035】
図5は、実施形態のエネルギー管理装置を含む熱間圧延制御システムを例示する模式的なブロック線図である。
図5に示すように、エネルギー管理装置10は、制御用ネットワーク50を介して、トラッキングシステム20、上位計算機30およびリモートIOシステム40に接続されている。この例では、制御用ネットワーク50には、PLC42も接続されている。
【0036】
エネルギー管理装置10は、トラッキングシステム20が管理するトラッキング信号を制御用ネットワーク50を介して、トラッキングシステム20から受け取る。エネルギー管理装置10は、トラッキングシステム20から送信されるトラッキング信号を直接受信してもよいし、トラッキングシステム20からPLC42に送信される信号をミラーリングで複製しても受信してもよい。あるいは、エネルギー管理装置10は、制御用ネットワーク50上にあるトラッキング信号を活用してもよい。
【0037】
同様に、エネルギー管理装置10は、上位計算機30から、製造中の製品に関する製品情報を受け取る。
【0038】
リモートIOシステム40は、MCC(Motor Control Center)盤44、高圧盤46、ドライブ装置48とハードワイヤで接続されており、それぞれに設けられている計器から出力される情報や、マイコン等から出力されるデータ情報を収集する。収集される情報には、電流計から出力された電流情報や、電圧計から出力された電圧情報、力率計から出力された力率情報、電力量計から出力された電力量情報、またドライブ装置のマイコン等から出力されるトルク情報や速度情報等を含む。エネルギー管理装置10は、リモートIOシステム40から制御用ネットワーク50を通じて、電流情報、電圧情報、力率情報、電力量情報、速度情報、トルク情報などを受け取る。
【0039】
これらの情報を収集することで、エネルギー管理装置10は、製造過程における各電動機や機器等の消費電力と、トラッキング情報と、製品情報を活用することができる。
【0040】
実施形態のエネルギー管理装置10の動作について説明する。
エネルギー管理装置10は、電力消費量計算部13において、リモートIOシステム40から受け取った情報をもとに、電力消費量Wf[kWh]を計算する。電力消費量Wf[kWh]は、計器やマイコン等から得られるデータに応じた計算式を用いて計算される。
【0041】
電力消費量Wf[kWh]は、フィーダの電流値If[A]、フィーダが接続されている系統の電圧値Vf[kV]、フィーダが接続されている系統の力率値cosθf[per unit]の各データが、サンプリング周期τs[s]ごとに取得される場合には、以下の式(1)を用いて計算される。
【0042】
Wf[kWh]
=√3×If[A]×Vf[kV]×cosθf×τs[s]/3600 (1)
【0043】
ここで、1/3600という係数は、サンプリング周期τs[s]における電力消費量を[kWh]に換算するために用いられている。1[h]=60[s]×60[min]=3600[s]である。
【0044】
フィーダにインバータ装置等のドライブ装置が接続され、ドライブ装置によって電動機を駆動している場合には、電力消費量Wf[kWh]は、ドライブ装置が管理する電動機のトルクT[Nm]と速度[rpm]のデータを用いて計算することができる。電動機の電力P[kW]は、P=N[rpm]×T[Nm]÷9550で表される。なお、係数の1/9550は、速度N[rpm]を角速度[rad]に変換するために用いられている。
【0045】
たとえば、電動機がインバータ装置によって駆動されている場合には、その電動機のトルクT[Nm]のデータおよび速度N[rpm]のデータは、インバータのマイコンからリモートIOシステム40に送られている。エネルギー管理装置10は、この電動機のトルクT[rpm]のデータおよび速度N[rpm]のデータをリモートIOシステム40を介して収集することができる。したがって、電力消費量Wf[kWh]は、上述の式(1)に代えて、以下の式(2)によって計算される。
【0046】
Wf[kWh]
=(N[rpm]×T[Nm]/9550)×τs[s]/3600 (2)
【0047】
フィーダに電力量計が設けられており、その信号を受信することができる場合には、エネルギー管理装置10側は、データを用いた計算を行わず、そのままそのフィーダにおける電力消費量Wf[kWh]の時系列データとして扱うものとする。
【0048】
上述の式(1)、式(2)および電力消費量の実測データを用いることによって、エネルギー管理装置10は、それぞれの機器や装置ごとに、あるいはフィーダごとに、電力消費量[kWh]の時系列データを得ることができる。以下では、この機器や装置ごと、あるいはフィーダごとの電力消費量の時系列データをエネルギーアイテムと呼ぶこととする。
【0049】
エネルギーアイテムは、電動機ごとに電力消費量のデータを取得できる場合には、電動機ごとの電力消費量を表す。複数の電動機がMCC盤44に接続され、MCC盤44ごとに電力消費量のデータを取得できる場合には、エネルギーアイテムは、複数の電動機の電力消費量を1つのグループにまとめたものとして取り扱われることとなる。
【0050】
ここで、機器ごとの電力消費量を計算するためのデータを計測する計器が1つも存在しない場合がある。多くの場合には、フィーダには、電流計が設けられており、その機器が接続されているフィーダの電流計によって、電流値Ifを取得し、そのフィーダの系統の電圧値Vf[kV]と系統の力率cosθf[per unit]を定数とし、これらをあらかじめ設定することによって、その機器の電力消費量Wf[kWh]を計算することができる。たとえば、その機器が3.3kV系統のフィーダに接続されている場合には、系統の電圧値Vfを3.3kVの定数とし、系統力率をたとえば0.9などの仮の値を定数とすることによって、電力消費量Wfを計算することができる。
【0051】
エネルギーアイテムは、サブゾーンごとに設定される。エネルギーアイテムをサブゾーンに設定することを、以下では、エネルギーアイテムをサブゾーンに登録する、のように言うものとする。実施形態のエネルギー管理装置10では、サブゾーンのエネルギーアイテムの電力消費量を計算することによって、そのサブゾーンの電力消費量の総量を算出する。まず、サブゾーンごとにエネルギーアイテムを登録する方法について、以下説明する。
【0052】
図6は、トラッキングシステムにおけるサブゾーンの区分の一例である。
エネルギーアイテムは、製品の原単位計算に含まれるので、エネルギーアイテムは、いずれかのサブゾーンに登録される必要がある。エネルギーアイテムは、製品原単位計算部14において登録される。図6には、CゾーンおよびDゾーンのトラッキングシステムにおけるサブゾーンの区分の一例が示されている。この例では、サブゾーン7にFSB5が配置され、サブゾーン8に仕上圧延機6が配置され、サブゾーン9にROT7が配置され、サブゾーン10に第1ダウンコイラ8aが配置され、サブゾーン11に第2ダウンコイラ8bが配置されている。
【0053】
この例では、サブゾーン7に登録するエネルギーアイテムは、FSB5の運転のために使われている電動機の電力消費量の時系列データである。同様に、サブゾーン8に登録するエネルギーアイテムは、仕上圧延機6の運転に使われている電動機の電力消費量の時系列データである。サブゾーン9~サブゾーン11に関しても同様に各サブゾーンにエネルギーアイテムが登録される。1つのサブゾーンには、1つのエネルギーアイテムを登録する場合に限らず、1つのサブゾーンに複数のエネルギーアイテムを登録することができる。たとえば、サブゾーン8では、7台のミルを駆動する電動機の電力消費量をそれぞれエネルギーアイテムに登録することができる。
【0054】
次に、製品原単位計算部14において、サブゾーンに登録されたエネルギーアイテムを製品IDに紐づける方法について説明する。
図7は、エネルギーアイテムのデータにトラッキング信号を適用して、エネルギーアイテムのデータを製品IDに紐づける方法を示す模式的な動作波形図である。
図7には、一例としてサブゾーン8に登録したエネルギーアイテムを求める方法が示されている。
【0055】
図7の最上段の図は、サブゾーン8に登録しているエネルギーアイテムのデータを示しており、電力消費量Wf[kWh]の時系列データが示されている。なお、圧延システムを含む工場の設備は、製品製造時に頻繁に電源の入り切りを行わないことが多く、そのため、このように電力消費量は、連続的に推移する場合が多い。
【0056】
図7の2段目の図は、サブゾーン8におけるある製品IDのトラッキング信号の時間変化を示している。この製品IDを有する製品は、時刻t1でサブゾーン8に進入して、トラッキング信号は、Hレベル(製品AのIDのレベル)となる。その後、この製品は、時刻t2でサブゾーン8から退出して、トラッキング信号は、Lレベル(“0”)となる。
【0057】
図7の最下段の図は、製品IDを有する製品のサブゾーン8のエネルギーアイテムのデータを示している。この図の斜線を施した領域の面積は、製品IDを有する製品のサブゾーン8にわたる消費電力量Wf[kWh]を表している。
【0058】
本実施形態のエネルギー管理装置10では、エネルギーアイテムをサブゾーンに登録するに際して、エネルギーアイテムは、1つのサブゾーンに登録される場合に限らず、エネルギーアイテムが複数のサブゾーンにわたって属するように登録されることができる。たとえば、比較的容量の小さい低圧の電動機などでは、電動機が接続されているフィーダごとに電流計等が設けられておらず、いくつかのフィーダをまとめた上位フィーダ1点で電流等を計測している場合がある。このような上位フィーダのエネルギーアイテムは、接続された電動機がすべて同じサブゾーンに含まれるとは限らず、複数のサブゾーンにわたって配置される。このような場合には、1つのエネルギーアイテムを複数のサブゾーンに登録する必要がある。
【0059】
1つのエネルギーアイテムを複数のサブゾーンに登録した場合に、1つの製品IDについて、複数のトラッキング信号が重複するので、その場合の処理について説明する。
1つの製品IDを有する製品が、隣接するサブゾーンのいずれにも存在する場合には、同一の製品に関する各サブゾーンにおけるトラッキング信号が重複する。製品の長さによっては、製品が隣接する3つ以上のサブゾーンにわたって存在する場合もある。同一の製品について、重複するトラッキング信号をそのまま用いて、1つのエネルギーアイテムの電力消費量を各サブゾーンで計算すると、電力消費量も重複して計算されるので、正確な電力消費量を計算することができない。
【0060】
実施形態のエネルギー管理装置10では、同一の製品IDのトラッキング信号が重複する場合に、トラッキング処理部12は、トラッキング信号の重複期間を除去した新たなトラッキング信号を生成する。製品原単位計算部14では、重複期間が除去された新たなトラッキング信号にもとづいて、エネルギーアイテムを製品IDに紐づけるので、電力消費量を重複して計算することなく正確に計算することができる。
【0061】
図8は、1つの製品IDを有する製品が複数のサブゾーンに同時に存在する場合のトラッキング信号と、サブゾーンごとに加工処理した新たなトラッキング信号の例である。
図8の上段の図は、加工処理する前のサブゾーンn~サブゾーンn+2における同一の製品IDのトラッキング信号の時間変化を示している。
図8の下段の図は、加工処理後のサブゾーンn~サブゾーンn+2における同一の製品IDのトラッキング信号の時間変化を示している。
【0062】
サブゾーンn~サブゾーンn+2は、製品の搬送方向に沿って順に設定されている。サブゾーンnとサブゾーンn+1は、隣接するサブゾーンであり、サブゾーンn+1とサブゾーンn+2も隣接するサブゾーンである。エネルギーアイテムは、サブゾーンn~サブゾーンn+2のそれぞれに登録されている。
【0063】
図8に示すように、サブゾーンnでは、時刻t11で製品が進入する。その製品が退出する時刻t14よりも前の時刻t12において、サブゾーンn+1にその製品が進入する。さらに、その製品がサブゾーンnおよびサブゾーンn+1を退出する前に、時刻t13でサブゾーンn+2に進入する。その製品は、時刻t14においてサブゾーンnから退出し、時刻t15においてサブゾーンn+1から退出し、時刻t16においてサブゾーンn+2から退出する。つまり、時刻t12から時刻13までの期間では、サブゾーンnおよびサブゾーンn+1のそれぞれのトラッキング信号が同一の製品IDについて重複している。また、時刻t13から時刻t14までの期間では、サブゾーンnからサブゾーンn+2にわたってトラッキング信号が同一の製品IDについて重複している。同一の製品IDについてトラッキング信号が重複した状態で、各サブゾーンにおける電力消費量を計算すると、実際よりも大きな値が計算される。
【0064】
図8の下段の図に示すように、トラッキング処理部12では、時刻t12から時刻t13、時刻t13から時刻t14および時刻t14から時刻t15のそれぞれの期間の重複を除外するようにトラッキング信号に対する論理計算を施す。これによって、同一製品IDのサブゾーンでの電力消費量の重複分が除外され、各サブゾーンの電力消費量を正確に計算することができる。
【0065】
このようにして、製品原単位計算部14では、サブゾーンに登録されたエネルギーアイテムの電力消費量を求めることができる。サブゾーンにエネルギーアイテムが複数登録されている場合には、製品原単位計算部14は、すべてのエネルギーアイテムの電力消費量を加算することによって、そのサブゾーンにおける電力消費量の総量を算出する。製品原単位計算部14は、1つのゾーンに属するすべてサブゾーンの電力消費量を加算することによって、各ゾーンの電力消費量を製品IDごとに算出することができる。
【0066】
図9および図10は、製品ごとに各ゾーンで消費した電力量の表示例である。
図9に示すように、各区分ゾーンごとにサブゾーンの電力消費量を加算することによって、製品ごとの各区分ゾーンの電力消費量をより正確に表示することができる。
図9の例では、表示データ100は、データ表示領域101と、表示データ設定領域102と、を含む。データ表示領域101には、製品ID(図では、コイルIDと表記)ごとに、各区分ゾーンにおける消費電力量の積算データが表示される。この例では、製品IDごとに、Aゾーン~Dゾーンを色分けして表示している。
【0067】
表示データ設定領域102は、複数のプルダウンメニューやデータ入力欄を含む。これらのプルダウンメニューおよびデータ入力欄は、製品IDに関連付けられている鋼種、長さおよび厚さをキーとして、データの抽出条件を設定することができる。また、製品IDには、製造日が関連付けられているので、製造日をキーとしてデータの抽出条件を設定することができる。
【0068】
たとえば、対象日付設定メニュー111によって、製造日の範囲を設定することができる。コイルID入力欄112によって、指定した製品IDの製品の消費電力量のデータを出力することができる。鋼種プルダウンメニュー113によって、所望の鋼種のデータのみを抽出して、製品の消費電力量のデータを出力することができる。
【0069】
図10に示すように、上述の例のように表示画面にグラフを表示する方法のほか、CSVファイル形式等で出力することもできる。図9および図10に、表示の一例を示す。図9は、製品を一覧表示する画面である。製品IDごとに、それぞれのゾーンで消費した電力量を表示する方法の例である。
【0070】
実施形態のエネルギー管理装置10の効果について説明する。
実施形態のエネルギー管理装置10では、既設のトラッキングシステム20からトラッキングデータを取得して、各サブゾーンに登録したエネルギーアイテムの電力消費量を計算することによって、サブゾーンごとに電力消費量を計算することができる。サブゾーンは、任意に組み合わせて、区分されたゾーンを設定することができ、製造ラインのエネルギー可視化に応じたゾーンを設定することができる。
【0071】
実施形態のエネルギー管理装置10では、電力消費量計算部13によって、サブゾーンには、フィーダごと、MCC盤ごと、および、電動機等を駆動する装置ごとに1つ以上のエネルギーアイテムを登録することができるので、各サブゾーンにおける電力消費量をもれなく計算することができる。
【0072】
エネルギーアイテムの登録では、1つのサブゾーンに設けられた電動機等の負荷が他のゾーンにわたる上位フィーダからの給電を受ける場合であっても、上位フィーダによる電力消費量を各サブゾーンにエネルギーアイテムとして登録するので、従来、電力消費量の計算からもれていたものもサブゾーンの電力消費量として算入することができ、より正確にサブゾーンの電力消費量を計算することができる。
【0073】
実施形態のエネルギー管理装置10では、トラッキング処理部12において、複数のサブゾーンにわたって、同一の製品IDを有する製品が存在する場合であっても、重複するトラッキング信号を加工処理することによって、重複部を除外することができる。そのため、サブゾーンごとに正確に電力消費量を計算することが可能になる。
【0074】
電力エネルギーを燃料や水等の他の製品原単位に適用するには、燃料や水の流量を流量計の測定値にしたがって、流量データとして時系列に収集することによって、エネルギーアイテムの登録をすることができる。登録された燃料や水等に関するそれぞれのエネルギーアイテムについて、製品IDと紐づけを行うことによって、上述の場合と同様に、サブゾーンごとのエネルギー消費量を製品IDごとに行うことができる。
【0075】
エネルギー管理装置10は、たとえば、演算処理装置(CPU)および記憶装置を備えたコンピュータ装置であって、CPUによって、記憶装置に格納されたプログラムのステップを逐次読み出して実行することによって実現されてもよい。エネルギー管理装置10をコンピュータ装置で実現する場合には、図1等に示した各部のすべてまたは一部は、プログラムの1つ以上のステップで実行されることによって、上述した機能を発揮する。
【0076】
以上説明した実施形態によれば、製品1つ1つがそれぞれのゾーンでどの程度のエネルギーや燃料等を消費したかを計算し、詳細な製品原単位を算出するエネルギー管理装置を実現することができる。
【0077】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他のさまざまな形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明およびその等価物の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0078】
1 熱間圧延システム、2 加熱炉、3 粗圧延前スケール除去装置(HSB)、4 粗圧延機、5 仕上圧延前スケール除去装置(FSB)、6 仕上圧延機、7 ランアウトテーブル(ROT)、8a,8b ダウンコイラ、10 エネルギー管理装置、11 データ収集部、12 トラッキング処理部、13 電力消費量計算部、14 製品原単位計算部、15 表示部、20 トラッキングシステム、30 上位計算機、40 リモートIOシステム、42 プログラマブルロジックコントローラ(PLC)、44 MCC盤、46 高圧盤、48 ドライブ装置、50 制御用ネットワーク
図1
図2
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図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10