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特許7473927家具昇降用ネジ式ジャッキ装置の回転操作ハンドル
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-16
(45)【発行日】2024-04-24
(54)【発明の名称】家具昇降用ネジ式ジャッキ装置の回転操作ハンドル
(51)【国際特許分類】
   A47B 91/02 20060101AFI20240417BHJP
   B66F 7/14 20060101ALI20240417BHJP
【FI】
A47B91/02
B66F7/14
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2023116775
(22)【出願日】2023-07-18
【審査請求日】2023-07-27
(73)【特許権者】
【識別番号】710010906
【氏名又は名称】アクシス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】593121634
【氏名又は名称】双葉実業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】230115336
【弁護士】
【氏名又は名称】山下 あや理
(72)【発明者】
【氏名】井上 真一
(72)【発明者】
【氏名】村上 秀文
(72)【発明者】
【氏名】新田 典昭
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-94018(JP,A)
【文献】特開2000-7291(JP,A)
【文献】実開昭63-19338(JP,U)
【文献】特開平11-75974(JP,A)
【文献】特開2000-342366(JP,A)
【文献】特開2001-287893(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第115213316(CN,A)
【文献】米国特許第3265171(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 91/02
B66F 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
家具とその台輪との上下相互間に介在する複数のジャッキユニットと、
その複数のジャッキユニットを連動連結する複数の伝動軸と、
その伝動軸を回転させることにより、複数のジャッキユニットを一挙同時に同一方向へ昇降作動させる垂直の回転操作軸とを備えた家具昇降用ネジ式ジャッキ装置の回転操作ハンドルであって、
一定長さのハンドル本体と、その基端部へ垂直軸線周りの回転自在に差し込み保持されたソケットと、同じくハンドル本体の先端部に設置された操作手のグリップとから成り、
上記ハンドル本体の中途部に収納されたスチールボールを、そのソケットの円形外周面に対応形成されたボール受け入れ凹溝へ、そのハンドル本体が上記垂直軸線周りにソケットと常時一体に回転操作し得る弾圧付勢状態に係合させて、
そのハンドル本体のソケットを上記ネジ式ジャッキ装置の垂直な回転操作軸へ上方からの抜き差し自在として、且つ一体回転し得るように差し込み套嵌させて、そのハンドル本体により回転操作軸を左右何れの方向へ回転操作中にあるも、上記ソケットにそのスチールボールの弾圧付勢力よりも過大な負荷が作用した時には、そのスチールボールがソケットのボール受け入れ凹溝から離脱して、上記ハンドル本体だけが自ずと空廻りすることにより、その回転操作力がソケットを介して回転操作軸へ伝わらないように設定したことを特徴とする家具昇降用ネジ式ジャッキ装置の回転操作ハンドル。
【請求項2】
ハンドル本体の基端部に段付きのソケット保持口筒を造形する一方、
同じくハンドル本体の中途部に上記ソケット保持口筒と連通するバネ収納凹溝を、そのハンドル本体の長手中心線上に沿って延在する状態に形成して、
上記ソケット保持口筒へソケットを吊り下がる保持状態に差し込み嵌合させて、そのソケットのボール受け入れ凹溝と係合するスチールボールの弾圧付勢用圧縮コイルバネを、上記バネ収納凹溝へ収納すると共に、
上記ハンドル本体へ上方から取り付け固定したハンドルカバーによって、上記ソケットとスチールボール並びに圧縮コイルバネを悉く被覆したことを特徴とする請求項1記載の家具昇降用ネジ式ジャッキ装置の回転操作ハンドル。
【請求項3】
操作手の把持するグリップをノブ形態又は棒形態として、ハンドル本体の先端部からソケットと逆な上向く張り出し状態に取り付け固定したことを特徴とする請求項1記載の家具昇降用ネジ式ジャッキ装置の回転操作ハンドル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は可動間仕切り収納家具やその他の家具を昇降させるネジ式ジャッキ装置の回転操作ハンドルに関する。
【背景技術】
【0002】
家具を移動させる複数のキャスターと、家具とその台輪との上下相互間に介在する複数のジャッキユニットと、その複数のジャッキユニットを連動連結する複数の伝動軸と、その伝動軸を回転させることにより、上記ジャッキユニットを一挙同時に同一方向へ昇降作動させる回転操作軸とから成り、その回転操作軸を上方から回転操作ハンドルによって、例えば左方向へ回転させれば、上記台輪の上昇と相対的に家具が下降して、その床面に接地するキャスターにより、家具を移動させることができる一方、同じく回転操作軸を逆な右方向へ回転操作すれば、上記台輪の下降と相対的に家具が上昇して、その家具が住居の天井面と床面との上下相互間へ突っ張り状態に位置決め固定されることとなる家具昇降用ネジ式ジャッキ装置は、例えば特許文献1、2に開示されているように、従来から公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6350994号公報
【文献】特許第3337457号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記回転操作ハンドルの手動操作による回転操作軸の回転中、家具の上面が住居の天井面に押し付け固定される位置(言わば上死点に到達した操作終了タイミング)を、正確に感得することは至難の業であり、その手探りの状態で回転操作されている通例のため、上記天井面を強く押し上げ過ぎて、その天井面を上向く凸状に歪み変形させたり、外れやすく損傷させたりするなどのおそれがある一方、天井面に対する押し付け固定状態が弱く又は不十分であると、家具自身のガタツキや不慮な動き出しなどを生じ、非常に危険である。
【0005】
この点、住居の経年変化に起因する天井高さのバラツキを考慮して、上記家具の上面には一定厚み(例えば20mm)のクッション材から成る天井スペーサーが取り付けられているが、これも上記手探りの回転操作によって押し潰されるため、この種家具の利便性を阻害している現状である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明はこのような課題の解決を目的としており、その目的を達成するために、請求項1では家具とその台輪との上下相互間に介在する複数のジャッキユニットと、
【0007】
その複数のジャッキユニットを連動連結する複数の伝動軸と、
【0008】
その伝動軸を回転させることにより、複数のジャッキユニットを一挙同時に同一方向へ昇降作動させる垂直の回転操作軸とを備えた家具昇降用ネジ式ジャッキ装置の回転操作ハンドルであって、
【0009】
一定長さのハンドル本体と、その基端部へ垂直軸線周りの回転自在に差し込み保持されたソケットと、同じくハンドル本体の先端部に設置された操作手のグリップとから成り、
【0010】
上記ハンドル本体の中途部に収納されたスチールボールを、そのソケットの円形外周面に対応形成されたボール受け入れ凹溝へ、そのハンドル本体が上記垂直軸線周りにソケットと常時一体に回転操作し得る弾圧付勢状態に係合させて、
【0011】
そのハンドル本体のソケットを上記ネジ式ジャッキ装置の垂直な回転操作軸へ上方からの抜き差し自在として、且つ一体回転し得るように差し込み套嵌させて、そのハンドル本体により回転操作軸を左右何れの方向へ回転操作中にあるも、上記ソケットにそのスチールボールの弾圧付勢力よりも過大な負荷が作用した時には、そのスチールボールがソケットのボール受け入れ凹溝から離脱して、上記ハンドル本体だけが自ずと空廻りすることにより、その回転操作力がソケットを介して回転操作軸へ伝わらないように設定したことを特徴とする。
【0012】
請求項2ではハンドル本体の基端部に段付きのソケット保持口筒を造形する一方、
【0013】
同じくハンドル本体の中途部に上記ソケット保持口筒と連通するバネ収納凹溝を、そのハンドル本体の長手中心線上に沿って延在する状態に形成して、
【0014】
上記ソケット保持口筒へソケットを吊り下がる保持状態に差し込み嵌合させて、そのソケットのボール受け入れ凹溝と係合するスチールボールの弾圧付勢用圧縮コイルバネを、上記バネ収納凹溝へ収納すると共に、
【0015】
上記ハンドル本体へ上方から取り付け固定したハンドルカバーによって、上記ソケットとスチールボール並びに圧縮コイルバネを悉く被覆したことを特徴とする。
【0016】
請求項3では操作手の把持するグリップをノブ形態又は棒形態として、ハンドル本体の先端部からソケットと逆な上向く張り出し状態に取り付け固定したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の構成によれば、特に家具を上昇作動させて、住居の天井面へ押し付け固定すべく使用する場合に、そのハンドル本体の基端部に保持されたソケット(ジョイント)を、ネジ式ジャッキ装置の垂直な回転操作軸へ上方から抜き差し自在に、且つ一体回転し得るように差し込み套嵌させて、そのハンドル本体を回転操作中に、ソケットと係合しているスチールボールの弾圧付勢力よりも過大な負荷(回転トルク)が作用すると、そのボールがソケットのボール受け入れ凹溝から離脱して、上記ハンドル本体が自ずと空廻りすることにより、そのハンドルの回転操作力がソケットを介してネジ式ジャッキ装置の回転操作軸に伝わらず、家具の上昇作動が行われなくなるため、上記ハンドルにおける手動的な回転操作の終了タイミングを誤って、その家具を住居の天井面へ過度に強く押し付けてしまったり、また逆にその天井面に対する位置決め固定状態が弱かったりするおそれなく、冒頭に述べた従来技術の課題を確実に解決できる効果がある。
【0018】
しかも、上記構成の回転操作ハンドルはネジ式ジャッキ装置の垂直な回転操作軸へ、上方からの抜き差し自在に差し込み使用することができ、そのネジ式ジャッキ装置の構成を少しも改変する必要がなく、その既往の装置に対してもそのまま使用して、上記効果を達成し得るため、利便性と汎用性に著しく優れる。
【0019】
その場合、請求項2の構成を採用するならば、回転操作ハンドルにおける限られた大きさ・形状のハンドル本体へ、上記ソケットの保持口筒やスチールボール、その弾圧付勢用の圧縮コイルバネ(トルクバネ)などをすべて脱落のおそれなく、合理的に格納設置することができ、家具の底板に嵌め付けられたハンドル収納箱へ、紛失のおそれなく収納しやすい効果も得られる。
【0020】
また、請求項3の構成を採用するならば、操作手用グリップをノブ(握り玉)形態やレバー(棒)形態として、その把持しやすさや意匠性に選択の余地を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明を適用した実施形態に係る家具昇降用ネジ式ジャッキ装置を、その家具の下降操作状態として示す要部の拡大断面正面図である。
図2】上記ネジ式ジャッキ装置の全体を示す底面図である。
図3図2の3-3線断面図である。
図4図3からジャッキユニットを抽出して示す拡大図である。
図5】操作ユニットを抽出して示す分解斜面図である。
図6】上記操作ユニットのケーシングを抽出して示す分解斜面図である。
図7】家具における底面側の中間フレームに対する上記操作ユニットの取付位置関係を示す分解斜面図である。
図8図7の取付状態を示す斜面図である。
図9】上記操作ユニットにおける回転操作軸の回転操作ハンドルを抽出して示す斜面図である。
図10図9の回転操作ハンドルを分解して示す斜面図である。
図11図10の操作手用グリップを分解して示す斜面図である。
図12図9の正面図である。
図13図12の平面図である。
図14図12の底面図である。
図15図12の左側面図である。
図16図13の16-16線断面図であって、ハンドル本体とソケットとが一体回転する係合状態を示している。
図17図16からハンドルカバーを取りはずして示す上記係合状態の平面図である。
図18】ハンドル本体の空廻り状態を示す図16に対応する断面図である。
図19図18からハンドルカバーを取りはずして示す上記空廻り状態の平面図である。
図20(a)】キャスターが床面に接地した下降操作状態の家具を示す正面図である。
図20(b)】天井面に押し付け固定された上昇操作状態の家具を示す正面図である。
図21】ネジ式ジャッキ装置の要部を家具の上昇操作状態として示す図1に対応する断面正面図である。
図22】同じく家具の上昇操作状態を示す図3に対応する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を適用した実施形態に係る可動間仕切り収納家具昇降用のネジ式ジャッキ装置について詳述すると、その家具(P)の移動できるように操作された状態を示した図1~3において、(10)は上記家具(P)の矩形な底板であり、その周辺部からは包囲枠(外側台輪)(11)が一体的に垂下している。(12)はその包囲枠(11)により外側から包囲される台輪(内側台輪)であって、家具(P)と別個に昇降することができ、これには複数(図例では左右一対)のジャッキ受けフレーム(13)が平行に固定横架されている。
【0023】
他方、家具(P)の底板(10)には上記台輪(12)側のジャッキ受けフレーム(13)と向かい合う複数(同じく左右一対)のジャッキ取付けフレーム(14)と、その両ジャッキ取付けフレーム(14)の左右相互間に介在する1個の中間フレーム(15)と、同じく両ジャッキ取付けフレーム(14)の外側に並列する複数(やはり左右一対)のキャスター取付けフレーム(16)とが、すべてほぼ平行に配列設置されている。(17)(18)はその各ジャッキ取付けフレーム(14)の前後両端部と中間フレーム(15 )の前後両端部を、家具(P)における底板(10)と包囲枠(11)との四隅部へ各々取り付けるためのブラケットと固定ビスである。
【0024】
その場合、左右一対のジャッキ取付けフレーム(14)と中間フレーム(15)は図1から明白なように、何れも断面ほぼU字形をなしており、その両ジャッキ取付けフレーム(14)の内部空間には後述するジャッキユニットのネジ軸(昇降支柱)が逃し入れられるようになっている一方、中間フレーム(15)の内部空間には後述する操作ユニットの回転操作軸が逃し入れられるようになっている。
【0025】
そして、上記家具(P)側のジャッキ取付けフレーム(14)と台輪(12)側のジャッキ受けフレーム(13)との上下相互間には、複数(図例では4個)のジャッキユニット(J)が介挿設置されている。また、上記中間フレーム(15)における前端部又は後端部付近には操作ユニット(U)が取り付けられている。
【0026】
尚、上記キャスター取付けフレーム(16)の下面には複数(図例では4個)のキャスター(自在車輪)(19)が軸支されており、そのキャスター(19)又はジャッキユニット(J)によって、家具(P)の底板(10)を全体的に安定良く支持することができるようになっている。
【0027】
上記ジャッキユニット(J)の複数は図1~4から明白なように、隣り合う同士の左右対称や前後対称となる配置状態にあるが、その各個のすべて同じ構成を備えており、(20)はその上記ジャッキ取付けフレーム(14)の下面に固定一体化されたケーシングであって、断面ほぼU字形をなし、その垂直中心線上に1本のネジ軸(昇降支柱)(21)が立設されている。
【0028】
しかも、その垂直のネジ軸(21)はケーシング(20)を貫通しており、その下端部が上記台輪(12)側のジャッキ受けフレーム(13)へ、廻り止め用の座板(22)と締結ビス(23)によって固定一体化されている一方、上端部がジャッキ取付けフレーム(14)の下面に開口するネジ軸逃し孔(24)を通じて、そのジャッキ取付けフレーム(14)の内部空間へ逃し入れられるようになっている。
【0029】
(25)は上記ネジ軸(21)に螺合された雌ネジ回転筒であって、ケーシング(20)内での自転のみを行うように拘束されており、その上部から連続一体に張り出された下向きの傘歯車(26)が、上記ケーシング(20)の胴面へ回転自在に軸受けされた横向き傘歯車(27)と常時噛合する状態にある。
【0030】
つまり、その噛合する傘歯車(26)(27)により雌ネジ回転筒(25)が右方向(時計方向)又は左方向(反時計方向)へ回転されれば、これと螺合されている上記ネジ軸(21)が図1、3や図21、22のように、そのケーシング(20)の垂直中心線に沿って昇降運動のみを行い、上記台輪(12)を昇降させることができるようになっているのである。(28)は上記雌ネジ回転筒(25)の上端部に嵌め付けられたスラストベアリング、(29)は横向き傘歯車(27)の軸受け用カラーを示している。
【0031】
また、上記操作ユニット(U)は1本の垂直な回転操作軸(30)と、その中途部から連続一体に張り出し形成された下向き傘歯車(31)と、その下向き傘歯車(31)との噛合状態に保たれた向かい合う一対の横向き傘歯車(32)とから成り、図1、21のように、家具(P)における底板(10)の上方(家具自体の内側)から後述する回転操作ハンドル(H)を使用して、その回転操作軸(30)を垂直軸線(O-O)の周りに右方向(時計方向)(R)又は左方向(反時計方向)(L)へ回転操作することにより、上記した複数のネジ式ジャッキユニット(J)を一挙同時に同一方向へ同一速度で昇降作動させることができるようになっている。
【0032】
即ち、操作ユニット(U)は図5~8に抽出して示す如く、断面ほぼU字形をなすカバー(33)の張り出しフランジ部(33a)と、その上面を施蓋するトッププレート(34)とから、複数の皿ビス(35)並びに位置決め(芯出し)凸子(36)を用いて組み立てられたケーシング(37)の内部に格納されており、そのトッププレート(34)とカバー(33)の張り出しフランジ部(33a)が複数の固定ボルト(38)によって、上記家具(P)の底板(10)に付属している中間フレーム(15)へ取り付けられている。
【0033】
そして、上記操作ユニット(U)の垂直な回転操作軸(30)は図1、21のように、そのケーシング(37)と中間フレーム(15)を貫通しており、その回転操作軸(30)の中途高さ位置と下端部が上下一対のラジアルベアリング(39)(40)を介してケーシング(37)へ、自転のみを行うように各々軸受けされていると共に、同じく回転操作軸(30)の残る上端部が六角軸部(30a)として、家具(P)の底板(10)における上記中間フレーム(15)の前端部又は後端部付近に切り欠き形成された回転操作軸逃し入れ口(41)の内部まで背高く垂立している。
【0034】
その場合、回転操作軸(30)の中途部を軸受けする上側のラジアルベアリング(39)は、上記ケーシング(37)のトッププレート(34)に嵌め付けられており、同じく下端部を軸受けする下側のラジアルベアリング(40)は、上記ケーシング(37)のカバー(33)に嵌め付けられている。(42)(43)はその下側ラジアルベアリング(40)のカバープレートとその固定ビスである。
【0035】
更に、上記回転操作軸(30)の下向き傘歯車(31)と噛合している向かい合う一対の横向き傘歯車(32)は、同じくケーシング(37)におけるカバー(33)の胴面へカラー(44)を介して回転自在に軸受けされており、その両横向き傘歯車(32)は図1、21から明白なように、これらと隣り合う上記ジャッキユニット(J)の対応的な横向き傘歯車(27)と、好ましくは所要長さの六角棒から成る伝動軸(45)を介して、各々連動連結されている。
【0036】
そのため、上記垂直な回転操作軸(30)へ上方から回転操作ハンドル(H)を着脱自在に取り付け使用して、その回転操作軸(30)を垂直軸線(O-O)の周りに右方向(時計方向)(R)又は左方向(反時計方向)(L)へ回転操作すれば、下向き傘歯車(31)と両横向き傘歯車(32)とが噛合回転し、その回転作用が両伝動軸(45)を経て、複数のジャッキユニット(J)における雌ネジ回転筒(25)へ伝達され、これと螺合しているネジ軸(昇降支柱)(21)の昇降運動により、家具(P)の台輪(12)が図1、3や図21、22に示す如く、一挙同時に同一方向へ昇降されることになる。
【0037】
尚、家具(P)の底板(10)に切り欠かれた上記回転操作軸逃し入れ口(41)は、断面ほぼU字形をなす中間フレーム(15)の内部空間と連通しており、ここから回転操作軸(30)へその回転操作ハンドル(H)が抜き差し自在に差し込み使用されるが、その回転操作軸逃し入れ口(41)には開閉蓋付きのハンドル収納箱(46)が嵌め付けられていて、ここに不使用時の回転操作ハンドル(H)を紛失しないように保管することができるようになっている。
【0038】
先に一言した回転操作ハンドル(H)は従来技術のそれと異なり、特にトルクリミッターとしての機能を発揮し得るように構成されている。
【0039】
即ち、その回転操作ハンドル(H)の具体的な構成を図9~17に基づいて説明すると、(47)はガラス繊維入りのポリアミド樹脂(6ナイロン)やその他の高強度な合成樹脂から、一定の長さ(例えば128mm)と厚み(例えば10mm)を備えた平盤状に成形されたハンドル本体であり、その比較的広幅な基端部からは段付きのソケット保持口筒(ボス)(48)が下方への連続一体に張り出されている一方、比較的狭幅な先端部からはグリップ設置台(49)が上向き連続的に隆起されている。(48a)はそのソケット保持口筒(48)の中途高さ位置にあるソケット受け止め段部を示している。
【0040】
(50)は六角穴付きボルト(51)と上下一対のナット(52)を用いて、上記グリップ設置台(49)へ上方から取り付け固定された操作手の把持用グリップであり、図例では握り玉(ノブ)の形態を示しているが、ここを操作手により把持して、回転操作ハンドル(H)を回転操作し得る限り、ノブ形態に係る棒(レバー)形態やその他の形態として、上記ソケット保持口筒(48)と逆な上向きに張り出し設置しても良い。
【0041】
また、(53)は上記ソケット保持口筒(48)と連通する上向き開口状態のバネ収納凹溝であり、ハンドル本体(47)の基端側に片寄った約半分の長さとして、そのハンドル本体(47)の長手中心線上に沿い切り欠き列設されている。(54)は上記ソケット保持口筒(48)へ上方から差し込み嵌合されたソケット(ジョイント)であって、亜鉛合金から段付き円筒状に造形されており、その係止段部(54a)が上記ハンドル本体(47)におけるソケット保持口筒(48)のソケット受け止め段部(48a)へ係止して、吊り下がる保持状態となる。
【0042】
その吊り下がり保持状態において、ソケット(54)の係止段部(54a)よりも上部をなす径大な頭部(張り出しフランジ部)(54b)は、上記ハンドル本体(47)のバネ収納凹溝(53)へ臨む高さ位置にあり、その頭部(54b)の円形外周面にはボール受け入れ凹溝(55)が円弧状に陥没している。(54c)は同じくソケット(54)の上記ソケット保持口筒(48)から垂下する下部に造形された軸受け用の六角穴部であり、上記回転操作軸(30)の六角軸部(30a)へ抜き差し自在に差し込み套嵌されて、そのソケット(54)と回転操作軸(30)とが一体に回転する。
【0043】
その一体回転し得る限りでは、上記ソケット(54)側の六角穴部(54c)と回転操作軸(30)側の六角軸部(30a)を、六角形以外の角形やスプラインなどとして、その相互の抜き差し自在に凹凸嵌合しても良い。
【0044】
(56)は上記ハンドル本体(47)と、そのソケット保持口筒(48)に保持されたソケット(54)とを、上記回転操作軸(30)の垂直軸線(O-O)周りに一体回転させるべく係合するためのスチールボール、(57)はそのスチールボール(56)を上記ソケット(54)のボール受け入れ凹溝(55)内へ、常時押し込み弾圧付勢する圧縮コイルバネ(トルクバネ)であり、上記ハンドル本体(47)のバネ収納凹溝(53)に収納されている。(58)はスチールボール(56)とその圧縮コイルバネ(57)との相互間に介挿設置されたバネリテーナーであり、硬質の合成樹脂(ポリアセタール)から成る。
【0045】
その場合、上記スチールボール(56)に弾圧付勢力を与える圧縮コイルバネ(トルクバネ)(57)の最大荷重(N)は、適当な一例として23kgfに設定されており、回転操作ハンドル(H)によりソケット(54)を介して上記回転操作軸(30)の回転操作中に、その予めの設定荷重よりも過大な負荷(回転トルク)が作用した時には、上記スチールボール(56)がそのボール受け入れ凹溝(55)から離脱して、ハンドル本体(47)だけが自ずと空廻りすることとなり、その回転操作ハンドル(H)の回転操作力がソケット(54)と延いては回転操作軸(30)へ伝達されないようになっている。このことは、上記回転操作ハンドル(H)を右方向(時計方向)(R)と左方向(反時計方向)(L)との何れの方向へ回転操作しても同じである。
【0046】
更に、(59)は上記ハンドル本体(47)と同じ合成樹脂から成形された板状のハンドルカバーであり、一対の固定ビス(60)とその締結ナット(61)を用いて、そのハンドル本体(47)へ上方から取り付けられることにより、上記ソケット(54)とスチールボール(56)、圧縮コイルバネ(57)並びにそのバネリテーナー(58)を悉く被覆している。
【0047】
尚、そのハンドルカバー(59)を取り付け固定する時の位置決め凸子とその受け入れ凹溝が、ハンドルカバー(59)とハンドル本体(47)に点在分布する複数ずつとして対応形成されており、これを図10の符号(62)によって示唆している。操作手の上記グリップ(50)がハンドル本体(47)の先端部から露出した状態にあることは言うまでもない。
【0048】
次に、本発明を適用した実施形態に係る家具昇降用ネジ式ジャッキ装置の使用法(操作法)について説明する。
【0049】
即ち、例えば可動間仕切り収納家具(P)を図1~3のような移動できる状態に操作する時は、その上記回転操作ハンドル(H)に保持されたソケット(ジョイント)(54)を、ネジ式ジャッキ装置における操作ユニット(U)の回転操作軸(30)へ、上記底板(10)の回転操作軸逃し入れ口(41)から抜き差し自在に差し込み使用する。
【0050】
そのソケット(54)の六角穴部(54c)を回転操作軸(30)の六角軸部(30a)へ差し込み套嵌すれば、上記回転操作ハンドル(H)のソケット(54)と回転操作軸(30)とが一体回転し得る状態にあるため、その回転操作ハンドル(H)を左方向(反時計方向)(L)へ回転操作するのである。
【0051】
そうすれば、上記回転操作軸(30)がその垂直軸線(O-O)の周りに回転作用し、その回転作用は下向き傘歯車(31)と噛合回転する横向き傘歯車(32)から伝動軸(45)を経て、複数のジャッキユニット(J)へ悉く伝動され、そのジャッキユニット(J)のネジ軸(昇降支柱)(21)が家具(P)の台輪(12)を上昇させることと相対して、その家具(P)自体を下降させ、これに付随している複数のキャスター(19)が、図20(a)のように床面(F)へ接地することとなる。その場合、家具(P)の上面は住居の天井面(C)と接触しない低い高さ位置にあるため、上記家具(P)の据え付け場所を変えるべく、その移動を自由自在に便利良く行うことができる。
【0052】
他方、その家具(P)を希望の据え付け場所へ位置決め固定する時には、上記回転操作ハンドル(H)を図1~3と逆な右方向(時計方向)(R)へ回転操作する。そうすれば、その回転方向だけが逆になるだけであって、やはり操作ユニット(U)の回転操作軸(30)がその垂直軸線(O-O)の周りに回転作用し、その回転作用が下向き傘歯車(31)と横向き傘歯車(32)並びに伝動軸(45)を介して、複数のジャッキユニット(J)へ一挙同時に伝動され、そのジャッキユニット(J)のネジ軸(昇降支柱)(21)が上記家具(P)の台輪(12)を、図21、22のように下降させることと相対して、その家具(P)自体を上昇させ、これに付属している複数のキャスター(19)が床面(F)から浮上することになる。
【0053】
その場合、図20(b)に示すように、下降した上記台輪(12)が床面(F)に接地する一方、これと相前後して、家具(P)の上面は住居の天井面(C)に接触することになるが、上記回転操作ハンドル(H)による回転操作軸(30)の回転操作を続行中に、万一その回転操作ハンドル(H)におけるハンドル本体(47)のスチールボール(56)を、ハンドル本体(47)と別個なソケット(ジョイント)(54)のボール受け入れ凹溝(55)へ押し込んでいる圧縮コイルバネ(トルクバネ)(57)の弾圧付勢力(最大荷重)よりも過大な負荷(回転トルク)が作用すると、そのスチールボール(56)は図16、17から図18、19のように、上記ソケット(54)のボール受け入れ凹溝(55)から自ずと離脱して、回転操作ハンドル(H)だけが空廻りすることになり、そのハンドル(H)による回転操作力がソケット(54)を介して回転操作軸(30)や、延いては伝動軸(45)を経て複数のネジ式ジャッキユニット(J)に至るまで伝達されることはなく、その伝動を停止(切断)するようになっている。
【0054】
つまり、家具(P)の上面に取り付けられているクッション材の天井スペーサー(63)が、その一定厚み(t)(先に例示した20mm)の完全に押し潰されてしまうまで、上記回転操作ハンドル(H)による強い回転操作力を加え続け、その終了タイミングを誤ると、住居の天井面(C)を歪み変形させたり、天井面(C)に亀裂を生じさせたりするおそれがある一方、その天井面(C)に対する家具(P)の押し付け固定状態に弱さや不足があると、家具(P)の不慮に動き出すなどの危険を招くため、上記構成を備えた回転操作ハンドル(H)の採用によって、これらの事態を予防しているのである。
【0055】
この点、上記構成の回転操作ハンドル(H)を従来技術のそれに代えて使用することにより、冒頭に述べた従来技術の課題を解決することができ、家具昇降用ネジ式ジャッキ装置の回転操作軸(30)を含む操作ユニット(U)やその他の構成を改変する必要がなく、その既往の装置をそのまま使用し得るため、実用上著しく便利である。
【0056】
更に、上記構成の回転操作ハンドル(H)はラチェットハンドルやトルクレンチなどのように、所謂左勝手用と右勝手用との2種を用意したり、またその切り替えるための構成を加えたりする必要がなく、その使用上左右何れの方向へ回転操作しても、同等の効果を達成することができる。
【0057】
図例の場合、上記圧縮コイルバネ(トルクバネ)(57)の最大荷重(N)(弾圧付勢力)を23kgfに設定すると共に、天井スペーサー(63)の一定厚み(t)を20mmとして、そのうちの5mm(4分の1)が押し潰された(圧縮された)時に、上記圧縮コイルバネ(57)がトルクバネとして働き、回転操作軸(30)の回転操作ハンドル(H)を自ずと空廻りさせるようになっているが、このような設定数値に限定するつもりはなく、適当に決めることができる。
【0058】
尚、図21、22の家具(P)を位置決め固定した状態から、上記回転操作ハンドル(H)を再度左方向(反時計方向)(L)へ回転操作することにより、その家具(P)を床面(F)に沿って移動させることができる状態になることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0059】
(10)・・・底板
(11)・・・包囲枠(外側台輪)
(12)・・・台輪
(13)・・・ジャッキ受けフレーム
(14)・・・ジャッキ取付けフレーム
(15)・・・中間フレーム
(16)・・・キャスター取付けフレーム
(19)・・・キャスター
(20)・・・ケーシング
(21)・・・ネジ軸(昇降支柱)
(25)・・・雌ネジ回転筒
(26)・・・下向き傘歯車
(27)・・・横向き傘歯車
(30)・・・回転操作軸
(31)・・・下向き傘歯車
(32)・・・横向き傘歯車
(37)・・・ケーシング
(45)・・・伝動軸
(47)・・・ハンドル本体
(48)・・・ソケット保持口筒
(49)・・・クリップ設置台
(50)・・・操作手用グリップ
(53)・・・バネ収納凹溝
(54)・・・ソケット
(55)・・・ボール受け入れ凹溝
(56)・・・スチールボール
(57)・・・圧縮コイルバネ(トルクバネ)
(59)・・・ハンドルカバー
(C)・・・・天井面
(F)・・・・床面
(H)・・・・回転操作ハンドル
(J)・・・・ジャッキユニット
(O-O)・・・垂直軸線
(P)・・・・家具
(U)・・・・操作ユニット
【要約】
【課題】
家具を天井面へ過不足なく、自ずと正確に押し付け固定できる家具昇降用ネジ式ジャッキ装置の回転操作ハンドルを提供する。
【解決手段】
ハンドル本体(47)の基端部へ垂直軸線(O-O)周りの回転自在に差し込み保持されたソケット(54)を備え、そのハンドル本体の中途部に収納されたスチールボール(56)を、上記ソケットの外周面に対応形成されたボール受け入れ凹溝(55)へ、上記ハンドル本体がソケットと一体回転し得る弾圧付勢状態に係合させて、上記ソケットをネジ式ジャッキ装置の垂直な回転操作軸(30)へ差し込み套嵌させたハンドル本体により、その回転操作軸の回転操作中において、上記ソケットにスチールボールの弾圧付勢力よりも過大な負荷が作用したならば、そのハンドル本体だけが空廻りするように設定した。
【選択図】図18
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20(a)】
図20(b)】
図21
図22