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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-16
(45)【発行日】2024-04-24
(54)【発明の名称】ペット用排泄物処理具
(51)【国際特許分類】
   A01K 1/01 20060101AFI20240417BHJP
   A01K 23/00 20060101ALI20240417BHJP
【FI】
A01K1/01 801L
A01K23/00 E
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019208551
(22)【出願日】2019-11-19
(65)【公開番号】P2021078413
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-07-28
(73)【特許権者】
【識別番号】516371922
【氏名又は名称】株式会社ペティオ
(74)【代理人】
【識別番号】100190621
【弁理士】
【氏名又は名称】崎間 伸洋
(72)【発明者】
【氏名】山田 武史
(72)【発明者】
【氏名】玉田 光
【審査官】坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-55040(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 1/01
A01K 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペット用排泄物処理具を備えたペット用トイレであって、
水分の吸収によって自己崩壊するペレット状の排泄物処理材が敷設される容器であって、底面部と、前記底面部の外周を覆う枠所の周壁部と、を有し、前底面部には、貫通穴がスノコ状に設けられた容器と、
前記容器内に敷設された排泄物処理材を掬い取るペット用排泄物処理具であって、
直線状の先端部と前記先端部以外の周縁部とを有するバケット本体部と、
前記バケット本体部の周縁部を囲む周壁部と、
前記バケット本体部の先端部から突出した櫛歯状の複数の突起部と、
を備えたペット用排泄物処理具と、を備え、
前記突起部は、前記容器に設けられた貫通穴内に入り込める大きさに形成され、
前記複数の突起部のピッチは、前記容器に設けられた貫通穴のピッチと一致している、
ペット用排泄物処理具を備えたペット用トイレ。
【請求項2】
前記バケット本体部は、薄板状に形成され、前記周縁部がU字形状に形成されている、
請求項1に記載のペット用排泄物処理具を備えたペット用トイレ。
【請求項3】
前記バケット本体部は、複数の篩い孔を有している、
請求項1又は2に記載のペット用排泄物処理具を備えたペット用トイレ。
【請求項4】
前記突起部の幅は、前記篩い孔の幅よりも狭く形成されている、
請求項3に記載のペット用排泄物処理具を備えたペット用トイレ。
【請求項5】
請求項1乃至4いずれか1項に記載のペット用排泄物処理具の前記周壁部は、薄肉に形成されている、
請求項1乃至4いずれか1項に記載のペット用排泄物処理具を備えたペット用トイレ。
【請求項6】
請求項1乃至5いずれか1項に記載のペット用排泄物処理具の前記周壁部から突出した柄を備えている、
請求項1乃至5いずれか1項に記載のペット用排泄物処理具を備えたペット用トイレ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペット用トイレにおいて使用され、排泄物処理材などを掬い取るためのペット用排泄物処理具に関する。
【背景技術】
【0002】
猫や犬などのペットを室内において飼うときに使用されるペット用トイレや、このペット用トイレで使用するスコップのようなペット用排泄物処理具が種々提供されている。ペット用トイレとしては、猫砂のような排泄物処理材を敷設する容器だけを備えた単品タイプや、複数のパーツを組み合わせた複合タイプなど種々提供されている。
【0003】
複合タイプのペット用トイレは、例えば、上容器と、トレーと、下容器とを備えている。上容器は、水分の吸収によって自己崩壊する排泄物処理材を敷設する四角形平板状の底面部を有している。この底面部には、排泄物処理材や尿を通過させる貫通穴がスノコ状に設けられている。トレーは、自己崩壊した排泄物処理材や尿などを溜めるもので、シート状の処理材回収材が着脱自在に装着されることもある。下容器は、上容器を上側に配置し、トレーを下側にスライド自在に収納する。
【0004】
単品タイプの容器に敷設された排泄物処理材や、複合体タイプの上容器に敷設された排泄物処理材は、ペットの排尿などによって部分的に汚れる。汚れた排泄物処理材は、スコップのようなペット用排泄物処理具によって掬い取られ、廃棄される。
【0005】
特許文献1に記載されたペット用排泄物処理具は、ペット用トイレに敷き詰められた排泄物処理材(特許文献1では処理材又は猫砂)を篩い分けるため、スコップ本体と可動部材とを備えている。スコップ本体は、第1の貫通孔が形成された受け皿を有する。可動部材は、受け皿に対して相対移動可能なように重合し、第2の貫通孔が形成されている。第1の貫通孔及び第2の貫通孔が連通する領域において篩い孔が構成される。受け皿に対する可動部材の相対位置が変更されることにより、篩い孔のサイズが変更される。
【0006】
このペット用排泄物処理具は、ペットが排泄した後の猫砂を掬い取り、振り動かすことで、排泄物が付着した猫砂と、それ以外の猫砂とに篩い分ける。このペット用排泄物処理具は、篩い孔のサイズが変更可能とされていることにより、サイズの異なる複数種の猫砂について兼用することができる。振るい落とされた猫砂は、ペット用トイレにおいて再利用される。ペット用排泄物処理具のスコップ本体上に残った猫砂は、廃棄される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特許第6543497号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載されたペット用排泄物処理具は、スコップ本体の先端縁を直線状に形成している。先端縁が直線状のスコップ本体は、単品タイプのペット用トイレの容器のようにスノコ状の貫通穴が設けられていない平坦な底面に線接触することで、底面上に敷設された排泄物処理材を掬い取りやすいものとなる。
【0009】
他方、複合体タイプのペット用トイレは、スノコ状の貫通穴を設けた上容器に排泄物処理材が敷設される。このような上容器の貫通穴内には、排泄物処理材が目詰まりすることがある。特に、尿のような水分を吸収することで自己崩壊する排泄物処理材は、貫通穴内に目詰まりしやすい。しかし、先端縁が直線状に形成されたスコップ本体を有するペット用排泄物処理具では、貫通穴の目詰まりを解消することができない。
【0010】
また、排泄物処理材には、自己崩壊しないタイプも提供されている。自己崩壊しない排泄物処理材には、粉や木屑などを成形した撥水タイプがある。このような撥水タイプの排泄物処理材からは、粉や木屑、ペットの糞が生じ、これらが上容器の貫通穴内に目詰まりすることがある。
【0011】
本発明は、スノコ状の貫通穴を設けたペット用トイレにおいて、排泄物処理材が貫通穴内に目詰まりしても、その目詰まりを解消することができるようにしたペット用排泄物処理具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係るペット用排泄物処理具は、
貫通穴がスノコ状に設けられた容器内に敷設された排泄物処理材を掬い取るペット用排泄物処理具であって、
直線状の先端部と前記先端部以外の周縁部とを有するバケット本体部と、
前記バケット本体部の周縁部を囲む周壁部と、
前記バケット本体部の先端部から突出した櫛歯状の複数の突起部と、
を備え、
前記突起部は、前記容器に設けられた貫通穴内に入り込める大きさに形成されている。
【0013】
前記本発明に係るペット用排泄物処理具において、
前記複数の突起部のピッチは、前記容器に設けられた貫通穴のピッチと一致している。
【0014】
前記本発明に係るペット用排泄物処理具において、
前記バケット本体部は、薄板状に形成され、前記周縁部がU字形状に形成されている。
【0015】
前記本発明に係るペット用排泄物処理具において、
前記バケット本体部は、複数の篩い孔を有している。
このペット用排泄物処理具における前記突起部の幅は、前記篩い孔の幅よりも狭く形成されている。
【0016】
前記本発明に係るペット用排泄物処理具において、
前記周壁部は、薄肉に形成されている。
【0017】
前記本発明に係るペット用排泄物処理具は、
前記周壁部から突出した柄を備えている。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、スノコ状の貫通穴を設けたペット用トイレにおいて、排泄物処理材が貫通穴内に目詰まりしても、その目詰まりを解消することができるようにしたペット用排泄物処理具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明に係るペット用排泄物処理具の一実施形態を示す斜視図である。
図2】本発明に係るペット用排泄物処理具の一実施形態を示す正面図である。
図3】本発明に係るペット用排泄物処理具の一実施形態を示す右側面図である。
図4】本発明に係るペット用排泄物処理具の一実施形態を示す左側面図である。
図5】本発明に係るペット用排泄物処理具の一実施形態を示す底側面図である。
図6】本発明に係るペット用排泄物処理具の一実施形態を示す平面図である。
図7】本発明に係るペット用排泄物処理具の一実施形態を示す背面図である。
図8】ペット用トイレの一例を示す斜視図である。
図9】ペット用トイレの一例を示す分解斜視図である。
図10】ペット用トイレの一例を示す平面図である。
図11】ペット用トイレの一例を示す断面側面図である。
図12】ペット用トイレの一例を示す要部断面側面図である。
図13】ペット用トイレの一例を示す要部断面正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明に係るペット用排泄物処理具の一実施形態について図1乃至図7を参照して説明し、このペット用排泄物処理具を使用するペット用トイレの一例について図8乃至図13を参照して説明する。
【0021】
ペット用排泄物処理具の説明に先立って、ペット用トイレAの一例について図8乃至図13を参照して説明する。図8は、本発明に係るペット用トイレAの一例を示す斜視図である。図9は、ペット用トイレAの一例を示す分解斜視図である。図10は、ペット用トイレAの一例を示す平面図である。図11は、ペット用トイレAの一例を示す断面側面図である。図12は、ペット用トイレAの一例を示す要部断面側面図である。図13は、ペット用トイレAの一例を示す要部断面正面図である。
【0022】
図8及び図9に示すように、ペット用トイレAは、ペレット状の排泄物処理材(図示せず)を使用するタイプで、上容器(特許請求の範囲に記載の容器)1と、トレー2と、下容器3と、カバー4を備えている。
【0023】
上容器1は、コーナを円弧形にした四角形平板状の底面部11と、この底面部11の外周を囲う枠状の周壁部12と、を備えている。底面部11と周壁部12との境界部は、折り目のような境界線がなく、なだらかな曲面形状とされている。周壁部12の各コーナも折り目のような境界線がない曲面形状とされている。上容器1の周壁部12の上端部には、下向きとなる折返し部121が設けられている。
【0024】
上容器1の底面部11上には、水分の吸収によって自己崩壊する排泄物処理材が敷設される。上容器1の底面部11には、排泄物処理材よりも目の細かい貫通穴111がスノコ状に設けられている。排泄物処理材は、尿のような水分を吸収することで、自己崩壊し、貫通穴111から落下する。
【0025】
図10に示すように、貫通穴111は、格子状に交差する第1リブ111Aと第2リブ111bとによって長孔形状に形成されている。第1リブ111aの幅は、例えば2mm~4mmとされる。第2リブ111bの幅は、例えば2mm~4mmとされる。例えば隣り合った第1リブ111aの間隔(貫通穴111の幅D)が2mm~5mm、隣り合った第2リブ111bの間隔(貫通穴111の長さL)が15mm~40mmとされ、この貫通穴111の大きさは従来の貫通穴よりも大きくされている。
【0026】
貫通穴111は、自己崩壊した排泄物処理材が目詰まりしないように下側が拡幅している。そのため、図12及び図13に示すように、第1リブ111aと第2リブ111bは、貫通穴111の下側が拡幅するようにテーパ面とされている。
【0027】
トレー2は、自己崩壊して貫通穴111から落下した排泄物処理材を堆積する。トレー2は、四角形状の底面部21と、この底面部21の外周を囲う周壁部22と、を備えている。トレー2の底面部21は、上容器1の底面部11と対向する。トレー2の周壁部22は、正面部221と、背面部222と、一対の側面部223とによって4か所のコーナを有する枠状に形成されている。トレー2の周壁部22のコーナも曲面状に形成されている。トレー2の周壁部22の上端部には、外向きに突出したフランジ部224が設けられている。トレー2の周壁部22の正面部221には、指を挿し込んだり指で摘まんだりするための窪んだ取っ手部225が設けられている。
【0028】
トレー2は、上容器1と同じ乃至深く形成された深型である。すなわち、トレー2の周壁部22は、上容器1の周壁部12同じ乃至高く形成されている。トレー2と上容器1の周壁部22とが同じ高さの場合は、トレー2の容積と上容器1の容積は、ほぼ同じとなる。トレー2の周壁部22の高さは、例えば20mm~100mm程度とされる。図示したトレー2は、上容器1と同じ深さの深型である。図9図11に示すように、トレー2の背面部222と各側面部223とが連なる各コーナには、窪み部226が形成されている。この窪み部226は、トレー2が傾けられたときに、トレー2に堆積した排泄物処理材をトレー2から排出するときの注ぎ口のようになる。
【0029】
図11に示すように、下容器3は、トレー2を下側にスライド自在に収容し、上容器1を上側に配置する。図9に示すように、下容器3は、四角形状の底面部31と、底面部31を囲う枠状の周壁部32と、を備えている。下容器3の底面部31には、トレー2の両側を挟むような一対(一方のみ図示)のガイド部311が突出している。
【0030】
下容器3の周壁部32は、上容器1の周壁部12とトレー2の周壁部22とを重ねた高さとなる。換言すれば、上容器1の周壁部12の高さとトレー2の周壁部22の高さが同程度であれば、下容器3の周壁部32の高さは、上容器1の周壁部12の高さ及びトレー2の周壁部22の高さの2倍程度となる。したがって、下容器3の周壁部32の高さは、例えば110mm~290mm程度とされる。
【0031】
下容器3の周壁部32の上端部内に上容器1の周壁部12の上端部が嵌まり込む。また、上容器1の周壁部12の折返し部121が下容器3の周壁部32の上端部に当たることで、上容器1が下容器3内に嵌まり込まない。下容器3の周壁部32の上端部にも、下向きとなる折返し部321が設けられている。
【0032】
下容器3の周壁部32の正面部には、下側に開口部33が設けられている。下容器3の下側に収納されたトレー2が開口部33から下容器3外に完全に引き出される。したがって、開口部33は、トレー2の幅と高さと同じ大きさに設けられている。
【0033】
上容器1の外周縁、具体的には上容器1の周壁部12の上部には、カバー4が被せられる。図8及び図9に示すように、カバー4は、周壁部42と、嵌合部43と、ステップ部44と、を備えている。カバー4は、天板部を備えず、周壁部42によって囲われた領域をペットが上容器1内に入ったり出たりする出入部とする。
【0034】
カバー4の周壁部42は、フロント側とバック側と一対のサイド側とによって枠状に形成されている。フロント側の周壁部42aは、バック側の周壁部42bよりも低い。一対のサイド側の周壁部42cは、フロント側からバック側へ次第に高くなるように上縁がカーブした形状に傾斜している。フロント側の周壁部42aは、階段状に形成されている。
【0035】
カバー4の嵌合部43は、横向部431と、下向部432と、を備えている。図11に示すように、横向部431は、カバー4の周壁部42よりも横向きに突出し、上容器1の上端縁に当たる。下向部432は、横向部431の先端から下向きに突出し、下容器3の折返し部321に嵌合する。カバー4は、嵌合部43の下向部432が下容器3の折返し部321に嵌合することで、下容器3から外れにくく、嵌合部43の横向部431が上容器1の上端縁に当たることで、上容器1が外れないように押さえられる。
【0036】
この実施形態のペット用トイレAは、以上のように構成される。次に、このペット用トイレAの使用方法について説明する。
【0037】
このペット用トイレAは、下容器3の下側にトレー2を収納し、下容器3の上側に上容器1を配置し、上容器1の周壁部12の上部にカバー4を被せた状態とし、リビングルームのような室内に設置される。上容器1の底面部11上には、排泄物処理材が敷設される。排泄物処理材は、上容器1の貫通穴111よりも大きなペレット状である。排泄物処理材は、例えば直径が6mm、長さが13mmの円柱状とされる。排泄物処理材は、上容器1の底面部11上に盛られた状態となる。排泄物処理材は、上容器1からこぼれないように上容器1の容量よりも少なめに盛られる。貫通穴111が排泄物処理材よりもわずかに小さな長孔形に形成されることにより、排泄物処理材が貫通穴111に部分的に引っ掛かりやすくなる。
【0038】
ペットがカバー4の出入口から上容器1内に入る。ペットは、ステップ部44を踏んで上容器1内に入ることもある。ペットは、排泄物処理材上に排尿し、上容器1内から出る。排泄物処理材が貫通穴111に部分的に引っ掛かることにより、ペット用トイレAは、ペットが排泄物処理材を掘り起こしたり、埋戻したりする習性を補助する。掘り起こされた排泄物処理材は、カバー4によって周囲に飛散しない。
【0039】
排泄物処理材は、尿の水分によって自己崩壊し、上容器1の貫通穴111を通過してトレー2上に落下する。排泄物処理材は、貫通穴111よりも小さく自己崩壊することで貫通穴111内に目詰まりしにくい。また、排泄物処理材が水分を吸収することでわずかに膨張し、貫通穴111と同じ大きさに自己崩壊することもあり得る。貫通穴111は、下側が拡幅しているため、上側で仮に目詰まりしたとしても、排泄物処理材は貫通穴111内で第1リブ111a及び第2リブ111bに擦れず、貫通穴111内で目詰まりしにくくスムーズに落下する。
【0040】
自己崩壊した排泄物処理材は、水分を吸収することでわずかに膨張してトレー2上に堆積する。トレー2は、上容器1と同じ乃至深いような深型、あるいは、下容器3の半分程度の深さを有する深型であることから、シート状の処理材回収部材を装着するような薄型のトレー2よりも多くの排泄物処理材を堆積することができる。上容器1上の排泄物処理材は、排尿されるごとに減少する。このことにより、自己崩壊した排泄物処理材がトレー2上に堆積した分量を推測することができる。トレー2が上容器1と同じ乃至深く、すなわち、上容器1と同じ乃至大きな容量であるとしても、排泄物処理材は、上容器1に少なめに盛られることで、わずかに膨張したしても、トレー2内に溢れることなく堆積される。このようにトレー2は、従来のトレーよりも多くの排泄物処理材を滞積することができる。
【0041】
自己崩壊した排泄物処理材がトレー2上に堆積できる限界となるまでの間にトレー2が下容器3内から完全に引き出される。トレー2が深型であるため、トレー2を下容器3内から引き出す頻度を薄型のトレー2よりも少なくすることができる。トレー2の周壁部22の正面部221に取っ手部225が設けられていることから、トレー2は下容器3内から容易に完全に引き出される。トレー2内の排泄物処理材は、トレー2が傾けられることで、トレー2の窪み部226から流れ出るように人用便器内など廃棄される。
【0042】
空になったトレー2は、下容器3の下側内に収納される。下容器3の底面部31には、一対のガイド部311が突出しているため、トレー2は、偏向することなく真っ直ぐに奥まで入れ込まれる。上容器1上で排泄物処理材が減少した分は、補充される。
【0043】
ここで、このようなペット用トイレAにおいて使用するペット用排泄物処理具Bの一実施形態について図1乃至図7を参照して説明する。図1は、本発明に係るペット用排泄物処理具Bの一実施形態を示す斜視図である。図2は、本発明に係るペット用排泄物処理具Bの一実施形態を示す正面図である。図3は、本発明に係るペット用排泄物処理具Bの一実施形態を示す右側面図である。図4は、本発明に係るペット用排泄物処理具Bの一実施形態を示す左側面図である。図5は、本発明に係るペット用排泄物処理具Bの一実施形態を示す底側面図である。図6は、本発明に係るペット用排泄物処理具Bの一実施形態を示す平面図である。図7は、本発明に係るペット用排泄物処理具Bの一実施形態を示す背面図である。
【0044】
ペット用排泄物処理具(以下、「処理具」という。)Bは、バケット本体部5と、周壁部6と、複数の突起部7と、を備えている。処理具Bは、バケット本体部5と、周壁部6と、複数の突起部7と、によってバケットを構成する。処理具Bは、さらに、柄8と、フック9と、を備えている。
【0045】
図3及び図4に示すように、バケット本体部5は、薄板状で(例えば厚さ1mm~5mm程度)、正面側が凹む、すなわち、使用状態において下側に出っ張るように緩やかな逆へ字状に折り曲げられている。図1図2及び図7に示すように、バケット本体部5は、正面視及び背面視がU字状に形成されている。すなわち、バケット本体部5は、直線状の先端部51と先端部51以外の周縁部52とを有する。
【0046】
周縁部52は、先端部51の各端に連続する一対の側部521と、一対の側部521に連続する他端部522とを有している。側部521と他端部522との境界部分523は、円弧状に形成されている。先端部51から他端部522までの長さは、一対の側部521の幅よりも長くされている。バケット本体部5は、一対のコーナが円弧状の長方形状に形成されている。
【0047】
バケット本体部5には、複数の篩い孔53が形成されている。篩い孔53は、側部521と平行に複数列(図面では6列)配列され、先端部51と他端部522との間に複数列(図面では3列)配置されている。篩い孔53は、排泄物処理材よりも大きな長円形に形成される。したがって、篩い孔53は、上容器1の貫通穴111よりも大きく形成される。篩い孔53の幅は、例えば6mm~15mmとされる。篩い孔53の長さは、例えば6mm~35mmとされる。
【0048】
バケット本体部5の他端部522側の境界部分523が円弧状に形成されているため、この境界部分523に近接した篩い孔53は、他の篩い孔53よりも短く形成されている。隣り合った篩い孔53の間隔は、長さ方向が長く、幅方向が短くされている。バケット本体部5は、他端側から1列目の篩い孔53と2列目の篩い孔53との間で逆へ字状に折り曲げられている。
【0049】
周壁部6は、バケット本体部5の周縁部52を囲むように正面側において設けられている。バケット本体部5と周壁部6との境界部は、折り目のような境界線がなく、なだらかな曲面形状とされている。周壁部6は、薄板状のバケット本体部5と同程度の厚さの薄肉に形成される。周壁部6の上端縁は、直線状に形成されている。図3及び図4に示すように、バケット本体部5が逆へ字状に折り曲げられていることから、周壁部6の上端縁とバケット本体部5との間隔は、先端側程次第に狭くなる。
【0050】
複数の突起部7は、バケット本体部5の先端部51から鋸歯状に突出している。突起部7は、角張らないようにアール面取りされている。複数の突起部7は、ペット用トイレAの上容器1に設けられた貫通穴111内に入り込める大きさに形成されている。すなわち、突起部7の幅は、上容器1の貫通穴111の幅よりも狭くされている。突起部7の幅は、篩い孔53の幅よりも小さく形成される。
【0051】
複数の突起部7のピッチは、上容器1に設けられた貫通穴111のピッチと一致している。すなわち、突起部7と突起部7との間隔は、上容器1の第1リブの幅と同じとされている。このように突起部7は、隣り合った貫通穴111に挿し込めるように突出している。したがって、隣り合った突起部7の間隔は、上容器1の第1リブ111aと同じとされている。突起部7の長さは、上容器1の貫通穴111の深さよりも長く形成されている。
【0052】
ペット用トイレAにおいて説明したように、上容器1の貫通穴111が、幅D3mm~4mm、長さLが30mm~40mmの長円形状に形成されていると、突起部7の幅は3mm~4mmに形成される。上容器1の第1リブ111aの幅が2mm~3mmに形成されると、突起部7と突起部7との間隔は、2mm~3mmに形成される。突起部7は、上容器1の板厚よりも長く、折損しにくい程度に形成されている。突起部7の長さは、例えば7mm~12mm程度に形成される。
【0053】
図1図2及び図7に示すように、柄8は、周壁部6の中心から突出している。すなわち、柄8は、バケット本体部5の他端部522において設けられた周壁部6の上端部からバケット本体部5の先端部51とは反対方向にバケット本体部5とほぼ同じ長さ程度に突出している。柄8は、周壁部6の上端縁と同じ面で細長い板状の中心部81と、この中心部81の周縁から下向きに設けられた枠状部82と、を備えている。
【0054】
フック9は、柄8の中心部81から上向きに突出している。フック9は、L字状に形成され、柄8の中心部81に固定される脚部91と、この脚部91の端縁から前方へ突出する掛支部92と、を備えている。脚部91は、ペット用トイレAの上容器1の板厚と同じ高さに形成されている。処理具Bは、先端部51側を下向きにし、周壁部6をペット用トイレAの上容器1の外面に沿わせるような鉛直姿勢とする。そして、フック9の掛支部92と柄8の中心部81とがペット用トイレAの上容器1を挟むようにすることで、処理具Bをペット用トイレAに引っ掛けた状態とすることができる。
【0055】
処理具Bは、以上のように構成される。次に、この処理具Bの使用方法について説明する。
【0056】
ペット用トイレAの上容器1には、水分の吸収によって自己崩壊する排泄物処理材が敷設されている。この排泄物処理材上でペットが排尿すると、排泄物処理材が自己崩壊する。自己崩壊した排泄物処理材は、上容器1の貫通穴111から落下して、トレー上に堆積する。しかし、排泄物処理材が上容器1の貫通穴111と同じ大きさに自己崩壊すると、上容器1の貫通穴111は排泄物処理材によって目詰まりすることがある。
【0057】
このような場合において、処理具Bをペット用トイレAの上容器1から外す。この処理具Bは、傾斜姿勢とされ、突起部7が上容器1上をなぞるようにして上容器1の一端側から他端側へ移動することで、上容器1上の糞便や自己崩壊したものの落下しなかった排泄物処理材、自己崩壊しなかった排泄物処理材を掬う。糞便や排泄物処理材は、処理具Bのバケット本体部5上に盛られる。
【0058】
処理具Bが揺り動かされることで、バケット本体部5上の糞便や排泄物処理材は、篩い分けられる。バケット本体部5の周縁部52が周壁部6によって囲まれているため、小さな排泄物処理材は、処理具Bの篩い孔53から上容器1上に落下する。糞便や大きな排泄物処理材は、処理具Bの篩い孔53から落下することなくバケット本体部5上に残る。バケット本体部5上に残った排泄物処理材は、人用便器内などに廃棄される。
【0059】
上容器1の貫通穴111内に目詰まりした排泄物処理材は、処理具Bによって除去される。処理具Bの複数の突起部7が上容器1の隣り合った貫通穴111内に挿し込まれる。突起部7は、アール面取りされているため、貫通穴111内に挿し込まれやすい。複数の突起部7は、貫通穴111の一端側から他端側へ移動したり、複数か所で挿し込まれたりすることで、目詰まりした排泄物処理材がトレー上に落下する。あるいは、処理具Bの突起部7が上容器1の貫通穴111内に挿し込まれ、突起部7を下向きから上向きに掻き上げるようにすることで、目詰まりした排泄物処理材が処理具Bのバケット本体部5上に掬い取られる。掬い取られた排泄物処理材は、廃棄される。
【0060】
このように処理具Bによって目詰まりを解消した上容器1には、排泄物処理材が減量しているため、新たな排泄物処理材が補充される。
【0061】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は何ら前記実施の形態に記載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。また本発明の要旨を逸脱しない範囲内であれば種々の変更や上記実施の形態の組み合わせを施してもよい。
【0062】
例えば、前記実施の形態では、処理具Bの複数の突起部7のピッチは、上容器1に設けられた貫通穴111のピッチと一致しているとした。しかし、複数の突起部7のピッチは、例えば、上容器1に設けられた貫通穴111を間引くように少ない本数で設けられてもよい。
【0063】
前記実施の形態では、突起部7の幅は篩い孔53の幅よりも狭く形成されるとした。しかし、篩い孔53は、任意の形状に形成することができ、突起部7の幅が篩い孔53の幅よりも大きく形成されてもよい。また、バケット本体部5は、篩い孔53を形成しないようにしてもよい。
【0064】
前記実施の形態では、処理具Bのバケット本体部5は周縁部52がU字形状に形成されるとした。しかし、バケット本体部5の周縁部52は、コ字形状やΛ字形状、円弧形状などに形成されてもよい。
【0065】
前記実施の形態では、バケット本体部5は周壁部6を薄肉に形成しているとした。しかし、周壁部6は、厚肉に形成したり、不均一な厚さに形成されたりしてもよい。また、前記実施の形態では、バケット本体部5が逆へ字状に折り曲げられているとした。しかし、バケット本体部5は、折り曲げられない平坦であってもよいし、スプーンのような窪み部が設けられてもよい。
【0066】
前記実施の形態では、柄8からフック9が突出しているとした。しかし、柄8やフック9は必ずしも備えられなくてもよい。前記実施の形態では、柄8は、周壁部6の中心から突出しているとした。また、柄8は、周壁部6の側面部から突出してもよい。
【0067】
前記実施の形態では、排泄物処理材は水分の吸収によって自己崩壊するタイプであるとした。しかし、排泄物処理材は、自己崩壊しないタイプであってもよい。自己崩壊しない排泄物処理材には、粉や木屑などを成形した撥水タイプがある。この排泄物処理材からは、粉や木屑、ペットの糞が生じ、これらが上容器1の貫通穴111内に目詰まりすることがある。このような場合において、排泄物処理具Bは、上容器1の貫通穴111内に目詰まりした撥水タイプの排泄物処理材を掬い取ることができる。
【0068】
以上まとめると、本発明が適用されるペット用排泄物処理具Bは、次のような構成を取れば足り、各種各様な実施形態を取ることができる。
【0069】
本発明に係るペット用排泄物処理具Bは、
貫通穴111がスノコ状に設けられた容器1内に敷設された排泄物処理材を掬い取るペット用排泄物処理具Bであって、
直線状の先端部51と前記先端部51以外の周縁部52とを有するバケット本体部5と、
前記バケット本体部5の周縁部52を囲む周壁部6と、
前記バケット本体部5の先端部51から突出した櫛歯状の複数の突起部7と、
を備え、
前記突起部7は、前記容器1に設けられた貫通穴111内に入り込める大きさに形成されている。
【0070】
このペット用排泄物処理具Bは、容器1に設けられた貫通穴111内に入り込める大きさに形成された突起部7がバケット本体部5の先端部51から櫛歯状に突出していることから、この突起部7によって容器1部に設けられた貫通穴111内に排泄物処理材が目詰まりしても、突起部7が貫通穴111内に入り込むことで、目詰まりした排泄物処理材を容易に除去することができる。
【0071】
前記本発明に係るペット用排泄物処理具Bにおいて、
前記複数の突起部7のピッチは、前記容器1に設けられた貫通穴111のピッチと一致している。
【0072】
このペット用排泄物処理具Bは、突起部7が容器1に設けられた貫通穴111と同じピッチとされることにより、ペット用排泄物処理具Bを一方向に移動することで、横並びのすべての貫通穴111内の排泄物処理材を除去することができる。
【0073】
前記本発明に係るペット用排泄物処理具Bにおいて、
前記バケット本体部5は、薄板状に形成され、前記周縁部52がU字形状に形成されている。
【0074】
このペット用排泄物処理具Bは、薄板状に形成されたバケット本体部5上に除去された排泄物処理材が盛られ、U字形状の周縁部52が周壁部6に囲まれることで、バケット本体部5上に排泄物処理材が溜まるような隅部を設けないようにすることができる。
【0075】
前記本発明に係るペット用排泄物処理具Bにおいて、
前記バケット本体部5は、複数の篩い孔53を有している。
【0076】
このペット用排泄物処理具Bは、篩い孔53よりも小さな排泄物処理材を振るい落とし、篩い孔53よりも大きな糞便などをバケット本体部5上に残し、廃棄しやすいようにすることができる。
【0077】
本発明に係るペット用排泄物処理具Bにおける前記突起部7の幅は、前記篩い孔53の幅よりも狭く形成されている。
【0078】
このペット用排泄物処理具Bは、突起部7の幅が篩い孔53の幅よりも狭く形成されていることにより、突起部7で取られた排泄物処理材が篩い孔53から振るい落とされるようにすることができる。
【0079】
前記本発明に係るペット用排泄物処理具Bにおいて、
前記周壁部6は、薄肉に形成されている。
【0080】
ペット用排泄物処理具Bは、周壁部6が薄肉に形成されていることにより、小型軽量化が図られる。
【0081】
前記本発明に係るペット用排泄物処理具Bは、
前記周壁部6から突出した柄8を備えている。
【0082】
このペット用排泄物処理具Bは、柄8をもって排泄物処理材を掬ったり、揺り動かしたり、しやすくすることができる。
【符号の説明】
【0083】
1・・・・・容器(上容器)
111・・・貫通穴
5・・・・・バケット本体部
51・・・・先端部
52・・・・周縁部
521・・・側部
522・・・他端部
523・・・境界部
53・・・・篩い孔
6・・・・・周壁部
7・・・・・突起部
8・・・・・柄
9・・・・・フック
A・・・・・ペット用トイレ
B・・・・・ペット用排泄物処理具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図10
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図13